JP2014056167A - パターニング装置、パターニング方法及び表示用パネル基板の製造方法 - Google Patents

パターニング装置、パターニング方法及び表示用パネル基板の製造方法 Download PDF

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正明 望月
Hideyuki Honda
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Abstract

【課題】高解像度表示用液晶パネルへの高精度の描画を行うためにはCADデータからの高精度サンプリングが必要となるが、大容量の描画データ処理や、大量の座標演算処理が必要となり困難だった。
【解決手段】
主制御装置70は、サンプリングパターンを予めシミュレータにて実行し数値化されたデータをCADデータから生成した描画データを付加し、パケットデータに整形する。そして、このパケットデータからDMDを制御するフレームデータを順次生成することにより、高精度化による描画データの増大や演算処理の増加を抑え、高解像度の表示用パネル基板に対する描画を高速に実行可能とする。
【選択図】図16

Description

本発明は、例えば、フォトレジストが塗布された基材へ光ビームを照射し、光ビームにより基材を走査して、基材にパターンを描画するパターニング装置、パターニング方法及び表示用パネル基板の製造方法に関する。
表示用パネルとしては、液晶ディスプレイ装置のTFT(Thin Film Transistor)基板やカラーフィルタ基板、プラズマディスプレイパネル用基板、有機EL(Electroluminescence)表示パネル用基板等がある。これらの表示用パネルは、露光装置を用いて、フォトリソグラフィー技術により基板上にパターンを形成することにより製造される。露光装置としては、従来、レンズ又は鏡を用いてマスクのパターンを基板上に投影するプロジェクション方式がある。また、マスクと基板との間に微小な間隙(プロキシミティギャップ)を設けてマスクのパターンを基板へ転写するプロキシミティ方式がある。
近年、フォトレジストが塗布された基板へ光ビームを照射し、光ビームにより基板を走査して、基板にパターンを描画する露光装置が開発されている。この露光装置では、光ビームにより基板を走査して、基板にパターンを直接描画するので、高価なマスクが不要になる。また、基板にパターンを描画するための描画データを作成したり、走査を行ったりするためのプログラムを変更することにより、様々な種類の表示用パネル基板に対応することができる。
光ビームにより基板にパターンを描画する際、光ビームの変調には、DMD(Digital Micromirror Device)等の空間的光変調器(以下、「DMD」として説明する)が用いられる。DMDは、光ビームを反射する複数の微小なミラーが直交する二方向に配列して構成されており、各ミラーの角度を変更することにより、基板へ照射する光ビームを変調している。現在市販されているDMDは、各ミラーの寸法が10〜15μm角程度であり、隣接するミラー間には1μm程度の隙間が設けられている。
DMDにより変調された光ビームは、光ビーム照射装置の照射光学系を含むヘッド部から、基板へ照射される。DMDの各ミラーに対応する各光ビームが基板に照射されて露光を行う露光領域は、ミラーの形状と同じ正方形であり、基板に描画されるパターンは、微小な正方形のドットを重ねたものとなる。
予め基板に描画するパターンは、コンピュータ装置で動作するソフトウェアプログラムであるCAD(Computer Aided Design)等を用いて作成されたCADデータとして生成される。ここで、CADデータとはCADで作成されたパターンの座標データであり、「図形データ」とも呼ばれ、基板に描画されるパターンの頂点座標を数値で表わしたものである。光ビーム照射装置は、このCADデータから描画データを生成する。この描画データは、例えば、ミクロン(μm)単位で位置が特定されるミラーの座標(以下、「DMD座標」と呼ぶ。)に従って、DMDの各ミラーのON又はOFFを制御するために用いられる。また、この描画データには、後述するようなフレーム番号も含まれており、DMDによる基板の走査のためにも用いられる。なお、DMDは、ミラー毎に、サンプリング点に描画すべき図形があれば描画データを“1:ON”とし、描画すべき図形がなければ描画データを“0:OFF”としている。なお、この描画すべき図形のことを、以下「パターン」として説明する。
光ビーム照射装置は、描画データをDMD駆動回路に供給してDMDを駆動し、基板上の所定の位置へ変調した光ビームを照射して基板を複数回にわたって露光する。このように基板上の所定の位置に対して、DMDの各ミラーが複数回に渡って露光を行い、基板にパターンを描画することを「多重露光方式」と呼ぶ。多重露光方式を採用した露光装置は、パターンを描画するためのマスク処理が不要であるため、マスクレス露光装置とも呼ばれる。
特許文献1には、露光ヘッド又は露光面を移動させ、露光ヘッドと露光面を走査方向へ相対移動させることで、露光面を走査露光する技術が開示されている。この露光ヘッドには、空間光変調素子が設けられており、走査方向にm行、走査方向と直交する方向にn列、配列された画素が、光源から照射された光を制御信号に応じて変調する。各画素で変調された光は光学系により、露光面上に結像され、露光面を露光することとなる。
特許文献2には、各光照射領域への光照射を制御する技術が開示されている。この技術は、X方向に対する中心間の距離を描画ピッチに等しく、かつ、Y方向に対する中心間の距離を描画ピッチのa倍とし、描画ピッチのn倍(ただし、nは3以上の整数)の距離だけ光照射領域群を相対的に移動する間に光照射を制御するものである。
特開2004−12899号公報 特開2005−353927号公報
DMDを用いた露光装置にて基板にパターンを描画するためには、1回の露光ごとに移動するDMDの各ミラーに対するON/OFFの制御データを生成しなければならない。この制御データを生成する方式には、例えば、描画対象となる基板内でDMDの1画面(1フレーム)の全領域内に含まれる全パターンについて、DMDの各ミラー座標上にあるかを判定するための座標演算処理を行うものがある。他には、予め基板の描画領域に相当する高精細かつ大容量のビットマップデータを生成し、このビットマップデータから、DMDの各ミラー座標に対応するデータを抽出する方式もある。そして、上記のいずれかの方式を用いて得たデータに基づいて、個々のDMDミラーのON/OFFを制御する必要がある。
しかし、予めビットマップデータを生成する方式にて、高精度のパターン描画を実行するには、生成するビットマップデータを高精細化する必要があり、データ生成容量が増大するため高速に描画することが出来ない。
また、DMDの1画面ごとのデータを生成する方式では、常にDMDの1画面分領域に含まれる全パターンへの座標演算処理が必要である。このため、本装置が対象とする表示パネル用ではDMDの1画面内の領域内に含まれるパターン数が多くなり、演算処理負荷が大きくなるため、
パターンを高速に描画することが困難になっていた。
本発明の目的は、描画データの処理速度を遅らせることなく、高精度のパターンを基材に描画することにある。
本発明に係るパターニング装置は、光ビーム照射装置と移動機構を備える。
光ビーム照射装置は、基材を支持する支持部と、複数のミラーを二方向に配列した空間的光変調器と、基材にパターンの描画を指示する描画データに基づいて空間的光変調器を駆動する駆動回路と、空間的光変調器により変調された光ビームを照射する照射光学系を含む。
また、本発明のパターニング装置に用いられる移動機構は、支持部と光ビーム照射装置とを相対的に移動する機構である。この移動機構により支持部と光ビーム照射装置とを相対的に移動して、光ビーム照射装置からの光ビームにより基材を走査する。ここで、光ビーム照射装置の空間的光変調器は、光ビームによる基材の走査方向に対して傾けて配置されている。
そして、空間的光変調器の1つのミラーで反射された光が基材へ照射される領域と、他のミラーで反射された光が基材へ照射される領域が、光ビームによる基材の走査に伴って部分的に重なる多重露光を行うことにより、基材にパターンが描画される。
また、本発明に係るパターニング装置は、パターン生成部と描画制御部を備える。
パターン生成部は、基材に描画されるパターンを記述したCADデータから露光対象となる基材に対する空間的光変調器の移動量毎にサンプリングして描画データを生成する。そして、この生成した描画データに、描画の実行順を指示するフレーム番号と、空間的光変調器のミラーの走査方向に付される行番号を付加したパケットデータを生成し、この生成したパケットデータを描画制御部へ転送する。
描画制御部は、受け取ったパケットデータを、フレーム番号と行番号に基づき空間的光変調器の画面単位のフレームデータに整形しメモリに記憶する。描画対象となる基材が露光対象座標に移動すると、その座標に一致するフレームデータをメモリより読出し、空間的光変調器を駆動する駆動回路に転送する。空間的光変調器はこのフレームデータの“1”、“0”データにより各ミラーのON/OFFの制御が行われ、光ビームを反射して基材にパターンを描画する。
本発明によれば、基材に高精度のパターンを描画する時でも大量のビットマップデータを生成する必要がない。
また、描画データの作成時に1フレームの描画データを露光する際に、基材に対して空間的光変調器が相対的に移動する移動量(距離)内の領域で描画データが作成される。これにより、作成された描画データの当該領域内に含まれるCADで作成されたパターンの数量が削減され、基材に高解像度のパターンを描画する時においても、座標を演算するための負荷が削減される。そして、生成した描画データにフレーム番号と行番号を付加することにより、パターン描画時に必要となるフレームデータに加工することが容易になる。このため、描画データを駆動回路に遅延なく転送し、高解像度のパターンを基材に描画することができる。
本発明の一実施の形態例に係る露光装置の概略構成を示す図である。 本発明の一実施の形態例に係る露光装置の側面図である。 本発明の一実施の形態例に係る露光装置の正面図である。 光ビーム照射装置の概略構成を示す図である。 レーザー測長系の動作を説明するための図である。 DMDのミラーの一例を示す図である。 DMDが基板に描画するパターンの一例を示す図である。 フレームデータ方式によってフレームデータを生成するフレームデータ生成装置の内部構成例を示すブロック図である。 フレームデータ方式を用いて低解像度の画像データと高解像度の画像データを生成する例を示す説明図である。 フレームデータ方式の長所及び短所を説明するための図である。 プロットデータ方式によってフレームデータを生成するフレームデータ生成装置の内部構成例を示すブロック図である。 プロットデータ方式を用いて低解像度の画像データと高解像度の画像データを生成する例を示す説明図である。 プロットデータ方式で生成されるプロットデータの概念を示す説明図である。 高解像度のパターンを描画する描画データを生成する際の問題点を説明するための説明図である。 本実施の形態例に係る主制御装置が用いる描画データ生成方式の概要を示す説明図である。 主制御装置の構成を説明するための図である。 パケットデータ生成部の概略構成を示す図である。 描画制御部の概略構成を示す図である。 パケットデータと露光データメモリの概略構成を示す図である。 本実施の形態例に係る描画データ生成方式の長所を示す説明図である。 8本の光ビームにより4回に分けて基板の走査をする第1段階の図である。 8本の光ビームにより4回に分けて基板の走査をする第2段階の図である。 8本の光ビームにより4回に分けて基板の走査をする第3段階の図である。 8本の光ビームにより4回に分けて基板の走査をする第4段階の図である。 液晶ディスプレイ装置のTFT基板の製造工程の一例を示すフローチャートである。 液晶ディスプレイ装置のカラーフィルタ基板の製造工程の一例を示すフローチャートである。
<露光装置の構成>
図1は、本発明の一実施の形態例(以下、「本例」ともいう。)に係る露光装置30の概略構成を示す図である。また、図2は、露光装置30の側面図、図3は露光装置30の正面図である。この露光装置30は、基材に所定のパターンを形成するパターニング装置の一例として本発明を適用したものであり、露光装置30は、本発明に係るパターニング方法を用いて基材の露光を行うことができる。
なお、本明細書中において、基材とは、板状(通常「基板」と呼ばれるもの)やフィルム状のものを含む概念である。基材には、ウエハ、プリント基材、フラットパネルディスプレイ、マスク、レチクルなど、さらには雑誌、新聞、本の複写に用いられる板型、これらをフィルム状にしたものなどが含まれる。
図1〜図3に示すように、露光装置30は、ベース3、Xガイド4、Xステージ5、Yガイド6、Yステージ7、θステージ8、チャック10、ゲート11、光ビーム照射装置20を備える。更に、露光装置30は、リニアスケール31,33、エンコーダ32,34、レーザー測長系制御装置40、ステージ駆動回路60、及び主制御装置70を備えている。
この露光装置30は、DMD25の1つのミラー25a(図6参照)で反射された光が基板1(基材の一例)へ照射される領域と、他のミラー25aで反射された光が基板1へ照射される領域が、光ビームによる基板1の走査に伴って部分的に重なる多重露光を行っている。そして、この多重露光によって、基板1にパターンが描画される。
なお、図2及び図3では、レーザー測長系のレーザー光源41、レーザー測長系制御装置40、ステージ駆動回路60、及び主制御装置70が省略されている。露光装置30は、これらの他に、基板1をチャック10へ搬入し、また基板1をチャック10から搬出する基板搬送ロボット、装置内の温度管理を行う温度制御ユニット等を備えている。
なお、以下に説明する一実施の形態例では、図に示すXY方向はあくまでも例示であって、X方向とY方向とを入れ替えてもよいことは勿論である。
図1及び図2において、チャック10は、基板1の受け渡しを行う受け渡し位置にある。受け渡し位置において、図示しない基板搬送ロボットにより基板1がチャック10へ搬入され、また図示しない基板搬送ロボットにより基板1がチャック10から搬出される。チャック10は、基板1の裏面を真空吸着して支持するものであり、本発明に係る支持部の一例として示している。なお、基板1の表面には、フォトレジストが塗布されている。
基板1の露光を行う露光位置の上側に、ベース3をまたいで複数の光ビーム照射装置20を搭載したゲート11が設けられている。光ビーム照射装置20は、それぞれDMD25と、DMD駆動回路27と、ヘッド部を有し、DMD25で変調された光ビームを照射する照射光学系を備える。なお、露光装置30では、8つの光ビーム照射装置20を用いた例を示しているが、光ビーム照射装置20の数は8つに限らない。本発明は、1つ又は2つ以上の光ビーム照射装置を用いた露光装置30に適用される。
図2及び図3において、チャック10と光ビーム照射装置とを相対的に移動する移動機構として、Xステージ5、Yステージ7及びθステージ8が設けられる。この移動機構によりチャックと光ビーム照射装置とを相対的に移動して、光ビーム照射装置からの光ビームにより基板1を走査することができる。
ここで、チャック10は、θステージ8に搭載されており、θステージ8の下にはYステージ7及びXステージ5が設けられている。Xステージ5は、ベース3に設けられたXガイド4に搭載され、Xガイド4に沿ってX方向へ移動する。Yステージ7は、Xステージ5に設けられたYガイド6に搭載され、Yガイド6に沿ってY方向へ移動する。θステージ8は、Yステージ7に搭載され、θ方向へ回転する。Xステージ5、Yステージ7、及びθステージ8には、図示されていないが、ボールねじ及びモータにより構成される駆動機構やリニアモータ等の駆動機構が設けられている。なお、各駆動機構は、図1に示すステージ駆動回路60によって駆動されるものである。
θステージ8のθ方向への回転により、チャック10に搭載された基板1は、直交する二辺がX方向及びY方向へ向くように回転される。Xステージ5のX方向への移動により、チャック10は、受け渡し位置と露光位置との間を移動する。本例の露光位置においては、Xステージ5のX方向への移動により、各光ビーム照射装置20のヘッド部20aから照射された光ビームが、基板1をX方向へ走査する。また、Yステージ7のY方向への移動により、各光ビーム照射装置20のヘッド部20aから照射された光ビームによる基板1の走査領域が、Y方向へ移動する。図1において、主制御装置70は、ステージ駆動回路60を制御して、θステージ8のθ方向へ回転、Xステージ5のX方向への移動、及びYステージ7のY方向への移動の制御を行う。
露光装置30では、Xステージ5によりチャック10をX方向へ移動することによって、光ビーム照射装置20からの光ビームによる基板1の走査を行っているが、光ビーム照射装置20を移動することで光ビームによる基板1の走査を行うようにしてもよい。
また、露光装置30では、Yステージ7によりチャック10をY方向へ移動することによって、光ビーム照射装置20からの光ビームによる基板1の走査領域を変更している。しかし、これに代わって、光ビーム照射装置20を移動することにより、光ビームによる基板1の走査領域を変更してもよい。
図1及び図2に示すように、ベース3には、X方向へ伸びるリニアスケール31が設置されている。リニアスケール31には、Xステージ5のX方向への移動量を検出するための目盛が設けられている。また、Xステージ5には、Y方向へ伸びるリニアスケール33も設置されている。このリニアスケール33には、Yステージ7のY方向への移動量を検出するための目盛が設けられている。
また、図1及び図3に示すように、Xステージ5の一側面には、リニアスケール31に対向して、エンコーダ32が取り付けられている。エンコーダ32は、リニアスケール31の目盛を検出して、パルス信号を主制御装置70へ出力する。また、Yステージ7の一側面には、リニアスケール33に対向して、エンコーダ34が取り付けられている。エンコーダ34は、リニアスケール33の目盛を検出して、パルス信号を主制御装置70へ出力する。主制御装置70は、エンコーダ32のパルス信号をカウントして、Xステージ5のX方向への移動量を検出し、エンコーダ34のパルス信号をカウントして、Yステージ7のY方向への移動量を検出する。
<光ビーム照射装置の構成>
図4は、光ビーム照射装置20の概略構成を示す図である。
光ビーム照射装置20は、光ファイバー22、レンズ23、ミラー24、DMD25、投影レンズ26、及びDMD駆動回路27を備える。光ファイバー22は、レーザー光源ユニット21から発生された光ビームを、光ビーム照射装置20内へ導入する。光ファイバー22から射出された光ビームは、照射光学系としてのレンズ23及びミラー24を介して、DMD25へ照射される。
DMD25は、光ビームを反射する複数の微小なミラー25a(後述する図6参照)を直交する二方向に配列して構成された空間的光変調器であり、各ミラーの角度を変更して光ビームを変調する。DMD25により変調された光ビームは、投影レンズ26を含む光ビーム照射装置20のヘッド部20aから基板1に向けて照射される。DMD駆動回路27は、主制御装置70から供給された、基板1にパターンの描画を指示する描画データに基づいて、DMD25を駆動(DMD25の各ミラーの角度を変更)する。
<レーザー測長系の動作>
図5は、レーザー測長系の動作を説明する図である。なお、図5では、図1に示したゲート11、及び光ビーム照射装置20が省略されている。
レーザー測長系は、公知のレーザー干渉式の測長系であって、レーザー光源41、レーザー干渉計42,44、及びバーミラー43、45を含む。バーミラー43は、チャック10のY方向へ伸びる一側面に取り付けられ、バーミラー45は、チャック10のX方向へ伸びる一側面に取り付けられている。
レーザー干渉計42は、レーザー光源41からのレーザー光をバーミラー43へ照射し、バーミラー43により反射されたレーザー光を受光して、レーザー光源41からのレーザー光とバーミラー43により反射されたレーザー光との干渉を測定する。この測定は、Y方向の2箇所で行われる。レーザー測長系制御装置40は、主制御装置70の制御により、レーザー干渉計42の測定結果から、チャック10のX方向の位置及びθ方向の回転を検出する。
一方、レーザー干渉計44は、レーザー光源41からのレーザー光をバーミラー45へ照射し、バーミラー45により反射されたレーザー光を受光して、レーザー光源41からのレーザー光とバーミラー45により反射されたレーザー光との干渉を測定する。レーザー測長系制御装置40は、主制御装置70の制御により、レーザー干渉計44の測定結果から、チャック10のY方向の位置を検出する。
<DMDのミラー構成>
図6は、DMDを構成するミラーの一例を示す図である。
光ビーム照射装置20のDMD25は、光ビーム照射装置20からの光ビームによる基板1の走査方向(X方向)に対して、所定の角度φだけ傾けて配置されている。この角度φは、例えば、DMD25を傾けたとき、X方向に配列された一列分のミラー25aの個数に対し、Y方向にミラー25aの1個分だけずらした角度としている。例えば、角度φは、正方形のミラー25aの一辺の長さが5μmであって、DMD25の走査方向(X方向)におけるミラー25aの数が256個ある場合に、φ=sin−1(5/(256×5))によって求められる。図6では分かりやすくするために、φの角度を比較的大きく図示している。
このように、DMD25を走査方向に対してφだけ傾けて配置すると、直交する二方向に配列された各ミラー25aのいずれかが、隣接するミラー25a間の隙間に対応する箇所をカバーするので、パターンの描画を隙間なく行うことができる。また、後述するように、ミラー25aの大きさより小さい露光領域で基板1にパターンを描画することにより、解像度を上げることが可能となる。
<DMDが基板に描画するパターンの例>
図7は、DMD25が基板1に描画するパターンの一例を示す図である。図7Aは、DMD25に含まれるミラー25aの配置例を示し、図7Bは、DMD25の各ミラー25aが基板1に光ビームを照射する露光領域及びパターンの例を示す。
図7Aにおいて、DMD25のm列、n行目にあるミラー25aを、ミラー25a(m,n)と表記して、DMD座標を表わす。例えば、DMD25の1列、1行目にあるミラー25aを、ミラー25a(1,1)と表記し、DMD25の1列、n行目にあるミラー25aを、ミラー25a(1,n)と表記する。同様に、2列、1行目にあるミラー25aを、ミラー25a(2,1)と表記し、2列、n行目にあるミラー25aを、ミラー25a(2,n)と表記する。
同様に、図7Bにおいて、マトリクス状に表現したp列、q行目にある露光領域の位置を、露光領域51(p,q)と表記する。露光装置30は、DMD25が備えるミラー25aを駆動制御し、基板1上に格子状に規定される露光領域51(p,q)の各々に光ビームを照射し、基板1にパターン50を描画する。ここで、一つの露光領域51(p,q)に対して、DMD25のm列、n行目にあるミラー25a(m,n)が光ビームを照射する点を照射点52(p,q)−nと呼ぶ。なお、この照射に際して、m=pであり、DMD25の1列のミラー25aは、1列の露光領域51に光ビームを照射することとなる。
始めに、図中の左上にある露光領域51(1,1)を例にとり、ミラー25aが基板1に露光する処理について説明する。
まず、基板1の露光領域51(1,1)の左上隅の照射点52(1,1)−1に、ミラー25a(1,1)によって光ビームが照射される。パターン50を基板1に描画するため、図7の例では、X方向にミラー25aがn個配列されている場合に、基板1の同じ露光領域51(1,1)に、光ビームをn回照射して累積する露光量を確保するようにしている。このため、走査方向に移動するDMD25のミラー25aがそれぞれ移動する度に特定の箇所に光ビームを照射する。
通常、CADデータによって表されるパターン50は、ミラー25aの大きさ(ミラー25aの配列の解像度を意味する)に比べて解像度が高い。仮に、基板1の走査方向に対してDMD25を傾けずにミラー25aが基板1に光ビームを反射すると、基板1に描画されるパターン50の解像度が、ミラー25aの配列の解像度と等しくなってしまう。このときの基板1に描画されるパターン50は、ミラー25aの1辺の長さに等しい格子状の領域が多重されずに露光されて表現されたものであり、パターン50の解像度を、ミラー25aの大きさで定まる解像度より高くすることができない。一方、本実施の形態例に係る露光装置30では、DMD25が基板1の走査方向に対してわずかに傾けられている。したがって、各ミラー25aは、DMD25が基板1を走査する際に、露光される基板1の露光領域51(1,1)内の場所が互いにわずかに異なるように、基板1の露光領域51(1,1)に光ビームを照射する。
なお、基板1に光ビームを照射するタイミング間隔でDMD25を移動させる距離Dは、ミラー25aの1辺の長さをCとして、D=C(1±1/K)と定められる。ここで、Kは任意の実数でよいが、K=2のような数字になると、露光領域内の照射点の数が少なくなって、十分な解像度が得られない。このため、この数字Kは十分な解像度が得られるように設定する必要があり、照射点が均等に広がり、かつ描画するパターンを表現できる数値を選択する。
このようなDMD25を用いて、例えば基板1とDMD25の相対移動速度、光ビームの照射タイミング、DMD25内のミラー25aの選択等を適宜組み合わせることにより、基板1の露光領域51(1,1)に対して、均一に光ビームを照射できる。
1回目(1フレーム目)の光ビームの照射では、ミラー25a(1,1)が基板1の照射点52(1,1)−1に光ビームを照射する。
2回目(2フレーム目)の光ビームの照射では、基板1がDMD25に対して走査方向にわずかに移動する。このときのDMD25の移動量は、ミラー25aの1辺の長さよりもわずかに増減した長さである。そして、移動後の位置でDMD25の2行目にあるミラー25a(1,2)が照射点52(1,1)−2に光ビームを照射する。この照射点52(1,1)−2は、基板1の走査方向(X方向)に対して、φだけ傾いた位置にあり、かつ、照射点52(1,1)−1に対して、ミラー25a(1,1)の1辺の長さより短い距離だけ離れた位置にある。
以下、n回目(nフレーム目)まで、基板1がDMD25に対して相対的に移動する度に、DMD25の1列のミラー25aが基板1の領域51(1,1)への光ビームの照射を繰り返す。
例えば、露光領域51(1,1)に対し、16×16の格子状に256回光ビームを照射する場合に、16回目の光ビームの照射では、露光領域51(1,1)の最下部に光ビームを照射する。このため、17回目の光ビームの照射では、露光領域51(1,1)の最上部であって、照射点52(1,1)―1からずれた位置に光ビームを照射する。
そして、n回目の光ビームの照射では、ミラー25a(1,n)が露光領域51(1,1)の最右部である照射点52(1,1)−nに光ビームを照射する。これにより、露光領域51(1,1)には、照射点52(1,1)―1〜(1,1)―nが均一に形成される。
次に、露光領域51(1,2)〜51(1,q)の1列に対する描画について説明する。
露光領域51(1,2)〜51(1,q)には、1回目(1フレーム目)の光ビームの照射において、ミラー25a(1,2)〜25a(1,n)がそれぞれ基板1の照射点52(1,2)−2〜52(1,n)−n(不図示)に光ビームを照射する。このため、1回目(1フレーム目)の光ビームの照射では、基板1に対して、照射点52(1,1)−1を始点として、走査方向に対して角度φの傾斜とした右斜め下方向に複数個の照射点が直線状に連なって形成される。
2回目(2フレーム目)以降の光ビームの照射において、上述したように基板1に対してDMD25が相対的に移動する。このため、DMD25が移動した位置に対応する1列のミラー25a(1,1)〜25a(1,n)が基板1の左端列(1列目)に光ビームを照射し、改めて右斜め下方向に複数個の照射点が直線状に連なって形成される。このように直線状に連なる複数個の照射点は、互いに少しずつずれながら基板1の1列の露光領域51(1,1)〜51(1,q)の内部に均一に形成されていく。
以上、DMD25にて行われる基板1の左端列(1列目)の露光領域における描画について説明した。基板1の他の列については、DMD25の左端列(1列目)の横に並ぶ各列(2〜m列目)のミラー25aにより、図7Bの横方向(Y方向)の領域に対しても同時にパターンの描画が実行される。上述した表記法に従えば、2列目のミラー25aは、25a(2,1)〜25a(2,n)と表され、m列目のミラー25aは、25a(m,1)〜25a(m,n)と表される。
そして、1列目(図7Aの最も左側の列)のミラー25a(1,1)〜25a(1,n)が、露光領域51(1,1)を、DMD25が基板1に対して相対移動しながらn回の照射によって基板1にパターンを描画する。このとき、同時に、2列目のミラー25a(2,1)〜25a(2,n)は、基板1の2列目の露光領域51(2,1)にn回の照射によって基板1にパターンを描画する。同様に3列目からm列目までのミラー25aも、3列目からm列目までの露光領域51(3,1)〜51(p,1)にn回の照射によって基板1にパターンを描画する。また、DMD25の2〜m列に含まれる各ミラー25aは、露光領域51(2,1)〜51(2,q)、51(3,1)〜51(3,q),…,51(p,1)〜51(p,q)に対して、それぞれ光ビームを照射している。このように、ミラー25aと、露光領域51に対する光ビームの照射点との関係が規定されている。このため、基板1がDMD25に対して所定の移動量で移動する度に、ミラー25aが基板1に光ビームを照射するため、1回の走査で基板1の全領域に対して均一に描画が実行され、所望の照射点によるパターン50を形成できる。
このようにして、1回の光ビームの照射では、パターン50を描画するために必要な露光光量に達していなくても、基板1の同じ箇所に複数回の露光を行うことにより必要な露光光量に達することができる。そして、DMD25は、基板1に対してミラー25aの1辺の長さの数分の1(本例では、n分の1)ずつ相対的に移動することにより、ミラー25aの1辺の長さに比べて短い長さの数分の1での高解像度のパターンを描画することができる。
<本例の前提となる描画データ生成方式の説明>
始めに、本例の前提となる、DMD25に供給される描画データを生成する方式についてその概要を説明する。この2つの方式とは、フレームデータ方式とプロットデータ方式である。最初にフレームデータ方式により低解像度と高解像度の画像データを生成する方法を示し、続いてプロットデータ方式により低解像度と高解像度の画像データを生成する方法を示す。
<フレームデータ方式による低解像度と高解像度の画像データの生成>
図8は、フレームデータ方式によってミラー25aのON/OFFを制御する制御装置の内部構成を示すブロック図である。このフレームデータ方式では、パターン生成部101、フレームメモリ102、及びDMD駆動回路27が用いられる。
パターン生成部101は、基板1に描画するパターンを規定するCADデータに基づいて、1フレーム毎に作成した描画データをフレームメモリ102に書き込む。この描画データには、DMD25における全てのミラー25aに対するON/OFFが規定されている。そして、DMD25のミラー25aを駆動する際には、ミラー25aの座標と、ミラー25aのON/OFFを規定する描画データをフレーム毎に集めたフレームデータを用いている。このため、基板1にパターン50を描画するために、例えばnフレームのフレームデータが必要であれば、パターン生成部101は、予めnフレームのフレームデータを生成し、これらのフレームデータをフレームメモリ102に保存しておく。
フレームメモリ102では、1フレームずつフレームデータが読み出される。そして、DMD25の走査方向における位置に合わせて、DMD座標に一致するフレームデータが選択されて、DMD駆動回路103に出力される。DMD駆動回路103は、受け取ったフレームデータに基づいてDMD25のミラー25aのON/OFFを切替えて、基板1にパターンを描画する。
上述したように、DMD25が走査方向に移動する間は、描画データに基づいて全てのミラー25aについて個別にON/OFFの制御が行われる。例えば、1つのミラー25aがONされると基板1の特定の露光領域に光ビームが照射されるが、OFFされると基板1に光ビームが照射されない。
図9は、低解像度の画像データ(A)と高解像度の画像データ(B)からフレームデータ方式を用いて生成した描画データを生成する例を示したものである。
図9Aは、判定精度を1μmとした場合に、フレームデータ方式にてパターン生成部101にて実行されるフレームデータ生成手順を示す説明図である。
図9Aに示すパターン50の解像度は1μmである。判定精度を1μmとした場合に、フレームデータ方式ではパターン生成部101がDMD25の各ミラー25aの中心座標点に、CADで作成されたパターン50が重なったDMD座標(x′,y′)を判定して描画データを生成する。そして生成した描画データを、1フレーム毎にフレームメモリ102に保存する。
まず、DMD25の各ミラー座標がCADデータで表現されるパターン50の中にあるか判定を行い、パターン50の内側のミラーにはONを割り当てたデータを生成し、外側のミラーにはOFFを割り当てた描画データを生成する。そして、1画面分に相当する描画データのON/OFFをまとめ、フレームデータとして、フレームメモリ102に記憶した後、DMD25の位置に一致するフレームデータを出力する。
図9Bは、判定精度を0.5μmに向上した場合のフレームデータ方式にてパターン生成部101にて実行されるフレームデータ生成手順を示す説明図である。
図9Bに示すパターン50の解像度は0.5μmである。図9Aと比較し、図9Bに示すフレームデータ方式では、CADで作成されたパターン50の内外にミラー25aがあるか否かを判定する精度が高い。その後、生成された描画データは、図9Aに示した場合と同様に、フレームデータとしてまとめられる。そして、このフレームデータがフレームメモリ102に記憶された後、DMD25が移動した位置に一致するフレームデータが読み出され、DMD駆動回路27を介してDMD25に転送される。
図10は、フレームデータ方式の長所及び短所を示す説明図である。図10Aは、CADデータから描画データを生成する際の判定精度を1μmとした場合のイメージ図であり、図10Bは、CADデータから描画データを生成する際の判定精度を0.5μmとした場合のイメージ図である。また、図10Cは、DMD25の1フレーム領域(1画面)に相当する大きさを示す説明図である。
図10Aと図10Bに示すように、パターン生成部101は不図示のCADシステムにて作成されたCADデータ(図形頂点座標データ)に対してDMD25のミラー25a毎に座標位置の判定を行う。そして、DMD25の1画面分に含まれる全ミラー座標のON/OFFデータを纏めたフレームデータを生成する。ここで、図9Aと図9B、及び図10Aと図10Bに示すように、描画精度を向上するためには判定精度を向上させるだけでよく、特に生成されるデータ量を多くする必要はない。
ところで、図10Cに示すように、フレームデータ方式では、1回(1フレーム)の露光ごとに、CADデータからDMD25に1画面分の全ミラー25aのON又はOFFを制御するための描画データを生成する必要がある。ここで、高解像度のパターンとすると、基板1に描画可能なパターンが小さくなり、1画面分の領域内に大量のパターンが含まれることが想定される。このため、描画データを生成するためのCADデータからの演算処理数が増大することが予想される。
<プロットデータ方式による低解像度と高解像度の画像データの生成>
次に、図11〜図13を参照してプロットデータ方式の概要について説明する。
図11は、プロットデータ方式によってDMDのON/OFFを制御する制御装置の内部構成を示すブロック図である。このプロットデータ方式においても、フレームデータ方式と同様に、パターン生成部106、露光データメモリ107、及びDMD駆動回路27が用いられる。
パターン生成部106は、露光される基板1に対してDMD25の1回の露光時間中の移動距離に相当する長さ分の領域を露光するための描画データ109をCADデータから生成する。この描画データ109は、描画されるパターンがビットマップ形式で生成されたデータであり、露光データメモリ107に保存される。露光データメモリ107では基板1に対して1回の露光毎にDMD25が基板1に対して相対的に1プロットだけ移動したDMD座標に合った1画面分のフレームデータを、描画データ109から抽出した描画データに基づいてまとめる。そして、このフレームデータをDMD駆動回路27を介してDMD25に出力する。DMD25は、このフレームデータにより基板1に光ビームを照射してパターンを描画する。
上述したように露光データメモリ107には、描画データ109が保存される。プロットデータ方式では、DMD25の1回の露光時間中に、DMD25の1回の移動距離分の描画データをCADデータから生成する。以下、DMD25が1回の露光動作毎に移動する距離を「プロット間隔」と呼び、移動にかかる時間を「プロット時間」と呼ぶ。露光動作中は露光データメモリ107に、DMD25の移動に合わせて連続して、CADデータから生成された描画データが追加される。
図12は、パターン生成部106が行うプロットデータ生成手順を示す説明図である。
図12Aは、判定精度を1μmとしたプロットデータ方式を用いて、露光データメモリ107にて実行されるフレームデータの生成手順を示す説明図である。
パターン生成部106は、DMD25の各ミラー座標に一致する描画データ(ビットマップデータ)を抽出し、各ミラー25aをON/OFFする描画データを生成する。そして、1画面分の各ミラー25aに対して制御されるON/OFFが含まれる描画データをまとめ、フレームデータとして露光データメモリ107に記憶し、DMD25の位置に一致するフレームデータをDMD駆動回路27に出力する。
図12Bは、判定精度を0.5μmに向上した場合のプロットデータ方式を用いて、露光データメモリ107にて実行されるフレームデータの生成手順を示す説明図である。
プロットデータ方式では、描画精度を向上するには、描画データ109より精細なビットマップデータとした描画データ110を露光データメモリ107に記憶する必要がある。このため、フレームデータ方式の高解像度版である図9Bに示した描画データと比較し、描画データ量が増大してしまう。
図13は、プロットデータ方式の長所及び短所を示す説明図である。図13Aは、CADデータから描画データを生成する精度を1μmとした場合のイメージ図であり、図13Bは、CADデータから描画データを生成する精度を0.5μmとした場合のイメージ図である。また、図13Cは、DMD25の1プロットデータ領域に相当する大きさを示す説明図である。ここで、基板1に対して一定速度で移動するDMD25が基板1に対して光ビームを照射した後、再度光ビームを照射するまでの最大の移動距離を「1プロットデータ領域」と呼ぶ。
図13Aと図13Bに示すように、パターン生成部106は、CADデータからビットマップ形式の連続した描画データ109を生成する。そして、生成された描画データ109を露光データメモリ107に保存しておき、必要なフレームごとに露光データメモリ107内の描画データ109からDMD座標に対応する描画データを抽出してフレームデータを生成する。ここで、パターンの描画精度を高めるためには、DMD25へ転送されるフレームデータの元となる描画データの抽出精度を高める必要がある。このため、フレームデータ抽出前の描画データ109は、高精細なビットマップデータとして露光データメモリ107に記憶しなければならず、描画データ109のデータ量が増大してしまう。例えば、描画データ109の生成の精度を1.0μmから0.5μmにすると4倍のデータ量の描画データ109を露光データメモリ107に記憶する必要があり、この4倍のデータ量の描画データ109の中からフレームデータを抽出する必要がある。
ただし、プロットデータ方式では、1プロット時間内に生成する必要がある描画データ量は1プロット時間内のDMD25の移動領域分である。このため、移動領域内に含まれるCADデータで表されるパターンの数がフレームデータ方式と比べて少なくなる。したがって、図13Bのような、高解像度のパターンを描画する場合でも、CADデータから描画データを生成する時に必要となる演算処理の負荷を低減することができる。
以上説明したように、図13A、Bに示すプロットデータ方式では、1プロット毎にパターン生成部106が露光データメモリ107に保存した描画データ109を読み出す。そして、DMD25の各ミラー25aの中心座標点に描画データ109のパターン50が重なったDMD座標(x′,y′)を抽出して生成した描画データを1フレーム毎にDMD駆動回路27に出力する。
一方、図9Bに示すように、フレームデータ方式において高解像度の描画データを生成するためには、基板1に描画するパターン53の解像度を高めなければならない。このため、パターン生成部101がミラー25aの中心座標点に対応する位置にパターン53が存在するか否かの判定精度を高める必要がある。
このことは、図13Bのプロットデータ方式においても同様である。ただし、プロットデータ方式では、パターン生成部106は、上述した描画データ109よりも高解像度としたビットマップ形式の描画データ110を作成しなければならない。しかし、上述したようにパターン生成部106が作成する高解像度のパターン53の描画データ110は、低解像度のパターン50の描画データ109に比べて、データ量が増大する。このため、パターン生成部106が露光データメモリ107に描画データ109を転送する速度を速くするか、露光データメモリ107の記憶容量を拡大しなければ、露光データメモリ107に描画データ110を記憶することができない。
<高精度描画の問題点>
ここまで、フレームデータ方式とプロットデータ方式の概略を説明した。
プロットデータ方式では、DMD画面用のフレームデータへの抽出は露光データメモリ107で行われる。このため、パターン生成部106によってCADデータから描画データを演算する処理は、DMD25の移動量のみに分割された小さな移動領域内で順次、行うことができる。しかし、このプロットデータ方式では描画データの判定精度を上げると描画データが増大してしまい、露光データメモリ107のデータ生成と転送の負荷が増大するため、基板1に対する描画が間に合わなくなってしまう。
このため、プロットデータ方式に比べて、パターンを高精度化しても生成されるフレームデータのデータ量が増加しないフレームデータ方式が優位である。しかし、高精細表示用液晶パネルに対する描画では、描画パターンが小さく高密度であるため、基板1に描画すべきパターンの数が多くなることが想定される。すなわち、1画面に含まれる全てのパターンを毎回処理するフレームデータ方式では、パターン生成部101(図8参照)での演算処理が間に合わなくなることが予想される。
図14は、高精度描画の問題に対する検討手順を示す説明図である。図14Aは、生成されたプロットデータとフレームデータの例を示し、図14Bは、フレームデータが用いられるDMD25のフレーム数と行数の関係の例を示す。
上述したように、フレームデータ方式では演算処理負荷が高くなり、プロットデータ方式ではデータ生成量が増大してしまうことが問題であった。そうであれば、パターン生成部106にて演算処理が低減できるプロットデータ方式分の演算処理を行い、そのデータを並び替えてフレームデータに変換できれば、露光データメモリ107での描画データ量の増大を防ぐことができる筈である。
しかし、図14Aに示すプロットデータ方式で生成された高精度の描画データ109と同じ領域で生成される描画データは、図14Bに示すように、隣接した描画データであっても、DMD25にて描画に使用されるタイミングが異なる。ここで、タイミングとは、フレームデータの番号(フレーム番号)と、ミラー25aの位置(行番号)を意味する。また、隣接した描画データが使用されるタイミングは、露光条件として設定し、変更されるプロットピッチ(露光間隔)にて規定される。すなわち、露光条件、基板1の移動速度、露光領域に累積される露光量に基づいて、タイミングが適宜変更されるため、描画データをフレームデータにまとめる際には、複雑な並び替え処理が要求される。したがって、パターン生成部106によりプロットデータ方式のように移動量のみの小さな領域で描画データを生成するための演算処理を行っても、DMD25の1画面ごとの全てのミラー25aについて描画データを揃える必要があるフレームデータに変換することができない。
<本例に係る主制御装置が行う処理の概要>
図15は、本例に係る主制御装置70が用いる描画データ生成方式の概要を示す説明図である。
上述したように、プロットデータ方式で生成される描画データは、隣接したミラー25aの描画データでも、DMD25にて描画に使用されるタイミングが露光条件により異なってしまう。このため、予めパーソナルコンピュータ上で動作するシミュレータプログラムを用いて、露光条件として設定されたプロットピッチを使用したサンプリングパターン(打点分布)のシミュレーションを行う。サンプリングパターン(打点分布)とは、例えば、図7Aの各ミラー25a(1,1)〜25a(n,1)と、図7Bの照射点52(1,1)−1〜52(1,1)−nの対応を示す分布である。この分布は、図7Bの露光領域51(1,1)内に描かれたミラー中心点座標の分布として示される。このサンプリングパターンの座標変化をフレーム加算値、行番加算値として数値化し、座標分布メモリ77−1〜77−nに格納する。
図15の本例に係る主制御装置70に搭載されたパターン生成部71では、前述のプロットデータ方式と同様に1回の移動量分のビットマップ形式の描画データをCADデータから生成する。
同時に、パターン生成部71にて、座標分布メモリ77−1〜77−nに書き込まれたサンプリングパターンの値と、基板1に描画するパターンの座標とを算出するフレームカウンタ値を演算し、フレーム番号とミラー25aの行番号を生成する。このフレーム番号、行番号を対応する1行分の描画データの先頭に付加し、パケットデータを整形して描画制御部81にパケットデータを出力する。
描画制御部81は、パターン生成部71から受信したパケットデータを、先頭に付加されたフレーム番号、行番号を参照して並び替え、露光データメモリ83内にフレーム毎に纏めて保存する。その後、描画制御部81は、基板1の位置座標に合わせたフレーム番号のフレームデータを抽出し、DMD駆動回路27に送る。DMD駆動回路27は、DMD25に照射された光ビームの反射により、基板1にパターンを描画する。
<パターン生成部の説明>
次に、図16から図19を参照して、主制御装置70の更に詳細な内部構成例とその動作について説明する。
図16は、図5に示す主制御装置70の概略構成を示すブロック図である。
主制御装置70は、描画データを生成するためのパターン生成部71と、DMD駆動回路27へ描画データを供給し、DMD25が基板1に行う描画を制御する描画制御部81とを有する。図16では、パターン生成部71の構成例について説明し、描画制御部81については図18で後述する。
図16に示すように、主制御装置70に設けられているパターン生成部71は、描画するパターン等の図形が予め記憶される描画図形座標メモリ72と、座標補正部73と、パケットデータ生成部74と、フレームカウンタ75とを備える。
描画図形座標メモリ72に記憶される情報は基板1に描画されるべきパターンの図形頂点座標データ(ベクターデータ)として表されるCADデータである。そして、描画図形座標メモリ72に記憶されている頂点座標データが、座標補正部73において補正される。ここで、座標補正部73は、基板1が置かれた位置、環境温度による歪み等により基板1に描画されるパターンがCADデータに合致しない場合に、基板1に描画されるパターンの位置や形状をCADデータに合せる補正を行っている。
座標補正部73で補正された図形頂点座標データ(ベクタデータ)はパケットデータ生成部74に送られる。
パケットデータ生成部74は、座標補正部73から送られた図形頂点座標データ(ベクタデータ)から、ビットマップ形式の描画データ(ラスタデータ)を生成する。また、パケットデータ生成部74内に、図15に示した座標分布メモリ77−1〜77−nが搭載されている。そして、パケットデータ生成部74は、シミュレータ90にて生成されたフレーム加算値、行番加算値と、フレームカウンタ75によってカウントされたフレーム値から描画データの各行ごとにフレーム番号、行番号を付加する。これにより、パケットデータ生成部74において、パケットデータ76−1〜76−nが生成される。
なお、フレームカウンタ75は描画データの生成に合わせて、この描画データを露光する基板1の描画座標を算出し、パケットデータ生成部74にその座標値を供給する。
描画制御部81は、描画データフレーム制御部82と露光データメモリ83を備える。露光データメモリ83以降の回路は後述する。
描画データフレーム制御部82は、パターン生成部71から受け取ったパケットデータ76−1〜76−nに示された、フレーム番号と行番号に従って描画データを露光データメモリ83に書き込む。
描画制御部81が備える露光データメモリ83は、描画データをフレーム番号により1フレーム分の描画データとして纏めたフレームデータを、フレーム83a〜フレーム83nに保存する。保存されたフレームデータは、DMD25が基板1の描画する座標と一致するフレームの順に読み出され、DMD25の各ミラー25aを駆動するために用いられる。
図17は、パケットデータ生成部74の詳細な内部構成例及び動作例を示すブロック図である。
パケットデータ生成部74は、座標分布メモリ77−1〜77−nと演算部78−1〜78−nと、描画データ生成部79−1〜79−nとを備える。また、パケットデータ生成部74は、描画データ生成部から出力される描画データと、フレームカウンタ75から入力するフレーム値の同期を制御して、パケットデータ76−1〜76−nを生成する同期制御部80を備える。
座標分布メモリ77−1〜77−nには、シミュレータ90がプロットピッチに基づいて得たサンプリングパターンの値が書き込まれ、数値化されたサンプリングパターンをフレーム番号と行番号としてミラー25a毎に保存する。このサンプリングパターンの値として、フレーム加算値と行番加算値がある。フレーム加算値は、ミラー25aが基板1に描画するフレーム数であって、フレームカウンタ75がカウントしたフレーム値に加算される値である。行番加算値は、DMD25に配列された1行毎のミラー25aの行番号に対して加算される値である。
演算部78−1〜78−nは、座標分布メモリ77−1〜77−nから読み出されたフレーム番号、行番号を加算値としてフレームカウンタ75によってカウントされた基板1上の描画座標を示すフレーム値に加算する。
描画データ生成部79−1〜79−nは、基板1に対してDMD25が移動する移動量分の描画データを、画像データから1行ごとに生成する。すなわち、描画データ生成部79−1〜79−nは、座標が補正されたベクタデータを描画図形座標メモリ72(図16参照)から読み出し、DMD25の基板1に対する1プロット移動量分の描画データを生成する。描画データ生成部79−1〜79−nは、それぞれがDMD25のミラー25aの1行分の描画データの生成を分担している。
同期制御部80は、演算部78−1〜78−nによって加算されたフレーム番号、行番号を、描画データ生成部79−1〜79−nのそれぞれが生成した1行分の描画データごとに付加し、順次パケットデータとして整形した後、描画制御部81に順次出力する。
<描画制御部の説明>
次に、図18を参照して、描画制御部81の内部構成例とその動作について説明する。
描画制御部81は、露光データメモリ83、中心点座標決定部85、フレーム座標決定部86、データシフト回路87及びバンド幅設定部88を備えている。露光データメモリ83には、各DMD駆動回路27へ供給する描画データ(フレーム83a〜83n毎に記憶されたフレームデータ)が、そのフレーム番号を上位アドレスとして記憶されている。
レーザー測長系制御装置40は、露光位置における基板1の露光を開始する前のチャック10のX方向及びY方向の位置を検出する。中心点座標決定部85は、レーザー測長系制御装置40が検出したチャック10のX方向及びY方向の位置から、基板1の露光を開始する前のチャック10の中心点のXY座標を決定する。
中心点座標決定部85は、エンコーダ32、34からのパルス信号をカウントして、Xステージ5のX方向への移動量及びYステージ7のY方向への移動量を検出し、チャック10の中心点のXY座標を決定する。
フレーム座標決定部86は、中心点座標決定部85が決定したチャック10の中心点のXY座標に基づき、露光データメモリ83から読み出しを行う描画データのフレーム番号を決定する。そして、決定したフレーム番号に基づいて、描画データの読み出しを行う露光データメモリ83からフレーム83a〜83nを1フレーム毎に選択する。フレームデータは、1フレーム毎にフレーム83a〜83nに保存されており、DMD25の駆動時には1フレーム毎に順にフレーム83a〜83nからフレームデータが読み出される。
露光データメモリ83は、フレーム座標決定部86が決定したフレーム番号をアドレスとして入力する。そして、この入力したDMD座標に基づいて露光データメモリ83から読み出された1フレーム毎のフレームデータをDMD駆動回路27へ出力する。
DMD駆動回路27に出力されたフレームデータは、データシフト回路87を通過する。データシフト回路87はY方向の移動誤差を、フレームデータをシフトすることにより補正する。
バンド幅設定部88は、露光データメモリ83から読み出す描画データのY座標の範囲、すなわち、光ビーム照射装置20のヘッド部20aから照射される光ビームのY方向のバンド幅を設定する。
図19は、描画制御部81の詳細な内部構成例及び動作例を示すブロック図の例である。ここでは、1フレーム目に描画制御部81が露光データメモリ83から読み出すフレームデータについて記載してある。なお、図19では、パケットデータ76−n、フレーム83−n、描画データフレーム制御部82、データシフト回路87の記載を省略してある。
パケットデータ生成部74が生成したパケットデータ76−1〜76−3は、描画制御部81が備える露光データメモリ83に保存される。この保存に際して、描画制御部81は、パケットデータ76−1〜76−3にそれぞれ付されたDMD座標データのフレーム数に基づいて、描画データを同一のフレーム毎に分ける。そして、フレーム毎に分けられた描画データは、さらにDMD座標データの行番号に基づいて、フレーム毎に行番号で描画データをソートされる。その後、描画制御部81は、フレーム毎に分けられ、行番号でソートされた描画データを、フレーム83−1〜83−3にそれぞれフレームデータとして保存する。
描画制御部81は、1フレーム目のパターンを描画する際には、フレーム83−1から読み出したフレームデータをDMD駆動回路27に出力する。DMD駆動回路27は、フレームデータに基づいてDMD25の駆動を制御し、ミラー25aのON/OFFを行わせ、基板1に光ビームを照射してパターンを描画する。
次に、描画制御部81は、2フレーム目のパターンを描画する際には、フレーム83−2から読み出したフレームデータをDMD駆動回路27に出力する。
以下、nフレーム目のパターンを描画するまで処理を続ける。
図20は、本実施の形態例に係る描画データ生成方式の長所を示す説明図である。図20Aは、CADデータから描画データを生成するサンプリング精度を1μmとした場合のイメージ例であり、図20Bは、CADデータから描画データを生成するサンプリング精度を0.5μmとした場合のイメージ例である。また、図20Cは、DMD25の1回の移動量で生成されるラスターデータの大きさの例を示す説明図である。
図20Aと図20Bに示すように、パターン生成部71は、予め作成した等間隔で画像データからDMD25の移動量(プロットピッチ)に対応してCADデータをサンプリングし、連続するラスターデータを生成し、このラスターデータから描画データを生成する。ここで、ミラー25aのサンプリング精度を上げてもDMD25に含まれるミラー25aの数が増えるわけではない。このため、サンプリング精度を1μmから0.5μmとしても、1フレームのDMD25の各ミラー25aをON/OFF制御するために必要なデータ量は増えない。
また、図20Cに示すように、1回の露光処理を実行する際に必要な描画データは、パターンが描画される基板1とDMD25の相対的な移動量分でよい。このため、CADデータから描画データを生成するために必要な範囲が狭くなる。DMD25の移動量はわずかであり、描画データをサンプリングするために必要な範囲に含まれるパターンの数が少ないので、従来のプロットデータ方式に比べてデータ量を少なくすることができる。このため、CADデータに表現されるパターンを高解像度としても、CADデータから描画データを生成するときに必要となる演算処理の負荷を低減することができる。
また、図7に示したように、ある露光領域(p,q)における照射点52(p,q)−nは、どのミラー25a(m,n)が光ビームを反射して形成されるかが予め定まっている。言い換えれば、何フレーム目に、何行目のミラー25aが照射点52(p,q)−nを形成するルールは、基板の露光条件として予め定められる基板の移動速度と露光間隔時間に求めることが出来る。このため、DMD25の1プロット分の移動量に応じて作成したビットマップ形式の描画データを用いて、各ミラー25aのON/OFFを抽出した後、上記のルールに基づいて、容易にフレームデータを生成することが可能となる。
このように、本例に係る主制御装置70が用いる描画データ生成方式を用いれば、ミラー25aが使用する描画データのサンプリング精度を上げても、演算負荷を減らすことができる。そして、生成した描画データにフレーム番号と行番号を付加することにより、パターン描画時に必要となるフレームデータに加工することが容易になる。このため、描画データをDMD駆動回路27に遅延なく転送し、高精度のパターンを基板に描画することができる。
<基板の走査例>
次に、光ビームにより基板1の走査を行う際の動作例を説明する。
図21〜図24は、8本の光ビームにより基板1の走査を行う場合の説明図である。図21〜図24は、8つの光ビーム照射装置20からの8本の光ビームにより、基板1のX方向の走査を4回行って、基板1全体を走査する例を示し、各光ビーム照射装置20のヘッド部20aを破線で示している。各光ビーム照射装置20のヘッド部20aから照射された光ビームは、Y方向にバンド幅Wを有し、Xステージ5のX方向への移動によって、基板1を矢印で示す方向へ走査する。
図21は、1回目の走査を示し、X方向への1回目の走査により、図21に灰色で示す走査領域でパターンの描画が行われる。1回目の走査が終了すると、Yステージ7のY方向への移動により、基板1がY方向へバンド幅Wと同じ距離だけ移動する。図22は、2回目の走査を示し、X方向への2回目の走査により、図22に灰色で示す走査領域でパターンの描画が行われる。2回目の走査が終了すると、Yステージ7のY方向への移動により、基板1がY方向へバンド幅Wと同じ距離だけ移動する。
図23は、3回目の走査を示し、X方向への3回目の走査により、図23に灰色で示す走査領域でパターンの描画が行われる。3回目の走査が終了すると、Yステージ7のY方向への移動により、基板1がY方向へバンド幅Wと同じ距離だけ移動する。図24は、4回目の走査を示し、X方向への4回目の走査により、図23に灰色で示す走査領域でパターンの描画が行われる。この4回目の走査によって、基板1全体の走査が終了する。
図21〜図24に示すように、複数の光ビーム照射装置20からの複数の光ビーム(例えば8本)により基板1の走査を並行して行うことにより、基板1全体の走査にかかる時間を短くすることができ、これによってタクトタイムの短縮が可能となる。
なお、図21〜図24では、基板1のX方向の走査を4回行って、基板1全体を走査する例を示したが、走査の回数はこれに限らず、基板1のX方向の走査を3回以下又は5回以上行って、基板1全体を走査するようにしてもよい。
以上説明したように、本発明の一実施の形態例に係る露光装置30によれば、描画データをフレーム毎に振分け、かつ、プロットピッチに合わせてミラー25aの行番号でソートしたパケットデータを、さらにフレーム毎に並び替えてフレームデータを生成する。そして、描画制御部81は、DMD25を駆動するフレーム番号に合わせて、露光データメモリ83から読み出したフレームデータをDMD駆動回路27に供給し、高解像度で基板1にパターンを描画する。
<液晶ディスプレイ装置のTFT基板の製造工程の一例>
図25は、液晶ディスプレイ装置のTFT基板の製造工程の一例を示すフローチャートである。薄膜形成工程(ステップS1)では、スパッタ法やプラズマ化学気相成長(CVD)法等により、基板上に液晶駆動用の透明電極となる導電体膜や絶縁体膜等の薄膜を形成する。レジスト塗布工程(ステップS2)では、ロール塗布法等によりフォトレジストを塗布して、薄膜形成工程(ステップS1)で形成した薄膜上にフォトレジスト膜を形成する。
次に、露光工程(ステップS3)では、露光装置30を用いて、フォトレジスト膜にパターンを形成する。現像工程(ステップS4)では、シャワー現像法等により現像液をフォトレジスト膜上に供給して、フォトレジスト膜の不要部分を除去する。エッチング工程(ステップS5)では、ウエットエッチングにより、薄膜形成工程(ステップS1)で形成した薄膜の内、フォトレジスト膜でマスクされていない部分を除去する。最後に、剥離工程(ステップS6)では、エッチング工程(ステップS5)でのマスクの役目を終えたフォトレジスト膜を、剥離液によって剥離する。
これらの各工程の前又は後には、必要に応じて、基板の洗浄/乾燥工程が実施される。これらの工程を数回繰り返して、基板上にTFTアレイが形成される。
<液晶ディスプレイ装置のカラーフィルタ基板の製造工程の一例>
また、図26は、液晶ディスプレイ装置のカラーフィルタ基板の製造工程の一例を示すフローチャートである。ブラックマトリクス形成工程(ステップS11)では、レジスト塗布、露光、現像、エッチング、剥離等の処理により、基板上にブラックマトリクスを形成する。着色パターン形成工程(ステップS12)では、染色法や顔料分散法等により、基板上に着色パターンを形成する。そして、この工程を、R、G、Bの着色パターンについて繰り返す。次に、保護膜形成工程(ステップS13)では、着色パターンの上に保護膜を形成し、透明電極膜形成工程(ステップS14)では、保護膜の上に透明電極膜を形成する。これらの各工程の前、途中又は後には、必要に応じて、基板の洗浄/乾燥工程が実施される。
なお、露光装置30、又は露光装置30で用いられる露光方法は、上述した図26に示したTFT基板の製造工程の中の露光工程(ステップS3)において用いられる。また、図26に示したカラーフィルタ基板の製造工程では、ブラックマトリクス形成工程(ステップS11)及び着色パターン形成工程(ステップS12)の露光処理においても適用することができる。
<パターニング方法及び装置の応用例>
この実施の形態に係るパターニング方法及び装置は、印刷(プリンタブル)技術によってフレキシブル基板などに、表示回路あるいは電子部品を作成するプリンタブルエレクトロニクス分野で使用される印刷技術によって基材(基板、フィルムなどの樹脂性のものを含む)に印刷用の版(マスク)をパターニングする技術分野に応用可能である。また、画像データに応じて変調された光を感光層上に結像させて、該感光層を露光し、パッケージ基材を含むプリント配線基材分野あるいは半導体分野における高精細な永久パターン(保護膜、層間絶縁膜、及びソルダーレジストパターン)を効率よく形成するパターニング装置にも応用可能である。このような印刷技術で作成される回路としては、例えば、電子ペーパ、電子看板、プリンタブルTFTなどがある。
この実施の形態に係るパターニング方法は、特定の波長の光によって重合や硬化などの化学反応を起こす樹脂を用いた基材の表面改質の分野にも応用可能である。特定の波長の光によって重合や硬化などの化学反応を起こす樹脂とは、フォトレジストなどの紫外線硬化樹脂、スクリーン印刷等の製版に使用される樹脂、ホログラフィーの記録媒体用樹脂、ラピッドプロトタイピングの樹脂などを含むものである。
また、この実施の形態に係るパターニング方法は、半導体Si貫通電極(TSV:through-silicon via)のチップ間の(リペア)配線などのパターンを形成する分野にも応用可能である。
さらに、これ以外にも、印刷の版を作成する装置、輪転機の版作成装置、リソグラフやプリポート等のステンシル印刷又は孔版印刷装置などにも応用可能である。また、スクリーン印刷等の製版装置、半導体装置もリペア方法及び装置、パッケージ基材を含むプリント配線基材製造装置、フラットパネルディスプレイやプリント基材などの微細な電極パターン、あるいは露光用マスクのパターニング装置にも応用可能である。
また、本発明は上述した実施の形態例に限られるものではなく、特許請求の範囲に記載した本発明の要旨を逸脱しない限りその他種々の応用例、変形例を取り得ることは勿論である。
1…基板、20…光ビーム照射装置、25…DMD、25a…ミラー、27…DMD駆動回路、30…露光装置、60…ステージ駆動回路、70…主制御装置、71…パターン生成部、72…描画図形座標メモリ、73…座標補正部、74…パケットデータ生成部、75…フレームカウンタ、76−1〜76−n…パケットデータ、80…同期制御部、81…描画制御部、82…描画データフレーム制御部、83…露光データメモリ、84…傾斜演算・歪み補正部、85…中心点座標決定部、86…フレーム座標決定部、87…データシフト回路、88…バンド幅設定部、89…歪み補正データメモリ、90…シミュレータ

Claims (6)

  1. 基材を支持する支持部と、
    複数のミラーを二方向に配列した空間的光変調器と、基材にパターンの描画を指示する描画データに基づいて前記空間的光変調器を駆動する駆動回路と、前記空間的光変調器により変調された光ビームを照射する照射光学系を有する光ビーム照射装置と、
    前記支持部と前記光ビーム照射装置とを相対的に移動する移動機構と、を備え、
    前記移動機構により前記支持部と前記光ビーム照射装置とを相対的に移動して、前記光ビーム照射装置からの光ビームにより基材を走査し、
    前記光ビーム照射装置の空間的光変調器を光ビームによる基材の走査方向に対して傾けて配置し、前記空間的光変調器の1つのミラーで反射された光が前記基材へ照射される領域と、他のミラーで反射された光が基材へ照射される領域が、光ビームによる基材の走査に伴って部分的に重なる多重露光を行って、基材にパターンを描画する露光装置であって、
    前記パターンを定めた画像データを、前記基材に対する前記空間的光変調器の移動量毎にサンプリングして前記描画データを生成し、前記描画データをフレーム毎に振分け、かつ前記空間的光変調器における前記ミラーの一方の方向に付される行番号毎に並び替えたパケットデータを生成するパターン生成部と、
    前記パケットデータを前記フレーム毎に並び替え、さらに前記空間的光変調器のミラーの座標に対応付けたフレームデータを生成し、フレーム毎に前記駆動回路に前記フレームデータを出力して、前記光ビーム照射装置により前記基材にパターンを描画させる描画制御部と、
    を備えることを特徴とするパターニング装置。
  2. 前記パターン生成部は、
    シミュレータによって数値化されたサンプリングパターンの値、及びフレームカウンタによってカウントされたフレーム値に基づいて、前記パケットデータを生成するパケットデータ生成部を
    備えることを特徴とする請求項1記載のパターニング装置。
  3. 前記パケットデータ生成部は、
    数値化されたサンプリングパターンをフレーム番号と行番号として前記ミラーごとに保存する座標分布メモリと、
    前記座標分布メモリから読み出されたフレーム番号,行番号を加算値として前記フレームカウンタによってカウントされた前記基材上の描画座標を示すフレーム値に加算する演算部と、
    前記基材に対して前記空間的光変調器が移動する移動量分の描画データを、前記画像データから1行ごとに生成する描画データ生成部と、
    前記演算部によって加算されたフレーム番号,行番号を1行分の描画データごとに付加しパケットデータとして整形し、前記描画制御部に順次出力する同期制御部と、
    を備えることを特徴とする請求項2記載のパターニング装置。
  4. 前記描画制御部は、
    前記パターン生成部から受け取った前記パケットデータに付された前記フレーム値に基づいて、前記フレーム毎に前記描画データを並び替えると共に、前記パケットデータに付された前記描画データが描画される行番号に基づいて、前記行番号毎に前記描画データを並び替えてフレームデータを生成する描画データフレーム制御部と、
    前記フレームデータをフレーム毎に保存する露光データメモリを
    備えることを特徴とする請求項3記載のパターニング装置。
  5. 基材を支持部で支持し、
    前記支持部と、複数のミラーを二方向に配列した空間的光変調器、基材にパターンの描画を指示する描画データに基づいて前記空間的光変調器を駆動する駆動回路、前記空間的光変調器で変調された光ビームを照射する照射光学系を含む光ビーム照射装置とを、相対的に移動して、前記光ビーム照射装置からの光ビームにより基材を走査し、
    前記光ビーム照射装置の空間的光変調器を光ビームによる基材の走査方向に対して傾けて配置し、前記空間的光変調器の1つのミラーで反射された光が前記基材へ照射される領域と、他のミラーで反射された光が基材へ照射される領域が、光ビームによる基材の走査に伴って部分的に重なる多重露光を行って、基材にパターンを描画する露光方法であって、
    前記パターンを定めた画像データを、前記基材に対する前記空間的光変調器の移動量毎にサンプリングして前記描画データを生成し、前記描画データをフレーム毎に振分け、かつ前記空間的光変調器における前記ミラーの一方の方向に付される行番号毎に並び替えたパケットデータを生成し、
    前記パケットデータを前記フレーム毎に並び替え、さらに前記空間的光変調器のミラーの座標に対応付けたフレームデータを生成し、フレーム毎に前記駆動回路に前記フレームデータを出力して、前記光ビーム照射装置により前記基材にパターンを描画させることを特徴とするパターニング方法。
  6. 請求項5記載のパターニング方法を用いて基材にパターンを形成することを特徴とする表示用パネル基板の製造方法。
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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN110850692A (zh) * 2019-11-29 2020-02-28 中国科学院微电子研究所 数据处理方法及装置
CN112415858A (zh) * 2019-08-21 2021-02-26 株式会社斯库林集团 描绘方法以及描绘装置
JP7422263B1 (ja) 2023-08-24 2024-01-25 株式会社オーク製作所 露光装置および露光方法
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