JP2014055269A - ポリアミド樹脂組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】寸法精度、高温剛性、耐疲労特性、耐トラッキング性および表面外観に優れる成形品を得ることのできるポリアミド樹脂組成物を提供すること。
【解決手段】
(a)ポリアミド樹脂100重量部に対して、(b)水酸基含有分岐状化合物0.1〜10重量部ならびに(c)銅化合物およびカリウム化合物を含む金属化合物を配合してなるポリアミド樹脂組成物であって、前記(b)水酸基含有分岐状化合物が、分子量に対する1分子あたりの水酸基数の比(水酸基数/分子量)が0.017〜0.031個・mol/gであり、全炭素数に対する3級以上の炭素数および3級以上の窒素数の合計の比が0.1〜0.3であり、かつ原子吸光分光法で決定される組成物中の銅含有量が25〜200ppmであり、組成物中のカリウム含有量に対する銅含有量の比Cu/Kが0.21〜0.43であるポリアミド樹脂組成物。
【選択図】なし

Description

本発明は、ポリアミド樹脂に、水酸基を有する分岐状化合物および金属化合物を配合してなるポリアミド樹脂組成物、その製造方法、およびそれを成形してなる成形品に関するものである。
ポリアミド樹脂は、優れた機械特性、耐熱性、耐薬品性を有するため、自動車や電気・電子部品用途へ好ましく用いられている。例えば、エンジンカバー等の自動車エンジン周辺部品や、コネクター、ブレーカー等の電気・電子部品などに好適に使用される。しかし近年、成形品の小型化、薄肉化に対する需要の高まりから、これらの部品に対して、より高い流動性、寸法精度、高温剛性および耐トラッキング性が要求されている。また、耐熱老化性や耐疲労特性などの長期安定性が要求されている。
ポリアミド樹脂組成物の流動性を改良する手法として、例えば、ポリアミド樹脂と融点が150℃〜280℃である多価アルコールからなるポリアミド樹脂組成物が提案されている(例えば、特許文献1参照)。また、耐熱老化特性を改良する手法として、例えば、ポリアミド樹脂、2000未満の数平均分子量を有する多価アルコール、銅安定剤などの補助安定剤やポリマー強化材を含むポリアミド樹脂組成物が提案されている(例えば、特許文献2〜3参照)。
特開2000−345031号公報 特表2011−529987号公報 特表2011−529991号公報
しかしながら、前記特許文献1〜3に記載されたポリアミド樹脂組成物から得られる成形品は、寸法精度、高温剛性、耐疲労特性、耐トラッキング性に劣る課題があった。また、多価アルコールの成形品表層へのブリードアウトや、銅イオンの遊離による着色といった表面外観上の課題があった。本発明は、これら従来技術の課題に鑑み、寸法精度、高温剛性、耐疲労特性、耐トラッキング性および表面外観に優れる成形品を得ることのできるポリアミド樹脂組成物を提供することを課題とする。
本発明は、かかる課題を解決するために鋭意検討した結果、特定構造の水酸基を有する分岐状化合物と金属化合物を特定量含むポリアミド樹脂組成物により、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成した。すなわち本発明は、
(1)(a)ポリアミド樹脂100重量部に対して、(b)水酸基含有分岐状化合物0.1〜10重量部ならびに(c)銅化合物およびカリウム化合物を含む金属化合物を配合してなるポリアミド樹脂組成物であって、前記(b)水酸基含有分岐状化合物が、分子量に対する1分子あたりの水酸基数の比(水酸基数/分子量)が0.017〜0.031個・mol/gであり、全炭素数に対する3級以上の炭素数および3級以上の窒素数の合計の比が0.1〜0.3であり、かつ原子吸光分光法で決定される組成物中の銅含有量が25〜200ppmであり、組成物中のカリウム含有量に対する銅含有量の比Cu/Kが0.21〜0.43であるポリアミド樹脂組成物、
(2)前記(a)ポリアミド樹脂の融点が250〜330℃である(1)記載のポリアミド樹脂組成物、
(3)前記(a)ポリアミド樹脂100重量部に対して、(d)充填材1〜100重量部をさらに含有してなる(1)〜(2)のいずれかに記載のポリアミド樹脂組成物、
(4)少なくとも前記(a)ポリアミド樹脂、(b)水酸基含有分岐状化合物ならびに(c)銅化合物およびカリウム化合物を含む金属化合物を、スクリュー長さL、スクリュー直径Dに対してL/D>30である二軸押出機を使用して溶融混練するポリアミド樹脂組成物の製造方法であって、少なくとも(a)ポリアミド樹脂ならびに(c)銅化合物およびカリウム化合物を含む金属化合物を、スクリューセグメントの上流側の端部から二軸押出機に供給し、次いで(b)水酸基含有分岐状化合物をスクリュー長さの1/2より下流側から二軸押出機に供給して溶融混練する(1)〜(3)のいずれかに記載のポリアミド樹脂組成物の製造方法、
(5)少なくとも前記(a)ポリアミド樹脂、(b)水酸基含有分岐状化合物ならびに(c)銅化合物およびカリウム化合物を含む金属化合物を、複数のニーディングゾーンおよび複数のフルフライトゾーンを有する二軸押出機を使用して溶融混練するポリアミド樹脂組成物の製造方法であって、複数ヶ所のニーディングゾーンの樹脂圧力のうち、最大となる樹脂圧力Pkmax(MPa)、複数ヶ所のフルフライトゾーンの樹脂圧力のうち、最小となる樹脂圧力Pfmin(MPa)を、
Pkmax≧Pfmin+0.3
とする(1)〜(3)いずれかに記載のポリアミド樹脂組成物の製造方法、
(6)(1)〜(3)のいずれかに記載のポリアミド樹脂組成物を成形してなる成形品、
(7)IEC60112に従って求められる比較トラッキング指数CTI値が厚さ3mmにおいて500V以上である(6)記載の成形品、
である。
本発明のポリアミド樹脂組成物によれば、寸法精度、高温剛性、耐疲労特性、耐トラッキング性および表面外観に優れた成形品を提供することができる。
以下、本発明を詳細に説明する。本発明のポリアミド樹脂組成物は、(a)ポリアミド樹脂、特定の(b)水酸基含有分岐状化合物ならびに(c)銅化合物およびカリウム化合物を含む金属化合物(以下、金属化合物という。)を配合してなる。
本発明のポリアミド樹脂組成物において、(a)ポリアミド樹脂は、後述する(c)金属化合物に含まれる銅化合物がアミド基に配位結合すると考えられ、銅化合物との相溶性に優れる。本発明で用いられる(a)ポリアミド樹脂とは、アミノ酸、ラクタムあるいはジアミンとジカルボン酸の残基を主たる構成成分とするポリアミドである。その原料の代表例としては、6−アミノカプロン酸、11−アミノウンデカン酸、12−アミノドデカン酸、パラアミノメチル安息香酸などのアミノ酸、ε−カプロラクタム、ω−ラウロラクタムなどのラクタム、テトラメチレンジアミン、ペンタメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、2−メチルペンタメチレンジアミン、ノナメチレンジアミン、デカメチレンジアミン、ウンデカメチレンジアミン、ドデカメチレンジアミン、2,2,4−/2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジアミン、5−メチルノナメチレンジアミンなどの脂肪族ジアミン、メタキシリレンジアミン、パラキシリレンジアミンなどの芳香族ジアミン、1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、1,4−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、1−アミノ−3−アミノメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキサン、ビス(4−アミノシクロヘキシル)メタン、ビス(3−メチル−4−アミノシクロヘキシル)メタン、2,2−ビス(4−アミノシクロヘキシル)プロパン、ビス(アミノプロピル)ピペラジン、アミノエチルピペラジンなどの脂環族ジアミン、アジピン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカン二酸などの脂肪族ジカルボン酸、テレフタル酸、イソフタル酸、2−クロロテレフタル酸、2−メチルテレフタル酸、5−メチルイソフタル酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、ヘキサヒドロテレフタル酸、ヘキサヒドロイソフタル酸などの芳香族ジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸、1,3−シクロペンタンジカルボン酸などの脂環族ジカルボン酸などが挙げられる。本発明においては、これらの原料から誘導されるポリアミドホモポリマーまたはコポリマーを2種以上配合してもよい。
ポリアミド樹脂の具体的な例としては、ポリカプロアミド(ナイロン6)、ポリヘキサメチレンアジパミド(ナイロン66)、ポリテトラメチレンアジパミド(ナイロン46)、ポリテトラメチレンセバカミド(ナイロン410)、ポリペンタメチレンアジパミド(ナイロン56)、ポリペンタメチレンセバカミド(ナイロン510)、ポリヘキサメチレンセバカミド(ナイロン610)、ポリヘキサメチレンドデカミド(ナイロン612)、ポリデカメチレンアジパミド(ナイロン106)、ポリデカメチレンセバカミド(ナイロン1010)、ポリデカメチレンドデカミド(ナイロン1012)、ポリウンデカンアミド(ナイロン11)、ポリドデカンアミド(ナイロン12)、ポリカプロアミド/ポリヘキサメチレンアジパミドコポリマー(ナイロン6/66)、ポリカプロアミド/ポリヘキサメチレンテレフタルアミドコポリマー(ナイロン6/6T)、ポリヘキサメチレンアジパミド/ポリヘキサメチレンテレフタルアミドコポリマー(ナイロン66/6T)、ポリヘキサメチレンアジパミド/ポリヘキサメチレンイソフタルアミドコポリマー(ナイロン66/6I)、ポリヘキサメチレンテレフタルアミド/ポリヘキサメチレンイソフタルアミドコポリマー(ナイロン6T/6I)、ポリヘキサメチレンテレフタルアミド/ポリドデカンアミドコポリマー(ナイロン6T/12)、ポリヘキサメチレンアジパミド/ポリヘキサメチレンテレフタルアミド/ポリヘキサメチレンイソフタルアミドコポリマー(ナイロン66/6T/6I)、ポリキシリレンアジパミド(ナイロンXD6)、ポリキシリレンセバカミド(ナイロンXD10)、ポリヘキサメチレンテレフタルアミド/ポリペンタメチレンテレフタルアミドコポリマー(ナイロン6T/5T)、ポリヘキサメチレンテレフタルアミド/ポリ−2−メチルペンタメチレンテレフタルアミドコポリマー(ナイロン6T/M5T)、ポリペンタメチレンテレフタルアミド/ポリデカメチレンテレフタルアミドコポリマー(ナイロン5T/10T)、ポリノナメチレンテレフタルアミド(ナイロン9T)、ポリデカメチレンテレフタルアミド(ナイロン10T)、ポリドデカメチレンテレフタルアミド(ナイロン12T)およびこれらの混合物や共重合体などが挙げられる。ここで、「/」は共重合体を示し、以下同じである。
とりわけ好ましいポリアミド樹脂は、250℃〜330℃の融点を有する、耐熱性や強度に優れたポリアミド樹脂である。250℃以上の融点を有するポリアミド樹脂を用いることにより、高温剛性、耐疲労特性を向上させることができる。一方、330℃以下の融点を有するポリアミド樹脂を用いることにより、樹脂組成物製造時にポリアミド樹脂の分解を抑制することができ、樹脂組成物から得られる成形品の寸法精度、高温剛性、耐疲労特性、耐トラッキング性を向上させることができる。ここで、本発明におけるポリアミド樹脂の融点は、示差走査熱量計を用いて、不活性ガス雰囲気下、ポリアミド樹脂を、溶融状態から20℃/分の降温速度で30℃まで降温した後、20℃/分の昇温速度で融点+40℃まで昇温した場合に現れる吸熱ピークの温度と定義する。ただし、吸熱ピークが2つ以上検出される場合には、ピーク強度の最も大きい吸熱ピークの温度を融点とする。
250℃〜330℃の融点を有するポリアミド樹脂としては、例えば、ナイロン66、ナイロン46、ナイロン410、ナイロン56、ナイロン6T/66コポリマー、ナイロン6T/6Iコポリマー、ナイロン6T/12、ナイロン6T/5T、ナイロン6T/M5T、ナイロン6T/6コポリマーなどのヘキサメチレテレフタルアミド単位を有する共重合体や、ナイロン9T、ナイロン10T、ナイロン12Tを挙げることができる。これらのポリアミド樹脂を、寸法精度、高温剛性、耐疲労特性、耐トラッキング性などの必要特性に応じて2種以上配合することも実用上好適である。
本発明において、ポリアミド樹脂のガラス転移温度は、80℃〜150℃であることが好ましい。ガラス転移温度が80℃以上であれば、成形品の高温剛性をより向上させることができる。より好ましくは100℃以上である。一方、ガラス転移温度が150℃以下であれば、成形時の結晶化速度を適度に抑え、成形加工に適したポリアミド樹脂組成物を得ることができる。ここで、本発明におけるポリアミド樹脂のガラス転移温度は、示差走査熱量計を用いて、不活性ガス雰囲気下、ポリアミド樹脂を、液体窒素にて急冷した後、20℃/分の昇温速度で昇温した場合に現れる階段状吸熱ピークの中点の温度と定義する。
これらポリアミド樹脂の重合度には特に制限がないが、樹脂濃度0.01g/mlの98%濃硫酸溶液中、25℃で測定した相対粘度が1.5〜5.0の範囲であることが好ましい。相対粘度が1.5以上であれば、得られる成形品の高温剛性や耐疲労特性をより向上させることができる。2.0以上がより好ましい。一方、相対粘度が5.0以下であれば、流動性に優れることから成形加工性に優れる。
本発明のポリアミド樹脂組成物は、特定の(b)水酸基含有分岐状化合物を配合してなる。(b)水酸基含有分岐状化合物は、水酸基および水酸基イオンが、後述する(c)金属化合物に含まれる銅化合物の銅イオンと配位結合すると考えられることから、銅化合物との相溶性に優れ、水酸基含有分岐状化合物や銅化合物の析出を互いに抑制し、表面外観に優れた成形品を得ることができる。また、分岐構造を有することで、ポリアミド樹脂組成物に適度に架橋構造をもたらすことができ、前述の本発明の効果を奏することができる。
本発明で使用される(b)水酸基含有分岐状化合物は、1分子あたりの水酸基数と分子量との比(水酸基数/分子量)が0.017〜0.031個・mol/gであり、全炭素数に対する3級以上の炭素数および3級以上の窒素数の合計の比が0.1〜0.3であることを特徴とする。ここで、水酸基含有分岐状化合物1分子あたりの水酸基数と分子量との比(水酸基数/分子量)は、後述する銅化合物との配位結合による、水酸基含有分岐状化合物と銅化合物との相溶性を示す指標であり、この値が大きいほど、水酸基含有分岐状化合物と銅化合物との相溶性が増し、さらに、銅化合物を介して、水酸基含有分岐状化合物とポリアミド樹脂との相溶性も向上すると考えられる。1分子あたりの水酸基数と分子量との比(水酸基数/分子量)が0.017個・mol/g未満の場合、ポリアミド樹脂組成物の分子鎖パッキング性および結晶性が低下し、成形品の寸法精度、高温剛性、耐疲労特性および耐トラッキング性が低下する。また銅の析出や遊離を生じやすく成形品の表面外観が低下する。0.022個・mol/g以上が好ましい。一方、1分子あたりの水酸基数と分子量との比(水酸基数/分子量)が0.031個・mol/gを超える場合、過剰の水酸基によりポリアミド樹脂の可塑化、分解が促進され、成形品の寸法精度、高温剛性、耐疲労特性が低下する。また、分解による炭化形成により、成形品の耐トラッキング性が低下する。また、過剰の水酸基により成形品表面へのブリードアウトが生じやすいことから、成形品の表面外観が低下する。0.029個・mol/g以下が好ましい。ここで、水酸基数/分子量は、通常の分析方法により化合物の構造式を特定し、その分子量を算出することにより求めることができる。
また、全炭素数に対する3級以上の炭素数および3級以上の窒素数の合計の比は、水酸基含有分岐状化合物の分岐の程度を表す指標であり、この値が大きいほど、ポリアミド樹脂組成物に架橋構造を形成することができる。ここで、3級以上の炭素とは、隣に結合する炭素の数が3つ以上である炭素を示し、3級以上の窒素とは、隣に結合する炭素の数が3つ以上である窒素を示す。全炭素数に対する3級以上の炭素数および3級以上の窒素数の合計の比が0.1未満の場合、ポリアミド樹脂組成物中の架橋構造が不十分となり、成形品の寸法精度、高温剛性、耐疲労特性が低下する。また、ポリアミド樹脂の分解が生じやすいことから、耐トラッキング性が低下する。0.15以上が好ましい。一方、全炭素数に対する3級以上の炭素数および3級以上の窒素数の合計の比が0.3を超える場合、過剰の架橋構造により炭化を生じやすく、成形品の耐トラッキング性が低下する。0.25以下が好ましい。ここで、全炭素数に対する3級以上の炭素数および3級以上の窒素数の合計の比は、通常の分析方法により化合物の構造式を特定することにより算出することができる。
(b)水酸基含有分岐状化合物は、分子量に対する1分子あたりの水酸基数の比(水酸基数/分子量)が0.017〜0.031個・mol/gであり、全炭素数に対する3級以上の炭素数および3級以上の窒素数の合計の比が0.1〜0.3であれば特に限定されず、低分子化合物であってもよいし、重合体であってもよい。具体例としては、トリエタノールアミン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、2−メチルプロパントリオール、トリスヒドロキシメチルアミノメタン、2−メチル−1,2,4−ブタントリオール、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトールなどが挙げられる。また、水酸基含有分岐状化合物は、水酸基とともに他の官能基を有していてもよく、水酸基の一部が他の官能基で置換されていてもよい。他の官能基としては、例えば、カルボキシル基、アミノ基、アルデヒド基、スルホ基、グリシジル基、イソシアネート基、カルボジイミド基、オキサゾリン基、オキサジン基、エステル基、アミド基、シラノール基、シリルエーテル基などが挙げられる。
本発明のポリアミド樹脂組成物において、(b)水酸基含有分岐状化合物の配合量は、(a)ポリアミド樹脂100重量部に対して0.1〜10重量部である。(b)水酸基含有分岐状化合物の配合量が0.1重量部未満の場合、成形品の寸法精度、高温剛性、耐疲労特性が低下し、また銅化合物の析出や遊離による着色で表面外観が悪化する。0.5重量部以上が好ましく、2.0重量部以上がより好ましい。一方、(b)水酸基含有分岐状化合物の配合量が10重量部を超える場合、(b)水酸基含有分岐状化合物の成形品表層へのブリードアウトが生じやすいことから、表面外観が低下する。また、ポリアミド樹脂組成物の可塑化、分解が促進されるため、成形品の寸法精度、高温剛性、耐疲労特性が低下し、分解による炭化形成で耐トラッキング性も低下すると考えている。7.5重量部以下が好ましく、6.0重量部以下がより好ましい。
本発明のポリアミド樹脂組成物は、特定の(c)金属化合物を配合してなる。(c)金属化合物に含まれる銅化合物は、ポリアミド樹脂のアミド基に配位することに加え、水酸基含有分岐状化合物の水酸基や水酸化物イオンとも配位結合すると考えられるため、ポリアミド樹脂と水酸基含有分岐状化合物の相溶性を高める効果があると考えられる。また、(c)金属化合物に含まれるカリウム化合物は、銅の遊離や析出を抑制するため、銅化合物と水酸基含有化合物およびポリアミド樹脂との反応を促進する効果があると考えられる。
本発明で使用される(c)金属化合物は、銅化合物とカリウム化合物を含むものであれば特に限定されるものではない。銅化合物としては、例えば、塩化銅、臭化銅、ヨウ化銅、酢酸銅、銅アセチルアセトナート、炭酸銅、ほうふっ化銅、クエン酸銅、水酸化銅、硝酸銅、硫酸銅、蓚酸銅などが挙げられる。これらを2種以上含有してもよい。これらの中でも、工業的に入手できるものが好ましく、ハロゲン化銅が好適である。ハロゲン化銅としては、例えば、ヨウ化銅、臭化第一銅、臭化第二銅、塩化第一銅などが挙げられる。より好ましくはヨウ化銅である。カリウム化合物としては、例えば、ヨウ化カリウム、臭化カリウム、塩化カリウム、フッ化カリウム、酢酸カリウム、水酸化カリウム、炭酸カリウム、硝酸カリウムなどが挙げられる。これらを2種以上含有してもよい。これらの中でも、ヨウ化カリウムが好ましい。カリウム化合物を含むことにより、成形品の表面外観、耐候性および耐金型腐食性を向上させることができる。
本発明のポリアミド樹脂組成物中の、原子吸光分光法で決定される銅元素の含有量(重量基準)は、25〜200ppmであることを特徴とする。銅元素の含有量が25ppm未満の場合、ポリアミド樹脂と水酸基含有分岐状化合物の相溶性が低下し、成形品の寸法精度、高温剛性、耐疲労特性、耐トラッキング性が低下する。また、水酸基含有分岐状化合物がブリードアウトしやすく、成形品の表面外観が低下する。80ppm以上が好ましい。一方、銅元素の含有量が200ppmを超える場合、銅化合物の析出や遊離による着色が生じやすく、成形品の表面外観が低下する。また、寸法精度、高温剛性、耐疲労特性、耐トラッキング性が低下する傾向にある。これはポリアミド樹脂と銅が過剰に配位結合するため、アミド基の水素結合力を弱めたためと考えている。190ppm以下が好ましい。なお、ポリアミド樹脂組成物中の銅元素の含有量は、銅化合物の配合量を適宜調節することにより前述の所望の範囲にすることができる。ここで、ポリアミド樹脂組成物中の銅元素の含有量は、以下の方法により求めることができる。まず、ポリアミド樹脂組成物のペレットを80℃で12時間減圧乾燥する。そのペレットに濃硫酸を加えて加熱して湿式分解し、分解液を希釈し、希釈液を原子吸光分析(検量線法)することにより、銅含有量を求めることができる。
ポリアミド樹脂組成物中の、原子吸光分光法で決定されるカリウム元素の含有量に対する銅元素の含有量の比Cu/Kは、0.21〜0.43である。Cu/Kは、銅の析出や遊離の抑制の程度を表す指標であり、この値が小さいほど、銅の析出や遊離を抑制して、銅化合物と水酸基含有化合物およびポリアミド樹脂との反応を促進することができる。Cu/Kが0.43を超える場合、銅の析出や遊離が生じやすく、成形品の表面外観が低下する。また、ポリアミド樹脂組成物の相溶性も低下することから、寸法精度、高温剛性、耐疲労特性、耐トラッキング性および表面外観が低下する。一方、Cu/Kが0.21未満の場合、カリウムを含む化合物の分散性が悪く、とりわけヨウ化カリウムは潮解性のため塊状となりやすく、銅の析出や遊離の抑制効果が低下することから、銅化合物と水酸基含有化合物およびポリアミド樹脂との反応が不十分となり、成形品の寸法精度、高温剛性、耐疲労特性、耐トラッキング性および表面外観が低下する。ここで、ポリアミド樹脂組成物中のカリウム元素含有量は、上記の銅含有量と同様の方法にて求めることができる。
本発明のポリアミド樹脂組成物において、(c)金属化合物の配合量は、(a)ポリアミド樹脂100重量部に対して0.03〜0.93重量部であることが好ましい。ここで、(c)金属化合物の配合量とは、銅化合物およびカリウム化合物の配合量の総量とする。(c)金属化合物の配合量を0.03重量以上とすることにより、成形品の寸法精度、高温剛性、耐疲労特性、耐トラッキング性および表面外観をより向上させることができる。一方、(c)金属化合物の配合量を0.93重量部以下とすることにより、銅化合物の析出や遊離による着色を抑制し、成形品の表面外観をより向上させることができる。また、ポリアミド樹脂と銅との過剰な配位結合によるアミド基の水素結合力の低下を抑制し、寸法精度、高温剛性、耐疲労特性、耐トラッキング性をより向上させることができる。なお、金属化合物の配合量による効果は、(c)金属化合物中の銅含有量に依存するものであり、前述した原子吸光分光法で決定される銅元素の含有量の効果と同じである。
本発明のポリアミド樹脂組成物が、寸法精度、高温剛性、耐疲労特性、耐トラッキング性および表面外観に優れる理由は定かではないが、銅化合物の銅イオンが、(a)ポリアミド樹脂のアミド基に配位することに加え、(b)水酸基含有分岐状化合物中の水酸基または水酸化物イオンとも配位結合することにより、(a)ポリアミド樹脂と(b)水酸基含有分岐状化合物の相溶性が向上し、銅化合物を含まないポリアミド樹脂組成物と比較して分子鎖パッキング性および結晶性に優れ、寸法精度、高温剛性、耐疲労特性、耐トラッキング性および表面外観が向上したのではないかと考えている。さらに、1分子あたりの水酸基数と分子量との比(水酸基数/分子量)が0.017〜0.031個・mol/gであり、全炭素数に対する3級以上の炭素数および3級以上の窒素数の合計比が0.1〜0.3である(b)水酸基含有分岐状化合物を配合することで、可塑化を抑制しつつ、銅化合物との反応性に優れることから、適度に架橋構造を形成することができ、それにより、さらに寸法精度、高温剛性、耐疲労特性、耐トラッキング性および表面外観が向上したのではないかと考えている。
本発明のポリアミド樹脂組成物には、さらに(d)充填材を配合することができる。充填材としては、有機充填材、無機充填材のいずれを用いてもよいし、繊維状充填材、非繊維状充填材のいずれを用いてもよく、繊維状充填材が好ましい。
繊維状充填材としては、例えば、ガラス繊維、PAN(ポリアクリロニトリル)系またはピッチ系の炭素繊維、ステンレス繊維、アルミニウム繊維や黄銅繊維などの金属繊維、芳香族ポリアミド繊維などの有機繊維、石膏繊維、セラミック繊維、アスベスト繊維、ジルコニア繊維、アルミナ繊維、シリカ繊維、酸化チタン繊維、炭化珪素繊維、ロックウール、チタン酸カリウムウィスカー、酸化亜鉛ウィスカー、炭酸カルシウムウィスカー、ワラステナイトウィスカー、硼酸アルミウィスカー、窒化珪素ウィスカーなどの繊維状またはウィスカー状充填材が挙げられる。特に好ましくはガラス繊維、炭素繊維である。ガラス繊維の種類は、一般に樹脂の強化用に用いるものであれば特に限定はなく、例えば、長繊維タイプや短繊維タイプのチョップドストランド、ミルドファイバーなどから選択して用いることができる。また、ガラス繊維は、エチレン/酢酸ビニル共重合体などの熱可塑性樹脂、エポキシ樹脂などの熱硬化性樹脂により被膜あるいは集束されていてもよい。さらに、ガラス繊維の断面は、円形、扁平状のひょうたん型、まゆ型、長円型、楕円型、矩形またはこれらの類似品など限定されるものではないが、ガラス繊維配合ポリアミド樹脂組成物において生じやすい成形品の反りを低減する観点から、扁平状の繊維が長径/短径の比が1.5〜10のものが好ましく、2.0〜6.0のものがさらに好ましい。長径/短径の比が1.5以下では断面を扁平状にした効果が少なく、10以上のものはガラス繊維自体の製造が困難である。
非繊維状充填材としては、例えば、タルク、ワラステナイト、ゼオライト、セリサイト、マイカ、カオリン、クレー、パイロフィライト、ベントナイト、アスベスト、アルミナシリケート、珪酸カルシウムなどの非膨潤性珪酸塩、Li型フッ素テニオライト、Na型フッ素テニオライト、Na型四珪素フッ素雲母、Li型四珪素フッ素雲母の膨潤性雲母に代表される膨潤性層状珪酸塩、酸化珪素、酸化マグネシウム、アルミナ、シリカ、珪藻土、酸化ジルコニウム、酸化チタン、酸化鉄、酸化亜鉛、酸化カルシウム、酸化スズ、酸化アンチモンなどの金属酸化物、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸亜鉛、炭酸バリウム、ドロマイト、ハイドロタルサイトなどの金属炭酸塩、硫酸カルシウム、硫酸バリウムなどの金属硫酸塩、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化アルミニウム、塩基性炭酸マグネシウムなどの金属水酸化物、モンモリロナイト、バイデライト、ノントロナイト、サポナイト、ヘクトライト、ソーコナイトなどのスメクタイト系粘土鉱物やバーミキュライト、ハロイサイト、カネマイト、ケニヤイト、燐酸ジルコニウム、燐酸チタニウムなどの各種粘土鉱物、ガラスビーズ、ガラスフレーク、セラミックビーズ、窒化ホウ素、窒化アルミニウム、炭化珪素、燐酸カルシウム、カーボンブラック、黒鉛などが挙げられる。上記の膨潤性層状珪酸塩は、層間に存在する交換性陽イオンが有機オニウムイオンで交換されていてもよく、有機オニウムイオンとしては、例えば、アンモニウムイオンやホスホニウムイオン、スルホニウムイオンなどが挙げられる。これら充填材を2種以上配合してもよい。
なお、上記充填材は、その表面を公知のカップリング剤(例えば、シラン系カップリング剤、チタネート系カップリング剤など)などにより処理されていてもよく、成形品の機械的強度や表面外観をより向上させることができる。例えば、常法に従って予め充填材をカップリング剤により表面処理し、ついでポリアミド樹脂と溶融混練する方法が好ましく用いられるが、予め充填材の表面処理を行わずに、充填材とポリアミド樹脂を溶融混練する際に、カップリング剤を添加するインテグラブルブレンド法を用いてもよい。カップリング剤の処理量は、充填材100重量部に対して0.05〜10重量部が好ましく、0.5〜3重量部がより好ましい。
本発明のポリアミド樹脂組成物において、(d)充填材の配合量は、(a)ポリアミド樹脂100重量部に対して、1〜100重量部が好ましい。(d)充填材の配合量が1重量部以上であれば、成形品の寸法精度、高温剛性、耐疲労特性、耐トラッキング性をより向上させることができる。10重量部以上がより好ましく、20重量部以上がさらに好ましい。一方、(d)充填材の配合量が100重量部以下であれば、成形品表面へのGFの浮きを抑制し、表面外観に優れる成形品が得られる。80重量部以下がより好ましく、70重量部以下がさらに好ましい。
さらに、本発明のポリアミド樹脂組成物には、本発明の効果を損なわない範囲において、ポリアミド樹脂以外の樹脂や、目的に応じて各種添加剤を配合することが可能である。
ポリアミド樹脂以外の樹脂の具体例としては、ポリエステル樹脂、ポリオレフィン樹脂、変性ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリサルフォン樹脂、ポリケトン樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリエーテルサルフォン樹脂、ポリエーテルケトン樹脂、ポリチオエーテルケトン樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、四フッ化ポリエチレン樹脂などが挙げられる。これら樹脂を配合する場合、その配合量は、ポリアミド樹脂の特徴を十分に活かすため、(a)ポリアミド樹脂100重量部に対して30重量部以下が好ましく、20重量部以下がより好ましい。
また、各種添加剤の具体例としては、イソシアネート系化合物、有機シラン系化合物、有機チタネート系化合物、有機ボラン系化合物、エポキシ化合物などのカップリング剤、ポリアルキレンオキサイドオリゴマ系化合物、チオエーテル系化合物、エステル系化合物、有機リン系化合物などの可塑剤、有機リン化合物、ポリエーテルエーテルケトンなどの結晶核剤、モンタン酸ワックス類、ステアリン酸リチウム、ステアリン酸アルミ等の金属石鹸、エチレンジアミン・ステアリン酸・セバシン酸重縮合物、シリコーン系化合物などの離型剤、次亜リン酸塩などの着色防止剤、滑剤、紫外線防止剤、着色剤、難燃剤、発泡剤などを挙げることができる。これら添加剤を配合する場合、その配合量は、ポリアミド樹脂の特徴を十分に活かすため、(a)ポリアミド樹脂100重量部に対して10重量部以下が好ましく、1重量部以下がより好ましい。
本発明のポリアミド樹脂組成物の製造方法としては、特に制限はないが、溶融状態での製造や溶液状態での製造等が使用でき、反応性向上の点から、溶融状態での製造が好ましく使用できる。溶融状態での製造については、押出機による溶融混練やニーダーによる溶融混練等が使用できるが、生産性の点から、連続的に製造可能な押出機による溶融混練が好ましい。押出機による溶融混練については、単軸押出機、二軸押出機、四軸押出機等の多軸押出機、二軸単軸複合押出機等の押出機を1台以上使用できるが、混練性、反応性、生産性の向上の点から、二軸押出機、四軸押出機等の多軸押出機が好ましく、二軸押出機を用いた溶融混練による方法が最も好ましい。
二軸押出機を使用して溶融混練する場合、二軸押出機への原料供給方法についても特に制限はないが、(b)水酸基含有分岐状化合物は、ポリアミド樹脂の融点よりも高い温度域では、ポリアミド樹脂の分解を促進しやすいため、水酸基含有分岐状化合物をポリアミド樹脂供給位置よりも下流側より供給し、(a)ポリアミド樹脂と(b)水酸基含有分岐状化合物の混練時間を短くすることが好ましい。ここで、二軸押出機の原料が供給される側を上流、溶融樹脂が吐出される側を下流と定義する。
また、(c)金属化合物は、ポリアミド樹脂のアミド基に配位してアミド基を保護する役割を果たすとともに、ポリアミド樹脂と水酸基含有分岐状化合物の相溶化剤としての役割も果たすと考えられることから、ポリアミド樹脂とともに二軸押出機に供給し、ポリアミド樹脂と銅化合物を十分に反応させることが好ましい。
二軸押出機の全スクリュー長さLとスクリュー径Dの比(L/D)は、25以上であることが好ましく、30を超えることがより好ましい。L/Dが25以上であると、ポリアミド樹脂と金属化合物を十分に混練した後に、水酸基含有分岐状化合物を供給することが容易になる。その結果、ポリアミド樹脂の分解を抑制でき、また、ポリアミド樹脂と水酸基含有分岐状化合物の相溶性が増すと考えられ、成形品の寸法精度、高温剛性、耐疲労特性、耐トラッキング性および表面外観をより向上させることができる。本発明においては、少なくとも(a)ポリアミド樹脂および(c)金属化合物を、スクリュー長さの1/2より上流側から二軸押出機に供給して溶融混練することが好ましく、スクリューセグメントの上流側の端部から供給することがより好ましい。ここでいうスクリュー長とは、スクリュー根本の(a)ポリアミド樹脂が供給される位置(フィード口)にあるスクリューセグメントの上流側の端部から、スクリュー先端部までの長さである。スクリューセグメントの上流側の端部とは、押出機に連結するスクリューセグメントの最も上流側の端に位置するスクリューピースの位置のことを示す。
次いで、(b)水酸基含有分岐状化合物は、スクリュー長さの1/2より下流側から二軸押出機に供給して溶融混練することが好ましい。水酸基含有分岐状化合物をスクリュー長の1/2より下流側から供給することにより、ポリアミド樹脂と金属化合物が十分に混練された状態とした後に、水酸基含有分岐状化合物を供給することが容易になる。その結果、ポリアミド樹脂の分解を抑制でき、また、ポリアミド樹脂と水酸基含有分岐状化合物の相溶性が増すと考えられ、成形品の寸法精度、高温剛性、耐疲労特性、耐トラッキング性をより向上させることができる。
二軸押出機を使用して本発明のポリアミド樹脂組成物を製造する場合、混練性、反応性の向上の点から、複数のフルフライトゾーンおよび複数のニーディングゾーンを有する二軸押出機を用いることが好ましい。フルフライトゾーンは1個以上のフルフライトより構成され、ニーディングゾーンは1個以上のニーディングディスクより構成される。
さらに、複数ヶ所のニーディングゾーンの樹脂圧力のうち、最大となる樹脂圧力をPkmax(MPa)、複数ヶ所のフルフライトゾーンの樹脂圧力のうち、最小となる樹脂圧力をPfmin(MPa)とすると、
Pkmax≧Pfmin+0.3
となる条件で溶融混練することが好ましく、
Pkmax≧Pfmin+0.5
となる条件で溶融混練することがより好ましい。なお、ニーディングゾーンおよびフルフライトゾーンの樹脂圧力とは、各々のゾーンに設置された樹脂圧力計の示す樹脂圧力を指す。
ニーディングゾーンは、フルフライトゾーンに比べて、溶融樹脂の混練性および反応性に優れる。ニーディングゾーンに溶融樹脂を充満することにより、混練性および反応性が飛躍的に向上する。溶融樹脂の充満状態を示す一つの指標として、樹脂圧力の値があり、樹脂圧力が大きいほど、溶融樹脂が充満していることを表す一つの目安となる。すなわち二軸押出機を使用する場合、ニーディングゾーンの樹脂圧力を、フルフライトゾーンの樹脂圧力より、ある範囲で高めることにより、反応を効果的に促進させることが可能となり、ポリアミド樹脂と水酸基含有分岐状化合物の相溶性が増すと考えられ、成形品の寸法精度、高温剛性、耐疲労特性、耐トラッキング性をより向上させることができる。
ニーディングゾーンにおける樹脂圧力を高める方法として、特に制限はないが、ニーディングゾーンの間やニーディングゾーンの下流側に、溶融樹脂を上流側に押し戻す効果のある逆スクリューゾーンや、溶融樹脂を溜める効果のあるシールリングゾーン等を導入する方法などが好ましく使用できる。逆スクリューゾーンやシールリングゾーンは、1個以上の逆スクリューや1個以上のシールリングからなり、それらを組み合わせることも可能である。
(b)水酸基含有分岐状化合物の供給位置の上流側にあるニーディングゾーンの合計長さをLn1とした場合、Ln1/Lは0.02〜0.40であることが好ましく、0.03〜0.20であることがさらに好ましい。Ln1/Lを0.02以上とすることにより、ポリアミド樹脂と銅化合物の混練性および反応性を高めることができ、0.40以下とすることにより、剪断発熱を適度に抑えて樹脂の熱劣化を抑制することができる。ポリアミド樹脂の溶融温度に特に制限はないが、ポリアミド樹脂の熱劣化による分子量低下を抑制するため、340℃以下が好ましい。
(b)水酸基含有分岐状化合物の供給位置の下流側でのニーディングゾーンの合計長さをLn2とした場合、Ln2/Lは0.02〜0.30であることが好ましい。Ln2/Lを0.02以上とすることにより、水酸基含有分岐状化合物と銅化合物の混練性および反応性をより高めることができる。0.04以上がより好ましい。一方、Ln2/Lを0.30以下とすることにより、ポリアミド樹脂の分解をより抑制することができる。0.16以下がより好ましい。
かくして得られるポリアミド樹脂組成物は、通常公知の方法で成形することができ、シート、フィルムなどの各種成形品を得ることができる。成形方法としては、例えば、射出成形、射出圧縮成形、押出成形、圧縮成形、ブロー成形、プレス成形などが挙げられる。
本発明の成形品は、IEC60112に従って求められる比較トラッキング指数CTI値が厚さ3mmにおいて500V以上であることが好ましい。より好ましくは600V以上である。ここで、成形品のCTI値は、成形品を80mm×80mm×3mm厚の角板形状に切削加工したものを用いて、IEC60112に従って求めることができる。かかるCTI値を有する成形品は、前述の本発明のポリアミド樹脂組成物を成形することにより得ることができる。一般に、水酸基含有化合物をポリアミド樹脂に配合すると、ポリアミド樹脂の分解が促進され、耐トラッキング性は低下する傾向にあるが、水酸基含有化合物と相溶性のある銅化合物を併用することで、ポリアミド樹脂の分解を抑制することができ、また分岐構造を有する水酸基含有化合物を用いることで、ポリアミド樹脂組成物中に適度に架橋構造を導入して、分解をさらに抑制することができる。これにより、500V以上の優れた耐トラッキング性を達成できると考えられる。
本発明のポリアミド樹脂組成物およびその成形品は、その優れた特性を活かし、自動車部品、電気・電子部品、建築部材、各種容器、日用品、生活雑貨および衛生用品など各種用途に利用することができる。とりわけ、高い寸法精度、高温剛性、耐疲労特性、表面外観が要求される自動車エンジン周辺部品、自動車アンダーフード部品、自動車ギア部品、自動車内装部品、自動車外装部品、吸排気系部品、エンジン冷却水系部品や、さらに耐トラッキング性も要求される自動車電装部品、電気、電子部品用途に特に好ましく用いられる。具体的には、エンジンカバー、エアインテークパイプ、タイミングベルトカバー、インテークマニホールド、フィラーキャップ、スロットルボディ、クーリングファンなどの自動車エンジン周辺部品、クーリングファン、ラジエータータンクのトップおよびベース、シリンダーヘッドカバー、オイルパン、ブレーキ配管、燃料配管用チューブ、廃ガス系統部品などの自動車アンダーフード部品、ギア、アクチュエーター、ベアリングリテーナー、ベアリングケージ、チェーンガイド、チェーンテンショナなどの自動車ギア部品、シフトレバーブラケット、ステアリングロックブラケット、キーシリンダー、ドアインナーハンドル、ドアハンドルカウル、室内ミラーブラケット、エアコンスイッチ、インストルメンタルパネル、コンソールボックス、グローブボックス、ステアリングホイール、トリムなどの自動車内装部品、フロントフェンダー、リアフェンダー、フューエルリッド、ドアパネル、シリンダーヘッドカバー、ドアミラーステイ、テールゲートパネル、ライセンスガーニッシュ、ルーフレール、エンジンマウントブラケット、リアガーニッシュ、リアスポイラー、トランクリッド、ロッカーモール、モール、ランプハウジング、フロントグリル、マッドガード、サイドバンパーなどの自動車外装部品、エアインテークマニホールド、インタークーラーインレット、エキゾーストパイプカバー、インナーブッシュ、ベアリングリテーナー、エンジンマウント、エンジンヘッドカバー、リゾネーター、及びスロットルボディなどの吸排気系部品、チェーンカバー、サーモスタットハウジング、アウトレットパイプ、ラジエータータンク、オイルネーター、及びデリバリーパイプなどのエンジン冷却水系部品、コネクターやワイヤーハーネスコネクタ、モーター部品、ランプソケット、センサー車載スイッチ、コンビネーションスイッチなどの自動車電装部品、SMT対応のコネクター、ソケット、カードコネクタ、ジャック、電源部品、スイッチ、センサー、コンデンサー座板、リレー、抵抗器、ヒューズホルダー、コイルボビン、ICやLED対応ハウジング、リフレクタなどの電気、電子部品を好適に挙げることができる。
以下に実施例を挙げて本発明を更に具体的に説明する。特性評価は下記の方法に従って行った。
[ポリアミド樹脂の融点]
ポリアミド樹脂を約5mg採取し、窒素雰囲気下、セイコーインスツル製 ロボットDSC(示差走査熱量計)RDC220を用い、次の条件で(a)ポリアミド樹脂の融点を測定した。ポリアミド樹脂の融点+40℃に昇温して溶融状態とした後、20℃/分の降温速度で30℃まで降温し、これに続いて、30℃で3分間保持した後、20℃/分の昇温速度で融点+40℃まで昇温したときに観測される吸熱ピークの温度(融点)を求めた。
[ポリアミド樹脂の相対粘度]
ポリアミド樹脂濃度0.01g/mlの98%濃硫酸中、25℃でオストワルド式粘度計を用いて相対粘度(ηr)を測定した。
[ポリアミド樹脂組成物中の銅含有量およびカリウム含有量]
各実施例および比較例により得られたペレットを80℃で12時間減圧乾燥した。そのペレットに濃硫酸を加えて加熱して湿式分解し、分解液を希釈した。その希釈液を原子吸光分析(検量線法)することにより、銅含有量およびカリウム含有量を求めた。原子吸光分析計はPerkin Elmer製SIMAA6000を使用した。
[線膨張係数]
各実施例および比較例により得られたペレットを80℃で12時間減圧乾燥し、射出成形機(住友重機社製SG75H−MIV)を用いて、シリンダー温度:(a)ポリアミド樹脂の融点+15℃、金型温度:80℃(実施例11は140℃、実施例12は100℃、実施例16は130℃)、射出/冷却時間=10/10秒の条件で、80mm×80mm×3mm厚の角板(フィルムゲート)を射出成形した。その角板をMD方向に10mm×5mm×3mm厚に切削し、150℃にて2時間アニール処理を行った後、熱機械分析装置TMA(SEIKO製)を用いて、−40℃から150℃まで5℃/分で昇温し、ISO11359に従い、線膨張係数を算出した。
[高温剛性]
各実施例および比較例により得られたペレットを80℃で12時間減圧乾燥し、射出成形機(住友重機社製SG75H−MIV)を用いて、シリンダー温度:(a)ポリアミド樹脂の融点+15℃、金型温度:80℃(実施例11は140℃、実施例12は100℃、実施例16は130℃)の条件で射出成形することにより、厚さ1/4インチの棒状試験片を作製した。この試験片について、ASTM D790に従い、曲げ試験機テンシロンRTA−1T(オリエンテック社製)を用いて、80℃および130℃に温調された高温槽内で、クロスヘッド速度3mm/minで曲げ試験を行い、曲げ弾性率を求めた。
[耐疲労特性]
各実施例および比較例により得られたペレットを80℃で12時間減圧乾燥し、射出成形機(住友重機社製SG75H−MIV)を用いて、シリンダー温度:(a)ポリアミド樹脂の融点+15℃、金型温度:80℃(実施例11は140℃、実施例12は100℃、実施例16は130℃)の条件で射出成形することにより、厚さ4mmのISOダンベル状試験片を作製した。この試験片について、JISK7119に従い、油圧サーボ式疲労試験機(島津社製TB−10B)を用いて、温度130℃、周波数30Hzの正弦波にて引張荷重を負荷し、1000万回(10回)荷重を負荷した破壊する応力を求めた。
[耐トラッキング性]
各実施例および比較例により得られたペレットを80℃で12時間減圧乾燥し、射出成形機(住友重機社製SG75H−MIV)を用いて、シリンダー温度:(a)ポリアミド樹脂の融点+15℃、金型温度:80℃(実施例11は140℃、実施例12は100℃、実施例16は130℃)、射出/冷却時間=10/10秒、スクリュー回転数:150rpm、射出圧力:キャビティが充填される最下限圧力+10MPaの条件で、80mm×80mm×3mm厚の角板(フィルムゲート)を射出成形した。得られた角板について、IEC60112に従い、耐トラッキング評価機器(東京精電製)を用い、比較トラッキング指数CTI値を評価した。使用薬品は0.1%NH4Cl水溶液を用い、電極端子間4.2mm、電解液量20±3mm3、電解液間隔30秒、60滴、電流1Aの条件で行った。
[表面外観]
各実施例および比較例により得られたペレットを80℃で12時間減圧乾燥し、射出成形機(住友重機社製SG75H−MIV)を用いて、シリンダー温度:(a)ポリアミド樹脂の融点+15℃、金型温度:80℃(実施例11は140℃、実施例12は100℃、実施例16は130℃)、射出/冷却時間=10/10秒、スクリュー回転数:150rpm、射出圧力:100MPa、射出速度:100mm/秒の条件で、80×80×3mm厚の角板(フィルムゲート)を射出成形した。得られた角板は60℃の大気下で1時間熱処理し、処理後の角板表面の状態を目視観察し、次の基準により評価した。
○:成形品の色調は白色であり、かつ表面にブリード物は認められない。
△:成形品の色調がうっすら青白色または赤褐色であり、かつ表面にブリード物は認められない。
×1:成形品の色調が青白色または赤褐色であり、かつ表面にブリード物は認められない。
×2:成形品の色調は白色であり、かつ表面にブリード物が認められる。
(ポリアミド樹脂の合成)
参考例1((a−2)ナイロン410の合成)
テトラメチレンジアミンとセバシン酸の等モル塩である410塩700g、テトラメチレンジアミン10重量%水溶液21.2g(410塩に対して1.00mol%)、次亜リン酸ナトリウム0.3065g(生成ポリマー重量に対して0.05重量%)を3L圧力容器に仕込んで密閉し、窒素置換した。加熱を開始して、缶内圧力が0.5MPaに到達した後、水分を系外に放出させながら缶内圧力を0.5MPaで1.5時間保持した。その後10分間かけて缶内圧力を常圧に戻し、更に窒素フロー下で1.5時間反応させ重合を完了した。その後、重合缶からポリマーをガット状に吐出してペレタイズし、これを80℃で24時間真空乾燥して、ηr=2.84のナイロン410を得た。
参考例2((a−3)ナイロン5T/6T=50/50(重量比)の合成)
ペンタメチレンジアミンとテレフタル酸の等モル塩である5T塩と、ヘキサメチレンジアミンとテレフタル酸の等モル塩である6T塩を、重量比が50対50となるように配合した。全脂肪族ジアミンに対して0.5mol%のペンタメチレンジアミンとヘキサメチレンジアミンをそれぞれ過剰に添加した。さらに、これら原料の合計70重量部に対して、水30重量部を添加して混合した。これを、加圧容器に仕込んで密閉し、窒素置換した。加熱を開始して、缶内圧力が2.0MPaに到達した後、水分を系外へ放出させながら缶内圧力2.0MPa、缶内温度240℃で2時間保持した。その後、反応容器から内容物をクーリングベルト上に吐出し、これを100℃で24時間真空乾燥してポリアミド樹脂オリゴマーを得た。得られたポリアミド樹脂オリゴマーを粉砕、乾燥し、50Pa、240℃で固相重合し、ηr=2.34のナイロン5T/6T=50/50を得た。
参考例3((a−4)ナイロン6T/66=55/45(重量比)の合成)
ヘキサメチレンジアミンとテレフタル酸の等モル塩である6T塩と、ヘキサメチレンジアミンとアジピン酸の等モル塩である66塩を、重量比が55対45となるように配合した。全脂肪族ジアミンに対して0.5mol%のヘキサメチレンジアミンを過剰に添加した。さらに、これら原料の合計70重量部に対して、水30重量部を添加して混合した。これを、加圧容器に仕込んで密閉し、窒素置換した。加熱を開始して、缶内圧力が2.0MPaに到達した後、水分を系外へ放出させながら缶内圧力2.0MPa、缶内温度240℃で2時間保持した。その後、反応容器から内容物をクーリングベルト上に吐出し、これを100℃で24時間真空乾燥してポリアミド樹脂オリゴマーを得た。得られたポリアミド樹脂オリゴマーを粉砕、乾燥し、50Pa、240℃で固相重合し、ηr=2.38のナイロン6T/66=55/45を得た。
参考例4((a−6)ナイロン4T/6T=40/60(重量比)の合成)
テトラメチレンジアミンとテレフタル酸の等モル塩である4T塩と、ヘキサメチレンジアミンとテレフタル酸の等モル塩である6T塩を、重量比が40対60となるように配合した。全脂肪族ジアミンに対して0.5mol%のテトラメチレンジアミンとヘキサメチレンジアミンをそれぞれ過剰に添加した。さらに、これら原料の合計70重量部に対して、水30重量部を添加して混合した。これを、加圧容器に仕込んで密閉し、窒素置換した。加熱を開始して、缶内圧力が2.0MPaに到達した後、水分を系外へ放出させながら缶内圧力2.0MPa、缶内温度240℃で2時間保持した。その後、反応容器から内容物をクーリングベルト上に吐出し、これを100℃で24時間真空乾燥してポリアミド樹脂オリゴマーを得た。得られたポリアミド樹脂オリゴマーを粉砕、乾燥し、50Pa、240℃で固相重合し、ηr=2.48のナイロン4T/6T=40/60を得た。
(銅化合物およびカリウム化合物を含むマスターバッチの製造)
(c−1:CuI/KI(重量比)=0.14の割合で含むN66マスターバッチ)
ナイロン66(東レ製、E3001)100重量部に対して、ヨウ化銅2.0重量部、ヨウ化カリウム40%水溶液35.7重量部の割合でドライブレンドした後、日本製鋼所社製TEX30型2軸押出機(L/D:45.5)で、シリンダー温度275℃、スクリュー回転数150rpmにて溶融混練し、ストランドカッターによりペレット化した。その後80℃で一晩真空乾燥し、銅含有量0.57重量%のマスターバッチペレットを作製した。
(c−2:CuI/KI(重量比)=0.16の割合で含むN66マスターバッチ)
ヨウ化カリウム40%水溶液をナイロン66(東レ製、E3001)100重量部に対して、ヨウ化銅2.0重量部、ヨウ化カリウム40%水溶液31.3重量部の割合でドライブレンドした後、日本製鋼所社製TEX30型2軸押出機(L/D:45.5)で、シリンダー温度275℃、スクリュー回転数150rpmにて溶融混練し、ストランドカッターによりペレット化した。その後80℃で一晩真空乾燥し、銅含有量0.58重量%のマスターバッチペレットを作製した。
(c−3:CuI/KI(重量比)=0.23の割合で含むN66マスターバッチ)
ヨウ化カリウム40%水溶液をナイロン66(東レ製、E3001)100重量部に対して、ヨウ化銅2.0重量部、ヨウ化カリウム40%水溶液21.7重量部の割合でドライブレンドした後、日本製鋼所社製TEX30型2軸押出機(L/D:45.5)で、シリンダー温度275℃、スクリュー回転数150rpmにて溶融混練し、ストランドカッターによりペレット化した。その後80℃で一晩真空乾燥し、銅含有量0.60重量%のマスターバッチペレットを作製した。
(c−4:CuI/KI(重量比)=0.31の割合で含むN66マスターバッチ)
ナイロン66(東レ製、E3001)100重量部に対して、ヨウ化銅2.0重量部、ヨウ化カリウム40%水溶液13.7重量部の割合でドライブレンドした後、日本製鋼所社製TEX30型2軸押出機(L/D:45.5)で、シリンダー温度275℃、スクリュー回転数150rpmにて溶融混練し、ストランドカッターによりペレット化した。その後80℃で一晩真空乾燥し、銅含有量0.61重量%のマスターバッチペレットを作製した。
また、本実施例および比較例に用いた(a)ポリアミド樹脂、(b)水酸基を有する分岐状化合物、(d)充填材は以下の通りである。
(a−1):融点260℃のナイロン66樹脂(東レ製“アミラン”(登録商標)CM3001−N)、ηr=2.78。
(a−5):融点225℃のナイロン6樹脂(東レ製“アミラン”(登録商標)CM1010)、ηr=2.70。
(b−1):トリエタノールアミン(東京化成製)
分子量に対する1分子あたりの水酸基数の数(水酸基数/分子量)=0.0201個・mol/gであり、全炭素数に対する3級以上の炭素数および3級以上の窒素数の合計の比が0.17。
(b−2):トリメチロールプロパン(東京化成製)
分子量に対する1分子あたりの水酸基数の数(水酸基数/分子量)=0.0224個・mol/gであり、全炭素数に対する3級以上の炭素数および3級以上の窒素数の合計の比が0.17。
(b−3):2−メチルプロパントリオール(東京化成製)
分子量に対する1分子あたりの水酸基数の数(水酸基数/分子量)=0.0283個・mol/gであり、全炭素数に対する3級以上の炭素数および3級以上の窒素数の合計の比が0.25。
(b−4):トリスヒドロキシメチルアミノメタン(東京化成製)
分子量に対する1分子あたりの水酸基数の数(水酸基数/分子量)=0.0248個・mol/gであり、全炭素数に対する3級以上の炭素数および3級以上の窒素数の合計の比が0.25。
(b−5):ジトリメチロールプロパン(三菱ガス化学製)
分子量に対する1分子あたりの水酸基数の数(水酸基数/分子量)=0.0160個・mol/gであり、全炭素数に対する3級以上の炭素数および3級以上の窒素数の合計の比が0.17。
(b−6):2−ヒドロキシメチル−1,2,3−プロパントリオール(東京化成製)
分子量に対する1分子あたりの水酸基数の数(水酸基数/分子量)=0.0328個・mol/gであり、全炭素数に対する3級以上の炭素数および3級以上の窒素数の合計の比が0.25。
(b−7):ジグリセリン(阪本薬品製)
分子量に対する1分子あたりの水酸基数の数(水酸基数/分子量)=0.0240個・mol/gであり、全炭素数に対する3級以上の炭素数および3級以上の窒素数の合計の比が0。
(d−1):円形断面ガラス繊維(日本電気硝子製T−275H、断面の直径10.5μm、表面処理剤:シラン系カップリング剤、繊維長3mm)
(実施例1〜12、15〜16、比較例1〜10)
表1〜3に示すポリアミド樹脂および金属化合物をドライブレンドした後、シリンダー設定温度をポリアミド樹脂の融点+15℃、スクリュー回転数を200rpmに設定した日本製鉄所社製TEX30型2軸押出機(L/D=45)のメインフィーダーから2軸押出機に供給し、溶融混練した。このメインフィーダーはスクリューの全長を1.0としたときの上流側より見て0の位置、つまりスクリューセグメントの上流側の端部の位置に接続されている。続いて、表1〜3に示す水酸基含有分岐状化合物とガラス繊維をサイドフィーダーから2軸押出機に供給し、溶融混練した。このサイドフィーダーはスクリューの全長を1.0としたときの上流側より見て0.65の位置、つまりスクリュー長の1/2より下流側の位置に接続されている。2軸押出機のスクリュー構成は、水酸基含有分岐状化合物の供給位置の上流側にあるニーディングゾーンの合計長さをLn1、水酸基含有分岐状化合物の供給位置の下流側にあるニーディングゾーンの合計長さをLn2とした場合、Ln1/Lは0.14、Ln2/Lは0.07となるよう構成した。また、複数ヶ所のフルフライトゾーンに設置された樹脂圧力計が示す樹脂圧力のうち、最小となる樹脂圧力Pfminと、複数ヶ所のニーディングゾーンに設置された樹脂圧力計が示す樹脂圧力のうち、最大となる樹脂圧力Pkmaxとの差(Pkmax−Pfmin)は表1〜3に示すとおりであった。ダイから吐出されるガットを即座に水浴にて冷却し、ストランドカッターによりペレット化した。
(実施例13)
水酸基含有分岐状化合物をポリアミド樹脂および金属化合物とともにメインフィーダーから2軸押出機に供給したこと以外は、実施例5と同様にして、ポリアミド樹脂組成物のペレットを得た。PfminとPkmaxとの差(Pkmax−Pfmin)は表2に示すとおりであった。
(実施例14)
2軸押出機のスクリュー構成を、Ln1/Lが0.01であり、Ln2/Lが0.01となるよう変更した以外は実施例5と同様にして、ポリアミド樹脂組成物のペレットを得た。PfminとPkmaxとの差(Pkmax−Pfmin)は表2に示すとおりであった。
各実施例および比較例の結果評価結果を表1〜3に示す。
Figure 2014055269
Figure 2014055269
Figure 2014055269
実施例1〜16は比較例1と比較して、特定構造の水酸基含有分岐状化合物を含むことで、寸法精度、高温剛性、耐疲労特性および表面外観に優れる成形品を得ることができた。実施例4〜6は、比較例2と比較して、特定構造の水酸基含有分岐状化合物の含有量が好ましい範囲であるため、寸法精度、高温剛性、耐疲労特性、耐トラッキング性および表面外観に優れる成形品を得ることができた。実施例5は、比較例3、4と比較して、分子量に対する1分子あたりの水酸基数の数(水酸基数/分子量)が好ましい範囲である水酸基含有分岐状化合物を用いたため、寸法精度、高温剛性、耐疲労特性、耐トラッキング性および表面外観に優れる成形品を得ることができた。実施例5は比較例5と比較して、全炭素数に対する3級以上の炭素数および3級以上の窒素数の合計の比が好ましい範囲の水酸基含有分岐状化合物を用いたため、寸法精度、高温剛性、耐疲労特性、耐トラッキング性に優れる成形品を得ることができた。実施例5,7,8は、比較例6、7,8と比較して、ポリアミド樹脂組成物中の銅含有量が好ましい範囲であったため、寸法精度、高温剛性、耐疲労特性、耐トラッキング性および表面外観に優れる成形品を得ることができた。
また実施例5、9は比較例9、10と比較して、ポリアミド樹脂組成物中のカリウム含有量に対する銅含有量の比Cu/Kが好ましい範囲であるため、寸法精度、高温剛性、耐疲労特性、耐トラッキング性および表面外観に優れる成形品を得ることができた。実施例5は実施例13と比較して、水酸基含有分岐状化合物を押出機内の好ましい位置から供給したため、寸法精度、高温剛性、耐疲労特性、耐トラッキング性により優れる成形品を得ることができた。実施例5は実施例14と比較して、押出機内のニーディングゾーンの割合を好ましい範囲に設定したため、寸法精度、高温剛性、耐疲労特性、耐トラッキング性に優れる成形品を得ることができた。実施例1〜14は実施例15と比較して、ポリアミドの樹脂の融点が好ましい範囲であったため、高温剛性、耐疲労特性により優れる成形品を得ることができ、実施例16と比較して、ポリアミド樹脂の融点が好ましい範囲であったため、溶融混練時のポリアミド樹脂の分解を抑制し、寸法精度、高温剛性、耐疲労特性、耐トラッキング性により優れるものであった。
本発明のポリアミド樹脂組成物は、射出成形、射出圧縮成形、圧縮成形、押出成形、ブロー成形、プレス成形などの任意の方法で成形することができ、各種成形品に加工し利用することができる。特に、寸法精度、高温剛性、耐疲労特性、耐トラッキング性および表面外観に優れる成形品を得ることができる点を活かし、自動車エンジン周辺部品、自動車アンダーフード部品、自動車ギア部品、自動車内装部品、自動車外装部品、吸排気系部品、エンジン冷却水系部品、自動車電装部品などの自動車用途、LEDリフレクタやSMTコネクターなどの電気、電子部品用途などに加工することが有効である。

Claims (7)

  1. (a)ポリアミド樹脂100重量部に対して、(b)水酸基含有分岐状化合物0.1〜10重量部ならびに(c)銅化合物およびカリウム化合物を含む金属化合物を配合してなるポリアミド樹脂組成物であって、前記(b)水酸基含有分岐状化合物が、分子量に対する1分子あたりの水酸基数の比(水酸基数/分子量)が0.017〜0.031個・mol/gであり、全炭素数に対する3級以上の炭素数および3級以上の窒素数の合計の比が0.1〜0.3であり、かつ原子吸光分光法で決定される組成物中の銅含有量が25〜200ppmであり、組成物中のカリウム含有量に対する銅含有量の比Cu/Kが0.21〜0.43であるポリアミド樹脂組成物。
  2. 前記(a)ポリアミド樹脂の融点が250〜330℃である請求項1記載のポリアミド樹脂組成物。
  3. 前記(a)ポリアミド樹脂100重量部に対して、(d)充填材1〜100重量部をさらに含有してなる請求項1〜2のいずれかに記載のポリアミド樹脂組成物。
  4. 少なくとも前記(a)ポリアミド樹脂、(b)水酸基含有分岐状化合物ならびに(c)銅化合物およびカリウム化合物を含む金属化合物を、スクリュー長さL、スクリュー直径Dに対してL/D>30である二軸押出機を使用して溶融混練するポリアミド樹脂組成物の製造方法であって、少なくとも(a)ポリアミド樹脂ならびに(c)銅化合物およびカリウム化合物を含む金属化合物を、スクリューセグメントの上流側の端部から二軸押出機に供給し、次いで(b)水酸基含有分岐状化合物をスクリュー長さの1/2より下流側から二軸押出機に供給して溶融混練する請求項1〜3のいずれかに記載のポリアミド樹脂組成物の製造方法。
  5. 少なくとも前記(a)ポリアミド樹脂、(b)水酸基含有分岐状化合物ならびに(c)銅化合物およびカリウム化合物を含む金属化合物を、複数のニーディングゾーンおよび複数のフルフライトゾーンを有する二軸押出機を使用して溶融混練するポリアミド樹脂組成物の製造方法であって、複数ヶ所のニーディングゾーンの樹脂圧力のうち、最大となる樹脂圧力Pkmax(MPa)、複数ヶ所のフルフライトゾーンの樹脂圧力のうち、最小となる樹脂圧力Pfmin(MPa)を、
    Pkmax≧Pfmin+0.3
    とする請求項1〜3のいずれかに記載のポリアミド樹脂組成物の製造方法。
  6. 請求項1〜3のいずれかに記載のポリアミド樹脂組成物を成形してなる成形品。
  7. IEC60112に従って求められる比較トラッキング指数CTI値が厚さ3mmにおいて500V以上である請求項6記載の成形品。
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