JP2016190923A - 長繊維強化ポリアミド樹脂ペレットおよびそれを成形してなる成形品 - Google Patents
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Abstract
【課題】流動性に優れ、耐熱老化性に優れる成形品を得ることのできる長繊維強化ポリアミド樹脂ペレットを提供すること。【解決手段】(A)ポリアミド樹脂100重量部に対して、(b)水酸基および/またはアミノ基を3個以上有する化合物、および/または、(B)水酸基および/またはアミノ基と、エポキシ基および/またはカルボジイミド基とを有し、1分子中の水酸基およびアミノ基の数の和が、1分子中のエポキシ基およびカルボジイミド基の数の和よりも多い化合物0.1〜20重量部、および(C)強化繊維5〜150重量部を含み、(C)強化繊維の長さがペレットの長さと実質的に同一であり、かつ、(C)強化繊維がペレットの長尺方向に配列してなる、長尺方向の長さが3〜20mmである長繊維強化ポリアミド樹脂ペレット。【選択図】なし
Description
本発明は、長繊維強化ポリアミド樹脂ペレットおよびそれを成形してなる成形品に関するものである。
ポリアミド樹脂は、優れた機械特性、耐熱性、耐薬品性を有するため、自動車や電気・電子部品用途へ好ましく用いられている。さまざまな用途の中でも、ポリアミド樹脂は耐熱老化性に優れることから、エンジンカバー等の極めて高い温度の熱がかかる部品に使用されている。近年、自動車のエンジンルーム内部品の高密度化やエンジン出力の増加に伴い、エンジンルーム内の環境温度は増々高くなっている。さらに、軽量化に対する需要の高まりにより、樹脂部品の小型化、モジュール化も進みつつあり、より高温条件下での耐熱老化性と成形時の流動性が求められている。
従来、ポリアミド樹脂の耐熱老化性改良技術としては、例えば、ポリアミド樹脂に、銅化合物とハロゲン化合物を配合したポリアミド樹脂組成物(例えば、特許文献1参照)が知られている。
また、近年の自動車や電気・電子用途部品の軽量化や小型化に伴い、ポリアミド樹脂にさらなる機械特性の向上も求められている。機械特性を向上させるための手段として、ガラス繊維や炭素繊維等の繊維状強化材を配合することが知られており、ナイロン66とナイロン6とをブレンドしてなるポリアミド樹脂に、繊維状強化材を配合してなり、繊維状強化材が組成物中において3mm以上の繊維長を有する長繊維強化ポリアミド樹脂組成物(例えば、特許文献2参照)、連続した強化繊維束と重量平均分子量が200〜50,000の溶融粘度が低い熱可塑性重合体とからなる複合体に、重量平均分子量が10,000以上の熱可塑性樹脂が接するように配置されてなる成形材料(例えば、特許文献3参照)が提案されている。
しかしながら、特許文献1のポリアミド樹脂組成物は、近年の使用環境温度の高温化やエンジン周辺部品の小型化、モジュール化に対して、耐熱老化性、流動性はいずれも不十分であった。さらに、銅イオンの遊離による着色といった表面外観上の課題があった。また、前記特許文献2、3の成形材料も耐熱老化性および流動性が不十分である課題があった。
本発明は、これら従来技術の課題に鑑み、流動性に優れ、耐熱老化性に優れる成形品を得ることのできる長繊維強化ポリアミド樹脂ペレットを提供することを課題とする。
上記課題を解決するため、本発明は、主として以下の構成を有する。
[1](A)ポリアミド樹脂100重量部に対して、
(b)水酸基および/またはアミノ基を3個以上有する化合物、および/または、(B)水酸基および/またはアミノ基と、エポキシ基および/またはカルボジイミド基とを有し、1分子中の水酸基およびアミノ基の数の和が、1分子中のエポキシ基およびカルボジイミド基の数の和よりも多い化合物0.1〜20重量部、
および(C)強化繊維5〜150重量部を含み、
(C)強化繊維の長さがペレットの長さと実質的に同一であり、かつ、(C)強化繊維がペレットの長尺方向に配列してなる、
長尺方向の長さが3〜20mmである長繊維強化ポリアミド樹脂ペレット。
[2]前記(B)化合物が、前記(b)化合物と、エポキシ基および/またはカルボジイミド基含有化合物(b’)との反応物であり、水酸基またはアミノ基と、エポキシ基またはカルボジイミド基との反応率が1〜95%である[1]に記載の長繊維強化ポリアミド樹脂ペレット。
[3]前記(b)化合物が、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトールおよび/またはトリペンタエリスリトールである[1]または[2]に記載の長繊維強化ポリアミド樹脂ペレット。
[4]前記(B)化合物が、下記一般式(1)で表される構造を有する化合物および/またはその縮合物である[1]に記載の長繊維強化ポリアミド樹脂ペレット。
[1](A)ポリアミド樹脂100重量部に対して、
(b)水酸基および/またはアミノ基を3個以上有する化合物、および/または、(B)水酸基および/またはアミノ基と、エポキシ基および/またはカルボジイミド基とを有し、1分子中の水酸基およびアミノ基の数の和が、1分子中のエポキシ基およびカルボジイミド基の数の和よりも多い化合物0.1〜20重量部、
および(C)強化繊維5〜150重量部を含み、
(C)強化繊維の長さがペレットの長さと実質的に同一であり、かつ、(C)強化繊維がペレットの長尺方向に配列してなる、
長尺方向の長さが3〜20mmである長繊維強化ポリアミド樹脂ペレット。
[2]前記(B)化合物が、前記(b)化合物と、エポキシ基および/またはカルボジイミド基含有化合物(b’)との反応物であり、水酸基またはアミノ基と、エポキシ基またはカルボジイミド基との反応率が1〜95%である[1]に記載の長繊維強化ポリアミド樹脂ペレット。
[3]前記(b)化合物が、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトールおよび/またはトリペンタエリスリトールである[1]または[2]に記載の長繊維強化ポリアミド樹脂ペレット。
[4]前記(B)化合物が、下記一般式(1)で表される構造を有する化合物および/またはその縮合物である[1]に記載の長繊維強化ポリアミド樹脂ペレット。
上記一般式(1)中、X1〜X6はそれぞれ同一でも異なってもよく、OH、NH2、CH3またはORを表す。ただし、OHとNH2とORの数の和は3以上である。また、Rはアミノ基、エポキシ基またはカルボジイミド基を有する有機基を表し、nは0〜20の範囲を表す。
[5]さらに(D)リン含有化合物を含有し、吸光光度分析法により求められるリン原子含有量がポリアミド樹脂含有量に対して180〜3500ppmである[1]〜[4]のいずれかに記載の長繊維強化ポリアミド樹脂ペレット。
[6]前記(D)リン含有化合物が、亜リン酸、次亜リン酸およびそれらの金属塩からなる群より選ばれる少なくとも1種である[5]に記載の長繊維強化ポリアミド樹脂ペレット。
[7]前記(C)強化繊維がガラス繊維および/または炭素繊維を含む[1]〜[6]のいずれかに記載の長繊維強化ポリアミド樹脂ペレット。
[8](A)ポリアミド樹脂100重量部に対して、さらに(E)200℃における溶融粘度が0.01〜20Pa・sである熱可塑性重合体を0.1〜65重量部含む[1]〜[7]のいずれかに記載の長繊維強化ポリアミド樹脂ペレット。
[9][1]〜[8]のいずれかに記載の長繊維強化ポリアミド樹脂ペレットを成形してなる、成形品中の強化繊維の重量平均繊維長が0.3〜5.0mmの範囲である成形品。
[5]さらに(D)リン含有化合物を含有し、吸光光度分析法により求められるリン原子含有量がポリアミド樹脂含有量に対して180〜3500ppmである[1]〜[4]のいずれかに記載の長繊維強化ポリアミド樹脂ペレット。
[6]前記(D)リン含有化合物が、亜リン酸、次亜リン酸およびそれらの金属塩からなる群より選ばれる少なくとも1種である[5]に記載の長繊維強化ポリアミド樹脂ペレット。
[7]前記(C)強化繊維がガラス繊維および/または炭素繊維を含む[1]〜[6]のいずれかに記載の長繊維強化ポリアミド樹脂ペレット。
[8](A)ポリアミド樹脂100重量部に対して、さらに(E)200℃における溶融粘度が0.01〜20Pa・sである熱可塑性重合体を0.1〜65重量部含む[1]〜[7]のいずれかに記載の長繊維強化ポリアミド樹脂ペレット。
[9][1]〜[8]のいずれかに記載の長繊維強化ポリアミド樹脂ペレットを成形してなる、成形品中の強化繊維の重量平均繊維長が0.3〜5.0mmの範囲である成形品。
本発明の長繊維強化ポリアミド樹脂ペレットは、流動性に優れる。さらに本発明の長繊維強化ポリアミド樹脂ペレットによれば、耐熱老化性に優れた成形品を提供することができる。
以下、本発明の実施形態を詳細に説明する。本発明の実施形態の長繊維強化ポリアミド樹脂ペレットは、(A)ポリアミド樹脂と、(b)水酸基および/またはアミノ基を3個以上有する化合物(以下、「(b)化合物」と記載する場合がある)、および/または、(B)水酸基および/またはアミノ基と、エポキシ基および/またはカルボジイミド基とを有し、1分子中の水酸基およびアミノ基の数の和が、1分子中のエポキシ基およびカルボジイミド基の数の和よりも多い化合物(以下、「(B)化合物」と記載する場合がある)と、長さがペレットの長さと実質的に同一である(C)強化繊維とを含有する。以下、各成分について説明する。
本発明の実施形態の長繊維強化ポリアミド樹脂ペレットにおいて、(A)ポリアミド樹脂は、そのカルボキシル末端基が、後述する(b)化合物および/または(B)化合物中の水酸基および/またはアミノ基と脱水縮合反応すると考えられる。さらに、(A)ポリアミド樹脂のアミノ末端基やカルボキシル末端基は、(b)化合物および/または(B)化合物中の水酸基および/またはアミノ基、エポキシ基および/またはカルボジイミド基と反応すると考えられる。このため、(A)ポリアミド樹脂は、(b)化合物および/または(B)化合物との相溶性に優れると考えられる。
本発明の実施形態で用いられる(A)ポリアミド樹脂とは、(i)アミノ酸、(ii)ラクタムあるいは(iii)ジアミンとジカルボン酸を主たる原料とするポリアミドである。(A)ポリアミド樹脂の原料の代表例としては、6−アミノカプロン酸、11−アミノウンデカン酸、12−アミノドデカン酸、パラアミノメチル安息香酸などのアミノ酸、ε−カプロラクタム、ω−ラウロラクタムなどのラクタム、テトラメチレンジアミン、ペンタメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、2−メチルペンタメチレンジアミン、ノナメチレンジアミン、デカメチレンジアミン、ウンデカメチレンジアミン、ドデカメチレンジアミン、2,2,4−/2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジアミン、5−メチルノナメチレンジアミン、2−メチルオクタメチレンジアミンなどの脂肪族ジアミン、メタキシリレンジアミン、パラキシリレンジアミンなどの芳香族ジアミン、1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、1,4−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、1−アミノ−3−アミノメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキサン、ビス(4−アミノシクロヘキシル)メタン、ビス(3−メチル−4−アミノシクロヘキシル)メタン、2,2−ビス(4−アミノシクロヘキシル)プロパン、ビス(アミノプロピル)ピペラジン、アミノエチルピペラジンなどの脂環族ジアミン、アジピン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカン二酸などの脂肪族ジカルボン酸、テレフタル酸、イソフタル酸、2−クロロテレフタル酸、2−メチルテレフタル酸、5−メチルイソフタル酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、ヘキサヒドロテレフタル酸、ヘキサヒドロイソフタル酸などの芳香族ジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸、1,3−シクロペンタンジカルボン酸などの脂環族ジカルボン酸などが挙げられる。本発明の実施形態において、(A)ポリアミド樹脂の原料として、これらの原料から誘導されるポリアミドホモポリマーまたはポリアミドコポリマーを2種以上配合してもよい。
ポリアミド樹脂の具体的な例としては、ポリカプロアミド(ナイロン6)、ポリヘキサメチレンアジパミド(ナイロン66)、ポリテトラメチレンアジパミド(ナイロン46)、ポリテトラメチレンセバカミド(ナイロン410)、ポリペンタメチレンアジパミド(ナイロン56)、ポリペンタメチレンセバカミド(ナイロン510)、ポリヘキサメチレンセバカミド(ナイロン610)、ポリヘキサメチレンドデカミド(ナイロン612)、ポリデカメチレンアジパミド(ナイロン106)、ポリデカメチレンセバカミド(ナイロン1010)、ポリデカメチレンドデカミド(ナイロン1012)、ポリウンデカンアミド(ナイロン11)、ポリドデカンアミド(ナイロン12)、ポリカプロアミド/ポリヘキサメチレンアジパミドコポリマー(ナイロン6/66)、ポリカプロアミド/ポリヘキサメチレンテレフタルアミドコポリマー(ナイロン6/6T)、ポリヘキサメチレンアジパミド/ポリヘキサメチレンテレフタルアミドコポリマー(ナイロン66/6T)、ポリヘキサメチレンアジパミド/ポリヘキサメチレンイソフタルアミドコポリマー(ナイロン66/6I)、ポリヘキサメチレンテレフタルアミド/ポリヘキサメチレンイソフタルアミドコポリマー(ナイロン6T/6I)、ポリヘキサメチレンテレフタルアミド/ポリウンデカンアミドコポリマー(ナイロン6T/11)、ポリヘキサメチレンテレフタルアミド/ポリドデカンアミドコポリマー(ナイロン6T/12)、ポリヘキサメチレンアジパミド/ポリヘキサメチレンテレフタルアミド/ポリヘキサメチレンイソフタルアミドコポリマー(ナイロン66/6T/6I)、ポリキシリレンアジパミド(ナイロンXD6)、ポリキシリレンセバカミド(ナイロンXD10)、ポリヘキサメチレンテレフタルアミド/ポリペンタメチレンテレフタルアミドコポリマー(ナイロン6T/5T)、ポリヘキサメチレンテレフタルアミド/ポリ−2−メチルペンタメチレンテレフタルアミドコポリマー(ナイロン6T/M5T)、ポリペンタメチレンテレフタルアミド/ポリデカメチレンテレフタルアミドコポリマー(ナイロン5T/10T)、ポリノナメチレンテレフタルアミド(ナイロン9T)、ポリデカメチレンテレフタルアミド(ナイロン10T)、ポリドデカメチレンテレフタルアミド(ナイロン12T)などが挙げられる。また、ポリアミド樹脂の具体例としては、これらの混合物や共重合体なども挙げられる。ここで、「/」は共重合体を示す。以下、同様とする。
これらのポリアミド樹脂を、流動性、滞留安定性、機械強度、耐熱老化性、表面外観、色調などの必要特性に応じて2種以上配合することも実用上好適である。
これらポリアミド樹脂の重合度には特に制限がないが、樹脂濃度0.01g/mlの98%濃硫酸溶液中、25℃で測定した相対粘度(ηr)が1.5〜5.0の範囲であることが好ましい。相対粘度が1.5以上であれば、得られる成形品の機械強度、耐熱老化性をより向上させることができる。相対粘度は、2.0以上がより好ましい。一方、相対粘度が5.0以下であれば、流動性をより向上させることができる。
本発明の実施形態の長繊維強化ポリアミド樹脂ペレットは、(b)水酸基および/またはアミノ基を3個以上有する化合物、および/または、(B)水酸基および/またはアミノ基と、エポキシ基および/またはカルボジイミド基とを有し、1分子中の水酸基およびアミノ基の数の和が、1分子中のエポキシ基およびカルボジイミド基の数の和よりも多い化合物を含有する。
(b)化合物および(B)化合物のいずれを用いても流動性および耐熱老化性の向上効果があるが、(B)化合物は、そのエポキシ基および/またはカルボジイミド基が(A)ポリアミド樹脂のアミノ末端基やカルボキシル末端基と反応すると考えられることから、(b)化合物より(A)ポリアミド樹脂との相溶性に優れ、ポリアミド樹脂組成物中において微細な分散相を形成する。このため、成形品表層へのブリードアウトを抑制し、耐熱老化性をより向上させることができる。また、滞留安定性も向上する。さらに、エポキシ基およびカルボジイミド基は、水酸基およびアミノ基と比較して、(A)ポリアミド樹脂の末端基との反応性に優れるため、(B)化合物1分子中の水酸基およびアミノ基の数の和を、エポキシ基およびカルボジイミド基の数の和よりも多くすることにより、適度に架橋構造を形成してアミド結合の加水分解による重合度低下を抑制し、滞留安定性、色調を向上させながら、過剰な架橋構造の形成による脆化を抑制し、流動性、機械強度を向上させることができるものと考えられるため、(B)化合物を含有することがより好ましい。
本発明の実施形態において、(B)化合物は、長繊維強化ポリアミド樹脂ペレット中において(B)化合物として含有されていればよく、例えば、(b)化合物と後述の(b’)エポキシ基および/またはカルボジイミド基含有化合物を個別に(A)ポリアミド樹脂に配合し、長繊維強化ポリアミド樹脂ペレット中において(B)化合物を形成してもよいし、あらかじめこれらを反応させた(B)化合物を(A)ポリアミド樹脂に配合してもよい。あらかじめこれらを反応させた(B)化合物を(A)ポリアミド樹脂に配合することが好ましく、(B)化合物と、(A)ポリアミド樹脂との相溶性により優れ、流動性、滞留安定性、機械強度、耐熱老化性、表面外観、色調をより向上させることができる。とりわけ、190℃以上の高温における耐熱老化性を大幅に向上させることができる。この要因については定かではないが、以下のように考えられる。つまり、(b)化合物と、(b’)エポキシ基および/またはカルボジイミド基含有化合物をあらかじめ反応させることにより、(b’)エポキシ基および/またはカルボジイミド基含有化合物を連結点とした多分岐構造を有する(B)化合物が形成される。かかる(B)化合物は、多分岐構造を有することにより自己凝集力がより小さくなり、(A)ポリアミド樹脂との反応性および相溶性が向上するためと考えられる。また、多分岐構造を有する化合物の溶融粘度が向上することから、ポリアミド樹脂組成物中における(B)化合物の分散性がより向上するためと考えられる。
本発明の実施形態において、(B)化合物としては、例えば、後述する(b)化合物と(b’)エポキシ基および/またはカルボジイミド基含有化合物との反応物が挙げられる。(B)化合物は、低分子化合物であってもよいし、重合体であってもよいし、縮合物であってもよい。(B)化合物の構造は、通常の分析方法(例えば、NMR、FT−IR、GC−MS等の組み合わせ)により特定することができる。
本発明の実施形態において、(B)化合物の分岐度は、特に制限はないが、0.05〜0.70であることが好ましい。分岐度は、化合物中の分岐の程度を表す数値であり、直鎖状の化合物が分岐度0であり、完全に分岐したデンドリマーが分岐度1である。この値が大きいほど、長繊維強化ポリアミド樹脂ペレット中に架橋構造を導入でき、成形品の機械特性を向上させることができる。分岐度を0.05以上とすることにより、長繊維強化ポリアミド樹脂ペレット中の架橋構造が十分に形成され、流動性、滞留安定性、機械強度、耐熱老化性、表面外観をより向上させることができる。分岐度は、0.10以上がより好ましい。一方、分岐度を0.70以下とすることにより、長繊維強化ポリアミド樹脂ペレット中の架橋構造を適度に抑え、長繊維強化ポリアミド樹脂ペレット中における(B)化合物の分散性をより高め、流動性、滞留安定性、機械強度、耐熱老化性、表面外観をより向上させることができる。分岐度は、0.35以下がより好ましい。なお、分岐度は、下記式(2)により定義される。
分岐度=(D+T)/(D+T+L) (2)
上記式(2)中、Dはデンドリックユニットの数、Lは線状ユニットの数、Tは末端ユニットの数を表す。なお、上記D、T、Lは13C−NMRにより測定したピークシフトの積分値から算出することができる。Dは第3級または第4級炭素原子に由来し、Tは第1級炭素原子の中で、メチル基であるものに由来し、Lは第1級または第2級炭素原子の中で、Tを除くものに由来する。
分岐度=(D+T)/(D+T+L) (2)
上記式(2)中、Dはデンドリックユニットの数、Lは線状ユニットの数、Tは末端ユニットの数を表す。なお、上記D、T、Lは13C−NMRにより測定したピークシフトの積分値から算出することができる。Dは第3級または第4級炭素原子に由来し、Tは第1級炭素原子の中で、メチル基であるものに由来し、Lは第1級または第2級炭素原子の中で、Tを除くものに由来する。
分岐度が前述の範囲にある(B)化合物としては、例えば、後述する好ましい(b)化合物と(b’)エポキシ基および/またはカルボジイミド基含有化合物との反応物などが挙げられる。
本発明の好ましい実施形態で用いられる(B)化合物の水酸基価は、100〜2000mgKOH/gが好ましい。(B)化合物の水酸基価を100mgKOH/g以上とすることにより、(A)ポリアミド樹脂と(B)化合物との反応量を十分に確保することが容易となるため、流動性、滞留安定性、機械強度、耐熱老化性、表面外観をより向上させることができる。(B)化合物の水酸基価は300mgKOH/g以上がより好ましい。一方、(B)化合物の水酸基価を2000mgKOH/g以下とすることにより、(A)ポリアミド樹脂と(B)化合物との反応性がほどよく高まり、流動性、滞留安定性、機械強度、耐熱老化性、表面外観をより向上させることができる。また、(B)化合物の水酸基価を2000mgKOH/g以下とすることにより、過剰反応によるゲル化を抑制することができる。(B)化合物の水酸基価は1800mgKOH/g以下がより好ましい。ここで、(B)化合物の水酸基価は、(B)化合物を、無水酢酸と無水ピリジンの混合溶液でアセチル化して、それをエタノール性水酸化カリウム溶液で滴定することにより求めることができる。
本発明の実施形態で用いられる(B)化合物のアミン価は、100〜2000mgKOH/gが好ましい。(B)化合物のアミン価を100mgKOH/g以上とすることにより、(A)ポリアミド樹脂と(B)化合物との反応量を十分に確保することが容易となるため、流動性、滞留安定性、機械強度、耐熱老化性、表面外観をより向上させることができる。(B)化合物のアミン価は200mgKOH/g以上がより好ましい。一方、(B)化合物のアミン価を2000mgKOH/g以下とすることにより、(A)ポリアミド樹脂と(B)化合物との反応性がほどよく高まるため、流動性、滞留安定性、機械強度、耐熱老化性、表面外観をより向上させることができる。また、(B)化合物のアミン価を2000mgKOH/g以下とすることにより、過剰反応によるポリアミド樹脂組成物のゲル化を抑制することができる。(B)化合物のアミン価は1600mgKOH/g以下がより好ましい。ここで、(B)化合物のアミン価は、(B)化合物をエタノールに溶解させ、エタノール性塩酸溶液で中和滴定することにより求めることができる。
水酸基価またはアミン価が前述の範囲にある(B)化合物としては、例えば、後述する好ましい(b)化合物と(b’)エポキシ基および/またはカルボジイミド基含有化合物との反応物などが挙げられる。
本発明の実施形態で用いられる(B)化合物は、25℃において固形であるか、または25℃において200mPa・s以上の粘度を有する液状であることが好ましい。その場合、溶融混練時に所望の粘度にすることが容易となり、(A)ポリアミド樹脂との相溶性をより向上させ、流動性、滞留安定性、機械強度、耐熱老化性、表面外観をより向上させることができる。
本発明の実施形態で使用される(b)化合物としては、1分子中に3つ以上の水酸基または3つ以上のアミノ基を有する脂肪族化合物が好ましい。1分子中に3つ以上の水酸基または3つ以上のアミノ基を有する脂肪族化合物は、(A)ポリアミド樹脂との相溶性に優れ、流動性、滞留安定性、機械強度、耐熱老化性、表面外観をより向上させることができる。1分子中の水酸基数またはアミノ基数は、それぞれ4つ以上が好ましく、それぞれ6つ以上がさらに好ましい。1分子中に3つ以上の水酸基またはアミノ基を有する脂肪族化合物は、芳香族化合物または脂環族化合物に比べて立体障害性が低く、(A)ポリアミド樹脂との相溶性に優れるため、流動性、滞留安定性、機械強度、耐熱老化性、表面外観をより向上させることができると考えられる。(b)化合物は、低分子化合物であってもよいし、重合体であってもよい。
1分子中の水酸基またはアミノ基の数は、低分子化合物の場合は、通常の分析方法(例えば、NMR、FT−IR、GC−MS等の組み合わせ)により化合物の構造式を特定し、算出することができる。また、ポリマーの場合は、(b)水酸基および/またはアミノ基含有化合物の数平均分子量と水酸基価またはアミン価を算出し、下記式(3)により求めることができる。
OHまたはNH2の数=(数平均分子量×水酸基価またはアミン価)/56110 (3)
OHまたはNH2の数=(数平均分子量×水酸基価またはアミン価)/56110 (3)
水酸基含有化合物の具体例としては、1,2,4−ブタントリオール、1,2,5−ペンタントリオール、1,2,6−ヘキサントリオール、1,2,3,6−ヘキサンテトロール、グリセリン、ジグリセリン、トリグリセリン、テトラグリセリン、ペンタグリセリン、ヘキサグリセリン、ジトリメチロールプロパン、トリトリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール、メチルグルコシド、ソルビトール、グルコース、マンニトール、スクロース、1,3,5−トリヒドロキシベンゼン、1,2,4−トリヒドロキシベンゼン、エチレン−ビニルアルコール共重合体、ポリビニルアルコール、トリエタノールアミン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、2−メチルプロパントリオール、トリスヒドロキシメチルアミノメタン、2−メチル−1,2,4−ブタントリオールなどを挙げることができる。また、水酸基含有化合物として、繰り返し構造単位を有する水酸基含有化合物も挙げることができ、例えば、エステル結合、アミド結合、エーテル結合、メチレン結合、ビニル結合、イミン結合、シロキサン結合、ウレタン結合、チオエーテル結合、ケイ素−ケイ素結合、カーボネート結合、スルホニル結合、イミド結合を有する繰り返し構造単位を有する水酸基含有化合物が挙げられる。水酸基含有化合物は、これらの結合を2種以上含む繰り返し構造単位を含有してもよい。繰り返し構造単位を有する水酸基含有化合物として、エステル結合、カーボネート結合、エーテル結合および/またはアミド結合を有する繰り返し構造単位を有する水酸基含有化合物がより好ましい。
エステル結合を有する繰り返し構造単位を有する水酸基含有化合物は、例えば、水酸基を1個以上有する化合物に、カルボキシル基に隣接する炭素原子が飽和炭素原子であり、かつ該炭素原子上の水素原子がすべて置換され、かつ水酸基を2個以上有するモノカルボン酸を反応させることにより得ることができる。エーテル結合を有する繰り返し構造単位を有する水酸基含有化合物は、例えば、水酸基を1個以上有する化合物と水酸基を1個以上有する環状エーテル化合物の開環重合により得ることができる。エステル結合とアミド結合を有する繰り返し構造単位を有する水酸基含有化合物は、例えば、アミノジオールと環状酸無水物との重縮合反応により得ることができる。アミノ基を含むエーテル結合を有する繰り返し構造単位を有する水酸基含有化合物は、例えば、トリアルカノールアミンの分子間縮合により得ることができる。カーボネート結合を有する繰り返し構造単位からなる水酸基含有化合物は、例えば、トリスフェノールのアリールカーボネート誘導体の重縮合反応により得ることができる。
水酸基含有化合物の中でも、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール、およびそれらの混合物が好ましい。
本発明の実施形態に用いられる水酸基含有化合物の水酸基価は、(A)ポリアミド樹脂との相溶性の観点から、100〜2000mgKOH/gが好ましい。水酸基含有化合物の水酸基価を100mgKOH/g以上とすることにより、(A)ポリアミド樹脂と水酸基含有化合物との反応量を十分に確保することが容易となるため、流動性、滞留安定性、機械強度、耐熱老化性、表面外観をより向上させることができる。水酸基含有化合物の水酸基価は300mgKOH/g以上がより好ましい。一方、水酸基含有化合物の水酸基価を2000mgKOH/g以下とすることにより、(A)ポリアミド樹脂と水酸基含有化合物との反応性がほどよく高まり、流動性、滞留安定性、機械強度、耐熱老化性、表面外観をより向上させることができる。さらに、水酸基含有化合物の水酸基価を2000mgKOH/g以下とすることにより過剰反応によるゲル化も抑制することができる。水酸基含有化合物の水酸基価は1800mgKOH/g以下がより好ましい。水酸基価は、水酸基含有化合物を、無水酢酸と無水ピリジンの混合溶液でアセチル化して、それをエタノール性水酸化カリウム溶液で滴定することにより求めることができる。
アミノ基含有化合物の具体例としては、1,2,3−トリアミノプロパン、1,2,3−トリアミノ−2−メチルプロパン、1,2,4−トリアミノブタンなどのアミノ基を3個有する化合物や、1,1,2,3−テトラアミノプロパン、1,2,3−トリアミノ−2−メチルアミノプロパン、1,2,3,4−テトラアミノブタンおよびその異性体などのアミノ基を4個有する化合物や、3,6,9−トリアザウンデカン−1,11−ジアミンなどのアミノ基を5個有する化合物や、3,6,9,12−テトラアザテトラデカン−1,14−ジアミン、1,1,2,2,3,3−ヘキサアミノプロパン、1,1,2,3,3−ペンタアミノ−2メチルアミノプロパン、1,1,2,2,3,4−ヘキサアミノブタンおよびこれらの異性体などのアミノ基を6個有する化合物や、エチレンイミンを重合して得られるポリエチレンイミンなどが挙げられる。また、アミノ基含有化合物としては、例えば、(i)上記アミノ基を有する化合物にアルキレンオキサイド単位を導入した化合物、(ii)トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトールなどの1分子中に3つ以上の水酸基を有する化合物および/またはその水酸基がメチルエステル化された化合物とアルキレンオキサイドとを反応させ、さらに末端基をアミノ化して得られる化合物なども挙げることができる。
本発明の実施形態に用いられるアミノ基含有化合物のアミン価は、(A)ポリアミド樹脂との相溶性の観点から、100〜2000mgKOH/gが好ましい。アミノ基含有化合物のアミン価を100mgKOH/g以上とすることにより、(A)ポリアミド樹脂とアミノ基含有化合物間の反応量を十分に確保することが容易となるため、流動性、滞留安定性、機械強度、耐熱老化性、表面外観をより向上させることができる。アミノ基含有化合物のアミン価は200mgKOH/g以上がより好ましい。一方、アミノ基含有化合物のアミン価を2000mgKOH/g以下とすることにより、(A)ポリアミド樹脂とアミノ基含化合物の反応性がほどよく高まるため、流動性、滞留安定性、機械強度、耐熱老化性、表面外観をより向上させることができる。さらに、アミノ基含有化合物のアミン価を2000mgKOH/g以下とすることにより、過剰反応によるポリアミド樹脂組成物のゲル化を抑制することができる。アミノ基含化合物のアミン価は1600mgKOH/g以下がより好ましい。なお、アミン価は、アミノ基含有化合物をエタノールに溶解させ、エタノール性塩酸溶液で中和滴定することで求めることができる。
本発明の実施形態で用いられる(b)化合物は、水酸基および/またはアミノ基とともに、他の反応性官能基を有していてもよい。他の官能基として例えば、アルデヒド基、スルホ基、イソシアネート基、オキサゾリン基、オキサジン基、エステル基、アミド基、シラノール基、シリルエーテル基などが挙げられる。
本発明の実施形態で用いられる(b)化合物の分子量は、特に制限はないが、50〜10000の範囲が好ましい。(b)分子量が50以上であれば、溶融混練時に揮発しにくいことから、加工性に優れる。(b)化合物の分子量は150以上が好ましく、200以上がより好ましい。一方、(b)化合物の分子量が10000以下であれば、(B)化合物と(A)ポリアミド樹脂との相溶性がより高くなるため、本発明の効果がより顕著に奏される。(b)化合物の分子量は6000以下が好ましく、4000以下がより好ましく、800以下がさらに好ましい。
(b)化合物の分子量は、通常の分析方法(例えば、NMR、FT−IR、GC−MS等の組み合わせ)により化合物の構造式を特定し、算出することができる。また、水酸基および/またはアミノ基含有化合物が縮合物の場合の分子量は、分子量として重量平均分子量を用いる。重量平均分子量(Mw)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用いて算出することができる。具体的には、化合物が溶解する溶媒、例えばヘキサフルオロイソプロパノールを移動相として、ポリメチルメタクリレート(PMMA)を標準物質として用い、カラムは溶媒に合わせ、例えばヘキサフルオロイソプロパノールを使用した場合には、島津ジーエルシー(株)製の「Shodex GPC HFIP−806M」および/または「Shodex GPC HFIP−LG」を用いて、検出器として示差屈折率計を用いて重量平均分子量を測定することができる。
本発明の実施形態に用いられる(b)化合物の分岐度は、特に制限はないが、0.05〜0.70であることが好ましい。分岐度を0.05以上とすることにより、ポリアミド樹脂組成物中の架橋構造が十分に形成され、流動性、滞留安定性、機械強度、耐熱老化性、表面外観がより向上する。分岐度は、0.10以上が好ましい。一方、分岐度を0.70以下とすることにより、ポリアミド樹脂組成物中の架橋構造を適度に抑え、ポリアミド樹脂組成物中における(B)化合物の分散性をより高め、流動性、滞留安定性、機械強度、耐熱老化性、表面外観をより向上させることができる。分岐度は、0.35以下が好ましい。また、かかる分岐度を有する(b)水酸基および/またはアミノ基含有化合物を用いることにより、前記好ましい範囲の分岐度を有する(B)化合物を容易に得ることができる。分岐度は前記式(2)により定義される。
本発明の実施形態で使用される(b’)エポキシ基および/またはカルボジイミド基含有化合物は、1分子中にエポキシおよび/またはカルボジイミド基を2つ以上有することが好ましく、4つ以上有することがさらに好ましく、6つ以上有することがさらに好ましい。エポキシ基およびカルボジイミド基は(A)ポリアミド樹脂との相溶性に優れるため、1分子中にエポキシ基および/またはカルボジイミド基を2つ以上有する化合物は、(A)ポリアミド樹脂と(B)化合物の相溶性を高める効果があると考えられる。(b’)エポキシ基および/またはカルボジイミド基含有化合物は、低分子化合物であってもよいし、重合体であってもよい。
1分子中のエポキシ基またはカルボジイミド基の数は、低分子化合物の場合は、通常の分析方法(例えば、NMR、FT−IR、GC−MS等の組み合わせ)により化合物の構造式を特定し、算出することができる。また、ポリマーの場合は、(b’)エポキシ基および/またはカルボジイミド基含有化合物の数平均分子量を、エポキシ当量またはカルボジイミド当量で割ることにより求めることができる。
エポキシ基含有化合物の具体例として、エピクロロヒドリン、グリシジルエーテル型エポキシ樹脂、グリシジルエステル型エポキシ樹脂、グリシジルアミン型エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、複素環式エポキシ樹脂、グリシジル基含有ビニル系重合体等を例示できる。これらを2種以上用いてもよい。
グリシジルエーテル型エポキシ樹脂としては、エピクロロヒドリンとビスフェノールAから製造されるもの、エピクロロヒドリンとビスフェノールFから製造されるもの、ノボラック樹脂にエピクロロヒドリンを反応させたフェノールノボラック型エポキシ樹脂、オルトクレゾールノボラック型エポキシ樹脂、エピクロロヒドリンとテトラブロモビスフェノールAから誘導されるいわゆる臭素化エポキシ樹脂、グリセロールトリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールポリグリシジルエーテルなどが例示される。
グリシジルエステル型エポキシ樹脂としては、エピクロロヒドリンと、フタル酸、テトラヒドロフタル酸、p−オキシ安息香酸またはダイマー酸から製造されるエポキシ樹脂、トリメシン酸トリグリシジルエステル、トリメリット酸トリグリシジルエステル、ピロメリット酸テトラグリシジルエステルなどが例示される。
グリシジルアミン型エポキシ樹脂としては、エピクロロヒドリンと、アニリン、ジアミノジフェニルメタン、p−アミノフェノール、メタキシリレンジアミンまたは1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサンから製造されるエポキシ樹脂、テトラグリシジルアミノジフェニルメタン、トリグリシジル−パラアミノフェノール、トリグリシジル−メタアミノフェノール、テトラグリシジルメタキシレンジアミン、テトラグリシジルビスアミノメチルシクロヘキサン、トリグリシジルシアヌレート、トリグリシジルイソシアヌレートなどが例示される。
脂環式エポキシ樹脂としては、シクロヘキセンオキサイド基、トリシクロデセンオキサイド基、シクロペンテンオキサイド基を有する化合物などが例示される。複素環式エポキシ樹脂としては、エピクロロヒドリンと、ヒダントインまたはイソシアヌル酸から製造されるエポキシ樹脂などが例示される。
グリシジル基含有ビニル系重合体としては、グリシジル基含有ビニル系単位を形成する原料モノマーをラジカル重合したものが挙げられる。グリシジル基含有ビニル系単位を形成する原料モノマーの具体例としては、(メタ)アクリル酸グリシジル、p−スチリルカルボン酸グリシジルなどの不飽和モノカルボン酸のグリシジルエステル、マレイン酸、イタコン酸などの不飽和ポリカルボン酸のモノグリシジルエステルまたはポリグリシジルエステル、アリルグリシジルエーテル、2−メチルアリルグリシジルエーテル、スチレン−4−グリシジルエーテルなどの不飽和グリシジルエーテルなどが挙げられる。
エポキシ基含有化合物の市販品としては、低分子の多官能エポキシ化合物であるポリグリシジルエーテル化合物(例えば、阪本薬品工業(株)製「SR−TMP」、ナガセケムテックス(株)製「“デナコール”(登録商標)EX−521」など)、ポリエチレンを主成分とする多官能エポキシ化合物(例えば、住友化学(株)製「“ボンドファスト”(登録商標)E」)、アクリルを主成分とする多官能エポキシ化合物(例えば、東亞合成(株)製「“レゼダ”(登録商標)GP−301」、東亞合成(株)製「“ARUFON”(登録商標)UG−4000」、三菱レイヨン(株)製「“メタブレン”(登録商標)KP−7653」など)、アクリル・スチレン共重合体を主成分とする多官能エポキシ化合物(例えば、BASF社製「“Joncryl”(登録商標)−ADR−4368」、東亞合成(株)製「“ARUFON”(登録商標)UG−4040」など)、シリコーン・アクリル共重合体を主成分とする多官能エポキシ化合物(例えば、「“メタブレン”(登録商標)S−2200」など)、ポリエチレングリコールを主成分とする多官能エポキシ化合物(例えば、日油(株)製“エピオール”(登録商標)「E−1000」など)、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(例えば、三菱化学(株)製“jER”(登録商標)「1004」など)、ノボラックフェノール型変性エポキシ樹脂(例えば、日本化薬(株)製“EPPN”(登録商標)「201」)などが挙げられる。
カルボジイミド基含有化合物としては、N,N’−ジイソプロピルカルボジイミド、N,N’−ジシクロヘキシルカルボジイミド、N,N’−ジ−2,6−ジイソプロピルフェニルカルボジイミドなどのジカルボジイミドや、ポリ(1,6−ヘキサメチレンカルボジイミド)、ポリ(4,4’−メチレンビスシクロヘキシルカルボジイミド)、ポリ(1,3−シクロヘキシレンカルボジイミド)、ポリ(1,4−シクロヘキシレンカルボジイミド)、ポリ(4,4’−ジシクロヘキシルメタンカルボジイミド)、ポリ(4,4’−ジフェニルメタンカルボジイミド)、ポリ(3,3’−ジメチル−4,4’−ジフェニルメタンカルボジイミド)、ポリ(ナフタレンカルボジイミド)、ポリ(p−フェニレンカルボジイミド)、ポリ(m−フェニレンカルボジイミド)、ポリ(トリルカルボジイミド)、ポリ(ジイソプロピルカルボジイミド)、ポリ(メチル−ジイソプロピルフェニレンカルボジイミド)、ポリ(1,3,5−トリイソプロピルベンゼン)ポリカルボジイミド、ポリ(1,3,5−トリイソプロピルベンゼン)ポリカルボジイミド、ポリ(1,5−ジイソプロピルベンゼン)ポリカルボジイミド、ポリ(トリエチルフェニレンカルボジイミド)、ポリ(トリイソプロピルフェニレンカルボジイミド)などのポリカルボジイミドなどを挙げることができる。
カルボジイミド基含有化合物の市販品として、日清紡ホールディングス(株)製“カルボジライト”(登録商標)、ラインケミー製“スタバクゾール(登録商標)”などを挙げることができる。
本発明の実施形態の(b’)エポキシ基および/またはカルボジイミド基含有化合物の分子量は、特に限定はないが、800〜10000の範囲が好ましい。(b’)エポキシ基および/またはカルボジイミド基含有化合物の分子量を800以上とすることにより、溶融混練時に揮発しにくくなるため、加工性に優れる。また、溶融混練時の粘度を高めることができるため、(A)ポリアミド樹脂と、(b’)エポキシ基および/またはカルボジイミド基含有化合物や(B)化合物との相溶性がより高くなり、滞留安定性、機械強度、耐熱老化性、表面外観がより向上する。(b’)エポキシ基および/またはカルボジイミド基含有化合物の分子量は1000以上がより好ましい。一方、(b’)エポキシ基および/またはカルボジイミド基含有化合物の分子量を10000以下とすることにより、溶融混練時の粘度を適度に抑えることができるため、加工性に優れる。また、(A)ポリアミド樹脂と、(b’)エポキシ基および/またはカルボジイミド基含有化合物や(B)化合物との相溶性を高く保持することができる。(b’)エポキシ基および/またはカルボジイミド基含有化合物の分子量は8000以下がより好ましい。
(b’)エポキシ基および/またはカルボジイミド基含有化合物の分子量は、通常の分析方法(例えば、NMR、FT−IR、GC−MS等の組み合わせ)により化合物の構造式を特定し、算出することができる。また、エポキシ基および/またはカルボジイミド基含有化合物が縮合物の場合の分子量は、分子量として重量平均分子量を用いる。重量平均分子量(Mw)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用いて算出することができる。具体的には、化合物が溶解する溶媒、例えばヘキサフルオロイソプロパノールを移動相として、ポリメチルメタクリレート(PMMA)を標準物質として用い、カラムは溶媒に合わせ、例えばヘキサフルオロイソプロパノールを使用した場合には、島津ジーエルシー(株)製の「Shodex GPC HFIP−806M」および/または「Shodex GPC HFIP−LG」を用いて、検出器として示差屈折率計を用いて重量平均分子量を測定することができる。
本発明の実施形態で用いられる(b’)エポキシ基および/またはカルボジイミド基含有化合物は、25℃において固形であるか、または25℃において200mPa・s以上の粘度を有する液状であることが好ましい。その場合、溶融混練時に所望の粘度にすることが容易となり、(A)ポリアミド樹脂と、(b’)エポキシ基および/またはカルボジイミド基含有化合物や(B)化合物との相溶性がより高くなり、流動性、滞留安定性、機械強度、耐熱老化性、表面外観がより向上する。
本発明の実施形態における(b’)エポキシ基および/またはカルボジイミド基含有化合物の官能基濃度を示す指標となる、分子量を1分子中の官能基の数で割った値は、50〜2000であることが好ましい。ここで、官能基の数とは、エポキシ基およびカルボジイミド基の合計数を指す。この値は小さいほど官能基濃度が高いことを表すが、50以上とすることにより、過剰な反応によるゲル化を抑制でき、また、(A)ポリアミド樹脂および(b)水酸基および/またはアミノ基含有化合物との反応がほどよく高まるため、流動性、滞留安定性、機械強度、耐熱老化性、表面外観を向上させることができる。(b’)エポキシ基および/またはカルボジイミド基含有化合物の分子量を、1分子中の官能基の数で割った値は、100以上がより好ましい。一方、(b’)エポキシ基および/またはカルボジイミド基含有化合物の分子量を、1分子中の官能基の数で割った値を、2000以下とすることにより、(A)ポリアミド樹脂および(b)水酸基および/またはアミノ基含有化合物との反応を十分に確保することができ、流動性、滞留安定性、機械強度、耐熱老化性、表面外観をより向上させることができる。(b’)エポキシ基および/またはカルボジイミド基含有化合物の分子量を、1分子中の官能基の数で割った値は、1000以下がより好ましく、300以下がさらに好ましい。
本発明の実施態様において、(B)化合物は、下記一般式(1)で表される構造を有する化合物および/またはその縮合物が好ましい。
上記一般式(1)中、X1〜X6はそれぞれ同一でも異なってもよく、OH、NH2、CH3またはORを表す。ただし、OHとNH2とORの数の和は3以上である。また、Rはアミノ基、エポキシ基またはカルボジイミド基を有する有機基を表し、nは0〜20の範囲を表す。
一般式(1)中におけるRは、アミノ基を有する有機基、エポキシ基を有する有機基またはカルボジイミド基を有する有機基を表す。アミノ基を有する有機基としては、例えば、置換基を有してもよいアルキルアミノ基やシクロアルキルアミノ基などが挙げられ、置換基としては、例えば、アルキレンオキサイド基やアリール基などが挙げられる。エポキシ基を有する有機基としては、例えば、エポキシ基、グリシジル基などが挙げられる。カルボジイミド基を有する有機基としては、例えば、アルキルカルボジイミド基、シクロアルキルカルボジイミド基、アリールアルキルカルボジイミド基などが挙げられる。
一般式(1)におけるnは0〜20の範囲を表す。nが20以下である場合、(A)ポリアミド樹脂の可塑化が抑制され、滞留安定性、機械強度、耐熱老化性をより向上させることができる。nは4以下がより好ましく、滞留安定性、機械強度、耐熱老化性をさらに向上させることができる。一方、nは1以上がより好ましく、(B)化合物の分子運動性を高めることができ、(A)ポリアミド樹脂との相溶性をさらに向上させることができる。
一般式(1)中のOHとNH2とORの数の和は3以上であることが好ましい。それにより、(A)ポリアミド樹脂との相溶性に優れ、得られる成形品の耐熱老化性、寸法精度、耐薬品性および耐クリープ性をより向上させることができる。ここで、OHとNH2とORの数の和は、低分子化合物の場合は、通常の分析方法(例えば、NMR、FT−IR、GC−MS等の組み合わせ)により化合物の構造式を特定し、算出することができる。
また、縮合物の場合、OHまたはNH2の数は、一般式(1)で表される構造を有する化合物および/またはその縮合物の数平均分子量と水酸基価またはアミン価を算出し、下記式(3)により求めることができる。
一般式(1)中のOHまたはNH2の数=(数平均分子量×水酸基価またはアミン価)/56110 (3)
一般式(1)中のOHまたはNH2の数=(数平均分子量×水酸基価またはアミン価)/56110 (3)
また、縮合物の場合、ORの数は、一般式(1)で表される構造を有する化合物および/またはその縮合物の数平均分子量をアミン当量、エポキシ当量またはカルボジイミド当量で割った値により算出することができる。一般式(1)で表される構造を有する化合物および/またはその縮合物の数平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフ(GPC)を用いて、算出することができる。具体的には、以下の方法により算出することができる。一般式(1)で表される構造を有する化合物および/またはその縮合物が溶解する溶媒、例えば、ヘキサフルオロイソプロパノールを移動相として、ポリメチルメタクリレート(PMMA)を標準物質として用いる。カラムは溶媒に合わせ、例えば、ヘキサフルオロイソプロパノールを使用する場合には、島津ジーエルシー(株)製の「Shodex GPC HFIP−806M」および/または「Shodex GPC HFIP−LG」を用いて、検出器として示差屈折率計を用いて数平均分子量の測定を行うことができる。
本発明の実施形態の長繊維強化ポリアミド樹脂ペレットにおいて、(b)化合物および/または(B)化合物の含有量は、(A)ポリアミド樹脂100重量部に対して0.1〜20重量部である。ここで、(b)化合物および/または(B)化合物の含有量とは、長繊維強化ポリアミド樹脂ペレットが(b)化合物または(B)化合物のいずれか一方のみを含む場合はその含有量を指し、両方を含む場合はそれらの合計含有量を指す。(b)化合物および/または(B)化合物の含有量が0.1重量部未満であると、成形時の流動性が低下し、また得られる成形品の耐熱老化性が低下する。(b)化合物および/または(B)化合物の含有量は、(A)ポリアミド樹脂100重量部に対して、0.5重量部以上が好ましく、2重量部以上がさらに好ましい。一方、(b)化合物および/または(B)化合物の配合量が20重量部を超えると、長繊維強化ポリアミド樹脂ペレット中における(b)化合物および/または(B)化合物の分散性が低下し、(b)化合物および/または(B)化合物が成形品表層へブリードアウトしやすく、表面外観が低下する。また、ポリアミド樹脂の可塑化、分解が促進され、流動性、機械強度、耐熱老化性が低下する。(b)化合物および/または(B)化合物の配合量は、(A)ポリアミド樹脂100重量部に対して、7.5重量部以下が好ましく、6重量部以下がさらに好ましい。
本発明の実施形態で用いられる(B)化合物の製造方法は特に限定されないが、前述の(b)化合物と、(b’)エポキシ基および/またはカルボジイミド基含有化合物をドライブレンドし、両成分の融点よりも高い温度で溶融混練する方法が好ましい。
水酸基および/またはアミノ基と、エポキシ基および/またはカルボジイミド基との反応を促進するために、触媒を添加することも好ましい。触媒の添加量は特に限定されず、(b)化合物と、(b’)エポキシ基および/またはカルボジイミド基含有化合物の合計100重量部に対し、0〜1重量部が好ましく、0.01〜0.3重量部がより好ましい。
水酸基とエポキシ基の反応を促進する触媒としては、ホスフィン類、イミダゾール類、アミン類、ジアザビシクロ類などが挙げられる。ホスフィン類の具体例としては、トリフェニルホスフィン(TPP)などが挙げられる。イミダゾール類の具体例としては、2−ヘプタデシルイミダゾール(HDI)、2−エチル−4−メチルイミダゾール、1−ベンジル−2−メチルイミダゾール、1−イソブチル−2−メチルイミダゾールなどが挙げられる。アミン類の具体例としては、N−ヘキサデシルモルホリン(HDM)、トリエチレンジアミン、ベンジルジメチルアミン(BDMA)、トリブチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、1,8−ジアザビシクロ(5,4,0)−ウンデセン−7(DBU)、1,5−ジアザビシクロ(4,3,0)−ノネン−5(DBN)、トリスジメチルアミノメチルフェノール、テトラメチルエチレンジアミン、N,N−ジメチルシクロヘキシルアミン、1,4−ジアザビシクロ−(2,2,2)−オクタン(DABCO)などが挙げられる。
水酸基とカルボジイミド基の反応を促進する触媒としては、例えば、トリアルキル鉛アルコキシド、ホウフッ化水素酸、塩化亜鉛、ナトリウムアルコキシドなどが挙げられる。
(b)化合物と、(b’)エポキシ基および/またはカルボジイミド基含有化合物とを溶融混練することにより、(b)化合物中の水酸基および/またはアミノ基と、(b’)エポキシ基および/またはカルボジイミド基含有化合物中のエポキシ基および/またはカルボジイミド基が反応する。また、(b)が水酸基含有化合物の場合、水酸基含有化合物間で脱水縮合反応も生じる。このようにして多分岐構造の(B)化合物を得ることができる。
(b)化合物と、(b’)エポキシ基および/またはカルボジイミド基含有化合物を反応させて(B)化合物を作製する場合、これらの配合比は特に限定されないが、(B)化合物の1分子中の水酸基およびアミノ基の数の和が、(B)化合物および/またはその縮合物の1分子中のエポキシ基およびカルボジイミド基の数の和よりも多くなるようにこれら化合物を配合することが好ましい。エポキシ基およびカルボジイミド基は、水酸基とアミノ基と比較して、(A)ポリアミド樹脂の末端基との反応性に優れる。このため、(B)化合物の1分子中の水酸基およびアミノ基の数の和を、(B)化合物の1分子中のエポキシ基およびカルボジイミド基の数の和よりも多くすることにより、過剰な架橋構造の形成による脆化を抑制し、流動性、滞留安定性、機械強度、耐熱老化性、表面外観、色調をより向上させることができる。
また、反応させる(b’)エポキシ基および/またはカルボジイミド基含有化合物に対する(b)化合物の重量比((b)/(b’))は、0.3以上10000未満であることが好ましい。(A)ポリアミド樹脂と(b’)エポキシ基および/またはカルボジイミド基含有化合物の反応性、ならびに(b)化合物と(b’)エポキシ基および/またはカルボジイミド基含有化合物の反応性は、(A)ポリアミド樹脂と(b)化合物の反応性よりも高い。このため、前記重量比((b)/(b’))が0.3以上の場合、過剰な反応によるゲルの生成を抑制し、流動性、滞留安定性、機械強度、耐熱老化性、表面外観、色調がより向上する。
(b)化合物と、(b’)エポキシ基および/またはカルボジイミド基含有化合物を反応させて(B)化合物を作製する場合、水酸基またはアミノ基と、エポキシ基またはカルボジイミド基の反応率は、1〜95%であることが好ましい。反応率が1%以上の場合、(B)化合物の分岐度を高め、自己凝集力を低下させることができ、(A)ポリアミド樹脂との反応性を高めることができ、流動性、滞留安定性、機械強度、耐熱老化性、表面外観がより向上する。反応率は10%以上がより好ましく、20%以上がさらに好ましい。一方、反応率が95%以下の場合、エポキシ基またはカルボジイミド基を適度に残存させることができ、(A)ポリアミド樹脂との反応性を高めることができる。反応率は90%以下がより好ましく、70%以下がさらに好ましい。(B)化合物の反応率は、後述の(C)リン含有化合物を含むことによりさらに高めることができる。
水酸基および/またはアミノ基と、エポキシ基および/またはカルボジイミド基の反応率は、(B)化合物を、溶媒(例えば重水素化ジメチルスルホキシド、重水素化ヘキサフルオロイソプロパノールなど)に溶解し、エポキシ基の場合は1H−NMR測定によりエポキシ環由来ピークについて、(b)化合物との反応前後の減少量を求めることにより、カルボジイミド基の場合は13C−NMR測定によりカルボジイミド基由来ピークについて、(b)化合物との反応前後の減少量を求めることにより、算出することができる。反応率は、下記式(4)により求めることができる。
反応率(%)={1−(e/d)}×100 (4)
上記式(4)中、dは、(b)化合物と、(b’)エポキシ基および/またはカルボジイミド基含有化合物をドライブレンドしたもののピーク面積を表し、eは(B)化合物のピーク面積を表す。
反応率(%)={1−(e/d)}×100 (4)
上記式(4)中、dは、(b)化合物と、(b’)エポキシ基および/またはカルボジイミド基含有化合物をドライブレンドしたもののピーク面積を表し、eは(B)化合物のピーク面積を表す。
一例として、ジペンタエリスリトールとビスフェノールA型エポキシ樹脂(三菱化学(株)製“jER”(登録商標)1004)を3:1の重量比でドライブレンドしたものの1H−NMRスペクトルを図1に示す。また、後述する参考例1により得た(B−1)化合物および/またはその縮合物の1H−NMRスペクトルを図2に示す。重水素化ジメチルスルホキシドを溶媒に用い、サンプル量は0.035g、溶媒量は0.70mlとした。符号1は溶媒ピークを示す。
図1に示す1H−NMRスペクトルから、2.60ppmと2.80ppm付近に現れるエポキシ環由来ピーク面積の合計を求め、同様に図2に示すピーク面積の合計を求め、反応率の算出式(4)より反応率を算出する。この際、ピーク面積は反応に寄与しないエポキシ樹脂のベンゼン環のピークの面積で規格化する。
本発明の実施形態の長繊維強化ポリアミド樹脂ペレットは、さらに(C)強化繊維を含む。(C)強化繊維としては、例えば、炭素繊維、ガラス繊維、芳香族ポリアミド繊維などの有機繊維、アルミナ繊維、炭化珪素繊維、ボロン繊維、金属繊維などの高強度、高弾性率繊維を挙げることができる。これらを2種以上用いてもよい。
本発明における(C)強化繊維は、(A)ポリアミド樹脂に対する繊維補強効果により、機械強度などの力学特性を向上し得るものである。さらに、強化繊維が導電性や熱伝導性など、固有の特性を有する場合、(A)ポリアミド樹脂単体では為し得ない、それらの性質も付与することができる。機械強度のさらなる向上、成形品の軽量化効果の観点から、ガラス繊維や炭素繊維が好ましい。また、導電性を付与する目的においては、ニッケルや銅やイッテルビウムなどの金属を被覆した強化繊維を用いてもよい。
(C)強化繊維の平均繊維径は特に限定されないが、成形品の機械強度と表面外観の観点から、3〜20μmが好ましい。強化繊維束とした場合の単繊維数には特に制限はないが、100〜50,000本が好ましく、生産性の観点から1,000〜25,000本がより好ましい。また、(C)強化繊維は、(C)強化繊維と(A)ポリアミド樹脂との接着性を向上させたり、(C)強化繊維の毛羽立ちを防止するなどの目的で、公知のカップリング剤や集束剤で処理されたものであってもよい。カップリング剤としては例えばシラン系カップリング剤、アルミネート系カップリング剤、チタネート系カップリング剤などが挙げられる。集束剤としては、例えば、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリエチレングリコール、ポリウレタン、ポリエステル、乳化剤あるいは界面活性剤などが挙げられる。これらを2種以上用いてもよい。カップリング剤や集束剤の処理量は、(C)強化繊維100重量部に対して0.05重量部以上が好ましく、0.1重量部以上がより好ましい。
本発明の実施形態の長繊維強化ポリアミド樹脂ペレットにおいて、(C)強化繊維の含有量は(A)ポリアミド樹脂100重量部に対し、5〜150重量部である。5重量部未満では繊維による補強効果が小さい。10重量部以上が好ましく、15重量部以上がより好ましい。一方、150重量部を超えると長繊維強化ポリアミド樹脂ペレットの生産性が低く、流動性も低下する。120重量部以下が好ましく、80重量部以下がより好ましい。
本発明の実施形態の長繊維強化ポリアミド樹脂ペレットは、(C)強化繊維の長さがペレットの長さと実質的に同一で、かつ、(C)強化繊維がペレットの長尺方向に配列してなる。ここで言う、「ペレットの長尺方向に配列」とは、(C)強化繊維の長軸の軸線と、ペレットの長軸の軸線とが、同方向を指向している状態を示す。軸線同士のなす角度は好ましくは20°以下であり、より好ましくは10°以下であり、さらに好ましくは5°以下である。また、「ペレットの長さと実質的に同一」とは、ペレット内部で(C)強化繊維が意図的に切断されていたり、ペレット全長よりも有意に短い(C)強化繊維が実質的に含まれたりしないことを示す。(C)強化繊維が成形材料と実質的に同じ長さを有することにより、成形品中の強化繊維長を長くすることができ、機械強度をより向上させることができる。本発明の実施形態の長繊維強化ポリアミド樹脂ペレットは、長尺方向にほぼ同一の断面形状を保ち、連続であることが好ましい。また、長繊維強化ポリアミド樹脂ペレットの長尺方向の長さは3〜20mmが好ましい。長繊維強化ポリアミド樹脂ペレットの長尺方向の長さが3mm以上であれば、ペレットの生産性を向上させることができる。5mm以上がより好ましい。一方、長繊維強化ポリアミド樹脂ペレットの長尺方向の長さが20mm以下であれば、成形時のペレットのブリッジ化を抑制することができる。15mm以下がより好ましい。このような長繊維強化ポリアミド樹脂ペレットを得る手段としては、強化繊維束を押出機の先端に取り付けた溶融樹脂が充満しているダイの中に通しながら、バーでしごく、拡幅・集束を繰り返す、圧力や振動を加えるなどの操作で強化繊維束に樹脂を含浸させる方法や、強化繊維束を電線被覆法用のコーティングダイの中に通し、溶融樹脂を強化繊維束の周囲に押出被覆させる方法などの公知の方法がいずれも用いられ、これらの方法で得られた強化繊維とポリアミド樹脂の複合体をストランドカッターで所定の長さにカットすることで、(C)強化繊維の長さがペレットの長さと実質的に同一で、かつ、(C)強化繊維がペレットの長尺方向に配列している長繊維強化ポリアミド樹脂ペレットを得ることができる。
本発明の実施形態の長繊維強化ポリアミド樹脂ペレットは、さらに(D)リン含有化合物を含有することができる。従来より、次亜リン酸ナトリウムなどのリン含有化合物は、ポリアミドを重縮合する際の重縮合触媒として用いられており、重合時間の短縮化、黄変抑制効果が知られているが、本発明の実施形態においては、(b)化合物および/または(B)化合物とともに(D)リン含有化合物を含有することにより、長繊維強化ポリアミド樹脂ペレットの流動性および滞留安定性を向上させ、耐熱老化性、機械強度、表面外観および色調により優れる成形品を得ることができる。これは、(D)リン含有化合物は、(A)ポリアミド樹脂の自己縮合よりも、(b)化合物および/または(B)化合物の反応率向上を促進する効果に優れるため、(A)ポリアミド樹脂の増粘を抑制しながら(b)化合物および/または(B)化合物の分岐度を高めることができ、(b)化合物および/または(B)化合物の自己凝集力を低減することにより、(A)ポリアミド樹脂との反応性および相溶性をよりいっそう向上させ、長繊維強化ポリアミド樹脂ペレットにおける(b)化合物および/または(B)化合物の分散性をより向上させることができるためと考えられる。
本発明の実施形態の長繊維強化ポリアミド樹脂ペレットにおいて、(D)リン含有化合物の含有量は、リン原子換算で(A)ポリアミド樹脂含有量に対して180〜3500ppmが好ましい。リン原子換算濃度が180ppm以上であれば、流動性および滞留安定性、成形品の耐熱老化性、機械強度、および色調をより向上させることができる。(D)リン含有化合物のリン原子換算濃度は、(A)ポリアミド樹脂含有量に対して、300ppm以上がより好ましく、800ppm以上がさらに好ましい。一方で、(D)リン原子換算含有量が3500ppm以下であれば、(A)ポリアミド樹脂の増粘を抑制し、流動性をより向上させることができる。また、せん断発熱による(D)リン含有化合物の分解により発生するガスによる(A)ポリアミド樹脂および(b)化合物および/または(B)化合物の分解を抑制し、滞留安定性、耐熱老化性、機械強度をより向上させることができる。また、(D)リン含有化合物の成形品表層へのブリードアウトを抑制し、表面外観、色調をより向上させることができる。(D)リン含有化合物の含有量は、リン原子換算で、(A)ポリアミド樹脂含有量に対して、3000ppm以下が好ましい。
なお、ここでいう長繊維強化ポリアミド樹脂ペレット中のポリアミド樹脂含有量に対する(D)リン含有化合物由来のリン原子換算濃度は、以下の方法により求めることができる。まず長繊維強化ポリアミド樹脂ペレットまたはその成形品を減圧乾燥した後、550℃の電気炉で24時間加熱して灰化させ、長繊維強化ポリアミド樹脂ペレットまたはその成形品中の無機物の含有量を求める。また、衝撃改良剤などの(A)ポリアミド樹脂以外の樹脂成分や、(b)化合物および/または(B)化合物および(D)リン含有化合物およびその他の添加剤を含有する場合は、有機溶媒による抽出分離により(A)ポリアミド樹脂または(A)ポリアミド樹脂以外の成分の重量を測定し、長繊維強化ポリアミド樹脂ペレットまたはその成形品中の(A)ポリアミド樹脂含有量を算出する。一方、長繊維強化ポリアミド樹脂ペレットまたはその成形品を炭酸ソーダ共存下において乾式灰化分解するか、硫酸・硝酸・過塩素酸系または硫酸・過酸化水素水系において湿式分解することにより、リンを正リン酸とする。次いで、正リン酸を1mol/L硫酸溶液中においてモリブデン酸塩と反応させて、リンモリブデン酸とし、これを硫酸ヒドラジンで還元して、生成するヘテロポリブルーの830nmの吸光度を吸光光度計(検量線法)で測定して比色定量することにより、長繊維強化ポリアミド樹脂ペレット中のリン含有量を算出する。比色定量により算出したリン量を、先に算出したポリアミド樹脂量で割ることにより、ポリアミド樹脂に対するリン原子濃度を求めることができる。
(D)リン含有化合物としては、例えば、ホスファイト化合物、ホスフェート化合物、ホスホナイト化合物、ホスホネート化合物、ホスフィナイト化合物、ホスフィネート化合物などが挙げられる。これらを2種以上含有してもよい。
ホスファイト化合物としては、例えば、亜リン酸、亜リン酸アルキルエステル、亜リン酸アリールエステル、およびそれらの金属塩などが挙げられる。アルキルエステルやアリールエステルは、モノエステルであってもよいし、ジエステルやトリエステルなど複数のエステル結合を有してもよく、以下同様である。具体的には、亜リン酸、亜リン酸トリメチル、亜リン酸トリエチル、亜リン酸トリフェニル、ビス(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトール−ジ−ホスファイト、ビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ペンタエリスリトール−ジ−ホスファイト、およびこれらの金属塩等が挙げられる。金属塩については後述する。
ホスフェート化合物としては、例えば、リン酸、リン酸アルキルエステル、リン酸アリールエステル、およびそれらの金属塩などが挙げられる。具体的には、リン酸、リン酸トリメチル、リン酸トリエチル、リン酸トリフェニル、およびこれらの金属塩等が挙げられる。
ホスホナイト化合物としては、例えば、亜ホスホン酸、亜ホスホン酸アルキルエステル、亜ホスホン酸アリールエステル、アルキル化亜ホスホン酸、アリール化亜ホスホン酸、それらのアルキルエステルまたはアリールエステル、およびそれらの金属塩などが挙げられる。具体的には、亜ホスホン酸、亜ホスホン酸ジメチル、亜ホスホン酸ジエチル、亜ホスホン酸ジフェニル、メチル亜ホスホン酸、エチル亜ホスホン酸、プロピル亜ホスホン酸、イソプロピル亜ホスホン酸、ブチル亜ホスホン酸、フェニル亜ホスホン酸、テトラキス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)[1,1−ビフェニル]−4,4’−ジイルビスホスホナイト、テトラキス(2,4−ジ−t−ブチル−5−メチルフェニル)[1,1−ビフェニル]−4,4’−ジイルビスホスホナイト、これらのアルキルエステルまたはアリールエステル、およびこれらの金属塩等が挙げられる。
ホスホネート化合物としては、例えば、ホスホン酸、ホスホン酸アルキルエステル、ホスホン酸アリールエステル、アルキル化ホスホン酸またはアリール化ホスホン酸、それらのアルキルエステルまたはアリールエステル、およびそれらの金属塩などが挙げられる。具体的には、ホスホン酸ジメチル、ホスホン酸ジエチル、ホスホン酸ジフェニル、メチルホスホン酸、エチルホスホン酸、プロピルホスホン酸、イソプロピルホスホン酸、ブチルホスホン酸、フェニルホスホン酸、ベンジルホスホン酸、トリルホスホン酸、キシリルホスホン酸、ビフェニルホスホン酸、ナフチルホスホン酸、アントリルホスホン酸、これらのアルキルエステルまたはアリールエステル、およびこれらの金属塩等が挙げられる。
ホスフィナイト化合物としては、例えば、亜ホスフィン酸、亜ホスフィン酸アルキルエステル、亜ホスフィン酸アリールエステル、アルキル化亜ホスフィン酸、アリール化亜ホスフィン酸、それらのアルキルまたはアリールエステル、およびそれらの金属塩などが挙げられる。具体的には、亜ホスフィン酸、亜ホスフィン酸メチル、亜ホスフィン酸エチル、亜ホスフィン酸フェニル、メチル亜ホスフィン酸、エチル亜ホスフィン酸、プロピル亜ホスフィン酸、イソプロピル亜ホスフィン酸、ブチル亜ホスフィン酸、フェニル亜ホスフィン酸、ジメチル亜ホスフィン酸、ジエチル亜ホスフィン酸、ジプロピル亜ホスフィン酸、ジイソプロピル亜ホスフィン酸、ジブチル亜ホスフィン酸、ジフェニル亜ホスフィン酸、これらのアルキルエステルまたはアリールエステル、およびこれらの金属塩が等が挙げられる。
ホスフィネート化合物としては、例えば、次亜リン酸、次亜リン酸アルキルエステル、次亜リン酸アリールエステル、アルキル化次亜リン酸、アリール化次亜リン酸、それらのアルキルエステルまたはアリールエステル、およびそれらの金属塩などが挙げられる。具体的には、ホスフィン酸メチル、ホスフィン酸エチル、ホスフィン酸フェニル、メチルホスフィン酸、エチルホスフィン酸、プロピルホスフィン酸、イソプロピルホスフィン酸、ブチルホスフィン酸、フェニルホスフィン酸、トリルホスフィン酸、キシリルホスフィン酸、ビフェニリルホスフィン酸、ジメチルホスフィン酸、ジエチルホスフィン酸、ジプロピルホスフィン酸、ジイソプロピルホスフィン酸、ジブチルホスフィン酸、ジフェニルホスフィン酸、ジトリルホスフィン酸、ジキシリルホスフィン酸、ジビフェニリルホスフィン酸、ナフチルホスフィン酸、アントリルホスフィン酸、2−カルボキシフェニルホスフィン酸、これらのアルキルエステルまたはアリールエステル、およびこれらの金属塩などが挙げられる。
これらの中でもホスファイト化合物、ホスフィネート化合物が好ましく、またこれらは水和物であっても構わない。亜リン酸、次亜リン酸およびそれらの金属塩からなる群より選ばれる少なくとも1種を含有することがさらに好ましい。かかる化合物を含有することにより、(A)ポリアミド樹脂の増粘を抑制しながら、(b)化合物および/または(B)化合物の反応率をより高めることができ、分岐度を高めて自己凝集力を低下させることができることから、成形時の流動性および滞留安定性をより向上させ、成形品の耐熱老化性、機械強度、表面外観および色調をより向上させることができる。
金属塩を構成する金属としては、例えば、リチウム、ナトリウム、カリウムなどのアルカリ金属、マグネシウム、カルシウム、バリウムなどのアルカリ土類金属などが挙げられる。これらの中でも、ナトリウム、カルシウムが好ましい。
亜リン酸または次亜リン酸の金属塩として、具体的には、亜リン酸リチウム、亜リン酸ナトリウム、亜リン酸カリウム、亜リン酸マグネシウム、亜リン酸カルシウム、亜リン酸バリウム、次亜リン酸リチウム、次亜リン酸ナトリウム、次亜リン酸カリウム、次亜リン酸マグネシウム、次亜リン酸カルシウム、次亜リン酸バリウムなどが挙げられる。これらの中でも、次亜リン酸ナトリウム、亜リン酸ナトリウムなどのナトリウム金属塩や、亜リン酸カルシウム、次亜リン酸カルシウムなどのカルシウム金属塩がより好ましく、(A)ポリアミド樹脂の増粘を抑制しながら、(b)化合物および/または(B)化合物の反応率をより高めることができ、分岐度を高めて自己凝集力を低下させることができることから、成形時の流動性および滞留安定性をより向上させ、成形品の耐熱老化性、機械強度、表面外観および色調をより向上させることができる。
本発明の実施形態の長繊維強化ポリアミド樹脂ペレットは、さらに(E)200℃における溶融粘度が0.01〜20Pa・sである熱可塑性重合体(以下、「(E)化合物」と記載する場合がある)を含有することができる。(E)化合物を含有することにより、長繊維強化ポリアミド樹脂ペレット製造時やその成形時に、(C)強化繊維の分散性をより向上させ、成形時の流動性をより向上させることができる。(E)化合物の200℃における溶融粘度が0.01Pa・s以上であれば、成形品の機械強度をより向上させることができる。一方、(E)化合物の200℃における溶融粘度が20Pa・s以下であれば、長繊維強化ポリアミド樹脂ペレットの製造時やその成形時に、(C)強化繊維の分散性をより向上させることができる。ここで、(E)化合物の200℃における溶融粘度は、40mmのパラレルプレートを用いて、0.5Hzにて、粘弾性測定器により測定することができる。
本発明の実施形態の長繊維強化ポリアミド樹脂ペレットにおいて、(E)化合物は、(A)ポリアミド樹脂と親和性の高いものが好ましい。(A)ポリアミド樹脂との親和性が高い(E)化合物を選択することによって、長繊維強化ポリアミド樹脂ペレットの製造時やその成形時に、(A)ポリアミド樹脂と効率よく相溶するため、(C)強化繊維の分散性をより向上させることができる。(E)化合物としては、フェノール系重合体が好ましく、例えば、フェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂、アルキルベンゼン変性フェノール樹脂、カシュー変性フェノール樹脂、テルペン変性フェノール樹脂、テルペンフェノール樹脂などが挙げられる。これらを2種以上用いてもよい。
(E)化合物の含有量は、(A)ポリアミド樹脂100重量部に対して、0.1〜65重量部が好ましい。(E)化合物の含有量が0.1重量部以上であれば、(C)強化繊維の分散性や成形時の流動性をより向上させることができる。一方、(E)化合物の含有量が65重量部以下であれば、成形品の機械強度をより向上させることができる。
また、(E)化合物は、(C)強化繊維にあらかじめ含浸されていることが好ましい形態であり、この形態により長繊維強化ポリアミド樹脂ペレットの製造時やその成形時に、(A)ポリアミド樹脂中への(C)強化繊維の分散性を最も効率的に発現させることが可能となる。
本発明の実施形態の長繊維強化ポリアミド樹脂ペレットは、さらに銅化合物を含有することができる。銅化合物は、(A)ポリアミド樹脂のアミド基に配位することに加え、(b)化合物および/または(B)化合物の水酸基や水酸化物イオンとも配位結合すると考えられる。このため、銅化合物は、(A)ポリアミド樹脂と(b)化合物および/または(B)化合物の相溶性を高める効果があると考えられる。
本発明の実施形態のポリアミド樹脂組成物は、さらに、カリウム化合物を含有することができる。カリウム化合物は銅の遊離や析出を抑制する。このため、カリウム化合物は、銅化合物と(b)化合物および/または(B)化合物および(A)ポリアミド樹脂との反応を促進する効果があると考えられる。
銅化合物としては、例えば、塩化銅、臭化銅、ヨウ化銅、酢酸銅、銅アセチルアセトナート、炭酸銅、ほうふっ化銅、クエン酸銅、水酸化銅、硝酸銅、硫酸銅、蓚酸銅などが挙げられる。銅化合物として、これらを2種以上含有してもよい。これら銅化合物の中でも、工業的に入手できるものが好ましく、ハロゲン化銅が好適である。ハロゲン化銅としては、例えば、ヨウ化銅、臭化第一銅、臭化第二銅、塩化第一銅などが挙げられる。ハロゲン化銅としては、ヨウ化銅がより好ましい。
カリウム化合物としては、例えば、ヨウ化カリウム、臭化カリウム、塩化カリウム、フッ化カリウム、酢酸カリウム、水酸化カリウム、炭酸カリウム、硝酸カリウムなどが挙げられる。カリウム化合物として、これらを2種以上含有してもよい。これらカリウム化合物の中でも、ヨウ化カリウムが好ましい。カリウム化合物を含むことにより、成形品の表面外観、耐候性および耐金型腐食性を向上させることができる。
本発明の実施形態の長繊維強化ポリアミド樹脂ペレット中の銅元素の含有量(重量基準)は、25〜200ppmであることが好ましい。銅元素の含有量を25ppm以上とすることにより、(A)ポリアミド樹脂と(b)化合物および/または(B)化合物の相溶性がより向上し、成形品の耐熱老化性をより向上させることができる。長繊維強化ポリアミド樹脂ペレット中の銅元素の含有量(重量基準)は、80ppm以上が好ましい。一方、銅元素の含有量を200ppm以下とすることにより、銅化合物の析出や遊離による着色を抑制し、成形品の表面外観をより向上させることができる。また、銅元素の含有量を200ppm以下とすることにより、ポリアミド樹脂と銅の過剰な配位結合に起因するアミド基の水素結合力の低下を抑制し、成形品の耐熱老化性をより向上させることができる。長繊維強化ポリアミド樹脂ペレット中の銅元素の含有量(重量基準)は、190ppm以下が好ましい。なお、長繊維強化ポリアミド樹脂ペレット中の銅元素の含有量は、銅化合物の含有量を適宜調節することにより前述の所望の範囲にすることができる。
長繊維強化ポリアミド樹脂ペレット中の銅元素の含有量は、以下の方法により求めることができる。まず、長繊維強化ポリアミド樹脂ペレットを減圧乾燥する。乾燥後、550℃の電気炉で24時間灰化させ、その灰化物に濃硫酸を加えて加熱して湿式分解し、分解液を希釈する。その希釈液を原子吸光分析(検量線法)することにより、銅含有量を求めることができる。
長繊維強化ポリアミド樹脂ペレット中のカリウム元素の含有量に対する銅元素の含有量の比Cu/Kは、0.21〜0.43であることが好ましい。Cu/Kは、銅の析出や遊離の抑制の程度を表す指標であり、この値が小さいほど、銅の析出や遊離を抑制して、銅化合物と、(b)化合物および/または(B)化合物および(A)ポリアミド樹脂との反応を促進することができる。Cu/Kを0.43以下とすることにより、銅の析出や遊離を抑制し、成形品の表面外観をより向上させることができる。また、Cu/Kを0.43以下とすることにより、ポリアミド樹脂への相溶性も向上することから、成形品の耐熱老化性より向上させることができる。一方、Cu/Kを0.21以上とすることにより、カリウムを含む化合物の分散性を向上させ、特に潮解性のヨウ化カリウムであっても塊状となりにくく、銅の析出や遊離の抑制効果が向上することから、銅化合物と、(b)化合物および/または(B)化合物および(A)ポリアミド樹脂との反応が十分に促進され、成形品の耐熱老化性をより向上させることができる。ポリアミド樹脂組成物中のカリウム元素含有量は、上記の銅含有量と同様の方法にて求めることができる。
本発明の実施形態の長繊維強化ポリアミド樹脂ペレットは、さらに(C)強化繊維以外の非繊維状充填材を含有することができる。(C)強化繊維以外の非繊維状充填材としては、有機充填材、無機充填材のいずれを用いてもよい。(C)強化繊維以外の非繊維状充填材としては、例えば、タルク、ワラステナイト、ゼオライト、セリサイト、マイカ、カオリン、クレー、パイロフィライト、ベントナイト、アスベスト、アルミナシリケート、珪酸カルシウムなどの非膨潤性珪酸塩、Li型フッ素テニオライト、Na型フッ素テニオライト、Na型四珪素フッ素雲母、Li型四珪素フッ素雲母の膨潤性雲母に代表される膨潤性層状珪酸塩、酸化珪素、酸化マグネシウム、アルミナ、シリカ、珪藻土、酸化ジルコニウム、酸化チタン、酸化鉄、酸化亜鉛、酸化カルシウム、酸化スズ、酸化アンチモンなどの金属酸化物、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸亜鉛、炭酸バリウム、ドロマイト、ハイドロタルサイトなどの金属炭酸塩、硫酸カルシウム、硫酸バリウムなどの金属硫酸塩、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化アルミニウム、塩基性炭酸マグネシウムなどの金属水酸化物、モンモリロナイト、バイデライト、ノントロナイト、サポナイト、ヘクトライト、ソーコナイトなどのスメクタイト系粘土鉱物やバーミキュライト、ハロイサイト、カネマイト、ケニヤイト、燐酸ジルコニウム、燐酸チタニウムなどの各種粘土鉱物、チタン酸カリウムウィスカー、酸化亜鉛ウィスカー、炭酸カルシウムウィスカー、ワラステナイトウィスカー、硼酸アルミウィスカー、窒化珪素ウィスカーなどのウィスカー状充填材、ガラスビーズ、ガラスフレーク、セラミックビーズ、窒化ホウ素、窒化アルミニウム、炭化珪素、燐酸カルシウム、カーボンブラック、黒鉛などが挙げられる。上記の膨潤性層状珪酸塩は、層間に存在する交換性陽イオンが有機オニウムイオンで交換されていてもよく、有機オニウムイオンとしては、例えば、アンモニウムイオンやホスホニウムイオン、スルホニウムイオンなどが挙げられる。これらを2種以上含有してもよい。
なお、上記(C)強化繊維以外の非繊維状充填材は、その表面を公知のカップリング剤(例えば、シラン系カップリング剤、チタネート系カップリング剤など)などにより処理されていてもよく、成形品の機械強度や表面外観をより向上させることができる。例えば、常法に従って予め充填材をカップリング剤により表面処理し、ついでポリアミド樹脂と溶融混練する方法が好ましく用いられるが、予め充填材の表面処理を行わずに、充填材とポリアミド樹脂を溶融混練する際に、カップリング剤を添加するインテグラブルブレンド法を用いてもよい。カップリング剤の処理量は、(C)強化繊維以外の非繊維状充填材100重量部に対して0.05重量部以上が好ましく、0.5重量部以上がより好ましい。一方、カップリング剤の処理量は、(C)強化繊維以外の非繊維状充填材100重量部に対して10重量部以下が好ましく、3重量部以下がより好ましい。
上記の(C)強化繊維以外の非繊維状充填材の含有量は、(A)ポリアミド樹脂100重量部に対し、1〜100重量部が好ましい。(C)強化繊維以外の非繊維状充填材の含有量が1重量部以上であれば、充填材による効果を効果的に発現することができる。一方、(C)強化繊維以外の非繊維状充填材の含有量が100重量部以下であれば、長繊維強化ポリアミド樹脂ペレットの生産性および流動性をより向上させることができる。
さらに、本発明の実施形態の長繊維強化ポリアミド樹脂ペレットは、本発明の効果を損なわない範囲において、ポリアミド樹脂以外の樹脂や、目的に応じて各種添加剤を含有することが可能である。
ポリアミド樹脂以外の樹脂の具体例としては、ポリエステル樹脂、ポリオレフィン樹脂、変性ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリサルフォン樹脂、ポリケトン樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリエーテルサルフォン樹脂、ポリエーテルケトン樹脂、ポリチオエーテルケトン樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、四フッ化ポリエチレン樹脂などが挙げられる。これら樹脂を配合する場合、その含有量は、ポリアミド樹脂の特徴を十分に活かすため、(A)ポリアミド樹脂100重量部に対して30重量部以下が好ましく、20重量部以下がより好ましい。
また、各種添加剤の具体例としては、銅化合物以外の熱安定剤、イソシアネート系化合物、有機シラン系化合物、有機チタネート系化合物、有機ボラン系化合物、エポキシ化合物などのカップリング剤、ポリアルキレンオキサイドオリゴマ系化合物、チオエーテル系化合物、エステル系化合物などの可塑剤、ポリエーテルエーテルケトンなどの結晶核剤、モンタン酸ワックス類、ステアリン酸リチウム、ステアリン酸アルミ等の金属石鹸、エチレンジアミン・ステアリン酸・セバシン酸重縮合物、シリコーン系化合物などの離型剤、滑剤、紫外線防止剤、着色剤、難燃剤、耐衝撃改良剤、発泡剤などを挙げることができる。これら添加剤を含有する場合、その含有量は、ポリアミド樹脂の特徴を十分に活かすため、(A)ポリアミド樹脂100重量部に対して10重量部以下が好ましく、1重量部以下がより好ましい。
銅化合物以外の熱安定剤としては、フェノール系化合物、硫黄系化合物、アミン系化合物などが挙げられる。銅化合物以外の熱安定剤としては、これらを2種以上用いてもよい。
フェノール系化合物としては、ヒンダードフェノール系化合物が好ましく用いられ、N、N’−ヘキサメチレンビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ−ヒドロシンナミド)、テトラキス[メチレン−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタンなどが好ましく用いられる。
硫黄系化合物としては、有機チオ酸系化合物、メルカプトベンゾイミダゾール系化合物、ジチオカルバミン酸系化合物、チオウレア系化合物等が挙げられる。これら硫黄系化合物の中でも、メルカプトベンゾイミダゾール系化合物および有機チオ酸系化合物が好ましい。特に、チオエーテル構造を有するチオエーテル系化合物は、酸化された物質から酸素を受け取って還元するため、熱安定剤として好適に使用することができる。チオエーテル系化合物としては、具体的には、2−メルカプトベンゾイミダゾール、2−メルカプトメチルベンゾイミダゾール、ジテトラデシルチオジプロピオネート、ジオクタデシルチオジプロピオネート、ペンタエリスリトールテトラキス(3−ドデシルチオプロピオネート)、ペンタエリスリトールテトラキス(3−ラウリルチオプロピオネート)が好ましく、ペンタエリスリトールテトラキス(3−ドデシルチオプロピオネート)、ペンタエリスリトールテトラキス(3−ラウリルチオプロピオネート)がより好ましい。硫黄系化合物の分子量は、通常200以上、好ましくは500以上であり、その上限は通常3,000である。
アミン系化合物としては、ジフェニルアミン骨格を有する化合物、フェニルナフチルアミン骨格を有する化合物およびジナフチルアミン骨格を有する化合物が好ましく、ジフェニルアミン骨格を有する化合物、フェニルナフチルアミン骨格を有する化合物がさらに好ましい。これらアミン系化合物の中でも4,4’−ビス(α,α−ジメチルベンジル)ジフェニルアミン、N,N’−ジ−2−ナフチル−p−フェニレンジアミンおよびN,N’−ジフェニル−p−フェニレンジアミンがより好ましく、N,N’−ジ−2−ナフチル−p−フェニレンジアミンおよび4,4’−ビス(α,α−ジメチルベンジル)ジフェニルアミンが特に好ましい。
硫黄系化合物またはアミン系化合物の組み合わせとしては、ペンタエリスリトールテトラキス(3−ラウリルチオプロピオネート)と4,4’−ビス(α,α−ジメチルベンジル)ジフェニルアミンの組み合わせがより好ましい。
本発明の実施形態の長繊維強化ポリアミド樹脂ペレットの形態の一例として、図3〜4に長繊維強化ポリアミド樹脂ペレットの断面形状の例を示す。長繊維強化ポリアミド樹脂ペレットの断面形状は、(A)ポリアミド樹脂と(b)化合物および/または(B)化合物、必要によりその他成分とを溶融混練して得られるポリアミド樹脂組成物と、(C)強化繊維とを含むものであれば図に示されたものに限定されないが、図3に示されるように、ポリアミド樹脂組成物2中に(C)強化繊維3が分散された形態や、図4に示されるように、(C)強化繊維と(E)化合物からなる複合体4の周囲をポリアミド樹脂組成物2が被覆するように配置された形態が好ましい。図3、図4に示されるように、長繊維強化ポリアミド樹脂ペレットの外周面にポリアミド樹脂組成物が配置された形態は、(C)強化繊維が露出せず、長繊維強化ポリアミド樹脂ペレットから(C)強化繊維の脱落を抑制し、取り扱い性により優れる。長繊維強化ポリアミド樹脂ペレットの断面形状としては、円形、楕円形、多角形などが挙げられる。長繊維強化ポリアミド樹脂ペレットの長手方向は、ほぼ同一の断面形状を保ち連続であればよい。
本発明の実施形態の長繊維強化ポリアミド樹脂ペレットの製造方法としては、特に制限はなく、先端に溶融樹脂が充満する空間と樹脂含浸のためのロールまたはバーを備えるダイ(以下、「クロスヘッドダイ」と記載することがある。)または電線被覆法用のコーティングダイが取り付けられた押出機で(A)ポリアミド樹脂と(b)化合物および/または(B)化合物および必要によりその他成分とを溶融混練してポリアミド樹脂組成物を作製し、先端に取り付けられたクロスヘッドダイまたは電線被覆法用のコーティングダイで(C)強化繊維の束に溶融したポリアミド樹脂組成物を含浸および/または被覆する方法や、(A)ポリアミド樹脂と(b)化合物および/または(B)化合物とを予め混練してポリアミド樹脂組成物を作製し、得られたポリアミド樹脂組成物を、先端にクロスヘッドダイまたは電線被覆法用のコーティングダイが取り付けられた押出機で溶融混練し、先端のクロスヘッドダイまたは電線被覆法用のコーティングダイで(C)強化繊維の束に溶融したポリアミド樹脂組成物を含浸および/または被覆する方法などが挙げられる。
本発明の実施形態の長繊維強化ポリアミド樹脂ペレットが(D)リン含有化合物やその他の非繊維状充填材、各種添加剤を含む場合、(A)ポリアミド樹脂、(b)化合物および/または(B)化合物とともにコンパウンド時に配合することが好ましい。
また、本発明の実施形態の長繊維強化ポリアミド樹脂ペレットが(E)化合物を含む場合、(E)化合物は(C)強化繊維にあらかじめ含浸されていることが好ましい。このような形態の複合体を得る方法は特に限定されないが、例えば(C)強化繊維に、(E)化合物を100〜300℃の溶融状態で(C)強化繊維と接触させる工程(以下、工程(I)と記載する場合がある。)と、(E)化合物と接触している(C)強化繊維を加熱して含浸させる工程(以下、工程(II)と記載する場合がある。)を有する方法などが挙げられる。
工程(I)において、(E)化合物を供給して(C)強化繊維と接触させる方法は特に限定されないが、例えば、(C)強化繊維に油剤、サイジング剤、マトリックス樹脂を付与する場合に用いられる任意の方法を用いることができる。その中でも、ディッピングもしくはコーティングが好ましく用いられる。ディッピングとは、ポンプにて(E)化合物を溶融バスに供給し、該溶融バス内に(C)強化繊維を通過させる方法をいう。(C)強化繊維を(E)化合物の溶融バスに浸すことで、(E)化合物を(C)強化繊維に付着させることができる。また、コーティングとは、例えば、リバースロール、正回転ロール、キスロール、スプレイ、カーテンなどのコーティング手段を用いて、(C)強化繊維に(E)化合物を塗布する方法をいう。ここで、リバースロール、正回転ロール、キスロールとは、ポンプで溶融させた(E)化合物をロールに供給し、(C)強化繊維に(E)化合物の溶融物を塗布する方法をいう。さらに、リバースロールは、2本のロールが互いに逆方向に回転し、ロール上に溶融した(E)化合物を塗布する方法であり、正回転ロールは、2本のロールが同じ方向に回転し、ロール上に溶融した(E)化合物を塗布する方法である。通常、リバースロール、正回転ロールでは、(C)強化繊維を挟み、さらにロールを設置し、(E)化合物を確実に付着させる方法が用いられる。一方で、キスロールは、(C)強化繊維とロールが接触しているだけで、(E)化合物を付着させる方法である。そのため、キスロールは比較的粘度の低い場合の使用が好ましいが、いずれのロール方法を用いても、加熱溶融した(E)化合物の所定量を塗布させ、(C)強化繊維を接着させながら走らせることで、繊維の単位長さ当たりに所定量の(E)化合物を付着させることができる。スプレイは、霧吹きの原理を利用したもので、溶融した(E)化合物を霧状にして(C)強化繊維に吹き付ける方法であり、カーテンは、溶融した(E)化合物を小孔から自然落下させ塗布する方法または溶融槽からオーバーフローさせ塗布する方法である。塗布に必要な量を調節しやすいため、(E)化合物の損失を少なくできる。
また、(E)化合物を供給する際の溶融温度(溶融バス内の温度)は、100〜300℃が好ましい。溶融温度が100℃以上であれば、(E)化合物の粘度を適度に抑え、付着むらを抑制することができる。150℃以上がより好ましい。一方、溶融温度が300℃以下であれば、長時間にわたり製造した場合にも、(E)化合物の熱分解を抑制することができる。250℃以下がより好ましい。100〜300℃の溶融状態で(E)化合物を(C)強化繊維と接触させることで、安定して供給することができる。
次いで、工程(I)で得られた、(E)化合物と接触した状態の(C)強化繊維を加熱して(C)強化繊維の束の内部に(E)化合物を含浸させる工程(工程(II))について説明する。具体的には、(E)化合物と接触した状態の(C)強化繊維に対して、(E)化合物が溶融する温度において、ロールやバーで張力をかける、拡幅、集束を繰り返す、圧力や振動を加えるなどの操作により、(E)化合物を(C)強化繊維の内部まで含浸するようにする工程である。より具体的な例として、加熱された複数のロールやバーの表面に(C)強化繊維を接触するように通して拡幅などを行う方法を挙げることができ、中でも、絞り口金、絞りロール、ロールプレス、ダブルベルトプレスを用いて含浸させる方法が好適に用いられる。ここで、絞り口金とは、進行方向に向かって、口金径の狭まる口金のことであり、(C)強化繊維を集束させながら、余分に付着した(E)化合物を掻き取ると同時に、含浸を促す口金である。また、絞りロールとは、ローラーで(C)強化繊維に張力をかけることで、余分に付着した(E)化合物を掻き取ると同時に、含浸を促すローラーのことである。また、ロールプレスは、2つのロール間の圧力で連続的に(C)強化繊維内部の空気を除去すると同時に、(E)化合物の含浸を促す装置であり、ダブルベルトプレスとは、(C)強化繊維の上下からベルトを介してプレスすることで、(E)化合物の含浸を促す装置である。
また、工程(II)において、(E)化合物の供給量の80〜100重量%が(C)強化繊維に含浸されていることが好ましい。80重量%以上であれば、工程(II)における(E)化合物に起因する揮発成分の発生を抑制し、(C)強化繊維の束内部のボイド発生を抑制することができる。より好ましくは、85〜100重量%であり、さらに好ましくは90〜100重量%である。
また、工程(II)において、(E)化合物の最高温度が150〜350℃であることが好ましい。最高温度が150℃以上であれば、(E)化合物を十分に溶融してより効果的に含浸させることができる。180℃以上がより好ましい。一方、最高温度が350℃以下であれば、(E)化合物の分解反応などの好ましくない副反応を抑制することができる。300℃以下がより好ましく、250℃以下がさらに好ましい。
工程(II)における加熱方法としては、特に限定されないが、具体的には、加熱したチャンバーを用いる方法や、ホットローラーを用いて加熱と加圧を同時に行う方法などが例示できる。
前述した工程(I)および工程(II)を経て得られた(E)化合物を含浸した(C)強化繊維の束をクロスヘッドダイまたは電線被覆法用のコーティングダイで、(A)ポリアミド樹脂と(b)化合物および/または(B)化合物および必要によりその他成分とを溶融混練して得られたポリアミド樹脂組成物を含浸および/または被覆することでより好ましい長繊維強化ポリアミド樹脂ペレットが得られる。
本発明の実施形態の長繊維強化ポリアミド樹脂ペレットの製造に用いられるポリアミド樹脂組成物の製造方法としては、溶融状態での混練や溶液状態での混合等が使用でき、反応性向上の点から、溶融状態での混練が好ましく使用できる。溶融状態での混練については、押出機による溶融混練やニーダーによる溶融混練等が使用できるが、生産性の点から、連続的に製造可能な押出機による溶融混練が好ましい。押出機による溶融混練については、単軸押出機、二軸押出機、四軸押出機等の多軸押出機、二軸単軸複合押出機等の押出機を1台以上使用できるが、混練性、反応性、生産性の向上の点から、二軸押出機、四軸押出機等の多軸押出機が好ましく、二軸押出機を用いた溶融混練による方法が最も好ましい。
また、本発明の実施形態の長繊維強化ポリアミド樹脂ペレットの製造に用いられるポリアミド樹脂組成物が(B)化合物を含有する場合の製造方法としては、(b)水酸基および/またはアミノ基含有化合物と(b’)エポキシ基および/またはカルボジイミド基含有化合物からあらかじめ作製した(B)化合物を(A)ポリアミド樹脂および必要に応じて(D)リン含有化合物やその他成分とともに溶融混練する方法や、(b)水酸基および/またはアミノ基含有化合物と(b’)エポキシ基および/またはカルボジイミド基含有化合物を(A)ポリアミド樹脂および必要に応じて(D)リン含有化合物やその他成分と溶融混練し、ポリアミド樹脂組成物中において(B)化合物を形成する方法が挙げられる。前者の方法が好ましく、長繊維強化ポリアミド樹脂ペレットの成形時の流動性および滞留安定性により優れ、耐熱老化性、機械強度、表面外観、色調をより向上させることができる。また、本発明の実施形態において、ポリアミド樹脂組成物が(D)リン含有化合物を含有する場合、(D)リン含有化合物は、(A)ポリアミド樹脂と(b)化合物および/または(B)化合物とともに、コンパウンド時に配合することが好ましい。コンパウンド時に(D)リン含有化合物を配合することにより、長繊維強化ポリアミド樹脂ペレットの成形時の流動性および滞留安定性をより向上させ、さらに耐熱老化性、機械強度、表面外観、色調をより向上させることができる。
二軸押出機を使用して溶融混練する場合、二軸押出機への原料供給方法についても特に制限はない。(b)化合物および/または(B)化合物を原料として二軸押出機に供給する場合や、(b)化合物と(b’)エポキシ基および/またはカルボジイミド基含有化合物を二軸押出機に供給する場合、(b)化合物および/または(B)化合物は、ポリアミド樹脂の融点よりも高い温度域では、ポリアミド樹脂の分解を促進しやすいため、(b)化合物および/または(B)化合物をポリアミド樹脂供給位置よりも下流側より供給し、(A)ポリアミド樹脂と(b)化合物および/または(B)化合物の混練時間を短くすることが好ましい。また、(D)リン含有化合物を含有する場合、(D)リン含有化合物の供給方法は、(A)ポリアミド樹脂の増粘を抑制しつつ、(b)化合物および/または(B)化合物の反応率、または(b)化合物と(b’)エポキシ基および/またはカルボジイミド基含有化合物の反応率を高める観点から、(b)化合物および/または(B)化合物とともに、(A)ポリアミド樹脂供給位置よりも下流側より供給することが好ましい。なお、(b’)エポキシ基および/またはカルボジイミド基含有化合物は、(A)ポリアミド樹脂とともに二軸押出機に供給してもよいし、ポリアミド樹脂供給位置よりも下流側より供給してもよいが、好ましくは下流側からの供給である。ここで、二軸押出機の原料が供給される側を上流、溶融樹脂が吐出される側を下流と定義する。以下、(B)化合物を二軸押出機に供給する場合を例示説明するが、(b)化合物、または(b)化合物と(b’)エポキシ基および/またはカルボジイミド基含有化合物を二軸押出機に供給する場合も同様である。
銅化合物は、(A)ポリアミド樹脂のアミド基に配位してアミド基を保護する役割を果たすとともに、(A)ポリアミド樹脂と(B)化合物の相溶化剤としての役割も果たすと考えられることから、銅化合物を配合する場合には、(A)ポリアミド樹脂とともに二軸押出機に供給し、(A)ポリアミド樹脂と銅化合物を十分に反応させることが好ましい。
二軸押出機の全スクリュー長さLとスクリュー径Dの比(L/D)は、25以上であることが好ましく、30を超えることがより好ましい。L/Dが25以上であることにより、(A)ポリアミド樹脂と必要により銅化合物を十分に混練した後に、(B)化合物および(D)リン含有化合物を供給することが容易になる。また、銅化合物を配合する場合、(A)ポリアミド樹脂と銅化合物とを十分に混練した後に、(B)化合物を供給することが容易になる。その結果、(A)ポリアミド樹脂の分解を抑制できる。また、(A)ポリアミド樹脂と(B)化合物の相溶性がより向上すると考えられ、成形時の流動性および滞留安定性をより向上させ、成形品の耐熱老化性、引張強度、表面外観、色調をより向上させることができる。
本発明の実施形態においては、少なくとも(A)ポリアミド樹脂および必要により銅化合物を、スクリュー長さの1/2より上流側から二軸押出機に供給して溶融混練することが好ましく、スクリューセグメントの上流側の端部から供給することがより好ましい。ここでいうスクリュー長とは、スクリュー根本の(A)ポリアミド樹脂が供給される位置(フィード口)にあるスクリューセグメントの上流側の端部から、スクリュー先端部までの長さである。スクリューセグメントの上流側の端部とは、押出機に連結するスクリューセグメントの最も上流側の端に位置するスクリューピースの位置のことを示す。
(B)化合物は、スクリュー長さの1/2より下流側から二軸押出機に供給して溶融混練することが好ましい。(B)化合物をスクリュー長の1/2より下流側から供給することにより、(A)ポリアミド樹脂と必要により銅化合物が十分に混練された状態とした後に、(B)化合物を供給することが容易になる。その結果、(A)ポリアミド樹脂の増粘を抑制しつつ、(B)化合物の反応率を高めることができ、分岐度を高めて自己凝集力を低減することができ、(A)ポリアミド樹脂と(B)化合物の相溶性が増すと考えられる。その結果、成形時の流動性および滞留安定性により優れ、成形品の耐熱老化性、機械強度、表面外観、色調をより向上させることができる。
二軸押出機を使用して本発明の実施形態の長繊維強化ポリアミド樹脂ペレットに用いられるポリアミド樹脂組成物を製造する場合、混練性、反応性の向上の点から、複数のフルフライトゾーンおよび複数のニーディングゾーンを有する二軸押出機を用いることが好ましい。フルフライトゾーンは1個以上のフルフライトより構成され、ニーディングゾーンは1個以上のニーディングディスクより構成される。
さらに、複数ヶ所のニーディングゾーンの樹脂圧力のうち、最大となる樹脂圧力をPkmax(MPa)とし、複数ヶ所のフルフライトゾーンの樹脂圧力のうち、最小となる樹脂圧力をPfmin(MPa)とすると、
Pkmax≧Pfmin+0.3
となる条件において溶融混練することが好ましく、
Pkmax≧Pfmin+0.5
となる条件において溶融混練することがより好ましい。なお、ニーディングゾーンおよびフルフライトゾーンの樹脂圧力とは、各々のゾーンに設置された樹脂圧力計の示す樹脂圧力を指す。
Pkmax≧Pfmin+0.3
となる条件において溶融混練することが好ましく、
Pkmax≧Pfmin+0.5
となる条件において溶融混練することがより好ましい。なお、ニーディングゾーンおよびフルフライトゾーンの樹脂圧力とは、各々のゾーンに設置された樹脂圧力計の示す樹脂圧力を指す。
ニーディングゾーンは、フルフライトゾーンに比べて、溶融樹脂の混練性および反応性に優れる。ニーディングゾーンに溶融樹脂を充満させることにより、混練性および反応性が飛躍的に向上する。溶融樹脂の充満状態を示す一つの指標として、樹脂圧力の値があり、樹脂圧力が大きいほど、溶融樹脂が充満していることを表す一つの目安となる。すなわち二軸押出機を使用する場合、ニーディングゾーンの樹脂圧力を、フルフライトゾーンの樹脂圧力より、所定の範囲で高めることにより、反応を効果的に促進させることが可能となり、分散性を高めることができる。その結果、(A)ポリアミド樹脂と(B)化合物の相溶性が増すと考えられ、成形品の耐熱老化性、機械強度、表面外観、色調をより向上させることができる。
ニーディングゾーンにおける樹脂圧力を高める方法として、特に制限はないが、例えばニーディングゾーンの間やニーディングゾーンの下流側に、溶融樹脂を上流側に押し戻す効果のある逆スクリューゾーンや、溶融樹脂を溜める効果のあるシールリングゾーン等を導入する方法などが好ましく使用できる。逆スクリューゾーンやシールリングゾーンは、1個以上の逆スクリューや1個以上のシールリングから形成され、それらを組み合わせることも可能である。
(B)化合物の上流側にあるニーディングゾーンの合計長さをLn1とした場合、Ln1/Lは0.02以上であることが好ましく、0.03以上であることがさらに好ましい。一方Ln1/Lは、0.40以下であることが好ましく、0.20以下であることがさらに好ましい。Ln1/Lを0.02以上とすることにより、(A)ポリアミド樹脂の反応性を高めることができ、0.40以下とすることにより、剪断発熱を適度に抑えて樹脂の熱劣化を抑制することができる。(A)ポリアミド樹脂の溶融温度に特に制限はないが、(A)ポリアミド樹脂の熱劣化による分子量低下を抑制するため、340℃以下が好ましい。
(B)化合物の供給位置の下流側でのニーディングゾーンの合計長さをLn2とした場合、Ln2/Lは0.02〜0.30であることが好ましい。Ln2/Lを0.02以上とすることにより、(B)化合物の反応性をより高めることができる。Ln2/Lは0.04以上がより好ましい。一方、Ln2/Lを0.30以下とすることにより、(A)ポリアミド樹脂の分解をより抑制することができる。Ln2/Lは0.16以下がより好ましい。
本発明の実施形態の長繊維強化ポリアミド樹脂ペレットに用いられるポリアミド樹脂組成物のさらに好ましい製造方法として、二軸押出機により(A)ポリアミド樹脂と(b)化合物および/または(B)化合物を溶融混練して高濃度予備混合物を作製し、その高濃度予備混合物をさらに(A)ポリアミド樹脂および必要によりその他成分と、二軸押出機により溶融混練する方法が挙げられる。(A)ポリアミド樹脂100重量部に対して、(b)化合物および/または(B)化合物10〜250重量部を溶融混練して高濃度予備混合物を作製し、その高濃度予備混合物をさらに(A)ポリアミド樹脂および必要によりその他成分とともに、二軸押出機により溶融混練することがより好ましい。高濃度予備混合物を作製しない場合と比較して、成形時の流動性により優れ、得られる成形品の耐熱老化性、機械強度をより向上させることができる。この要因については定かではないが、2度溶融混練することにより、各成分間の相溶性がさらに向上するためと考えられる。また、高濃度予備混合物を作製する際、(A)ポリアミド樹脂に対して(b)化合物および/または(B)化合物の配合量が多くなる。滞留安定性の低下を抑制するため、二軸押出機での溶融混練時に、(b)化合物および/または(B)化合物をポリアミド樹脂供給位置よりも下流側より供給し、(A)ポリアミド樹脂と(b)化合物および/または(B)化合物の混練時間を短くすることが好ましい。高濃度予備混合物に用いる(A)ポリアミド樹脂と、高濃度予備混合物へさらに配合する(A)ポリアミド樹脂は、同一であってもよく、異なっていてもよい。高濃度予備混合物に用いられる(A)ポリアミド樹脂は、成形品の耐熱老化性をより向上させる観点から、ナイロン6、ナイロン11および/またはナイロン12が好ましい。
かくして得られる長繊維強化ポリアミド樹脂ペレットは、公知の方法で成形することができる。本発明の長繊維強化ポリアミド樹脂ペレットを成形して得られる成形品は、一般的なコンパウンドタイプの繊維強化ポリアミド樹脂ペレットを成形して得られる成形品と比較し、成形品中の(C)強化繊維の繊維長が長く、機械特性に優れる。成形品中の(C)強化繊維の重量平均繊維長は0.3〜5.0mmが好ましく、機械特性および成形品の形状追従性をより向上させることができる。例えば、本発明の長繊維強化ポリアミド樹脂ペレットを用いることや、後述する成形条件を選択することにより、成形品中の(C)強化繊維の重量平均繊維長を前記範囲にすることができる。
ここで、成形品中の(C)強化繊維の重量平均繊維長は、以下の方法により測定することができる。成形品からサンプルを採取し、ギ酸で溶かした後、ろ過を行う。その残渣を水中に均一に分散させてガラス板間に挟み、光学顕微鏡(50〜200倍)にて観察する。無作為に選んだ1000本の(C)強化繊維の繊維長を計測し下記式から重量平均繊維長(LW)を算出する。
重量平均繊維長=Σ(Li2×Ni)/Σ(Li×Ni)
Li:繊維長(mm)
Ni:繊維長Liの繊維の個数
重量平均繊維長=Σ(Li2×Ni)/Σ(Li×Ni)
Li:繊維長(mm)
Ni:繊維長Liの繊維の個数
本発明の長繊維強化ポリアミド樹脂ペレットの成形方法としては、例えば、射出成形、射出圧縮成形、押出成形、圧縮成形、プレス成形などが挙げられる。なかでも、複雑な形状の成形性や成形品の量産性の観点から、射出成形、射出圧縮成形が好ましい。射出成形、射出圧縮成形に用いられる装置としては、例えば、プランジャー方式、インラインスクリュー方式の装置などが挙げられる。本発明の実施形態の長繊維強化ポリアミド樹脂ペレットを射出成形、射出圧縮成形する場合、可塑化スクリューの形状は、フルフライトタイプが好ましく、深溝で低圧縮タイプのものがより好ましい。このようなスクリューを使用することで可塑化時の剪断力が低下し、強化繊維の折損をより抑制することができる。成形条件としては、可塑化時の背圧、スクリュー回転数、射出速度を低くすることで、繊維の折損をより抑制することができる。また、成形金型の観点では、スプルー径、ランナー径、ゲート径を大きくすることで繊維の折損をより抑制することができる。
本発明の実施形態の長繊維強化ポリアミド樹脂ペレットおよびその成形品は、その優れた特性を活かし、自動車部品、電気・電子部品、建築部材、各種容器、日用品、生活雑貨および衛生用品など各種用途に利用することができる。本発明の実施形態の長繊維強化ポリアミド樹脂ペレットおよびその成形品は、とりわけ、流動性、耐熱老化性、機械強度が要求される自動車エンジン周辺部品、自動車アンダーフード部品、自動車ギア部品、自動車内装部品、自動車外装部品、吸排気系部品、エンジン冷却水系部品や、自動車電装部品、電気・電子部品用途に特に好ましく用いられる。具体的には、本発明の実施形態の長繊維強化ポリアミド樹脂ペレットおよびその成形品は、エンジンカバー、エアインテークパイプ、タイミングベルトカバー、インテークマニホールド、フィラーキャップ、スロットルボディ、クーリングファンなどの自動車エンジン周辺部品、クーリングファン、ラジエータータンクのトップおよびベース、シリンダーヘッドカバー、オイルパン、ブレーキ配管、燃料配管用チューブ、廃ガス系統部品などの自動車アンダーフード部品、ギア、アクチュエーター、ベアリングリテーナー、ベアリングケージ、チェーンガイド、チェーンテンショナなどの自動車ギア部品、シフトレバーブラケット、ステアリングロックブラケット、キーシリンダー、ドアインナーハンドル、ドアハンドルカウル、室内ミラーブラケット、エアコンスイッチ、インストルメンタルパネル、コンソールボックス、グローブボックス、ステアリングホイール、トリムなどの自動車内装部品、フロントフェンダー、リアフェンダー、フューエルリッド、ドアパネル、シリンダーヘッドカバー、ドアミラーステイ、テールゲートパネル、ライセンスガーニッシュ、ルーフレール、エンジンマウントブラケット、リアガーニッシュ、リアスポイラー、トランクリッド、ロッカーモール、モール、ランプハウジング、フロントグリル、マッドガード、サイドバンパーなどの自動車外装部品、エアインテークマニホールド、インタークーラーインレット、ターボチャージャ、エキゾーストパイプカバー、インナーブッシュ、ベアリングリテーナー、エンジンマウント、エンジンヘッドカバー、リゾネーター、及びスロットルボディなどの吸排気系部品、チェーンカバー、サーモスタットハウジング、アウトレットパイプ、ラジエータータンク、オイルネーター、及びデリバリーパイプなどのエンジン冷却水系部品、コネクタやワイヤーハーネスコネクタ、モーター部品、ランプソケット、センサー車載スイッチ、コンビネーションスイッチなどの自動車電装部品、電気・電子部品としては、例えば、発電機、電動機、変圧器、変流器、電圧調整器、整流器、抵抗器、インバーター、継電器、電力用接点、開閉器、遮断機、スイッチ、ナイフスイッチ、他極ロッド、モーターケース、ノートパソコンハウジングおよび内部部品、CRTディスプレーハウジングおよび内部部品、プリンターハウジングおよび内部部品、携帯電話、モバイルパソコン、ハンドヘルド型モバイルなどの携帯端末ハウジングおよび内部部品、ICやLED対応ハウジング、コンデンサー座板、ヒューズホルダー、各種ギヤー、各種ケース、キャビネットなどの電気部品、コネクター、SMT対応のコネクタ、カードコネクタ、ジャック、コイル、コイルボビン、センサー、LEDランプ、ソケット、抵抗器、リレー、リレーケース、リフレクタ、小型スイッチ、電源部品、コイルボビン、コンデンサー、バリコンケース、光ピックアップシャーシ、発振子、各種端子板、変成器、プラグ、プリント基板、チューナー、スピーカー、マイクロフォン、ヘッドフォン、小型モーター、磁気ヘッドベース、パワーモジュール、SiパワーモジュールやSiCパワーモジュール、半導体、液晶、FDDキャリッジ、FDDシャーシ、モーターブラッシュホルダー、トランス部材、パラボラアンテナ、コンピューター関連部品などの電子部品などに好ましく用いられる。
以下に実施例を挙げて本発明の実施形態をさらに具体的に説明する。特性評価は下記の方法に従って行った。
[ポリアミド樹脂の融点]
ポリアミド樹脂を約5mg採取し、窒素雰囲気下、セイコーインスツル製 ロボットDSC(示差走査熱量計)RDC220を用い、次の条件で(A)ポリアミド樹脂の融点を測定した。ポリアミド樹脂の融点+40℃に昇温して溶融状態とした後、20℃/分の降温速度で30℃まで降温し、30℃で3分間保持した後、20℃/分の昇温速度で融点+40℃まで昇温したときに観測される吸熱ピークの温度(融点)を求めた。
ポリアミド樹脂を約5mg採取し、窒素雰囲気下、セイコーインスツル製 ロボットDSC(示差走査熱量計)RDC220を用い、次の条件で(A)ポリアミド樹脂の融点を測定した。ポリアミド樹脂の融点+40℃に昇温して溶融状態とした後、20℃/分の降温速度で30℃まで降温し、30℃で3分間保持した後、20℃/分の昇温速度で融点+40℃まで昇温したときに観測される吸熱ピークの温度(融点)を求めた。
[ポリアミド樹脂の相対粘度]
ポリアミド樹脂濃度0.01g/mlの98%濃硫酸中、25℃でオストワルド式粘度計を用いて相対粘度(ηr)を測定した。
ポリアミド樹脂濃度0.01g/mlの98%濃硫酸中、25℃でオストワルド式粘度計を用いて相対粘度(ηr)を測定した。
[長繊維強化ポリアミド樹脂ペレット中のポリアミド樹脂に対するリン原子含有量]
実施例1、3〜12により得られた長繊維強化ポリアミド樹脂ペレットを80℃で12時間減圧乾燥し、その長繊維強化ポリアミド樹脂ペレットを550℃の電気炉で24時間灰化させ、無機物含有量を求めた。次いで、その長繊維強化ポリアミド樹脂ペレットを60℃のDMSO中で撹拌処理し、ポリアミド樹脂以外の添加剤成分を抽出し、添加剤含有量を求めた。その後、長繊維強化ポリアミド樹脂ペレットの重量より無機物および添加剤重量を減じることにより長繊維強化ポリアミド樹脂中のポリアミド樹脂の含有量を求めた。
実施例1、3〜12により得られた長繊維強化ポリアミド樹脂ペレットを80℃で12時間減圧乾燥し、その長繊維強化ポリアミド樹脂ペレットを550℃の電気炉で24時間灰化させ、無機物含有量を求めた。次いで、その長繊維強化ポリアミド樹脂ペレットを60℃のDMSO中で撹拌処理し、ポリアミド樹脂以外の添加剤成分を抽出し、添加剤含有量を求めた。その後、長繊維強化ポリアミド樹脂ペレットの重量より無機物および添加剤重量を減じることにより長繊維強化ポリアミド樹脂中のポリアミド樹脂の含有量を求めた。
次に長繊維強化ポリアミド樹脂ペレットを硫酸・過酸化水素水系において湿式分解し、リンを正リン酸とし、分解液を希釈した。次いで、前記正リン酸を1mol/L硫酸溶液中においてモリブデン酸塩と反応させて、リンモリブデン酸とし、これを硫酸ヒドラジンで還元して、生成したヘテロポリブルーの830nmの吸光度を吸光光度計(検量線法)で測定して比色定量することにより、長繊維強化ポリアミド樹脂ペレット中のリン含有量を算出した。比色定量により算出したリン量を、先に算出したポリアミド樹脂量で割ることにより、ポリアミド樹脂含有量に対するリン原子含有量を求めた。吸光光度計は(株)日立製作所製U−3000を使用した。
[長繊維強化ポリアミド樹脂ペレットの銅含有量およびカリウム含有量]
実施例9および比較例2、3により得られた長繊維強化ポリアミド樹脂ペレットを80℃で12時間減圧乾燥した。その長繊維強化ポリアミド樹脂ペレットを550℃の電気炉で24時間灰化させ、その灰化物に濃硫酸を加えて加熱して湿式分解し、分解液を希釈した。その希釈液を原子吸光分析(検量線法)することにより、銅含有量およびカリウム含有量を求めた。原子吸光分析計は(株)島津製作所製AA−6300を使用した。
実施例9および比較例2、3により得られた長繊維強化ポリアミド樹脂ペレットを80℃で12時間減圧乾燥した。その長繊維強化ポリアミド樹脂ペレットを550℃の電気炉で24時間灰化させ、その灰化物に濃硫酸を加えて加熱して湿式分解し、分解液を希釈した。その希釈液を原子吸光分析(検量線法)することにより、銅含有量およびカリウム含有量を求めた。原子吸光分析計は(株)島津製作所製AA−6300を使用した。
[重量平均分子量および数平均分子量]
(B)化合物、(b)化合物、(b’)エポキシ基および/またはカルボジイミド基含有化合物2.5mgを、それぞれヘキサフルオロイソプロパノール(0.005N−トリフルオロ酢酸ナトリウム添加)4mlに溶解し、0.45μmのフィルターでろ過して得られた溶液を測定に用いた。測定条件を以下に示す。
装置:ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)(Waters製)
検出器:示差屈折率計Waters410(Waters製)
カラム:Shodex GPC HFIP−806M(2本)+HFIP−LG(島津ジーエルシー(株))
流速:0.5ml/min
試料注入量:0.1ml
温度:30℃
分子量校正:ポリメチルメタクリレート。
(B)化合物、(b)化合物、(b’)エポキシ基および/またはカルボジイミド基含有化合物2.5mgを、それぞれヘキサフルオロイソプロパノール(0.005N−トリフルオロ酢酸ナトリウム添加)4mlに溶解し、0.45μmのフィルターでろ過して得られた溶液を測定に用いた。測定条件を以下に示す。
装置:ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)(Waters製)
検出器:示差屈折率計Waters410(Waters製)
カラム:Shodex GPC HFIP−806M(2本)+HFIP−LG(島津ジーエルシー(株))
流速:0.5ml/min
試料注入量:0.1ml
温度:30℃
分子量校正:ポリメチルメタクリレート。
[水酸基価]
(b)化合物、(B)化合物を0.5g採取し、それぞれ250ml三角フラスコに加え、次いで、無水酢酸と無水ピリジンを1:10(質量比)に調整・混合した溶液20.00mlを採取し、前記三角フラスコに入れ、還流冷却器を取り付けて、100℃に温調したオイルバス下で20分間、撹拌しながら還流させた後、室温まで冷却した。さらに、前記三角フラスコ内に冷却器を通じてアセトン20ml、蒸留水20mlを加えた。これにフェノールフタレイン指示薬を入れて、0.5mol/Lのエタノール性水酸化カリウム溶液により滴定した。なお、別途測定したブランク(試料を含まない)の測定結果を差し引き、下記式(5)により水酸基価を算出した。
水酸基価[mgKOH/g]=[((B−C)×f×28.05)/S]+E (5)
但し、B:滴定に用いた0.5mol/Lのエタノール性水酸化カリウム溶液の量[ml]、C:ブランクの滴定に用いた0.5mol/Lのエタノール性水酸化カリウム溶液の量[ml]、f:0.5mol/Lのエタノール性水酸化カリウム溶液のファクター、S:試料の質量[g]、E:酸価を表す。
(b)化合物、(B)化合物を0.5g採取し、それぞれ250ml三角フラスコに加え、次いで、無水酢酸と無水ピリジンを1:10(質量比)に調整・混合した溶液20.00mlを採取し、前記三角フラスコに入れ、還流冷却器を取り付けて、100℃に温調したオイルバス下で20分間、撹拌しながら還流させた後、室温まで冷却した。さらに、前記三角フラスコ内に冷却器を通じてアセトン20ml、蒸留水20mlを加えた。これにフェノールフタレイン指示薬を入れて、0.5mol/Lのエタノール性水酸化カリウム溶液により滴定した。なお、別途測定したブランク(試料を含まない)の測定結果を差し引き、下記式(5)により水酸基価を算出した。
水酸基価[mgKOH/g]=[((B−C)×f×28.05)/S]+E (5)
但し、B:滴定に用いた0.5mol/Lのエタノール性水酸化カリウム溶液の量[ml]、C:ブランクの滴定に用いた0.5mol/Lのエタノール性水酸化カリウム溶液の量[ml]、f:0.5mol/Lのエタノール性水酸化カリウム溶液のファクター、S:試料の質量[g]、E:酸価を表す。
[アミン価]
(b)化合物、(B)化合物を0.5〜1.5g精秤し、それぞれ50mlのエタノールで溶解した。pH電極を備えた電位差滴定装置(京都電子工業(株)製、AT−200)を用いて、この溶液を、濃度0.1mol/Lのエタノール性塩酸溶液で中和滴定した。pH曲線の変曲点を滴定終点とし、下記式(6)によりアミン価を算出した。
アミン価[mgKOH/g]=(56.1×V×0.1×f)/W (6)
但し、W:試料の秤取量[g]、V:滴定終点での滴定量[ml]、f:0.1mol/Lのエタノール性塩酸溶液のファクターを表す。
(b)化合物、(B)化合物を0.5〜1.5g精秤し、それぞれ50mlのエタノールで溶解した。pH電極を備えた電位差滴定装置(京都電子工業(株)製、AT−200)を用いて、この溶液を、濃度0.1mol/Lのエタノール性塩酸溶液で中和滴定した。pH曲線の変曲点を滴定終点とし、下記式(6)によりアミン価を算出した。
アミン価[mgKOH/g]=(56.1×V×0.1×f)/W (6)
但し、W:試料の秤取量[g]、V:滴定終点での滴定量[ml]、f:0.1mol/Lのエタノール性塩酸溶液のファクターを表す。
[(B)化合物の反応率]
(B)化合物0.035gを重水素化ジメチルスルホキシド0.7mlに溶解し、エポキシ基の場合は1H−NMR測定、カルボジイミド基の場合は13C−NMR測定を行った。各分析条件は下記の通りである。
(1)1H−NMR
装置:日本電子(株)製核磁気共鳴装置(JNM−AL400)
溶媒:重水素化ジメチルスルホキシド
観測周波数:OBFRQ399.65MHz、OBSET124.00KHz、OBFIN10500.00Hz
積算回数:256回
(2)13C−NMR
装置:日本電子(株)製核磁気共鳴装置(JNM−AL400)
溶媒:重水素化ジメチルスルホキシド
観測周波数:OBFRQ100.40MHz、OBSET125.00KHz、OBFIN10500.00Hz
積算回数:512回。
(B)化合物0.035gを重水素化ジメチルスルホキシド0.7mlに溶解し、エポキシ基の場合は1H−NMR測定、カルボジイミド基の場合は13C−NMR測定を行った。各分析条件は下記の通りである。
(1)1H−NMR
装置:日本電子(株)製核磁気共鳴装置(JNM−AL400)
溶媒:重水素化ジメチルスルホキシド
観測周波数:OBFRQ399.65MHz、OBSET124.00KHz、OBFIN10500.00Hz
積算回数:256回
(2)13C−NMR
装置:日本電子(株)製核磁気共鳴装置(JNM−AL400)
溶媒:重水素化ジメチルスルホキシド
観測周波数:OBFRQ100.40MHz、OBSET125.00KHz、OBFIN10500.00Hz
積算回数:512回。
得られた1H−NMRスペクトルより、エポキシ環由来ピークの面積を求めた。また得られた13C−NMRスペクトルより、カルボジイミド基由来ピークの面積を求めた。なお、ピーク面積は、NMR装置付属の解析ソフトを用い、ベースラインとピークで囲まれた部分の面積を積分することにより算出した。(b)化合物と、(b’)エポキシ基および/またはカルボジイミド基含有化合物をドライブレンドしたもののピーク面積をdとし、(B)化合物のピーク面積をeとし、反応率は、下記式(4)により算出した。
反応率(%)={1−(e/d)}×100 (4)
反応率(%)={1−(e/d)}×100 (4)
一例として、ジペンタエリスリトールとビスフェノールA型エポキシ樹脂である「三菱化学(株)製“jER”(登録商標)1004を3:1の重量比でドライブレンドしたものの1H−NMRスペクトルを図1に示す。また参考例1により得た(B−1)化合物の1H−NMRスペクトルを図2に示す。図1に示す1H−NMRスペクトルから、2.60ppmと2.80ppm付近に現れるエポキシ環由来ピーク面積の合計を求め、同様に図2に示すピーク面積の合計を求め、反応率の算出式(4)より反応率を算出した。この際、ピーク面積は反応に寄与しないエポキシ樹脂のベンゼン環のピークの面積で規格化した。
[分岐度]
(B)化合物を、下記条件で13C−NMR分析した後、下記式(2)により分岐度(DB)を算出した。
分岐度=(D+T)/(D+T+L) (2)
上記式(2)中、Dはデンドリックユニットの数、Lは線状ユニットの数、Tは末端ユニットの数を表す。上記D、T、Lは13C−NMRにより測定したピーク面積から算出した。Dは第3級または第4級炭素原子に由来し、Tは第1級炭素原子の中で、メチル基であるものに由来し、Lは第1級または第2級炭素原子の中で、Tを除くものに由来する。なお、ピーク面積は、NMR装置付属の解析ソフトを用い、ベースラインとピークで囲まれた部分の面積を積分することにより算出した。測定条件は下記の通りである。
(1)13C−NMR
装置:日本電子(株)製核磁気共鳴装置(JNM−AL400)
溶媒:重水素化ジメチルスルホキシド
測定サンプル量/溶媒量:0.035g/0.70ml
観測周波数:OBFRQ100.40MHz、OBSET125.00KHz、OBFIN10500.00Hz
積算回数:512回。
(B)化合物を、下記条件で13C−NMR分析した後、下記式(2)により分岐度(DB)を算出した。
分岐度=(D+T)/(D+T+L) (2)
上記式(2)中、Dはデンドリックユニットの数、Lは線状ユニットの数、Tは末端ユニットの数を表す。上記D、T、Lは13C−NMRにより測定したピーク面積から算出した。Dは第3級または第4級炭素原子に由来し、Tは第1級炭素原子の中で、メチル基であるものに由来し、Lは第1級または第2級炭素原子の中で、Tを除くものに由来する。なお、ピーク面積は、NMR装置付属の解析ソフトを用い、ベースラインとピークで囲まれた部分の面積を積分することにより算出した。測定条件は下記の通りである。
(1)13C−NMR
装置:日本電子(株)製核磁気共鳴装置(JNM−AL400)
溶媒:重水素化ジメチルスルホキシド
測定サンプル量/溶媒量:0.035g/0.70ml
観測周波数:OBFRQ100.40MHz、OBSET125.00KHz、OBFIN10500.00Hz
積算回数:512回。
[(B)化合物の水酸基およびアミノ基の数の和と、エポキシ基およびカルボジイミド基の数の和]
OHまたはNH2の数は、(B)化合物の数平均分子量と水酸基価またはアミン価を算出し、下記式(3)により算出した。
OHまたはNH2の数=(数平均分子量×水酸基価またはアミン価)/56110 (3)
OHまたはNH2の数は、(B)化合物の数平均分子量と水酸基価またはアミン価を算出し、下記式(3)により算出した。
OHまたはNH2の数=(数平均分子量×水酸基価またはアミン価)/56110 (3)
また、エポキシ基またはカルボジイミド基の数は、(B)化合物の数平均分子量をエポキシ当量またはカルボジイミド当量で割った値により算出した。
(B)化合物の数平均分子量と水酸基価、アミン価は前述の方法で測定した。エポキシ当量は、(B)化合物400mgを、ヘキサフルオロイソプロパノール30mlに溶解させた後、酢酸20ml、テトラエチルアンモニウムブロミド/酢酸溶液(=50g/200ml)を加え、滴定液として0.1Nの過塩素酸および指示薬としてクリスタルバイオレットを用い、溶解液の色が紫色から青緑色に変化した際の滴定量より、下記式(7)により算出した。
エポキシ当量[g/eq]=W/((F−G)×0.1×f×0.001) (7)
但し、F:滴定に用いた0.1Nの過塩素酸の量[ml]、G:ブランクの滴定に用いた0.1Nの過塩素酸の量[ml]、f:0.1Nの過塩素酸のファクター、W:試料の質量[g]
エポキシ当量[g/eq]=W/((F−G)×0.1×f×0.001) (7)
但し、F:滴定に用いた0.1Nの過塩素酸の量[ml]、G:ブランクの滴定に用いた0.1Nの過塩素酸の量[ml]、f:0.1Nの過塩素酸のファクター、W:試料の質量[g]
カルボジイミド当量は、以下の方法で算出した。(B)化合物100重量部と、内部標準物質としてフェロシアン化カリウム(東京化成工業(株)製)30重量部をドライブレンドし、約200℃で1分間熱プレスを行い、シートを作製した。その後、赤外分光光度計((株)島津製作所製、IR Prestige−21/AIM8800)を用いて、透過法で、シートの赤外吸収スペクトルを測定した。測定条件は、分解能4cm−1、積算回数32回とした。透過法での赤外吸収スペクトルは、吸光度がシート厚みに反比例するため、内部標準ピークを用いて、カルボジイミド基のピーク強度を規格化する必要がある。2140cm−1付近に現れるカルボジイミド基由来ピークの吸光度を、2100cm−1付近に現れるフェロシアン化カリウムのCN基の吸収ピークの吸光度で割った値を算出した。この値からカルボジイミド当量を算出するために、あらかじめカルボジイミド当量が既知のサンプルを用いてIR測定を行い、カルボジイミド基由来ピークの吸光度と内部標準ピークの吸光度の比を用いて検量線を作成し、(B)化合物の吸光度比を検量線に代入し、カルボジイミド当量を算出した。なお、カルボジイミド当量が既知のサンプルとして、脂肪族ポリカルボジイミド(日清紡製、“カルボジライト”(登録商標)LA−1、カルボジイミド当量247g/mol)、芳香族ポリカルボジイミド(ラインケミー製、“スタバクゾール”(登録商標)P、カルボジイミド当量360g/mol)を用いた。
[溶融粘度]
(E)化合物について、40mmのパラレルプレートを用いて、0.5Hzにて、粘弾性測定器により200℃における溶融粘度を測定した。
(E)化合物について、40mmのパラレルプレートを用いて、0.5Hzにて、粘弾性測定器により200℃における溶融粘度を測定した。
[機械強度]
各実施例および比較例により得られた長繊維強化ポリアミド樹脂ペレットを80℃で12時間減圧乾燥し、射出成形機(住友重機械工業(株)製SG75H−MIV)を用いて、シリンダー温度:260℃、金型温度:80℃、計量時背圧5MPaの条件で射出成形することにより、厚さ3.2mmのASTM1号ダンベル試験片を作製した。この試験片について、ASTM D638に従って引張試験機テンシロンUTA2.5T(オリエンテック社製)により、クロスヘッド速度10mm/分で引張試験を行った。3回測定を行い、その平均値を耐熱老化性試験処理前引張強度として算出した。引張強度が大きいほど、機械特性に優れる。
各実施例および比較例により得られた長繊維強化ポリアミド樹脂ペレットを80℃で12時間減圧乾燥し、射出成形機(住友重機械工業(株)製SG75H−MIV)を用いて、シリンダー温度:260℃、金型温度:80℃、計量時背圧5MPaの条件で射出成形することにより、厚さ3.2mmのASTM1号ダンベル試験片を作製した。この試験片について、ASTM D638に従って引張試験機テンシロンUTA2.5T(オリエンテック社製)により、クロスヘッド速度10mm/分で引張試験を行った。3回測定を行い、その平均値を耐熱老化性試験処理前引張強度として算出した。引張強度が大きいほど、機械特性に優れる。
[流動性]
各実施例および比較例により得られた長繊維強化ポリアミド樹脂ペレットを80℃で12時間真空乾燥し、射出成形機(住友重機械工業(株)製SE100DU)を用いて、シリンダー温度:260℃、金型温度:80℃、計量時背圧5MPa、射出圧力:50MPa、射出速度:100mm/secの条件で、10mm幅×2mm厚のスパイラルフロー金型を用いて射出成形し、10mm幅×2mm厚のスパイラルフロー試験片を作製した。各5サンプルについて保圧0における流動長を測定し、その平均値から流動性を評価した。流動長が長いほど流動性に優れることを示している。
各実施例および比較例により得られた長繊維強化ポリアミド樹脂ペレットを80℃で12時間真空乾燥し、射出成形機(住友重機械工業(株)製SE100DU)を用いて、シリンダー温度:260℃、金型温度:80℃、計量時背圧5MPa、射出圧力:50MPa、射出速度:100mm/secの条件で、10mm幅×2mm厚のスパイラルフロー金型を用いて射出成形し、10mm幅×2mm厚のスパイラルフロー試験片を作製した。各5サンプルについて保圧0における流動長を測定し、その平均値から流動性を評価した。流動長が長いほど流動性に優れることを示している。
[耐熱老化性]
各実施例および比較例により得られたペレットを80℃で12時間減圧乾燥し、射出成形機(住友重機械工業(株)製SG75H−MIV)を用いて、シリンダー温度:(A)ポリアミド樹脂の融点260℃、金型温度:80℃、計量時背圧5MPaの条件で射出成形することにより、厚さ3.2mmのASTM1号ダンベル試験片を作製した。この試験片について、ASTMD638に従って引張試験機テンシロンUTA2.5T(オリエンテック社製)により、クロスヘッド速度10mm/分で引張試験を行った。3回測定を行い、その平均値を耐熱老化性試験処理前引張強度として算出した。ついで、ASTM1号ダンベル試験片を、150℃、大気下のギアオーブンで3000時間、または190℃、大気下のギアオーブンで3000時間、または210℃、大気下のギアオーブンで2000時間熱処理(耐熱老化性試験処理)し、処理後の試験片について、同様の引張試験を行い、3回の測定値の平均値を耐熱老化性試験処理後の引張強度として算出した。耐熱老化性試験処理前の引張強度に対する処理後の引張強度の比を、引張強度保持率として算出した。引張強度保持率が大きいほど、耐熱老化性に優れている。
各実施例および比較例により得られたペレットを80℃で12時間減圧乾燥し、射出成形機(住友重機械工業(株)製SG75H−MIV)を用いて、シリンダー温度:(A)ポリアミド樹脂の融点260℃、金型温度:80℃、計量時背圧5MPaの条件で射出成形することにより、厚さ3.2mmのASTM1号ダンベル試験片を作製した。この試験片について、ASTMD638に従って引張試験機テンシロンUTA2.5T(オリエンテック社製)により、クロスヘッド速度10mm/分で引張試験を行った。3回測定を行い、その平均値を耐熱老化性試験処理前引張強度として算出した。ついで、ASTM1号ダンベル試験片を、150℃、大気下のギアオーブンで3000時間、または190℃、大気下のギアオーブンで3000時間、または210℃、大気下のギアオーブンで2000時間熱処理(耐熱老化性試験処理)し、処理後の試験片について、同様の引張試験を行い、3回の測定値の平均値を耐熱老化性試験処理後の引張強度として算出した。耐熱老化性試験処理前の引張強度に対する処理後の引張強度の比を、引張強度保持率として算出した。引張強度保持率が大きいほど、耐熱老化性に優れている。
[滞留安定性]
各実施例および比較例により得られた長繊維強化ポリアミド樹脂ペレットを80℃で12時間減圧乾燥し、窒素雰囲気下、(A)ポリアミド樹脂の融点+20℃で30分間溶融滞留させた後の相対粘度を測定し、滞留前の相対粘度で割った値を相対粘度保持率として算出し、滞留安定性の指標とした。相対粘度保持率が100%に近いほど、滞留安定性に優れる。
各実施例および比較例により得られた長繊維強化ポリアミド樹脂ペレットを80℃で12時間減圧乾燥し、窒素雰囲気下、(A)ポリアミド樹脂の融点+20℃で30分間溶融滞留させた後の相対粘度を測定し、滞留前の相対粘度で割った値を相対粘度保持率として算出し、滞留安定性の指標とした。相対粘度保持率が100%に近いほど、滞留安定性に優れる。
[重量平均繊維長]
各実施例および比較例により得られたASTM1号ダンベル試験片の試験片の中央部を20mm切り出し、ギ酸で溶かした後、ろ過を行った。その残渣を水中に均一に分散させてガラス板間に挟み、光学顕微鏡(50〜200倍)にて観察した。無作為に選んだ1000本の(C)強化繊維の繊維長を計測し下記式から重量平均繊維長(LW)を算出した。
重量平均繊維長=Σ(Li2×Ni)/Σ(Li×Ni)
Li:繊維長(mm)
Ni:繊維長Liの繊維の個数
各実施例および比較例により得られたASTM1号ダンベル試験片の試験片の中央部を20mm切り出し、ギ酸で溶かした後、ろ過を行った。その残渣を水中に均一に分散させてガラス板間に挟み、光学顕微鏡(50〜200倍)にて観察した。無作為に選んだ1000本の(C)強化繊維の繊維長を計測し下記式から重量平均繊維長(LW)を算出した。
重量平均繊維長=Σ(Li2×Ni)/Σ(Li×Ni)
Li:繊維長(mm)
Ni:繊維長Liの繊維の個数
参考例1(B−1)
ジペンタエリスリトール(広栄化学工業(株)製)100重量部に対して、ビスフェノールA型エポキシ樹脂三菱化学(株)製“jER”(登録商標)1004、1分子中のエポキシ基の個数2個、分子量1650、分子量/1分子中の官能基数825)33.3重量部を予備混合した後、(株)池貝製PCM30型2軸押出機を用いて、シリンダー温度200℃、スクリュー回転数100rpmの条件で3.5分間溶融混練し、ホットカッターによりペレット化した。得られたペレットを再度押出機に供給し、再溶融混練工程を1回行い、一般式(1)で表される化合物および/またはその縮合物のペレットを得た。得られた化合物の反応率は56%、分岐度は0.34、水酸基価は1200mgKOH/gであった。1分子中の水酸基の数は、1分子中のエポキシ基の数よりも多く、一般式(1)におけるOHとNH2とORの数の和は3以上であった。
ジペンタエリスリトール(広栄化学工業(株)製)100重量部に対して、ビスフェノールA型エポキシ樹脂三菱化学(株)製“jER”(登録商標)1004、1分子中のエポキシ基の個数2個、分子量1650、分子量/1分子中の官能基数825)33.3重量部を予備混合した後、(株)池貝製PCM30型2軸押出機を用いて、シリンダー温度200℃、スクリュー回転数100rpmの条件で3.5分間溶融混練し、ホットカッターによりペレット化した。得られたペレットを再度押出機に供給し、再溶融混練工程を1回行い、一般式(1)で表される化合物および/またはその縮合物のペレットを得た。得られた化合物の反応率は56%、分岐度は0.34、水酸基価は1200mgKOH/gであった。1分子中の水酸基の数は、1分子中のエポキシ基の数よりも多く、一般式(1)におけるOHとNH2とORの数の和は3以上であった。
参考例2(B−2)
ジペンタエリスリトール(広栄化学工業(株)製、分子量/1分子中の官能基数42)100重量部に対して、フェノールノボラック型エポキシ樹脂(日本化薬(株)製“EPPN”(登録商標)201)10重量部を予備混合した後、池貝製PCM30型2軸押出機を用いて、シリンダー温度200℃、スクリュー回転数100rpmの条件で3.5分間溶融混練し、ホットカッターによりペレット化した。得られたペレットを再度押出機に供給し、再溶融混練工程を1回行い、一般式(1)で表される化合物および/またはその縮合物のペレットを得た。得られた化合物の反応率は53%、分岐度は0.29、水酸基価は1280mgKOH/gであった。1分子中の水酸基の数は、1分子中のエポキシ基の数よりも多く、一般式(1)におけるOHとNH2とORの数の和は3以上であった。
ジペンタエリスリトール(広栄化学工業(株)製、分子量/1分子中の官能基数42)100重量部に対して、フェノールノボラック型エポキシ樹脂(日本化薬(株)製“EPPN”(登録商標)201)10重量部を予備混合した後、池貝製PCM30型2軸押出機を用いて、シリンダー温度200℃、スクリュー回転数100rpmの条件で3.5分間溶融混練し、ホットカッターによりペレット化した。得られたペレットを再度押出機に供給し、再溶融混練工程を1回行い、一般式(1)で表される化合物および/またはその縮合物のペレットを得た。得られた化合物の反応率は53%、分岐度は0.29、水酸基価は1280mgKOH/gであった。1分子中の水酸基の数は、1分子中のエポキシ基の数よりも多く、一般式(1)におけるOHとNH2とORの数の和は3以上であった。
参考例3(B−3)
ジペンタエリスリトール(広栄化学工業(株)製)100重量部に対して、脂肪族ポリカルボジイミド(日清紡ケミカル(株)製“カルボジライト”(登録商標)LA−1)、1分子中のカルボジイミド基の平均個数24個、分子量6000、分子量/1分子中の官能基数)10重量部を予備混合した後、(株)池貝製PCM30型2軸押出機を用いて、シリンダー温度200℃、スクリュー回転数100rpmの条件で3.5分間溶融混練し、ホットカッターによりペレット化した。得られたペレットを再度押出機に供給し、再溶融混練工程を1回行い、一般式(1)で表される化合物および/またはその縮合物のペレットを得た。得られた化合物の反応率は89%、分岐度は0.37、水酸基価は1110mgKOH/gであった。1分子中の水酸基の数は、1分子中のカルボジイミド基の数よりも多く、一般式(1)におけるOHとNH2とORの数の和は3以上であった。
ジペンタエリスリトール(広栄化学工業(株)製)100重量部に対して、脂肪族ポリカルボジイミド(日清紡ケミカル(株)製“カルボジライト”(登録商標)LA−1)、1分子中のカルボジイミド基の平均個数24個、分子量6000、分子量/1分子中の官能基数)10重量部を予備混合した後、(株)池貝製PCM30型2軸押出機を用いて、シリンダー温度200℃、スクリュー回転数100rpmの条件で3.5分間溶融混練し、ホットカッターによりペレット化した。得られたペレットを再度押出機に供給し、再溶融混練工程を1回行い、一般式(1)で表される化合物および/またはその縮合物のペレットを得た。得られた化合物の反応率は89%、分岐度は0.37、水酸基価は1110mgKOH/gであった。1分子中の水酸基の数は、1分子中のカルボジイミド基の数よりも多く、一般式(1)におけるOHとNH2とORの数の和は3以上であった。
参考例4(B−4)
撹拌装置を備えた容量1Lのオートクレーブ内に、ジペンタエリスリトール(広栄化学工業(株)製)508g(1.0mol)、トルエン254g、水酸化カリウム0.3gを仕込み、90℃まで昇温して撹拌し、スラリー状の液体とした。次いで130℃に加熱し、エチレンオキサイド132g(3mol)を徐々にオートクレーブ内に導入し反応させた。エチレンオキサイドの導入とともに、オートクレーブ内温度は上昇した。随時冷却を加え、反応温度を140℃以下に保つようにした。反応後、140℃にて1.3kPa以下に減圧することにより、過剰のエチレンオキサイド、副生するエチレングリコールの重合体を除去した。その後、酢酸にて中和し、pH6〜7に調整してエチレングリコール変性ジペンタエリスリトールを得た。
撹拌装置を備えた容量1Lのオートクレーブ内に、ジペンタエリスリトール(広栄化学工業(株)製)508g(1.0mol)、トルエン254g、水酸化カリウム0.3gを仕込み、90℃まで昇温して撹拌し、スラリー状の液体とした。次いで130℃に加熱し、エチレンオキサイド132g(3mol)を徐々にオートクレーブ内に導入し反応させた。エチレンオキサイドの導入とともに、オートクレーブ内温度は上昇した。随時冷却を加え、反応温度を140℃以下に保つようにした。反応後、140℃にて1.3kPa以下に減圧することにより、過剰のエチレンオキサイド、副生するエチレングリコールの重合体を除去した。その後、酢酸にて中和し、pH6〜7に調整してエチレングリコール変性ジペンタエリスリトールを得た。
得られたエチレングリコール変性ジペンタエリスリトール343g(1mol)を内容積500mlの電磁誘導回転撹拌式オートクレーブに計量し、外部還元処理したエヌ・イーケムキャット製5%ルテニウム−アルミナ粉末触媒を3g仕込み、窒素置換を行った。引き続き、アンモニア26g(1.53mol)を添加し、室温(25℃)で全圧が2.0MPaGになるように水素(0.18mol)を圧入した。1000rpmの条件で撹拌しながら、反応温度が220℃となるまで加熱した。220℃における初期最高圧力は、9.8MPaGであった。圧力は、4時間で9.8MPaGから8.4MPaGに低下した。圧力降下がなくなったことを確認した後、0.5時間さらに反応を行った。その後、冷却して反応生成物を取り出し、濾過して触媒を除き、ジペンタエリスリトールポリエチレンヘキサミンを得た。
得られたジペンタエリスリトールポリオキシエチレンヘキサミン100重量部に対して、フェノールノボラック型エポキシ樹脂(日本化薬(株)製“EPPN”(登録商標)201)10重量部を予備混合した後、(株)池貝製PCM30型2軸押出機を用いて、シリンダー温度200℃、スクリュー回転数100rpmの条件で3.5分間溶融混練し、ホットカッターによりペレット化し、一般式(1)で表される化合物および/またはその縮合物のペレットを得た。得られた化合物の反応率は49%、分岐度は0.25、アミン価は500mgKOH/gであった。1分子中のアミノ基の数は、1分子中のエポキシ基の数よりも多く、一般式(1)におけるOHとNH2とORの数の和は3以上であった。
参考例5(F 高濃度予備混合物)
ナイロン6(東レ(株)製“アミラン”(登録商標)CM1010)100重量部に対して、参考例2で得られた(B−2)化合物26.7重量部を予備混合した後、(株)日本製鋼所製TEX30型2軸押出機(L/D:45.5)を用いて、シリンダー温度245℃、スクリュー回転数150rpmの条件で溶融混練し、ストランドカッターによりペレット化した。その後80℃で8時間真空乾燥し、高濃度予備混合物ペレットを作製した。
ナイロン6(東レ(株)製“アミラン”(登録商標)CM1010)100重量部に対して、参考例2で得られた(B−2)化合物26.7重量部を予備混合した後、(株)日本製鋼所製TEX30型2軸押出機(L/D:45.5)を用いて、シリンダー温度245℃、スクリュー回転数150rpmの条件で溶融混練し、ストランドカッターによりペレット化した。その後80℃で8時間真空乾燥し、高濃度予備混合物ペレットを作製した。
参考例6(G:CuI/KI(重量比)=0.23の割合で含むナイロン6マスターバッチ)
ナイロン6(東レ(株)製“アミラン”(登録商標)CM1010)100重量部に対して、ヨウ化銅2.0重量部、ヨウ化カリウム40%水溶液21.7重量部を予備混合した後、(株)日本製鋼所製TEX30型2軸押出機(L/D:45.5)を用いて、シリンダー温度245℃、スクリュー回転数150rpmの条件で溶融混練し、ストランドカッターによりペレット化した。その後80℃で8時間真空乾燥し、銅含有量0.60重量%のマスターバッチペレットを作製した。
ナイロン6(東レ(株)製“アミラン”(登録商標)CM1010)100重量部に対して、ヨウ化銅2.0重量部、ヨウ化カリウム40%水溶液21.7重量部を予備混合した後、(株)日本製鋼所製TEX30型2軸押出機(L/D:45.5)を用いて、シリンダー温度245℃、スクリュー回転数150rpmの条件で溶融混練し、ストランドカッターによりペレット化した。その後80℃で8時間真空乾燥し、銅含有量0.60重量%のマスターバッチペレットを作製した。
その他、本実施例および比較例に用いた(A)ポリアミド樹脂、(b)水酸基および/またはアミノ基含有化合物、(b’)エポキシ基および/またはカルボジイミド基含有化合物、(C)強化繊維、(D)リン化合物は以下の通りである。
(A):融点225℃のナイロン6樹脂(東レ(株)製“アミラン”(登録商標)CM1010)、ηr=2.7。
(b):ジペンタエリスリトール(大粒径)(東京化成工業(株)製)、分子量254、水酸基価1325mgKOH/g、平均粒子径180μm以上。
(b’):フェノールノボラック型エポキシ樹脂(日本化薬(株)製“EPPN“(登録商標)201)、1分子中のエポキシ基の平均個数7個、分子量1330、分子量/1分子中の官能基数190。
(C−1):炭素繊維(東レ(株)製“トレカ“(登録商標)T700SC−24K−50C)、直径7μm、単繊維数24000本
(C−2):ガラス繊維(日本電気硝子(株)製 ER2400 T−423N)、直径17μm、単繊維数4000本
(D):次亜リン酸ナトリウム一水和物(和光純薬工業(株))、分子量105.99
(E):テルペンフェノール樹脂(ヤスハラケミカル(株)製YSポリスターK140、200℃における溶融粘度0.3Pa・s)
(A):融点225℃のナイロン6樹脂(東レ(株)製“アミラン”(登録商標)CM1010)、ηr=2.7。
(b):ジペンタエリスリトール(大粒径)(東京化成工業(株)製)、分子量254、水酸基価1325mgKOH/g、平均粒子径180μm以上。
(b’):フェノールノボラック型エポキシ樹脂(日本化薬(株)製“EPPN“(登録商標)201)、1分子中のエポキシ基の平均個数7個、分子量1330、分子量/1分子中の官能基数190。
(C−1):炭素繊維(東レ(株)製“トレカ“(登録商標)T700SC−24K−50C)、直径7μm、単繊維数24000本
(C−2):ガラス繊維(日本電気硝子(株)製 ER2400 T−423N)、直径17μm、単繊維数4000本
(D):次亜リン酸ナトリウム一水和物(和光純薬工業(株))、分子量105.99
(E):テルペンフェノール樹脂(ヤスハラケミカル(株)製YSポリスターK140、200℃における溶融粘度0.3Pa・s)
(実施例1〜6、12、比較例1、4)
先端にクロスヘッドダイを備える日本製鋼所(株)TEX−30α型2軸押出機(スクリュー直径30mm、L/D=32)のシリンダー温度を240℃、クロスヘッドダイ温度を240℃、スクリュー回転数を200rpmに設定し、表1〜2に示す(A)ポリアミド樹脂をメインフィーダーから2軸押出機に供給し、溶融混練した。このメインフィーダーはスクリューの全長を1.0としたときの上流側より見て0の位置、つまりスクリューセグメントの上流側の端部の位置に接続されていた。続いて、表1〜2に示す(b)化合物、(B)化合物、(D)リン含有化合物をサイドフィーダーから2軸押出機に供給し、溶融混練し、ポリアミド樹脂組成物を得た。このサイドフィーダーはスクリューの全長を1.0としたときの上流側より見て0.65の位置、つまりスクリュー長の1/2より下流側の位置に接続されていた。2軸押出機のスクリュー構成は、(B)化合物等の供給位置の上流側にあるニーディングゾーンの合計長さをLn1、(B)化合物等の供給位置の下流側にあるニーディングゾーンの合計長さをLn2とした場合、Ln1/Lが0.14、Ln2/Lが0.07となるよう構成した。
先端にクロスヘッドダイを備える日本製鋼所(株)TEX−30α型2軸押出機(スクリュー直径30mm、L/D=32)のシリンダー温度を240℃、クロスヘッドダイ温度を240℃、スクリュー回転数を200rpmに設定し、表1〜2に示す(A)ポリアミド樹脂をメインフィーダーから2軸押出機に供給し、溶融混練した。このメインフィーダーはスクリューの全長を1.0としたときの上流側より見て0の位置、つまりスクリューセグメントの上流側の端部の位置に接続されていた。続いて、表1〜2に示す(b)化合物、(B)化合物、(D)リン含有化合物をサイドフィーダーから2軸押出機に供給し、溶融混練し、ポリアミド樹脂組成物を得た。このサイドフィーダーはスクリューの全長を1.0としたときの上流側より見て0.65の位置、つまりスクリュー長の1/2より下流側の位置に接続されていた。2軸押出機のスクリュー構成は、(B)化合物等の供給位置の上流側にあるニーディングゾーンの合計長さをLn1、(B)化合物等の供給位置の下流側にあるニーディングゾーンの合計長さをLn2とした場合、Ln1/Lが0.14、Ln2/Lが0.07となるよう構成した。
一方、(C)強化繊維を先端のクロスヘッドダイの中に配置された4本の直径20mmのロールの上下に通して引き抜き成形を行い、表1〜2に記載の配合量となるよう、樹脂の吐出量を調整し(C)強化繊維にポリアミド樹脂組成物を含浸させた。得られた(C)強化繊維とポリアミド樹脂組成物の複合体を冷却後、ストランドカッターで切断して、7mmの長繊維強化ポリアミド樹脂ペレットを得た。
(実施例7)
2軸押出機のメインフィーダーから(A)ポリアミド樹脂と(b’)エポキシ基および/またはカルボジイミド基含有化合物を予備混合したものを供給した以外は、実施例1と同様にして長繊維強化ポリアミド樹脂ペレットを作製した。
2軸押出機のメインフィーダーから(A)ポリアミド樹脂と(b’)エポキシ基および/またはカルボジイミド基含有化合物を予備混合したものを供給した以外は、実施例1と同様にして長繊維強化ポリアミド樹脂ペレットを作製した。
(実施例8)
2軸押出機のメインフィーダーから(A)ポリアミド樹脂、(F)高濃度予備混合物および(D)リン含有化合物を供給したこと以外は、実施例4と同様にして長繊維強化ポリアミド樹脂ペレットを作製した。これにより、実施例8の組成比は、実施例4と同様となる。
2軸押出機のメインフィーダーから(A)ポリアミド樹脂、(F)高濃度予備混合物および(D)リン含有化合物を供給したこと以外は、実施例4と同様にして長繊維強化ポリアミド樹脂ペレットを作製した。これにより、実施例8の組成比は、実施例4と同様となる。
(実施例9)
2軸押出機のメインフィーダーから(A)ポリアミド樹脂と(G)銅化合物を予備混合したものを供給したこと以外は、実施例4と同様にして長繊維強化ポリアミド樹脂ペレットを作製した。
2軸押出機のメインフィーダーから(A)ポリアミド樹脂と(G)銅化合物を予備混合したものを供給したこと以外は、実施例4と同様にして長繊維強化ポリアミド樹脂ペレットを作製した。
(実施例10)
先端に電線被覆法用のコーティングダイを備える日本製鋼所(株)TEX−30α型2軸押出機(スクリュー直径30mm、L/D=32)のシリンダー温度を240℃、クロスヘッドダイ温度240℃、スクリュー回転数を200rpmに設定し、(A)ポリアミド樹脂をメインフィーダーから2軸押出機に供給し、溶融混練した。このメインフィーダーはスクリューの全長を1.0としたときの上流側より見て0の位置、つまりスクリューセグメントの上流側の端部の位置に接続されていた。続いて、表1に示す(B)化合物、(D)リン含有化合物をサイドフィーダーから2軸押出機に供給し、溶融混練し、ポリアミド樹脂組成物を得た。このサイドフィーダーはスクリューの全長を1.0としたときの上流側より見て0.65の位置、つまりスクリュー長の1/2より下流側の位置に接続されていた。2軸押出機のスクリュー構成は、(B)化合物等の供給位置の上流側にあるニーディングゾーンの合計長さをLn1、(B)化合物等の供給位置の下流側にあるニーディングゾーンの合計長さをLn2とした場合、Ln1/Lが0.14、Ln2/Lが0.07となるよう構成した。
先端に電線被覆法用のコーティングダイを備える日本製鋼所(株)TEX−30α型2軸押出機(スクリュー直径30mm、L/D=32)のシリンダー温度を240℃、クロスヘッドダイ温度240℃、スクリュー回転数を200rpmに設定し、(A)ポリアミド樹脂をメインフィーダーから2軸押出機に供給し、溶融混練した。このメインフィーダーはスクリューの全長を1.0としたときの上流側より見て0の位置、つまりスクリューセグメントの上流側の端部の位置に接続されていた。続いて、表1に示す(B)化合物、(D)リン含有化合物をサイドフィーダーから2軸押出機に供給し、溶融混練し、ポリアミド樹脂組成物を得た。このサイドフィーダーはスクリューの全長を1.0としたときの上流側より見て0.65の位置、つまりスクリュー長の1/2より下流側の位置に接続されていた。2軸押出機のスクリュー構成は、(B)化合物等の供給位置の上流側にあるニーディングゾーンの合計長さをLn1、(B)化合物等の供給位置の下流側にあるニーディングゾーンの合計長さをLn2とした場合、Ln1/Lが0.14、Ln2/Lが0.07となるよう構成した。
一方、170℃に加熱されたロール上に、(E)化合物を加熱溶融した液体の被膜を形成させた。ロール上に一定した厚みの被膜を形成するため、リバースロールを用いた。このロール上を、連続した(C)強化繊維を接触させながら通過させて、(C)強化繊維の単位長さあたりに一定量の(E)化合物を付着させた。(E)化合物を付着させた(C)強化繊維を、170℃に加熱され、一直線上に配置された8本の直径50mmのロールの上下を交互に通過させた。この操作により(E)化合物を(C)強化繊維の内部にまで含浸させた。次いで、(E)化合物を含浸させた(C)強化繊維を2軸押出機先端の電線被覆法用のコーティングダイに通して引き抜き成形を行い、表2に記載の配合量となるよう、樹脂の吐出量を調整し(C)強化繊維の周囲にポリアミド樹脂組成物を被覆させた。得られた(C)強化繊維とポリアミド樹脂組成物の複合体を冷却後、ストランドカッターで切断して、7mmの長繊維ペレットを得た。
(実施例11)
2軸押出機のメインフィーダーから(A)ポリアミド樹脂、(F)高濃度予備混合物および(D)リン含有化合物を供給したこと以外は、実施例10と同様にして長繊維ペレットを作製した。これにより、実施例11の組成比は、実施例10と同様となる。
2軸押出機のメインフィーダーから(A)ポリアミド樹脂、(F)高濃度予備混合物および(D)リン含有化合物を供給したこと以外は、実施例10と同様にして長繊維ペレットを作製した。これにより、実施例11の組成比は、実施例10と同様となる。
(比較例2)
2軸押出機のメインフィーダーから(A)ポリアミド樹脂と(G)銅化合物を予備混合したものを供給し、表2記載の配合量としたこと以外は、比較例1と同様にして長繊維強化ポリアミド樹脂ペレットを作製した。
2軸押出機のメインフィーダーから(A)ポリアミド樹脂と(G)銅化合物を予備混合したものを供給し、表2記載の配合量としたこと以外は、比較例1と同様にして長繊維強化ポリアミド樹脂ペレットを作製した。
(比較例3)
2軸押出機のメインフィーダーから(A)ポリアミド樹脂と(G)銅化合物を予備混合したものを供給し、表2記載の配合量としたこと以外は、実施例10と同様にして長繊維強化ポリアミド樹脂ペレットを作製した。
2軸押出機のメインフィーダーから(A)ポリアミド樹脂と(G)銅化合物を予備混合したものを供給し、表2記載の配合量としたこと以外は、実施例10と同様にして長繊維強化ポリアミド樹脂ペレットを作製した。
各実施例および比較例の評価結果を表1〜2に示す。
実施例1〜12は比較例1〜4と比較して、(b)化合物および/または(B)化合物を0.1〜20重量部含有することにより、長繊維強化ポリアミド樹脂ペレットの流動性および滞留安定性に優れ、機械強度および耐熱老化性に優れる成形品を得ることができた。
実施例3〜6は実施例1、7と比較して、より好ましい態様により(B)化合物を含有するため、長繊維強化ポリアミド樹脂ペレットの流動性および滞留安定性により優れ、機械強度および耐熱老化性により優れる成形品を得ることができた。
実施例4は実施例2と比較して、(D)リン含有化合物由来のリン原子を特定濃度で含有するため、長繊維強化ポリアミド樹脂ペレットの流動性および滞留安定性により優れ、機械強度および耐熱老化性により優れる成形品を得ることができた。
実施例8は高濃度予備混合物を作製し、2度溶融混練したため、実施例4と比較し、(A)ポリアミド樹脂と(B)化合物との相溶性がさらに向上し、その結果、より耐熱老化性に優れる成形品を得ることができた。
実施例9は実施例4と比較して、銅化合物をさらに含有するため、(A)ポリアミド樹脂と(B)化合物との相溶性がさらに向上し、その結果、耐熱老化性により優れる成形品を得ることができた。
実施例10および実施例11は実施例4および実施例8と比較し、(E)化合物をさらに含有するため、(A)ポリアミド樹脂中への(C)強化繊維の分散がより向上し、その結果、長繊維強化ポリアミド樹脂ペレットの流動性により優れる。
本発明の実施形態の長繊維強化ポリアミド樹脂ペレットは、射出成形、射出圧縮成形、圧縮成形、押出成形、ブロー成形、プレス成形などの任意の方法で成形することができ、各種成形品に加工し利用することができる。特に、本発明の実施形態の長繊維強化ポリアミド樹脂ペレットは、流動性に優れ、耐熱老化性、機械強度に優れる成形品を得ることができる点を活かし、自動車エンジン周辺部品、自動車アンダーフード部品、自動車ギア部品、自動車内装部品、自動車外装部品、吸排気系部品、エンジン冷却水系部品、自動車電装部品などの自動車用途、LEDリフレクタやSMTコネクタなどの電気・電子部品用途などに加工することが有効である。
1 溶媒ピーク
2 ポリアミド樹脂組成物
3 (C)強化繊維
4 (C)強化繊維と(E)化合物からなる複合体
2 ポリアミド樹脂組成物
3 (C)強化繊維
4 (C)強化繊維と(E)化合物からなる複合体
Claims (9)
- (A)ポリアミド樹脂100重量部に対して、
(b)水酸基および/またはアミノ基を3個以上有する化合物、および/または、(B)水酸基および/またはアミノ基と、エポキシ基および/またはカルボジイミド基とを有し、1分子中の水酸基およびアミノ基の数の和が、1分子中のエポキシ基およびカルボジイミド基の数の和よりも多い化合物0.1〜20重量部、
および(C)強化繊維5〜150重量部を含み、
(C)強化繊維の長さがペレットの長さと実質的に同一であり、かつ、(C)強化繊維がペレットの長尺方向に配列してなる、
長尺方向の長さが3〜20mmである長繊維強化ポリアミド樹脂ペレット。 - 前記(B)化合物が、前記(b)化合物と、エポキシ基および/またはカルボジイミド基含有化合物(b’)との反応物であり、水酸基またはアミノ基と、エポキシ基またはカルボジイミド基との反応率が1〜95%である請求項1に記載の長繊維強化ポリアミド樹脂ペレット。
- 前記(b)化合物が、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトールおよび/またはトリペンタエリスリトールである請求項1または2に記載の長繊維強化ポリアミド樹脂ペレット。
- さらに(D)リン含有化合物を含有し、吸光光度分析法により求められるリン原子含有量がポリアミド樹脂含有量に対して180〜3500ppmである請求項1〜4のいずれかに記載の長繊維強化ポリアミド樹脂ペレット。
- 前記(D)リン含有化合物が、亜リン酸、次亜リン酸およびそれらの金属塩からなる群より選ばれる少なくとも1種である請求項5に記載の長繊維強化ポリアミド樹脂ペレット。
- 前記強化繊維(C)がガラス繊維および/または炭素繊維を含む請求項1〜6のいずれかに記載の長繊維強化ポリアミド樹脂ペレット。
- (A)ポリアミド樹脂100重量部に対して、さらに(E)200℃における溶融粘度が0.01〜20Pa・sである熱可塑性重合体を0.1〜65重量部含む請求項1〜7のいずれかに記載の長繊維強化ポリアミド樹脂ペレット。
- 請求項1〜8のいずれかに記載の長繊維強化ポリアミド樹脂ペレットを成形してなる、成形品中の強化繊維の重量平均繊維長が0.3〜5.0mmの範囲である成形品。
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JP2015071227A JP2016190923A (ja) | 2015-03-31 | 2015-03-31 | 長繊維強化ポリアミド樹脂ペレットおよびそれを成形してなる成形品 |
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WO2019146485A1 (ja) | 2018-01-26 | 2019-08-01 | 東レ株式会社 | 強化繊維束基材およびその製造方法、ならびにそれを用いた繊維強化熱可塑性樹脂材料およびその製造方法 |
-
2015
- 2015-03-31 JP JP2015071227A patent/JP2016190923A/ja active Pending
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KR20200110738A (ko) | 2018-01-26 | 2020-09-25 | 도레이 카부시키가이샤 | 강화 섬유 다발 기재 및 그 제조 방법, 및 그것을 사용한 섬유 강화 열가소성 수지 재료 및 그 제조 방법 |
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