上述した本発明の内容を明確にするために、本発明を回胴式遊技機に適用した実施例について説明する。
A.回胴式遊技機の装置構成 :
A−1.全体構成 :
図1は、本実施例の回胴式遊技機1(以下、「遊技機1」と略記)の外観を示す正面図である。図1に示すように、遊技機1には、箱状に形成された筐体3と、筐体3の前面側を覆うようにして設けられた前面扉2などが設けられている。前面扉2は、実際に遊技が行われる中段の領域(2ma,2mb)と、遊技の進行に応じて種々の演出が行われる上段の領域2uと、遊技メダルが払い出される下段の領域2dとの大きく3つの領域から構成され、更に中段の領域は、遊技の状態を表示するための遊技状態表示部2maと、遊技を行うための操作部2mbとから構成されている。
上段の領域2uには、中央に演出表示装置10が設けられ、演出表示装置10の左右にはスピーカー14が設けられ、演出表示装置10およびスピーカー14の上方には、各種のランプ類12が設けられている。演出表示装置10は、いわゆる液晶表示装置によって構成されており、遊技の進行状況に合わせて種々の図柄を表示して演出を行うことが可能となっている。
前面扉2の中段に設けられた遊技状態表示部2maの中央には、大きな表示窓20が設けられており、内部に設けられた3つの回胴20a,20b,20cが回転する様子を視認可能となっている。また、表示窓20の左右および下方には、遊技機1の種々の状態を表示する各種の表示パネル22,23が設けられている。
前面扉2の中段下部に設けられた操作部2mbは、手前に向かって突出した形状に形成されており、その上面には、遊技メダルを投入するための投入口30や、投入ボタン34などが設けられている。遊技者は、投入ボタン34を押すことにより、クレジットとして貯留されている遊技メダルを、1ゲームに要する枚数だけ投入(ベット)することができる。尚、遊技メダルの貯留とは、投入口30から遊技機1に投入された遊技メダルの枚数が規定数(1ゲームに要する遊技メダル枚数の上限)を超えた場合に、その超えた分をデータとして記憶しておくこと、あるいは、遊技メダルを実際に払い出す代わりにメダルの払出枚数をデータとして記憶しておくことをいう。
また、操作部2mbの前面には、遊技メダルの投入後に回胴20a,20b,20cの回転を開始させるためのスタートレバー36や、3つの回胴20a,20b,20cの回転をそれぞれ停止させるための回胴停止ボタン38a,38b,38cなどが設けられている。
加えて、操作部2mbには、上面に精算ボタン40、および前面に返却ボタン42が設けられている。ここで、精算ボタン40とは、遊技機1の内部に貯留されている遊技メダルを外部に払い出す際に操作するボタンである。遊技メダルの投入後も、スタートレバー36を操作して回胴20a,20b,20cの回転を開始するまでの間であれば、投入済みの遊技メダルも精算ボタン40を操作することによって払い出すことが可能である。また、返却ボタン42とは、投入口30から投入された遊技メダルが遊技機1の内部で詰まった場合に、遊技メダルの詰まりを解消するために操作されるボタンである。
前面扉2の下段の領域2dには、遊技メダルが払い出される遊技メダル払出口50や、払い出された遊技メダルを受け止める受け皿52などが設けられている。
図2は、前面扉2を開いて遊技機1の内部の構成を示した斜視図である。前面扉2の裏面側上部には、演出表示装置10が取り付けられており、その左右には一対のスピーカー14が取り付けられている。
前面扉2のほぼ中央には表示窓20が設けられており、その下方には、後述する扉基板240が設けられている。また、扉基板240の下方には、回胴停止ボタン38a,38b,38cや、スタートレバー36が取り付けられている。
回胴停止ボタン38a,38b,38cの左方には、投入口30から投入された遊技メダルの通路となるメダルセレクタ106が設けられており、その下方には、遊技メダルを遊技メダル払出口50に導くためのコインシュータ108などが設けられている。メダルセレクタ106は、投入口30から投入された遊技メダルを主に寸法に基づいて選別し、規格寸法に適合した遊技メダルだけを受け入れる機能を有している。遊技者がスタートレバー36を操作する前に遊技メダルが投入されると、遊技メダルは、メダルセレクタ106によって選別され、規格を満足しているものだけがホッパー116内に受け入れられる。このとき、規格を満たしていないメダルは、コインシュータ108を通って、遊技メダル払出口50に返却されるようになっている。
これに対して、スタートレバー36が操作された後に遊技メダルが投入口30から投入された場合は、メダルセレクタ106内の通路が切り換わり、投入された遊技メダルはコインシュータ108を通って、遊技メダル払出口50に返却される。また、メダルセレクタ106の内部には、図示しないメダルセンサが設けられており、寸法規格を満たして受け入れられた遊技メダルが通過すると、メダルセンサによって検出されて、その信号が後述する主制御基板200に供給されるようになっている。
このような前面扉2が取り付けられる筐体3のほぼ中央には、3つの回胴20a,20b,20cが設けられており、各回胴の外周面には、後述するように複数種類の図柄が描かれている。これら回胴の上方には、遊技全体の制御を司る主制御基板200が格納された主制御基板ユニット110が設けられており、回胴の背後には、各回胴を駆動するための回胴基板260が格納された回胴基板ユニット112が設けられている。また、回胴の左方には、図1に示した演出表示装置10や、各種ランプ類12、スピーカー14などを用いて行われる各種演出の制御を司るサブ制御基板220が格納されたサブ制御基板ユニット111が設けられている。
3つの回胴20a,20b,20cの下方には、リアスピーカー114が設けられ、更にその下方には、投入口30から投入された遊技メダルが集められるホッパー116や、遊技メダルを払い出すメダル払出装置118、遊技機1全体に電源を供給するための電源基板280が格納された電源ユニット120などが搭載されている。メダル払出装置118から払い出された遊技メダルは、コインシュータ108を通って、遊技メダル払出口50から払い出されるようになっている。また、電源ユニット120の前面には、遊技機1の電源を入れるための電源スイッチ120sが設けられている。
図3は、3つの回胴20a,20b,20cの外周面に描かれた図柄の配列を示す説明図である。各回胴には、何れも21個の図柄が外周面に描かれている。また、何れの回胴についても、描かれている図柄の種類は同じであるが、図柄の配列については回胴毎に異なる配列に設定されている。
A−2.電気的構成 :
図4は、本実施例に係る遊技機1の電気的構成を示す説明図である。図4に示すように、遊技機1には、主制御基板200を中心として、サブ制御基板220、扉基板240、回胴基板260、電源基板280、中継基板300等がデータを通信可能に接続されて構成されている。
主制御基板200は、遊技機1で行われる遊技全体の制御を司る基板である。この主制御基板200には、CPU201、ROM202、RAM203などがバスによって互いにデータを通信可能に接続されて搭載されており、前面扉2に搭載された扉基板240から、スタートレバー36が操作されたことを示す信号などを受け取って、後述する遊技制御処理を実行しながら、サブ制御基板220や、扉基板240、回胴基板260などに向かって制御コマンド(あるいは制御信号)を送信することにより、これら各種基板の動作を制御している。
サブ制御基板220は、演出の制御を司る基板であり、上述した主制御基板200と同様に、CPU221や、ROM222、RAM223などがバスによって互いにデータを通信可能に接続されて構成されている。また、サブ制御基板220には、各種のランプ類12や、各種のスピーカー14,114、演出表示装置10、回胴バックライト20Lなどが接続されている。ここで、回胴バックライト20Lとは、各回胴20a,20b,20cの内部に設けられ、回胴の表面に描かれた図柄(図3参照)を裏側から照らすライトである。サブ制御基板220は、主制御基板200から受け取った制御コマンドに基づいて、各種ランプ類12、各種スピーカー14,114、演出表示装置10、回胴バックライト20Lにそれぞれ駆動信号を送信することにより、各種の演出を行っている。
扉基板240には、メダルセレクタ106や、貯留されている遊技メダルを投入(ベット)するための投入ボタン34、回胴の回転を開始するためのスタートレバー36、回転している回胴を停止させるための回胴停止ボタン38a,38b,38c、貯留されている遊技メダルや投入された遊技メダルを払い出して遊技を終了するための精算ボタン40、遊技機1の種々の状態を表示する各種の表示パネル22,23などが接続されている。また、この扉基板240は、前述した主制御基板200とデータを通信可能に接続されている。このため、前面扉2に設けられたスタートレバー36や、回胴停止ボタン38a,38b,38c、投入ボタン34、精算ボタン40などを操作すると、扉基板240を介して、その信号が主制御基板200に送られるようになっている。また、メダルセレクタ106に内蔵のメダルセンサによって遊技メダルの通過を検出した信号も、扉基板240を介して主制御基板200に送られる。
回胴基板260には、3つの回胴20a,20b,20cをそれぞれ回転させるための回胴モーター24a,24b,24cと、それぞれの回胴の回転位置を検出するための回胴センサ26a,26b,26cなどが接続されている。回胴基板260は、回胴センサ26a,26b,26cによって、各回胴20a,20b,20cの回転位置を検出しながら、回胴モーター24a,24b,24cを駆動することにより、それぞれの回胴20a,20b,20cを、所望の位置で停止させることが可能となっている。尚、本実施例の遊技機1では、回胴モーター24a,24b,24cには、いわゆるステッピングモーターが使用されている。
また、メダル払出装置118は、中継基板300を介して、主制御基板200に接続されており、主制御基板200からの制御信号に基づいて、所定枚数の遊技メダルを払い出す動作を行う。
これら各種制御基板および基板で消費される電力は、電源基板280から供給されている。図4では、電源基板280から電力が供給される様子を破線の矢印で表している。図示されているように、主制御基板200およびサブ制御基板220には、電源基板280から直接電力が供給されており、各種基板(扉基板240、回胴基板260、中継基板300)には、主制御基板200を介して電力が供給されている。電源基板280には100Vの交流電圧が供給されており、この電力を規定電圧の直流電圧に変換した後、それぞれの制御基板および基板に供給している。
B.遊技の概要 :
以下では、上記の構成を有する遊技機1において、遊技を進行するために行われる制御の内容について説明するが、その準備として、遊技機1で行われる遊技の概要を説明しておく。
遊技を開始するにあたっては、投入口30に遊技メダルを入れて、遊技を開始するのに必要な枚数(規定数)の遊技メダルの投入(ベット)を行う。本実施例の遊技機1では、規定数は「3枚」に固定されており、3枚の遊技メダルを投入すると、スタートレバー36の操作が有効化される。また、遊技メダルがクレジットとして予め内部に貯留(記憶)されている場合は、投入ボタン34を押すことによって規定数の遊技メダルを投入(ベット)することも可能である。
規定数の遊技メダルを投入して、スタートレバー36を操作すると、3つの回胴20a,20b,20cが回転を開始する。図3を用いて前述したように、各回胴には複数の図柄が描かれているため、回胴が回転すると、表示窓20では、これら図柄が変動表示されることになる。また、図1を用いて前述したように、前面扉2の前面側には、各回胴に対応して3つの回胴停止ボタン38a,38b,38cが設けられている。回胴20a,20b,20cの回転中に回胴停止ボタン38a,38b,38cが操作されると、操作された回胴停止ボタンに対応する回胴が回転を停止して、表示窓20では、変動表示されていた図柄が何れかの図柄で停止表示される。本実施例の遊技機1では、表示窓20の大きさは、各回胴あたり図柄が3つずつ表示される大きさに設定されている。従って、3つの回胴20a,20b,20cが停止すると、表示窓20には、3行3列の合計9つの図柄が停止表示されることになる。また、表示窓20内には、これら9つの図柄が停止表示される位置に複数本の入賞ラインが予め設定されている。
図5は、本実施例の遊技機1に設定されている入賞ラインを示した説明図である。図示されているように、本実施例の遊技機1では、上段の入賞ラインL1と、中段の入賞ラインL2と、下段の入賞ラインL3と、右斜め上方向きの入賞ラインL4と、右斜め下方向きの入賞ラインL5の合計5本の入賞ラインが設定されている。そして、3つの回胴20a,20b,20cが停止すると、これらの入賞ライン上には、何らかの図柄組合せが得られることになる。このとき、入賞ライン上に揃った図柄組合せが、何れかの遊技役に対応する図柄組合せであった場合には、その遊技役が成立し、遊技役に応じた特典が遊技者に付与される。
図6は、本実施例の遊技機1に設定されている遊技役の種類を、その遊技役を成立させる図柄組合せ、および遊技役が成立したときに遊技者に付与される特典と対応付けて示した説明図である。図6では、左端の欄に遊技役の種類が表示され、中央の欄には遊技役を成立させる図柄組合せが表示され、右端の欄には遊技役が成立したときに遊技者に付与される特典が表示されている。例えば、最上部に示したボーナス役と呼ばれる遊技役には、「赤セブン」と呼ばれる図柄で揃った図柄組合せ、「青セブン」と呼ばれる図柄で揃った図柄組合せ、および「バー」と呼ばれる図柄で揃った図柄組合せが対応付けられており、これらの図柄組合せの何れかで揃うと、特典として、遊技者にとって有利なボーナス状態と呼ばれる遊技状態が開始される。本実施例のボーナス状態は、特典として遊技メダルが付与される後述の遊技役(増加役)が通常の遊技状態(以下、通常状態)に比べて高い確率で成立する遊技状態であり、ボーナス状態の開始後に所定枚数の遊技メダルが付与されるまで継続される。本実施例の遊技機1では、「赤セブン」の図柄組合せが揃って開始されたボーナス状態は「400枚」の遊技メダルが付与されるまで継続され、「青セブン」の図柄組合せが揃って開始されたボーナス状態は「250枚」の遊技メダルが付与されるまで継続され、「バー」の図柄組合せが揃って開始されたボーナス状態は「50枚」の遊技メダルが付与されるまで継続される。そのため、ボーナス状態が開始されると、遊技者は多量の遊技メダルを獲得することができる。尚、以下では、「赤セブン」の図柄組合せが対応付けられたボーナス役を「赤7のボーナス役」、「青セブン」の図柄組合せが対応付けられたボーナス役を「青7のボーナス役」、「バー」の図柄組合せが対応付けられたボーナス役を「バーのボーナス役」とも表記し、これらを特に区別しない場合は単に「ボーナス役」と表記する。また、バーのボーナス役の成立で開始されたボーナス状態は、後述の増加役Aまたは増加役Bが所定回数(例えば、8回または12回)成立するまで継続されることとしてもよい。
また、再遊技役という遊技役には、3つの回胴20a,20b,20cが何れも「リプレイ」の図柄で揃った図柄組合せと、左回胴20aおよび中回胴20bが「リプレイ」の図柄であり、右回胴20cが「ベル」の図柄である図柄組合せ(以下では、「リプレイ」−「リプレイ」−「ベル」と表記する)とが設定されている。以下では、前者の図柄組合せの再遊技役を「通常再遊技役」と表記し、後者の図柄組合せの再遊技役を「特殊再遊技役」と表記して区別する。これら再遊技役に対応付けられた図柄組合せで揃うこと(再遊技役の成立)に対する特典としては、新たな遊技メダルを投入することなく、もう一度、遊技を行う権利が付与される。すなわち、再遊技役が成立した遊技の次の遊技では、遊技メダルが投入されたものとして、遊技を行うことが可能となる。また、詳しくは後述するが、本実施例の遊技機1では、通常状態において特殊再遊技役が成立すると、リプレイタイム状態(RT状態)と呼ばれる遊技状態が開始される。RT状態中は、通常状態に比べて非常に高い確率で通常再遊技役が成立するようになるため、遊技者は遊技メダルの消費を抑制しながら(遊技メダルあまり減らすことなく)遊技を継続することができる。
また、ベル役という遊技役には、3つの回胴20a,20b,20cが何れも「ベル」の図柄で揃った図柄組合せが対応付けられており、ベル役の成立に対する特典としては、15枚の遊技メダルが遊技者に付与されるように設定されている。次に、スイカ役という遊技役には、3つの回胴20a,20b,20cが何れも「スイカ」の図柄で揃った図柄組合せが対応付けられており、このスイカ役の成立に対する特典としては、6枚の遊技メダルが遊技者に付与されるように設定されている。さらに、チェリー役という遊技役には、左回胴20aが「チェリー」の図柄であれば、中回胴20bおよび右回胴20cの図柄はどのような図柄であっても構わない図柄組合せが設定されており、チェリー役の成立に対する特典としては、1枚の遊技メダルが付与されるように設定されている。
また、前述したボーナス状態中に高い確率で成立する増加役という遊技役には、左回胴20aおよび右回胴20cが「リプレイ」の図柄であり、中回胴20bが「ベル」の図柄である図柄組合せ(以下では、「リプレイ」−「ベル」−「リプレイ」と表記する)と、3つの回胴20a,20b,20cが何れも「白セブン」の図柄で揃った図柄組合せとが設定されている。以下では、前者の図柄組合せの増加役を「増加役A」と表記し、後者の図柄組合せの増加役を「増加役B」と表記して区別する。これら増加役の成立に対する特典としては、15枚の遊技メダルが付与されるように設定されている。
もちろん、回胴20a,20b,20cが停止したときに、図6に示した何れかの遊技役が必ず成立するとは限らない。何れの遊技役も成立していない場合は、再び規定数の遊技メダルを投入した後、スタートレバー36を操作して回胴を回転させることによって、次の遊技を行う。
C.遊技機の制御内容 :
C−1.遊技制御処理 :
図7は、本実施例の遊技機1において主制御基板200のCPU201が遊技の進行を制御するために行う遊技制御処理の前半部分を示すフローチャートである。また、図8は、本実施例の遊技機1において主制御基板200のCPU201が行う遊技制御処理の後半部分を示すフローチャートである。この遊技制御処理は、遊技機1に電源が入れられて、更に主制御基板200や、サブ制御基板220に搭載されたROMのチェックサムなどの初期化処理が行われた後に実行される処理である。尚、主制御基板200のCPU201が遊技制御処理を実行することで遊技が進行することから、本実施例の主制御基板200に搭載されたCPU201は、本発明の「遊技進行手段」に相当している。
図7に示すように、遊技制御処理を開始すると、先ず初めに遊技状態設定処理(ステップ100。以下、ステップを「S」と略記する)を行う。遊技状態設定処理の詳細については後述するが、この処理では、大まかには次のような処理を行う。本実施例の遊技機1では、遊技状態として、通常の遊技状態(通常状態)の他にボーナス状態およびリプレイタイム状態(RT状態)が設けられており、遊技状態に応じて遊技役の成立し易さや、成立し得る遊技役の種類等が異なっている。遊技状態設定処理では、現在の遊技状態が何れであるかを検出するとともに、遊技状態の終了条件が満たされたか否かを判断し、終了条件が満たされた遊技状態を終了させて、遊技状態を切り換える処理を行う。こうして遊技状態を切り換えることで、遊技が単調になることを回避することが可能となる。尚、各遊技状態についても、後ほど詳しく説明する。
遊技状態設定処理に続いて、投入操作を有効化する(S102)。前述したように、本実施例の遊技機1では、規定数の遊技メダルが投入された後、スタートレバー36の操作を検出すると回胴20a,20b,20cが回転を開始する。S102では、このような遊技メダルを投入する操作の受付を有効にする(遊技メダルの投入操作を検出可能にする)処理を行う。
投入操作を有効化したら(S102)、精算ボタン40が操作されたか否かの確認を行う(S104)。すなわち、後述のスタートレバー36の操作が検出される前であれば、投入した遊技メダルも含めてメダルを精算することが可能となっている。そして、精算ボタン40が操作された場合には(S104:yes)、精算処理を行うことにより、データとして貯留されている遊技メダルおよび投入した遊技メダルを払い出す処理を行う(S106)。遊技メダルの払い出しは、主制御基板200からメダル払出装置118に向けて、払い出すべき遊技メダルの枚数を指示する制御信号を送信することによって行われる。こうして遊技メダルを払い出したら、遊技の開始前の状態(S100)に戻って、以降の処理を行う。一方、精算ボタン40が操作されていないと判断した場合は(S104:no)、続いて、投入操作受付処理を行う(S108)。
図9は、本実施例の投入操作受付処理を示すフローチャートである。図示されているように投入操作受付処理では、先ず初めに再遊技フラグがONに設定されているか否かを判断する(S200)。ここで、再遊技フラグとは、再遊技役が成立したことを記憶しておくためのフラグである。前述したように再遊技役が成立すると、再遊技の権利が付与され、遊技者によって遊技メダルが投入されなくても、規定数の遊技メダルが再投入されたものとして遊技を行うことが可能となる。そこで、再遊技フラグがONに設定されている場合は(S200:yes)、規定数の遊技メダルが投入されたことを示す投入完了フラグをONに設定する(S202)。その後、再遊技フラグをOFFに設定したら(S204)、図9の投入操作受付処理を終了して、図7の遊技制御処理に復帰する。
これに対して、再遊技フラグがOFFに設定されていた場合は(S200:no)、続いて、投入口30から遊技メダルが投入されたか否かを判断する(S206)。前述したように投入口30から投入された遊技メダルは、メダルセレクタ106に内蔵のメダルセンサによって検出されるので、主制御基板200のCPU201は、検出信号の有無に基づいて、投入口30から遊技メダルが投入されたか否かを判断することが可能である。そして、投入口30から遊技メダルが投入された場合は(S206:yes)、投入口30から遊技メダルが投入されたことを示すメダル投入信号をサブ制御基板220に向かって送信し(S208)、続いて、遊技メダルの投入数が規定数以上であるか否かを判断する(S210)。本実施例の回胴式遊技機1では、規定数が「3枚」に設定されており、遊技メダルの投入数が規定数に達していない場合は(S210:no)、図9の投入操作受付処理を終了して、図7の遊技制御処理に復帰する。
一方、遊技メダルの投入数が規定数以上である場合は(S210:yes)、投入完了フラグをONに設定する(S212)。また、遊技メダルの投入数が規定数を超えていれば、その超えた分の投入数についてはクレジット数に加算する(S214)。さらに、本実施例の遊技機1では、クレジット数を表示する専用の表示パネル23が設けられており(図1参照)、クレジット数を表示パネル23に表示したら(S216)、図9の投入操作受付処理を終了して、図7の遊技制御処理に復帰する。尚、クレジット数は、主制御基板200のRAMの203の所定アドレスに記憶されていることから、本実施例の主制御基板200に搭載されたRAM203は、本発明の「記憶手段」に相当している。
また、S206の判断において、投入口30から遊技メダルが投入されていない場合は(S206:no)、続いてクレジット数が規定数(本実施例では「3」)以上であるか否かを判断し(S218)、クレジット数が規定数よりも少ない場合は(S218:no)、図9の投入操作受付処理を終了して、図7の遊技制御処理に復帰する。
これに対して、クレジット数が規定数以上である場合は(S218:yes)、投入ボタン34が操作されたか否かを判断する(S220)。投入ボタン34が操作されると、その操作信号が主制御基板200のCPU201に供給されるので、主制御基板200のCPU201は、操作信号の有無に基づいて、投入ボタン34が操作されたか否かを判断することができる。投入ボタン34が操作されていない場合は(S220:no)、図9の投入操作受付処理を終了する。一方、投入ボタン34が操作された場合は(S220:yes)、投入完了フラグをONに設定し(S222)、クレジット数から規定数を減算する処理を行う(S224)。さらに減算後のクレジット数を表示パネル23に表示したら(S226)、図9の投入操作受付処理を終了して、図7の遊技制御処理に復帰する。尚、クレジット数から規定数を減算する処理は主制御基板200のCPU201によって行われることから、本実施例の主制御基板200に搭載されたCPU201は、本発明の「減算手段」に相当している。
図7の遊技制御処理では、投入操作受付処理(S108)から復帰したら、投入完了フラグがONに設定されているか否かを判断する(S110)。その結果、投入完了フラグがONに設定されていない場合は(S110:no)、精算ボタン40の操作の有無を確認しながら(S104)、投入完了フラグがONに設定されるまで待機する。これに対して、投入完了フラグがONに設定されている場合は(S110:yes)、続いて、スタートレバー36が操作されたか否かを判断する(S112)。前述したように遊技者がスタートレバー36を操作すると、その操作信号が主制御基板200のCPU201に供給されるので、主制御基板200のCPU201は、スタートレバー36の操作信号に基づいて、スタートレバー36が操作されたか否かを判断することができる。スタートレバー36が操作されていない場合は(S112:no)、精算ボタン40の操作の有無を確認しながら(S104)、スタートレバー36が操作されるまで待機する。一方、スタートレバー36が操作された場合は(S112:yes)、遊技メダルの投入操作を無効化する(S114)。遊技メダルの投入操作が無効になっている状態では、投入口30から遊技メダルを入れても、その遊技メダルは、検出されないままコインシュータ108を通って、遊技メダル払出口50に返却される。また、投入ボタン34が操作されても、その操作は無効とされる。すなわち、スタートレバー36が操作された後は、何れの操作を行っても遊技メダルを投入することはできないように構成されている。尚、S114では、投入完了フラグをOFFに設定する処理も行う。こうして遊技メダルの投入操作を無効化したら、内部抽選処理を開始する(S116)。
内部抽選処理では、図6を用いて前述した遊技役の中から成立を許容する遊技役を、抽選によって決定する処理を行う。但し、この抽選で何れかの遊技役に当選した(成立が許容された)としても、直ちに遊技役が成立するわけではなく、回胴停止ボタン38a,38b,38cを操作することにより、当選した遊技役に対応する図柄組合せを入賞ライン上に揃えなければ遊技役を成立させることはできない。また逆に、抽選で当選した遊技役でなければ、どのようなタイミングで回胴停止ボタン38a,38b,38cを操作したとしても、対応する図柄組合せを入賞ライン上に揃えることはできないようになっている。そうした意味で、この抽選は、図柄組合せを揃えて遊技役を成立させるための前提条件として、内部的に行われる抽選であることから「内部抽選」と呼ばれている。また、内部抽選に当選した状態は、内部当選状態(あるいは単に、内部当選)と呼ばれている。
この内部抽選は、抽選テーブルと呼ばれる専用のテーブルを用いて行われており、抽選テーブルには、遊技役と内部抽選用乱数との対応関係が設定されている。ここで、内部抽選用乱数とは、主制御基板200のCPU201がスタートレバー36の操作信号を受け取ったときに取得する乱数である。本実施例の遊技機1では、内部抽選用乱数は2バイトデータとなっており、0〜65535の範囲の乱数値を取ることが可能である。尚、この抽選用の乱数は、主制御基板200に搭載された専用の乱数発生回路を用いてハードウェア的に生成することもできるし、乱数発生用のプログラムを用いてソフトウェア的に生成することも可能である。
図10は、最も一般的な遊技状態である通常状態中に用いられる抽選テーブルを概念的に示した説明図である。図10(a)には、各遊技役に対して割り当てられた乱数の範囲が示されている。また、図10(b)には、各遊技役に割り当てられた乱数範囲の大まかな比率が模式的に示されている。図示されているように、通常状態用の抽選テーブルでは、「ベル役」に対しては0〜11999の乱数値が設定されている。これは、取得した乱数値がこの範囲にあった場合には、ベル役に内部当選することを表している。
また、「スイカ役」に対しては12000〜13999の乱数値が設定され、「チェリー役」には14000〜15999の乱数値が設定され、「赤7のボーナス役」には16000〜16499の乱数値が設定され、「青7のボーナス役」には16500〜16999の乱数値が設定され、「バーのボーナス役」には17000〜17499の乱数値が設定されている。さらに、「特殊再遊技役」には17500〜24099の乱数値が設定され、「通常再遊技役」には24100〜33099の乱数値が設定されている。尚、33100〜65535の乱数値には、何れの遊技役も設定されておらず、従って、取得した乱数値がこの範囲にあった場合は「ハズレ」となる。
ここで、本実施例の遊技機1では、「ベル役」がベル役A〜ベル役Fの6種類で構成されており、対応付けられている図柄組合せ(3つの回胴20a,20b,20cが「ベル」の図柄で揃った図柄組合せ)は共通であるものの、内部当選は個別に判定される。また同様に、「特殊再遊技役」についても特殊再遊技役A〜特殊再遊技役Fの6種類で構成されており、対応付けられている図柄組合せ(「リプレイ」−「リプレイ」−「ベル」の図柄組合せ)は共通であるものの、内部当選は個別に判定される。
図11は、ベル役に対して設定された乱数値の詳細な割り当てを示した説明図である。前述したようにベル役に対しては0〜11999の乱数値が設定されており、このうち0〜1999の範囲の乱数値を取得した場合はベル役Aに内部当選する。同様に、2000〜3999の範囲の乱数値を取得した場合はベル役Bに内部当選し、4000〜5999の範囲の乱数値を取得した場合はベル役Cに内部当選し、6000〜7999の範囲の乱数値を取得した場合はベル役Dに内部当選し、8000〜9999の範囲の乱数値を取得した場合はベル役Eに内部当選し、10000〜11999の範囲の乱数値を取得した場合はベル役Fに内部当選する。
また、本実施例の遊技機1では、6種類のベル役(A〜F)に、それぞれ異なる押し順(回胴停止ボタン38a,38b,38cを操作する順序)が予め対応付けられており、6種類のベル役の何れかに内部当選しても、内部当選したベル役に対応する押し順で3つの回胴停止ボタン38a,38b,38cを操作しない限り、ベル役の図柄組合せが揃わないようになっている。図11には、6種類のベル役の各々に対応する押し順が合わせて示されており、ベル役Aに対しては、最初に左側の回胴停止ボタン38a(左)、次に中央の回胴停止ボタン38b(中)、最後に右側の回胴停止ボタン38c(右)を操作する押し順(以下では、このような押し順を「左・中・右」と表記する)が設定されている。同様に、ベル役Bに対しては「中・右・左」の押し順が設定され、ベル役Cに対しては「右・左・中」の押し順が設定され、ベル役Dに対しては「右・中・左」の押し順が設定され、ベル役Eに対しては「中・左・右」の押し順が設定され、ベル役Fに対しては「左・右・中」の押し順が設定されている。
図12は、特殊再遊技役に対して設定された乱数値の詳細な割り当てを示した説明図である。特殊再遊技役に対して設定された17500〜24099の乱数値のうち、17500〜18599の範囲の乱数値を取得した場合は特殊再遊技役Aに内部当選し、18600〜19699の範囲の乱数値を取得した場合は特殊再遊技役Bに内部当選し、19700〜20799の範囲の乱数値を取得した場合は特殊再遊技役Cに内部当選し、20800〜21899の範囲の乱数値を取得した場合は特殊再遊技役Dに内部当選し、21900〜22999の範囲の乱数値を取得した場合は特殊再遊技役Eに内部当選し、23000〜24099の範囲の乱数値を取得した場合は特殊再遊技役Fに内部当選する。
また、前述したベル役と同様に、6種類の特殊再遊技役(A〜F)についても、それぞれ異なる押し順が予め対応付けられている。図12に示されているように、特殊再遊技役Aに対しては「左・中・右」の押し順が設定され、特殊再遊技役Bに対しては「中・右・左」の押し順が設定され、特殊再遊技役Cに対しては「右・左・中」の押し順が設定され、特殊再遊技役Dに対しては「右・中・左」の押し順が設定され、特殊再遊技役Eに対しては「中・左・右」の押し順が設定され、特殊再遊技役Fに対しては「左・右・中」の押し順が設定されている。
尚、本実施例の遊技機1では、6種類のベル役(A〜F)および6種類の特殊再遊技役(A〜F)に、6種類の押し順の何れかが予め対応付けられていることから、内部抽選においてベル役あるいは特殊再遊技役に当選すると同時に、6種類の押し順の何れかが決定されることになる。しかし、内部抽選とは別に、押し順を決定するための抽選(押し順抽選)を行うこととしてもよい。この場合は、1種類のベル役と1種類の特殊再遊技役とを設定しておけばよく、内部抽選でベル役あるいは特殊再遊技役に当選した場合に、押し順抽選乱数を取得して、押し順抽選テーブル(図示せず)を参照することにより、押し順抽選を実行する。押し順抽選テーブルには、押し順抽選用乱数(例えば、0〜99)に対して6種類の押し順の何れかが対応付けられており、取得した押し順抽選乱数に対応付けられた押し順を、内部当選したベル役あるいは特殊再遊技役を成立させる押し順に決定する。
内部抽選処理(図7のS116)では、以上のように、スタートレバー36が操作されたときに取得した内部抽選用乱数と、抽選テーブルとを参照することによって、何れの遊技役に内部当選したか、若しくはハズレであるかを判断する。そして、何れかの遊技役に内部当選したら、内部当選した遊技役の内部当選フラグをONに設定する。ここで、内部当選フラグとは、内部抽選の結果を記憶しておくために用いられるフラグであり、主制御基板200に搭載されたRAM203の所定アドレスに設定されている。
図13は、本実施例の遊技機1における内部当選フラグの構成を例示した説明図である。図示されているように、本実施例の遊技機1では、ボーナス役以外の遊技役についての内部当選フラグと、ボーナス役についての内部当選フラグとに分けて記憶されており、それぞれに対して1バイト(8ビット)分の領域が確保されている。図13(a)は、ボーナス役以外の遊技役の内部当選フラグが設定される領域のデータ構造を例示した説明図である。図示されているように、1バイトデータのうち下位側の7ビットが使用され、これら7ビット中の先頭のビットは、ベル役に内部当選したことを記憶しておくためのビットである。以下の6ビットも同様に、それぞれスイカ役、チェリー役、通常再遊技役、特殊再遊技役、増加役A、増加役Bに内部当選したことを記憶しておくために用いられるビットである。尚、本実施例の遊技機1では、前述したように6種類のベル役(A〜F)および6種類の特殊再遊技役(A〜F)が設けられており、このことと対応して、ベル役あるいは特殊再遊技役に内部当選した場合には、6種類の何れに内部当選したかを記憶しておくための内部当選フラグ(図示せず)も設けられている。
また、図13(b)は、ボーナス役内部当選フラグが設定される領域のデータ構造を例示した説明図である。図示されているように、1バイトデータのうち下位側の3ビットが使用され、これら3ビット中の先頭のビットは、赤7のボーナス役に内部当選したことを記憶しておくためのビットであり、以下の2ビットも同様に、青7のボーナス役、バーのボーナス役に内部当選したことを記憶しておくためのビットである。内部抽選処理(S116)では、抽選テーブルを参照しながら、何れかの遊技役に内部当選しているか、若しくはハズレであるかを判断し、何れかの遊技役に内部当選していれば、図13に示した内部当選フラグの対応するビットに「1」を設定する(内部当選フラグをONに設定する)処理を行う。尚、内部抽選の結果が「ハズレ」である(ハズレ役に内部当選した)場合には、何れの内部当選フラグもONに設定されることはない。
内部抽選処理(S116)を終了すると、主制御基板200のCPU201は、サブ制御基板220に対して内部抽選結果伝達コマンドを送信する(S118)。内部抽選結果伝達コマンドには、先の内部抽選処理(S116)で行われた内部抽選の結果を示す情報(何れかの遊技役に内部当選したか、若しくはハズレであるかの情報や、内部当選した遊技役の種類の情報など)が含まれている。
内部抽選結果伝達コマンドをサブ制御基板220に向けて送信すると(S118)、続いて回胴回転始動処理を開始する(S120)。回胴回転始動処理では、所定の条件が満たされているか否かを判断して、条件が満たされている場合は、3つの回胴20a,20b,20cを回転させる処理を行う。本実施例の回胴回転始動処理では、スタートレバー36が操作され、且つ、前回に回胴20a,20b,20cの回転が開始されてから所定時間(例えば、4.1秒)を経過した場合に回胴の回転を開始することとして、各回胴20a,20b,20cにそれぞれ設けられた回胴モーター24a,24b,24cに対して駆動信号を送信することにより、3つの回胴20a,20b,20cを回転させる。
こうして3つの回胴20a,20b,20cを回転させたら、主制御基板200のCPU201は、回胴の回転を停止させる処理(回胴回転停止処理)を行う(S122)。回胴回転停止処理では、3つの回胴20a,20b,20cの回転速度が所定速度で安定したことを確認した後、回胴停止ボタン38a,38b,38cの操作を有効化して、回胴停止ボタン38a,38b,38cが操作されたか否かを判断する。前述したように遊技者が回胴停止ボタン38a,38b,38cを操作すると、その操作信号が主制御基板200のCPU201に供給されるので、主制御基板200のCPU201は、操作信号を受け取ると、操作された回胴停止ボタンに対応する回胴が操作時に何れの回転位置にあったかを検出する。そして、その検出結果に基づいて、回胴の停止位置を、回胴停止ボタンの操作時の回転位置から図柄にして最大で4コマ分回胴が回転する範囲(回胴停止ボタンが操作されてから190msecの間に回胴が回転する範囲)以内で決定し、決定した位置で回胴を停止させる。
尚、回胴の停止位置を決定するに際しては、先に行われた内部抽選の結果が参照され、内部当選していない遊技役については、どのようなタイミングで回胴停止ボタン38a,38b,38cを操作しても、対応する図柄組合せが入賞ライン上に揃わないように各回胴20a,20b,20cを停止させる。逆に、内部当選している遊技役については、適切なタイミングで回胴停止ボタン38a,38b,38cを操作すると、対応する図柄組合せが入賞ライン上に揃うように各回胴20a,20b,20cを停止させる。また、前述したように本実施例の遊技機1では、6種類のベル役(A〜F)および6種類の特殊再遊技役(A〜F)について予め回胴停止ボタン38a,38b,38cの押し順が対応付けられており(図11,図12参照)、これらの遊技役に内部当選している場合は、3つの回胴停止ボタン38a,38b,38cを操作する順序が考慮される。すなわち、内部当選している遊技役に対応付けられた押し順とは異なる順序で回胴停止ボタン38a,38b,38cを操作すると、遊技役に対応する図柄組合せが入賞ライン上に揃わないように各回胴20a,20b,20cを停止させる。一方、内部当選している遊技役に対応付けられた押し順で回胴停止ボタン38a,38b,38cを操作すると、内部当選した遊技役に対応する図柄組合せが入賞ライン上に揃うように各回胴20a,20b,20cを停止させる。
主制御基板200のCPU201は、3つの回胴20a,20b,20cを停止させると、その停止位置に基づいて何れかの遊技役が成立したか否かを判断する(図8のS130)。ここで、「遊技役が成立する」とは、遊技役に対応する図柄組合せ(図6参照)が入賞ライン上(図5参照)に揃って停止表示されることをいう。前述したように、本実施例の遊技機1では、内部抽選処理(S116)で何れかの遊技役に内部当選していても、回胴停止ボタン38a,38b,38cを押すタイミングや押す順序によっては、その遊技役に対応する図柄組合せが入賞ライン上に揃うとは限らない。そこで、主制御基板200のCPU201は、回胴の回転を停止させた後、内部抽選で当選した遊技役が成立しているか否かを判断する。
S130の判断の結果、何れの遊技役も成立していない場合は(S130:no)、取りこぼし目確認処理を行う(S132)。詳しくは後述するが、本実施例の遊技機1では、前述したRT状態中に「取りこぼし目」と呼ばれる図柄組合せが入賞ライン上に停止表示されると、そのRT状態を終了するように構成されている。S132の取りこぼし目確認処理では、RT状態中に取りこぼし目が停止表示されていれば、RT状態を終了するための処理を行う。そして、取りこぼし目確認処理を終了したら、続いて、クレジット数確認処理を行う(S134)。
図14は、本実施例のクレジット数確認処理を示すフローチャートである。図示されているようにクレジット数確認処理では、先ず初めに現在の遊技状態が通常状態であるか否かを判断する(S230)。現在の遊技状態が通常状態ではない場合は(S230:no)、そのまま図14のクレジット数確認処理を終了して、図8の遊技制御処理に復帰する。
これに対して、現在の遊技状態が通常状態である場合は(S230:yes)、再遊技フラグがONに設定されているか否かを判断する(S232)。前述したように再遊技フラグは、再遊技役が成立したことを記憶しておくためのフラグであり、再遊技フラグがONに設定されていれば、次回の投入操作受付処理(図7のS108)において遊技メダルの投入なしに投入完了フラグがONに設定されるため(図9のS202)、クレジットが消費される(クレジット数が減算される)ことはない。そこで、再遊技フラグがONに設定されている場合は(S232:yes)、図14のクレジット数確認処理を終了して、図8の遊技制御処理に復帰する。
一方、再遊技フラグがONに設定されていない場合は(S232:no)、続いて、クレジット数が規定数(本実施例では「3枚」)以上残っているか否かを判断する(S234)。前述したようにクレジット数は、主制御基板200のRAMの203に記憶されている。クレジット数が規定数以上である場合は(S234:yes)、現在のクレジット数を伝達するためのクレジット数伝達コマンドをサブ制御基板220に向かって送信する(S236)。そして、クレジット数伝達コマンドを送信したら、図14のクレジット数確認処理を終了して、図8の遊技制御処理に復帰する。
これに対して、クレジット数が規定数よりも少ない場合は(S234:no)、続いて、クレジット数が「0」であるか否かを判断する(S238)。クレジット数が「0」である場合は(S238:yes)、クレジット数伝達コマンドをサブ制御基板220に向かって送信して(S236)、図14のクレジット数確認処理を終了する。一方、クレジット数が「0」ではない場合、すなわちクレジット数が1枚あるいは2枚である場合は(S238:no)、クレジット数が「0」になるまで遊技メダルを払い出す処理を行い(S240)、表示パネル23にクレジット数として「0」を表示する(S242)。さらにクレジット数伝達コマンドをサブ制御基板220に向かって送信したら(S236)、図14のクレジット数確認処理を終了して、図8の遊技制御処理に復帰する。
図8の遊技制御処理では、クレジット数確認処理(S134)から復帰すると、遊技制御処理の先頭に戻って、遊技状態設定処理(図7のS100)以降の上述の処理を行う。
尚、本実施例の遊技機1では、S130の判断において何れの遊技役も成立していなくても、ボーナス役に内部当選している場合は、その内部当選が持ち越され、次回の遊技でも、そのボーナス役に対応する内部当選フラグがONに設定された状態のままとなる。これに対して、ボーナス役以外の遊技役に内部当選している場合は、その内部当選が次回の遊技に持ちこなれることなくリセットされてしまう。
一方、S130の判断の結果、何れかの遊技役が成立したと判断された場合は(S130:yes)、先ず初めに、ボーナス役が成立したか否かを判断する(S136)。図6を用いて前述したように、ボーナス役は、「赤セブン」、「青セブン」、「バー」の何れかの図柄が入賞ライン上に揃った場合に成立する遊技役である。そして、ボーナス役が成立したと判断された場合は(S136:yes)、ボーナスフラグをONに設定するとともに、その他の遊技状態フラグをOFFに設定する(S138)。ここで、ボーナスフラグとは、遊技状態を、前述したボーナス状態と呼ばれる遊技者にとって有利な遊技状態に設定することを示すフラグであり、現在の遊技状態を表すための「遊技状態フラグ」と呼ばれる専用のフラグの一種である。詳しくは後述するが、本実施例の遊技機1には、ボーナス状態や、RT状態といった特殊な遊技状態のそれぞれに対応する遊技状態フラグが設けられており、これら遊技状態フラグの設定(ON/OFF)に応じて遊技状態を切り換えながら遊技が進行していく。こうした遊技状態フラグは、主制御基板200に搭載されたRAM203の所定アドレスに設定されている。尚、主制御基板200のCPU201がボーナスフラグをONに設定することでボーナス状態が実行されることから、本実施例の主制御基板200に搭載されたCPU201は、本発明の「ボーナス状態実行手段」に相当している。
図15は、遊技状態フラグ等が設定される1バイト分の領域のデータ構造を例示した説明図である。本実施例の遊技機1では、RAM203上の所定アドレスの1バイトデータのうち、下位側の2ビットが遊技状態フラグとして用いられている。これら2ビットの上位側のビットがボーナス状態中であることを示すボーナスフラグに設定されており、下位側のビットがRT状態中であることを示すRTフラグに設定されている。S138でボーナスフラグをONに設定する場合には、ボーナスフラグに対応するビットに「1」を設定する。また、ボーナスフラグをONに設定すると、その他の遊技状態フラグ(ここではRTフラグ)をOFFに設定する。すなわち、RT状態中にボーナス役が成立した場合には、RT状態を終了してボーナス状態が開始される。尚、S138では、ONに設定されていたボーナス役内部当選フラグをOFFに設定する処理も行う。
S138の処理が終了すると、主制御基板200のCPU201は、サブ制御基板220に向けてボーナス開始コマンドを送信する(S140)。このため、サブ制御基板220のCPU221は、ボーナス開始コマンドを受信することによって、ボーナス状態が開始されることを把握可能である。こうしてボーナスフラグがONに設定された状態でクレジット数確認処理(S134)を行った後に遊技制御処理の先頭に戻ると、遊技状態設定処理(S100)でボーナスフラグがONになっていることが検出されて、遊技状態がボーナス状態に切り換わり、以降の一連の処理が行われる。尚、遊技状態設定処理の詳細については後述する。
一方、ボーナス役が成立していない場合は(S136:no)、今度は、再遊技役が成立したか否かを判断する(S142)。そして、再遊技役が成立していた場合は(S142:yes)、再遊技フラグをONに設定する(S144)。前述したように再遊技フラグは、再遊技役が成立したことを記憶しておくためのフラグであり、再遊技フラグがONに設定されると、次回の投入操作受付処理(図7のS108)では、遊技者によって遊技メダルが投入されなくても投入完了フラグがONに設定される(図9のS202)。尚、再遊技フラグも、前述した遊技状態フラグと同様に、主制御基板200に搭載されたRAM203の所定アドレスに設定されている。本実施例の遊技機1では、図15に示したように、遊技状態を示す遊技状態フラグが設定されているビットの1つ上位のビットが再遊技フラグに設定されている。
再遊技フラグをONに設定したら、成立した再遊技役が「特殊再遊技役」であるか否かを判断する(S146)。前述したように本実施例の再遊技役には、通常再遊技役および特殊再遊技役の2種類が設けられている。このうち、特殊再遊技役が成立していた場合は(S146:yes)、続いて、現在の遊技状態が通常状態であるか否かを判断する(S148)。本実施例の遊技機1では、通常状態において特殊再遊技役が成立すると、RT状態が開始される。そのため、現在の遊技状態が通常状態である場合は(S148:yes)、遊技状態をRT状態に設定することを示すRTフラグをONに設定する(S150)。また、RTフラグをONにしたら、主制御基板200のCPU201は、サブ制御基板220に向けてRT開始コマンドを送信する(S152)。このため、サブ制御基板220のCPU221は、RT開始コマンドを受信することによって、RT状態が開始されることを把握可能である。こうしてRTフラグがONに設定された状態でクレジット数確認処理(S134)を行った後に遊技制御処理の先頭に戻ると、遊技状態設定処理(S100)において遊技状態がRT状態に設定される。尚、本実施例のRT状態は、本発明の「特定状態」に相当している。また、本実施例の「特殊再遊技役の成立」は、本発明の「発生条件の成立」に相当しており、特殊再遊技役が成立すると、主制御基板200のCPU201がRTフラグをONに設定することでRT状態が発生することから、本実施例の主制御基板200に搭載されたCPU201は、本発明の「特定状態発生手段」に相当している。
これに対して、通常再遊技役が成立していた場合(S146:no)、あるいは、現在の遊技状態が既にRT状態である場合は(S148:no)、S150及びS152の処理を行うことなく、前述したクレジット数確認処理を行うと(S134)、遊技制御処理の先頭に戻って、遊技状態設定処理(図7のS100)以降の上述した処理を行う。
一方、S142の判断において、再遊技役が成立していない場合は(S142:no)、何れかの遊技役が成立したものの(S130:yes)、その遊技役は、ボーナス役、再遊技役の何れでもないことから、遊技メダルが付与される遊技役(いわゆる小役)の何れかであると判断される。そこで、成立した小役に応じて遊技メダルを付与する処理(メダル付与処理)を行う(S154)。
図16は、本実施例のメダル付与処理を示すフローチャートである。図示されているようにメダル付与処理では、先ず初めに、成立した遊技役(小役)の種類に応じて付与する遊技メダルの枚数(付与数)を決定する(S250)。すなわち、成立した遊技役がベル役、増加役A、増加役Bの何れかであれば付与数を「15枚」に決定し、スイカ役であれば付与数を「6枚」に決定し、チェリー役であれば付与数を「1枚」に決定する。
遊技メダルの付与数の決定に続いて、主制御基板200のCPU201は、ボーナス状態中であることを示すボーナスフラグがONに設定されているか否かを判断し(S252)、ボーナスフラグがONに設定されている場合は(S252:yes)、ボーナス状態中の付与数の合計を計数する処理を行う(S254)。尚、ボーナス状態中の付与数の合計は、主制御基板200に搭載されたRAM203の所定アドレスに記憶されている。一方、ボーナスフラグがONに設定されていない場合は(S252:no)、S254の処理を行うことなく、S250で決定した付与数を、主制御基板200のRAM203に記憶されているクレジット数に加算する(S256)。尚、小役の成立に伴う遊技メダルの付与数をクレジット数に加算する処理は主制御基板200のCPU201によって行われることから、本実施例の主制御基板200に搭載されたCPU201は、本発明の「加算手段」に相当している。
こうして遊技メダルの付与数をクレジット数に加算すると、加算後のクレジット数が最大値に達したか否かを判断する(S258)。本実施例の遊技機1では、クレジット数の最大値が「50枚」に設定されている。クレジット数が最大値に達していない場合は(S258:no)、表示パネル23にクレジット数を表示して(S260)、図16のメダル付与処理を終了する。
一方、クレジット数が最大値に達した場合は(S258:yes)、最大値を超えた分の遊技メダルを払い出す処理を行う(S262)。この処理は、主制御基板200のCPU201が、クレジット数の最大値を超えた分の遊技メダルの枚数を算出し、算出した枚数を指示する制御信号をメダル払出装置118に向けて送信することによって行われる。続いて、表示パネル23にクレジット数として「50」を表示したら(S260)、図16のメダル付与処理を終了して、図8の遊技制御処理に復帰する。
図8の遊技制御処理では、メダル付与処理(S154)から復帰して、前述したクレジット数確認処理を行うと(S134)、遊技制御処理の先頭に戻り、遊技状態設定処理(図7のS100)以降の上述した処理を行う。
C−2.遊技状態設定処理 :
図17は、本実施例の遊技機1が行う遊技状態設定処理を示すフローチャートである。遊技状態設定処理を開始すると、先ず初めに主制御基板200のCPU201は、図13に示した遊技状態フラグを参照して、ボーナスフラグがONに設定されているか否かを判断する(S300)。前述したようにボーナスフラグは、ボーナス状態中であることを示す遊技状態フラグであり、ボーナスフラグがONに設定されている場合は(S300:yes)、ボーナス状態の終了条件が成立したか否かを判断する(S302)。本実施例のボーナス状態は、ボーナス状態の開始後に所定枚数の遊技メダルが付与されると終了するように設定されており、赤7のボーナス役の成立で開始されたボーナス状態は「400枚」の遊技メダルが付与されるまで継続され、青7のボーナス役の成立で開始されたボーナス状態は「250枚」の遊技メダルが付与されるまで継続され、バーのボーナス役の成立で開始されたボーナス状態は「50枚」の遊技メダルが付与されるまで継続される。また、図16に示したメダル付与処理では、ボーナス状態中の遊技メダルの付与数の合計を計数している(図16のS254)。ボーナス状態中に付与された遊技メダルの合計が未だ所定枚数に達しておらず、ボーナス状態の終了条件が成立していないと判断した場合は(S302:no)、ボーナス状態を継続するために、ボーナス状態用抽選テーブルを選択する(S304)。こうしてボーナス状態用抽選テーブルを選択したら、図17の遊技状態設定処理を終了して、図7および図8に示した遊技制御処理に復帰する。
図18は、ボーナス状態中に用いられるボーナス状態用抽選テーブルを概念的に示した説明図である。図18(a)には、遊技役に対して割り当てられた乱数の範囲が示されており、図18(b)には、遊技役に割り当てられた乱数範囲の大まかな比率が模式的に示されている。図10に示した通常状態用抽選テーブルと比較すると、図18のボーナス状態用抽選テーブルには、「ベル役」、「スイカ役」、「チェリー役」、「赤7のボーナス役」、「青7のボーナス役」、「バーのボーナス役」、「通常再遊技役」、「特殊再遊技役」の何れにも乱数値が設定されておらず、その代わりに、「増加役A」または「増加役B」に乱数値が設定されており、特に「増加役A」に対して大部分の乱数値が設定されている。そのため、ボーナス状態中は非常に高い確率で増加役Aが成立し、増加役Aの成立の度に15枚の遊技メダルが付与される(図6参照)。
一方、図17のS302の判断において、ボーナス状態中に付与された遊技メダルの合計が所定枚数に達して、ボーナス状態の終了条件が成立したと判断した場合は(S302:yes)、ボーナス状態を終了するために、ボーナスフラグをOFFに設定し(S306)、続いて、ボーナス終了時処理を行う(S308)。
図19は、本実施例のボーナス終了時処理を示すフローチャートである。図示されるようにボーナス終了時処理では、先ず初めに、赤7のボーナス役の成立によって開始されたボーナス状態であるか否かを判断する(S330)。前述したように本実施例の遊技機1では、赤7のバーナス役、青7のボーナス役、バーのボーナス役の3種類のボーナス役が設けられており、赤7のボーナス役の成立によって開始されたボーナス状態を終了する場合は(S330:yes)、主制御基板200に搭載されたRAM203に記憶されているクレジット数を表示パネル23に表示して(S332)、図19のボーナス終了時処理を終了する。尚、前述したようにクレジット数の最大値は「50枚」に設定されていることから、表示パネル23に表示されるクレジット数は最大値が「50」である。
一方、赤7のボーナス役の成立によって開始されたボーナス状態ではなかった場合は(S330:no)、次に、青7のボーナス役の成立によって開始されたボーナス状態であるか否かを判断する(S334)。その結果、青7のボーナス役の成立によって開始されたボーナス状態を終了する場合は(S334:yes)、クレジット数が「30枚」以下であるか否かを判断する(S336)。クレジット数が「30枚」以下である場合は(S336:yes)、クレジット数を表示パネル23に表示して(S332)、図19のボーナス終了時処理を終了する。これに対して、クレジット数が「30枚」を超えていた場合は(S336:no)、クレジット数が「30枚」になるまで遊技メダルを払い出す処理を行う(S338)。そして、表示パネル23にクレジット数として「30」を表示したら(S332)、図19のボーナス終了時処理を終了する。
一方、S334の判断において、青7のボーナス役の成立によって開始されたボーナス状態ではなかった場合は(S334:no)、バーのボーナス役の成立によって開始されたボーナス状態を終了すると判断され、続いて、クレジット数が「20枚」以下であるか否かを判断する(S340)。クレジット数が「20枚」以下である場合は、クレジット数を表示パネル23に表示して(S332)、図19のボーナス終了時処理を終了する。これに対して、クレジット数が「20枚」を超えていた場合は(S340:no)、クレジット数が「20枚」になるまで遊技メダルを払い出す処理を行う(S342)。そして、表示パネル23にクレジット数として「20」を表示したら(S332)、図19のボーナス終了時処理を終了して、図18の遊技状態設定処理に復帰する。
図18の遊技状態設定処理では、ボーナス終了時処理(S308)から復帰すると、サブ制御基板220に向けてボーナス終了コマンドを送信する(S310)。このため、サブ制御基板220のCPU221は、ボーナス終了コマンドを受信することによって、ボーナス状態が終了することを把握可能である。
また、S306でボーナスフラグをOFFにすると、遊技状態は通常状態となる。そのため、主制御基板200のCPU201は、前述した通常状態用抽選テーブル(図10)を選択したら(S312)、図17の遊技状態設定処理を終了して、図7および図8に示した遊技制御処理に復帰する。
以上では、S300の判断でボーナスフラグがONに設定されていた場合の処理について説明したが、ボーナスフラグがONに設定されていなかった場合は(S300:no)、続いて、RTフラグがONに設定されているか否かを判断する(S314)。前述したようにRTフラグは、RT状態中であることを示すフラグであり、RTフラグがONに設定されていない場合は(S314:no)、ボーナスフラグ及びRTフラグの何れのフラグもONに設定されていないので、現在の遊技状態は通常状態であると判断される。そこで、通常状態用抽選テーブル(図10)を選択したら(S312)、図17の遊技状態設定処理を終了して、図7および図8に示した遊技制御処理に復帰する。
一方、S314の判断において、RTフラグがONに設定されている場合は(S314:yes)、RT状態用抽選テーブルを選択する(S316)。その後、図17の遊技状態設定処理を終了して、図7および図8に示した遊技制御処理に復帰する。
図20は、RT状態中に用いられるRT状態用抽選テーブルを概念的に示した説明図である。図20(a)には、各遊技役に対して割り当てられた乱数の範囲が示されており、図20(b)には、各遊技役に割り当てられた乱数範囲の大まかな比率が模式的に示されている。図10に示した通常状態用抽選テーブルと比較すると明らかなように、図20のRT状態用抽選テーブルでは、「通常再遊技役」の乱数範囲が大幅に拡大されて、その分だけ「ハズレ」の乱数範囲が縮小されている。従って、RT状態中は通常状態中よりも高い確率で再遊技役(特に通常再遊技役)が成立するので、遊技メダルの使用量(消費量)を通常状態中よりも抑制しながらボーナス役の成立を狙うことが可能となる。尚、RT状態用抽選テーブルについても、通常状態用抽選テーブルと同様に、6種類のベル役(A〜F)の各々に乱数値が割り当てられていると共に(図11参照)、6種類の特殊再遊技役の各々に乱数値が割り当てられている(図12参照)。
ここで、図17の遊技状態設定処理では、RT状態について終了条件が成立したか否かを判断する処理や、RT状態を終了する処理を行っておらず、これらの処理は、図7および図8に示した遊技制御処理の中の取りこぼし目確認処理(S132)において行われている。
C−3.取りこぼし目確認処理 :
図21は、本実施例の取りこぼし目確認処理を示すフローチャートである。前述したように、取りこぼし目確認処理は、図7および図8に示した遊技制御処理の中で、回胴20a,20b,20cを停止させた結果、何れの遊技役も成立していないと判断された場合に行われる処理である(図8のS132)。取りこぼし目確認処理では、先ず初めに、「取りこぼし目」と呼ばれる図柄組合せが入賞ライン上に停止表示されたか否かを判断する(S350)。
図22は、本実施例の遊技機1に設定されている取りこぼし目を示した説明図である。図示されているように取りこぼし目は、左回胴20aおよび中回胴20bが「ベル」の図柄であり、右回胴20cが「リプレイ」の図柄である図柄組合せ(以下では、「ベル」−「ベル」−「リプレイ」と表記する)に設定されている。本実施例の遊技機1では、内部抽選処理(図7のS116)にてベル役に内部当選したにもかかわらず、回胴回転停止処理(S122)にてベル役に対応する図柄組合せ(「ベル」の図柄で揃った図柄組合せ)が入賞ライン上に揃わない場合は、取りこぼし目が入賞ライン上に揃うように回胴20a,20b,20cを停止させる。また、前述したように、6種類のベル役(A〜F)について予め回胴停止ボタン38a,38b,38cの押し順が対応付けられており(図11参照)、内部当選しているベル役に対応付けられた押し順に従って回胴停止ボタン38a,38b,38cを操作しない限り、ベル役の図柄組合せが入賞ライン上に揃わないため、内部当選しているベル役に対応付けられた押し順とは異なる順序で回胴停止ボタン38a,38b,38cを操作すると、取りこぼし目が入賞ライン上に揃うことになる。
取りこぼし目が入賞ライン上に停止表示された場合は(S350:yes)、続いて、RTフラグがONに設定されているか否か、すなわち、RT状態中か否かを判断する(S352)。前述したように本実施例の遊技機1では、RT状態中に取りこぼし目が入賞ライン上に停止表示されると、RT状態の終了条件が成立して、RT状態が終了となる。そこで、RTフラグがONに設定されている場合は(S352:yes)、RTフラグをOFFに設定してRT状態を終了する(S354)。こうしてRTフラグをOFFにすると、遊技状態は通常状態となる。また、RTフラグをOFFに設定したら、サブ制御基板220に向けてRT終了コマンドを送信する(S356)。このため、サブ制御基板220のCPU221は、RT終了コマンドを受信することによって、RT状態が終了することを把握可能である。
一方、取りこぼし目が入賞ライン上に停止表示されていない場合や(S350:no)、取りこぼし目が停止表示された際にRTフラグがONに設定されていなかった場合は(S352:no)、RTフラグをOFFにする処理(S354)、およびRT終了コマンドを送信する処理(S356)を行うことなく、図21の取りこぼし目確認処理を終了して、図7および図8に示した遊技制御処理に復帰する。
ここで、前述したように本実施例のRT状態は、通常状態において特殊再遊技役が成立することによって開始される。また、6種類の特殊再遊技役(A〜F)には予め回胴停止ボタン38a,38b,38cの押し順が対応付けられており(図12参照)、内部当選している特殊再遊技役に対応付けられた押し順に従って回胴停止ボタン38a,38b,38cを操作しない限り、特殊再遊技役の図柄組合せ(「リプレイ」−「リプレイ」−「ベル」)が入賞ライン上に揃わない。従って、RT状態を発生させるには、通常状態中に特殊再遊技役(A〜F)に内部当選したら、その特殊再遊技役に対応付けられた押し順で回胴停止ボタン38a,38b,38cを操作して、特殊再遊技役の図柄組合せを入賞ライン上に停止表示させる必要がある。もちろん、何れの特殊再遊技役に内部当選したかを認識できない状態で、押し順を推測して特殊再遊技役の図柄組合せを入賞ライン上に停止表示させることは決して容易なことではない。但し、本実施例の遊技機1では、「報知演出」と呼ばれる遊技演出が設けられており、報知演出では、内部当選した特殊再遊技役に対応付けられた押し順が報知されるため、報知された押し順に従って回胴停止ボタン38a,38b,38cを操作すると、特殊再遊技役の図柄組合せを高い確率で入賞ライン上に停止表示させることができる。このような報知演出の実行は、サブ制御基板220のCPU221によって制御されている。以下では、報知演出の実行によりRT状態の発生を制御するためにサブ制御基板220のCPU221が行う処理(RT発生制御処理)について説明する。
D.第1実施例 :
RT発生制御処理を説明するに当たり、その準備として、第1実施例の遊技機1で実行される報知演出について簡単に説明する。図23は、遊技状態に応じて報知演出が行われる様子を概念的に示した説明図である。前述したように通常状態中に特殊再遊技役が成立することでRT状態が開始されることから、通常状態においては、特殊再遊技役の成立を補助するために、特殊再遊技役(A〜F)に内部当選すると、内部当選した特殊再遊技役に対応付けられた押し順(図12参照)を報知する報知演出が行われることがある。また、通常状態中は、高確率モードまたは低確率モードの何れかに設定され、高確率モードでは高い確率で報知演出が実行されるのに対して、低確率モードでは高確率モードに比べて報知演出の実行確率が低い。そして、ボーナス状態中に所定枚数の遊技メダルが付与されてボーナス状態から通常状態に切り換わると、先ず高確率モードに設定される。そのため、ボーナス状態の終了直後は、RT状態が開始され易く遊技者にとって有利となる。この高確率モードは、クレジット数が「0」になるまで継続され、クレジット数が「0」になると、低確率モードに切り換わるので、RT状態が開始され難くなる。
また、RT状態は、取りこぼし目が入賞ライン上に停止表示されることで終了し、通常状態に戻ると低確率モードに設定される。前述したように取りこぼし目は、ベル役に内部当選したにもかかわらずベル役の図柄組合せが入賞ライン上に揃わない場合に、入賞ライン上に揃う図柄組合せである。従って、RT状態中にベル役(A〜F)に内部当選したら、そのベル役に対応付けられた押し順(図11参照)で回胴停止ボタン38a,38b,38cを操作して、ベル役の図柄組合せを入賞ライン上に停止表示させる必要があるが、ベル役を成立させる押し順を推測して取りこぼし目の停止表示を回避することは決して容易ではない。そこで、RT状態においては、ベル役の成立を補助するために、ベル役(A〜F)に内部当選すると、内部当選したベル役に対応付けられた押し順を報知する報知演出が行われる。こうしたベル役の報知演出は、RT状態で行われた遊技の回数が、予め決定されたRT回数に達するまで行われ、RT回数に達すると、ベル役の報知演出が行われなくなるので、ベル役を成立させることが困難となって取りこぼし目の停止表示によりRT状態が終了となる。
D−1.RT発生制御処理 :
図24および図25は、第1実施例のRT発生制御処理を示すフローチャートである。このRT発生制御処理は、遊技状態が通常状態に切り換わる際、すなわち、ボーナス終了コマンドまたはRT終了コマンドの何れかを受信した際にサブ制御基板220のCPU221によって実行される処理である。RT発生制御処理を開始すると、先ず初めに、ボーナス終了コマンドを受信したか否かを判断する(S400)。ボーナス終了コマンドを受信することによってRT発生制御処理を開始した場合は(S400:yes)、ボーナス状態から通常状態に切り換わったと判断されるので、高確率フラグをONに設定する(S402)。ここで、高確率フラグとは、前述した高確率モード中であることを示すフラグであり、サブ制御基板220に搭載されたRAM223の所定アドレスに設定されている。
一方、ボーナス終了コマンドを受信していない場合は(S400:no)、RT状態から通常状態に切り換わったと判断されるので、高確率フラグをONに設定する処理(S402)を行うことなく、主制御基板200からメダル投入信号を受信したか否かを判断する(S404)。前述したようにメダル投入信号は、投入口30から遊技メダルが投入された際に主制御基板200から送信される(図9のS208)。また、前述した高確率モードは、クレジット数が「0」になるまで継続可能であるが、クレジット数が「0」になる前であっても、投入口30から遊技メダルを投入して新たな遊技を開始しようとした場合には、ペナルティーとして高確率モードを強制的に終了する構成となっている。そこで、メダル投入信号を受信した場合は(S404:yes)、高確率フラグをOFFに設定する(S406)。
これに対して、メダル投入信号を受信していない場合は(S404:no)、高確率フラグをOFFにする処理(S406)を行うことなく、続いて、主制御基板200から内部抽選結果伝達コマンドを受信したか否かを判断する(S408)。前述したように内部抽選結果伝達コマンドは、内部抽選の結果(内部当選した遊技役の種類など)が含まれるコマンドであり(図7のS118参照)、未だ内部抽選結果伝達コマンドを受信していない場合は(S408:no)、メダル投入信号の受信の有無を確認しながら(S404)、内部抽選結果伝達コマンドを受信するまで待機する。
その後、内部抽選結果伝達コマンドを受信した場合は(S408:yes)、受信した内部抽選結果伝達コマンドを解釈して、特殊再遊技役に内部当選しているか否かを判断する(S410)。特殊再遊技役に内部当選していない場合は(S410:no)、続いて、高確率フラグがONに設定されているか否かを判断する(S412)。高確率フラグがONに設定されており、高確率モードであると判断された場合は(S412:yes)、次に、クレジット数伝達コマンドを受信したか否かを判断する(S414)。前述したようにクレジット数伝達コマンドは、現在のクレジット数を伝達するために主制御基板200から送信されるコマンドであり(図14のS236)、クレジット数伝達コマンドを受信していない場合は(S414:no)、クレジット数伝達コマンドを受信するまで待機する。
その後、クレジット数伝達コマンドを受信した場合は(S414:yes)、受信したクレジット数伝達コマンドを解釈して、クレジット数が「0」であるか否かを判断する(S416)。前述したように高確率モードは、クレジット数が「0」になるまで継続され、クレジット数が「0」になると、低確率モードに切り換わる。そのため、クレジット数が「0」であった場合は(S416:yes)、高確率フラグをOFFに設定する(S432)。一方、クレジット数が「0」でない場合は(S416:no)、高確率フラグをOFFにする処理(S418)を行わず、高確率モードを維持する。
また、S412の判断において、高確率フラグがONに設定されておらず、低確率モードであると判断された場合は(S412:no)、S414〜S418の処理を行うことなく、ボーナス開始コマンドを受信したか否かを判断する(S420)。前述したようにボーナス開始コマンドは、ボーナス役が成立してボーナス状態が開始される際に主制御基板200から送信されるコマンドであり(図8のS140)、ボーナス開始コマンドを受信した場合は(S420:yes)、図24および図25のRT発生制御処理を終了する。
一方、ボーナス開始コマンドを受信していない場合は(S420:no)、S404の処理に戻って、以降の上述した処理を行う。そして、S410の判断において、特殊再遊技役に内部当選している場合は(S410:yes)、以下の処理を行う。先ず、高確率フラグがONに設定されているか否かを判断する(図25のS422)。高確率フラグがONに設定されている場合は(S422:yes)、高確率モードであると判断されるので、高確率用の報知実行抽選テーブルを選択する(S424)。一方、高確率フラグがONに設定されていない場合は(S422:no)、低確率モードであると判断されるので、低確率用の報知実行抽選テーブルを選択する(S426)。ここで、報知実行抽選テーブルとは、特殊再遊技役の報知演出(内部当選した特殊再遊技役に対応付けられた押し順を報知する演出)を実行するか否かを決定する抽選(報知実行抽選)で参照する専用のテーブルであり、サブ制御基板220のROM222に予め記憶されている。前述したように通常状態中は、高確率モードまたは低確率モードの何れかに設定され、高確率モードと低確率モードとでは、特殊再遊技役の報知演出が実行される確率が異なるため、モード毎に報知実行抽選テーブルが設けられている。
図26は、第1実施例の遊技機1で用いられる報知実行抽選テーブルを概念的に示した説明図である。図26(a)には高確率用の報知実行抽選テーブルが示されており、図26(b)には低確率用の報知実行抽選テーブルが示されている。図示されているように、報知実行抽選テーブルには、報知実行抽選用乱数と報知実行抽選の結果との対応関係が設定されている。ここで、報知実行抽選用乱数とは、サブ制御基板220のCPU221が、内部抽選結果伝達コマンドを受信した際に取得する乱数である。図26に例示した報知実行抽選テーブルでは、0〜99の報知実行抽選用乱数に対して、「当選(報知演出を実行)」または「非当選(報知演出を実行せず)」の何れかの抽選結果が対応付けられている。また、図26(a)と図26(b)とを比較すれば明らかなように、図26(a)の高確率用の報知実行抽選テーブルは、図26(b)の低確率用の報知実行抽選テーブルよりも多くの乱数値に「当選」の抽選結果が設定されている。従って、高確率用の報知実行抽選テーブルを用いた場合には、低確率用の報知実行抽選テーブルを用いた場合よりも、報知実行抽選において高い確率で「当選」の抽選結果が得られる。
図25のRT発生制御処理では、高確率フラグの設定に応じて報知実行抽選テーブルを選択したら(S424,S426)、選択した報知実行抽選テーブルを参照し、取得した報知実行抽選用乱数に対応付けられた抽選結果を読み出すことにより、報知実行抽選に当選したか否かを判断する(S428)。そして、報知実行抽選に当選した場合は(S428:yes)、特殊再遊技役の報知演出を実行する(S430)。この報知演出は、内部当選した特殊再遊技役に対応付けられた押し順(図12参照)を演出表示装置10等に表示することによって行われる。
これに対して、報知実行抽選に当選しなかった場合は(S428:no)、特殊再遊技役の報知演出(S430)を行うことなく、RT開始コマンドを受信したか否かを判断する(S432)。前述したようにRT開始コマンドは、特殊再遊技役が成立してRT状態が開始される際に主制御基板200から送信される(図8のS152)。RT開始コマンドを受信していない場合は(S432:no)、RT状態が未だ開始されないので、図24のS412の処理に移行し、以降の前述した処理を行う。
一方、RT開始コマンドを受信した場合は(S432:yes)、RT回数決定処理を実行する(S434)。前述したようにRT状態では、RT状態中に行われた遊技の回数が、予め決定されたRT回数に達するまでベル役の報知演出が行われるようになっており、S434では、RT状態の開始に先立ってRT回数を決定する。RT回数の決定は、RT回数決定テーブルと呼ばれる専用のテーブルを参照して行う。このRT回数決定テーブルについても、前述した報知実行抽選テーブル(図26)と同様に、高確率モードと低確率モードとで参照するテーブルが異なっている。
図27は、第1実施例の遊技機1で用いられるRT回数決定テーブルを概念的に示した説明図である。図27(a)には高確率用のRT回数決定テーブルが示されており、図27(b)には低確率用のRT回数決定テーブルが示されている。尚、RT回数決定テーブルは、サブ制御基板220のROM222に予め記憶されている。図示されているようにRT回数決定テーブルには、RT回数とRT回数決定用乱数との対応関係が設定されている。ここで、RT回数決定用乱数とは、サブ制御基板220のCPU221が、RT開始コマンドを受信した際に取得する乱数である。図27に例示したRT回数決定テーブルでは、0〜255のRT回数決定用乱数に対して、9種類のRT回数(20回刻みで最大180回まで)の何れかが対応付けられており、括弧内の数値は、そのRT回数に決定される確率を表している。図27(b)の低確率用のRT回数決定テーブルでは、80回以上のRT回数には乱数値が割り振られておらず、高い確率(98.8%)でRT回数が「20回」に決定される。これと比較して、図27(a)の高確率用のRT回数決定テーブルでは、9種類のRT回数の全てに乱数値が割り振られており、40回以上のRT回数に決定される確率(23.1%)が高くなっている。従って、高確率用のRT回数決定テーブルを用いた場合には、低確率用のRT回数決定テーブルを用いた場合よりも、RT回数が多くなる傾向にある。
RT回数決定処理(図25のS434)では、高確率フラグの設定に応じてRT回数決定テーブルを選択し、その選択したRT回数決定テーブルを参照しながら、取得したRT回数決定用乱数に基づいてRT回数を決定する。こうしてRT回数を決定したら、決定したRT回数をRTカウンタに設定する(S436)。RTカウンタは、RT状態においてベル役の報知演出が行われなくなるまでの残りの遊技回数を示すカウンタであり、サブ制御基板220に搭載されたRAM223の所定アドレスに記憶されている。サブ制御基板220のCPU221は、決定したRT回数をRTカウンタに設定すると、図24および図25のRT発生制御処理を終了し、続いて、RT状態を管理するための処理(RT管理処理)を開始する。
D−2.RT管理処理 :
図28は、第1実施例のRT管理処理を示すフローチャートである。前述したようにRT管理処理は、RT状態が開始されるのに伴って上述のRT発生制御処理が終了した場合(図24のS418:yes)に開始される。図示されているようにRT管理処理では、先ず初めに報知フラグをONに設定する(S450)。ここで、報知フラグとは、ベル役の報知演出(内部当選したベル役に対応付けられた押し順を報知する演出)を行うことを示すフラグであり、サブ制御基板220に搭載されたRAM223の所定アドレスに設定されている。前述したようにRT状態では、予め決定されたRT回数の遊技が行われるまでベル役の報知演出が行われる。
報知フラグをONに設定したら、主制御基板200から内部抽選結果伝達コマンドを受信したか否かを判断する(S452)。未だ内部抽選結果伝達コマンドを受信していない場合は(S452:no)、コマンドを受信するまで待機する。その後、内部抽選結果伝達コマンドを受信した場合は(S452:yes)、報知フラグがONに設定されているか否かを判断する(S454)。報知フラグがONに設定されている場合は(S454:yes)、S452で受信した内部抽選結果伝達コマンドを解釈して、ベル役に内部当選しているか否かを判断する(S456)。ベル役に内部当選している場合は(S456:yes)、ベル役の報知演出を実行する(S458)。この報知演出は、内部当選したベル役に対応付けられた押し順(図11参照)を演出表示装置10等に表示することによって行われる。
一方、S456の判断において、ベル役に内部当選していない場合は(S456:no)、ベル役の報知演出(S458)を行うことなく、RTカウンタから「1」を減算して(S460)、RTカウンタが「0」になったか否かを判断する(S462)。前述したようにRTカウンタは、RT状態においてベル役の報知演出が行われなくなるまでの残りの遊技回数を示すカウンタであり、RT状態の開始に先立って決定されたRT回数が設定される(図24のS422)。RTカウンタが「0」になった場合は(S462:yes)、RT状態中に行われた遊技の回数がRT回数に達したことになるので、報知フラグをOFFに設定する(S464)。
これに対して、RTカウンタが「0」になっていない場合は(S462:no)、RT状態中に行われた遊技の回数が未だRT回数に達していないので、報知フラグをOFFにする処理(S464)を行うことなく、続いて、ボーナス開始コマンドまたはRT終了コマンドを受信したか否かを判断する(S466)。前述したようにボーナス開始コマンドは、ボーナス役が成立した場合に主制御基板200から送信され(図8のS140)、RT終了コマンドは、取りこぼし目が入賞ライン上に停止表示された場合に主制御基板200から送信され(図21のS356)、何れの場合にもRT状態は終了となる。そのため、ボーナス開始コマンドまたはRT終了コマンドを受信した場合は(S466:yes)、図28のRT管理処理を終了する。
一方、ボーナス開始コマンドおよびRT終了コマンドの何れも受信していない場合は(S466:no)、S452の処理に戻って、内部抽選結果伝達コマンドを受信するまで待機し、コマンドを受信したら、以降の上述した処理を行う。そして、S454の判断において、報知フラグがONに設定されていない場合は(S454:no)、既にRT状態中に行われた遊技の回数がRT回数に達しておりベル役の報知演出を実行しないので、S456〜S464の処理を行うことなく、ボーナス開始コマンドまたはRT終了コマンドを受信したか否かを判断して(S466)、何れかのコマンドを受信した場合は(S466:yes)、図28のRT管理処理を終了し、何れのコマンドも受信していない場合は(S466:no)、S452の処理に戻って、以降の上述した処理を繰り返す。
サブ制御基板220のCPU221は、以上のようなRT発生制御処理およびRT管理処理を実行することによって、RT状態を実質的に制御している。以下では、このような第1実施例の遊技機1によって得られる遊技性について説明する。
D−3.第1実施例の遊技機による遊技性 :
図29は、第1実施例の遊技機1においてボーナス状態の終了後に通常状態で遊技が行われる様子を例示したタイムチャートである。前述したようにボーナス状態は、ボーナス状態の開始後に所定枚数の遊技メダルが付与されることで終了し(図17のS306)、ボーナス状態の終了時には、そのボーナス状態の開始契機となったボーナス役の種類(赤7のボーナス役、青7のボーナス役、バーのボーナス役の何れか)に応じてクレジット数の上限が設定される(図19参照)。図29に示した例では、青7のボーナス役の成立によって開始されたボーナス状態であるため、「250枚」の遊技メダルが付与されることでボーナス状態が終了し、終了時のクレジット数の上限は「30枚」に設定される。また、ボーナス状態が終了して通常状態に切り換わると高確率モードに設定され、高確率モード中は、特殊再遊技役の報知演出が行われる確率が高いため、RT状態が開始され易い。この高確率モードは、クレジット数が「0」になるまで継続される。尚、図29における括弧内の枚数は、各遊技が終了する時点でのクレジット数を表している。
図29(a)には、高確率モードにおいて小役(ベル役、スイカ役、チェリー役)や再遊技役(通常再遊技役、特殊再遊技役)が1度も成立しなかった例が示されている。この場合は、遊技が行われる度にクレジット数から3枚ずつ減算され(図9のS224)、通常状態で10回目の遊技が行われるとクレジット数は「0」になるので、高確率モードは終了する(図25のS432)。そして、新たに遊技メダルを投入口30から投入して開始される11回目の遊技からは、低確率モードとなるため、高確率モード中に比べて特殊再遊技役の報知演出が行われる確率が低くなり、結果として、RT状態が開始され難くなる。
これに対して、図29(b)に示した例では、通常状態の高確率モードにおける3回目の遊技で通常再遊技役が成立しているので、その次の4回目の遊技はクレジットを消費することなく行われる。また、11回目の遊技においてスイカ役が成立しているので、クレジット数に「6枚」が加算される(図16のS256)。その結果、クレジット数が「0」になって高確率モードが終了するのは13回目の遊技であり、高確率モードの継続期間は、図29(a)に示した場合よりも長くなる。
このように、第1実施例の遊技機1では、ボーナス状態が終了して通常状態に切り換わると、RT状態の発生確率(特殊再遊技役の報知演出の実行確率)が高い高確率モードに設定され、この高確率モードの継続期間は、高確率モード中における遊技結果(小役や再遊技役の成立回数など)によって変化する。このため、ボーナス状態の終了後に所定回数の遊技が行われると高確率モードが終了する場合とは異なり、高確率モードの継続期間が画一的とならず、高確率モード中(ボーナス状態の終了後からクレジット数が「0」になるまでの期間)は、RT状態の発生(特殊再遊技役の成立)だけでなく、高確率モードの継続期間の延長(小役や再遊技役の成立)に対する遊技者の期待を高めることができる。その結果、RT状態の発生に係る遊技興趣の向上を図ることが可能となる。
また、前述したように、ボーナス状態の終了時に設定されるクレジット数の上限は、そのボーナス状態の開始契機となったボーナス役の種類によって異なり、赤7のボーナス役であれば「50枚」、青7のボーナス役であれば「30枚」、バーのボーナス役であれば「20枚」に設定される。このようにボーナス状態の終了時におけるクレジット数の上限を切り換えることにより、高確率モードの継続期間の初期値(最小遊技回数)が変動し、成立したボーナス役の種類に応じて高確率モードの継続期間に対する期待度を変化させることができるので、RT状態の発生に係る遊技興趣を一層向上させることが可能となる。
さらに、前述したようにクレジット数を専用の表示パネル23に随時表示することにより、遊技者は残りのクレジット数を認識することができるので、残りのクレジット数が少なくなる(高確率モードが終了に近づく)緊張感を高めて、RT状態の発生に係る遊技興趣を向上させることが可能となる。また、遊技を開始するのに必要な規定数よりもクレジット数が少なくなると、強制的に遊技メダルを払い出してクレジット数を「0」にすることから(図14のS240)、高確率モード中の遊技結果(小役の成立など)によってクレジット数に端数が出た場合でも、高確率モードを確実に終了させることができる。
また、図29(c)には、通常状態の高確率モードにおける9回目の遊技を開始する際に、投入口30から遊技メダルが投入された例が示されている。この場合は、クレジット数が「0」になる前であっても、高確率モードは強制的に終了となり(図25のS432)、遊技メダルが投入された9回目の遊技から低確率モードとなる。
前述したように高確率モードは、クレジット数が「0」になるまで継続されることを前提としており、クレジット数が「0」になる前に遊技メダルを投入口30から投入して遊技が行われたのでは、上述の「高確率モード中の遊技結果(小役や再遊技役の成立回数など)によって高確率モードの継続期間が変化する」というクレジット数を利用した遊技性を実現することが困難となる。そこで、クレジット数が「0」になる前に遊技メダルが投入口30から投入された場合に、ペナルティーとして高確率モードを強制的に終了させるようにすれば、クレジット数を利用した上述の遊技性を実現しつつ、高確率モードの継続期間が短くなる場合も設けることができるので、RT状態の発生に係る遊技興趣の更なる向上を図ることが可能となる。
E.第2実施例 :
上述した第1実施例では、ボーナス状態が終了して通常状態に切り換わると設定される高確率モードにおいて、RT状態の発生確率(特殊再遊技役の報知演出の実行確率)が低確率モードに比べて高くなっていた。しかし、高確率モードでは、RT状態の発生確率に代えて、RT状態の継続期間(RT回数)が上乗せされる確率を低確率モードに比べて高くすることも可能である。以下では、このような構成の第2実施例について説明する。
第2実施例の遊技機1においても、前述した第1実施例と同様に(図23参照)、ボーナス状態が終了して通常状態に切り換わると、先ず高確率モードに設定され、その後にクレジット数が「0」になると、低確率モードに切り換わる。第2実施例の高確率モードでは、後に発生するRT状態が継続される遊技回数(RT回数)の上乗せが低確率モードよりも高い確率で行われる。そのため、ボーナス状態の終了直後は、RT回数が増え易く遊技者にとって有利である。尚、第2実施例の通常状態では、高確率モードであるか低確率モードであるかに拘らず、特殊再遊技役に内部当選すると、所定の確率(例えば、1/4の確率)で特殊再遊技役の報知演出(内部当選した特殊再遊技役に対応付けられた押し順を報知する演出)が行われる。
また、RT状態では、通常状態で予め設定されたRT回数の遊技が行われるまでベル役の報知演出(内部当選したベル役に対応付けられた押し順を報知する演出)が行われる。つまり、設定されたRT回数が多いほど、長期間に亘ってベル役の報知演出が行われる。そして、RT状態での遊技回数がRT回数に達すると、ベル役の報知演出が行われなくなるので、ベル役を成立させることができず取りこぼし目が入賞ライン上に停止表示されることでRT状態は終了となる。
E−1.RT発生制御処理 :
図30および図31は、第2実施例のRT発生制御処理を示すフローチャートである。図示されているように第2実施例のRT発生制御処理を開始すると、先ず初めに、ボーナス終了コマンドを受信したか否かを判断する(S500)。ボーナス終了コマンドを受信することによってRT発生制御処理を開始した場合は(S500:yes)、ボーナス状態から通常状態に切り換わったと判断されるので、高確率モード中であることを示す高確率フラグをONに設定する(S502)。
一方、ボーナス終了コマンドを受信していない場合は(S500:no)、RT状態から通常状態に切り換わったと判断されるので、高確率フラグをONに設定する処理(S502)を行うことなく、投入口30から遊技メダルが投入された際に主制御基板200から送信されるメダル投入信号(図9のS208)を受信したか否かを判断する(S504)。第2実施例の遊技機1では、投入口30から遊技メダルが投入されると、クレジット数が「0」になる前であったとしても、ペナルティーとして高確率モードを強制的に終了する構成となっている。そこで、メダル投入信号を受信した場合は(S504:yes)、高確率フラグをOFFに設定する(S506)。
これに対して、メダル投入信号を受信していない場合は(S504:no)、高確率フラグをOFFにする処理(S506)を行うことなく、続いて、主制御基板200から内部抽選結果伝達コマンドを受信したか否かを判断し(S508)、未だ内部抽選結果伝達コマンドを受信していない場合は(S508:no)、メダル投入信号の受信の有無を確認しながら(S504)、内部抽選結果伝達コマンドを受信するまで待機する。
その後、内部抽選結果伝達コマンドを受信した場合は(S508:yes)、受信した内部抽選結果伝達コマンドを解釈して、スイカ役またはチェリー役に内部当選しているか否かを判断する(S510)。その結果、スイカ役またはチェリー役に内部当選している場合は(S510:yes)、続いて、高確率フラグがONに設定されているか否かを判断する(図31のS520)。高確率フラグがONに設定されている場合は(S520:yes)、高確率モード中であるので、高確率用のRT回数上乗せ抽選テーブルを選択する(S522)。一方、高確率フラグがONに設定されていない場合は(S520:no)、低確率モード中であるので、低確率用のRT回数上乗せ抽選テーブルを選択する(S524)。ここで、RT回数上乗せ抽選テーブルとは、RT回数を上乗せするか否かを決定する抽選(RT回数上乗せ抽選)で参照するテーブルであり、サブ制御基板220のROM222に予め記憶されている。前述したように高確率モードと低確率モードとでは、RT回数が上乗せされる確率が異なるため、モード毎にRT回数上乗せ抽選テーブルが設けられている。
図32は、第2実施例の遊技機1で用いられるRT回数上乗せ抽選テーブルを概念的に示した説明図である。図32(a)には高確率用のRT回数上乗せ抽選テーブルが示されており、図32(b)には低確率用のRT回数上乗せ抽選テーブルが示されている。図示されているように、RT回数上乗せ抽選テーブルには、RT回数上乗せ抽選用乱数とRT回数上乗せ抽選の結果との対応関係が設定されている。ここで、RT回数上乗せ抽選用乱数とは、サブ制御基板220のCPU221が、内部抽選結果伝達コマンドを受信した際に取得する乱数である。図32に例示したRT回数上乗せ抽選テーブルでは、0〜99のRT回数上乗せ抽選用乱数に対して、「当選(RT回数を上乗せ)」または「非当選(RT回数を上乗せせず)」の何れかの抽選結果が対応付けられている。また、内部当選している遊技役がスイカ役またはチェリー役の何れであるかに応じて、RT回数上乗せ抽選用乱数とRT回数上乗せ抽選の結果との対応関係が異なっている。尚、括弧内の数値は、その抽選結果が得られる確率を表している。
図32(a)の高確率用のRT回数上乗せ抽選テーブルを参照すると、スイカ役に内部当選している場合は50%の確率で当選し、チェリー役に内部当選している場合は100%の確率で当選する。一方、図32(b)の低確率用のRT回数上乗せ抽選テーブルを参照すると、スイカ役に内部当選している場合は10%の確率で当選し、チェリー役に内部当選している場合は30%の確率で当選する。従って、スイカ役またはチェリー役の何れに内部当選した場合でも、高確率用のRT回数上乗せ抽選テーブルを参照すると、低確率用のRT回数上乗せ抽選テーブルを参照するよりも、RT回数上乗せ抽選において高い確率で「当選」の抽選結果が得られる。
図31のRT発生制御処理では、高確率フラグの設定に応じてRT回数上乗せ抽選テーブルを選択したら(S522,S524)、選択したRT回数上乗せ抽選テーブルを参照し、内部当選している遊技役(スイカ役またはチェリー役)、および、取得したRT回数上乗せ抽選用乱数に対応付けられた抽選結果を読み出すことにより、RT回数上乗せ抽選に当選したか否かを判断する(S526)。そして、RT回数上乗せ抽選に当選した場合は(S526:yes)、上乗せするRT回数を決定する処理(RT上乗せ回数決定処理)を実行する(S528)。RT上乗せ回数決定処理では、RT上乗せ回数決定テーブルと呼ばれる専用のテーブルを参照して、上乗せするRT回数(RT上乗せ回数)を決定する。このRT上乗せ回数決定テーブルについても、前述したRT回数上乗せ抽選テーブル(図32)と同様に、高確率モードと低確率モードとで参照するテーブルが異なっている。尚、第2実施例では、RT回数を上乗せする(継続期間を増加させる)か否かの決定(RT上乗せ抽選)を行うこととしているが、これとは逆に、RT回数を減少させる(継続期間を減少させる)か否かの決定を行うこととしてもよい。また、RT回数を上乗せする(継続期間を増加させる)か否かの決定(RT回数上乗せ抽選)はサブ制御基板220のCPU221によって行われることから、第2実施例のサブ制御基板220に搭載されたCPU221は、本発明の「変更可否決定手段」に相当している。また、サブ制御基板220のCPU221がRT回数上乗せ抽選テーブルを選択することによって、RT回数の上乗せ確率が高確率または低確率に設定されることから、第2実施例のサブ制御基板220に搭載されたCPU221は、本発明の「変更確率設定手段」に相当している。
図33は、第2実施例の遊技機1で用いられるRT上乗せ回数決定テーブルを概念的に示した説明図である。図33(a)には高確率用のRT上乗せ回数決定テーブルが示されており、図33(b)には低確率用のRT上乗せ回数決定テーブルが示されている。尚、RT上乗せ回数決定テーブルは、サブ制御基板220のROM222に予め記憶されている。図示されているようにRT上乗せ回数決定テーブルには、RT上乗せ回数とRT上乗せ回数決定用乱数との対応関係が設定されている。ここで、RT上乗せ回数決定用乱数とは、サブ制御基板220のCPU221が、内部抽選結果伝達コマンドを受信した際に取得する乱数である。図33に例示したRT上乗せ回数決定テーブルでは、0〜255のRT上乗せ回数決定用乱数に対して、9種類のRT上乗せ回数(20回刻みで最大180回まで)の何れかが対応付けられており、括弧内の数値は、そのRT上乗せ回数に決定される確率を表している。また、内部当選している遊技役がスイカ役またはチェリー役の何れであるかに応じて、RT上乗せ回数とRT上乗せ回数決定用乱数との対応関係が異なっている。
図33(a)と図33(b)とを比較すれば明らかなように、図33(a)の高確率用のRT上乗せ回数決定テーブルを参照すると、図33(b)の低確率用のRT上乗せ回数決定テーブルを参照するよりも、RT上乗せ回数が大きな値に決定される可能性が高い。また、何れのテーブルを参照した場合でも、スイカ役に内部当選している場合は、チェリー役に内部当選している場合よりも、RT上乗せ回数が大きな値に決定される傾向にある。
RT上乗せ回数決定処理(図31のS528)では、高確率フラグの設定に応じてRT上乗せ回数決定テーブルを選択し、その選択したRT上乗せ回数決定テーブルを参照しながら、内部当選している遊技役(スイカ役またはチェリー役)、および取得したRT上乗せ回数決定用乱数に基づいてRT上乗せ回数を決定する。こうしてRT上乗せ回数を決定したら、決定したRT上乗せ回数をRTカウンタに加算する(S530)。RTカウンタは、RT状態においてベル役の報知演出が行われなくなるまでの残りの遊技回数を示すカウンタであり、サブ制御基板220のRAM223の所定アドレスに設定されている。第2実施例のRTカウンタには、初期値として20回が設定されており、RT回数の上乗せが行われる(RT回数上乗せ抽選で当選する)度にRTカウンタの値が増加する。
一方、S526の判断において、RT回数上乗せ抽選に当選していなかった場合は(S526:no)、S528およびS530の処理を行うことなく、高確率フラグがONに設定されているか否かを判断する(S532)。高確率フラグがONに設定されており、高確率モードであると判断された場合は(S532:yes)、現在のクレジット数を伝達するために主制御基板200から送信されるクレジット数伝達コマンド(図14のS236)を受信したか否かを判断する(S534)。クレジット数伝達コマンドを受信していない場合は(S534:no)、クレジット数伝達コマンドを受信するまで待機する。
その後、クレジット数伝達コマンドを受信した場合は(S534:yes)、受信したクレジット数伝達コマンドを解釈して、クレジット数が「0」であるか否かを判断する(S536)。前述したように高確率モードは、クレジット数が「0」になるまで継続され、クレジット数が「0」になると、低確率モードに切り換わる。そのため、クレジット数が「0」であった場合は(S536:yes)、高確率フラグをOFFに設定する(S538)。一方、クレジット数が「0」でない場合は(S536:no)、高確率フラグをOFFにする処理(S538)を行わず、高確率モードを維持する。
また、S532の判断において、高確率フラグがONに設定されておらず、低確率モードであると判断された場合は(S532:no)、S534〜S538の処理を行うことなく、ボーナス開始コマンドを受信したか否かを判断する(S540)。ボーナス開始コマンドは、ボーナス役が成立してボーナス状態が開始される際に主制御基板200から送信されるコマンドであるため(図8のS140)、ボーナス開始コマンドを受信した場合は(S540:yes)、図30および図31のRT発生制御処理を終了する。
これに対して、ボーナス開始コマンドを受信していない場合は(S540:no)、図30のS504の処理に戻って、内部抽選結果伝達コマンドを受信するまで待機し、コマンドを受信したら、以降の上述した処理を行う。そして、S510の判断において、スイカ役またはチェリー役の何れにも内部当選していない場合は(S510:no)、続いて、特殊再遊技役に内部当選しているか否かを判断する(S512)。特殊再遊技役に内部当選していない場合は(S512:no)、図31のS532の処理に移行し、以降の前述した処理を行う。
一方、特殊再遊技役に当選している場合は(S512:yes)、特殊再遊技役の報知演出(内部当選した特殊再遊技役に対応付けられた押し順を報知する演出)を実行するか否かを決定する抽選(報知実行抽選)を行って、報知実行抽選に当選したか否かを判断する(S514)。第2実施例の通常状態では、高確率モードであるか低確率モードであるかに拘らず、図示しない共通の報知実行抽選テーブル(図26参照)を用いることにより、所定の確率(例えば、1/4の確率)で報知実行抽選に当選する。そして、報知実行抽選に当選した場合は(S514:yes)、特殊再遊技役の報知演出を実行する(S516)。この報知演出は、内部当選した特殊再遊技役に対応付けられた押し順(図12参照)を演出表示装置10等に表示することによって行われる。
これに対して、報知実行抽選に当選しなかった場合は(S514:no)、特殊再遊技役の報知演出(S516)を行うことなく、特殊再遊技役が成立してRT状態が開始される際に主制御基板200から送信されるRT開始コマンド(図8のS152)を受信したか否かを判断する(S518)。RT開始コマンドを受信していない場合(S518:no)は、図31のS532の処理に移行し、以降の前述した処理を行う。
一方、RT開始コマンドを受信した場合は(S518:yes)、図30および図31のRT発生制御処理を終了する。サブ制御基板220のCPU221は、RT開始コマンドの受信に伴ってRT発生制御処理を終了すると、続いて、RT管理処理(図28)を開始する。尚、図28のRT管理処理において、RTカウンタが「0」になる(継続期間が経過する)と、サブ制御基板220のCPU221が報知フラグをOFFに設定することでベル役の報知演出が行われなくなり、結果として、取りこぼし目が停止表示されてRT状態(特定状態)が終了となることから、第2実施例のサブ制御基板220のCPU221は、本発明の「特定状態終了手段」に相当している。また、RT状態(特定状態)を終了させる構成は、これに限られるわけではなく、例えば、RTカウンタが「0」になった(継続期間が経過した)時点で、主制御基板200のCPU201が直接的にRT状態を終了させる構成としてもよい。
E−2.第2実施例の遊技機による遊技性 :
図34は、第2実施例の遊技機1においてボーナス状態の終了後に通常状態で遊技が行われる様子を例示したタイムチャートである。前述したようにボーナス状態は、ボーナス状態の開始後に所定枚数の遊技メダルが付与されることで終了し(図17のS306)、ボーナス状態の終了時には、そのボーナス状態の開始契機となったボーナス役の種類(赤7のボーナス役、青7のボーナス役、バーのボーナス役の何れか)に応じてクレジット数の上限が設定される(図19参照)。図34に示した例では、バーのボーナス役の成立によって開始されたボーナス状態であるため、「50枚」の遊技メダルが付与されることでボーナス状態が終了し、終了時のクレジット数の上限は「20枚」に設定される。また、ボーナス状態が終了して通常状態に切り換わると高確率モードに設定され、高確率モード中は、RT回数が上乗せされる(RT回数上乗せ抽選で当選する)確率が低確率モードよりも高い。この高確率モードは、クレジット数が「0」になるまで継続される。尚、図34における括弧内の枚数は、各遊技が終了する時点でのクレジット数を表している。
図34(a)には、高確率モードにおいて小役(ベル役、スイカ役、チェリー役)や再遊技役(通常再遊技役、特殊再遊技役)が1度も成立しなかった例が示されている。この場合は、遊技が行われる度にクレジット数から3枚ずつ減算され(図9のS224)、通常状態で6回目の遊技が行われるとクレジット数は「2」になる。前述したように、クレジット数が規定数(遊技を開始するのに必要な枚数)よりも少なくなると、強制的に遊技メダルを払い出してクレジット数を「0」にすることから(図14のS240)、6回目の遊技でクレジット数は「0」になり、高確率モードは終了する(図25のS432)。そして、新たに遊技メダルを投入口30から投入して開始される7回目の遊技からは、低確率モードとなるため、高確率モード中に比べてRT回数が上乗せされる確率は低くなる。
これに対して、図34(b)に示した例では、通常状態の高確率モードにおける3回目の遊技でベル役が成立しているので、クレジット数に「6枚」が加算されるとともに(図16のS256)、50%の確率でRT回数が上乗せされる(図32(a),図30のS514)。また、8回目の遊技においてチェリー役が成立しているので、クレジット数に「1枚」が加算されるとともに、100%の確率でRT回数が上乗せされる。その結果、クレジット数が「0」になって高確率モードが終了するのは9回目の遊技であり、高確率モードの継続期間は、図34(a)に示した場合よりも長くなる。
このように、第2実施例の遊技機1では、ボーナス状態が終了して通常状態に切り換わると、RT回数が上乗せされる確率(RT回数上乗せ抽選の当選確率)が高い高確率モードに設定され、この高確率モードの継続期間は、高確率モード中における遊技結果(小役や再遊技役の成立回数など)によって変化する。このため、ボーナス状態の終了後に所定回数の遊技が行われると高確率モードが終了する場合とは異なり、高確率モードの継続期間が画一的とならず、高確率モード中(ボーナス状態の終了後からクレジット数が「0」になるまでの期間)は、スイカ役またはチェリー役の成立によってRT回数が上乗せされることに加えて、小役や再遊技役の成立によって高確率モードの継続期間が延長されることに対する遊技者の期待を高めることができる。その結果、RT状態の発生に係る遊技興趣の向上を図ることが可能となる。
また、ボーナス状態の終了時に設定されるクレジット数の上限を、そのボーナス状態の開始契機となったボーナス役の種類に応じて切り換えることにより、高確率モードの継続期間の初期値(最小遊技回数)が変動するので、成立したボーナス役の種類に応じて高確率モードの継続期間に対する期待度を変化させることができる。その結果、RT状態の発生に係る遊技興趣を一層向上させることが可能となる。
さらに、クレジット数を専用の表示パネル23に随時表示することにより、遊技者は残りのクレジット数を認識することができるので、残りのクレジット数が少なくなる(高確率モードが終了に近づく)緊張感を高めて、RT状態の発生に係る遊技興趣を向上させることができる。また、遊技を開始するのに必要な規定数よりもクレジット数が少なくなると、強制的に遊技メダルを払い出してクレジット数を「0」にすることから(図14のS240)、クレジット数に端数が出た場合でも高確率モードを確実に終了させることができる。
また、図34(c)には、通常状態の高確率モードにおける4回目の遊技を開始する際に、投入口30から遊技メダルが投入された例が示されている。この場合は、クレジット数が「0」になる前であっても、高確率モードは強制的に終了となり(図25のS432)、遊技メダルが投入された4回目の遊技から低確率モードとなる。
前述したように高確率モードは、クレジット数が「0」になるまで継続されることを前提としており、クレジット数が「0」になる前に遊技メダルを投入口30から投入して遊技が行われたのでは、上述の「高確率モード中の遊技結果(小役や再遊技役の成立回数など)によって高確率モードの継続期間が変化する」というクレジット数を利用した遊技性を実現することが困難となる。そこで、クレジット数が「0」になる前に遊技メダルが投入口30から投入された場合に、ペナルティーとして高確率モードを強制的に終了させるようにすれば、クレジット数を利用した上述の遊技性を実現しつつ、高確率モードの継続期間が短くなる場合も設けることができるので、RT状態の発生に係る遊技興趣の更なる向上を図ることが可能となる。
F.変形例 :
以上に説明した実施例では、ボーナス状態の終了時に設定されるクレジット数の上限を、そのボーナス状態の開始契機となったボーナス役の種類に応じて異ならせていた。しかし、ボーナス役の種類に応じてではなく、ボーナス状態中の遊技結果に応じてクレジット数の上限を異ならせてもよく、例えば、ボーナス状態中に増加役Bが成立した回数に応じてクレジット数の上限を設定してもよい。以下では、このような構成を採用した変形例について説明する。尚、変形例の説明にあたっては、上述した実施例と同様の構成部分については、実施例と同様の符号を付し、詳細な説明を省略する。
図35は、変形例のボーナス終了時処理を示すフローチャートである。前述したようにボーナス終了時処理は、ボーナス状態中に付与された遊技メダルの合計が所定枚数に達して、ボーナス状態を終了する際に行われる(図17のS308)。図示されているように変形例のボーナス終了時処理では、先ず初めに、ボーナス状態中における増加役Bの成立回数を確定する(S600)。ボーナス状態では、増加役Aまたは増加役Bの成立が可能であり、このうち増加役Bは、「白7」の図柄が入賞ライン上に揃った場合に成立する(図6参照)。変形例の遊技機1では、増加役Aまたは増加役Bに内部当選した際に「白7」の図柄を揃えることを指示する演出が行われることがあり、増加役Bに内部当選している状態で遊技者が「白7」の図柄を狙って回胴停止ボタン38a,38b,38cを操作することにより、「白7」の図柄を入賞ライン上に揃えることができる。また、ボーナス状態は、ボーナス状態の開始後に所定枚数の遊技メダルが付与されるまで継続され、ボーナス状態の開始契機となったボーナス役の種類によって所定枚数が異なることから、ボーナス状態中における増加役Bの成立回数の期待値も異なる。
ボーナス状態中の増加役Bの成立回数を確定したら(S600)、増加役Bの成立回数に応じて、ボーナス状態の終了時に設定するクレジット数(終了時クレジット数)を決定する(S602)。変形例の遊技機1では、増加役Bが1回成立する毎に終了時クレジット数を「15」ずつ増加させる構成となっており、例えば、ボーナス状態中に増加役Bが2回成立した場合は、終了時クレジット数を「30」に決定する。尚、ボーナス状態の開始契機となったボーナス役の種類に応じて終了時クレジット数の初期値(例えば、赤7のボーナス役であれば「30」、青7のボーナス役であれば「20」、バーのボーナス役であれば「10」)を予め定めておくこととして、その初期値に対して、増加役Bの成立回数に15を乗算した値を加算することにより、終了時クレジット数を決定してもよい。この場合は、ボーナス状態中に増加役Bが1度も成立しなければ、初期値が終了時クレジット数に決定される。
終了時クレジット数の決定に続いて(S602)、主制御基板200のRAM203に記憶されている現在のクレジット数が、決定した終了時クレジット数以下であるか否かを判断する(S604)。現在のクレジット数が終了時クレジット数以下である場合は(S604:yes)、現在のクレジット数をそのまま表示パネル23に表示して(S608)、図35のボーナス終了時処理を終了する。一方、現在のクレジット数が終了時クレジット数を超えていた場合は(S604:no)、終了時クレジット数となるまで遊技メダルを払い出す処理を行う(S606)。そして、終了時クレジット数を表示パネル23に表示したら(S608)、図35のボーナス終了時処理を終了する。
このような変形例の遊技機1によれば、ボーナス状態中の遊技結果(増加役Bの成立回数)に応じて、ボーナス状態の終了時に設定するクレジット数(終了時クレジット数)が変化し、それに伴って、ボーナス状態の終了後に発生する高確率モードの継続期間の初期値(最小遊技回数)が変動する。つまり、ボーナス状態中の遊技結果が後の高確率モードの継続期間の期待度として反映される(ボーナス状態中の遊技結果に基づいて高確率モードの最小遊技回数が決定される)ので、ボーナス状態と高確率モードとの一体感を高めて、RT状態の発生に係る遊技興趣を一層向上させることが可能となる。
以上、本発明について実施の形態を説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、各請求項に記載した範囲を逸脱しない限り、各請求項の記載文言に限定されず、当業者がそれらから容易に置き換えられる範囲にも及び、かつ、当業者が通常有する知識に基づく改良を適宜付加することができる。
例えば、主制御基板200のCPU201やサブ制御基板220のCPU221が制御処理の中で参照する各種テーブル(抽選テーブル、報知実行抽選テーブル、RT回数決定テーブル、RT回数上乗せ抽選テーブル、RT上乗せ回数決定テーブルなど)は、前述した例に限られるわけではなく、適宜変更することができる。また、低確率モード中は特殊再遊技役の報知演出を行わないこととして、低確率の報知実行抽選テーブルを省略してもよく、高確率モード中は特殊再遊技役に内部当選した際に全て特殊再遊技役の報知演出を行うこととして、高確率用の報知実行抽選テーブルを省略してもよい。
また、前述した実施例の高確率モードは、クレジット数が「0」になるまで継続され、クレジット数が「0」になると、低確率モードに切り換わるものとして説明した。しかし、高確率モードから低確率モードに切り換える契機は、クレジット数が「0」になったことに限られるわけではなく、クレジット数が所定数になったことを契機としてもよい。