以下、本発明の実施の形態によるブレーキ装置を、4輪自動車に搭載した場合を例に挙げ、添付図面に従って詳細に説明する。
ここで、図1ないし図7は本発明の第1の実施の形態を示している。図1において、車両のボディを構成する車体1の下側(路面側)には、例えば左,右の前輪2と左,右の後輪3とが設けられている。これらの各前輪2および各後輪3には、それぞれ一体に回転するディスクとしてのディスクロータ4が設けられている。即ち、各前輪2は、液圧式のディスクブレーキ5により各ディスクロータ4が挟持され、各後輪3は、後述する電動駐車ブレーキ付のディスクブレーキ31により各ディスクロータ4が挟持される。これにより、車輪(各前輪2および各後輪3)毎に制動力が付与される。
車体1のフロントボード側には、ブレーキペダル6が設けられている。該ブレーキペダル6は、車両のブレーキ操作時に運転者によって踏込み操作される。ブレーキペダル6には、ペダルスイッチ6Aが設けられている。このペダルスイッチ6Aは、ブレーキペダル6の踏込み操作を検出し、その検出信号を後述のコントロールユニット13に出力する。
ブレーキペダル6の踏込み操作は、倍力装置7を介してマスタシリンダ8に伝達される。倍力装置7は、ブレーキペダル6とマスタシリンダ8との間に設けられた負圧ブースタ等からなり、ブレーキペダル6の踏込み操作時に踏力を増倍してマスタシリンダ8に伝える。このとき、マスタシリンダ8は、マスタリザーバ9から供給されるブレーキ液により液圧を発生させる。マスタリザーバ9は、ブレーキ液が収容された作動液タンクを構成している。
マスタシリンダ8に発生した液圧は、例えば一対のシリンダ側液圧配管10A,10Bを介して液圧供給装置11(以下、ESC11という)に送られる。このESC11は、マスタシリンダ8からの液圧をブレーキ側配管部12A,12B,12C,12Dを介して各ディスクブレーキ5,31に分配、供給する。これにより、前述の如く車輪(各前輪2、各後輪3)毎に制動力が付与される。
ESC11は、ESC11を作動制御する液圧供給装置用コントローラ13(以下、コントロールユニット13という)を有している。該コントロールユニット13は、ESC11を駆動制御することにより、ブレーキ側配管部12A〜12Dから各ディスクブレーキ5,31に供給するブレーキ液圧を増圧、減圧または保持する制御を行う。これにより、例えば倍力制御、制動力分配制御、ブレーキアシスト制御、アンチスキッド制御、トラクション制御、横滑り防止を含む車両安定化制御、坂道発進補助制御等のブレーキ制御が実行される。
コントロールユニット13は、マイクロコンピュータ等により構成され、バッテリ14からの電力が電源ライン15を通じて給電される。また、コントロールユニット13は、図1に示すように、車両データバス16等に接続されている。なお、ESC11の代わりに、公知技術であるABSユニットを用いてもよい。さらには、ESC11を設けずに(省略し)、マスタシリンダ8から直接ブレーキ側配管部12A〜12Dに接続する構成としてもよい。
車両データバス16は、車体1に搭載されたシリアル通信部としてのCANを含んで構成され、車両に搭載された多数の電子機器、コントロールユニット13および後述の駐車ブレーキ制御装置19等との間で車載向けの多重通信を行うものである。この場合、車両データバス16に送られる車両運転情報としては、例えば操舵角センサ、アクセルセンサ、ブレーキセンサ、車輪速センサ、傾斜センサ(いずれも図示せず)からの検出信号等の情報、さらには、圧力センサ17等からの検出信号(情報)が挙げられる。
圧力センサ17は、ブレーキ側配管部12A,12B,12C,12Dにそれぞれ設けられ、それぞれの配管内圧力(液圧)、換言すれば、該配管内圧力に対応する後述のキャリパ34(シリンダ部36)内の液圧Pを個別に検出するものである。なお、圧力センサ17は、1つまたは2つ設ける構成としてもよく、例えばマスタシリンダ8とESC11との間のシリンダ側液圧配管10A,10Bにのみ設ける構成としてもよい。
車体1には、運転席(図示せず)の近傍に位置して駐車ブレーキスイッチ18が設けられ、該駐車ブレーキスイッチ18は運転者によって操作される。駐車ブレーキスイッチ18が操作されたときには、後述の駐車ブレーキ制御装置19から後輪3側のディスクブレーキ31(即ち、後述の電動アクチュエータ43)に制御信号が出力(駆動電力が給電)され、これにより、後輪3側のディスクブレーキ31は駐車ブレーキとして作動する。また、駐車ブレーキとしての作動を解除するときには、駐車ブレーキスイッチ18が制動解除側に操作され、この操作に伴ってディスクブレーキ31に電動アクチュエータ43を逆回転させる制御信号が出力(駆動電力が給電)される。
駐車ブレーキ制御装置19は、マイクロコンピュータ等によって構成され、バッテリ14からの電力が電源ライン15を通じて給電される。駐車ブレーキ制御装置19は、本発明の構成要件である制御手段(コントローラ、コントロールユニット)を構成するもので、駐車ブレーキスイッチ18等からの信号(ピストン保持指令)に基づいて後述するディスクブレーキ31(即ち、電動アクチュエータ43)の駆動を制御し、車両の駐車、停車時等に制動力を発生させるものである。駐車ブレーキ制御装置19は、図1ないし図3に示すように、入力側が駐車ブレーキスイッチ18等に接続され、出力側はディスクブレーキ31の電動アクチュエータ43等に接続されている。また、駐車ブレーキ制御装置19は、その入、出力側が車両データバス16を介してESC11のコントロールユニット13等に接続されている。
駐車ブレーキ制御装置19は、例えばフラッシュメモリ、ROM、RAM等からなる記憶部(図示せず)を有し、この記憶部には、後述の図5および図6に示す処理プログラム、即ち、駐車ブレーキを作動(アプライ)させるときの制御処理に用いる処理プログラム等が格納されている。
駐車ブレーキ制御装置19は、車両の運転者が駐車ブレーキスイッチ18を操作したときに、該駐車ブレーキスイッチ18から出力される信号(ON,OFF信号)に基づいて後述の電動アクチュエータ43を駆動し、ディスクブレーキ31を駐車ブレーキとして作動ないし作動解除させるものである。
駐車ブレーキ制御装置19には、電源ライン15からの電圧VBを検出する電圧センサ部20、左,右の電動アクチュエータ43,43をそれぞれ駆動する左,右のモータ駆動回路21,21、左,右の電動アクチュエータ43のそれぞれのモータ電流IML、IMRを検出する左,右の電流センサ部22,22が内蔵されている。なお、左,右の電流センサ部22,22に代えて、または、左,右の電流センサ部22,22と共に、電源ライン15から各モータ駆動回路21,21までの間に、左,右の電動アクチュエータ43のモータ電流の合計(IML+IMR)を検出する電流センサ部23を設ける構成としてもよい。
これにより、駐車ブレーキ制御装置19は、駐車ブレーキを作動(アプライ)させるときに、電源ライン15からの電圧VB(駐車ブレーキ制御装置19に入力される電圧VB)、および/または、左,右の電動アクチュエータ43のモータ電流IML、IMRに応じて、その途中で一方の電動アクチュエータ43の駆動の停止、再開を行うことができるように構成している。即ち、駐車ブレーキ制御装置19は、電圧VB(および/またはモータ電流IML、IMR)に応じて、駐車ブレーキの作動途中で、一方の電動アクチュエータ43の駆動の停止し、他方の電動アクチュエータ43によりピストン39を必要押付力(必要制動力)が得られる位置まで推進させてから、一方の電動アクチュエータ43の駆動を再開し、該一方の電動アクチュエータ43によりピストン39を必要押付力(必要制動力)が得られる位置まで推進させることができるように構成している。
これにより、駐車ブレーキ制御装置19は、必要に応じて、後述するピストン推進機構(回転直動変換機構30、電動アクチュエータ43)によりピストン39が該ピストン39を保持する位置(保持位置)に達するタイミングを、車両の左,右の各ピストン推進機構で異ならせることを可能としている。この場合に、駐車ブレーキ制御装置19は、駐車ブレーキスイッチ18からのピストン保持指令(駐車ブレーキON信号)を受けてから所定位置までは、車両の左,右の各ピストン推進機構でそれぞれのピストン39を同時に推進する構成としている。このように左,右のピストン39で保持位置に達するタイミングを異ならせるべく、左,右の電動アクチュエータ43のうちの一方の電動アクチュエータ43の駆動を途中で停止、再開する制御に関しては、後で詳しく述べる。
次に、左,右の後輪3側に設けられる電動駐車ブレーキ付のディスクブレーキ31の構成について、図3を参照しつつ説明する。なお、図3では、左,右の後輪3に対応してそれぞれ設けられた左,右のディスクブレーキ31のうちの一方のみを示している。
駐車ブレーキ制御装置19と共に本実施の形態のブレーキ装置を構成するディスクブレーキ31は、電動式の駐車ブレーキが付設された液圧式のディスクブレーキとして構成されている。ディスクブレーキ31は、車両の後輪3側の非回転部分に取付けられる取付部材32と、インナ側,アウタ側のブレーキパッド33と、後述の電動アクチュエータ43が設けられたキャリパ34とを含んで構成されている。
取付部材32は、ディスクロータ4の外周を跨ぐようにディスクロータ4の軸方向(即ち、ディスク軸方向)に延びディスク周方向で互いに離間した一対の腕部(図示せず)と、該各腕部の基端側を一体的に連結するように設けられ、ディスクロータ4のインナ側となる位置で車両の非回転部分に固定される厚肉の支承部32Aとを含んで構成されている。また、取付部材32には、ディスクロータ4のアウタ側となる位置で前記各腕部の先端側を互いに連結する補強ビーム32Bが一体に形成されている。
これによって、取付部材32の各腕部の間は、ディスクロータ4のインナ側で支承部32Aにより一体的に連結されると共に、アウタ側で補強ビーム32Bにより一体的に連結されている。インナ側,アウタ側のブレーキパッド33は、ディスクロータ4の両面に配置され、取付部材32の前記各腕部によりディスク軸方向に移動可能に支持されている。インナ側,アウタ側のブレーキパッド33は、後述のキャリパ34(キャリパ本体35、ピストン39)によりディスクロータ4の両面側に押圧されるものである。
取付部材32には、ディスクロータ4の外周側を跨ぐようにキャリパ34が配置されている。該キャリパ34は、取付部材32の前記各腕部に対してディスクロータ4の軸方向に沿って移動可能に支持されたキャリパ本体35と、このキャリパ本体35内に設けられた後述のピストン39および回転直動変換機構40と、電動アクチュエータ43等とを含んで構成されている。
キャリパ本体35は、シリンダ部36とブリッジ部37と爪部38とにより構成されている。シリンダ部36は、軸方向の一側が隔壁部36Aとなって閉塞されディスクロータ4に対向する他側が開口端となった有底円筒状に形成されている。ブリッジ部37は、ディスクロータ4の外周側を跨ぐように該シリンダ部36からディスク軸方向に延びて形成されている。爪部38は、ブリッジ部37を挟んでシリンダ部36の反対側に延びるように配設されている。キャリパ本体35のシリンダ部36は、ディスクロータ4の一側(インナ側)に設けられたインナ脚部を構成し、爪部38はディスクロータ4の他側(アウタ側)に設けられたアウタ脚部を構成するものである。
キャリパ本体35のシリンダ部36は、図1に示すブレーキ側配管部12Cまたは12Dを介してブレーキペダル6の踏込み操作等に伴う液圧が供給される。このシリンダ部36には、後述の電動アクチュエータ43との間に位置して隔壁部36Aが一体形成されている。該隔壁部36Aの内周側には、電動アクチュエータ43の出力軸43Bが回転可能に装入されている。キャリパ本体35のシリンダ部36内には、ピストン39と後述の回転直動変換機構40等とが設けられている。なお、本実施の形態においては、回転直動変換機構40がピストン39内に収容されるように構成されているが、回転直動変換機構40によってピストン39が推進されるようになっていれば、必ずしも回転直動変換機構40がピストン39内に収容されていなくともよい。
ここで、ピストン39は、開口側となる軸方向の一側がシリンダ部36内に挿入され、インナ側のブレーキパッド33に対面する軸方向の他側が蓋部39Aとなって閉塞されている。また、シリンダ部36内には、回転直動変換機構40がピストン39の内部に収容して設けられ、ピストン39は、該回転直動変換機構40によりシリンダ部36の軸方向に推進されるようになっている。回転直動変換機構40は、後述の電動アクチュエータ43と共に本発明の構成要件であるピストン推進機構を構成し、シリンダ部36内への前記液圧付加とは別にピストン39を外力(電動アクチュエータ43)により推進させるものである。そして、左,右の後輪3に対応して左,右のディスクブレーキ31をそれぞれ設けることから、ピストン推進機構(回転直動変換機構30、電動アクチュエータ43)も、車両の左,右それぞれに設けられている。
回転直動変換機構40は、台形ねじ等の雄ねじが形成された棒状体からなるねじ部材41と、台形ねじからなる雌ねじ穴が内周側に形成された推進部材となる直動部材42とにより構成されている。即ち、直動部材42の内周側に螺合したねじ部材41は、後述の電動アクチュエータ43による回転運動を直動部材42の直線運動に変換するねじ機構を構成している。この場合、直動部材42の雌ねじとねじ部材41の雄ねじとは、不可逆性の大きいねじ、本実施の形態においては、台形ねじを用いて形成することによりピストン保持機構を構成している。このピストン保持機構は、電動アクチュエータ43に対する給電を停止した状態でも、直動部材42(即ち、ピストン39)を任意の位置で摩擦力(保持力)によって保持し、省エネルギ化を図ることができる。なお、ピストン保持機構は、ピストン推進機構(回転直動変換機構40、電動アクチュエータ43)により推進された位置にピストン39を保持することができればよく、例えば台形ねじ以外の不可逆性の大きいねじとしてもよい。
直動部材42の内周側に螺合して設けられたねじ部材41は、軸方向の一側に大径の鍔部となるフランジ部41Aが設けられ、軸方向の他側がピストン39の蓋部39A側に向けて延びている。ねじ部材41は、フランジ部41A側で後述する電動アクチュエータ43の出力軸43Bに一体的に連結されている。また、直動部材42の外周側には、直動部材42をピストン39に対して廻止め(相対回転を規制)し、軸方向の相対移動を許す係合突部42Aが設けられている。
電動モータ(駐車ブレーキ用アクチュエータ)としての電動アクチュエータ43は、ケーシング43A内に設けられている。このケーシング43Aは、キャリパ本体35のシリンダ部36に隔壁部36Aの外側位置で固定して設けられている。電動アクチュエータ43は、ステータ、ロータ等を内蔵する公知技術のモータと、該モータのトルクを増幅する減速機(いずれも図示せず)から構成されている。減速機は、増幅後の回転トルクを出力する出力軸43Bを有している。出力軸43Bは、シリンダ部36の隔壁部36Aを軸方向に貫通して延び、シリンダ部36内でねじ部材41のフランジ部41A側と一体に回転するように連結されている。
出力軸43Bとねじ部材41との連結手段は、例えば軸方向には移動可能であるが回転方向は回り止めされるようになっており、例えばスプライン嵌合や多角形柱による嵌合(非円形嵌合)等の公知の技術が用いられる。なお、減速機としては、例えば遊星歯車減速機やウォーム歯車減速機等を用いてもよい。なお、ウォーム歯車減速機等、逆作動性のない(不可逆性の)公知の減速機を用いる場合は、回転直動変換機構40としてボールねじやボールランプ機構等、可逆性のある公知の機構を組み合わせても良い。
ここで、運転者が図1ないし図3に示す駐車ブレーキスイッチ18を操作したときには、駐車ブレーキ制御装置19から電動アクチュエータ43(のモータ)に給電され、電動アクチュエータ43の出力軸43Bが回転される。このため、回転直動変換機構40のねじ部材41は、例えば一方向に出力軸43Bと一体に回転され、直動部材42を介してピストン39をディスクロータ4側に推進(駆動)する。これにより、ディスクブレーキ31は、ディスクロータ4をインナ側,アウタ側のブレーキパッド33間で挟持し、電動式の駐車ブレーキとして作動(アプライ)される。
一方、駐車ブレーキスイッチ18が制動解除側に操作されたときには、電動アクチュエータ43により回転直動変換機構40のねじ部材41が他方向(逆方向)に回転駆動される。これにより、直動部材42が回転直動変換機構40を介してディスクロータ4から離れる(離間する)後退方向に駆動され、ディスクブレーキ31は駐車ブレーキとしての作動が解除(リリース)される。
この場合、回転直動変換機構40では、ねじ部材41が直動部材42に対して相対回転されると、ピストン39内での直動部材42の回転が規制されているため、直動部材42は、ねじ部材41の回転角度に応じて軸方向に相対移動する。これにより、回転直動変換機構40は、回転運動を直線運動に変換する。
シリンダ部36の隔壁部36Aには、ねじ部材41のフランジ部41Aとの間にスラスト軸受44が設けられている。このスラスト軸受44は、ねじ部材41からのスラスト荷重を隔壁部36Aと一緒に受承し、隔壁部36Aに対するねじ部材41の回転を円滑にするものである。また、シリンダ部36の隔壁部36Aには、電動アクチュエータ43の出力軸43Bとの間にシール部材45が設けられ、該シール部材45は、シリンダ部36内のブレーキ液が電動アクチュエータ43側に漏洩するのを阻止するように両者の間をシールしている。
また、シリンダ部36の開口端側には、該シリンダ部36とピストン39との間をシールする弾性シールとしてのピストンシール46と、シリンダ部36内への異物侵入を防ぐダストブーツ47とが設けられている。ダストブーツ47は、可撓性を有した蛇腹状のシール部材により構成され、シリンダ部36の開口端とピストン39の蓋部39A側の外周との間に取付けられている。
なお、前輪2側のディスクブレーキ5は、後輪3側のディスクブレーキ31と駐車ブレーキ機構を除けばほぼ同様に構成されている。即ち、前輪2側のディスクブレーキ5は、後輪3側のディスクブレーキ31のように、駐車ブレーキとして作動する回転直動変換機構40(ねじ部材41および直動部材42)および電動アクチュエータ43等が設けられていない。しかし、これ以外の点では前輪2側のディスクブレーキ5もディスクブレーキ31とほぼ同様に構成されるものである。また、場合によってはディスクブレーキ5に代えて、前輪2側にも電動駐車ブレーキ付のディスクブレーキ31を設ける構成としてもよい。
本実施の形態による4輪自動車のブレーキ装置は、上述の如き構成を有するもので、次に、その作動について説明する。
車両の運転者がブレーキペダル6を踏込み操作すると、その踏力が倍力装置7を介してマスタシリンダ8に伝達され、マスタシリンダ8によってブレーキ液圧が発生する。マスタシリンダ8で発生した液圧は、シリンダ側液圧配管10A,10B、ESC11およびブレーキ側配管部12A,12B,12C,12Dを介して各ディスクブレーキ5,31に分配、供給され、左,右の前輪2と左,右の後輪3とにそれぞれ制動力が付与される。
この場合、後輪3側のディスクブレーキ31について説明すると、キャリパ34のシリンダ部36内にブレーキ側配管部12C,12Dを介して液圧が供給され、シリンダ部36内の液圧上昇に従ってピストン39がインナ側のブレーキパッド33に向けて摺動変位する。これにより、ピストン39は、インナ側のブレーキパッド33をディスクロータ4の一側面に押圧し、このときの反力によってキャリパ34全体が取付部材32の前記各腕部に対してディスクロータ4のインナ側に摺動変位する。
この結果、キャリパ34のアウタ脚部(爪部38)は、アウタ側のブレーキパッド33をディスクロータ4に押圧するように動作し、ディスクロータ4は、一対のブレーキパッド33によって軸方向の両側から挟持され、液圧付与に従った制動力が発生される。一方、ブレーキ操作を解除したときには、シリンダ部36内への液圧供給が解除、停止されることにより、ピストン39がシリンダ部36内へと後退するように変位し、インナ側とアウタ側のブレーキパッド33がディスクロータ4から離間することによって、車両は非制動状態に戻される。
次に、車両の運転者が駐車ブレーキを作動(アプライ)させるべく駐車ブレーキスイッチ18を操作したときには、駐車ブレーキ制御装置19からディスクブレーキ31の電動アクチュエータ43に給電が行われ、電動アクチュエータ43の出力軸43Bが回転駆動される。電動駐車ブレーキ付のディスクブレーキ31は、電動アクチュエータ43の回転を回転直動変換機構40のねじ部材41と直動部材42を介して直線運動に変換し、直動部材42を軸方向に移動させてピストン39を推進することにより、一対のブレーキパッド33をディスクロータ4の両面に押圧する。
このとき、直動部材42は、ねじ部材41との間に発生する摩擦力(保持力)により制動状態に保持され、後輪3側のディスクブレーキ31は駐車ブレーキとして作動される。即ち、電動アクチュエータ43への給電を停止した後にも、直動部材42の雌ねじとねじ部材41の雄ねじとからなるピストン保持機構により、直動部材42(即ち、ピストン39)を制動位置に保持することができる。
一方、運転者が駐車ブレーキを解除すべく駐車ブレーキスイッチ18を制動解除側に操作したときには、駐車ブレーキ制御装置19から電動アクチュエータ43に対してモータ逆転方向に給電され、電動アクチュエータ43の出力軸43Bは、駐車ブレーキの作動時と逆方向に回転される。このとき、回転直動変換機構40は、ねじ部材41と直動部材42とによる制動力の保持が解除されると共に、電動アクチュエータ43の逆回転に対応した移動量で直動部材42をシリンダ部36内へと戻り方向に移動させ、駐車ブレーキ(ディスクブレーキ31)の制動力を解除する。
ところで、駐車ブレーキとして制動力を発生させるときに、電動アクチュエータ43には、電源となるバッテリ14から電源ライン15と駐車ブレーキ制御装置19とを介して電力が供給される。このとき、例えばバッテリ14の電圧が通常よりも低くなった場合、従来技術では、ピストン39の押付力(ピストン39がブレーキパッド33を押圧する力)が、駐車を維持するため必要な押付力(必要押付力)よりも小さくなる虞がある。
即ち、駐車ブレーキとして制動力を発生させるときは、電動アクチュエータ43の駆動によりピストン39をディスクロータ4に近付く方向に推進させる。このとき、駐車ブレーキ制御装置19は、電動アクチュエータ43の電流が目標電流値に達すると、ピストン39が目標となる押付力(目標押付力)を発生していると判定し、電動アクチュエータ43の駆動を停止する構成としている。
ここで、車両の左,右の電動アクチュエータ43を同時に駆動すると、電源ライン15には、左,右の電動アクチュエータ43に供給される電流の合計分が同時に流れ、電源ライン15での電圧降下が大きくなる。この場合に、例えばバッテリ14の電圧が通常よりも低いと、電源ライン15での電圧降下と相まって、駐車ブレーキ制御装置19に入力される電圧VBは、さらに低くなる。
ここで、図4に、ピストン39の目標押付力に対応する目標電流値A1と、入力電圧VBに対する最大電流値、すなわち、電動アクチュエータ43が停止してしまうストール電流値IMSTLとの関係を示す。この図4中、電圧Vminは、目標電流値A1とストール電流値IMSTLとが等しくなる電圧である。
この図4中に実線48で示すように、電圧VBがVminより小さい場合、目標電流値A1は、ストール電流値IMSTLを超えないように、そのときの電圧VBに応じて小さくする必要がある。このため、電圧VBがVminより小さくなると、目標電流値A1も小さくなることに伴って、ピストン39の押付力が駐車を維持するため必要な押付力(必要押付力)よりも小さくなる虞がある。
ここで、例えば、電源ライン15の電圧降下の低減を図るべく、電源ライン15を太くして抵抗値を下げることが考えられる。ただし、この場合は、材料コストと重量が増大するという問題がある。
そこで、本実施の形態では、電動アクチュエータ43による制動を行う(駐車ブレーキを作動させる)ときに、左,右のディスクブレーキ31で左,右の電動アクチュエータ43を停止するタイミングを異ならせることを可能としている。より具体的には、駐車ブレーキ制御装置19は、左,右の電動アクチュエータ43を駆動しているときに、駐車ブレーキ制御装置19に入力される電圧に応じて一方の電動アクチュエータ43の駆動を停止し、他方の電動アクチュエータ43の電流が目標電流値A1に達することにより当該他方の電動アクチュエータ43の駆動を停止してから、一方の電動アクチュエータ43の駆動を再開し、当該一方の電動アクチュエータ43の電流が目標電流値A1に達することにより当該一方の電動アクチュエータ43の駆動を停止するようにしている。
以下、駐車ブレーキを作動(アプライ)させるときに、駐車ブレーキ制御装置19で行う制御処理について、図5および図6を参照しつつ説明する。なお、以下の説明は、駐車ブレーキをかける、即ち、ブレーキパッド33に所定の押圧力を付与して、そのときのピストン位置を保持するための動作を「アプライ」という。また、図5の処理は、駐車ブレーキ制御装置19に通電している間、所定時間毎に繰り返し実行される。
図5の処理動作がスタートすると、ステップ1では、駐車ブレーキスイッチ18によりアプライ指示(アプライ指令、アプライ要求)があるか否かを判定する。このステップ1で、「NO」、即ち、アプライ指示がないと判定された場合は、「エンド」を介して「スタート」に戻る。この場合は、所定時間後に「スタート」からステップ1に進む。一方、ステップ1で、「YES」、即ち、アプライ指示があると判定された場合には、ステップ2に進む。
ステップ2では、ステップ1での「YES」の判定に基づいて、駐車ブレーキ制御装置19は、直動部材42(ピストン39)がディスクロータ4に近付く方向(アプライ方向)へ電動アクチュエータ43を駆動する。この場合、左右両方のディスクブレーキ31の電動アクチュエータ43を駆動する。そして、続くステップ3に進む。なお、以下の説明では、便宜上、左の後輪3(RL)側に位置する電動アクチュエータ43のモータをLHモータ、右の後輪3(RR)側に位置する電動アクチュエータ43のモータをRHモータという。
ステップ3では、アプライ完了処理、即ち、後述する図6に示すアプライ完了処理を実行する。そして、続くステップ4では、後述するLH完了フラグがONであるか否かを判定する。ステップ4で、「YES」、即ち、LH完了フラグがONであると判定された場合は、ステップ5に進み、LHモータを停止し、続くステップ6に進む。一方、ステップ4で、「NO」、即ち、LH完了フラグがOFFであると判定された場合は、ステップ5を介することなく、ステップ6に進む。
ステップ6では、後述するRH完了フラグがONであるか否かを判定する。ステップ6で、「YES」、即ち、RH完了フラグがONであると判定された場合は、ステップ7に進み、RHモータを停止し、続くステップ8に進む。一方、ステップ6で、「NO」、即ち、RH完了フラグがOFFであると判定された場合は、ステップ7を介することなく、ステップ8に進む。
ステップ8では、LH完了フラグがONであり、かつ、RH完了フラグがONであるか否かを判定する。ステップ8で、「YES」、即ち、LH完了フラグとRH完了フラグとの両フラグがONであると判定された場合は、ステップ9に進み、後述する各タイマ(タイマ1、タイマ2)と各フラグ(LH完了フラグ、RH完了フラグ)をクリア、即ち、各タイマを0にすると共に各フラグをOFFにし、「エンド」を介して、「スタート」に戻る。一方、ステップ8で、「NO」、即ち、LH完了フラグとRH完了フラグとの両方がONでない(少なくともいずれかのフラグがOFFである)と判定された場合は、ステップ3に戻る。
次に、ステップ3のアプライ完了処理について、図6を参照しつつ説明する。
アプライ完了処理がスタートすると、ステップ11では、タイマ1をカウントアップする。次に、ステップ12では、タイマ1により、カウントアップを開始してから、即ち、電動アクチュエータ43の駆動を開始してから(LHモータおよびRHモータに通電を開始してから)所定時間T1を経過したか(タイマ1が所定時間T1以上であるか)否かを判定する。
ステップ12で、「NO」、即ち、所定時間T1に達していない(タイマ1<T1)と判定された場合は、図6の「リターン」を介して図5のステップ4に進む。一方、ステップ12で、「YES」、即ち、所定時間T1に達した(タイマ1≧T1)と判定された場合は、ステップ13に進む。ここで、所定時間T1は、LHモータおよびRHモータへの通電直後に発生する突入電流(図7のA0参照)が、所定値A1未満となるまでの時間より長くなるよう設定している。
次に、ステップ13では、LHモータの電流IML、RHモータの電流IMRおよび駐車ブレーキ制御装置19に入力される電圧VBを取得する。この場合、LHモータの電流IMLとRHモータの電流IMRは、駐車ブレーキ制御装置19の電流センサ部22,22により取得(検出)し、電圧VBは、電圧センサ部20により取得(検出)する。
ステップ13で電流IML、電流IMR、電圧VBを取得したならば、ステップ14で、目標電流値となる所定値A1を、図4の特性線(実線48)に基づいて設定する。即ち、ステップ13で取得した電圧VBに基づいて、所定値A1を設定する。なお、図4では、Vmin以上で所定値A1を一定としているが、例えば電圧VBに応じて所定値A1の大きさを補正してもよい(例えば、電圧VBが大きいほど所定値A1が大きくなるように補正をしてもよい)。また、図4では、Vmin以下で所定値A1とストール電流値IMSTLとを同じにしているが、例えばストール電流値IMSTLよりも所定値A1を小さくしてもよい。さらには、所定値A1は、例えば駐車する路面の傾斜や圧力センサ17による液圧Pの大きさに応じて補正してもよい。
ステップ15では、駐車ブレーキ制御装置19に入力される電圧VBが、所定時間T2の間、所定値V1以下(VB≦V1)を継続したか否かを判定する。ステップ15で、「NO」、即ち、電圧VBが所定時間T2の間、所定値V1以下を継続していないと判定された場合は、後述するステップ21に進む。一方、ステップ15で、「YES」、即ち、電圧VBが所定時間T2の間、所定値V1以下を継続したと判定された場合は、ステップ16に進む。
ここで、所定値V1は、いずれか一方の電動アクチュエータ43を停止すべき電圧値の閾値として設定されるものである。この閾値(所定値V1)は、バッテリ14の電圧(電源電圧)、左,右の電動アクチュエータ43を同時に駆動しているときの電圧の降下量等を勘案して、例えば実験、計算等により予め求めておく。また、電圧VBが所定値V1に達したときのピストン39の位置が、ピストン保持指令(駐車ブレーキON信号)を受けてから左,右のピストン39を同時に推進させる位置(所定位置)に対応する。
本実施の形態の場合は、図4に示すように、所定値V1は、Vminよりも大きい値としているが、例えば、所定値V1をVminと同じ(V1=Vmin)としてもよい。また、ステップ14で所定値A1を、例えば駐車する路面の傾斜や圧力センサ17による液圧Pの大きさに応じて小さくなるように補正した場合は、ストール電流値IMSTLと所定値A1とが交わる電圧Vminも小さくなるため、これに応じて所定値V1を補正してもよい。
ステップ16では、LH完了フラグとRH完了フラグとのいずれかがONであるか否かを判定する。ステップ16で、「NO」、即ち、LH完了フラグとRH完了フラグとの両方がOFFである(LHモータおよびRHモータの両方が駆動中)と判定された場合は、ステップ25に進み、RHモータを停止する。そして、続くステップ26で後述のタイマ2を作動させるタイマ2フラグをONにして、ステップ21に進む。一方、ステップ16で、「YES」、即ち、LH完了フラグとRH完了フラグとのいずれかがONである(LHモータとRHモータとのいずれかがそのアプライ完了により停止している)と判定された場合は、ステップ17に進む。
ステップ17では、タイマ2フラグがONか否かを判定する。ステップ17で、「NO」、即ち、タイマ2フラグがOFFであると判定された場合は、ステップ21に進む。一方、ステップ17で、「YES」、即ち、タイマ2フラグがONであると判定された場合は、ステップ18に進み、停止中のRHモータを再駆動し(駆動を再開し)、続くステップ19で、タイマ2をカウントアップする。そして、ステップ20では、タイマ2により、カウントアップを開始してから、即ち、RHモータを駆動してから(通電を開始してから)所定時間T4を経過したか(タイマ2が所定時間T4以上であるか)否かを判定する。
ステップ20で、「NO」、即ち、所定時間T4に達していない(タイマ2<T4)と判定された場合は、図6の「リターン」を介して図5のステップ4に進む。一方、ステップ20で、「YES」、即ち、所定時間T4に達した(タイマ2≧T4)と判定された場合は、ステップ21に進む。ここで、所定時間T4は、RHモータへの通電直後に発生する突入電流(図7のA2参照)が、所定値A1未満となるまでの時間より長くなるよう設定している。
ステップ21では、LHモータの電流IMLが、所定時間T3の間、所定値A1以上(IML≧A1)を継続したか否かを判定する。ステップ21で、「YES」、即ち、電流IMLが所定時間T3の間、所定値A1以上を継続したと判定された場合は、続くステップ22でLH完了フラグをONしてから、ステップ23に進む。一方、ステップ21で、「NO」、即ち、電流IMLが所定時間T3の間、所定値A1以上を継続していないと判定された場合は、ステップ22を介することなく、ステップ23に進む。
ステップ23では、RHモータの電流IMRが、所定時間T5の間、所定値A1以上(IMR≧A1)を継続したか否かを判定する。ステップ23で、「YES」、即ち、電流IMRが所定時間T5の間、所定値A1以上を継続したと判定された場合は、続くステップ24でRH完了フラグをONしてから、図6の「リターン」を介して図5のステップ4に進む。一方、ステップ23で、「NO」、即ち、電流IMRが所定時間T5の間、所定値A1以上を継続していないと判定された場合は、ステップ24を介することなく、図6の「リターン」に進み、該「リターン」を介して図5のステップ4に進む。
次に、駐車ブレーキ制御装置19で図5および図6の処理を行ったときの、駐車ブレーキスイッチ18の操作(SW)、左後輪3側の回転直動変換機構40で発生する推力(FL)と電動アクチュエータ43(LHモータ)の電流(IML)、右後輪3側の回転直動変換機構40で発生する推力(FR)と電動アクチュエータ43(RHモータ)の電流(IMR)、駐車ブレーキ制御装置19に入力される電圧VBの時間変化を、図7を参照しつつ説明する。
時間軸のa1時点では、駐車ブレーキスイッチ18によるアプライ指示(APL)はされておらず、左,右の電動アクチュエータ43,43は停止しており、該各電動アクチュエータ43,43(LHモータおよびRHモータ)の電流IML、IMRは0となる。時間軸のa2時点にて、駐車ブレーキスイッチ18によるアプライ指示がなされる(ステップ1で「YES」と判定される)と、駐車ブレーキ制御装置19は、左,右の電動アクチュエータ43,43(LHモータおよびRHモータ)を直動部材42(ピストン29)がディスクロータ4に近付く方向へ始動(通電)する(ステップ2)。このとき(通電直後)、LHモータおよびRHモータには、停止状態から駆動状態に移行するため、一度大きな突入電流(A0)が発生し、その後低下して一定となる。この突入電流による誤判定を避けるため、時間軸のa2時点からa3時点に至る所定時間T1の間は、電流IML、電流IMR、電圧VBを用いた判定を行わない(ステップ12)。
所定時間T1の経過後、LHモータおよびRHモータの駆動によって回転直動変換機構40で発生する推力Fが増加してブレーキパッド33がディスクロータ4に押圧されると、時間軸のa3時点からa4時点の間で、LHモータおよびRHモータの電流IML,IMRが次第に上昇する。これに伴い、電源ライン15での電圧降下が大きくなり、駐車ブレーキ制御装置19に入力される電圧VBが次第に小さくなる。そして、電圧VBが所定時間T2の間、所定値V1以下を継続したか否かが判定され(ステップ15)、電圧VBが所定時間T2の間、所定値V1以下の状態が継続すると、時間軸のa5時点でRHモータへの通電を一時停止する(ステップ25)。
一方、LHモータへの通電は継続し、該LHモータの電流IMLが所定時間T3の間、所定値A1以上を継続したか否かが判定される(ステップ21)。時間軸のa6時点で電流IMLが所定値A1以上となり、時間軸のa7時点で所定時間T3に達すると、該a7時点でLHモータへの通電が停止され、左後輪3(RL)側の電動アクチュエータ43がアプライ完了となる(ステップ5)。これにより、ステップ16とステップ17との両方で「YES」と判定され、RHモータへの通電が開始される(ステップ18)。
時間軸のa8時点で、RHモータへの通電が開始されると、RHモータには、停止状態から駆動状態に移行するため、一度大きな突入電流(図7のA2参照)が発生し、その後低下する。この突入電流による誤判定を避けるため、時間軸のa8時点からa9時点に至る所定時間T4の間は、電流IMRを用いた判定を行わない(ステップ20)。
所定時間T4の経過後、RHモータの電流IMRが所定時間T5の間、所定値A1以上を継続したか否かが判定される(ステップ23)。時間軸のa10時点で電流IMRが所定値A1以上となり、時間軸のa11時点で所定時間T5に達すると、該a11時点でRHモータへの通電が停止され、右後輪3(RR)側の電動アクチュエータ43もアプライ完了となる(ステップ7)。これにより、ステップ8で「YES」と判定され、ステップ9で、各タイマ(タイマ1、タイマ2)と各フラグ(LH完了フラグ、RH完了フラグ)がクリアされ、車両の左,右のディスクブレーキ31のアプライ完了となる。
以上に説明したように、第1の実施の形態によれば、突入電流による電圧VBの低下を除いて、電圧VBが所定値V1を下回ると、一方の電動アクチュエータ43を停止することで、電源ライン15の電圧降下を低減し、より低い電源電圧でピストン39の必要押付力(駐車を維持するため必要な押付力)を確保することができる。また、電圧VBが所定値V1を下回るまでは(突入電流を除いて電流が小さい領域では)、左,右の電動アクチュエータ43,43を同時に駆動するため、駐車ブレーキの作動完了までの時間が長くなることを回避することができる。
なお、電圧VBが所定値V1を下回った時点で、左,右の電動アクチュエータ43のいずれか一方がアプライ完了していた場合は、ステップ16(いずれか一方がアプライ完了したか否の判定)で「YES」と判定されても、ステップ17(タイマ2フラグがONであるか否かの判定)で「NO」と判定され、ステップ21に進む。このため、結果的にアプライ完了していない方の電動アクチュエータ43の駆動がそのまま継続される。また、電圧VBが十分に大きい場合には、左,右の電動アクチュエータ43をアプライ完了するまで同時に駆動させることができる。
なお、第1の実施の形態では、電圧VBが所定値V1を下回ったときに、車両の右側の電動アクチュエータ43(RHモータ)を停止する構成としたが、車両の左側の電動アクチュエータ43(LHモータ)を停止する構成としてもよい。また、電圧VBが所定値V1を下回ったと時点における、LHモータの電流IMLとRHモータの電流IMRとを比較し、その電流値に応じていずれのモータを止めるか判定するようにしてもよい。
次に、図8ないし図10は本発明の第2の実施の形態を示している。上述した第1の実施の形態では、一方の電動アクチュエータ43を途中で停止するか否かの判定を、駐車ブレーキ制御装置19に入力される電圧VBを用いて行う構成、即ち、その判定の閾値として電圧VBを用いる構成としている。これに対し、本実施の形態では、一方の電動アクチュエータ43を途中で停止するか否かの判定を、電動アクチュエータ43の電流IML,IMRを用いて行う構成、即ち、その判定の閾値として電流IML,IMRを用いる構成としている。なお、本実施の形態の説明は、上述した第1の実施の形態と相違する部分を中心に行う。
図8および図9に示すアプライ完了処理は、上述した第1の実施の形態の図6に示すアプライ完了処理に代えて、本実施の形態で用いるものである。この本実施の形態のアプライ完了処理の前後のステップ、即ち、図5の処理は、第1の実施の形態で説明した通りである。
本実施の形態では、左後輪3側の電動アクチュエータ43(LHモータ)の電流IMLと、右後輪3側の電動アクチュエータ43(RHモータ)の電流IMRを監視(検出)し、いずれか一方のモータの電流IML,IMRが、所定時間T2の間、所定値A3以上(IML≧A3、または、IMR≧A3)を継続した場合に、他方のモータを一時停止する構成としている。
即ち、図10の特性線図の時間軸のa3時点から、LHモータの電流IMLが所定時間T2の間、所定値A3以上(IML≧A3)を継続したか否かの判定(ステップ35)を開始すると共に、RHモータの電流IMRが所定時間T2の間、所定値A3以上(IMR≧A3)を継続したか否かの判定(ステップ39)を開始し、いずれか一方のモータに関して「YES」と判定された場合に、他方のモータを停止する(ステップ37、ステップ41)構成としている。
なお、所定値A3は、ステップ34で設定する。即ち、ステップ33で取得した電圧VBに基づいて、所定値A1と共に、所定値A3を設定する。具体的には、所定値A3は、そのとき(アプライのとき)の電圧VBに応じて、いずれか一方の電動アクチュエータ43を停止すべき電流値の閾値として設定されるものである。この場合、例えば、電圧VBが小さいほど、所定値A3も小さい値として設定することができる。このような閾値(所定値A3)と電圧VBとの関係は、バッテリ14の電圧(電源電圧)、左,右の電動アクチュエータ43を同時に駆動しているときの電圧降下等を勘案して、例えば実験、計算等により予め求めておく。そして、電流IML,IMRが所定値A3に達したときのピストン39の位置が、ピストン保持指令(駐車ブレーキON信号)を受けてから左,右のピストン39を同時に推進させる位置(所定位置)に対応する。
図10の特性線図では、時間軸のa4時点で、LHモータの電流IMLが所定値A3以上になり、時間軸のa5時点で、所定時間T2に達することで、ステップ35で「YES」と判定され、時間軸のa5時点で、RHモータが停止される(ステップ37)。このとき、RH休止フラグがONになるため(ステップ38)、その後のステップ40では「NO」が継続される。このため、RHモータが停止されたときは、ステップ41に進んでLHモータが停止されるようなことはない。なお、逆の場合、即ち、RHモータの電流IMRが所定値A3以上になり、先に所定時間T2に達したときは、LHモータが停止され(ステップ41)、LH休止フラグがONとなるため(ステップ42)、その後のステップ36では「NO」が継続される。このため、LHモータが停止されたときは、ステップ37に進んでRHモータが停止されるようなことはない。
続いて、ステップ48(とステップ49とステップ4とステップ5)の処理で、あるいは、ステップ50(とステップ51とステップ6とステップ7)の処理で、駆動中の電動アクチュエータ43がアプライ完了すると、ステップ43で「YES」と判定される。これにより、ステップ45あるいはステップ53で、停止していた電動アクチュエータ43の駆動が再開される。
図10の特性線図では、時間軸のa7時点で、ステップ48(とステップ49とステップ4とステップ5)の処理により、LHモータへの通電が停止され、左後輪3(RL)側の電動アクチュエータ43がアプライ完了する。その後、時間紬のa8時点で、RHモータへの通電が再開される(ステップ53)。
そして、突入電流(図10のA2参照)による誤判定を避けるべく、時間軸のa8時点から所定時間T4が経過するまでは、電流IMRの判定は行われない(ステップ47で「NO」の判定)。所定時間T4の経過後、RHモータの電流IMRが所定時間T5の間、所定値A1以上を継続したか否かが判定される(ステップ50)。その後、時間軸のa10時点で電流IMRが所定値A1以上となり、時間軸のa11時点で所定時間T5に達すると、該a11時点でRHモータへの通電が停止され、右後輪3(RR)側の電動アクチュエータ43もアプライ完了となる(ステップ7)。
かくして、このように構成される第2の実施の形態においても、前述した第1の実施の形態とほぼ同様の作用効果を得ることができる。即ち、本実施の形態の場合は、一方の電動アクチュエータ43の電流(IMLorIMR)が所定値A3以上になると、他方の電動アクチュエータ43を停止することで、電源ライン15の電圧降下を低減し、より低い電源電圧でピストン39の必要押付力を確保することができる。
なお、第2の実施の形態では、電流IML,IMRが所定値A3以上を所定時間T2継続するという条件に対し、先に成立させた一方の電動アクチュエータ43をそのまま駆動し.他方の電動アクチュエータ43を一時停止する構成としたが、逆にしてもよい。即ち、先に成立させた一方の電動アクチュエータ43を一時停止し、他方の電動アクチュエータ43をそのまま駆動する構成としてもよい。
また、第2の実施の形態では、電流センサ部22,22による左,右の電動アクチュエータ43のそれぞれの電流IML,IMRを用いていずれかの電動アクチュエータ43を一時停止する判定を行う構成とした。しかし、電流センサ部22,22を用いずに、電流センサ部23による左,右電動アクチュエータ43の合計電流IML+IMRを用いてもよい。
この場合は、時間軸のa3時点から合計電流IML+IMRを監視し、この合計電流IML+IMRが所定時間T2の間、所定値A4以上を継続した場合に、一方の電動アクチュエータ43を一時停止する構成とすることができる。そして、合計電流IML+IMRが、目標押付力に相当する所定値A5以上を所定時間T3または所定時間T5の間継続した場合に、アプライ完了と判定するように構成することができる。この場合には、電流センサ部23があれば、電流センサ部22,22は不要となり、センサの数を2個から1個に減らすことができる。
なお、所定値A4は、そのとき(アプライのとき)の電圧VBに応じて、いずれか一方の電動アクチュエータ43を停止すべき合計電流値の閾値として設定されるものである。この場合、例えば、電圧VBが小さいほど、所定値A4も小さい値として設定することができる。このような閾値(所定値A4)は、バッテリ14の電圧(電源電圧)、左,右の電動アクチュエータ43を同時に駆動しているときの電圧降下等を勘案して、例えば実験、計算等により予め求めておく。そして、合計電流IML+IMRが所定値A4に達したときのピストン39の位置が、ピストン保持指令(駐車ブレーキON信号)を受けてから左,右のピストン39を同時に推進させる位置(所定位置)に対応する。
また、閾値としての所定値A3(または、所定値A4)は、電圧VBがVminを下回らないように設定する。このため、所定値A3(または、所定値A4)は、電圧VBに応じて補正してもよい。例えば、電圧VBが十分大きい場合は、モータ一方停止判定をするための電流閾値である所定値A3(または、所定値A4)を、目標押付力到達判定をするための電流閾値である所定値A1(または、所定値A5)よりも大きくする補正、即ち、所定値A3>所定値A1(または、所定値A4>所定値A5)に補正することで、左,右の電動アクチュエータ43をアプライ完了するまで同時に駆動させることもできる。
次に、図11および図12は本発明の第3の実施の形態を示している。本実施の形態の特徴は、一方の電動アクチュエータ43を途中で停止するか否かの判定を、ピストン保持指令(駐車ブレーキON信号)を受けてからの経過時間を用いて行う構成、即ち、その判定の閾値として経過時間を用いる構成としたことにある。なお、本実施の形態の説明は、上述した第1の実施の形態と相違する部分を中心に行う。
図11に示すアプライ完了処理は、上述した第1の実施の形態の図6に示すアプライ完了処理に代えて、本実施の形態で用いるものである。この本実施の形態のアプライ完了処理の前後のステップ、即ち、図5の処理は、第1の実施の形態で説明した通りである。
本実施の形態では、駐車ブレーキスイッチ18によるアプライ指令(駐車ブレーキON信号)を受け、左右両方のディスクブレーキ31の電動アクチュエータ43を駆動(LHモータおよびRHモータへ通電を開始)してからの経過時間(タイマ1)が、所定時間T6に達した場合に、いずれか一方の電動アクチュエータ43の駆動を一時停止する構成としている。即ち、図12の特性線図の時間軸のa2時点で、タイマ1のカウントアップを開始し(ステップ61)、時間軸のa5時点で所定時間T6に達したと判定したら(ステップ62)、RHモータへの通電を停止する(ステップ66)構成としている。
なお、所定時間T6は、いずれか一方の電動アクチュエータ43を停止すべき時間(アプライ指令を受けてからの経過時間)の閾値として設定されるものである。このような閾値(所定時間T6)は、バッテリ14の電圧(電源電圧)、左,右の電動アクチュエータ43を同時に駆動しているときの電圧降下等を勘案して、例えば実験、計算等により予め求めておく。そして、経過時間(タイマ1)が所定時間T6に達したときのピストン39の位置が、ピストン保持指令(駐車ブレーキON信号)を受けてから左,右のピストン39を同時に推進させる位置(所定位置)に対応する。
時間軸のa5時点で、RHモータへの通電を停止したならば、LHモータの電流IMLが、所定時間T3の間、所定値A1以上(IML≧A1)を継続したか否かの判定を行う(ステップ67)。そして、時間軸のa6時点で電流IMLが所定値A1以上となり、時間軸のa7時点で所定時間T3に達すると、該a7時点でLHモータへの通電が停止され、左後輪3(RL)側の電動アクチュエータ43がアプライ完了となる(ステップ5)。これにより、ステップ65で「YES」と判定され、時間軸のa8時点で、RHモータへの通電が開始される(ステップ69)。
そして、突入電流(図12のA2参照)による誤判定を避けるべく、時間軸のa8時点から所定時間T4が経過するまでは、電流IMRの判定は行われない(ステップ71で「NO」の判定)。所定時間T4の経過後、RHモータの電流IMRが所定時間T5の間、所定値A1以上を継続したか否かが判定される(ステップ72)。その後、時間軸のa10時点で電流IMRが所定値A1以上となり、時間軸のa11時点で所定時間T5に達すると、該a11時点でRHモータへの通電が停止され、右後輪3(RR)側の電動アクチュエータ43もアプライ完了となる(ステップ7)。
なお、第3の実施の形態では、タイマ1が所定時間T6に達すると、車両の右側の電動アクチュエータ53(RHモータ)を停止する構成としたが、車両の左側の電動アクチュエータ53(LHモータ)を停止する構成としてもよい。また、タイマ1が所定時間T6に達した時点における、LHモータの電流IMLとRHモータの電流IMRとを比較し、その電流値に応じていずれのモータを止めるか判定するようにしてもよい。
また、第3の実施の形態では、所定時間T6を一定としているが、そのとき(アプライのとき)の電圧VB、LHモータの電流IML、RHモータの電流IMR応じて所定時間T6を補正してもよい。
かくして、このように構成される第3の実施の形態においても、前述した第1の実施の形態とほぼ同様の作用効果を得ることができる。即ち、本実施の形態の場合は、タイマ1が所定時間T6に達すると、いずれかの電動アクチュエータ33を停止することで、電源ライン15の電圧降下を低減し、より低い電源電圧でピストン39の必要押付力を確保することができる。
次に、図13ないし図16は本発明の第4の実施の形態を示している。本実施の形態の特徴は、ピストン保持指令を受けると、一方の電動アクチュエータを駆動することにより一方のピストンを推進させ、所定時間経過後、他方の電動アクチュエータを駆動することにより他方のピストンを推進させる構成としたことにある。なお、本実施の形態の説明は、上述した第1の実施の形態と相違する部分を中心に行う。
図13ないし図15に示す処理は、上述した第1の実施の形態の図5および図6に示す処理に代えて、本実施の形態で用いるものである。
本実施の形態では、駐車ブレーキスイッチ18によるアプライ指令を受けると、左,右のディスクブレーキ31,31のうちの一方のディスクブレーキ31の電動アクチュエータ43を駆動(LHモータまたはRHモータへ通電を開始)し、所定時間T7経過後に、他方のディスクブレーキ31の電動アクチュエータ43を駆動(RHモータまたはLHモータへ通電を開始)する構成としている。即ち、図16の特性線図の時間軸a2の時点でアプライ指令を受けると(ステップ101で「YES」と判定されると)、LHモータへの通電を開始し(ステップ102)、この通電開始からの経過時間(タイマ3)が所定時間T7に達すると、RHモータの通電を開始する(ステップ108)構成としている。
なお、所定時間T7は、後から駆動する電動アクチュエータ43の駆動開始時間(アプライ指令を受けてからの経過時間)の閾値として設定されるものである。このような閾値(所定時間T7)は、バッテリ14の電圧(電源電圧)、左,右の電動アクチュエータ43を同時に駆動しているときの電圧降下等を勘案して、例えば実験、計算等により予め求めておく。例えば、所定時間T7は、一方の(先に駆動した)電動アクチュエータ43がアプライ完了する時間軸のa7時点において、他方の(後から駆動する)電動アクチュエータ43の電流が小さい状態(押付力が発生していない状態、または、押付力が十分小さい状態)にあるように設定する。また、所定時間T7は一定としてもよいが、電圧VBの大きさに応じて所定時間T7を補正してもよい。例えば、電圧VBが十分大きければ、所定時間T7を0(T7=0)に補正することで、左,右の電動アクチュエータ43を同時に駆動開始させることもできる。
かくして、このように構成される第4の実施の形態においても、前述した第1の実施の形態とほぼ同様の作用効果を得ることができる。即ち、本実施の形態の場合は、一方の電動アクチュエータ43を駆動することにより一方のピストン39を推進させ、所定時間T7経過後、他方の電動アクチュエータ43を駆動することにより他方のピストン39を推進させる構成としている。これにより、電源ライン15の電圧降下を低減し、より低い電源電圧でピストン39の必要押付力を確保することができる。
なお、上述した各実施の形態では、左,右の後輪側ブレーキを電動駐車ブレーキ付のディスクブレーキ31とした場合を例に挙げて説明した。しかし、これに限らず、例えば、4輪全ての車輪のブレーキを電動駐車ブレーキ付のディスクブレーキにより構成してもよい。
また、上述した各実施の形態では、電動駐車ブレーキ付の液圧式ディスクブレーキ31を例に挙げて説明した。しかし、これに限らず、例えば液圧の供給が不要の電動式ディスクブレーキにより構成してもよい。また、ディスクブレーキ式のブレーキ装置に限らず、例えば、ドラムブレーキ式のブレーキ装置として構成してもよいものである。
以上の実施の形態によれば、低い電源電圧でも、車両の左右の両ピストンで必要押付力を得ることができる。
即ち、実施の形態によれば、制御手段は、ピストン推進機構によりピストンが該ピストンを保持する位置に達するタイミングを、車両の左右の各ピストン推進機構で異ならせることを可能としている。即ち、左,右の各ピストン推進機構のうちの一方の推進機構のピストンを止めることにより、他方の推進機構のピストンを一方の推進機構のピストンに対して先行させることを可能としている。この場合、他方の推進機構のピストンを推進させる電動モータを駆動させ、一方の推進機構のピストンを推進させる電動モータを停止させる。これにより、電動モータの駆動に伴う電圧降下のタイミングや、必要な押付力を得るために必要な電動モータの電流の増加のタイミングを、一方の推進機構の電動モータと他方の推進機構の電動モータとでずらすことができる。この結果、低い電源電圧でも、車両の左右の両ピストンで必要押付力を得ることができる。
実施の形態によれば、制御手段は、ピストン保持指令を受けてから所定位置までは左右の各ピストン推進機構でそれぞれのピストンを同時に推進する構成としている。これにより、左右のピストンでその保持する位置に達するタイミングを異ならせつつ、両方のピストンが保持位置に達するまでの時間が過度に長くなることを抑えることができる。
実施の形態によれば、ピストンを同時に推進する位置に対応する所定位置を、制御手段に入力される電圧が所定の閾値に達する位置として設定する構成としている。これにより、一方の推進機構の電動モータの駆動を、制御手段に入力される電圧に応じて停止することができる。
実施の形態によれば、ピストンを同時に推進する位置に対応する所定位置を、左右の電動モータの電流値が所定の閾値に達する位置として設定する構成としている。これにより、一方の推進機構の電動モータの駆動を、左右の電動モータの電流値に応じて停止することができる。
実施の形態によれば、ピストンを同時に推進する位置に対応する所定位置を、ピストン保持指令を受けてからの経過時間が所定の閾値に達する位置として設定する構成としている。これにより、一方の推進機構の電動モータの駆動を、経過時間に応じて停止することができる。
実施の形態によれば、制御手段は、ピストン保持指令を受けると、車両の左右の各ピストン推進機構のうちの一方のピストンを推進させ、該一方のピストンがピストンを保持する位置に達する前に、車両の左右の各ピストン推進機構のうちの他方のピストンを推進させる構成としている。これにより、左右のピストンでその保持する位置に達するタイミングを異ならせつつ、両方のピストンが保持位置に達するまでの時間が過度に長くなることを抑えることができる。