JP2014042800A - 表面処理装置および表面処理方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】電解水を用いて、対象物の表面を効率よく殺菌することのできる装置および方法を提供する。
【解決手段】本発明の表面処理装置13は、対象物60の表面60Sをラジカルで処理するための装置であって、水を電解するための陽極33および陰極34と、陽極33が配置された陽極室31および陰極34が配置された陰極室35を含む二室式電解部30とを備え、陽極室33で発生する陽極側電解水55と陰極室32で発生する陰極側電解水56とを表面上60Sで混合することによりラジカルを発生させる。本発明の表面処理方法は、対象物60の表面60Sをラジカルで処理する方法であって、陽極側電解水55と陰極電解水56とを生成する工程と、陽極側電解水55を表面60Sに供給する第1供給工程と、陰極側電解水56を表面60Sに供給する第2供給工程とを含み、陽極側電解水55と陰極側電解水56とを表面60S上で混合して、ラジカルを発生させる。
【選択図】図1
【解決手段】本発明の表面処理装置13は、対象物60の表面60Sをラジカルで処理するための装置であって、水を電解するための陽極33および陰極34と、陽極33が配置された陽極室31および陰極34が配置された陰極室35を含む二室式電解部30とを備え、陽極室33で発生する陽極側電解水55と陰極室32で発生する陰極側電解水56とを表面上60Sで混合することによりラジカルを発生させる。本発明の表面処理方法は、対象物60の表面60Sをラジカルで処理する方法であって、陽極側電解水55と陰極電解水56とを生成する工程と、陽極側電解水55を表面60Sに供給する第1供給工程と、陰極側電解水56を表面60Sに供給する第2供給工程とを含み、陽極側電解水55と陰極側電解水56とを表面60S上で混合して、ラジカルを発生させる。
【選択図】図1
Description
本発明は、表面処理を行う装置および方法に関し、特に、ラジカルによる表面処理を行う装置および方法に関する。
原料水を電解して高濃度のオゾンを含む電解水(オゾン水)を生成し、その電解水を用いて対象物の表面を殺菌することが知られている(例えば特許文献1)。オゾンだけでは酸化還元電位(ORP)が低く、抵抗力の高い菌等に対しては殺菌効果が十分でない。そこで、殺菌力の高いOHラジカルが有効である。電解水は自然分解によってOHラジカルを生じるが、自然発生するOHラジカルの量が少ないため、やはり殺菌効果は十分でない。
このような中、電解水に過酸化水素を添加することにより、OHラジカルの生成量を増加できることが確認されている(例えば非特許文献1)。非特許文献1の方法は水処理に利用されている。例えば、有機物等を含む汚水にオゾンと過酸化水素とを含有させることにより、汚水に含まれる有機物等を分解殺菌することができる。
このような中、電解水に過酸化水素を添加することにより、OHラジカルの生成量を増加できることが確認されている(例えば非特許文献1)。非特許文献1の方法は水処理に利用されている。例えば、有機物等を含む汚水にオゾンと過酸化水素とを含有させることにより、汚水に含まれる有機物等を分解殺菌することができる。
「OHラジカル類の生成と応用技術」、株式会社エヌ・ティー・エス、2008年9月、P79、P217〜227
電解水から発生したOHラジカルは、近接するOHラジカルと結合することにより消滅する。発生から消滅までの時間(OHラジカルの寿命)は数ミリ秒(ms)以下と非常に短い。そのため、非特許文献1に記載の方法を用いて電解水中にOHラジカルを発生させても、対象物の表面に到達する前にOHラジカルが消滅してしまう。OHラジカルは対象物の表面に殆ど到達せず、OHラジカルによる対象物の殺菌効果は十分に得られない。また、単に消滅するだけのOHラジカルの発生により、オゾンが無駄に消費される問題があった。
このため、電解水を用いた殺菌では、対象物表面に対する殺菌効果が十分得られないことがあった。
このため、電解水を用いた殺菌では、対象物表面に対する殺菌効果が十分得られないことがあった。
そこで、本発明では、電解水を用いて、対象物の表面を効率よく殺菌することのできる装置および方法を提供することを目的とする。
本発明の表面処理装置は、対象物の表面をラジカルで処理するための装置であって、水を電解するための陽極および陰極と、前記陽極が配置された陽極室および前記陰極が配置された陰極室を含む二室式電解部と、を備え、前記陽極室で発生する陽極側電解水と前記陰極室で発生する陰極側電解水とを前記表面上で混合することによりラジカルを発生させることを特徴とする。
前記対象物の前記表面は傾斜しており、前記表面処理装置は、前記表面上に前記陽極側電解水を供給する第1供給部と、前記表面上における前記陽極側電解水の供給位置より上側又は下側に前記陰極側電解水を供給する第2供給部と、を備えてもよい。
本発明の表面処理装置では、前記陽極側電解水が供給される第1供給部と、前記陰極側電解水が供給される第2供給部とが離間して配置されて、前記表面より上流側で前記陽極側電解水と前記陰極側電解水とが混合されないようにしてもよい。
本発明の表面処理装置は、前記陽極側電解水が供給される第1供給期間と、前記陰極側電解水が供給される第2供給期間とが交互になるように制御する制御手段をさらに備えてもよい。
前記制御手段は、前記第1供給期間と前記第2供給期間とが重複しないように制御してもよい。
前記陽極および前記陰極はBDD電極から構成されていてもよい。
また、本発明の表面処理方法は、対象物の表面をラジカルで処理する方法であって、陽極側電解水と陰極電解水とを生成する工程と、前記陽極側電解水を前記対象物の前記表面に供給する第1供給工程と、前記陰極側電解水を前記対象物の前記表面に供給する第2供給工程と、を含み、前記陽極側電解水と前記陰極側電解水とを前記表面上で混合して、ラジカルを発生させることを特徴とする。
本発明の表面処理方法において、前記第1供給工程と前記第2供給工程とが同時に行われてもよい。
本発明の表面処理方法において、前記第1供給工程と前記第2供給工程とが交互に行われてもよい。
本発明の表面処理方法において、前記第1供給工程を行う第1供給期間と前記第2供給工程を行う第2供給期間とが重複しないようにしてもよい。
さらに、本発明の機器は、上述の表面処理装置を用いた機器であって、前記機器が、キッチン用機器、洗面用機器、浴室用機器、トイレ用機器、医療用機器、食品加工用機器および排水用処理機器から成る群から選択されることを特徴とする。
本発明で利用される陽極側電解水はオゾンを含み、陰極電解水は過酸化水素を含んでいる。よって、本発明の装置および方法によれば、対象物の表面上で陽極側電解水と陰極電解水とを混合することにより、当該表面上でラジカルを発生させている。したがって、ラジカルが消滅する前に、対象物の表面を殺菌することができる。
<実施の形態1>
図5および6に示す本実施の形態の表面処理装置13は、対象物60の表面60S上において2種類の電解水(陽極側電解水55と陰極側電解水56)を混合するための装置であり、陽極側電解水55と陰極側電解水56を発生させるための二室式電解部30を備えている。
二室式電解部30は、一対の電極(陽極33および陰極34)と電源39とを備えている。二室式電解部30の内部では、陽極33が配置された陽極室31と、陰極34が配置された陰極室32とが、隔壁38によって分離されている。隔壁38は、陽極室31から陰極室32への電流の流れを許容し、且つオゾンおよび過酸化水素を通過させない特性を有する材料(例えばイオン交換膜)から形成されている。これにより、原料水80の電解を可能にしつつ、陽極側電解水55と陰極側電解水56とを分離することができる。
図5および6に示す本実施の形態の表面処理装置13は、対象物60の表面60S上において2種類の電解水(陽極側電解水55と陰極側電解水56)を混合するための装置であり、陽極側電解水55と陰極側電解水56を発生させるための二室式電解部30を備えている。
二室式電解部30は、一対の電極(陽極33および陰極34)と電源39とを備えている。二室式電解部30の内部では、陽極33が配置された陽極室31と、陰極34が配置された陰極室32とが、隔壁38によって分離されている。隔壁38は、陽極室31から陰極室32への電流の流れを許容し、且つオゾンおよび過酸化水素を通過させない特性を有する材料(例えばイオン交換膜)から形成されている。これにより、原料水80の電解を可能にしつつ、陽極側電解水55と陰極側電解水56とを分離することができる。
二室式電解部30の内部で、原料水80に浸漬した陽極33と陰極34との間に通電することによって、原料水80が電解される。陽極33側ではオゾンが発生し、陰極34側では過酸化水素が発生する。よって、陽極室31からはオゾンを含有する水(陽極側電解水55)を供給することができ、陰極室32からは過酸化水素を含有する水(陰極側電解水56)を供給することができる。
陽極側電解水55と陰極側電解水56とは、別々の供給部(第1供給部35、第2供給部36)を通って、対象物60の表面60Sに供給される。
陽極側電解水55と陰極側電解水56とは、別々の供給部(第1供給部35、第2供給部36)を通って、対象物60の表面60Sに供給される。
オゾンを含む液体と過酸化水素を含む液体とを混合すると、オゾンと過酸化水素との反応によりOHラジカルが発生する(非特許文献1)。この反応を利用して、陽極側電解水55と陰極側電解水56とを混合して、発生したOHラジカルにより対象物60の表面60Sを殺菌することができる。
このOHラジカルは殺菌性が高いため、対象物60の表面60SにOHラジカルを接触させることにより表面60Sを殺菌することができる。しかしながら、生成したOHラジカルは、近接するOHラジカルと直ちに結合して消滅するため、OHラジカルが消滅する前に、表面60Sに接触させる必要がある。通常は、OHラジカルの寿命(発生から消滅までの時間)は、数ミリ秒(ms)である。OHラジカルは、陽極側電解水55と陰極側電解水56との混合直後から発生する。そのため、陽極側電解水55および陰極側電解水56が、対象物60の表面60Sに到達する前に混合されてしまうと、表面60Sに達する時には、発生したOHラジカルは殆ど消滅している。また、陽極側電解水55に含まれるオゾンの一部および陰極側電解水56に含まれる過酸化水素の一部が、表面60Sに到達する前に消費されてしまう。よって、電解水50による表面60Sの殺菌効果が低下する。
このOHラジカルは殺菌性が高いため、対象物60の表面60SにOHラジカルを接触させることにより表面60Sを殺菌することができる。しかしながら、生成したOHラジカルは、近接するOHラジカルと直ちに結合して消滅するため、OHラジカルが消滅する前に、表面60Sに接触させる必要がある。通常は、OHラジカルの寿命(発生から消滅までの時間)は、数ミリ秒(ms)である。OHラジカルは、陽極側電解水55と陰極側電解水56との混合直後から発生する。そのため、陽極側電解水55および陰極側電解水56が、対象物60の表面60Sに到達する前に混合されてしまうと、表面60Sに達する時には、発生したOHラジカルは殆ど消滅している。また、陽極側電解水55に含まれるオゾンの一部および陰極側電解水56に含まれる過酸化水素の一部が、表面60Sに到達する前に消費されてしまう。よって、電解水50による表面60Sの殺菌効果が低下する。
そこで、本発明では、対象物60の表面60S上で、陽極側電解水55と陰極側電解水56とを混合することにより、表面60S上でOHラジカルを発生させる。具体的には、ホン実施の形態の表面処理装置13は、第1供給部35と第2供給部36とを離間して配置している。陽極側電解水55と陰極側電解水56は、表面60Sより上流では混合されず、表面60Sに供給されて表面60S上に広がることにより、互いに混ざり合う。これにより、OHラジカルの多くは消滅する前に表面60Sに接触することができるので、表面60Sの殺菌効果を向上させることができる。
本明細書において「第1供給部35と第2供給部36とが離間している」とは、対象物60の表面60Sと平行な面内(例えばx方向)において、第1供給部35の中心線35Cと第2供給部36の中心線36Cとが離間距離D2をおいて互いに離れていることである(図1)。離間距離D2は、第1供給部35から供給される陽極側電解水55と第2供給部36から供給されている陰極側電解水56とが、表面60Sより上流で陽極側電解水55と陰極側電解水56が混合されるのを抑制可能な距離に設定しうる。最適な離間距離D2は、第1供給部35の下端部35Lおよび第2供給部36の下端部36Lの向き、下端部35L、36Lと表面60Sとの距離等によって異なる。
第1供給部35と第2供給部36とが離間していることにより、陽極側電解水55と陰極側電解水56との混合により発生したOHラジカルは、消滅する前に表面60Sに接触することができるので、表面60Sの殺菌効果を向上させることができる。
第1供給部35と第2供給部36とが離間していることにより、陽極側電解水55と陰極側電解水56との混合により発生したOHラジカルは、消滅する前に表面60Sに接触することができるので、表面60Sの殺菌効果を向上させることができる。
陽極側電解水55と陰極側電解水56は、それぞれが表面60Sに広がることにより混合されて、OHラジカルが発生する。よって、陽極側電解水55と陰極側電解水56が効率よく表面60Sに広がるようにするのが好ましい。
表面60Sが傾斜している場合には、表面60Sのうち、相対的に高い位置に陽極側電解水55および陰極側電解水56を供給すれば、陽極側電解水55および陰極側電解水56は重力によって表面60Sに自然に広がるだろう。傾斜した表面60Sの処理に適した装置については、後述の「実施の形態4」で詳述する。
一方、表面60Sがほぼ水平な場合には、陽極側電解水55および陰極側電解水56が自然に広がるのを待つこともできるが、対象物60に振動を与える、対象物60を傾ける等により、陽極側電解水55および陰極側電解水56が広がるのを助けてもよい。
表面60Sが傾斜している場合には、表面60Sのうち、相対的に高い位置に陽極側電解水55および陰極側電解水56を供給すれば、陽極側電解水55および陰極側電解水56は重力によって表面60Sに自然に広がるだろう。傾斜した表面60Sの処理に適した装置については、後述の「実施の形態4」で詳述する。
一方、表面60Sがほぼ水平な場合には、陽極側電解水55および陰極側電解水56が自然に広がるのを待つこともできるが、対象物60に振動を与える、対象物60を傾ける等により、陽極側電解水55および陰極側電解水56が広がるのを助けてもよい。
表面処理装置13を用いて対象物60の表面60Sを処理する方法は、
(1-1)陽極側電解水55と陰極側電解水56とを生成する工程
(1-2)陽極側電解水55を対象物60の表面60Sに供給する第1供給工程
(1-3)陰極側電解水56を対象物60の表面60Sに供給する第2供給工程
を含んでいる。以下に各工程について説明する。
(1-1)陽極側電解水55と陰極側電解水56とを生成する工程
(1-2)陽極側電解水55を対象物60の表面60Sに供給する第1供給工程
(1-3)陰極側電解水56を対象物60の表面60Sに供給する第2供給工程
を含んでいる。以下に各工程について説明する。
工程(1-1):陽極側電解水55と陰極側電解水56とを発生させる工程
表面処理装置13の二室式電解部30に原料水80を供給する。原料水80に浸漬した陽極33および陰極34に電源39からの電力を供給することにより、原料水80を電解する。陽極33側では主にオゾンが発生し、陰極34側では主に過酸化水素が発生する。よって、陽極室31にはオゾンを含有する陽極側電解水55が発生し、陰極室32には過酸化水素を含有する陰極側電解水56が発生する。
表面処理装置13の二室式電解部30に原料水80を供給する。原料水80に浸漬した陽極33および陰極34に電源39からの電力を供給することにより、原料水80を電解する。陽極33側では主にオゾンが発生し、陰極34側では主に過酸化水素が発生する。よって、陽極室31にはオゾンを含有する陽極側電解水55が発生し、陰極室32には過酸化水素を含有する陰極側電解水56が発生する。
工程(1-2):陽極側電解水55を対象物60の表面60Sに供給する第1供給工程
陽極室31で生成した陽極側電解水55を、第1供給部35を通して対象物60の表面60Sに供給する。図5および図6の第1供給部35は、陽極室31に接続されたパイプ状の部材として図示されているが、これに限定されず、陽極室31に設けられた開口であってもよい。パイプ状の部材を用いた第1供給部35の場合には、下端部35Lと表面60Sとの距離を短くすることにより、陽極側電解水55の供給状態(陽極側電解水55の流れる方向等)を制御しやすい。一方、表面60Sが汚染されやすい環境にある場合には、第1供給部35の下端部35Lの汚染を回避するために、下端部35Lと表面60Sとの距離を長くすることもできる。
陽極室31で生成した陽極側電解水55を、第1供給部35を通して対象物60の表面60Sに供給する。図5および図6の第1供給部35は、陽極室31に接続されたパイプ状の部材として図示されているが、これに限定されず、陽極室31に設けられた開口であってもよい。パイプ状の部材を用いた第1供給部35の場合には、下端部35Lと表面60Sとの距離を短くすることにより、陽極側電解水55の供給状態(陽極側電解水55の流れる方向等)を制御しやすい。一方、表面60Sが汚染されやすい環境にある場合には、第1供給部35の下端部35Lの汚染を回避するために、下端部35Lと表面60Sとの距離を長くすることもできる。
工程(1-3):陰極側電解水56を対象物60の表面60Sに供給する第2供給工程
陰極室32で生成した陰極側電解水56を、第2供給部36を通して対象物60の表面60Sに供給する。図5および図6の第2供給部36は、陰極室32に接続されたパイプ状の部材として図示されているが、これに限定されず、陽極室31に設けられた開口であってもよい。パイプ状の部材を用いた第2供給部36の場合には、下端部36Lと表面60Sとの距離を短くすることにより、陰極側電解水56の供給状態(陰極側電解水56の流れる方向等)を制御しやすい。一方、表面60Sが汚染されやすい環境にある場合には、第2供給部36の下端部36Lの汚染を回避するために、下端部36Lと表面60Sとの距離を長くすることもできる。
陰極室32で生成した陰極側電解水56を、第2供給部36を通して対象物60の表面60Sに供給する。図5および図6の第2供給部36は、陰極室32に接続されたパイプ状の部材として図示されているが、これに限定されず、陽極室31に設けられた開口であってもよい。パイプ状の部材を用いた第2供給部36の場合には、下端部36Lと表面60Sとの距離を短くすることにより、陰極側電解水56の供給状態(陰極側電解水56の流れる方向等)を制御しやすい。一方、表面60Sが汚染されやすい環境にある場合には、第2供給部36の下端部36Lの汚染を回避するために、下端部36Lと表面60Sとの距離を長くすることもできる。
工程(1-2)(第1供給工程)と工程(1-3)(第2供給工程)とにより、陽極側電解水55と陰極側電解水56とは表面60S上で混合されて、OHラジカルを発生させることができる。なお、オゾンおよび過酸化水素の反応速度は温度にも依存する。そこで、対象物60に、表面60Sの温度を上昇させる機能(例えばヒータ)を付加して、OHラジカルの発生をさらに促進してもよい。
本実施の形態では、第1供給部35と第2供給部36と離間して配置しているので、表面60Sより上流で陽極側電解水55と陰極側電解水56とが混合されることがない。したがって、工程(1-2)(第1供給工程)と工程(1-3)(第2供給工程)とを同時に行うことができる。
本実施の形態の表面処理装置13は、第1供給部35と第2供給部36とを離間して配置しているので、表面60Sより上流で陽極側電解水55と陰極側電解水56とが混合されることがない。したがって、陽極側電解水55と陰極側電解水56とを同時に供給することができる。よって、表面処理装置13を用いると、連続的なOHラジカル発生が可能となり、比較的効率よく対象物60の表面60Sを殺菌することができる。
(変形例)
陽極側電解水55と陰極側電解水56との反応は比較的穏やかであるので、それらが混合した状態の混合電解液57(未反応のラジカルと過酸化水素が存在する電解液)として存在させることができる。混合電解液57に紫外線70を照射すると、混合電解液57中のオゾンと過酸化水素とが分解されて、大量のOHラジカルを瞬時に発生させることができる(非特許文献1)。そこで、本実施の形態の変形例では、混合電解液57に紫外線70を照射することのできる表面処理装置について説明する。
陽極側電解水55と陰極側電解水56との反応は比較的穏やかであるので、それらが混合した状態の混合電解液57(未反応のラジカルと過酸化水素が存在する電解液)として存在させることができる。混合電解液57に紫外線70を照射すると、混合電解液57中のオゾンと過酸化水素とが分解されて、大量のOHラジカルを瞬時に発生させることができる(非特許文献1)。そこで、本実施の形態の変形例では、混合電解液57に紫外線70を照射することのできる表面処理装置について説明する。
図2に示す変形例の表面処理装置17は、紫外線発生部40をさらに備えている。
紫外線発生部40は、対象物60の表面60Sに照射するための紫外線70を発生させるものであり、紫外線70(波長λ=380nm〜200nm)を発生可能な光源(図示せず)を備えている。紫外線発生部40で発生した紫外線70は、紫外線70を出射するための紫外線出射部41を通って、対象物60の表面60Sに照射される。
紫外線発生部40は、対象物60の表面60Sに照射するための紫外線70を発生させるものであり、紫外線70(波長λ=380nm〜200nm)を発生可能な光源(図示せず)を備えている。紫外線発生部40で発生した紫外線70は、紫外線70を出射するための紫外線出射部41を通って、対象物60の表面60Sに照射される。
対象物60の表面60S上に広がった混合電解液57に紫外線70を照射することにより、表面60S上でOHラジカルを発生させることができる。これにより、OHラジカルの多くは消滅する前に表面60Sに接触することができるので、表面60Sの殺菌効果を向上させることができる。
本変形例では、第1供給部35および第2供給部36と、紫外線出射部41とを離間して配置している。「第1供給部35および第2供給部36と紫外線出射部41とが離間している」とは、例えばx方向において、第1および第2供給部35、36の中心線35C、36Cと紫外線出射部41の中心線41Cとが、離間距離D1以上の距離をおいて互いに離れていることである。例えば図2では、第2供給部36の中心線36Cと紫外線出射部41の中心線41Cとは離間距離D1だけ離間しており、第1供給部35の中心線35と紫外線出射部41の中心線41Cとは離間距離D1以上の距離で離間している。
離間距離D1は、第1供給部35を通る陽極側電解水55と、第2供給部36を通る陰極側電解水56が、常に、紫外線70の照射されうる範囲の外側に位置するように設定しうる。
離間距離D1は、第1供給部35を通る陽極側電解水55と、第2供給部36を通る陰極側電解水56が、常に、紫外線70の照射されうる範囲の外側に位置するように設定しうる。
中心線35および中心線36Cを中心線41Cから適切な離間距離D1以上の距離で離すことにより、陽極側電解水55および陰極側電解水56に紫外線が照射されるのを抑制することができる。これにより、陽極側電解水55と陰極側電解水56とが混合される前に、陽極側電解水55に含有されるオゾンと陰極側電解水56に含有される過酸化水素が、紫外線によって分解するのを抑制することができる。
表面処理装置17を用いて対象物60の表面60Sを処理する方法は、
(1-1)陽極側電解水55と陰極側電解水56とを生成する工程
(1-2)陽極側電解水55を対象物60の表面60Sに供給する第1供給工程
(1-3)陰極側電解水56を対象物60の表面60Sに供給する第2供給工程
(1-4)表面60S上で混合電解液57に紫外線70を照射する工程
を含んでいる。以下に各工程について説明する。
なお、工程(1-1)〜(1-3)は、表面処理装置13を用いた処理方法の工程(1-1)〜(1-3)と同様であるので説明を省略する。
(1-1)陽極側電解水55と陰極側電解水56とを生成する工程
(1-2)陽極側電解水55を対象物60の表面60Sに供給する第1供給工程
(1-3)陰極側電解水56を対象物60の表面60Sに供給する第2供給工程
(1-4)表面60S上で混合電解液57に紫外線70を照射する工程
を含んでいる。以下に各工程について説明する。
なお、工程(1-1)〜(1-3)は、表面処理装置13を用いた処理方法の工程(1-1)〜(1-3)と同様であるので説明を省略する。
工程(1-4):表面60S上で混合電解液57に紫外線70を照射する工程
対象物60の表面60S上において、混合電解液57に紫外線70を照射する。紫外線70は紫外線発生部40の光源(例えば、紫外線ランプや紫外線LED等)から発生して、紫外線出射部41を通って紫外線照射領域Rに照射される。
混合電解液57に紫外線70を照射することにより、混合電解液57に残っている未反応のオゾンおよび過酸化水素が効率よく分解されて、OHラジカルが大量に発生する。表面60S上で発生したOHラジカルは、寿命により消滅する前に表面60Sに到達するので、表面60Sを処理(殺菌)することができる。
対象物60の表面60S上において、混合電解液57に紫外線70を照射する。紫外線70は紫外線発生部40の光源(例えば、紫外線ランプや紫外線LED等)から発生して、紫外線出射部41を通って紫外線照射領域Rに照射される。
混合電解液57に紫外線70を照射することにより、混合電解液57に残っている未反応のオゾンおよび過酸化水素が効率よく分解されて、OHラジカルが大量に発生する。表面60S上で発生したOHラジカルは、寿命により消滅する前に表面60Sに到達するので、表面60Sを処理(殺菌)することができる。
本変形例の表面処理装置17は、第1供給部35および第2供給部36と紫外線出射部41とを離間して配置しているので、供給経路を通過する陽極側電解水55および陰極側電解水56に紫外線70が照射されることはない。ここで、陽極側電解水55の「供給経路」とは、陽極室31から対象物60の表面60Sまでの間の経路のことである。同様に、陰極側電解水56の「供給経路」とは、陰極室32から対象物60の表面60Sまでの間の経路のことである。したがって、紫外線70を照射しながら陽極側電解水55および陰極側電解水56を供給することができる。よって、表面処理装置17を用いると、連続的で高効率なOHラジカル発生が可能となり、短時間で効率よく対象物60の表面60Sを殺菌することができる。
<実施の形態2>
図3に示す本実施の形態の表面処理装置14は、第1供給部35と第2供給部36とが離間していない点で実施の形態1と異なる。
また、本実施の形態では、陽極側電解水55および陰極側電解水56の供給期間を制御するための制御手段45を備えている点で、実施の形態1と異なる。
それ以外の点では、実施の形態1の表面処理装置13と同様である。
図3に示す本実施の形態の表面処理装置14は、第1供給部35と第2供給部36とが離間していない点で実施の形態1と異なる。
また、本実施の形態では、陽極側電解水55および陰極側電解水56の供給期間を制御するための制御手段45を備えている点で、実施の形態1と異なる。
それ以外の点では、実施の形態1の表面処理装置13と同様である。
本実施の形態の表面処理装置14では、二室式電解部30の第1供給部35と第2供給部36とが隣接配置されている。よって、本実施の形態では、第1供給部35からの陽極側電解水55と第2供給部36からの陰極側電解水56とを同時に供給すれば、表面60Sより上流で混合されるおそれがある。
そこで、本実施の形態の表面処理装置14では、陽極側電解水55の供給期間(第1供給期間)と、陰極側電解水56の供給期間(第2供給期間)とが交互になるように制御するための制御手段45を備えている。これにより、陽極側電解水55と陰極側電解水56が表面60Sより上流で混合されるのを抑制することができる。具体的な制御方法を、図4および図5を参照しながら説明する。
図4のタイムチャートは、開始時間T0から終了時間T3までを1サイクルとして、複数回のサイクルを繰り返すことを示している。終了時間T3は、次のサイクルの開始時間T0'に相当する。
陽極側電解水55は、開始時間T0〜T2の期間(第1供給期間)は供給され、T2〜T3の期間は停止される。陰極側電解水56は、開始時間T0〜T1の期間は停止され、T1〜T3の期間(第2供給期間)は供給される。つまり、T0〜T1の間は陽極側電解水55の供給のみが行われ、T1〜T2の間は陽極側電解水55の供給と陰極側電解水56の供給とが行われ、T2〜T3の間は陰極側電解水56の供給のみが行われる。
陽極側電解水55は、開始時間T0〜T2の期間(第1供給期間)は供給され、T2〜T3の期間は停止される。陰極側電解水56は、開始時間T0〜T1の期間は停止され、T1〜T3の期間(第2供給期間)は供給される。つまり、T0〜T1の間は陽極側電解水55の供給のみが行われ、T1〜T2の間は陽極側電解水55の供給と陰極側電解水56の供給とが行われ、T2〜T3の間は陰極側電解水56の供給のみが行われる。
T0〜T2の期間に供給された陽極側電解水55は、対象物60の表面60Sに広がる。T1〜T3の期間に供給された陰極側電解水56は、表面60S上で陽極側電解水55に混合されて混合電解液57が生成する。混合電解液57では、オゾンと過酸化水素とが反応してOHラジカルが発生する。表面60Sで発生したOHラジカルが表面60Sに接触することにより、表面60Sを殺菌することができる。
T1〜T2の間は陽極側電解水55の供給と陰極側電解水56の供給とが共に行われるため、表面60Sより上流で陽極側電解水55と陰極側電解水56とが混合される。その結果、殺菌に寄与しないOHラジカルが発生する。よって、T1〜T2の期間が短くなるように(つまり、第1供給期間と第2供給期間との重複時間が短くなるように)第1供給期間と第2供給期間を制御するのが好ましい。
なお、重複時間を決定する際には、OHラジカルの寿命と、陽極側電解水55および陰極側電解水56の供給経路の経路長が考慮される。陽極側電解水55の供給経路の経路長から、陽極側電解水55の供給を停止してから、全ての陽極側電解水55が表面60Sに到達するまでの時間を求めることができる。同様に、陰極側電解水56の供給経路の経路長から、陰極側電解水56の供給を停止してから、全ての陰極側電解水56が表面60Sに到達するまでの時間を求めることができる。
特に、図5のように、第1供給期間と第2供給期間とが重複しないように制御するのがより好ましい。図5のタイムチャートでは、開始時間T0から終了時間T5までを1サイクルとして、複数回のサイクルを繰り返している。終了時間T5は、次のサイクルの開始時間T0'に相当する。
陽極側電解水55は、開始時間T0〜T4の期間(第1供給期間)は供給され、T4〜T5の期間は停止される。陰極側電解水56は、開始時間T0〜T4の期間は停止され、T4〜T5の期間(第2供給期間)は供給される。つまり、T0〜T4の間は陽極側電解水55の供給のみが行われ、T4〜T5の間は陰極側電解水56の供給のみが行われる。
図5のタイムチャートでは、陽極側電解水55の供給と陰極側電解水56の供給とが共に行われる期間が存在しないため、表面60Sより上流で陽極側電解水55と陰極側電解水56とが混合されるのを抑制することができる。その結果、殺菌に寄与しないOHラジカルの発生を抑制することができる。
なお、第1供給期間、第2供給時間および照射期間の重複を確実に回避するために、各期間の間に、陽極側電解水55および陰極側電解水56が停止する時間(タイムラグ)が生じるように制御してもよい。
陽極側電解水55は、開始時間T0〜T4の期間(第1供給期間)は供給され、T4〜T5の期間は停止される。陰極側電解水56は、開始時間T0〜T4の期間は停止され、T4〜T5の期間(第2供給期間)は供給される。つまり、T0〜T4の間は陽極側電解水55の供給のみが行われ、T4〜T5の間は陰極側電解水56の供給のみが行われる。
図5のタイムチャートでは、陽極側電解水55の供給と陰極側電解水56の供給とが共に行われる期間が存在しないため、表面60Sより上流で陽極側電解水55と陰極側電解水56とが混合されるのを抑制することができる。その結果、殺菌に寄与しないOHラジカルの発生を抑制することができる。
なお、第1供給期間、第2供給時間および照射期間の重複を確実に回避するために、各期間の間に、陽極側電解水55および陰極側電解水56が停止する時間(タイムラグ)が生じるように制御してもよい。
本実施の形態の表面処理装置14は、小型化できる利点がある。
例えば、図1に示す実施の形態1の表面処理装置13では、(例えばx方向において)第1供給部35と第2供給部36とを離間距離D2だけ離間させる必要がある。よって、x方向における表面処理装置10の寸法は、離間距離D2に依存して大きくなる。
一方、図3に示す本実施の形態の表面処理装置14では、第1供給部35と第2供給部36とが近接しているので、x方向における表面処理装置14の寸法を小さくできる。
例えば、図1に示す実施の形態1の表面処理装置13では、(例えばx方向において)第1供給部35と第2供給部36とを離間距離D2だけ離間させる必要がある。よって、x方向における表面処理装置10の寸法は、離間距離D2に依存して大きくなる。
一方、図3に示す本実施の形態の表面処理装置14では、第1供給部35と第2供給部36とが近接しているので、x方向における表面処理装置14の寸法を小さくできる。
表面処理装置14を用いて対象物60の表面60Sを処理する方法は、
(2-1)陽極側電解水55と陰極側電解水56とを生成する工程
(2-2)陽極側電解水55を対象物60の表面60Sに供給する第1供給工程
(2-3)陰極側電解水56を対象物60の表面60Sに供給する第2供給工程
を含んでいる。
工程(2-1)は実施の形態1の工程(1-1)と同様であるので説明を省略する。
工程(2-2)(第1供給工程)、工程(2-3)(第2供給工程)については、実施の形態1では工程(1-2)〜工程(1-3)を同時に行うことができるのに対して、本実施の形態では、工程(2-2)〜工程(2-3)を交互に行う点(図4、図5)で相違する。
(2-1)陽極側電解水55と陰極側電解水56とを生成する工程
(2-2)陽極側電解水55を対象物60の表面60Sに供給する第1供給工程
(2-3)陰極側電解水56を対象物60の表面60Sに供給する第2供給工程
を含んでいる。
工程(2-1)は実施の形態1の工程(1-1)と同様であるので説明を省略する。
工程(2-2)(第1供給工程)、工程(2-3)(第2供給工程)については、実施の形態1では工程(1-2)〜工程(1-3)を同時に行うことができるのに対して、本実施の形態では、工程(2-2)〜工程(2-3)を交互に行う点(図4、図5)で相違する。
本実施の形態の表面処理装置14は、陽極側電解水55と陰極側電解水56とを近接配置している。その代わりに陽極側電解水55および陰極側電解水56の供給期間を制御する制御手段45を備えている。これにより、第1供給部35および第2供給部36の配置の自由度が高まるので、表面処理装置14の小型化を図ることができる。
(変形例)
図6に示す変形例の表面処理装置18は、紫外線発生部40をさらに備えている。
また、二室式電解部30の直下に紫外線発生部40を配置しており、第1供給部35および第2供給部36が紫外線出射部41を通るように構成されている。つまり、本変形例では、第1供給部35から供給される陽極側電解水55および第2供給部36から供給される陰極側電解水56は、紫外線70が照射される範囲を通る。よって、紫外線70を照射しながら陽極側電解水55、陰極側電解水56を供給すると、陽極側電解水55と陰極側電解水56とを混合する前に、陽極側電解水55に含まれるオゾンおよび陰極側電解水56に含まれる過酸化水素は分解される。
図6に示す変形例の表面処理装置18は、紫外線発生部40をさらに備えている。
また、二室式電解部30の直下に紫外線発生部40を配置しており、第1供給部35および第2供給部36が紫外線出射部41を通るように構成されている。つまり、本変形例では、第1供給部35から供給される陽極側電解水55および第2供給部36から供給される陰極側電解水56は、紫外線70が照射される範囲を通る。よって、紫外線70を照射しながら陽極側電解水55、陰極側電解水56を供給すると、陽極側電解水55と陰極側電解水56とを混合する前に、陽極側電解水55に含まれるオゾンおよび陰極側電解水56に含まれる過酸化水素は分解される。
そこで、本変形例の表面処理装置18では、制御手段45により、陽極側電解水55の供給期間(第1供給期間)と、陰極側電解水56の供給期間(第2供給期間)と、紫外線70の照射期間とが交互になるように制御される。これにより、陽極側電解水55と陰極側電解水56が表面60Sより上流で混合されるのを抑制し、且つ陽極側電解水55および陰極側電解水56に紫外線70が照射されるのを抑制または排除することができる。具体的な制御方法を、図7および図8を参照しながら説明する。
図7のタイムチャートは、開始時間t0から終了時間t9までを1サイクルとして、複数回のサイクルを繰り返すことを示している。終了時間t9は、次のサイクルの開始時間t0'に相当する。
陽極側電解水55は、開始時間t0〜t7の期間(第1供給期間)は供給され、t7〜t9の期間は停止される。陰極側電解水56は、開始時間t0〜t6の期間は停止され、t6〜t8の期間(第2供給期間)は供給され、t8〜t9の期間は再び停止される。紫外線70は、開始時間t0〜t8の期間は停止され、t8〜t9の期間(照射期間)は照射される。つまり、t0〜t6の間は陽極側電解水55の供給のみが行われ、t6〜t7の間は陽極側電解水55の供給と陰極側電解水56の供給とが行われ、t7〜t8の間は陰極側電解水56の供給のみが行われ、そしてt8〜t9の間は紫外線70の照射のみが行われる。
陽極側電解水55は、開始時間t0〜t7の期間(第1供給期間)は供給され、t7〜t9の期間は停止される。陰極側電解水56は、開始時間t0〜t6の期間は停止され、t6〜t8の期間(第2供給期間)は供給され、t8〜t9の期間は再び停止される。紫外線70は、開始時間t0〜t8の期間は停止され、t8〜t9の期間(照射期間)は照射される。つまり、t0〜t6の間は陽極側電解水55の供給のみが行われ、t6〜t7の間は陽極側電解水55の供給と陰極側電解水56の供給とが行われ、t7〜t8の間は陰極側電解水56の供給のみが行われ、そしてt8〜t9の間は紫外線70の照射のみが行われる。
t0〜t7の期間に供給された陽極側電解水55は、対象物60の表面60Sに広がる。t6〜t8の期間に供給された陰極側電解水56は、表面60S上で陽極側電解水55に混合されて混合電解液57が生成する。混合電解液57では、オゾンと過酸化水素とが反応してOHラジカルが発生する。表面60Sに広がった混合電解液57に紫外線70をt8〜t9の期間だけ照射することにより、混合電解液57に残存する未反応のオゾンおよび過酸化水素が分解されてOHラジカルが発生する。表面60Sで発生したOHラジカルが表面60Sに接触することにより、表面60Sを殺菌することができる。
t6〜t7の間は陽極側電解水55の供給と陰極側電解水56の供給とが共に行われるため、表面60Sより上流で陽極側電解水55と陰極側電解水56とが混合される。その結果、殺菌に寄与しないOHラジカルが発生する。よって、表面処理装置14と同様に、t6〜t7の期間が短くなるように(つまり、第1供給期間と第2供給期間との重複時間が短くなるように)第1供給期間と第2供給期間を制御するのが好ましい。
特に、図8のように、第1供給期間と第2供給期間とが重複しないように制御するのがより好ましい。図8のタイムチャートでは、開始時間t0から終了時間t12までを1サイクルとして、複数回のサイクルを繰り返している。終了時間t12は、次のサイクルの開始時間t0'に相当する。
陽極側電解水55は、開始時間t0〜t10の期間(第1供給期間)は供給され、t10〜t12の期間は停止される。陰極側電解水56は、開始時間t0〜t10の期間は停止され、t10〜t11の期間(第2供給期間)は供給され、t11〜t12の期間は再び停止される。紫外線70は、開始時間t0〜t11の期間は停止され、t11〜t12の期間(照射期間)は照射される。つまり、t0〜t10の間は陽極側電解水55の供給のみが行われ、t10〜t11の間は陰極側電解水56の供給のみが行われ、そしてt11〜t12の間は紫外線70の照射のみが行われる。
図8のタイムチャートでは、陽極側電解水55の供給と陰極側電解水56の供給とが共に行われる期間が存在しないため、表面60Sより上流で陽極側電解水55と陰極側電解水56とが混合されるのを抑制することができる。その結果、殺菌に寄与しないOHラジカルの発生を抑制することができる。
なお、第1供給期間、第2供給時間および照射期間の重複を確実に回避するために、各期間の間に、陽極側電解水55、陰極側電解水56および紫外線70が全て停止する時間(タイムラグ)が生じるように制御してもよい。
陽極側電解水55は、開始時間t0〜t10の期間(第1供給期間)は供給され、t10〜t12の期間は停止される。陰極側電解水56は、開始時間t0〜t10の期間は停止され、t10〜t11の期間(第2供給期間)は供給され、t11〜t12の期間は再び停止される。紫外線70は、開始時間t0〜t11の期間は停止され、t11〜t12の期間(照射期間)は照射される。つまり、t0〜t10の間は陽極側電解水55の供給のみが行われ、t10〜t11の間は陰極側電解水56の供給のみが行われ、そしてt11〜t12の間は紫外線70の照射のみが行われる。
図8のタイムチャートでは、陽極側電解水55の供給と陰極側電解水56の供給とが共に行われる期間が存在しないため、表面60Sより上流で陽極側電解水55と陰極側電解水56とが混合されるのを抑制することができる。その結果、殺菌に寄与しないOHラジカルの発生を抑制することができる。
なお、第1供給期間、第2供給時間および照射期間の重複を確実に回避するために、各期間の間に、陽極側電解水55、陰極側電解水56および紫外線70が全て停止する時間(タイムラグ)が生じるように制御してもよい。
表面処理装置18を用いて対象物60の表面60Sを処理する方法は、
(2-1)陽極側電解水55と陰極側電解水56とを生成する工程
(2-2)陽極側電解水55を対象物60の表面60Sに供給する第1供給工程
(2-3)陰極側電解水56を対象物60の表面60Sに供給する第2供給工程
(2-4)表面60S上で混合電解液57に紫外線70を照射する工程
を含んでいる。
工程(2-1)〜(2-3)は、表面処理装置14を用いた処理方法の工程(2-1)〜(2-3)と同様である。また、工程(2-4)は、表面処理装置17(実施の形態1の変形例)を用いた処理方法の工程(1-4)と同様である。
ただし、本変形例の表面処理装置18では、工程(2-2)(第1供給工程)、工程(2-3)(第2供給工程)および工程(2-4)(照射する工程)の全てを交互に行う点(図7、図8)で、表面処理装置14、17と相違する。
(2-1)陽極側電解水55と陰極側電解水56とを生成する工程
(2-2)陽極側電解水55を対象物60の表面60Sに供給する第1供給工程
(2-3)陰極側電解水56を対象物60の表面60Sに供給する第2供給工程
(2-4)表面60S上で混合電解液57に紫外線70を照射する工程
を含んでいる。
工程(2-1)〜(2-3)は、表面処理装置14を用いた処理方法の工程(2-1)〜(2-3)と同様である。また、工程(2-4)は、表面処理装置17(実施の形態1の変形例)を用いた処理方法の工程(1-4)と同様である。
ただし、本変形例の表面処理装置18では、工程(2-2)(第1供給工程)、工程(2-3)(第2供給工程)および工程(2-4)(照射する工程)の全てを交互に行う点(図7、図8)で、表面処理装置14、17と相違する。
本変形例の表面処理装置18は、陽極側電解水55と陰極側電解水56とを近接配置し、且つ陽極側電解水55および陰極側電解水56が紫外線出射部41を通るように配置している。その代わりに陽極側電解水55および陰極側電解水56の供給期間と紫外線70の照射時間とを制御する制御手段45を備えている。これにより、第1供給部35、第2供給部36および紫外線出射部41の配置の自由度が高まるので、表面処理装置18の小型化を図ることができる。
なお、図6では、パイプ状の第1供給部35および第2供給部36が紫外線発生部40を通過するように配管されているが、これに限定されず、紫外線発生部40の外側を通過するように配管されてもよい。
なお、図6では、パイプ状の第1供給部35および第2供給部36が紫外線発生部40を通過するように配管されているが、これに限定されず、紫外線発生部40の外側を通過するように配管されてもよい。
<実施の形態3>
図9に示す本実施の形態の表面処理装置15は、第1供給部35と第2供給部36の代わりに、T字状の共通供給部37を備えている点で、実施の形態2と異なる。それ以外の点では、実施の形態2の表面処理装置14と同様である。
共通供給部37は、3つの端部を備えている。具体的にはT字の短辺の両端部(第1の端部371と第2の端部372)と、短辺から直交方向に伸びる長辺の端部(第3の端部373)である。第1の端部371は陽極室31に接続され、第2の端部372は陰極室32に接続されている。第3の端部373は、対象物60の表面60Sに向けて開口している。
図9に示す本実施の形態の表面処理装置15は、第1供給部35と第2供給部36の代わりに、T字状の共通供給部37を備えている点で、実施の形態2と異なる。それ以外の点では、実施の形態2の表面処理装置14と同様である。
共通供給部37は、3つの端部を備えている。具体的にはT字の短辺の両端部(第1の端部371と第2の端部372)と、短辺から直交方向に伸びる長辺の端部(第3の端部373)である。第1の端部371は陽極室31に接続され、第2の端部372は陰極室32に接続されている。第3の端部373は、対象物60の表面60Sに向けて開口している。
陽極側電解水55と陰極側電解水56とを同時に共通供給部37に供給すると、陽極側電解水55と陰極側電解水56とは共通供給部37の中で混合される。したがって、陽極側電解水55を共通供給部37に供給する第1供給期間は、陰極室32と共通供給部37との間を遮断して、陰極側電解水56を共通供給部37に入らないようにする(図9(a))。そして、陰極側電解水56を共通供給部37に供給する第2供給期間は、陽極室31と共通供給部37との間を遮断して、陽極側電解水55が共通供給部37に入らないようにする(図9(b))。
表面処理装置15を用いて対象物60の表面60Sを処理する方法は、
(3-1)陽極側電解水55と陰極側電解水56とを生成する工程
(3-2)陽極側電解水55を対象物60の表面60Sに供給する第1供給工程
(3-3)陰極側電解水56を対象物60の表面60Sに供給する第2供給工程
を含んでいる。
工程(3-1)〜(3-3)は実施の形態2の工程(2-1)〜(2-3)と同様であるので説明を省略する。ただし、本実施の形態では、工程(3-2)〜工程(3-3)は重複することができない。したがって、図4に示すタイムチャートで表面処理を行うことはできるが、図5に示すタイムチャートで表面処理を行うことはできない。
(3-1)陽極側電解水55と陰極側電解水56とを生成する工程
(3-2)陽極側電解水55を対象物60の表面60Sに供給する第1供給工程
(3-3)陰極側電解水56を対象物60の表面60Sに供給する第2供給工程
を含んでいる。
工程(3-1)〜(3-3)は実施の形態2の工程(2-1)〜(2-3)と同様であるので説明を省略する。ただし、本実施の形態では、工程(3-2)〜工程(3-3)は重複することができない。したがって、図4に示すタイムチャートで表面処理を行うことはできるが、図5に示すタイムチャートで表面処理を行うことはできない。
(変形例)
図10(a)、(b)に示す変形例の表面処理装置19は、紫外線発生部40をさらに備えている。よって、
表面処理装置19を用いて対象物60の表面60Sを処理する方法は、
(3-1)陽極側電解水55と陰極側電解水56とを生成する工程
(3-2)陽極側電解水55を対象物60の表面60Sに供給する第1供給工程
(3-3)陰極側電解水56を対象物60の表面60Sに供給する第2供給工程
(3-4)表面60S上で混合電解液57に紫外線70を照射する工程
を含んでいる。
工程(3-1)〜(3-4)は表面処理装置18(実施の形態2の変形例)を用いた処理方法の工程(2-1)〜(2-4)と同様である。ただし、本実施の形態では、工程(3-2)〜工程(3-3)は重複することができないので、図8に示すタイムチャートで表面処理を行うことはできるが、図7に示すタイムチャートで表面処理を行うことはできない。
図10(a)、(b)に示す変形例の表面処理装置19は、紫外線発生部40をさらに備えている。よって、
表面処理装置19を用いて対象物60の表面60Sを処理する方法は、
(3-1)陽極側電解水55と陰極側電解水56とを生成する工程
(3-2)陽極側電解水55を対象物60の表面60Sに供給する第1供給工程
(3-3)陰極側電解水56を対象物60の表面60Sに供給する第2供給工程
(3-4)表面60S上で混合電解液57に紫外線70を照射する工程
を含んでいる。
工程(3-1)〜(3-4)は表面処理装置18(実施の形態2の変形例)を用いた処理方法の工程(2-1)〜(2-4)と同様である。ただし、本実施の形態では、工程(3-2)〜工程(3-3)は重複することができないので、図8に示すタイムチャートで表面処理を行うことはできるが、図7に示すタイムチャートで表面処理を行うことはできない。
<実施の形態4>
図11に示す本実施の形態の表面処理装置13’は、対象物60’の表面60S’が傾斜している点、第1供給部35と第2供給部36とが上下に配置されている点、および陰極側電解水56が表面60S’と平行な面内で広がるように第2供給部36から供給されている点で、実施の形態1と異なる。
それ以外の点では、実施の形態1の表面処理装置10と同様である。
図11に示す本実施の形態の表面処理装置13’は、対象物60’の表面60S’が傾斜している点、第1供給部35と第2供給部36とが上下に配置されている点、および陰極側電解水56が表面60S’と平行な面内で広がるように第2供給部36から供給されている点で、実施の形態1と異なる。
それ以外の点では、実施の形態1の表面処理装置10と同様である。
本実施の形態の表面処理装置13’は、傾斜した表面60S’を処理するものである。二室式電解部30’の陽極室31で発生した陽極側電解水55を傾斜した表面60S’に供給すると、陽極側電解水55は、重力によって表面60S’を伝って下方向に流れる。このとき、陽極側電解水55は、供給位置よりも下側の表面60S’全体に効率よく広がる。表面60S’に広がった陽極側電解水55に、二室式電解部30’の陰極室32で発生した陰極側電解水56を供給することにより、表面60S’を殺菌処理することができる。すなわち、本実施の形態では、表面60S’上に陽極側電解水55を供給する第1供給部35と、表面60S’上における陽極側電解水55の供給位置より下側に陰極側電解水56を供給する第2供給部36と、を備えている。
具体的には、傾斜した表面60S’の処理すべき領域(処理領域PR)を規定し、二室式電解部30’の陽極室31で生成した陽極側電解水55が、処理領域PRより上側に供給されるように第1供給部35を配置する。また、二室式電解部30’の陰極室32で発生した陰極側電解水56が処理領域PR全体に供給できるような第2供給部36を設ける。陰極側電解水56を広範囲に供給する方法としては、第2供給部36の先端に拡散用部材36’ (複数の小孔が形成されたキャップ部材)を設置して、陰極側電解水56を広範囲に噴出させる方法や、第2供給部36の先端を狭くして陰極側電解水56を噴霧する方法など、従来公知の方法が利用できる。
表面処理装置13’で表面処理を行うと、第1供給部35から供給された陽極側電解水55は傾斜した表面60S’の下方向に流れて、処理領域PR全体に広がる。そして、処理領域PRに広がった陽極側電解水55の全体に陰極側電解水56を供給することにより、処理領域PR上でOHラジカルが発生する。このOHラジカルにより処理領域PRを殺菌することができる。
なお、処理領域PRの範囲は任意に設定することができる。例えば図11では、傾斜した表面60S’の一部を処理領域PRとしたが、表面60S’全体を処理領域PRとすることもできる。その場合には、表面60S’の上端部61に陽極側電解水55を供給することにより、表面60S’全体に陽極側電解水55を広げることができる。そして、陰極側電解水56を表面60S’全体に供給できるような第2供給部36(例えば、先端に拡散用部材36’を設置した第2供給部36)を設けることにより、表面60S’全体広がった陽極側電解水55に陰極側電解水56を供給できる。これにより、表面60S’全体を殺菌することができる。
なお、本明細書において「傾斜した表面60S’」とは、表面60S’が水平方向Hに対して角度θを成していることを意味している。本実施の形態の目的から明らかなように、「傾斜した表面60S’」は具体的には、上側に供給した陽極側電解水55が表面60S’を伝って下方向に流れ得るような傾斜角度θを有している表面のことを意味している。例えば、ごく僅かな傾斜(例えば角度θ=1°)の表面60S’も、図11に示すように角度θ=90°の表面60S’も、陽極側電解水55は表面60S’を伝って下方向に流れるので、「傾斜した表面60S’」に含まれる。また、θ>90°の場合(つまり、表面60S’が垂直を越えて下向きになる場合)でも、陽極側電解水55の表面張力によって、陽極側電解水55が表面60S’を伝って下方向に流れ得る場合には、「傾斜した表面60S’」に含まれる。
表面60S’は、図11のような平坦面のみならず、湾曲面であってもよい。湾曲面の場合、少なくとも一部が水平方向Hに対して角度を成しており、且つ処理領域PRより上側に供給した陽極側電解水55が処理領域PR全体に広がり得る場合には、「傾斜した表面60S’」に含まれるものとする。
例えば、便器のボウル部の内面(水洗便器において流水で洗浄される面)は湾曲面であり、その表面の角度θは、リム部では例えばθ≒90°で、下に向かって徐々に角度θが減少してゆき、貯水部では例えばθ≒30°となる。このようなボウル部内面において、リム部から貯水部までの範囲を処理領域PRとしたとき、リム部に電解水50を供給することにより、陽極側電解水55はボウル部内面を伝って貯水部まで達する。これにより電解水50は、処理領域PR(リム部〜貯水部)に広がる。よって、便器のボウル部内面のような湾曲面も、本明細書における「傾斜した表面60S’」に含まれる。
ところで、便器を上面から見ると、便器のボウル部内面のリム部はボウル部を取り囲むような環状になっている。よって、環状のリム部全体にわたって第1供給部35を設けると、ボウル部内面の円周方向のほぼ全体にわたって陽極側電解水55を供給できる。同様に、環状のリム部全体にわたって第2供給部36を設けることにより、ボウル部内面の全面に陰極側電解水56を供給することができる。これにより、ボウル部内面のほぼ全体を殺菌でき、便器のボウル部内面の全体を清浄に保つ効果がある。
その一方、ボウル部内面のうちで、特に汚れやすい部分(汚染領域)を集中して殺菌するために、例えば汚染領域の上側に位置するリム部に、第1供給部35および第2供給部36を設けてもよい。第1供給部35から供給された陽極側電解水55は、ボウル部内面を伝って汚染領域全体に広がる。そして、汚染領域全体に陰極側電解水56を供給することにより、汚染領域上でOHラジカルが発生して、汚染領域を集中的に殺菌できる。この形態では、少なくとも汚染領域だけに陽極側電解水55および陰極側電解水56を供給できればよいので、消費する陽極側電解水55および陰極側電解水56の量を減らすことができる。
さらに、汚染領域が、便器のボウル部内面の前面部分(着座時に前側に位置する内面部分)の場合には、第1供給部35および第2供給部36を温水洗浄便座の洗浄ノズル設置部分に配置することができる。洗浄ノズル設置部分から陽極側電解水55を放出して、汚染領域の上部に陽極側電解水55を供給することにより、陽極側電解水55を汚染領域に広げることができる。そして、洗浄ノズル設置部分から陰極側電解水56を放出して、汚染領域全体に陰極側電解水56を供給することにより、汚染領域全体を殺菌することができる。
この形態では、洗浄ノズルに給水するための給水管から、二室式電解部30’で使用する原料水80を得ることができる点で好ましい。また、既存の便器に、後から本実施の形態の表面処理装置13’を提供することができる点で有利である。
この形態では、洗浄ノズルに給水するための給水管から、二室式電解部30’で使用する原料水80を得ることができる点で好ましい。また、既存の便器に、後から本実施の形態の表面処理装置13’を提供することができる点で有利である。
図11では、陰極側電解水56を処理領域PR全体に供給できるように、陰極側電解水56を噴霧等によって拡散させてしている。しかしながら、陰極側電解水56を拡散させずに供給することもできる。例えば、陰極側電解水56を処理領域PRより上側(且つ陽極側電解水55の供給位置より下側)に供給すれば、陰極側電解水56は、重力によって表面60S’を伝って下方向に流れる。これにより、陽極側電解水55のみならず、陰極側電解水56も処理領域PR全体に広げることができる。
また、実施の形態1の変形例と同様に、紫外線を利用することもできる(図2)。例えば、陽極側電解水55と陰極側電解水56とが混合された混合電解液57が処理領域PRに存在する状態(図11)で、処理領域PRに紫外線を照射することができる。混合電解液57中のオゾンと過酸化水素とが分解されて、大量のOHラジカルを瞬時に発生させることができる。
本実施の形態では、傾斜した表面60S’上において、陽極側電解水55の供給位置より下側に陰極側電解水56を供給している(図11)。しかしながら、これに限定されず、陽極側電解水55と陰極側電解水56とを入れ替えてもよい(つまり、陰極側電解水56の供給位置より下側に陽極側電解水55を供給してもよい)。
以下に、実施の形態1〜4の表面処理装置の各構成部材について説明する。
(光源)
紫外線発生部40に設置される紫外線発生用の光源は、オゾンおよび過酸化水素からOHラジカルを発生させることのできる波長および強度を有する紫外線を発生可能な光源が利用できる。光源の例としては、紫外線ランプ、半導体発光素子(LED)等が挙げられる。特に、寿命が短く小型化が容易なLEDが好適である。
なお、光源は電解水等と共に使用されるので、防水性の高い光源、または防水容器等で保護しやすい光源が好ましい。
(光源)
紫外線発生部40に設置される紫外線発生用の光源は、オゾンおよび過酸化水素からOHラジカルを発生させることのできる波長および強度を有する紫外線を発生可能な光源が利用できる。光源の例としては、紫外線ランプ、半導体発光素子(LED)等が挙げられる。特に、寿命が短く小型化が容易なLEDが好適である。
なお、光源は電解水等と共に使用されるので、防水性の高い光源、または防水容器等で保護しやすい光源が好ましい。
(陽極33、陰極34)
二室式電解部30に設置される陽極33および陰極34は、例えばBDD電極、白金電極、炭素電極等の不活性電極が好ましい。BDD電極は、基材の表面にボロンドープドダイヤモンド(BBD)膜を形成した電極である。基材としては、例えば、チタン、カーボン等の導電性基板、イオン交換膜、およびそれらを組み合わせたものを用いることができる。
本発明では、BDD電極を用いると原料水80からのオゾンおよび過酸化水素の発生効率が高いので、特に好ましい。
二室式電解部30に設置される陽極33および陰極34は、例えばBDD電極、白金電極、炭素電極等の不活性電極が好ましい。BDD電極は、基材の表面にボロンドープドダイヤモンド(BBD)膜を形成した電極である。基材としては、例えば、チタン、カーボン等の導電性基板、イオン交換膜、およびそれらを組み合わせたものを用いることができる。
本発明では、BDD電極を用いると原料水80からのオゾンおよび過酸化水素の発生効率が高いので、特に好ましい。
(隔壁38)
二室式電解部30に用いられる隔壁38は、陽極室31から陰極室32への電流の流れが可能で、且つオゾンおよび過酸化水素を通さない材料が用いられる。具体的には、イオン交換膜から成る隔壁38を用いることができる。
二室式電解部30に用いられる隔壁38は、陽極室31から陰極室32への電流の流れが可能で、且つオゾンおよび過酸化水素を通さない材料が用いられる。具体的には、イオン交換膜から成る隔壁38を用いることができる。
(第1供給部35、第2供給部36、共通供給部37)
第1供給部35、第2供給部36および共通供給部37(以下、「供給部」と称する)には、パイプ状の部材を用いることができる。供給部はオゾンや過酸化水素を含む陽極側電解水55および陰極側電解水56(以下、「電解水等」と称する)が通過するので、耐腐食性材料を用いるのが好ましい。また、供給部を通る電解水等を紫外線から遮蔽するために、紫外線不透過性の材料を用いてもよい。
供給部に好ましい材料としては、例えば、ステンレス等などの金属材料、塩化ビニル等などの樹脂材料が挙げられる。
第1供給部35、第2供給部36および共通供給部37(以下、「供給部」と称する)には、パイプ状の部材を用いることができる。供給部はオゾンや過酸化水素を含む陽極側電解水55および陰極側電解水56(以下、「電解水等」と称する)が通過するので、耐腐食性材料を用いるのが好ましい。また、供給部を通る電解水等を紫外線から遮蔽するために、紫外線不透過性の材料を用いてもよい。
供給部に好ましい材料としては、例えば、ステンレス等などの金属材料、塩化ビニル等などの樹脂材料が挙げられる。
(原料水80)
原料水80は、電解が可能な水であればよく、例えば水道水、電解質を添加した純水等が利用できる。なお、原料水80が塩素を含んでいる場合には、陽極33側で、オゾンの他に次亜塩素酸も発生しうる。
原料水80は、電解が可能な水であればよく、例えば水道水、電解質を添加した純水等が利用できる。なお、原料水80が塩素を含んでいる場合には、陽極33側で、オゾンの他に次亜塩素酸も発生しうる。
<実施の形態5>
本発明では、実施の形態1〜3の表面処理装置を備えた機器を提供することができる。表面処理装置を設置するのに適した機器は、概して、水洗可能で、殺菌を必要とする機器であり、例えば、キッチン用機器、洗面用機器、浴室用機器、トイレ用機器、医療用機器、食品加工用機器および排水用処理機器などの機器が挙げられる。
キッチン用機器としては、例えばシンク、生ゴミ容器、スポンジホルダ、フキンホルダ、排水孔等が挙げられる。
洗面用機器としては、例えば洗面ボウル、石けんホルダ、排水孔、洗面台等が挙げられる。
浴室用機器としては、例えばバスタブ、浴室用ミラー、シャンプーホルダ、シャワーホルダ、排水孔、システムバス等が挙げられる。
トイレ用機器としては、例えば便器、手洗ボウル、温水洗浄便座等が挙げられる。
医療用機器としては、例えば医療器具消毒器等が挙げられる。
食品加工用機器としては、例えば食品用ベルトコンベヤ、食品用容器、排水孔等が挙げられる。
排水用処理機器としては、例えば下水浄化設備等が挙げられる。
本発明では、実施の形態1〜3の表面処理装置を備えた機器を提供することができる。表面処理装置を設置するのに適した機器は、概して、水洗可能で、殺菌を必要とする機器であり、例えば、キッチン用機器、洗面用機器、浴室用機器、トイレ用機器、医療用機器、食品加工用機器および排水用処理機器などの機器が挙げられる。
キッチン用機器としては、例えばシンク、生ゴミ容器、スポンジホルダ、フキンホルダ、排水孔等が挙げられる。
洗面用機器としては、例えば洗面ボウル、石けんホルダ、排水孔、洗面台等が挙げられる。
浴室用機器としては、例えばバスタブ、浴室用ミラー、シャンプーホルダ、シャワーホルダ、排水孔、システムバス等が挙げられる。
トイレ用機器としては、例えば便器、手洗ボウル、温水洗浄便座等が挙げられる。
医療用機器としては、例えば医療器具消毒器等が挙げられる。
食品加工用機器としては、例えば食品用ベルトコンベヤ、食品用容器、排水孔等が挙げられる。
排水用処理機器としては、例えば下水浄化設備等が挙げられる。
13、13’、14、15、17、18、19 表面処理装置、 33 陽極、 34 陰極、 30、30’ 二室式電解部、 31 陽極室、 32 陰極室、 35 第1供給部、 36 第2供給部、 40 紫外線発生部、 41 紫外線出射部、 45 制御装置、 55 陽極側電解水、 56 陰極側電解水、 57 混合電解水、 60、60’ 対象物、 60S 表面、60S’ 傾斜した表面、 70 紫外線、 80 原料水
Claims (11)
- 対象物の表面をラジカルで処理するための装置であって、
水を電解するための陽極および陰極と、
前記陽極が配置された陽極室および前記陰極が配置された陰極室を含む二室式電解部と、を備え、
前記陽極室で発生する陽極側電解水と前記陰極室で発生する陰極側電解水とを前記表面上で混合することによりラジカルを発生させることを特徴とする表面処理装置。 - 前記対象物の前記表面は傾斜しており、
前記表面処理装置は、
前記表面上に前記陽極側電解水を供給する第1供給部と、
前記表面上における前記陽極側電解水の供給位置より上側又は下側に前記陰極側電解水を供給する第2供給部と、を備えることを特徴とする請求項1に記載の表面処理装置。 - 前記陽極側電解水が供給される第1供給部と、前記陰極側電解水が供給される第2供給部とが離間して配置されて、前記表面より上流側で前記陽極側電解水と前記陰極側電解水とが混合されないことを特徴とする請求項1又は2に記載の表面処理装置。
- 前記陽極側電解水が供給される第1供給期間と、前記陰極側電解水が供給される第2供給期間とが交互になるように制御する制御手段をさらに備えることを特徴とする請求項1又は2に記載の表面処理装置。
- 前記制御手段は、前記第1供給期間と前記第2供給期間とが重複しないように制御することを特徴とする請求項4に記載の表面処理装置。
- 前記陽極および前記陰極はBDD電極から構成されていることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の表面処理装置。
- 対象物の表面をラジカルで処理する方法であって、
陽極側電解水と陰極電解水とを生成する工程と、
前記陽極側電解水を前記対象物の前記表面に供給する第1供給工程と、
前記陰極側電解水を前記対象物の前記表面に供給する第2供給工程と、を含み、
前記陽極側電解水と前記陰極側電解水とを前記表面上で混合して、ラジカルを発生させることを特徴とする表面処理方法。 - 前記第1供給工程と前記第2供給工程とが同時に行われることを特徴とする請求項7に記載の表面処理方法。
- 前記第1供給工程と前記第2供給工程とが交互に行われることを特徴とする請求項7に記載の表面処理方法。
- 前記第1供給工程を行う第1供給期間と前記第2供給工程を行う第2供給期間とが重複しないことを特徴とする請求項9に記載の表面処理方法。
- 請求項1〜6のいずれか1項に記載の表面処理装置を用いた機器であって、
前記機器が、キッチン用機器、洗面用機器、浴室用機器、トイレ用機器、医療用機器、食品加工用機器および排水用処理機器から成る群から選択されることを特徴とする機器。
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JP2014042799A (ja) * | 2012-07-30 | 2014-03-13 | Panasonic Corp | 表面処理装置および表面処理方法 |
JP2017109146A (ja) * | 2015-12-14 | 2017-06-22 | 株式会社トクヤマ | 洗浄方法および洗浄装置 |
JP2017113753A (ja) * | 2017-03-30 | 2017-06-29 | 株式会社トクヤマ | 洗浄方法および洗浄装置 |
JP2019005119A (ja) * | 2017-06-23 | 2019-01-17 | 株式会社Ihi | 除染装置及び除染方法 |
-
2013
- 2013-02-01 JP JP2013018064A patent/JP2014042800A/ja active Pending
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WO2017104370A1 (ja) * | 2015-12-14 | 2017-06-22 | 株式会社トクヤマ | 洗浄方法および洗浄装置 |
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