JP2014041164A - ガス検知素子 - Google Patents

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義 高田
Naganori Dojo
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Abstract

【課題】消費電力が少なく熱絶縁性・熱衝撃に優れた耐久性を有するガス検知素子を提供する。
【解決手段】ガス感応部11および加熱手段を設けた被支持基板部10が、複数の架橋部20によって支持基板部30に支持してあるガス検知素子Xであって、1つの架橋部20では、被支持基板部10に対する架橋部20の延出方向と、支持基板部30に対する架橋部20の延出方向とを、異なる方向に設定してある。
【選択図】図2

Description

本発明は、ガス感応部および加熱手段を設けた被支持基板部が、複数の架橋部によって支持基板部に支持してあるガス検知素子に関する。
焼結体のガス感応部を持つガス検知素子は、半導体式・接触燃焼式・固体電解質などが公知である。これらは、通常、ガス感応部を300℃〜700℃に維持した状態でガス検知を行うため、その消費電力は数百mW以上必要であった。
近年、電池でガスセンサを長期間駆動するという要望が高まっている。電池代を抑えると共に電池の交換の頻度をできるだけ少なくするには、ガスセンサの消費電力を低下させるのが望ましい。
微細加工が可能なMEMS(Micro Electro Mechanical System)技術を利用すれば、微小な部材を加工でき、小型化されて消費電力の低いガス検知素子を製造することができる。この小型化したガス検知素子をパルス駆動して間欠的にガス検知することで、平均消費電力をさらに低下させることができる。MEMS技術を利用することでガス検知素子を大量生産できるため、ガス検知素子のコストダウンを実現できる。
しかし、このようなガス検知素子の実用化には、耐熱衝撃性・耐久性などの特性を向上させることが必要である。
MEMS技術によって作製された被支持基板部を有するガス検知素子としては、サスペンド型(吊橋型)やクローズド型等が公知である。
例えばサスペンド型のガス検知素子としては特許文献1に示されるものがある。このタイプの素子は、ガス感応部および加熱手段を設けた被支持基板部が複数の架橋部によって支持基板部に支持してあり、熱絶縁に優れる。
このガス検知素子に対して、室温と駆動温度(例えば500℃)とに亘って熱サイクルを作用させると、ガス検知素子には熱衝撃が繰返し与えられることになる。この熱衝撃は、ガス検知素子を構成する部材の熱劣化の原因となる。
例えば、架橋部を経由してヒータ電力が加熱手段に供給され、ガス感応部が加熱・冷却されると、被支持基板部および架橋部が膨張・収縮する。このような膨張・収縮に基づく熱応力は、加熱手段の近傍である架橋部と被支持基板部の境界部付近に集中し易い。特にガス感応部が厚膜である場合に著しい。これは以下の理由による。
通常、被支持基板部および架橋部の厚さが約1〜2μmであるのに対し、ガス感応部の厚さは約10μm以上であり、ガス感応部の厚さは被支持基板部および架橋部の厚さに比べて大きい。このため、ガス感応部の温度変化が、ガス感応部近傍にある被支持基板部および架橋部の膨張・収縮に大きく影響し、被支持基板部および架橋部には大きな熱応力が及ぶ。熱衝撃を繰り返すことにより被支持基板部および架橋部は熱劣化により脆弱化し、これらの境界部付近で破損し易くなる。
特許文献1に記載のガス検知素子では、相対する一対の架橋部を、被支持基板部の幅に相当する間隔で平行に配置するように構成してある。これにより、加熱時に架橋部が膨脹したとしても、被支持基板部が回転することで、相対する架橋部は互いに膨張することができる。この結果、架橋部の長手方向に沿った内部応力の発生を押さえることができ、上述したような境界部付近での熱劣化による破損を回避することができる。
2007−132814号公報
長期間に亘って使用される家庭用警報器では、およそ500万回以上ものパルス駆動による熱衝撃に耐える必要があるとされる。
特許文献1に記載のガス検知素子が加熱されると、相対する架橋部が互いに膨張する際に、被支持基板部が回転し、架橋部方向に発生する熱応力の集中が緩和される。しかし、被支持基板部および架橋部の境界部付近には加熱・冷却の度に当該回転に伴う曲げ力が発生する。そのため、長期間に亘って熱サイクルが与えられると、やはり当該境界部付近で破損し易くなる。
従って、本発明の目的は、消費電力が少なく熱絶縁性・熱衝撃に優れた耐久性を有するガス検知素子を提供することにある。
上記目的を達成するための本発明に係るガス検知素子の第一特徴構成は、ガス感応部および加熱手段を設けた被支持基板部が、複数の架橋部によって支持基板部に支持してあり、前記架橋部に少なくとも一つの曲り部を形成した点にある。
本構成では、架橋部の中間の何れかの位置に曲り部として、角度を持って折れ曲がった屈曲部やカーブした曲線状の曲線部を形成することになる。このことによって、例えば、架橋部と被支持基板部との接続部近傍に発生する応力集中を緩和する効果が得られる。
本構成では、一つの架橋部の全体が直線形状とはならないように構成してある。こうすることで、被支持基板部と支持基板部との間を直線状の架橋部で連結した場合に比べて、架橋部を長く形成することができる。
この結果、被支持基板部で生じた加熱手段の熱が支持基板部に伝達し難くなる。このように、熱伝導度を低下させることで、被支持基板部に設けたガス感応部からの熱拡散を低減することができる。
このことは、さらに、ガス検知素子をパルス駆動する際にガス検知素子に加える入熱量を少なくでき、結果としてガス検知素子全体に加えるエネルギーの量が低下する。入熱量が低下することで、架橋部等の熱膨張の程度も少なくなり、例えば、架橋部と被支持基板部との境界付近に生じる膨張・収縮が低減化されて熱劣化や破損が生じるのを抑制することができる。
さらに、架橋部等に生じる熱応力は、上記熱膨張に起因するものに限られない。例えば、架橋部および被支持基板部の成膜はスパッタリング法・化学気相成長(CVD)法などにより行われる。しかし、これらを成膜したときの厚さが一様でない場合、加熱手段の加熱により種々の方向に熱応力が発生する。しかし、本構成であれば、仮にこのような熱応力が特定の箇所に集中して発生した場合でも、架橋部の形状によって当該応力集中を分散させることができる。
このように、本構成のガス検知素子は、被支持基板部を複数の架橋部によって支持基板部に支持したサスペンド型のガス検知素子であるため熱絶縁性に優れると共に、消費電力を少なくするためにパルス駆動をした場合であっても熱劣化し難く、熱衝撃に対して優れた耐久性を有する。
本発明に係るガス検知素子の第二特徴構成は、前記被支持基板部に対する前記架橋部の延出方向と、前記支持基板部に対する前記架橋部の延出方向とを、異なる方向に設定した点にある。
今、仮に、被支持基板部と支持基板部との間に全体が直線状の架橋部が設けてあるとする。この架橋部が加熱されると架橋部は膨張する。架橋部は被支持基盤部を支持しなければならないため、ある程度の剛性を有する。このため、架橋部の長手方向に沿って生じた伸び変形は、架橋部と被支持基板部との接続部、および、架橋部と支持基板部との接続部に応力集中を発生させる。両部位の温度を比較すると、発熱ヒータに近い、架橋部と被支持基板部との接続部の方が高温となる。この結果、当該部位において永久歪が生じたり、このような応力集中の繰り返しによって、当該接続部において疲労破壊が生じることとなる。
架橋部と被支持基板部との接続状態が、先に挙げた特許文献1のように、対抗する架橋部の方向が並行且つ同一直線状とならないように設定されている場合では、架橋部の膨張によって被支持基板部は支持基板部に対して回転することとなる。この場合、架橋部の剛性にもよるが、当該回転によって生じる被支持基板部の回転角度は、殆ど架橋部と被支持基板部との間の角度変化で負担することになる。よって、この場合には、架橋部と被支持基板部との間で疲労破壊が生じ易い。
しかし、本構成のごとく、一つの前記架橋部では、前記被支持基板部に対する前記架橋部の延出方向と、前記支持基板部に対する前記架橋部の延出方向とを異なる方向に設定すれば、架橋部に発生する伸び変形の方向を、曲がった部位の両側において異なる方向に設定することができる。例えば、架橋部のうち曲がった部位から被支持基板部までの部位を、被支持基板部に固定した腕と考えると、被支持基板部に回転を生じさせるのは、主に架橋部のうち残りの長さの部分に生じた熱膨張分である。この熱膨張分は、架橋部に生じた熱膨張の一部である。よって、腕が出た状態の上記被支持基板部の回転に寄与する熱膨張量は少なくなる。つまり、上記特許文献1の場合と比べて、被支持基板部の中心からより遠い作用点に対して、より少ない回転駆動力が作用することとなり、被支持基板部の回転角度が小さくなる。このように、架橋部に曲り部を設けることで、架橋部に生じる熱膨張が、架橋部と被支持基板部との接続部に及ぼす影響を少なくすることができ、ガス検知素子の耐熱性能を向上させることとなる。
本発明に係るガス検知素子の第三特徴構成は、曲り部を屈曲した屈曲部で形成し点にある。
本構成では、上記第一特徴構成で述べた曲り部をより積極的に屈曲部と限定している。ここでの屈曲部は、例えば、直線状の部位が互いに角度を持ちながら接続されているような、明確に角が現れた部位を有するものを意味する。
このような屈曲部を有する形状であれば、例えば、架橋部および被支持基板部の接続部と、架橋部および支持基板部の接続部との間を、カーブした曲線状の架橋部で連結した場合と比較してより長い経路を設定することができる。この結果、熱伝導度が低下して、ガス検知素子の耐熱性能をさらに向上させることができる。
また、一般にガス検知素子は矩形状の平面形状を持つものが多い。本構成のごとく直線部位の集合で架橋部を構成することで、ガス検知素子の形状設計が容易となる。
本発明に係るガス検知素子の第四特徴構成は、前記被支持基板部が上面視で矩形状であり、前記架橋部のうち前記被支持基板部からの延出方向を、前記被支持基板部の対角線の方向に一致させた点にある。
ガス感応部を作製する際、焼結体ペーストを被支持基板部に塗布すると、ガス感応部の上面視における中央部分では当該ペーストは分厚く塗布されるが、周縁部分では当該ペーストは薄く塗布される。通常、矩形状に形成した被支持基板部の角部では、当該ペーストは最も薄く塗布される。
本構成では、架橋部は、矩形状に形成した被支持基板部の角部から延出するため、当該ペーストは架橋部に移行し難くなる。これにより、所定のガス感度特性を有するガス検知素子を製造できるため、ガス検知素子の製造収率が向上する。
本発明に係るガス検知素子の第五特徴構成は、前記架橋部が有する幅のうち、前記支持基板部近傍の幅を前記被支持基板部近傍の幅に対して広く設定した点にある。
本構成によれば、被支持基板部の熱が架橋部に伝達し難くなると共に、一旦、架橋部に伝わった熱は、支持基板部の側ほど幅広に構成した架橋部を介して支持基板部に拡散し易くなる。
この結果、被支持基板部の熱が架橋部に伝達し難くなることでガス感応部の加熱効率が高まり、ガス感応部に与える入熱量が小さくなるから、ガス検知素子の電力消費量を低減することができる。
一方、一旦、架橋部に伝わった熱は、支持基板部の側ほど幅広となった架橋部によって速やかに支持基板部の側に拡散する。よって、架橋部の冷却効果が高まり、耐熱性能に優れたガス検知素子を得ることができる。
本発明に係るガス検知素子の第六特徴構成は、前記加熱手段・前記被支持基板部・前記架橋部をMEMS技術により形成した点にある。
本構成によれば、微細加工が可能なMEMS技術を適用するため、極めて小さなガス検知素子の製造が可能となる。これにより、平均消費電力の少ないガス検知素子を得ることができる。
本発明に係るガス検知素子の第七特徴構成は、前記架橋部の少なくとも一部を、前記被支持基板部が配設してある平面と異なる平面上に配設した点にある。
本構成によれば、架橋部の少なくとも一部を三次元的に屈曲させて形成することができる等、架橋部の形状にバリエーションを持たせることができる。この結果、熱伝達性能や応力集中防止等の観点からより自由度の高い素子設計が可能となり、消費電力が低く信頼性の高いガス検知素子を得ることができる。
本発明のガス検知素子の断面(図2のI―I断面)視概略図である。 本発明のガス検知素子(卍型(a))の上面視概略図である。 本発明のガス検知素子(卍型(b))の上面視概略図である。 本発明のガス検知素子(卍型(c))の上面視概略図である。 本発明のガス検知素子(鉤型二架橋構造)の上面視概略図である。 ガス検知素子に熱衝撃を与えた場合の故障率を示したグラフである。 本発明のガス検知素子における別実施形態の上面視概略図である。
本実施形態のガス検知素子は、ガス感応部と当該ガス感応部を加熱する加熱手段とを被支持基板部に備え、この被支持基板部を複数の架橋部によって支持基板部に吊橋状に保持するものである。このような素子は一般にサスペンド型の素子と呼ばれる。この構成であれば、被支持基板部と支持基板部との熱伝導箇所が少なくなって断熱性能が向上する。また、熱伝導を抑制することで、加熱手段で被支持基板を加熱する際に外部への熱拡散が減少して加熱効率が高まる。このため、感応部に加える入熱量が少なくなり、その後の冷却速度を高めることが出来る。このように、サスペンド型の素子は、熱絶縁性および放熱性に優れた素子と言える。
以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。図1〜5に示したように、本発明のガス検知素子Xは、ガス感応部11および加熱手段14を設けた被支持基板部10が、複数の架橋部20によって支持基板部30に支持してある。これら被支持基板部10・架橋部20・支持基板部30は1つの部材で構成してあり、別の基材31に取り付けてある。架橋部20には少なくとも一つの曲り部21を形成してある。
被支持基板部10の上には、ガス感応部11・検出電極12・絶縁層13・加熱手段14が積層された積層体Aを形成してある。積層体Aのうち、ガス感応部11を除いた各構成はMEMS技術を利用して作製してある。MEMS技術は、超微小構造の電子機器システムの製造技術である。当該技術により微細な回路の加工を行うことができる。
本実施形態では、被支持基板部10は、上面視で矩形状となるように形成する。例えば被支持基板部10を正方形とした場合、一辺のサイズは例えば100〜200μmとする。尚、被支持基板部10の上面視の形状は、これに限らず、円形・楕円形などの形状でもよい。
架橋部20は複数設ける。本実施形態では、四本(図2〜4)或いは二本(図5)設けた場合を例示する。
本実施形態では、1つの架橋部20についてみると、被支持基板部10に対する架橋部20の延出方向と、支持基板部30に対する架橋部20の延出方向とを、異なる方向に設定してある。即ち、架橋部20は直線状とならないように構成する。このとき、被支持基板部10に対する架橋部20の延出方向と支持基板部30に対する架橋部20の延出方向とが平行であっても、同一直線状に重ならない方向であればよい。従って、架橋部20は屈曲或いは湾曲した曲り部21を有する構造となる。これにより、架橋部20と被支持基板部10との接続部近傍に発生する応力集中を緩和する効果が得られる。
本実施形態では、曲り部として架橋部20に少なくとも一つの屈曲部21を形成する。「屈曲」とは、例えば、直線状の部位が互いに角度を持ちながら接続されているような、明確に角が現れた部位を有するものを意味する。
このような屈曲部21を有する形状であれば、架橋部20および被支持基板部10の接続部と、架橋部20および支持基板部30の接続部との間を、曲線状の架橋部20で連結した場合と比較してより長い経路を設定することができる。この結果、熱伝導度が低下して、ガス検知素子Xの耐熱性能をさらに向上させることができる。
図2,3,5には一つの屈曲部21を形成したガス検知素子Xを示す。また、図4には二つの屈曲部21a,21bを形成した場合を示す。このように屈曲部21を設けることで、ガス検知素子Xの上面視形状は、略卍型(図2〜4)、鉤型二架橋(図5)となる。
屈曲部21の形状は、通常は図2〜5に示したように二次元的なものである。この場合、平面的なスペースをとらず、製作も容易となる。
しかし、屈曲部21の形状は三次元的なものでもよい。例えば、架橋部20の少なくとも一部を、被支持基板部10が配設してある平面と異なる平面上に配設してもよい。このとき、例えば被支持基板部10と支持基板部30とが高低差を持つように架橋部20を立体的に配設すれば、熱絶縁性を更に向上させることができる。
本発明のように架橋部20に少なくとも一つの曲り部21を形成することで、被支持基板部10と支持基板部30との間を直線状の架橋部20で連結した場合に比べて、架橋部20の長さを大きく確保することができる。
このとき、被支持基板部10で生じた加熱手段14の熱が支持基板部30に伝達し難くなる。このように、熱伝導度を低下させることで、被支持基板部10に設けたガス感応部11からの熱拡散を低減することができる。
この結果、ガス検知素子Xをパルス駆動する際にガス検知素子Xに加える入熱量が少なくなり、結果としてガス検知素子X全体に加えるエネルギーの量が低下する。入熱量が低下することで、架橋部20等の熱膨張の程度も少なくなる。このとき、架橋部20と被支持基板部10との境界付近に生じる膨張・収縮が低減化されて熱劣化や破損が生じるのを抑制することができる。
本実施形態のガス検知素子Xは、1つの架橋部20において、被支持基板部10に対する延出方向と支持基板部30に対する延出方向とが異なる。即ち、架橋部20は被支持基板部10から延出した後、ある程度被支持基板部10から離間した位置(屈曲部21)で延出方向を変更して支持基板部30と連結する。
本発明のごとく、1つの架橋部20において、被支持基板部10に対する延出方向と支持基板部30に対する延出方向とが異なる方向に設定すれば、架橋部20に発生する伸び変形の方向を、曲がった部位の両側において異なる方向に設定することができる。例えば、架橋部20のうち屈曲部21から被支持基板部10までの部位を、被支持基板部10に固定した腕と考えると、被支持基板部10に回転を生じさせるのは、主に架橋部20のうち屈曲部21から支持基板部30までの部分に生じた熱膨張分である。この熱膨張分は、架橋部20に生じた熱膨張の一部である。よって、腕が出た状態の上記被支持基板部10の回転に寄与する熱膨張量は少なくなる。つまり、被支持基板部10の中心からより遠い作用点(屈曲部21)に対して、より少ない回転駆動力が作用することとなり、被支持基板部10の回転角度が小さくなる。このように、架橋部20に屈曲部21を設けることで、架橋部20に生じる熱膨張が、架橋部20と被支持基板部10との接続部に及ぼす影響を少なくすることができ、ガス検知素子Xの耐熱性能を向上させることとなる。
図4に示したように二つの屈曲部21a,21bを形成した場合には、前記回転駆動力はそれぞれの屈曲部21a,21bに分散して作用することとなり、各屈曲部に及ぶ熱膨張の影響を少なくすることができ、ガス検知素子Xの耐熱性能を更に向上させることとなる。
このように、本発明のガス検知素子Xは、被支持基板部10を複数の架橋部20によって支持基板部30に支持したサスペンド型のガス検知素子Xであるため熱絶縁性に優れると共に、消費電力を少なくするためにパルス駆動した場合であっても熱劣化し難く、熱衝撃に対して優れた耐久性を有する。
架橋部20の上には配線が形成してある(図外)。当該配線を経由して、ガス感応部10が感知した信号をガス検知回路の制御部(図外)に送信する、或いは、加熱手段14に電力を供給することができる。
図2〜5に示したように、架橋部20のうち被支持基板部10からの延出方向を、被支持基板部10の対角線の方向に一致させてある。
このとき、架橋部20は、矩形状に形成した被支持基板部10における角部から延出する。当該角部は、ガス感応部11の作製時に焼結体ペーストが薄く塗布される部位である。そのため、ガス感応部11の作製時に焼結体ペーストが架橋部20に付着するのを防止し易くなる。
本発明のガス検知素子Xの製造方法について以下に説明する。
積層体Aは、MEMS技術を利用して以下のようにして形成した。
シリコン基板上にSiO2層とSiNx層等からなるダイアフラム(膜厚1〜2μm)を形成した後、その上にPt層を形成し、加熱手段14のパターンをドライエッチング加工した。その後、絶縁層13をSiO2層により形成した。当該絶縁層13の上に、一対の検出電極12を加熱手段14と同様の手法で形成した。
尚、ダイアフラムは、上述した膜の他にSiO2単層膜、Ta25単層膜等を適用することが可能である。
次に、複数の架橋部20および被支持基板部10を残すようにシリコン異方性エッチング加工し、複数の架橋部20によって吊橋状に保持した被支持基板部10を形成した。このようにして形成された架橋部20および被支持基板部10は、比較的硬質に形成される。
さらに、検出電極12を覆うように金属酸化物半導体を構成成分とするガス感応部11を形成する。
金属酸化物半導体として酸化スズを使用した。マイクロディスペンサーを用いて酸化スズペーストを上述した検出電極12の上に塗布し、乾燥後、600℃で1時間焼成した。さらに、酸化スズ焼結体にPd触媒を電着法によって付着させ、乾燥後、600℃で30分焼成することによりガス感応部11を形成した。
ガス感応部11の膜厚は、例えば10〜50μmとなるように形成するのが好ましい。
当該膜厚が50μm以上であると、ガス感応部11を一定温度に維持するための消費電力が大きくなる。また、通常、ガス感応部11を保持する被支持基板部10および架橋部20の厚さは1〜2μmで形成してあるため、被支持基板部10および架橋部20の熱衝撃に対する耐久性が悪化する。さらに、膜厚が厚くなると製造が困難になる。
一方、当該膜厚が10μm以下であると、ガス感度の長期安定性が悪化する。
このようにして製造された本発明のガス検知素子Xに対して、温度変化を繰り返して熱衝撃を与えた場合の耐久性を調べた。本実験では、図2〜5に示したガス検知素子Xを用いた(図2:卍型(a)、図3:卍型(b)、図4:卍型(c)、図5:鉤型二架橋構造)。
比較例として、架橋部に屈曲部を設けない従来型(X型)のガス検知素子を3つ用いた(X型(a)、X型(b)、X型(c))。X型のガス検知素子は、架橋部を四本備える。3つのガス検知素子において、それぞれの架橋部の幅は同一(20μm)となるように形成した。一方、架橋分の長さは、それぞれ15、20、40μmとなるように異ならせて形成してある。
サンプル数は、卍型(a):39個、卍型(b):15個、卍型(c):13個、鉤型二架橋構造:15個、X型(a):14個、X型(b):41個、X型(c):39個とした。
実験は、各ガス検知素子において室温〜500℃のサイクルを繰り返し行い、熱衝撃を与えた。図6に結果を示した。熱衝撃により、架橋部に亀裂が発生して故障したガス検知素子の故障率を調べた。
従来型のガス検知素子は、熱衝撃を繰り返すと、何れの素子も架橋部に亀裂を生じて断線した。しかし、本発明のガス検知素子Xは、何れの素子も架橋部に亀裂を生じず、1000万回以上の熱衝撃に対して優れた耐久性を示した。
〔別実施の形態〕
(1)上述した実施形態では、架橋部20の幅は変化しない。即ち、支持基板部30近傍の幅と被支持基板部10近傍の幅とは同じであるように構成した。しかし、これに限られるものではなく、架橋部が有する幅のうち、支持基板部30近傍の幅を被支持基板部10近傍の幅に対して広く設定してもよい(図7)。
本構成によれば、被支持基板部10の熱が架橋部20に伝達し難くなると共に、一旦、架橋部に伝わった熱は、支持基板部30の側ほど幅広に構成した架橋部を介して支持基板部10に拡散し易くなる。
この結果、被支持基板部10の熱が架橋部20に伝達し難くなることでガス感応部11の加熱効率が高まり、ガス感応部11に与える入熱量が小さくなるから、ガス検知素子Xの電力消費量を低減することができる。
一方、一旦、架橋部に伝わった熱は、支持基板部30の側ほど幅広となった架橋部20によって速やかに支持基板部30の側に拡散する。よって、架橋部20の冷却効果が高まり、耐熱性能に優れたガス検知素子Xを得ることができる。
(2)上述した実施形態では、積層体Aを、ダイアフラム・加熱手段14・絶縁層13・検出電極12・ガス感応部11を設けて構成した。しかし、このような態様に限らず、例えば、積層体Aをダイアフラム・加熱手段(検出電極兼用)・半導体ガス感応部によって構成する熱線形半導体式ガス検知素子、或いは、ダイアフラム・加熱手段・絶縁層・触媒層によって構成する接触燃焼式ガス検知素子とすることが可能である。
(3)上述した実施形態では、1つの架橋部20についてみると、被支持基板部10に対する架橋部20の延出方向と、支持基板部30に対する架橋部20の延出方向とを、異なる方向に設定した場合について説明した。しかし、これに限られるものではなく、1つの架橋部20について、単に、少なくとも一箇所の曲り部を設けるように構成することが可能である。
この場合、被支持基板部10に対する架橋部20の延出方向と、支持基板部30に対する架橋部20の延出方向とが同じになるように構成できる。例えば、架橋部20の途中で「く」字型或いは「コ」字型に屈曲するように構成することができる。「く」字型に構成した場合において曲り部は3箇所、「コ」字型に構成した場合において曲り部は4箇所設けることとなる。
本構成においても、架橋部20のうち曲がった部位から被支持基板部10までの部位を、被支持基板部10に固定した腕と考えると、被支持基板部10に回転を生じさせるのは、主に架橋部20のうち残りの長さの部分に生じた熱膨張分である。この熱膨張分は、架橋部に生じた熱膨張の一部である。よって、腕が出た状態の被支持基板部10の回転に寄与する熱膨張量は少なくなる。つまり、被支持基板部10の中心からより遠い作用点に対して、より少ない回転駆動力が作用することとなり、被支持基板部10の回転角度が小さくなる。このように、被支持基板部10に対する架橋部20の延出方向と、支持基板部30に対する架橋部20の延出方向とが同じであっても、架橋部20に、少なくとも一箇所の屈曲部を設けることで、架橋部20に生じる熱膨張が、架橋部20と被支持基板部10との接続部に及ぼす影響を少なくすることができ、ガス検知素子Xの耐熱性能を向上させることとなる。
本発明は、ガス感応部および加熱手段を設けた被支持基板部が、複数の架橋部によって支持基板部に支持してあるガス検知素子に利用できる。
X ガス検知素子
10 被支持基板部
11 ガス感応部
14 加熱手段
20 架橋部
21 屈曲部
30 支持基板部
本発明は、ガス感応部および加熱手段を設けた被支持基板部が、複数の架橋部によって支持基板部に支持してあるガス検知素子に関する。
焼結体のガス感応部を持つガス検知素子は、半導体式・接触燃焼式・固体電解質などが公知である。これらは、通常、ガス感応部を300℃〜700℃に維持した状態でガス検知を行うため、その消費電力は数百mW以上必要であった。
近年、電池でガスセンサを長期間駆動するという要望が高まっている。電池代を抑えると共に電池の交換の頻度をできるだけ少なくするには、ガスセンサの消費電力を低下させるのが望ましい。
微細加工が可能なMEMS(Micro Electro Mechanical System)技術を利用すれば、微小な部材を加工でき、小型化されて消費電力の低いガス検知素子を製造することができる。この小型化したガス検知素子をパルス駆動して間欠的にガス検知することで、平均消費電力をさらに低下させることができる。MEMS技術を利用することでガス検知素子を大量生産できるため、ガス検知素子のコストダウンを実現できる。
しかし、このようなガス検知素子の実用化には、耐熱衝撃性・耐久性などの特性を向上させることが必要である。
MEMS技術によって作製された被支持基板部を有するガス検知素子としては、サスペンド型やクローズド型等が公知である。
例えばサスペンド型のガス検知素子としては特許文献1に示されるものがある。このタイプの素子は、ガス感応部および加熱手段を設けた被支持基板部が複数の架橋部によって支持基板部に支持してあり、熱絶縁に優れる。
このガス検知素子に対して、室温と駆動温度(例えば500℃)とに亘って熱サイクルを作用させると、ガス検知素子には熱衝撃が繰返し与えられることになる。この熱衝撃は、ガス検知素子を構成する部材の熱劣化の原因となる。
例えば、架橋部を経由してヒータ電力が加熱手段に供給され、ガス感応部が加熱・冷却されると、被支持基板部および架橋部が膨張・収縮する。このような膨張・収縮に基づく熱応力は、加熱手段の近傍である架橋部と被支持基板部の境界部付近に集中し易い。特にガス感応部が厚膜である場合に著しい。これは以下の理由による。
通常、被支持基板部および架橋部の厚さが約1〜2μmであるのに対し、ガス感応部の厚さは約10μm以上であり、ガス感応部の厚さは被支持基板部および架橋部の厚さに比べて大きい。このため、ガス感応部の温度変化が、ガス感応部近傍にある被支持基板部および架橋部の膨張・収縮に大きく影響し、被支持基板部および架橋部には大きな熱応力が及ぶ。熱衝撃を繰り返すことにより被支持基板部および架橋部は熱劣化により脆弱化し、これらの境界部付近で破損し易くなる。
特許文献1に記載のガス検知素子では、相対する一対の架橋部を、被支持基板部の幅に相当する間隔で平行に配置するように構成してある。これにより、加熱時に架橋部が膨脹したとしても、被支持基板部が回転することで、相対する架橋部は互いに膨張することができる。この結果、架橋部の長手方向に沿った内部応力の発生を押さえることができ、上述したような境界部付近での熱劣化による破損を回避することができる。
2007−132814号公報
長期間に亘って使用される家庭用警報器では、およそ500万回以上ものパルス駆動による熱衝撃に耐える必要があるとされる。
特許文献1に記載のガス検知素子が加熱されると、相対する架橋部が互いに膨張する際に、被支持基板部が回転し、架橋部方向に発生する熱応力の集中が緩和される。しかし、被支持基板部および架橋部の境界部付近には加熱・冷却の度に当該回転に伴う曲げ力が発生する。そのため、長期間に亘って熱サイクルが与えられると、やはり当該境界部付近で破損し易くなる。
従って、本発明の目的は、消費電力が少なく熱絶縁性・熱衝撃に優れた耐久性を有するガス検知素子を提供することにある。
上記目的を達成するための本発明に係るガス検知素子の第一特徴構成は、ガス感応部および加熱手段を設けた被支持基板部が、複数の架橋部によって支持基板部に支持してあるサスペンド型のガス検知素子であって、前記架橋部に少なくとも一つの曲り部を形成し、前記加熱手段・前記被支持基板部・前記架橋部をMEMS技術により形成した点にある。
本構成では、架橋部の中間の何れかの位置に曲り部として、角度を持って折れ曲がった屈曲部やカーブした曲線状の曲線部を形成することになる。このことによって、例えば、架橋部と被支持基板部との接続部近傍に発生する応力集中を緩和する効果が得られる。
本構成では、一つの架橋部の全体が直線形状とはならないように構成してある。こうすることで、被支持基板部と支持基板部との間を直線状の架橋部で連結した場合に比べて、架橋部を長く形成することができる。
この結果、被支持基板部で生じた加熱手段の熱が支持基板部に伝達し難くなる。このように、熱伝導度を低下させることで、被支持基板部に設けたガス感応部からの熱拡散を低減することができる。
このことは、さらに、ガス検知素子をパルス駆動する際にガス検知素子に加える入熱量を少なくでき、結果としてガス検知素子全体に加えるエネルギーの量が低下する。入熱量が低下することで、架橋部等の熱膨張の程度も少なくなり、例えば、架橋部と被支持基板部との境界付近に生じる膨張・収縮が低減化されて熱劣化や破損が生じるのを抑制することができる。
さらに、架橋部等に生じる熱応力は、上記熱膨張に起因するものに限られない。例えば、架橋部および被支持基板部の成膜はスパッタリング法・化学気相成長(CVD)法などにより行われる。しかし、これらを成膜したときの厚さが一様でない場合、加熱手段の加熱により種々の方向に熱応力が発生する。しかし、本構成であれば、仮にこのような熱応力が特定の箇所に集中して発生した場合でも、架橋部の形状によって当該応力集中を分散させることができる。
このように、本構成のガス検知素子は、被支持基板部を複数の架橋部によって支持基板部に支持したサスペンド型のガス検知素子であるため熱絶縁性に優れると共に、消費電力を少なくするためにパルス駆動をした場合であっても熱劣化し難く、熱衝撃に対して優れた耐久性を有する。
また、本構成によれば、微細加工が可能なMEMS技術を適用するため、極めて小さなガス検知素子の製造が可能となる。これにより、平均消費電力の少ないガス検知素子を得ることができる。
本発明に係るガス検知素子の第二特徴構成は、前記被支持基板部および前記支持基板部は上面視で矩形状であり、前記被支持基板部の対角線の方向と前記支持基板部の対角線の方向が異なる点にある。
今、仮に、被支持基板部と支持基板部との間に全体が直線状の架橋部が設けてあるとする。この架橋部が加熱されると架橋部は膨張する。架橋部は被支持基盤部を支持しなければならないため、ある程度の剛性を有する。このため、架橋部の長手方向に沿って生じた伸び変形は、架橋部と被支持基板部との接続部、および、架橋部と支持基板部との接続部に応力集中を発生させる。両部位の温度を比較すると、発熱ヒータに近い、架橋部と被支持基板部との接続部の方が高温となる。この結果、当該部位において永久歪が生じたり、このような応力集中の繰り返しによって、当該接続部において疲労破壊が生じることとなる。
架橋部と被支持基板部との接続状態が、先に挙げた特許文献1のように、対抗する架橋部の方向が並行且つ同一直線状とならないように設定されている場合では、架橋部の膨張によって被支持基板部は支持基板部に対して回転することとなる。この場合、架橋部の剛性にもよるが、当該回転によって生じる被支持基板部の回転角度は、殆ど架橋部と被支持基板部との間の角度変化で負担することになる。よって、この場合には、架橋部と被支持基板部との間で疲労破壊が生じ易い。
しかし、本構成のごとく、前記被支持基板部および前記支持基板部は上面視で矩形状であり、前記被支持基板部の対角線の方向と前記支持基板部の対角線の方向が異なるように構成すれば、一つの架橋部では、被支持基板部に対する架橋部の延出方向と、支持基板部に対する架橋部の延出方向とを異なる方向に設定できるため(図2,4,5参照)、架橋部に発生する伸び変形の方向を、曲がった部位の両側において異なる方向に設定することができる。例えば、架橋部のうち曲がった部位から被支持基板部までの部位を、被支持基板部に固定した腕と考えると、被支持基板部に回転を生じさせるのは、主に架橋部のうち残りの長さの部分に生じた熱膨張分である。この熱膨張分は、架橋部に生じた熱膨張の一部である。よって、腕が出た状態の上記被支持基板部の回転に寄与する熱膨張量は少なくなる。つまり、上記特許文献1の場合と比べて、被支持基板部の中心からより遠い作用点に対して、より少ない回転駆動力が作用することとなり、被支持基板部の回転角度が小さくなる。このように、架橋部に曲り部を設けることで、架橋部に生じる熱膨張が、架橋部と被支持基板部との接続部に及ぼす影響を少なくすることができ、ガス検知素子の耐熱性能を向上させることとなる。
本発明に係るガス検知素子の第三特徴構成は、前記被支持基板部および前記支持基板部は上面視で矩形状であり、前記被支持基板部の対角線の方向と前記支持基板部の対角線の方向が一致する点にある。
本構成では、被支持基板部および支持基板部が共に矩形状であり、かつこれらの対角線の方向が一致するため、例えば支持基板部の各辺および被支持基板部の各辺を平行にした状態として、一つの架橋部では、被支持基板部に対する架橋部の延出方向と、支持基板部に対する架橋部の延出方向とを異なる方向に設できるため(図3参照)、架橋部に発生する伸び変形の方向を、曲がった部位の両側において異なる方向に設定することができる。
本発明に係るガス検知素子の第四特徴構成は、前記支持基板部から延出する前記架橋部の延出方向を、前記被支持基板部および前記支持基板部の対角線の方向と異ならせた点にある。
本構成では、一つの前記架橋部では、前記被支持基板部に対する前記架橋部の延出方向と、前記支持基板部に対する前記架橋部の延出方向とを異なる方向に設定できるため(図3,7参照)、架橋部に発生する伸び変形の方向を、曲がった部位の両側において異なる方向に設定することができる。例えば、架橋部のうち曲がった部位から被支持基板部までの部位を、被支持基板部に固定した腕と考えると、被支持基板部に回転を生じさせるのは、主に架橋部のうち残りの長さの部分に生じた熱膨張分である。この熱膨張分は、架橋部に生じた熱膨張の一部である。よって、腕が出た状態の上記被支持基板部の回転に寄与する熱膨張量は少なくなる。つまり、上記特許文献1の場合と比べて、被支持基板部の中心からより遠い作用点に対して、より少ない回転駆動力が作用することとなり、被支持基板部の回転角度が小さくなる。このように、架橋部に曲り部を設けることで、架橋部に生じる熱膨張が、架橋部と被支持基板部との接続部に及ぼす影響を少なくすることができ、ガス検知素子の耐熱性能を向上させることとなる。
本発明に係るガス検知素子の第五特徴構成は、前記曲がり部は、前記支持基板部に近い側に形成される第一曲り部と、前記被支持基板部に近い側に形成される第二曲り部と、を含む点にある。
本構成では、複数の曲り部を設けることで、架橋部の形状を多様に形成することができる。
本発明に係るガス検知素子の第六特徴構成は、前記架橋部において、前記支持基板部から前記第一曲り部までの延出方向と、前記被支持基板部から前記第二曲り部までの延出方向とが一致する点にある。
本構成では、支持基板から第一曲り部までの延出方向と、被支持基板から第二曲り部までの延出方向とを一致させた状態で、第一曲り部から前記第二曲り部の間に、中間部位を設けることができる(図4参照)。当該中間部位を設けることで、架橋部に生じる熱膨張が、架橋部と被支持基板部との接続部に及ぼす影響を少なくすることができ、ガス検知素子の耐熱性能を向上させることとなる。
本発明に係るガス検知素子の第七特徴構成は、前記架橋部において、前記第一曲り部から前記第二曲り部までの長さは、前記支持基板部から前記第一曲り部までの長さ、および、前記被支持基板部から前記第二曲り部までの長さよりも長い点にある。
本構成では、第一曲り部から前記第二曲り部の間設けた中間部位を、支持基板から前記第一曲り部までの長さおよび前記被支持基板から前記第二曲り部までの長さよりも長く設定することができ(図4参照)、これにより、架橋部に生じる熱膨張が、架橋部と被支持基板部との接続部に及ぼす影響をより少なくすることができ、ガス検知素子の耐熱性能を向上させることとなる。
本発明に係るガス検知素子の第八特徴構成は、前記架橋部において、前記被支持基板部から前記曲り部までの長さは、前記支持基板部から前記曲り部までの長さより短く設定した点にある。
支持基板部から曲り部までの長さを被支持基板部から曲り部までの長さより短くすることで、被支持基板部から曲り部までの長さが長い場合と比較して、小型のガス検知素子を実現できるので、平均消費電力の少ないガス検知素子を得ることができる。
本発明に係るガス検知素子の第九特徴構成は、前記架橋部は、前記被支持基板部の角部から延出した点にある。
ガス感応部を作製する際、焼結体ペーストを被支持基板部に塗布すると、ガス感応部の上面視における中央部分では当該ペーストは分厚く塗布されるが、周縁部分では当該ペーストは薄く塗布される。通常、矩形状に形成した被支持基板部の角部では、当該ペーストは最も薄く塗布される。
本構成では、架橋部は、矩形状に形成した被支持基板部の角部から延出するため、当該ペーストは架橋部に移行し難くなる。これにより、所定のガス感度特性を有するガス検知素子を製造できるため、ガス検知素子の製造収率が向上する。
本発明に係るガス検知素子の第十特徴構成は、前記架橋部は、その幅が前記支持基板部の側ほど漸増する部位を有する点にある。
本構成によれば、前記架橋部の一部或いは全体において、その幅が前記支持基板部の側ほど漸増する部位を有するように構成することができる。これにより、被支持基板部の熱が架橋部に伝達し難くなると共に、一旦、架橋部に伝わった熱は、支持基板部の側ほど幅広に構成した架橋部を介して支持基板部に拡散し易くなる。
この結果、被支持基板部の熱が架橋部に伝達し難くなることでガス感応部の加熱効率が高まり、ガス感応部に与える入熱量が小さくなるから、ガス検知素子の電力消費量を低減することができる。
一方、一旦、架橋部に伝わった熱は、支持基板部の側ほど幅広となった架橋部によって速やかに支持基板部の側に拡散する。よって、架橋部の冷却効果が高まり、耐熱性能に優れたガス検知素子を得ることができる。
本発明のガス検知素子の断面(図2のI―I断面)視概略図である。 本発明のガス検知素子(卍型(a))の上面視概略図である。 本発明のガス検知素子(卍型(b))の上面視概略図である。 本発明のガス検知素子(卍型(c))の上面視概略図である。 本発明のガス検知素子(鉤型二架橋構造)の上面視概略図である。 ガス検知素子に熱衝撃を与えた場合の故障率を示したグラフである。 本発明のガス検知素子における別実施形態の上面視概略図である。
本実施形態のガス検知素子は、ガス感応部と当該ガス感応部を加熱する加熱手段とを被支持基板部に備え、この被支持基板部を複数の架橋部によって支持基板部に保持するものである。このような素子は一般にサスペンド型の素子と呼ばれる。この構成であれば、被支持基板部と支持基板部との熱伝導箇所が少なくなって断熱性能が向上する。また、熱伝導を抑制することで、加熱手段で被支持基板を加熱する際に外部への熱拡散が減少して加熱効率が高まる。このため、感応部に加える入熱量が少なくなり、その後の冷却速度を高めることが出来る。このように、サスペンド型の素子は、熱絶縁性および放熱性に優れた素子と言える。
以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。図1〜5に示したように、本発明のガス検知素子Xは、ガス感応部11および加熱手段14を設けた被支持基板部10が、複数の架橋部20によって支持基板部30に支持してある。これら被支持基板部10・架橋部20・支持基板部30は1つの部材で構成してあり、別の基材31に取り付けてある。架橋部20には少なくとも一つの曲り部21を形成してある。
被支持基板部10の上には、ガス感応部11・検出電極12・絶縁層13・加熱手段14が積層された積層体Aを形成してある。本実施形態では、被支持基板部10、架橋部20、および、積層体Aのうち、ガス感応部11を除いた各構成はMEMS技術を利用して作製してある。MEMS技術は、超微小構造の電子機器システムの製造技術である。当該技術により微細な回路の加工を行うことができる。
本実施形態では、被支持基板部10は、上面視で矩形状となるように形成する。例えば被支持基板部10を正方形とした場合、一辺のサイズは例えば100〜200μmとする。尚、被支持基板部10の上面視の形状は、これに限らず、円形・楕円形などの形状でもよい。
架橋部20は複数設ける。本実施形態では、四本(図2〜4)或いは二本(図5)設けた場合を例示する。
本実施形態では、1つの架橋部20についてみると、被支持基板部10に対する架橋部20の延出方向と、支持基板部30に対する架橋部20の延出方向とを、異なる方向に設定してある。即ち、架橋部20は直線状とならないように構成する。このとき、被支持基板部10に対する架橋部20の延出方向と支持基板部30に対する架橋部20の延出方向とが平行であっても、同一直線状に重ならない方向であればよい。従って、架橋部20は屈曲或いは湾曲した曲り部21を有する構造となる。これにより、架橋部20と被支持基板部10との接続部近傍に発生する応力集中を緩和する効果が得られる。
本実施形態では、曲り部として架橋部20に少なくとも一つの屈曲部21を形成する。「屈曲」とは、例えば、直線状の部位が互いに角度を持ちながら接続されているような、明確に角が現れた部位を有するものを意味する。
このような屈曲部21を有する形状であれば、架橋部20および被支持基板部10の接続部と、架橋部20および支持基板部30の接続部との間を、曲線状の架橋部20で連結した場合と比較してより長い経路を設定することができる。この結果、熱伝導度が低下して、ガス検知素子Xの耐熱性能をさらに向上させることができる。
図2,3,5には一つの屈曲部21を形成したガス検知素子Xを示す。また、図4には二つの屈曲部21a,21bを形成した場合を示す。このように屈曲部21を設けることで、ガス検知素子Xの上面視形状は、略卍型(図2〜4)、鉤型二架橋(図5)となる。
屈曲部21の形状は、通常は図2〜5に示したように二次元的なものである。この場合、平面的なスペースをとらず、製作も容易となる。
しかし、屈曲部21の形状は三次元的なものでもよい。例えば、架橋部20の少なくとも一部を、被支持基板部10が配設してある平面と異なる平面上に配設してもよい。このとき、例えば被支持基板部10と支持基板部30とが高低差を持つように架橋部20を立体的に配設すれば、熱絶縁性を更に向上させることができる。
本発明のように架橋部20に少なくとも一つの曲り部21を形成することで、被支持基板部10と支持基板部30との間を直線状の架橋部20で連結した場合に比べて、架橋部20の長さを大きく確保することができる。
このとき、被支持基板部10で生じた加熱手段14の熱が支持基板部30に伝達し難くなる。このように、熱伝導度を低下させることで、被支持基板部10に設けたガス感応部11からの熱拡散を低減することができる。
この結果、ガス検知素子Xをパルス駆動する際にガス検知素子Xに加える入熱量が少なくなり、結果としてガス検知素子X全体に加えるエネルギーの量が低下する。入熱量が低下することで、架橋部20等の熱膨張の程度も少なくなる。このとき、架橋部20と被支持基板部10との境界付近に生じる膨張・収縮が低減化されて熱劣化や破損が生じるのを抑制することができる。
架橋部20において、被支持基板部10から曲り部21までの長さは、支持基板部30から曲り部21までの長さより短く設定するとよい。
本実施形態のガス検知素子Xは、1つの架橋部20において、被支持基板部10に対する延出方向と支持基板部30に対する延出方向とが異なる。即ち、架橋部20は被支持基板部10から延出した後、ある程度被支持基板部10から離間した位置(屈曲部21)で延出方向を変更して支持基板部30と連結する。
本発明のごとく、1つの架橋部20において、被支持基板部10に対する延出方向と支持基板部30に対する延出方向とが異なる方向に設定すれば、架橋部20に発生する伸び変形の方向を、曲がった部位の両側において異なる方向に設定することができる。例えば、架橋部20のうち屈曲部21から被支持基板部10までの部位を、被支持基板部10に固定した腕と考えると、被支持基板部10に回転を生じさせるのは、主に架橋部20のうち屈曲部21から支持基板部30までの部分に生じた熱膨張分である。この熱膨張分は、架橋部20に生じた熱膨張の一部である。よって、腕が出た状態の上記被支持基板部10の回転に寄与する熱膨張量は少なくなる。つまり、被支持基板部10の中心からより遠い作用点(屈曲部21)に対して、より少ない回転駆動力が作用することとなり、被支持基板部10の回転角度が小さくなる。このように、架橋部20に屈曲部21を設けることで、架橋部20に生じる熱膨張が、架橋部20と被支持基板部10との接続部に及ぼす影響を少なくすることができ、ガス検知素子Xの耐熱性能を向上させることとなる。
図4に示したように二つの屈曲部21a,21bを形成した場合には、前記回転駆動力はそれぞれの屈曲部21a,21bに分散して作用することとなり、各屈曲部に及ぶ熱膨張の影響を少なくすることができ、ガス検知素子Xの耐熱性能を更に向上させることとなる。
このように、本発明のガス検知素子Xは、被支持基板部10を複数の架橋部20によって支持基板部30に支持したサスペンド型のガス検知素子Xであるため熱絶縁性に優れると共に、消費電力を少なくするためにパルス駆動した場合であっても熱劣化し難く、熱衝撃に対して優れた耐久性を有する。
架橋部20の上には配線が形成してある(図外)。当該配線を経由して、ガス感応部10が感知した信号をガス検知回路の制御部(図外)に送信する、或いは、加熱手段14に電力を供給することができる。
図2〜5に示したように、架橋部20のうち被支持基板部10からの延出方向を、被支持基板部10の対角線の方向に一致させてある。
このとき、架橋部20は、矩形状に形成した被支持基板部10における角部から延出する。当該角部は、ガス感応部11の作製時に焼結体ペーストが薄く塗布される部位である。そのため、ガス感応部11の作製時に焼結体ペーストが架橋部20に付着するのを防止し易くなる。
また、図2,4,5では、被支持基板部10および支持基板部30は上面視で矩形状であり、被支持基板部10の対角線の方向と支持基板部30の対角線の方向が異なるように構成してある。
さらに、図3では、支持基板部30から延出する架橋部20の延出方向は、被支持基板部10および支持基板部30の対角線の方向と異なるように構成してある。
本発明のガス検知素子Xの製造方法について以下に説明する。
積層体Aは、MEMS技術を利用して以下のようにして形成した。
シリコン基板上にSiO2層とSiNx層等からなるダイアフラム(膜厚1〜2μm)を形成した後、その上にPt層を形成し、加熱手段14のパターンをドライエッチング加工した。その後、絶縁層13をSiO2層により形成した。当該絶縁層13の上に、一対の検出電極12を加熱手段14と同様の手法で形成した。
尚、ダイアフラムは、上述した膜の他にSiO2単層膜、Ta25単層膜等を適用する
ことが可能である。
次に、複数の架橋部20および被支持基板部10を残すようにシリコン異方性エッチング加工し、複数の架橋部20によって保持した被支持基板部10を形成した。このようにして形成された架橋部20および被支持基板部10は、比較的硬質に形成される。
さらに、検出電極12を覆うように金属酸化物半導体を構成成分とするガス感応部11を形成する。
金属酸化物半導体として酸化スズを使用した。マイクロディスペンサーを用いて酸化スズペーストを上述した検出電極12の上に塗布し、乾燥後、600℃で1時間焼成した。さらに、酸化スズ焼結体にPd触媒を電着法によって付着させ、乾燥後、600℃で30分焼成することによりガス感応部11を形成した。
ガス感応部11の膜厚は、例えば10〜50μmとなるように形成するのが好ましい。
当該膜厚が50μm以上であると、ガス感応部11を一定温度に維持するための消費電力が大きくなる。また、通常、ガス感応部11を保持する被支持基板部10および架橋部20の厚さは1〜2μmで形成してあるため、被支持基板部10および架橋部20の熱衝撃に対する耐久性が悪化する。さらに、膜厚が厚くなると製造が困難になる。
一方、当該膜厚が10μm以下であると、ガス感度の長期安定性が悪化する。
このようにして製造された本発明のガス検知素子Xに対して、温度変化を繰り返して熱衝撃を与えた場合の耐久性を調べた。本実験では、図2〜5に示したガス検知素子Xを用いた(図2:卍型(a)、図3:卍型(b)、図4:卍型(c)、図5:鉤型二架橋構造)。
比較例として、架橋部に屈曲部を設けない従来型(X型)のガス検知素子を3つ用いた(X型(a)、X型(b)、X型(c))。X型のガス検知素子は、架橋部を四本備える。3つのガス検知素子において、それぞれの架橋部の幅は同一(20μm)となるように形成した。一方、架橋分の長さは、それぞれ15、20、40μmとなるように異ならせて形成してある。
サンプル数は、卍型(a):39個、卍型(b):15個、卍型(c):13個、鉤型二架橋構造:15個、X型(a):14個、X型(b):41個、X型(c):39個とした。
実験は、各ガス検知素子において室温〜500℃のサイクルを繰り返し行い、熱衝撃を与えた。図6に結果を示した。熱衝撃により、架橋部に亀裂が発生して故障したガス検知素子の故障率を調べた。
従来型のガス検知素子は、熱衝撃を繰り返すと、何れの素子も架橋部に亀裂を生じて断線した。しかし、本発明のガス検知素子Xは、何れの素子も架橋部に亀裂を生じず、1000万回以上の熱衝撃に対して優れた耐久性を示した。
〔別実施の形態〕
(1)上述した実施形態では、被支持基板部10および支持基板部30は上面視で矩形状であり、被支持基板部10の対角線の方向と支持基板部30の対角線の方向が異なるように構成したが、このような態様に限定されるものではなく、被支持基板部10の対角線の方向と支持基板部30の対角線の方向が一致するように構成してもよい。
(2)上述した実施形態では、架橋部20の幅は変化しない。即ち、支持基板部30近傍の幅と被支持基板部10近傍の幅とは同じであるように構成した。しかし、これに限られるものではなく、架橋部が有する幅のうち、支持基板部30近傍の幅を被支持基板部10近傍の幅に対して広く設定してもよい(図7)。
本構成によれば、被支持基板部10の熱が架橋部20に伝達し難くなると共に、一旦、架橋部に伝わった熱は、支持基板部30の側ほど幅広に構成した架橋部を介して支持基板部10に拡散し易くなる。
この結果、被支持基板部10の熱が架橋部20に伝達し難くなることでガス感応部11の加熱効率が高まり、ガス感応部11に与える入熱量が小さくなるから、ガス検知素子Xの電力消費量を低減することができる。
一方、一旦、架橋部に伝わった熱は、支持基板部30の側ほど幅広となった架橋部20によって速やかに支持基板部30の側に拡散する。よって、架橋部20の冷却効果が高まり、耐熱性能に優れたガス検知素子Xを得ることができる。
また、架橋部は、その幅が支持基板部30の側ほど漸増する部位を有するように構成してもよい。
(3)上述した実施形態では、積層体Aを、ダイアフラム・加熱手段14・絶縁層13・検出電極12・ガス感応部11を設けて構成した。しかし、このような態様に限らず、例えば、積層体Aをダイアフラム・加熱手段(検出電極兼用)・半導体ガス感応部によって構成する熱線形半導体式ガス検知素子、或いは、ダイアフラム・加熱手段・絶縁層・触媒層によって構成する接触燃焼式ガス検知素子とすることが可能である。
(4)上述した実施形態では、1つの架橋部20についてみると、被支持基板部10に対する架橋部20の延出方向と、支持基板部30に対する架橋部20の延出方向とを、異なる方向に設定した場合について説明した。しかし、これに限られるものではなく、1つの架橋部20について、単に、少なくとも一箇所の曲り部を設けるように構成することが可能である。
この場合、被支持基板部10に対する架橋部20の延出方向と、支持基板部30に対する架橋部20の延出方向とが同じになるように構成できる。例えば、架橋部20の途中で「く」字型或いは「コ」字型に屈曲するように構成することができる。「く」字型に構成した場合において曲り部は3箇所、「コ」字型に構成した場合において曲り部は4箇所設けることとなる。
本構成においても、架橋部20のうち曲がった部位から被支持基板部10までの部位を、被支持基板部10に固定した腕と考えると、被支持基板部10に回転を生じさせるのは、主に架橋部20のうち残りの長さの部分に生じた熱膨張分である。この熱膨張分は、架橋部に生じた熱膨張の一部である。よって、腕が出た状態の被支持基板部10の回転に寄与する熱膨張量は少なくなる。つまり、被支持基板部10の中心からより遠い作用点に対して、より少ない回転駆動力が作用することとなり、被支持基板部10の回転角度が小さくなる。このように、被支持基板部10に対する架橋部20の延出方向と、支持基板部30に対する架橋部20の延出方向とが同じであっても、架橋部20に、少なくとも一箇所の屈曲部を設けることで、架橋部20に生じる熱膨張が、架橋部20と被支持基板部10との接続部に及ぼす影響を少なくすることができ、ガス検知素子Xの耐熱性能を向上させることとなる。
(5)前記曲がり部は、支持基板部30に近い側に形成される第一曲り部と、被支持基板部10に近い側に形成される第二曲り部と、を含むように構成してもよい(図4参照)。
この場合、架橋部20において、支持基板部30から第一曲り部までの延出方向と、被支持基板部10から第二曲り部までの延出方向とが一致するように構成できる。
また、架橋部20において、第一曲り部から第二曲り部までの長さは、支持基板部30から第一曲り部までの長さ、および、被支持基板部10から第二曲り部までの長さよりも長くなるように構成できる。
本発明は、ガス感応部および加熱手段を設けた被支持基板部が、複数の架橋部によって支持基板部に支持してあるガス検知素子に利用できる。
X ガス検知素子
10 被支持基板部
11 ガス感応部
14 加熱手段
20 架橋部
21 屈曲部
30 支持基板部

Claims (7)

  1. ガス感応部および加熱手段を設けた被支持基板部が、複数の架橋部によって支持基板部に支持してあるガス検知素子であって、
    前記架橋部に少なくとも一つの曲り部を形成してあるガス検知素子。
  2. 前記被支持基板部に対する前記架橋部の延出方向と、前記支持基板部に対する前記架橋部の延出方向とを、異なる方向に設定してある請求項1に記載のガス検知素子。
  3. 前記曲り部を屈曲した屈曲部で形成してある請求項1又は2に記載のガス検知素子。
  4. 前記被支持基板部が上面視で矩形状であり、前記架橋部のうち前記被支持基板部からの延出方向を、前記被支持基板部の対角線の方向に一致させてある請求項1〜3の何れか一項に記載のガス検知素子。
  5. 前記架橋部が有する幅のうち、前記支持基板部近傍の幅を前記被支持基板部近傍の幅に対して広く設定してある請求項1〜4の何れか一項に記載のガス検知素子。
  6. 前記加熱手段・前記被支持基板部・前記架橋部をMEMS技術により形成してある請求項1〜5の何れか一項に記載のガス検知素子。
  7. 前記架橋部の少なくとも一部を、前記被支持基板部が配設してある平面と異なる平面上に配設してある請求項1〜6の何れか一項に記載のガス検知素子。
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