JPH10318758A - 圧電マイクロ角速度センサおよびその製造方法 - Google Patents

圧電マイクロ角速度センサおよびその製造方法

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JPH10318758A
JPH10318758A JP9147312A JP14731297A JPH10318758A JP H10318758 A JPH10318758 A JP H10318758A JP 9147312 A JP9147312 A JP 9147312A JP 14731297 A JP14731297 A JP 14731297A JP H10318758 A JPH10318758 A JP H10318758A
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weight
angular velocity
soi substrate
vibration
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JP9147312A
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Yoshihiro Konaka
義宏 小中
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Murata Manufacturing Co Ltd
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Murata Manufacturing Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 高感度な圧電マイクロ角速度センサを提供す
る。 【解決手段】 複数の梁2の基端側を支持部1の異なる
位置に固定し、各梁2の先端側を共通に連接し、この連
接部に重り3を形成する。梁2には下部電極4と圧電膜
5と上部電極6を順に積層形成する。シリコンで構成さ
れた支持層12に酸化膜13とシリコンで構成された活
性層14が順に積層され一体化したSOI基板15によ
り支持部1と重り3を形成し、SOI基板15の活性層
14により梁2を形成する。梁2を加工形成する場合、
SOI基板15の支持層12側から活性層14に達する
まで梁2の形成領域をエッチング除去する。酸化膜13
をエッチングするエッチング材は活性層14をエッチン
グしないので、酸化膜13のエッチングは活性層14に
達するとストップし、梁2を活性層14の厚みに精度良
く形成できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は半導体製造技術を用
いて形成される圧電マイクロ角速度センサおよびその製
造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】図7には本出願人らが提案している角速
度センサの一例(特開平6−174739号公報参照)
が示され、図7の(a)にはその平面図が、図7の
(b)には上記図7の(a)に示すA−A部分の断面構
成がそれぞれ示されている。
【0003】図7の(a)と(b)に示すように、この
角速度センサは梁2の形成領域を囲むように形成された
支持部1を有し、この支持部1から互いに間隙を介して
梁2(2a,2b,2c,2d)が伸長形成され、各梁
2の先端側は共通に連接されており、各梁2の先端側の
連接部には重り3が図7の(b)に示す下側に向けて突
設形成されている。上記各梁2は隣り合う梁2の伸長方
向と直交するように伸長形成され、また、各梁2は支持
部1よりも薄く形成されて図7の(b)に示す上下方向
に撓み変形可能な構成になっている。
【0004】また、上記各梁2には下部電極4と圧電膜
5と上部電極6が順に積層形成されており、上記梁2
a,2cの各下部電極4と圧電膜5と上部電極6の積層
体はそれぞれ振動励振器8(8a,8c)を構成し、上
記梁2b,2dの各下部電極4と圧電膜5と上部電極6
の積層体はそれぞれ振動検出器10(10b,10d)
を構成している。
【0005】例えば、上記梁2a,2cの各振動励振器
8a,8cをそれぞれ電圧印加手段(図示せず)に接続
し、上記電圧印加手段から振動励振器8a,8cの各下
部電極4と上部電極6間に交流電圧を印加すると、振動
励振器8a,8cの各圧電膜5が伸縮して梁2a,2c
を撓み変形させる。この交流電圧印加時に上記振動励振
器8aに印加する交流電圧と180度位相がずれた交流
電圧を振動励振器8cに印加すると、梁2a,2cは、
図8の(a)に示す点線αaや鎖線αbのように、二次モ
ードで励振振動し、重り3は固定部Sを支点にして振り
子のように図8の(a)に示す励振方向(梁2a,2c
の伸長方向)に振動する。
【0006】このように、励振振動している状態で、角
速度センサが図8の(b)に示すz軸回りに回転する
と、重り3の振動方向と回転軸方向の両方向に直交する
方向(図8の(b)に示すy方向)のコリオリ力が重り
3に作用し、重り3がコリオリ力の作用方向(y方向)
に振動する。
【0007】上記コリオリ力による重り3の振動によ
り、梁2b,2dが撓み変形して図8の(b)に示す点
線βaや鎖線βbのように二次モードで検出振動し、この
梁2b,2dの検出振動により梁2b,2dの各振動検
出器10b,10dの圧電膜5が伸縮し圧電膜5の応力
が変化する。この圧電膜5の応力に応じた電圧が各振動
検出器10b,10dから検出され、該検出電圧に基づ
きz軸回りの角速度の大きさωを検出することが可能で
ある。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上記梁2は
次のようにして加工形成される。例えば、図9の(a)
に示すように、シリコン基板11の表面の各梁2の形成
領域に下部電極4と圧電膜5と上部電極6を積層形成し
た後に、支持部1と梁2と重り3の各パターンとなる領
域以外の図7の(a)に示す領域C,D,E,Fを、図
9の(b)の点線に示すように、シリコン基板11の表
面側から予め定めた梁2の底面の深さまでエッチング除
去し、その後、図9の(c)に示すように、シリコン基
板11の裏面側から梁2の形成領域と上記領域C,D,
E,Fを水酸化カリウム等のエッチング液を用いた異方
性エッチングにより除去していき、梁2が予め定めた厚
みhになったときにエッチングを終了することにより、
上記領域C,D,E,Fがシリコン基板11を貫通し、
梁2が加工形成される。
【0009】しかしながら、梁2を予め定めた厚さhに
精度良く加工形成するのは非常に困難である。それとい
うのは、水酸化カリウム等のエッチング液によるシリコ
ン基板11の深さ方向のエッチング速度はエッチング液
の温度により可変し、そのエッチング液の温度制御は難
しく、エッチング液を予め定めた温度に一定に維持する
のが非常に困難であり、このことにより、上記エッチン
グ速度が一定にならずに次のような問題が生じるからで
ある。
【0010】例えば、予め定めた設定温度のエッチング
液がシリコン基板11の裏面側からエッチングを行って
梁2の底面の深さに達するまでに要するエッチング時間
tを予め求めておき、上記図9の(c)に示すように、
シリコン基板11の裏面側からエッチングを開始して上
記エッチング時間tが経過したときにエッチングを終了
するようにした場合、上記エッチング液の温度制御の問
題からエッチング液が設定の温度からずれてエッチング
速度が早くなり、シリコン基板11が深くエッチングさ
れて梁2が薄くなってしまったり、反対に、エッチング
速度が遅くなり、シリコン基板11のエッチングが浅く
なり梁2が厚くなってしまい、梁2を予め定めた厚みh
に形成することができず、梁2の厚みが角速度センサ毎
に大きく異なってしまう。
【0011】上記のように、梁2を精度良く加工形成で
きないので、梁2(2a,2c)の励振振動の共振周波
数と梁2(2b,2d)の検出振動の共振周波数が大き
く異なって梁2(2b,2d)の検出振動が梁2(2
a,2c)の励振振動に共振せず、検出振動の振幅が小
さくなる。このことにより、振動検出器10b,10d
から検出される検出電圧のレベルが低くなり、検出電圧
のSN比が悪化して正確な角速度の大きさを得ることが
できず、角速度センサの感度が大幅に低下してしまう。
そこで、上記梁2a,2cの励振振動の共振周波数と梁
2b,2dの検出振動の共振周波数をほぼ一致させる共
振周波数の調整が行われる。
【0012】しかし、上記の如く、梁2の厚みは角速度
センサ毎に異なるので、上記共振周波数の調整を角速度
センサ毎に個々に行わなくてはならず、共振周波数の調
整に手間がかかり非常に面倒である上に、梁2が設定の
厚みから大きくずれている場合には上記励振振動の共振
周波数と検出振動の共振周波数を一致させるのは非常に
困難であり、上記共振周波数の調整を行っても励振振動
の共振周波数と検出振動の共振周波数を一致させること
ができず、このことに起因して角速度センサの感度を向
上させることが難しいという問題がある。しかも、励振
振動の共振周波数と検出振動の共振周波数のずれは角速
度センサ毎に異なるので、角速度センサ毎に感度がばら
つくという問題がある。
【0013】また、前記の如く、梁2が設定の厚みhか
ら大きくずれると、上記共振周波数の調整が不可能とな
り、そのような角速度センサは不良品となって、角速度
センサの歩留まりを低下させ、角速度センサの価格が高
価になるという問題がある。
【0014】この発明は上記課題を解決するためになさ
れたものであり、その目的は、梁を精度良く加工形成す
ることを可能にし、高感度で角速度を検出することがで
き、しかも、安価な価格で提供することが容易な圧電マ
イクロ角速度センサおよびその製造方法を提供すること
にある。
【0015】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
にこの発明は次のような構成をもって前記課題を解決す
る手段としている。すなわち、圧電マイクロ角速度セン
サの第1の発明は、複数の梁の先端側が共通に連接さ
れ、各梁の基端側は異なる位置の支持部に固定され、上
記各梁の先端側の連接部には重りが形成され、上記各梁
には下部電極と圧電膜と上部電極が順に積層形成されて
おり、上記支持部と重りは、シリコン層である支持層の
上に酸化膜とシリコン層である活性層とが順に積層して
一体化したSOI基板により構成され、上記梁は上記S
OI基板の活性層により形成されている構成をもって前
記課題を解決する手段としている。
【0016】圧電マイクロ角速度センサの第2の発明
は、支持部に片持ち梁形状の梁を介して支持される重り
と、上記梁に設けられる下部電極と、この下部電極の上
に積層形成される圧電膜と、該圧電膜の上に積層形成さ
れる上部電極とを有し、上記支持部と重りは、シリコン
層である支持層の上に酸化膜とシリコン層である活性層
とが順に積層して一体化したSOI基板により構成さ
れ、上記梁は上記SOI基板の活性層により形成されて
いる構成をもって前記課題を解決する手段としている。
【0017】圧電マイクロ角速度センサの第3の発明
は、卍形状の梁の4端部を支持する支持部と、上記卍形
状の梁の中央交差部に形成される重りと、上記卍形状の
梁の中央交差部と支持端の間に設けられる下部電極と、
該下部電極の上に積層形成される圧電膜と、該圧電膜の
上に積層形成される上部電極とを有し、上記支持部と重
りは、シリコン層である支持層の上に酸化膜とシリコン
層である活性層とが順に積層して一体化したSOI基板
により構成され、上記梁は上記SOI基板の活性層によ
り形成されている構成をもって前記課題を解決する手段
としている。
【0018】圧電マイクロ角速度センサの製造方法の発
明は、シリコン層である支持層に酸化膜とシリコン層で
ある活性層が順に積層して一体化したSOI基板を用意
しておき、上記SOI基板の活性層の予め定められた梁
形成領域に下部電極と圧電膜と上部電極を順に積層形成
し、その後、梁と支持部と重りの各パターンとなる領域
以外の領域を上記活性層の上側から酸化膜に達するまで
除去し、然る後、梁の形成領域を上記SOI基板の支持
層の下側から活性層に達するまで除去すると共に、梁と
支持部と重りの各パターンとなる領域以外の領域をSO
I基板の支持層の下側から酸化膜の上に貫通するまで除
去して支持部と重りと梁を加工形成する構成をもって前
記課題を解決する手段としている。
【0019】上記構成の発明において、圧電マイクロ角
速度センサの支持部と重りはSOI基板により構成さ
れ、梁はSOI基板の活性層により構成される。この発
明の圧電マイクロ角速度センサの製造方法では、SOI
基板の下側から活性層に達するまで梁の形成領域をエッ
チング除去して梁の厚み方向の加工形成が行われる。
【0020】上記SOI基板の酸化膜をエッチング除去
するエッチング材は活性層をエッチングしないので、上
記酸化膜のエッチング材によるエッチングは活性層に達
するとストップし、活性層がエッチングされることはな
い。このことから、酸化膜のエッチング速度の変動の影
響を受けずに梁を活性層の厚みに精度良く形成すること
ができる。上記SOI基板の活性層の厚みは予め定めた
厚みに精度良く形成されているので、梁の厚みが圧電マ
イクロ角速度センサ毎に異なるという問題が回避され
る。
【0021】上記のように、梁を設定の厚みに形成でき
るので、圧電マイクロ角速度センサの歩留まりを向上さ
せることが容易となり、圧電マイクロ角速度センサの価
格の低下が図れる。
【0022】また、上記の如く、梁を設定の厚みに加工
形成できるので、励振振動と検出振動の共振周波数がほ
ぼ一致し、励振振動と検出振動の共振周波数の調整を行
わなくてもよくなり、共振周波数の調整の手間が省け
る。さらに、上記のように、励振振動と検出振動の共振
周波数がほぼ一致するので、検出振動が励振振動に共振
して圧電マイクロ角速度センサの感度を向上させること
が容易である上に、圧電マイクロ角速度センサ毎の感度
ばらつきがなくなり、高感度な圧電マイクロ角速度セン
サを提供することが可能である。
【0023】
【発明の実施の形態】以下に、この発明に係る実施形態
例を図面に基づき説明する。
【0024】図1には第1の実施形態例の圧電マイクロ
角速度センサが示され、図1の(a)にはその平面図が
図1の(b)には図1の(a)に示すA−A部分の断面
構成がそれぞれ示されている。この第1の実施形態例の
圧電マイクロ角速度センサが前記図7の角速度センサと
異なる特徴的なことは、圧電マイクロ角速度センサをS
OI(Silicon on insulator)基板により形成し、梁2
を設定の厚みに形成することが容易な構成としたことで
ある。それ以外の構成は前記図7の角速度センサの構成
と同様であり、図7の角速度センサの構成部分と同一名
称部分には同一符号を付し、図7の角速度センサの構成
と共通する部分の重複説明は省略する。
【0025】上記SOI基板は、図2の(a)に示すよ
うに、シリコンで形成された支持層12の上に酸化膜1
3(例えば、SiO2膜)と、シリコンで形成された活
性層14とが順に積層形成され一体化した基板15であ
る。このSOI基板15の支持層12は厚みを500μ
mに、酸化膜13は厚みを2μmに、活性層14は厚みを
5μmにそれぞれ形成されるという如く、SOI基板1
5の支持層12は酸化膜13や活性層14の層の厚みよ
りも格段に厚く形成される。この実施形態例では、図1
の(b)に示すように、支持部1と重り3はSOI基板
15により構成され、梁2はSOI基板15の活性層1
4により構成されている。
【0026】また、上記支持層12と活性層14の表面
には酸化膜16(例えば、膜厚が300nmのSiO
2膜)が形成されており、酸化膜16は各梁2a,2
b,2c,2dに形成される下部電極4と活性層14を
絶縁している。さらに、上記各下部電極4は支持部1に
向かって伸長形成され、各下部電極4の先端側には電極
パット18が形成されている。
【0027】この実施形態例では、下部電極4はCr
(クロム)膜にAu(金)膜を積層形成した積層膜によ
り構成され、圧電膜5はZnO(酸化亜鉛)膜により構
成され、上部電極6は、上記下部電極4と同様に、Cr
膜にAu膜を積層形成した積層膜により構成されてい
る。
【0028】この実施形態例の圧電マイクロ角速度セン
サは上記のように構成されており、前述したように、各
振動励振器8a,8cを電極パット18を介して電圧印
加手段(図示せず)に接続し、電圧印加手段から上記各
振動励振器8a,8cの下部電極4と上部電極6間に交
流電圧を印加すると、圧電膜5が伸縮し、この圧電膜5
の伸縮により梁2a,2cが撓み変形して梁2a,2c
が励振振動し、重り3が図1の(a)に示すx方向に振
り子振動する。この状態で、圧電マイクロ角速度センサ
がz軸回りに回転すると、重り3にy方向のコリオリ力
が作用し、重り3がy方向に振動し、梁2b,2dが撓
み変形して検出振動し、この梁2b,2dの振動検出器
10b,10dの圧電膜5が伸縮して圧電膜5の応力が
変化し、この圧電膜5の応力に応じた電圧が振動検出器
10b,10dから検出され、この検出電圧に基づいて
z軸回りの角速度の大きさωを検出することができる。
【0029】以下に、図1に示す圧電マイクロ角速度セ
ンサの製造方法の一例を説明する。まず、支持層12
(例えば、厚みが500μmの層)の上に酸化膜(例え
ば、膜厚が2μmの膜)と活性層12(例えば、厚みが
5μmの層)を積層して一体化したSOI基板15を用
意しておき、図2の(a)に示すように、SOI基板1
5を加熱し、SOI基板15の表裏両面を熱酸化させ、
SOI基板15の表裏両面にSiO2膜である酸化膜1
6(例えば、膜厚が300nmの膜)を形成し、その後、
SOI基板15の表面の各梁2の形成領域にそれぞれ下
部電極4を形成する。
【0030】この下部電極4は、前記の如く、Cr膜の
上にAu膜を積層形成した積層膜で形成されているの
で、Cr膜を蒸着等の成膜形成技術によりSOI基板1
5の表面に形成した後に、Au膜を蒸着等の成膜形成技
術により上記Cr膜の上に積層形成し、その後、下部電
極4以外のCr膜とAu膜を除去して下部電極4が形成
される。
【0031】次に、圧電膜15を構成するZnO膜をス
パッタ等の成膜形成技術によりSOI基板15の表面に
形成し、その後、圧電膜5以外のZnO膜を除去して下
部電極4の上に、図2の(b)に示すように、圧電膜5
が形成される。そして、圧電膜5の上に上部電極6を積
層形成する。この上部電極6は上記下部電極4と同様に
Cr膜にAu膜を積層形成した積層膜で形成されている
ので、前記下部電極4と同様にして圧電膜5の上に上部
電極6を形成する。
【0032】然る後、図2の(c)に示すように、支持
部1と梁2と重り3を形成する領域を規定するフォトレ
ジスト20をSOI基板15の表面に形成し、支持部1
と梁2と重り3の各パターンとなる領域以外の図1の
(a)に示す領域C,D,E,FをSOI基板15の表
面側から支持層12に達するまでRIE(リアクティブ
イオンエッチング)やプラズマエッチング等のドライエ
ッチングによる異方性エッチングにより除去する。
【0033】そして、図2の(d)に示すように、SO
I基板15の裏面に支持部1と重り3を形成する領域を
規定するフォトレジスト20を形成し、梁2の形成領域
と上記領域C,D,E,FをSOI基板15の裏面側か
らRIEやプラズマエッチング等により異方性エッチン
グを行い、梁2の形成領域および上記領域C,D,E,
Fの酸化膜16と支持層12と酸化膜13を順にエッチ
ング除去していく。SOI基板15の酸化膜13をエッ
チングするエッチング材は活性層14をエッチングしな
いので、酸化膜13のエッチング材によるエッチングは
梁2の形成領域の活性層14に達するとストップし、活
性層14はエッチングされない。このため、酸化膜13
のエッチング速度の変動により梁2の形成領域の活性層
14がエッチングされてしまい梁2が細くなるという問
題が回避でき、梁2は活性層14の厚みに精度良く加工
形成できる。
【0034】また、前記図2の(c)に示す工程で、上
記領域C,D,E,FはSOI基板15の活性層14ま
でエッチング除去されているので、この工程で、SOI
基板15の裏面側から領域C,D,E,Fの酸化膜13
までエッチング除去することにより、領域C,D,E,
FはSOI基板15を貫通する。
【0035】然る後、図2の(e)に示すように、上記
SOI基板15の表裏両面のフォトレジスト20をアッ
シャーを用いて除去し、圧電マイクロ角速度センサが完
成する。
【0036】この実施形態例によれば、梁2をSOI基
板15の活性層14により構成したので、この実施形態
例に示した圧電マイクロ角速度センサの製造方法により
梁2を加工形成することで、梁2を設定の厚みに加工形
成することができる。つまり、SOI基板15の裏面側
から梁2の形成領域をエッチングしていく場合に、SO
I基板15の酸化膜13をエッチングするエッチング材
は活性層14をエッチングしないので、酸化膜13のエ
ッチング材によるエッチングは活性層14に達するとス
トップし、梁2の形成領域の活性層14がエッチングさ
れて梁2が細くなるという問題を確実に回避することが
できる。このことから、梁2を活性層14の厚みに精度
良く形成することができる。上記活性層14は厚み精度
良く形成できるので、梁2の設定の厚みに形成された活
性層14を用いることにより梁2を設定の厚みに形成す
ることができる。
【0037】このように、梁2を設定の厚みに加工形成
できるので、励振振動と検出振動の共振周波数がほぼ一
致し、励振振動と検出振動の共振周波数の調整を行わな
くてもよくなり、上記共振周波数の調整の手間を省くこ
とができる。
【0038】また、励振振動と検出振動の共振周波数が
ずれていても、そのずれは非常に僅かであるので、励振
振動と検出振動の共振周波数の調整を容易に行うことが
可能で、励振振動と検出振動の共振周波数を一致させる
ことができる。上記のように、励振振動と検出振動の共
振周波数が一致するので、検出振動が励振振動に共振
し、このことに起因して圧電マイクロ角速度センサの感
度を大幅に向上させることができる。しかも、圧電マイ
クロ角速度センサの感度ばらつきが殆どなくなり、圧電
マイクロ角速度センサの性能の信頼性を高めることがで
きる。
【0039】さらに、上記の如く、梁2を設定の厚みに
形成できるので、従来の歩留まり低下の問題、つまり、
梁2が設定の厚みから大きくずれて励振振動と検出振動
の共振周波数の調整が不可能であり圧電マイクロ角速度
センサの不良品が多いという問題が回避され、圧電マイ
クロ角速度センサの歩留まりを向上させることができ
る。
【0040】さらに、SOI基板15の裏面側からドラ
イエッチングにより梁2の形成領域と領域C,D,E,
Fをエッチング除去するので、重り3のサイズを大きく
することが可能である。それというのは、ドライエッチ
ングは異方性エッチングを完璧に行うことができるの
で、重り3の側面をエッチングしてしまうことがなく、
図1の(b)に示すように、重り3の太さを基端側から
先端側にかけてほぼ同じ太さにすることができる。
【0041】これに対して、ウェットエッチングによる
異方性エッチングでも完璧にできる。しかしながら、ド
ライエッチングのように形状を任意の形にすることが難
しく、エッチング液により重り3の側面となる部分がエ
ッチングされてしまう。このため、図7の(b)に示す
ように、エッチング液に長い時間晒される重り3の先端
側はエッチング除去されてしまい、重り3の長さが短く
なる上に、重り3の基端側から先端側に向かうに従って
エッチング液に晒されている時間が長くなるので、重り
3の基端側から先端側に向かうに従ってエッチング液に
より重り3の側面がエッチングされる量が多くなり、重
り3は基端側から先端側に向かうに従って細くなる。こ
のようにウェットエッチングを用いることにより重り3
のサイズが小さくなる。
【0042】この実施形態例では、上記の如く、ドライ
エッチングを用いているので、上記のような問題を確実
に回避することができ、重り3のサイズを大きくするこ
とができる。このように、重り3のサイズを大きくする
ことができるので、前記コリオリ力による重り3の振動
が大きくなり、梁2の検出振動の振幅を大きくすること
ができることから、圧電マイクロ角速度センサの感度を
より高めることができる。
【0043】以下に、第2の実施形態例を説明する。こ
の第2の実施形態例において特徴的なことは、図3に示
すように、梁2が卍形状に形成されていることである。
それ以外の構成は前記第1の実施形態例と同様であり、
第1の実施形態例の構成部分と同一名称部分には同一符
号を付し、その共通部分の重複説明は省略する。なお、
図3では、前記図1に示す電極パット18の図示が省略
されている。
【0044】図3に示すように、梁2の形成領域を囲む
ように形成された支持部1の異なる位置に各梁2a,2
b,2c,2dの基端側が接続されている。上記各梁2
a,2b,2c,2dは折曲形成され、各梁2a,2
b,2c,2dの先端側は共通に連接され、上記梁2
a,2b,2c,2dは卍形状の梁2を構成している。
上記卍形状の梁2の中央交差部である梁2a,2b,2
c,2dの先端側の連接部には重り3が突設形成されて
いる。
【0045】上記卍形状の梁2の中央交差部と支持端の
間には、つまり、各梁2a,2b,2c,2dには、前
記第1の実施形態例と同様に、下部電極4と圧電膜5と
上部電極6が順に積層形成され、梁2a,2cの各下部
電極4と圧電膜5と上部電極6の積層体により振動励振
器8a,8cがそれぞれ構成され、梁2b,2dの各下
部電極4と圧電膜5と上部電極6の積層体により振動検
出器10b,10dがそれぞれ構成されている。また、
上記支持部1と重り3は前記SOI基板15により構成
され、梁2はSOI基板15の活性層14により構成さ
れている。
【0046】図3に示す圧電マイクロ角速度センサは、
前記第1の実施形態例同様に、振動励振器8a,8cに
交流電圧を印加して梁2a,2cに励振振動を発生させ
重り3を振動させ、この状態で、z軸方向を中心にして
圧電マイクロ角速度センサが回転すると、y方向のコリ
オリ力が重り3に作用して重り3がy方向に振動し、こ
の重り3の振動によって梁2b,2dが撓み変形して検
出振動し、梁2b,2dの圧電膜5が伸縮して圧電膜5
の応力が変化し、この圧電膜5の応力に応じた電圧が振
動検出器10b,10dから検出され、この検出電圧に
基づき、z軸回りの角速度の大きさωを検出することが
可能である。
【0047】この実施形態例によれば、前記第1の実施
形態例と同様に、梁2をSOI基板の活性層14により
構成したので、前述したように、梁2を設定の厚みに精
度良く加工形成することができ、このことにより、圧電
マイクロ角速度センサの歩留まりを向上させることがで
き、圧電マイクロ角速度センサの価格の低下を図ること
ができる。
【0048】また、上記の如く、梁2を精度良く加工形
成できるので、励振振動と検出振動の共振周波数を精度
良く一致させることが可能となり、検出振動を励振振動
に共振させることができ、圧電マイクロ角速度センサの
感度を向上させることが容易となるし、圧電マイクロ角
速度センサ毎に感度がばらつくという問題を防止するこ
とができ、圧電マイクロ角速度センサの性能の信頼性を
向上させることが可能である。
【0049】さらに、この実施形態例では、梁2が卍形
状に形成されているので、梁2の周りの環境温度の上下
変動に応じて梁2a,2b,2c,2dが伸縮しても、
上記各梁2a,2b,2c,2dはx方向やy方向に伸
縮自在であるので、上記環境温度の変動に起因して各梁
2a,2b,2c,2dが撓まず、以下に述べる温度ド
リフトの問題を回避することができる。
【0050】温度ドリフトとは、上記環境温度の変動に
より梁2が伸縮し、梁2が両端固定である場合には、各
梁2a,2b,2c,2dが撓み振動検出器10b,1
0dの圧電膜5が伸縮して振動検出器10b,10dか
ら検出される検出電圧がドリフトすることであり、この
温度ドリフトが起こると正確な角速度の大きさを検出で
きないという問題が生じるが、この実施形態例に示すよ
うに、梁2を卍形状にすることにより、上記の如く、上
記環境温度の変動に起因して各梁2a,2b,2c,2
dが撓まず温度ドリフトが回避でき、環境温度の変動の
悪影響を受けずに正確な角速度を検出することができ、
圧電マイクロ角速度センサの性能の信頼性をより高める
ことができる。
【0051】以下に、第3の実施形態例を説明する。こ
の実施形態例において特徴的なことは、図4に示すよう
に、圧電マイクロ角速度センサを構成する梁2が3本で
構成されていることである。それ以外の構成は前記各実
施形態例と同様であり、前記各実施形態例の圧電マイク
ロ角速度センサを構成する構成部分と同一名称部分には
同一符号を付し、その共通部分の重複説明は省略する。
なお、図4では、図1に示す電極パット18の図示が省
略されている。
【0052】図4に示すように、支持部1の異なる位置
にそれぞれ梁2a,2b,2cの基端側が接続され、各
梁2a,2b,2cの先端側は共通に連接され、この梁
2の先端側の連接部に重り3が突設形成されている。こ
の実施形態例では、梁2aと2b間の角度θと、梁2b
と2c間の角度θと、梁2cと2a間の角度θとが全て
等しくなるように、つまり、120度となるように、梁
2a,2b,2cが配置形成されている。
【0053】また、上記各梁2a,2b,2cには、前
記各実施形態例と同様に、下部電極4と圧電膜5と上部
電極6が積層形成され、梁2aに形成された下部電極4
と圧電膜5と上部電極6の積層体は振動励振器8aを構
成し、梁2b,2cに形成された各下部電極4と圧電膜
5と上部電極6の積層体はそれぞれ振動検出器10b,
10cを構成している。
【0054】この実施形態例においても、前記各実施形
態例同様に、支持部1と重り3はSOI基板15により
構成され、梁2はSOI基板15の活性層14により構
成されている。
【0055】図4に示す圧電マイクロ角速度センサは上
記のように構成されており、上記振動励振器8aを電圧
印加手段(図示せず)に接続し、この電圧印加手段から
振動励振器8aに交流電圧を印加すると、圧電膜5が伸
縮して梁2aが撓み変形し励振振動し、この梁2aの励
振振動により重り3がy方向に振り子振動する。この励
振振動状態で、圧電マイクロ角速度センサがz軸回りに
回転すると、x方向のコリオリ力が重り3に作用し、重
り3がx方向に振動する。この重り3の振動により梁2
b,2cが撓み変形し検出振動し、振動検出器10b,
10cの圧電膜5が伸縮して圧電膜5の応力が変化し、
圧電膜5の応力に応じた電圧が振動検出器10b,10
cから検出され、該検出電圧に基づいてz軸回りの角速
度の大きさが検出される。
【0056】この実施形態例によれば、梁2をSOI基
板の活性層14により構成したので、前記各実施形態例
同様に、梁2を設定の厚みに精度良く形成することがで
き、このことにより、圧電マイクロ角速度センサの歩留
まりを向上させることが容易となり、圧電マイクロ角速
度センサの価格の低下を図ることができる。
【0057】また、上記の如く、梁2を設定の厚みに精
度良く形成できるので、励振振動と検出振動の共振周波
数がほぼ一致し、このことにより、共振周波数の調整を
省くことができる。さらに、励振振動と検出振動の共振
周波数がずれていたとしても、そのずれは非常に小さ
く、励振振動と検出振動の共振周波数の調整を簡単に行
うことができる。上記のように、励振振動と検出振動の
共振周波数が一致することから、検出振動は励振振動に
共振し、このことに起因して圧電マイクロ角速度センサ
の感度を格段に向上させることができる。さらに、励振
振動と検出振動の共振周波数が一致することから、圧電
マイクロ角速度センサ毎に感度がばらつくという問題を
防止することができる。
【0058】さらに、この実施形態例では、梁2を3本
で構成したので、励振振動と検出振動の共振周波数の調
整がより簡単となり、より完璧に励振振動と検出振動の
共振周波数を一致させることができる。
【0059】以下に、第4の実施形態例を説明する。こ
の実施形態例において特徴的なことは、図5に示すよう
に、圧電マイクロ角速度センサを構成する梁2が両持ち
梁形状に形成されていることであり、それ以外の構成は
前記各実施形態例と同様であり、前記各実施形態例の構
成部分と同一名称部分には同一符号を付し、その共通部
分の重複説明は省略する。なお、図5では図1に示す電
極パット18の図示が省略されている。
【0060】図5に示すように、互いに対向する支持部
1の位置から梁2a,2bがそれぞれ伸長形成され、梁
2aの先端側と梁2bの先端側が連接され、梁2a,2
bは両持ち梁を構成している。上記梁2a,2bの先端
側の連接部、つまり、両持ち梁の中央領域には重り3が
突設形成されている。
【0061】また、上記各梁2a,2bには互いに間隙
を介して下部電極4と圧電膜5と上部電極6の積層体8
(10)が形成されている。この実施形態例では、上記
下部電極4と圧電膜5と上部電極6の積層体8(10)
は4個形成され、これら積層体のうちの2個が振動励振
器8として機能し、残りの2個が振動検出器10として
機能するように構成されている。
【0062】この実施形態例においても、支持部1と重
り3は、前記各実施形態例同様に、SOI基板15によ
り構成され、梁2はSOI基板15の活性層14により
構成されている。
【0063】この実施形態例の圧電マイクロ角速度セン
サは上記のように構成されており、上記振動励振器8を
電圧印加手段(図示せず)に接続し、電圧印加手段から
振動励振器8に交流電圧を印加すると、圧電膜5が伸縮
して梁2a,2bが捻れ変形して励振振動し、重り3が
y方向に振動する。この状態で、z軸回りに圧電マイク
ロ角速度センサが回転すると、x方向のコリオリ力が重
り3に作用して重り3がx方向に振動し、この重り3の
振動により梁2a,2bが撓み変形して検出振動し、振
動検出器10の圧電膜5が伸縮して圧電膜5の応力が変
化し、圧電膜5の応力に応じた電圧が振動検出器10か
ら検出され、この検出電圧に基づきz軸回りの角速度の
大きさを検出することができる。
【0064】この実施形態例によれば、前記各実施形態
例と同様に、梁2をSOI基板15の活性層14により
構成したので、前記各実施形態例同様に、梁2を設定の
厚みに精度良く加工形成でき、このことに起因して圧電
マイクロ角速度センサの歩留まりを向上させることがで
き、圧電マイクロ角速度センサの価格の低下を図ること
が可能であったり、梁2の励振振動の共振周波数と梁2
の検出振動の共振周波数を一致させることができて圧電
マイクロ角速度センサの感度を高めることができ、高感
度な圧電マイクロ角速度センサを提供できたり、圧電マ
イクロ角速度センサの感度ばらつきをなくすことがで
き、圧電マイクロ角速度センサの感度の信頼性をより向
上させることができる等の優れた効果を奏することがで
きる。
【0065】また、この実施形態例では、梁2が両持ち
梁形状であるので、梁2の形状が簡単で、梁2の製造を
容易に行うことができる。その上、上記の如く、梁2の
形状が簡単であることから、励振振動と検出振動の共振
周波数をより簡単に調整でき、励振振動と検出振動の共
振周波数をより一層正確に一致させることができる。
【0066】以下に、第5の実施形態例を説明する。こ
の実施形態例において特徴的なことは、図6の(a)や
(b)に示すように、梁2を片持ち梁形状で構成したこ
とである。それ以外の構成は前記各実施形態例と同様で
あり、前記各実施形態例を構成する構成部分と同一名称
部分には同一符号を付し、その共通部分の重複説明は省
略する。なお、図6では図1に示す電極パット18の図
示が省略されている。
【0067】図6の(a)や(b)に示すように、支持
部1に固定形成される片持ち梁2が形成され、この片持
ち梁2の先端側には重り3が突設形成されている。上記
片持ち梁2には間隙を介して下部電極4と圧電膜5と上
部電極6の積層体8(10)が形成されている。図6の
(a)や(b)に示す例では、上記下部電極4と圧電膜
5と上部電極6の積層体8(10)は、片持ち梁2に4
個設けられており、上記4個の積層体のうち、2個が振
動励振器8として機能し、残りの2個の積層体が振動検
出器10として機能するように構成されている。
【0068】上記支持部1と重り3は、前記各実施形態
例同様に、SOI基板15により構成され、梁2はSO
I基板15の活性層14により構成されている。
【0069】図6の(a)や(b)に示す圧電マイクロ
角速度センサは上記のように構成されている。上記振動
励振器8に交流電圧を印加すると、振動励振器8の圧電
膜5が伸縮し、この圧電膜5の伸縮により片持ち梁2が
撓み変形してz方向に検出振動し、この片持ち梁2の検
出振動に伴って重り3がz方向に振動する。この状態
で、y軸を中心にして圧電マイクロ角速度センサが回転
すると、x方向のコリオリ力が重り3に作用して重り3
がx方向に振動する。この重り3の振動により片持ち梁
2が捻れ検出振動し振動検出器10の圧電膜5が伸縮し
て応力が変化し、この圧電膜5の応力に応じた電圧が振
動検出器10から検出され、この検出した電圧に基づき
y軸回りの角速度の大きさωが検出できる。
【0070】この実施形態例によれば、前記各実施形態
例同様に、梁2を厚み精度良く形成できるので、前記各
実施形態例で述べたように、圧電マイクロ角速度センサ
の歩留まりを向上させることができ、圧電マイクロ角速
度センサの価格の低下を図ることができたり、励振振動
と検出振動の共振周波数が一致するので、検出振動が励
振振動に共振し圧電マイクロ角速度センサの感度を高め
ることができたり、圧電マイクロ角速度センサの感度ば
らつきを回避でき、圧電マイクロ角速度センサの性能の
信頼性を向上させることができる等の優れた効果を奏す
ることができる。
【0071】さらに、この実施形態例では、梁2を片持
ち梁で形成したので、梁2を製造するのが容易である
し、梁2の励振振動の共振周波数と検出振動の共振周波
数の調整が容易となり、励振振動と検出振動の共振周波
数をより正確に一致させることができる。
【0072】なお、この発明は上記各実施形態例に限定
されるものではなく、様々な実施の形態を採り得る。例
えば、梁2の形状および梁2の数は上記各実施形態例に
示した数に限定されるものではない。例えば、梁2の形
成領域を囲むように形成された支持部1の異なる位置か
ら5本以上の梁2を伸長形成し、上記複数の梁2の先端
側が共通に連接され、該梁2の連接部に重り3を形成す
るようにしてもよい。
【0073】また、図5や図6の(b)に示す例では、
各梁2a,2bに下部電極4と圧電膜5と上部電極6の
積層体が2個ずつ形成されていたが、第4と第5の実施
形態例に示すように、梁2が片持ち梁形状や両持ち梁形
状である場合には、上記積層体は振動励振器8と振動検
出器10の機能を兼用することができるので、上記各梁
2a,2bに形成された2個の積層体のうちの1個を削
減してもよい。さらに、図6の(a)に示すように、1
本の片持ち梁2により構成されている場合には、上記の
如く、上記積層体は振動励振器8と振動検出器10の機
能を兼用することができるので、上記積層体を1個だけ
梁2に形成するようにしてもよし、2個形成するように
してもよい。
【0074】さらに、上記各実施形態例では、圧電膜5
はZnOにより構成されていたが、圧電性を有する材料
であれば、ZnO以外のPZT(チタン酸ジルコン酸
鉛)等の材料により圧電膜5を構成してもよい。さら
に、上記各実施形態例では、下部電極4と上部電極6は
Cr膜にAu膜を積層した積層膜で形成されていたが、
下部電極4や上部電極6は導体の単層の膜により構成し
てもよいし、導体膜を3層以上積層した積層膜により構
成してもよい。また、下部電極4や上部電極6を構成す
る材料は上記CrやAu以外の材料でもよい。
【0075】さらに、上記第1の実施形態例では、梁2
aと2b間の角度と、梁2bと2c間の角度と、梁2c
と2d間の角度と、梁2dと2a間の角度とが全て90
度になるように各梁2が配置形成されていたが、上記各
角度は全て等しくなくてもよく、様々な角度を採り得
る。さらに、上記第3の実施形態例では、梁2aと2b
間の角度と、梁2bと2c間の角度と、梁2cと2a間
の角度とが全て等しくなるように配置形成されていた
が、上記各角度は全て等しくなくてもよく、様々な角度
を採り得る。
【0076】
【発明の効果】この発明によれば、支持部と重りをSO
I基板により構成し、梁をSOI基板の活性層により構
成したので、この発明の圧電マイクロ角速度センサの製
造方法を用いて、簡単に、梁を設定の厚みに加工形成す
ることができる。それというのは、上記SOI基板の酸
化膜をエッチング除去するエッチング材は活性層をエッ
チング除去しないので、酸化膜のエッチングは活性層に
達するとストップし、活性層をエッチングすることはな
い。このことから、酸化膜のエッチング速度の変動の影
響を受けずに、梁を活性層の厚みに精度良く加工形成す
ることができる。
【0077】このことから、梁が設定の厚みからずれて
加工形成されるという問題が回避され、圧電マイクロ角
速度センサの歩留まりを向上させることができ、圧電マ
イクロ角速度センサの価格の低下が図れ、安価な圧電マ
イクロ角速度センサを提供することができる。
【0078】また、上記の如く、梁を設定の厚みに加工
形成できるので、励振振動の共振周波数と検出振動の共
振周波数が一致し、励振振動の共振周波数と検出振動の
共振周波数を一致させるための共振周波数の調整を省く
ことができ、その共振周波数の調整の手間を省くことが
できる分、圧電マイクロ角速度センサを効率良く製造す
ることができる。
【0079】さらに、励振振動の共振周波数と検出振動
の共振周波数がずれていても、上記の如く、梁は設定の
厚みに加工形成できるので、上記励振振動と検出振動の
共振周波数のずれは非常に小さく、励振振動と検出振動
の共振周波数を一致させるのは容易であり、簡単に励振
振動と検出振動の共振周波数を一致させることができ
る。
【0080】上記のように、励振振動の共振周波数と検
出振動の共振周波数を一致させることができるので、検
出振動は励振振動に共振して検出振動の振幅が大きくな
り、このことに起因して圧電マイクロ角速度センサの感
度を向上させることが容易で、高感度な圧電マイクロ角
速度センサを提供できる。
【0081】さらに、上記の如く、励振振動の共振周波
数と検出振動の共振周波数を一致させることができるの
で、圧電マイクロ角速度センサの感度ばらつきがなくな
り、圧電マイクロ角速度センサの感度の信頼性を高める
ことができる。
【0082】梁が片持ち梁形状であるものにあっては、
梁の形状が簡単であるので、梁の製造が容易である上
に、励振振動と検出振動の共振周波数を一致させること
がより簡単で、このことにより、圧電マイクロ角速度セ
ンサをさらに効率良く製造することができ、圧電マイク
ロ角速度センサの価格をさらに低下させることが可能で
ある。
【0083】梁が卍形状であるものにあっては、梁の周
りの環境温度の上下変動に応じて梁が伸縮した場合に、
梁が折曲形成されているので、梁が撓むことなく伸縮す
ることができ、上記環境温度の変動に起因した梁の伸縮
によるストレスが梁に加わらず、つまり、上記環境温度
の変動に起因して圧電膜の応力が増大せず、このことに
より、上記圧電膜の応力に応じた検出電圧に上記ストレ
スに起因した電圧が加えられて検出電圧がドリフトして
しまうという温度ドリフトの問題を回避することがで
き、環境温度の上下変動の悪影響を受けずに正確な角速
度の大きさを検出することができ、角速度検出の性能の
信頼性をより向上させることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1の実施形態例を示す説明図である。
【図2】図1の圧電マイクロ角速度センサの製造方法の
一例を示す説明図である。
【図3】第2の実施形態例を示す説明図である。
【図4】第3の実施形態例を示す説明図である。
【図5】第4の実施形態例を示す説明図である。
【図6】第5の実施形態例を示す説明図である。
【図7】角速度センサの一例を示す説明図である。
【図8】角速度センサの動作例を示す説明図である。
【図9】図7の角速度センサの梁の製造手法の一例を示
す説明図である。
【符号の説明】
1 支持部 2 梁 3 重り 4 下部電極 5 圧電膜 6 上部電極 12 支持層 13 酸化膜 14 活性層 15 SOI基板

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 複数の梁の先端側が共通に連接され、各
    梁の基端側は異なる位置の支持部に固定され、上記各梁
    の先端側の連接部には重りが形成され、上記各梁には下
    部電極と圧電膜と上部電極が順に積層形成されており、
    上記支持部と重りは、シリコン層である支持層の上に酸
    化膜とシリコン層である活性層とが順に積層して一体化
    したSOI基板により構成され、上記梁は上記SOI基
    板の活性層により構成されていることを特徴とする圧電
    マイクロ角速度センサ。
  2. 【請求項2】 支持部に片持ち梁形状の梁を介して支持
    される重りと、上記梁に設けられる下部電極と、この下
    部電極の上に積層形成される圧電膜と、該圧電膜の上に
    積層形成される上部電極とを有し、上記支持部と重り
    は、シリコン層である支持層の上に酸化膜とシリコン層
    である活性層とが順に積層して一体化したSOI基板に
    より構成され、上記梁は上記SOI基板の活性層により
    構成されていることを特徴とする圧電マイクロ角速度セ
    ンサ。
  3. 【請求項3】 卍形状の梁の4端部を支持する支持部
    と、上記卍形状の梁の中央交差部に形成される重りと、
    上記卍形状の梁の中央交差部と支持端の間に設けられる
    下部電極と、該下部電極の上に積層形成される圧電膜
    と、該圧電膜の上に積層形成される上部電極とを有し、
    上記支持部と重りは、シリコン層である支持層の上に酸
    化膜とシリコン層である活性層とが順に積層して一体化
    したSOI基板により構成され、上記梁は上記SOI基
    板の活性層により構成されていることを特徴とする圧電
    マイクロ角速度センサ。
  4. 【請求項4】 シリコン層である支持層に酸化膜とシリ
    コン層である活性層が順に積層して一体化したSOI基
    板を用意しておき、上記SOI基板の活性層の予め定め
    られた梁形成領域に下部電極と圧電膜と上部電極を順に
    積層形成し、その後、梁と支持部と重りの各パターンと
    なる領域以外の領域を上記活性層の上側から酸化膜に達
    するまで除去し、然る後、梁の形成領域を上記SOI基
    板の支持層の下側から活性層に達するまで除去すると共
    に、梁と支持部と重りの各パターンとなる領域以外の領
    域をSOI基板の支持層の下側から酸化膜の上に貫通す
    るまで除去して支持部と重りと梁を加工形成する圧電マ
    イクロ角速度センサの製造方法。
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Cited By (8)

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