JP2014040884A - 動吸振器機構、画像形成装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】回転型の動吸振器機構において、小型化構成を実現し、画像形成装置等の装置を大型化させずに搭載可能とする。
【解決手段】感光体ドラム1の回転振動を制振するための動吸振器機構において、回転軸3に固定する固定ディスク11と、回転軸3と同軸上に配置しかつ回転可能に支持する回転ディスク13とからなる。固定ディスク11と回転ディスク13とは、主に粘性材料からなる粘性付与部材14と、主にばね性の材料からなるバネ部材15を回転軸3の回転方向に並列に配置して連結する。そして、回転ディスク13を、軸受19を介して回転軸3に回転可能に支持する。これにより粘性部(C)とばね部(K)を、並列に接続して構成するモデルを実現した動吸振機構を構成する。
【選択図】図3
【解決手段】感光体ドラム1の回転振動を制振するための動吸振器機構において、回転軸3に固定する固定ディスク11と、回転軸3と同軸上に配置しかつ回転可能に支持する回転ディスク13とからなる。固定ディスク11と回転ディスク13とは、主に粘性材料からなる粘性付与部材14と、主にばね性の材料からなるバネ部材15を回転軸3の回転方向に並列に配置して連結する。そして、回転ディスク13を、軸受19を介して回転軸3に回転可能に支持する。これにより粘性部(C)とばね部(K)を、並列に接続して構成するモデルを実現した動吸振機構を構成する。
【選択図】図3
Description
本発明は、複写機、プリンタ、ファクシミリ、少なくともこれらの二以上の機能を有する、複合機等の画像形成装置の回転駆動系に用いる動吸振器機構に関し、詳細には画像形成装置の感光体ドラムや転写ベルトの駆動ローラ又は現像ローラなどを速度変動なく安定な速度で駆動させるための回転型の動吸振器機構と、これを用いた画像形成装置に関する。
複写機等の画像形成装置の回転駆動系においては、感光体ドラムや転写ベルトの駆動ローラ又は現像ローラ等の回転体を速度変動なく安定な速度で駆動させるための回転型の動吸振機構が用いられることがある。
従来の画像形成装置の動吸振器機構としては、以下のようなものがある。
例えば特許文献1には、感光体ドラムに起こる振動を転写ドラムに伝えて制振するものが開示されている。またこの特許文献1では、転写ドラムは、慣性モーメントを有する慣性体と、バネ性を有する弾性要素と、減衰性を有する減衰要素とを含み、前記弾性要素および減衰要素によって動吸振器を構成している。
例えば特許文献1には、感光体ドラムに起こる振動を転写ドラムに伝えて制振するものが開示されている。またこの特許文献1では、転写ドラムは、慣性モーメントを有する慣性体と、バネ性を有する弾性要素と、減衰性を有する減衰要素とを含み、前記弾性要素および減衰要素によって動吸振器を構成している。
また特許文献2には、回転体に発生する振動現象を、ローラに対して動吸振器を用いることにより、副系として付加した動吸振器が振動エネルギーを散逸することで、主系であるローラやベルトの張力変動を低減させ、ショックジターと呼ばれる色むらや縞模様が発生する画像劣化を低減させて高画質化を図るようにした転写ユニット及び画像形成装置が開示されている。
ところで、振動減衰の最適化のためには、粘性部とばね部を並列に接続して構成するモデル(例えば、フォークトモデル)を忠実に実現する動吸振機構が適する。しかし、このモデルを再現するためには、前記の三つの機構要素(慣性、ばね、粘性)を、単純に並列に接続して構成すると、自ずと回転軸長手方向に長さが長くなり、装置の大型化につながるという問題がある。
そこで本発明は、振動減衰の最適化のために、粘性部(C)とばね部(K)を、並列に接続して構成するモデル(例えば、フォークトモデル)を、具体的形態で実現し、これを回転体の回転軸上に取り付け得るようにした回転型の動吸振機構と、これを備えた画像形成装置を提供することを目的としている。
本発明の動吸振器機構は、回転体の回転振動を制振するための動吸振器機構において、前記回転体の回転軸に固定する固定ディスクと、前記回転軸と同軸上に配置しかつ回転可能に支持する回転ディスクとからなり、前記固定ディスクと回転ディスクとは、主に粘性材料からなる粘性部材と、主にばね性の材料からなるバネ部材を前記回転軸の回転方向に並列に配置して連結するとともに、前記回転ディスクを、軸受をなす部材を介して回転可能に支持することを特徴とする。
本発明によれば、粘性部(C)とばね部(K)を、並列に接続して構成するモデル(例えば、フォークトモデル)を具体的形態で実現した動吸振機構を提供でき、この機構を種々のローラ等の回転体の端部や、感光体ドラム等の回転体内部に小型化して設けることができるので、画像形成装置等の装置全体の大型化を招かないという効果がある。
以下、図面を参照して本発明の実施形態を説明する。
<実施形態1>
まず、本発明を適用し得る画像形成装置の一例について図9を参照して説明する。図9は、本発明に係るシート搬送装置を装備し得る画像形成装置の一例を示す概略構成図である。なお、本発明の実施対象とする画像形成装置は、図示のものには限定されず、複写機、ファクシミリ装置、複写機能とファクシミリ機能等を備えた複合機等の機能を有するもの等々、画像形成を行う種々の装置が対象となる。
まず、本発明を適用し得る画像形成装置の一例について図9を参照して説明する。図9は、本発明に係るシート搬送装置を装備し得る画像形成装置の一例を示す概略構成図である。なお、本発明の実施対象とする画像形成装置は、図示のものには限定されず、複写機、ファクシミリ装置、複写機能とファクシミリ機能等を備えた複合機等の機能を有するもの等々、画像形成を行う種々の装置が対象となる。
図9において、画像形成装置の一例としての複写機100は、原稿トレイ110aに載置された原稿束から原稿を1枚分離して原稿読取部120上のコンタクトガラスに自動給紙する自動原稿搬送装置110と、自動原稿搬送装置110によってコンタクトガラス上に搬送された原稿を読み取る原稿読取部120と、給紙部130から給紙されたシート材に対して、原稿読取部120によって読み取った画像を形成する画像形成部(画像形成手段)140と、複数のシート材が積層されたシート束Sを有し、このシート束Sから最上位に位置するシート材S1を画像形成部140に給紙する給紙部130を備えている。なお、本実施の形態では、画像形成部140と給紙部130とは分割可能となっているが、そうでない構成でも良い。
給紙部130は、複数枚のシート材S1を積載するシート積載部材としての給紙カセット150と、給紙カセット150上の複数枚のシート材S1から最上位に位置するシート材を分離して搬送するシート分離給紙装置160とを含んで構成してある。
シート分離給紙装置160によって分離給紙されたシート材S1は、搬送経路170上を搬送されるようになっており、搬送経路170上を搬送されるシート材S1は、搬送ローラ対180により搬送され、転写ローラ190によって画像形成部140で形成されたトナー画像が転写され、このトナー画像が定着器200によって熱転写され、排紙ローラ対210により排紙トレイ220に排出する。
画像形成部140は、4つの作像部230(230Y(イエロー)、230C(シアン)、230M(マゼンタ)、230BK(ブラック))と、転写ベルトである中間転写ベルト240と、露光装置250とから構成してある。
露光装置250は、パーソナルコンピュータ、ワードプロセッサ等から入力される色分解された画像データや、原稿読取部120によって読み取られた原稿の画像データを光源駆動用の信号に変換し、それに従い各レーザ光源ユニット内の半導体レーザを駆動して光ビームを射出するようになっている。
作像部230Y、230C、230M、230BKは、それぞれ異なる色の画像(トナー像)を形成するようになっており、作像部230Y、230C、230M、230BKは、時計回転方向に回転駆動される像担持体である感光体260(260Y、260C、260M、260BK)、感光体260の周囲に配置された帯電部270、現像部280、クリーニング部290等により構成されている。
感光体260は、円筒状に形成され、図示しない駆動源により回転駆動される。感光体260の外周面部には感光層が設けられており、露光装置250から射出された破線で示す光ビームが感光体260の外周面にスポット照射されることにより、感光体260の外周面には画像情報に応じた静電潜像が書き込まれる。
帯電部270は、感光体260の外周面を一ように帯電するもので、感光体260に対して接触方式のものが採用されている。現像部280は、感光体260にトナーの供給を行い、供給されたトナーが感光体260の外周面に書き込まれた静電潜像に付着することにより、感光体260上の静電潜像がトナー像として顕像化させるもので、感光体260に対して非接触方式のものが採用されている。
クリーニング部290は、感光体260の外周面に付着している残留トナーをクリーニングするもので、感光体260の外周面にブラシを接触させるブラシ接触方式のものが採用されている。
中間転写ベルト240は、樹脂フィルム、または、ゴムを基体として形成された無端状ベルトから構成されており、感光体260上に形成されたトナー像が転写され、この中間転写ベルト240に転写されたトナー像が転写ローラ190によってシート材S1に転写される。
本発明の実施形態においては、回転系の振動成分を動吸振機構に移動させて、振動に伴う角加速度の変動を無くして等角速度回転に近づけようとするもので、例えば電子写真方式の感光体ドラムの回転安定化や、現像器スリーブの回転安定化や、中間転写ローラあるいは中間転写ベルトの回転安定化に適用され得るものである。図1に、回転系に付加された回転系の動吸振器の基本モデルを示す。図中、主慣性体Mが振動を有する感光体ドラムに相当し、その他が回転系動吸振器の構成に相当する。下記数式1のように、回転系動吸振器の付加による、振動の減衰率(ζ)は主慣性体M/副慣性体mの慣性モーメント比、バネ定数k、粘性係数cの選択で変化させることが可能である。
図2は本発明の実施形態1の構成例として、感光体ドラム1の回転安定化に適用した例を説明する。この動吸振機構は、回転軸の端部に同軸で位置するように設定してある。まず、機構全体の構成を説明する。
感光体ドラム1は、両端にフランジ2を設け、軸心に回転軸3を貫通させ、画像形成装置の図示しない装置本体を構成するフレーム4(図ではベースプレート5から立ち上がっている)に設けた軸受6で回転軸3の両端を支持して回転できるようにしてある。感光体ドラム1はフランジ2において固定ピン2aによって回転軸3に固定して一体とするようになっており、感光体ドラム1と回転軸3は一体的に回転する。回転駆動にはモータ7を用い、その回転は減速器8により減速させた後に、感光体ドラム1に伝える。
この様な構成で感光体ドラムの回転を行う時、本発明の実施形態に係る回転型の動吸振機構(図2において符号10で示す)が無い状態で、回転軸3の回転特性を計測すると、例えば、おおむね100Hz近傍に回転伝達系の共振周波数が確認される。この値は、回転変動の振幅のピーク位置に相当する。もし、この共振周波数帯に、回転変動となる、減速器内部の歯車の噛み合い振動周波数が合致すると振動が増幅され、さらに大きな回転変動となる問題や、回転軸3の回転安定化のために、例えばFB(フィードバック)制御をするのに必要な回転エンコーダ及びセンサーを取り付けている時は、その振動を検出してしまい、制御すべき周波数帯の制御値が不適当な値を導出してしまう結果となるなど、さまざまな問題が発生する。したがって、本発明の実施形態では、この共振周波数帯における振動振幅を最少にするために、回転軸3に回転型の動吸振機構10を結合させ、この機構部分に変動成分を移動させることによって、変動振幅量を抑制させようとする。なお図示の実施形態の動吸振機構10は、感光体ドラム1を支持する回転軸3に配され、その位置はモータ7及び減速器8の配置部位よりも図中左側に位置するが、本発明はこれに限定されず、図の左右が逆の構成でもよく、あるいは回転軸3を垂直に配し、モータ7及び減速器8に対して上下方向で感光体ドラム1の反対側に位置するように構成しても良い。
本発明の実施形態に係る回転型の動吸振機構部は、回転系動吸振器のモデルを再現する機構の実現だけでなく、小型化と、回転軸に対して容易に着脱可能に組み得るようにすることを図っている。図3は、図2に示した動吸振機構10を分解して示した図である。回転軸3の端部には固定ディスク11を固定する。図示の形態では止めネジ12で締結しているが、ピンとU字溝の嵌合による固定などを採用してもよい。
固定ディスク11と対向させて回転ディスク13が同心円をなす配置で設けてある。回転ディスク13は、その回転の中央部に粘性材料からなる付与機構14を設け、この粘性材料からなる付与部材(以下、粘性付与部材と記載する)14の外周には放射状にバネ材料(例えば、バネ性を有する棒材、板材等)からなる付与部材(以下、バネ性付与部材と記載する)15を設けてある。なお図中16は固定ディスク11側に設けた突起、17は回転ディスク13に設けた突起、18は回転ディスク13に止めネジ12で取り付けるフライホイール、19は回転軸3の端部に設けた軸受、20はストッパ機構である。
粘性付与部材14における粘性は、各種の粘性材料を用いて発生させ付与する。粘性材料としては、その成分中の粘性比率が大きく、意図的に粘性を付与する材料として選択された材料、例えば制振ゴム、ゲル、オイル、電気粘性材料などを挙げ得る。一般的には粘性と弾性が共存するものが好ましい。
バネ性付与部材15と粘性付与部材14という二つの機構を介して回転ディスク13が連動するように接続してあり、固定ディスク11側の微妙な正逆転の振動的動作が回転ディスク13側に伝わるようになっている。
それを図4(図2の断面A−Aを示す図)を参照して説明する。
回転ディスク13は、ガタ無く高精度にかつ固定ディスク11と同軸上に回転支持されなければならない。そして、小型化を実現するためには、回転体(図示の実施形態では感光体ドラム1)を支持する回転軸3上に設けることが好ましい。ただし、仮に回転軸3の長さを延ばし、回転ディスク13専用の部位とし、これを支持して取り付けを行う構成にすると、回転軸3の軸方向(長手方向)に構造が拡大してしまい、その部分が突出することによって動吸振機構10を装備する画像形成装置等の装置が大型化してしまう。そこで本実施形態では、回転軸3の長さを延ばすこと無く動吸振機構10を設けるようにしている。そのため回転ディスク13の中心には、回転軸との嵌合部位における回転摩擦抵抗が発生しないように、ボールベアリングあるいは滑り軸受(図3ではこれらを軸受19として示してある)を設けて、微少な回転振動でも回転ディスク13側に伝搬させ得るようにしてある。なお図4では、バネ性付与部材15に、棒材からなる棒バネを4本用いている。また棒バネは回転軸3を中心にして対向する位置に配置する2本ずつ異なる径のものを用いている(符号15a、15bと異なる符号を付して示してある)。
回転ディスク13は、ガタ無く高精度にかつ固定ディスク11と同軸上に回転支持されなければならない。そして、小型化を実現するためには、回転体(図示の実施形態では感光体ドラム1)を支持する回転軸3上に設けることが好ましい。ただし、仮に回転軸3の長さを延ばし、回転ディスク13専用の部位とし、これを支持して取り付けを行う構成にすると、回転軸3の軸方向(長手方向)に構造が拡大してしまい、その部分が突出することによって動吸振機構10を装備する画像形成装置等の装置が大型化してしまう。そこで本実施形態では、回転軸3の長さを延ばすこと無く動吸振機構10を設けるようにしている。そのため回転ディスク13の中心には、回転軸との嵌合部位における回転摩擦抵抗が発生しないように、ボールベアリングあるいは滑り軸受(図3ではこれらを軸受19として示してある)を設けて、微少な回転振動でも回転ディスク13側に伝搬させ得るようにしてある。なお図4では、バネ性付与部材15に、棒材からなる棒バネを4本用いている。また棒バネは回転軸3を中心にして対向する位置に配置する2本ずつ異なる径のものを用いている(符号15a、15bと異なる符号を付して示してある)。
ここで、バネ性付与部材15のバネ力の設定に関して説明する。上述の機構のように固定ディスク11と回転ディスク13が対向している状態で、同心円状かつ点対称の位置に、回転に起因するねじりによりトルクが発生するバネを設ける。図4では棒バネ15a、15bである。棒バネに代えて板バネを用いても良いことは既述のとおりである。
そして両方のディスク11、13に、棒バネ15a、15bの端部を差し込んで支持する。棒バネ15a、15bは、回転軸3のねじれ振動と一体で変位するように、固定ディスク11側に止めネジ12等で固定する。回転ディスク13側は差し込むだけとする。固定ディスク11側を止めネジ12等で固定するのは、ガタの発生により棒バネ15a、15bへの確実なトルク伝達が失われるのを防止するためである。したがって、例えば圧入加工による場合などでは、止めネジ12は不要である。
棒バネ15a、15bには、例えばステンレス製の丸棒を用い得るが、バネ性の値を変えるためにはその線径、取り付け長さ、取り付け本数を変更すれば良い。また図示の形態とは異なり、回転軸3の軸心に関して同じ線径のばね材を点対象に複数個配置することで、系の回転バランスを取りつつねじりトルクを上げることもできる。
回転ディスク13には、上述のように棒バネ15a、15bの他の端部を差し込むが、図3に示すように、差し込む位置には棒バネ支持板21を設ける。棒バネ支持板21は、例えばPOMなどの摩擦係数の低い樹脂材料で作ったものを用い、棒バネ15a、15bを差し込む部位における微少な回転ねじり振動においても、その変位を忠実に伝達させることができるように考慮している。なお、棒バネ支持板21については、支持板と記載したが棒バネ15a、15bとの接触部位において軸受として機能する構造であれば良い。
次に慣性(J)の付与に関する構成について説明する。
回転ディスク13には、フランジ部22が形成してあり、ここにドーナツ状の慣性体(フライホイール18)を取り付けて止めネジ12で固定してある。この構造は、回転時の偏心によるブレが発生しないようにするもので、慣性体であるフライホイール18の内径側は回転ディスク13のフランジ部22の外周に嵌合するように構成して同軸の精度が保障され得るようにし、それによって回転バランスがしっかり取れる構造としてある。したがって、この慣性体であるフライホイール18の外径を異ならせれば、微少に慣性力を可変させ得る。さらに大きな変化を与えようとする場合は、フライホイール18を複数枚を重ね合わせてフランジ部22に嵌め込んで固定するか、あるいはフライホイール18を構成する材料の比重(密度)を変えて構成する。例えば、フライホイール18を鉄系、ステンレス系、アルミ系というように変更すれば比重(密度)を変え得る。
回転ディスク13には、フランジ部22が形成してあり、ここにドーナツ状の慣性体(フライホイール18)を取り付けて止めネジ12で固定してある。この構造は、回転時の偏心によるブレが発生しないようにするもので、慣性体であるフライホイール18の内径側は回転ディスク13のフランジ部22の外周に嵌合するように構成して同軸の精度が保障され得るようにし、それによって回転バランスがしっかり取れる構造としてある。したがって、この慣性体であるフライホイール18の外径を異ならせれば、微少に慣性力を可変させ得る。さらに大きな変化を与えようとする場合は、フライホイール18を複数枚を重ね合わせてフランジ部22に嵌め込んで固定するか、あるいはフライホイール18を構成する材料の比重(密度)を変えて構成する。例えば、フライホイール18を鉄系、ステンレス系、アルミ系というように変更すれば比重(密度)を変え得る。
以上のような構成により、バネ(K)と粘性(C)の要素を並列的に配置させることが可能となり、加えてバネ(K)、粘性(C)、慣性(m)の各種条件をそれぞれ個別に、かつ容易に可変して、最適値とすることのできる動吸振機構を形成することができる。すなわち回転型の動吸振器機構において、その構成要素のうち、ばねと粘弾性要素を回転軸の回転方向に対して並列的に配置することで、モデルに忠実な回転型動吸振機構を小型に実現できる。また回転振動を吸振すべき回転体の回転軸上に付与するので、ロスなく減衰効率が高く、変動が少ない。これに加えて、従動的に動作する回転ディスク13の被支持部分を摩擦抵抗の少ない軸受構造としたので、微少な振動に対しても応答性が良く、高い減衰率が得られる。
次に、粘性付与部材14における小型化のための構造例を説明する。本実施形態では、制振用のゴム材料(粘性成分の大きなゴム材料)を用いて粘性付与部を形成する例を説明する。
回転軸3のねじり振動は極めて微少に正転、逆転方向にAC的(交流状)に発生するので、その振動を粘性でもって抑制する構成とする。したがって回転軸3が正逆双方向に回転する時に同じ粘性力がガタなく作用しなければならない。そこで図5に示すように、回転ディスク13と固定ディスク11の両者の間に十字形状の断面形状を有する粘性材料からなる粘性付与部材14を挟み込んで制振に用いている。
一方、両ディスク11、13に一体形成した突起16、17は、回転方向において圧縮変形をさせることができる凸型部分としてそれぞれ2個ずつ設けてある。これら突起16、17の凸型部分16a、17a(図5参照)は、それぞれ同一あるいはほぼ同一の形状となるように形成することが好ましい。そして一体化した結果として図2の組み立て図に示すように、寸法Lが短くて小型な機構を実現できる。なお両ディスク11、13及び突起16、17の材質は、アルミあるいはアルミ合金、銅、鉄あるいはそれらの焼結金属、またはステンレス製とすることが好ましい。高剛性で高強度なプラスチックでも良い。
また、粘性付与部材14を構成する粘性ゴム材料は、例えば5mm〜10mm程度の厚さを有し、図3、図4に示すような形状で配置する。すなわち、十字形状のゴム部14a、14b(図5参照)と突起16、17の凸型部分16a、17aを嵌めるスリット部14c・・・が放射状に形成してあって、中心部は円形の筒状部分14dとなるようにして、この中心部の筒状部分14dでゴム部14a、14bがつながっているとともに、後述するように位置決めできるようにしてある。
ここで十字形状をなすゴム部14a、14bの材料について説明する。上述した粘性ゴム材料と嵌合する固定ディスク11と回転ディスク13の凸型部分16a、17aは、図5に示すように回転軸3の軸線に関して一対ずつ、180°の対象位置に位置する構造として作ってあり、粘性ゴム材料のスリット部14cに90°ずつ位相を変えて嵌め込む。粘性ゴムには初期的な変形量を設定し、応力を作用させておき、回転力が作用したとき適当な粘性が得られるようにする。変形量は、凸型部分16a、17aの寸法と粘性ゴムのスリット部14cとの嵌合寸法により設定する。粘性ゴムの圧縮率を体積換算で例えばおおむね10〜30%圧縮であるとすると、粘性ゴムの量はゴムの硬度やゴム厚さにより異なる設定となる。
振動吸収用のゴム材料としては、一般的なゴム材料であるNBR(アクリロニトリルブタジエンゴム)やSBR(スチレンブタジエンゴム)、EPD(エチレンプロピレンゴム)、11R(ブチレンゴム)等を主体とし、オイルやプラスチック等の充填材を適当な分量混ぜて練り合わせ、反発性が低く、損失係数tanδが非常に高い値としたものが好ましい。粘生ゴム内部での粘性抵抗により、その内部では振動が熱に変換されて吸収されることになる。その他の粘性材料として、シリコーンを主体としたゲル材料を使用することも有効である。硬度はゴム硬度で30〜60度位のものを使用することが好ましい。粘性ゴムの粘性の大きさの指標となる損失係数(tanδ)の値としては、常温20℃、駆動周波数100Hz近傍で0.3〜2.5位が得られるものが好ましい。
以上述べたように、固定ディスク11と回転ディスク13に粘(弾)性材料に変形を与えるための突起部(凸型部分16a、17a)が、それぞれ一体的に形成されていることで、粘(弾)性ゴム材料(本明細書では、ゴム材料中の粘性成分と、弾性成分が共存していて、粘性成分が支配的なものを言う)に、回転振動時に変形を与える部分を、固定ディスク11と回転ディスク13のそれぞれと複合化して構成することにより、回転スラスト方向の短縮と小型化が実現できる。すなわち、粘(弾)性付与部を本実施形態とは異なり別体として固定ディスク11と回転ディスク13に結合しようとすると、本実施形態の止めネジ12での固定に相当する軸との締結部分が2箇所必要で、この部分にかなりの長さが必要となるが、これが回避される。また、本実施形態では構造がシンプルになるため、部品精度と組み付け性が大幅に向上する。
十字形状の粘性ゴム材料は、形状と寸法が同じで粘性値のみを異ならせたものと交換可能とすることが好ましい。粘性付与部材14を装備する対象となる装置の共振周波数におけるゲインを可変することができるからである。粘性値の異なる材料のものを複数種類用意しておいて、それを交換して使用することで、最も効率的にゲインに調整可能になる。一方、図示の実施形態のように棒バネ15a、15bだけでなく、十字形状のゴム部14a、14bでバネ成分を可変したい場合には、十字型形状のゴム部14a、14bを、弾性成分の大きな材料で形成し、やはり交換可能にするとよい。具体的には、粘性主体のゴム材料と弾性主体のゴム材料を組み合わせて交互に設定することになる。
その組み合わせの形態としては、図5、図6のように構成する。図5は、粘性主体のゴム部14aと、弾性主体のゴム部14bを90°ずつ位相を変えて交互に成形したものを使用する形態であり、図6は、粘性主体のゴム部14aと、弾性主体のゴム部14bをそれぞれ別途に成形し、そのような2体を図示のように回転軸3の軸線方向で並べて組み合わせて使用する形態である。いずれの形態を採用しても良いが、このようにすることで、必要なバネ力が小さい場合には、外周に配置する棒バネ15a、15b(あるいは板バネでも同様)をなくすことができ、逆に棒バネ15a、15bを配置した状態において若干のバネ力増加をさせたいというような微調整を行う場合にも、弾性主体のゴム材料の追加で対応することが可能となる。
なお、それぞれの特性の異なるゴム材料は、粘性力を主体とするもの、弾性力を主体とするものかの判別がつくように、それぞれの色を変えるなどすると良い。これは、例えば生産のラインにおいて色の調整作業を簡単に行える。
すなわち固定ディスク11と回転ディスク13間に設ける粘(弾)性材料が、異なる粘性特性と弾性特性を有したものを組み合わせた構成のものとし、かつそれらを交換のために着脱可能な構造とすることで、装置の共振特性にあわせて、最適な周波数と減衰特性を得るための微調整を容易に行え、同一箇所に、粘性要素とバネ性要素を組み合わせて設定することが可能となり、機構の簡素化と小型化にも寄与し得るのである。
図7は、粘(弾)性材料の位置決め構成を示す図である。粘(弾)性材料は、その回転中心部を回転軸3が貫通する構造のため、既述のように、回転軸3の径より若干大きな径を有する中空の筒状部分14dが連結部として設けてあって、この連結部に接続された複数個所の粘(弾)性部が圧縮変形されるように放射状に配置してある構造である。
この連結部(中空の筒状部分14d)は粘性部であるゴム部14a、14bと同じ材料による同時成形部品でも良いし、あるいはゲル状部材が使われる場合は、別部品として作られる樹脂又は金属材料のリング状の部材に接合された形態でも良い。圧縮変形が回転側及び、固定ディスク11側の突起16により、所定量正しく初期設定されるように回転方向の位置精度を確保することと(通常5〜20%程度の初期圧縮量でセットする)、中心位置がずれて、慣性的な振れ量変動が発生しない様な位置精度の確保がされて一体化される。これにより、分割された複数個の粘(弾)性材料部分を、ばらばらにすることなく一つにして保持しセットできる。そして、図中破線で示した回転ディスク13と固定ディスク11の突起17、16と、リング状の連結部である筒状部分14dの接触する部位Bによって、粘(弾性)性部材の取り付けるべき位置決めが精度良く行われる。
そしてこの構造により、回転型の動吸振機構10の回転中心を回転軸3が貫通できるようになり、回転軸3に直結された理想的な回転型の動吸振機構を実現できる。また分割された複数個の粘(弾)性材料部分を、ばらばらにすることなく一つにして保持しセットでき、そして回転軸3の軸線基準、すなわち系としての中心基準で精度良く設定することができる。また当然ながら、特性の異なる粘(弾)性材料を交換的に設定する場合も、調整は容易に行うことができる。
図2に示す装置構成で図3に示す動吸振機構10を使用するとき、発生する振動によって回転ディスク13が図2中で左方向に移動し、介在しているバネ性付与部材15や粘性付与部材14が脱落する可能性がある。それを防止するために、回転ディスク13の移動を規制するリング状のストッパ20が回転軸3端に設けてある。ストッパ20は止めネジ12で固定するか、図示しないが溝を設けてEリングのようなものを嵌め込むかして固定すると良い。回転ディスク13の回転抵抗とならないようにするため、ボールベアリングを使用する場合は、ボールベアリングの内輪に接触させるようにし、すべり軸受を使用する時には樹脂材料でリングを作り、接触部にはグリースなどの潤滑剤を塗布すると良い。ストッパ20は、回転型の動吸振機構10の組み立ての最後に設定するパーツであり、これにより各所の必要寸法が設定されつつ、分解しないように位置決めがされる。すなわち、動吸振機構10を、回転軸3の所定の位置に保持することが簡単に実現できる。また、着脱も容易になる。
なお既述のように棒バネ15a、15bなどのバネ材料のバネ力を変更可能にしているが、回転ディスク13と固定ディスク11の間の距離が一定であるので、棒バネ15a、15bの場合は、軸径又は材質を変更し、板バネの場合は材質に加えて板厚や幅を変更することとする。また棒バネの場合は回転ディスク13と固定ディスク11に設けた取り付け穴が丸穴となり、板バネの場合は角穴となるという違いがある。いずれにしても、被取り付け装置の共振特性にあわせた最適な周波数と減衰特性を得るためのバネ特性の変更が高精度に実現できる。また環境の変化に対しても安定となる。さらに、この構造によれば、装置の操作者がバネ材料の交換を簡単に行うことができる。
<実施形態2>
本実施形態では、図8に示すように、回転体である感光体ドラム1の回転軸3を基準として、この回転軸3に回転型の動吸振機構10を装備する。その位置は、感光体ドラム1上の作像動作に影響しない感光体ドラム1内に設定する。また、感光体ドラム1の回転を支持する軸受6の、ごく近傍に取り付け得るので、新たな回転の振れ振動を発生させることなく安定な吸振機能が得られる。したがって、被取り付け装置への組み付け工程も短時間に行えるし、周波数帯の微妙な調整を行う時にも操作がしやすく、容易に行える。
本実施形態では、図8に示すように、回転体である感光体ドラム1の回転軸3を基準として、この回転軸3に回転型の動吸振機構10を装備する。その位置は、感光体ドラム1上の作像動作に影響しない感光体ドラム1内に設定する。また、感光体ドラム1の回転を支持する軸受6の、ごく近傍に取り付け得るので、新たな回転の振れ振動を発生させることなく安定な吸振機能が得られる。したがって、被取り付け装置への組み付け工程も短時間に行えるし、周波数帯の微妙な調整を行う時にも操作がしやすく、容易に行える。
なおこの実施形態では、まず回転軸3に回転型の動吸振機構10をネジとストッパ20を使用して取り付け、その後、フランジ2と感光体ドラム1を取り付ければ簡単に構成できる。
なお仮に、内径が小さい小径の感光体ドラムが使用される時には、動吸振機構10の副慣性体であるドーナツ型の円盤であるフライホイール18の外径を小さくして、慣性量が等価となるように枚数(厚さ相当)を変えて設定すれば良い。感光体ドラム1内というデッドスペースに装着するので、装置の大型化には一切影響しない。また動吸振機構10を吸振すべき回転軸3そのものに付与するので吸振効率が良く、変動要素が少なくて安定なものとなる。さらに、使用する感光体ドラム1の内径に応じて吸振特性を保持したまま、任意の位置に設定することが可能で、装置の大型化を招かないで済む。
なお本発明は以上説明した実施形態に限定されるものではなく、多くの変形が本発明の技術的思想内で当分野において通常の知識を有する者により可能である。
1 :感光体ドラム
1 :固定ディスク
2 :フランジ
2a :固定ピン
3 :回転軸
4 :フレーム
5 :ベースプレート
6 :軸受
7 :モータ
8 :減速器
10 :動吸振機構
11 :固定ディスク
11 :ディスク
12 :止めネジ
13 :回転ディスク
14 :粘性付与部材
14 :付与機構
14a :ゴム部
14b :ゴム部
14c :スリット部
14d :筒状部分
15 :バネ性付与機構
15a :棒バネ
16 :突起
16a :凸型部分
17 :突起
18 :フライホイール
19 :軸受
20 :ストッパ
21 :棒バネ支持板
22 :フランジ部
100 :複写機
110 :自動原稿搬送装置
110a :原稿トレイ
120 :原稿読取部
130 :給紙部
140 :画像形成部
150 :給紙カセット
160 :シート分離給紙装置
170 :搬送経路
190 :転写ローラ
200 :定着器
220 :排紙トレイ
230 :作像部
230Y :作像部
240 :中間転写ベルト
250 :露光装置
260 :感光体
270 :帯電部
280 :現像部
290 :クリーニング部
B :位置決めのための部位
L :寸法
M :主慣性体
S、S1 :シート材
c :粘性係数
k :バネ定数
m :副慣性体
tanδ :損失係数
1 :固定ディスク
2 :フランジ
2a :固定ピン
3 :回転軸
4 :フレーム
5 :ベースプレート
6 :軸受
7 :モータ
8 :減速器
10 :動吸振機構
11 :固定ディスク
11 :ディスク
12 :止めネジ
13 :回転ディスク
14 :粘性付与部材
14 :付与機構
14a :ゴム部
14b :ゴム部
14c :スリット部
14d :筒状部分
15 :バネ性付与機構
15a :棒バネ
16 :突起
16a :凸型部分
17 :突起
18 :フライホイール
19 :軸受
20 :ストッパ
21 :棒バネ支持板
22 :フランジ部
100 :複写機
110 :自動原稿搬送装置
110a :原稿トレイ
120 :原稿読取部
130 :給紙部
140 :画像形成部
150 :給紙カセット
160 :シート分離給紙装置
170 :搬送経路
190 :転写ローラ
200 :定着器
220 :排紙トレイ
230 :作像部
230Y :作像部
240 :中間転写ベルト
250 :露光装置
260 :感光体
270 :帯電部
280 :現像部
290 :クリーニング部
B :位置決めのための部位
L :寸法
M :主慣性体
S、S1 :シート材
c :粘性係数
k :バネ定数
m :副慣性体
tanδ :損失係数
Claims (9)
- 回転体の回転振動を制振するための動吸振器機構において、
前記回転体の回転軸に固定する固定ディスクと、
前記回転軸と同軸上に配置しかつ回転可能に支持する回転ディスクとからなり、
前記固定ディスクと回転ディスクとは、主に粘性材料からなる粘性部材と、主にばね性の材料からなるバネ部材を前記回転軸の回転方向に並列に配置して連結するとともに、
前記回転ディスクを、軸受をなす部材を介して回転可能に支持する、
ことを特徴とする動吸振器機構。 - 請求項1に記載の動吸振器機構において、
前記回転体の回転軸心上に前記粘性部材を配置し、その外周部に前記バネ部材を配置したことを特徴とする動吸振器機構。 - 請求項1に記載の動吸振器機構において、
前記回転体の回転軸心上に前記バネ部材を配置し、その外周部に前記粘性部材を配置したことを特徴とする動吸振器機構。 - 請求項1から3のいずれかに記載の動吸振器機構において、
前記バネ部材と前記粘性部材とを並列に取り付け、慣性を調整可能とするための一対の慣性部材を前記回転体の回転軸に沿って対向させて有することを特徴とする動吸振器機構。 - 請求項1から4のいずれかに記載の動吸振器機構において、
前記バネ部材に、第2の粘性部材を配したことを特徴とする動吸振器機構。 - 請求項1から5のいずれかに記載の動吸振器機構において、
前記固定ディスクと前記回転ディスク間に設けるバネ部材が、棒バネまたは板バネであり、それぞれ異なるばね特性を有するものと交換可能としたことを特徴とことを特徴とする動吸振器機構。 - 請求項4から7のいずれかに記載の動吸振器機構において、
前記慣性部材を交換可能に前記回転体の内部に設けたことを特徴とする動吸振器機構。 - 請求項1から7のいずれかに記載の動吸振器機構において、
前記回転体の前記回転軸の端のいずれかに設けたことを特徴とする動吸振器機構。 - 請求項1から8のいずれかに記載の動吸振器機構を用いたことを特徴とする画像形成装置。
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- 2012-08-23 JP JP2012184083A patent/JP2014040884A/ja active Pending
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