JP2014034981A - 動吸振器機構、画像形成装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】回転系の振動を抑制するための動吸振機構、すなわち、動吸振機構を構成する要素のうち、粘性(C)とバネ(K)を並列に配置して副慣性(J)に結合させて機能させる動吸振動器の機構を具現化する。
【解決手段】感光体ドラム1等の回転体の回転振動を制振するために、バネと粘弾性体と慣性の要素により構成される動吸振器機構である。機構のそれぞれの構成要素のうち、バネ要素(棒バネ11)と粘性あるいは粘弾性要素(高粘性ゴム部21)を回転体である感光体ドラム1の回転軸3と並列的に配置するとともに個々に設定値を可変できる構造とする。慣性要素である慣性体19は、環状の部材としてロータ14の外縁に取り付ける。
【選択図】図2
【解決手段】感光体ドラム1等の回転体の回転振動を制振するために、バネと粘弾性体と慣性の要素により構成される動吸振器機構である。機構のそれぞれの構成要素のうち、バネ要素(棒バネ11)と粘性あるいは粘弾性要素(高粘性ゴム部21)を回転体である感光体ドラム1の回転軸3と並列的に配置するとともに個々に設定値を可変できる構造とする。慣性要素である慣性体19は、環状の部材としてロータ14の外縁に取り付ける。
【選択図】図2
Description
本発明は、複写機、プリンタ、ファクシミリ、少なくともこれらの二以上の機能を有する複合機等の画像形成装置の回転駆動系に用いる動吸振器機構に関し、詳細には画像形成装置の感光体ドラムや転写ベルトの駆動ローラ又は現像ローラなどを速度変動なく安定な速度で駆動させるための動吸振器機構と、これを用いた画像形成装置に関する。
従来の画像形成装置の動吸振器機構としては、以下のようなものがある。
例えば特許文献1には、感光体ドラムに起こる振動を転写ドラムに伝えて制振する様にしたものが開示されている。またこの特許文献1では、転写ドラムは、慣性モーメントを有する慣性体と、バネ性を有する弾性要素と、減衰性を有する減衰要素とを含み、前記弾性要素および減衰要素によって動吸振器を構成している。
例えば特許文献1には、感光体ドラムに起こる振動を転写ドラムに伝えて制振する様にしたものが開示されている。またこの特許文献1では、転写ドラムは、慣性モーメントを有する慣性体と、バネ性を有する弾性要素と、減衰性を有する減衰要素とを含み、前記弾性要素および減衰要素によって動吸振器を構成している。
また特許文献2には、回転体に発生する振動現象を、ローラに対して動吸振器を用いることにより、副系として付加した動吸振器が振動エネルギーを散逸することで、主系であるローラやベルトの張力変動を低減させ、ショックジターと呼ばれる色むらや縞模様が発生する画像劣化を低減させて高画質化を図る様にした転写ユニット及び画像形成装置が開示されている。
上述の動吸振器の構成のうち、慣性量は工夫により可変することができるが、粘性部とバネ部は、粘弾性体として、振動吸収ゴムなどが開発されているものの、ゴムの材料と加硫によって特性が設定されていて、最適化のために、それらを個々に可変することは極めて困難である。
本発明は、振動減衰の最適化のために、粘性部(C)とバネ部(K)を、並列に接続して構成するモデル(例えば、フォークトモデル)を具体的な構成方法で実現することを目的とする。また本発明は、システムの回転系振動に対して、最適な振動吸収が行える様に、適宜、バネ定数や粘性係数を可変して設定することができる調整型動吸振機構を提案することを目的とする。
本発明の動吸振器機構は、回転体の回転振動を制振するための動吸振器機構において、前記回転体と同心状でかつ前記回転体の回転軸に平行配置されてねじりトルクで作用するバネ部材と、前記回転体と同心状に配置されて、ねじりトルク又は圧縮トルクにより作用する粘性部材とを備え、回転振動を吸振するために前記バネ部材と前記粘性部材とを並列的に連結した構造を有することを特徴とする。
本発明によれば、回転系の振動を抑制するための動吸振機構、すなわち、動吸振機構を構成する要素のうち、粘性(C)とバネ(K)を並列に配置して副慣性(J)に結合させて機能させる動吸振動器の機構を具現化することができる。
以下、図面を参照して本発明の実施形態を説明する。
まず、本発明を適用し得る画像形成装置の一例について図7を参照して説明する。図7は、本発明に係るシート搬送装置を装備し得る画像形成装置の一例を示す概略構成図である。なお、本発明の実施対象とする画像形成装置は、図示のものには限定されず、複写機、ファクシミリ装置、複写機能とファクシミリ機能等を備えた複合機等の機能を有するもの等々、画像形成を行う種々の装置が対象となる。
まず、本発明を適用し得る画像形成装置の一例について図7を参照して説明する。図7は、本発明に係るシート搬送装置を装備し得る画像形成装置の一例を示す概略構成図である。なお、本発明の実施対象とする画像形成装置は、図示のものには限定されず、複写機、ファクシミリ装置、複写機能とファクシミリ機能等を備えた複合機等の機能を有するもの等々、画像形成を行う種々の装置が対象となる。
図7において、画像形成装置の一例としての複写機100は、原稿トレイ110aに載置された原稿束から原稿を1枚分離して原稿読取部120上のコンタクトガラスに自動給紙する自動原稿搬送装置110と、自動原稿搬送装置110によってコンタクトガラス上に搬送された原稿を読み取る原稿読取部120と、給紙部130から給紙されたシート材に対して、原稿読取部120によって読み取った画像を形成する画像形成部(画像形成手段)140と、複数のシート材が積層されたシート束Sを有し、このシート束Sから最上位に位置するシート材S1を画像形成部140に給紙する給紙部130を備えている。なお、本実施の形態では、画像形成部140と給紙部130とは分割可能となっているが、そうでない構成でも良い。
給紙部130は、複数枚のシート材S1を積載するシート積載部材としての給紙カセット150と、給紙カセット150上の複数枚のシート材S1から最上位に位置するシート材を分離して搬送するシート分離給紙装置160とを含んで構成してある。
シート分離給紙装置160によって分離給紙されたシート材S1は、搬送経路170上を搬送されるようになっており、搬送経路170上を搬送されるシート材S1は、搬送ローラ対180により搬送され、転写ローラ190によって画像形成部140で形成されたトナー画像が転写され、このトナー画像が定着器200によって熱転写され、排紙ローラ対210により排紙トレイ220に排出する。
画像形成部140は、4つの作像部230(230Y(イエロー)、230C(シアン)、230M(マゼンタ)、230BK(ブラック))と、転写ベルトである中間転写ベルト240と、露光装置250とから構成してある。
露光装置250は、パーソナルコンピュータ、ワードプロセッサ等から入力される色分解された画像データや、原稿読取部120によって読み取られた原稿の画像データを光源駆動用の信号に変換し、それに従い各レーザ光源ユニット内の半導体レーザを駆動して光ビームを射出するようになっている。
作像部230Y、230C、230M、230BKは、それぞれ異なる色の画像(トナー像)を形成するようになっており、作像部230Y、230C、230M、230BKは、時計回転方向に回転駆動される像担持体である感光体260(260Y、260C、260M、260BK)、感光体260の周囲に配置された帯電部270、現像部280、クリーニング部290等により構成されている。
感光体260は、円筒状に形成され、図示しない駆動源により回転駆動される。感光体260の外周面部には感光層が設けられており、露光装置250から射出された破線で示す光ビームが感光体260の外周面にスポット照射されることにより、感光体260の外周面には画像情報に応じた静電潜像が書き込まれる。
帯電部270は、感光体260の外周面を一様に帯電するもので、感光体260に対して接触方式のものが採用されている。現像部280は、感光体260にトナーの供給を行い、供給されたトナーが感光体260の外周面に書き込まれた静電潜像に付着することにより、感光体260上の静電潜像がトナー像として顕像化させるもので、感光体260に対して非接触方式のものが採用されている。
クリーニング部290は、感光体260の外周面に付着している残留トナーをクリーニングするもので、感光体260の外周面にブラシを接触させるブラシ接触方式のものが採用されている。
中間転写ベルト240は、樹脂フィルム、または、ゴムを基体として形成された無端状ベルトから構成されており、感光体260上に形成されたトナー像が転写され、この中間転写ベルト240に転写されたトナー像が転写ローラ190によってシート材S1に転写される。
<実施形態1>
以下、図面を参照して本発明の実施形態を説明する。本発明の実施形態は、振動減衰の最適化のために、粘性部とバネ部を、並列に接続して構成するモデル(例えば、フォークトモデル)を実現する機構である。
本発明の第一の実施形態は、回転系の振動成分を動吸振機構に移動させて、振動に伴う角加速度の変動を無くして等角速度回転に近づけようとするもので、例えば電子写真方式の感光体ドラムの回転安定化や、現像器スリーブの回転安定化や、中間転写ローラあるいは中間転写ベルトの回転安定化に適用され得るものである。
以下、図面を参照して本発明の実施形態を説明する。本発明の実施形態は、振動減衰の最適化のために、粘性部とバネ部を、並列に接続して構成するモデル(例えば、フォークトモデル)を実現する機構である。
本発明の第一の実施形態は、回転系の振動成分を動吸振機構に移動させて、振動に伴う角加速度の変動を無くして等角速度回転に近づけようとするもので、例えば電子写真方式の感光体ドラムの回転安定化や、現像器スリーブの回転安定化や、中間転写ローラあるいは中間転写ベルトの回転安定化に適用され得るものである。
図1に、回転系に付加された回転系の動吸振器の基本モデルを示す。図中、主慣性体Mが振動を有する感光体ドラムに相当し、その他が回転系動吸振器の構成に相当する。下記数式1のように、回転系動吸振器の付加による、振動の減衰率は主慣性体M/副慣性体mの慣性モーメント比、バネ定数k、粘性係数cの選択で変化させることが可能である。
図2は本発明の第一の実施形態の構成を示す図である。一例として、感光体ドラム1の回転安定化に適用した例を説明する。
感光体ドラム1は、両端にフランジ2を設け、軸心に回転軸3を貫通させ、画像形成装置の図示しない装置本体を構成するフレーム4(図ではベースプレート5から立ち上がっている)に設けた軸受6で回転軸3の両端を支持して回転できるようにしてある。回転駆動にはモータ7を用い、その回転は減速器8により減速させた後に、感光体ドラム1に伝える。
感光体ドラム1は、両端にフランジ2を設け、軸心に回転軸3を貫通させ、画像形成装置の図示しない装置本体を構成するフレーム4(図ではベースプレート5から立ち上がっている)に設けた軸受6で回転軸3の両端を支持して回転できるようにしてある。回転駆動にはモータ7を用い、その回転は減速器8により減速させた後に、感光体ドラム1に伝える。
感光体ドラム1を画像形成装置の装置本体に対して交換可能に構成する場合は、回転軸3を支持するフレーム体を別途に設けて、これに回転軸3を支持させた後に一つのユニットで装置本体に対して着脱できるように構成する。この場合は、減速器8の出力軸と、感光体ドラム1の回転軸3とは、着脱容易なカップリング機構を介して接続させ、回転駆動する。なお図2ではそのような機構を図示していない。
この様な構成で感光体ドラム1を回転させる時、回転軸3の回転特性を計測すると、概ね100Hz近傍に回転伝達系の共振周波数が確認される。もし、この共振周波数帯に、回転変動成分である、減速器8内部の歯車の噛み合い振動周波数が合致すると振動が増幅してさらに大きな回転変動となる。また回転軸3の回転安定化のためにフィードバック制御をするのに必要な回転エンコーダセンサーが取り付けられている時は、その振動を検出してしまい、制御すべき周波数帯の制御値が不適当な値を導出してしまう結果となる。したがって、この共振周波数帯における振動振幅を最少にするために、回転軸3に後述する動吸振機構を結合させ、この動吸振機構部分に周波数の変動成分を移動させることによって、変動振幅量を抑制させる。すなわち本実施形態では、動吸振機構Xを感光体ドラム1を支持する回転軸3に連結しており、その位置は、モータ7及び減速器8とは反対側の端部に配置し、回転軸3と同軸にして取り付けている。また、回転軸3に対して半径方向及び、回転軸3と並行な方向に各部品を取り付けて構成してある。
この様な構成とすることにより、仮に、画像形成装置等、本発明の実施対象となる装置が構成された後に、各構成部品の誤差による積み上げ等で共振特性に変化が起きても、それに応じた変更(周波数帯の移動、変動振幅の抑制、又は両方の同時変更)を、動吸振機構Xを構成する、バネ(K)、粘性(C)、慣性(J)の各要素のいずれかを最適な状態となる様に、個別に変更することによって、容易に行えるようにしている。
具体的には、回転軸3の端部には、ネジ9等でディスク10を締結することで固定し、ここに棒バネ11の片端を差し込んで支持する。そして、棒バネ11は回転軸3のねじれ振動と一体で変位するように、ネジ12等で締結することでディスク10に固定する。なお、このような固定にはネジ等による締結以外の公知の手段を採用でき、ネジを利用するものに本発明は限定されない。以下説明する構成についても同様である。
またディスク10と対向する側には、棒バネ11の他の端部を差し込むための棒バネ支持板13と、それを取り付けるロータ14が設けてある。棒バネ支持板13はPOM(ポリオキシメチレン(polyoxymethylene):熱可塑性樹脂)などの摩擦係数の低い樹脂材料で作り、棒バネ11との嵌合部における微少な回転ねじり振動においても、その変位を忠実に伝達可能とする。
ロータ14は、回転軸3の延長上にと同軸に配置するが、回転軸3の回転動作とは別途に自由回転可能に設ける。図2では、ロータ支持軸15を設け、これを、ベースプレート5上に設けたコラム16にボールベアリング16aを介して回転自在に支持させ、ロータ14とロータ支持軸15をネジ17で締結して自由回転する様に構成している。
棒バネ11は、例えばステンレス製の丸棒製で、回転軸3の軸心から同心状に点対象で複数配置して、いわゆる捩りバネとして作用させる。捩りバネとしてのバネ定数の値を可変させるには、例えば線径、取り付け長さ、取り付け本数を変更すれば良い。また、回転軸3の軸心に対して同じ線径のバネを線対象に配置することで、回転バランスをとることもできる。
次に慣性(J)の付与に関する構成を説明する。
ロータ14には外縁より若干内周側、すなわちロータ支持軸15の軸心側にフランジ部18が環状に形成してある。このフランジ部18には、平板に穴を開ける等してドーナッツ状とした慣性体19を取り付け、ネジ20で固定してある。なおフランジ部18は環状に連続している必要はなく、また慣性体19も同様であり、さらに慣性体19は平板状である必要はない。そして、感光体ドラム1の回転時の回転軸3の偏芯によるブレが発生しないように、慣性体19の内径側はロータ14のフランジ部18の外周に嵌合する様に取り付けて、同軸精度を上げ、回転バランスがしっかりとれるように構成してある。
ロータ14には外縁より若干内周側、すなわちロータ支持軸15の軸心側にフランジ部18が環状に形成してある。このフランジ部18には、平板に穴を開ける等してドーナッツ状とした慣性体19を取り付け、ネジ20で固定してある。なおフランジ部18は環状に連続している必要はなく、また慣性体19も同様であり、さらに慣性体19は平板状である必要はない。そして、感光体ドラム1の回転時の回転軸3の偏芯によるブレが発生しないように、慣性体19の内径側はロータ14のフランジ部18の外周に嵌合する様に取り付けて、同軸精度を上げ、回転バランスがしっかりとれるように構成してある。
ロータ14の外径を変えれば、微少に慣性力を可変することができるが、さらに大きな変化を与えようとする場合は、例えばロータ14を複数枚を重ね合わせて用いたり、使用する材料の比重(密度)を変えて構成したりする(例えば、鉄系かステンレス系かアルミ系かという様な変更を行う)ことで対応できる。
次に粘性(C)の設定について説明する。
粘性付与に関して応用できる手法としては、高粘度オイルの粘性抵抗を応用するもの、粘弾性ゴム処方のうち粘性成分を極めて大きく獲得したもの、ゲル材料の使用、そして電気粘性材料などの使用が考えられる。これら手法の選択にあたっては、それらのうちから、装置規模や、発現する粘性トルクの大きさ、粘性トルク可変の容易性などを考慮して行うが、装置構成に見合った価格を実現するためにコストも考慮することが好ましい。回転軸のねじり振動は、極めて微少に正転、逆転方向にAC的に発生するので、その振動を、粘性をもって抑制する構成が狙いである。したがって前記の双方向に対して同じ粘性力がガタなく作用しなければならない。なお本明細書では、粘性として説明するが、粘弾性として考えても同様である。
粘性付与に関して応用できる手法としては、高粘度オイルの粘性抵抗を応用するもの、粘弾性ゴム処方のうち粘性成分を極めて大きく獲得したもの、ゲル材料の使用、そして電気粘性材料などの使用が考えられる。これら手法の選択にあたっては、それらのうちから、装置規模や、発現する粘性トルクの大きさ、粘性トルク可変の容易性などを考慮して行うが、装置構成に見合った価格を実現するためにコストも考慮することが好ましい。回転軸のねじり振動は、極めて微少に正転、逆転方向にAC的に発生するので、その振動を、粘性をもって抑制する構成が狙いである。したがって前記の双方向に対して同じ粘性力がガタなく作用しなければならない。なお本明細書では、粘性として説明するが、粘弾性として考えても同様である。
本実施形態では、既述の棒バネ11の内側(回転軸3、ロータ支持軸15の軸心側)において、回転軸3とロータ支持軸15とを接続するように高粘性ゴム(粘性成分の大きなゴム材料)を設ける方法を用いる。もちろん本発明がこのような方法を用いた構成に限定されることはない。
先ず高粘性ゴム材により、円柱状あるいは多角形柱状を形成する。高粘性ゴム材料としては、例えばNBR(アクリロニトリルブタジエンゴム)、EPDM(エチレンプロピレンゴム)、11R(ブチレンゴム)を主体として、これに更に各種の充填材やオイルの含量を調合し、練り合わせることを行い、反発性が低く、損失係数tanδを非常に高い値とする。これにより、粘生体内部での粘性抵抗により、その内部では振動が熱に変換されて吸収されることになる。狙いの値としては、損失係数tanδが2.0以上、望ましくは2.5以上獲得できれば極めて効果が大きい。その他の粘性材料として、シリコーンを主体とした、ゲル材料を使用することも有効である。
前記のようにして作った高粘性ゴム部21の両側端部には、ステンレスや鋼、銅、アルミ等の金属あるいはポリイミド樹脂等の高剛性な材料による接続部22を形成する。高粘性ゴム部21と接続部22とは、一体成形するか、あるいは焼付け法により接合するか、あるいは高強度な接着剤によって頑強に接合することが好ましいが、その他の構成としても良い。
前記の手法により形成した高粘性付与モジュールYは、接続部22に捩れが作用すると、高粘性ゴム部21自体が、その捩れ作用を受けて捩れ変形し、粘性抵抗を発現することになる。図中23は接続部22のツバ部、24は回転軸3、ロータ支持軸15の端部に接続部22を取り付けるためのネジである。
<実施形態2>
なお他の実施形態として、捩れ時の作用を圧縮変形により粘性抵抗を発現させる方法、構成を用いても良い。
図3は、そのような高粘性付与モジュールYを示す図である。接続部22のツバ部23には、一体で延長させて作った、高粘性ゴム部21との噛み合い部22aを一対有する。噛み合い部22a同士は対向させて設けてあり、ここに高粘性ゴム材料を成形により充填して高粘性ゴム部21を形成することで所望の粘性抵抗を発現させることができるようにしてある。この場合は、高粘性ゴム部21には圧縮変形力が作用している。成形により充填するとしたが、焼付けや高強度な接着剤により接合しても良い。
なお他の実施形態として、捩れ時の作用を圧縮変形により粘性抵抗を発現させる方法、構成を用いても良い。
図3は、そのような高粘性付与モジュールYを示す図である。接続部22のツバ部23には、一体で延長させて作った、高粘性ゴム部21との噛み合い部22aを一対有する。噛み合い部22a同士は対向させて設けてあり、ここに高粘性ゴム材料を成形により充填して高粘性ゴム部21を形成することで所望の粘性抵抗を発現させることができるようにしてある。この場合は、高粘性ゴム部21には圧縮変形力が作用している。成形により充填するとしたが、焼付けや高強度な接着剤により接合しても良い。
この構造の変形例としては、高粘性ゴムを事前に成形法で形成しておいて、それを対向させた噛み合い部22aの間に合わせて嵌めこむことにより、モジュール化する構成も採用できる。
また図3の例は、高粘性ゴム部21の脱落を防止し、回転中心位置を確保するために、ゴム位置決め部25を有している。図示の例では、ツバ部23の回転中心に凸状の部分を設け、高粘性ゴム部21側には凹部を設け、両者を嵌め合わせてモジュールとしている。このようにすれば、この動吸振器を取り付けた装置の振動状態に合わせて適切な粘性を、高粘性ゴム部21の交換だけで容易に得ることが可能になる。また当然コストも抑えられる。
以上の構成により、バネ(K)と粘性(C)の要素を並列的に配置させることが可能となり、加えてバネ(K)、粘性(C)、慣性(J)の各種条件をそれぞれ個別に、かつ容易に可変させるように調整して、最適値とすることのできる動吸振機構を形成することができる。
<実施形態3>
実施形態2では、粘性(C:高粘性ゴム部21)を回転軸3の軸心に配置して、その外側にバネ(K:棒バネ11)を配置しているが、その関係を逆にして、バネ(K)を内側に、粘性(C)を外側に配置しても良い。そのような実施形態を図4により説明する。
実施形態2では、粘性(C:高粘性ゴム部21)を回転軸3の軸心に配置して、その外側にバネ(K:棒バネ11)を配置しているが、その関係を逆にして、バネ(K)を内側に、粘性(C)を外側に配置しても良い。そのような実施形態を図4により説明する。
図4に示す実施形態は、バネ(K)の部分は、1本の棒バネ11(あるいは1枚の板バネ)の捩りトルクにより構成することもできる。図示の例では1本の棒バネ11を用いている。すなわち、バネ性を付与する要素である棒バネ11を、回転軸3の軸心に配置し、その外側には、棒バネ11を避けるように内部に空間を持たせた高粘性ゴム部21を上述の方法等で設ける。これにより、シンプルな構成で先の各実施形態と同様の動吸振機構を形成することが可能である。
詳しくは、バネ(K)付与部は、捩りトルクを発生する棒バネ11と、その両端に位置して、回転軸とロータ支持軸とを接続する接続部22で構成する。バネ性を棒バネ11のねじり力で得る場合は、接続部22の回転中心に開けた穴に棒バネ11を差し込み、その部分をロー付けや溶接などにより接合する。また板バネによる捩り力で獲得する場合は、接続部22の回転中心に対して対象に設けたスリット部に、板バネの端部を嵌め込み、棒バネ11と同様の方法により接合する。
一方、伝達すべき振動体に対して、必要とするバネ(K)のバネ定数が小さくて良い場合は、樹脂材料でバネ材を形成しても良い。この場合はバネ材とその接続部分(図の例の接続部22)は一体的に成形して形成できる。樹脂材料としてはバネ性の確保と繰り返し応力に耐えるように、POM、PEEK、PIなどの樹脂材料を用いることが好ましい。
次に、粘性(C)付与部は、バネ(K)付与部を避けて、その外周を覆うように回転軸3に対して同軸に形成する。図示の例でも、高粘性ゴム部21を上述の方法等で設ける。すなわち基本的な構成としては、先の実施形態における粘性(C)付与部と同じである。異なる点は、バネ(K)付与部の存在する内部が、中空になっていることである(中空部を符号21aで示す)。中空の高粘性ゴム部21の両側端には高剛性な材料による接続部26を配置する。接続部26のディスク10やロータ14への接合は焼付けや接着で行える。このような接続部26を、ディスク10とロータ14に設けた適宜の位置決め部にそれぞれ嵌合させる等して回転軸3の回転方向での軸心を出し、ネジ27でディスク10とロータ14に締結する。これによって、ねじりトルクが作用すると粘性(C)が獲得できる。加えて、図示は省略するが高粘性ゴム部21にネジ締め用のレンチを挿入するための小径の穴部を2箇所に設ける。中空部21a内部に設けたバネ(K)付与部の接続部22のネジ24を締め付けるためのものである。
なお、ディスク10とロータ14は、その機能として、対向する両部材の間に回転軸3の軸心と平行でかつ回転軸3の軸心に対して放射方向に位置するように棒バネ11を装着するのに必要である。さらには、高粘性を付与するモジュールをディスク10とロータ14と軸心を合わせて取り付ける構成とすることもできる(高粘性モジュール(高粘性ゴム部21)を回転軸3とロータ支持軸15に取り付けるのでなく、ディスク10とロータ14の軸心に取り付け軸を形成して、ここに締結するという意味である)。また、設定すべき慣性比が主慣性(振動発生側の慣性)に対して十分小さい設定値とする時は、比重(密度)の小さい材料であるアルミ又は樹脂材料を使用することができる。
<実施形態4>
高粘性ゴムによりゴム性を付与する箇所を、バネ(K)を形成する部分にも付加して、全体としての粘性(C)付与量を増加させることができる。
図5に示す実施形態は、先の実施形態で棒バネ11だけによりバネ(K)を形成していた部分に高粘性ゴム等の材料を付与したものである。図示のように、棒バネ11の線径よりも小さい穴径を設けて一定の長さとした粘性材料部材28を棒バネ11のディスク10側の一端に圧入させた後、ディスク10とは反対側のロータ14側の面を押さえプレート29で押さえつつ、ディスク10にネジ30で締め付ける構成となっている。棒バネ11は、ディスク10に対し、あるいはディスク10とロータ14の両方に対して回転バランスを確保する意味から、点対象に配置されているが、そのような配置の棒バネ11に対してそれぞれ同形状の粘性材料部材28を配置して回転バランスを崩さないように構成している。なお、粘性材料部材28はロータ14側に設けても良い。
高粘性ゴムによりゴム性を付与する箇所を、バネ(K)を形成する部分にも付加して、全体としての粘性(C)付与量を増加させることができる。
図5に示す実施形態は、先の実施形態で棒バネ11だけによりバネ(K)を形成していた部分に高粘性ゴム等の材料を付与したものである。図示のように、棒バネ11の線径よりも小さい穴径を設けて一定の長さとした粘性材料部材28を棒バネ11のディスク10側の一端に圧入させた後、ディスク10とは反対側のロータ14側の面を押さえプレート29で押さえつつ、ディスク10にネジ30で締め付ける構成となっている。棒バネ11は、ディスク10に対し、あるいはディスク10とロータ14の両方に対して回転バランスを確保する意味から、点対象に配置されているが、そのような配置の棒バネ11に対してそれぞれ同形状の粘性材料部材28を配置して回転バランスを崩さないように構成している。なお、粘性材料部材28はロータ14側に設けても良い。
<実施形態5>
図6は、図4に示した実施形態3と同様の構成を有するが、棒バネ11(あるいは板バネ)によりバネ(K)を付与した部分に、高粘性材料からなる粘性材料部材31を設けたものである。この場合は、例えば棒バネ11と接続部22で構成されるモジュールを成形型にセットした状態で高粘性ゴム材料を流し込んで粘性材料部材31を棒バネ11(あるいは板バネ)と一体的に成形することができる。他の方法としては、成形型に前記のモジュールをセットした後、ゲル材料を流し込み、その後に紫外線等によりゲル材料を硬化させて粘性材料部材31を形成する等の方法も採用できる。いずれも粘性材料部材31が棒バネ11(あるいは板バネ)に接触して、ここでの粘性が利用されることになる。
図6は、図4に示した実施形態3と同様の構成を有するが、棒バネ11(あるいは板バネ)によりバネ(K)を付与した部分に、高粘性材料からなる粘性材料部材31を設けたものである。この場合は、例えば棒バネ11と接続部22で構成されるモジュールを成形型にセットした状態で高粘性ゴム材料を流し込んで粘性材料部材31を棒バネ11(あるいは板バネ)と一体的に成形することができる。他の方法としては、成形型に前記のモジュールをセットした後、ゲル材料を流し込み、その後に紫外線等によりゲル材料を硬化させて粘性材料部材31を形成する等の方法も採用できる。いずれも粘性材料部材31が棒バネ11(あるいは板バネ)に接触して、ここでの粘性が利用されることになる。
なおバネ(K)、粘性(C)慣性(J)の各要素を構成する部品又はモジュールは、それぞれ形状、材料等を交換的に付け替えることにより、自在にその値を変更することができる。例えばバネ(K)は、棒バネや板バネの径、厚さ、長さ、設定する本数等を変えることで可変させ得る。また粘性(C)は、使用する材料で可変させることができ、高粘性ゴム材料あるいはゲル材料を用いた時の損失係数tanδの値の大きさで判断できる。そして慣性(J)は取り付ける慣性ホイールの材質、径方向サイズ、厚さであり、以上説明してきた実施形態の構成によれば単独で自在に変更できる。
すなわち、動吸振機構を構成する要素のうち、粘性(C)とバネ(K)を並列に配置して副慣性(J)に結合させて機能させる動吸振動器のモデルを、理想的な機構構成を具現化することができる。動吸振動器を構成する上で、粘性(C)とバネ(K)を回転軸心に対して、同心状にかつ並列に配置すれば、振れの無い安定な回転による吸振動作を行える。また粘性(C)とバネ(K)を回転軸心に対して同心状にかつ並列に配置して振れの無い安定な回転による吸振動作を行うことができる。またディスク10とロータ14を対向させて配置させることにより、ここに粘性部材又は、バネ部材を並列的にかつ同時に取り付けることが可能となる。また回転軸心に対して同心状態に配置を可能とする構成が実現でき、かつ回転安定性が獲得できることになる。さらに、バネ部材の振動振幅に対して、それに高粘性ゴム材料を接触させることにより、この部分での粘性による振動抑制効果を発生させ、それによって別途に並列的に設けた粘性を抑制する部材とともに、全体の粘性効果を増加させ得る。またさらに、粘性(C)とバネ(K)及び慣性(J)の値を個々に、かつ任意に設定可能であるので、画像形成装置等に取り付けることによって発生するシステムの共振周波数が微妙にずれたり、振幅が増加したりしたとしても容易に調整できる。
なお本発明は以上説明した実施形態に限定されるものではなく、多くの変形が本発明の技術的思想内で当分野において通常の知識を有する者により可能である。
1 :感光体ドラム
2 :フランジ
3 :回転軸
4 :フレーム
5 :ベースプレート
6 :軸受
7 :モータ
8 :減速器
9 :ネジ
10 :ディスク
11 :棒バネ
12 :ネジ
13 :棒バネ支持板
14 :ロータ
15 :ロータ支持軸
16 :コラム
17 :ネジ
18 :フランジ部
19 :慣性体
20 :ネジ
21 :高粘性ゴム部
21a :中空部
22 :接続部
22a :噛み合い部
23 :ツバ部
24 :ネジ
25 :ゴム位置決め部
26 :接続部
27 :ネジ
28 :粘性材料部材
29 :押さえプレート
30 :ネジ
31 :粘性材料部材
100 :複写機
M :主慣性体
S :シート束
S1 :シート材
X :動吸振機構
Y :高粘性付与モジュール
2 :フランジ
3 :回転軸
4 :フレーム
5 :ベースプレート
6 :軸受
7 :モータ
8 :減速器
9 :ネジ
10 :ディスク
11 :棒バネ
12 :ネジ
13 :棒バネ支持板
14 :ロータ
15 :ロータ支持軸
16 :コラム
17 :ネジ
18 :フランジ部
19 :慣性体
20 :ネジ
21 :高粘性ゴム部
21a :中空部
22 :接続部
22a :噛み合い部
23 :ツバ部
24 :ネジ
25 :ゴム位置決め部
26 :接続部
27 :ネジ
28 :粘性材料部材
29 :押さえプレート
30 :ネジ
31 :粘性材料部材
100 :複写機
M :主慣性体
S :シート束
S1 :シート材
X :動吸振機構
Y :高粘性付与モジュール
Claims (8)
- 回転体の回転振動を制振するための動吸振器機構において、
前記回転体と同心状でかつ前記回転体の回転軸に平行配置されてねじりトルクで作用するバネ部材と、
前記回転体と同心状に配置されて、ねじりトルク又は圧縮トルクにより作用する粘性部材とを備え、
回転振動を吸振するために前記バネ部材と前記粘性部材とを並列的に連結した構造を有することを特徴とする動吸振器機構。 - 請求項1に記載の動吸振器機構において、
前記回転体の回転軸芯部位に前記粘性部材を配置し、その外周部に前記バネ部材を配置したことを特徴とする動吸振器機構。 - 請求項1に記載の動吸振器機構において、
前記回転体の回転軸芯部位に前記バネ部材を配置し、その外周部に前記粘性部材を配置したことを特徴とする動吸振器機構。 - 請求項1から3のいずれかに記載の動吸振器機構において、
前記バネ部材と前記粘性部材とを並列に取り付け、慣性を調整可能とするための一対の慣性部材を前記回転体の回転軸に沿って対向させて有することを特徴とする動吸振器機構。 - 請求項1から4のいずれかに記載の動吸振器機構において、
前記バネ部材に、第2の粘性部材を配したことを特徴とする動吸振器機構。 - 請求項1から5のいずれかに記載の動吸振器機構を用いたことを特徴とする画像形成装置。
- 請求項6に記載の画像形成装置において、前記回転体が感光体ドラムであることを特徴とする画像形成装置。
- 請求項6または7に記載の画像形成装置において、
前記バネ部材、前記粘性部材、前記慣性部材それぞれを、個々に設定値を可変できる構造に備えたことを特徴とする画像形成装置。
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JP2012174746A JP2014034981A (ja) | 2012-08-07 | 2012-08-07 | 動吸振器機構、画像形成装置 |
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JP2012174746A JP2014034981A (ja) | 2012-08-07 | 2012-08-07 | 動吸振器機構、画像形成装置 |
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- 2012-08-07 JP JP2012174746A patent/JP2014034981A/ja active Pending
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