JP2014038004A - レーザ光特性測定方法及び測定装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】 レーザ光のコヒーレンス度をより正確に測定可能とする。
【解決手段】 被測定レーザ光の周波数を正及び負の掃引率で線形に同時に掃引し、掃引されたレーザ光を2系統に分岐し、一方のレーザ光を光ファイバに入射して当該光ファイバで生じたレイリー散乱光を取り込み、このレイリー散乱光と分岐された他方のレーザ光とを入射し、入射レーザ光から位相差π/2を持つ第1及び第2のレーザ光を生成し、レイリー散乱光と第1のレーザ光、レイリー散乱光と第2のレーザ光をそれぞれ合波して第1及び第2の合波光を生成し、各合波光からそれぞれ第1及び第2の光電流を検出し、各光電流それぞれの電流値から複素信号を算出し、フーリエ変換してその周波数スペクトルを解析する。その解析において、遅延時間τの付近でのコヒーレンス度を計測し、遅延0の近傍の光電流のコヒーレンス度を解析してレーザ光の特性をより詳しく測定する。
【選択図】 図1

Description

本発明は、レーザ光のコヒーレンス度を測定するレーザ光特性測定方法及び測定装置に関する。
レーザ光のコヒーレンス度やレーザ中心周波数変化を測定するレーザ光特性測定方法としては、非特許文献1に記載のレーザ光のスペクトル測定法が知られている。このスペクトル測定法では、被測定レーザから発せられるレーザ光を2分岐し、一方のレーザ光を十分な長さの光ファイバによって伝送し、もう一方のレーザ光を音響光学素子などに通して光周波数を一定量だけシフトさせて両者を合波し、その合波光を受光素子により受光して、その受光信号に発生するビートスペクトルを測定する。ここで、ビートスペクトルの形状がローレンチアン形状である場合、そのビートスペクトルの幅の1/2がレーザ光の発振スペクトル線幅(以下、レーザ光スペクトル線幅)に相当することが知られている。そこで、本スペクトル測定法では、ビートスペクトル幅の測定結果からレーザ光のスペクトル線幅を換算するようにしている。尚、このレーザ光スペクトル線幅をΔνとすると、レーザ光のコヒーレンス時間は1/Δνとなる。また、このコヒーレンス時間に光速度定数を乗算すればコヒーレンス長が得られる。
また、レーザ光のスペクトルを推定する別の方法として、二台のレーザのビート信号の観測による測定方法が報告されている(非特許文献2に記載)。当該測定方法では、二台のレーザから放たれたレーザ光を各々2分岐し、異なるレーザ同士の2対のレーザ光を各々合波し受光することで、2対のビート信号を観測する。一方の対のビート信号には、波長板を用いることで他方のビート信号と比較して位相差π/2が与えられる。この場合、観測される2つのビート信号は実数であり、互いに直交の関係にあるので、信号処理にて2つのビート信号から複素ビート信号を算出する。当該複素ビート信号のスペクトルはレーザ光のスペクトルの畳み込みである。そこで、算出された複素ビート信号についてフーリエ解析を行うことでレーザ光のスペクトルを推定することが可能となる。
T. Okoshi, K. Kikuchi, and A. Nakayama, "Novel method for high resolution measurement of laser output spectrum," Electronics Letters, Vol. 16, No. 16, pp. 630-631, 1980 K. Kikuchi, "Characterization of semiconductor-laser phase noise and estimation of bit-error rate performance with low-speed offline digital coherent receivers," Opt. Exp. 20(5), 5291-5302 (2012). K. Tsuji, K. Shimizu, T. Horiguchi, and Y. Koyamada, "Spatial-resolution improvement in long-range coherent optical frequency domain reflectometry by frequency-sweep linearization," Electron. Lett. 33(5), 408-410 (1996).
しかしながら、従来の測定方法に係る技術には、以下のような問題点が指摘されている。まず、前者の測定方法では、一方の分岐レーザ光に十分に長い光ファイバによって十分な時間遅延を与えてから、他方の分岐レーザ光と合波する必要があり、被測定レーザのコヒーレンス長よりも十分に長い遅延が要求される。この場合の測定対象はまさに被測定量であり、現段階では不明のレーザのコヒーレンス長よりも長い遅延が得られていることを前提に有効となる。したがって、本測定方法による測定結果は、レーザ光のスペクトル幅について一定の推測を可能にするものの、その測定結果は不確実性を含んだものにならざるを得なかった。これらの懸念は、特にスペクトル線幅が狭い(コヒーレンス時間が長い)レーザを測定する場合に顕著である。このため、近年においてファイバレーザなどのように数KHz程度のスペクトル線幅を有するレーザが商用化されている状況では、その測定のあいまいさが問題となっていた。
前述した後者の測定方法においては、レーザ光周波数をほぼ同じに設定し、ビート周波数を受信機の帯域まで落とす必要がある。しかしながら、レーザ筐体への機械的振動や環境の温度変化などにより、レーザ光周波数を恒久的に安定させることは極めて難しい。また、ビート信号のスペクトルはあくまで2つのレーザのビートスペクトルが得られるだけであり、個別のレーザの測定とはならない。
本発明は、上記の事情を鑑みてなされたもので、レーザ光のスペクトル線幅が狭く、コヒーレンス時間が長いレーザ光のコヒーレンス度をより正確に測定可能とするレーザ光特性測定方法及び測定装置を提供することを目的とする。
本発明に係るレーザ光特性測定方法は、以下のような態様の構成とする。
(1)遅延時間τの関数である被測定レーザ光のコヒーレンス度γ(τ)を測定するレーザ光コヒーレンス度測定方法であって、前記被測定レーザ光の周波数を正の掃引率及び負の掃引率で線形に同時に掃引し、前記周波数掃引されたレーザ光を2系統に分岐し、分岐された一方のレーザ光を光ファイバに入射して当該光ファイバで生じたレイリー散乱光を取り込み、前記レイリー散乱光及び前記分岐された他方のレーザ光をそれぞれ2系統に分岐し、分岐された一方のレイリー散乱光と再分岐された一方のレーザ光を合波して第1の光電流を検出し、再分岐された他方のレーザ光に位相差π/2を付与し、前記位相差π/2を付与されたレーザ光と前記分岐された他方のレイリー散乱光を合波して第2の光電流を検出し、前記第1及び第2の光電流それぞれの電流値から複素信号を算出し、前記複素信号をフーリエ変換してその周波数スペクトルI~'qi)を算出し、同様に、連続して光電流の検出ならびにその周波数スペクトルの位相共役I~'* sk)を算出し、次式
Figure 2014038004
が成り立つことを利用して、
Figure 2014038004
の絶対値の平方根を算出することにより前記コヒーレンス度の絶対値|γ(τ)|を求める態様とする。
また、本発明に係るレーザ光特性測定装置は、以下のような態様の構成とする。
(2)遅延時間τの関数である被測定レーザ光の特性コヒーレンス度γ(τ)を測定するレーザ光特性測定装置であって、前記被測定レーザ光の周波数を正の掃引率及び負の掃引率で線形に掃引する掃引手段と、前記掃引手段で周波数掃引されたレーザ光を2系統に分岐する分岐手段と、前記分岐手段で分岐された一方のレーザ光を光ファイバに入射して当該光ファイバで生じたレイリー散乱光を取り込む取り込み手段と、前記取り込み手段で取り込まれたレイリー散乱光と前記分岐手段で分岐された他方のレーザ光とを入射し、入射レーザ光から位相差π/2を持つ第1及び第2のレーザ光を生成し、前記レイリー散乱光と前記第1のレーザ光を合波して第1の合波光を生成し、前記レイリー散乱光と前記第2のレーザ光を合波して第2の合波光を生成する合波手段と、前記合波手段で生成される第1及び第2の合波光からそれぞれ第1及び第2の光電流を検出する第1及び第2の検出手段と、前記第1及び第2の光電流それぞれの電流値から複素信号を算出し、前記複素信号をフーリエ変換してその周波数スペクトルI~'qi)を算出し、同様に、連続して光電流の検出ならびにその周波数スペクトルの位相共役I~'* sk)を算出し、次式
Figure 2014038004
が成り立つことを利用して、
Figure 2014038004
の絶対値の平方根を算出することにより前記コヒーレンス度の絶対値|γ(τ)|を求める解析手段とを具備する態様とする。
(3)(2)の構成において、前記合波手段には、光90°ハイブリッド回路を用いる。
(4)(2)の構成において、前記掃引手段には、両側波帯光変調器を用いる。
以上のように、本発明は、測定値に対し統計処理を行うことにより、従来よりも信頼性を向上させたものである。具体的には、遅延時間τの付近でのコヒーレンス度を計測し、遅延0の近傍の光電流のコヒーレンス度を解析するものである。本発明によるレーザ光特性測定方法は、コヒーレンス時間と同程度の光ファイバ長により測定が可能な上、仮にコヒーレンス時間がそれよりもはるかに長かった場合には、そのこと自体が測定により明らかにされるので、より長い光ファイバに置き換えて測定をやり直すなどの処置を取ることができる。また、単一のレーザにて測定が可能であり、被測定レーザ固有のレーザ光を調査することができる。また、2つの異なる光電流からコヒーレンス度を決定することが可能であり、リアルタイムな測定結果を提供することができる。また、両側波帯光変調器を用いることで単側波帯光変調器と比較して少なくとも3dBの入力パワーの改善が見込まれる。
したがって、本発明によれば、レーザ光のスペクトル線幅が狭く、コヒーレンス時間が長いレーザ光のコヒーレンス度をより正確に測定可能とするレーザ光特性測定方法及び測定装置を提供することができる。
本実施形態に係るレーザ光特性測定方法を適用した測定装置の構成を示すブロック図である。 図1に示す測定装置の周波数掃引装置によって与えられる周波数変調の波形を表す図である。 図1に示す光90°ハイブリッド回路の具体的な構成を示すブロック図である。
添付の図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。以下に説明する実施の形態は本発明の構成の例であり、本発明は、以下の実施の形態に制限されるものではない。
図1は本実施形態のレーザ光特性測定装置の構成を示すブロック図である。図1において、11は被測定レーザ光源であり、ここで発生された被測定レーザ光は周波数掃引装置12により、図2に示すように所定の期間内で正方向及び負方向にそれぞれ規定幅の周波数掃引を受けた後、光分岐器13によって2系統に分岐される。分岐された一方の系統の被測定レーザ光は光サーキュレータ14によって光ファイバ15に導かれる。当該光ファイバ15内を伝搬する被測定レーザ光によって生じた後方レイリー散乱光は光サーキュレータ14を経て光90°ハイブリッド回路16の第1の光入力ポートに導かれる。一方、他方の系統の被測定レーザ光は光90°ハイブリッド回路16の第2の光入力ポートに導かれる。
この光90°ハイブリッド回路16は、具体的には図3に示すように構成される。すなわち、第1及び第2の光入力ポートに入射された被測定レーザ光は、それぞれ第1及び第2の光分岐器16−1,16−2によって2系統に分岐される。第1の光分岐器16−1で分岐された一方の被測定レーザ光は、第2の光分岐器16−2で分岐された一方の被測定レーザ光と共に第1の光合波器16−3に導かれる。また、第1の光分岐器16−1で分岐された他方の被測定レーザ光は第2の光合波器16−4に導かれ、第2の光分岐器16−2で分岐された他方の被測定レーザ光は1/4波長板16−5を介して第2の光合波器16−4に導かれる。第1及び第2の光合波器16−3,16−4に導かれた伝送光は合波されて第1及び第2の光出力ポートから出力され、それぞれ第1及び第2のバランス型受光素子17−1,17−2にて受光され、電気信号に変換される。
上記バランス型受光素子17−1,17−2で得られた受光信号はデータ取得装置18によって所定のサンプリング周期でデータ化された後、周波数スペクトル解析装置19によって2つの実信号から複素信号が復元され、ビートスペクトル幅が解析され、その解析結果に基づいてコヒーレンス度解析装置20にて被測定レーザ光のコヒーレンス度が解析され、さらに、必要に応じてその解析結果からレーザ光のコヒーレンス長を求める。上記周波数掃引装置12の掃引期間及びデータ取得装置18のデータ取得期間は、いずれもタイミング制御装置21から出される指示に従って決定される。
上記構成において、以下にその測定方法とその手順について説明する。
まず、被測定レーザ光源1が発する時間長Tのレーザ光の電界振幅E(t)を以下のように表すこととする。
Figure 2014038004
ここで、式(1)のαi(t)は
Figure 2014038004
と表される。式(1)及び(2)において、Aは一定値を持つ振幅、ω- iは中心周波数、iは事象(アンサンブル)の番号を表す。すなわち、式(1)はレーザ光から取り出される電界振幅のi番目のアンサンブルを意味している。また、θi(t)は、レーザの位相雑音を表す確率変数である。
本実施形態において測定されるレーザ光のコヒーレンス関数γ(τ)は、
Figure 2014038004
で与えられる量である。記号はアンサンブル平均を意味し、複数のアンサンブルiに対する平均を表す。尚、*は位相共役を意味する。
ここで、式(2)で表される量が持つ意味を考察しておく。もともとのレーザ光の電界は式(1)で表わされるが、これは中心周波数ω- iを中心として位相揺らぎθi(t)を持っている。しかるに、式(2)においては、中心周波数ω- iは現われておらず、位相揺らぎθi(t)のみに関係する量であることがわかる。よって本実施形態で測定される値は、レーザ光が一定時間Tだけ発振した時の位相もしくは周波数の揺らぎ幅を意味しており、これはレーザ光のスペクトルの広がりを評価する際には極めて有用な尺度になると考えられる。
被測定レーザ光源11から発せられたレーザ光の光周波数は、周波数掃引装置12によって、図2に示すように、同じ掃引率で正と負の方向に時間に対してT秒間、線形に掃引される。周波数掃引幅をΔFで表す。周波数掃引装置12としては、両側波帯光変調器(例えばマッハツェンダー型光強度変調器)を使うことによって実現できる。両側波帯光変調器を用いるメリットとして、2つの位相変調器から構成されるマッハツェンダー型光強度変調器によれば、その他の光変調器、例えば、位相変調器4つから構成される単一側波帯光変調器と比較して少なくとも3dBの入力パワーを改善できることがあげられる。すなわち、周波数掃引装置12により周波数掃引された光波の電界振幅(アンサンブル)E'i(t)は、式(4)で表される。
Figure 2014038004
ここで、gは周波数掃引速度(Hz/s)である。
周波数掃引されたレーザ光は、光分岐器13により2分岐され、一方は光サーキュレータ14を介して光ファイバ15に入射される。光ファイバ15内ではレイリー散乱と呼ばれる光散乱が生じる。このレイリー散乱光は光ファイバを逆方向に伝搬してサーキュレータ14に戻り、光90°ハイブリッド回路16に向かって進行する。分岐されたもう一方のレーザ光は、そのまま光90°ハイブリッド回路16に向かって進行する。
光90°ハイブリッド回路16では、第1及び第2の光分岐器16−1,16−2によってレイリー散乱光及びレーザ光の合波光がそれぞれ2分岐され、分岐された一方のレイリー散乱光とローカル光は第1の光合波器16−3にて合波される。合波した光を光ビートIとする。もう一方のレイリー散乱光は1/4波長板16−5にて位相差π/2を付与されたレーザ光と第2の光合波器16−4にて合波される。合波された光を光ビートQとする。光ビートI及び光ビートQは位相差π/2の関係にあり、それぞれバランス型受光素子17−1及び17−2にて光電流I(I) i,m(t)及びI(Q) i,m(t)に光電変換される。
但し、光90°ハイブリッド回路16は光ビートI及び光ビートQとの間に位相差π/2を付与できればよく、光分岐器及び光合波器による構成にこだわらない。光分岐器及び光合波器は、例えば光カプラやハーフミラーなどで実現できる。
本構成は、非特許文献3に説明されているコヒーレント光周波数領域反射計(Coherent Optical Frequency Domain Reflectometry:以下C-OFDRと略記する)と呼ばれる反射分布測定装置の構成を応用したものであり、光ファイバ内の1つの反射点zmまでの光の往復時間をτmとすると、i番目の光電界のアンサンブルEi(t)が反射点zmから散乱されることによってバランス受光素子17−1に生じる光ビートIの光電流I(I) i,m(t)は、
Figure 2014038004
として表される。式(5)はオイラーの公式
Figure 2014038004
を用いて以下の式に書き換えることができる。
Figure 2014038004
ここで、上記式の右辺第2中括弧内の第一項cos内の値より第二項cos内の値が大きい場合、当該第二項はデータ取得装置18のサンプリングレートを調整することによって除去することができる。したがって、
Figure 2014038004
と表すことができる。一方で、バランス受光素子17−2に生じる光ビートQの光電流I(Q) i,m(t)はI(I) i,m(t)に位相差π/2を付与した信号であるので、三角関数の対称性の性質
Figure 2014038004
から、
Figure 2014038004
となる。ここで、複素数rmは反射点zmのレイリー反射係数であり、ランダムな値をとる確率変数である。
実際の光電流はzm近傍の多数の反射点からの散乱光の和によって生じるから、観測される光電流の大きさは
Figure 2014038004
と表される。データ取得装置18は、式(9)及び式(10)で表現される光電流を数値化し取得し、データとして格納する。
式(9)右辺は共にcos項となり、実数である。つまり、式(9)の右辺第一cos項内の位相成分は欠如していることを意味する。データ取得装置18に格納された光電流I(I) i,total(t)及びI(Q) i,total(t)のデータは周波数スペクトル解析装置19へ移行され、信号処理にて前記位相成分を復元する。復元された複素信号をI'i,total(t)とすると、
Figure 2014038004
と表される。式(11)は、定数項を除去すると、式(2)より
Figure 2014038004
に変換される。
C-OFDRでは、光ファイバの距離zmからの散乱光は、式(12)で表現される光電流により算出される。C-OFDRの距離分解能は、遅延時間τmに換算して1/ΔFであり、典型値として例えばF=10GHzと仮定すると、距離分解能に相当する遅延時間差は100psとなる。これは、今考えているレーザのコヒーレンス時間(典型的には1μsまたはそれ以上)と比べて非常に小さいものである。C-OFDRが観測する距離zmにおける散乱光は、式(7)において、この距離分解能に相当する遅延時間差1/ΔFにわたる範囲で、mについて和を取ったものである。
周波数スペクトル解析装置19は、上記光電流の周波数スペクトルを次式より算出する。まず、光電流Iim)は、
Figure 2014038004
と表される。この場合の周波数スペクトルは
Figure 2014038004
となる。
タイミング制御装置21の制御により、上記の一連の測定を2回連続して行う。この連続測定の目的は、上記の周波数スペクトル
Figure 2014038004
を取得することによって、両者の相互相関
Figure 2014038004
が求まる。
ここで、上記において求められた光電流の相互相関と、本実施形態で測定されるレーザ光源11のコヒーレンス度との関係を考察する。
まず、式(13)より、Iim)はαi(t)α* i(t-τm)の時間平均であることがわかるから、それらのアンサンブル平均は、適当な比例係数を除き、お互いに等しい。すなわち
Figure 2014038004
ここで、γ(τm)は求めるべきコヒーレンス度である。Kは適当な比例係数であるが、以下の議論には全く影響しないため、以後1とおくことにする。このことより、Iqi)およびI* sk)は以下のように表すことができる。
Figure 2014038004
ここで、ni,q,n* k,s *はそのアンサンブル平均(iおよびkについての平均)が0であるような、相関をもたない複素数である。すなわち、
Figure 2014038004
である。一方、γ(τi),γ*k)はqやsには依存しない、すなわち繰り返し測定の間で一定の値をとる複素数である。τmの範囲ではコヒーレンス度はほとんど変化しないとすると、
Figure 2014038004
である。式(17−1)および(18)を式(15)に代入し、Aの値は何であっても以下の議論に影響しないので1とおくと、
Figure 2014038004
が求まる。ここで、ni,qのランダム性から
Figure 2014038004
と想定し、ni,qとn* k,s(q≠s)及びγiとγ* k(i≠k)は統計的に互いに独立と仮定すると、クロネッカーのデルタ関数を用いて以下の式が成り立つ。
Figure 2014038004
上記式を用いて,τ近傍におけるγ(τ)は同一とみなし、τ近傍の光電流の相互相関のアンサンブル平均を求めると、
Figure 2014038004
となる。よって、事象のサンプル数が大きければ大きいほど精度よくアンサンブル平均を求めることがわかる。しかしながら、現実的には測定回数には限度があり、許容される測定時間等の制約から決定されるものである。また、
Figure 2014038004
と表わされるので、光電流の相互相関とコヒーレンス度には、
Figure 2014038004
の関係があることがわかる。ここで、複素数の長さ|γ(τ)|2は遅延時間τごとのコヒーレンス度の2乗を示す。また、偏角[ω- q−ω- siは測定q回目とs回目の中心周波数の差と遅延時間の積を示している。
以上から、コヒーレンス度解析装置20は、2つの光電流の相互相関及び平均を計算することで、遅延τ付近でのコヒーレンス度を求めることができる。
本実施形態によるコヒーレンス度並びにコヒーレンス時間測定方法は、従来技術に対して以下の優位性を持つと考えられる。
第1に、従来技術では、分岐されたレーザ光の一方を、十分に長い光ファイバによって十分な時間遅延を与えてからもう一方と合波する必要があり、被測定レーザのコヒーレンス長よりも十分に長い遅延が要求される。すなわち、従来の技術はまさに被測定量であり、よって現段階では不明のレーザのコヒーレンス長よりも長い遅延が得られていることを前提に有効となる。したがって、従来技術による測定結果は、レーザ光スペクトル幅の一定の推測を可能にするものの、その測定結果は不確実性を含んだものにならざるを得なかった。これに対して本実施形態では、コヒーレンス時間と同程度の光ファイバ長により測定が可能な上、仮にコヒーレンス時間がそれよりもはるかに長かった場合には、そのこと自体が測定により明らかにされるので、より長い光ファイバに置き換えて測定をやり直すなどの処置を取ることができる。よって、本実施形態は、従来技術よりも信頼性に優れた測定結果を提供するといえる。
第2に、本実施形態によれば、単一のレーザにて測定が可能である。これにより、被測定レーザ固有のレーザ光を調査することができる。
第3に、本実施形態によれば、2つの異なる光電流からコヒーレンス度を決定することが可能になる。したがって、リアルタイムな測定結果の提供が可能といえる。
第4に、本実施形態によれば、両側波帯光変調器を用いることで、単側波帯光変調器と比較して少なくとも3dBの入力パワーの改善が見込まれる。これまで、入力パワーが低く、十分な遅延におけるレイリー散乱光を検出できない場合は、光変調器の挿入損失や変調損失によって失われたレーザ光パワーを光アンプによって増幅する必要があり、光アンプによる被測定レーザ固有のコヒーレンスへの影響が懸念された。本発明により、出力10dBmのファイバレーザのコヒーレンス度を、光アンプを用いることなく遅延400μsまで観測できている。
尚、本発明は上記実施の形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施の形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成を削除してもよい。さらに、異なる実施形態例に亘る構成要素を適宜組み合わせてもよい。
11…被測定レーザ光源、12…周波数掃引装置、13…光分岐器、14…光サーキュレータ、15…光ファイバ、16…光90°ハイブリッド回路、17−1,17−2…バランス型受光素子、18…データ取得装置、19…周波数スペクトル解析装置、20…レーザ光特性解析装置、21…タイミング制御装置。

Claims (4)

  1. 遅延時間τの関数である被測定レーザ光のコヒーレンス度γ(τ)を測定するレーザ光コヒーレンス度測定方法であって、
    前記被測定レーザ光の周波数を正の掃引率及び負の掃引率で線形に同時に掃引し、
    前記周波数掃引されたレーザ光を2系統に分岐し、
    分岐された一方のレーザ光を光ファイバに入射して当該光ファイバで生じたレイリー散乱光を取り込み、
    前記レイリー散乱光及び前記分岐された他方のレーザ光をそれぞれ2系統に分岐し、
    分岐された一方のレイリー散乱光と再分岐された一方のレーザ光を合波して第1の光電流を検出し、
    再分岐された他方のレーザ光に位相差π/2を付与し、
    前記位相差π/2を付与されたレーザ光と前記分岐された他方のレイリー散乱光を合波して第2の光電流を検出し、
    前記第1及び第2の光電流それぞれの電流値から複素信号を算出し、
    前記複素信号をフーリエ変換してその周波数スペクトルI~'qi)を算出し、
    同様に、連続して光電流の検出ならびにその周波数スペクトルの位相共役I~'* sk)を算出し、
    次式
    Figure 2014038004
    が成り立つことを利用して、
    Figure 2014038004
    の絶対値の平方根を算出することにより前記コヒーレンス度の絶対値|γ(τ)|を求めることを特徴とするレーザ光特性測定方法。
  2. 遅延時間τの関数である被測定レーザ光の特性コヒーレンス度γ(τ)を測定するレーザ光特性測定装置であって、
    前記被測定レーザ光の周波数を正の掃引率及び負の掃引率で線形に掃引する掃引手段と、
    前記掃引手段で周波数掃引されたレーザ光を2系統に分岐する分岐手段と、
    前記分岐手段で分岐された一方のレーザ光を光ファイバに入射して当該光ファイバで生じたレイリー散乱光を取り込む取り込み手段と、
    前記取り込み手段で取り込まれたレイリー散乱光と前記分岐手段で分岐された他方のレーザ光とを入射し、入射レーザ光から位相差π/2を持つ第1及び第2のレーザ光を生成し、前記レイリー散乱光と前記第1のレーザ光を合波して第1の合波光を生成し、前記レイリー散乱光と前記第2のレーザ光を合波して第2の合波光を生成する合波手段と、
    前記合波手段で生成される第1及び第2の合波光からそれぞれ第1及び第2の光電流を検出する第1及び第2の検出手段と、
    前記第1及び第2の光電流それぞれの電流値から複素信号を算出し、前記複素信号をフーリエ変換してその周波数スペクトルI~'qi)を算出し、同様に、連続して光電流の検出ならびにその周波数スペクトルの位相共役I~'* sk)を算出し、次式
    Figure 2014038004
    が成り立つことを利用して、
    Figure 2014038004
    の絶対値の平方根を算出することにより前記コヒーレンス度の絶対値|γ(τ)|を求める解析手段と
    を具備することを特徴とするレーザ光特性測定装置。
  3. 前記合波手段には、光90°ハイブリッド回路を用いることを特徴とする請求項2記載のレーザ光特性測定装置。
  4. 前記掃引手段には、両側波帯光変調器を用いることを特徴とする請求項2記載のレーザ光特性測定装置。
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