JP5827140B2 - レーザ光特性測定方法及び測定装置 - Google Patents
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本発明は、上記の事情を鑑みてなされたもので、レーザ光のスペクトル線幅が狭く、コヒーレンス時間が長いレーザ光のコヒーレンス度、コヒーレンス時間、レーザ中心周波数変化をより正確に測定可能とするレーザ光特性測定方法及び測定装置を提供することを目的とする。
(1)遅延時間τの関数である被測定レーザ光のコヒーレンス度γ(τ)を測定するレーザ光特性測定方法であって、被測定レーザ光の周波数を線形に掃引し、前記周波数掃引されたレーザ光を2系統に分岐し、分岐された一方のレーザ光を光ファイバに入射して当該光ファイバで生じたレイリー散乱光を取り込み、前記レイリー散乱光と前記分岐された他方のレーザ光とを合波し、前記合波によって生じる光電流を検出し、前記検出された光電流の電流値をフーリエ変換してその周波数スペクトルI~ q (τ i )を算出し、同様に、連続して光電流を検出すると共に、その周波数スペクトルの位相共役I~ s * (τ k )を算出し、偏角[ω q −ω s ]τ i を測定q回目とs回目の中心周波数の差と遅延時間の積としたとき、次式
(2)(1)において、前記被測定レーザ光のコヒーレンス度の絶対値が1/eになるτをもってコヒーレンス時間を求める態様とする。
本発明に係るレーザ光特性測定装置は、以下のような態様の構成とする。
(5)(4)の構成において、前記解析手段は、前記被測定レーザ光のコヒーレンス度の絶対値が1/eになるτをもってコヒーレンス時間を求める態様とする。
したがって、本発明によれば、レーザ光のスペクトル線幅が狭く、コヒーレンス時間が長いレーザ光のコヒーレンス度、コヒーレンス時間、レーザ中心周波数変化をより正確に測定可能とするレーザ光特性測定方法及び測定装置を提供することができる。
図1は本実施形態のレーザ光特性測定装置の構成を示すブロック図である。図1において、1は被測定レーザ光源であり、ここで発生された被測定レーザ光は周波数掃引装置2により、図2に示すように所定の期間内で規定幅の周波数掃引を受けた後、光分岐器3−1によって2系統に分岐される。分岐された一方の系統の伝送光は光サーキュレータ4によって光ファイバ5に導かれ、他方の系統の伝送光は光合波器3−2に導かれる。続いて、上記光ファイバ5内でレイリー散乱を受けた反射光は光サーキュレータ4を経て光合波器3−2に導かれ、他方の伝送光と合波された後、バランス型受光素子6に受光される。
まず、被測定レーザ光源1が発する時間長Tのレーザ光の電界振幅E’(t)を以下のように表すこととする。
ここで、式(2)で表される量が持つ意味を考察しておく。もともとのレーザ光の電界は式(1)で表わされるが、これは中心周波数ωiを中心として位相揺らぎθi(t)を持っている。しかるに、式(2)においては、中心周波数ωiは現われておらず、位相揺らぎθi(t)のみに関係する量であることがわかる。よって本実施形態で測量される値は、レーザ光が一定時間Tだけ発振した時の位相もしくは周波数の揺らぎ幅を意味しており、これはレーザ光のスペクトルの広がりを評価する際には極めて有用な尺度になると考えられる。
周波数掃引されたレーザ光は、光分岐器3−1により2分岐され、一方は光サーキュレータ4を介して光ファイバに入射される。光ファイバ5内ではレイリー散乱と呼ばれる光散乱が生じ、その散乱光は光ファイバを逆方向に伝搬してサーキュレータ4に戻り、光合波器3−2に向かって進行する。分岐されたもう一方のレーザ光は、そのまま光合波器3−2に向かって進行する。光合波器3−2ではこれらのレーザ光が合波される。
と表される。データ取得装置7は、式(7)で表される光電流Ii,total(t)を数値化して取得し、データとして格納する。
C-OFDRでは、光ファイバの距離zからの散乱光の強度は、式(7)で表現される光電流により算出される。C-OFDRの距離分解能は、遅延時間τmに換算して1/ΔFであり、典型値として例えばΔF=10GHzと仮定すると、距離分解能に相当する遅延時間差は100psとなる。これは今考えているレーザのコヒーレンス時間(典型的には1μsまたはそれ以上)と比べて非常に小さいものである。C-OFDRが観測する距離zmにおける散乱光強度は、式(7)において、この距離分解能に相当する遅延時間差1/ΔFにわたる範囲で、mについて和を取ったものである。
タイミング制御装置11により、上記の一連の測定を2回連続して行う。この2回の連続測定q,sにより得られるパワースペクトルI~i,total(τm)をそれぞれI~q(τi)、I~ s(τk)とする。但し、qとsの測定間隔はTm以上開ける。なお、上記(9)式の∫Ei(t)E*i(t−τm)dtの項において、連続測定した1回目の当該部分をIq(τi)、2回目をIs(τi)とそれぞれおく。
上記I~q(τi)とI~ s(τk)との相互相関として、式(10)が求まる。
まず式(8)より、Ii(τm)はEi(t)E* i(t-τm)の時間平均であることがわかる。よって、それらのアンサンブル平均は、適当な比例係数を除きお互いに等しいから、式(11)のように表される。
Kは適当な比例係数であるが、以下の説明には影響しないため、以後K=1とおくことにする。このことより、Iq(τi)およびIs *(τk)は、式(12)のように表すことができる。
ここで、複素数の絶対値|γ(τ)|2は、遅延時間τごとにコヒーレンス度の2乗を示す。また、偏角[ωq−ωs]τiは、測定q回目とs回目の中心周波数の差と遅延時間の積を示している。
以上から、レーザ光特性解析装置10は、遅延時間τの付近でのコヒーレンス度を計測し、遅延0の近傍の光電流のコヒーレンス度と解析することで、例えば|γ(τ)| ≒ 1/eに減少する時のτからコヒーレンス時間を求めることができる。
第1に、本実施形態は、コヒーレンス時間と同程度の光ファイバ長により測定が可能な上、仮にコヒーレンス時間がそれよりもはるかに長かった場合には、そのこと自体が測定により明らかにされるので、より長い光ファイバに置き換えて測定をやり直すなどの処置を取ることが可能となる。よって、本実施形態によれば、従来よりも信頼性に優れた測定結果を得ることが可能となる。
第3に、本実施形態によれば、2つの異なる光電流からコヒーレンス度を決定することが可能になる。したがって、リアルタイムに測定結果を得ることが可能となる。
尚、本発明は上記実施の形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施の形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成を削除してもよい。さらに、異なる実施形態例に亘る構成要素を適宜組み合わせてもよい。
Claims (6)
- 遅延時間τの関数である被測定レーザ光のコヒーレンス度γ(τ)を測定するレーザ光特性測定方法であって、
被測定レーザ光の周波数を線形に掃引し、
前記周波数掃引されたレーザ光を2系統に分岐し、
分岐された一方のレーザ光を光ファイバに入射して当該光ファイバで生じたレイリー散乱光を取り込み、
前記レイリー散乱光と前記分岐された他方のレーザ光とを合波し、
前記合波によって生じる光電流を検出し、
前記検出された光電流の電流値をフーリエ変換してその周波数スペクトルI~ q (τ i )を算出し、
同様に、連続して光電流を検出すると共に、その周波数スペクトルの位相共役I~ s * (τ k )を算出し、
偏角[ω q −ω s ]τ i を測定q回目とs回目の中心周波数の差と遅延時間の積としたとき、次式
|γ(τ)|2exp{j[ωq−ωs]τi}の絶対値の平方根を算出することにより前記コヒーレンス度の絶対値|γ(τ)|を求めることを特徴とするレーザ光特性測定方法。 - 前記被測定レーザ光のコヒーレンス度の絶対値が1/eになるτをもってコヒーレンス時間を求めることを特徴とする請求項1記載のレーザ光特性測定方法。
- 遅延時間τの関数である被測定レーザ光のレーザ中心周波数変化を測定するレーザ光特性測定方法であって、
被測定レーザ光の周波数を線形に掃引し、
前記周波数掃引されたレーザ光を2系統に分岐し、
分岐された一方のレーザ光を光ファイバに入射して当該光ファイバで生じたレイリー散乱光を取り込み、
前記レイリー散乱光と前記分岐された他方のレーザ光とを合波し、
前記合波によって生じる光電流を検出し、
前記検出された光電流の電流値をフーリエ変換してその周波数スペクトルI~ q (τ i )を算出し、
同様に、連続して光電流を検出すると共に、その周波数スペクトルの位相共役I~ s * (τ k )を算出し、
偏角[ω q −ω s ]τ i を測定q回目とs回目の中心周波数の差と遅延時間の積としたとき、次式
|γ(τ)|2exp{j[ωq−ωs]τi}の偏角が、遅延時間τにおける2回の測定の間に変化したレーザ中心周波数差に比例することを利用してレーザ中心周波数変化を求めることを特徴とするレーザ光特性測定方法。 - 遅延時間τの関数である被測定レーザ光の特性コヒーレンス度γ(τ)を測定するレーザ光特性測定装置であって、
被測定レーザ光の周波数を線形に掃引する掃引手段と、
前記周波数掃引されたレーザ光を2系統に分岐する分岐手段と、
分岐された一方のレーザ光を光ファイバに入射して当該光ファイバで生じたレイリー散乱光を取り込む取り込み手段と、
前記レイリー散乱光と前記分岐された他方のレーザ光とを合波する合波手段と、
前記合波によって生じる光電流を検出手段と、
前記検出された光電流の電流値をフーリエ変換してその周波数スペクトルI~ q (τ i )を算出し、同様に、連続して光電流を検出すると共に、その周波数スペクトルの位相共役I~ s * (τ k )を算出する算出手段と、
偏角[ω q −ω s ]τ i を測定q回目とs回目の中心周波数の差と遅延時間の積としたとき、次式
|γ(τ)|2exp{j[ωq−ωs]τi}の絶対値の平方根を算出することにより前記コヒーレンス度の絶対値|γ(τ)|を求める解析手段と
を具備することを特徴とするレーザ光特性測定装置。 - 前記解析手段は、前記被測定レーザ光のコヒーレンス度の絶対値が1/eになるτをもってコヒーレンス時間を求めることを特徴とする請求項4記載のレーザ光特性測定装置。
- 遅延時間τの関数である被測定レーザ光のレーザ中心周波数変化を測定するレーザ光特性測定装置であって、
被測定レーザ光の周波数を線形に掃引する掃引手段と、
前記周波数掃引されたレーザ光を2系統に分岐する分岐手段と、
分岐された一方のレーザ光を光ファイバに入射して当該光ファイバで生じたレイリー散乱光を取り込む取り込み手段と、
前記レイリー散乱光と前記分岐された他方のレーザ光とを合波する合波手段と、
前記合波によって生じる光電流を検出する検出手段と、
前記検出された光電流の電流値をフーリエ変換してその周波数スペクトルI~ q (τ i )を算出し、同様に、連続して光電流を検出すると共に、その周波数スペクトルの位相共役I~ s * (τ k )を算出する算出手段と、
偏角[ω q −ω s ]τ i を測定q回目とs回目の中心周波数の差と遅延時間の積としたとき、次式
|γ(τ)|2exp{j[ωq−ωs ]τi}の偏角が、遅延時間τにおける2回の測定の間に変化したレーザ中心周波数差に比例することを利用してレーザ中心周波数変化を求める解析手段と
を具備することを特徴とするレーザ光特性測定装置。
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