JP2014037451A - エレクトレットシート - Google Patents
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Abstract
【課題】本発明は、高温下での使用にあっても高い圧電性を保持するエレクトレットシートを提供する。
【解決手段】本発明のエレクトレットシートは、オレフィン系樹脂及びカーボン材料を含むオレフィン系樹脂シートに電荷を注入して上記オレフィン系樹脂シートを帯電させてなるので、高温下における電荷の放電が低減されており、よって、本発明のエレクトレットシートは、高温下の使用においても経時的に圧電性が低下することはなく、長期間に亘って優れた圧電性を有する。
【選択図】なし
【解決手段】本発明のエレクトレットシートは、オレフィン系樹脂及びカーボン材料を含むオレフィン系樹脂シートに電荷を注入して上記オレフィン系樹脂シートを帯電させてなるので、高温下における電荷の放電が低減されており、よって、本発明のエレクトレットシートは、高温下の使用においても経時的に圧電性が低下することはなく、長期間に亘って優れた圧電性を有する。
【選択図】なし
Description
本発明は、高温下での使用にあっても高い圧電性を保持するエレクトレットシートに関する。
エレクトレットは絶縁性の高分子材料に電荷を注入することにより、内部に帯電を付与した材料である。エレクトレットは繊維状に成形して集塵フィルターなどとして広く用いられている。
又、合成樹脂シートはこれを帯電させることによってセラミックスに匹敵する非常に高い圧電性を示すことが知られている。このような合成樹脂シートを用いたエレクトレットシートは、その優れた感度を利用して音響ピックアップや各種圧力センサーなどへの応用が提案されている。
エレクトレットシートとして、特許文献1には、塩素化ポリオレフィンが付与されているシートであって、かつ、該シートが1×10-10クーロン/cm2以上の表面電荷密度を有するエレクトレットシートが開示されている。
しかしながら、上記エレクトレットシートは、高温下にて使用すると経時的に圧電性が低下するという問題点を有している。
本発明は、高温下での使用にあっても高い圧電性を保持するエレクトレットシートを提供する。
本発明のエレクトレットシートは、オレフィン系樹脂及びカーボン材料を含むオレフィン系樹脂シートに電荷を注入して上記オレフィン系樹脂シートを帯電させてなることを特徴とする。
[オレフィン系樹脂]
オレフィン系樹脂としては、例えば、エチレン系樹脂、プロピレン系樹脂、及びシクロオレフィン系樹脂などが挙げられる。
オレフィン系樹脂としては、例えば、エチレン系樹脂、プロピレン系樹脂、及びシクロオレフィン系樹脂などが挙げられる。
エチレン系樹脂としては、エチレン単独重合体、又はエチレン成分を50重量%を超えて含有するエチレンと少なくとも1種のエチレン以外の炭素数が3〜20のα−オレフィンとの共重合体を挙げることができる。エチレン系樹脂としては、低密度ポリエチレン(LDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)、及び直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)などを挙げることができる。直鎖状低密度ポリエチレンは、エチレンとα−オレフィンとの共重合体である。なお、直鎖状低密度ポリエチレン中におけるα−オレフィンの含有量は、1〜15重量%が好ましく、1〜10重量%がより好ましい。
エチレンと共重合されるα−オレフィンとしては、例えば、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセン、1−テトラデセン、1−ヘキサデセン、1−オクタデセン、及び1−エイコセンなどが挙げられる。なかでも、炭素数が4〜10のα−オレフィンが好ましく、1−オクテンがより好ましい。
直鎖状低密度ポリエチレンの密度は、0.90〜0.93g/cm3が好ましく、0.915〜0.925g/cm3がより好ましい。なお、本発明において、直鎖状低密度ポリエチレンの密度とは、JIS K7112 「プラスチック−非発泡プラスチックの密度及び比重の測定方法」に準拠して測定された値を意味する。
プロピレン系樹脂としては、プロピレン単独重合体、又はプロピレン成分を50重量%を超えて含有するプロピレンと少なくとも1種のプロピレン以外の炭素数3〜20のオレフィンとの共重合体などが挙げられる。プロピレンと少なくとも1種のプロピレン以外の炭素数3〜20のオレフィンとの共重合体は、ブロック共重合体、ランダム共重合体の何れであってもよい。
プロピレンと共重合されるα−オレフィンとしては、例えば、エチレン、1−ブテン、1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセン、1−テトラデセン、1−ヘキサデセン、1−オクタデセン、及び1−エイコセンなどが挙げられる。
シクロオレフィン系樹脂としては、シクロアルケンの単独重合体又は共重合体が挙げられる。シクロアルケンとしては、例えば、シクロブテン、シクロペンテン、シクロヘキセン、シクロオクテン、3−メチルシクロペンテン、4−メチルシクロペンテン、及び3−メチルシクロヘキセンなどが挙げられる。シクロオレフィン系樹脂としては、例えば、ポリシクロブテン、ポリシクロペンテン、ポリシクロヘキセン、ポリシクロオクテン、ポリ3−メチルシクロペンテン、ポリ4−メチルシクロペンテン、及びポリ3−メチルシクロヘキセンなどが挙げられる。
オレフィン系樹脂は、プロピレン系樹脂及びエチレン系樹脂が好ましく、プロピレン単独重合体及び直鎖状低密度ポリエチレンが好ましい。これらのオレフィン系樹脂は、絶縁性、柔軟性及び電荷保持性が優れており、得られるエレクトレットシートに優れた圧電性を付与することができる。なお、オレフィン系樹脂は、単独で用いられても二種以上が併用されてもよい。
オレフィン系樹脂がポリエチレン系樹脂とポリプロピレン系樹脂とを含有する場合、オレフィン系樹脂中におけるポリエチレン系樹脂の含有量は、1〜80重量%が好ましく、1〜50重量%がより好ましい。また、オレフィン系樹脂がポリエチレン系樹脂とポリプロピレン系樹脂とを含有する場合、オレフィン系樹脂中におけるポリプロピレン系樹脂の含有量は、20〜99重量%が好ましく、50〜99重量%がより好ましい。このような含有量でポリエチレン系樹脂とポリプロピレン系樹脂とを含むオレフィン系樹脂によれば、圧電性に優れているエレクトレットシートを提供することができる。
[カーボン材料]
本発明のエレクトレットシートは、カーボン材料を含有している。エレクトレットシート中において、カーボン材料とオレフィン系樹脂との界面に電荷がトラップされやすく、カーボン材料とオレフィン系樹脂との界面にトラップされた電荷は、エレクトレットシートを高温条件下にて使用した場合にも放電され難い。したがって、本発明のエレクトレットシートは、高温条件下でも優れた圧電性を維持する。
本発明のエレクトレットシートは、カーボン材料を含有している。エレクトレットシート中において、カーボン材料とオレフィン系樹脂との界面に電荷がトラップされやすく、カーボン材料とオレフィン系樹脂との界面にトラップされた電荷は、エレクトレットシートを高温条件下にて使用した場合にも放電され難い。したがって、本発明のエレクトレットシートは、高温条件下でも優れた圧電性を維持する。
カーボン材料としては、カーボンブラック、黒鉛、薄片化黒鉛、カーボンナノチューブ、及びフラーレンなどが挙げられる。カーボン材料は、単独で用いられても二種以上が併用されてもよい。
カーボンブラックとしては、ファーネスブラック、アセチレンブラック、サーマルブラック、チャンネルブラック、及びケッチェンブラックなどが挙げられる。
カーボンブラックの平均一次粒子径は、100nm以下が好ましく、1〜50nmがより好ましい。カーボンブラックの平均一次粒子径が100nmを超えると、エレクトレットシート中でカーボンブラック同士の距離が短くなり、オレフィン系樹脂とカーボンブラックとの間にトラップされた電荷が他のカーボンブラックを通じて容易に拡散して、エレクトレットシートの外部へ放電し易くなり、エレクトレットシートの圧電性が低下する虞れがある。
なお、本発明において、カーボンブラックの一次粒子径とは、カーボンブラックの一次粒子径を包囲し得る最小径の真円の直径を意味する。カーボンブラックの平均一次粒子径は、カーボンブラックを透過型電子顕微鏡(TEM)により観察し、少なくとも100個以上のカーボンブラックの一次粒子径を測定して、得られた値を相加平均することにより算出することができる。
黒鉛の平均一次粒子径は、100nm以下が好ましく、1〜50nmがより好ましい。黒鉛の平均一次粒子径が100nmを超えると、エレクトレットシート中で黒鉛同士の距離が短くなり、オレフィン系樹脂と黒鉛との間にトラップされた電荷が他の黒鉛を通じて容易に拡散して、エレクトレットシートの外部へ放電し易くなり、エレクトレットシートの圧電性が低下する虞れがある。
なお、本発明において、黒鉛の一次粒子径とは、黒鉛の一次粒子径を包囲し得る最小径の真円の直径を意味する。そして、黒鉛の一次粒子径は、黒鉛を透過型電子顕微鏡(TEM)により観察し、少なくとも100個以上の黒鉛の一次粒子径を測定して、得られた値を相加平均することにより算出することができる。
薄片化黒鉛は、複数のグラフェンシートの積層体である。薄片化黒鉛は、黒鉛化合物を剥離処理して得られるものであり、原料となる黒鉛化合物よりも厚みの薄いグラフェンシートの積層体、即ち、原料となる黒鉛化合物のグラフェンシートの積層数よりも少ない積層数を有するグラフェンシートの積層体である。本発明において、グラフェンシートとは炭素六角網平面からなる1枚のシート状物をいう。
なお、黒鉛化合物としては、黒鉛、膨張化黒鉛などの酸化処理を施した黒鉛の何れであってもよいが、グラフェンシート間から剥離し易いので、膨張化黒鉛などの酸化処理を施した黒鉛が好ましく、膨張化黒鉛がより好ましい。なお、黒鉛に官能基が化学的に結合していても、或いは、黒鉛に官能基が弱い相互作用により疑似的に結合していてもよい。なお、本発明において、膨張化黒鉛とは、原料となる黒鉛に層間物質が挿入され、グラフェンシート間の間隔が広げられたものをいう。
薄片化黒鉛におけるグラフェンシートの積層数は、原料となる黒鉛化合物の積層数よりも少なければよいが、2〜200層である。薄片化黒鉛は、薄いグラフェンシートが複数枚、積層されており、アスペクト比が比較的大きい鱗片状の形態を有する。
薄片化黒鉛におけるグラフェンシートの積層数は、150層以下が好ましく、60層以下がより好ましく、30層以下が更に好ましく、10層以下が特に好ましく、5層以下が最も好ましい。なお、薄片化黒鉛におけるグラフェンシートの積層数は透過型電子顕微鏡(TEM)を用いて測定することができ、各薄片化黒鉛におけるグラフェンシートの積層数の相加平均値をいう。
更に、薄片化黒鉛のアスペクト比は20以上が好ましく、50以上がより好ましく、100以上が特に好ましく、200以上が最も好ましいが、高すぎると、薄片化黒鉛の割れが発生することがあるので、5000以下が好ましい。なお、薄片化黒鉛のアスペクト比は、各薄片化黒鉛についてグラフェンシートの面方向における最大寸法を厚みで除したアスペクト比を算出し、各薄片化黒鉛のアスペクト比の相加平均値をいう。
ここで、薄片化黒鉛におけるグラフェンシートの面方向における最大寸法とは、薄片化黒鉛の面積が最も大きくなる方向から見た時の薄片化黒鉛の最大寸法をいう。薄片化黒鉛の厚みとは、薄片化黒鉛の面積が最も大きくなる方向から見た時の薄片化黒鉛の表面に対して直交する方向の薄片化黒鉛の最大寸法をいう。
なお、薄片化黒鉛にてグラフェンシートの面方向における最大寸法は、FE−SEMを用いて測定することができる。又、薄片化黒鉛の厚みは、透過型電子顕微鏡(TEM)又はFE−SEMを用いて測定することができる。
薄片化黒鉛の製造方法としては、特に制限されず、例えば、(1)特開2002−053313号公報に準拠したHummers−Offeman法(W.S.Hummers et al.,J.Am.Chem.Soc.,80,1339(1958)、(2)米国特許第2798878号公報に記載の方法によって酸化黒鉛を作製した後、精製により酸化黒鉛をその層面間において剥離する方法、(3)特表2009−511415号公報に記載のように酸化黒鉛層間化合物を急速加熱によりその層面間において剥離する方法、(4)黒鉛化合物を超臨界流体や亜臨界流体などの高圧流体に曝すことによって黒鉛化合物をその層面間において剥離する方法などが挙げられる。
カーボンナノチューブとしては、単層カーボンナノチューブ、及び多層カーボンナノチューブが挙げられる。
カーボンナノチューブの長さは、0.01〜100μm以下が好ましく、0.1〜50μmがより好ましい。カーボンナノチューブの長さが100μmを超えるとエレクトレットシート中でカーボンナノチューブ同士の距離が短くなり、オレフィン系樹脂とカーボンナノチューブとの間にトラップされた電荷が他のカーボンナノチューブを通じて容易に拡散して、エレクトレットシートの外部へ放電し易くなり、エレクトレットシートの圧電性が低下する虞れがある。
なお、本発明において、カーボンナノチューブの長さの測定は、エレクトレットシートの断面をカーボンナノチューブを透過型電子顕微鏡(TEM)により観察し、得られた画像からカーボンナノチューブの長さを測定することにより行うことができる。
フラーレンは、複数の炭素原子が閉殻状に結合してなる炭素同素体であり、フラーレンクラスターとも称される。フラーレンとしては、炭素数が60〜98のフラーレンが挙げられ、具体的には、フラーレンC60、C70、C76、C82、C84、C90、及びC95が挙げられる。
なかでも、カーボン材料としては、カーボンブラック、カーボンナノチューブ、薄片化黒鉛が好ましく、カーボンブラックがより好ましい。これらのカーボン材料によれば、高温下での使用であっても、より高い圧電性を保持することができるエレクトレットシートを提供することができる。
カーボン材料のBET比表面積は、10〜1000g/m2以上が好ましく、40〜500g/m2がより好ましい。カーボン材料のBET比表面積が小さ過ぎると、カーボン材料によってトラップできる電荷量の絶対量が低下して、エレクトレットシートの圧電性が低下する虞れがある。
なお、本発明において、カーボン材料のBET比表面積は、窒素吸着法により測定された値とする。
カーボン材料のpHは、5未満が好ましく、1〜4がより好ましく、1〜3が特に好ましい。pHが5未満であるカーボン材料は、その表面にスルホ基(−SO3H)、カルボキシル基(−COOH)、フェノール性水酸基などの酸性官能基を充分に有している。このようなカーボン材料によれば、エレクトレットシート中に注入させた電荷を酸性官能基がトラップして共鳴安定化させ、高温下であってもトラップした電荷をより安定して保持することができ、これにより高い圧電性を保持するエレクトレットシートを提供することが可能となる。
なお、フェノール性水酸基とは、カーボン材料を構成する芳香環に直接結合しているヒドロキシル基を意味する。また、スルホ基やカルボキシル基は、カーボン材料を構成する芳香環に直接結合していてもよく、カーボン材料を構成する芳香環にアルキレン基やエーテル結合などの原子団を介して間接的に結合していてもよい。しかしながら、トラップした電荷をより高く共鳴安定化させることができることから、スルホ基やカルボキシル基は、カーボン材料を構成する芳香環に直接結合していることが好ましい。
本発明において、カーボン材料のpHの測定は、JIS K6221(1982)に準拠した方法により行うことができる。
カーボン材料のpHの調整を5未満とするためには、カーボン材料の表面に酸性官能基を導入する方法が好ましく用いられる。カーボン材料の表面に酸性官能基を導入する方法としては、公知の方法を用いることができ、例えば、スルホン化剤(硫酸、三酸化硫黄、スルホン化ピリジン塩、及びスルファミン酸)、硝酸、過酸化水素水、過塩素酸ソーダ、次亜ハロゲン酸塩(次亜塩素酸ナトリウム、及び次亜塩素酸カリウムなど)を用いた液相酸化処理法;オゾン処理法及びプラズマ処理法などの気相酸化処理法などが挙げられる。また、特開平08−3498号公報に記載されている方法などを使用することもできる。
オレフィン系樹脂シート中におけるカーボン材料の含有量は、オレフィン系樹脂100重量部に対して、0.01〜10重量部が好ましく、0.01〜5重量部がより好ましく、0.05〜1重量部が特に好ましい。オレフィン系樹脂シート中におけるカーボン材料の含有量が少な過ぎると、高温下においてエレクトレットシートの圧電性が経時的に低下する虞れがある。また、オレフィン系樹脂シート中におけるカーボン材料の含有量が高過ぎると、エレクトレットシート中に注入させた電荷がカーボン材料を伝って拡散し、エレクトレットシートの圧電性が低下する虞れがある。
なお、オレフィン系樹脂シートには、その物性を損なわない範囲内において、酸化防止剤、金属害防止剤、紫外線吸収剤、顔料、染料、ブロッキング防止剤などの添加剤が含有されていてもよい。
そして、オレフィン系樹脂シートは、オレフィン系樹脂非発泡シートであってもオレフィン系樹脂発泡シートであってもよい。なかでも、高い圧電性を有するエレクトレットシートを提供することができることから、オレフィン系樹脂発泡シートが好ましい。又、オレフィン系樹脂シートは、汎用の要領で一軸延伸又は二軸延伸されていてもよい。
オレフィン系樹脂非発泡シートの製造方法としては、例えば、(1)オレフィン系樹脂及びカーボン材料を含むオレフィン系樹脂組成物を押出機に供給して溶融混練し押出機に取り付けたTダイからシート状に押出してオレフィン系樹脂非発泡シートを製造する方法、(2)オレフィン系樹脂及びカーボン材料を含むオレフィン系樹脂組成物を押出機に供給して溶融混練し押出機に取り付けたサーキュラダイから円筒状体を押出し、この円筒状体を押出方向に連続的に内外周面間に亘って切断して円筒状体を展開しオレフィン系樹脂非発泡シートを製造する方法が挙げられる。
また、オレフィン系樹脂発泡シートの製造方法としては、例えば、(1)オレフィン系樹脂、カーボン材料、及び熱分解型発泡剤を含む発泡性オレフィン系樹脂組成物を、必要に応じて架橋助剤を添加した上で押出機に供給して溶融混練し、押出機から発泡性オレフィン系樹脂シートを押出し、この発泡性オレフィン系樹脂シートに電離性放射線を所定量照射して発泡性オレフィン系樹脂シートを架橋した後、この発泡性オレフィン系樹脂シートを上記熱分解型発泡剤の分解温度以上に加熱してオレフィン系樹脂発泡シートを製造する方法、(2)オレフィン系樹脂、カーボン材料、及び熱分解型発泡剤を含む発泡性オレフィン系樹脂組成物に、架橋剤及び必要に応じて架橋助剤を添加した上で、この発泡性オレフィン系樹脂組成物を押出機に供給して溶融混練し、押出機から発泡性オレフィン系樹脂シートを押出し、この得られた発泡性オレフィン系樹脂シートを熱分解型発泡剤の分解温度以上に加熱すると共に架橋してオレフィン系樹脂発泡シートを製造する方法などが挙げられる。
熱分解型発泡剤としては、従来から発泡体の製造に用いられているものであれば、特に限定されず、例えば、アゾジカルボンアミド、ベンゼンスルホニルヒドラジド、ジニトロソペンタメチレンテトラミン、トルエンスルホニルヒドラジド、4,4−オキシビス(ベンゼンスルホニルヒドラジド)などが挙げられ、これらは単独で用いられても二種類以上が併用されてもよい。
架橋助剤としては、従来から発泡体の製造に用いられているものであれば、特に限定されず、例えば、ジビニルベンゼン、トリメチロールプロパントリメタクリレート、1,9−ノナンジオールジメタクリレート、1,10−デカンジオールジメタクリレート、トリメリット酸トリアリルエステル、トリアリルイソシアヌレート、エチルビニルベンゼン、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、1,2,4−ベンゼントリカルボン酸トリアリルエステル、1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート、ラウリルメタクリレート、ステアリルメタクリレート、フタル酸ジアリル、テレフタル酸ジアリル、イソフタル酸ジアリルなどが挙げられる。これらは単独で使用しても二種以上が併用されてもよい。
架橋助剤の添加量は、少ないと、所望の架橋度が得られない一方、多くても、効果は変わらないので、オレフィン系樹脂100重量部に対して0.1〜30重量部が好ましく、0.1〜10重量部がより好ましい。
架橋剤としては、従来から発泡体の製造に用いられているものであれば、特に限定されず、例えば、2,4−ジクロロベンゾイルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、t−ブチルパーベンゾエート、クミルハイドロパーオキサイド、t−ブチルハイドロパーオキサイド、1,1−ジ(t−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルヘキサン、n−ブチル−4,4−ジ(t−ブチルパーオキシ)バレレート、α, α′−ビス(t−ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキシン−3、t−ブチルパーオキシクメンなどが挙げられる。電離性放射線としては、例えば、光、γ線、電子線などが挙げられ、電子線が好ましい。
上記オレフィン系樹脂シートに汎用の要領で電荷を注入することによってオレフィン系樹脂シートを帯電させてエレクトレットシートを製造することができる。オレフィン系樹脂シートに電荷を注入する方法としては、特に限定されず、例えば、(1)オレフィン系樹脂シートを一対の平板電極で挟持し、一方の平板電極をアースすると共に他方の平板電極を高圧直流電源に接続して、オレフィン系樹脂シートに直流又はパルス状の高電圧を印加してオレフィン系樹脂に電荷を注入してオレフィン系樹脂シートを帯電させる方法、(2)オレフィン系樹脂シートの一面にアースされた平板電極を密着状態に重ね合わせ、オレフィン系樹脂シートの他面側に所定間隔を存して直流の高圧電源に電気的に接続された針状電極又はワイヤー電極を配設し、針状電極の先端又はワイヤー電極の表面近傍への電界集中によりコロナ放電を発生させ、空気分子をイオン化させて、針状電極又はワイヤー電極の極性により発生した空気イオンを反発させてオレフィン系樹脂シートに電荷を注入してオレフィン系樹脂シートを帯電させる方法、(3)電子線、X線などの電離性放射線や紫外線をオレフィン系樹脂シートに照射して、オレフィン系樹脂シートの近傍部の空気分子をイオン化することによってオレフィン系樹脂に電荷を注入してオレフィン系樹脂シートを帯電させる方法などが挙げられる。上記方法の中でオレフィン系樹脂シートに容易に電荷を注入することができるので、上記(1)及び(2)の方法が好ましく、上記(2)の方法がより好ましい。
上記(1)及び(2)の方法において、オレフィン系樹脂シートに印加する電圧の絶対値は、小さいと、オレフィン系樹脂シートに十分に電荷を注入することができず、高い圧電性を有するエレクトレットシートを得ることができないことがあり、大きいと、アーク放電してしまい、却って、オレフィン系樹脂シートに十分に電荷を注入することができず、高い圧電性を有するエレクトレットシートを得ることができないことがあるので、3〜100kVが好ましく、5〜50kVより好ましい。
上記(3)の方法において、オレフィン系樹脂シートに照射する電離性放射線の加速電圧の絶対値は、小さいと、空気中の分子を十分に電離することができず、オレフィン系樹脂シートに十分な電荷を注入することができず、圧電性の高いエレクトレットシートを得ることができないことがあり、多いと、電離性放射線が空気を透過するので、空気中の分子を電離させることができないことがあるので、5〜15kVが好ましい。
エレクトレットシートの厚みは、薄いと、エレクトレットシートの強度が不十分となることがあり、厚いと、エレクトレットシートの取扱い性が低下することがあるので、1〜1000μmが好ましく、10〜300μmがより好ましい。
なお、エレクトレットシートの厚みは、膜厚測定機(例えば、NIKON社製 DIGMICRO MFC−101)を用いて、エレクトレットシートの厚みを12箇所以上測定し、その相加平均値を算出することにより得られた値とする。
本発明のエレクトレットシートは、オレフィン系樹脂及びカーボン材料を含むオレフィン系樹脂シートに電荷を注入して上記オレフィン系樹脂シートを帯電させてなることから、エレクトレットシート中でオレフィン系樹脂とカーボン材料との界面にトラップされた電荷を安定して保持することができ、高温下であってもエレクトレットシート中でトラップされちる電荷が拡散して放電することを高く抑制することができる。よって、本発明のエレクトレットシートは、高温下の使用においても経時的に圧電性が低下することはなく、長期間に亘って優れた圧電性を有する。
以下に、本発明を実施例を用いてより具体的に説明するが、本発明はこれに限定されない。
(オレフィン系樹脂シート構成成分)
以下の実施例1〜23及び比較例1〜5でオレフィン系樹脂シートの作製に使用した各成分について、以下に詳細を記載する。
プロピレン系樹脂A(ホモポリプロピレン、日本ポリプロ社製 商品名「ノバテックPP EA9」)
プロピレン系樹脂B(プロピレン−エチレンランダム共重合体、プロピレン成分90重量%以上含有、日本ポリプロ社製 製品名「ノバテックPP EG8B」)
直鎖状低密度ポリエチレンA(エチレン−1−オクテン共重合体、エチレン成分96重量%含有、密度0.92g/cm3、プライムポリマー社製 商品名「モアテック0238CN」)
カーボンブラックA(平均一次粒子径13nm、BET比表面積370g/m2、酸性官能基としてスルホ基、カルボキシル基、及びフェノール性ヒドロキシル基含有、pH2.5、三菱化学社製 商品名「三菱カーボンブラック ♯2650」)
カーボンブラックB(平均一次粒子径13nm、BET比表面積370g/m2、酸性官能基なし、pH7、三菱化学社製 商品名「三菱カーボンブラック ♯2600」)
カーボンブラックC(平均一次粒子径24nm、BET比表面積110g/m2、酸性官能基としてスルホ基、カルボキシル基、及びフェノール性ヒドロキシル基含有、pH3.5、三菱化学社製 商品名「三菱カーボンブラック MA100」)
カーボンブラックD(平均一次粒子径50nm、BET比表面積45g/m2、酸性官能基なし、pH7.5、三菱化学社製 商品名「三菱カーボンブラック ♯20」)
薄片化黒鉛A(グラフェンシート積層数3層、アスペクト比1000、BET比表面積750g/m2、酸性官能基としてカルボキシル基含有、pH4〜5、XG Science社製 商品名「XGnP C−750」)
薄片化黒鉛B(グラフェンシート積層数20層、アスペクト比250、BET比表面積150g/m2、酸性官能基としてカルボキシル基含有、pH4〜5、XG Science社製 商品名「XGnP M−5」)
薄片化黒鉛C(グラフェンシート積層数40層、アスペクト比125、BET比表面積60g/m2、酸性官能基としてカルボキシル基含有、pH4〜5、XG Science社製 商品名「XGnP H」)
カーボンナノチューブA(長さ1〜25μm、アスペクト比800、BET比表面積200g/m2、酸性官能基なし、pH7、CNT co.,Ltd社製 商品名「CTube−100」)
カーボンナノチューブB(長さ1〜25μm、アスペクト比800、BET比表面積200g/m2、酸性官能基としてカルボキシル基含有、pH4〜5、CNT co.,Ltd社製 商品名「CTube−200」)
フラーレンA(炭素数60、BET比表面積0.7g/m2、酸性官能基なし、pH7、フロンティアカーボン社製 商品名「nanom purple ST」)
以下の実施例1〜23及び比較例1〜5でオレフィン系樹脂シートの作製に使用した各成分について、以下に詳細を記載する。
プロピレン系樹脂A(ホモポリプロピレン、日本ポリプロ社製 商品名「ノバテックPP EA9」)
プロピレン系樹脂B(プロピレン−エチレンランダム共重合体、プロピレン成分90重量%以上含有、日本ポリプロ社製 製品名「ノバテックPP EG8B」)
直鎖状低密度ポリエチレンA(エチレン−1−オクテン共重合体、エチレン成分96重量%含有、密度0.92g/cm3、プライムポリマー社製 商品名「モアテック0238CN」)
カーボンブラックA(平均一次粒子径13nm、BET比表面積370g/m2、酸性官能基としてスルホ基、カルボキシル基、及びフェノール性ヒドロキシル基含有、pH2.5、三菱化学社製 商品名「三菱カーボンブラック ♯2650」)
カーボンブラックB(平均一次粒子径13nm、BET比表面積370g/m2、酸性官能基なし、pH7、三菱化学社製 商品名「三菱カーボンブラック ♯2600」)
カーボンブラックC(平均一次粒子径24nm、BET比表面積110g/m2、酸性官能基としてスルホ基、カルボキシル基、及びフェノール性ヒドロキシル基含有、pH3.5、三菱化学社製 商品名「三菱カーボンブラック MA100」)
カーボンブラックD(平均一次粒子径50nm、BET比表面積45g/m2、酸性官能基なし、pH7.5、三菱化学社製 商品名「三菱カーボンブラック ♯20」)
薄片化黒鉛A(グラフェンシート積層数3層、アスペクト比1000、BET比表面積750g/m2、酸性官能基としてカルボキシル基含有、pH4〜5、XG Science社製 商品名「XGnP C−750」)
薄片化黒鉛B(グラフェンシート積層数20層、アスペクト比250、BET比表面積150g/m2、酸性官能基としてカルボキシル基含有、pH4〜5、XG Science社製 商品名「XGnP M−5」)
薄片化黒鉛C(グラフェンシート積層数40層、アスペクト比125、BET比表面積60g/m2、酸性官能基としてカルボキシル基含有、pH4〜5、XG Science社製 商品名「XGnP H」)
カーボンナノチューブA(長さ1〜25μm、アスペクト比800、BET比表面積200g/m2、酸性官能基なし、pH7、CNT co.,Ltd社製 商品名「CTube−100」)
カーボンナノチューブB(長さ1〜25μm、アスペクト比800、BET比表面積200g/m2、酸性官能基としてカルボキシル基含有、pH4〜5、CNT co.,Ltd社製 商品名「CTube−200」)
フラーレンA(炭素数60、BET比表面積0.7g/m2、酸性官能基なし、pH7、フロンティアカーボン社製 商品名「nanom purple ST」)
[実施例1〜4及び比較例1]
(押出工程)
プロピレン系樹脂A、直鎖状低密度ポリエチレンA、カーボンブラックA、薄片化黒鉛B、カーボンナノチューブB、フラーレンA、及び酸化防止剤(BASF社製 製品名「IRGANOX 1010」)を、それぞれ表1に示した配合量で、押出機に供給して190℃で溶融混練し、Tダイからシート状に押出すことにより、非発泡のオレフィン系樹脂シートを製造した。
(押出工程)
プロピレン系樹脂A、直鎖状低密度ポリエチレンA、カーボンブラックA、薄片化黒鉛B、カーボンナノチューブB、フラーレンA、及び酸化防止剤(BASF社製 製品名「IRGANOX 1010」)を、それぞれ表1に示した配合量で、押出機に供給して190℃で溶融混練し、Tダイからシート状に押出すことにより、非発泡のオレフィン系樹脂シートを製造した。
(電荷注入工程)
次に、オレフィン系樹脂シートの一面にアースされた平板電極を密着状態に重ね合わせ、オレフィン系樹脂シートの他面側に所定間隔を存して直流の高圧電源に電気的に接続された針状電極を配設し、針状電極の表面近傍への電界集中により、電圧−10kV、放電距離10mm及び電圧印可時間1分の条件下にてコロナ放電を発生させ、空気分子をイオン化させて、針状電極の極性により発生した空気イオンを反発させてオレフィン系樹脂シートに電荷を注入してオレフィン系樹脂シートを帯電させた。その後、電荷を注入したオレフィン系樹脂シートを、接地されたアルミニウム箔で包み込んだ状態で3時間に亘って保持することでオレフィン系樹脂シート表面に存在する静電気を除去することにより、エレクトレットシート(厚み0.1mm)を得た。
次に、オレフィン系樹脂シートの一面にアースされた平板電極を密着状態に重ね合わせ、オレフィン系樹脂シートの他面側に所定間隔を存して直流の高圧電源に電気的に接続された針状電極を配設し、針状電極の表面近傍への電界集中により、電圧−10kV、放電距離10mm及び電圧印可時間1分の条件下にてコロナ放電を発生させ、空気分子をイオン化させて、針状電極の極性により発生した空気イオンを反発させてオレフィン系樹脂シートに電荷を注入してオレフィン系樹脂シートを帯電させた。その後、電荷を注入したオレフィン系樹脂シートを、接地されたアルミニウム箔で包み込んだ状態で3時間に亘って保持することでオレフィン系樹脂シート表面に存在する静電気を除去することにより、エレクトレットシート(厚み0.1mm)を得た。
[実施例5〜7及び比較例2〜4]
(押出工程)
プロピレン系樹脂A〜B、直鎖状低密度ポリエチレンA、カーボンブラックA、薄片化黒鉛C、熱分解型発泡剤としてアゾジカルボンアミド、架橋助剤としてトリメチロールプロパントリメタクリレート、及び酸化防止剤(BASF社製 製品名「IRGANOX 1010」)を、それぞれ表2に示した配合量で、押出機に供給して190℃で溶融混練し、Tダイからシート状に押出すことにより、発泡性オレフィン系樹脂シート(厚み0.3mm)を製造した。
(押出工程)
プロピレン系樹脂A〜B、直鎖状低密度ポリエチレンA、カーボンブラックA、薄片化黒鉛C、熱分解型発泡剤としてアゾジカルボンアミド、架橋助剤としてトリメチロールプロパントリメタクリレート、及び酸化防止剤(BASF社製 製品名「IRGANOX 1010」)を、それぞれ表2に示した配合量で、押出機に供給して190℃で溶融混練し、Tダイからシート状に押出すことにより、発泡性オレフィン系樹脂シート(厚み0.3mm)を製造した。
(発泡工程)
次に、発泡性オレフィン系樹脂シートに電子線を加速電圧300kVの条件下にて25kGy照射して発泡性オレフィン系樹脂シートを架橋させた。この架橋させた発泡性オレフィン系樹脂シートを250℃の熱風オーブンに投入して、熱分解型発泡剤を分解させて発泡性オレフィン系樹脂シートを発泡させた後に冷却させることにより、オレフィン系樹脂発泡シート(厚み0.5mm)を得た。
次に、発泡性オレフィン系樹脂シートに電子線を加速電圧300kVの条件下にて25kGy照射して発泡性オレフィン系樹脂シートを架橋させた。この架橋させた発泡性オレフィン系樹脂シートを250℃の熱風オーブンに投入して、熱分解型発泡剤を分解させて発泡性オレフィン系樹脂シートを発泡させた後に冷却させることにより、オレフィン系樹脂発泡シート(厚み0.5mm)を得た。
(延伸工程)
そして、オレフィン系樹脂発泡シートを熱風オーブン中に供給して、オレフィン系樹脂発泡シートの表面温度が150℃になるようにしながらオレフィン系樹脂発泡シートをその押出方向(長さ方向)のみに延伸倍率2倍で一軸延伸した。
そして、オレフィン系樹脂発泡シートを熱風オーブン中に供給して、オレフィン系樹脂発泡シートの表面温度が150℃になるようにしながらオレフィン系樹脂発泡シートをその押出方向(長さ方向)のみに延伸倍率2倍で一軸延伸した。
(電荷注入工程)
しかる後、オレフィン系樹脂発泡シートの一面にアースされた平板電極を密着状態に重ね合わせ、オレフィン系樹脂発泡シートの他面側に所定間隔を存して直流の高圧電源に電気的に接続された針状電極を配設し、針状電極の表面近傍への電界集中により、電圧−10kV、放電距離10mm及び電圧印可時間1分の条件下にてコロナ放電を発生させ、空気分子をイオン化させて、針状電極の極性により発生した空気イオンを反発させてオレフィン系樹脂発泡シートに電荷を注入してオレフィン系樹脂発泡シートを帯電させた。その後、電荷を注入したオレフィン系樹脂発泡シートを、接地されたアルミニウム箔で包み込んだ状態で3時間に亘って保持することでオレフィン系樹脂発泡シート表面に存在する静電気を除去することにより、エレクトレットシート(厚み0.3mm)を得た。
しかる後、オレフィン系樹脂発泡シートの一面にアースされた平板電極を密着状態に重ね合わせ、オレフィン系樹脂発泡シートの他面側に所定間隔を存して直流の高圧電源に電気的に接続された針状電極を配設し、針状電極の表面近傍への電界集中により、電圧−10kV、放電距離10mm及び電圧印可時間1分の条件下にてコロナ放電を発生させ、空気分子をイオン化させて、針状電極の極性により発生した空気イオンを反発させてオレフィン系樹脂発泡シートに電荷を注入してオレフィン系樹脂発泡シートを帯電させた。その後、電荷を注入したオレフィン系樹脂発泡シートを、接地されたアルミニウム箔で包み込んだ状態で3時間に亘って保持することでオレフィン系樹脂発泡シート表面に存在する静電気を除去することにより、エレクトレットシート(厚み0.3mm)を得た。
[実施例8〜23及び比較例5]
(押出工程)
プロピレン系樹脂A、直鎖状低密度ポリエチレンA、カーボンブラックA〜D、薄片化黒鉛A〜C、カーボンナノチューブA〜B、及びフラーレンA、熱分解型発泡剤としてアゾジカルボンアミド、架橋助剤としてトリメチロールプロパントリメタクリレート、酸化防止剤(BASF社製 製品名「IRGANOX 1010」)を、それぞれ表3に示した配合量で、押出機に供給して190℃で溶融混練し、Tダイからシート状に押出すことにより、発泡性オレフィン系樹脂シート(厚み0.3mm)を製造した。
(押出工程)
プロピレン系樹脂A、直鎖状低密度ポリエチレンA、カーボンブラックA〜D、薄片化黒鉛A〜C、カーボンナノチューブA〜B、及びフラーレンA、熱分解型発泡剤としてアゾジカルボンアミド、架橋助剤としてトリメチロールプロパントリメタクリレート、酸化防止剤(BASF社製 製品名「IRGANOX 1010」)を、それぞれ表3に示した配合量で、押出機に供給して190℃で溶融混練し、Tダイからシート状に押出すことにより、発泡性オレフィン系樹脂シート(厚み0.3mm)を製造した。
(発泡工程)
次に、発泡性オレフィン系樹脂シートに電子線を加速電圧300kVの条件下にて25kGy照射して発泡性オレフィン系樹脂シートを架橋させた。この架橋させた発泡性オレフィン系樹脂シートを250℃の熱風オーブンに投入して、熱分解型発泡剤を分解させて発泡性オレフィン系樹脂シートを発泡させた後に冷却させることにより、オレフィン系樹脂発泡シート(厚み0.5mm)を得た。
次に、発泡性オレフィン系樹脂シートに電子線を加速電圧300kVの条件下にて25kGy照射して発泡性オレフィン系樹脂シートを架橋させた。この架橋させた発泡性オレフィン系樹脂シートを250℃の熱風オーブンに投入して、熱分解型発泡剤を分解させて発泡性オレフィン系樹脂シートを発泡させた後に冷却させることにより、オレフィン系樹脂発泡シート(厚み0.5mm)を得た。
(延伸工程)
そして、オレフィン系樹脂発泡シートを150℃の熱風オーブン中に供給して、オレフィン系樹脂発泡シートの表面温度が150℃になるようにしながらオレフィン系樹脂発泡シートをその押出方向(長さ方向)のみに延伸倍率2倍で一軸延伸した。
そして、オレフィン系樹脂発泡シートを150℃の熱風オーブン中に供給して、オレフィン系樹脂発泡シートの表面温度が150℃になるようにしながらオレフィン系樹脂発泡シートをその押出方向(長さ方向)のみに延伸倍率2倍で一軸延伸した。
(電荷注入工程)
しかる後、オレフィン系樹脂発泡シートの一面にアースされた平板電極を密着状態に重ね合わせ、オレフィン系樹脂発泡シートの他面側に所定間隔を存して直流の高圧電源に電気的に接続された針状電極を配設し、針状電極の表面近傍への電界集中により、表1に示す電圧(kV)、放電距離10mm及び電圧印可時間1分の条件下にてコロナ放電を発生させ、空気分子をイオン化させて、針状電極の極性により発生した空気イオンを反発させてオレフィン系樹脂発泡シートに電荷を注入してオレフィン系樹脂発泡シートを帯電させた。その後、電荷を注入したオレフィン系樹脂発泡シートを、接地されたアルミニウム箔で包み込んだ状態で3時間に亘って保持することでオレフィン系樹脂発泡シート表面に存在する静電気を除去することにより、エレクトレットシート(厚み0.3mm)を得た。
しかる後、オレフィン系樹脂発泡シートの一面にアースされた平板電極を密着状態に重ね合わせ、オレフィン系樹脂発泡シートの他面側に所定間隔を存して直流の高圧電源に電気的に接続された針状電極を配設し、針状電極の表面近傍への電界集中により、表1に示す電圧(kV)、放電距離10mm及び電圧印可時間1分の条件下にてコロナ放電を発生させ、空気分子をイオン化させて、針状電極の極性により発生した空気イオンを反発させてオレフィン系樹脂発泡シートに電荷を注入してオレフィン系樹脂発泡シートを帯電させた。その後、電荷を注入したオレフィン系樹脂発泡シートを、接地されたアルミニウム箔で包み込んだ状態で3時間に亘って保持することでオレフィン系樹脂発泡シート表面に存在する静電気を除去することにより、エレクトレットシート(厚み0.3mm)を得た。
(評価)
実施例及び比較例において作製したエレクトレットシートの電荷発生量を下記の要領で測定し、その結果を表1〜3に示した。
実施例及び比較例において作製したエレクトレットシートの電荷発生量を下記の要領で測定し、その結果を表1〜3に示した。
(電荷発生量)
エレクトレットシートを裁断することにより、一辺が5cmの平面正方形状の試験片を得た。この試験片の表面及び裏面のそれぞれの中央部に、一辺が3cmであり且つ厚みが0.3mmの平面正方形状のアルミ箔を配設することにより試験体を得た。この試験体に加振機を用いて荷重Fが2N、動的荷重が±0.25N、周波数が110Hzの条件下にて押圧力を加え、その時に発生する電荷Q(C)を計測した。そして、電荷Q(C)を荷重F(N)で除することによって、試験片の電荷発生量(pC/N)を算出した。
エレクトレットシートを裁断することにより、一辺が5cmの平面正方形状の試験片を得た。この試験片の表面及び裏面のそれぞれの中央部に、一辺が3cmであり且つ厚みが0.3mmの平面正方形状のアルミ箔を配設することにより試験体を得た。この試験体に加振機を用いて荷重Fが2N、動的荷重が±0.25N、周波数が110Hzの条件下にて押圧力を加え、その時に発生する電荷Q(C)を計測した。そして、電荷Q(C)を荷重F(N)で除することによって、試験片の電荷発生量(pC/N)を算出した。
製造直後のエレクトレットシートを23℃、相対湿度50%の恒温恒湿槽内に1時間に亘って放置した後に、エレクトレットシートの電荷発生量を測定し、結果を表1〜3における「電荷発生量(初期)」の欄に記載した。
さらに、エレクトレットシートを60℃、相対湿度50%の恒温恒湿槽内に7日間に亘って放置した後、エレクトレットシートを23℃、相対湿度50%の恒温恒湿槽内に1時間に亘って放置した。このエレクトレットシートの電荷発生量を測定し、結果を表1〜3における「電荷発生量(60℃、7日)」の欄に記載した。
Claims (5)
- オレフィン系樹脂及びカーボン材料を含むオレフィン系樹脂シートに電荷を注入して上記オレフィン系樹脂シートを帯電させてなることを特徴とするエレクトレットシート。
- オレフィン系樹脂が、エチレン系樹脂及び/又はプロピレン系樹脂を含むことを特徴とする請求項1に記載のエレクトレットシート。
- カーボン材料が、カーボンブラック、黒鉛、薄片化黒鉛、カーボンナノチューブ、及びフラーレンよりなる群から選択される少なくとも一種を含有することを特徴とする請求項1又は2に記載のエレクトレットシート。
- カーボン材料のBET比表面積が、10〜1000g/m2であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のエレクトレットシート。
- オレフィン系樹脂シートが、カーボン材料をオレフィン系樹脂100重量部に対して0.01〜10重量部含むことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のエレクトレットシート。
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- 2012-08-10 JP JP2012178740A patent/JP2014037451A/ja active Pending
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