JP2014074104A - エレクトレットシート - Google Patents
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Abstract
【課題】本発明は、高温下での使用にあっても高い圧電性を保持するエレクトレットシートを提供する。
【解決手段】本発明のエレクトレットシートは、合成樹脂、正帯電性荷電制御剤、及び負帯電性荷電制御剤を含有する合成樹脂発泡シートに電荷を注入して上記合成樹脂発泡シートを帯電させてなることを特徴とする。このようなエレクトレットシートは、高温下における電荷の放電が低減されており、よって、高温下の使用においても経時的に圧電性が低下することがなく、長期間に亘って優れた圧電性を有する。
【選択図】なし
【解決手段】本発明のエレクトレットシートは、合成樹脂、正帯電性荷電制御剤、及び負帯電性荷電制御剤を含有する合成樹脂発泡シートに電荷を注入して上記合成樹脂発泡シートを帯電させてなることを特徴とする。このようなエレクトレットシートは、高温下における電荷の放電が低減されており、よって、高温下の使用においても経時的に圧電性が低下することがなく、長期間に亘って優れた圧電性を有する。
【選択図】なし
Description
本発明は、高温下での使用にあっても高い圧電性を保持するエレクトレットシートを提供する。
エレクトレットは絶縁性の高分子材料に電荷を注入することにより、内部に帯電を付与した材料である。エレクトレットは繊維状に成形して集塵フィルターなどとして広く用いられている。
また、合成樹脂シートはこれを帯電させることによってセラミックスに匹敵する非常に高い圧電性を示すことが知られている。このような合成樹脂シートを用いたエレクトレットは、その優れた感度を利用して音響ピックアップや各種圧力センサーなどへの応用が提案されている。
エレクトレットシートとして、特許文献1には、塩素化ポリオレフィンが付与されているシートであって、かつ、該シートが1×10-10クーロン/cm2以上の表面電荷密度を有するエレクトレットシートが開示されている。
しかしながら、上記エレクトレットシートは、高温下にて使用すると経時的に圧電性が低下するという問題点を有している。
本発明は、高温下での使用にあっても高い圧電性を保持するエレクトレットシートを提供する。
本発明のエレクトレットシートは、合成樹脂、正帯電性荷電制御剤、及び負帯電性荷電制御剤を含有する合成樹脂発泡シートに電荷を注入して上記合成樹脂発泡シートを帯電させてなることを特徴とする。
[合成樹脂]
合成樹脂としては、エチレン系樹脂、プロピレン系樹脂、ポリ−4−メチルペンテン、エチレン−プロピレンゴムなどのオレフィン系樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体、シクロオレフィン系樹脂、スチレン系樹脂、エチレン−プロピレン−ジエン共重合体などのジエン系樹脂、ノルボルネン系樹脂、ポリ塩化ビニル、塩素化ポリ塩化ビニル、塩素化ポリエチレンなどの塩素系樹脂、ポリテトラフルオロエチレン、ポリクロロトリフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン、ポリフッ化ビニル、パーフルオロアルコキシフッ素樹脂、四フッ化エチレン−六フッ化プロピレン共重合体、エチレン−四フッ化エチレン共重合体、エチレン−クロロトリフルオロエチレン共重合体などのフッ素系樹脂、ポリシアン化ビニル、ポリシアン化ビニリデンなどのシアノ系樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリ乳酸樹脂などのポリエステル系樹脂、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン11などのポリアミド系樹脂、及びアクリル系樹脂などが挙げられる。合成樹脂は、一種単独で用いられてもよく、二種以上が併用されてもよい。
[合成樹脂]
合成樹脂としては、エチレン系樹脂、プロピレン系樹脂、ポリ−4−メチルペンテン、エチレン−プロピレンゴムなどのオレフィン系樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体、シクロオレフィン系樹脂、スチレン系樹脂、エチレン−プロピレン−ジエン共重合体などのジエン系樹脂、ノルボルネン系樹脂、ポリ塩化ビニル、塩素化ポリ塩化ビニル、塩素化ポリエチレンなどの塩素系樹脂、ポリテトラフルオロエチレン、ポリクロロトリフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン、ポリフッ化ビニル、パーフルオロアルコキシフッ素樹脂、四フッ化エチレン−六フッ化プロピレン共重合体、エチレン−四フッ化エチレン共重合体、エチレン−クロロトリフルオロエチレン共重合体などのフッ素系樹脂、ポリシアン化ビニル、ポリシアン化ビニリデンなどのシアノ系樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリ乳酸樹脂などのポリエステル系樹脂、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン11などのポリアミド系樹脂、及びアクリル系樹脂などが挙げられる。合成樹脂は、一種単独で用いられてもよく、二種以上が併用されてもよい。
合成樹脂としては、絶縁性に優れており電荷保持力が高いことから、オレフィン系樹脂、及びスチレン系樹脂が好ましく、エチレン系樹脂、プロピレン系樹脂、及びスチレン系樹脂がより好ましく、プロピレン系樹脂、及びスチレン系樹脂が特に好ましい。
(エチレン系樹脂)
エチレン系樹脂としては、エチレン単独重合体、又は、エチレン成分を50重量%を超えて含有するエチレンと少なくとも1種の炭素数が3〜20のα―オレフィンとの共重合体を挙げることができる。エチレン単独重合体としては、高圧下でラジカル重合させた低密度ポリエチレン樹脂(LDPE)、中低圧で触媒存在下で重合させた中低圧法高密度ポリエチレン樹脂(HDPE)などを挙げることができる。エチレンとα―オレフィンを共重合させることで直鎖状低密度ポリエチレン樹脂(LLDPE)を得ることができる。上記α―オレフィンとしては、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセン、1−テトラデセン、1−ヘキサデセン、1−オクタデセン、1−エイコセンなどが挙げられる。炭素数が4〜10のα−オレフィンが好ましい。なお、直鎖状低密度ポリエチレン中におけるα−オレフィンの含有量は1〜15重量%が好ましい。
エチレン系樹脂としては、エチレン単独重合体、又は、エチレン成分を50重量%を超えて含有するエチレンと少なくとも1種の炭素数が3〜20のα―オレフィンとの共重合体を挙げることができる。エチレン単独重合体としては、高圧下でラジカル重合させた低密度ポリエチレン樹脂(LDPE)、中低圧で触媒存在下で重合させた中低圧法高密度ポリエチレン樹脂(HDPE)などを挙げることができる。エチレンとα―オレフィンを共重合させることで直鎖状低密度ポリエチレン樹脂(LLDPE)を得ることができる。上記α―オレフィンとしては、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセン、1−テトラデセン、1−ヘキサデセン、1−オクタデセン、1−エイコセンなどが挙げられる。炭素数が4〜10のα−オレフィンが好ましい。なお、直鎖状低密度ポリエチレン中におけるα−オレフィンの含有量は1〜15重量%が好ましい。
(プロピレン系樹脂)
プロピレン系樹脂としては、プロピレン成分を50重量%以上含有しておれば、特に限定されず、例えば、プロピレン単独重合体(ポリプロピレン)、プロピレンと少なくとも1種のプロピレン以外の炭素数2〜20のオレフィンとの共重合体などが挙げられる。なお、プロピレン系樹脂は単独で用いられても二種以上が併用されてもよい。又、プロピレンと少なくとも1種のプロピレン以外の炭素数2〜20のオレフィンとの共重合体は、ブロック共重合体、ランダム共重合体の何れであってもよいが、ランダム共重合体が好ましい。
プロピレン系樹脂としては、プロピレン成分を50重量%以上含有しておれば、特に限定されず、例えば、プロピレン単独重合体(ポリプロピレン)、プロピレンと少なくとも1種のプロピレン以外の炭素数2〜20のオレフィンとの共重合体などが挙げられる。なお、プロピレン系樹脂は単独で用いられても二種以上が併用されてもよい。又、プロピレンと少なくとも1種のプロピレン以外の炭素数2〜20のオレフィンとの共重合体は、ブロック共重合体、ランダム共重合体の何れであってもよいが、ランダム共重合体が好ましい。
なお、プロピレンと共重合されるα−オレフィンとしては、例えば、エチレン、1−ブテン、1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセン、1−テトラデセン、1−ヘキサデセン、1−オクタデセン、1−エイコセンなどが挙げられ、エチレンが好ましい。
(スチレン系樹脂)
スチレン系樹脂としては、スチレン成分を50重量%以上含有していれば、特に限定されず、例えば、スチレン単独重合体(ポリスチレン)、スチレン系共重合体などが挙げられる。
スチレン系樹脂としては、スチレン成分を50重量%以上含有していれば、特に限定されず、例えば、スチレン単独重合体(ポリスチレン)、スチレン系共重合体などが挙げられる。
スチレン系共重合体における共重合成分としては、ブタジエン、イソプレン、及びクロロプレンなどの共役ジエン系単量体、アクリル酸、メタクリル酸、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、セチル(メタ)アクリレートなどのアルキル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリロニトリル、ジメチルマレエート、ジメチルフマレート、ジエチルフマレート、エチルフマレート、無水マレイン酸、及び(メタ)アクリルアミドなどのビニル系単量体などが挙げられる。なお、(メタ)アクリとは、メタクリ又はアクリを意味する。これらの共重合成分は、1種単独で用いられてもよく、2種以上を併用してもよい。スチレン系共重合体は、ブロック共重合体、ランダム共重合体、又はグラフト重合体の何れであってもよい。
スチレン系樹脂としては、スチレン単独重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体、及びスチレン−メタクリル酸メチル共重合体が好ましく挙げられ、スチレン単独重合体が特に好ましい。これらのスチレン系樹脂を使用することにより、合成樹脂発泡シートの電荷注入量を多くすることができ、圧電性に優れるエレクトレットシートを提供することができる。
合成樹脂は、オレフィン系樹脂及びスチレン系樹脂のいずれか一方又は双方を含んでいることが好ましい。合成樹脂がオレフィン系樹脂及びスチレン系樹脂の双方を含んでいる場合、合成樹脂中におけるオレフィン系樹脂(O)とスチレン系樹脂(S)との重量比(O:S)は、10:90〜95:5が好ましく、40:60〜60:40がより好ましい。オレフィン系樹脂に対してスチレン系樹脂の重量比が高過ぎると、高温下におけるエレクトレットシートの圧電性の低下を十分に抑制できない虞れがある。また、オレフィン系樹脂に対してスチレン系樹脂の重量比が低過ぎると、エレクトレットシートの機械的強度が低下する虞れがある。
[荷電制御剤]
本発明のエレクトレットシートは、正帯電性荷電制御剤及び負帯電性荷電制御剤を含有していることによって、高温条件下でも優れた圧電性を維持することができる。このような効果が得られる理由は明らかではないが、以下の理由が考えられる。
本発明のエレクトレットシートは、正帯電性荷電制御剤及び負帯電性荷電制御剤を含有していることによって、高温条件下でも優れた圧電性を維持することができる。このような効果が得られる理由は明らかではないが、以下の理由が考えられる。
本発明のエレクトレットシートは、合成樹脂発泡シートに電荷を注入して帯電している。合成樹脂発泡シートは、発泡により形成された空隙を多数含んでいる。このような合成樹脂発泡シートに電荷を注入することで、空隙と合成樹脂との界面に電荷が見掛け上、正電荷と負電荷に分極した状態でたまる。そして、分極した状態でたまっている正電荷と負電荷が相対に変動させることによって電気応答が生じ、エレクトレットシートは優れた圧電性を発揮する。本発明のエレクトレットシートでは、正帯電性荷電制御剤及び負帯電性荷電制御剤を含有していることによって、空隙と合成樹脂との界面にたまった正電荷を正帯電性荷電制御剤が安定化させると共に、空隙と合成樹脂との界面にたまった負電荷を負帯電性荷電制御剤が安定化させることができる。これにより、エレクトレットシートを高温条件下にて使用した場合にも電荷を放電し難くすることができる。したがって、本発明のエレクトレットシートは、高温条件下でも優れた圧電性を維持することが可能となる。
(正帯電性荷電制御剤)
正帯電性荷電制御剤としては、アジン誘導体、及び4級アンモニウム塩化合物などが好ましく挙げられる。これらは一種単独で用いられてもよく、二種以上が併用されてもよい。
正帯電性荷電制御剤としては、アジン誘導体、及び4級アンモニウム塩化合物などが好ましく挙げられる。これらは一種単独で用いられてもよく、二種以上が併用されてもよい。
アジン誘導体としては、C.I.ソルベントブラック7(CAS登録番号 8005−02−5)、C.I.アシッドブラック2(CAS登録番号 8005-03-6)、及びC.I.ソルベントブラック5(CAS登録番号 11099−03−9)などが好ましく挙げられる。なお、CASとは、ケミカル・アブストラクツ・サービス(Chemical Abstracts Service)の略である。
4級アンモニウム塩化合物としては、下記化学式(1)で示されるN,N,N-トリブチルベンジルアンモニウム4−ヒドロキシ−1−ナフタレンスルホネート(N,N,N-Tributylbenzylammonium 4-hydroxynaphthalene-1-sulfonate;CAS登録番号 102561-46-6)が好ましく挙げられる。
合成樹脂発泡シート中における正帯電性荷電制御剤の含有量は、合成樹脂100重量部に対して、0.001〜5重量部が好ましいが、0.01〜1重量部がより好ましい。合成樹脂発泡シート中における正帯電性荷電制御剤の含有量が少な過ぎると、エレクトレットシートが高温下において優れた圧電性を維持できない虞れがある。また、合成樹脂発泡シート中における正帯電性荷電制御剤の含有量が多過ぎると、正帯電性荷電制御剤を介して電荷が放電しやすくなり、エレクトレットシートの圧電性を却って低下させる虞れがある。
(負帯電性荷電制御剤)
負帯電性荷電制御剤としては、サリチル酸誘導体金属塩、及びアゾクロム系化合物などが挙げられる。これらは一種単独で用いられてもよく、二種以上が併用されてもよい。
負帯電性荷電制御剤としては、サリチル酸誘導体金属塩、及びアゾクロム系化合物などが挙げられる。これらは一種単独で用いられてもよく、二種以上が併用されてもよい。
サリチル酸誘導体金属塩としては、下記化学式(2)で示されるサリチル酸誘導体亜鉛塩(CAS登録番号 4205−40−3)、及び下記化学式(3)で示されるサリチル酸誘導体アルミニウム塩(CAS登録番号 118422−20−1)が好ましく挙げられる。なお、下記化学式(2)及び(3)において、「t−Bu」とは「tert−ブチル基」を示す。
アゾクロム系化合物としては、下記化学式(4)で示される化合物(C.I. Solvent Violet 21、CAS登録番号 39290−77−2)が好ましく挙げられる。
合成樹脂発泡シート中における負帯電性荷電制御剤の含有量は、合成樹脂100重量部に対して、0.001〜5重量部が好ましいが、0.01〜0.1重量部がより好ましい。合成樹脂発泡シート中における負帯電性荷電制御剤の含有量が少な過ぎると、エレクトレットシートが高温下において優れた圧電性を維持できない虞れがある。また、合成樹脂発泡シート中における負帯電性荷電制御剤の含有量が多過ぎると、負帯電性荷電制御剤を介して電荷が放電しやすくなり、エレクトレットシートの圧電性を却って低下させる虞れがある。
また、合成樹脂発泡シート中における正帯電性荷電制御剤(P)に対する負帯電性荷電制御剤(N)の重量比(N/P)は、0.5〜4が好ましく、0.5〜2がより好ましく、1〜2が特に好ましい。重量比(N/P)を上記範囲内として正帯電性荷電制御剤及び負帯電性荷電制御剤を用いることで、高温下におけるエレクトレットシートの圧電性を長期間に亘って維持することが可能となる。
(合成樹脂発泡シート)
合成樹脂発泡シートは、その物性を損なわない範囲内において、酸化防止剤、金属害防止剤、紫外線吸収剤、顔料、染料、ブロッキング防止剤などの他の添加剤を含んでいてもよい。また、合成樹脂発泡シートは、汎用の要領で一軸延伸又は二軸延伸されていてもよい。
合成樹脂発泡シートは、その物性を損なわない範囲内において、酸化防止剤、金属害防止剤、紫外線吸収剤、顔料、染料、ブロッキング防止剤などの他の添加剤を含んでいてもよい。また、合成樹脂発泡シートは、汎用の要領で一軸延伸又は二軸延伸されていてもよい。
また、合成樹脂発泡シートの製造方法としては、合成樹脂、正帯電性荷電制御剤及び負帯電性荷電制御剤、及び熱分解型発泡剤を押出機に供給して熱分解型発泡剤の分解温度未満の温度にて溶融混練し押出機に取り付けたTダイから発泡性合成樹脂シートを押出し、この発泡性合成樹脂シートを必要に応じて架橋した上で、発泡性合成樹脂シートを熱分解型発泡剤の分解温度以上に加熱して発泡させて合成樹脂発泡シートを製造する方法が挙げられる。
発泡性合成樹脂シートを架橋させる場合、発泡性合成樹脂シートが架橋助剤として多官能モノマーをさらに含んでいることが好ましい。合成樹脂、正帯電性荷電制御剤、負帯電性荷電制御剤、及び多官能モノマーを含む合成樹脂組成物を押出機に供給して熱分解型発泡剤の分解温度未満の温度にて溶融混練し押出機に取り付けたTダイから発泡性合成樹脂シートを押出し、この発泡性合成樹脂シートを架橋した上で、発泡性合成樹脂シートを熱分解型発泡剤の分解温度以上に加熱して発泡させて合成樹脂架橋発泡シートを得ることができる。
多官能モノマーとしては、ジビニルベンゼン、トリメチロールプロパントリメタクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、トリメリット酸トリアリルエステル、トリエチレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、シアノエチルアクリレート、ビス(4−アクリロキシポリエトキシフェニル)プロパンなどが挙げられ、トリメチロールプロパントリメタクリレート、ジビニルベンゼンが好ましい。なお、(メタ)アクリレートは、メタクリレート又はアクリレートを意味する。
なお、熱分解型発泡剤としては、分解によってガスを発生させればよく、例えば、アゾジカルボンアミド、ベンゼンスルホニルヒドラジド、ジニトロソペンタメチレンテトラミン、トルエンスルホニルヒドラジド、4,4−オキシビス(ベンゼンスルホニルヒドラジド)などが挙げられる。
合成樹脂発泡シートの厚みは、薄いと、エレクトレットシートの強度が低下することがあり、厚いと、エレクトレットシートの圧電性が低下することがあるので、10〜500μmが好ましく、30〜300μmがより好ましい。
なお、合成樹脂発泡シートの厚みは、膜厚測定機(例えば、NIKON社製 DIGMICRO MFC−101)を用いて、合成樹脂発泡シートの厚みを12箇所以上測定し、その相加平均値を算出することにより得られた値とする。
(エレクトレットシート)
本発明のエレクトレットシートは、上述した合成樹脂発泡シートに汎用の要領で電荷を注入して合成樹脂発泡シートを帯電させることにより、製造することができる。また、合成樹脂発泡シートの空隙と合成樹脂との界面に電荷が注入されることで、正帯電性荷電制御剤及び負帯電性荷電制御剤がそれぞれ正及び負に帯電し、電荷を安定化させることができる。
本発明のエレクトレットシートは、上述した合成樹脂発泡シートに汎用の要領で電荷を注入して合成樹脂発泡シートを帯電させることにより、製造することができる。また、合成樹脂発泡シートの空隙と合成樹脂との界面に電荷が注入されることで、正帯電性荷電制御剤及び負帯電性荷電制御剤がそれぞれ正及び負に帯電し、電荷を安定化させることができる。
合成樹脂発泡シートに電荷を注入する方法としては、特に限定されず、例えば、(1)合成樹脂発泡シートを一対の平板電極で挟持し、一方の平板電極をアースすると共に他方の平板電極を高圧直流電源に接続して、合成樹脂発泡シートに直流又はパルス状の高電圧を印加して合成樹脂に電荷を注入して合成樹脂発泡シートを帯電させる方法、(2)合成樹脂発泡シートの一面にアースされた平板電極を密着状態に重ね合わせ、合成樹脂発泡シートの他面側に所定間隔を存して直流の高圧電源に電気的に接続された針状電極又はワイヤー電極を配設し、針状電極の先端又はワイヤー電極の表面近傍への電界集中によりコロナ放電を発生させ、空気分子をイオン化させて、針状電極又はワイヤー電極の極性により発生した空気イオンを反発させて合成樹脂に電荷を注入して合成樹脂発泡シートを帯電させる方法、(3)電子線、X線などの電離性放射線や紫外線を合成樹脂発泡シートに照射して、合成樹脂発泡シートの近傍部の空気分子をイオン化することによって合成樹脂に電荷を注入して合成樹脂発泡シートを帯電させる方法などが挙げられる。上記方法の中で合成樹脂発泡シートに容易に電荷を注入することができるので、上記(1)及び(2)の方法が好ましく、上記(2)の方法がより好ましい。
上記(1)及び(2)の方法において、合成樹脂発泡シートに印加する電圧の絶対値は、小さいと、合成樹脂発泡シートに十分に電荷を注入することができず、高い圧電性を有するエレクトレットシートを得ることができないことがあり、大きいと、アーク放電してしまい、却って、合成樹脂発泡シートに十分に電荷を注入することができず、高い圧電性を有するエレクトレットシートを得ることができないことがあるので、3〜100kVが好ましく、5〜50kVより好ましい。
上記(3)の方法において、合成樹脂発泡シートに照射する電離性放射線の加速電圧の絶対値は、小さいと、空気中の分子を十分に電離することができず、合成樹脂発泡シートに十分な電荷を注入することができず、圧電性の高いエレクトレットシートを得ることができないことがあり、多いと、電離性放射線が空気を透過するので、空気中の分子を電離させることができないことがあるので、5〜15kVが好ましい。
本発明の方法により得られるエレクトレットシートでは、高温下における電荷の放電が防止されており、よって、高温下の使用においても経時的に圧電性が低下することはなく、長期間に亘って優れた圧電性を維持できる。
以下に、本発明を実施例を用いてより具体的に説明するが、本発明はこれに限定されない。
[合成樹脂発泡シートの構成成分]
まず、下記する実施例及び比較例において、合成樹脂発泡シートの作製に用いたプロピレン系樹脂、スチレン系樹脂、正帯電性荷電制御剤、負帯電性荷電制御剤、架橋助剤、酸化防止剤、及び熱分解型発泡剤の詳細を以下に記載する。
まず、下記する実施例及び比較例において、合成樹脂発泡シートの作製に用いたプロピレン系樹脂、スチレン系樹脂、正帯電性荷電制御剤、負帯電性荷電制御剤、架橋助剤、酸化防止剤、及び熱分解型発泡剤の詳細を以下に記載する。
(合成樹脂)
・プロピレン系樹脂(プロピレン−エチレンランダム共重合体、プロピレン成分含有量:90重量%以上、日本ポリプロ社製 商品名「FW4BT」)
・スチレン系樹脂(ポリスチレン、東洋スチレン社製 商品名「トーヨースチロール MW1」)
・プロピレン系樹脂(プロピレン−エチレンランダム共重合体、プロピレン成分含有量:90重量%以上、日本ポリプロ社製 商品名「FW4BT」)
・スチレン系樹脂(ポリスチレン、東洋スチレン社製 商品名「トーヨースチロール MW1」)
(正帯電性荷電制御剤)
・アジン誘導体(P1)(C.I.ソルベントブラック7、オリエント化学工業社製 商品名「BONTRON N−71」)
・4級アンモニウム塩化合物(P2)(上記化学式(1)で示されるN,N,N-トリブチルベンジルアンモニウム4−ヒドロキシ−1−ナフタレンスルホネート、オリエント化学工業社製 商品名「BONTRON P−51」)
・アジン誘導体(P1)(C.I.ソルベントブラック7、オリエント化学工業社製 商品名「BONTRON N−71」)
・4級アンモニウム塩化合物(P2)(上記化学式(1)で示されるN,N,N-トリブチルベンジルアンモニウム4−ヒドロキシ−1−ナフタレンスルホネート、オリエント化学工業社製 商品名「BONTRON P−51」)
(負帯電性荷電制御剤)
・上記化学式(2)で示されるサリチル酸誘導体亜鉛塩(N1)(オリエント化学工業社製 商品名「BONTRON E−84」)
・上記化学式(3)で示されるサリチル酸誘導体アルミニウム塩(N2)(オリエント化学工業社製 商品名「BONTRON E−108」)
・上記化学式(4)で示されるアゾクロム系化合物(N3)(C.I. Solvent Violet 21、オリエント化学工業社製 商品名「BONTRON S−34」)
・上記化学式(2)で示されるサリチル酸誘導体亜鉛塩(N1)(オリエント化学工業社製 商品名「BONTRON E−84」)
・上記化学式(3)で示されるサリチル酸誘導体アルミニウム塩(N2)(オリエント化学工業社製 商品名「BONTRON E−108」)
・上記化学式(4)で示されるアゾクロム系化合物(N3)(C.I. Solvent Violet 21、オリエント化学工業社製 商品名「BONTRON S−34」)
(架橋助剤)
・トリメチロールプロパントリメタクリレート(TMPT)
(酸化防止剤)
・ヒンダードフェノール系酸化防止剤(BASF社製 製品名「IRGANOX 1010」)
(熱分解型発泡剤)
・アゾジカルボンアミド
・トリメチロールプロパントリメタクリレート(TMPT)
(酸化防止剤)
・ヒンダードフェノール系酸化防止剤(BASF社製 製品名「IRGANOX 1010」)
(熱分解型発泡剤)
・アゾジカルボンアミド
なお、下記する表1において、サリチル酸誘導体亜鉛塩(N1)は「サリチル酸誘導体Zn塩(N1)」と記載し、サリチル酸誘導体アルミニウム塩(N2)は「サリチル酸誘導体Al塩(N2)」と記載した。
[実施例1〜8及び比較例1〜6]
上述したプロピレン系樹脂、スチレン系樹脂、アジン誘導体(P1)、4級アンモニウム塩化合物(P2)、サリチル酸誘導体亜鉛塩(N1)、サリチル酸誘導体アルミニウム塩(N2)、アゾクロム系化合物(N3)、架橋助剤、酸化防止剤、及び熱分解型発泡剤を、それぞれ表1に示した配合量で、押出機に供給して190℃で溶融混練し、Tダイからシート状に押出すことにより、発泡性合成樹脂シート(厚み0.3mm)を製造した。
上述したプロピレン系樹脂、スチレン系樹脂、アジン誘導体(P1)、4級アンモニウム塩化合物(P2)、サリチル酸誘導体亜鉛塩(N1)、サリチル酸誘導体アルミニウム塩(N2)、アゾクロム系化合物(N3)、架橋助剤、酸化防止剤、及び熱分解型発泡剤を、それぞれ表1に示した配合量で、押出機に供給して190℃で溶融混練し、Tダイからシート状に押出すことにより、発泡性合成樹脂シート(厚み0.3mm)を製造した。
次に、発泡性合成樹脂シートに電子線を加速電圧300kVの条件下にて25kGy照射して発泡性合成樹脂シートを架橋させた。この架橋させた発泡性合成樹脂シートを250℃の熱風オーブンに投入して、熱分解型発泡剤を分解させて発泡性合成樹脂シートを発泡させた後に冷却させることにより、合成樹脂発泡シート(厚み0.5mm)を得た。
次に、合成樹脂発泡シートを熱風オーブン中に供給して、合成樹脂発泡シートの表面温度が150℃になるようにしながら合成樹脂発泡シートをその押出方向(長さ方向)のみに延伸倍率5倍で一軸延伸した。延伸後の合成樹脂発泡シートの厚みは、0.1mmであった。
そして、得られた合成樹脂発泡シートの一面にアースされた平板電極を密着状態に重ね合わせ、合成樹脂発泡シートの他面側に所定間隔を存して直流の高圧電源に電気的に接続された針状電極を配設し、針状電極の表面近傍への電界集中により、電圧−10kV、放電距離10mm及び電圧印可時間1分の条件下にてコロナ放電を発生させ、空気分子をイオン化させて、針状電極の極性により発生した空気イオンを反発させて合成樹脂発泡シートに電荷を注入して合成樹脂発泡シートを帯電させた。その後、電荷を注入した合成樹脂発泡シートを、接地されたアルミニウム箔で包み込んだ状態で3時間に亘って保持することで合成樹脂発泡シート表面に存在する静電気を除去してエレクトレットシートを得た。
[評価]
得られたエレクトレットシートの圧電性能を、下記の要領で測定し、その結果を表1に示した。
得られたエレクトレットシートの圧電性能を、下記の要領で測定し、その結果を表1に示した。
(圧電性能)
エレクトレットシートを裁断することにより、一辺が5cmの平面正方形状の試験片を得た。この試験片の表面及び裏面のそれぞれの中央部に、一辺が3cmであり且つ厚みが0.3mmの平面正方形状のアルミ箔を配設することにより試験体を得た。この試験体に加振機を用いて荷重Fが2N、動的荷重が±0.25N、周波数が110Hzの条件下にて押圧力を加え、その時に発生する電荷Q(C)を計測した。そして、電荷Q(C)を荷重F(N)で除することによって、試験片の圧電性(pC/N)を算出した。
エレクトレットシートを裁断することにより、一辺が5cmの平面正方形状の試験片を得た。この試験片の表面及び裏面のそれぞれの中央部に、一辺が3cmであり且つ厚みが0.3mmの平面正方形状のアルミ箔を配設することにより試験体を得た。この試験体に加振機を用いて荷重Fが2N、動的荷重が±0.25N、周波数が110Hzの条件下にて押圧力を加え、その時に発生する電荷Q(C)を計測した。そして、電荷Q(C)を荷重F(N)で除することによって、試験片の圧電性(pC/N)を算出した。
製造直後のエレクトレットシートを23℃、相対湿度50%の恒温恒湿槽内に1時間に亘って放置した後に、エレクトレットシートの圧電性を測定し、結果を表1における「圧電性(初期)」の欄に記載した。
さらに、エレクトレットシートを80℃、相対湿度50%の恒温恒湿槽内に7日間に亘って放置した後、エレクトレットシートを23℃、相対湿度50%の恒温恒湿槽内に1時間に亘って放置した。このエレクトレットシートの圧電性を測定し、結果を表1における「圧電性(80℃、7日)」の欄に記載した。
Claims (7)
- 合成樹脂、正帯電性荷電制御剤、及び負帯電性荷電制御剤を含有する合成樹脂発泡シートに電荷を注入して上記合成樹脂発泡シートを帯電させてなることを特徴とするエレクトレットシート。
- 合成樹脂が、オレフィン系樹脂及び/又はスチレン系樹脂を含むことを特徴とする請求項1に記載のエレクトレットシート。
- 正帯電性荷電制御剤が、アジン誘導体及び/又は4級アンモニウム塩化合物を含むことを特徴とする請求項1又は2に記載のエレクトレットシート。
- 合成樹脂発泡シートが、合成樹脂100重量部に対して、正帯電性荷電制御剤を0.001〜5重量部含有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のエレクトレットシート。
- 負帯電性荷電制御剤が、サリチル酸誘導体金属塩及び/又はアゾクロム系化合物を含むことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のエレクトレットシート。
- 合成樹脂発泡シートが、合成樹脂100重量部に対して、負帯電性荷電制御剤を0.001〜5重量部含有することを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のエレクトレットシート。
- コロナ放電処理によって合成樹脂発泡シートに電荷を注入してなることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載のエレクトレットシート。
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-
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