JP2014136712A - エレクトレットシート - Google Patents
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Abstract
【課題】高温下での使用にあっても高い圧電性を保持するエレクトレットシートを提供する。
【解決手段】本発明のエレクトレットシートは、未変性オレフィン系樹脂及び酸変性オレフィン系樹脂を含有する架橋多孔質樹脂シートに電荷を注入して帯電させてなることを特徴とする。架橋多孔質樹脂シートは電荷を安定して保持することができる。したがって、このような架橋多孔質樹脂シートを用いてなる本発明のエレクトレットシートは、高温環境下であっても、電荷の放出が高く低減され、優れた圧電性を維持することができる。
【選択図】なし
【解決手段】本発明のエレクトレットシートは、未変性オレフィン系樹脂及び酸変性オレフィン系樹脂を含有する架橋多孔質樹脂シートに電荷を注入して帯電させてなることを特徴とする。架橋多孔質樹脂シートは電荷を安定して保持することができる。したがって、このような架橋多孔質樹脂シートを用いてなる本発明のエレクトレットシートは、高温環境下であっても、電荷の放出が高く低減され、優れた圧電性を維持することができる。
【選択図】なし
Description
本発明は、高温下での使用にあっても高い圧電性を保持するエレクトレットシートに関する。
エレクトレットは絶縁性の高分子材料に電荷を注入することにより、内部に帯電を付与した材料である。エレクトレットは繊維状に成形して集塵フィルターなどとして広く用いられている。
又、合成樹脂シートはこれを帯電させることによってセラミックスに匹敵する非常に高い圧電性を示すことが知られている。このような合成樹脂シートを用いたエレクトレットは、その優れた感度を利用して音響ピックアップや各種圧力センサーなどへの応用が提案されている。
特許文献1には、塩素化ポリオレフィンが付与されているシートであって、かつ、該シートが1×10-10クーロン/cm2以上の表面電荷密度を有するエレクトレットシートが開示されている。
また、特許文献2には、熱可塑性ポリオレフィン系樹脂を主体とする樹脂成分を含む成分1と、前記成分1よりも融点が高い熱可塑性ポリオレフィン樹脂を主体とする樹脂成分2によって構成される複合繊維であって、無水マレイン酸が、前記樹脂成分1及び樹脂成分2の少なくともいずれか一方の構成成分として含まれている繊維を用いてなる不織布により、圧電性に優れるエレクトレットシートを提供できることが開示されている。
しかしながら、従来のエレクトレットシートでは、いずれも高温下にて使用すると経時的に圧電性が低下するという問題点を有している。
本発明は、高温下での使用にあっても高い圧電性を保持するエレクトレットシートを提供する。
本発明のエレクトレットシートは、未変性オレフィン系樹脂及び酸変性オレフィン系樹脂を含有する架橋多孔質樹脂シートに電荷を注入して帯電させてなることを特徴とする。
(未変性オレフィン系樹脂)
未変性オレフィン系樹脂は、不飽和カルボン酸又はその誘導体によって変性されていないオレフィン系樹脂である。なお、上記不飽和カルボン酸としては、例えば、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、アクリル酸、及びメタクリル酸などが挙げられる。また、上記不飽和カルボン酸の誘導体としては、無水マレイン酸、無水フマル酸、及び無水イタコン酸などの酸無水物、並びに、メタクリル酸ナトリウムなどの金属塩などが挙げられる。
未変性オレフィン系樹脂は、不飽和カルボン酸又はその誘導体によって変性されていないオレフィン系樹脂である。なお、上記不飽和カルボン酸としては、例えば、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、アクリル酸、及びメタクリル酸などが挙げられる。また、上記不飽和カルボン酸の誘導体としては、無水マレイン酸、無水フマル酸、及び無水イタコン酸などの酸無水物、並びに、メタクリル酸ナトリウムなどの金属塩などが挙げられる。
未変性オレフィン系樹脂としては、未変性エチレン系樹脂及び未変性プロピレン系樹脂などが挙げられる。なかでも、絶縁性に優れており電荷保持力が高いことから、未変性プロピレン系樹脂が好ましい。未変性オレフィン系樹脂は、一種単独で用いられてもよく、二種以上が併用されてもよい。
未変性プロピレン系樹脂としては、プロピレン成分を50重量%以上含有していれば、特に限定されず、例えば、プロピレン単独重合体(ホモポリプロピレン)、プロピレンと少なくとも1種のプロピレン以外の炭素数2〜20のオレフィンとの共重合体などが挙げられる。プロピレンと少なくとも1種のプロピレン以外の炭素数2〜20のオレフィンとの共重合体は、ブロック共重合体、ランダム共重合体の何れであってもよい。
プロピレンと共重合されるα−オレフィンとしては、例えば、エチレン、1−ブテン、1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセン、1−テトラデセン、1−ヘキサデセン、1−オクタデセン、1−エイコセンなどが挙げられる。
未変性プロピレン系樹脂としては、未変性プロピレン−エチレン共重合体がより好ましく、未変性プロピレン−エチレンランダム共重合体が特に好ましい。
未変性オレフィン系樹脂の曲げ弾性率は、150MPa以上が好ましく、150〜3000MPaがより好ましい。未変性オレフィン系樹脂の曲げ弾性率が小さいと、エレクトレットシートの電荷の保持性が低下してエレクトレットシートの性能が長期間に亘って安定的に維持されないことがある。なお、未変性オレフィン系樹脂の曲げ弾性率は、JIS K7171に準拠して測定された値をいう。
(酸変性オレフィン系樹脂)
酸変性オレフィン系樹脂は、オレフィン系樹脂を不飽和カルボン酸又はその誘導体によって変性したオレフィン系樹脂である。酸変性オレフィン系樹脂は、一種単独で用いられてもよく、二種以上が併用されてもよい。
酸変性オレフィン系樹脂は、オレフィン系樹脂を不飽和カルボン酸又はその誘導体によって変性したオレフィン系樹脂である。酸変性オレフィン系樹脂は、一種単独で用いられてもよく、二種以上が併用されてもよい。
酸変性オレフィン系樹脂に用いられるオレフィン系樹脂としては、エチレン系樹脂及びプロピレン系樹脂などが挙げられる。なかでも、プロピレン系樹脂が好ましい。プロピレン系樹脂としては、プロピレン成分を50重量%以上含有していれば、特に限定されず、例えば、プロピレン単独重合体(ホモポリプロピレン)、プロピレンと少なくとも1種のプロピレン以外の炭素数2〜20のオレフィンとの共重合体などが挙げられる。プロピレンと共重合されるα−オレフィンとしては、例えば、エチレン、1−ブテン、1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセン、1−テトラデセン、1−ヘキサデセン、1−オクタデセン、1−エイコセンなどが挙げられる。なかでも、プロピレン単独重合体が好ましい。酸変性プロピレン系樹脂によれば、未変性プロピレン系樹脂との界面に電荷を安定して保持することができ、優れた圧電性を有するエレクトレットシートを提供することができる。
酸変性オレフィン系樹脂に用いられる不飽和カルボン酸としては、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、アクリル酸、及びメタクリル酸などが挙げられる。不飽和カルボン酸の誘導体としては、無水マレイン酸、無水フマル酸、及び無水イタコン酸などの酸無水物;並びに、メタクリル酸ナトリウムなどの金属塩が挙げられる。
酸変性オレフィン系樹脂において、オレフィン系樹脂の片末端又は両末端が不飽和カルボン酸又はその誘導体によって変性されていればよいが、オレフィン系樹脂の片末端のみが不飽和カルボン酸又はその誘導体によって変性されていることが好ましい。
オレフィン系樹脂の少なくとも片末端を酸変性する方法としては、公知の方法を用いればよい。例えば、少なくとも片末端に二重結合を有するオレフィン系樹脂と、不飽和カルボン酸又はその誘導体とを、必要に応じて有機過酸化物の存在下で、加熱することにより反応させる方法などが用いられる。
酸変性オレフィン系樹脂中における不飽和カルボン酸成分又はその誘導体成分の含有量は、1〜10重量%が好ましく、3〜7重量%がより好ましい。不飽和カルボン酸成分又はその誘導体成分の含有量が低過ぎると、多孔質樹脂シートに電荷を十分に注入することができない恐れがある。また、不飽和カルボン酸成分又はその誘導体成分の含有量が高過ぎると、多孔質樹脂シートの耐衝撃性が低下する恐れがある。
架橋多孔質シートとしては、未変性オレフィン系樹脂及び酸変性オレフィン系樹脂を含有する未架橋多孔質シートを架橋させてなる架橋多孔質シートを用いることができる。
未架橋多孔質シート中における酸変性オレフィン系樹脂の含有量は、未変性オレフィン系樹脂100重量部に対して、1〜20重量部が好ましいが、5〜15重量部がより好ましい。酸変性オレフィン系樹脂の含有量が少な過ぎると、エレクトレットシートの圧電性が低下する恐れがある。また、酸変性オレフィン系樹脂の含有量が多過ぎると、エレクトレットシートの強度が低下する恐れがある。
未架橋多孔質シートを架橋する方法としては、架橋剤や有機過酸化物などを用いる架橋方法、電子線照射による架橋方法等が挙げられる。なかでも、電子線照射による架橋方法が好ましい。
未架橋多孔質シートは、多官能モノマーをさらに含んでいることが好ましい。多官能モノマーを用いることによって、架橋効率を向上させて、エレクトレットシートの高温下における電荷保持性をより向上させることができる。
未架橋多孔質シートに用いられる多官能モノマーとしては、ジビニルベンゼン、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、トリメリット酸トリアリルエステル、トリエチレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、シアノエチルアクリレート、ビス(4−アクリロキシポリエトキシフェニル)プロパンなどが挙げられる。なかでも、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジビニルベンゼンが好ましい。なお、(メタ)アクリレートは、メタクリレート又はアクリレートを意味する。
未変性オレフィン系樹脂及び酸変性オレフィン系樹脂を含有する未架橋多孔質シートを架橋させてなる多孔質シートを製造する方法としては、未変性オレフィン系樹脂、酸変性オレフィン系樹脂、及び熱分解型発泡剤、並びに必要に応じて多官能モノマーを押出機に供給して熱分解型発泡剤の分解温度未満の温度にて溶融混練し押出機に取り付けたTダイから発泡性シートを押出し、この発泡性シートを架橋した上で、発泡性シートを熱分解型発泡剤の分解温度以上に加熱して発泡させて多孔質シートを製造する方法が挙げられる。
熱分解型発泡剤としては、例えば、アゾジカルボンアミド、ベンゼンスルホニルヒドラジド、ジニトロソペンタメチレンテトラミン、トルエンスルホニルヒドラジド、4,4−オキシビス(ベンゼンスルホニルヒドラジド)などが挙げられる。
また、架橋多孔質樹脂シートとしては、架橋された未変性オレフィン系樹脂及び酸変性オレフィン系樹脂を含む架橋多孔質樹脂シートを用いることもできる。
架橋多孔質樹脂シート中における酸変性オレフィン系樹脂の含有量は、架橋された未変性オレフィン系樹脂100重量部に対して、1〜20重量部が好ましいが、5〜15重量部がより好ましい。酸変性オレフィン系樹脂の含有量が少な過ぎると、エレクトレットシートの圧電性が低下する恐れがある。また、酸変性オレフィン系樹脂の含有量が多過ぎると、エレクトレットシートの強度が低下する恐れがある。
未変性オレフィン系樹脂を架橋する方法としては、未変性オレフィン系樹脂、熱分解型架橋剤、及び多官能モノマーを含む混合物を加熱し、熱分解型架橋剤を分解させることにより、未変性オレフィン系樹脂を架橋することができる。
未変性オレフィン系樹脂を架橋するために用いられる熱分解型架橋剤としては、ベンゾイルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシベンゾエート、ジクミルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ−t−ブチルパーオキシヘキサン、t−ブチルパーオキシ−3,5,5−トリメチルヘキサノエート、及びt−ブチル−パーオキシ−2−エチルヘキシルカーボネートなどが挙げられる。
未変性オレフィン系樹脂を架橋するために用いられる多官能モノマーとしては、ジビニルベンゼン、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、トリメリット酸トリアリルエステル、トリエチレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、シアノエチルアクリレート、ビス(4−アクリロキシポリエトキシフェニル)プロパンなどが挙げられる。なかでも、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジビニルベンゼンが好ましい。
架橋された未変性オレフィン系樹脂及び酸変性オレフィン系樹脂を含む架橋多孔質シートの製造方法としては、架橋された未変性オレフィン系樹脂、酸変性オレフィン系樹脂、及び熱分解型発泡剤を押出機に供給して熱分解型発泡剤の分解温度未満の温度にて溶融混練し押出機に取り付けたTダイから発泡性シートを押出し、この発泡性シートを熱分解型発泡剤の分解温度以上に加熱して発泡させて架橋多孔質シートを製造する方法が挙げられる。
架橋多孔質樹脂シートは、酸化防止剤、金属害防止剤、紫外線吸収剤、顔料、染料、及びブロッキング防止剤などの添加剤を含んでいてもよい。また、架橋多孔質樹脂シートは、一軸延伸又は二軸延伸によって延伸されていることが好ましい。
本発明のエレクトレットシートは、上述した架橋多孔質樹脂シートに汎用の要領で電荷を注入して、架橋多孔質樹脂シートを帯電させることにより製造することができる。
架橋多孔質樹脂シートに電荷を注入する方法としては、特に限定されず、例えば、(I)架橋多孔質樹脂シートを一対の平板電極で挟持し、一方の平板電極をアースすると共に他方の平板電極を高圧直流電源に接続して、架橋多孔質樹脂シートに直流又はパルス状の高電圧を印加して架橋多孔質樹脂シートに電荷を注入して架橋多孔質樹脂シートを帯電させる方法、(II)架橋多孔質樹脂シートの一面にアースされた平板電極を密着状態に重ね合わせ、架橋多孔質樹脂シートの他面側に所定間隔を存して直流の高圧電源に電気的に接続された針状電極又はワイヤー電極を配設し、針状電極の先端又はワイヤー電極の表面近傍への電界集中によりコロナ放電を発生させ、空気分子をイオン化させて、針状電極又はワイヤー電極の極性により発生した空気イオンを反発させて架橋多孔質樹脂シートに電荷を注入して架橋多孔質樹脂シートを帯電させる方法、(III)電子線、X線などの電離性放射線や紫外線を架橋多孔質樹脂シートに照射して、架橋多孔質樹脂シートの近傍部の空気分子をイオン化することによって架橋多孔質樹脂シートに電荷を注入して架橋多孔質樹脂シートを帯電させる方法などが挙げられる。上記方法の中で架橋多孔質樹脂シートに容易に電荷を注入することができるので、上記(I)及び(II)の方法が好ましく、上記(II)の方法がより好ましい。
上記(I)及び(II)の方法において、架橋多孔質樹脂シートに印加する電圧の絶対値は、小さいと、架橋多孔質樹脂シートに十分に電荷を注入することができず、高い圧電性を有するエレクトレットシートを得ることができないことがあり、大きいと、アーク放電してしまい、却って、架橋多孔質樹脂シートに十分に電荷を注入することができず、高い圧電性を有するエレクトレットシートを得ることができないことがあるので、3〜100kVが好ましく、5〜50kVより好ましい。
本発明のエレクトレットシートでは、未変性オレフィン系樹脂及び酸変性オレフィン系樹脂を含有する架橋多孔質樹脂シートを用いてなることによって、エレクトレットシート中に電荷を安定して保持することができる。したがって、本発明のエレクトレットシートは、高温環境下であっても、電荷の放出が高く低減され、優れた圧電性を維持することができる。
以下に、本発明を実施例を用いてより具体的に説明するが、本発明はこれに限定されない。
(実施例1〜2)
未変性プロピレン−エチレンランダム共重合体A(エチレン含有量:4.5重量%以下、融解開始温度:97℃、曲げ弾性率:850MPa)、無水マレイン酸変性ポリプロピレン(無水マレイン酸成分含有量5重量%、三洋化成工業社製 製品名「ユーメックス1001」)、多官能モノマーとしてトリメチロールプロパントリメタクリレート(TMPT)又はジビニルベンゼン、熱分解型発泡剤としてアゾジカルボンアミド、金属害防止剤としてメチルベンゾトリアゾール、及び酸化防止剤としてテトラキス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシメチル]メタンを、それぞれ表1に示した配合量で、押出機に供給して溶融混練し、Tダイからシート状に押出すことにより、発泡性シートを製造した。
未変性プロピレン−エチレンランダム共重合体A(エチレン含有量:4.5重量%以下、融解開始温度:97℃、曲げ弾性率:850MPa)、無水マレイン酸変性ポリプロピレン(無水マレイン酸成分含有量5重量%、三洋化成工業社製 製品名「ユーメックス1001」)、多官能モノマーとしてトリメチロールプロパントリメタクリレート(TMPT)又はジビニルベンゼン、熱分解型発泡剤としてアゾジカルボンアミド、金属害防止剤としてメチルベンゾトリアゾール、及び酸化防止剤としてテトラキス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシメチル]メタンを、それぞれ表1に示した配合量で、押出機に供給して溶融混練し、Tダイからシート状に押出すことにより、発泡性シートを製造した。
次に、発泡性シートに電子線を加速電圧300kVの条件下にて25kGy照射して発泡性シートを架橋させた。この架橋させた発泡性シートを250℃の熱風オーブンに投入して、熱分解型発泡剤を分解させて発泡性シートを発泡させた後に冷却させることにより、架橋多孔質シート(厚み300μm)を得た。
次に、架橋多孔質シートを、その表面温度が150℃となるようにして長さ方向(押出方向)にのみ一軸延伸した。延伸後の架橋多孔質シートの厚みは120μmであった。
そして、延伸後の架橋多孔質シートの一面にアースされた平板電極を密着状態に重ね合わせ、架橋多孔質シートの他面側に所定間隔を存して直流の高圧電源に電気的に接続された針状電極を配設し、針状電極の表面近傍への電界集中により、電圧−10kV、放電距離10mm及び電圧印可時間1分の条件下にてコロナ放電を発生させ、空気分子をイオン化させて、針状電極の極性により発生した空気イオンを反発させて架橋多孔質シートに電荷を注入して架橋多孔質シートを帯電させた。その後、電荷を注入した架橋多孔質シートを、接地されたアルミニウム箔で包み込んだ状態で3時間に亘って保持することで架橋多孔質シート表面に存在する静電気を除去してエレクトレットシートを得た。
(実施例3)
耐圧容器に、未変性プロピレン−エチレンランダム共重合体(エチレン含有量:4.5重量%以下、融解開始温度:97℃、曲げ弾性率:850MPa)からなるペレット100重量部、熱分解型架橋剤としてジクミルパーオキサイド0.48重量部、多官能モノマーとしてジビニルベンゼン0.99重量部、水300重量部、及び分散剤として微粒子状の酸化アルミニウム0.3重量部を投入し、これらを攪拌しながら100℃に昇温して1時間保持して、ジクミルパーオキサイドとジビニルベンゼンとをペレットに含浸させた後、150℃に昇温して1時間保持した後に冷却することにより、架橋された未変性プロピレン−エチレンランダム共重合体Bを得た。
耐圧容器に、未変性プロピレン−エチレンランダム共重合体(エチレン含有量:4.5重量%以下、融解開始温度:97℃、曲げ弾性率:850MPa)からなるペレット100重量部、熱分解型架橋剤としてジクミルパーオキサイド0.48重量部、多官能モノマーとしてジビニルベンゼン0.99重量部、水300重量部、及び分散剤として微粒子状の酸化アルミニウム0.3重量部を投入し、これらを攪拌しながら100℃に昇温して1時間保持して、ジクミルパーオキサイドとジビニルベンゼンとをペレットに含浸させた後、150℃に昇温して1時間保持した後に冷却することにより、架橋された未変性プロピレン−エチレンランダム共重合体Bを得た。
架橋された未変性プロピレン−エチレンランダム共重合体B、無水マレイン酸変性ポリプロピレン(無水マレイン酸成分含有量5重量%、三洋化成工業社製 製品名「ユーメックス1001」)、熱分解型発泡剤としてアゾジカルボンアミド、金属害防止剤としてメチルベンゾトリアゾール、酸化防止剤としてテトラキス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシメチル]メタンを、それぞれ表1に示した配合量で、押出機に供給して溶融混練し、Tダイからシート状に押出すことにより、発泡性シートを製造した。
次に、発泡性シートを250℃の熱風オーブンに投入して、熱分解型発泡剤を分解させて発泡性シートを発泡させた後に冷却させることにより、架橋多孔質シート(厚み300μm)を得た。
次に、架橋多孔質シートを、その表面温度が150℃となるようにして長さ方向(押出方向)にのみ一軸延伸した。延伸後の架橋多孔質シートの厚みは120μmであった。
そして、延伸後の架橋多孔質シートの一面にアースされた平板電極を密着状態に重ね合わせ、架橋多孔質シートの他面側に所定間隔を存して直流の高圧電源に電気的に接続された針状電極を配設し、針状電極の表面近傍への電界集中により、電圧−10kV、放電距離10mm及び電圧印可時間1分の条件下にてコロナ放電を発生させ、空気分子をイオン化させて、針状電極の極性により発生した空気イオンを反発させて架橋多孔質シートに電荷を注入して架橋多孔質シートを帯電させた。その後、電荷を注入した架橋多孔質シートを、接地されたアルミニウム箔で包み込んだ状態で3時間に亘って保持することで架橋多孔質シート表面に存在する静電気を除去してエレクトレットシートを得た。
(比較例1〜2)
未変性プロピレン−エチレンランダム共重合体A(エチレン含有量:4.5重量%以下、融解開始温度:97℃、曲げ弾性率:850MPa)、無水マレイン酸変性ポリプロピレン(無水マレイン酸成分含有量5重量%、三洋化成工業社製 製品名「ユーメックス1001」)、熱分解型発泡剤としてアゾジカルボンアミド、金属害防止剤としてメチルベンゾトリアゾール、及び酸化防止剤としてテトラキス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシメチル]メタンを、それぞれ表1に示した配合量で、押出機に供給して溶融混練し、Tダイからシート状に押出すことにより、発泡性シートを製造した。
未変性プロピレン−エチレンランダム共重合体A(エチレン含有量:4.5重量%以下、融解開始温度:97℃、曲げ弾性率:850MPa)、無水マレイン酸変性ポリプロピレン(無水マレイン酸成分含有量5重量%、三洋化成工業社製 製品名「ユーメックス1001」)、熱分解型発泡剤としてアゾジカルボンアミド、金属害防止剤としてメチルベンゾトリアゾール、及び酸化防止剤としてテトラキス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシメチル]メタンを、それぞれ表1に示した配合量で、押出機に供給して溶融混練し、Tダイからシート状に押出すことにより、発泡性シートを製造した。
次に、発泡性シートを250℃の熱風オーブンに投入して、熱分解型発泡剤を分解させて発泡性シートを発泡させた後に冷却させることにより、未架橋多孔質シート(厚み300μm)を得た。
次に、未架橋多孔質シートを、その表面温度が150℃となるようにして長さ方向(押出方向)にのみ一軸延伸した。延伸後の未架橋多孔質シートの厚みは120μmであった。
そして、延伸後の未架橋多孔質シートの一面にアースされた平板電極を密着状態に重ね合わせ、未架橋多孔質シートの他面側に所定間隔を存して直流の高圧電源に電気的に接続された針状電極を配設し、針状電極の表面近傍への電界集中により、電圧−10kV、放電距離10mm及び電圧印可時間1分の条件下にてコロナ放電を発生させ、空気分子をイオン化させて、針状電極の極性により発生した空気イオンを反発させて未架橋多孔質シートに電荷を注入して未架橋多孔質シートを帯電させた。その後、電荷を注入した未架橋多孔質シートを、接地されたアルミニウム箔で包み込んだ状態で3時間に亘って保持することで未架橋多孔質シート表面に存在する静電気を除去してエレクトレットシートを得た。
(評価)
エレクトレットシートの電荷発生量を、下記の要領で測定した。得られた結果を表1に示す。
エレクトレットシートの電荷発生量を、下記の要領で測定した。得られた結果を表1に示す。
(電荷発生量)
エレクトレットシートを裁断することにより、一辺が1cmの平面正方形状の試験片を得た。この試験片の表面及び裏面のそれぞれに金蒸着を施すことにより試験体を得た。この試験体に加振機を用いて荷重Fが2N、動的荷重が±0.25N、周波数が110Hzの条件下にて押圧力を加え、その時に発生する電荷Q(C)を計測した。そして、電荷Q(C)を荷重F(N)で除することによって、試験片の電荷発生量(pC/N)を算出した。
エレクトレットシートを裁断することにより、一辺が1cmの平面正方形状の試験片を得た。この試験片の表面及び裏面のそれぞれに金蒸着を施すことにより試験体を得た。この試験体に加振機を用いて荷重Fが2N、動的荷重が±0.25N、周波数が110Hzの条件下にて押圧力を加え、その時に発生する電荷Q(C)を計測した。そして、電荷Q(C)を荷重F(N)で除することによって、試験片の電荷発生量(pC/N)を算出した。
製造直後のエレクトレットシートを23℃、相対湿度50%の恒温恒湿槽内に1時間に亘って放置した後に、エレクトレットシートの電荷発生量を上記方法に従って測定し、結果を表1における「電荷発生量(初期)」の欄に記載した。
さらに、エレクトレットシートを50℃、相対湿度95%の恒温恒湿槽内に7日間に亘って放置した後、エレクトレットシートを23℃、相対湿度30%の恒温恒湿槽内に24時間に亘って放置した。このエレクトレットシートの電荷発生量を上記方法に従って測定し、結果を表1における「電荷発生量(耐久)」の欄に記載した。
Claims (5)
- 未変性オレフィン系樹脂及び酸変性オレフィン系樹脂を含有する架橋多孔質樹脂シートに電荷を注入して帯電させてなることを特徴とするエレクトレットシート。
- 未変性オレフィン系樹脂が、未変性プロピレン系樹脂を含むことを特徴とする請求項1に記載のエレクトレットシート。
- 酸変性オレフィン系樹脂が、酸変性プロピレン系樹脂を含むことを特徴とする請求項1又は2に記載のエレクトレットシート。
- 架橋多孔質樹脂シートが、未変性オレフィン系樹脂及び酸変性オレフィン系樹脂を含有する未架橋多孔質シートを架橋させてなるものであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のエレクトレットシート。
- 架橋多孔質樹脂シートが、架橋された未変性オレフィン系樹脂と、酸変性オレフィン系樹脂とを含むものであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のエレクトレットシート。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
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2013
- 2013-01-15 JP JP2013004592A patent/JP2014136712A/ja active Pending
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