JP2014037406A - 植物へのストレスを軽減する薬剤組成物 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】式(I)などで表される化合物およびその塩からなる群から選ばれる少なくとも一つの物質(A)と、植物の生理作用に影響を及ぼす物質(B)とを含有する植物へのストレスを軽減する薬剤組成物。
[式(I)中、R1〜R4はそれぞれ独立して、水素原子、−SO3H、−PO3H2、グリコシル基または−COR11を示す。R11は、無置換の若しくは置換基を有するC1〜30アルキル基または無置換の若しくは置換基を有するC2〜30アルケニル基を示す。]物質(B)がストロビルリン系化合物であり、殺菌剤、殺虫剤植物成長調剤及び除草剤から選ばれた少くとも1つで吸収阻外剤である。
【選択図】なし
Description
〔1〕 式(I)で表される化合物、式(II)で表される化合物、およびそれらの塩からなる群から選ばれる少なくとも一つの物質(A)と、
植物の生理作用に影響を及ぼす物質(B)と
を含有する植物へのストレスを軽減する薬剤組成物。
[式(I)中、R1〜R4はそれぞれ独立して、水素原子、−SO3H、−PO3H2、グリコシル基または−COR11を示す。R11は、無置換の若しくは置換基を有するC1〜30アルキル基または無置換の若しくは置換基を有するC2〜30アルケニル基を示す。]
[式(II)中、R5およびR6はそれぞれ独立して、水素原子、−SO3H、−PO3H2、グリコシル基または−COR11を示す。R11は、無置換の若しくは置換基を有するC1〜30アルキル基または無置換の若しくは置換基を有するC2〜30アルケニル基を示す。]
〔3〕 物質(B)が、呼吸阻害剤である、〔1〕に記載の組成物。
〔4〕 物質(B)が、ストロビルリン系化合物である、〔1〕に記載の組成物。
〔6〕 物質(A)が、式(I)[ただし、R1〜R4のうち少なくとも一つは−COR11を示し、R11は、無置換の若しくは置換基を有するC12〜30アルキル基または無置換の若しくは置換基を有するC12〜30アルケニル基を示す。]で表される化合物またはその塩である、〔1〕に記載の組成物。
〔7〕 物質(A)が、式(I)[ただし、R1〜R4はそれぞれ独立して、水素原子、または−COR11を示し、且つR1〜R4のうち少なくとも一つは−COR11を示す。R11は、無置換の若しくは置換基を有するC1〜30アルキル基または無置換の若しくは置換基を有するC2〜30アルケニル基を示す。−COR11のうち少なくとも一つはその中のR11が、無置換の若しくは置換基を有するC12〜30アルキル基または無置換の若しくは置換基を有するC12〜30アルケニル基を示す。]で表される化合物またはその塩である、〔1〕に記載の組成物。
〔9〕 前記ストレスが、植物ウイルス、植物病原細菌、植物病原糸状菌、害虫若しくは雑草による生物的ストレス;または、高温、低温、高照度、低照度、過湿、乾燥、塩分、酸性、農薬、化学物質若しくは重金属による物理的若しくは化学的ストレスのいずれか少なくとも一つである、〔8〕に記載の方法。
物質(A)は、式(I)で表される化合物、式(II)で表される化合物、およびそれらの塩からなる群から選ばれる少なくとも一つである。
式(I)中、R1〜R4はそれぞれ独立して、水素原子、−SO3H、−PO3H2、グリコシル基または−COR11を示す。
式(II)中、R5およびR6はそれぞれ独立して、水素原子、−SO3H、−PO3H2、グリコシル基または−COR11を示す。
ここで、「無置換の」の用語は、該基が母核となる基のみであることを意味する。なお、「置換基を有する」との記載がなく母核となる基の名称のみで記載しているときは、別段の断りがない限り「無置換の」の意味である。
一方、「置換基を有する」の用語は、母核となる基のいずれかの水素原子が、母核と異なる若しくは同じ構造の基で置換されていることを意味する。従って、「置換基」は、母核となる基に置換された他の基である。置換基は一つであってもよいし、二つ以上であってもよい。二つ以上の置換基は同じのものであってもよいし、異なるものであってもよい。例えば、置換基を有するC1〜30アルキル基は、母核となる基がC1〜30アルキル基で、これのいずれかの水素原子が異なる構造の基(「置換基」)で置換されているものである。
上記R11は、無置換の若しくは置換基を有するC8〜20アルキル基または無置換の若しくは置換基を有するC8〜20アルケニル基が好ましい。
また、物質(A)は、式(I)[R1〜R4のうち少なくとも一つは−COR11を示す。ただし、R11は、無置換の若しくは置換基を有するC12〜30アルキル基または無置換の若しくは置換基を有するC12〜30アルケニル基を示す。]で表される化合物またはその塩であることが好ましい。
なお、「C12〜30アルキル基」としては、例えば、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基(ミリスチル基)、ペンタデシル基、ヘキサデシル基(セチル基、パルミチル基)、ヘプタデシル基、オクタデシル基(ステアリル基)、ノナデシル基、イコシル基、ヘンイコシル基、トリアコンチル基などが挙げられる。
「置換基を有するC12〜30アルキル基」としては、例えば、2−ヒドロキシトリデシル基、1−ヒドロキシペンタデシル基、11−ヒドロキシヘプタデシル基、1−アミノヘプタデシル基などが挙げられる。
「置換基を有するC12〜30アルケニル基」としては、例えば、7−ヒドロキシ−8−ペンタデセニル基、1−ヒドロキシ−8−ペプタデセニル基、1−アミノ−8−ヘプタデセニル基などが挙げられる。
なお、物質(A)の構造は、IRスペクトル、NMRスペクトル、マススペクトル、元素分析等の公知の分析手段により、同定、確認することができる。
[式(Ib)中、R1b〜R4bはそれぞれ独立して、水素原子、または−COR11を示す。R1b〜R4bのうち少なくとも一つは−COR11を示し、R11は、無置換の若しくは置換基を有するC1〜30アルキル基または無置換の若しくは置換基を有するC2〜30アルケニル基を、好ましくは無置換の若しくは置換基を有するC12〜30アルキル基または無置換の若しくは置換基を有するC12〜30アルケニル基を示す。]
[式(IIb)中、R5bおよびR6bはそれぞれ独立して、水素原子、または−COR11を示す。R5bおよびR6bのうち少なくとも一つは−COR11を示し、R11は、無置換の若しくは置換基を有するC1〜30アルキル基または無置換の若しくは置換基を有するC2〜30アルケニル基を、好ましくは無置換の若しくは置換基を有するC12〜30アルキル基または無置換の若しくは置換基を有するC12〜30アルケニル基を示す。]
本発明に用いられる植物の生理作用に影響を及ぼす物質(B)としては、除草剤、成長調節剤、植物ホルモン、病原菌に対する抵抗性誘導剤、使用濃度を高くすると薬害を示す殺菌剤、殺虫剤、殺ダニ剤、忌避剤、微生物農薬、肥料、界面活性剤などが挙げられる。これらのうち、殺菌剤、殺虫剤、植物成長調整剤、および除草剤からなる群から選ばれる少なくとも一つが好ましい。また物質(B)は呼吸阻害剤であることが好ましい。さらに物質(B)はストロビルリン系化合物であることが好ましい。
このうちで、クレソキシムメチル、トリフロキシストロビン、アゾキシストロビン、ピラクロストロビン、オリサストロビン等のストロビルリン系殺菌剤が特に好ましい。
このうちで、イミダクロプリド、アセタミプリド、ニテンピラム、チアクロプリド、クロチアニジン、チアメトキサム、ジノテフラン、ニチアジン等のネオニコチノイド系殺虫剤、およびクロルフェナピル、ピメトロジン、ピリダベン、フェンピロキシメート、トルフェンピラド、テブフェンピラド、シエノピラフェン、シフルメトフェン、フルアクリピリム、アセキノシル、フェナザキン等の呼吸阻害効果を有する殺虫剤若しくは殺ダニ剤が特に好ましい。
また、本発明に係る薬剤組成物は、水和剤、乳剤、水溶剤、顆粒水和剤、粉剤、錠剤などの製剤に調製することができる。製剤への調製方法は、特に制限されず、剤形に応じて公知の調製方法を採用することができる。
鱗翅目害虫、例えば、ヨトウガ、アワヨトウ、ハスモンヨトウ、タマナヤガ、チャノコカクモンハマキ、チャハマキ、モモシンクイガ、ナシヒメシンクイ、ミカンハモグリガ、チャノホソガ、キンモンホソガ、マイマイガ、チャドクガ、ニカメイガ、コブノメイガ、ヨーロピアンコーンボーラー、アメリカシロヒトリ、スジマダラメイガ、ヘリオティス属、ヘリコベルパ属、アグロティス属、イガ、アワノメイガ、オオモンシロチョウ、タバコバッドワーム、コナガ、ネキリムシ(ヤガ科の一種)など;
半翅目害虫、例えば、ニセダイコンアブラムシ、ムギクビレアブラムシ、モモアカアブラムシ、ワタアブラムシ、マメクロアブラムシ等のアブラムシ類;オンシツコナジラミ、タバココナジラミ、シルバーリーフコナジラミ等のコナジラミ類;ホシカメムシ、ホソヘリカメムシ、アオクサカメムシ、ヤノネカイガラムシ、クワコナカイガラムシ、ナシキジラミ、ナシグンバイムシ、トビイロウンカ、ヒメトビウンカ、セジロウンカ、ツマグロヨコバイなど;
甲虫目害虫、例えば、キスジノミハムシ、ウリハムシ、コロラドハムシ、マスタードビートル、イネミズゾウムシ、コクゾウムシ、アズキゾウムシ、マメコガネ、ヒメコガネ、コーンルートワーム、ジアブロティカ属、タバコシバンムシ、ヒラタキクイムシ、マツノマダラカミキリ、ゴマダラカミキリ、アグリオティス属、ニジュウヤホシテントウ、コクヌスト、ワタミゾウムシなど;
直翅目害虫、例えば、イナゴ、トノサマバッタなど;
アザミウマ目害虫、例えば、ミナミキイロアザミウマ、チャノキイロアザミウマ、ネギアザミウマ、ヒラズハナアザミウマなど;
双翅目害虫、例えば、ウリミバエ、ミカンコミバエ、イネハモグリバエなど;
ダニ類、例えば、ナミハダニ、ニセナミハダニ、カンザワハダニ、ミカンハダニ、リンゴハダニ、ヒメハダニ等のハダニ類;ミカンサビダニ、リンゴサビダニ、チャノホコリダニ、ロビンネダニなど;
等が挙げられる。この中で適用が特に好ましい害虫としては、植物ウイルスを媒介するアブラムシ類、コナジラミ類、アザミウマ類、ハダニ類などが挙げられる。
ストレスの原因になる農薬は特に限定されず、例えば、植物の生理作用に影響を及ぼす物質として例示したものが挙げられる。
ストレスの原因になる薬害は、例えば、使用規準を超えた濃度や適用外の作物に処理した場合の薬害、さらに高温条件や強光条件下で生じる薬害などである。本発明によりこれらの薬害が抑制されることで、農薬の適用範囲を従来適用されていたものより広くすることも可能である。
アスコルビン酸、イソアスコルビン酸またはデヒドロアスコルビン酸を公知の反応によってエステル化、グリコシル化、または酸化させることによって、各種の物質(A)を合成した。合成した物質(A)の一部を表1および表2に示す。表1中のR1〜R4は、式(I)中のR1〜R4に対応するものである。表2中のR5およびR6は、式(II)中のR5およびR6に対応するものである。
(製剤実施例1)水和剤
物質(A) 10部
物質(B) 10部
ホワイトカーボン 20部
ケイソウ土 52部
アルキル硫酸ソーダ 8部
以上を均一に混合、微細に粉砕して、水和剤を得る。
物質(A) 10部
物質(B) 10部
キシレン 55部
ジメチルホルムアミド 15部
ポリオキシエチレンフェニルエーテル 10部
以上を混合、溶解して乳剤を得る。
物質(A) 5部
物質(B) 5部
タルク 37部
クレー 36部
ベントナイト 10部
アルキル硫酸ソーダ 7部
以上を均一に混合して微細に粉砕後、造粒して粒剤を得る。
物質(A) 5部
物質(B) 5部
ポリオキシエチレンアリールフェニルエーテルエーテル 2部
ジアルキルスルホサクシネートナトリウム塩 0.5部
グリセリン 5部
キサンタンガム 0.3部
水 82.2部
以上を混合し、湿式粉砕して、フロアブル剤を得る。
物質(A) 15部
物質(B) 15部
無機担体 70部
以上を均一に混合して微粉に粉砕後、造粒して顆粒水和剤を得る。
表3〜6に示す処方にてN,N−ジメチルホルムアミド溶液を調製し、試験用の薬剤組成物1〜12とした。
水耕栽培用スポンジ片の上に表面消毒したシロイヌナズナの種子を10粒ずつ播いて、22℃、明所16時間、暗所8時間で14日間育成させて、試験用幼苗を用意した。
該幼苗の株元に上記薬剤組成物100μlを滴下し、22℃、明所16時間、暗所8時間で2日間育成させた。
その後、該幼苗を、35℃、暗所に1時間放置し、次いで45℃、暗所に2時間放置し、幼苗に高温障害が生じるようにした。
前記幼苗を、22℃、明所16時間、暗所8時間の育成条件に戻し、4日経過時に高温障害の状態を調査した。
0(障害なし)〜5(本葉の萎れ2枚以上)の6段階の高温障害指数で評価した。溶媒DMFのみの処理区(薬剤組成物6)と比較した高温障害軽減率(%)を次式により算出した。
高温障害軽減率=((溶媒のみ処理区の障害指数)−(各処理区の障害指数))
/(溶媒のみ処理区の障害指数) ×100
その結果を表3〜6に示す。
温室内で4−6葉期まで育成したナス(品種:千両2号、3連)を用意した。
アスコルビン酸パルミテート30%顆粒水和剤と、N,N−ジメチルホルムアミドで40%に溶解したピラクロストロビンとを、水道水で表7に記載した濃度となるように希釈して苗全体に十分量を散布した。風乾後、18℃で明所16時間および13℃で暗所8時間の条件下で1日間生育させた。次いで、13℃で明所16時間および8℃で暗所8時間の条件下で15日間生育させた。15日間経過時に障害程度を調査した。
処理後の展開葉で変色した部分の面積を計測し、0(変色なし)、1(全体の1/4まで変色)、2(全体の1/2まで変色)、3(全体の1/2以上変色)の4段階の障害指数で評価し、障害軽減率を下式で算出した。
低温障害軽減率=((無処理区の障害指数)−(各処理区の障害指数))
/(無処理区の障害指数) ×100
その結果を表7に示す。
温室内で4葉期まで育成したトマト(品種:桃太郎、2連)を用意した。
アスコルビン酸パルミテート30%顆粒水和剤と表8に記載の物質(B)を含有する市販剤を、水道水で表8に記載した濃度に希釈して苗全体に十分量を散布した。風乾後、明条件40℃16時間、暗条件30℃8時間のサイクルで栽培した。散布後4日経過時に障害程度を調査した。
障害は高温による影響で生じた壊死の程度を、0(壊死なし)〜10(枯死)の11段階の障害指数で評価した。これから次式により障害軽減率を算出した。
障害軽減率=((溶媒のみ処理区の障害指数)−(各処理区の障害指数))
/(溶媒のみ処理区の障害指数) ×100
その結果を表8に示す。
温室内で2葉期まで育成したトマト(品種:麗容、2連)を用意した。
アスコルビン酸パルミテート30%顆粒水和剤とN,N−ジメチルホルムアミドで40%に溶解したピラクロストロビンとを、水道水で表9に記載した濃度に希釈して苗全体に十分量を散布した。風乾後、夏季炎天下の強光に当てた。散布後4日経過時に障害程度を調査した。
光による影響で生じた壊死の程度を、0(壊死なし)〜10(枯死)の11段階の障害指数で評価した。これから次式により障害軽減率を算出した。
強光障害軽減率=((無処理区の障害指数)−(各処理区の障害指数))
/(無処理区の障害指数) ×100
その結果を表9に示す。
温室内で2葉期まで育成したキュウリ(品種:相模半白節成、2連)を用意した。
アスコルビン酸パルミテートの30%顆粒水和剤と、N,N−ジメチルホルムアミドで40%に溶解したピラクロストロビンとを、水道水で表10に記載した濃度に希釈して十分量を散布した。散布後2日経過時から子葉の直下まで湛水状態にし、散布後11日経過時にキュウリの地上部と根部それぞれの生重量を測定した。これから次式により障害軽減率を算出した。
冠水障害軽減率=((各処理区の生重量)−(無処理区の生重量))
/(無処理区の生重量) ×100
結果を表10に示す。
温室内で2葉期まで育成したダイズ(品種:エンレイ、2連)を用意した。
アスコルビン酸パルミテートの30%顆粒水和剤と、N,N−ジメチルホルムアミドで40%に溶解したピラクロストロビンとを、水道水で表11に記載した濃度に希釈して十分量を散布した。散布後2日経過時から子葉の直下まで湛水状態にし、散布後11日経過時にダイズの地上部と根部それぞれの生重量を測定した。これから次式により障害軽減率を算出した。
冠水障害軽減率=((各処理区の生重量)−(無処理区の生重量))
/(無処理区の生重量) ×100
結果を表11に示す。
100mlのコルベンにて2葉期まで水耕育成したキュウリ(品種:相模半白節成、2連)を用意した。
アスコルビン酸パルミテートの30%顆粒水和剤と、N,N−ジメチルホルムアミドで40%に溶解したピラクロストロビンとを、水道水で表12に記載した濃度に希釈して苗全体に十分量を散布した。散布後2日経過時に水耕液を1N塩酸でpH4に調整し、該キュウリを継続して水耕育成した。散布後17日経過時にキュウリの葉齢を調査した。これから次式により障害軽減率を算出した。
酸性障害軽減率=((各処理区の葉齢)−(無処理区の葉齢))
/(無処理区の葉齢) ×100
結果を表12に示す。
100mlのコルベンにて2葉期まで水耕育成したダイズ(品種:エンレイ、2連)を用意した。
アスコルビン酸パルミテートの30%顆粒水和剤と、N,N−ジメチルホルムアミドで40%に溶解したピラクロストロビンとを、水道水で表13に記載した濃度に希釈して苗全体に十分量を散布した。散布後2日経過時に水耕液を1N塩酸でpH4に調整し、該ダイズを継続して水耕育成した。散布後11日経過時にダイズの障害を調査した。
壊死の程度を、0(壊死なし)〜10(枯死)の11段階の障害指数で評価した。これから次式により障害軽減率を算出した。
酸性障害軽減率=((無処理区の障害指数)−(各処理区の障害指数))
/(無処理区の障害指数) ×100
結果を表13に示す。
温室内で1.5葉期まで水耕育成したキュウリ(品種:相模半白、2連)を用意した。
アスコルビン酸パルミテートの30%顆粒水和剤と、表14に記載の物質(B)を含有する市販品とを、水道水で表14に記載した濃度に希釈して苗全体に十分量を散布した。風乾後、温室で通常の潅水で栽培した。散布後3日経過時から0.1%塩化ナトリウム水溶液による潅水に切り替えて栽培した。散布後20日経過時に地上部の生重量を測定した。これから次式により障害軽減率を算出した。なお、薬剤散布せずに通常の潅水で栽培を20日間行ったものを通常潅水区と表記する。
障害軽減率=((各処理区の生重量)−(無処理区の生重量))
/((通常潅水区の生重量)−(無処理区の生重量)) ×100
結果を表14に示す。
温室内で2葉期まで水耕育成したキュウリ(品種:相模半白節成、2連)を用意した。
アスコルビン酸パルミテートの30%顆粒水和剤と、N,N−ジメチルホルムアミドで40%に調整したピラクロストロビンとを、水道水で表15に記載した濃度に希釈して苗全体に十分量を散布した。風乾後、温室で通常の潅水で栽培した。散布後2日経過時から2cm深の0.1%塩化ナトリウム水溶液の湛水状態に切り替えて栽培した。散布後11日経過時に地上部および根部それぞれの生重量を測定した。これから次式により障害軽減率を算出した。
塩障害軽減率=((各処理区の生重量)−(無処理区の生重量))
/(無処理区の生重量) ×100
結果を表15に示す。
温室内で2葉期まで水耕育成したダイズ(品種:エンレイ、2連)を用意した。
アスコルビン酸パルミテートの30%顆粒水和剤と、N,N−ジメチルホルムアミドで40%に調整したピラクロストロビンを水道水で表16に記載した濃度に希釈して苗全体に十分量を散布した。風乾後、温室で通常の潅水で栽培した。散布後2日経過時から2cm深の0.1%塩化ナトリウム水溶液の湛水状態に切り替えて栽培した。散布後11経過時に地上部および根部それぞれの生重量を測定した。これから次式により障害軽減率を算出した。
障害軽減率=((各処理区の生重量)−(無処理区の生重量))
/(無処理区の生重量) ×100
結果を表16に示す。
表17に示す処方にてN,N−ジメチルホルムアミド溶液を調製し、試験用の薬剤組成物とした。
温室内で4葉期まで育成したトマト苗(品種:桃太郎)を用意した。
該トマト苗の茎葉部に、液が垂れ落ちる程の量の上記薬剤組成物を散布した。風乾後、日本の3月の平年の温湿度条件下において栽培した。散布後7日経過時に葉の褐変程度や伸長抑制などの薬害を調査した。
薬害は0(障害なし)〜10(枯死)の11段階の薬害指数で評価した。
溶媒DMFのみの処理区と比較した薬害軽減率を次式により算出した。
薬害軽減率=((溶媒のみ処理区の薬害指数)−(各処理区の薬害指数))
/(溶媒のみ処理区の薬害指数) ×100
その結果を表17に示す。
イネ(品種:コシヒカリ、10連)の苗を用意した。アスコルビン酸パルミテートの30%顆粒水和剤と、N,N−ジメチルホルムアミドで5%に調整したピラクロストロビンとを、水道水で表18に記載した濃度に希釈し、これらの十分量を苗全体に散布した。風乾後1日経過時にいもち病菌を接種した。接種後11日経過時にいもち病斑数を調査した。これから防除価を次式により算出した。
防除価=((無処理区の病斑数)−(各処理区の病斑数))
/(無処理区の病斑数) ×100
その結果を表18に示す。
イネ(品種:コシヒカリ、4葉期、5株1連)の苗を用意した。プロベナゾール96mgを含有する市販剤を水面施用した。アスコルビン酸パルミテートの30%顆粒水和剤を水道水で表19に記載した濃度に希釈し、十分量を、水面施用後2日経過時に苗全体に散布した。風乾後1日経過時にいもち病菌を接種した。接種後11日経過時にいもち発病面積を調査した。1株当たりの発病指数として、発病なしを0、発病面積25%未満を1、発病面積25%以上50%未満を2、発病面積50%以上75%未満を3、発病面積75%以上を4とする5段階で評価した。これから防除価を次式により算出した。
防除価=((無処理区の発病指数)−(各処理区の発病指数))
/(無処理区の発病指数) ×100
その結果を表19に示す。
Claims (9)
- 式(I):
[式(I)中、R1〜R4はそれぞれ独立して、水素原子、−SO3H、−PO3H2、グリコシル基または−COR11を示す。R11は、無置換の若しくは置換基を有するC1〜30アルキル基または無置換の若しくは置換基を有するC2〜30アルケニル基を示す。]で表される化合物、
式(II):
[式(II)中、R5およびR6はそれぞれ独立して、水素原子、−SO3H、−PO3H2、グリコシル基または−COR11を示す。R11は、無置換の若しくは置換基を有するC1〜30アルキル基または無置換の若しくは置換基を有するC2〜30アルケニル基を示す。]で表される化合物およびそれらの塩からなる群から選ばれる少なくとも一つの物質(A)と、
植物の生理作用に影響を及ぼす物質(B)と
を含有する植物へのストレスを軽減する薬剤組成物。 - 物質(B)が、殺菌剤、殺虫剤、植物成長調整剤、および除草剤からなる群から選ばれる少なくとも一つである、請求項1に記載の組成物。
- 物質(B)が、呼吸阻害剤である、請求項1に記載の組成物。
- 物質(B)が、ストロビルリン系化合物である、請求項1に記載の組成物。
- 物質(A)が、式(I)[ただし、すべてのR1〜R4が同時に水素原子であることはない。]で表される化合物またはその塩である、請求項1に記載の組成物。
- 物質(A)が、式(I)[ただし、R1〜R4のうち少なくとも一つは−COR11を示し、R11は、無置換の若しくは置換基を有するC12〜30アルキル基または無置換の若しくは置換基を有するC12〜30アルケニル基を示す。]で表される化合物またはその塩である、請求項1に記載の組成物。
- 物質(A)が、式(I)[ただし、R1〜R4はそれぞれ独立して、水素原子、または−COR11を示し、且つR1〜R4のうち少なくとも一つは−COR11を示す。R11は、無置換の若しくは置換基を有するC1〜30アルキル基または無置換の若しくは置換基を有するC2〜30アルケニル基を示す。−COR11のうち少なくとも一つはその中のR11が、無置換の若しくは置換基を有するC12〜30アルキル基または無置換の若しくは置換基を有するC12〜30アルケニル基を示す。]で表される化合物またはその塩である、請求項1に記載の組成物。
- 請求項1〜7のいずれか一つに記載の組成物を植物に施用することを含む、植物へのストレスを軽減する方法。
- 前記ストレスが、植物ウイルス、植物病原細菌、植物病原糸状菌、害虫若しくは雑草による生物的ストレス;または、高温、低温、高照度、低照度、過湿、乾燥、塩分、酸性、農薬、化学物質若しくは重金属による物理的若しくは化学的ストレスのいずれか少なくとも一つである、請求項8に記載の方法。
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