JP2003137703A - 植物の有害生物防除剤および有害生物防除方法 - Google Patents

植物の有害生物防除剤および有害生物防除方法

Info

Publication number
JP2003137703A
JP2003137703A JP2001340797A JP2001340797A JP2003137703A JP 2003137703 A JP2003137703 A JP 2003137703A JP 2001340797 A JP2001340797 A JP 2001340797A JP 2001340797 A JP2001340797 A JP 2001340797A JP 2003137703 A JP2003137703 A JP 2003137703A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
control agent
plant
plants
black
pest
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2001340797A
Other languages
English (en)
Other versions
JP4177981B2 (ja
Inventor
Takezo Fukushi
武造 福士
Tadamitsu Nakamura
忠光 中村
Yoshihiko Iijima
義彦 飯島
Kozaburo Hayashi
孝三郎 林
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Dainichiseika Color and Chemicals Mfg Co Ltd
Original Assignee
Dainichiseika Color and Chemicals Mfg Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Dainichiseika Color and Chemicals Mfg Co Ltd filed Critical Dainichiseika Color and Chemicals Mfg Co Ltd
Priority to JP2001340797A priority Critical patent/JP4177981B2/ja
Publication of JP2003137703A publication Critical patent/JP2003137703A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4177981B2 publication Critical patent/JP4177981B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Agricultural Chemicals And Associated Chemicals (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】安全で高い防除効果を有し、長期間に亘り高い
防除効果を発揮する植物の有害生物防除剤、及び簡便で
使い勝手が良く、しかも安全で高い防除効果を得ること
ができる有害生物防除方法を提供する。 【解決手段】(A)黒色粉末及び(B)水溶性又は水分
散性バインダーを含有してなる植物の有害生物防除剤、
該有害生物防除剤を有用植物の病巣患部に塗布又は有用
植物に散布することを特徴とする植物の有害生物防除方
法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、植物の有害生物防
除剤及びその防除方法に関する。更に詳しくは、植物の
有害生物の繁殖を抑制し、その後の治癒を効果的に促進
する植物の有害生物防除剤及び植物の有害生物の防除方
法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来から、果樹や野菜類等の植物を栽培
するにあたり、植物を病害虫から保護するために、農園
芸用殺菌剤や農園芸用殺虫剤等の種々の農薬が使用され
ている。例えば、リンゴ等の果樹栽培においては、防除
の対象とする植物病原菌や有害虫の種類及びこれらの繁
殖期に合わせて、年10回以上の農薬散布を行なうのが
通常である。
【0003】しかしながら、近年においては、安全性や
環境保護の観点から、農薬の使用回数を減らす方向にあ
り、また、使用される農薬も安全で、環境に与える影響
が少ないものへ移行しつつある。従って、安全で高い防
除効果を有し、かつ、長期間に亘り高い防除効果を発揮
する農薬の開発が望まれている。
【0004】ところで、植物、特にリンゴ等の果樹の植
物病害の中で、リンゴ腐らん病等の胴枯性病は、近年、
リンゴのみならず、ナシ、セイヨウナシ、クワ、キリ等
の他の樹木にも胴枯性病害が多発し、その対策として抜
本的な防除、治療方法の必要性が強調されている。
【0005】従来、リンゴ腐らん病に代表される胴枯性
病害の治療には、病巣患部への薬剤(農園芸用殺菌剤)
を塗布する方法や病斑を外科的に治療する方法、泥巻法
等が知られている。しかし、これらの方法では、胴枯性
病に対する防除が不十分であったり、治療方法が難し
く、全体の処置に多大な労力及び時間を要していた。従
って、植物に発生する胴枯性病等の植物病害に対して、
簡便で使い勝手が良く、しかも安全で高い防除効果を得
ることができる有害生物防除方法の開発が望まれてい
る。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明はかかる実情の
下でなされたものであり、安全で高い防除効果を有し、
長期間に亘り高い防除効果を発揮する植物の有害生物防
除剤、及び簡便で使い勝手が良く、しかも安全で高い防
除効果を得ることができる有害生物防除方法を提供する
ことを課題とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、上記課題
を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、黒色粉末とバイン
ダーを含む組成物が治癒組織形成促進に顕著な効果を示
すことを見出し、該組成物を果樹や野菜等の植物の有害
生物防除剤として使用することを着想した。また、該組
成物と殺菌活性成分又は殺虫活性成分を併用することに
より、より一層の有害生物防除効果が得られることを見
出し、本発明を完成するに到った。
【0008】かくして本発明の第1によれば、(A)黒
色粉末及び(B)水溶性又は水分散性バインダーを含有
してなる植物の有害生物防除剤が提供される。本発明の
有害生物防除剤は、(C)成分として、農薬活性成分を
さらに含有してなるのが好ましく、前記(A)成分の黒
色粉末が、粉末活性炭、カーボンブラック又は黒色酸化
鉄顔料であるのが好ましい。また、本発明の有害生物防
除剤は、植物の胴枯性病防除剤として使用されるのが特
に好ましい。
【0009】本発明の第2によれば、本発明の有害生物
防除剤を、植物の病巣患部に塗布することを特徴とする
植物の有害生物防除方法が提供される。また、本発明の
第3によれば、本発明の有害生物防除剤を、植物に散布
することを特徴とする植物の有害生物防除方法が提供さ
れる。
【0010】
【発明の実施の形態】以下、本発明の植物の有害生物防
除剤及びその防除方法を詳細に説明する。本発明の植物
の有害生物防除剤は、(A)黒色粉末及び(B)水溶性
又は水分散性バインダーを必須成分として含有してな
る。
【0011】(A)成分の黒色粉末は、各種の有害生物
防除剤病原菌に対して抗菌作用を示す。これは、病原菌
にとっての栄養素が本発明の防除剤により吸着されて病
原菌がこれらの栄養素を利用でき難くなること、並びに
本発明の防除剤から弱い赤外線及び活性酸素が放出さ
れ、病原菌を破壊するためであると考えられる。また、
黒色粉末は太陽熱を吸収するので、本発明の防除剤で病
斑部分を覆うこと(被覆処理)により、病斑部分の植物
体の温度を上昇させ、低温を好む植物病原菌(例えば、
胴枯性病原菌等)の生育を抑制することができる。さら
に、この被覆処理は、当該部分における植物の治癒組織
形成に最適な環境を創出し、総合的で顕著な治療効果を
発揮する。
【0012】(A)成分の黒色粉末としては、例えば、
粉末状活性炭、カーボンブラック、黒色酸化鉄顔料及び
これらの水性分散体、ペースト等が挙げられる。これら
は1種単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いる
ことができる。
【0013】前記粉末状活性炭としては特に制限はな
く、ヤシ殻系、木質系、石炭系のいずれも用いることが
できるし、粒状炭や破砕炭を粉砕して使用することもで
きる。活性炭は、例えば、原料を不活性ガス中、800
℃以下の温度で炭素化したのち、800〜1,000℃
で水蒸気、炭酸ガス等を用いて酸化、賦活する(ガス賦
活法又は水蒸気賦活法と呼ばれる)ことによって製造す
ることができる。前記賦活過程では炭素化過程で生じた
炭素材の表面がゆっくりと、しかも選択的に酸化され、
吸着に適した細孔が生成する。また、活性炭は、塩化亜
鉛等の化学薬品を原料に混合したのち、不活性ガス中で
炭素化する方法によっても製造することができる。この
ようにして得られる活性炭は、上水道の水処理、醸造工
場におけるビール、酒、醤油等の精製、医薬品の精製、
精糖の脱色等、食品飲料工業において長い使用の歴史が
あり、安全性が確認されている。
【0014】カーボンブラックは、ガス状あるいは霧滴
状とした炭化水素の熱分解によって製造することができ
る。カーボンブラックは、原料や製造装置によって、オ
イルファーネスブラック、ガスファーネスブラック、チ
ャンネルブラック、ランプブラック、サーマルブラック
及びアセチレンブラックに分類することができ、いずれ
も使用することができる。
【0015】黒色酸化鉄顔料としては、マグネタイト粒
子粉末、マンガン含有黒色ヘマタイト粒子粉末等が挙げ
られる。また、マンガン含有黒色ゲータイト粒子粉末等
の黒色含水酸化鉄粉末を使用することもできる。これら
の黒色酸化鉄粉末及び黒色含水酸化鉄粉末は、球状、粒
状、八面耐状、六面体状、多面体状等の粒状粒子であっ
ても、針状、紡錘状、米粒状等の針状粒子又は板状粒子
であってもよい。
【0016】さらに、本発明においては、例えば、1)
水溶液中から析出したマグネタイト粒子を含む水懸濁液
中にカーボンブラック微粒子粉末を含む水性分散液を添
加した後、混合攪拌してマグネタイト粒子粉末の粒子表
面にカーボンブラック微粒子粉末を吸着させる方法(特
公昭50−13300号公報)、2)糖蜜等の高分子量
有機物質を溶解した鉄含有廃スラッジとカーボンブラッ
ク微粒子粉末を含む熱ガスとをスプレー反応器中に温度
450〜850℃で導入し、鉄塩からマグネタイト粒子
粉末を生成すると同時に該マグネタイト粒子粉末の粒子
表面に糖蜜を結合促進剤としてカーボンブラック微粒子
粉末を結合させる方法(特開昭49−48725号公
報)、3)鉄塩水溶液にカーボンブラックを懸濁させた
後アルカリを添加してカーボンブラック微粒子粉末と四
三酸化鉄とを共沈させることにより表面がカーボンブラ
ック微粒子粉末で被覆されている共沈物を得る方法(特
公昭55−39580号公報)、4)微小板状粒子の粒
子表面にカーボンブラック微粒子粉末等が被着されてい
るとともに、該カーボンブラック微粒子粉末等をアニオ
ン性又はカチオン性の界面活性剤、非イオン性の界面活
性剤及び有機官能性のポリシロキサンで固定化する方法
(特開平6−145556号公報、特開平7−3164
58号公報)等により得られる黒色顔料を使用すること
もできる。
【0017】これらの中でも、(A)成分の黒色粉末と
しては、安全衛生の観点から粉末状活性炭の使用が好ま
しく、ヤシ殻系及び木質系粉末状活性炭の使用がより好
ましい。(A)成分の黒色粉末の平均粒径は、良好な発
色性が得られる分散性の観点から、好ましくは20μm
以下、より好ましくは10μm以下、特に好ましくは5
μm以下である。
【0018】(A)成分の含有量は、防除剤全体に対し
て通常0.1〜50重量%、好ましくは0.3〜40重
量%、より好ましくは1〜30重量%の範囲である。
(A)成分の含有量が0.1重量%未満であると、有害
生物に対する防除効果が不十分となる一方で、(A)成
分の含有量が50重量%を超えると、分散安定性が低下
する傾向がみられる。
【0019】本発明の防除剤は、(B)成分として水溶
性又は水分散性有機系バインダーを含有する。有機系バ
インダーは、(A)成分の黒色粉末を均質に付着させる
と共に、本発明の防除剤からなる被膜を植物体表面に固
着させるために用いられる。
【0020】有機系バインダーとしては、水溶性又は水
分散性を有し、かつ上記作用を有するものであれば特に
制限されず、天然系及び合成高分子系のいずれも用いる
ことができるが、生分解性等を考慮すれば天然系高分子
がより好ましい。
【0021】この水溶性又は水分散性有機系バインダー
としては、例えば、カラメル、アラビアゴム、グアーガ
ム、キサンタンガム、オオバコ種子、キトサン、アルギ
ン酸ナトリウム、水溶性大豆多糖類(ガラクトース、ア
ラビノース、ガラクツロン酸、ラムノース、フコース、
キシロース、グルコースを主構成糖として含む)、水溶
性セルロース、でんぷん、でんぷん誘導体(可溶性でん
ぷん、デキストリン、ブリティッシュガム、酸化でんぷ
ん等)等の天然系バインダー;カルボキシメチルセルロ
ース、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、
アクリル系樹脂、ビニル系樹脂等の合成高分子系バイン
ダー;等が挙げられる。これらの有機系バインダーは1
種単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いること
ができる。
【0022】(B)成分の含有量は、防除剤全体に対し
て通常固形分として0.5〜50重量%、好ましくは1
〜40重量%の範囲である。この含有量が0.5重量%
未満ではバインダーとしての効果が十分に発揮されない
おそれがある一方で、50重量%を超えるとその量の割
には効果の向上が認められず、むしろ経済的に不利とな
る。(B)成分の含有量は、バインダーとしての効果及
び経済性のバランス等の面から、より好ましくは5〜3
0重量%、特に好ましくは7〜20重量%の範囲であ
る。
【0023】本発明の有害生物防除剤は、(C)成分と
して農薬活性成分をさらに含有するのが好ましい。農薬
活性成分としては、殺菌活性成分、殺虫活性成分、殺ダ
ニ活性成分等が挙げられる。植物病害に有効な農薬活性
成分を組み合わせることにより、有害生物防除効果を更
に確実なものにし、薬剤散布の回数を減らすことがで
き、労力軽減を図ることができる。
【0024】殺菌活性成分としては植物病害に対して活
性を有するものであれば特に制限されず、広範囲の農園
芸用殺菌剤が使用できる。使用できる農園芸用殺菌剤と
しては、例えば、キャプタン、フォルペット、チウラ
ム、ジラム、ジネブ、マンネブ、マンコゼブ、プロピネ
ブ、ポリカーバメート、クロロタロニン、キントーゼ
ン、キャプタホル、イプロジオン、プロサイミドン、ビ
ンクロゾリン、フルオロイミド、サイモキサニル、メプ
ロニル、フルトラニル、ペンシクロン、オキシカルボキ
シン、ホセチルアルミニウム、プロパモカーブ、トリア
ジメホン、トリアジメノール、プロピコナゾール、ジク
ロブトラゾール、ビテルタノール、ヘキサコナゾール、
マイクロブタニル、フルシラゾール、エタコナゾール、
フルオトリマゾール、フルトリアフェン、ペンコナゾー
ル、ジニコナゾール、サイプロコナゾーズ、フェナリモ
ール、トリフルミゾール、プロクロラズ、イマザリル、
ペフラゾエート、トリデモルフ、フェンプロピモルフ、
トリホリン、ブチオベート、ピリフェノックス、アニラ
ジン、ポリオキシン、メタラキシル、オキサジキシル、
フララキシル、イソプロチオラン、プロベナゾール、ピ
ロールニトリン、ブラストサイジンS、カスガマイシ
ン、バリダマイシン、硫酸ジヒドロストレプトマイシ
ン、ベノミル、カルベンダジム、チオファネートメチ
ル、ヒメキサゾール、塩基性塩化銅、塩基性硫酸銅、フ
ェンチンアセテート、
【0025】水酸化トリフェニル錫、ジエトフェンカル
ブ、メタスルホカルブ、キノメチオナート、ビナパクリ
ル、レシチン、重曹、ジチアノン、ジノカップ、フェナ
ミノスルフ、ジクロメジン、グアザチン、ドジン、IB
P、エディフェンホス、メパニピリム、フェルムゾン、
トリクラミド、メタスルホカルブ、フルアジナム、エト
キノラック、ジメトモルフ、ピロキロン、テクロフタラ
ム、フサライド、フェナジンオキシド、チアベンダゾー
ル、トリシクラゾール、ビンクロゾリン、シモキサニ
ル、シクロブタニル、グアザチン、プロパモカルブ塩酸
塩、オキソリニック酸、等が挙げられる。
【0026】本発明においては、これらの農園芸用殺菌
剤の中でも、胴枯性病に対し防除効果を有する殺菌剤の
使用がより好ましい。胴枯性病に対してより確実な防除
効果が得られるからである。
【0027】胴枯性病に対し防除効果を有する殺菌剤と
しては、例えば、チオファネートメチル、メチル−2−
ベンツイミダゾールカルバメイト(MBC)、ベノミ
ル、石灰硫黄剤、無機銅化合物、有機銅化合物、グアザ
チン、ジイソプロピル 1,3−ジチオラン−2−イリ
デンマロネート、イソチオシアン酸エステル等が挙げら
れる。
【0028】殺虫活性成分及び殺ダニ活性成分として
は、果樹、観葉植物、一般樹木等の植物の有害虫に対
し、殺虫・殺ダニ活性を有するものであれば特に制限さ
れない。殺虫・殺ダニ活性成分は、防除の対象とする有
害虫の種類に応じて適宜選択、使用することができる。
【0029】用いることができる殺虫活性成分として
は、例えば、フェンチオン、フェニトロチオン、ダイア
ジノン、クロルピリホス、ESP、バミドチオン、フェ
ントエート、ジメトエート、ホルモチオン、マラソン、
トリクロルホン、チオメトン、ホスメット、ジクロルボ
ス、アセフェート、EPBP、メチルパラチオン、オキ
シジメトンメチル、エチオン、サリチオン、シアノホ
ス、イソキサチオン、ピリダフェンチオン、ホサロン、
メチダチオン、スルプロホス、クロルフェンビンホス、
テトラクロルビンホス、ジメチルビンホス、プロパホ
ス、イソフェンホス、エチルチオメトン、プロフェノホ
ス、ピラクロホス、モノクロトホス、アジンホスメチ
ル、アルディカルブ、メソミル、チオジカルブ、カルボ
フラン、カルボスルファン、ベンフラカルブ、フラチオ
カルブ、プロポキスル、BPMC、MTMC、MIP
C、カルバリル、ピリミカーブ、エチオフェンカルブ、
フェノキシカルブ、カルタップ、チオシクラム、ベンス
ルタップ等の有機燐及びカーバメート系殺虫剤;
【0030】ペルメトリン、シペルメトリン、デルタメ
スリン、フェンバレレート、フェンプロパトリン、ピレ
トリン、アレスリン、テトラメスリン、レスメトリン、
ジメスリン、プロパスリン、フェノトリン、プロトリ
ン、フルバリネート、シフルトリン、シハロトリン、フ
ルシトリネート、エトフェンプロクス、シクロプロトリ
ン、トラロメトリン、シラフルオフェン、ブロフェンプ
ロクス、アクリナトリン等のピレスロイド系殺虫剤;
【0031】ジフルベンズロン、クロルフルアズロン、
ヘキサフルムロン、トリフルムロン、テトラベンズロ
ン、フルフェノクスロン、フルシクロクスロン、ブプロ
フェジン、ピリプロキシフェン、メトプレン、ベンゾエ
ピン、ジアフェンチウロン、イミダクロプリド、フィプ
ロニル、硫酸ニコチン、ロテノン、メタアルデヒド、機
械油、BTや昆虫病原ウイルス等の微生物農薬等のベン
ゾイルウレア系その他の殺虫剤;フェナミホス、ホスチ
アゼート等の殺線虫剤;等が挙げられる。。
【0032】殺ダニ活性成分としては、例えば、クロル
ベンジレート、フェニソブロモレート、ジコホル、アミ
トラズ、BPPS、ベンゾメート、ヘキシチアゾクス、
酸化フェンブタスズ、ポリナクチン、キノメチオネー
ト、CPCBS、テトラジホン、アベルメクチン、ミル
ベメクチン、クロフェンテジン、シヘキサチン、ピリダ
ベン、フェンピロキシメート、テブフェンピラド、ピリ
ミジフェン、フェノチオカルブ、ジエノクロル等が挙げ
られる。
【0033】また、本発明においては、前記農薬活性成
分として、ジベレリン類(例えばジベレリンA3、ジベ
レリンA4、ジベレリンA7)、IAA、NAA等の植
物成長調節剤;等を用いることもできる。これらの農薬
活性成分は1種単独で、あるいは2種以上を組み合わせ
て用いることができる。
【0034】また、前記(C)成分である農薬活性成分
は、単体で使用することもできるし、製剤化されたもの
をそのまま使用することもできる。製剤形態は特に制限
されず、例えば、乳剤、水和剤、顆粒水和剤、粒剤、ゾ
ル、粉剤、懸濁剤、オイルペースト、ペースト等が挙げ
られる。
【0035】本発明の防除剤に前記(C)成分を含有せ
しめる場合、前記(A)成分の含有量は、防除剤100
重量部当たり0.1〜50重量部の範囲が好ましい。こ
の含有量が0.1重量部未満では太陽光の遮断効果に劣
り、その結果、オーキシンの光分解を抑制することがで
きない上、病原菌により生じた毒性物質が吸着されず、
治癒組織形成条件の最適化が不十分となるおそれがあ
る。一方、50重量部を超える場合には、その割には効
果の向上が認められず、むしろ経済的に不利となる。
(A)成分の含有量は、病原菌の生育抑制効果、治癒組
織形成条件の最適化及び経済性のバランス等の面から、
より好ましくは0.3〜35重量部、特に好ましくは1
〜25重量部の範囲である。
【0036】本発明の有害生物防除剤、前記(A)成分
及び(B)成分及び必要に応じて(C)成分に加えて、
本発明の目的が損なわれない範囲でさらに他の添加剤を
添加することができる。
【0037】他の添加剤としては、例えば、大豆粒、小
麦粉等の植物性粉末;シリカ、珪藻土、燐灰石、石こ
う、タルク、ベントナイト、パイロフィライト、クレイ
等の鉱物性微粉末;安息香酸ソーダ、尿素、芒硝等の有
機及び無機化合物;ケロシン、キシレン及びソルベント
ナフサ等の石油留分;シクロヘキサン、シクロヘキサノ
ン、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、ア
ルコール、アセトン、メチルイソブチルケトン、鉱物
油、植物油、水等の溶剤;界面活性剤等が挙げられる。
【0038】界面活性剤としては、特に限定はないが、
例えば、ポリオキシエチレンが付加したアルキルエーテ
ル、ポリオキシエチレンが付加した高級脂肪酸エステ
ル、ポリオキシエチレンが付加したソルビタン高級脂肪
酸エステル、ポリオキシエチレンが付加したトリスチリ
ルフェニルエーテル等の非イオン性界面活性剤、ポリオ
キシエチレンが付加したアルキルフェニルエーテルの硫
酸エステル塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、ポリ
カルボン酸塩、リグニンスルホン酸塩、アルキルナフタ
レンスルホン酸塩のホルムアルデヒド縮合物、イソブチ
レン-無水マレイン酸の共重合体等を使用することがで
きる。
【0039】本発明の有害生物防除剤の調製方法として
は特に制限はなく、例えば、所定量の(A)成分、
(B)成分、必要に応じて(C)成分、及び必要に応じ
て用いられる各種添加成分を、適当量の水の存在下に、
公知の混合機を用いて十分に均質に混合することにより
調製する方法が挙げられる。
【0040】このようにして得られる本発明の有害生物
防除剤は、種々の植物病害及び植物害虫の防除(予防及
び/又は治療)に用いられる。植物病害としては、例え
ば、うどん粉病、すす病、胴枯れ性病、菌核病、紋羽
病、すす点病、ネコブ病、赤星病、もち病、さび病、斑
点病、灰色かび病、炭疽病、紫斑病、べと病、根黒斑
病、灰色腐敗病、根腐れ病、褐斑病、帯化症病、天狗巣
病、根瘤線虫病、球根腐敗病、軟腐病、萎ちょう病、根
頭癌腫病、モザイク病、黄化病、萎縮病、萎黄病、等が
挙げられる。
【0041】有害虫としては、例えば、ハスモンヨト
ウ、ヨトウガ、タマナヤガ、アオムシ、タマナギンウワ
バ、コナガ、チャノコカクモンハマキ、チャハマキ、モ
モシンクイガ、ナシヒメシンクイ、ミカンハモグリガ、
チャノホソガ、キンモンホソガ、マイマイガ、チャドク
ガ、ニカメイガ、コブノメイガ、ヨーロピアンコーンボ
ーラー、アメリカシロヒトリ、スジマダラメイガ、ヘリ
オティス属、ヘリコベルパ属、アグロティス属、イガ、
コドリンガ、ワタアカミムシ等の鱗翅目害虫;
【0042】モモアカアブラムシ、ワタアブラムシ、ニ
セダイコンアブラムシ、ムギクビレアブラムシ、ホソヘ
リカメムシ、アオクサカメムシ、ヤノネカイガラムシ、
クワコナカイガラムシ、オンシツコナジラミ、タバココ
ナジラミ、ナシキジラミ、ナシグンバイムシ、トビイロ
ウンカ、ヒメトビウンカ、セジロウンカ、ツマグロヨコ
バイ等の半翅目害虫;
【0043】キスジノミハムシ、ウリハムシ、コロラド
ハムシ、イネミズゾウムシ、コクゾウムシ、アズキゾウ
ムシ、マメコガネ、ヒメコガネ、ジアブロティカ属、タ
バコシバンムシ、ヒラタキクイムシ、マツノマダラカミ
キリ、ゴマダラカミキリ、アグリオティス属、ニジュウ
ヤホシテントウ、コクヌスト、ワタミゾウムシ等の鞘翅
目害虫;
【0044】イエバエ、オオクロバエ、センチニクバ
エ、ウリミバエ、ミカンコミバエ、タネバエ、イネハモ
グリバエ、キイロショウジョウバエ、サシバエ、コガタ
アカイエカ、ネッタイシマカ、シナハマダラカ等の双翅
目害虫;総翅目害虫、例えば、ミナミキイロアザミウ
マ、チャノキイロアザミウマ等、イエヒメアリ、キイロ
スズメバチ、カブラハバチ等の膜翅目害虫;
【0045】トノサマバッタ、チャバネゴキブリ、ワモ
ンゴキブリ、クロゴキブリ等の直翅目害虫;イエシロア
リ、ヤマトシロアリ等の等翅目害虫;ナミハダニ、ニセ
ナミハダニ、カンザワハダニ、ミカンハダニ、リンゴハ
ダニ、ミカンサビダニ、リンゴサビダニ、チャノホコリ
ダニ、ブレビパルパス属、エオテトラニカス属、ロビン
ネダニ、ケナガコナダニ、コナヒョウヒダニ、オウシマ
ダニ、フタトゲチマダニ等のダニ類;
【0046】サツマイモネコブセンチュウ、ネグサレセ
ンチュウ、ダイズシストセンチュウ、イネシンガレセン
チュウ、マツノザイセンチュウ等の植物寄生性線虫類;
が挙げられる。
【0047】これらの中でも、本発明の防除剤は、Va
lsa属やDiaporthe属等の腐らん病菌あるい
は胴枯病菌に感染し、腐らん病や胴枯病等の胴枯れ性病
の症状を示している植物の治療及びその感染予防に特に
好ましく用いられる。
【0048】胴枯性病は、その病斑部分の形態が幹辺材
腐れの様相を呈し、主に幹の靭皮部、辺材柔細胞そして
形成層等が侵害される病気である。病原菌の植物体への
進入原因としては、凍害・寒害による損傷、枯枝、樹体
の衰弱、芽かき痕及び不適当な剪定等が挙げられる。一
般に、胴枯性病による植物の材質腐朽は、根株心腐れ、
幹心腐れ、幹辺材腐れの3タイプに分かれる。根株心腐
れでは、腐朽菌が根系の傷口から進入して根株の心材を
腐らせる。また、幹心腐れでは、腐朽菌が傷口又は枯枝
から幹に侵入して心材を腐らせる。更に、幹辺材腐れで
は、腐朽菌が枯枝や傷口から進入して辺材部を腐らせ
る。
【0049】かかる胴枯性病としては、例えば、Val
sa ceratosperma(Tode ex F
r.)Maire(リンゴ腐らん病菌、ナシ腐らん病
菌)、Valsa paulowniae Miyab
e et Hemmi(キリ腐らん病菌)、Diapo
rthe nomurai Hara(クワ胴枯病
菌)、Diaporthe ambigua(Sac
c.)Nits(セイヨウナシ胴枯病菌)、Valsa
abietis Fr.(スギ胴枯病菌)、Diap
orthe aucubae(Sacc)(アオキ胴枯
病菌)、Endothia parasitica(M
urrill)PJ et H.W.Anderson
(クリ胴枯病菌)、Valsa friesii(Du
by)Fuckel(ハイイヌガヤ胴枯病菌)等の子の
う菌とそれらの不完全世代である不完全菌等により引き
起こされる病害が挙げられる。
【0050】本発明の防除剤が防除対象とする植物とし
ては、有害生物の防除が必要な植物であれば特に制限さ
れない。例えば、リンゴ、ナシ、セイヨウナシ、モモ、
オウトウ、イクイフルーツ、ビワ、カキ、ウメ、ブド
ウ、イチジク、キリ、クリ、サンゴジュ、ホオノキ、ト
チノキ、イヌガヤ、ナラ、クヌギ、モッコク、カシ、カ
エデ、ヤナギ、アオキ、プラタナス、サクラ、ポプラ、
アカマツ、ヒマラヤスギ、ツバキ、サザンカ、ナンテ
ン、サルスベリ、かんきつ類、アセビ、ボケ等の果樹、
観葉植物、一般樹木類;ニンニク、ダイコン、キャベ
ツ、ウリ類、ハクサイ、ナス、ジャガイモ、トマト、ニ
ンジン、ネギ、タマネギ、ダイコン、カボチャ、キュウ
リ、メロン、レタス、スイカ、ピーマン、オクラ、イチ
ゴ、アスパラガス、ニラ、セリ、ヤマノイモ、サトイモ
等の野菜類;、カンショ、バレイショ、インゲンマメ、
ラッカセイ、エンドウマメ、ダイズ、アズキ、イネ、麦
類、トウモロコシ、キビ等の食用作物;チャ、タバコ、
テンサイ、クワ、食用ユリ等の特殊作物;バラ、シクラ
メン、ユリ、キク、サクラソウ、チーリップ、リンドウ
等の花類;等が挙げられる。
【0051】これらの中でも、本発明の防除剤が特に胴
枯れ性病に対して防除効果が優れることから、胴枯れ性
病の防除が必要である植物を対象とするのが好ましい。
かかる植物としては、例えば、リンゴ、セイヨウナシ、
クワ、キリ、ナシ等が挙げられる。
【0052】本発明の有害生物防除剤を用いて有害生物
を防除する方法としては、所望の防除効果が得られるの
であれば特に制約されず、例えば、植物の病巣患部に本
発明の防除剤を塗布する方法や本発明の防除剤を植物に
散布する方法等が挙げられる。
【0053】前者の方法は、植物の植物病害病を治療す
る方法として有効である。この方法は、具体的には、
1)病斑部において病巣患部の樹皮の削り取りを行わず
に、病斑部分に本発明の防除剤を塗布する、2)病斑部
における重症部分の樹皮のみを削り取り、然る後に病斑
部全体に本発明の防除剤を塗布する、又は、3)病巣患
部の樹皮を完全に削り取り、然る後に本発明の防除剤を
塗布すること等により行なわれる。また、この方法を実
施する場合には、必要に応じて、塗布量を増加したり、
塗布処理を数回繰り返すと、本発明の防除剤の治癒効果
を更に確実なものとすることができる。
【0054】また、前者の方法の場合、前記(A)成分
及び(B)成分を含む混合物に植物病原菌に効果のある
殺菌剤を、例えば、該混合物:殺菌剤の重量比で1:1
0〜10:1、好ましくは1:5〜5:1、更に好まし
くは1:3〜3:1の割合で混合して得られる有害生物
防除剤を使用すると、殺菌剤が病原菌の菌糸や胞子に作
用し、病原菌の活動を効果的に抑制すると同時に炭素質
やバインダー成分が樹体の治癒組織形成を促進するの
で、植物病害のより優れた治療効果を得ることができ
る。
【0055】前者の方法は、特に樹木の胴枯性病を治療
する方法として好適である。本発明の防除剤を胴枯性病
の病巣患部及びその周辺に施した場合、太陽光を遮断す
ると共に太陽熱を吸収して植物体温度上昇をもたらし、
特に低温を好む胴枯性病原菌の生育を抑制する作用を有
している。前述したように、多大な時間と労力が必要で
はあるが、比較的良好な治療効果が得られる胴枯性病の
治療法の一つに泥巻法がある。その作用機作は泥土中の
種々なる微生物の胴枯性病病原菌に対する拮抗作用と樹
体側の治癒組織形成に対する最適な環境形成作用である
と考えられている。本発明の防除剤の作用機構として、
後者の作用と類似の作用が推測される。すなわち、植物
体の治癒組織形成に影響する要因として湿度、光、酸
素、炭水化物、酵素等が考えられるが、本発明の防除剤
を病巣患部及びその周辺に塗布することにより、病巣患
部の周辺部位において治癒組織形成条件の最適化が行わ
れ、これにより速やかに治癒組織が形成され、病巣患部
が治癒の方向に向かう。
【0056】本発明の防除剤による具体的な病斑治癒効
果として次の5点が挙げられる。 1)本発明で用いる黒色混合物自体が腐らん病や胴枯病
といった胴枯性病の病原菌に対して抗菌効果を有する。 2)本発明の防除剤により病巣患部並びに病巣患部周辺
を覆うことにより当該部位に対する遮光効果を生じ、当
該部位における樹木組織中のオーキシンの光分解を抑制
することができ、オーキシンの持つカルス形成促進作用
の低下を防止できる。従って、本発明の胴枯性病治癒は
治癒組織であるカルス形成を相対的に促進する効果を有
する。
【0057】3)リンゴ腐らん病の病害の一因としてリ
ンゴ樹体中のフロリジンがリンゴ腐らん病菌により分解
され、分解産物として生じたプロトカテク酸やp−ヒド
ロキシ安息香酸等が樹体に毒性を示し、ネクロシスを引
き起こすことが報告されているが、本発明の防除剤中の
炭素質成分やバインダー成分等の繊維成分はこれらの樹
体に毒性を示す物質を吸着することにより、これらの毒
性物質を樹木の生体系外に排出する作用を有する。すな
わち、本発明の防除剤を病巣患部に施すことにより、リ
ンゴのネクロシスの原因となる物質が生体系から取り除
かれ、病害を防止又は軽減することができる。
【0058】4)植物体が腐らん病菌等の胴枯性病菌に
攻撃された時に、生理的な対抗措置として治癒組織が形
成されるが、この際には炭水化物の供給が必要である。
しかしながら、胴枯性病菌の樹体侵入初期において、樹
体中の貯蔵炭水化物は侵入してきた病原菌により消費さ
れてしまう。従って、この場合、治癒組織の形成も抑制
されてしまい、病斑の拡大を許してしまう。本発明で用
いる防除剤中の炭水化物は樹体中に供給され、治癒組織
の形成を安定化させる。すなわち、本発明の防除剤を病
巣患部に施すことにより、カルス等の治癒組織形成を安
定化させ、病斑の拡大を抑止又は軽減できる。 5)さらに、本発明の防除剤を病巣患部に塗布又は散布
することにより、生じた塗膜が病巣患部環境の湿度を上
昇させ、上記の遮光効果、炭水化物供給効果等と相俟っ
て、病巣患部周辺部位における治癒組織形成ための最適
環境を創造できる。
【0059】後者の方法は、果樹等の植物病害や有害虫
の発生を予防する方法として好適である。この場合、本
発明の防除剤と他の農園芸用殺菌剤及び/又は農園芸用
殺虫剤とを混合し、所定量の水で希釈して散布液を調製
し、該散布液を散布する。本発明の防除剤を植物に散布
することにより、植物病害の発生及び有害虫の発生等を
予防する効果を得ることができる。
【0060】また、本発明の防除剤に含まれる(A)成
分の黒色粉末は、薬効持続効果を奏するため、農薬の散
布回数を大幅に削減することができる。例えば、リンゴ
等の果樹栽培においては,従来10回以上の農薬散布が
行なわれていたが、本発明の防除剤を使用することによ
り、5回程度の農薬の散布にて十分な有害生物の防除効
果を得ることができる。
【0061】
【実施例】次に、本発明を実施例によりさらに詳細に説
明するが、本発明は、以下の実施例によって何ら限定さ
れるものではない。
【0062】製造例1(液状活性炭の製造) 活性炭粉末(商品名:太閤S、二村化学工業(株)製)
10重量部、可溶性でんぷん(商品名:OSK−03
α、日澱化学(株)製)10重量部、及び水80重量部
を混合し、サンドミルで活性炭の平均粒径が5μm以下
になるまで分散処理して、液状活性炭を製造した。
【0063】製造例2(液状カーボンの製造) カーボンブラック(商品名:MA−100、三菱化学
(株)製)10重量部、βナフタリンスルホン酸ホルマ
リン縮合物のナトリウム塩(商品名:デモールN,花王
(株)製)2重量部、及び水38重量部を混合し、サン
ドミルでカーボンブラックの平均粒径が2μm以下にな
るまで分散処理して、カーボンの水分散体Aを作成し
た。
【0064】次いで、前記可溶性でんぷん(商品名:O
SK−03α、日澱化学(株)製)10重量部を水40
重量部に溶解して、上記カーボンの水分散体A50重量
部に加えて攪拌し、液状カーボンを製造した。
【0065】実施例1 製造例1で得られた液状活性炭をパールコアポテトデキ
ストロース寒天培地(E−MF21、栄研化学(株)
製)中に添加し、この培地を直径9cmのシャーレに分
注し、プレートを作った。このプレートの中央に、一白
金耳量のリンゴ腐らん病菌(Valsa cerato
sperma(Tode ex Fr.)Maire)
の菌糸を植え付け、24℃で培養した。成長したコロニ
ーの直径を経時的に測定し、液状活性炭の腐らん病菌に
対する生育抑制効果を調べた。第1表にこの結果を示
す。
【0066】
【表1】
【0067】第1表に示す結果から明らかなように、液
状活性炭はリンゴ腐らん病菌に対して抗菌効果を有する
ことがわかった。
【0068】実施例2 腐らん病の病状を呈するリンゴ樹の病巣患部から樹皮の
一部(0.1g)を採取し、試験管(直径:17mm、
長さ:180mm)中の10mlの滅菌水に懸濁させ
た。この上澄み液から平板希釈法を用いて、リンゴ樹病
巣由来の黴a〜黴dまでの4株の黴を分離した。この4
株のパールコアポテトデキストロース寒天培地スラント
上におけるコロニーの形状と色調、及び顕微鏡観察によ
る菌糸の形状はリンゴ腐らん病菌(Valsa cer
atosperma(Tode ex Fr.)Mai
re)と同様であった。
【0069】次いで、製造例2で得られた液状カーボン
をパールコアポテトデキストロース寒天培地(栄研化学
(株)製、E−MF21)中に1.0%の濃度になるよ
うに添加し、この培地を直径9cmのシャーレに分注
し、プレートを作った。このプレートの中央に、一白金
耳量の上記リンゴ樹病巣から分離した黴a〜黴dの4株
の菌糸をそれぞれ植え付け、24℃で培養した。成長し
たコロニーの直径を経時的に測定し、液状カーボンのリ
ンゴ樹分離菌株に対する生育抑制効果を調べた。結果を
第2表に示す。
【0070】
【表2】
【0071】第2表に示す結果から明らかなように、液
状カーボンは腐らん病リンゴ樹由来分離菌株に対して抗
菌効果を有することがわかった。
【0072】実施例3、比較例1 老木の「ふじ」りんご樹の主幹にできた腐らん病の病斑
部分を削り取り、更に周辺の健全部も数センチにわたり
薄く削って病斑部分を中心に樹皮の削除を行った。一
方、チオファネートメチルペースト剤(日本曹達(株)
製、商品名:トップジンMオイルペースト)50重量部
に、参考例1で得られた液状活性炭50重量部を加え、
均一になるまで攪拌して黒色のペースト状の胴枯性病防
除剤を調製した。
【0073】次いで、樹皮を削除した部分に上記で得ら
れた胴枯性病防除剤をハケ塗りして、黒い塗膜で完全に
被覆した。また、比較のため、上記の樹皮を削除した部
分にチオファネートメチルペースト剤(商品名:トップ
ジンMオイルペースト、日本曹達(株)製)原液をハケ
塗りして、完全に被覆した(比較例1)。2ヶ月後、両
者の塗布部分におけるカルスの形成状況を観察した。
【0074】本実施例の胴枯性病防除剤を使用した場合
には、塗布部分にはカルスの形成が認められ、殺菌剤の
みに比べてカルスの形成が極めて良好であった。一方、
比較例1の場合(殺菌剤のみの場合)には、塗布膜は殆
ど脱落し、カルスの形成が一部に認められたが、満足で
きるものではなかった。本実施例の胴枯性病防除剤は、
顕著なカルス形成効果を示し、十分なリンゴ腐らん病治
癒効果を有することがわかった。
【0075】実施例4、比較例2 実施例3と同様にして「ふじ」りんご樹の主幹にできた
腐らん病の病斑部分を削除した。一方、チオファネート
メチル(商品名:トップジンM水和剤、日本曹達(株)
製)10重量部を参考例2で得られた液状カーボン90
重量部に加え、均一になるまで攪拌して黒色のペースト
状の胴枯性病防除剤を調製した。次いで、樹皮を削除し
た部分に上記で得られた胴枯性病防除剤をハケ塗りし
て、黒い塗膜で完全に被覆し、2ヶ月後、トップジンM
水和剤の10倍希釈液をその樹皮削除部分に塗布したリ
ンゴ樹(比較例2)と比較した。
【0076】本実施例の胴枯性病防除剤を使用した場合
には、塗布部全体にカルスの形成が認められたが、比較
例2(殺菌剤のみの場合)には、カルスの形成は殆ど認
められなかった。本実施例の胴枯性病防除剤は、顕著な
カルス形成効果を示し、十分なリンゴ腐らん病治癒効果
を有することがわかった。
【0077】実施例5 成木の「ふじ」リンゴ樹の枝の剪定痕、新梢の先枯れ部
等の枝腐らん予防と、カイガラ虫やアブラ虫等の防除に
参考例1で得られた液状活性炭と、第3表に示す農薬活
性成分(市販農薬製剤A〜M)の1,000倍希釈品
を、第3表に示す配合量で混合して、黒色の散布用の防
除剤をそれぞれ調製した。この散布用防除剤を、芽出し
初期、開花直前、落花15日後、7月上旬の5回にわた
り、動力噴霧器で1,000リットル散布した。その結
果、5回の散布で枝に腐らん病が発生するのを防止する
ことができ、同時にカイガラ虫やアブラ虫等の発生も殆
どみられなかった。
【0078】散布液の散布時期、組成、使用量、希釈倍
率及び散布量を第3表にまとめて示す。なお、第3表中
の略号は以下の意味を表す。 農薬A:イミノクタジン酢酸塩溶剤(商品名:ベフラン
溶剤、クミアイ化学(株)製、殺菌剤) 農薬B:マシン油乳剤(商品名:トモノールS,トモノ
アグリカ(株)製、殺虫・殺ダニ剤) 農薬C:チオファネートメチル水和剤(商品名:トップ
ジンM、日本曹達(株)製、殺菌剤) 農薬D:ジフェノコナゾール・マンゼブ水和剤(商品
名:スコアMZ、ノバルティスアグロ(株)製、殺菌
剤) 農薬E:BT顆粒水和剤(商品名:ファイブスター、ア
グロカネショウ(株)製、殺虫剤) 農薬F:ジウラム・チウラム・フェナリモル水和剤(商
品名:スペックス、日産化学(株)製、殺菌剤) 農薬G:DMTP水和剤(商品名:スプラサイト、ノバ
ルテキスアグロ(株)製、殺虫剤) 農薬H:炭酸カルシウム水和剤(商品名:クレフノン、
白石カルシウム(株)製) 農薬I:有機胴水和剤(商品名:オキシンドー80、ト
モノアグリカ(株)製、殺菌剤) 農薬J:ピリダフェンチオン水和剤(商品名:オフナッ
ク、三井化学(株)製、殺虫剤) 農薬K:シプロジニル水和剤(商品名:ユニックスZ,
ノバルティスアグロ(株)製、殺菌剤) 農薬L:ダイアジノン水和剤(商品名:ダイアジノン水
和剤、日本農薬(株)製、殺虫剤) 農薬M:アセタミプリド液剤(商品名:モスピラン、日
本曹達(株)製、殺虫剤)
【0079】
【表3】
【0080】比較例3 液状活性炭を添加しない以外は、実施例5と同様の組成
の散布液を調製し、これを近隣の成木「ふじ」リンゴ樹
に実施例5と同時期に、同一散布量を同一回数散布し
た。その結果、枝に腐らん病の発生が見とめられ、しか
もカイガラ虫やアブラ虫の発生も随所に見られ、防除効
果に乏しかった。
【0081】実施例5と比較例3の結果から、液状活性
炭を添加することで薬効が持続したためと考えられる。
従来は、芽だし初期から7月下旬までの期間に、10回
以上の農薬散布を行なわなければ、腐らん病及びカイガ
ラ虫、アブラ虫による被害を予防することができなかっ
たが、実施例5の結果から、液状活性炭を添加すること
で、農薬活性成分の薬効が持続し、農薬の散布回数を大
幅に削減できることが分かった。
【0082】
【発明の効果】以上説明したように本発明によれば、簡
便で使い勝手が良く、しかも高い防除効果を併せ持つ、
安全で確実な植物の防除剤及び有害生物の防除方法が提
供される。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 飯島 義彦 東京都中央区日本橋馬喰町1丁目7番6号 大日精化工業株式会社内 (72)発明者 林 孝三郎 東京都中央区日本橋馬喰町1丁目7番6号 大日精化工業株式会社内 Fターム(参考) 4H011 AA01 AC01 BA04 BA05 BB18 BC19 BC22 DA14 DD03 DH01

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】(A)黒色粉末及び(B)水溶性又は水分
    散性バインダーを含有してなる植物の有害生物防除剤。
  2. 【請求項2】(C)成分として、農薬活性成分をさらに
    含有してなる請求項1に記載の植物の有害生物防除剤。
  3. 【請求項3】前記(B)成分の黒色粉末が、粉末活性
    炭、カーボンブラック又は黒色酸化鉄顔料である請求項
    1又は2に記載の植物の有害生物防除剤。
  4. 【請求項4】植物の胴枯性病防除剤である請求項1〜3
    のいずれかに記載の有害生物防除剤。
  5. 【請求項5】請求項1〜4のいずれかに記載の有害生物
    防除剤を、植物の病巣患部に塗布することを特徴とする
    植物の有害生物防除方法。
  6. 【請求項6】請求項1〜4のいずれかに記載の有害生物
    防除剤を、植物に散布することを特徴とする植物の有害
    生物防除方法。
JP2001340797A 2001-11-06 2001-11-06 植物の有害生物防除剤および有害生物防除方法 Expired - Fee Related JP4177981B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2001340797A JP4177981B2 (ja) 2001-11-06 2001-11-06 植物の有害生物防除剤および有害生物防除方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2001340797A JP4177981B2 (ja) 2001-11-06 2001-11-06 植物の有害生物防除剤および有害生物防除方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2003137703A true JP2003137703A (ja) 2003-05-14
JP4177981B2 JP4177981B2 (ja) 2008-11-05

Family

ID=19154943

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2001340797A Expired - Fee Related JP4177981B2 (ja) 2001-11-06 2001-11-06 植物の有害生物防除剤および有害生物防除方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4177981B2 (ja)

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2007000828A1 (en) * 2005-06-28 2007-01-04 Yasuo Sakakura Oxygen activating material, combustion efficiency improving material, plant growth promoting material, aerobic microorganism activating material, animal growth promoting and activating material, muscle softening material, rust removing and preventing material, and oxygen activating method
JP2007246495A (ja) * 2006-03-20 2007-09-27 Mitsui Chemicals Inc 病害虫防除方法
WO2014148396A1 (ja) * 2013-03-19 2014-09-25 国立大学法人岡山大学 植物保護剤及び植物病害の防除方法
CN114208854A (zh) * 2021-11-30 2022-03-22 郑州郑氏化工产品有限公司 一种柳絮防治剂及其应用

Cited By (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2007000828A1 (en) * 2005-06-28 2007-01-04 Yasuo Sakakura Oxygen activating material, combustion efficiency improving material, plant growth promoting material, aerobic microorganism activating material, animal growth promoting and activating material, muscle softening material, rust removing and preventing material, and oxygen activating method
US8079346B2 (en) 2005-06-28 2011-12-20 Yasuo Sakakura Oxygen activating material, combustion efficiency improving material, plant growth promoting material, aerobic microorganism activating material, animal growth promoting and activating material, muscle softening material, rust removing and preventing material, and oxygen activating method
JP2007246495A (ja) * 2006-03-20 2007-09-27 Mitsui Chemicals Inc 病害虫防除方法
WO2014148396A1 (ja) * 2013-03-19 2014-09-25 国立大学法人岡山大学 植物保護剤及び植物病害の防除方法
JPWO2014148396A1 (ja) * 2013-03-19 2017-02-16 国立大学法人 岡山大学 植物保護剤及び植物病害の防除方法
CN114208854A (zh) * 2021-11-30 2022-03-22 郑州郑氏化工产品有限公司 一种柳絮防治剂及其应用
CN114208854B (zh) * 2021-11-30 2022-12-09 郑州郑氏化工产品有限公司 一种柳絮防治剂及其应用

Also Published As

Publication number Publication date
JP4177981B2 (ja) 2008-11-05

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP7086060B2 (ja) 組成物、植物の成長に有益で又は植物有害生物に対する保護をもたらすための方法及び植物種子
CA2576098C (en) Controlled-release agricultural chemical formulation
CN1331395C (zh) 含γ-氯氟氰菊酯的杀虫混合物
CN100566569C (zh) 协同杀虫混合物
UA119331C2 (uk) Композиції та способи для обробки від шкідників
KR20160030245A (ko) 유용 식물에서 박테리아성 유해 유기체를 방제하기 위한, 숙주 방어 유도인자와 생물학적 방제제를 포함하는 조합물의 용도
TW200800028A (en) Synergistic insecticidal mixtures
US20070224233A1 (en) Controlled-Release Agricultural Chemical Formulation
EA010432B1 (ru) Применение (е)-5-(4-хлорбензилиден)-2,2-диметил-1-(1н-1,2,4-триазол-1-илметил)циклопентанола для борьбы со ржавчиной на растениях сои
JP6212707B2 (ja) 植物へのストレスを軽減する薬剤組成物
JP2014037407A (ja) ストレスに対する抵抗性を植物に付与する方法
CN102325451A (zh) 含有16-酮曲霉酰亚胺的用于控制有害生物的组合物
JP6917754B2 (ja) コート種子
JP4177981B2 (ja) 植物の有害生物防除剤および有害生物防除方法
JPH0649039A (ja) ピリミジン誘導体、除草剤および農園芸用殺菌剤
JP5010204B2 (ja) 植物病害防除用組成物
KR101820010B1 (ko) 살선충 효능을 갖는 신규 엔테로박터 속 hk169균주 및 그의 배양물을 유효성분으로 함유하는 선충 방제제
JP4655302B2 (ja) 根こぶ病防除剤
CN109730068A (zh) (z)-2-氰基-3-氨基-3-苯基丙烯酸酯类化合物抑制禾谷类真菌毒素污染的应用
JP3444633B2 (ja) 土壌病害防除用組成物
JP2008179625A (ja) 農薬粒状組成物および農薬混合製剤
KR100301536B1 (ko) 풋마름병방제용조성물
JPH10101507A (ja) 細菌病害防除用組成物
KR20020067577A (ko) 티아졸릴신나모니트릴 화합물, 및 살충제 및 살비제
KR20230018056A (ko) 해조류 및 제올라이트를 포함하는 해충 방제용 조성물

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20040412

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20070817

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20070829

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20071023

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20080411

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20080609

A911 Transfer of reconsideration by examiner before appeal (zenchi)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A911

Effective date: 20080625

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20080814

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20080825

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110829

Year of fee payment: 3

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120829

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130829

Year of fee payment: 5

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees