JP2014037198A - 空気入りタイヤ - Google Patents

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Abstract

【課題】隣接ゴムとの接着性に優れたインナーライナーを備え、耐空気透過性、耐屈曲亀裂成長性に優れた空気入りタイヤを提供する。
【解決手段】一対のビード部の間に装架されたカーカスプライのタイヤ内側にインナーライナーを備えた空気入りタイヤであって、インナーライナーは、第1ポリマー組成物からなる第1層を有し、第1ポリマー組成物は、スチレン−イソブチレン−スチレントリブロック共重合体100質量部に対して、液状ポリイソプレン、液状ポリイソプレンの無水マレイン酸付加物および液状ポリイソプレンのマレイン酸モノメチルエステル付加物よりなる群から選ばれる少なくともいずれかを0.5質量部以上70質量部以下含む。
【選択図】図1

Description

本発明は、空気入りタイヤに関し、より特定的には、接着性および耐空気透過性に優れたインナーライナーを備えた空気入りタイヤに関する。
インナーライナーは、タイヤの内部に配され、空気入りタイヤ内部から外部への空気の漏れの量(空気内圧低下)を軽減して耐空気透過性を向上させる機能を有している。近年、車の低燃費化に対する強い社会的要請から、タイヤの軽量化が図られており、インナーライナーにおいても、軽量化が行われるようになってきた。
現在、インナーライナー用ゴム組成物は、たとえばブチルゴム70〜100質量%および天然ゴム30〜0質量%を含む、ブチルゴムを主体とするゴム配合(以下、ブチル系ゴムともいう)を使用することで、タイヤの耐空気透過性を向上させることが行われている。また、ブチル系ゴムは、ブチレン以外に約1質量%のイソプレンを含み、これが硫黄・加硫促進剤・亜鉛華と相まって、ゴム分子間の架橋を可能にしている。ブチル系ゴムを用いてインナーライナーを作製した場合、乗用車用タイヤでは0.6〜1.0mm、トラック・バス用タイヤでは1.0〜2.0mm程度の厚みが必要となる。タイヤの軽量化を図るために、ブチル系ゴムより耐空気透過性に優れ、インナーライナー層の厚みをより薄くできるポリマーが要請されている。
タイヤの軽量化を図るために、インナーライナー用の組成物として、ブチル系ゴムにかえて熱可塑性樹脂を含む材料が提案されている。しかし熱可塑性樹脂を含む材料からなるインナーライナーを用いてタイヤを製造すると、加硫工程の圧力でインナーライナーが部分的に薄くなりすぎてしまう。すると、タイヤにおけるインナーライナーの仕上がりゲージが設計より薄くなってしまう。インナーライナーが薄い箇所では、カーカスコードが浮き出て見えるため(オープンスレッド)、ユーザーには外観が悪いという印象を与えてしまう。さらに、インナーライナーが薄いと、部分的に耐空気透過性が悪くなり、タイヤ内圧が低下して、最悪な場合にはタイヤがバーストしてしまうおそれがある。
また、車両の走行中に、インナーライナーのショルダー部近傍に大きなせん断歪みが作用する。熱可塑性樹脂を含むフィルムをインナーライナーに使用した場合、せん断歪みによって、インナーライナーとカーカスプライの接着界面で剥離が発生しやすくなり、タイヤの空気漏れが発生するという問題があった。
インナーライナーの軽量化のため、熱可塑性エラストマーを含む材料を用いる技術も提案されている。しかしブチル系ゴムからなるインナーライナーより厚みが薄く、高い耐空気透過性を示す材料は、インナーライナーに隣接するインスレーションゴムやカーカスプライゴムとの加硫接着力が、ブチル系ゴムからなるインナーライナーよりも劣ることが分かっている。
インナーライナーの加硫接着力が小さいと、インナーライナーとインスレーションゴム、またはカーカスプライゴムの間に空気が混入し、小さな風船のようなものが現れるエアーイン現象が生じる。タイヤの内側に小さな斑模様が多数あることで、ユーザーには外観が悪いという印象を与える。さらに、車両の走行中にエアが起点となりインナーライナーとインスレーションゴム、またはカーカスプライゴムとの剥離が生じ、インナーライナーに亀裂が生じてタイヤ内圧が低下し、最悪な場合はタイヤがバーストしてしまうおそれがある。
特許文献1(特開2007−291256号公報)には、空気圧低下の抑制、耐久性の向上および燃費の向上を同時に実現することが可能な空気入りタイヤとして、天然ゴムおよび/または合成ゴムからなるゴム成分の100質量部に対して、下記の一般式(I)、
Figure 2014037198
(式中、mおよびnはそれぞれ独立して1〜100であり、xは1〜1000である。)で表されるエチレン−ビニルアルコ−ル共重合体が15〜30質量部の範囲内で少なくとも含有されたインナーライナー用ゴム組成物をインナーライナー層に用いてなる空気入りタイヤが提案されている。しかし、特許文献1の技術においては、該ゴム組成物を用いたゴムシートの厚みは1mmであり、タイヤの軽量化という点で改善の余地がある。
特許文献2(特開平9−165469号公報)には、空気透過率の低いナイロンを用いてインナーライナー層を形成し、ゴム組成物であるタイヤ内面またはカーカス層との接着性を向上させることのできる空気入りタイヤが提案されている。しかし、特許文献2の技術においては、ナイロンフィルム層を形成するために、ナイロンフィルムをRFL処理した後、ゴム組成物から成るゴム糊を接着する必要があり、工程が複雑化するという問題がある。
特許文献3(特開2010−13646号公報)には、熱可塑性エラストマーであるSIBSに粘着付与剤として石油樹脂、テルペン樹脂を用いて接着力を向上することが提案されている。しかしSIBSのほかにポリアミド系ポリマーをブレンドしており、耐屈曲亀裂性が低下するという問題がある。
また特許文献4(特開2010−100675号公報)には、SIBSと硫黄架橋可能な重合体のブレンド物に粘着付与剤として、天然ロジン、テルペン、クロマンインデン樹脂、石油樹脂またはアルキルフェノール樹脂などを用いて、カーカスプライゴムの接着性を向上することが提案されている。
しかしSIBSの100重量部に対して硫黄加硫可能な重合体を10〜300重量部ブレンドする技術では、硫黄架橋可能な重合体が100重量部以下の場合、SIBSがマトリックス(海部分)で、硫黄架橋可能な重合体がドメイン構造(島部分)となり、カーカスゴムへの接触界面での接着力が向上しない。また硫黄架橋可能な重合体が100重量部以上の場合、ブチルゴム以外ではガスバリア性が低下し、ブチルゴムでは接着力が低下し、更にはブレンドする重合体によっては、粘着が高くなり厚さ600μm以下のフィルムを作製できないという問題がある。
特許文献5(国際公開第2008/029781号)は、熱可塑性樹脂と熱可塑性エラストマーをブレンドしたフィルム積層体のストリップでタイヤを製造している。積層体にすることで、ガスバリア性、接着性を改善することができ、リボン状のストリップ間の接合を可能にしている。しかし、この技術はフィルム積層体の未加硫生カバーでのゲージは一定であり、ゲージを薄くするとバットレス部などで加硫後のタイヤ仕上がりが薄くなってしまう可能性がある。
特開2007−291256号公報 特開平9−165469号公報 特開2010−13646号公報 特開2010−100675号公報 国際公開第2008/029781号
本発明は、隣接ゴムとの接着性に優れたインナーライナーを備え、耐空気透過性、耐屈曲亀裂成長性に優れた空気入りタイヤを提供することを目的とする。
本発明は、一対のビード部の間に装架されたカーカスプライのタイヤ内側にインナーライナーを備えた空気入りタイヤであって、インナーライナーは、第1ポリマー組成物からなる第1層を有し、第1ポリマー組成物は、スチレン−イソブチレン−スチレントリブロック共重合体100質量部に対して、液状ポリイソプレン、液状ポリイソプレンの無水マレイン酸付加物および液状ポリイソプレンのマレイン酸モノメチルエステル付加物よりなる群から選ばれる少なくともいずれかを0.5質量部以上70質量部以下含む。
本発明は、一対のビード部の間に装架されたカーカスプライのタイヤ内側にインナーライナーを備えた空気入りタイヤであって、インナーライナーは、第1ポリマー組成物からなる第1層および第2ポリマー組成物からなる第2層を有し、第1ポリマー組成物は、スチレン−イソブチレン−スチレントリブロック共重合体100質量部に対して、液状ポリイソプレン、液状ポリイソプレンの無水マレイン酸付加物および液状ポリイソプレンのマレイン酸モノメチルエステル付加物よりなる群から選ばれる少なくともいずれかを0.5質量部以上35質量部以下含み、第2ポリマー組成物は、ポリマー成分中、スチレン−イソブチレン−スチレントリブロック共重合体を10質量%以上80質量%以下含み、第2層は前記カーカスプライと接するように配置される。
本発明の空気入りタイヤにおいて、第2ポリマー組成物は、スチレン−イソプレン−スチレントリブロック共重合体およびスチレン−イソブチレンジブロック共重合体の少なくともいずれかを含むことが好ましい。
本発明の空気入りタイヤにおいて、第1層の厚さは0.05mm以上0.6mm以下であり、第2層の厚さは0.01mm以上0.3mm以下であることが好ましい。
本発明の空気入りタイヤにおいて、液状ポリイソプレンのマレイン酸モノメチルエステル付加物は、1分子中のマレイン酸モノメチルエステルの量が1質量%以上10質量%以下であり、重量平均分子量が5,000以上50,000以下であることが好ましい。
本発明の空気入りタイヤにおいて、液状ポリイソプレンの無水マレイン酸付加物は、1分子中の無水マレイン酸の量が1質量%以上10質量%以下であり、重量平均分子量が5,000以上50,000以下であることが好ましい。
本発明の空気入りタイヤにおいて、スチレン−イソブチレン−スチレントリブロック共重合体は、スチレン成分含有量が10質量%以上30質量%以下であり、重量平均分子量が50,000以上400,000以下であることが好ましい。
本発明の空気入りタイヤにおいて、スチレン−イソプレン−スチレントリブロック共重合体は、スチレン成分含有量が10質量%以上30質量%以下であり、重量平均分子量が100,000以上290,000以下であることが好ましい。
本発明の空気入りタイヤにおいて、スチレン−イソブチレンジブロック共重合体は、直鎖状であり、スチレン成分含有量が10質量%以上35質量%以下であり、重量平均分子量が40,000以上120,000以下であることが好ましい。
本発明によれば、隣接ゴムとの接着性に優れたインナーライナーを備え、耐空気透過性、耐屈曲亀裂成長性に優れた空気入りタイヤを得ることができる。
本発明の一実施の形態における空気入りタイヤの右半分の概略断面図である。 本発明の一実施の形態におけるインナーライナーとカーカスの配置状態を示す概略断面図である。 本発明の一実施の形態におけるインナーライナーとカーカスの配置状態を示す概略断面図である。
[実施の形態1]
<空気入りタイヤの構造>
本発明の一実施の形態における空気入りタイヤの構造を、図1に基づいて説明する。図1は、空気入りタイヤの右半分の概略断面図である。空気入りタイヤ1は、トレッド部2と、該トレッド部両端からトロイド形状を形成するようにサイドウォール部3とビード部4とを有している。さらに、ビード部4にはビードコア5が埋設される。また、一方のビード部4から他方のビード部に亘って設けられ、両端をビードコア5のまわりに巻き返して係止されるカーカスプライ6と、該カーカスプライ6のクラウン部外側には、少なくとも2枚のプライよりなるベルト層7とが配置されている。
前記ベルト層7は、通常、スチールコードまたはアラミド繊維等のコードよりなるプライの2枚をタイヤ周方向に対して、コードが通常5〜30°の角度になるようにプライ間で相互に交差するように配置される。なおベルト層の両端外側には、トッピングゴム層を設け、ベルト層両端の剥離を軽減することができる。またカーカスプライはポリエステル、ナイロン、アラミド等の有機繊維コードがタイヤ周方向にほぼ90°に配列されており、カーカスプライとその折り返し部に囲まれる領域には、ビードコア5の上端からサイドウォール方向に延びるビードエーペックス8が配置される。また前記カーカスプライ6のタイヤ半径方向内側には一方のビード部4から他方のビード部4に亘るインナーライナー9が配置されている。空気入りタイヤ1は、インナーライナー9に、以下に記載するインナーライナーを用いることを特徴とする。
<第1層からなるインナーライナー>
本発明の一実施の形態において、インナーライナーは、第1ポリマー組成物からなる第1層からなる。
(第1層)
第1層に用いられる第1ポリマー組成物は、スチレン−イソブチレン−スチレントリブロック共重合体(以下、「SIBS」ともいう)100質量部に対して、液状ポリイソプレン(以下、「LIR」ともいう)、液状ポリイソプレンのマレイン酸モノメチルエステル付加物(以下、「マレイン酸変性LIR」ともいう)および液状ポリイソプレンの無水マレイン酸付加物(以下、「無水マレイン酸変性LIR」ともいう)よりなる群から選ばれる少なくともいずれかを0.5質量部以上70質量部以下含む。
(スチレン−イソブチレン−スチレントリブロック共重合体)
SIBSのイソブチレンブロック由来により、SIBSを含むポリマー組成物は優れた耐空気透過性を有する。したがって、SIBSを含むポリマー組成物をインナーライナーに用いた場合、耐空気透過性に優れた空気入りタイヤを得ることができる。
さらに、SIBSは芳香族以外の分子構造が完全飽和であることにより、劣化硬化が抑制され、優れた耐久性を有する。したがって、SIBSを含むポリマー組成物をインナーライナーに用いた場合、耐久性に優れた空気入りタイヤを得ることができる。
SIBSを含むポリマー組成物をインナーライナーに適用して空気入りタイヤを製造した場合には、耐空気透過性を確保できる。したがってハロゲン化ブチルゴム等の、従来から耐空気透過性を付与するために使用されてきた高比重のハロゲン化ゴムを使用する必要がなく、使用する場合にも使用量の低減が可能である。これによってタイヤの軽量化が可能であり燃費が向上する。
SIBSの分子量は特に制限はないが、流動性、成形化工程、ゴム弾性などの観点から、GPC測定による重量平均分子量が50,000以上400,000以下であることが好ましい。重量平均分子量が50,000未満であると引張強度、引張伸びが低下するおそれがあり、400,000を超えると流動性、成形性が悪くなるおそれがあるため好ましくない。
SIBSは耐空気透過性と耐久性をより良好にする観点から、SIBS中のスチレン成分の含有量は10質量%以上30質量%以下が好ましく、14質量%以上23質量%以下がさらに好ましい。
該SIBSは、その共重合体において、各ブロックの重合度は、ゴム弾性と取り扱い(重合度が10,000未満では液状になる)の点からイソブチレンでは10,000〜150,000程度、またスチレンでは5,000〜30,000程度であることが好ましい。
該SIBSは、イソブチレン成分とスチレン成分のモル比(イソブチレン成分/スチレン成分)が、該共重合体のゴム弾性の点から40/60〜95/5であることが好ましい。
SIBSは、一般的なビニル系化合物のリビングカチオン重合法により得ることができる。例えば、特開昭62−48704号公報および特開昭64−62308号公報には、イソブチレンと他のビニル化合物とのリビングカチオン重合が可能であり、ビニル化合物にイソブチレンと他の化合物を用いることでポリイソブチレン系のブロック共重合体を製造できることが開示されている。
SIBSは分子内に芳香族以外の二重結合を有していないために、分子内に二重結合を有している重合体、例えばポリブタジエンに比べて紫外線に対する安定性が高く、従って耐候性が良好である。さらに分子内に二重結合を有しておらず、飽和系のゴム状ポリマーであるにも関わらず、波長589nmの光の20℃での屈折率(nD)は、ポリマーハンドブック(1989年:ワイリー(Polymer Handbook, Willy,1989))によると、1.506である。これは他の飽和系のゴム状ポリマー、例えば、エチレン−ブテン共重合体に比べて有意に高い。
(液状ポリイソプレン)
本発明の一実施の形態において、第1ポリマー組成物は液状ポリイソプレンを含むことができる。液状ポリイソプレンは、下記式(II)で表わされる。
Figure 2014037198
液状ポリイソプレンは、加硫接着性に優れているという特性を有する。したがって、SIBSに液状ポリイソプレンを配合することで、隣接ゴム層との加硫接着性に優れたインナーライナー用ポリマー組成物を得ることができる。
液状ポリイソプレンは、加硫後の接着性および流動性の観点から、GPC測定による重量平均分子量が5,000以上50,000以下であることが好ましい。さらに重量平均分子量は、10,000以上40,000以下であることがより好ましい。
第1ポリマー組成物中の液状ポリイソプレンの含有量は、SIBS100質量部に対して、0.5質量部以上70質量部以下である。液状ポリイソプレンの含有量が0.5質量部以上であると、隣接ゴムとの接着性が優れたインナーライナーを得ることができる。また液状ポリイソプレンの含有量が70質量部以下であると、ポリマー組成物中のSIBSの含有量を十分に確保することができるため、優れた耐空気透過性と耐屈曲亀裂性を有するインナーライナーを得ることができる。液状ポリイソプレンの含有量は、SIBS100質量部に対して、2質量部以上45質量部以下がさらに好ましい。
(液状ポリイソプレンのマレイン酸モノメチルエステル付加物)
本発明の一実施の形態において、第1ポリマー組成物は液状ポリイソプレンのマレイン酸モノメチルエステル付加物を含むことができる。マレイン酸変性LIRは、下記式(II)で表わされる。
Figure 2014037198
式(3)中、m、nの比率および数は特に限定されないが、加硫後の接着性および流動性の観点から、たとえばm/n=1〜750、m=20〜750、n=1〜20が好ましい。
マレイン酸変性LIRは、加硫接着性に優れているという特性を有する。したがって、SIBSにマレイン酸変性LIRを配合することで、隣接ゴム層との加硫接着性に優れたインナーライナー用ポリマー組成物を得ることができる。
マレイン酸変性LIRは、加硫後の接着性および流動性の観点から、GPC測定による重量平均分子量が5,000以上50,000以下であることが好ましい。さらに重量平均分子量は、10,000以上40,000以下であることがより好ましい。
第1ポリマー組成物中のマレイン酸変性LIRの含有量は、SIBS100質量部に対して、0.5質量部以上70質量部以下である。マレイン酸変性LIRの含有量が5質量部以上であると、隣接ゴムとの接着性が優れたインナーライナーを得ることができる。またマレイン酸変性LIRの含有量が70質量部以下であると、ポリマー組成物中のSIBSの含有量を十分に確保することができるため、優れた耐空気透過性と耐屈曲亀裂性を有するインナーライナーを得ることができる。マレイン酸変性LIRの含有量は、SIBS100質量部に対して、2質量部以上45質量部以下がさらに好ましい。
(液状ポリイソプレンの無水マレイン酸付加物)
本発明の一実施の形態において、第1ポリマー組成物は液状ポリイソプレンの無水マレイン酸付加物を含むことができる。無水マレイン酸変性LIRは、下記式(IV)で表わされる。
Figure 2014037198
式(4)中、m、nの比率および数は特に限定されないが、加硫後の接着性および流動性の観点から、たとえばm/n=1〜750、m=20〜750、n=1〜20が好ましい。
無水マレイン酸変性LIRは、加硫接着性に優れているという特性を有する。したがって、SIBSに無水マレイン酸変性LIRを配合することで、隣接ゴム層との加硫接着性に優れたインナーライナー用ポリマー組成物を得ることができる。
無水マレイン酸変性LIRは、加硫後の接着性および流動性の観点から、GPC測定による重量平均分子量が5,000以上50,000以下であることが好ましい。さらに重量平均分子量は、10,000以上40,000以下であることがより好ましい。
第1ポリマー組成物中の無水マレイン酸変性LIRの含有量は、SIBS100質量部に対して、0.5質量部以上70質量部以下である。無水マレイン酸変性LIRの含有量が0.5質量部以上であると、隣接ゴムとの接着性が優れたインナーライナーを得ることができる。また無水マレイン酸変性LIRの含有量が70質量部以下であると、ポリマー組成物中のSIBSの含有量を十分に確保することができるため、優れた耐空気透過性と耐屈曲亀裂性を有するインナーライナーを得ることができる。無水マレイン酸変性LIRの含有量は、SIBS100質量部に対して、2質量部以上45質量部以下がさらに好ましい。
なお、本発明の一実施の形態において、第1ポリマー組成物は、液状ポリイソプレン、マレイン酸変性LIRおよび無水マレイン酸変性LIRよりなる群から選ばれる、2種類以上を含有することができる。この場合、液状ポリイソプレン、マレイン酸変性LIRおよび無水マレイン酸変性LIRの合計の含有量は、SIBS100質量部に対して、0.5質量部以上70質量部以下である。
(第1層の厚さ)
第1層の厚さは、0.05mm以上0.6mm以下が好ましい。第1層の厚さが0.05mm未満であると、第1層をインナーライナーに適用した生タイヤの加硫時に、第1層がプレス圧力で破れてしまい、得られたタイヤにおいてエアーリーク現象が生じるおそれがある。一方、第1層の厚さが0.6mmを超えるとタイヤ重量が増加し、低燃費性能が低下する。第1層の厚さは、さらに0.05mm以上0.4mm以下であることが好ましい。
(その他の配合剤)
第1ポリマー組成物には、その他の補強剤、加硫剤、加硫促進剤、各種オイル、老化防止剤、軟化剤、可塑剤、カップリング剤などのタイヤ用または一般のポリマー組成物に配合される各種配合剤および添加剤を配合することができる。また、これらの配合剤、添加剤の含有量も一般的な量とすることができる。
<インナーライナーの製造方法>
第1層からなるインナーライナーは、第1ポリマー組成物の各種配合剤を押出成形またはカレンダー成形などのスチレン系熱可塑性エラストマーをフィルム化する通常の方法によって製造できる。
<空気入りタイヤの製造方法>
本発明の空気入りタイヤは、生タイヤに上記のインナーライナーを適用して他の部材とともに加硫成形することによって製造することができる。
インナーライナーを構成する第1ポリマー組成物は熱可塑性エラストマーを含む組成物であり、加硫温度、例えば150℃〜180℃において、金型中で軟化状態にある。軟化状態とは分子運動性が向上し固体と液体の中間状態を意味する。熱可塑性エラストマー組成物は軟化状態では隣接する部材と粘着、接着しやすい。そのため、熱可塑性エラストマーの形状変化や隣接部材との粘着、融着を防止するために、タイヤの製造の際には、冷却工程を必要とする。冷却工程は、タイヤ加硫後に、10〜300秒間、50〜120℃に急冷し、ブラダー内を冷却する。冷却媒体としては、空気、水蒸気、水およびオイルより選択される1種以上が使用される。かかる冷却工程を採用することで、インナーライナーの厚さを薄くすることができる。
[実施の形態2]
<空気入りタイヤの構造>
本実施の形態における空気入りタイヤは、実施の形態1と同様の構造を有することができる。本実施の形態において、空気入りタイヤに用いられるインナーライナーは、第1ポリマー組成物からなる第1層および第2ポリマー組成物からなる第2層を含む。
<第1層>
第1層は、実施の形態1に記載の第1層と同様のものを用いることができる。
なお、第1ポリマー組成物は、スチレン−イソブチレン−スチレントリブロック共重合体100質量部に対して、液状ポリイソプレン、液状ポリイソプレンの無水マレイン酸付加物および液状ポリイソプレンのマレイン酸モノメチルエステル付加物よりなる群から選ばれる少なくともいずれかを0.5質量部以上35質量部以下含む。LIR、マレイン酸変性LIR、無水マレイン酸変性LIRの含有量が0.5質量部未満であると、第2層との十分な接着性を得ることができない。一方、35質量部を超えると、タイヤの転がり抵抗の低減効果が劣る傾向がある。
<第2層>
第2層に用いられる第2ポリマー組成物は、ポリマー成分中、スチレン−イソブチレン−スチレントリブロック共重合体を10質量%以上80質量%以下含むことが好ましい。
SIBSは、実施の形態1に記載のSIBSと同様のものを用いることができる。
SIBSの第2ポリマー組成物中の含有量は、ポリマー成分中、10質量%以上80質量%が好ましい。SIBSが10質量%より少ないと第1層との接着性が低下し、SIBSが80質量%を超えるとカーカスプライとの接着性が低下する傾向がある。
第2ポリマー組成物は、SIBSとともに、他のスチレン系熱可塑性エラストマーを含むことが好ましい。ここでスチレン系熱可塑性エラストマーとは、ハードセグメントとしてスチレンブロックを含む共重合体をいう。例えば、スチレン−イソプレン−スチレントリブロック共重合体(以下、「SIS」ともいう)、スチレン−イソブチレンジブロック共重合体(以下、「SIB」ともいう)、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体(以下、「SBS」ともいう)、スチレン−エチレン・ブテン−スチレンブロック共重合体(以下、「SEBS」ともいう)、スチレン−エチレン・プロピレン−スチレンブロック共重合体(以下、「SEPS」ともいう)、スチレン−エチレン・エチレン・プロピレン−スチレンブロック共重合体(以下、「SEEPS」ともいう)、スチレン−ブタジエン・ブチレン−スチレンブロック共重合体(以下、「SBBS」ともいう)がある。
また、スチレン系熱可塑性エラストマーは、その分子構造において、エポキシ基を有してもよく、例えば、ダイセル化学工業(株)社製、エポフレンドA1020(重量平均分子量が10万、エポキシ当量が500)のエポキシ変性スチレン−ブタジエン−スチレン共重合体(以下、「エポキシ化SBS」ともいう)を使用できる。
スチレン系熱可塑性エラストマーのうち、スチレン−イソプレン−スチレントリブロック共重合体(SIS)およびスチレン−イソブチレンジブロック共重合体(SIB)を用いることが特に好ましい。
(スチレン−イソプレン−スチレントリブロック共重合体)
SISのイソプレンブロックはソフトセグメントであるため、SISを含むポリマー組成物はゴム成分と加硫接着しやすい。したがって、SISを含むポリマー組成物をインナーライナーに用いた場合、該インナーライナーは、カーカスプライを形成するゴムとの接着性に優れているため、耐久性に優れた空気入りタイヤを得ることができる。
SISの分子量は特に制限はないが、ゴム弾性および成形性の観点から、GPC測定による重量平均分子量が100,000以上290,000以下であることが好ましい。重量平均分子量が100,000未満であると引張強度が低下するおそれがあり、290,000を超えると押出加工性が悪くなるため好ましくない。SIS中のスチレン成分の含有量は、粘着性、接着性およびゴム弾性の観点から10質量%以上30質量%以下が好ましい。
本発明において、SISにおける、各ブロックの重合度は、ゴム弾性と取り扱いの観点からイソプレンでは500〜5,000程度、またスチレンでは50〜1,500程度であることが好ましい。
前記SISは、一般的なビニル系化合物の重合法により得ることができ、例えば、リビングカチオン重合法により得ることができる。
(スチレン−イソブチレンジブロック共重合体)
SIBのイソブチレンブロックはソフトセグメントであるため、SIBを含むポリマー組成物はゴム成分と加硫接着しやすい。したがって、SIBを含むポリマー組成物をインナーライナーに用いた場合、該インナーライナーは、たとえばカーカスやインスレーションを形成する隣接ゴムとの接着性に優れているため、耐久性に優れた空気入りタイヤを得ることができる。
SIBとしては、直鎖状のものを用いることがゴム弾性および接着性の観点から好ましい。SIBの分子量は特に制限はないが、ゴム弾性および成形性の観点から、GPC測定による重量平均分子量が40,000以上120,000以下であることが好ましい。重量平均分子量が40,000未満であると引張強度が低下するおそれがあり、120,000を超えると押出加工性が悪くなるおそれがあるため好ましくない。
SIB中のスチレン成分の含有量は、粘着性、接着性およびゴム弾性の観点から10質量%以上35質量%以下であることが好ましい。
本発明において、SIBにおける、各ブロックの重合度は、ゴム弾性と取り扱いの観点からイソブチレンでは300〜3,000程度、またスチレンでは10〜1,500程度であることが好ましい。
前記SIBは、一般的なビニル系化合物のリビング重合法により得ることができ、例えば、攪拌機にメチルシクロヘキサン、n−ブチルクロライド、クミルクロライドを加え、−70℃に冷却した後、2時間反応させ、その後に大量のメタノールを添加して反応を停止させ、60℃で真空乾燥してSIBを製造できる。
<第2層の厚さ>
第2層の厚さは、0.01mm以上0.3mm以下が好ましい。第2層の厚さが0.01mm未満であると、インナーライナーを配置した生タイヤの加硫時に、第2層がプレス圧力で破れてしまい、加硫接着力が低下するおそれがある。一方、第2層の厚さが0.3mmを超えるとタイヤ重量が増加し低燃費性能が低下する可能性がある。第2層の厚さは、さらに0.05mm以上0.2mm以下であることが好ましい。
<インナーライナーの製造方法>
本実施の形態におけるインナーライナーは、実施の形態1に記載のインナーライナーの製造方法と同様な方法で製造することができる。
<空気入りタイヤの製造方法>
本実施の形態における空気入りタイヤは、実施の形態1に記載の空気入りタイヤの製造方法と同様な方法で製造することができる。なお、インナーライナーを生タイヤに配置する際は、第2層が、カーカスプライ61に接するようにタイヤ半径方向外側に向けて配置する。このように配置すると、タイヤ加硫工程において、第2層とカーカス6との接着強度を高めることができる。得られた空気入りタイヤは、インナーライナーとカーカスプライ61のゴム層とが良好に接着しているため、優れた耐空気透過性および耐久性を有することができる。以下、インナーライナーの空気入りタイヤにおける配置状態を図2および図3を用いて説明する。
図2において、インナーライナーPLは、第1層PL1および第2層PL2から構成される。インナーライナーPLを空気入りタイヤのインナーライナーに適用する場合、第2層PL2がカーカスプライ61に接するようにタイヤ半径方向外側に向けて設置すると、タイヤの加硫工程において、第2層PL2とカーカス61との接着強度を高めることができる。したがって得られた空気入りタイヤは、インナーライナーとカーカスプライ61とが良好に接着しているため、優れた耐空気透過性および耐久性を有することができる。
図3において、インナーライナーPLは、第1層PL1と第2層PL2との間に、第3層PL3として、ウレタンゴム、シリコーンゴムよりなるフィルムを有している。該インナーライナーPLを空気入りタイヤのインナーライナーに適用する場合、第2層PL2の面を、カーカスプライ61に接するようにタイヤ半径方向外側に向けて設置すると、タイヤの加硫工程において、第2層PL2とカーカスプライ61との接着強度を高めることができる。したがってインナーライナーとカーカスプライ61とが良好に接着しているため、優れた耐空気透過性および耐久性を有することができる。
<インナーライナーの作製>
表1に示す配合処方にしたがって、各種配合剤を2軸押出機(スクリュ径:φ50mm、L/D:30、シリンダ温度:220℃)に投入してペレット化した。その後、Tダイ押出機(スクリュ径:φ80mm、L/D:50、ダイリップ幅:500mm、シリンダ温度:220℃、フィルムゲ−ジ:0.3mm)にて未加硫インナーライナー用ポリマーシートを作製した。該ポリマーシートを用いて以下の試験を行った。
<剥離力試験>
JIS K 6256「加硫ゴム及び熱可塑性ゴム−接着性の求め方」に準じて接着力試験を行った。はじめに、厚さ0.3mmの前記ポリマーシートおよび厚さ2mmのゴムシート(配合:NR/BR/SBR=40/30/30)および補強キャンバス生地を、前記の順番で重ねて170℃の条件下で12分間加圧加熱することによって剥離用試験片を作製した。得られた試験片を用いて、剥離試験を行い、インナーライナー用ポリマーシートとゴムシートの接着力を測定した。試験片の大きさは25mm幅で、23℃の室温条件下で行った。以下の計算式により、試料1を基準(100)として各試料の接着力指数を算出した。数値が大きいほど接着性に優れている。
(接着力指数)=(各試料の接着力)/(試料1の接着力)×100
結果を表1に示す。
<JIS−A硬度>
JIS K 6253「加硫ゴム及び熱可塑性ゴムの硬さの求め方」に準じて試験片を作製し、23℃の室温条件下でJIS−A硬度を測定した。結果を表1に示す。
<タイヤの作製>
上記のインナーライナー用ポリマーシートを、図1の構造を有する195/65R15サイズのタイヤのインナーライナー部分に適用して生タイヤを製造し、次に加硫工程において、170℃で20分間プレス加硫を行った。該タイヤを用いて以下の試験を行った。
<静的空気圧低下率試験>
195/65R15スチールラジアルPCタイヤをJIS規格リム15×6JJに組み付け、初期空気圧300Kpaを封入し、90日間室温で放置し、空気圧の低下率を計算した。数値が小さいほど耐空気透過性に優れている。
結果を表1に示す。
<屈曲亀裂成長試験>
JIS K 6260「加硫ゴム及び熱可塑性ゴムのデマッチャ屈曲き裂試験方法」に準じて、試験片を作製し、屈曲亀裂成長試験を行い、70%伸張を100万回繰り返してゴムシートを屈曲させたのち、発生した亀裂の長さを測定した。得られた数値を試料1を基準(100)として、各試料の耐屈曲亀裂成長性を下記式により指数表示した。数値が大きい方が亀裂が成長しにくく、良好といえる。
(耐屈曲亀裂成長性指数)=(各試料の亀裂の長さ)/(試料1の亀裂の長さ)×100
結果を表1に示す。
Figure 2014037198
(注1)IIR:エクソンモービル(株)製の「エクソンクロロブチル1068」
(注2)SIBS:カネカ(株)社製の「シブスタ−SIBSTAR 102T」(ショアA硬度25、スチレン成分含有量25質量%)
(注3)LIR(1):クラレ社製の「LIR−30」(液状ポリイソプレン、重量平均分子量:28000)
(注4)LIR(2):クラレ社製の「LIR−403」(無水マレイン酸変性LIR、重量平均分子量:34000、1分子中の無水マレイン酸の数:3個)
(注5)LIR(3):クラレ社製の「LIR−410」(マレイン酸変性LIR、重量平均分子量:30000、1分子中のマレイン酸モノメチルエステルの数:10個)
(注6)カーボン:東海カーボン(株)製の「シーストV」(N660、N2SA 27m2/g)
<評価結果>
試料3〜5は、SIBSおよびLIRを含むポリマー組成物からなるインナーライナー、およびそれを用いた空気入りタイヤである。ポリマー成分がSIBS100質量%からなる試料2に比べて、耐空気透過性を維持したまま、接着性が向上した。
試料6〜8は、SIBSおよび無水マレイン酸変性LIRを含むポリマー組成物からなるインナーライナー、およびそれを用いた空気入りタイヤである。ポリマー成分がSIBS100質量%からなる試料2に比べて、耐空気透過性を維持したまま、接着性が向上した。
試料9〜11は、SIBSおよびマレイン酸変性LIRを含むポリマー組成物からなるインナーライナー、およびそれを用いた空気入りタイヤである。ポリマー成分がSIBS100質量%からなる試料2に比べて、耐空気透過性を維持したまま、接着性が向上した。
試料2は、ポリマー成分がSIBS100質量%からなるインナーライナー用ポリマー組成物およびそれを用いた空気入りタイヤである。耐空気透過性は優れているが、接着性が悪い。
<インナーライナーの作製>
表2に示す配合処方にしたがって、各種配合剤を2軸押出機(スクリュ径:φ50mm、L/D:30、シリンダ温度:220℃)に投入してペレット化した。その後、Tダイ押出機(スクリュ径:φ80mm、L/D:50、ダイリップ幅:500mm、シリンダ温度:220℃、フィルムゲージ:0.3mm)にて、未加硫インナーライナー用ポリマーシートを作製した。該ポリマーシートを用いて以下の試験を行った。
<接着力試験>
厚さ2mmのゴムシート(配合:NR/BR/SBR=40/30/30)、第2層および第1層のポリマーシートを、前記の順番で重ねて170℃の条件下で20分で加硫し、接着力測定用のサンプルを作製した。引張試験機により剥離力を測定することで加硫接着力とした。下記計算式により、試料29を基準(100)として各試料の加硫接着力を指数で表示した。なお加硫接着力の指数が大きいほど、加硫接着力が高いことを示す。
(接着力指数)=(各試料の接着力)/(試料29の加硫接着力)×100
結果を表2に示す。
<空気入りタイヤの製造>
上記インナーライナー用ポリマーシートを、図1の構造を有する195/65R15サイズのタイヤのインナーライナー部分に適用して生タイヤを製造し、次に加硫工程において、170℃で20分間プレス加硫を行った。そしてタイヤを加硫金型から取り出すことなく、100℃で3分間冷却した後、加硫金型から取り出した。冷却媒体としては水を使用した。かかる冷却工程を採用することで、0.3mmの薄いインナーライナーを有する空気入りタイヤを製造することができた。
得られたタイヤを用いて、以下の試験を行った。
<屈曲亀裂成長試験>
屈曲亀裂成長試験は、インナーライナーが割れたり剥がれたりするかどうかで評価した。タイヤをJIS規格リム15×6JJに組み付け、タイヤ内圧を通常よりも低内圧の150KPaに設定し、荷重600kg、速度100km/h、走行距離20,000kmでタイヤの内部を観察し、亀裂、剥離の数を測定した。試料29を基準として、各試料の耐屈曲亀裂成長性を指数で表示した。指数の値が大きいほど、亀裂が生じにくく、良好といえる。
(耐屈曲亀裂成長性指数)=(試料29の亀裂の数)/(各試料の亀裂の数)×100
<転がり抵抗試験>
(株)神戸製鋼所製の転がり抵抗試験機を用いて、試作タイヤをJIS規格リム15×6JJに組み付け、荷重3.4kN、空気圧230kPa、速度80km/hの条件で、室温(30℃)にて走行させて転がり抵抗を測定した。そして、下記の計算式に基づき試料29を基準100として、各試料の転がり抵抗変化率(%)を指数で表示した。転がり抵抗変化率が大きいほど、転がり抵抗が低減されていることを示す。
転がり抵抗変化率=(試料29の転がり抵抗/各試料の転がり抵抗)×100
<静的空気圧低下率試験>
195/65R15スチールラジアルPCタイヤをJIS規格リム15×6JJに組み付け、初期空気圧300kPaを封入し、90日間室温で放置し、空気圧の低下率を計算した。数値が小さいほど空気圧が減りにくい。
結果を表2に示す。
Figure 2014037198
(注2)SIBS:カネカ(株)社製の「シブスタ−SIBSTAR 102T」(ショアA硬度25、スチレン成分含有量25質量%、重量平均分子量:100,000)
(注3)LIR(1):クラレ社製の「LIR−30」(液状ポリイソプレン、重量平均分子量:28000)
(注4)LIR(2):クラレ社製の「LIR−403」(無水マレイン酸変性LIR、重量平均分子量:34000、1分子中の無水マレイン酸の数:3個)
(注5)LIR(3):クラレ社製の「LIR−410」(マレイン酸変性LIR、重量平均分子量:30000、1分子中のマレイン酸モノメチルエステルの数:10個)
(注7)SIS: クレイトンポリマー社製の「D1161JP」(スチレン成分含有量15質量%、重量平均分子量:150,000)
(注8)SIB:以下の製造方法にしたがって、製造した。
攪拌機付き2L反応容器に、メチルシクロヘキサン(モレキュラーシーブスで乾燥したもの)589mL、n−ブチルクロライド(モレキュラーシーブスで乾燥したもの)613ml、クミルクロライド0.550gを加えた。反応容器を−70℃に冷却した後、α−ピコリン(2−メチルピリジン)0.35mL、イソブチレン179mLを添加した。さらに四塩化チタン9.4mLを加えて重合を開始し、−70℃で溶液を攪拌しながら2.0時間反応させた。次に反応容器にスチレン59mLを添加し、さらに60分間反応を続けた後、大量のメタノールを添加して反応を停止させた。反応溶液から溶剤などを除去した後に、重合体をトルエンに溶解して2回水洗した。このトルエン溶液をメタノール混合物に加えて重合体を沈殿させ、得られた重合体を60℃で24時間乾燥することによりスチレン−イソブチレンジブロック共重合体を得た(スチレン成分含有量:15質量%、重量平均分子量:70,000)。
<評価結果>
各試料を、第1層がSIBSのみからなり、第2層がSIS20質量%およびSIBS80質量%からなる試料29と比べて評価した。
試料12〜15、試料22、23は、試料29と同等の耐空気透過性を維持したまま、インナーライナーの接着力、および空気入りタイヤの耐屈曲亀裂成長性、転がり抵抗および耐空気透過性が優れていた。
試料16、20は、すべての項目において、試料29と同等の性能を有していた。
試料17、21、24は、第1ポリマー組成物中のLIR、無水マレイン酸変性LIR、またはマレイン酸変性LIRの含有量が、SIBS100質量部に対して40質量部である。試料29に比べて、転がり抵抗が増加した。
試料18、19は、第2層がSIBSを含まない。試料29に比べて、接着力、耐屈曲亀裂成長性、転がり抵抗および耐空気透過性が劣っていた。
試料25〜28は、第1層がLIR、無水マレイン酸変性LIR、マレイン酸変性LIRのいずれも含んでいない。試料29に比べて、接着力、耐屈曲亀裂成長性が劣っていた。
試料30は試料29と同等の効果を有していた。
本発明の空気入りタイヤは、乗用車用空気入りタイヤ、トラック・バス用タイヤ、軽トラック用タイヤ、更に重車両用空気入りタイヤに適用できる。
1 空気入りタイヤ、2 トレッド部、3 サイドウォール部、4 ビード部、5 ビードコア、6 カーカスプライ、7 ベルト層、8 ビードエーペックス、9,PL インナーライナー、PL1 第1層、PL2 第2層、PL3 第3層。

Claims (9)

  1. 一対のビード部の間に装架されたカーカスプライのタイヤ内側にインナーライナーを備えた空気入りタイヤであって、
    前記インナーライナーは、第1ポリマー組成物からなる第1層を有し、
    前記第1ポリマー組成物は、スチレン−イソブチレン−スチレントリブロック共重合体100質量部に対して、液状ポリイソプレン、液状ポリイソプレンの無水マレイン酸付加物および液状ポリイソプレンのマレイン酸モノメチルエステル付加物よりなる群から選ばれる少なくともいずれかを0.5質量部以上70質量部以下含む、空気入りタイヤ。
  2. 一対のビード部の間に装架されたカーカスプライのタイヤ内側にインナーライナーを備えた空気入りタイヤであって、
    前記インナーライナーは、第1ポリマー組成物からなる第1層および第2ポリマー組成物からなる第2層を有し、
    前記第1ポリマー組成物は、スチレン−イソブチレン−スチレントリブロック共重合体100質量部に対して、液状ポリイソプレン、液状ポリイソプレンの無水マレイン酸付加物および液状ポリイソプレンのマレイン酸モノメチルエステル付加物よりなる群から選ばれる少なくともいずれかを0.5質量部以上35質量部以下含み、
    前記第2ポリマー組成物は、ポリマー成分中、スチレン−イソブチレン−スチレントリブロック共重合体を10質量%以上80質量%以下含み、
    前記第2層は前記カーカスプライと接するように配置される、空気入りタイヤ。
  3. 前記第2ポリマー組成物は、スチレン−イソプレン−スチレントリブロック共重合体およびスチレン−イソブチレンジブロック共重合体の少なくともいずれかを含む、請求項2に記載の空気入りタイヤ。
  4. 前記第1層の厚さは0.05mm以上0.6mm以下であり、前記第2層の厚さは0.01mm以上0.3mm以下である、請求項2または3に記載の空気入りタイヤ。
  5. 前記液状ポリイソプレンのマレイン酸モノメチルエステル付加物は、1分子中のマレイン酸モノメチルエステルの数が1個以上20個以下であり、重量平均分子量が5,000以上50,000以下である、請求項1〜4のいずれかに記載の空気入りタイヤ。
  6. 前記液状ポリイソプレンの無水マレイン酸付加物は、1分子中の無水マレイン酸の数が1個以上20個以下であり、重量平均分子量が5,000以上50,000以下である、請求項1〜5のいずれかに記載の空気入りタイヤ。
  7. 前記スチレン−イソブチレン−スチレントリブロック共重合体は、スチレン成分含有量が10質量%以上30質量%以下であり、重量平均分子量が50,000以上400,000以下である、請求項1〜6のいずれかに記載の空気入りタイヤ。
  8. 前記スチレン−イソプレン−スチレントリブロック共重合体は、スチレン成分含有量が10質量%以上30質量%以下であり、重量平均分子量が100,000以上290,000以下である、請求項3〜7のいずれかに記載の空気入りタイヤ。
  9. 前記スチレン−イソブチレンジブロック共重合体は、直鎖状であり、スチレン成分含有量が10質量%以上35質量%以下であり、重量平均分子量が40,000以上120,000以下である、請求項3〜8のいずれかに記載の空気入りタイヤ。
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