JP5763388B2 - 空気入りタイヤ - Google Patents
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イの2枚をタイヤ周方向に対して、コードがタイヤ周方向に通常5〜30°の角度になるようにプライ間で相互に交差するように配置される。なおベルト層の両端外側には、トッピングゴム層を設け、ベルト層両端の剥離を軽減することができる。またカーカスプライはポリエステル、ナイロン、アラミド等の有機繊維コードまたはスチールなどの金属コードがタイヤ周方向にほぼ90°に配列されており、カーカスプライとその折り返し部に囲まれる領域には、ビードコア5の上端からサイドウォール方向に延びるビードエーペックス8が配置される。また前記カーカスプライ6のタイヤ半径方向内側には一方のビード部4から他方のビード部4に亘るインナーライナー9が配置されている。
タイヤ子午断面において、前記カーカスプライとインナーライナーの境界線に対してトレッド部の接地端Teからタイヤ内径方向に法線Lを引き前記境界線との交点をショルダー位置Peと定義する。ここでトレッド部の接地端Teは、トレッド部の外側輪郭線を延長した線と、ショルダー部の外側輪郭線を延長した交点として定義される。
カーカスプライとインナーライナーの境界線とタイヤ中心線CLとの交点をクラウン中心位置Pcとする。
タイヤに規定内圧を充填し標準リムを装着したときの外側輪郭線の最大幅位置Leをとおるタイヤ回転軸に平行な線とカーカスプライとインナーライナーの境界線との交点を最大幅位置Psとする。
前記ショルダー位置Peからクラウン中心位置Pcまでのインナーライナーの輪郭線に沿った距離をショルダー距離Wcとする。
前記ショルダー位置Peからタイヤ最大幅位置Psまでのインナーライナーの輪郭線に沿った距離をサイド距離Wsとする。
インナーライナーのクラウン中心位置Pcの厚さをGc、ショルダー位置Peにおける厚さをGe、最大幅位置Psにおける厚さをGsとする。
記肉厚部はショルダー位置Peからサイド距離Wsの20%〜80%の範囲がより好ましい。
本発明の空気入りタイヤは、一対のビード部の間に装架されたカーカスプライのタイヤ内側にインナーライナーを備え、該インナーライナーは、タイヤ内側に配置される第1層と、前記カーカスプライに隣接して配置される第2層を含む複数層のポリマー積層体で形成される。
本発明のインナーライナーの前記第1層は、ポリマー成分としてスチレン−イソブチレン−スチレントリブロック共重合体の99.5〜60質量%と、スチレン−無水マレイン酸共重合体の0.5〜40質量%を含むエラストマー組成物で構成され、厚さが0.05mm〜0.6mmである。以下、第1層を、「SIBS層」ともいう。
50,000程度、またスチレンでは5,000〜30,000程度であることが好ましい。
前記第1層に用いられる、スチレン−無水マレイン酸共重合体は、スチレン−無水マレイン酸共重合体ベースレジン(以下、SMAベースレジンともいう)、スチレン−無水マレイン酸共重合体ベースレジンがエステル化されて得られた、モノエステル基およびモノカルボン酸基を有するスチレン−無水マレイン酸共重合体のエステルレジン(以下、SMAエステルレジンともいう)およびスチレン−無水マレイン酸共重合体ベースレジンがアンモニウム塩に溶解した、スチレン−無水マレイン酸共重合体アンモニウム塩水溶液(以下、SMAレジンアンモニウム塩水溶液ともいう)を含む概念として記載する。
本発明の一実施の形態において、SMAはスチレン−無水マレイン酸共重合体ベースレジンを含むことが、加硫前の粘着性および加硫後接着性の観点から好ましい。SMAベースレジンは、スチレン成分/無水マレイン酸成分のモル比が50/50〜90/10であることが、高軟化点および高い熱安定性の観点から好ましい。
本発明の一実施の形態において、前記スチレン−無水マレイン酸共重合体は、SMAベースレジンがエステル化されて得られた、モノエステル基およびモノカルボン酸基を有するスチレン−無水マレイン酸共重合体のエステルレジン(以下、SMAエステルレジンともいう)を含むことが好ましい。
SIBSにSMAエステルレジンを配合することで、ゴム層との加硫接着性に優れたインナーライナー用ポリマー組成物を得ることができる。SMAエステルレジンは、スチレン成分/無水マレイン酸成分のモル比が50/50〜90/10であることが、加硫接着性の観点から好ましい。
本発明の一実施の形態において、前記スチレン−無水マレイン酸共重合体は、SMAベースレジンがアンモニウム塩に溶解した、スチレン−無水マレイン酸共重合体アンモニウム塩水溶液(以下、SMAアンモニウム塩水溶液ともいう)を含むことが好ましい。
前記インナーライナー用ポリマー組成物には、その他の補強剤、加硫剤、加硫促進剤、各種オイル、老化防止剤、軟化剤、可塑剤、カップリング剤などのタイヤ用または一般のポリマー組成物に配合される各種配合剤および添加剤を配合することができる。また、これらの配合剤、添加剤の含有量も一般的な量とすることができる。
本発明において、第2層はスチレン−イソプレン−スチレントリブロック共重合体(以下、「SIS」ともいう。)を含むSIS層およびスチレン−イソブチレンジブロック共重合体(以下、「SIB」ともいう。)を含むSIB層の少なくともいずれかを含む。スチレン−イソプレン−スチレントリブロック共重合体(SIS)のイソプレンブロックはソフトセグメントであるため、SISからなるポリマーフィルムはゴム成分と加硫接着しやすい。したがって、SISからなるポリマーフィルムをインナーライナーに用いた場合、該インナーライナーは、たとえばカーカスプライのゴム層との接着性に優れているため、耐久性に優れた空気入りタイヤを得ることができる。
ー成形といった熱可塑性樹脂、熱可塑性エラストマーをフィルム化する通常の方法によってフィルム化して得ることができる。
本発明においてインナーライナーに用いられるポリマー積層体の構造は各種の形態を採用できる。これらの形態をインナーライナーの模式的断面図で示す、図3〜図6に基づき説明する。
ポリマー積層体PLは、図3に示すように、第1層としてのSIBS層PL1および第2層としてのSIS層PL2から構成される。該ポリマー積層体PLを空気入りタイヤのインナーライナーに適用する場合、SIS層PL2がカーカスプライ61に接するようにタイヤ半径方向外側に向けて設置すると、タイヤの加硫工程において、SIS層PL2と
カーカス61との接着強度を高めることができる。したがって得られた空気入りタイヤは、インナーライナーとカーカスプライ61のゴム層とが良好に接着しているため、優れた耐空気透過性および耐久性を有することができる。
ポリマー積層体PLは、図4に示すように、第1層としてのSIBS層PL1および第2層としてのSIB層PL3から構成される。該ポリマー積層体PLを空気入りタイヤのインナーライナーに適用する場合、SIB層PL3の面を、カーカスプライ61に接するようにタイヤ半径方向外側に向けて設置すると、タイヤの加硫工程において、SIB層PL3とカーカス61との接着強度を高めることができる。したがって得られた空気入りタイヤは、インナーライナーとカーカスプライ61のゴム層とが良好に接着しているため、優れた耐空気透過性および耐久性を有することができる。
ポリマー積層体PLは、図5に示すように、第1層としてのSIBS層PL1、第2層としてのSIS層PL2およびSIB層PL3が前記の順に積層されて構成される。該ポリマー積層体PLを空気入りタイヤのインナーライナーに適用する場合、SIB層PL3の面を、カーカスプライ61に接するようにタイヤ半径方向外側に向けて設置すると、タイヤの加硫工程において、SIB層PL3とカーカスプライ61との接着強度を高めることができる。したがって得られた空気入りタイヤは、インナーライナーとカーカスプライ61のゴム層とが良好に接着しているため、優れた耐空気透過性および耐久性を有することができる。
ポリマー積層体PLは、図6に示すように、第1層としてのSIBS層PL1、第2層としてのSIB層PL3およびSIS層PL2が前記の順に積層されて構成される。該ポリマー積層体PLを空気入りタイヤのインナーライナーに適用する場合、SIS層PL2の面を、カーカスプライ61に接するようにタイヤ半径方向外側に向けて設置すると、タイヤの加硫工程において、SIS層PL2とカーカスプライ61との接着強度を高めることができる。したがってインナーライナーとカーカスプライ61のゴム層とが良好に接着しているため、優れた耐空気透過性および耐久性を有することができる。
ポリマー積層体PLは、SIBS層と、SIS層およびSIB層の少なくともいずれかを、たとえば形態1〜4のいずれかに記載された順序でラミネート押出や共押出などの積層押出をして得ることができる。
本発明の空気入りタイヤは、一般的な製造方法を用いることができる。前記ポリマー積層体PLを空気入りタイヤ1の生タイヤのインナーライナーに適用して他の部材とともに加硫成形することによって製造することができる。ポリマー積層体PLを生タイヤに配置する際は、ポリマー積層体PLの第2層であるSIS層PL2またはSIB層PL3が、カーカスプライ61に接するようにタイヤ半径方向外側に向けて配置する。このように配置すると、タイヤ加硫工程において、SIS層PL2またはSIB層PL3とカーカスプライ61との接着強度を高めることができる。得られた空気入りタイヤは、インナーライナーとカーカスプライ61のゴム層とが良好に接着しているため、優れた耐空気透過性および耐久性を有することができる。
し出し口にプロファイルをつけて、ショルダー位置近傍の厚さGeを所定の厚さにした一体物のシートを作成して、これをインナーライナーとしてタイヤ内面に配置する。
攪拌機付き2L反応容器に、メチルシクロヘキサン(モレキュラーシーブスで乾燥したもの)589mL、n−ブチルクロライド(モレキュラーシーブスで乾燥したもの)613ml、クミルクロライド0.550gを加えた。反応容器を−70℃に冷却した後、α−ピコリン(2−メチルピリジン)0.35mL、イソブチレン179mLを添加した。さらに四塩化チタン9.4mLを加えて重合を開始し、−70℃で溶液を攪拌しながら2.0時間反応させた。次に反応容器にスチレン59mLを添加し、さらに60分間反応を続けた後、大量のメタノールを添加して反応を停止させた。反応溶液から溶剤などを除去した後に、重合体をトルエンに溶解して2回水洗した。このトルエン溶液をメタノール混合物に加えて重合体を沈殿させ、得られた重合体を60℃で24時間乾燥することによりスチレン−イソブチレンジブロック共重合体を得た。
重量平均分子量 :70,000
<SIBS>
カネカ(株)社製の「シブスターSIBSTAR 102(ショアA硬度25、スチレン成分含有量25質量%、重量平均分子量:100,000)」を用いた。
クレイトンポリマー社製のD1161JP(スチレン成分含有量15質量%、重量平均分子量:150,000)を用いた。
SMA(1):スチレン−無水マレイン酸共重合体、サートマー社製SMA1000(酸価490)。
SMA(3):スチレン−無水マレイン酸共重合体のアンモニウム塩水溶液、サートマー社製SMA1000H(pH9.0)。
上記SIBSとSMA(1)〜SMA(3)の混合物、SISおよびSIBを、2軸押出機(スクリュ径:φ50mm、L/D:30、シリンダ温度:220℃)にてペレット化した。その後、Tダイ押出機(スクリュ径:φ80mm、L/D:50、ダイリップ幅:500mm、シリンダ温度:220℃、フィルムゲージ:0.3mm)にてインナーライナーを作製した。
(注2)表1〜3において、Gc1、Gs1は、第1層のPc、Psにおける厚さを意味し、Gc2、Gs2は、第2層のPc、Psにおける厚さを意味する。GcはGc1とGc2の合計として、Gsは、Gs1とGs2の合計として求められる。
前述の如く製造された空気入りタイヤに関し、以下の性能評価をおこなった。なお低温耐久性及び転がり抵抗性は、タイヤサイズが195/65R15の空気入りタイヤを用いて試験した。
JIS−K−6256「加硫ゴム及び熱可塑性ゴムの接着性の求め方」に準じて剥離試験を行った。はじめに、厚さ0.3mmの前記ポリマーシートおよび厚さ2mmのゴムシート(配合:NR/BR/SBR=40/30/30)および補強キャンバス生地を、前記の順番で重ねて170℃の条件下で12分間加圧加熱することによって剥離用試験片を作製した。得られた試験片を用いて剥離試験を行い、インナーライナー用ポリマーシートとゴムシートの接着力を測定した。試験片の大きさは25mm幅で、23℃の室温条件下で行った。比較例1を基準値100として、得られた数値を以下の計算式により剥離力指数を算出した。数値が大きいほど接着性に優れている。
結果を表1に示す。
低温耐久性試験は、雰囲気温度−20℃のもと、タイヤ空気圧を120kPa、荷重負荷率を60%、速度80Km/hとして測定を行った。図中に示す低温耐久性は、インナーライナーにクラックが発生したときの走行距離を測定し、比較例1を基準に指数で表している。数値が高いほど低温耐久性に優れている。
転がり抵抗性は、粘弾性スペクトロメーターVES((株)岩本製作所製)を用いて、温度70℃、初期歪10%、動歪2%の条件下で各配合のtanδを測定し、比較例1のtanδを100として、下記計算式により指数表示した。指数が大きいほど転がり抵抗性が優れている。
<比較例1〜2、実施例1〜3>
比較例1、2のインナーライナーの第1層はSIBSが100%含まれる組成物で構成されている。そして比較例2はショルダー部に肉厚部が形成されている。実施例1〜3は第1層にSMA(1)が2〜30質量%混合されている組成物で構成されている。第2層は、いずれもSIS層である。実施例1〜3は、剥離力、転がり抵抗および低温耐久性が総合的に優れている。
比較例3〜4のインナーライナーの第1層はSIBSが100%含まれる組成物で構成されている。そして比較例4はショルダー部に肉厚部が形成されている。実施例4〜6は第1層にSMA(1)が2〜30質量%混合されている組成物で構成されている。第2層は、いずれもSIB層である。実施例4〜6は、剥離力、転がり抵抗および低温耐久性が総合的に優れている。
比較例5及び実施例7〜9はインナーライナーのショルダー部に肉厚部を形成し、その肉厚を変化させた例である。ここで第1層に関し、比較例5はSIBSが100%で、実施例7〜9は、SIBSの80%とSMA(1)の20%の混合物である。第2層には、いずれもSISを用いている。実施例7〜9は、剥離力、転がり抵抗および低温耐久性が総合的に優れている。
実施例13〜18は、第1層にSMA(1)、SMA(2)およびSMA(3)を1種類または2種類以上を混合して、合計20重量%混合した組成物の例である。第2層には、いずれもSISを用いている。実施例13〜18は、剥離力、転がり抵抗および低温耐久性が総合的に優れている。
Te トレッド端。
Claims (10)
- 一対のビード部の間に装架されたカーカスプライのタイヤ内側にインナーライナーを備えた空気入りタイヤであって、
前記インナーライナーは、タイヤ内側に配置される第1層と前記カーカスプライに隣接して配置される第2層を含む複数層のポリマー積層体で形成され、
前記第1層は、ポリマー成分としてスチレン−イソブチレン−スチレントリブロック共重合体の99.5〜60質量%と、主鎖にスチレン由来の単位と無水マレイン酸由来単位を有するスチレン−無水マレイン酸共重合体の0.5〜40質量%を含む均一組成のエラストマー組成物で構成され、厚さが0.05mm〜0.6mmであり、
前記第2層は、スチレン−イソプレン−スチレントリブロック共重合体およびスチレン−イソブチレンジブロック共重合体の少なくともいずれかを含むエラストマー組成物で構成され、厚さが0.01mm〜0.3mmであり、
前記インナーライナーはクラウン中央位置Pcにおける厚さGcよりもショルダー位置Peの厚さGeが厚いことを特徴とする空気入りタイヤ。 - タイヤ子午断面において、前記カーカスプライとインナーライナーの境界線に対してトレッド部の接地端Teからタイヤ内径方向に法線Lを引き前記境界線との交点をショルダー位置Peとし、前記カーカスプライとインナーライナーの境界線とタイヤ中心線CLとの交点をクラウン中心位置Pcとし、さらに前記ショルダー位置Peからクラウン中心位置Pcまでのインナーライナーの輪郭線に沿った距離をショルダー距離Wcとしたとき、前記インナーライナーの肉厚部は、前記ショルダー位置Peからクラウン中心位置Pc側に、前記ショルダー距離Wcの少なくとも10%の幅を有する領域に形成されている請求項1に記載の空気入りタイヤ。
- インナーライナーの肉厚部は、前記ショルダー位置Peからクラウン中心位置Pc側に、前記ショルダー幅Wcの50%以下の幅を有する領域に形成されている請求項1または2に記載の空気入りタイヤ。
- 前記インナーライナーの前記ショルダー位置Peからタイヤ最大幅位置Psまでのインナーライナーの輪郭線に沿った距離をサイド距離Wsとしたとき、前記インナーライナーの肉厚部は、前記ショルダー位置Peから前記最大幅位置Ps側に、前記サイド距離Wsの少なくとも20%の幅を有する領域に形成されている請求項1〜3のいずれかに記載の空気入りタイヤ。
- 前記インナーライナーの肉厚部は、前記ショルダー位置Peから前記最大幅位置Ps側に、前記最大幅距離Wsの100%以下の幅を有する領域に形成されている請求項1〜3のいずれかに記載の空気入りタイヤ。
- 前記インナーライナーは、クラウン中央位置Pcにおける厚さGcに対し、ショルダー位置Peの厚さGeは160%〜520%である請求項1〜5のいずれかに記載の空気入りタイヤ。
- スチレン/無水マレイン酸の共重合組成比は、モル比で50/50〜90/10の範囲であり、重量平均分子量が4,000〜20,000の範囲であり、無水マレイン酸の酸価が50〜600である請求項1に記載の空気入りタイヤ。
- 前記スチレン−イソブチレン−スチレントリブロック共重合体はスチレン成分含有量が10〜30質量%であり、重量平均分子量が50,000〜400,000である請求項1〜7のいずれかに記載の空気入りタイヤ。
- 前記スチレン−イソプレン−スチレントリブロック共重合体は、スチレン成分含有量が10〜30質量%であり、重量平均分子量が100,000〜290,000である請求項1〜8のいずれかに記載の空気入りタイヤ。
- 前記スチレン−イソブチレンジブロック共重合体は直鎖状であり、スチレン成分含有量が10〜35質量%であり、重量平均分子量が40,000〜120,000である請求項1に記載の空気入りタイヤ。
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