JP5466283B1 - 空気入りタイヤ - Google Patents

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Abstract

【課題】隣接ゴムとの良好な加硫接着力を有するとともに、転がり抵抗の増加が抑制されたインナーライナーを備え、優れた耐空気透過性および耐屈曲亀裂成長性を有し、さらにエアインの発生が抑制された空気入りタイヤを提供する。
【解決手段】スチレン−イソブチレン−スチレントリブロック共重合体75質量%以上99.5質量%以下およびイソブチレン系変性共重合体0.5質量%以上25質量%以下を含む第1ポリマー組成物からなる第1層と、ポリマー成分がスチレン−イソブチレンブロック共重合体10質量%以上100質量%以下およびスチレン−イソブチレン−スチレントリブロック共重合体0質量%以上90質量%以下を含む第2ポリマー組成物からなる第2層とを含むインナーライナー9を備え、第2層がカーカスプライ6のゴム層と接するように配置されている空気入りタイヤ。
【選択図】図1

Description

本発明は空気入りタイヤし、特定的にはインナーライナーを備えた空気入りタイヤに関する。
インナーライナーはタイヤの内側に配置され、空気入りタイヤ内部から外部への空気の漏れを低減してタイヤ内圧を一定に維持する機能を有する。このような機能を有する材料として、従来からブチル系ゴムなどの気体透過性の低いゴム組成物が使用されている。一方、タイヤの軽量化を図るために、ブチル系ゴム組成物にかえて熱可塑性樹脂を含む材料からなるフィルムが使用される場合がある。
ここでインナーライナーは、タイヤ使用時にショルダー部近傍に大きなせん断歪が作用する。熱可塑性樹脂を含む材料をインナーライナーとして使用した場合、このせん断歪みによって、インナーライナーとカーカスプライの接着界面で剥離が発生しやすくなり、タイヤの空気漏れが発生するという問題があった。
一方、空気入りタイヤは、低燃費化の要請があり、タイヤの軽量化により転がり抵抗を軽減する課題がある。そのため、インナーライナーに熱可塑性エラストマーを用いる技術も提案されているが、ブチル系ゴムのインナーライナーよりも厚さを薄くすると、インナーライナーの強度は低下し、加硫工程時のブラダーの熱と圧力でインナーライナーが破壊または変形する問題があった。
さらに、高い耐空気透過性を有する熱可塑性エラストマーは、インナーライナーに隣接するインスレーションゴムやカーカスゴムとの加硫接着力がブチル系ゴムよりも劣ることが分かっている。インナーライナーの加硫接着力が低いと、インナーライナーとインスレーションゴム、またはカーカスゴムとの間に空気が混入し、小さな風船のようなものが現れる、いわゆるエアイン現象が生じる。エアインの有無は、タイヤの性能上は問題ないものの、ユーザーには外観が悪いという印象を与えてしまう。
特許文献1(特開平9−019987号公報)には、空気圧を一定に保持する、インナーライナー層等の空気透過防止層を有する空気入りタイヤに好適な積層体として、ポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアリレート系樹脂、ポリアミド系アロイ及びポリエステル系アロイからなる群より選ばれた少なくとも1種のガスバリヤー層(A)と接着層(B)とが少なくとも2層に積層されると共に、少なくとも一方の表面から電子線照射された積層フィルムを備えてなり、且つ上記接着層(B)がゴム層(R)と加熱接着されてなる積層フィルムとゴム層との積層体が開示されている。
該積層体は、接着層が加硫工程においてブラダーと加熱状態で接触することになり、ブラダーに粘着するという問題がある。
特許文献2(特許第2999188号明細書)には、耐空気透過性を有する熱可塑性エラストマー組成物として、エラストマー組成物(A)を分散相、熱可塑性樹脂組成物(B)をマトリックスとし、かつ熱可塑性樹脂組成物が2種以上の熱可塑性樹脂のブレンドよりなる熱可塑性エラストマー組成物が開示されている。実施例では、熱可塑性樹脂組成物としてナイロン樹脂を用いているが、ナイロン樹脂は室温では硬くタイヤ用インナーライナーとしては不向きである。さらに、該熱可塑性エラストマー組成物はゴム層との加硫接着はしない。したがって、該熱可塑性エラストマーをインナーライナーに用いると、さらに加硫用接着層が必要となり、生産性の観点から不利である。
先行文献3(特開2008−024219号公報)には、空気遮断性の良好なエチレン−ビニルアルコール共重合体中に無水マレイン酸変性水素添加スチレン−エチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体を分散させた、柔軟なガスバリア層が開示されている。また、該ガスバリア層を熱可塑性ポリウレタン層で挟み込み、さらにタイヤゴムと接着する面にゴム糊(ブチルゴム/天然ゴムが70/30混合物をトルエンに溶解させる)を塗布させて作製されたインナーライナー層が開示されている。
しかし、柔軟樹脂分散の変性エチレン−ビニルアルコール共重合体は接着力が低く、熱可塑性ポリウレタン層と剥離するおそれがある。また柔軟樹脂分散の変性エチレン−ビニルアルコール共重合体は柔軟樹脂が分散されているが、マトリックスの変性エチレン−ビニルアルコール共重合体は屈曲疲労性に乏しく、タイヤ走行中に破壊してしまう。さらにタイヤゴムと接着する面にゴム糊を塗布しているが、通常のインナーライナーの製造工程とは別の工程が必要となり、生産性が劣ることになる。
特許文献4(特開2005−343379号公報)には、インナーライナー層におけるクラックの発生を効果的に抑制するために、ショルダー部における厚さがタイヤクラウン部における厚さよりも大きく設計されたインナーライナー層が開示されている。しかしながら厚さ寸法を大きくすると重量が増加するため、タイヤの低燃費化の観点から問題がある。
特許文献5(特開2010−013646号公報)には、熱可塑性エラストマーであるSIBSに粘着付与剤として石油樹脂、テルペン樹脂を用いて接着力を向上することが提案されている。しかしSIBSのほかにポリアミド系ポリマーをブレンドしており、耐屈曲亀裂性が低下するという問題がある。
特許文献6(特開2010−100675号公報)には、SIBSと硫黄架橋可能な重合体のブレンド物に粘着付与剤として、天然ロジン、テルペン、クロマンインデン樹脂、石油樹脂またはアルキルフェノール樹脂などを用いて、カーカスプライゴムの接着性を向上することが提案されている。
しかしSIBSの100重量部に対して硫黄架橋可能な重合体を10〜300重量部ブレンドする技術では、硫黄架橋可能な重合体が100重量部以下の場合、SIBSがマトリックス(海部分)で、硫黄架橋可能な重合体がドメイン構造(島部分)となり、カーカスゴムへの接触界面での接着力が向上しない。また硫黄架橋可能な重合体が100重量部以上の場合、ブチルゴム以外ではガスバリア性が低下し、ブチルゴムでは接着力が低下し、更にはブレンドする重合体によっては、粘着性が高くなり厚さ600μm以下のフィルムを作製できないという問題がある。
特許文献7(国際公開第2008/029781号)は、熱可塑性樹脂と熱可塑性エラストマーをブレンドしたフィルム積層体のストリップでタイヤを製造している。積層体にすることで、ガスバリア性、接着性を改善することができ、リボン状のストリップ間の接合を可能にしている。しかし、この技術はフィルム積層体の未加硫生カバーでのゲージは一定であり、ゲージを薄くするとバットレス部などで加硫後のタイヤ仕上がりが薄くなってしまう可能性がある。
特開平9−019987号公報 特許第2999188号明細書 特開2008−024219号公報 特開2005−343379号公報 特開2010−013646号公報 特開2010−100675号公報 国際公開第2008/029781号
本発明は、隣接ゴムとの良好な加硫接着力を有するとともに、転がり抵抗の増加が抑制されたインナーライナーを備え、優れた耐空気透過性および耐屈曲亀裂成長性を有し、さらにエアインの発生が抑制された空気入りタイヤを提供することを目的とする。
本発明は、一対のビード部の間に装架されたカーカスプライのタイヤ内側にインナーライナーを備えた空気入りタイヤであって、インナーライナーは、ポリマー成分がスチレン−イソブチレン−スチレントリブロック共重合体75質量%以上99.5質量%以下およびイソブチレン系変性共重合体0.5質量%以上25質量%以下を含む第1ポリマー組成物からなる厚さ0.05mm以上0.6mm以下の第1層と、ポリマー成分がスチレン−イソブチレンブロック共重合体10質量%以上100質量%以下およびスチレン−イソブチレン−スチレントリブロック共重合体0質量%以上90質量%以下を含む第2ポリマー組成物からなる厚さ0.01mm以上0.3mm以下の第2層とを含み、イソブチレン系変性共重合体は、イソブチレンを主体とする重合体ブロックと芳香族ビニル系化合物を主体とする重合体ブロックとからなり、少なくとも一つのブロックがβ−ピネンを含むランダム共重合体であり、前記第2層がカーカスプライのゴム層と接するように配置されており、インナーライナーはクラウン中央位置Pcにおける厚さGcよりもショルダー位置Peにおける厚さGeが厚い、空気入りタイヤである。
本発明の空気入りタイヤにおいて好ましくは、タイヤ子午断面において、カーカスプライとインナーライナーの境界線に対してトレッド部の接地端Teからタイヤ内径方向に法線Lを引き境界線との交点をショルダー位置Peとし、カーカスプライとインナーライナーの境界線とタイヤ中心線CLとの交点をクラウン中心位置Pcとし、さらにショルダー位置Peからクラウン中心位置Pcまでのインナーライナーの輪郭線に沿った距離をショルダー距離Wcとしたとき、インナーライナーの肉厚部は、ショルダー位置Peからクラウン中心位置Pc側に、ショルダー距離Wcの少なくとも10%の幅を有する領域に形成されている。
本発明の空気入りタイヤにおいて好ましくは、インナーライナーの肉厚部は、ショルダー位置Peからクラウン中心位置Pc側に、ショルダー幅Wcの少なくとも50%以下の幅を有する領域に形成されている。
本発明の空気入りタイヤにおいて好ましくは、インナーライナーのショルダー位置Peからタイヤ最大幅位置Psまでのインナーライナーの輪郭線に沿った距離をサイド距離Wsとしたとき、インナーライナーの肉厚部は、ショルダー位置Peから最大幅位置Ps側に、サイド距離Wsの少なくとも20%の幅を有する領域に形成されている。
本発明の空気入りタイヤにおいて好ましくは、インナーライナーの肉厚部は、ショルダー位置Peから最大幅位置Ps側に、最大幅距離Wsの100%以下の幅を有する領域に形成されている。
本発明の空気入りタイヤにおいて好ましくは、インナーライナーは、クラウン中央位置Pcにおける厚さGcに対し、ショルダー位置Peの厚さGeは120%以上500%以下である。
本発明の空気入りタイヤにおいて好ましくは、スチレン−イソブチレン−スチレントリブロック共重合体はスチレン成分含有量が10質量%以上30質量%以下であり、重量平均分子量が50,000以上400,000以下である。
本発明の空気入りタイヤにおいて好ましくは、イソブチレン系変性共重合体の芳香族ビニル系化合物がスチレンである。
本発明によれば、隣接ゴムとの良好な加硫接着力を有するとともに、転がり抵抗の増加が抑制されたインナーライナーを備え、優れた耐空気透過性および耐屈曲亀裂成長性を有し、さらにエアインの発生が抑制された空気入りタイヤを得ることができる。
本発明の一実施の形態における空気入りタイヤの右半分の概略断面図である。 図1のトレッド部の拡大概略断面図である。 本発明の一実施の形態における空気入りタイヤのインナーライナーの概略断面図である。
<空気入りタイヤ>
本発明の一実施の形態における空気入りタイヤを、図に基づき説明する。図1は、空気入りタイヤの右半分の概略断面図であり、図2は、そのトレッド部の拡大概略断面図である。図1において空気入りタイヤ1は、トレッド部2と、該トレッド部両端からトロイド形状を形成するようにサイドウォール部3とビード部4とを有している。さらに、ビード部4にはビードコア5が埋設される。また、一方のビード部4から他方のビード部に亘って設けられ、両端をビードコア5のまわりに折り返して係止されるカーカスプライ6と、該カーカスプライ6のクラウン部外側には、少なくとも2枚のプライよりなるベルト層7とが配置されている。
前記ベルト層7は、通常、スチールコードまたはアラミド繊維等のコードよりなるプライの2枚をタイヤ周方向に対して、コードが通常5〜30°の角度になるようにプライ間で相互に交差するように配置される。なおベルト層の両端外側には、トッピングゴム層を設け、ベルト層両端の剥離を軽減することができる。またカーカスプライはポリエステル、ナイロン、アラミド等の有機繊維コードがタイヤ周方向にほぼ90°に配列されており、カーカスプライとその折り返し部に囲まれる領域には、ビードコア5の上端からサイドウォール方向に延びるビードエーペックス8が配置される。また前記カーカスプライ6のタイヤ半径方向内側には一方のビード部4から他方のビード部4に亘るインナーライナー9が配置されている。
ここで本発明においてインナーライナー9における位置、距離および幅を次のように定義する。
(ショルダー位置Pe)
タイヤ子午断面において、カーカスプライとインナーライナーの境界線に対してトレッド部の接地端Teからタイヤ内径方向に法線Lを引き、前記境界線との交点をショルダー位置Peと定義する。ここでトレッド部の接地端Teは、トレッド部の外側輪郭線を延長した線と、ショルダー部の外側輪郭線を延長した交点として定義される。
(クラウン中心位置Pc)
カーカスプライとインナーライナーの境界線とタイヤ中心線CLとの交点をクラウン中心位置Pcとする。
(タイヤ最大幅位置Ps)
タイヤに規定内圧を充填し標準リムを装着したときの外側輪郭線の最大幅位置Leをとおるタイヤ回転軸に平行な線とカーカスプライとインナーライナーの境界線との交点をタイヤ最大幅位置Psとする。
(ショルダー距離Wc)
前記ショルダー位置Peからクラウン中心位置Pcまでのインナーライナーの輪郭線に沿った距離をショルダー距離Wcとする。
(サイド距離Ws)
前記ショルダー位置Peからタイヤ最大幅位置Psまでのインナーライナーの輪郭線に沿った距離をサイド距離Wsとする。
(インナーライナー厚さ)
インナーライナーのクラウン中心位置Pcの厚さをGc、ショルダー位置Peにおける厚さをGe、最大幅位置Psにおける厚さをGsとする。
前記インナーライナーの肉厚部は、前記ショルダー位置Peからクラウン中心位置Pc側に、前記ショルダー距離Wcの少なくとも10%の幅を有する領域に形成されていることが好ましい。一方、肉厚部は、前記ショルダー位置Peからクラウン中心位置Pc側に、前記ショルダー距離Wcの100%以下の幅を有する領域に形成されていることが好ましく、50%以下の幅を有する領域に形成されていることがさらに好ましい。さらに、肉厚部は、前記ショルダー位置Peからクラウン中心位置Pc側に、ショルダー距離Wcの10%以上60%以下の範囲に形成されていることが好ましい。
前記インナーライナーの肉厚部は、前記ショルダー位置Peから前記最大幅位置Ps側に、前記サイド距離Wsの少なくとも20%の幅を有し、100%以下の幅の領域に形成されていることが好ましい。肉厚部がショルダー位置Peからサイド距離Wsの20%以上100%以下の範囲に設定することで、タイヤ走行時に屈曲変形の激しいショルダー部の変形を抑制するとともに、この領域の応力緩和を効果的に達成することができる。さらに、前記肉厚部はショルダー位置Peからサイド距離Wsの20%以上80%以下の範囲に形成されていることが好ましい。
前記インナーライナーは、クラウン中央位置Pcにおける厚さGcよりも、ショルダー位置Peの厚さGeが厚い。このため、ショルダー部におけるインナーライナーの耐久性が向上し、インナーライナーの強度低下による破れや変形、接着力の低下を抑制することができ、結果としてタイヤの空気漏れを効果的に抑制することができる。
ショルダー位置Peの厚さGeは0.2mm以上1.9mm以下が好ましい。Geが0.2mm未満であると、タイヤ走行時に破れや変形が起こりやすい。Geが1.9mmを超えると、インナーライナーの軽量化の効果を十分に得ることができない。Geはさらに0.3mm以上1.9mm以下が好ましい。
クラウン中央位置Pcにおける厚さGcに対し、ショルダー位置Peの厚さGeは120%以上500%以下であることが好ましい。ショルダー位置Peの厚さGeが120%未満の場合は、ショルダー部の屈曲変形およびせん断変形の抑制が十分でなく、また500%を超えるとインナーライナーの軽量化の効果は十分期待できない。クラウン中央位置Pcにおける厚さGcに対し、ショルダー位置Peの厚さGeは、より好ましくは200%以上500%以下である。
また、最大幅位置Psの厚さGsに対し、ショルダー位置Peの厚さGeは120%以上500%以下であることが好ましい。
なお、肉厚部は、ショルダー位置Peを中心に、クラウン中央位置Pc方向と、最大幅位置Ps方向に厚さを漸減する構成とすることが好ましい。インナーライナーの肉厚部を上述のように形成することで、タイヤ走行時における、この領域での繰り返し変形に伴う屈曲変形およびせん断変形が生じても、その応力を緩和することができ、インナーライナーのクラックの発生を防止することができる。
<インナーライナー>
本発明の一実施の形態において、空気入りタイヤのインナーライナーは第1層および第2層を含む。
(第1層)
第1層は、ポリマー成分がスチレン−イソブチレン−スチレントリブロック共重合体(以下、SIBSともいう)75質量%以上99.5質量%以下およびイソブチレン系変性共重合体0.5質量%以上25質量%以下を含む第1ポリマー組成物からなり、厚さ0.05mm以上0.6mm以下である。
(スチレン−イソブチレン−スチレントリブロック共重合体)
SIBSのイソブチレンブロック由来により、SIBSを含むポリマーフィルムは優れた耐空気透過性を有する。したがって、SIBSを含むポリマーフィルムをインナーライナーに用いた場合、耐空気透過性に優れた空気入りタイヤを得ることができる。
さらに、SIBSは芳香族以外の分子構造が完全飽和であることにより、劣化硬化が抑制され、優れた耐久性を有する。したがって、SIBSを含むポリマーフィルムをインナーライナーに用いた場合、耐久性に優れた空気入りタイヤを得ることができる。
SIBSを含むポリマーフィルムをインナーライナーに適用して空気入りタイヤを製造した場合には、耐空気透過性を確保できる。したがってハロゲン化ブチルゴム等の、従来耐空気透過性を付与するために使用されてきた高比重のハロゲン化ゴムを使用する必要がなく、使用する場合にも使用量の低減が可能である。これによってタイヤの軽量化が可能であり、燃費の向上効果が得られる。
SIBSの分子量は特に制限はないが、流動性、成形化工程、ゴム弾性などの観点から、GPC測定による重量平均分子量が50,000以上400,000以下であることが好ましい。重量平均分子量が50,000未満であると引張強度、引張伸びが低下するおそれがあり、400,000を超えると押出加工性が悪くなるおそれがあるため好ましくない。SIBSは耐空気透過性と耐久性をより良好にする観点から、SIBS中のスチレン成分の含有量は10質量%以上30質量%以下、好ましくは14質量%以上23質量%以下であることが好ましい。
該SIBSは、その共重合体において、各ブロックの重合度は、ゴム弾性と取り扱い(重合度が10,000未満では液状になる)の点からイソブチレンでは10,000〜150,000程度、またスチレンでは5,000〜30,000程度であることが好ましい。
SIBSは、一般的なビニル系化合物のリビングカチオン重合法により得ることができ。例えば、特開昭62−48704号公報および特開昭64−62308号公報には、イソブチレンと他のビニル化合物とのリビングカチオン重合が可能であり、ビニル化合物にイソブチレンと他の化合物を用いることでポリイソブチレン系のブロック共重合体を製造できることが開示されている。
SIBSは分子内に芳香族以外の二重結合を有していないために、分子内に二重結合を有している重合体、例えばポリブタジエンに比べて紫外線に対する安定性が高く、従って耐候性が良好である。
第1ポリマー組成物中のSIBSの含有量は、ポリマー成分中75質量%以上99.5質量%以下が好ましい。SIBSの含有量が75質量%未満であると、耐空気透過性能を十分に得ることができないおそれがある。一方、SIBSの含有量が99.5質量%を超えると、加硫接着力が低下するおそれがある。SIBSの含有量は、さらに80質量%以上95質量%以下が好ましい。
(イソブチレン系変性共重合体)
本明細書において、イソブチレン系変性共重合体とは、イソブチレンを主体とする重合体ブロックと芳香族ビニル系化合物を主体とする重合体ブロックとからなるイソブチレン系変性共重合体であって、少なくとも1つのブロックがβ−ピネンを含むランダム共重合体である。
ここでイソブチレン系変性共重合体は、典型的には、スチレン−イソブチレン−スチレンブロック共重合体(SIBS)、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体(SIS)またはスチレン−イソブチレンブロック共重合体(SIB)のスチレンブロックにβ−ピネンが含まれている共重合体である。
イソブチレンを主成分とする重合体ブロックは、ソフトセグメントがイソブチレンに由来するユニットが80質量%以上から構成される重合体ブロックである。かかる重合体ブロックは、単量体成分として、脂肪族オレフィン類、ジエン類、ビニルエーテル類、シラン類、ビニルカルバゾール、アセナフチレン等を用いて製造できる。
一方、芳香族ビニル系化合物を主体とする重合体ブロックは、ハードセグメントが芳香族ビニル系化合物に由来するユニットが80質量%以上から構成される重合体ブロックである。
芳香族ビニル系化合物としては、スチレン、メチルスチレン、α−メチルスチレン、β−メチルスチレン、2,6−ジメチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、α−メチル−o−メチルスチレン、α−メチル−m−メチルスチレン、α−メチル−p−メチルスチレン、β−メチル−o−メチルスチレン、β−メチル−m−メチルスチレン、β−メチル−p−メチルスチレン、2,4,6−トリメチルスチレン、α−メチル−2,6−ジメチルスチレン、α−メチル−2,4−ジメチルスチレン、β−メチル−2,6−ジメチルスチレン、β−メチル−2,4−ジメチルスチレン、クロロスチレン、2,6−ジクロロスチレン、2,4−ジクロロスチレン、α−クロロ−o−クロロスチレン、α−クロロ−m−クロロスチレン、α−クロロ−p−クロロスチレン、β−クロロ−o−クロロスチレン、β−クロロ−m−クロロスチレン、β−クロロ−p−クロロスチレン、2,4,6−トリクロロスチレン、α−クロロ−2,6−ジクロロスチレン、α−クロロ−2,4−ジクロロスチレン、β−クロロ−2,6−ジクロロスチレン、β−クロロ−2,4−ジクロロスチレン、t−ブチルスチレン、メトキシスチレン、クロロメチルスチレン、ブロモメチルスチレンなどが例示される。特にコストの観点から、スチレン、α−メチルスチレンが好ましい。
イソブチレン系変性共重合体は、イソブチレンを主体とする重合体ブロックと芳香族ビニル系化合物を主体とする重合体ブロックのうち少なくとも一つのブロックがβ−ピネンとのランダム共重合体である。低温特性の観点からは芳香族ビニル系化合物を主体とする重合体ブロックにβ−ピネンが共重合していることが好ましい。
一方、接着性の観点からはイソブチレンを主体とする重合体ブロックにβ−ピネンが共重合しているのが好ましい。この場合、β−ピネンの含有量はイソブチレン系変性共重合体の0.5質量%以上25質量%以下が好ましく、2質量%以上25質量%以下がさらに好ましい。β−ピネンの含有量が0.5質量%を未満の場合には接着性が十分でなく、25質量%を超えると脆くなり、ゴム弾性が低下する傾向にある。
イソブチレン系変性共重合体の構造には特に制限はなく、直鎖状、分岐状、スター状の分子鎖構造を有するブロック共重合体、トリブロック共重合体、マルチブロック共重合体等のいずれも選択可能である。物性バランス及び成形加工性の点から、イソブチレンを主体とする重合体ブロック(以下、ブロック(A)ともいう)と芳香族ビニル系化合物を主体とする重合体ブロック(以下、ブロック(B)ともいう)がジブロック共重合体((A)−(B))、トリブロック共重合体((B)−(A)−(B))の構造を有するものを採用できる。これらは所望の物性・成形加工性を得る為に、それぞれ単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。
またイソブチレン系変性共重合体の分子量は、流動性、成形加工性、ゴム弾性等の面から、GPC測定による重量平均分子量で30,000以上300,000以下であることが好ましく、30,000以上150,000以下であることが特に好ましい。重量平均分子量が30,000よりも小さい場合には機械的な物性が十分に発現されない傾向があり、一方300,000を超える場合には流動性、加工性が悪化する傾向がある。さらには加工安定性の観点からイソブチレン系変性共重合体の分子量分布の値(重量平均分子量/数平均分子量)が1.3以下であることが好ましい。
第1ポリマー組成物中のイソブチレン系変性共重合体の含有量は、ポリマー成分中0.5質量%以上25質量%以下が好ましく、さらに5質量%以上20質量%以下が好ましい。イソブチレン系変性共重合体の含有量が0.5質量%未満であると、第2層との加硫接着力が低下するおそれがある。
イソブチレン系変性共重合体の製造方法は、例えば、特開2010−195969号公報に開示されている。例えば、次の一般式(I)で表される重合開始剤の存在下に、単量体成分を重合させて製造できる。
(CR12X)nR3 (1)
(式中Xはハロゲン原子、炭素数1〜6のアルコキシ基またはアシロキシ基から選ばれる置換基、R1、R2はそれぞれ水素原子または炭素数1〜6の1価炭化水素基でR1、R2は同一であっても異なっていても良く、R3は一価若しくは多価芳香族炭化水素基または一価若しくは多価脂肪族炭化水素基であり、nは1〜6の自然数を示す。)
上記一般式(1)で表わされる化合物は開始剤となるものでルイス酸等の存在下で炭素陽イオンを生成し、カチオン重合の開始点になる。上記一般式(1)の化合物の例として、ビス(1−クロル−1−メチルエチル)ベンゼン[C64(C(CH32Cl)2]、トリス(1−クロル−1−メチルエチル)ベンゼン[(ClC(CH32363]が例示される。
イソブチレン系変性共重合体を製造する際には、さらにルイス酸触媒を共存させることもできる。ルイス酸としては、カチオン重合に使用できるもので、例えばTiCl4、TiBr4、BCl3、BF3、BF3・OEt2、ZnBr2、AlCl3等の金属ハロゲン化物;Et2AlCl、EtAlCl2等の有機金属ハロゲン化物が使用できる。前記ルイス酸は、一般式(1)で示される化合物に対して0.1〜100モル当量使用することができる。
また、イソブチレン系変性共重合体の製造に際しては、電子供与体成分を共存させることもできる。この電子供与体成分は、例えば、ピリジン類、アミン類、アミド類またはスルホキシド類がある。
イソブチレン系変性共重合体の重合は有機溶媒中で行うことができ、ここで有機溶媒はカチオン重合を阻害しないものが使用できる。たとえば塩化メチル、ジクロロメタン、クロロホルム、塩化エチル、ジクロロエタン等のハロゲン化炭化水素、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン等のアルキルベンゼン類、エタン、プロパン、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン等の直鎖式脂肪族炭化水素類、2−メチルプロパン、2−メチルブタン等の分岐式脂肪族炭化水素類、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサン等の環式脂肪族炭化水素類などが使用できる。
上記有機溶媒の量は、生成する共重合体溶液の粘度調整および放熱性の観点から、共重合体の濃度が5〜40質量%となるように調整される。なお共重合反応は、−20℃〜−70℃の範囲が好ましい。
(その他の配合剤)
インナーライナーの第1層に用いられる第1ポリマー組成物は、架橋剤、架橋助剤を含むことができる。架橋剤は硫黄、テトラメチルチウラムジスルフィド、4,4−ジチオビスモルホリン、有機過酸化物、フェノールホルムアルデヒド樹脂、ハロメチルフェノールが使用できる。
架橋助剤として、スルフェンアミド、ベンゾチアゾール、グアニジン、ジチオカルバミン酸、酸化亜鉛などの金属酸化物、ステアリン酸などの脂肪酸、含窒素化合物、トリアリルイソシアヌレート、エチレングリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパンメタクリレートが使用できる。架橋剤、架橋助剤の配合量は、エラストマー成分100質量部に対してそれぞれ0.3質量部以上6質量部以下である。
第1ポリマー組成物は、さらに充填剤、老化防止剤、軟化剤、加工助剤などを含むことができる。充填剤は、カーボンブラック、湿式シリカ、乾式シリカ、炭酸カルシウム、カオリン、タルク、クレー等が使用できる。老化防止剤は酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤を包含する。軟化剤はパラフィン系オイル、ナフテン系オイル、アロマ系オイル、ナタネ油、ジオクチルフタレートなどが使用できる。また、加工助剤は高級脂肪酸、脂肪酸エステル、脂肪酸金属塩、脂肪酸アミド、パラフィンワックス、脂肪アルコール、フッ素・シリコーン系樹脂などが使用できる。
(第1層の厚さ)
第1層の厚さは、0.05mm以上0.6mm以下とすることができる。ここで第1層の厚さとは、第1層の平均厚さを意味する。第1層の厚さが0.05mm未満であると、インナーライナーを配置した生タイヤの加硫時に、第1層がプレス圧力で破れてしまい、得られたタイヤにおいてエアーリーク現象が生じる虞がある。一方、第1層の厚さが0.6mmを超えるとタイヤ重量が増加し、低燃費性能が低下する。第1層の厚さは、さらに0.05mm以上0.4mm以下であることが好ましい。
第1層は、第1ポリマー組成物を押出成形、カレンダー成形といった熱可塑性樹脂、熱可塑性エラストマーをフィルム化する通常の方法によってフィルム化して得ることができる。
(第2層)
第2層は、ポリマー成分がスチレン−イソブチレンブロック共重合体(以下、SIBともいう)10質量%以上100質量%以下およびスチレン−イソブチレン−スチレントリブロック共重合体(以下、SIBSともいう)0質量%以上90質量%以下を含む第2ポリマー組成物からなり、厚さ0.01mm以上0.3mm以下である。
(スチレン−イソブチレンブロック共重合体)
スチレン−イソブチレンジブロック共重合体(SIB)のイソブチレンブロックはソフトセグメントであるため、SIBを含むポリマーフィルムはゴム成分と加硫接着しやすい。したがって、SIBを含むポリマーフィルムをインナーライナーに用いた場合、該インナーライナーは、たとえばカーカスやインスレーションを形成する隣接ゴムとの接着性に優れているため、耐久性に優れた空気入りタイヤを得ることができる。
SIBとしては、直鎖状のものを用いることがゴム弾性および接着性の観点から好ましい。SIBの分子量は特に制限はないが、ゴム弾性および成形性の観点から、GPC測定による重量平均分子量が40,000以上120,000以下であることが好ましい。重量平均分子量が40,000未満であると引張強度が低下するおそれがあり、120,000を超えると押出加工性が悪くなるおそれがあるため好ましくない。
SIB中のスチレン成分の含有量は、粘着性、接着性およびゴム弾性の観点から10質量%以上35質量%以下であることが好ましい。
SIBにおける、各ブロックの重合度は、ゴム弾性と取り扱いの観点からイソブチレンでは300〜3,000程度、またスチレンでは10〜1,500程度であることが好ましい。
第2ポリマー組成物中のSIBの含有量は、ポリマー成分中10質量%以上100質量%以下である。SIBの含有量が10質量%未満であると、加硫接着力が低下するおそれがある。SIBの含有量は、さらに10質量%以上30質量%以下が好ましい。
前記SIBは、一般的なビニル系化合物の重合法により得ることができ、例えば、リビングカチオン重合法により得ることができる。たとえば、国際公開第2005/033035号には、攪拌機にメチルシクロヘキサン、n−ブチルクロライド、クミルクロライドを加え、−70℃に冷却した後、2時間反応させ、その後に大量のメタノールを添加して反応を停止させ、60℃で真空乾燥してSIBを得るという製造方法が開示されている。
(SIBS)
第2ポリマー組成物に配合されるSIBSは、第1ポリマー組成物と同様のものを用いることができる。
(その他の配合剤)
第2ポリマー組成物は、第1ポリマー組成物と同様に、架橋剤、架橋助剤、充填剤、老化防止剤、軟化剤、加工助剤などを含むことができる。
(第2層の厚さ)
第2層の厚さは、0.01mm以上0.3mm以下とすることができる。ここで第2層の厚さとは、第2層の平均厚さを意味する。第2層の厚さが0.01mm未満であると、インナーライナーを配置した生タイヤの加硫時に、第2層がプレス圧力で破れてしまい、加硫接着力が低下する恐れがある。一方、第2層の厚さが0.3mmを超えるとタイヤ重量が増加し低燃費性能が低下する。第2層の厚さは、さらに0.05mm以上0.2mm以下であることが好ましい。
第2層は、第2ポリマー組成物を押出成形、カレンダー成形といった熱可塑性樹脂、熱可塑性エラストマーをフィルム化する通常の方法によってフィルム化して得ることができる。
<インナーライナーの配置>
インナーライナーPLは、図3に示すように、第1層PL1および第2層PL2から構成される。該インナーライナーPLを空気入りタイヤに適用する場合、第2層PL2がカーカスプライ61に接するようにタイヤ半径方向外側に向けて設置すると、タイヤの加硫工程において、第2層PL2とカーカス61との接着強度を高めることができる。したがって得られた空気入りタイヤは、インナーライナーとカーカスプライ61のゴム層とが良好に接着しているため、優れた耐空気透過性および耐久性を有することができる。
<インナーライナーの製造方法>
インナーライナーは、たとえば以下の方法で製造することができる。押出成形やカレンダー成形などによって第1層および第2層を作製する。第1層と第2層とを貼り合わせて、インナーライナーを作製する。また、第1ポリマー組成物および第2ポリマー組成物のそれぞれのペレットをラミネート押出や共押出などの積層押出をして作製することもできる。
<空気入りタイヤの製造方法>
本発明の一実施の形態における空気入りタイヤは、たとえば以下の方法で製造することができる。
インナーライナーを配置した生タイヤを作製する。インナーライナーは、第2層をカーカスやインスレーションに接するようにタイヤ半径方向外側に向けて配置する。このように配置すると、タイヤ加硫工程において、第2層とカーカスまたはインスレーションなどの隣接ゴム層とが加硫接着することができる。したがって得られた空気入りタイヤにおいて、インナーライナーが隣接ゴム層と良好に接着しているため、優れた耐空気透過性および耐久性を有することができる。
なお、インナーライナーの厚さについて、ショルダー位置Peの厚さGe、クラウン中心位置Pcの厚さGc、最大幅位置Psの厚さGsは、第1層、第2層を押出すときの条件(押出速度、押出回転数)を調整することで、所望の厚さとすることができる。
空気入りタイヤに用いられるカーカスプライのゴム層の配合は、一般に用いられるゴム成分、例えば、天然ゴム、ポリイソプレン、スチレンーブタジエンゴム、ポリブタジエンゴムなどに、カーボンブラック、シリカなどの充填剤を配合したものを用いることができる。
次に、前記生タイヤを金型に装着し、ブラダーにより150〜180℃で3〜50分間、加圧しつつ加熱して加硫タイヤを得る。次に、得られた加硫タイヤを50〜120℃で10〜300秒間冷却することが好ましい。
空気入りタイヤのインナーライナーは、SIBSおよびSIBを用いている。SIBSおよびSIBは熱可塑性エラストマーであるため、加硫タイヤを得る工程において、たとえば150〜180℃に加熱されると、金型内で軟化状態となる。軟化状態の熱可塑性エラストマーは、固体状態よりも反応性が向上するため、隣接部材と融着する。すなわち、膨張したブラダーの外側表面と接するインナーライナーは、加熱により軟化してブラダーに融着してしまう。インナーライナーとブラダーの外側表面が融着した状態で加硫タイヤを金型から取り出そうとすると、インナーライナーが、隣接するインスレーションやカーカスから剥離してしまい、エアイン現象が生じてしまう。また、タイヤの形状自体が変形してしまう場合もある。
そこで、得られた加硫タイヤを直ちに120℃以下で10秒以上急冷することにより、インナーライナーに用いられている熱可塑性エラストマーを固化させることができる。熱可塑性エラストマーが固化すると、インナーライナーとブラダーとの融着が解消し、加硫タイヤを金型から取り出す際の離型性が向上する。
冷却温度は50〜120℃が好ましい。冷却温度が50℃より低いと、特別な冷却媒体を準備する必要があり、生産性を悪化させるおそれがある。冷却温度が120℃を超えると、熱可塑性エラストマーが十分に冷却されず、金型開放時にインナーライナーがブラダーに融着したままとなり、エアイン現象が発生するおそれがある。冷却温度は、70〜100℃であることがさらに好ましい。
冷却時間は10〜300秒間が好ましい。冷却時間が10秒より短いと熱可塑性エラストマーが十分に冷却されず、金型開放時にインナーライナーがブラダーに融着したままとなり、エアイン現象が発生する恐れがある。冷却時間が300秒を超えると生産性が悪くなる。冷却時間は、30〜180秒であることがさらに好ましい。
加硫タイヤを冷却する工程は、ブラダー内を冷却して行うことが好ましい。ブラダー内は空洞であるため、加硫工程終了後にブラダー内に前記冷却温度に調整された冷却媒体を導入することができる。
なお、加硫タイヤを冷却する工程は、ブラダー内を冷却することと併せて、金型に冷却構造を設置して実施することも可能である。
冷却媒体としては、空気、水蒸気、水およびオイルよりなる群から選択される1種以上を用いることが好ましい。なかでも、冷却効率に優れている水を用いることが好ましい。
<ポリマー成分の準備>
第1層および第2層に用いるポリマー成分を以下のとおり準備した。
<イソブチレン系変性共重合体>
(成分A−1)
成分A−1:(スチレン/β−ピネン)−イソブチレン−(スチレン/β−ピネン)ブロック共重合体(β−ピネン含量:9.7質量%、数平均分子量(Mn):103,000)。
成分A−1の製造方法は、以下のとおりである。
2Lのセパラブルフラスコの容器内を窒素で置換した後、注射器を用いて、モレキュラーシーブスで乾燥した、n−ヘキサン31.0mL及び同様に乾燥した塩化ブチル294.6mLを加え、重合容器を−70℃のドライアイスとメタノールの混合バス中につけて冷却した後、イソブチレンモノマー88.9mL(941.6mmol)が入っている三方コック付耐圧ガラス製液化採取管にテフロン(登録商標)製の送液チューブを接続し、
重合容器内にイソブチレンモノマーを窒素圧により送液した。p−ジクミルクロライド0.148g(0.6mmol)及びα−ピコリン0.07g(0.8mmol)を加えた。さらに四塩化チタン0.87mL(7.9mmol)を加えて重合を開始した。重合開始から1.5時間に、同様な温度で撹拌を行った後、重合溶液から重合溶液の1mLをサンプルとして抜き取った。そして−70℃に冷却しておいたスチレンモノマー10.4g(99.4mmol)とβ−ピネン6.8g(49.7mmol)を均一に攪拌した後、重合容器内に添加した。スチレンとβ−ピネンを添加して45分後に約40mLのメタノールを加えて反応を終了させた。反応溶液から溶剤等を留去した後、トルエンに溶解し2回水洗を行った。そしてトルエン溶液を多量のメタノールに加えて重合体を沈殿させ、得られた生成物を60℃で24時間真空乾燥した。GPC法により得られたブロック共重合体の分子量を測定した。数平均分子量(Mn)は103,000、Mw/Mnは1.21である。
(成分A−2)
成分A−2:(スチレン/β−ピネン)−イソブチレン−(スチレン/β−ピネン)ブロック共重合体(β−ピネン含量:5.3質量%、数平均分子量:107,000)。
成分A−2の製造方法は以下のとおりである。
2Lのセパラブルフラスコの容器内を窒素で置換した後、注射器を用いてモレキュラーシーブスで乾燥した、n−ヘキサン31.0mL及び同様に乾燥した塩化ブチル294.6mLを加え、重合容器を−70℃のドライアイスとメタノールの混合バス中につけて冷却した後、イソブチレンモノマー88.9mL(941.6mmol)が入っている三方コック付耐圧ガラス製液化採取管にテフロン(登録商標)製の送液チューブを接続し、重
合容器内にイソブチレンモノマーを窒素圧により送液した。p−ジクミルクロライド0.148g(0.6mmol)及びα−ピコリン0.07g(0.8mmol)を加えた。
次に四塩化チタン0.87mL(7.9mmol)を加えて重合を開始した。重合開始から1.5時間同じ温度で撹拌を行った後、重合溶液から重合溶液1mLをサンプルとして抜き取った。そして−70℃に冷却したスチレンモノマー10.4g(99.4mmol)とβ−ピネン3.6g(26.3mmol)を均一に攪拌したあと、重合容器内に添加した。スチレンとβ−ピネン添加45分後に約40mLのメタノールを加えて反応を終了させた。反応溶液から溶剤等を留去した後、トルエンに溶解し2回水洗を行った。さらにトルエン溶液を多量のメタノールに加えて重合体を沈殿させ、得られた重合体を60℃で24時間真空乾燥した。GPC法により得られたブロック重合体の分子量を測定した。ブロック共重合体の数平均分子量(Mn)が107,000、Mw/Mnが1.23である。
(成分A−3)
成分A−3:スチレン−(イソブチレン/β−ピネン)−スチレンブロック共重合体(β−ピネン含量5.3質量%、数平均分子量109,000)。
成分A−3の製造方法は、以下のとおりである。
2Lのセパラブルフラスコの重合容器内を窒素で置換した後、注射器を用いて、モレキュラーシーブスで乾燥した、n−ヘキサン31.0mL及びモレキュラーシーブスで乾燥した塩化ブチル294.6mLを加え、重合容器を−70℃のドライアイスとメタノール混合バス中につけて冷却した後、β−ピネン3.6g(26.3mmol)を添加した。
次にイソブチレンモノマー88.9mL(941.6mmol)が入っている三方コック付耐圧ガラス製液化採取管にテフロン(登録商標)製の送液チューブを接続し、重合容
器内にイソブチレンモノマーを窒素圧により送液した。さらにp−ジクミルクロライド0.148g(0.6mmol)及びα−ピコリン0.07g(0.8mmol)を加えた。次にさらに四塩化チタン0.87mL(7.9mmol)を加えて重合を開始した。重合開始から45分後、そして−70℃に冷却したスチレンモノマー10.4g(99.4mmol)を重合容器内に添加した。スチレンを添加してから45分後に約40mLのメタノールを加えて反応を終了させた。反応溶液から溶剤等を留去した後、トルエンに溶解し2回水洗を行った。さらにトルエン溶液を多量のメタノールに加えて重合体を沈殿させ、得られた重合体を60℃で24時間真空乾燥した。GPC法により得られたブロック共重合体の分子量を測定した。ブロック共重合体の数平均分子量(Mn)は109,000、Mw/Mnは1.21である。
<SIB>
攪拌機付き2L反応容器に、メチルシクロヘキサン(モレキュラーシーブスで乾燥したもの)589mL、n−ブチルクロライド(モレキュラーシーブスで乾燥したもの)613ml、クミルクロライド0.550gを加えた。反応容器を−70℃に冷却した後、α−ピコリン(2−メチルピリジン)0.35mL、イソブチレン179mLを添加した。さらに四塩化チタン9.4mLを加えて重合を開始し、−70℃で溶液を攪拌しながら2.0時間反応させた。次に反応容器にスチレン59mLを添加し、さらに60分間反応を続けた後、大量のメタノールを添加して反応を停止させた。反応溶液から溶剤などを除去した後に、重合体をトルエンに溶解して2回水洗した。このトルエン溶液をメタノール混合物に加えて重合体を沈殿させ、得られた重合体を60℃で24時間乾燥することによりスチレン−イソブチレンジブロック共重合体を得た(スチレン成分含有量:15質量%、重量平均分子量:70,000)。
<SIBS>
カネカ(株)社製の「シブスターSIBSTAR 102T(スチレン−イソブチレン−スチレンブロック共重合体、ショアA硬度25、スチレン成分含有量25質量%、重量平均分子量:100,000)」を用いた。
<インナーライナーの作製>
表1〜8に示す配合処方にしたがってポリマー成分を準備し、さらに以下の配合剤を添加して、バンバリーミキサー、ニーダー、2軸押出機(スクリュ径:φ50mm、L/D:30、シリンダ温度:220℃)にてブレンドして、ポリマー組成物を得た。その後、Tダイ押出機(スクリュ径:φ80mm、L/D:50、ダイリップ幅:500mm、シリンダ温度:220℃)にて第1層および第2層のポリマーシートを作製した後、貼り合わせてインナーライナーを作製した。なお、第1層および第2層のポリマーシートの厚みは平均厚みを示す。
(第1層の配合剤および配合量)
配合量は、SIBSおよびイソブチレン系変性共重合体の合計100質量部に対する量として記載する。
IIR(エクソンモービル(株)社製「エクソンクロロブチル1068」):70質量部
カーボンブラック(東海カーボン(株)社製「シーストV」): 70質量部
酸化亜鉛(三井金属鉱業(株)社製「亜鉛華1号」): 5質量部
ステアリン酸(花王(株)社製「ステアリン酸ルナックS30」): 2質量部
老化防止剤(大内新興化学社製「ノクラック6C」): 0.2質量部
加硫促進剤(大内新興化学社製「ノクセラーDM」): 2.5質量部
硫黄(鶴見化学工業(株)社製「粉末硫黄」): 1質量部
粘着防止剤(C9石油樹脂、荒川化学工業(株)社製「アルコンP140」、軟化点:140℃、重量平均分子量:900): 5質量部
(第2層の配合剤および配合量)
配合量は、SIBおよびSIBSの合計100質量部に対する量として記載する。
IIR(エクソンモービル(株)社製「エクソンクロロブチル1068」):70質量部
カーボンブラック(東海カーボン(株)社製「シーストV」): 50質量部
酸化亜鉛(三井金属鉱業(株)社製「亜鉛華1号」): 5質量部
ステアリン酸(花王(株)社製「ステアリン酸ルナックS30」): 2質量部
老化防止剤(大内新興化学社製「ノクラック6C」): 0.2質量部
加硫促進剤(大内新興化学社製「ノクセラーDM」): 1質量部
硫黄(鶴見化学工業(株)社製「粉末硫黄」): 1質量部
粘着防止剤(C9石油樹脂、荒川化学工業(株)社製「アルコンP140」、軟化点:140℃、重量平均分子量:900): 5質量部
<タイヤの作製>
インナーライナーを、タイヤのインナーライナー部分に適用して生タイヤを作製し、170℃で20分間プレス成形し、その後、100℃で3分間急冷して、195/65R1
5サイズのタイヤを作製した。
[評価試験]
各配合について、インナーライナーの加硫接着力、転がり抵抗および空気入りタイヤの屈曲亀裂成長性、静的空気圧低下率、エアインの有無について試験を行った。なお、実施例4〜8、12〜16、20〜24、参考例1〜9、比較例1〜47は比較例1を基準とし、実施例25、26、比較例48〜50は比較例48を基準として評価した。各試験の詳細を以下に示す。
<加硫接着力>
JIS−K−6256「加硫ゴム及び熱可塑性ゴムの接着性の求め方」に準じて、試験を行った。具体的には、インナーライナーとゴムシートを貼り合わせ170℃で20分間加硫する。加硫後に貼り合わせ界面で接着力を測定した。結果は指数で表示し、数値が高いほど接着力が大きく良好である。
加硫接着力(指数)=(各配合の加硫接着力)/(比較例1または比較例48の加硫接着力)×100
なお、ゴムシートの配合は以下のとおりである。
天然ゴム(注1) 100質量部
カーボンブラック(注2) 50質量部
亜鉛華(注3) 3質量部
老化防止剤(注4) 0.2質量部
硫黄(注5) 1質量部
加硫促進剤(注6) 1質量部
加硫助剤 (注7) 1質量部
(注1)TSR20
(注2)東海カーボン(株)社製「シーストV」(N660、N2SA:27m2/g)
(注3)酸化亜鉛(ZnO):三井金属鉱業(株)社製「亜鉛華1号」
(注4)大内新興化学社製「ノクラック6C」
(注5)鶴見化学工業(株)社製「粉末硫黄」
(注6)大内新興化学社製「ノクセラーDM」
(注7)ステアリン酸:花王(株)社製、「ステアリン酸ルナックS30」
<転がり抵抗>
粘弾性スペクトロメーターVES((株)岩本製作所製)を用いて、温度70℃、初期歪み10%、動歪み2%の条件下で各配合のtanδを測定し、比較例1のtanδを100として、下記計算式により指数表示した。指数が大きいほど転がりが低減されている。
転がり抵抗(指数)=(比較例1または比較例48のtanδ)/(各配合のtanδ)×100
<屈曲亀裂成長性>
屈曲亀裂成長性は、インナーライナーが割れたり剥がれたりするかどうかで評価した。試作タイヤをJIS規格リム15×6JJに組み付け、タイヤ内圧は150KPaで通常よりも低内圧に設定し、荷重は600kg、速度100km/h、走行距離20,000kmでタイヤの内部を観察し、亀裂、剥離の数を測定した。比較例1を基準として、各配合の亀裂成長性を指数で表示した。指数の値が大きいほど、屈曲亀裂成長が小さいことを示す。
屈曲亀裂成長性(指数)=(比較例1または比較例48の亀裂の数)/(各配合の亀裂の数)×100
<静的空気圧低下率>
195/65R15スチールラジアルPCタイヤをJIS規格リム15×6JJに組み
付け、初期空気圧300KPaを封入し、90日間室温で放置し、空気圧の低下率を計算した。結果は指数で表示し、数値が大きいほど空気圧低下率は低く良好である。
静的空気圧低下率(指数)=(比較例1または比較例48の静的空気圧低下率)/(各配合の静的空気圧低下率)×100
<エアインの有無>
加硫後のタイヤの内側を検査し、外観上エアインはタイヤ1本あたり0個をA、1個以上3個以下をB、4個以上をCとした。なお、エアインの大きさは直径5mm以下とし、直径5mmを超えるエアインがある場合は、エアインの数が1個でもCとした。
結果を表1〜8に示す。
Figure 0005466283
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Figure 0005466283
Figure 0005466283
表中、偏肉範囲(CL(%)/SW(%))とは以下を示している。
CL(%)=肉厚部のショルダー位置Peからクラウン中心位置Pc側への距離/ショルダー距離Wc×100
SW(%)=肉厚部のショルダー位置Peから最大幅位置Ps側への距離/サイド距離Ws×100
<評価結果>
第1層のポリマー成分が成分A−1、A−2またはA−3(イソブチレン系変性共重合体)を0.5質量%以上25質量%含む実施例4〜8、12〜16、20〜24、参考例1〜9は、加硫接着力、耐屈曲亀裂成長性、静的空気圧低下率に優れ、エアインも抑制されていることが分かった。さらに、第2層が同一配合であり、タイヤ構造も同一である実施例と比較例とを比べると、実施例は転がり抵抗が小さいことが分かった。
本発明の空気入りタイヤは、乗用車用空気入りタイヤのほか、トラック・バス用、重機用等の空気入りタイヤとして用いることができる。
今回開示された実施の形態および実施例はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
1 空気入りタイヤ、2 トレッド部、3 サイドウォール部、4 ビード部、5 ビードコア、6 カーカスプライ、7 ベルト層、8 ビードエーペックス、9,PL インナーライナー、PL1 第1層、PL2 第2層、Pe ショルダー位置、Pc クラウン中心位置、Ps タイヤ最大幅位置、Te トレッド部の接地端、Wc ショルダー距離、Ws サイド距離。

Claims (8)

  1. 一対のビード部の間に装架されたカーカスプライのタイヤ内側にインナーライナーを備えた空気入りタイヤであって、
    前記インナーライナーは、
    ポリマー成分がスチレン−イソブチレン−スチレントリブロック共重合体75質量%以上99.5質量%以下およびイソブチレン系変性共重合体0.5質量%以上25質量%以下を含む第1ポリマー組成物からなる厚さ0.05mm以上0.6mm以下の第1層と、
    ポリマー成分がスチレン−イソブチレンブロック共重合体10質量%以上90質量%以下およびスチレン−イソブチレン−スチレントリブロック共重合体10質量%以上90質量%以下を含む第2ポリマー組成物からなる厚さ0.01mm以上0.3mm以下の第2層とを含み、
    前記イソブチレン系変性共重合体は、イソブチレンを主体とする重合体ブロックと芳香族ビニル系化合物を主体とする重合体ブロックとからなり、少なくとも一つのブロックがβ−ピネンを含むランダム共重合体であり、
    前記第2層がカーカスプライのゴム層と接するように配置されており、
    前記インナーライナーはクラウン中央位置Pcにおける厚さGcよりもショルダー位置Peにおける厚さGeが厚い、空気入りタイヤ。
  2. タイヤ子午断面において、前記カーカスプライと前記インナーライナーの境界線に対してトレッド部の接地端Teからタイヤ内径方向に法線Lを引き前記境界線との交点をショルダー位置Peとし、前記カーカスプライと前記インナーライナーの境界線とタイヤ中心線CLとの交点をクラウン中心位置Pcとし、さらに前記ショルダー位置Peからクラウン中心位置Pcまでのインナーライナーの輪郭線に沿った距離をショルダー距離Wcとしたとき、
    前記インナーライナーの肉厚部は、前記ショルダー位置Peからクラウン中心位置Pc側に、前記ショルダー距離Wcの少なくとも10%の幅を有する領域に形成されている請求項1に記載の空気入りタイヤ。
  3. 前記インナーライナーの肉厚部は、前記ショルダー位置Peからクラウン中心位置Pc側に、前記ショルダー幅Wcの少なくとも50%以下の幅を有する領域に形成されている請求項1または2に記載の空気入りタイヤ。
  4. 前記インナーライナーの前記ショルダー位置Peからタイヤ最大幅位置Psまでのインナーライナーの輪郭線に沿った距離をサイド距離Wsとしたとき、前記インナーライナーの肉厚部は、前記ショルダー位置Peから前記最大幅位置Ps側に、前記サイド距離Wsの少なくとも20%の幅を有する領域に形成されている請求項1〜3のいずれか1項に記載の空気入りタイヤ。
  5. 前記インナーライナーの肉厚部は、前記ショルダー位置Peから前記最大幅位置Ps側に、前記最大幅距離Wsの100%以下の幅を有する領域に形成されている請求項1〜4のいずれか1項に記載の空気入りタイヤ。
  6. 前記インナーライナーは、クラウン中央位置Pcにおける厚さGcに対し、ショルダー位置Peの厚さGeは120%以上500%以下である請求項1〜5のいずれか1項に記載の空気入りタイヤ。
  7. 前記スチレン−イソブチレン−スチレントリブロック共重合体はスチレン成分含有量が10質量%以上30質量%以下であり、重量平均分子量が50,000以上400,000以下である請求項1〜6のいずれか1項に記載の空気入りタイヤ。
  8. 前記イソブチレン系変性共重合体の芳香族ビニル系化合物がスチレンである請求項1〜7のいずれか1項に記載の空気入りタイヤ。
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