JP2014098067A - 空気入りタイヤ - Google Patents
空気入りタイヤ Download PDFInfo
- Publication number
- JP2014098067A JP2014098067A JP2012249377A JP2012249377A JP2014098067A JP 2014098067 A JP2014098067 A JP 2014098067A JP 2012249377 A JP2012249377 A JP 2012249377A JP 2012249377 A JP2012249377 A JP 2012249377A JP 2014098067 A JP2014098067 A JP 2014098067A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- mass
- inner liner
- isobutylene
- styrene
- tire
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Granted
Links
Images
Landscapes
- Tires In General (AREA)
- Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)
- Graft Or Block Polymers (AREA)
- Polyoxymethylene Polymers And Polymers With Carbon-To-Carbon Bonds (AREA)
Abstract
【解決手段】スチレン−イソブチレン−スチレントリブロック共重合体75質量%以上99.5質量%以下およびイソブチレン系変性共重合体0.5質量%以上25質量%以下を含む第1ポリマー組成物からなる第1層と、ポリマー成分がスチレン−イソブチレンブロック共重合体10質量%以上100質量%以下およびスチレン−イソブチレン−スチレントリブロック共重合体0質量%以上90質量%以下を含む第2ポリマー組成物からなる第2層とを含むインナーライナー9を備え、第2層がカーカスプライ6のゴム層と接するように配置されている空気入りタイヤ。
【選択図】図1
Description
本発明の一実施の形態における空気入りタイヤを、図に基づき説明する。図1は、空気入りタイヤの右半分の概略断面図であり、図2は、そのトレッド部の拡大概略断面図である。図1において空気入りタイヤ1は、トレッド部2と、該トレッド部両端からトロイド形状を形成するようにサイドウォール部3とビード部4とを有している。さらに、ビード部4にはビードコア5が埋設される。また、一方のビード部4から他方のビード部に亘って設けられ、両端をビードコア5のまわりに折り返して係止されるカーカスプライ6と、該カーカスプライ6のクラウン部外側には、少なくとも2枚のプライよりなるベルト層7とが配置されている。
(ショルダー位置Pe)
タイヤ子午断面において、カーカスプライとインナーライナーの境界線に対してトレッド部の接地端Teからタイヤ内径方向に法線Lを引き、前記境界線との交点をショルダー位置Peと定義する。ここでトレッド部の接地端Teは、トレッド部の外側輪郭線を延長した線と、ショルダー部の外側輪郭線を延長した交点として定義される。
(クラウン中心位置Pc)
カーカスプライとインナーライナーの境界線とタイヤ中心線CLとの交点をクラウン中心位置Pcとする。
(タイヤ最大幅位置Ps)
タイヤに規定内圧を充填し標準リムを装着したときの外側輪郭線の最大幅位置Leをとおるタイヤ回転軸に平行な線とカーカスプライとインナーライナーの境界線との交点をタイヤ最大幅位置Psとする。
(ショルダー距離Wc)
前記ショルダー位置Peからクラウン中心位置Pcまでのインナーライナーの輪郭線に沿った距離をショルダー距離Wcとする。
(サイド距離Ws)
前記ショルダー位置Peからタイヤ最大幅位置Psまでのインナーライナーの輪郭線に沿った距離をサイド距離Wsとする。
(インナーライナー厚さ)
インナーライナーのクラウン中心位置Pcの厚さをGc、ショルダー位置Peにおける厚さをGe、最大幅位置Psにおける厚さをGsとする。
<インナーライナー>
本発明の一実施の形態において、空気入りタイヤのインナーライナーは第1層および第2層を含む。
(第1層)
第1層は、ポリマー成分がスチレン−イソブチレン−スチレントリブロック共重合体(以下、SIBSともいう)75質量%以上99.5質量%以下およびイソブチレン系変性共重合体0.5質量%以上25質量%以下を含む第1ポリマー組成物からなり、厚さ0.05mm以上0.6mm以下である。
(スチレン−イソブチレン−スチレントリブロック共重合体)
SIBSのイソブチレンブロック由来により、SIBSを含むポリマーフィルムは優れた耐空気透過性を有する。したがって、SIBSを含むポリマーフィルムをインナーライナーに用いた場合、耐空気透過性に優れた空気入りタイヤを得ることができる。
(イソブチレン系変性共重合体)
本明細書において、イソブチレン系変性共重合体とは、イソブチレンを主体とする重合体ブロックと芳香族ビニル系化合物を主体とする重合体ブロックとからなるイソブチレン系変性共重合体であって、少なくとも1つのブロックがβ−ピネンを含むランダム共重合体である。
(式中Xはハロゲン原子、炭素数1〜6のアルコキシ基またはアシロキシ基から選ばれる置換基、R1、R2はそれぞれ水素原子または炭素数1〜6の1価炭化水素基でR1、R2は同一であっても異なっていても良く、R3は一価若しくは多価芳香族炭化水素基または一価若しくは多価脂肪族炭化水素基であり、nは1〜6の自然数を示す。)
上記一般式(1)で表わされる化合物は開始剤となるものでルイス酸等の存在下で炭素陽イオンを生成し、カチオン重合の開始点になる。上記一般式(1)の化合物の例として、ビス(1−クロル−1−メチルエチル)ベンゼン[C6H4(C(CH3)2Cl)2]、トリス(1−クロル−1−メチルエチル)ベンゼン[(ClC(CH3)2)3C6H3]が例示される。
(その他の配合剤)
インナーライナーの第1層に用いられる第1ポリマー組成物は、架橋剤、架橋助剤を含むことができる。架橋剤は硫黄、テトラメチルチウラムジスルフィド、4,4−ジチオビスモルホリン、有機過酸化物、フェノールホルムアルデヒド樹脂、ハロメチルフェノールが使用できる。
(第1層の厚さ)
第1層の厚さは、0.05mm以上0.6mm以下とすることができる。ここで第1層の厚さとは、第1層の平均厚さを意味する。第1層の厚さが0.05mm未満であると、インナーライナーを配置した生タイヤの加硫時に、第1層がプレス圧力で破れてしまい、得られたタイヤにおいてエアーリーク現象が生じる虞がある。一方、第1層の厚さが0.6mmを超えるとタイヤ重量が増加し、低燃費性能が低下する。第1層の厚さは、さらに0.05mm以上0.4mm以下であることが好ましい。
(第2層)
第2層は、ポリマー成分がスチレン−イソブチレンブロック共重合体(以下、SIBともいう)10質量%以上100質量%以下およびスチレン−イソブチレン−スチレントリブロック共重合体(以下、SIBSともいう)0質量%以上90質量%以下を含む第2ポリマー組成物からなり、厚さ0.01mm以上0.3mm以下である。
(スチレン−イソブチレンブロック共重合体)
スチレン−イソブチレンジブロック共重合体(SIB)のイソブチレンブロックはソフトセグメントであるため、SIBを含むポリマーフィルムはゴム成分と加硫接着しやすい。したがって、SIBを含むポリマーフィルムをインナーライナーに用いた場合、該インナーライナーは、たとえばカーカスやインスレーションを形成する隣接ゴムとの接着性に優れているため、耐久性に優れた空気入りタイヤを得ることができる。
(SIBS)
第2ポリマー組成物に配合されるSIBSは、第1ポリマー組成物と同様のものを用いることができる。
(その他の配合剤)
第2ポリマー組成物は、第1ポリマー組成物と同様に、架橋剤、架橋助剤、充填剤、老化防止剤、軟化剤、加工助剤などを含むことができる。
(第2層の厚さ)
第2層の厚さは、0.01mm以上0.3mm以下とすることができる。ここで第2層の厚さとは、第2層の平均厚さを意味する。第2層の厚さが0.01mm未満であると、インナーライナーを配置した生タイヤの加硫時に、第2層がプレス圧力で破れてしまい、加硫接着力が低下する恐れがある。一方、第2層の厚さが0.3mmを超えるとタイヤ重量が増加し低燃費性能が低下する。第2層の厚さは、さらに0.05mm以上0.2mm以下であることが好ましい。
<インナーライナーの配置>
インナーライナーPLは、図3に示すように、第1層PL1および第2層PL2から構成される。該インナーライナーPLを空気入りタイヤに適用する場合、第2層PL2がカーカスプライ61に接するようにタイヤ半径方向外側に向けて設置すると、タイヤの加硫工程において、第2層PL2とカーカス61との接着強度を高めることができる。したがって得られた空気入りタイヤは、インナーライナーとカーカスプライ61のゴム層とが良好に接着しているため、優れた耐空気透過性および耐久性を有することができる。
インナーライナーは、たとえば以下の方法で製造することができる。押出成形やカレンダー成形などによって第1層および第2層を作製する。第1層と第2層とを貼り合わせて、インナーライナーを作製する。また、第1ポリマー組成物および第2ポリマー組成物のそれぞれのペレットをラミネート押出や共押出などの積層押出をして作製することもできる。
本発明の一実施の形態における空気入りタイヤは、たとえば以下の方法で製造することができる。
第1層および第2層に用いるポリマー成分を以下のとおり準備した。
<イソブチレン系変性共重合体>
(成分A−1)
成分A−1:(スチレン/β−ピネン)−イソブチレン−(スチレン/β−ピネン)ブロック共重合体(β−ピネン含量:9.7質量%、数平均分子量(Mn):103,000)。
2Lのセパラブルフラスコの容器内を窒素で置換した後、注射器を用いて、モレキュラーシーブスで乾燥した、n−ヘキサン31.0mL及び同様に乾燥した塩化ブチル294.6mLを加え、重合容器を−70℃のドライアイスとメタノールの混合バス中につけて冷却した後、イソブチレンモノマー88.9mL(941.6mmol)が入っている三方コック付耐圧ガラス製液化採取管にテフロン(登録商標)製の送液チューブを接続し、
重合容器内にイソブチレンモノマーを窒素圧により送液した。p−ジクミルクロライド0.148g(0.6mmol)及びα−ピコリン0.07g(0.8mmol)を加えた。さらに四塩化チタン0.87mL(7.9mmol)を加えて重合を開始した。重合開始から1.5時間に、同様な温度で撹拌を行った後、重合溶液から重合溶液の1mLをサンプルとして抜き取った。そして−70℃に冷却しておいたスチレンモノマー10.4g(99.4mmol)とβ−ピネン6.8g(49.7mmol)を均一に攪拌した後、重合容器内に添加した。スチレンとβ−ピネンを添加して45分後に約40mLのメタノールを加えて反応を終了させた。反応溶液から溶剤等を留去した後、トルエンに溶解し2回水洗を行った。そしてトルエン溶液を多量のメタノールに加えて重合体を沈殿させ、得られた生成物を60℃で24時間真空乾燥した。GPC法により得られたブロック共重合体の分子量を測定した。数平均分子量(Mn)は103,000、Mw/Mnは1.21である。
(成分A−2)
成分A−2:(スチレン/β−ピネン)−イソブチレン−(スチレン/β−ピネン)ブロック共重合体(β−ピネン含量:5.3質量%、数平均分子量:107,000)。
2Lのセパラブルフラスコの容器内を窒素で置換した後、注射器を用いてモレキュラーシーブスで乾燥した、n−ヘキサン31.0mL及び同様に乾燥した塩化ブチル294.6mLを加え、重合容器を−70℃のドライアイスとメタノールの混合バス中につけて冷却した後、イソブチレンモノマー88.9mL(941.6mmol)が入っている三方コック付耐圧ガラス製液化採取管にテフロン(登録商標)製の送液チューブを接続し、重
合容器内にイソブチレンモノマーを窒素圧により送液した。p−ジクミルクロライド0.148g(0.6mmol)及びα−ピコリン0.07g(0.8mmol)を加えた。
(成分A−3)
成分A−3:スチレン−(イソブチレン/β−ピネン)−スチレンブロック共重合体(β−ピネン含量5.3質量%、数平均分子量109,000)。
2Lのセパラブルフラスコの重合容器内を窒素で置換した後、注射器を用いて、モレキュラーシーブスで乾燥した、n−ヘキサン31.0mL及びモレキュラーシーブスで乾燥した塩化ブチル294.6mLを加え、重合容器を−70℃のドライアイスとメタノール混合バス中につけて冷却した後、β−ピネン3.6g(26.3mmol)を添加した。
器内にイソブチレンモノマーを窒素圧により送液した。さらにp−ジクミルクロライド0.148g(0.6mmol)及びα−ピコリン0.07g(0.8mmol)を加えた。次にさらに四塩化チタン0.87mL(7.9mmol)を加えて重合を開始した。重合開始から45分後、そして−70℃に冷却したスチレンモノマー10.4g(99.4mmol)を重合容器内に添加した。スチレンを添加してから45分後に約40mLのメタノールを加えて反応を終了させた。反応溶液から溶剤等を留去した後、トルエンに溶解し2回水洗を行った。さらにトルエン溶液を多量のメタノールに加えて重合体を沈殿させ、得られた重合体を60℃で24時間真空乾燥した。GPC法により得られたブロック共重合体の分子量を測定した。ブロック共重合体の数平均分子量(Mn)は109,000、Mw/Mnは1.21である。
<SIB>
攪拌機付き2L反応容器に、メチルシクロヘキサン(モレキュラーシーブスで乾燥したもの)589mL、n−ブチルクロライド(モレキュラーシーブスで乾燥したもの)613ml、クミルクロライド0.550gを加えた。反応容器を−70℃に冷却した後、α−ピコリン(2−メチルピリジン)0.35mL、イソブチレン179mLを添加した。さらに四塩化チタン9.4mLを加えて重合を開始し、−70℃で溶液を攪拌しながら2.0時間反応させた。次に反応容器にスチレン59mLを添加し、さらに60分間反応を続けた後、大量のメタノールを添加して反応を停止させた。反応溶液から溶剤などを除去した後に、重合体をトルエンに溶解して2回水洗した。このトルエン溶液をメタノール混合物に加えて重合体を沈殿させ、得られた重合体を60℃で24時間乾燥することによりスチレン−イソブチレンジブロック共重合体を得た(スチレン成分含有量:15質量%、重量平均分子量:70,000)。
<SIBS>
カネカ(株)社製の「シブスターSIBSTAR 102T(スチレン−イソブチレン−スチレンブロック共重合体、ショアA硬度25、スチレン成分含有量25質量%、重量平均分子量:100,000)」を用いた。
<インナーライナーの作製>
表1〜8に示す配合処方にしたがってポリマー成分を準備し、さらに以下の配合剤を添加して、バンバリーミキサー、ニーダー、2軸押出機(スクリュ径:φ50mm、L/D:30、シリンダ温度:220℃)にてブレンドして、ポリマー組成物を得た。その後、Tダイ押出機(スクリュ径:φ80mm、L/D:50、ダイリップ幅:500mm、シリンダ温度:220℃)にて第1層および第2層のポリマーシートを作製した後、貼り合わせてインナーライナーを作製した。なお、第1層および第2層のポリマーシートの厚みは平均厚みを示す。
(第1層の配合剤および配合量)
配合量は、SIBSおよびイソブチレン系変性共重合体の合計100質量部に対する量として記載する。
カーボンブラック(東海カーボン(株)社製「シーストV」): 70質量部
酸化亜鉛(三井金属鉱業(株)社製「亜鉛華1号」): 5質量部
ステアリン酸(花王(株)社製「ステアリン酸ルナックS30」): 2質量部
老化防止剤(大内新興化学社製「ノクラック6C」): 0.2質量部
加硫促進剤(大内新興化学社製「ノクセラーDM」): 2.5質量部
硫黄(鶴見化学工業(株)社製「粉末硫黄」): 1質量部
粘着防止剤(C9石油樹脂、荒川化学工業(株)社製「アルコンP140」、軟化点:140℃、重量平均分子量:900): 5質量部
(第2層の配合剤および配合量)
配合量は、SIBおよびSIBSの合計100質量部に対する量として記載する。
カーボンブラック(東海カーボン(株)社製「シーストV」): 50質量部
酸化亜鉛(三井金属鉱業(株)社製「亜鉛華1号」): 5質量部
ステアリン酸(花王(株)社製「ステアリン酸ルナックS30」): 2質量部
老化防止剤(大内新興化学社製「ノクラック6C」): 0.2質量部
加硫促進剤(大内新興化学社製「ノクセラーDM」): 1質量部
硫黄(鶴見化学工業(株)社製「粉末硫黄」): 1質量部
粘着防止剤(C9石油樹脂、荒川化学工業(株)社製「アルコンP140」、軟化点:140℃、重量平均分子量:900): 5質量部
<タイヤの作製>
インナーライナーを、タイヤのインナーライナー部分に適用して生タイヤを作製し、170℃で20分間プレス成形し、その後、100℃で3分間急冷して、195/65R15サイズのタイヤを作製した。
[評価試験]
各配合について、インナーライナーの加硫接着力、転がり抵抗および空気入りタイヤの屈曲亀裂成長性、静的空気圧低下率、エアインの有無について試験を行った。なお、実施例1〜24、比較例1〜47は比較例1を基準とし、実施例25、26、比較例48〜50は比較例48を基準として評価した。各試験の詳細を以下に示す。
<加硫接着力>
JIS−K−6256「加硫ゴム及び熱可塑性ゴムの接着性の求め方」に準じて、試験を行った。具体的には、インナーライナーとゴムシートを貼り合わせ170℃で20分間加硫する。加硫後に貼り合わせ界面で接着力を測定した。結果は指数で表示し、数値が高いほど接着力が大きく良好である。
加硫接着力(指数)=(各配合の加硫接着力)/(比較例1または比較例48の加硫接着力)×100
なお、ゴムシートの配合は以下のとおりである。
カーボンブラック(注2) 50質量部
亜鉛華(注3) 3質量部
老化防止剤(注4) 0.2質量部
硫黄(注5) 1質量部
加硫促進剤(注6) 1質量部
加硫助剤 (注7) 1質量部
(注1)TSR20
(注2)東海カーボン(株)社製「シーストV」(N660、N2SA:27m2/g)
(注3)酸化亜鉛(ZnO):三井金属鉱業(株)社製「亜鉛華1号」
(注4)大内新興化学社製「ノクラック6C」
(注5)鶴見化学工業(株)社製「粉末硫黄」
(注6)大内新興化学社製「ノクセラーDM」
(注7)ステアリン酸:花王(株)社製、「ステアリン酸ルナックS30」
<転がり抵抗>
粘弾性スペクトロメーターVES((株)岩本製作所製)を用いて、温度70℃、初期歪み10%、動歪み2%の条件下で各配合のtanδを測定し、比較例1のtanδを100として、下記計算式により指数表示した。指数が大きいほど転がりが低減されている。
転がり抵抗(指数)=(比較例1または比較例48のtanδ)/(各配合のtanδ)×100
<屈曲亀裂成長性>
屈曲亀裂成長性は、インナーライナーが割れたり剥がれたりするかどうかで評価した。試作タイヤをJIS規格リム15×6JJに組み付け、タイヤ内圧は150KPaで通常よりも低内圧に設定し、荷重は600kg、速度100km/h、走行距離20,000kmでタイヤの内部を観察し、亀裂、剥離の数を測定した。比較例1を基準として、各配合の亀裂成長性を指数で表示した。指数の値が大きいほど、屈曲亀裂成長が小さいことを示す。
屈曲亀裂成長性(指数)=(比較例1または比較例48の亀裂の数)/(各配合の亀裂の数)×100
<静的空気圧低下率>
195/65R15スチールラジアルPCタイヤをJIS規格リム15×6JJに組み付け、初期空気圧300KPaを封入し、90日間室温で放置し、空気圧の低下率を計算した。結果は指数で表示し、数値が大きいほど空気圧低下率は低く良好である。
静的空気圧低下率(指数)=(各配合の静的空気圧低下率)/(比較例1または比較例48の静的空気圧低下率)×100
<エアインの有無>
加硫後のタイヤの内側を検査し、外観上エアインはタイヤ1本あたり0個をA、1個以上3個以下をB、4個以上をCとした。なお、エアインの大きさは直径5mm以下とし、直径5mmを超えるエアインがある場合は、エアインの数が1個でもCとした。
CL(%)=肉厚部のショルダー位置Peからクラウン中心位置Pc側への距離/ショルダー距離Wc×100
SW(%)=肉厚部のショルダー位置Peから最大幅位置Ps側への距離/サイド距離Ws×100
<評価結果>
第1層のポリマー成分が成分A−1、A−2またはA−3(イソブチレン系変性共重合体)を0.5質量%以上25質量%含む実施例1〜26は、加硫接着力、耐屈曲亀裂成長性、静的空気圧低下率に優れ、エアインも抑制されていることが分かった。さらに、第2層が同一配合であり、タイヤ構造も同一である実施例と比較例とを比べると、実施例は転がり抵抗が小さいことが分かった。
カーボンブラック(東海カーボン(株)社製「シーストV」): 50質量部
酸化亜鉛(三井金属鉱業(株)社製「亜鉛華1号」): 5質量部
ステアリン酸(花王(株)社製「ステアリン酸ルナックS30」): 2質量部
老化防止剤(大内新興化学社製「ノクラック6C」): 0.2質量部
加硫促進剤(大内新興化学社製「ノクセラーDM」): 1質量部
硫黄(鶴見化学工業(株)社製「粉末硫黄」): 1質量部
粘着防止剤(C9石油樹脂、荒川化学工業(株)社製「アルコンP140」、軟化点:140℃、重量平均分子量:900): 5質量部
<タイヤの作製>
インナーライナーを、タイヤのインナーライナー部分に適用して生タイヤを作製し、170℃で20分間プレス成形し、その後、100℃で3分間急冷して、195/65R1
5サイズのタイヤを作製した。
[評価試験]
各配合について、インナーライナーの加硫接着力、転がり抵抗および空気入りタイヤの屈曲亀裂成長性、静的空気圧低下率、エアインの有無について試験を行った。なお、実施例4〜8、12〜16、20〜24、参考例1〜9、比較例1〜47は比較例1を基準とし、実施例25、26、比較例48〜50は比較例48を基準として評価した。各試験の詳細を以下に示す。
<加硫接着力>
JIS−K−6256「加硫ゴム及び熱可塑性ゴムの接着性の求め方」に準じて、試験を行った。具体的には、インナーライナーとゴムシートを貼り合わせ170℃で20分間加硫する。加硫後に貼り合わせ界面で接着力を測定した。結果は指数で表示し、数値が高いほど接着力が大きく良好である。
加硫接着力(指数)=(各配合の加硫接着力)/(比較例1または比較例48の加硫接着力)×100
なお、ゴムシートの配合は以下のとおりである。
カーボンブラック(注2) 50質量部
亜鉛華(注3) 3質量部
老化防止剤(注4) 0.2質量部
硫黄(注5) 1質量部
加硫促進剤(注6) 1質量部
加硫助剤 (注7) 1質量部
(注1)TSR20
(注2)東海カーボン(株)社製「シーストV」(N660、N2SA:27m2/g)
(注3)酸化亜鉛(ZnO):三井金属鉱業(株)社製「亜鉛華1号」
(注4)大内新興化学社製「ノクラック6C」
(注5)鶴見化学工業(株)社製「粉末硫黄」
(注6)大内新興化学社製「ノクセラーDM」
(注7)ステアリン酸:花王(株)社製、「ステアリン酸ルナックS30」
<転がり抵抗>
粘弾性スペクトロメーターVES((株)岩本製作所製)を用いて、温度70℃、初期歪み10%、動歪み2%の条件下で各配合のtanδを測定し、比較例1のtanδを100として、下記計算式により指数表示した。指数が大きいほど転がりが低減されている。
転がり抵抗(指数)=(比較例1または比較例48のtanδ)/(各配合のtanδ)×100
<屈曲亀裂成長性>
屈曲亀裂成長性は、インナーライナーが割れたり剥がれたりするかどうかで評価した。試作タイヤをJIS規格リム15×6JJに組み付け、タイヤ内圧は150KPaで通常よりも低内圧に設定し、荷重は600kg、速度100km/h、走行距離20,000kmでタイヤの内部を観察し、亀裂、剥離の数を測定した。比較例1を基準として、各配合の亀裂成長性を指数で表示した。指数の値が大きいほど、屈曲亀裂成長が小さいことを示す。
屈曲亀裂成長性(指数)=(比較例1または比較例48の亀裂の数)/(各配合の亀裂の数)×100
<静的空気圧低下率>
195/65R15スチールラジアルPCタイヤをJIS規格リム15×6JJに組み
付け、初期空気圧300KPaを封入し、90日間室温で放置し、空気圧の低下率を計算した。結果は指数で表示し、数値が大きいほど空気圧低下率は低く良好である。
静的空気圧低下率(指数)=(比較例1または比較例48の静的空気圧低下率)/(各配合の静的空気圧低下率)×100
<エアインの有無>
加硫後のタイヤの内側を検査し、外観上エアインはタイヤ1本あたり0個をA、1個以上3個以下をB、4個以上をCとした。なお、エアインの大きさは直径5mm以下とし、直径5mmを超えるエアインがある場合は、エアインの数が1個でもCとした。
CL(%)=肉厚部のショルダー位置Peからクラウン中心位置Pc側への距離/ショルダー距離Wc×100
SW(%)=肉厚部のショルダー位置Peから最大幅位置Ps側への距離/サイド距離Ws×100
<評価結果>
第1層のポリマー成分が成分A−1、A−2またはA−3(イソブチレン系変性共重合体)を0.5質量%以上25質量%含む実施例4〜8、12〜16、20〜24、参考例1〜9は、加硫接着力、耐屈曲亀裂成長性、静的空気圧低下率に優れ、エアインも抑制されていることが分かった。さらに、第2層が同一配合であり、タイヤ構造も同一である実施例と比較例とを比べると、実施例は転がり抵抗が小さいことが分かった。
Claims (8)
- 一対のビード部の間に装架されたカーカスプライのタイヤ内側にインナーライナーを備えた空気入りタイヤであって、
前記インナーライナーは、
ポリマー成分がスチレン−イソブチレン−スチレントリブロック共重合体75質量%以上99.5質量%以下およびイソブチレン系変性共重合体0.5質量%以上25質量%以下を含む第1ポリマー組成物からなる厚さ0.05mm以上0.6mm以下の第1層と、
ポリマー成分がスチレン−イソブチレンブロック共重合体10質量%以上100質量%以下およびスチレン−イソブチレン−スチレントリブロック共重合体0質量%以上90質量%以下を含む第2ポリマー組成物からなる厚さ0.01mm以上0.3mm以下の第2層とを含み、
前記イソブチレン系変性共重合体は、イソブチレンを主体とする重合体ブロックと芳香族ビニル系化合物を主体とする重合体ブロックとからなり、少なくとも一つのブロックがβ−ピネンを含むランダム共重合体であり、
前記第2層がカーカスプライのゴム層と接するように配置されており、
前記インナーライナーはクラウン中央位置Pcにおける厚さGcよりもショルダー位置Peにおける厚さGeが厚い、空気入りタイヤ。 - タイヤ子午断面において、前記カーカスプライと前記インナーライナーの境界線に対してトレッド部の接地端Teからタイヤ内径方向に法線Lを引き前記境界線との交点をショルダー位置Peとし、前記カーカスプライと前記インナーライナーの境界線とタイヤ中心線CLとの交点をクラウン中心位置Pcとし、さらに前記ショルダー位置Peからクラウン中心位置Pcまでのインナーライナーの輪郭線に沿った距離をショルダー距離Wcとしたとき、
前記インナーライナーの肉厚部は、前記ショルダー位置Peからクラウン中心位置Pc側に、前記ショルダー距離Wcの少なくとも10%の幅を有する領域に形成されている請求項1に記載の空気入りタイヤ。 - 前記インナーライナーの肉厚部は、前記ショルダー位置Peからクラウン中心位置Pc側に、前記ショルダー幅Wcの少なくとも50%以下の幅を有する領域に形成されている請求項1または2に記載の空気入りタイヤ。
- 前記インナーライナーの前記ショルダー位置Peからタイヤ最大幅位置Psまでのインナーライナーの輪郭線に沿った距離をサイド距離Wsとしたとき、前記インナーライナーの肉厚部は、前記ショルダー位置Peから前記最大幅位置Ps側に、前記サイド距離Wsの少なくとも20%の幅を有する領域に形成されている請求項1〜3のいずれか1項に記載の空気入りタイヤ。
- 前記インナーライナーの肉厚部は、前記ショルダー位置Peから前記最大幅位置Ps側に、前記最大幅距離Wsの100%以下の幅を有する領域に形成されている請求項1〜4のいずれか1項に記載の空気入りタイヤ。
- 前記インナーライナーは、クラウン中央位置Pcにおける厚さGcに対し、ショルダー位置Peの厚さGeは120%以上500%以下である請求項1〜5のいずれか1項に記載の空気入りタイヤ。
- 前記スチレン−イソブチレン−スチレントリブロック共重合体はスチレン成分含有量が10質量%以上30質量%以下であり、重量平均分子量が50,000以上400,000以下である請求項1〜6のいずれか1項に記載の空気入りタイヤ。
- 前記イソブチレン系変性共重合体の芳香族ビニル系化合物がスチレンである請求項1〜7のいずれか1項に記載の空気入りタイヤ。
Priority Applications (2)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2012249377A JP5466283B1 (ja) | 2012-11-13 | 2012-11-13 | 空気入りタイヤ |
PCT/JP2013/064910 WO2014024547A1 (ja) | 2012-08-07 | 2013-05-29 | 空気入りタイヤ |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2012249377A JP5466283B1 (ja) | 2012-11-13 | 2012-11-13 | 空気入りタイヤ |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP5466283B1 JP5466283B1 (ja) | 2014-04-09 |
JP2014098067A true JP2014098067A (ja) | 2014-05-29 |
Family
ID=50619453
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2012249377A Expired - Fee Related JP5466283B1 (ja) | 2012-08-07 | 2012-11-13 | 空気入りタイヤ |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP5466283B1 (ja) |
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2018509504A (ja) * | 2015-03-09 | 2018-04-05 | コンパニー ゼネラール デ エタブリッスマン ミシュラン | ブロック共重合体(A−b−(α−メチルスチレン−co−B))n−b−Cの形態の熱可塑性エラストマーで作製されたエラストマー層を備えたタイヤ |
WO2021075766A1 (ko) * | 2019-10-15 | 2021-04-22 | 대림산업 주식회사 | 고무 조성물 |
KR20210045308A (ko) * | 2019-10-15 | 2021-04-26 | 디엘 주식회사 | 고무 조성물 |
Citations (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2012091627A (ja) * | 2010-10-26 | 2012-05-17 | Sumitomo Rubber Ind Ltd | 空気入りタイヤ |
JP2012101751A (ja) * | 2010-11-12 | 2012-05-31 | Sumitomo Rubber Ind Ltd | 空気入りタイヤ |
-
2012
- 2012-11-13 JP JP2012249377A patent/JP5466283B1/ja not_active Expired - Fee Related
Patent Citations (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2012091627A (ja) * | 2010-10-26 | 2012-05-17 | Sumitomo Rubber Ind Ltd | 空気入りタイヤ |
JP2012101751A (ja) * | 2010-11-12 | 2012-05-31 | Sumitomo Rubber Ind Ltd | 空気入りタイヤ |
Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2018509504A (ja) * | 2015-03-09 | 2018-04-05 | コンパニー ゼネラール デ エタブリッスマン ミシュラン | ブロック共重合体(A−b−(α−メチルスチレン−co−B))n−b−Cの形態の熱可塑性エラストマーで作製されたエラストマー層を備えたタイヤ |
WO2021075766A1 (ko) * | 2019-10-15 | 2021-04-22 | 대림산업 주식회사 | 고무 조성물 |
KR20210045308A (ko) * | 2019-10-15 | 2021-04-26 | 디엘 주식회사 | 고무 조성물 |
KR102393234B1 (ko) * | 2019-10-15 | 2022-05-03 | 디엘케미칼 주식회사 | 고무 조성물 |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP5466283B1 (ja) | 2014-04-09 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP5508347B2 (ja) | インナーライナー用ポリマー積層体および空気入りタイヤ | |
JP4435253B2 (ja) | インナーライナーおよび空気入りタイヤ | |
JP5138758B2 (ja) | 空気入りタイヤ | |
JP5330350B2 (ja) | インナーライナー用ポリマーシートおよびそれを用いた空気入りタイヤ | |
JP2011051320A (ja) | ポリマー積層体およびそれをインナーライナーに用いた空気入りタイヤ | |
JP2010013647A (ja) | サイドウォール保護膜および空気入りタイヤ | |
WO2013069342A1 (ja) | 空気入りタイヤ | |
JP5781753B2 (ja) | 空気入りタイヤ | |
JP5603211B2 (ja) | 空気入りタイヤ | |
JP5466283B1 (ja) | 空気入りタイヤ | |
JP5670699B2 (ja) | 空気入りタイヤ | |
JP5143945B1 (ja) | 空気入りタイヤ | |
JP5566430B2 (ja) | 空気入りタイヤ | |
JP5497829B2 (ja) | 空気入りタイヤ | |
JP5632686B2 (ja) | 空気入りタイヤ | |
JP5466288B1 (ja) | 空気入りタイヤ | |
JP5469155B2 (ja) | 空気入りタイヤの製造方法 | |
WO2014024547A1 (ja) | 空気入りタイヤ | |
JP5215438B2 (ja) | 空気入りタイヤ | |
JP5342683B1 (ja) | 空気入りタイヤ | |
JP5575056B2 (ja) | 空気入りタイヤ | |
JP5809118B2 (ja) | 空気入りタイヤ | |
JP5260716B2 (ja) | ストリップおよび空気入りタイヤの製造方法 | |
JP5342636B2 (ja) | 空気入りタイヤ | |
JP5053452B1 (ja) | 空気入りタイヤ |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20140107 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20140123 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 Ref document number: 5466283 Country of ref document: JP Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
LAPS | Cancellation because of no payment of annual fees |