JP2014035890A - 蓄電デバイスの製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 安全性の高いセパレータと電解液を使用した蓄電デバイスを簡易にかつ生産性よく製造する方法を提供すること。
【解決手段】 少なくとも一対の電極と、それらの間に配置されたセパレータと、非水系溶媒に電解質を溶解させた非水系電解液とを備えた蓄電デバイスの製造方法であって、少なくとも1回の超音波照射工程を含む蓄電デバイスの製造方法とする。
【選択図】 なし

Description

本発明は、安全性の高いセパレータと電解液を使用した蓄電デバイスを簡易にかつ生産性よく製造する方法に関する。
リチウムイオン電池、リチウムイオンキャパシタに代表される非水系蓄電デバイスは、高いエネルギー密度を特徴とするものであるが、使用する電解液が有機溶媒であり、水溶液溶媒を使用する水系蓄電デバイスと比較して、漏液性、安全性などの点では問題を抱えている。そこで、安全性を確保するために、高誘電率・高粘度の環状カーボネート系溶媒やイオン性液体などの、難燃性の電解液を使用する検討がなされている(例えば特許文献1〜6)。しかし、このような電解液は一般にセパレータなどへの浸透性が悪いものであった。さらに、安全性を確保するために、耐熱性の高い多孔性ポリプロピレンフィルムをセパレータに用いる検討がなされている(例えば特許文献7,8)。しかし、ポリプロピレンは表面自由エネルギーが低く、電解液吸液性が悪い。
以上のように、安全性の高い非水系蓄電デバイスの製造における注液工程のタクトタイムは現状長いものである。しかし、近年の非水溶媒系蓄電デバイスの用電解液は、電池の高性能・高容量化を目的として、前述のような高誘電率・高粘度溶媒を使用する傾向があり、またセパレータも安全性は高いが電解液浸透性が悪い部材を使用する傾向があり、非水系蓄電デバイスの製造における注液工程のタクトタイム短縮化は、大きな課題である。
特開2001−81218号公報 特開2003−331918号公報 特開2007−207675号公報 特開2010−287380号公報 特許第3426869号公報 特開2008−106237号公報 特開平01−103634号公報 特開2008−248231号公報
本発明の課題は、上記した問題点を解決することにある。すなわち、安全性の高いセパレータと電解液を使用した蓄電デバイスを簡易にかつ生産性よく製造する方法の提供である。
上記目的を達成するための本発明は、少なくとも一対の電極と、それらの間に配置されたセパレータと、非水系溶媒に電解質を溶解させた非水系電解液とを備えた蓄電デバイスの製造方法であって、少なくとも1回の超音波照射工程を含む蓄電デバイスの製造方法である。
本発明の製造方法は、安全性の高いセパレータと電解液を使用した蓄電デバイスを簡易にかつ生産性よく製造できる。
本発明において、蓄電デバイスとは、非水系電解液(非水系溶媒に電解質を溶解させたもの)を使用するものをいう。具体的には、リチウムイオン二次電池、リチウムイオンキャパシタ、電気二重層キャパシタ(EDLC)等が挙げられる。
一般に、蓄電デバイスの製造方法には、少なくとも一対の電極を、その間にセパレータを介して積層または巻回して形成したデバイス素子に非水系電解液を含浸させる工程と、前記デバイス素子を収容したケースを封口する工程とを含んでいるが、本発明の蓄電デバイスの製造方法では、全製造工程中に少なくとも1回の超音波照射工程を設けることを特徴としている。
超音波を照射する理由は、非水系電解液または非水系溶媒の細孔部(特にセパレータ)への浸透促進のためである。本発明者らは、一般に浸透性の悪い非水系電解液または非水系溶媒やセパレータを使用する蓄電デバイスの製造工程において、超音波を照射することで、速やかに非水系電解液または非水系溶媒がセパレータ(の細孔内)に浸透することを見出した。超音波を照射することによりセパレータへの非水系電解液または非水系溶媒または非水系溶媒浸透が促進される詳細な原因は不明である。表面に微細な孔が存在するセパレータに非水系電解液または非水系溶媒が接触したとき、「蓮の葉が水をはじく」が如く(ロータス効果)、非水系電解液または非水系溶媒がセパレータ内部に浸透しにくくなっていることがある。このとき、超音波を照射することにより、微細な振動が加わることにより、非水系電解液または非水系溶媒とセパレータの接触状態がわずかに変化し、ロータス効果を乱すために、セパレータ内部に非水系電解液または非水系溶媒が浸透しやすくなるものと推定している。
したがって、工程のどの部分で超音波をあててもよい。具体的には、非水系電解液または非水系溶媒にセパレータを浸漬した状態で超音波照射することで、非水系電解液または非水系溶媒が含浸したセパレータを予め用意し、この含浸セパレータを以後の組み立て工程等に適用することが考えられる。これにより、たとえば、少なくとも一対の電極を、その間にセパレータを介して積層または巻回して形成したデバイス素子に非水系電解液を含浸させる際、既にセパレータには非水系電解液または非水系溶媒が含浸されているため、デバイス素子全体への非水系電解液浸透が短時間で行われる。
また、少なくとも一対の電極を、その間にセパレータを介して積層または巻回して形成したデバイス素子に非水系電解液を注入したのち、デバイス素子を収容したケースを封口する前または後に超音波を照射してもよい。枚葉型の積層電池であれば、超音波照射によって発生した微量の気体によって隙間が生じ、極板やセパレータが動いてしまい、短絡する可能性があるので、超音波照射の時間や強度(出力密度)を適宜調整することが好ましい。出力密度としては、特に限定されるものではないが、0.1〜1W/cmの範囲が好ましい。なお出力密度は、超音波照射装置の出力(W)を超音波照射領域の面積(cm)で除することにより求められる。超音波の照射にあたっては、超音波発生装置を備えた液槽にデバイス素子または蓄電デバイスを沈めて超音波照射してもよいし、超音波発生装置を備えた振動板にデバイス素子または蓄電デバイスを乗せて超音波を照射してもよい。
もちろん、上記した、予め非水系電解液や非水系溶媒を超音波により含浸せしめた含浸セパレータを用い、さらに上記したように封口の前および/または後に超音波照射を行っても(併用しても)よい。
超音波を照射する時間は、特に限定されるものではないが、1〜30秒が好ましく、より好ましくは1〜10秒である。超音波を照射する時間が短すぎると非水系電解液または非水系溶媒が充分に浸透しない可能性があり、長すぎるとセパレータの微細構造を破壊したり、活物質が極板から脱離してしまう可能性がある。
照射する超音波の周波数は、特に限定されるものではないが、17〜200kHzが好ましく、17〜44kHzがより好ましく、24〜44kHzがさらに好ましい。照射する超音波の周波数が低すぎると、キャビテーション(液体中の圧力差により短時間に泡の発生と消滅が起きる物理現象。泡が消滅する瞬間に衝撃波を発生させる)による非水系蓄電デバイスの構成部材へのダメージが大きくなりすぎる場合がある。周波数が高すぎると、非水系電解液または非水系溶媒が充分に浸透しない可能性がある。
本発明の製造方法によって製造される非水系蓄電デバイスの構成部材(活物質、導電助剤、集電箔、バインダー、セパレータ、非水系溶媒、電解質、添加剤、外装材、端子類など)、構造(捲廻型、積層型など)については通常の非水系蓄電デバイスに用いられているものであれば特に限定はない。
本発明の製造方法は、セパレータに非水系溶媒を滴下した際、厚み方向の浸透時間が10秒以上である場合に効果的である。より効果的には30秒以上、さらに好ましくは60秒以上であり、数時間たっても浸透しないようなセパレータの場合、特に有効である。セパレータに非水系溶媒を滴下した際、厚み方向の浸透時間が10秒以上であることは、通常の製造方法において注液工程のタクトタイムが長いことを意味している。このような構成部材の組み合わせである場合、本発明の製造方法を用いることによって、タクトタイムを大幅に短縮できるものである。なお、厚み方向の浸透時間は、後述する方法によって評価する。
非水系溶媒としては、特に限定されるものではないが、環状カーボネート系溶媒(プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、など)、環状エステル系溶媒(γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン、など)、ジメトキシメタン、1,3−ジメトキシメタン、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、1,3−ジオキソラン、4−メチル−1,3−ジオキソラン、メチルフォルメイト、メチルアセテート、メチルプロピオネート、直鎖カーボネート系溶媒(ジメチルカーボネート、エチルメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、など)、アセトニトリル、3−メチルスルホラン、N,N−ジメチルホルムアミド、アセトン、イオン性液体あるいはこれらの混合電解液を使用することができる。イオン性液体とは、常温でも液体状を示すイオン性物質の総称であり、不揮発性・難燃性という優れた特徴を持っている。イオン性液体としては、特に限定されるものではないが、前述した特許文献2〜5に記載のものを挙げることができる。これらの中でも、難燃性のため安全性は高いが、高粘度なため一般的にセパレータなどへの浸透性が悪い環状カーボネート系溶媒、環状エステル系溶媒、イオン性液体であっても本発明では好ましく用いることができる。
セパレータとしては、特に限定されるものではないが、例えば高分子材料からなる多孔性フィルムや、不織布が挙げられる。また、これ以外にも、セルロースやセラミックからなるセパレータを用いてもよい。多孔性フィルムに用いられる高分子材料としては、例えば、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)等のポリオレフィン、ポリエチレンテレフタレート、ポリアミドおよびポリイミド等が挙げられる。また、不織布に用いられる材料としては、例えば、綿、レーヨン、アセテート、ナイロン、ポリエステル、ポリプロピレンやポリエチレン等のポリオレフィン、ポリアクリロニトリル、ポリイミド、ならびにアラミド樹脂等が挙げられる。これらの中でも、表面自由エネルギーが低く、一般的に厚み方向の電解液吸液性が悪いポリプロピレン樹脂を主成分として含む層を少なくとも1層有するセパレータは、本発明において好ましく用いられる。ここで、ポリプロピレン樹脂を主成分とするとは、セパレータを構成する全成分中に占めるポリプロピレン樹脂の割合が50質量%以上であることを意味し、好ましくは80質量%以上、より好ましくは90質量%以上、さらに好ましくは95質量%以上である。
セパレータの製造方法も特に制限はなく、従来公知の手法を適宜参照して製造することができる。例えば、不織布セパレータの場合は、メルトブロー法、抄紙法等の公知の技術を利用することができる。また、高分子材料からなる多孔性フィルムの場合は、湿式法または乾式法によって高分子材料を一軸または二軸延伸することにより、微多孔フィルム(セパレータ)を作製することができる。工程を簡略化できることから乾式法がより望ましく、生産性、長手方向と幅方向の物性の均一性の観点から、乾式法の中でもβ晶法によることが好ましい。ここで、β晶法とは、結晶構造としてβ晶を有するポリプロピレン樹脂のキャストシートを用い、該キャストシートを縦延伸することにより、β晶の結晶構造をα晶に転移させるとともに、製膜方向に配向したα晶のフィブリル状物を形成させ、そのフィブリル状物を横延伸工程において開裂させて網目構造を形成させることにより、貫通孔を有するフィルムを得る手法である。ここで、キャストシートとは、溶融したポリプロピレン樹脂をキャストドラム上でシート状に成型した、未延伸のシートを意味する。元来、β晶法によって製造された多孔性フィルムは、生産性や耐熱性に優れる一方、表面自由エネルギーが低いポリプロピレンが主成分であることや、孔が緻密に開孔するが故にロータス効果がはたらき、電解液浸透性が悪いものであった。そのため、注液工程でのタクトタイムは長くならざるを得なかった。しかし、本発明の製造方法を用いることによって、前述した理由(推定)により非水系電解液または非水系溶媒が浸透しやすくなるために、乾式法、好ましくはβ晶法によって製造されたセパレータであっても、本発明を効果的に適用することが可能となる。
本発明において、セパレータのβ晶形成能は、貫通孔の形成性の観点から60%以上とすることが好ましい。より好ましくは65〜90%であり、65〜85%が特に好ましい。β晶形成能が60%未満の場合、β晶量が少ないためにα晶への転移を利用してフィルム中に形成される空隙数が少なくなり、フィルムのセパレータ抵抗に劣る場合がある。β晶形成能を60%以上に制御する方法としては、アイソタクチックインデックスの高いポリプロピレン樹脂を使用する方法、β晶核剤と呼ばれる、ポリプロピレン樹脂中に添加することでβ晶を選択的に形成させる結晶化核剤を添加剤として用いる方法があるが、本発明においては、後述するβ晶核剤を使用する方法、またはアイソタクチックインデックスの高いポリプロピレン樹脂に後述するβ晶核剤を添加剤として用いる方法によることが好ましい。
本発明で用いるβ晶核剤としては、たとえば、1,2−ヒドロキシステアリン酸カルシウム、コハク酸マグネシウムなどのカルボン酸のアルカリあるいはアルカリ土類金属塩、N,N’−ジシクロヘキシル−2,6−ナフタレンジカルボキシアミドに代表されるアミド系化合物、3,9−ビス[4−(N−シクロヘキシルカルバモイル)フェニル]−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカンなどのテトラオキサスピロ化合物、ベンゼンスルホン酸ナトリウム、ナフタレンスルホン酸ナトリウムなどの芳香族スルホン酸化合物、イミドカルボン酸誘導体、キナクリドン系顔料を挙げることができるが、特に特開平5−310665号公報に開示されているアミド系化合物を用いることが好ましい。また、β晶核剤の含有量としては使用するβ晶核剤によって異なるが、上記アミド系化合物を使用する場合には、ポリプロピレン組成物全体を基準とした場合に、0.05〜0.5質量%であることが好ましく、0.1〜0.3質量%であればより好ましく、後述する効果を有するためには0.22〜0.3質量%であれば特に好ましい。0.05質量%未満では、β晶の形成が不十分となり、セパレータ抵抗が増大する場合があるほか、非水系電解液の浸透性が悪くなる場合がある。また、0.5質量%を超えると、β晶核剤の凝集などによりフィルムに粗大ボイドが形成され、粗大ボイドを形成し、弾性率、突刺強度、引張強度などの機械強度が低下する場合がある。
本発明においては、セパレータを構成するポリプロピレン樹脂として、メルトフローレート(以下、MFRと表記する)が2〜30g/10分のアイソタクチックポリプロピレン樹脂を用いることが、押出成形性及び孔の均一な形成の観点から好ましい。ここで、MFRとはJIS K 7210(1995)で規定されている樹脂の溶融粘度を示す指標であり、ポリオレフィン樹脂の特徴を示す物性値である。本発明においては230℃、2.16kgで測定した値を指す。本発明においては、結晶性の観点からポリプロピレン樹脂のアイソタクチックインデックスは90〜99.9%の範囲であることが好ましく、95〜99%であることがより好ましい。アイソタクチックインデックスが90%未満の場合、樹脂の結晶性が低くなり、製膜性が低下する場合があるほか、フィルムの弾性率に劣る場合がある。
本発明に適用されるセパレータには、本発明の効果を損なわない範囲において、主成分であるポリプロピレン樹脂以外に、他のポリオレフィン系樹脂、酸化防止剤、熱安定剤、帯電防止剤や無機あるいは有機粒子からなる滑剤、さらにはブロッキング防止剤や充填剤、非相溶性ポリマーなどの各種添加剤を含有させてもよい。特に、ポリプロピレン樹脂の熱履歴による酸化劣化を抑制する目的で、酸化防止剤を添加することが好ましい。酸化防止剤の添加量は、ポリプロピレン組成物100質量部に対して2質量部以下とすることが好ましく、より好ましくは1質量部以下、更に好ましくは0.5質量部以下である。
本発明に適用されるセパレータの破断強度は、長手方向・幅方向ともに、60MPa以上であることが好ましい。より好ましくはともに80MPa以上、さらに好ましくはともに100MPa以上である。長手方向・幅方向ともに、破断強度が60MPa以上のセパレータを得る方法としては、原料中のβ晶核剤の添加量を前述した範囲とすること、前述した原料を用いること、キャストドラムの温度、長手方向の延伸倍率と温度、横延伸速度、熱処理工程での温度と時間、およびリラックスゾーンでの弛緩率を後述する範囲内とすることが挙げられる。
本発明に適用されるセパレータは、透気抵抗が10〜1,000秒/100mlであることが好ましく、50〜500秒/100mlであることがより好ましく、80〜300秒/100mlであることが特に好ましい。透気抵抗が10秒/100ml未満であると、工程適性の指標となる破断強度などの機械強度が低下する場合がある。透気抵抗が1,000秒/100mlを超えると、特に高出力蓄電デバイス用のセパレータとして用いた際に出力特性が低下する場合があるほか、非水系電解液が浸透しにくくなる場合がある。透気抵抗は、原料中のβ晶核剤の添加量を前述した範囲とすること、前述した原料を用いること、キャストドラムの温度、長手方向の延伸倍率と温度、横延伸速度、熱処理工程での温度と時間、およびリラックスゾーンでの弛緩率を後述する範囲内とすることにより制御可能である。
本発明に適用されるセパレータは、厚みが5〜30μmであることが好ましい。厚みが5μm未満では使用時に破断する場合があり、30μmを超えると、セパレータ抵抗が増大してセパレータとして用いた際に出力特性が低下する場合があるほか、蓄電デバイス内に占めるセパレータの体積割合が高くなり、高いエネルギー密度を得ることができなくなる場合がある。厚みは10〜25μmであればより好ましく、12〜20μmであればなお好ましい。
本発明に適用されるセパレータは、電池特性と強度を両立させる観点から、空孔率が40〜85%であることが好ましい。より好ましくは50〜80%であり、55〜75%であることが特に好ましい。空孔率が40%未満では、特に高出力蓄電デバイス用のセパレータとして使用したときにセパレータ抵抗が大きくなる場合があるほか、非水系電解液が浸透しにくくなる場合がある。一方、空孔率が85%を超えると、弾性率や引張強度などの機械強度が低下する場合がある。空孔率は、原料中のβ晶核剤の添加量を前述した範囲とすること、前述した原料を用いること、キャストドラムの温度、長手方向の延伸倍率と温度、横延伸速度、熱処理工程での温度と時間、およびリラックスゾーンでの弛緩率を後述する範囲内とすることにより制御可能である。
本発明に適用されるセパレータは、135℃で60分間熱処理したときの幅方向の熱収縮率が10%以下であることが好ましい。より好ましくは0.5〜8%であり、1〜5%であることがより好ましい。135℃で60分間熱処理したときの熱収縮率が10%を超えると、蓄電デバイス用セパレータとして使用した際に安全性に劣る場合がある。熱収縮率は、原料中のβ晶核剤の添加量を前述した範囲とすること、前述した原料を用いること、キャストドラムの温度、長手方向の延伸倍率と温度、横延伸速度、熱処理工程での温度と時間、およびリラックスゾーンでの弛緩率を後述する範囲内とすることにより制御可能である。
本発明に適用されるセパレータは、様々な効果を付与する目的で積層構成をとっても構わない。積層数としては、2層積層でも3層積層でも、また、それ以上の積層数でもよい。積層の方法としては、共押出によるフィードブロック方式やマルチマニホールド方式、ラミネートにより多孔性フィルム同士を貼り合わせる方法、ダイコート法やグラビアコート法によりコート層を設ける方法などがあるが、積層する樹脂などの物性に応じて、積層方法を選択すればよい。積層構成としては、例えば、低温でのシャットダウン性を付与する目的でポリエチレンを含む層を積層したり、強度や耐熱性を付与する目的で粒子を含む層を積層したりすることができる。
以下に本発明に適用されるセパレータの製造方法を具体的な一例をもとに説明する。なお、セパレータの製造方法はこれに限定されるものではない。
ポリプロピレン樹脂として、MFR8g/10分の市販のホモポリプロピレン樹脂99.5質量部、β晶核剤としてN,N’−ジシクロヘキシル−2,6−ナフタレンジカルボキシアミド0.3質量部、酸化防止剤としてIrganox1010、Irgafos168を各々0.1質量部、滑剤としてベヘン酸カルシウム0.05質量部がこの比率で混合されるように計量ホッパーから二軸押出機に原料供給して溶融混練を行い、ストランドをダイから吐出して、25℃の水槽にて冷却固化し、チップ状にカットしてポリプロピレン原料(a)を準備する。この際、溶融温度は280〜310℃とすることが好ましく、チップの断面形状は、円、楕円、長方形のいずれでもかまわない。
次に、原料(a)を単軸押出機に供給し、200〜230℃にて溶融押出を行う。そして、ポリマー管の途中に設置したフィルターにて異物や変性ポリマーなどを除去した後、Tダイよりキャストドラム上に吐出し、未延伸シートを得る。ここで、共押出しによりフィルムを積層構造とする場合には、複数の押出機を用い、フィードブロック方式やマルチマニホールド方式により積層構造とした後、Tダイよりキャストドラム上に吐出し、積層未延伸シートとすることができる。キャストドラムは、表面温度が105〜130℃であることが、孔形成の観点から好ましく、120〜130℃がさらに好ましい。この際、特にシートの端部の成形が、後の延伸性に影響するので、端部にスポットエアーを吹き付けてドラムに密着させることが好ましい。また、シート全体のドラム上への密着状態から、必要に応じて全面にエアナイフを用いて空気を吹き付けてもよい。
次に、得られたキャストシートを二軸配向させ、フィルム中に空孔を形成する。二軸配向させる方法としては、フィルム長手方向に延伸後幅方向に延伸、あるいは幅方向に延伸後長手方向に延伸する逐次二軸延伸法、またはフィルムの長手方向と幅方向をほぼ同時に延伸していく同時二軸延伸法などを用いることができるが、セパレータ抵抗と機械強度のバランスの取れたフィルムを得やすいという点で逐次二軸延伸法を採用することが好ましく、特に、長手方向に延伸後、幅方向に延伸することが好ましい。
具体的な延伸条件としては、まず、キャストシートの温度を制御しながら長手方向に延伸する。温度制御の方法は、温度制御された回転ロールを用いる方法、熱風オーブンを使用する方法などを採用することができる。長手方向の延伸温度としては、セパレータ抵抗と機械強度の両立の観点から、90〜140℃であることが好ましく、より好ましくは100〜130℃、特に好ましくは115〜125℃である。90℃未満では、フィルムが破断する場合がある。また、140℃を超えると、透気抵抗が増大する場合がある。R2/R1の値と機械強度の両立の観点から、延伸倍率としては、3〜10倍であることが好ましい。より好ましくは4.5〜6倍である。延伸倍率を高くするほどセパレータ抵抗は低下するが、10倍を超えて延伸すると、次の横延伸工程でフィルム破れが起きやすくするほか、透気抵抗が低くなりすぎて機械強度が低下する場合がある。
次に、テンター式延伸機にフィルム端部を把持させて導入する。横延伸温度は、セパレータ抵抗と機械強度の両立の観点から、130〜155℃であることが好ましく、より好ましくは145〜155℃である。130℃未満ではフィルムが破断する場合があり、155℃を超えると透気抵抗が増大する場合がある。幅方向の延伸倍率は、引張強度向上の観点から2〜12倍であることが好ましい。より好ましくは7〜11倍、更に好ましくは7〜10倍である。2倍未満であると、透気抵抗が増大したり、幅方向の引張強度が低下する場合がある。12倍を超えるとフィルムが破断する場合がある。なお、このときの横延伸速度としては、500〜6,000%/分で行うことが好ましく、1,000〜5,000%/分であればより好ましい。
透気抵抗を低減させながら機械強度を向上させる観点から、面積倍率(縦延伸倍率×横延伸倍率)は、高倍とするほうが好ましく、具体的には20倍以上が好ましく、30倍以上がより好ましく、45倍以上が特に好ましい。面積倍率が低倍の場合、具体的には20倍未満の場合、透気抵抗低減と機械強度向上が困難となる。面積倍率の上限は特に設けないが、60倍を超えると製膜性が悪くなり破れやすくなる場合がある。
横延伸に続いて、テンター内で熱処理工程を行う。ここで熱処理工程は、横延伸後の幅のまま熱処理を行う熱固定ゾーン(以後、HS1ゾーンと記す)、テンターの幅を狭めてフィルムを弛緩させながら熱処理を行うリラックスゾーン(以後、Rxゾーンと記す)、リラックス後の幅のまま熱処理を行う熱固定ゾーン(以後、HS2ゾーンと記す)の3ゾーンに分かれていることが、セパレータ抵抗と機械強度の両立、さらには低熱収の観点から好ましい。
HS1ゾーンの温度は、セパレータ抵抗と機械強度の両立の観点から140〜165℃であることが好ましく、150〜160℃であることがより好ましい。140℃未満であると、幅方向の熱収縮率が大きくなる場合がある。165℃を超えると、フィルムの配向緩和が大きすぎるために、続くRxゾーンにおいて弛緩率を高くできず、セパレータ抵抗と機械強度の両立が困難となる場合があるほか、高温により孔周辺のポリマーが溶けて透気抵抗が大きくなる場合がある。
HS1ゾーンでの熱処理時間は、幅方向の熱収縮率と生産性の両立の観点から0.1秒以上10秒以下であることが好ましい。
本発明におけるRxゾーンでの弛緩率は、セパレータ抵抗と機械強度の向上に加えて熱収縮率低減の観点から、5〜35%であることが好ましく、5〜30%であるとより好ましい。弛緩率が5%未満であると熱収縮率が大きくなる場合がある。35%を超えると透気抵抗が増大する場合があるほか、幅方向の厚み斑や平面性が低下する場合がある。
Rxゾーンの温度は、セパレータ抵抗と熱収縮率低減の観点から、155〜170℃であることが好ましく、160〜165℃であるとより好ましい。Rxゾーンの温度が155℃未満であると、弛緩の為の収縮応力が低くなり、上述した高い弛緩率を達成できない場合があるほか、幅方向の熱収縮率が大きくなる場合がある。170℃を超えると、高温により孔周辺のポリマーが溶けてセパレータ抵抗が増大する場合がある。
Rxゾーンでの弛緩速度は、100〜1,000%/分であることが好ましく、150〜500%/分であることがより好ましい。弛緩速度が100%/分未満であると、製膜速度を遅くしたり、テンター長さを長くする必要があり、生産性に劣る場合がある。1,000%/分を超えると、テンターのレール幅が縮む速度よりフィルムが収縮する速度が遅くなり、テンター内でフィルムがばたついて破れたり、幅方向の物性ムラや平面性の低下を生じる場合がある。
HS2ゾーンの温度は、セパレータ抵抗と機械強度の両立の観点から、155〜165℃であることが好ましく、160〜165℃であることがより好ましい。155℃未満であると、熱弛緩後のフィルムの緊張が不十分となり、幅方向の物性ムラや平面性の低下を生じたり、幅方向の熱収縮率が大きくなる場合がある。また、HS2の温度が高い方が、機械強度が高くなる傾向があり、155℃未満では機械強度に劣る場合がある。165℃を超えると、高温により孔周辺のポリマーが溶けてセパレータ抵抗が増大する場合がある。
本発明におけるHS2ゾーンでの熱処理時間は、幅方向の物性ムラや平面性と生産性の両立の観点から0.1秒以上10秒以下であることが好ましい。熱固定工程後のフィルムは、テンターのクリップで把持した耳部をスリットして除去し、ワインダーでコアに巻き取って製品とする。
以下、実施例により本発明を詳細に説明する。特性は以下の方法により測定、評価を行った。
(1)厚み
接触式の膜厚計ミツトヨ社製ライトマチックVL−50A(10.5mmφ超硬球面測定子、測定荷重0.06N)にて測定した。測定は場所を替えて10回行い、その平均値を厚みとした。
(2)透気抵抗
多孔性プロピレンフィルムから100mm×100mmの大きさの正方形を切取り試料とした。JIS P 8117(1998)のB形ガーレー試験器を用いて、23℃、相対湿度65%にて、100mlの空気の透過時間の測定を行った。測定は試料を替えて3回行い、透過時間の平均値をそのフィルムの透気抵抗とした。
(3)β晶形成能
多孔性ポリプロピレンフィルム5mgを試料としてアルミニウム製のパンに採取し、示差走査熱量計(セイコー電子工業製RDC220)を用いて測定した。まず、窒素雰囲気下で室温から220℃まで40℃/分で昇温(ファーストラン)し、5分間保持した後、20℃まで10℃/分で冷却(ファーストラン)した。5分保持後、再度10℃/分で昇温(セカンドラン)した際に観測される融解ピークにについて、145〜157℃の温度領域にピークが存在する融解をβ晶の融解ピーク、158℃以上にピークが観察される融解をα晶の融解ピークとして、高温側の平坦部を基準に引いたベースラインとピークに囲まれる領域の面積から、それぞれの融解熱量を求め、α晶の融解熱量をΔHα、β晶の融解熱量をΔHβとしたとき、以下の式で計算される値をβ晶形成能とした。なお、融解熱量の校正はインジウムを用いて行った。
β晶形成能(%) = 〔ΔHβ / (ΔHα + ΔHβ)〕 × 100
ただし、上記方法において、140〜160℃に頂点を有する融解ピークが存在するが、β晶の融解に起因するものか不明確な場合は、140〜160℃に融解ピークの頂点が存在することと、下記条件で調製したサンプルについて、上記2θ/θスキャンで得られる回折プロファイルの各回折ピーク強度から算出されるK値が0.3以上であることをもってβ晶形成能を有するものと判定する。
下記にサンプル調製条件、広角X線回折法の測定条件を示す。
・サンプル:
フィルムの方向を揃え、熱プレス調製後のサンプル厚さが1mm程度になるよう重ね合わせる。このサンプルを0.5mm厚みの2枚のアルミ板で挟み、280℃で3分間熱プレスして融解・圧縮させ、ポリマー鎖をほぼ無配向化する。得られたシートを、アルミ板ごと取り出した直後に100℃の沸騰水中に5分間浸漬して結晶化させる。その後25℃の雰囲気下で冷却して得られるシートを切り出したサンプルを測定に供する。
・広角X線回折方法測定条件:
上記条件に準拠し、2θ/θスキャンによりX線回折プロファイルを得る。
ここで、K値は、2θ=16°付近に観測され、β晶に起因する(300)面の回折ピーク強度(Hβ1とする)と2θ=14,17,19°付近にそれぞれ観測され、α晶に起因する(110)、(040)、(130)面の回折ピーク強度(それぞれHα1、Hα2、Hα3とする)とから、下記の数式により算出できる。K値はβ晶の比率を示す経験的な値であり、各回折ピーク強度の算出方法などK値の詳細については、ターナージョーンズ(A.Turner Jones)ら,“マクロモレキュラーレ ヒェミー”(Makromolekulare Chemie),75,134−158頁(1964)を参考にすればよい。
K = Hβ1/{Hβ1+(Hα1+Hα2+Hα3)}
なお、ポリプロピレンの結晶型(α晶、β晶)の構造、得られる広角X線回折プロファイルなどは、例えば、エドワード・P・ムーア・Jr.著、“ポリプロピレンハンドブック”、工業調査会(1998)、p.135−163;田所宏行著、“高分子の構造”、化学同人(1976)、p.393;ターナージョーンズ(A.Turner Jones)ら,“マクロモレキュラーレ ヒェミー”(Makromolekulare Chemie),75,134−158頁(1964)や、これらに挙げられた参考文献なども含めて多数の報告があり、それを参考にすればよい。
(4)メルトフローレート(MFR)
ポリプロピレン樹脂のMFRは、JIS K 7210(1995)の条件M(230℃、2.16kg)に準拠して測定した。
(5)厚み方向の非水系溶媒浸透時間
セパレータの1cm上方より、非水系溶媒をスポイトにより静かに滴下し、膜が透明化するまでの時間を測定した。透明化の判定は、目視により行なった。なお、試験は3時間経過した段階で終了し、3時間以上たっても膜が透明化しないものは、「3時間以上」との判定とした。
(6)初期放電容量評価
各実施例または比較例で作製した各二次電池について、300mAで4.2Vまで定電流充電したのち、4.2Vにて定電圧充電(カットオフ電流0.3mA)を行った。その後、300mAで2.7Vまで放電を行い、放電容量を調べた。
[(放電容量)/(充電容量)]×100の計算式で得られる値を以下の基準で評価した。なお、試験個数は5個測定し、その平均値で評価した。
◎:90%以上
○:80%以上90%未満
△:70%以上80%未満
×:70%未満もしくは20%未満となる電池が1個以上
(製造例1)
ポリプロピレン樹脂として、MFR=7.5g/10分の住友化学(株)製ホモポリプロピレンFLX80E4を99.7質量部、β晶核剤としてN,N’−ジシクロヘキシル−2,6−ナフタレンジカルボキシアミド(新日本理化(株)製、NU−100)を0.3質量部、ベヘン酸カルシウム0.05質量部、さらに酸化防止剤であるチバ・スペシャリティ・ケミカルズ製IRGANOX1010、IRGAFOS168を各々0.1質量部ずつがこの比率で混合されるように計量ホッパーからL/D=41の二軸押出機に原料供給し、300℃で溶融混練を行い、ダイから吐出して、25℃の水槽にて冷却固化し、チップ状にカットしてとなるポリプロピレン組成物(あ)のチップを得た。
得られたポリプロピレン組成物(あ)を単軸の溶融押出機に供給し、210℃で溶融押出を行い、60μmカットの焼結フィルターで異物を除去後、Tダイにて121℃に表面温度を制御したキャストドラムに吐出してキャストシートを得た。ついで、125℃に加熱したセラミックロールを用いて予熱を行いフィルムの長手方向に5.0倍延伸を行った。次に端部をクリップで把持して150℃で幅方向に7.7倍延伸した。
続く熱処理工程で、延伸後のクリップ間距離に保ったまま150℃で熱処理し(HS1ゾーン)、更に163℃で弛緩率15%でリラックスを行い(Rxゾーン)、弛緩後のクリップ間距離に保ったまま163℃で熱処理を行った(HS2ゾーン)。
その後、クリップで把持したフィルムの耳部をカットして除去し、厚み21μm、透気抵抗300秒/100ml、β晶形成能86%の多孔性ポリプロピレンフィルム(セパレータ)を得た。なお、非水系溶媒をプロピレンカーボネートとしたとき、このセパレータの厚み方向の非水系溶媒浸透時間は、3時間以上であった。
(実施例1)
正極として、宝泉(株)製のリチウムコバルト酸化物(LiCoO)厚みが40μmの正極を使用し、一辺100mmの正方形となるように打ち抜き、作製した。
負極として、宝泉(株)製の厚みが50μmの黒鉛負極を使用し、一辺105mmの正方形となるように打ち抜き、作製した。
非水系電解液には、非水系溶媒としてプロピレンカーボネート(PC)を用い、これに電解質としてLiPF 1.0mol/Lを溶解させて使用した。
製造例1で作製したセパレータを、正極、負極電極のいずれよりも面積が広くなるように、一辺110mmの正方形となるように打ち抜き、作製した。
正極電極と負極電極とを、正極、負極の活物質層どうしが互いに対向するように配置し、両者の間にセパレータを挟み、さらに外装部にラミネートフィルムを配置し、三方シールした。各々のタブの先端がラミネートセルの外側に引き出されるようにし、次いでラミネートセル内に非水系電解液を充填した後、真空脱気してラミネートセルを密閉して、単層ラミネート型リチウムイオン二次電池を組み立てた。
得られた単層ラミネート型リチウムイオン二次電池を、水を張った超音波照射装置(BRANSON社製:BRANSONIC B1510J−MT、液槽底面積15cm×13.5cm、周波数42kHz、装置出力90W、出力密度0.44W/cm)内に沈め、30秒超音波を照射した。その後、水を充分に拭き取り、速やかに初期放電容量評価に供した。
(実施例2)
正極として、宝泉(株)製のリチウムコバルト酸化物(LiCoO)厚みが40μmの正極を使用し、一辺100mmの正方形となるように打ち抜き、作製した。
負極として、宝泉(株)製の厚みが50μmの黒鉛負極を使用し、一辺105mmの正方形となるように打ち抜き、作製した。
非水系電解液には、非水系溶媒としてプロピレンカーボネート(PC)を用い、これに電解質としてLiPF 1.0mol/Lを溶解させて使用した。
製造例1で作製したセパレータを、正極、負極電極のいずれよりも面積が広くなるように、一辺110mmの正方形となるように打ち抜いた。打ち抜いたセパレータをプロピレンカーボネートに浸し、超音波照射装置(BRANSON社製:BRANSONIC B1510J−MT、液槽底面積15cm×13.5cm、周波数42kHz、装置出力90W、出力密度0.44W/cm)にて10秒超音波を照射することで、非水系溶媒を前もって含浸させたセパレータを作製した。
正極電極と負極電極とを、正極、負極の活物質層どうしが互いに対向するように配置し、両者の間に非水系溶媒を前もって含浸させたセパレータを挟み、さらに外装部にラミネートフィルムを配置し、三方シールした。各々のタブの先端がラミネートセルの外側に引き出されるようにし、次いでラミネートセル内に非水系電解液を充填した後、真空脱気してラミネートセルを密閉して、単層ラミネート型リチウムイオン二次電池を組み立てた。
得られた単層ラミネート型リチウムイオン二次電池を、速やかに初期放電容量評価に供した。
(比較例1)
正極として、宝泉(株)製のリチウムコバルト酸化物(LiCoO)厚みが40μmの正極を使用し、一辺100mmの正方形となるように打ち抜き、作製した。
負極として、宝泉(株)製の厚みが50μmの黒鉛負極を使用し、一辺105mmの正方形となるように打ち抜き、作製した。
非水系電解液には、非水系溶媒としてプロピレンカーボネート(PC)を用い、これに電解質としてLiPF 1.0mol/Lを溶解させて使用した。
製造例1で作製したセパレータを、正極、負極電極のいずれよりも面積が広くなるように、一辺110mmの正方形となるように打ち抜き、作製した。
正極電極と負極電極とを、正極、負極の活物質層どうしが互いに対向するように配置し、両者の間にセパレータを挟み、さらに外装部にラミネートフィルムを配置し、三方シールした。各々のタブの先端がラミネートセルの外側に引き出されるようにし、次いでラミネートセル内に非水系電解液を充填した後、真空脱気してラミネートセルを密閉して、単層ラミネート型リチウムイオン二次電池を組み立てた。
得られた単層ラミネート型リチウムイオン二次電池を、25℃で2時間エージングしたのち、初期放電容量評価に供した。
(参考例1)
比較例1と同様の方法で、単層ラミネート型リチウムイオン二次電池を組み立てた。
得られた単層ラミネート型リチウムイオン二次電池を、25℃で48時間エージングしたのち、初期放電容量評価に供した。
Figure 2014035890
本発明の製造方法によって作成した単層ラミネート型リチウムイオン二次電池(実施例)では、初期放電容量評価が良好であったが、従来の製造方法によって作製した単層ラミネート型リチウムイオン二次電池(比較例)では、初期放電容量評価結果が不十分であった。参考例においてはエージング時間を長くとることによって、比較例に対して初期放電容量評価結果が改善しているが、タクトタイムが長すぎるため実用的ではない。
本発明の製造方法を用いることで、安全性の高いセパレータと電解液を使用した蓄電デバイスを簡易にかつ生産性よく製造できる。

Claims (9)

  1. 少なくとも一対の電極と、それらの間に配置されたセパレータと、非水系溶媒に電解質を溶解させた非水系電解液とを備えた蓄電デバイスの製造方法であって、少なくとも1回の超音波照射工程を含む蓄電デバイスの製造方法。
  2. 少なくとも一対の電極を、その間にセパレータを介して積層または巻回して形成したデバイス素子に非水系電解液を注入する工程と、前記デバイス素子を収容したケースを封口する工程と、を少なくとも備え、超音波照射は、前記ケースを封口する前に行う、請求項1に記載の蓄電デバイスの製造方法。
  3. 少なくとも一対の電極を、その間にセパレータを介して積層または巻回して形成したデバイス素子に非水系電解液を注入する工程と、前記デバイス素子を収容したケースを封口する工程と、を少なくとも備え、超音波照射は、前記ケースを封口した後に行う、請求項1に記載の蓄電デバイスの製造方法。
  4. 少なくとも一対の電極を、その間にセパレータを介して積層または巻回する工程を少なくとも備え、前記セパレータは非水系電解液または非水系溶媒を超音波照射により予め含浸させたものを用いる、請求項1に記載の蓄電デバイスの製造方法。
  5. 非水系溶媒を滴下したときの厚み方向の浸透時間が10秒以上であるセパレータを用いる、請求項1〜4のいずれかに記載の蓄電デバイスの製造方法。
  6. 前記セパレータは、ポリプロピレン樹脂を主成分として含む層を少なくとも1層有する、請求項1〜5のいずれかに記載の蓄電デバイスの製造方法。
  7. 乾式法により製造されたセパレータを用いる、請求項6に記載の蓄電デバイスの製造方法。
  8. β晶形成能が60%以上であるセパレータを用いる、請求項6または7に記載の蓄電デバイスの製造方法。
  9. 請求項1〜8のいずれかの製造方法により製造された蓄電デバイス。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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KR20170142928A (ko) * 2016-06-20 2017-12-28 단국대학교 천안캠퍼스 산학협력단 리튬 이온 이차전지용 고분자 전해질막 및 이의 제조방법

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