JP2014035046A - 滑り検出装置および滑り検出方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 巻き掛け伝動部材の滑りを誤検出することを抑え、検出精度をより高められる技術を提供する。
【解決手段】 プライマリプーリの回転速度とセカンダリプーリの回転速度との比である変速比を算出する変速比算出手段と、変速比に基づいて変速速度を算出する変速速度算出手段と、第1シーブ面の挟持力と第2シーブ面の挟持力との比である推力比を算出する推力比算出手段と、推力比と変速比に対応する、変速を伴わない場合における基準推力比との差である推力比差を算出する推力比差算出手段と、変速速度と、推力比差に対応する基準変速速度との差に基づいて、巻き掛け伝動部材に滑りが生じているか否かを判定する滑り判定手段と、を備える。
【選択図】 図4
【解決手段】 プライマリプーリの回転速度とセカンダリプーリの回転速度との比である変速比を算出する変速比算出手段と、変速比に基づいて変速速度を算出する変速速度算出手段と、第1シーブ面の挟持力と第2シーブ面の挟持力との比である推力比を算出する推力比算出手段と、推力比と変速比に対応する、変速を伴わない場合における基準推力比との差である推力比差を算出する推力比差算出手段と、変速速度と、推力比差に対応する基準変速速度との差に基づいて、巻き掛け伝動部材に滑りが生じているか否かを判定する滑り判定手段と、を備える。
【選択図】 図4
Description
この発明は、滑り検出装置および滑り検出方法、さらに詳しくは、自動車等の無段変速機(CVT:Continuously Variable Transmission)において、巻き掛け伝動部材(チェーンまたはベルト)の滑りを検出する滑り検出装置および滑り検出方法に関する。
従来、例えばエンジン側に設けられた、一対のシーブ面を有するプライマリプーリと、駆動輪側に設けられた、一対のシーブ面を有するセカンダリプーリと、プライマリプーリとセカンダリプーリとの間に掛け渡された巻き掛け伝動部材とを備える自動車の無段変速機が知られている。このような無段変速機では、プライマリプーリの一対のシーブ面とセカンダリプーリの一対のシーブ面との各々が巻き掛け伝動部材の幅方向における端部を挟み込んだ状態で回転することによって、トルクを伝達する。この場合に、巻き掛け伝動部材に滑りが生じる場合があった。
巻き掛け伝動部材の滑りを検出する滑り検出装置の一例が、特許文献1に開示されている。特許文献1には、所定時間毎に算出される変速比と当該変速比の移動平均値との差を所定値と比較することによって、滑りが生じているか否かを検出することが記載されている。
しかしながら、巻き掛け伝動部材に滑りが生じた場合の変速比の変化幅は、急加速又は急減速時のような、巻き掛け伝動部材に滑りが生じていない通常変速時における変速比の変化幅と部分的に一致する場合がある。つまり、特許文献1に記載の滑り検出装置は、急加速又は急減速のような通常変速時であるにもかかわらず、巻き掛け伝動部材に滑りが生じたと誤検出する恐れがある。
本願発明は、上記課題に鑑みなされたものであり、巻き掛け伝動部材の滑りを誤検出することを抑え、検出精度をより高められる技術を提供することを目的とする。
この発明による滑り検出装置は、巻き掛け伝動部材と、前記巻き掛け伝動部材の一部を挟持する一対の第1シーブ面を有し、かつ回転可能なプライマリプーリと、前記第1シーブ面が挟持する部分とは異なる前記巻き掛け伝動部材の一部を挟持する一対の第2シーブ面を有し、かつ回転可能なセカンダリプーリと、を備える無段変速機で生じる前記巻き掛け伝動部材の滑りを検出する滑り検出装置であって、前記プライマリプーリの回転速度を検出するプライマリプーリ回転速度検出手段と、前記セカンダリプーリの回転速度を検出するセカンダリプーリ回転速度検出手段と、前記プライマリプーリの回転速度と前記セカンダリプーリの回転速度との比である変速比を算出する変速比算出手段と、前記変速比に基づいて変速速度を算出する変速速度算出手段と、前記一対の第1シーブ面の挟持力を算出する第1挟持力算出手段と、前記一対の第2シーブ面の挟持力を算出する第2挟持力算出手段と、前記第1シーブ面の挟持力と前記第2シーブ面の挟持力との比である推力比を算出する推力比算出手段と、前記推力比と、前記変速比に対応する、変速を伴わない場合における基準推力比との差である推力比差を算出する推力比差算出手段と、前記変速速度と前記推力比差に対応する基準変速速度との差に基づいて、前記巻き掛け伝動部材に滑りが生じているか否かを判定する滑り判定手段と、を備えるものである。
この発明による滑り検出方法は、巻き掛け伝動部材と、前記巻き掛け伝動部材の一部を挟持する一対の第1シーブ面を有し、かつ回転可能なプライマリプーリと、前記第1シーブ面が挟持する部分とは異なる前記巻き掛け伝動部材の一部を挟持する一対の第2シーブ面を有し、かつ回転可能なセカンダリプーリと、を備える無段変速機で生じる前記巻き掛け伝動部材の滑りを検出する滑り検出方法であって、前記プライマリプーリの回転速度と前記セカンダリプーリの回転速度との比である変速比を算出する変速比算出ステップと、前記変速比に基づいて変速速度を算出する変速速度算出ステップと、前記第1シーブ面の挟持力と前記第2シーブ面の挟持力との比である推力比を算出する推力比算出ステップと、前記推力比と、前記変速比に対応する、変速を伴わない場合における基準推力比との差である推力比差を算出する推力比差算出ステップと、前記変速速度と、前記推力比差に対応する基準変速速度との差に基づいて、前記巻き掛け伝動部材に滑りが生じているか否かを判定する滑り判定ステップと、を備えるものである。
この発明によれば、プライマリプーリが有する一対の第1シーブ面の挟持力とセカンダリプーリが有する一対の第2シーブ面の挟持力との比に基づいて算出される推力比差と、変速速度との関係に基づいて、滑りが生じたか否かが判定される。これによって、急加速又は急減速のような通常変速の場合と、滑りが生じた場合とを切り分けられるため、誤検出を抑え、滑りの検出精度をより高められる。
以下、図面を参照して、この発明を自動車の無段変速機の滑り検出装置に適用した実施形態について説明する。
図1に示されるように、無段変速機(1)は、プライマリプーリ(2)と、セカンダリプーリ(3)と、両プーリ(2)(3)に巻き掛けられた巻き掛け伝動部材(4)と、プライマリプーリ(2)を回転させる駆動装置(5)とを備える。なお、巻き掛け伝動部材(4)には、動力伝達チェーン、又は金属ベルトなどが相当する。このような無段変速機(1)が備える巻き掛け伝動部材(4)の滑りを検出する滑り検出装置(6)が無段変速機(1)に対して設けられている。本実施形態における滑り検出装置(6)は、第1磁気センサ(11)、第2磁気センサ(12)、第1油圧センサ(15)、第2油圧センサ(16)及び制御部(7)で構成される。
プライマリプーリ(2)は、一対の第1シーブ面、より具体的には、プライマリ軸(2c)に固定された固定シーブ(2a)と、プライマリ軸(2c)上に軸方向移動可能に支持された可動シーブ(2b)とを有している。セカンダリプーリ(3)は、一対の第2シーブ面、より具体的には、セカンダリ軸(3c)に固定された固定シーブ(3a)と、セカンダリ軸(3c)上に軸方向移動可能に支持された可動シーブ(3b)とを有している。プライマリプーリ(2)の固定シーブ(2a)とセカンダリプーリ(3)の固定シーブ(3a)とは、巻き掛け伝動部材(4)を間にして、軸方向反対側に配置されている。また、プライマリプーリ(2)の可動シーブ(2b)とセカンダリプーリ(3)の可動シーブ(3b)とは、軸方向逆向きに移動する。
プライマリプーリ(2)の可動シーブ(2b)は、プライマリプーリ側の油圧アクチュエータ(13)によって、プライマリプーリ(2)の固定シーブ(2a)側に押圧されている。つまり、巻き掛け伝動部材(4)の一部は、プライマリプーリ(2)が有する一対のシーブ面によって、所定の挟持力で挟持されている。また、セカンダリプーリ(3)の可動シーブ(3b)は、セカンダリプーリ側の油圧アクチュエータ(14)によって、セカンダリプーリ(3)の固定シーブ(3a)側に押圧されている。つまり、プライマリプーリ(2)の一対のシーブ面が挟持する部分とは異なる巻き掛け伝動部材(4)の一部が、セカンダリプーリ(3)が有する一対のシーブ面によって、所定の挟持力で挟持されている。このように、巻き掛け伝動部材(4)がプライマリプーリ(2)及びセカンダリプーリ(3)で挟持された状態で、駆動装置(5)が駆動することにより、プライマリプーリ(2)は回転を開始し、両プーリ(2)(3)に挟持された巻き掛け伝動部材(4)によって、セカンダリプーリ(3)についても従動回転する。
このプライマリプーリ(2)の近傍に第1磁気センサ(11)が設置されている。また、セカンダリプーリ(3)の近傍には第2磁気センサ(12)が設置されている。これらの第1磁気センサ(11)及び第2磁気センサ(12)は制御部(7)と電気的に接続されている。
第1磁気センサ(11)は、プライマリプーリ(2)の端部に所定間隔をおいて設けられた図示しない鉄板の時間当たりの検出回数を求めることによって、プライマリプーリ(2)の回転速度を検出する。つまり、この第1磁気センサ(11)が本実施形態におけるプライマリプーリ回転速度検出手段に相当する。また、セカンダリプーリ(3)の回転速度は第2磁気センサ(12)によって検出される。つまり、第2磁気センサ(12)が本実施形態におけるセカンダリプーリ回転速度検出手段に相当する。なお、計測されたプライマリプーリ(2)及びセカンダリプーリ(3)の回転速度は、制御部(7)に送信され、制御部(7)での演算に使用される。なお、本実施形態では、第1磁気センサ(11)がプライマリプーリ回転速度検出手段に、第2磁気センサ(12)がセカンダリプーリ回転速度検出手段に相当するが、このような形態には限られない。プライマリプーリ(2)の回転速度、セカンダリプーリ(3)の回転速度を検出できる要素であれば構わない。
さらに、プライマリプーリ(2)には第1油圧センサ(15)が、セカンダリプーリ(3)には第2油圧センサ(16)が、それぞれ設置されている。これらの第1油圧センサ(15)及び第2油圧センサ(16)についても制御部(7)と電気的に接続されている。
第1油圧センサ(15)は、プライマリプーリ(2)の油圧を検出する。検出されたプライマリプーリ(2)の油圧データは制御部(7)に送信される。また、第2油圧センサ(16)は、セカンダリプーリ(3)の油圧を検出する。検出されたセカンダリプーリ(3)の油圧データは制御部(7)に送信される。制御部(7)に送信されたこれらの油圧データは、それぞれ制御部(7)での演算に使用される。なお、本実施形態における第1挟持力検出手段は、第1油圧センサ(15)と、後述する第1挟持力算出手段(19)とで構成される。また、本実施形態における第2挟持力検出手段についても同様に、第2油圧センサ(16)と、後述する第2挟持力算出手段(20)とで構成される。
各可動シーブ(2b)(3b)が油圧アクチュエータ(13)(14)によって押圧されることで、プライマリプーリ(2)およびセカンダリプーリ(3)のプーリ幅が変化する。これに伴って、プライマリプーリ(2)およびセカンダリプーリ(3)における巻き掛け伝動部材(4)の巻き掛け径が変化し、変速比が無段階で変化する。なお、ここでいう変速比はセカンダリプーリ(3)の回転速度/プライマリプーリ(2)の回転速度で表される。
滑り検出装置(6)の制御部(7)は、例えば、論理演算を実行するCPU、制御プログラムを格納するROM、データ等を記憶するRAMなどを備えるマイクロコンピュータによって構成される。インストールされたプログラムに従って動作することにより、制御部(7)が、後述する変速比算出手段(17)、変速速度算出手段(18)、第1挟持力算出手段(19)、第2挟持力算出手段(20)、推力比算出手段(21)、推力比差算出手段(22)及び滑り判定手段(23)を実現する。
制御部(7)は、プライマリプーリ(2)に作用する油圧、セカンダリプーリ(3)に作用する油圧、プライマリプーリ(2)の回転速度およびセカンダリプーリ(3)の回転速度を使用して、所定時間ごとに、巻き掛け伝動部材(4)の滑りの有無を検出する。
また、制御部(12)には、滑り検出に必要な関係として、変速比と推力比との関係、推力比差と基準変速速度との関係などが予め記憶されている。
変速比算出手段(17)は、プライマリプーリ(2)の回転速度とセカンダリプーリ(3)の回転速度との比である変速比を算出する。ここで算出された変速比が変速速度算出手段(18)に送信される。
変速速度算出手段(18)は、変速比を時間微分した値である変速速度を算出する。
第1挟持力算出手段(19)と、第2挟持力算出手段(20)とは、第1油圧センサ(15)及び第2油圧センサ(16)で測定された圧力(油圧)に基づいて、プライマリプーリ(2)の挟持力と、セカンダリプーリ(3)の挟持力とを算出する。より具体的には、制御部(7)に予め記憶されている第1のシーブ面及び第2のシーブ面の面積と、測定された各プーリ(2)(3)の油圧とをそれぞれ掛け合わせることによって、プライマリプーリ(2)及びセカンダリプーリ(3)の挟持力が算出される。
推力比算出手段(21)は、算出されたプライマリプーリ(2)の挟持力とセカンダリプーリ(3)の挟持力との比である推力比を算出する。
推力比差算出手段(22)は、変速比と変速を伴う場合の推力比との関係、及び変速比と変速を伴わない場合における推力比との関係に基づいて、変速比算出手段(17)により算出された変速比における各推力比の差を算出する。なお、変速比と変速を伴わない場合における推力比との関係は予め制御部(7)に記憶されており、図2において曲線で示されている。また、ここでは所定の変速比における変速を伴わない場合の推力比を基準推力比と称する。変速を伴わない場合とは、プライマリプーリ(2)とセカンダリプーリ(3)とを一定の回転速度で回転させる場合のことをいい、例えば、急加速又は急減速が生じた場合及び滑りが生じた場合についてはこれに該当しない。また、変速を伴う場合については、変速比と推力比との関係は実測値に基づいて表される(図2において、黒い菱形のポイントで表されている。)。
滑り判定手段(23)は、変速速度と推力比差に対応する基準変速速度との差に基づいて、巻き掛け伝動部材(4)に滑りが生じているか否かを判定する。以下において、より具体的に説明する。
図3には、推力比差と基準変速速度との関係が示されている。基準変速速度は、通常変速時、即ち巻き掛け伝動部材(4)に滑りが生じていない場合の変速速度である。この基準変速速度Vγと推力比差ΔK(n)との関係が予め実測されて制御部(7)に記憶されている。そして、これらの実測値に対して最小二乗法が適用されることにより、この関係は、Vγ=a3×ΔK(n)+bの回帰直線で表される。ただし、a3及びbは既知の定数である。
この回帰直線の上側及び下側に、破線で示されたしきい線が記載されている。しきい線は、上記の回帰直線に対して、上側及び下側に所定の数値幅を有して示されており、この数値幅がしきい値に相当する(後述する変速速度突出量しきい値a2に相当する。)。
この上下のしきい線の内側領域が、急加速又は急減速などの通常変速時に、推力比差と変速速度とで規定される座標がプロットされる領域に相当する。また、上下のしきい線の外側領域が、巻き掛け伝動部材(4)に滑りが生じた場合に、推力比差と変速速度とで規定される座標がプロットされる領域に相当する。このように、推力比差と変速速度とで規定される座標が、図3に示されるしきい線で表される領域の内側にプロットされるか、外側にプロットされるかによって、巻き掛け伝動部材(4)に滑りが生じているか否かを判定することができる。
図4に、滑り検出装置(6)の制御部(7)における処理ステップのフローチャートを示す。
まず、第1磁気センサ(プライマリプーリ回転速度検出手段)(11)によってプライマリプーリ(2)の回転速度Npri(n)を検出し(ステップS1)、次いで、第2磁気センサ(セカンダリプーリ回転速度検出手段)(12)によってセカンダリプーリ(3)の回転速度Nsec(n)を検出する(ステップS2)。次いで、プライマリプーリ(2)の回転速度Npri(n)をセカンダリプーリ(3)の回転速度Nsec(n)で除算して変速比γ(n)=Npri(n)/Nsec(n)を求める(ステップS3)。次いで、現在の変速速度Vγr(n)を求める(ステップS4)。現在の変速速度Vγr(n)は、変速比の時間変化Δγ(n)/Δnであり、現在時間t(n)の変速比γ(n)および所定時間前の時間t(n−1)の変速比γ(n−1)を使用して、Vγr(n)=[γ(n)−γ(n−1)]/[t(n)−t(n−1)]として求められる。
ここで、現在の変速速度Vγr(n)は、変速速度しきい値a1に比べて大きいか否かが判定される(ステップS5)。現在の変速速度Vγr(n)が変速速度しきい値a1以下であれば、滑りが生じていないと判定される。現在の変速速度Vγr(n)が変速速度しきい値a1よりも大きければ、滑りが生じている可能性があり、より詳細な滑りの判定のために、ステップS6以降のステップが実行される。
より詳細な滑りを判定するには、まず、プライマリプーリ(2)の油圧Ppri(n)が検出されて(ステップS6)、プライマリプーリ(2)の挟持力Fpri(n)が算出される(ステップS7)。プライマリプーリ(2)の挟持力Fpri(n)は、プライマリプーリ(2)のシーブ面の受圧面積(無段変速機によって決まっている値)をApriとして、Fpri(n)=Ppri(n)×Apriで求めることができる。次いで、セカンダリプーリ(3)の油圧Psec(n)が検出されて(ステップS8)、セカンダリプーリ(3)の挟持力Fsec(n)が算出される(ステップS9)。セカンダリプーリ(3)の挟持力Fsec(n)は、セカンダリプーリ(3)のシーブ面の受圧面積(無段変速機によって決まっている値)をAsecとして、Fsec(n)=Psec(n)×Asecで求めることができる。
次いで、推力比Kr(n)を求める(ステップS10)。推力比Kr(n)は、プライマリプーリ(2)の挟持力Fpri(n)およびセカンダリプーリ(3)の挟持力Fsec(n)を使用して、Kr(n)=Fpri(n)/Fsec(n)として求まる。次いで、この推力比Kr(n)に対応する基準推力比Kc(n)を求める(ステップS11)。基準推力比Kc(n)は、予め設定されている、変速比γ(n)と基準推力比Kc(n)との関係(図2参照)から求められる。
次いで、推力比差ΔK(n)を求める(ステップS12)。推力比差ΔK(n)は、上記ステップS10で求められた推力比Kr(n)と上記ステップS11で求められた基準推力比Kc(n)との差(推力比差)ΔK(n)=Kr(n)−Kc(n)として求められる。次いで、基準変速速度Vγc(n)を算出する(ステップS13)。基準変速速度Vγc(n)は、予め設定されている、推力比差ΔK(n)と基準変速速度Vγc(n)との関係(図3)から求められる。推力比差ΔK(n)と基準変速速度Vγc(n)との関係は、例えば上記のように、Vγc(n)=a3×ΔK(n)+bの回帰直線で表される。ただし、a3およびbは既知の定数である。
次いで、変速速度突出量Δγ(n)を求める(ステップS14)。変速速度突出量Δγ(n)は、Δγ(n)=Vγr(n)−Vγc(n)で求められる。
求められた変速速度突出量Δγ(n)は、変速速度突出量しきい値a2に比べて大きいか否かが判定される(ステップS15)。変速速度突出量Δγ(n)が変速速度突出量しきい値a2に比べて小さければ、滑りが生じていないと判定されて終了する。変速速度突出量Δγ(n)が変速速度突出量しきい値a2に比べて大きければ、滑りが生じていると判定される。すなわち、ステップS5において、変速速度Vγr(n)が変速速度しきい値a1に比べて大きいと判定され、かつ、このステップS15において、変速速度突出量Δγ(n)が変速速度突出量しきい値a2に比べて大きいと判定された場合、通常の変速では起こりえない変速速度が生じたということで、巻き掛け伝動部材(4)の滑りが生じたと判定される(ステップS16)。この場合には、滑りが生じたことを示す警告が出されて、滑りが起こらないように制御するなどの適宜な対策手段が行使される。
対策手段としては、例えば、エンジントルクの低減、油圧の増大、変速比の変化などが挙げられる。
上記のフローチャートは所定時間ごとに実行され、変速速度が変速速度しきい値a1以下、すなわち、変速速度が滑りの生じている可能性がある大きさ以下であれば、ステップS1からステップS5までが繰り返される。そして、変速速度が滑りの生じている可能性がある大きさ以上となった場合には、ステップS6からステップS13が実行されて、変速速度が変速速度しきい値a1より大きい理由が滑りによるものか急加速又は急減速などの変速操作によるものかが判定される。こうして、通常は、ステップS6からS13が実行されないことで処理ステップが多くなることが防止され、必要なときに、ステップS6からステップS13が実行されることで、急加速又は急減速を滑りと誤って判定することがない判定を行うことができる。
以上のように、本実施形態では、プライマリプーリ(2)の挟持力とセカンダリプーリ(3)の挟持力とを算出し、これらの挟持力を用いて所定の演算を行うことで、巻き掛け伝動部材(4)に滑りが生じているか否かが判定される。
従来は、図5に示される変速比又は図6に示される変速速度のように、変化量が大きくなった場合に巻き掛け伝動部材(4)に滑りが生じていると判定されていた。しかしながら、例えば図7に示されるように、巻き掛け伝動部材(4)に滑りが生じた場合の変速速度(変速比)の変化幅と、急加速(急減速)時などの滑りが生じていない通常変速時における変速速度(変速比)の変化幅とは部分的に一致する場合があるため、巻き掛け伝動部材(4)の滑りは誤検出される場合があった。
これに対して本実施形態では、プライマリプーリ(2)とセカンダリプーリ(3)との挟持力を算出し、これらの挟持力を用いて所定の演算を行うことによって、滑りの生じていない通常変速時の変速速度と、滑りが生じている場合の変速速度とを切り分けられる。従って、滑りを誤検出することを抑えられ、検出精度をより高められる。
(1):無段変速機、(2):プライマリプーリ、(3):セカンダリプーリ、(4):巻き掛け伝動部材、(6):滑り検出装置、(11):第1磁気センサ(プライマリプーリ回転速度検出手段)、(12):第2磁気センサ(セカンダリプーリ回転速度検出手段)、(15):第1油圧センサ、(16):第2油圧センサ
Claims (2)
- 巻き掛け伝動部材と、前記巻き掛け伝動部材の一部を挟持する一対の第1シーブ面を有し、かつ回転可能なプライマリプーリと、前記第1シーブ面が挟持する部分とは異なる前記巻き掛け伝動部材の一部を挟持する一対の第2シーブ面を有し、かつ回転可能なセカンダリプーリと、を備える無段変速機で生じる前記巻き掛け伝動部材の滑りを検出する滑り検出装置であって、
前記プライマリプーリの回転速度を検出するプライマリプーリ回転速度検出手段と、
前記セカンダリプーリの回転速度を検出するセカンダリプーリ回転速度検出手段と、
前記プライマリプーリの回転速度と前記セカンダリプーリの回転速度との比である変速比を算出する変速比算出手段と、
前記変速比に基づいて変速速度を算出する変速速度算出手段と、
前記一対の第1シーブ面の挟持力を算出する第1挟持力算出手段と、
前記一対の第2シーブ面の挟持力を算出する第2挟持力算出手段と、
前記第1シーブ面の挟持力と前記第2シーブ面の挟持力との比である推力比を算出する推力比算出手段と、
前記推力比と、前記変速比に対応する、変速を伴わない場合における基準推力比との差である推力比差を算出する推力比差算出手段と、
前記変速速度と前記推力比差に対応する基準変速速度との差に基づいて、前記巻き掛け伝動部材に滑りが生じているか否かを判定する滑り判定手段と、
を備える滑り検出装置。 - 巻き掛け伝動部材と、前記巻き掛け伝動部材の一部を挟持する一対の第1シーブ面を有し、かつ回転可能なプライマリプーリと、前記第1シーブ面が挟持する部分とは異なる前記巻き掛け伝動部材の一部を挟持する一対の第2シーブ面を有し、かつ回転可能なセカンダリプーリと、を備える無段変速機で生じる前記巻き掛け伝動部材の滑りを検出する滑り検出方法であって、
前記プライマリプーリの回転速度と前記セカンダリプーリの回転速度との比である変速比を算出する変速比算出ステップと、
前記変速比に基づいて変速速度を算出する変速速度算出ステップと、
前記第1シーブ面の挟持力と前記第2シーブ面の挟持力との比である推力比を算出する推力比算出ステップと、
前記推力比と、前記変速比に対応する、変速を伴わない場合における基準推力比との差である推力比差を算出する推力比差算出ステップと、
前記変速速度と、前記推力比差に対応する基準変速速度との差に基づいて、前記巻き掛け伝動部材に滑りが生じているか否かを判定する滑り判定ステップと、
を備える滑り検出方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2012177740A JP2014035046A (ja) | 2012-08-10 | 2012-08-10 | 滑り検出装置および滑り検出方法 |
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Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2018189216A (ja) * | 2017-05-11 | 2018-11-29 | 本田技研工業株式会社 | 車両及びベルトスリップ検出方法 |
WO2020162148A1 (ja) * | 2019-02-06 | 2020-08-13 | ジヤトコ株式会社 | ベルト式無段変速機 |
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2012
- 2012-08-10 JP JP2012177740A patent/JP2014035046A/ja active Pending
Cited By (6)
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JP2018189216A (ja) * | 2017-05-11 | 2018-11-29 | 本田技研工業株式会社 | 車両及びベルトスリップ検出方法 |
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