JP6284375B2 - 無段変速機のプーリ比演算装置 - Google Patents
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Description
また、一対のプーリの軸方向動作量をそれぞれストロークセンサによって計測し、各軸方向動作量から無段変速機のプーリ比を求めるプーリ比演算装置が知られている(例えば、特許文献2参照)。
また、プーリの軸方向動作量からプーリ比を求める場合では、ストロークセンサのコストが比較的高く、コストが増加してしまうという問題が生じる。また、ストロークセンサは搭載スペースを比較的大きく確保する必要があり、レイアウトが制限されてしまうという問題もあった。
前記プーリ押付力計測手段は、前記プーリを前記ベルトに押し付ける力であるプーリ押付力を計測する。
前記プーリ受け力計測手段は、前記プーリを回転自在に支持する軸受けに負荷される力、若しくは、前記軸受けを支持する変速機ケースに負荷される力を計測し、前記プーリが前記ベルトから受ける力であるプーリ受け力を求める。
前記プーリ比演算手段は、前記プーリ受け力を前記プーリ押付力で除した値に基づいて、前記一方のプーリに対するベルト巻き掛け半径と、前記他方のプーリに対するベルト巻き掛け半径との比率であるプーリ比を演算する。
ここで、プーリ受け力は、プーリを回転可能に支持する軸受け及びこの軸受けを支持する変速機ケースに伝達される。すなわち、軸受けに負荷される力若しくは変速機ケースに負荷される力は、プーリがベルトから受ける力であるため、これらの力を計測することで、プーリ受け力を求めることができる。さらに、プーリ押付力を計測すれば、プーリ受け力をプーリ押付力で除した値を求めることができる。
このとき、プーリ受け力は、ベルトの巻付き角が一定であれば、プーリ押付力に比例する。すなわち、プーリ受け力をプーリ押付力で除した値は、プーリ比に応じて一義的に決まる。
そのため、プーリ受け力をプーリ押付力で除した値に基づいてプーリ比を演算することができ、プーリの回転速度とは無関係にプーリ比を求めることができる。これにより、回転センサで計測できない低回転速度領域であっても、プーリ比を演算することができる。また、比較的コストのかかるストロークセンサが不要となるので、コストの増加を抑制することができる。この結果、コストの増加を抑制しつつ、プーリ比を常時求めることができる。
まず、実施例1の無段変速機のプーリ比演算装置の構成を、「ベルト式無段変速機の全体システム構成」、「プーリ比演算処理」に分けて説明する。
なお、入力シャフト部11bには、図示しないエンジン等により回転駆動する駆動源出力軸X(入力軸)がスプライン結合により連結される。
なお、プーリ支持シャフト部21cは、変速機出力軸(出力軸)に相当し、図示しない終減速機構に噛み合うギヤYが取り付けられる。
このプーリ比演算部71では、セカンダリプーリ2がベルト3からシーブ面21a,22aに垂直な方向に受ける力であるプーリ受け力Σ|fs/cos(α)|を、セカンダリプーリ2をベルト3に押し付ける力であるプーリ押付力Fsで除した値に基づいてプーリ比を演算する。このプーリ比演算部71は、後述するプーリ受け力Σ|fs/cos(α)|をプーリ押付力Fsで除した値とプーリ比の関係特性を示す特性線図(図4参照)をあらかじめ記憶している。
図3は、実施例1のプーリ比演算装置におけるプーリ比演算部にて実行されるプーリ比演算処理の流れを示すフローチャートである。
ここで、プーリ押付力Fsは、セカンダリ油圧Psecに、このセカンダリ油圧Psecを受ける受圧面積であるシリンダ内周面22dで囲まれた面積を積算して求める。
ここで、このセカンダリ第1ベアリング53に負荷されている力は、セカンダリプーリ2がベルト3のエレメント3bから受ける力(=プーリ受け力Σ|fs/cos(α)|)であり、このステップS4では、セカンダリ第1ベアリング53の歪み量からプーリ受け力Σ|fs/cos(α)|を求めることとなる。
ここで、プーリ受け力Σ|fs/cos(α)|は、ベルト3の巻付き角が一定であれば、プーリ押付力Fsに比例する。つまり、同じ巻付き角であれば、プーリ押付力Fsが大きいほどプーリ受け力Σ|fs/cos(α)|が大きくなる。そのため、プーリ受け力Σ|fs/cos(α)|をプーリ押付力Fsで除した値は、プーリ比に応じて一義的に決まる。なお、図4に示す特性線図は、予め実験によって設定する。
まず、「プーリ押付力とプーリ受け力について」を説明し、続いて、実施例1のプーリ比演算装置における「プーリ比演算作用」を説明する。
図5は無段変速機におけるプーリ押付力を示す説明図であり、図6は無段変速機におけるプーリ受け力を示す説明図である。以下、図5及び図6に基づき、プーリ押付力とプーリ受け力について説明する。
ここで、伝達可能なトルクは、摩擦クラッチと同じようにシーブ面の摩擦係数、ベルトピッチ半径、プーリ押付力、シーブ角などで決まる。
Fs>K×T×cos(α)/2×μ×R …(1)
ここで、「K」はベルト滑りに対する安全係数であり、「T」は伝達トルク(Nm)であり、「α」はプーリのシーブ角(rad)であり、「μ」はエレメントとプーリ間の摩擦係数であり、「R」はエレメントの走行半径(m)である。
そのため、この駆動プーリ12,22を動作させる油圧(プライマリ油圧Ppri、セカンダリ油圧Psec)と、油圧を受ける受圧面積を積算することで、プーリ押付力Fsを求めることができる。
図7はプーリ比が最ハイ状態のときのプーリ受け力を示す模式図であり、図8はプーリ比が最ロー状態のときのプーリ受け力を示す模式図である。以下、図7及び図8に基づき、実施例1のプーリ比演算作用について説明する。
すなわち、各軸受け51〜54の歪み量、若しくは、各軸受け51〜54近傍の変速機ケース4の歪み量を計測することで、プーリ受け力Σ|fs/cos(α)|を求めることができる。
すなわち、駆動プーリ12,22を動作させる油圧(プライマリ油圧Ppri、セカンダリ油圧Psec)を計測することで、プーリ押付力Fsを求めることができる。
ここで、プーリ比は、プーリ受け力Σ|fs/cos(α)|をプーリ押付力Fsで除した値から一義的に決まるため、プーリ受け力Σ|fs/cos(α)|とプーリ押付力Fsを求めることで、プーリ比を演算することが可能となる。
そのため、ストロークセンサを用いる場合と比較して、歪みゲージ73を搭載するためのスペース確保が容易になる。また、歪みゲージ73は、一般的にストロークセンサよりも簡易な構成であり、安価である。そのため、ストロークセンサを用いる場合よりもコストの低減を図ることができる。
そのため、簡易な構成で容易にプーリ押付力Fsを求めることができ、コストの増加を抑制することができる。
つまり、変速制御を行ってもセカンダリ油圧Psecは変動せず、プーリ押付力Fsの変動を抑制することができる。そのため、プライマリプーリ1においてプーリ受け力Σ|fs/cos(α)|やプーリ押付力Fsを求める場合と比べて、誤差を抑制することができ、プーリ比の演算精度の向上を図ることができる。
実施例1の無段変速機のプーリ比演算装置にあっては、下記に列挙する効果を得ることができる。
前記プーリ(セカンダリプーリ2)を前記ベルト3に押し付ける力であるプーリ押付力Fsを計測するプーリ押付力計測手段(セカンダリ油圧センサ)72と、
前記プーリ(セカンダリプーリ2)を回転可能に支持する軸受け(セカンダリ第1ベアリング53)に負荷される力を計測し、前記プーリ(セカンダリプーリ2)が前記ベルト3から受ける力であるプーリ受け力Σ|fs/cos(α)|を求めるプーリ受け力計測手段(歪みゲージ73)と、
前記プーリ受け力Σ|fs/cos(α)|を前記プーリ押付力Fsで除した値に基づいて、前記一方のプーリ(プライマリプーリ1)に対するベルト巻き掛け半径Rpriと、前記他方のプーリ(セカンダリプーリ2)に対するベルト巻き掛け半径Rsecとの比率であるプーリ比を演算するプーリ比演算手段(プーリ比演算部71)と、
を備える構成とした。
これにより、コストの増加を抑制しつつ、プーリ比を常時求めることができる。
これにより、ストロークセンサを用いる場合と比べて、歪みゲージ73の搭載スペースを確保しやすく、また、低コストで実現することができる。
これにより、簡易な構成で容易にプーリ押付力Fsを求めることができ、コストの増加を抑制することができる。
前記セカンダリプーリ2には、プーリ作動油圧(セカンダリ油圧Psec)としてライン圧を供給し、
前記プーリ押付力計測手段(セカンダリ油圧センサ72)は、前記セカンダリプーリ2を前記ベルト3に押し付けるプーリ押付力Fsを計測し、
前記プーリ受け力計測手段(歪みゲージ73)は、前記セカンダリプーリ2を回転可能に支持する軸受け(セカンダリ第1ベアリング53)に負荷される力を計測し、前記セカンダリプーリ2が前記ベルト3から受けるプーリ受け力Σ|fs/cos(α)|を求める構成とした。
これにより、計測誤算変動が小さくなり、プーリ比の演算誤差を抑制することができる。
例えば、セカンダリ第2ベアリング54の歪み量からプーリ受け力Σ|fs/cos(α)|を求めてもよい。また、セカンダリ第1ベアリング53の近傍位置で、このセカンダリ第1ベアリング53を支持する変速機ケース4の歪み量や、セカンダリ第2ベアリング54の近傍位置で、このセカンダリ第2ベアリング54を支持する変速機ケース4の歪み量を計測し、計測した変速機ケース4の歪み量からプーリ受け力Σ|fs/cos(α)|を求めてもよい。
1 プライマリプーリ
11 固定プーリ
11a シーブ面
12 駆動プーリ
12a シーブ面
2 セカンダリプーリ
21 固定プーリ
21a シーブ面
21c プーリ支持シャフト(出力軸)
22 駆動プーリ
22a シーブ面
3 ベルト
3a 積層リング
3b エレメント
3c フランク面
4 変速機ケース
51 プライマリ第1ベアリング
52 プライマリ第2ベアリング
53 セカンダリ第1ベアリング(軸受け)
54 セカンダリ第2ベアリング
6 油圧制御回路
7 CVTコントロールユニット
71 プーリ比演算部(プーリ比演算手段)
72 セカンダリ油圧センサ(プーリ油圧センサ、プーリ押付力計測手段)
73 歪みゲージ(プーリ受け力計測手段)
Ppri プライマリ油圧
Psec セカンダリ油圧(プーリ作動油圧)
X 駆動源出力軸(入力軸)
Claims (4)
- 一対のプーリの間にベルトを巻き掛け、一方のプーリに対するベルト巻き掛け半径と、他方のプーリに対するベルト巻き掛け半径を変更して無段階の変速を行う無段変速機において、
前記プーリを前記ベルトに押し付ける力であるプーリ押付力を計測するプーリ押付力計測手段と、
前記プーリを回転可能に支持する軸受けに負荷される力、若しくは、前記軸受けを支持する変速機ケースに負荷される力を計測し、前記プーリが前記ベルトから受ける力であるプーリ受け力を求めるプーリ受け力計測手段と、
前記プーリ受け力を前記プーリ押付力で除した値に基づいて、前記一方のプーリに対するベルト巻き掛け半径と、前記他方のプーリに対するベルト巻き掛け半径との比率であるプーリ比を演算するプーリ比演算手段と、
を備えることを特徴とする無段変速機のプーリ比演算装置。 - 請求項1に記載された無段変速機のプーリ比演算装置において、
前記プーリ受け力計測手段は、前記軸受け又は前記変速機ケースに設けた歪みゲージによって構成する
ことを特徴とする無段変速機のプーリ比演算装置。 - 請求項1又は請求項2に記載された無段変速機のプーリ比演算装置において、
前記プーリ押付力計測手段は、前記プーリをスライド動作させるプーリ作動油圧を検出するプーリ油圧センサによって構成する
ことを特徴とする無段変速機のプーリ比演算装置。 - 請求項1から請求項3のいずれか一項に記載された無段変速機のプーリ比演算装置において、
前記一対のプーリを、入力軸が連結したプライマリプーリと、出力軸が連結したセカンダリプーリと、から構成し、
前記セカンダリプーリには、プーリ作動油圧としてライン圧を供給し、
前記プーリ押付力計測手段は、前記セカンダリプーリが前記ベルトを押し付ける力を計測し、
前記プーリ受け力計測手段は、前記セカンダリプーリを回転可能に支持する軸受けに負荷される力、若しくは、前記軸受けを支持する変速機ケースに負荷される力を計測し、前記セカンダリプーリが前記ベルトから受けるプーリ受け力を求める
ことを特徴とする無段変速機のプーリ比演算装置。
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