JP2014034849A - 新設建物の杭頭半剛接合構造およびその構築方法 - Google Patents
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Abstract
フーチングを構築することを不要とし、新設建物の杭基礎工事を簡易なものとして工事期間を短期化するとともに、新設杭の杭頭に作用する地震水平力を抑えて杭径を小さくすることにより杭基礎工事コストを大幅に削減することが可能な新設建物の杭頭半剛接合構造およびその構築方法を提供すること。
【解決手段】
杭頭が地面から突出した杭と、杭頭に対応する位置に杭頭受容孔が形成された基礎スラブと、杭頭受容孔内に臨む杭頭と基礎スラブを一体化する杭頭連結材と、から構成された新設建物の杭頭半剛接合構造であって、杭頭受容孔内に臨む杭頭外周面と基礎スラブに形成された杭頭受容孔壁面との間には杭頭の水平変位を許容する間隙が形成されているとともに、杭頭と基礎スラブは、杭頭連結材が杭上端面と基礎スラブの上面とに固着されることにより、一体化された杭頭半剛接合構造である。
【選択図】図1
Description
杭頭半剛接合構造の場合、地震時に杭頭部に作用する曲げモーメントの大きさは剛接合構造に比べて小さく、杭頭部の損傷を抑制することが可能である。
言い換えると、剛接合構造は、断面が縮小されることなく、十分な配筋量を有する部材接合部を介して、杭と基礎梁又は基礎スラブ間でスムーズに応力伝達が行われている。
このため従来、杭と基礎部が剛接合構造の杭は、杭頭部に生じる曲げモーメントに抵抗させるために、杭径は大口径化し、杭の縦鋼材も密に配筋されてきた。
また、基礎スラブ等は、杭頭部に生じる曲げモーメント相応の外力に抵抗するために、スラブ厚さは大きくなり、スラブ底板には多数の配力筋が配置されてきた。
すなわち、地震時に、杭頭部に引張軸力が生じる場合は、杭頭部と構造物基礎間では摩擦抵抗が小さくなり、せん断伝達力が低下する問題があった。逆に、大きな圧縮軸力が作用する杭頭部では、設計で仮定したせん断力以上の外荷重が加わることになり、杭頭部に破壊が生じることが想定された。
請求項1に係る発明によれば、杭頭部と基礎スラブ間に間隙を設けることで、基礎スラブの杭頭受容孔内に臨む杭頭に生じる水平変位に対して基礎スラブ部分が抵抗することはなく、杭軸方向に沿った杭材の曲げモーメントは基礎スラブ下面位置で上限となり、杭頭受容孔が形成された基礎スラブの縦断面位置では杭体の水平変形に対して基礎スラブに反力は作用することなく、杭上端面が杭頭連結材で基礎スラブと固着された杭上端面位置にて、基礎スラブ下面位置に対して逆方向からせん断力が作用し、曲げモーメントが形成されることになる。
また、杭上端面と基礎スラブを杭頭連結材で固着させることで、杭上端部位置においては、地震時に生じる軸力変動の影響を受けることなく一定のせん断力が伝達可能となる。
言い換えると、本発明は、杭の径を従来の杭サイズそれより小さくしても、十分な耐力を確保することが可能となる。
また、上面にハンチが付加された板状材とすれば、柱と杭体の断面寸法が異なった場合でも、柱が負担する建物荷重をスムーズに杭体に伝達するのに有効である。
さらに、杭上端面での杭の曲げモーメントは、杭頭連結材を基礎スラブに固着させることによって、杭頭連結材に生じる抵抗モーメントで相殺させるもので、ハンチ付きの杭頭連結材は曲げ性能を向上させるのに有効である。
さらに、杭頭連結材は基礎スラブに汎用性の高い後施工アンカーにて接合するか、基礎スラブに埋設されたアンカーを杭頭受容孔周縁より外側に形成された貫通孔に貫通してネジ止めして接合することが可能である。
1は新設建物(図示省略)の地盤2に穿設された孔に建て込まれた杭である。
この杭1は、通常支持基盤に達する支持杭であることが多いが、摩擦杭であることを妨げない。
また、杭の種類は、コンクリート既製杭、コンクリート鋼管杭、場所打ち杭あるいは鋼管鉄筋コンクリート複合杭等いずれの種類の杭であってもよい。
なお、図1においては図示を省略しているが、柱と杭頭連結材とは、柱に生じた引張軸力に対抗するための通常の接合構造が採られている。
基礎スラブ3には、複数の杭に対応する位置に複数の杭頭受容孔31が形成されている。この杭頭受容孔31は、既に建て込まれている杭1の杭頭11から所定間隔離れて囲繞する形で配置された型枠にて成型されている。
この杭頭連結材5は、その周縁が前記杭頭受容孔31より前記基礎スラブ側に拡張された広さを備える、板状材あるいは上面にハンチが付加された板状材(図1の右側に示された杭頭半剛接合構造参照)であるから、杭頭11の水平変位を許容する間隙4を容易に跨いで、杭頭連結材5を杭1と基礎スラブ3の両者の上に載置してその後の作業に取り掛かることができる。
また、上面にハンチが付加された板状材にて形成された杭頭連結材5は、柱が負担する建物荷重をスムーズに杭体に伝達するのに有効であり、また、有効せいを大きくするのに有効で、板状材を介して大きな抵抗モーメントを形成させることが可能となる。
杭頭11と杭頭連結材5は、アンカー鋼棒13にて結合されるものである。
杭頭11頂部には、めすネジが刻設され周方向に配列された複数のボルト孔を有する杭頭端板12が固定されている。一方、両端ボタンヘッド付アンカー鋼棒13には、おすネジが刻設された2つの接続カプラー14が備えられている。1つは摺動自在に嵌合され、他は鋼棒13端部に固定されている。
これにより、ボタンヘッド付アンカー鋼棒13、すなわち、棒状部材13が杭頭に植設されている。
次いで、杭頭連結材5と基礎スラブ3との接合構造について、図1を参照して説明する。
これにより、杭頭連結材5と基礎スラブ3とが一体化されているのである。
このため、本発明の杭の径を従来の杭のそれより小さくしても、十分な耐力を確保することが可能となる。
(参考文献3、日本建築学会:建築基礎構造設計指針、2001年10月1日、pp.270、表6.6.1一様地盤中の弾性支承梁の解(頭部に水平力と曲げモーメントを受ける杭の水平抵抗))
さらに、杭と基礎スラブを杭頭半剛接合形式とすることで、杭頭部に作用する地震水平力を低減し、従来の杭に比し杭径を縮減することが可能である。
杭頭連結材5は、基礎スラブ3に形成された切欠段部にコンクリートが打設されて敷設されている。
このとき、切欠段部が型枠として作用するから、切欠段部内に配筋してコンクリートを打設するだけで杭頭連結材5を形成することができる。
なお、本明細書においては、この切欠段部の上面を含めて、基礎スラブの上面と称している。
この形態では、図3に示されたナット15が、アンカー鋼棒13の杭頭連結材内における定着板として機能するものである。
Claims (5)
- 杭頭が地面から突出した杭と、前記杭頭に対応する位置に杭頭受容孔が形成された基礎スラブと、前記杭頭受容孔内に臨む杭頭と前記基礎スラブを一体化する杭頭連結材と、から構成された新設建物の杭頭半剛接合構造であって、
前記杭頭受容孔内に臨む杭頭外周面と前記基礎スラブに形成された杭頭受容孔壁面との間には前記杭頭の水平変位を許容する間隙が形成されているとともに、
前記杭頭と前記基礎スラブは、前記杭頭連結材が前記杭上端面と前記基礎スラブの上面とに固着されることにより、一体化されていることを特徴とする新設建物の杭頭半剛接合構造。 - 前記杭頭連結材は、その周縁が前記杭頭受容孔より前記基礎スラブ側に拡張された広さを有する、板状材または上面にハンチが付加された板状材であることを特徴とする請求項1に記載された新設建物の杭頭半剛接構造。
- 前記杭頭連結材は、前記杭外周縁より内側および前記前記杭頭受容孔周縁より外側に貫通孔が形成された鋼板またはPCaコンクリート板からなり、前記杭上端面に植設された棒状部材が前記貫通孔を貫通固定されて前記杭頭に接合されるとともに、前記基礎スラブにアンカーにて接合されていることを特徴とする請求項1乃至請求項2のいずれかに記載された新設建物の杭頭半剛接構造。
- 前記杭頭連結材は、場所打ちコンクリート板からなり、前記杭上端面に植設された棒状部材および基礎スラブから突出するアンカーを打設したコンクリートに埋設固定して前記杭頭および前記基礎スラブに接合されるものであることを特徴とする請求項1乃至請求項2のいずれかに記載された新設建物の杭頭半剛接構造。
- 新設建物の杭頭半剛接構造の構築方法において、
新設建物下方の地面を基礎スラブの床付け面まで掘削する工程と、
杭を杭頭が前記床付け面から突出した状態に建て込む工程と、
前記床付け面から突出した杭頭周面との間に前記杭頭の水平変位を許容する間隙を形成しつつ基礎スラブを打設構築する工程と、
杭頭連結材を介して前記杭頭と前記基礎スラブとを一体化する工程と、
から構成されていることを特徴とする新設建物の杭頭半剛接構造の構築方法。
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