JP2006063711A - 鋼管杭圧入による既存構造物の基礎補強工法 - Google Patents

鋼管杭圧入による既存構造物の基礎補強工法 Download PDF

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【課題】既存構造物の内部から新たに鋼管杭を地盤中へ圧入することによる既存構造物の基礎補強工法を提供する。
【解決手段】既存構造物の基礎スラブ上に、アンカー鉄筋等の繋ぎ材を介して基礎梁と構造的に一体化した鉄筋コンクリート造の新設フーチングを構築し新設フーチングに鋼管杭の圧入用孔を形成しアンカー材により新設フーチングに支持されてほぼ垂直に立ち上がる複数本のPC鋼材を設置し圧入用孔の直下の基礎スラブを掘削して開口を設け、圧入用孔及び開口を通じて鋼管杭を挿入して地盤上に立てる。PC鋼材の上部に反力盤を取り付け同反力盤の下側に鋼管杭圧入用のジャッキを設置し鋼管杭をジャッキにより地盤中へ圧入する。鋼管杭の杭頭部外周にスタッド等の応力伝達要素を取り付け、補強鉄筋を配筋し鋼管杭の杭頭部と新設フーチングとの間にコンクリート等の固結材を充填する。
【選択図】 図1

Description

この発明は、既存構造物の改修に際しての荷重増加対策、或いは地盤の液状化対策として実施する基礎補強工法、特に既存構造物の内部から新たに鋼管杭を地盤中へ圧入することによる既存構造物の基礎補強工法の技術分野に属する。
既存構造物の改修に際し、規模の拡大に伴う荷重の増加対策、或いは地盤の液状化対策として、特に既存構造物の内部から新たに鋼管杭を地盤中へ圧入することによる基礎補強工法が、実施化に向けて種々研究・開発されている。
例えば下記の特許文献1には、既設の基礎梁のベース部を挟むアンカー部材を設置し、このアンカー部材に下端を固定して垂直に立ち上がらせた倒立U字形状の支持枠の中間部に反力桁を取り付け、この反力桁にジャッキを設置し、地盤上に立てた杭体を前記ジャッキにより圧入する装置及び基礎補強工法が開示されている。但し、この工法は、基礎梁の横断面が倒立T字形状をなし、ベース部を有することを前提としており、前記条件を満たさないと実施は不可能である。また、ベース部を挟むアンカー部材を設置するためには、ベース部を掘り出す必要がある。その際に、もし仮に基礎スラブが存在すれば(通例は存在する)、これを作業上必要とされる範囲までを解体しなければならない。
また、下記の特許文献2には、地盤沈下等により既存構造物の基礎が不等沈下した場合に、基礎梁の側面部に反力治具を取り付け、この反力治具に支持されたジャッキで地盤中に杭を圧入して構造物基礎の水平度を修正する工法が開示されている。
更に特許文献3には、高さ制限のある既存構造物等の内部から地盤中へ鋼管杭を圧入する場合に、作業に適切な単位長さの鋼製杭部材を順次継ぎ足して地盤中へ圧入する装置及び工法が開示されている。
特開平9−78580号公報 特許第3029797号公報 特開2002−38478号公報
上記した特許文献1〜3に開示された基礎補強装置及び工法はそれぞれ固有の特徴を有するが、特有のアンカー部材や反力治具或いは溶接圧入装置を使用することが前提条件であるから、必然、それらを使用可能な条件が整えられることが必須不可欠であり、普遍的に実施可能な技術と云うには問題がある。
本発明の目的は、従来技術の上述した問題点を解決すること、具体的には既存構造物に基礎梁が存在し、又は残存しておれば、普遍的に確実に容易に実施することが可能であり、鋼管杭を地盤中へ圧入して基礎及び地盤の補強を行うことが出来、ひいては既存構造物の改修に際しての荷重増加対策や地盤の液状化対策としての実効をあらしめる基礎補強工法を提供することである。
上述した従来技術の課題を解決するための手段として、請求項1に記載した発明に係る鋼管杭圧入による既存構造物の基礎補強工法は、
既存構造物の基礎スラブ1上に、アンカー鉄筋2等の繋ぎ材を介して基礎梁3と構造的に一体化した鉄筋コンクリート造の新設フーチング4を構築すると共に、同新設フーチング4に鋼管杭5の圧入用孔6を形成し、且つアンカー材7により新設フーチング4に支持されてほぼ垂直に立ち上がる複数本のPC鋼材8を設置する段階と、
前記新設フーチング4のコンクリートが所定の強度を発現した後に、前記圧入用孔6の直下の基礎スラブ1を掘削して開口11を設け、前記圧入用孔6及び開口11を通じて鋼管杭5を挿入して地盤上に立てる。また、前記PC鋼材8の上部に反力盤12を取り付け、同反力盤12の下側に鋼管杭圧入用のジャッキ13を設置し、前記鋼管杭5を前記ジャッキ13により地盤中へ圧入する段階と、
鋼管杭5を地盤中へ所定の深度まで圧入した打ち止め確認後に、同鋼管杭5の杭頭部外周にスタッド15等の応力伝達要素を取り付け、補強鉄筋16を配筋し、鋼管杭5の杭頭部と新設フーチング4との間にコンクリート17等の固結材を充填して鋼管杭5と新設フーチング4を構造的に一体化する段階と、から成ることを特徴とする。
請求項2に記載した発明は、請求項1に記載した鋼管杭圧入による既存構造物の基礎補強工法において、
新設フーチング4と接する基礎梁3の表面に応力伝達性能を高める凹凸形状を形成する表面処理を行い、また、基礎スラブ1にスタッド9等の応力伝達要素を取り付けて、基礎梁3及び基礎スラブ1と構造的に一体化した新設フーチング4を構築することを特徴とする。
請求項3に記載した発明は、請求項1に記載した鋼管杭圧入による既存構造物の基礎補強工法において、
新設フーチング4に形成する鋼管杭5の圧入用孔6の孔壁部に、鋼管杭5との間に充填するコンクリート17等の固結材との構造的な一体化性能を高める凹凸形状18を設けることを特徴とする。
本発明に係る鋼管杭圧入による既存構造物の基礎補強工法は、既存構造物の基礎梁3が存在し、反力要素として利用できるかぎり、この基礎梁3と構造的に一体化した新設フーチング4を構築し、更に反力体としてのPC鋼材8を設置することにより、既存構造物の内側からでも可及的速やかに効率よく鋼管杭5を地盤中へ圧入して基礎及び地盤の補強を行うことが出来る。その結果、既存構造物の改修に際して、規模の拡大等に伴う荷重増加の対策、或いは地盤の液状化対策に実効をあらしめる。
かくして鋼管杭5による基礎の補強が達成される結果、既存構造物の床面積を拡大する造床が可能となる。
既存構造物の基礎スラブ1上に、アンカー鉄筋2等の繋ぎ材(剪断力伝達要素)を介して基礎梁3と構造的に一体化した鉄筋コンクリート造の新設フーチング4を構築する。同新設フーチング4には鋼管杭5の圧入用孔6を形成し、且つアンカー材(アンカープレート7)により新設フーチング4に支持されてほぼ垂直に立ち上がる複数本のPC鋼材8を設置する。
前記新設フーチング4のコンクリートが所定の強度を発現した後に、前記圧入用孔6の直下の基礎スラブ1を掘削して開口11を設け、前記圧入用孔6及び開口11を通じて鋼管杭5を挿入して地盤上に立てる。また、前記PC鋼材8の上部に反力盤12を取り付け、同反力盤12の下側に鋼管圧入用のジャッキ13を設置し、前記鋼管杭5をジャッキ13により地盤中へ圧入する。
鋼管杭5を地盤中へ所定の深度まで圧入した打ち止め確認後に、同鋼管杭5の杭頭部外周にスタッド15等の応力伝達要素を取り付け、補強鉄筋16を配筋し、鋼管杭5の杭頭部と新設フーチング4との間にコンクリート17等の固結材を充填して鋼管杭5と新設フーチング4を構造的に一体化する。
本発明の実施例を示す図1と図2の場合は、既存構造物の基礎スラブ1上に、剪断力を伝達する繋ぎ材である複数本のアンカー鉄筋2…を介して基礎梁3と構造的に一体化した鉄筋コンクリート造の新設フーチング4を構築すると共に、同新設フーチング4には鋼管杭5の圧入用孔6を形成し、且つアンカー材として採用した複数のアンカープレート7を新設フーチング4中に埋設して支持されほぼ垂直に立ち上がる複数本のPC鋼材8、8を設置している。アンカー鉄筋2は、基礎梁3に穴を掘り、一端部を基礎梁3の中へ十分深く埋め込むと共に、新設フーチング4との構造的な一体化に必要な本数を設置する。前記圧入用孔6の口径は、鋼管杭5の外径よりも、鋼管杭圧入作業が容易な程度に十分大きく形成する。
図1と図2の場合、新設フーチング4は、平面的に見て柱10を基点に直角2方向に配置された2本の基礎梁3、3に囲まれた内隅部に構造的に一体化した構成で構築しているが、この限りではない。単一の基礎梁3の一側面に隣接する配置で構築して同様に実施することもできる。新設フーチング4の規模(床面積および高さ)は、鋼管杭5の圧入に必要な反力の大きさに応じて決定される。図1中の符号10aは柱10のフーチング基礎を示す。
明瞭に図示することは省略したが、新設フーチング4と接する基礎梁3の表面には、相互間の剪断応力伝達性能を高める凹凸形状を形成し、又は目荒らし等する表面処理を行うことが好ましい。また、図2のように基礎スラブ1に応力伝達要素としてスタッド9を取り付けて、基礎スラブ1と構造的に一体化した新設フーチング4を構築することも好ましい(請求項2記載の発明)。
新設フーチング4に形成する鋼管杭圧入用孔6の孔壁部には、後述するように鋼管杭5との間に充填するコンクリート17等の固結材との構造的な一体化性能(剪断力の伝達性能)を高める凹凸形状18を設けることが好ましい(請求項3記載の発明)。
次に、上記のようにして構築した新設フーチング4のコンクリートが所定の強度を発現した後に、上記圧入用孔6の直下の基礎スラブ1をほぼ同形、同大に掘削して開口11を設ける。そして、前記圧入用孔6及び開口11を通じて鋼管杭5を垂直に挿入して地盤上に立てる。一方、前記PC鋼材8、8の上部に反力盤12を反力の伝達が可能な構造に取り付け、同反力盤12の下側に鋼管杭圧入用として例えば静的な油圧駆動式等のジャッキ13を設置し、鋼管杭5を同ジャッキ13により地盤中へ圧入する。
勿論、高さ制限のある既存構造物の中における鋼管杭5の圧入作業であることを前提にすると、地盤上に立てる鋼管杭5の高さに限度がある。よって、図3に示すように、鋼管杭5は既存構造物の中への搬入および前記ジャッキ13の直下への建て込みが容易な長さに製作した単位鋼管を用意し、それを溶接継手14により順次継ぎ足して、鋼管杭5を予定の深度まで圧入する。
上記のようにして鋼管杭5を地盤中へ所定の深度まで圧入した打ち止め確認後(又はその直前)に、同鋼管杭5の杭頭部外周に応力伝達要素として例えばスタッド15を取り付け、更に補強鉄筋16を配筋し、鋼管杭5の杭頭部と新設フーチング4との隙間(鋼管杭圧入用孔6)にコンクリート17等の固結材を充填し、鋼管杭5の杭頭部と新設フーチング4とを構造的に一体化処理する(図4参照)。このとき、上記したように鋼管杭圧入用孔6の孔壁部に凹凸形状18を設けておくと、充填したコンクリート等の固結材17による構造的な一体化の性能(剪断力の伝達性能)を高めることに大いに効果的である。
かくして既存構造物の基礎は鋼管杭5による支持に更新されるので、荷重支持力は大きく増強される。また、地盤に液状化現象の懸念があっても、鋼管杭5に支持される杭基礎となるので不等沈下等の心配もなくなる。
以上に本発明を実施例に基づいて説明したが、勿論、図示した実施例の限りではない。本発明の要旨及び技術的思想を逸脱しないかぎり、当業者の変形、応用にしたがい種々な実施例が成立することを、敢えてここに言及する次第である。
鋼管杭の圧入作業の状況を示す平面図である。 図1の垂直断面図である。 鋼管杭の圧入・打ち継ぎ要領の説明図である。 杭頭部を新設フーチングと一体化した構造を示す断面図である。
符号の説明
1 基礎スラブ
2 アンカー鉄筋(繋ぎ材)
3 基礎梁
4 新設フーチング
5 鋼管杭
6 圧入用孔
7 アンカー材(アンカープレート)
8 PC鋼材
11 開口
12 反力盤
13 ジャッキ
15 スタッド(応力伝達要素)
16 補強鉄筋
17 固結材(コンクリート)
9 スタッド(応力伝達要素)
18 凹凸形状

Claims (3)

  1. 既存構造物の基礎スラブ上に、アンカー鉄筋等の繋ぎ材を介して基礎梁と構造的に一体化した鉄筋コンクリート造の新設フーチングを構築すると共に、同新設フーチングに鋼管杭の圧入用孔を形成し、且つアンカー材により新設フーチングに支持されてほぼ垂直に立ち上がる複数本のPC鋼材を設置する段階と、
    前記新設フーチングのコンクリートが所定の強度を発現した後に、前記圧入用孔の直下の基礎スラブを掘削して開口を設け、前記圧入用孔及び開口を通じて鋼管杭を挿入して地盤上に立て、また、前記PC鋼材の上部に反力盤を取り付け、同反力盤の下側に鋼管杭圧入用のジャッキを設置し、前記鋼管杭をジャッキにより地盤中へ圧入する段階と、
    鋼管杭を地盤中へ所定の深度まで圧入した打ち止め確認後に、同鋼管杭の杭頭部外周にスタッド等の応力伝達要素を取り付け、補強鉄筋を配筋し、鋼管杭の杭頭部と新設フーチングとの間にコンクリート等の固結材を充填して鋼管杭と新設フーチングを構造的に一体化する段階と、
    から成ることを特徴とする、鋼管杭圧入による既存構造物の基礎補強工法。
  2. 新設フーチングと接する基礎梁の表面に応力伝達性能を高める凹凸形状を形成する表面処理を行い、また、基礎スラブにスタッド等の応力伝達要素を取り付けて、基礎梁及び基礎スラブと構造的に一体化した新設フーチングを構築することを特徴とする、請求項1に記載した鋼管杭圧入による既存構造物の基礎補強工法。
  3. 新設フーチングに形成する鋼管杭の圧入用孔の孔壁部に、鋼管杭との間に充填するコンクリート等の固結材との構造的な一体化性能を高める凹凸形状を設けることを特徴とする、請求項1に記載した鋼管杭圧入による既存構造物の基礎補強工法。


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