JP2014034222A - 空気入りタイヤ - Google Patents

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Abstract

【課題】優れた耐空気透過性とともに、隣接ゴムとの良好な接着性を有するインナーライナーを備えた空気入りタイヤを提供する。
【解決手段】カーカスプライ6のタイヤ内側にインナーライナー9を備えた空気入りタイヤ1であって、インナーライナーは、スチレン−イソブチレン−スチレントリブロック共重合体を含む第1ポリマー組成物からなる第1層と、スチレン−イソプレン−スチレントリブロック共重合体およびスチレン−イソブチレンジブロック共重合体の少なくともいずれかを含む第2ポリマー組成物からなる第2層とを含み、少なくともいずれかが、エポキシ化スチレン−ブタジエン−スチレントリブロック共重合体を0.5質量%以上40質量%以下含み、インナーライナーはクラウン中央位置Pcにおける厚さGcよりもショルダー位置Peの厚さGeが厚く、厚さGeが0.2mm以上1.9mm以下である。
【選択図】図1

Description

本発明は、インナーライナーを備えた空気入りタイヤに関する。
インナーライナーはタイヤの内側に配置され、空気入りタイヤ内部から外部への空気の漏れを低減してタイヤ内圧を一定に維持する機能を有する。このような機能を有する材料として、従来からブチル系ゴムなどの気体透過性の低いゴム組成物が使用されている。一方、タイヤの軽量化を図るために、ブチル系ゴム組成物にかえて熱可塑性樹脂を含む材料からなるフィルムが使用される場合がある。
ここでインナーライナーは、タイヤ使用時にショルダー部近傍に大きなせん断歪が作用する。熱可塑性樹脂を含む材料をインナーライナーとして使用した場合、このせん断歪みによって、インナーライナーとカーカスプライの接着界面で剥離が発生しやすくなり、タイヤの空気漏れが発生するという問題があった。
一方、空気入りタイヤは、低燃費化の要請があり、タイヤの軽量化により転がり抵抗を軽減する課題がある。そのため、インナーライナーに熱可塑性エラストマーを用いる技術も提案されているが、ブチル系ゴムのインナーライナーよりも厚さを薄くすると、インナーライナーの強度は低下し、加硫工程時のブラダーの熱と圧力でインナーライナーが破壊または変形する問題があった。
さらに、高い耐空気透過性を有する熱可塑性エラストマーは、インナーライナーに隣接するインスレーションゴムやカーカスゴムとの加硫接着力がブチル系ゴムよりも劣ることが分かっている。インナーライナーの加硫接着力が低いと、インナーライナーとインスレーションゴム、またはカーカスゴムとの間に空気が混入し、小さな風船のようなものが現れる、いわゆるエアイン現象が生じる。エアインの有無は、タイヤの性能上は問題ないものの、ユーザーには外観が悪いという印象を与えてしまう。
特許文献1(特開平9−019987号公報)には、空気圧を一定に保持する、インナーライナー層等の空気透過防止層を有する空気入りタイヤに好適な積層体として、ポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアリレート系樹脂、ポリアミド系アロイ及びポリエステル系アロイからなる群より選ばれた少なくとも1種のガスバリヤー層(A)と接着層(B)とが少なくとも2層に積層されると共に、少なくとも一方の表面から電子線照射された積層フィルムを備えてなり、且つ上記接着層(B)がゴム層(R)と加熱接着されてなる積層フィルムとゴム層との積層体が開示されている。
該積層体は、接着層が加硫工程においてブラダーと加熱状態で接触することになり、ブラダーに粘着するという問題がある。
特許文献2(特許第2999188号明細書)には、耐空気透過性を有する熱可塑性エラストマー組成物として、エラストマー組成物(A)を分散相、熱可塑性樹脂組成物(B)をマトリックスとし、かつ熱可塑性樹脂組成物が2種以上の熱可塑性樹脂のブレンドよりなる熱可塑性エラストマー組成物が開示されている。実施例では、熱可塑性樹脂組成物としてナイロン樹脂を用いているが、ナイロン樹脂は室温では硬くタイヤ用インナーライナーとしては不向きである。さらに、該熱可塑性エラストマー組成物はゴム層との加硫接着はしない。したがって、該熱可塑性エラストマーをインナーライナーに用いると、さらに加硫用接着層が必要となり、生産性の観点から不利である。
先行文献3(特開2008−024219号公報)には、空気遮断性の良好なエチレン−ビニルアルコール共重合体中に無水マレイン酸変性水素添加スチレン−エチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体を分散させた、柔軟なガスバリア層が開示されている。また、該ガスバリア層を熱可塑性ポリウレタン層で挟み込み、さらにタイヤゴムと接着する面にゴム糊(ブチルゴム/天然ゴムの70/30をトルエンに溶解させる)を塗布させて作製されたインナーライナー層が開示されている。
しかし、柔軟樹脂分散の変性エチレン−ビニルアルコール共重合体は接着力が低く、熱可塑性ポリウレタン層と剥離するおそれがある。また柔軟樹脂分散の変性エチレン−ビニルアルコール共重合体は柔軟樹脂が分散されているが、マトリックスの変性エチレン−ビニルアルコール共重合体は屈曲疲労性に乏しく、タイヤ走行中に破壊してしまう。さらにタイヤゴムと接着する面にゴム糊を塗布しているが、通常のインナーライナーの製造工程とは別の工程が必要となり、生産性が劣ることになる。
先行文献4(特開2005−343379号公報)には、インナーライナー層におけるクラックの発生を効果的に抑制するために、ショルダー部における厚さがタイヤクラウン部における厚さよりも大きく設計されたインナーライナー層が開示されている。しかしながら厚さ寸法を大きくすると重量が増加するため、タイヤの低燃費化の観点から問題がある。
特開平9−019987号公報 特許第2999188号明細書 特開2008−024219号公報 特開2005−343379号公報
本発明は、優れた耐空気透過性とともに、隣接ゴムとの良好な接着性を有するインナーライナーを備えた空気入りタイヤ、および転がり抵抗が低減され、低温耐久性に優れた空気入りタイヤを提供することを目的とする。
本発明は、一対のビード部の間に装架されたカーカスプライのタイヤ内側にインナーライナーを備えた空気入りタイヤであって、インナーライナーはポリマー積層体からなり、ポリマー積層体は、スチレン−イソブチレン−スチレントリブロック共重合体を含む第1ポリマー組成物からなる厚さ0.05mm以上0.8mm以下の第1層と、スチレン−イソプレン−スチレントリブロック共重合体およびスチレン−イソブチレンジブロック共重合体の少なくともいずれかを含む第2ポリマー組成物からなる厚さ0.01mm以上0.8mm以下の第2層とを含み、第1ポリマー組成物および第2ポリマー組成物の少なくともいずれかが、エポキシ化スチレン−ブタジエン−スチレントリブロック共重合体を0.5質量%以上40質量%以下含み、第2層がカーカスプライのゴム層と接するように配置されており、インナーライナーはクラウン中央位置Pcにおける厚さGcよりもショルダー位置Peの厚さGeが厚く、厚さGeが0.2mm以上1.9mm以下である。
本発明の空気入りタイヤは、タイヤ子午断面において、カーカスプライとインナーライナーとの境界線に対してトレッド部の接地端Teからタイヤ内径方向に法線Lを引き境界線との交点をショルダー位置Peとし、カーカスプライとインナーライナーとの境界線とタイヤ中心線CLとの交点をクラウン中心位置Pcとし、さらにショルダー位置Peからクラウン中心位置Pcまでのインナーライナーの輪郭線に沿った距離をショルダー距離Wcとしたとき、インナーライナーの肉厚部は、ショルダー位置Peからクラウン中心位置Pc側に、ショルダー距離Wcの少なくとも10%の幅を有する領域に形成されていることが好ましい。
本発明の空気入りタイヤは、インナーライナーの肉厚部は、ショルダー位置Peからクラウン中心位置Pc側に、ショルダー幅Wcの少なくとも50%の幅を有する領域に形成されていることが好ましい。
本発明の空気入りタイヤは、インナーライナーのショルダー位置Peからタイヤ最大幅位置Psまでのインナーライナーの輪郭線に沿った距離をサイド距離Wsとしたとき、インナーライナーの肉厚部は、ショルダー位置Peから最大幅位置Ps側に、サイド距離Wsの少なくとも20%の幅を有する領域に形成されていることが好ましい。
本発明の空気入りタイヤは、インナーライナーの肉厚部は、ショルダー位置Peからタイヤ最大幅位置Ps側に、サイド距離Wsの100%以下の幅を有する領域に形成されていることが好ましい。
本発明の空気入りタイヤは、インナーライナーは、クラウン中央位置Pcにおける厚さGcに対し、ショルダー位置Peの厚さGeは120%以上500%以下であることが好ましい。
本発明の空気入りタイヤは、スチレン−イソブチレン−スチレントリブロック共重合体は、スチレン成分含有量が10質量%以上30質量%以下であり、重量平均分子量が5万以上40万以下であることが好ましい。
本発明の空気入りタイヤは、エポキシ化スチレン−ブタジエン−スチレントリブロック共重合体は、重量平均分子量が1万以上40万以下であり、スチレン成分含有量が10質量%以上30質量%以下であり、かつエポキシ当量が50以上1,000以下であることが好ましい。
本発明によれば、優れた耐空気透過性とともに、隣接ゴムとの良好な接着性を有するインナーライナーを備えた空気入りタイヤ、および転がり抵抗が低減され、低温耐久性に優れた空気入りタイヤを得ることができる。
本発明の一実施の形態における空気入りタイヤの右半分の概略断面図である。 図1のトレッド部の拡大概略断面図である。 本発明の一実施の形態における空気入りタイヤのインナーライナーの概略断面図である。
<空気入りタイヤ>
本発明の一実施の形態における空気入りタイヤを、図に基づき説明する。図1は、空気入りタイヤの右半分の概略断面図であり、図2は、そのトレッド部の拡大概略断面図である。図1において空気入りタイヤ1は、トレッド部2と、該トレッド部両端からトロイド形状を形成するようにサイドウォール部3とビード部4とを有している。さらに、ビード部4にはビードコア5が埋設される。また、一方のビード部4から他方のビード部に亘って設けられ、両端をビードコア5のまわりに折り返して係止されるカーカスプライ6と、該カーカスプライ6のクラウン部外側には、少なくとも2枚のプライよりなるベルト層7とが配置されている。
前記ベルト層7は、通常、スチールコードまたはアラミド繊維等のコードよりなるプライの2枚をタイヤ周方向に対して、コードが通常5〜30°の角度になるようにプライ間で相互に交差するように配置される。なおベルト層の両端外側には、トッピングゴム層を設け、ベルト層両端の剥離を軽減することができる。またカーカスプライはポリエステル、ナイロン、アラミド等の有機繊維コードがタイヤ周方向にほぼ90°に配列されており、カーカスプライとその折り返し部に囲まれる領域には、ビードコア5の上端からサイドウォール方向に延びるビードエーペックス8が配置される。また前記カーカスプライ6のタイヤ半径方向内側には一方のビード部4から他方のビード部4に亘るインナーライナー9が配置されている。
ここで本発明においてインナーライナー9における位置、距離および幅を次のように定義する。
<ショルダー位置Pe>
タイヤ子午断面において、前記カーカスプライとインナーライナーの境界線に対してトレッド部の接地端Teからタイヤ内径方向に法線Lを引き前記境界線との交点をショルダー位置Peと定義する。ここでトレッド部の接地端Teは、トレッド部の外側輪郭線を延長した線と、ショルダー部の外側輪郭線を延長した交点として定義される。
<クラウン中心位置Pc>
カーカスプライとインナーライナーの境界線とタイヤ中心線CLとの交点をクラウン中心位置Pcとする。
<タイヤ最大幅位置Ps>
タイヤに規定内圧を充填し標準リムを装着したときの外側輪郭線の最大幅位置Leをとおるタイヤ回転軸に平行な線とカーカスプライとインナーライナーの境界線との交点をタイヤ最大幅位置Psとする。
<ショルダー距離Wc>
前記ショルダー位置Peからクラウン中心位置Pcまでのインナーライナーの輪郭線に沿った距離をショルダー距離Wcとする。
<サイド距離Ws>
前記ショルダー位置Peからタイヤ最大幅位置Psまでのインナーライナーの輪郭線に沿った距離をサイド距離Wsとする。
<インナーライナー厚さ>
インナーライナーのクラウン中心位置Pcの厚さをGc、ショルダー位置Peにおける厚さをGe、最大幅位置Psにおける厚さをGsとする。
前記インナーライナーの肉厚部は、前記ショルダー位置Peからクラウン中心位置Pc側に、前記ショルダー距離Wcの少なくとも10%の幅を有する領域に形成されていることが好ましい。一方、肉厚部は前記ショルダー距離Wcの100%以下の幅を有する領域に形成することが好ましい。さらに、肉厚部はショルダー距離Wcの少なくとも50%の幅を有する領域に形成されていることが好ましい。
前記インナーライナーの肉厚部は、前記ショルダー位置Peから前記最大幅位置Ps側に、前記サイド距離Wsの少なくとも20%の幅を有し、100%以下の幅の領域に形成されていることが好ましい。肉厚部がショルダー位置Peからサイド距離Wsの20%以上100%以下の範囲に設定することで、タイヤ走行時に屈曲変形の激しいショルダー部の変形を抑制するとともに、この領域の応力緩和を効果的に達成することができる。さらに、前記肉厚部はショルダー位置Peからサイド距離Wsの20%以上80%以下の範囲に形成されることが好ましい。
本発明において前記インナーライナーは、クラウン中央位置Pcにおける厚さGcよりも、ショルダー位置Peの厚さGeが厚い。このため、ショルダー部におけるインナーライナーの耐久性が向上し、インナーライナーの強度低下による破れや変形、接着力の低下を抑制することができ、結果としてタイヤの空気漏れを効果的に抑制することができる。
ショルダー位置Peの厚さGeは0.2mm以上1.9mm以下である。Geが0.2mm未満であると、タイヤ走行時に破れや変形が起こりやすい。Geが1.9mmを超えると、インナーライナーの軽量化の効果を十分に得ることができない。Geはさらに0.3mm以上1.9mm以下が好ましい。
クラウン中央位置Pcにおける厚さGcに対し、ショルダー位置Peの厚さGeは120%以上500%以下であることが好ましい。ショルダー位置Peの厚さGeが120%未満の場合は、ショルダー部の屈曲変形およびせん断変形の抑制が十分でなく、また500%を超えるとインナーライナーの軽量化の効果は十分期待できない。クラウン中央位置Pcにおける厚さGcに対し、ショルダー位置Peの厚さGeは、より好ましくは200%以上500%以下である。
また、最大幅位置Psの厚さGsに対し、ショルダー位置Peの厚さGeは120%以上500%以下であることが好ましい。
なお、肉厚部は、ショルダー位置Peを中心に、クラウン中央位置Pc方向と、最大幅位置Ps方向に厚さを漸減する構成とすることが好ましい。インナーライナーの肉厚部を上述のように形成することで、タイヤ走行時における、この領域での繰り返し変形に伴う屈曲変形およびせん断変形が生じても、その応力を緩和することができ、インナーライナーのクラックの発生を防止することができる。
<ポリマー積層体>
本発明の一実施の形態において、インナーライナーに用いられるポリマー積層体は、少なくとも2層のポリマー積層体で形成される。第1層は、スチレン−イソブチレン−スチレントリブロック共重合体(以下、SIBSともいう)を含む第1ポリマー組成物からなり、厚さが0.05mm以上0.8mm以下である。第2層は、スチレン−イソプレン−スチレントリブロック共重合体(以下、SISともいう)およびスチレン−イソブチレンジブロック共重合体(以下、SIBともいう)の少なくともいずれかを含む第2ポリマー組成物からなり、厚さが0.01mm以上0.8mm以下である。前記第1ポリマー組成物および前記第2ポリマー組成物の少なくともいずれかは、エポキシ化スチレン−ブタジエン−スチレントリブロック共重合体を含む。
<第1層>
本発明の一実施の形態において、第1層は、スチレン−イソブチレン−スチレントリブロック共重合体(SIBS)を含む第1ポリマー組成物からなる。SIBSのイソブチレンブロック由来により、SIBSを含むポリマーフィルムは優れた耐空気透過性を有する。したがって、SIBSを含むポリマーフィルムをインナーライナーに用いた場合、耐空気透過性に優れた空気入りタイヤを得ることができる。
さらに、SIBSは芳香族以外の分子構造が完全飽和であることにより、劣化硬化が抑制され、優れた耐久性を有する。したがって、SIBSを含むポリマーフィルムをインナーライナーに用いた場合、耐久性に優れた空気入りタイヤを得ることができる。
SIBSからなるポリマーフィルムをインナーライナーに適用して空気入りタイヤを製造した場合には、耐空気透過性を確保できる。したがってハロゲン化ブチルゴム等の、従来耐空気透過性を付与するために使用されてきた高比重のハロゲン化ゴムを使用する必要がなく、使用する場合にも使用量の低減が可能である。これによってタイヤの軽量化が可能であり、燃費の向上効果が得られる。
SIBSの分子量は特に制限はないが、流動性、成形化工程、ゴム弾性などの観点から、GPC測定による重量平均分子量が5万以上40万以下であることが好ましい。重量平均分子量が5万未満であると引張強度、引張伸びが低下するおそれがあり、40万を超えると押出加工性が悪くなるおそれがあるため好ましくない。SIBSは耐空気透過性と耐久性をより良好にする観点から、SIBS中のスチレン成分の含有量は10質量%以上30質量%以下、好ましくは14質量%以上23質量%以下であることが好ましい。
該SIBSは、その共重合体において、各ブロックの重合度は、ゴム弾性と取り扱い(重合度が10,000未満では液状になる)の点からイソブチレンでは10,000〜1
50,000程度、またスチレンでは5,000〜30,000程度であることが好ましい。
SIBSは、一般的なビニル系化合物のリビングカチオン重合法により得ることができ。例えば、特開昭62−48704号公報および特開昭64−62308号公報には、イソブチレンと他のビニル化合物とのリビングカチオン重合が可能であり、ビニル化合物にイソブチレンと他の化合物を用いることでポリイソブチレン系のブロック共重合体を製造できることが開示されている。
SIBSは分子内に芳香族以外の二重結合を有していないために、分子内に二重結合を有している重合体、例えばポリブタジエンに比べて紫外線に対する安定性が高く、従って耐候性が良好である。さらに分子内に二重結合を有しておらず、飽和系のゴム状ポリマーであるにも関わらず、波長589nmの光の20℃での屈折率(nD)は、ポリマーハンドブック(1989年:ワイリー(Polymer Handbook, Willy,1989))によると、1.506である。これは他の飽和系のゴム状ポリマー、例えば、エチレン−ブテン共重合体に比べて有意に高い。
第1ポリマー組成物中のSIBSの含有量は、60質量%以上100質量%以下が好ましい。SIBSの含有量が60質量%未満であると、耐空気透過性能を十分に得ることができない。SIBSの含有量は、さらに80質量%以上99.5質量%以下が好ましい。
前記第1ポリマー組成物は、さらにエポキシ化スチレン−ブタジエン−スチレントリブロック共重合体(以下、エポキシ化SBSともいう)を含むことができる。
エポキシ化SBSは、ハードセグメントがポリスチレンブロック、ソフトセグメントがブタジエンブロックであり、ブタジエンブロックに含まれる不飽和二重結合部分をエポキシ化した熱可塑性エラストマーである。
エポキシ化SBSはスチレンブロックを有するため、同様にスチレンブロックを有するSISやSIBを含む第2層との溶融接着性に優れている。したがって、エポキシ化SBSを含む第1層とSISやSIBを含む第2層とを隣接して配置して加硫すると、第1層と第2層とが良好に接着したポリマー積層体を得ることができる。
エポキシ化SBSの分子量は特に制限はないが、ゴム弾性および成形性の観点から、GPC法による重量平均分子量が1万以上40万以下であることが好ましい。重量平均分子量が1万未満であると柔らかすぎて寸法が安定しないおそれがあり、40万を超えると硬すぎて薄く押出しできないおそれがあるため好ましくない。
エポキシ化SBS中のスチレン成分の含有量は、粘着性、接着性およびゴム弾性の観点から10質量%以上30質量%以下であることが好ましい。
エポキシ化SBSは、ブタジエン単位とスチレン単位のモル比(ブタジエン単位/スチ
レン単位)が、90/10〜70/30であることが好ましい。エポキシ化SBSにおいて、各ブロックの重合度は、ゴム弾性と取り扱いの観点からブタジエンブロックでは500〜5,000程度、またスチレンブロックでは50〜1,500程度であることが好ましい。
エポキシ化SBSのエポキシ当量は、接着性の観点から50以上1,000以下が好ましい。
第1ポリマー組成物中のエポキシ化SBSの含有量は、0.5質量%以上40質量%以下とすることができる。エポキシ化SBSの含有量が0.5質量%未満であると、十分な接着力を得ることができない。一方、40質量%を超えると過接着のため生産性が大幅に悪化するため好ましくない。エポキシ化SBSの含有量は、さらに5質量%以上30質量%以下が好ましい。
SIBSを含む第1層の厚さは、0.05mm以上0.8mm以下である。第1層の厚さとは、第1層の平均厚さを意味する。第1層の厚さが0.05mm未満であると、ポリマー積層体をインナーライナーに適用した生タイヤの加硫時に、第1層がプレス圧力で破れてしまい、得られたタイヤにおいてエアーリーク現象が生じる恐れがある。一方、第1層の厚さが0.8mmを超えるとタイヤ重量が増加し、低燃費性能が低下する。第1層の厚さは、さらに0.05mm以上0.4mm以下であることが好ましい。
第1層は、SIBSを含む第1ポリマー組成物を押出成形、カレンダー成形といった熱可塑性樹脂、熱可塑性エラストマーをフィルム化する通常の方法によってフィルム化して得ることができる。
<第2層>
本発明の一実施の形態において、第2層はスチレン−イソプレン−スチレントリブロック共重合体(SIS)およびスチレン−イソブチレンジブロック共重合体(SIB)の少なくともいずれかを含む第2ポリマー組成物からなる。
スチレン−イソプレン−スチレントリブロック共重合体(SIS)のイソプレンブロックはソフトセグメントであるため、SISを含むポリマーフィルムはゴム成分と加硫接着しやすい。したがって、SISを含むポリマーフィルムをインナーライナーに用いた場合、該インナーライナーは、たとえばカーカスプライのゴム層との接着性に優れているため、耐久性に優れた空気入りタイヤを得ることができる。
前記SISの分子量は特に制限はないが、ゴム弾性および成形性の観点から、GPC測定による重量平均分子量が100,000〜290,000であることが好ましい。重量平均分子量が100,000未満であると引張強度が低下するおそれがあり、290,000を超えると押出加工性が悪くなるため好ましくない。SIS中のスチレン成分の含有量は、粘着性、接着性およびゴム弾性の観点から10〜30質量%であることが好ましい。
前記SISにおける、各ブロックの重合度は、ゴム弾性と取り扱いの観点からイソプレンでは500〜5,000程度、またスチレンでは50〜1,500程度であることが好ましい。
前記SISは、一般的なビニル系化合物の重合法により得ることができ、例えば、リビングカチオン重合法により得ることができる。
スチレン−イソブチレンジブロック共重合体(SIB)のイソブチレンブロックはソフトセグメントであるため、SIBからなるポリマーフィルムはゴム成分と加硫接着しやすい。したがって、SIBを含むポリマーフィルムをインナーライナーに用いた場合、該インナーライナーは、たとえばカーカスやインスレーションを形成する隣接ゴムとの接着性に優れているため、耐久性に優れた空気入りタイヤを得ることができる。
SIBとしては、直鎖状のものを用いることがゴム弾性および接着性の観点から好ましい。SIBの分子量は特に制限はないが、ゴム弾性および成形性の観点から、GPC測定による重量平均分子量が40,000〜120,000であることが好ましい。重量平均分子量が40,000未満であると引張強度が低下するおそれがあり、120,000を超えると押出加工性が悪くなるおそれがあるため好ましくない。
SIB中のスチレン成分の含有量は、粘着性、接着性およびゴム弾性の観点から10〜35質量%であることが好ましい。
本発明において、SIBにおける、各ブロックの重合度は、ゴム弾性と取り扱いの観点からイソブチレンでは300〜3,000程度、またスチレンでは10〜1,500程度であることが好ましい。
前記SIBは、一般的なビニル系化合物の重合法により得ることができ、例えば、リビングカチオン重合法により得ることができる。たとえば、国際公開第2005/033035号には、攪拌機にメチルシクロヘキサン、n−ブチルクロライド、クミルクロライドを加え、−70℃に冷却した後、2時間反応させ、その後に大量のメタノールを添加して反応を停止させ、60℃で真空乾燥してSIBを得るという製造方法が開示されている。
前記第2ポリマー組成物は、さらにエポキシ化スチレン−ブタジエン−スチレントリブロック共重合体(エポキシ化SBSともいう)を含むことができる。
エポキシ化SBSは、第1ポリマー組成物と同様のものを用いることができる。
エポキシ化SBSはブタジエンブロックからなるソフトセグメントを有するため、ゴム成分と加硫接着しやすい。したがって、エポキシ化SBSを含む第2層を、たとえばカーカスやインスレーションを形成するゴム層と隣接して配置して加硫すると、第2層とゴム層とが良好に接着することができる。したがって、エポキシ化SBS層を含むポリマー積層体をインナーライナーに用いた場合、ポリマー積層体と隣接ゴム層との接着性を向上させることができる。
第2層の厚さT2は、0.01mm以上0.8mm以下とすることができる。第2層の厚さとは、第2層の平均厚さを意味する。第2層の厚さが0.01mm未満であると、ポリマー積層体をインナーライナーに適用した生タイヤの加硫時に、第2層がプレス圧力で破れてしまい、加硫接着力が低下する恐れがある。一方、第2層の厚さが0.8mmを超えるとタイヤ重量が増加し低燃費性能が低下する。第2層の厚さは、さらに0.05mm以上0.2mm以下であることが好ましい。
第2層は、第2ポリマー組成物を押出成形、カレンダー成形といった熱可塑性樹脂、熱可塑性エラストマーをフィルム化する通常の方法によってフィルム化して得ることができる。
<ポリマー積層体の配置>
ポリマー積層体PLは、図3に示すように、第1層PL1および第2層PL2から構成される。該ポリマー積層体PLを空気入りタイヤのインナーライナーに適用する場合、第2層PL2がカーカスプライ61に接するようにタイヤ半径方向外側に向けて設置すると、タイヤの加硫工程において、第2層PL2とカーカス61との接着強度を高めることができる。したがって得られた空気入りタイヤは、インナーライナーとカーカスプライ61のゴム層とが良好に接着しているため、優れた耐空気透過性および耐久性を有することができる。
<ポリマー積層体の製造方法>
本発明の一実施の形態におけるポリマー積層体は、たとえば以下の方法で製造することができる。押出成形やカレンダー成形などによって第1層および第2層を作製する。第1層と第2層とを貼り合わせて、ポリマー積層体を作製する。また、第1ポリマー組成物および第2ポリマー組成物のそれぞれのペレットをラミネート押出や共押出などの積層押出をして作製することもできる。
<空気入りタイヤの製造方法>
本発明の一実施の形態における空気入りタイヤは、たとえば以下の方法で製造することができる。
本発明のポリマー積層体をインナーライナー部に適用して生タイヤを作製する。ポリマー積層体は、第2層をカーカスやインスレーションに接するようにタイヤ半径方向外側に向けて配置する。このように配置すると、タイヤ加硫工程において、第2層とカーカスまたはインスレーションなどの隣接ゴム層とが加硫接着することができる。したがって得られた空気入りタイヤにおいて、インナーライナーが隣接ゴム層と良好に接着しているため、優れた耐空気透過性および耐久性を有することができる。
なお、インナーライナーの厚さについて、ショルダー位置Peの厚さGe、クラウン中心位置Pcの厚さGc、最大幅位置Psの厚さGsは、第1層、第2層を押出すときの条件(押出速度、押出回転数)を調整することで、所望の厚さとすることができる。
本発明の空気入りタイヤに用いられるカーカスプライのゴム層の配合は、一般に用いられるゴム成分、例えば、天然ゴム、ポリイソプレン、スチレンーブタジエンゴム、ポリブタジエンゴムなどに、カーボンブラック、シリカなどの充填剤を配合したものを用いることができる。
次に、前記生タイヤを金型に装着し、ブラダーにより150〜180℃で3〜50分間、加圧しつつ加熱して加硫タイヤを得る。次に、得られた加硫タイヤを50〜120℃で10〜300秒間冷却することが好ましい。
空気入りタイヤは、ポリマー積層体をインナーライナーに用いている。該ポリマー積層体を構成するSIBS、SIS、SIBおよびエポキシ化SBSは熱可塑性エラストマーであるため、加硫タイヤを得る工程において、たとえば150〜180℃に加熱されると、金型内で軟化状態となる。軟化状態の熱可塑性エラストマーは、固体状態よりも反応性が向上するため、隣接部材と融着する。すなわち、膨張したブラダーの外側表面と接するインナーライナーは、加熱により軟化してブラダーに融着してしまう。インナーライナーとブラダーの外側表面が融着した状態で加硫タイヤを金型から取り出そうとすると、インナーライナーが、隣接するインスレーションやカーカスから剥離してしまい、エアイン現象が生じてしまう。また、タイヤの形状自体が変形してしまう場合もある。
そこで、得られた加硫タイヤを直ちに120℃以下で10秒以上急冷することにより、インナーライナーに用いられている熱可塑性エラストマーを固化させることができる。熱可塑性エラストマーが固化すると、インナーライナーとブラダーとの融着が解消し、加硫タイヤを金型から取り出す際の離型性が向上する。
冷却温度は50〜120℃が好ましい。冷却温度が50℃より低いと、特別な冷却媒体を準備する必要があり、生産性を悪化させるおそれがある。冷却温度が120℃を超えると、熱可塑性エラストマーが十分に冷却されず、金型開放時にインナーライナーがブラダーに融着したままとなり、エアイン現象が発生するおそれがある。冷却温度は、70〜100℃であることがさらに好ましい。
冷却時間は10〜300秒間が好ましい。冷却時間が10秒より短いと熱可塑性エラストマーが十分に冷却されず、金型開放時にインナーライナーがブラダーに融着したままとなり、エアイン現象が発生する恐れがある。冷却時間が300秒を超えると生産性が悪くなる。冷却時間は、30〜180秒であることがさらに好ましい。
加硫タイヤを冷却する工程は、ブラダー内を冷却して行うことが好ましい。ブラダー内は空洞であるため、加硫工程終了後にブラダー内に前記冷却温度に調整された冷却媒体を導入することができる。
なお、加硫タイヤを冷却する工程は、ブラダー内を冷却することと併せて、金型に冷却構造を設置して実施することも可能である。
冷却媒体としては、空気、水蒸気、水およびオイルよりなる群から選択される1種以上を用いることが好ましい。なかでも、冷却効率に優れている水を用いることが好ましい。
<ポリマー積層体の作製>
表1〜表3に示す仕様で、実施例および比較例のポリマー積層体を製造して、性能を評価した。第1層、第2層に用いるSIB、SIBS、SIS、エポキシ化SBSは以下のとおり調製した。
(SIB)
攪拌機付き2L反応容器に、メチルシクロヘキサン(モレキュラーシーブスで乾燥したもの)589mL、n−ブチルクロライド(モレキュラーシーブスで乾燥したもの)613ml、クミルクロライド0.550gを加えた。反応容器を−70℃に冷却した後、α−ピコリン(2−メチルピリジン)0.35mL、イソブチレン179mLを添加した。さらに四塩化チタン9.4mLを加えて重合を開始し、−70℃で溶液を攪拌しながら2.0時間反応させた。次に反応容器にスチレン59mLを添加し、さらに60分間反応を続けた後、大量のメタノールを添加して反応を停止させた。反応溶液から溶剤などを除去した後に、重合体をトルエンに溶解して2回水洗した。このトルエン溶液をメタノール混合物に加えて重合体を沈殿させ、得られた重合体を60℃で24時間乾燥することによりスチレン−イソブチレンジブロック共重合体を得た。
スチレン成分含有量:15質量%
重量平均分子量:70,000
(SIBS)
カネカ(株)社製の「シブスターSIBSTAR 102(ショアA硬度25、スチレン成分含有量25質量%、重量平均分子量:100,000)」を用いた。
なお、実施例23では重量平均分子量が20万、実施例24では重量平均分子量が30万のSIBSを用いた。
(SIS)
クレイトンポリマー社製のD1161JP(スチレン成分含有量15質量%、重量平均分子量:150,000)を用いた。
(エポキシ化SBS)
ダイセル化学工業(株)社製の「エポフレンド A1020」(エポキシ化スチレン−ブタジエン−スチレントリブロック共重合体、重量平均分子量100,000、スチレン成分含有量40質量%、エポキシ当量500)を準備した。
上記の第1層および第2層の原料のそれぞれを、2軸押出機(スクリュ径:φ50mm、L/D:30、シリンダ温度:220℃)にてペレット化した。得られたペレットを、Tダイ押出機(スクリュ径:φ80mm、L/D:50、ダイグリップ幅:500mm、シリンダ温度:220℃)を用いて共押出しを行い、表1〜表3に示す厚みの第1層および第2層を有するポリマー積層体を作製した。なお、比較例1として第1層のみからなるポリマーシートを準備した。
<空気入りタイヤの作製>
インナーライナーのショルダー位置Peの厚さGeとクラウン中心位置Pcの厚さGcとを調整するために、ポリマーシートの押し出し口にプロファイルをつけて、クラウン中心位置Pcの厚さGcを薄くしたポリマー積層体を作製した。得られたポリマー積層体をタイヤのインナーライナー部分に適用して生タイヤを準備した。これをインナーライナーとしてタイヤ内面に配置した。なお、ポリマー積層体の第1層が生タイヤの半径方向の最も内側に配置され、第2層が生タイヤのカーカス層に接するように、ポリマー積層体を配置した。該生タイヤを金型内で170℃で20分間プレス成形して、195/65R15サイズの加硫タイヤを作製した。
加硫タイヤを100℃で3分間冷却した後、加硫タイヤを金型から取り出し空気入りタイヤを得た。
ポリマー積層体および空気入りタイヤについて以下の評価を行った。
<接着性>
JIS K 6256「加硫ゴム及び熱可塑性ゴム−接着性の求め方」に準じて剥離試験を行った。はじめに、ポリマー積層体およびゴムシート(配合:NR/BR/SBR=40/30/30)を、ポリマー積層体の第2層がゴムシートと接するように貼り合わせて加硫して、剥離用試験片を作製した。得られた試験片を用いて剥離試験を行い、ポリマー積層体とゴムシートの接着力を測定した。試験片の大きさは25mm幅で、23℃の室温条件下で行った。得られた数値を比較例1を基準(100)として以下の計算式により接着性指数を算出した。数値が大きいほど接着性に優れている。
(接着性指数)=(各ポリマー積層体の接着力)/(比較例1の接着力)×100
<転がり抵抗>
転がり抵抗は、粘弾性スペクトロメーターVES((株)岩本製作所)を用いて、温度70℃、初期歪10%、動歪2%の条件下で各ポリマー積層体のtanδを測定し、比較例1のtanδを100として、下記計算式により指数表示した。指数が大きいほど転がり抵抗が低減されている。
(転がり抵抗指数)=(比較例1のtanδ)/(各ポリマー積層体のtanδ)×100
<低温耐久性>
低温耐久性は、雰囲気温度−20℃、タイヤ空気圧を120kPa、荷重負荷率60%、速度80Km/hの条件で、インナーライナーにクラックが発生したときの走行距離を測定し、比較例1の走行距離を基準として、下記計算式により指数表示した。数値が大きいほど低温耐久性に優れている。
(低温耐久性指数)=(各空気入りタイヤの走行距離)/(比較例1の走行距離)×100
<静的空気圧低下率>
空気入りタイヤをJIS規格リム15×6JJに組み付け、初期空気圧300Kpaを封入し、90日間室温で放置し、空気圧の低下率を計算した。
<エアインの有無>
加硫後のタイヤの内側を目視にて検査し、以下の基準に従って評価した。
A:エアインの数が0個。
B:直径5mm以下のエアインの数が1〜3個。
C:直径5mm以下のエアインの数が4個以上、または直径5mmを超えるエアーインの数が1個以上。
結果を表1〜表3に示す。
Figure 2014034222
Figure 2014034222
Figure 2014034222
(*1)偏肉範囲(CL(%)/SW(%))において、CL(%)、SW(%)とは以下を示している。
CL(%)=肉厚部のショルダー位置Peからクラウン中心位置Pc側への距離/ショルダー距離Wc×100
SW(%)=肉厚部のショルダー位置Peから最大幅位置Ps側への距離/サイド距離Ws×100
<評価結果>
比較例1は、SIBSからなるポリマーシートであり、基準として用いた。
実施例1〜3、10〜24は、第1層がSIBSとエポキシ化SBSとを含む。比較例1と同等の耐空気透過性を有しながら、接着性、低温耐久性が向上し、転がり抵抗が低減した。
実施例4〜6は、第2層がSISとエポキシ化SBSとを含む。比較例1と同等の耐空気透過性を有しながら、接着性、低温耐久性が向上し、転がり抵抗が低減した。
実施例7〜9は、第2層がSIBとエポキシ化SBSとを含む。比較例1と同等の耐空気透過性を有しながら、接着性、低温耐久性が向上し、転がり抵抗が低減した。
本発明の空気入りタイヤは、乗用車用空気入りタイヤのほか、トラック・バス用、重機用等の空気入りタイヤとして用いることができる。
今回開示された実施の形態および実施例はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
1 空気入りタイヤ、2 トレッド部、3 サイドウォール部、4 ビード部、5 ビードコア、6 カーカスプライ、7 ベルト層、8 ビードエーペックス、9 インナーライナー、PL ポリマー積層体、PL1 第1層、PL2 第2層、Pe ショルダー位置、Pc クラウン中心位置、Ps タイヤ最大幅位置、Te トレッド部の接地端、Wc ショルダー距離、Ws サイド距離。

Claims (8)

  1. 一対のビード部の間に装架されたカーカスプライのタイヤ内側にインナーライナーを備えた空気入りタイヤであって、
    前記インナーライナーはポリマー積層体からなり、
    前記ポリマー積層体は、スチレン−イソブチレン−スチレントリブロック共重合体を含む第1ポリマー組成物からなる厚さ0.05mm以上0.8mm以下の第1層と、
    スチレン−イソプレン−スチレントリブロック共重合体およびスチレン−イソブチレンジブロック共重合体の少なくともいずれかを含む第2ポリマー組成物からなる厚さ0.01mm以上0.8mm以下の第2層とを含み、
    前記第1ポリマー組成物および前記第2ポリマー組成物の少なくともいずれかが、エポキシ化スチレン−ブタジエン−スチレントリブロック共重合体を0.5質量%以上40質量%以下含み、
    前記第2層がカーカスプライのゴム層と接するように配置されており、
    前記インナーライナーはクラウン中央位置Pcにおける厚さGcよりもショルダー位置Peの厚さGeが厚く、
    前記厚さGeが0.2mm以上1.9mm以下である、
    空気入りタイヤ。
  2. タイヤ子午断面において、前記カーカスプライと前記インナーライナーとの境界線に対してトレッド部の接地端Teからタイヤ内径方向に法線Lを引き前記境界線との交点をショルダー位置Peとし、前記カーカスプライと前記インナーライナーとの境界線とタイヤ中心線CLとの交点をクラウン中心位置Pcとし、さらに前記ショルダー位置Peからクラウン中心位置Pcまでの前記インナーライナーの輪郭線に沿った距離をショルダー距離Wcとしたとき、
    前記インナーライナーの肉厚部は、前記ショルダー位置Peからクラウン中心位置Pc側に、前記ショルダー距離Wcの少なくとも10%の幅を有する領域に形成されている請求項1に記載の空気入りタイヤ。
  3. 前記インナーライナーの肉厚部は、前記ショルダー位置Peからクラウン中心位置Pc側に、前記ショルダー幅Wcの少なくとも50%の幅を有する領域に形成されている請求項1または2に記載の空気入りタイヤ。
  4. 前記インナーライナーの前記ショルダー位置Peからタイヤ最大幅位置Psまでのインナーライナーの輪郭線に沿った距離をサイド距離Wsとしたとき、前記インナーライナーの肉厚部は、前記ショルダー位置Peから前記最大幅位置Ps側に、前記サイド距離Wsの少なくとも20%の幅を有する領域に形成されている請求項1〜3のいずれかに記載の空気入りタイヤ。
  5. 前記インナーライナーの肉厚部は、前記ショルダー位置Peから前記タイヤ最大幅位置Ps側に、前記サイド距離Wsの100%以下の幅を有する領域に形成されている請求項1〜4のいずれかに記載の空気入りタイヤ。
  6. 前記インナーライナーは、クラウン中央位置Pcにおける厚さGcに対し、ショルダー位置Peの厚さGeは120%以上500%以下である請求項1〜5のいずれかに記載の空気入りタイヤ。
  7. 前記スチレン−イソブチレン−スチレントリブロック共重合体は、スチレン成分含有量が10質量%以上30質量%以下であり、重量平均分子量が5万以上40万以下である請求項1〜6のいずれかに記載の空気入りタイヤ。
  8. 前記エポキシ化スチレン−ブタジエン−スチレントリブロック共重合体は、重量平均分子量が1万以上40万以下であり、スチレン成分含有量が10質量%以上30質量%以下であり、かつエポキシ当量が50以上1,000以下である、請求項1〜7のいずれかに記載の空気入りタイヤ。
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