JP2014025036A - エポキシ樹脂組成物及び電子部品装置 - Google Patents

エポキシ樹脂組成物及び電子部品装置 Download PDF

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Abstract

【課題】優れた耐熱性と優れた電気特性とを両立可能なエポキシ樹脂組成物及びこれを用いた電子部品装置を提供する。
【解決手段】軟化点が50℃以上であるエポキシ樹脂と、下記一般式(I)で表される環状酸無水物とを含有するエポキシ樹脂組成物である。下記一般式(I)中、R及びRはそれぞれ独立して、直鎖状若しくは分岐状の炭素数1〜5の炭化水素基を表す。また前記エポキシ樹脂組成物で封止された素子を備える電子部品装置である。

【選択図】なし

Description

本発明は、エポキシ樹脂組成物及び電子部品装置に関する。
従来から、成形材料、積層板用及び接着剤用材料、各種電子電気部品、塗料及びインキ材料等の分野において、エポキシ樹脂等の硬化性樹脂が広く使用されている。特に、トランジスタ、IC等の電子部品素子の封止技術に関する分野では、封止材料としてエポキシ樹脂硬化物が広く使用されている。その理由として、エポキシ樹脂硬化物は、成形性、電気特性、耐湿性、耐熱性、機械特性、インサート品との接着性等の諸特性においてバランスがとれているためである。
一方、近年、電子部品の分野では高速化及び高密度化が進んでおり、それに伴って、電子部品の発熱が顕著となってきている。車載用途などの高温環境下で動作する電子部品も増加している。そのため、電子部品に使用されるプラスチック、特にエポキシ樹脂硬化物には、高温環境下での使用においても室温と比較して物性の変化が少ないこと、優れた電気特性を有すること、樹脂の分解が少ないこと等、高温環境下での使用に関して、より高い信頼性向上の要求が高まっている。
特許文献1には、耐熱性を有するエポキシ樹脂組成物として、多官能エポキシ樹脂をエポキシ樹脂組成物のエポキシ樹脂として用いるものが開示され、硬化物は高い耐熱性(高Tg)を有するとされている。また、特許文献2には、半導体封止用液状エポキシ樹脂組成物において、酸無水物を液状エポキシ樹脂組成物の硬化剤として用いるものが開示されている。特に近年では、作業性に優れた液状酸無水物が開発、実用化されるようになり、電気絶縁材料を中心に使用されている。液状酸無水物は室温で液体であるために、使用用途次第では取扱性に優れるといった利点がある。
特開平1−158755号公報 特許第4775374号公報
しかしながら、特許文献1に記載の多官能エポキシ樹脂組成物の硬化物は、高温高湿環境下において電気特性(高温高湿放置後の体積抵抗率)が十分とは言い難い課題があることが分かった。また特許文献2に記載の液状エポキシ樹脂組成物では、室温で固形の酸無水物を使用したい場合には取扱いが制限されるといった課題がある。室温で固形の芳香族酸無水物もあるが、一般に融点が高いためにエポキシ樹脂と溶解させるためには高温で使用する必要があり、使用用途に制限があるといった課題がある。
更に高温環境下での使用において、従来の酸無水物を用いたエポキシ樹脂組成物の硬化物では、耐熱性(高Tg)を充分に満足できないといったことが課題となっている。多官能酸無水物を用いたエポキシ樹脂組成物の硬化物は高Tgが得られる傾向がある。しかし、一般に多官能酸無水物の融点が高く、その面で作業性に限界があるため実用的ではない。このように市場では優れた耐熱性(高Tg)と優れた電気特性(高温高湿放置後の体積抵抗率)とを両立可能な材料が求められている。
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、優れた耐熱性と優れた電気特性とを両立可能なエポキシ樹脂組成物及びこれを用いた電子部品装置を提供することを課題とする。
前記課題を解決するための具体的手段は以下の通りである。
<1> 軟化点が50℃以上であるエポキシ樹脂と、下記一般式(I)で表される環状酸無水物とを含有するエポキシ樹脂組成物である。
(一般式(I)中、R及びRはそれぞれ独立して、直鎖状若しくは分岐状の炭素数1〜5の炭化水素基を表す)
<2> 前記エポキシ樹脂が有するエポキシ基の総量に対する、前記環状酸無水物が有する酸無水物基の総量の比(酸無水物基/エポキシ基)が0.4/1.0〜1.2/1.0である前記<1>に記載のエポキシ樹脂組成物である。
<3> 更に無機充填剤を含む前記<1>又は<2>に記載のエポキシ樹脂組成物である。
<4> 前記エポキシ樹脂の含有率が5.0質量%〜11.0質量%である前記<1>〜<3>のいずれか1つに記載のエポキシ樹脂組成物である。
<5> 有機ホスフィン化合物とキノン化合物との付加物を更に含む前記<1>〜<4>のいずれか1つに記載のエポキシ樹脂組成物である。
<6> 前記<1>〜<5>のいずれか1つに記載のエポキシ樹脂組成物で封止された素子を備える電子部品装置である。
本発明によれば、優れた耐熱性と優れた電気特性とを両立可能なエポキシ樹脂組成物及びこれを用いた電子部品装置を提供することができる。
(A)は本実施例にかかる体積抵抗率の測定に用いた試験片の一方の面における電極構造を示す概略平面図である。(B)は本実施例にかかる体積抵抗率の測定に用いた試験片の他方の面のおける電極構造を示す概略平面図である。
<エポキシ樹脂組成物>
本発明のエポキシ樹脂組成物は、軟化点が50℃以上であるエポキシ樹脂と、下記一般式(I)で表される環状酸無水物(以下、「特定酸無水物」ともいう)とを含有する。前記エポキシ樹脂組成物は必要に応じてその他の成分を更に含有していてもよい。
前記エポキシ樹脂組成物は、取扱性及び混練処理前後の作業性が非常に良好である。またその硬化物は耐熱性(高Tg)と電気特性(例えば、高温高湿放置後の体積抵抗率)とに優れており、その他の信頼性にも優れる。従って特に高温環境下での使用において、耐熱性(高Tg)と電気特性(例えば、高温高湿放置後の体積抵抗率)の両立を要求される用途に有用であり、高温環境下での信頼性に優れる電子部品装置を提供することができる。これは例えば、エポキシ樹脂の硬化剤となる特定酸無水物が、分子内に適切に配置されたアルキル基(疎水基)を有するため、硬化前や硬化後における耐水性(耐湿性)が向上し、特に電気特性(例えば、高温高湿放置後の体積抵抗率)の低下を抑制できるためと考えられる。また分子内に架橋環構造を有するため、硬化物の耐熱性(高Tg)がより効果的に向上するためと考えられる。
一般式(I)中、R及びRはそれぞれ独立して、直鎖状若しくは分岐状の炭素数1〜5の炭化水素基を表す。
前記エポキシ樹脂組成物は、室温(25℃)において固体状態である固形エポキシ樹脂組成物であることが好ましい。これにより保存安定性に優れる。また、固体の形状に制限はなく、粉状、粒状、タブレット状など如何なる形状でもよい。以下、本発明のエポキシ樹脂組成物を構成する各成分について説明する。なお、本明細書において「〜」を用いて示された数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値をそれぞれ最小値及び最大値として含む範囲を示す。また組成物中の各成分の含有量は、組成物中に各成分に該当する物質が複数存在する場合、特に断らない限り、組成物中に存在する当該複数の物質の合計量を意味する。
〔エポキシ樹脂〕
エポキシ樹脂組成物は、軟化点が50℃以上であるエポキシ樹脂(モノマー又はオリゴマー)の少なくとも1種を含む。前記エポキシ樹脂は軟化点が50℃以上であれば特に制限はなく、通常用いられるエポキシ樹脂から適宜選択することができる。中でも、1分子中に2個以上のエポキシ基を有するエポキシ樹脂であることが好ましい。1分子中に2個以上のエポキシ基を有するエポキシ樹脂の例としては、ナフタレン型、フェノールノボラック型、クレゾールノボラック型、フェノールアラルキル型、ビフェニル型、ヒドロキシベンズアルデヒド型、ジシクロペンタジエン型、グリシジルエステル型、グリシジルアミン型、ヒダントイン型、イソシアヌレート型等の各種多官能エポキシ樹脂が挙げられる。これらのエポキシ樹脂は単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
エポキシ樹脂は軟化点が50℃以上であるが、混練時及び混練後の作業性、成形性、配合設計の自由度、硬化物の耐熱性の観点からは、軟化点が50℃〜130℃の範囲であるエポキシ樹脂が好ましく、70℃〜130℃の範囲であるエポキシ樹脂がより好ましく、75℃〜120℃であることが更に好ましい。軟化点が50℃未満のエポキシ樹脂では混練時及び混練後の作業性や、硬化物の耐熱性が低下する。一方、軟化点が130℃以下であると配合設計の自由度、成形性が向上する傾向がある。なお、エポキシ樹脂の軟化点は、一般的な融点測定装置を用いて測定することが可能である。例えば、BiBBy Sterilin社製の融点測定装置 SMP3を用いて測定することができる。
エポキシ樹脂のエポキシ当量は特に制限されない。硬化物の耐熱性及び吸水性の観点からは、100〜350(g/eq)であることが好ましく、150〜300(g/eq)であることがより好ましい。
エポキシ樹脂は、耐熱性、電気特性及び吸水性の観点からは、ジシクロペンタジエン型、o−クレゾールノボラック型、ナフタレン型、ビフェニル型、フェノールアラルキル型及びトリスフェノールメタン型からなる群より選ばれる少なくとも1種の多官能エポキシ樹脂であって、エポキシ当量が100〜350(g/eq)であることが好ましく、ジシクロペンタジエン型、o−クレゾールノボラック型、ナフタレン型及びトリスフェノールメタン型からなる群より選ばれる少なくとも1種の多官能エポキシ樹脂であって、エポキシ当量が150〜300(g/eq)であることがより好ましい。
エポキシ樹脂組成物におけるエポキシ樹脂の含有率は特に制限されない。成形性及び耐熱性の観点からは、エポキシ樹脂組成物の総質量中に5.0質量%〜11.0質量%であることが好ましく、6.5質量%〜10.0質量%であることがより好ましい。
〔環状酸無水物〕
エポキシ樹脂組成物は、下記一般式(I)で表される環状酸無水物(特定酸無水物)の少なくとも1種を含有する。特定酸無水物は例えばエポキシ樹脂の硬化剤として機能する。下記一般式中、R及びRはそれぞれ独立して直鎖状若しくは分岐状の炭素数1〜5の炭化水素基である。R及びRは互いに異なる直鎖状若しくは分岐状の炭素数1〜5の炭化水素基であることがより好ましく、R及びRは互いに炭素数が異なる直鎖状若しくは分岐状の炭素数1〜5の炭化水素基であることが更に好ましい。
及びRで表される直鎖状若しくは分岐鎖状の炭素数1〜5の炭化水素基における炭化水素基は、アルキル基又はアルケニル基であることが好ましく、アルキル基であることがより好ましい。R及びRで表される直鎖状若しくは分岐鎖状の炭素数1〜5の炭化水素基の具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、t−ペンチル基、ビニル基、プロペニル基、イソプロペニル基、ブテニル基等を挙げることができる。中でも、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基及びt−ブチル基からなる群より選ばれる少なくとも1種であることが好ましく、メチル基、エチル基、イソプロピル基、イソブチル基及びt−ブチル基からなる群より選ばれる少なくとも1種であることがより好ましい。
上記一般式(I)で表される環状酸無水物は、耐熱性、耐水性及び電気特性の観点からは、R及びRの少なくとも一方がメチル基であって、他方が炭素数2〜5の炭化水素基であることが好ましく、R及びRの少なくとも一方がメチル基であって、他方が炭素数2〜5のアルキル基であることがより好ましく、下記化学式(II)で表される化合物であることが更に好ましい。
一般的に酸無水物は空気中の水分により遊離酸が発生してエポキシ樹脂組成物の硬化特性が変化することや、エポキシ硬化物の耐水性(耐湿性)が劣る場合がある等の課題を有している。しかし一般式(I)で表される環状酸無水物は、分子内に適切に配置されたアルキル基(疎水基)を有するため、硬化前や硬化後の耐水性(耐湿性)が向上し、特に電気特性(例えば、高温高湿放置後の体積抵抗率)の低下を抑制できると考えられる。また、分子内に架橋環構造を有していることで得られた硬化物の耐熱性(高Tg)が向上すると考えられる。
上記一般式(I)で表される化合物は、例えば、炭素数8〜16のテルペン系ジエン又はトリエン化合物と無水マレイン酸とのディールス・アルダー反応によって得られる。また市販品として入手することもできる。例えば三菱化学株式会社製商品名jERキュアYH309等が市販品として入手可能である。
一般式(I)で表される化合物の酸無水物当量は206〜319であるが、206〜263であることが好ましく220〜249であることがより好ましい。なお、「酸無水物当量」は、(酸無水物化合物の分子量)/(酸無水物化合物内の無水酸物基の数)で算出される。
エポキシ樹脂組成物におけるエポキシ樹脂の含有量に対する特定酸無水物の含有量の当量比(特定酸無水物/エポキシ樹脂)、すなわち、エポキシ樹脂が有するエポキシ基の総量に対する環状酸無水物が有する酸無水物基の総量の比は、本発明の効果を損なわない範囲であれば特に制限されない。前記当量比(特定酸無水物/エポキシ樹脂)は、0.4/1.0〜1.2/1.0の範囲に設定することが好ましく、0.45/1.0〜1.0/1.0に設定することがより好ましく、0.5/1.0〜0.8/1.0に設定することが更に好ましい。前記当量比が0.4/1.0以上であるとより優れた耐熱性が得られる傾向がある。また1.2/1.0以下であると作業性がより向上する傾向がある。更に前記当量比が0.4/1.0に近いほど、エポキシ樹脂組成物の作業性が良好となる傾向がある。前記当量比が1.2/1.0に近いほど耐熱性(Tg)が向上する傾向がある。
エポキシ樹脂組成物は特定環状酸無水物に加えて、必要に応じて他の硬化剤を更に含有してもよい。他の硬化剤は、エポキシ樹脂組成物に通常用いられる硬化剤から適宜選択することができる。他の硬化剤としては、特定酸無水物以外の酸無水物化合物、フェノール樹脂等を挙げることができる。
特定酸無水物以外の酸無水物化合物としては、無水フタル酸、無水マレイン酸、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、無水メチルナジック酸、無水ナジック酸、無水グルタル酸、無水ジメチルグルタル酸、無水ジエチルグルタル酸、無水コハク酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸等を挙げることができる。これらの中でも、無水フタル酸、無水トリメリット酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、無水グルタル酸、無水ジメチルグルタル酸及び無水ジエチルグルタル酸からなる群より選ばれる少なくとも1種が好ましい。またエポキシ樹脂組成物の取扱い作業性の観点からは、常温で固体の酸無水物化合物が好ましい。
〔各種添加剤〕
エポキシ樹脂組成物は、上述のエポキシ樹脂及び特定酸無水物に加えて、以下に例示する難燃剤、無機充填剤、硬化促進剤、酸化防止剤、カップリング剤、イオン交換体、離型剤、応力緩和剤、着色剤等の各種添加剤を必要に応じて含有することができる。ただし、前記エポキシ樹脂組成物は、以下の添加剤に限定されることなく、必要に応じて当該技術分野で周知の各種添加剤を含有してもよい。
(難燃剤)
エポキシ樹脂組成物には、難燃性を付与することを目的に、必要に応じて難燃剤を更に含有することができる。難燃剤としては特に制限はなく、フェノール樹脂等の熱硬化性樹脂等で被覆された赤リン、リン酸エステル、酸化トリフェニルホスフィン等のリン化合物;メラミン、メラミン誘導体、メラミン変性フェノール樹脂、トリアジン環を有する化合物、シアヌル酸誘導体、イソシアヌル酸誘導体等の窒素含有化合物;シクロホスファゼン等のリン及び窒素含有化合物;ジシクロペンタジエニル鉄等の金属錯体化合物;酸化亜鉛、錫酸亜鉛、硼酸亜鉛、モリブデン酸亜鉛等の亜鉛化合物;酸化鉄、酸化モリブデン等の金属酸化物;水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム等の金属水酸化物;下記組成式(A)で示される複合金属水酸化物などが挙げられる。更にハロゲン原子、アンチモン原子、窒素原子又はリン原子を含む公知の有機若しくは無機の化合物、金属水酸化物が挙げられる。
p(M )・q(M )・r(M )・mHO (A)
組成式(A)で、M、M及びMは互いに異なる金属元素を示し、a、b、c、d、p、q及びmはそれぞれ独立に正の数を示す。rは0又は正の数を示す。上記組成式(A)中のM、M及びMは互いに異なる金属元素であれば特に制限はない。難燃性の観点からは、Mが第3周期の金属元素、IIA族のアルカリ土類金属元素、IVB族、IIB族、VIII族、IB族、IIIA族及びIVA族に属する金属元素から選ばれ、MがIIIB〜IIB族の遷移金属元素から選ばれることが好ましく、Mがマグネシウム、カルシウム、アルミニウム、スズ、チタン、鉄、コバルト、ニッケル、銅及び亜鉛から選ばれ、Mが鉄、コバルト、ニッケル、銅及び亜鉛から選ばれることがより好ましい。流動性の観点からは、Mがマグネシウム、Mが亜鉛又はニッケルで、r=0のものが好ましい。p、q及びrのモル比は特に制限はないが、r=0で、p/qが1/99〜1/1であることが好ましい。なお、金属元素の分類は、典型元素をA亜族、遷移元素をB亜族とする長周期型の周期律表に基づいて行った。上記した難燃剤は1種を単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
難燃剤としては、臭素化エポキシ樹脂や三酸化アンチモン等のハロゲン化合物やアンチモン化合物を用いることができるが、環境負荷を低減するために、ノンハロゲン化合物、ノンアンチモン化合物である難燃剤を用いるのが好ましい。
(無機充填剤)
エポキシ樹脂組成物は、無機充填剤を必要に応じて更に含有することができる。無機充填剤の具体例として、溶融シリカ、結晶シリカ、ガラス、アルミナ、炭酸カルシウム、ケイ酸ジルコニウム、ケイ酸カルシウム、窒化珪素、窒化アルミニウム、窒化ホウ素、ベリリア、ジルコニア、ジルコン、フォステライト、ステアタイト、スピネル、ムライト、チタニア、タルク、クレー、マイカ等の微粉末、又はこれらを球形化したビーズ等が挙げられる。
無機充填剤として難燃効果を有するものを用いてもよい。難燃効果を有する無機充填剤としては、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、マグネシウムと亜鉛の複合水酸化物等の複合金属水酸化物、硼酸亜鉛などが挙げられる。
これら無機充填剤のなかでも、線膨張係数低減の観点からは、溶融シリカが好ましい。また高熱伝導性の観点からはアルミナ又は窒化ホウ素が好ましい。これら無機充填剤は1種を単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
エポキシ樹脂組成物が無機充填剤を含む場合、その含有率は、本発明の効果が得られれば特に制限はない。無機充填剤の含有率は、エポキシ樹脂組成物の総質量中に50質量%以上が好ましく、難燃性の観点からは60質量%〜95質量%がより好ましく、70質量%〜90質量%が更に好ましい。無機充填剤を含むことで、硬化物の熱膨張係数、熱伝導率、弾性率等を所望の特性に改良することができる。無機充填剤の含有率が50質量%以上であると、これらの特性の改良効果がより効果的に得られる。また95質量%以下であると、エポキシ樹脂組成物の粘度上昇をより抑制し、充分な流動性が得られやすく、成形性がより向上する。
(硬化促進剤)
エポキシ樹脂組成物は、硬化促進剤を必要に応じて更に含有することができる。これによりエポキシ樹脂と酸無水物の反応がより促進され、作業性がより向上する。前記硬化促進剤は、一般に封止用成形材料に用いられるものから適宜選択することができ、特に限定されるものではない。
硬化促進剤の具体例として、1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]ノナ−5−エン、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン等のジアザビシクロアルケンであるシクロアミジン化合物;シクロアミジン化合物のフェノールノボラック塩等のシクロアミジン化合物誘導体;シクロアミジン化合物又はその誘導体に、無水マレイン酸、1,4−ベンゾキノン、2,5−トルキノン、1,4−ナフトキノン、2,3−ジメチルベンゾキノン、2,6−ジメチルベンゾキノン、2,3−ジメトキシ−5−メチル−1,4−ベンゾキノン、2,3−ジメトキシ−1,4−ベンゾキノン、フェニル−1,4−ベンゾキノン等のキノン化合物、ジアゾフェニルメタン、フェノール樹脂などのπ結合をもつ化合物を付加してなる分子内分極を有する化合物;ベンジルジメチルアミン、トリエタノールアミン、ジメチルアミノエタノール、トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール等の3級アミン化合物及びこれらの誘導体;2−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、2−フェニル−4−メチルイミダゾール等のイミダゾール化合物及びこれらの誘導体;トリブチルホスフィン、メチルジフェニルホスフィン、トリフェニルホスフィン、トリス(4−メチルフェニル)ホスフィン、ジフェニルホスフィン、フェニルホスフィン等の有機ホスフィン化合物;これらの有機ホスフィン化合物に、無水マレイン酸、上記キノン化合物、ジアゾフェニルメタン、フェノール樹脂等のπ結合をもつ化合物を付加してなる分子内分極を有するリン化合物;テトラフェニルホスホニウムテトラフェニルボレート、トリフェニルホスフィンテトラフェニルボレート、2−エチル−4−メチルイミダゾールテトラフェニルボレート、N−メチルモルホリンテトラフェニルボレート等のテトラフェニルボロン塩及びこれらの誘導体;などが挙げられる。
これらの化合物は単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。なかでも充填性及び耐リフロー性の観点からは、有機ホスフィン化合物とキノン化合物との付加物等が好適である。
エポキシ樹脂組成物が硬化促進剤を含む場合、その含有量は、硬化促進効果が達成されれば特に制限はない。硬化促進剤の含有量は、エポキシ樹脂組成物の吸湿時の硬化性及び流動性における改善の観点からは、エポキシ樹脂の総量100質量部に対して、硬化促進剤を総量として0.1質量部〜10質量部含有することが好ましく、1質量部〜7質量部含有することがより好ましい。前記硬化促進剤の含有量を0.1質量部以上とすることでエポキシ樹脂組成物がより短時間で硬化しやすくなる。また10質量部以下とすることで硬化速度を調整することができ、より優れた成形品が得られやすくなる。
(酸化防止剤)
エポキシ樹脂組成物は酸化防止剤を必要に応じて更に含有することができる。これによりエポキシ樹脂組成物の硬化物の酸化を防ぐことができ、高温環境下に放置された場合にも、硬化物の質量低下を抑制できる。電気特性がより向上する。
酸化防止剤としては、フェノール系酸化防止剤、ホスファイト系酸化防止剤、硫黄系酸化防止剤、ヒンダードアミン系酸化防止剤等が挙げられる。これらの酸化防止剤は単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
エポキシ樹脂組成物が酸化防止剤を含む場合、その含有量は、質量減少抑制効果が達成されれば特に制限はない。酸化防止剤の含有量は、エポキシ樹脂組成物の耐熱性(高Tg)の観点からは、エポキシ樹脂の総量100質量部に対し、酸化防止剤を総量で0.5質量部〜20質量部含有することが好ましく、1質量部〜10質量部含有することがより好ましい。前記酸化防止剤の含有量を0.5質量部以上とすることで、硬化物の質量減少抑制効果を充分に得ることができ、また、酸化防止剤の含有量を20質量部以下とすることで、硬化物の耐熱性(高Tg)が低下することが抑制される。
(カップリング剤)
エポキシ樹脂組成物は、必要に応じてカップリング剤を更に含有することができる。これにより樹脂成分と無機充填剤との接着性がより向上し、電気特性がより向上する。カップリング剤は通常用いられる化合物から適宜選択することができる。カップリング剤としては、エポキシシラン、メルカプトシラン、アミノシラン、アルキルシラン、ウレイドシラン、ビニルシラン、スチリルシラン、メタクリルシラン、アクリルシラン、スルフィドシラン等の各種シラン系化合物、チタン系化合物、アルミニウムキレート化合物、アルミニウム/ジルコニウム系化合物などの公知のカップリング剤を挙げることができる。これらの中でもシラン系化合物が好ましい。これらカップリング剤は単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
エポキシ樹脂組成物がカップリング剤を含む場合、その含有量は、無機充填剤の総量100質量部に対し、カップリング剤の総量で0.05質量部〜5.0質量部であることが好ましく、0.1質量部〜4.5質量部であることがより好ましい。前記含有量が0.05質量部以上とすることでフレーム等との接着性をより向上することができる。また5.0質量部以下にすることでパッケージの成形性がより向上する。
(イオン交換体)
エポキシ樹脂組成物は、イオン交換体を必要に応じて更に含有することができる。特にエポキシ樹脂組成物を封止用成形材料として用いる場合には、封止される素子を備える電子部品装置の耐湿性及び高温放置特性を向上させる観点からは、イオン交換体を含有することが好ましい。
イオン交換体としては特に制限はなく、従来公知のものを用いることができ、例えば、ハイドロタルサイト類や、マグネシウム、アルミニウム、チタン、ジルコニウム及びビスマスからなる群より選ばれる少なくとも1種の元素の含水酸化物が挙げられる。これらは単独で用いてもよく又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
(離型剤)
エポキシ樹脂組成物は、必要に応じて剥離剤を含有することが好ましい。これにより成形時に金型とのより良好な離型性を得ることができる。離型剤としては特に制限はなく従来公知のものから適宜選択して用いることができる。
離型剤としては、カルナバワックス、モンタン酸、ステアリン酸等の高級脂肪酸、高級脂肪酸金属塩、モンタン酸エステル等のエステル系ワックス、酸化ポリエチレン、非酸化ポリエチレン等のポリオレフィン系ワックスなどが挙げられる、これらは1種を単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。これらの中でも酸化型又は非酸化型のポリオレフィン系ワックスが好ましい。
エポキシ樹脂組成物が離型剤を含む場合、その含有量はエポキシ樹脂の総量100質量部に対し、離型剤を総量0.01質量部〜10質量部であることが好ましく、0.1質量部〜5.0質量部であることがより好ましい。離型剤の含有量が0.01質量部以上であると、離型性の効果がより得られやすくなる。また10質量部以下であると充分な接着性が得られる傾向がある。
(応力緩和剤)
前記エポキシ樹脂組成物は、シリコーンオイル、シリコーンゴム粉末等の応力緩和剤を必要に応じて含有することができる。応力緩和剤を含有することにより、パッケージの反り変形量、パッケージクラックの発生をより低減させることができる。
応力緩和剤としては、一般に使用されている公知の可とう剤(応力緩和剤)であれば特に限定されるものではない。一般に使用されている可とう剤としては、シリコーン系、スチレン系、オレフィン系、ウレタン系、ポリエステル系、ポリエーテル系、ポリアミド系、ポリブタジエン系等の熱可塑性エラストマー;NR(天然ゴム)、NBR(アクリロニトリル−ブタジエンゴム)、アクリルゴム、ウレタンゴム、シリコーンパウダー等のゴム粒子;メタクリル酸メチル−スチレン−ブタジエン共重合体(MBS)、メタクリル酸メチル−シリコーン共重合体、メタクリル酸メチル−アクリル酸ブチル共重合体等のコアを有するコア−シェル構造を有するゴム粒子;などが挙げられる。これらは1種を単独で用いても2種以上組み合わせて用いてもよい。
(着色剤)
前記エポキシ樹脂組成物は、必要に応じて、カーボンブラック、有機染料、有機顔料、酸化チタン、鉛丹、ベンガラ等の公知の着色剤を含有することができる。着色剤の種類お酔い含有量は目的等に応じて適宜選択することができる。
本発明のエポキシ樹脂組成物は、特に高温動作保証等が要求されている用途に好適に使用することができる。具体的には、パワーモジュールパッケージ、車載用途パッケージ、SiC、GaN等の高温でも動作する半導体のパッケージ等が挙げられる。また、プリント回路板においても本発明のエポキシ樹脂組成物を有効に使用することができる。
<エポキシ樹脂組成物の調製>
本発明のエポキシ樹脂組成物は、各種原材料を均一に分散混合できるのであれば、いかなる手法を用いても調製できる。一般的な手法として、所定の含有量の原材料をミキサー等によって十分混合した後、ミキシングロール、押出機、らいかい機、プラネタリミキサ等によって混合又は溶融混練した後、冷却し、必要に応じて脱泡、粉砕する方法等を挙げることができる。また、必要に応じて成形条件に合うような寸法及び質量でタブレット化してもよい。
本発明のエポキシ樹脂組成物を用いて、半導体装置等の電子部品装置を封止する方法としては特に制限されない。例えば、トランスファー成形法、インジェクション成形法、圧縮成形法、ディスペンス方式法、注型方式法、印刷方式法を用いることができる。
<電子部品装置>
本発明の電子部品装置は、上記の本発明のエポキシ樹脂組成物によって封止された素子を備える。かかる電子部品装置としては、リードフレーム、配線済みのテープキャリア、配線板、ガラス、シリコンウエハ等の支持部材に、半導体チップ、トランジスタ、ダイオード、サイリスタ等の能動素子、コンデンサ、抵抗体、コイル等の受動素子等の素子を搭載したものが挙げられる。これらの電子部品装置は、その素子部が本発明のエポキシ樹脂組成物で封止されている。
より具体的には、リードフレーム上に半導体素子を固定し、ボンディングパッド等の素子の端子部とリード部をワイヤボンディングやバンプで接続した後、本発明のエポキシ樹脂組成物を用いてトランスファー成形等によって封止してなるDIP(Dual Inline Package)、PLCC(Plastic Leaded Chip Carrier)、QFP(Quad Flat Package)、SOP(Small Outline Package)、SOJ(Small Outline J-lead package)、TSOP(Thin Small Outline Package)、TQFP(Thin Quad Flat Package)等の一般的な樹脂封止型IC;テープキャリアにバンプで接続した半導体チップを、本発明のエポキシ樹脂組成物で封止してなるTCP(Tape Carrier Package);配線板やガラス上に形成した配線に、ワイヤボンディング、フリップチップボンディング、はんだ等で接続した半導体チップ、トランジスタ、ダイオード、サイリスタ等の能動素子及び/又はコンデンサ、抵抗体、コイル等の受動素子を、本発明のエポキシ樹脂組成物で封止してなるCOB(Chip On Board)モジュール、ハイブリッドIC又はマルチチップモジュール;裏面に配線板接続用の端子を形成した有機基板の表面に素子を搭載し、バンプ又はワイヤボンディングにより素子と有機基板に形成された配線を接続した後、本発明のエポキシ樹脂組成物で素子を封止してなるBGA(Ball Grid Array)、CSP(Chip Size Package);などが挙げられる。
本発明の電子部品装置は、特に高温動作保証等が要求されている用途に好適に使用することができる。具体的には、パワーモジュールパッケージ、車載用途パッケージ、SiC、GaN等の高温でも動作する半導体のパッケージなどが挙げられる。
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、「%」は断りがない限り「質量%」を意味する。
(実施例1〜7及び比較例1〜5)
<エポキシ樹脂組成物の各成分の準備>
(A)エポキシ樹脂
エポキシ樹脂として、以下のエポキシ樹脂1〜エポキシ樹脂7を準備した。
・エポキシ樹脂1:ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂(軟化点:実験値101℃、エポキシ当量288、DIC株式会社製、商品名「EPICLON HP−7200HHH」)
・エポキシ樹脂2:o−クレゾールノボラック型エポキシ樹脂(軟化点:実験値92℃、エポキシ当量209、新日鐵化学株式会社製、商品名「エポトート YDCN−704A」)
・エポキシ樹脂3:o−クレゾールノボラック型エポキシ樹脂(軟化点:実験値75℃、エポキシ当量199、長春ジャパン株式社製、商品名「CNE−195XL−18」)
・エポキシ樹脂4:o−クレゾールノボラック型エポキシ樹脂(軟化点:実験値65℃、エポキシ当量198、DIC株式会社製、商品名「N−673」)
・エポキシ樹脂5:o−クレゾールノボラック型エポキシ樹脂(軟化点:実験値55℃、エポキシ当量202、DIC株式会社製、商品名「N−660」)
・エポキシ樹脂6:トリスフェノールメタン型エポキシ樹脂(軟化点:実験値58℃、エポキシ当量170、三菱化学株式会社製、商品名「1032H60」)
・エポキシ樹脂7:ビスフェノールA型エポキシ樹脂(軟化点:実験値25℃未満(25℃で液状)、エポキシ当量186、三菱化学株式会社製、商品名「jER828」)
軟化点の実験値の測定は、BiBBy Sterilin社製の融点測定装置 SMP3を用いて行った。樹脂を入れたキャピラリーチューブを融点測定装置に設置し、室温から昇温速度0.5℃/分の条件にして温度を上げ、樹脂の性状の変化を目視で確認して樹脂が軟化し始めた温度を軟化点とした。測定は3回行い、3回の測定値の平均値をエポキシ樹脂の軟化点の実験値とした。
(B)硬化剤
硬化剤として、以下の硬化剤1〜硬化剤4を準備した。
・硬化剤1:下記化学式(II)で表される環状酸無水物(三菱化学株式会社製、商品名「jERキュアYH309」、酸無水物当量234、常温(25℃)で固体)
・硬化剤2:下記化学式(III)で表される環状酸無水物(三菱化学株式会社製、商品名「jERキュアYH306」、酸無水物当量234、常温で液体)
・硬化剤3:下記化学式(IV)で表される環状酸無水物(新日本理化株式会社製、商品名「リカシッド HT−1A」、酸無水物当量152、常温で固体)
・硬化剤4:下記化学式(V)で表されるフェノールノボラック型フェノール樹脂(日立化成工業株式会社製、商品名「HP−850N」、水酸基当量106、n=0〜10、常温で固体)
(その他の添加剤)
・硬化促進剤:トリフェニルホスフィンと1,4−ベンゾキノンの付加反応物
・カップリング剤:エポキシシラン(γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン)
・離型剤:カルナバワックス(株式会社セラリカNODA製)
・着色剤:カーボンブラック(三菱化学株式会社製、商品名「MA−100」)
・無機充填剤:平均粒径(D50)24.1μm、比表面積1.4m/gの球状溶融シリカ(電気化学工業株式会社製)
<エポキシ樹脂組成物の調製>
上述の成分をそれぞれ下記表1に示す質量部で配合し、混練温度80℃、混練時間15分の条件でロール混練を行うことによって、実施例1〜7及び比較例1〜5のエポキシ樹脂組成物をそれぞれ得た。表1中の「−」は未配合であることを示す。
<評価>
実施例1〜7及び比較例1〜5で得られたそれぞれのエポキシ樹脂組成物について、以下に示す各試験によって評価した。評価結果を表1に示す。なお、エポキシ樹脂組成物の成形は、トランスファー成形機を用いて、金型温度180℃、成形圧力6.9MPa、硬化時間90秒の条件で行った。
〔耐熱性(ガラス転移温度Tg)〕
長さ80mm×幅10mm×厚さ3mmの試験片を成形する金型を用いて、上記で得られたエポキシ樹脂組成物を上記成形条件で成形して、更に200℃で8時間アフターキュアして試験片を作製した。次いで、得られた試験片を、ダイヤモンドカッターを用いて、長さ50mm、幅5mmに切断し、粘弾性測定装置RSA3(TAインスツルメンツ社製)を用いて、3点曲げモードで昇温速度5/min、周波数1.0Hzの条件でガラス転移温度Tgを測定した。tanδピーク値をガラス転移温度Tgとした。
〔吸水率(%)〕
上記で得られたエポキシ樹脂組成物を上記成形条件で成形して、更に200℃で8時間アフターキュアして試験片を作製した。得られた試験片の初期重量W1を測定した後、121℃/100%RHの高温高湿槽に入れ、20h後の重量W2を測定し、下式(1)により吸水率を求めた。
吸水率(%)={(W2−W1)/W1}×100(%)・・・式(1)
〔体積抵抗率〕
(室温体積抵抗率)
直径100mm×厚さ3mmの円板に試験片を成形する金型を用いて、上記で得られたエポキシ樹脂組成物を上記成形条件で成形して、200℃で8時間アフターキュアして試験片を作製した。マスクシール及び導電性シルバーペイントを用いて、得られた試験片10の一方の面上に図1(A)に示すように内円部2と外円部4からなる表面電極を形成した。また同様に他方の面上に図1(B)に示すような裏面電極6を形成した。電極が形成された試験片を超絶縁抵抗箱の中にセットし、500Vの電圧印加1分後の体積抵抗計の値を読み取った。下式(2)により室温体積抵抗率を求めた。
体積抵抗率(Ω・cm)=(πd/4t)×(Rv)・・・式(2)
d:表面電極の内円の外形=5.0(cm)
t:試験片の厚さ=0.3(cm)
Rv:体積抵抗値(MΩ)
π:円周率=3.14
(高温体積抵抗率)
室温体積抵抗率と同様の電極が形成された試験片を作製し、180℃に設定した超絶縁抵抗箱内の中に試験片をセットし、500Vの電圧印加1分後の体積抵抗計の値を読み取った。上式(2)により高温体積抵抗率を求めた。
(高温高湿放置後体積抵抗率)
室温体積抵抗率と同様の電極が形成された試験片を作製し、試験片をPCT2気圧(0.2MPa)(121℃/100%RH)で20時間の処理をした。試験片表面の水滴を拭き取り、超絶縁抵抗箱の中にセットし、500Vの電圧印加1分後の体積抵抗計の値を読み取った。上式(2)により高温高湿放置後体積抵抗率を求めた。
表1より、一般式(I)で表される環状酸無水物を用いた本発明のエポキシ樹脂組成物は、硬化後の電気特性(特に、高温高湿放置後の体積抵抗率)、耐熱性、低吸水性に優れた特性を発揮する組成物であるといえる。
2:表面電極の内円部、4:表面電極の外円部、6:裏面電極、10:試験片

Claims (6)

  1. 軟化点が50℃以上であるエポキシ樹脂と、下記一般式(I)で表される環状酸無水物とを含有するエポキシ樹脂組成物。

    (一般式(I)中、R及びRはそれぞれ独立して、直鎖状若しくは分岐状の炭素数1〜5の炭化水素基を表す)
  2. 前記エポキシ樹脂が有するエポキシ基の総量に対する、前記環状酸無水物が有する酸無水物基の総量の比(酸無水物基/エポキシ基)が0.4/1.0〜1.2/1.0である請求項1に記載のエポキシ樹脂組成物。
  3. 更に無機充填剤を含む請求項1又は2に記載のエポキシ樹脂組成物。
  4. 前記エポキシ樹脂の含有率が5.0質量%〜11.0質量%である請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載のエポキシ樹脂組成物。
  5. 有機ホスフィン化合物とキノン化合物との付加物を更に含む請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載のエポキシ樹脂組成物。
  6. 請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載のエポキシ樹脂組成物で封止された素子を備える電子部品装置。
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