JP2014024495A - 駆動力配分装置 - Google Patents

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淳弘 森
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Eigo Sakagami
永悟 坂上
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Abstract

【課題】トルク伝達容量制御のため旋回させるローラの旋回量を迅速に検出することができる駆動力配分装置を提案すること。
【解決手段】第2ローラ32(第1ローラ31及び第2ローラ32の一方)を旋回させて、これらローラ間の径方向押し付け力を加減することにより主駆動輪6L,6R及び従駆動輪9L,9R間の駆動力配分を制御するようにした駆動力配分装置1において、第2ローラ32の旋回を所定位置で抑制する構造体510と、第2ローラ32を一方向へ旋回させ、この旋回が構造体510により抑制される位置を検出し、該検出した位置に基づき基準点を設定する基準点設定部117とを設け、基準点設定部117が設定した基準点に基づき第2ローラ32の旋回量(クランクシャフト回転角θ)を検出し、該検出した旋回量に基づき駆動力配分制御を行う。
【選択図】図1

Description

本発明は、四輪駆動車のトランスファーとして有用な駆動力配分装置に関する。
従来、摩擦伝動式の駆動力配分装置として、主駆動輪の伝動系に機械的に結合された第1ローラと、従駆動輪の駆動系に機械的に結合された第2ローラとを備え、これら第1ローラ及び第2ローラを両者の径方向において相互に押し付けることにより、主駆動輪へのトルクの一部を従駆動輪へ分配して出力させ得るようにしたものが知られている。かかる駆動力配分装置にあっては、第1ローラ及び第2ローラ間における径方向押し付け力を加減することにより、これらローラ間のトルク伝達容量、従って主駆動輪及び従駆動輪間の駆動力配分を制御することができる。
この駆動力配分制御を行うための機構として特許文献1には、第2ローラをクランクシャフトの偏心軸部に回転自在に支持し、クランクシャフトを回転操作することにより第2ローラの回転軸を偏心軸線周りに旋回させることで第2ローラを第1ローラに対し径方向へ相対変位させ、これにより第1ローラ及び第2ローラ間の径方向押し付け力を制御し得るようにした構成が開示されている。この制御に当たっては、クランクシャフトの回転角を検出する必要がある。クランクシャフト回転角は第2ローラの旋回量に相当するものであり、ある基準点からのクランクシャフトの回転動作量として求められる。
特許文献1に記載の駆動力配分装置は、第2ローラを一定トルクで一方向へ旋回させて、該第2ローラの旋回が停止(第2ローラが第1ローラに接触)した位置を検知すると共に、第2ローラを同じ大きさの一定トルクで他方向へ旋回させて、該第2ローラの旋回が停止(第2ローラが第1ローラに接触)した位置を検知し、検知した一方向旋回停止位置及び他方向旋回停止位置間の中央位置を、クランクシャフト回転角を検出するための基準点として設定する。この基準点に基づきクランクシャフト回転角(すなわち第2ローラの旋回量)を検出することで、駆動力配分制御を狙い通りに遂行することを図っている。
特開2011−11560号公報
しかし特許文献1に記載の構成では、クランクシャフト回転角(すなわち第2ローラの旋回量)の検出までに時間が掛かるおそれがあった。本発明は、上記問題に着目したものであって、トルク伝達容量制御のため旋回させるローラの旋回量を迅速に検出することができる駆動力配分装置を提案することを目的とする。
この目的のため本発明の駆動力配分装置は、これを以下のように構成する。
先ず前提となる駆動力配分装置を説明すると、これは、主駆動輪伝動系と共に回転する第1ローラと、従駆動輪伝動系と共に回転する第2ローラとを備え、これら第1ローラ及び第2ローラを両者の径方向において相互に押し付けることにより従駆動輪への駆動力配分が可能であると共に、該第1ローラ及び第2ローラの一方を旋回させて、これらローラ間の径方向押し付け力を加減することにより前記主駆動輪及び従駆動輪間の駆動力配分を制御するようにしたものである。
本発明は、かかる駆動力配分装置に対し以下の基準点設定手段を設けた構成に特徴づけられる。この基準点設定手段は、上記第1ローラ及び第2ローラの一方の旋回を所定位置で抑制する構造体と、第1ローラ及び第2ローラの一方を一方向へ旋回させ、この旋回が上記構造体により抑制される位置を検出する旋回抑制位置検出手段とを有し、検出された位置を基準点として設定する。
本発明の駆動力配分装置は、基準点設定手段が設定した基準点に基づき第1ローラ及び第2ローラの一方の旋回量を検出し、検出した旋回量に基づき駆動力配分制御を行う。
かかる本発明の駆動力配分装置によれば、以下の作用効果が奏し得られる。
つまり、第1ローラ及び第2ローラの一方を一方向へ旋回させ、この旋回が上記構造体により抑制される位置を基準点として設定し、この基準点に基づき検出した旋回量に基づき駆動力配分制御を行うことにより、ローラ間のトルク伝達容量制御のため旋回させるローラの旋回量の基準点設定のために当該ローラを一方向と他方向の両方に旋回させる必要がないため、当該ローラの旋回量を迅速に検出し、ローラ間のトルク伝達容量制御を介した駆動力配分制御の応答性を向上することができる。
実施例1の駆動力配分装置を備えた四輪駆動車両のパワートレーンを、車両上方から見て示す概略平面図である。 図1における駆動力配分装置の縦断側面図である。 図2に示す駆動力配分装置で用いたクランクシャフトを示す縦断正面図である。 図2に示す駆動力配分装置の動作説明図で、 (a)は、クランクシャフト回転角が180°である位置における第1ローラ及び第2ローラの離間状態を示す動作説明図、 (b)は、クランクシャフト回転角が90°である時における第1ローラ及び第2ローラの接触状態を示す動作説明図、 (c)は、クランクシャフト回転角が基準点の0°である時における第1ローラ及び第2ローラの接触状態を示す動作説明図である。 実施例1の構造体を表すクランクシャフトの軸方向正面模式図である。 実施例2の構造体を表すクランクシャフトの軸方向正面図である。 実施例2の構造体を表す駆動力配分装置の縦断側面の部分拡大図(図2の点線で囲んだ部分)である。 実施例3の構造体を表すクランクシャフトの軸方向正面図である。 実施例3の構造体を表す駆動力配分装置の縦断側面の部分拡大図(図2の点線で囲んだ部分)である。
以下、本発明の実施の形態を、図示の実施例に基づき詳細に説明する。
[実施例1]
<実施例1の構成>
図1は、本発明の一実施例になる駆動力配分装置1をトランスファーとして備えた四輪駆動車両のパワートレーンを、車両上方から見て示す概略平面図である。図1の四輪駆動車両は、エンジン2からの回転を変速機3による変速後、リヤプロペラシャフト4及びリヤファイナルドライブユニット5を順次経て左右後輪6L,6Rに伝達するようにした後輪駆動車をベース車両とし、左右後輪(主駆動輪)6L,6Rへのトルクの一部を、駆動力配分装置1により、フロントプロペラシャフト7及びフロントファイナルドライブユニット8を順次経て左右前輪(従駆動輪)9L,9Rへ伝達することにより、四輪駆動走行が可能となるようにした車両である。駆動力配分装置1は、上記のごとく左右後輪(主駆動輪)6L,6Rへのトルクの一部を左右前輪(従駆動輪)9L,9Rへ分配して出力することにより、左右後輪(主駆動輪)6L,6R及び左右前輪(従駆動輪)9L,9R間の駆動力配分比を決定するもので、本実施例においては、この駆動力配分装置1を図2に示すように構成する。
図2において11は、駆動力配分装置1のハウジングを示し、このハウジング11内に入力軸12及び出力軸13を、それぞれの回転軸線O1及びO2が互いに所定角度を有するよう、相互に傾斜させて横架する。入力軸12は、その両端におけるボールベアリング14,15によりハウジング11に対し回転自在に支承する。入力軸12の両端をそれぞれ、シールリング25,26による液密封止下でハウジング11から突出させる。図2において入力軸12の左端を変速機3(図1参照)の出力軸に駆動結合し、右端はリヤプロペラシャフト4(図1参照)を介してリヤファイナルドライブユニット5に駆動結合する。
入力軸12及び出力軸13の両端近くにそれぞれ配して、これら入出力軸12,13間に一対のベアリングサポート16,17を架設し、これらベアリングサポート16,17をそれぞれの中程で、ボルト(図示せず)によりハウジング11の軸線方向対向内壁に取着する。ベアリングサポート16,17と入力軸12との間にはローラベアリング21,22を介在させ、これにより入力軸12をベアリングサポート16,17に対し回転自在となすことで、ベアリングサポート16,17を介しても入力軸12をハウジング11内に回転自在に支持する。
ベアリングサポート16,17間(ローラベアリング21,22間)における入力軸12の軸線方向中程位置に第1ローラ31を同軸に一体成形する。この第1ローラ31に作動油(潤滑油)を介して動力伝達可能に摩擦接触し得るよう配して出力軸13の軸線方向中程位置に第2ローラ32を同軸に一体成形する。これら第1ローラ31及び第2ローラ32の外周面31a,32aは、入力軸12及び出力軸13の前記した傾斜に関わらず相互に線接触し得るような円錐テーパ面とする。
出力軸13は、その両端近くにおける前記のベアリングサポート16,17に対し旋回可能に支承することで、これらベアリングサポート16,17を介してハウジング11内に旋回可能に支持する。このように出力軸13をベアリングサポート16,17に対し旋回可能に支承するに当たっては、以下のような偏心支承構造を用いる。
出力軸13と、これが貫通するベアリングサポート16,17との間にそれぞれ、中空アウターシャフト型式のクランクシャフト51L,51Rを遊嵌し、これらクランクシャフト51L,51Rをローラ旋回駆動メンバとして用いる。クランクシャフト51L及び出力軸13をそれぞれ図2の左端においてハウジング11から突出させ、該突出部においてハウジング11及びクランクシャフト51L間にシールリング27を介在させると共に、クランクシャフト51L 及び出力軸13間にシールリング28を介在させて、ハウジング11から突出するクランクシャフト51L及び出力軸13の突出部をそれぞれ液密封止する。図2においてハウジング11から突出する出力軸13の左端は、フロントプロペラシャフト7(図1参照)及びフロントファイナルドライブユニット8を介して左右前輪9L,9Rに駆動結合する。
クランクシャフト51L,51Rの中空孔51La,51Ra(半径Ri)と、出力軸13の対応端部との間にそれぞれローラベアリング52L,52Rを介在させて、出力軸13をクランクシャフト51L,51Rの中空孔51La,51Ra内で、これらの中心軸線O2の周りに自由に回転し得るよう支持する。クランクシャフト51L,51Rの中空孔51La,51Ra(中心軸線O2)は図3に明示するごとく、外周部51Lb,51Rb(中心軸線O3、半径Ro)に対し偏心させた偏心中空孔とし、これら偏心中空孔51La,51Raの中心軸線O2は外周部51Lb,51Rbの中心軸線O3から、両者間の偏心分εだけオフセットしている。クランクシャフト51L,51Rの外周部51Lb,51Rbはそれぞれ、ローラベアリング53L,53Rを介して対応する側におけるベアリングサポート16,17内に回転自在に支持される。この際、クランクシャフト51L,51Rをそれぞれ、第2ローラ32と共に、スラストベアリング54L,54Rで軸線方向に位置決めする。
クランクシャフト51L,51Rの相互に向き合う隣接端にそれぞれ、同仕様のリングギヤ51Lc,51Rcを一体に設ける。これらリングギヤ51Lc,51Rcにそれぞれ、共通なクランクシャフト駆動ピニオン55を噛合させ、これらクランクシャフト駆動ピニオン55をピニオンシャフト56に結合する。なお、上記のごとくリングギヤ51Lc,51Rcにクランクシャフト駆動ピニオン55を噛合させるに当たっては、クランクシャフト51L,51Rを両者の外周部51Lb,51Rbが円周方向において相互に整列して同位相となる回転位置にした状態で、当該リングギヤ51Lc,51Rcに対するクランクシャフト駆動ピニオン55の噛合を行わせる。
ピニオンシャフト56は、その両端を軸受56a,56bによりハウジング11に対し回転自在に支持する。図2の右側におけるピニオンシャフト56の右端をハウジング11に貫通してこれから露出させ、該ピニオンシャフト56の露出端面には、ハウジング11に取着して設けたモータ35(ローラ間押し付け力制御モータ)の出力軸35aをセレーション嵌合などにより駆動結合し、このモータ35をアクチュエータとして用いる。よって、モータ35によりピニオン55及びリングギヤ51Lc,51Rcを介しクランクシャフト51L,51Rを回転位置制御するとき、出力軸13及び第2ローラ32の回転軸線O2が、図3に破線で示す軌跡円αに沿って中心軸線Oの周りに旋回する。
なお本実施例では実際上、後述するようにクランクシャフト51L,51Rの回転角θを検出するための基準点を設定し、当該基準点のクランクシャフト回転角θを0°とし、当該基準点からの回転量をクランクシャフト回転角θとするが、当該基準点の設定要領について説明するまでは、説明の便宜上、クランクシャフト回転角基準点が上死点であることとして説明を展開する。
図3の軌跡円αに沿った回転軸線O2(第2ローラ32)の旋回により第2ローラ32は、後述するように図4(a)〜(c)に示すごとく第1ローラ31に対し径方向へ接近し、これら第1ローラ31及び第2ローラ32のローラ軸間距離L1を、クランクシャフト51L,51Rの回転角θの減少につれ、第1ローラ31の半径と第2ローラ32の半径との和値よりも小さくすることができる。かかるローラ軸間距離L1の低下により、第1ローラ31に対する第2ローラ32の径方向押し付け力が大きくなる。ローラ軸間距離L1の低下度合いに応じてローラ間径方向押し付け力(ローラ間トルク伝達容量:トラクション伝動容量)、つまり駆動力配分比を任意に制御することができる。
なお図4(a)に示すように本実施例では、第2ローラ回転軸線O2がクランクシャフト回転軸線O3の直下に位置し、第1ローラ31及び第2ローラ32の軸間距離L1が最大となる下死点でのローラ軸間距離L1を、第1ローラ31の半径と第2ローラ32の半径との和値よりも大きくする。これにより当該クランクシャフト回転角θ=180°の下死点においては、第1ローラ31及び第2ローラ32が相互に径方向へ押し付けられることがなく、ローラ31,32間でトラクション伝動が行われないトラクション伝動容量=0の状態を得ることができ、トラクション伝動容量を下死点での0と、図4(c)に示す上死点(θ=0°)で得られる最大値との間で任意に制御することができる。
<駆動力配分作用>
図1〜4につき上述した駆動力配分装置1の駆動力配分作用を以下に説明する。変速機3(図1参照)から駆動力配分装置1の入力軸12に達したトルクは、一方でこの入力軸12からそのままリヤプロペラシャフト4及びリヤファイナルドライブユニット5(ともに図1参照)を経て左右後輪6L,6R(主駆動輪)へ伝達される。
他方で駆動力配分装置1は、モータ35によりピニオン55及びリングギヤ51Lc,51Rcを介しクランクシャフト51L,51Rを回転位置制御して、ローラ軸間距離L1(図4参照)を第1ローラ31及び第2ローラ32の半径の和値よりも小さくするとき、これらローラ31,32が径方向相互押圧力(径方向押し付け力)に応じたローラ間トルク伝達容量を持つことから、このトルク伝達容量に応じて、左右後輪6L,6R(主駆動輪)へのトルクの一部を、第1ローラ31から第2ローラ32を経て出力軸13に向かわせ、左右前輪9L,9R(従駆動輪)をも駆動することができる。かくして車両は、左右後輪6L,6R(主駆動輪)及び左右前輪(従駆動輪)9L,9Rの全てを駆動しての四輪駆動走行が可能である。
なお、上記トラクション伝動は、滑らかな一対の転動体である第1ローラ31と第2ローラ32を相互に径方向に押し付けることでできる弾性変形接触部に作動油を閉じ込め、この作動油の剪断応力により接線方向(ローラ回転方向)の力を伝えるものである。よって、作動油は、限界剪断応力の大きなもの(例えばナフテン系の油)を用いることが好ましい。
この四輪駆動走行中、クランクシャフト51L,51Rの回転角θが図4(b)に示すごとく例えば90°であって、第1ローラ31及び第2ローラ32が相互に、この時のオフセット量OSに対応した径方向押し付け力で押し付けられて(作動油を介して)摩擦接触している場合、これらローラ間のオフセット量OSに対応したトラクション伝動容量(トルク伝達容量)で左右前輪(従駆動輪)9L,9Rへの動力伝達が行われる。
そして、クランクシャフト51L,51Rを図4(b)の位置から、図4(c)に示すクランクシャフト回転角θ=0°の上死点に向け回転操作してクランクシャフト回転角θを低下させるにつれ、ローラ軸間距離L1が更に減少して第1ローラ31及び第2ローラ32の相互オーバーラップ量OLが増大する結果、第1ローラ31及び第2ローラ32は径方向相互押圧力を増大され、これらローラ間のトラクション伝動容量を増大させることができる。クランクシャフト51L,51Rが図4(c)の上死点位置に達すると、第1ローラ31及び第2ローラ32は相互に、最大のオーバーラップ量OLに対応した径方向最大押圧力で径方向へ押し付けられて、これらの間のトラクション伝動容量を最大にすることができる。なお最大のオーバーラップ量OLは、第2ローラ回転軸線O2及びクランクシャフト回転軸線O3間の偏心量εと、図4(b)につき上記したオフセット量OSとの和値である。
以上の説明から明らかなように、クランクシャフト51L,51Rをクランクシャフト回転角θ=180°の回転位置から、θ=0°の回転位置まで回転操作することにより、クランクシャフト回転角θの低下につれ、ローラ間トラクション伝動容量を0から最大値まで連続変化させることができる。また逆に、クランクシャフト51L,51Rをθ=180°の回転位置から、θ=0°の回転位置まで回転操作することにより、クランクシャフト回転角θの増加につれ、ローラ間トラクション伝動容量を最大値から0まで連続変化させることができる。このように、ローラ間トラクション伝動容量をクランクシャフト51L,51Rの回転操作により自在に制御し得る。
<トラクション伝動容量制御>
上記した四輪駆動走行中は駆動力配分装置1が、上記のごとく左右後輪(主駆動輪)6L,6Rへのトルクの一部を左右前輪(従駆動輪)9L,9Rへ分配して出力するため、第1ローラ31及び第2ローラ32間のトラクション伝動容量を、左右後輪6L,6R(主駆動輪)の駆動力及び前後輪目標駆動力配分比から求め得る、左右前輪(従駆動輪)9L,9Rへ分配すべき目標前輪駆動力に対応させる必要がある。この要求にかなうトラクション伝動容量制御のために本実施例においては、図1に示すようにトランスファーコントローラ111を設け、これによりモータ35の回転位置制御(クランクシャフト回転角θの制御)を行うものとする。
そのためトランスファーコントローラ111には、エンジン2の出力を加減するアクセルペダル踏み込み量(アクセル開度)APOを検出するアクセル開度センサ112からの信号と、左右後輪6L,6R(主駆動輪)の回転速度Vwrを検出する後輪速センサ113からの信号と、車両の重心を通る鉛直軸線周りにおけるヨーレートφを検出するヨーレートセンサ114からの信号と、ハウジング11内に設けられてクランクシャフト51L,51Rの回転角θを検出するクランクシャフト回転角センサ115からの信号と、駆動力配分装置1(ハウジング11)内における作動油の温度TEMPを検出する油温センサ116からの信号を入力する。
トランスファーコントローラ111は、これら入力情報を基に、駆動力配分装置1のトラクション伝動容量制御(四輪駆動車両の前後輪駆動力配分制御)を概略以下のように行う。つまり、トランスファーコントローラ111は、アクセル開度APO、後輪速Vwr、及びヨーレートφに基づき、先ず左右後輪6L,6R(主駆動輪)の駆動力及び前後輪目標駆動力配分比を周知の要領で求める。次にトランスファーコントローラ111は、これら左右後輪6L,6R(主駆動輪)の駆動力及び前後輪目標駆動力配分比から、左右前輪(従駆動輪)9L,9Rへ分配すべき目標前輪駆動力を求める。
更にトランスファーコントローラ111は、第1ローラ31及び第2ローラ32がこの目標前輪駆動力を伝達するのに必要なローラ間径方向押し付け力(第1ローラ31及び第2ローラ32間のトラクション伝動容量)をマップ検索などにより求め、このローラ間径方向押し付け力を実現するのに必要なクランクシャフト51L,51Rの回転角目標値tθ、つまり第2ローラ軸線O2の目標旋回位置を演算する。
そしてトランスファーコントローラ111は、クランクシャフト回転角センサ115で検出したクランクシャフト回転角θ及び上記のクランクシャフト回転角目標値tθ間におけるクランクシャフト回転角偏差に応じ、クランクシャフト回転角θがクランクシャフト回転角目標値tθに一致するよう、モータ35を駆動制御する。当該モータ35の駆動制御によりクランクシャフト51L,51Rの回転角θが目標値tθに一致することで、第1ローラ31及び第2ローラ32は上記の目標前輪駆動力を伝達可能なように相互に径方向に押圧される。これにより、第1ローラ31及び第2ローラ32間のトラクション伝動容量(トルク伝達容量)を、前後輪目標駆動力配分比を実現するよう制御する。
<回転角θの検出>
クランクシャフト回転角センサ115が直接検出するクランクシャフト回転角θ(クランクシャフト51L,51Rの回転量)は相対的な値にすぎないため、絶対的なクランクシャフト回転角θを検出するためには基準点を設定し、クランクシャフト回転角センサ115の検出値を当該基準点からの回転量に変換する必要がある。これに対し、本実施例においては、第2ローラ32の旋回を所定位置で抑制する構造体510を設けると共に、トランスファーコントローラ111には、第2ローラ32を一方向へ旋回させ、この旋回が構造体510により抑制される位置(クランクシャフト回転角θ)を検出し、該検出された位置を基準点(0°)として設定する基準点設定部117を設けた。
図5は、クランクシャフト51L(51R)をその軸方向から見た正面図であって、出力軸13、リングギヤ51Lc(51Rc)とこれに噛合うクランクシャフト駆動ピニオン55を模式的に示す。構造体510は、クランクシャフト51L(51R)のリングギヤ51Lc(51Rc)の歯の一部が充填材により埋められることで形成される。より確実に歯を埋めるため、固定強度を容易に確保できる溶接等を用いてリングギヤ51Lc(51Rc)の歯間に充填材を固定することが好ましい。なお、リングギヤ51Lc,51Rcのうち、どちらの歯を埋めることとしてもよい。
基準点設定部117は、所定の設定タイミング、例えば車両の工場出荷時や所定距離走行ごと(例えばイグニッションオン後の所定時間内)に、クランクシャフト回転角θの基準点を、以下の手順で設定する。まず、上記設定タイミングで、クランクシャフト51L,51Rをモータ35により一方向に駆動し、第2ローラ32を一方向へ旋回させる。例えば、モータ35の回転に伴いピニオン55が図5の矢印に示す方向に回転することでクランクシャフト51L,51Rが図5の矢印に示す方向に回転する。クランクシャフト51L,51Rが上死点位置(ローラ間の径方向押し付け力が略最大となる位置)となるときに、構造体510がピニオン55の歯と干渉し、それ以上のクランクシャフト51L,51Rの回転を規制することで、第2ローラ32の旋回を抑制するように設ける。
基準点設定部117は、クランクシャフト回転角センサ115の検出値に基づき、クランクシャフト51L,51Rの回転が停止したことを検出すると、構造体510が第2ローラ32の旋回を抑制するようになったと判断する。なお、所望のモータ35の回転量(クランクシャフト51L,51Rの回転量)を実現するためにモータ35へ流す電流値を回転抵抗に応じて自動的に設定する構成とした場合、当該電流値の増大(例えば指示電流値が所定の閾値を超えたこと)を検出すると、構造体510が第2ローラ32の旋回を抑制するようになったと判断することとしてもよい。
そして、このときのクランクシャフト51L,51Rの停止位置(クランクシャフト回転角センサ115の検出値)を記憶し、この記憶した位置を基準点として設定する。すなわち、この基準点でのクランクシャフト回転角θを0°とする。クランクシャフト回転角センサ115の検出値は、上記記憶されたクランクシャフト回転角センサ115の出力値を基準(0°)として算出されることで、絶対的なクランクシャフト回転角θに変換される。トランスファーコントローラ111は、この(絶対的な)クランクシャフト回転角θ(第2ローラ32の旋回量に相当)に基づき駆動力配分制御を行う。
<実施例1の効果>
上述した本実施例になる駆動力配分装置1によれば、第2ローラ32を一方向へ旋回させ、この旋回が構造体510により抑制される位置を基準点として設定し、この基準点に基づき検出した第2ローラ32の旋回量に基づき駆動力配分制御を行うことにより、第2ローラ32の旋回量の基準点設定のために第2ローラ32を一方向と他方向の両方に旋回させる必要がないため、第2ローラ32の旋回量を迅速に検出し、ローラ間の径方向押し付け力制御を介した駆動力配分制御の応答性を向上することができる。
すなわち、上記特許文献1に記載の従来技術では、クランクシャフト回転角(すなわち第2ローラの旋回量)の基準点の設定のために第2ローラを一方向と他方向の両方に旋回させなければならない構成であるため、絶対的なクランクシャフト回転角の検出(のための基準点設定)に時間が掛かる。また、上記従来技術では、基準点を設定するためにクランクシャフトを駆動する際のトルク(アクチュエータであるモータのトルク)は、第2ローラの外周面が第1ローラの外周面に接触し始めたら第2ローラが旋回を停止する(クランクシャフトが回転を停止する)ようなトルク値、すなわち必要最小限のトルクである。よって、このような必要最小限のトルクを用いて、しかもクランクシャフトを両方向に回転駆動するためには、比較的長い時間が必要となる。したがって、従来技術にあっては、第1ローラ及び第2ローラ間の径方向押し付け力制御を介した駆動力配分制御の応答性が悪化する懸念があった。
これに対し、本実施例の駆動力配分装置1では、クランクシャフト回転角θ(第2ローラ32の旋回量)の基準点を設定するためにクランクシャフト51L,51Rを両方向に回転駆動する必要がなく、一方向に回転駆動すれば足りる。それだけでなく、基準点を設定するためにクランクシャフト51L,51Rを駆動する際のトルクは、第2ローラ32の外周面32aが第1ローラ31の外周面31aに接触しても第2ローラ32が旋回を停止する必要がないトルク値であって、従来技術よりも大きい。よって、基準点を設定するためにクランクシャフト51L,51Rを駆動するのに必要な時間を従来技術よりも短くすることが可能であり、これにより駆動力配分制御の応答性悪化を抑制することができる。
また、油温や経年変化等に応じて、クランクシャフトや第2ローラ(出力軸)を支持するベアリングのフリクションは変化する。これに伴い、クランクシャフトを駆動するトルクとローラ間の径方向押し付け力(摩擦接触力)との関係も変化する。よって、上記従来技術にあっては、第2ローラの外周面が第1ローラの外周面に接触し始めたら第2ローラが旋回を停止する(クランクシャフトが回転を停止する)ように、クランクシャフトを駆動するトルク(モータ電流)を正確に調整したり、モータ電流に基づき上記接触の開始を正確に検知したりすることは容易でなく、上記外乱に応じて旋回停止位置にバラツキが生じうる。上記従来技術では、クランクシャフトを両方向に回転駆動し、両方向で第2ローラが旋回を停止する(クランクシャフトが回転を停止する)位置の中間を基準点に設定することで、このようなバラツキをある程度は相殺することができるとも考えられる。しかし、このような構成では、上記のように、クランクシャフト回転角(第2ローラの旋回量)の基準点の設定までに時間が掛かるだけでなく、上記バラツキの相殺が不充分であるおそれもあり、正確な基準点を設定することにも限界がある。
これに対し、本実施例の駆動力配分装置1では、第2ローラ32の旋回が構造体510により抑制される位置は、上記ベアリング(ローラベアリング52,53等)のフリクション変化に関わらずメカ的(一義的)に決まり、油温や経年変化等の外乱による影響が少ない。よって、より正確な基準点を設定することができ、これにより駆動力配分制御の精度を向上することができる。また、上記従来技術におけるようにバラツキを相殺するためにクランクシャフト51L,51Rを両方向に回転駆動する必要もないことから、上記のように基準点の設定までの時間を短縮化することができる。
なお、構造体510により第2ローラ32の旋回を上死点のほか例えば下死点で抑制してもよく、どの位置で抑制することとしても上記作用効果を得ることができる。本実施例では、構造体510は、ローラ間の径方向押し付け力が略最大となる位置(上死点)で第2ローラ32の旋回を抑制するように設けられているため、第2ローラ32の初期の旋回位置(トラクション伝動容量制御開始前の待機位置)を下死点として制御開始前のトルク伝達容量をゼロとした場合において、第2ローラ32が初期の旋回位置からいずれの方向に旋回しても、構造体510により妨げられることなく上死点の位置まで旋回可能である。言換えると、図5の矢印方向の回転に限らず、これと反対方向のクランクシャフト51L,51Rの回転によっても、上死点で第2ローラ32の旋回を抑制することができる。よって、上記場合において第2ローラ32の初期の旋回位置からの旋回方向(クランクシャフト51L,51Rの回転方向)によってトルク伝達容量の制御範囲(上限)が制限されるといった事態を回避できるため、トラクション伝動容量制御の幅ないし制御性を向上することができる。
また、上死点でのオーバーシュート、すなわちモータ35の駆動制御の際に第2ローラ32が上死点を超えて過剰に旋回してしまうことを抑制できるため、トラクション伝動容量制御の精度を向上することができる。すなわち、クランクシャフト回転角目標値tθが上死点近傍であるとき、クランクシャフト51L,51Rを駆動するトルクが大きくなり、上死点でのオーバーシュートのおそれが高くなる。これに対し、構造体510が第2ローラ32の旋回を上死点で抑制することで、(仮にモータ35への電流がオーバーシュートしたとしても、)第2ローラ32が上死点を超えて過剰に旋回する事態を回避できるため、上死点近傍でのローラ間の径方向押し付け力(トルク伝達容量)の制御精度を向上できる。なお、下死点ではローラ間の径方向押し付け力が発生しないため、上記制御精度の問題(オーバーシュート抑制の課題)は少ない。
具体的には、第2ローラ32を旋回させるローラ旋回駆動メンバとしてクランクシャフト51L,51Rを設け、クランクシャフト51L,51Rは、アクチュエータとしてのモータ35により回転駆動される駆動軸(ピニオンシャフト56)に形成された歯(ピニオン55)に噛合うリングギヤ51Lc,51Rcを有してハウジング11に回転自在に支持され、クランクシャフト51L,51Rの回転中心(中心軸線O)から偏心した箇所に、第2ローラ32を回転自在に支承したものであり、構造体510は、リングギヤ51Lc,51Rcの歯の一部が埋められることで形成されるため、ローラを旋回駆動するために元々存在する構造であるリングギヤ51Lc,51Rcの歯の一部を埋めるだけの簡素な構成により、基準点設定のための構造体510を設けることができ、これにより装置の大型化の抑制やコスト低減を図ることができる。
なお、上死点近傍で第2ローラ32の旋回が規制されるように歯の一部を埋める本実施例の構成の場合、このように歯を埋める分だけ、クランクシャフト51L,51Rが回転不能となる微小な回転領域が発生するため、クランクシャフト51L,51Rの2つの回転方向の両方において第2ローラ32を正確に上死点まで旋回させることはできなくなる。よって、クランクシャフト51L,51Rの一方の回転方向においてのみ第2ローラ32を正確に上死点まで旋回させる(構造体510すなわち充填材によりクランクシャフト51L,51Rの回転が規制されるときに第2ローラ32の旋回位置が上死点と一致する)ことができるように設定しておくと、好都合である。例えば、基準点を設定する場合には、この一方の回転方向にクランクシャフト51L,51Rを駆動するようにすると、基準点をより正確に上死点に設定することができる。また、この一方の回転方向側を使ってローラ間の径方向押し付け力を制御するようにすると、トルク伝達容量の制御範囲(上限)を拡大することができ、トラクション伝動容量制御の幅ないし制御性を向上することができる。
[実施例2]
実施例2の駆動力配分装置は、構造体510の構成が実施例1と異なる。構造体510は、クランクシャフト51Rの外周に形成された第1突起部511と、クランクシャフト51Rの外周に対向するハウジング11の内周に形成された第2突起部512とで形成され、第1突起部511及び第2突起部512が係合することでクランクシャフト51Rの回転を抑制するように設けられている。
図6は、実施例2のクランクシャフト51Rを示す軸方向正面図である。ハウジング11の内周に対向するクランクシャフト51Rの軸方向端面には、第1突起部511が設けられている。図7は、実施例2の駆動力配分装置1の縦断側面において、クランクシャフト51Rの軸方向端面がハウジング11の内周に対向する箇所(図2の点線で囲んだ部分)を示す。クランクシャフト51Rの外周のうちその軸方向端面に対向するハウジング11の内周には、第2突起部512が設けられている。クランクシャフト51L,51R(第1突起部511)が図6の下死点位置から回転し、上死点近傍に達すると、図7の破線で示すように第1突起部511が第2突起部512に当接し、それ以上のクランクシャフト51L,51Rの回転が規制される。すなわち構造体510が第2ローラ32の旋回を上死点近傍で抑制する。その他の構成は実施例1と同様であるため、説明を省略する。
本実施例2になる駆動力配分装置1によれば、実施例1と同様の作用効果を得ることができるほか、クランクシャフト51Rの外周(軸方向端面)とこれに対向するハウジング11の内周とにそれぞれ突起部511,512を設けるだけの簡素な構成により、基準点設定のための構造体510を設けることができ、これにより装置1の大型化の抑制やコスト低減を図ることができる。
また、実施例1のように歯の一部を埋めることで構造体510を設ける場合には、溶接等を用いて充填部材の固定強度を確保することが好ましいが、この場合、クランクシャフト51L,51Rの歯全体が変形するおそれがあり、これにより歯の噛合部における騒音等を発生して装置1の静粛性が低下するおそれがある。これに対し、本実施例の構成によれば、構造体510を設けることでクランクシャフト51L,51Rの歯全体が変形するおそれがないため、このような問題を回避することができる。
なお、クランクシャフト51Rにおいて第1突起部511を設ける部位は軸方向端面に限らない。また、クランクシャフト51L,51Rのうち、どちらの外周に第1突起部511を形成することとしてもよい。
[実施例3]
実施例3の駆動力配分装置1は、構造体510の構成が実施例1と異なる。構造体510は、クランクシャフト51Rの外周に形成された凹部513と、クランクシャフト51Rの外周に対向するハウジング11の内周に設置された弾性体(圧縮コイルばね514)と、該弾性体の先端に設置された曲面形状体(ボール515)とで形成され、該曲面形状体が凹部513に嵌合することでクランクシャフト51Rの回転を抑制するように設けられている。
図8は、実施例3のクランクシャフト51Rを示す軸方向正面図である。ハウジング11の内周に対向するクランクシャフト51Rの軸方向端面には、凹部513が設けられている。
図9は、実施例3の駆動力配分装置1の縦断側面において、クランクシャフト51Rの軸方向端面がハウジング11の内周に対向する箇所(図2の点線で囲んだ部分)を示す。クランクシャフト51Rの外周のうちその軸方向端面に対向するハウジング11の内周には、弾性体としての圧縮コイルばね514と、圧縮コイルばね514の先端に設置された曲面形状体としてのボール515とが設けられている。圧縮コイルばね514は、ボール515をクランクシャフト51Rの軸方向端面に向かって常時付勢する。クランクシャフト51L,51R(凹部513)が図8の下死点位置から回転し、上死点に達すると、ボール515が凹部513(図9の破線で示す)に嵌合し、それ以上のクランクシャフト51L,51Rの回転が規制される。すなわち構造体510が第2ローラ32の旋回を抑制する。その他の構成は実施例1と同様であるため、説明を省略する。
本実施例3になる駆動力配分装置1によれば、実施例1と同様の作用効果を得ることができるほか、ボール515が凹部513に嵌合した後、クランクシャフト51L,51Rを駆動するトルクすなわちモータ35へ流す電流値(モータ35のトルク)がある程度以上に大きくなると、ボール515の曲面形状に起因し、圧縮コイルばね514が縮んでボール515が凹部513から抜け出すことが可能となる。このように、構造体510によりクランクシャフト51L,51Rの回転が完全に規制されるのではなく、第2ローラ32の旋回位置を、構造体510による規制位置(上死点)を跨いで制御可能であるため、トラクション伝動容量制御の幅ないし制御性を向上することができる。また、この構造体510による回転規制状態で上記電流値が不要に大きくなる事態が回避されるため、モータ35の耐久性向上を図ることができる。なお、曲面形状体はボール515に限らずピン等でもよく、弾性体として圧縮コイルばね514以外の弾性部材を用いてもよく、また凹部513は任意の形状の孔や溝であってよく、特に限定しない。
また、実施例1のように歯の一部を埋めることで構造体510を設ける場合には、溶接等を用いて充填部材の固定強度を確保することが好ましいが、この場合、クランクシャフト51L,51Rの歯全体が変形するおそれがあり、これにより歯の噛合部における騒音等を発生して装置1の静粛性が低下するおそれがある。これに対し、本実施例の構成によれば、構造体510を設けることでクランクシャフト51L,51Rの歯全体が変形するおそれがないため、このような問題を回避することができる。
また、実施例1のように歯の一部を埋めることで構造体510を設ける場合、歯を埋める分だけクランクシャフト51L,51Rが回転不能となる微小な回転領域が発生するため、クランクシャフト51L,51Rの両回転方向において第2ローラ32を上死点まで旋回させることはできなくなる。実施例2も同様である。これに対し、本実施例の構成によれば、構造体510を設けることに起因してクランクシャフト51L,51Rが回転不能となる微小な回転領域が発生することがないため、クランクシャフト51L,51Rの両回転方向において第2ローラ32を上死点まで旋回させることができる。よって、どちらの回転方向においても、基準点を正確に上死点に設定することができ、また、トルク伝達容量の制御範囲を最大とすることができるため、トラクション伝動容量制御の幅ないし制御性を向上することができる。
なお、クランクシャフト51Rにおいて凹部513を設ける部位は軸方向端面に限らない。また、クランクシャフト51L,51Rのうち、どちらの外周に凹部513を形成することとしてもよい。
〔他の実施例〕
以上、本発明を実施するための形態を、図面に基づく実施例により説明したが、本発明の具体的な構成は、実施例に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等があっても本発明に含まれる。
例えば、各実施例では、摩擦伝動式の駆動力配分装置として、ローラ31,32間を作動油を介して摩擦接触させ、この作動油の剪断応力によりトルクを伝達するものを示したが、これに限らず、例えばローラ同士を直接摩擦接触させ、ローラ間の摩擦力によりトルクを伝達するものであってもよい。
各実施例では、クランクシャフト51L,51Rの回転により第2ローラ32を旋回させることとしたが、第1ローラ31を旋回させるクランクシャフトを設け、第1ローラ31を旋回させることでローラ間径方向押し付け力を加減するようにしてもよい。
また、各実施例では、第2ローラ32を旋回させるローラ旋回駆動メンバとして中空アウターシャフト型式のクランクシャフト51L,51Rを用いたが、他の形式の旋回駆動メンバを用いてもよい。
また、各実施例では、構造体510がクランクシャフト51L,51Rの回転を規制することを介して第2ローラ32の旋回を所定位置で抑制することとしたが、第2ローラ32の旋回を直接規制する構造体を(例えば出力軸13等に)設けてもよい。
1 駆動力配分装置
6L,6R 左右後輪(主駆動輪)
9L,9R 左右前輪(従駆動輪)
11 ハウジング
31 第1ローラ
32 第2ローラ
35 ローラ間径方向押し付け力制御モータ(アクチュエータ)
51L,51R クランクシャフト(ローラ旋回駆動メンバ)
51Lc,51Rc リングギヤ(ギヤ)
55 クランクシャフト駆動ピニオン(駆動軸に形成された歯)
56 ピニオンシャフト(駆動軸)
115 クランクシャフト回転角センサ
117 基準点設定手段(基準点設定部)
510 構造体
511 第1突起部
512 第2突起部
513 凹部
514 圧縮コイルばね(弾性体)
515 ボール(曲面形状体)

Claims (5)

  1. 主駆動輪伝動系と共に回転する第1ローラと、従駆動輪伝動系と共に回転する第2ローラとを備え、
    これら第1ローラ及び第2ローラを両者の径方向において相互に押し付けることにより従駆動輪への駆動力配分が可能であると共に、該第1ローラ及び第2ローラの一方を旋回させて、これらローラ間の径方向押し付け力を加減することにより前記主駆動輪及び従駆動輪間の駆動力配分を制御するようにした駆動力配分装置において、
    前記第1ローラ及び第2ローラの一方の旋回を所定位置で抑制する構造体と、
    前記第1ローラ及び第2ローラの一方を一方向へ旋回させ、この旋回が前記構造体により抑制される位置を検出し、該検出した位置に基づき基準点を設定する基準点設定手段とを設け、
    前記基準点設定手段が設定した基準点に基づき前記第1ローラ及び第2ローラの一方の旋回量を検出し、該検出した旋回量に基づき駆動力配分制御を行う
    ことを特徴とする駆動力配分装置。
  2. 請求項1に記載の駆動力配分装置において、
    前記構造体は、前記ローラ間の径方向押し付け力が最大となる位置で前記第1ローラ及び第2ローラの一方の旋回を抑制するように設けられていることを特徴とする駆動力配分装置。
  3. 請求項1または2に記載の駆動力配分装置において、
    前記第1ローラ及び第2ローラの一方を旋回させるローラ旋回駆動メンバを設け、
    前記ローラ旋回駆動メンバは、アクチュエータにより回転駆動される駆動軸に形成された歯に噛合うギヤを有して前記駆動力配分装置のハウジングに回転自在に支持され、該ローラ旋回駆動メンバの回転中心から偏心した箇所に、前記旋回される一方のローラを回転自在に支承したものであり、
    前記構造体は、前記ギヤの歯の一部が埋められることで形成される
    ことを特徴とする駆動力配分装置。
  4. 請求項1または2に記載の駆動力配分装置において、
    前記第1ローラ及び第2ローラの一方を旋回させるローラ旋回駆動メンバを設け、
    前記ローラ旋回駆動メンバは、前記駆動力配分装置のハウジングに回転自在に支持され、該ローラ旋回駆動メンバの回転中心から偏心した箇所に、前記旋回される一方のローラを回転自在に支承したものであり、
    前記構造体は、前記ローラ旋回駆動メンバの外周に形成された第1突起部と、前記ローラ旋回駆動メンバの外周に対向する前記ハウジングの内周に形成された第2突起部とで形成され、前記第1突起部及び第2突起部が係合することで前記ローラ旋回駆動メンバの回転を抑制するように設けられている
    ことを特徴とする駆動力配分装置。
  5. 請求項1または2に記載の駆動力配分装置において、
    前記第1ローラ及び第2ローラの一方を旋回させるローラ旋回駆動メンバを設け、
    前記ローラ旋回駆動メンバは、前記駆動力配分装置のハウジングに回転自在に支持され、該ローラ旋回駆動メンバの回転中心から偏心した箇所に、前記旋回される一方のローラを回転自在に支承したものであり、
    前記構造体は、前記ローラ旋回駆動メンバの外周に形成された凹部と、前記ローラ旋回駆動メンバの外周に対向する前記ハウジングの内周に設置された弾性体と、該弾性体の先端に設置された曲面形状体とで形成され、前記曲面形状体が前記凹部に嵌合することで前記ローラ旋回駆動メンバの回転を抑制するように設けられている
    ことを特徴とする駆動力配分装置。
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