JP2014019746A - 副生炭成形物の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】石炭と溶剤とを混合して前記溶剤に可溶な石炭成分を抽出した後に、前記溶剤に可溶な成分を含む抽出液と、前記溶剤に不溶な成分を含む副生炭濃縮物とに分離し、前記抽出液から前記溶剤を分離して無灰炭を回収するとともに、前記副生炭濃縮物から前記溶剤を分離して副生炭を回収する改質炭製造工程を行い、前記溶剤に不溶な成分から得られる副生炭を含有する副生炭成形物を製造する副生炭成形物の製造方法であって、前記改質炭製造工程の後に、コンパクション用ロールを用いて粉状の前記副生炭の加圧成形を行い、板状の副生炭成形物を得ることを特徴とする。
【選択図】なし
Description
よって、副生炭成形物においては、粉塵発生や生産性の観点から改善の余地があり、粉塵の発生を抑制でき、かつ生産性に優れる副生炭成形物の開発が望まれている。
このような手順によれば、副生炭成形物の製造方法は、副生炭の温度を30℃以上とすることで、成形体の強度が向上し、成形が容易となる。また、副生炭の温度を120℃以下とすることで、水分調整がしやすくなり、取り扱いが容易となる。
本発明の副生炭成形物は、溶剤に不溶な成分から得られる副生炭を板状に成形して得られるものであるが、この副生炭は、無灰炭を製造する過程で生じる残渣(すなわち、副生炭濃縮物)から製造されるものである。よって、本発明では、無灰炭を製造することを前提とする。なお、無灰炭および副生炭は、石炭を改質することで得られた改質炭である。
ここで、副生炭成形物の製造方法の各工程について具体的に説明する前に、図1に示す構成図を参照して、本発明に用いることができる改質炭製造装置の一例について簡単に説明する。
副生炭成形物の製造方法は、改質炭製造工程を行うものである。そして、改質炭製造工程の後に成形工程を行うものである。
以下、各工程について説明する。
本発明の改質炭製造工程は、副生炭を回収する工程である。さらに、無灰炭を回収する工程でもある。すなわち改質炭製造工程は、副生炭回収工程と、無灰炭回収工程とからなる。具体的には、まず、石炭供給槽3から供給された石炭と、溶剤供給槽2から供給された溶剤とを混合して前記石炭から前記溶剤に可溶な石炭成分を抽出槽4で抽出する。その後、分離槽5で抽出液と副生炭濃縮物に分離し、副生炭回収槽7で前記副生炭濃縮物から前記溶剤を分離して副生炭を回収する。さらにここでは、無灰炭回収槽6で前記抽出液から前記溶剤を分離して無灰炭を回収する。
ここで、抽出液とは、溶剤に抽出された石炭成分を含む溶液をいい、副生炭濃縮物とは、溶剤に不溶な石炭成分(灰分を含む石炭すなわち灰炭)を含む溶質、すなわち残渣をいう。
用いる不活性ガスとしては、安価な窒素を用いることが好ましいが、特に限定されるものではない。また、圧力は、抽出の際の温度や用いる溶剤の蒸気圧にもよるが、1.0〜2.0MPaが好ましい。圧力が溶剤の蒸気圧より低い場合には、溶剤が揮発して液相に閉じ込められず、抽出できない。溶剤を液相に閉じ込めるには、溶剤の蒸気圧より高い圧力が必要となる。一方、圧力が高すぎると、機器のコスト、運転コストが高くなり、経済的ではない。
スラリーを抽出液と副生炭濃縮物とに分離する方法としては、各種の濾過方法や遠心分離による方法が一般的に知られている。しかしながら、濾過による方法ではフィルタの頻繁な交換が必要であり、また、遠心分離による方法では未溶解石炭成分による閉塞が起こりやすく、これらの方法を工業的に実施するのは困難である。従って、流体の連続操作が可能であり、低コストで大量の処理にも適している重力沈降法を用いることが好ましい。これにより、重力沈降槽の上部からは、溶剤に抽出された石炭成分を含む溶液である抽出液(以下、上澄み液ともいう)を、重力沈降槽の下部からは溶剤に不溶な石炭成分を含む溶質である副生炭濃縮物(以下、固形分濃縮液ともいう)を得ることができる。なお、抽出液と副生炭濃縮物は、完全に分離するのが理想的であるが、抽出液の一部に副生炭濃縮物が混入したり、副生炭濃縮物の一部に抽出液が混入したりする場合もある。
上澄み液や固形分濃縮液から溶剤を分離する方法は、一般的な蒸留法や蒸発法(スプレードライ法等)等を用いることができ、上澄み液からは、実質的に灰分を含まない無灰炭を得ることができる。また、固形分濃縮液からは、灰分を含む副生炭を得ることができる。なお、副生炭の回収と無灰炭の回収は、どちらを先に行ってもよく、同時に行ってもよい。そして、このようにして改質炭製造装置1で製造された副生炭は、成形工程に供される。
成形工程は、改質炭製造工程の後に、コンパクション用ロールを用いて粉状の副生炭の加圧成形を行い、板状の副生炭成形物を得る工程である。
ここで、副生炭成形物とは、副生炭を成形することで得られた板状の成形体のことである。また、板状とは、ロールコンパクション法により得られるような薄い形状であり、厚さが極薄いシート状のものも含む。また、後記するように、板状の副生炭成形物を解砕し、フレーク状にしてもよい。なお、粉状とは、前記のとおり、二次粒子である粒状の状態のものも含むものである。
本発明で用いるコンパクション用ロールは、ロールコンパクション法で用いるロールであり、ロール表面にポケット状の凹部がない、表面が平滑なフラットロールである。
前記背景技術で述べたとおり、副生炭に含まれる無灰炭を成形時にバインダーとして有効に働かせるためには、成形体内部まで均等に圧力を加えることが必要である。コンパクション用ロールを用いれば、成形される際の副生炭の成形体に均等に圧力を加えて成形することができる。
また、均等とは、全く同一の圧力の他、副生炭に含まれる無灰炭が成形時にバインダーとして有効に働く圧力であれば、誤差程度の違いがあってもよいことを意味する。
ここで、ブリケット用ロールを用いて製造された一般的なブリケットは、粒子形状がピロー型、アーモンド形、レンズ型、フィンガ型等である。このようなブリケットは、その形状から転がりやすいため、ハンドリングしにくく、通常の石炭のようにパイルとして積上げた際にも、安息角が大きくとりにくいという問題がある。しかしながら、コンパクション用ロールにより製造した副生炭成形物から得られたフレークであれば、上記のような取り扱い上の問題は発生しない。
さらに、石炭においては、性状や使用目的に応じて、複数の銘柄を混合して使用する混炭も頻繁に行われる。副生炭を混炭する場合、フレークであれば、容易に混炭を行うことができる。副生炭の混炭としては、例えば、副生炭を亜瀝青炭に混合することで、カロリーの向上を図ったり、灰成分を調整して燃焼時の灰融点を上昇させ、灰付着の問題を改善したりすることが考えられる。
まず、回収された副生炭をホッパーに投入する。この副生炭は、蒸留法や蒸発法等により溶剤を除去しているため、例えば、温度が200℃程度であり、水分量が0.2〜3.0質量%程度の乾燥状態である。次に、ホッパー中の副生炭をミキサーに投入し、スプレーにより副生炭に水をかけて所定温度に冷却するとともに、水分・湿度調整を行う。これにより、副生炭と水との混合物を、最適な水分濃度および成形温度に調整する。なお、このミキサーでの攪拌により、副生炭の粒子が粉砕されるため、粒径調整も行うことができる。次に、この最適な水分濃度および成形温度に調整した混合物を成形機に投入する。そして、コンパクション用ロールにより混合物を加圧成形して板状の成形体とする。このようにして、副生炭を副生炭成形物とする。
なお、その後、副生炭成形物を粉砕機等で解砕し、0.5〜5.0mm(最大長さ)程度のフレークとすることができる。
混合する水としては、特に規定されるものではなく、水道水等の一般的に用いられる水でよい。また、水分濃度とは、副生炭と水との全体の質量に対する水の質量であり、副生炭に、前記したバインダー化合物や充填材、軽質分等を添加する場合には、これらを含めた全体の質量に対する水の質量である。
ここで、粉には0.5mm以下の粒子が多く含まれる。代表直径を0.3mmとした際、このサイズの粒子を間隙に埋めるためには、1.9mm程度のサイズの粒子が適する。このため、2mm以上の粒子を含むことで嵩密度を向上させることができる。よって、2mm以上のサイズの粉が存在することが好ましい。
[副生炭の製造]
まず、以下の方法により、副生炭を製造した。
オーストラリア産瀝青炭を原料石炭とし、この原料石炭に対し、4倍量の溶剤(1−メチルナフタレン(新日鉄化学社製))を混合してスラリーを調製した。このスラリーを2.0MPaの窒素で加圧して、オートクレーブ中370℃、1時間の条件で抽出処理した。このスラリーを同一温度、圧力を維持した重力沈降槽内で上澄み液と固形分濃縮液とに分離し、固形分濃縮液を窒素気流中で200℃に加熱して、溶剤を分離・回収して、副生炭を得た。なお、分離・回収して得た副生炭の水分量は、1.5質量%であり、副生炭中に残存(残留)する無灰炭濃度は、1.0〜5.0質量%の範囲内であった。
なお、例えば、「2.0mmを超え4.0mm以下の粒径が20.9質量%」とは、2mmの篩いにかけたときに目を通らず、かつ4mmの篩いにかけたときに目を通る粒が20.9質量%という意味である。
粉砕した副生炭に、表2に示す水分濃度になるように所定量の水を加えて、Vミキサーで10分間混合し、水分調整した。また、所定の温度に調整した。
水分の測定は、石炭JIS(JIS M8812)に準じて行った。ただし、風乾はしないこととし、付着水(風乾によって蒸発してしまう水を意味する)も含めて測定した。
成形条件は以下のとおりである。
ロール径: 162mm
ロール幅: 60mm
温度: 50℃
線圧: 1.2〜2.0トン/cm
フレークのサイズ: 5mm粒子(最大長さ)
ロール径: 250mm
ロール幅: 50mm
温度: 120℃
線圧: 4.2〜6.3トン/cm
ブリケットのサイズ: 28×26mm,厚み16mm
アブレージョン試験は、まず、直径250mmの円筒容器に上記ブリケットあるいはフレーク20個を入れ、30RPMで10分間回転させた。ブリケットの質量は平均して、およそ60gであり、フレークの場合には60gを容器に入れて同様の試験を行った。粉塵問題を引き起こすのは、100μm以下のサイズの粒子であると考えられるが、ここでは、0.5mm以下の粒子の量で粉化性を評価することとし、回転後、このブリケットあるいはフレークを目開き0.5mmの篩いで篩って、篩い下に落下した粉体を秤量することにより行った。そして、粉体がブリケットあるいはフレーク全体の質量に対して10質量%未満のものを、粉塵の発生を十分に抑制できるとして合格とした。
一方、No.4〜11は、ブリケット用ロールを用いているため、以下の結果となった。
No.8〜11は、生産速度が低いため、成形体に圧力をゆっくりとかけることができた。これにより、無灰炭のバインダー機能を十分に引き出すことができ、耐粉化性が高くなった。そのため、粉体が少なかった。しかしながら、耐粉化性を高めるためには圧力をゆっくりかける必要があるため、生産性に劣ることとなった。
2 溶剤供給槽
3 石炭供給槽
4 抽出槽
5 分離槽
6 無灰炭回収槽
7 副生炭回収槽
Claims (3)
- 石炭と溶剤とを混合して前記溶剤に可溶な石炭成分を抽出した後に、前記溶剤に可溶な成分を含む抽出液と、前記溶剤に不溶な成分を含む副生炭濃縮物とに分離し、前記抽出液から前記溶剤を分離して無灰炭を回収するとともに、前記副生炭濃縮物から前記溶剤を分離して副生炭を回収する改質炭製造工程を行い、前記溶剤に不溶な成分から得られる副生炭を含有する副生炭成形物を製造する副生炭成形物の製造方法であって、
前記改質炭製造工程の後に、コンパクション用ロールを用いて粉状の前記副生炭の加圧成形を行い、板状の副生炭成形物を得ることを特徴とする副生炭成形物の製造方法。 - 前記副生炭を成形する工程おいて、前記副生炭は水と混合され、水分濃度を0.1〜13質量%に調整した副生炭と水との混合状態で加圧成形することを特徴とする請求項1に記載の副生炭成形物の製造方法。
- 前記成形時における前記副生炭の温度が、30〜120℃であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の副生炭成形物の製造方法。
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