WO2013129607A1 - 成形配合炭およびその製造方法、ならびにコークスおよびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
しかしながら、副生炭は、石炭から粘結成分である無灰炭を取得した後に残る石炭成分であるから流動性や粘結性に乏しく、これをコークス原料に使用すると、少量含有させただけでもコークス強度の低下が著しいことが判明した。
(1)石炭における溶剤に可溶な成分を含む無灰炭と、石炭から前記溶剤に可溶な成分を除去して得られる副生炭と、を粒状の石炭に混合した配合炭を含む成形配合炭であって、
前記配合炭は、前記無灰炭を3重量%以上、前記副生炭を8重量%以下、前記粒状の石炭を残部として含有することを特徴とする成形配合炭。
(2)前記粒状の石炭は、90%以上が径2mm以下であることを特徴とする(1)に記載の成形配合炭。
(3)前記粒状の石炭は、60%超が径1mm以下であることを特徴とする(2)に記載の成形配合炭。
このように石炭を所定の特性に規定することで、コークス原料には不適な石炭であっても、乾留して十分な強度のコークスに製造される成形配合炭となる。
このように、所定の配合の成形炭を使用することで、副生炭を含有しても強度が十分かつ均一なコークスとなり、原料コストの低いコークスが得られる。
前記無灰炭製造工程において分離された前記残渣から前記溶剤を除去して副生炭を製造する副生炭製造工程と、
石炭を粉砕して粒状にする石炭粉砕工程と、
前記粒状にした石炭に前記無灰炭と前記副生炭とを混合して、前記無灰炭を3重量%以上、および前記副生炭を8重量%以下含有する配合炭を得る混合工程と、
前記配合炭を成形する成形工程と、を含むことを特徴とする成形配合炭の製造方法。
(7)前記成形工程において、前記配合炭の温度が80~200℃であることを特徴とする(6)に記載の成形配合炭の製造方法。
このように、配合炭がすでに成形されているため、銑鉄の製造に使用可能なコークスを製造することができる。
〔成形配合炭〕
本発明に係る成形配合炭は、無灰炭および副生炭を石炭に混合して配合炭として、所定の立体形状の塊に成形して得られ、石炭や無灰炭等のそれぞれ単独の場合と同様に燃料やコークス原料の配合炭として利用される。成形配合炭の形状および大きさは特に規定されず、用途に応じて設計される。以下、成形配合炭の原料である無灰炭、副生炭、および石炭について説明する。
無灰炭は、石炭から灰分と非溶解性石炭成分とをできるだけ除去した改質炭で、実質的に灰分を含まないと同時に、流動性、粘結性の高い成分を多く含有する。無灰炭は、石炭を、当該石炭と親和性の高い溶剤で抽出することで、灰分等の不溶な成分を分離した抽出液を得て、この抽出液から溶剤を蒸発法等によって除去して製造される。したがって、無灰炭は、石炭成分のうち、溶剤に可溶な軟化溶融性がある有機物を多く含有し、さらに、抽出、分離前の石炭と溶剤の混合物(スラリー)の状態で脱水されているため、水分が0.2~3質量%程度に減少している。したがって、無灰炭は、揮発分を多く含有し、熱流動性に優れ、粘結性が高いため、弱粘結炭や非粘結炭等の低品位炭および副生炭と共に含有されても、特に後記するように加熱して成形されることで、ある程度の強度を有し、粉塵の発生も抑えられて、保管等に好適な成形配合炭となり、さらに、乾留時にこれらの低品位炭に粘結性を付与して、強度の高いコークスとすることができる。このようにコークスとしたときに十分な強度を付与するため、無灰炭は、成形配合炭における含有量(水分を除く)を3重量%以上とし、さらに配合される石炭の流動性に応じて調製される。無灰炭の含有量の上限は特に規定しないが、多過ぎるとコークスとしたときに却って強度を低下させるため、10重量%以下とすることが好ましい。また、無灰炭は、成形配合炭およびコークスの強度を高くするためにできるだけ小さい粒状であることが好ましく、具体的には径(最大長さ)1mm以下とすることが好ましい。本発明において、無灰炭を得るための原料石炭については、品質を問わない。無灰炭の製造方法の詳細については、後記する。
副生炭は、石炭から無灰炭を製造する過程で生じる副生物である。前記した通り、無灰炭は、石炭から溶剤に可溶な成分を抽出して製造される。一方、残渣として分離された不溶な成分が、さらに溶剤を十分に除去されて副生炭となる。したがって、副生炭は、原料石炭に対して、溶剤に可溶な軟化溶融性がある有機物が無灰炭となって除去されているため、軟化溶融性は低く、また、溶剤に不溶な灰分が原料石炭から濃縮されて10~20質量%程度の高濃度になる。ただし、副生炭は、その主成分は原料石炭と同様に炭素(C)であり、また、無灰炭と同様に、抽出、分離前の石炭と溶剤の混合物(スラリー)の状態で脱水されているので、水分が0.2~3質量%程度に減少していて、発熱量を十分に有している。副生炭は、流動性が低く、粘結性がないために、多く含有するとコークスとしたときに強度が低下するので、成形配合炭における含有量(水分を除く)を8重量%以下とし、さらに配合される石炭の石炭化度や流動性、ならびに無灰炭の配合に応じて調製され、好ましくは1重量%以上である。また、副生炭は、成形配合炭およびコークスの強度を高くするためにできるだけ小さい粒状であることが好ましく、具体的には径(最大長さ)1mm以下とすることが好ましい。なお、石炭における灰分とは、石炭を815℃に加熱して灰化したときの残留無機物を指し、ケイ酸、アルミナ、酸化鉄、石灰、酸化マグネシウム、アルカリ金属酸化物等である。本発明において、副生炭を得るための原料石炭については、無灰炭と同様に品質を問わない。副生炭の製造方法の詳細については、無灰炭の製造工程の一環として後記する。また、無灰炭と副生炭とは、同じ原料石炭から製造されたものでなくてよく、同じ製造装置および方法によらなくてよい。
石炭については、その種類(品位、品質)は成形配合炭の用途に応じて選択される。特にコークス原料の配合炭とする場合は、最大流動度MF値(log(ddpm)):0.2~2.0、平均最大反射率Ro値:0.8~1.1であることが好ましい。MF値が0.2未満、Ro値が0.8未満の石炭では質が低過ぎて、コークスとするには不適当で、あるいは配合を極度に低減することになり、コスト低減にならない。反対に、MF値が2.0超、Ro値が1.1超の石炭は、単独でコークスに製造可能であり、原料コストが高くなる。すなわち瀝青炭の中で、一般的にコークス原料とすることが困難とされる中低石炭化度中低流動性炭を適用することで、原料コストを低減することができる。また、これらの石炭化度、流動性の範囲から異なる2種類以上の石炭を適用してもよい。成形配合炭において、石炭は、乾燥炭に換算して80重量%以上、さらには85重量%以上含有することができる。なお、石炭は、風乾等により乾燥炭としてもよいが、水分を含んだ状態で無灰炭および副生炭と混合、成形されてもよい。
本発明に係る成形配合炭の製造方法は、石炭から無灰炭を製造する無灰炭製造工程と、石炭から副生炭を製造する副生炭製造工程と、石炭を粉砕して粒状にする石炭粉砕工程と、前記無灰炭と前記副生炭と前記石炭を混合して配合炭を得る混合工程と、前記配合炭を成形する成形工程と、を行う。以下、各工程について説明する。
無灰炭製造工程は、石炭を溶剤で抽出し、残渣を分離した抽出液から前記溶剤を除去して無灰炭を製造する。一方、副生炭製造工程は、前記残渣のスラリーから前記溶剤を除去して副生炭を製造する。すなわち副生炭は、石炭から無灰炭を製造する過程で生じる副生物である。そこで、本実施形態では、無灰炭製造工程と副生炭製造工程とを、一工程として説明する。なお、副生炭については同等の成分であれば、無灰炭の製造における副生物として得られたものでなくてもよく、無灰炭と副生炭とは同じ工程で製造されたものでなくてよい。無灰炭を製造する方法は、例えば、特許文献2~4に記載の方法を用いることができる。以下に、図1に示す無灰炭および副生炭を得ることができる改質炭製造装置の一例を参照して説明する。
石炭粉砕工程は、成形配合炭に混合される石炭を、常法で粒状に粉砕する。また、無灰炭や副生炭についても、前記したような粗大な二次粒子が混在する場合等は、同様に粉砕したり、無灰炭と副生炭とを前記で規定した配合で石炭に混合して、一緒に粉砕してもよい。
混合工程は、無灰炭、副生炭、石炭、さらに必要に応じて水を混合して混合物(配合炭)を得る。無灰炭、副生炭、石炭の配合、および水の含有量は、それぞれ前記の成形配合炭についての説明の通りであり、特に水は、前記した通り、石炭、無灰炭、および副生炭の水分量を勘案して、不足分を添加して調整する。例えば公知のミキサーに、無灰炭、副生炭、および予め粉砕した石炭をそれぞれホッパーから投入して、スプレー等で水を添加しながら攪拌することにより、無灰炭や副生炭の二次粒子が容易に粉砕される上、無灰炭および副生炭が無灰炭製造工程および副生炭製造工程で製造された直後、すなわち溶剤の除去のために200℃を超える温度に加熱された直後であっても、適度に冷却される。このような無灰炭や副生炭を高温の状態で水分調整する場合は、後続の成形工程までに蒸発する分も勘案して水を添加する。
成形工程は、前記配合炭を所定の立体形状の塊に成形して成形配合炭とする。配合炭の成形は、例えば無灰炭等の炭素材料の成形においても適用されている、成形機を使用した圧縮成形や、2ロール式ブリケット成形によってすることができる。成形のために配合炭にかける圧力は特に規定されず、成形機等に応じて設定すればよい。
〔コークス〕
本発明に係るコークスは、前記の本発明に係る成形配合炭を他のコークス原料用の石炭と混合した石炭混合物を、後記するように一般的な条件で乾留して得られる。石炭混合物における本発明に係る成形配合炭の含有量は、10~30質量%とすることが好ましい。また、コークス原料用の石炭は、コークス原料に一般的に使用される強粘結炭、準強粘結炭、あるいは弱粘結炭、非微粘結炭が挙げられ、これらの石炭のみでコークスを製造する場合と同様に、例えば80%以上が粒径3mm以下になるように粉砕される。前記した通り、本発明に係る成形配合炭は所望の形状に成形され、かつ一定の強度を有しているため、コークス原料用の石炭と共に乾留されることにより当該形状を保持したコークスとなる。なお、成形配合炭は、コークス原料用の石炭と大きさや形状を揃える必要はなく、大きさによっては成形された形状のままでコークス原料用の石炭と混合して乾留されてもよい。ただし、成形配合炭がコークス原料用の石炭(粉砕されたもの)と比較して相当に大きい場合は、コークス原料用の石炭の粒との流れ性の違いにより、コークス炉の炉壁部分に偏析する等の不具合を生じ易いため、成形配合炭はコークス原料用の石炭と同程度の大きさに粉砕されることが好ましい。前記した通り、成形配合炭は、石炭、無灰炭、副生炭が成形により互いに強く結び付き、この結び付きは粉砕されても持続するので、本発明に係る成形配合炭を混合する効果に影響しない。乾留して得られたコークスは、そのまま銑鉄の製造のために高炉に投入することができる。
本発明において、乾留の条件は特に限定されるものではなく、コークス炉を使用したコークス製造における通常の乾留条件を採用でき、例えば1門30トン程度を装入する室炉に容積の10~50%程度の前記石炭混合物を装入して乾留する。好ましくは950℃以上、より好ましくは1000℃以上であって、好ましくは1200℃以下、より好ましくは1050℃以下の温度で、好ましくは8時間以上、より好ましくは10時間以上、好ましくは24時間以下、より好ましくは20時間以下乾留して行う。
(無灰炭および副生炭の製造)
まず、以下の方法により、無灰炭と副生炭を製造した。
オーストラリア産瀝青炭を原料石炭とし、この原料石炭(乾燥炭に換算)と、4倍量(20kg)の溶剤(1-メチルナフタレン(新日鉄化学社製))を混合してスラリーを調製した。このスラリーを、窒素を導入して1.2MPaに加圧した状態で、内容積30Lのバッチ式オートクレーブ中370℃、1時間の条件で抽出処理した。このスラリーを同一温度、圧力を維持した重力沈降槽内で上澄液と固形分濃縮液とに分離し、固形分濃縮液から蒸留法で溶剤を分離・回収して、副生炭を得た。一方、上澄液からも蒸留法で溶剤を分離・回収して、無灰炭を得た。得られた無灰炭および副生炭の水分はそれぞれ1.5質量%であった。これらの無灰炭および副生炭各1kgを、粒径(最大長さ)が1mm以下になるように粉砕した。
配合炭に混合する石炭として水分6.7質量%のオーストラリア産瀝青炭(最大流動度MF値(log(ddpm))0.5、平均最大反射率Ro値1.01)を粒径が1mm以下になるように粉砕し、無灰炭および副生炭を表1に示す配合比(%)で混合し、全体量に対してさらに0.5質量%となるように水を加えて、Vミキサーで10分間混合して混合物(配合炭)を調整した。なお、瀝青炭の水分は、石炭JIS(JIS M8812)に準じて測定した値である。
(圧壊試験)
強度の指標として圧壊試験を行った。コークスの円柱形状の軸に垂直の方向(径方向)に圧縮荷重をかけて、破壊に至る荷重を測定した。測定した荷重を圧壊荷重として、表1に示す。強度の合格基準は、圧壊荷重が100kg以上とした。
粉塵発生の抑制の指標としてアブレージョン試験を行った。まず、直径250mmの円筒容器にコークス20個を収容し、30RPMで10分間回転させた。次に、円筒容器から出したコークスを目開き5.66mmの篩で選別して、目を通った分を秤量した。この、目を通った分(粉体)のコークス全体に対する重量比(%)を算出し、粉体発生率として表1に示す。粉塵発生抑制の合格基準は、粉体発生率が10%以下とした。
本出願は、2012年2月29日出願の日本特許出願(特願2012-044219)に基づくものであり、その内容はここに参照として取り込まれる。
1 溶剤貯蔵槽
2 スラリー調製槽
3 予熱器
4 抽出槽
5 重力沈降槽
6 固形分濃縮液受器
7 上澄液受器
Claims (8)
- 石炭における溶剤に可溶な成分を含む無灰炭と、石炭から前記溶剤に可溶な成分を除去して得られる副生炭と、を粒状の石炭に混合した配合炭を含む成形配合炭であって、
前記配合炭は、前記無灰炭を3重量%以上、前記副生炭を8重量%以下、前記粒状の石炭を残部として含有することを特徴とする成形配合炭。 - 前記粒状の石炭は、90%以上が径2mm以下であることを特徴とする請求項1に記載の成形配合炭。
- 前記粒状の石炭は、60%超が径1mm以下であることを特徴とする請求項2に記載の成形配合炭。
- 前記粒状の石炭は、最大流動度MF値(log(ddpm))が0.2~2.0、平均最大反射率Ro値が0.8~1.1であることを特徴とする請求項1に記載の成形配合炭。
- 請求項4に記載の成形配合炭を含む石炭混合物を乾留してなることを特徴とするコークス。
- 石炭を溶剤で抽出して、抽出液と残渣とを分離し、前記抽出液から前記溶剤を除去して、前記石炭における前記溶剤に可溶な成分を含む無灰炭を製造する無灰炭製造工程と、
前記無灰炭製造工程において分離された前記残渣から前記溶剤を除去して副生炭を製造する副生炭製造工程と、
石炭を粉砕して粒状にする石炭粉砕工程と、
前記粒状にした石炭に前記無灰炭と前記副生炭とを混合して、前記無灰炭を3重量%以上、および前記副生炭を8重量%以下含有する配合炭を得る混合工程と、
前記配合炭を成形する成形工程と、を含むことを特徴とする成形配合炭の製造方法。 - 前記成形工程において、前記配合炭の温度が80~200℃であることを特徴とする請求項6に記載の成形配合炭の製造方法。
- 請求項6に記載の成形配合炭の製造方法により製造された成形配合炭を含む石炭混合物を乾留する工程を含むコークスの製造方法。
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