以下、本発明の好ましい実施形態について図面を参照しつつ詳細に説明する。尚、以下に説明する実施形態において互いに共通する部材には同一符号を付しており、それらについて重複する説明は省略する。
(第1の実施の形態)
図1は、本発明の一実施形態として、所定個数の遊技球を内部循環させる機構を備えた遊技システム1の外観構成の一例を示す斜視図である。また図2は、遊技球の内部循環機構の一例を示す遊技システム1の透過斜視図である。
この遊技システム1は、遊技者による指示操作に基づき遊技領域15に対して遊技球を1球ずつ所定の時間間隔で打ち出すことによって遊技を行うように構成された弾球式の遊技機2を備えている。遊技機2は、店舗(ホール)側の島設備などに固定される装置本体6を備え、その装置本体6の正面側には遊技領域15の正面側を開閉可能な前扉(開閉扉)7が設けられる。装置本体6には遊技球が打ち出される遊技領域15を備えた遊技盤16が取り付けられており、前扉7には装置本体6に取り付けられる遊技盤16の正面側に透明ガラス板8が嵌め込まれた構成である。したがって、前扉7が装置本体6の正面側を閉じた状態のときには、遊技機2の正面側から透明ガラス板8を介して遊技球が打ち出される遊技領域15を視認することが可能である。
遊技領域15は、図2に示すように、遊技盤16の盤面上に設けられるレール17によって囲まれた領域であり、装置本体6に設けられた発射装置20から打ち出される遊技球が転動しながら流下していく領域である。この遊技領域15には、図示を省略しているが、多数の釘、風車、スルーゲート、複数種類の入賞口などが配置される。また遊技領域15には、カラー液晶ディスプレイなどの演出画像を表示するための画像表示器なども配置される。そして遊技領域15に打ち出された遊技球が各種入賞口に入賞すると、画像表示器などにおいて様々な演出が行われるようになる。各種入賞口に入賞した遊技球は、遊技盤16の背面側に案内される。また遊技領域15の最下部にはアウト口18が設けられており、各種入賞口に入賞しなかった遊技球はこのアウト口18から遊技盤16の背面側に案内される。
遊技者が遊技球の打ち出し操作を行って遊技を行う際には、前扉7は装置本体6の正面側を閉じた状態で施錠される。そのため、遊技領域15に打ち出される遊技球は遊技盤16の盤面と透明ガラス板8との間の空間を流下していく。このとき、遊技領域15において遊技球が球詰まりすることもある。遊技領域15において球詰まりが発生すると、店員が前扉7を解錠して開くことにより、遊技領域15を開放して球詰まりを解消することができるようになっている。
一方、前扉7における透明ガラス板8の下方には、図1に示すように、遊技者が操作する操作部9が設けられている。この操作部9には、遊技者が遊技球の打ち出し操作を行うためのハンドルレバー10と、遊技者が遊技機2に対して特定の演出を行わせるために操作する演出ボタン11と、遊技者に対して打ち出し可能な遊技球の数を表示したり、遊技者による遊技球の貸出操作を受け付けたりするためのタッチパネル式のパネル表示部12とが設けられている。尚、図1では操作部9が前扉7と一体的に設けられる場合を例示しているが、これに限られるものではない。例えば操作部9が前扉7から分離した構成であり、装置本体6に対して一体的に組み付けられたものであっても構わない。この場合、前扉7は、透明ガラス板8が設けられた部分だけが装置本体6に対して開閉することになる。
また遊技システム1は、上記のような遊技機2に隣接して設けられる遊技球の貸出決済装置3を備えている。貸出決済装置3は、遊技者が現金やプリペイドカード、電子マネーを記録したICカードなどを投入するための投入口4を備えており、その投入口4に投入された金額を上限として遊技球の貸し出しを許可する信号を遊技機2へ送出する。例えば、遊技者が投入口4に現金やプリペイドカードなどを投入すると、貸出決済装置3と遊技機2とがデータ通信を行うことにより、遊技機2のパネル表示部12には、遊技者が利用可能な金額などが表示される。遊技者がパネル表示部12に対して遊技球の貸出操作を行うと、遊技機2から貸出決済装置3に決済要求信号が送出される。そして貸出決済装置3において決済処理が行われ、投入金額の範囲内であれば遊技球の貸し出しを許可する信号が遊技機2に送出される。遊技機2は、貸出決済装置3からの信号に基づいて遊技者の指示操作に基づいて打ち出し可能な遊技球の数を特定し、その特定した数の範囲内で遊技球の打ち出しを行う。ただし、遊技領域15に打ち出した遊技球が、遊技領域15を流下していく際に各種入賞口に入賞すると、遊技機2において賞球処理が行われるため、その賞球数に応じて打ち出し可能な遊技球の数が増加する。
尚、図1および図2においては、貸出決済装置3が遊技機2とは別体として構成される場合を例示しているが、これに限られるものでもない。例えば、貸出決済装置3の機能を遊技機2の装置本体6に搭載するようにしても良い。この場合、遊技機2は、それ単体で本実施形態の遊技システム1を構成する。
本実施形態の遊技システム1は、図2に示すように、遊技領域15に打ち出す遊技球を内部循環させるための遊技球循環装置30を備えている。この遊技球循環装置30は、所定個数(例えば数十個程度)の遊技球を内部循環させることにより、それら所定個数の遊技球を繰り返し遊技領域15へ打ち出し可能とするものである。つまり、遊技球循環装置30によって循環する遊技球は、一の遊技システム1(又は一の遊技機2)における専用の遊技球となっており、島設備に設けられる他の遊技システム(又は他の遊技機)へは供給されることがない。
尚、図2では、一例として、遊技球循環装置30が遊技機2と貸出決済装置3の双方に跨った状態で遊技システム1の内部に設けられる場合を例示しているが、これに限られるものではない。すなわち、遊技球循環装置30は、遊技機2の内部だけで遊技球を循環させるものであっても構わない。この場合もまた、遊技機2は、それ単体で本実施形態の遊技システム1を構成する。
図3は、遊技球循環装置30を拡大して示す斜視図である。この遊技球循環装置30は、主として、遊技領域15に打ち出された後に遊技盤16の背面側に案内された遊技球を回収する回収部31と、発射装置20に対して遊技球を1個ずつ送り出して供給する球供給部33と、回収部31で回収された遊技球を循環させて再び球供給部33へ案内する遊技球循環経路32とを備えている。
球供給部33は、発射装置20と連動して動作するようになっている。すなわち、発射装置20には遊技者がハンドルレバー10を回転操作することに伴って動作する発射槌21が設けられており、その発射槌21が遊技球の打ち出し準備動作としてバネなどの付勢力に抗して所定位置へ後退したとき、球供給部33が1個の遊技球を送り出して所定の打ち出し位置へセットする。その後、発射槌21がバネなどの付勢力によって瞬間的に回転動作し、球供給部33によって所定位置にセットされた遊技球を遊技領域15に向けて打ち出す。このようにして遊技球の打ち出しが行われると、遊技機2において打ち出し可能な遊技球の数が1つ減算される。そして球供給部33は、遊技者によってハンドルレバー10が操作されている場合、遊技機2において打ち出し可能な遊技球の数が0になるまで、発射槌21の動作と連動しながら遊技球を1個ずつ所定の打ち出し位置へ送り出していく。尚、遊技機2において打ち出し可能な遊技球の数が0になると、球供給部33は発射装置20と連動しなくなり、遊技者がハンドルレバー10を操作している状態であっても遊技球の打ち出しは行われなくなる。
発射装置20によって遊技領域15に打ち出された遊技球は、遊技領域15を転動した後、遊技盤16の背面側で回収部31に回収される。
回収部31は、遊技盤16の背面側において水平幅方向に沿って長尺状に開口するホッパー31aを有し、各種入賞口やアウト口18から遊技盤16の背面側に案内される遊技球を漏れなく回収することができる。回収部31で回収された遊技球は、遊技球循環経路32の最上流部に流入する。
遊技球循環経路32は、最上流部に流入する遊技球を内部循環させて最下流部に位置する球供給部33へ再度導くための経路である。この遊技球循環経路32には、不正球を排出するための不正球排出装置41,42と、遊技球を揚送するためのリフト部34と、リフト部34によって揚送された遊技球を1球ずつ経路内に送り出す送出部35と、遊技球の循環経路を第1経路37と第2経路38とのいずれか一方に切り替えるための経路切替部36とが設けられている。そして遊技球循環経路32は、リフト部34で遊技球を揚送する部分を除き、その底面は下流側に向かって下降傾斜した滑らかな斜面となっており、遊技球を自重で転動させながら経路内を循環移動させることができるようになっている。
また遊技球循環経路32は、その下流側で第1経路37と第2経路38との2つに分岐しており、経路切替部36によって第1経路37と第2経路38とのいずれか一方への切り替えが行われる。第1経路37は、循環する遊技球を発射装置20へと導く経路である。例えば遊技者がハンドルレバー10を操作することによって遊技球の打ち出しが行われる遊技状態になると、遊技球循環経路32は第1経路37に切り替えられ、遊技機2において連続的な遊技球の打ち出しが可能な状態となる。これに対し、第2経路38は、循環する遊技球を発射装置20へと導くことなく、回収部31で回収された遊技球が流入する遊技球循環経路32の上流部へと環流させるための経路である。例えば遊技者がハンドルレバー10を操作していない非遊技状態のときには、遊技球循環経路32が第2経路37に切り替えられ、遊技球循環経路32を遊技球が繰り返し循環する。
図4は、リフト部34、送出部35および経路切替部36の内部構造を示す透過斜視図である。リフト部34には、無端ベルトに対して遊技球を保持する保持部52aが所定間隔で立設配置されたリフトコンベア52と、そのリフトコンベア52を駆動するリフト駆動モーター51とが設けられ、遊技球循環経路32の下降傾斜に沿って転動してきた遊技球を1球ずつ保持部52aで保持して揚送するように構成される。リフトコンベア52の上部には、複数の遊技球を貯留するための貯留部53が設けられており、この貯留部53の底面は送出部35に向かって下降傾斜している。
送出部35は、循環供給モーター54と回転式送出部55とを備えている。回転式送出部55は、略円柱状回転板の外周面において位相が180度ずれた2箇所の位置に遊技球を収容するためのポケットを有している。この回転式送出部55は、循環供給モーター54の回転駆動によって180度ずつ回転することにより、貯留部53に貯留された遊技球を1球ずつ受け取って下流側の経路切替部36に送り出す。
経路切替部36では、送出部35から流入する遊技球を案内する経路が、第1経路37と第2経路38とに分岐している。その分岐部には、所定角度範囲内で揺動することにより、第1経路37と第2経路38とのいずれか一方を塞ぐ切替板57が設けられている。この切替板57は、経路切替ソレノイド56によって揺動駆動される。
図5は、切替板57による経路の切り替え態様を示す図である。図5(a)は、送出部35から流入する遊技球を第1経路37へと案内するため、切替板57が第2経路38への進入口を閉鎖した状態を示している。図5(a)の場合、遊技球循環経路32を循環する遊技球は、経路切替部36において第1経路37へと案内されるため、発射装置20に向かって遊技球が供給される。そのため、発射装置20は、遊技球循環経路32を循環して供給される遊技球を連続的に発射することができるようになる。一方、図5(b)は、送出部35から流入する遊技球を第2経路37へと案内するため、切替板57が第1経路37への進入口を閉鎖した状態を示している。図5(b)の場合、遊技球循環経路32を循環する遊技球は、経路切替部36において第2経路38へと案内されるため、発射装置20へは遊技球が供給されなくなる。つまり、図5(b)の場合、第2経路38へ案内された遊技球は、回収部31で回収された遊技球が流入する遊技球循環経路32の上流部へ戻るため、遊技球循環経路32を繰り返し循環するようになる。
このような遊技球循環経路32には、予め所定個数(例えば30個など)の遊技球が封入されている。遊技球循環経路32に予め封入される遊技球は、例えば直径(サイズ)、重量、材質などの複数種類の項目について予め定められた規格に適合する遊技球(正規球)である。例えば、直径(サイズ)に関する規格としてはφ11.00mmが適正値として定められている。また材質に関する規格としては、例えば本実施形態では、SUS316などのオーステナイト系のステンレス鋼を用いることが定められている。正規球をステンレス球とすることにより、耐用性に優れた遊技球が実現されると共に、錆びにくいという利点が得られる。また従来の鋼球と比較すると、ステンレス球の場合は、遊技機2へのノイズ発生を抑制できるという利点もある。さらにオーステナイト系のステンレス球は、磁性を持たず、磁石に付きにくい非磁性体球であるため、いわゆる「磁石ゴト」と呼ばれるような不正行為を未然に防止できるという利点もある。このように直径および材質のそれぞれについて規格が定められると、重量に関する規格についても予め所定値に定めておくことができる。遊技球循環経路32は、上記のような所定個数の正規球を循環移動させることにより、回収部31で回収された正規球を再び球供給部33へ供給する。
ただし、遊技領域15において球詰まりなどが発生して前扉7が開放された場合には、遊技球循環経路32を循環する遊技球の中に、上記規格に適合しない不正球が混入される可能性がある。不正球の混入は、店員が前扉7を開放した隙を狙って遊技者が行うこともあるし、また店員自身が行うこともある。また混入される不正球にも、様々な不正球がある。例えば正規球よりも各種入賞口への入賞がし易くなるようにするため、直径が上記適正値よりも小さい小球が不正球として混入されることがある。また、正規球よりも直径が大きい大球を不正球として混入させ、その大球を各種入賞口への入賞を検知する近接スイッチの近傍位置に詰まらせた状態で遊技機2の外部から電磁波を照射することによって近接スイッチの誤作動を生じさせ、不正入賞を発生させる不正行為が行われることもある。さらに、不正球として、磁石に付き易い磁性体球が混入され、いわゆる「磁石ゴト」と呼ばれるような不正行為が行われることもある。
そのため、本実施形態の遊技球循環装置30は、遊技球循環経路32の所定位置2箇所に、上記のような不正球を遊技球循環経路32から排出するための不正球排出装置41,42を設けている。これら不正球排出装置41,42は、遊技球循環経路32において、回収部31で回収された遊技球が再び球供給部33へ供給されるまでの間に設けられる。さらに詳しく説明すると、これら不正球排出装置41,42は、第2経路38に案内された遊技球が遊技球循環経路32に戻される位置よりも下流側であり、且つ、第1経路37へ遊技球を案内するための分岐部よりも上流側の位置に設けられる。したがって、遊技者が遊技を行っている遊技状態のとき、回収部31で回収された遊技球は、再び発射装置20へ導かれるまでの間に、各不正球排出装置41,42が設けられている所定位置を必ず通過する。また、遊技者が遊技を行っていない非遊技状態のときには、第2経路38を通って遊技球循環経路32の上流部に戻される遊技球は、各不正球排出装置41,42が設けられている所定位置を毎回通過するようになる。
それら不正球排出装置41,42は、遊技球循環経路32の上流側に流入し、遊技球循環経路32の下降傾斜に沿って転動しながら移動していく遊技球が所定位置を通過する際に、その遊技球を一旦停止させることなく、不正球だけを遊技球循環経路32から排出して排出路43へと案内するためのものである。第1の不正球排出装置41は、不正球を排出路43aに排出するための動作機構を備えた不正球排出部41aと、不正球排出部41aに設けられる動作機構を駆動するための排出駆動モーター41bとを備えている。同様に、第2の不正球排出装置42は、不正球を排出路43bに排出するための動作機構を備えた不正球排出部42aと、不正球排出部42aに設けられる動作機構を駆動するための排出駆動モーター42bとを備えている。
そして遊技球循環装置30は、これら2つの不正球排出装置41,42により、遊技球循環経路32を循環する遊技球がそれぞれの所定位置を通過する際に、その遊技球の特性値であって、不正球となり得る一の指標に関する特性値が、所定の上限値を超える遊技球と、その特性値が所定の下限値に満たない遊技球とを、不正球として遊技球循環経路32から排出する。ここで、不正球となり得る一の指標とは、上述した遊技球の規格によって予め適正値が定められているものであり、例えば遊技球の直径や重量などである。ただし、本実施形態では、主として、遊技球の直径を一の指標とし、所定位置を通過する遊技球の特性値(すなわち、遊技球の実際の直径)が所定の上限値を超える遊技球と、所定の下限値に満たない遊技球とを、不正球として遊技球循環経路32から排出する場合を例に挙げて説明する。
また本実施形態の遊技球循環装置30は、上記不正球排出装置41,42により、遊技球循環経路32を循環する遊技球が所定位置を通過する際、その遊技球が磁石に付きやすい磁性体球である場合、それを不正球として排出することも可能なように構成される。以下、このような遊技球循環装置30について詳しく説明する。
図6は、遊技球循環装置30の要部を拡大して示す平面図であり、図7は、遊技球循環装置30の経路構成を示す一部透過平面図である。また図8は、図6および図7におけるA−A断面図である。
遊技球循環経路32の上流部に流入した遊技球は、第1の不正球排出装置41が設けられた第1の所定位置P1に向かって下降傾斜している経路をほぼ直線状に移動する。その遊技球が第1の所定位置P1を通過する際、その遊技球の直径が所定の下限値以上を有し、正規球の可能性がある遊技球であれば、不正球排出装置41によって遊技球の進行方向がほぼ直角に変えられる。これに対し、遊技球が第1の所定位置P1を通過する際、その遊技球の直径が所定の下限値未満の不正球であれば、不正球排出装置41によって遊技球の進行方向は変えられず、遊技球はそのまま直進する。つまり、この遊技球循環経路32では、第1の所定位置P1において遊技球が直進する経路が不正球を排出するための排出路43aとなっており、正規球が進行する遊技球循環経路32は第1の所定位置P1において鉤状に折れ曲がった経路となる。
第1の不正球排出装置41の不正球排出部41aには、図8に示すように排出駆動モーター41bによって回転駆動されるローラ41cが設けられている。ローラ41cは、ゴムなどの弾性部材によって所定の直径を有するように構成され、その先端部が遊技球循環経路32の上流側に向かって先細の円錐台状に形成されている。そのため、比較的大きなサイズの遊技球であっても、ローラ41cのほぼ中央位置までその遊技球を進入させることができる。このローラ41cは、遊技機2に電源が投入されることに伴い、排出駆動モーター41bによって定常的、且つ、一方向に回転駆動される。また、このローラ41cは、不正球を遊技球循環経路32から別の排出路43aへ案内して排出するための不正球案内手段として設けられるものである。
図9および図10は、第1の不正球排出装置41による不正球排出の動作概念を示す図であり、図9はローラ41cの動作を示す斜視図を、図10は図8におけるB−B断面図を示している。まずローラ41cは、図9に示すR方向に回転しており、経路底面と対向する外周面が遊技球循環経路32の鉤状に折れ曲がった方向に遊技球を払い出すように作用する。そのため、遊技球循環経路32の上流側から転動してくる遊技球B1がローラ41cの外周面に接触すると、その遊技球は鉤状に折れ曲がった遊技球循環経路32の下流側へと案内されるようになる。また、遊技球循環経路32の上流側から転動してくる遊技球B1がローラ41cの外周面に接触しない場合には、その遊技球は鉤状に折れ曲がった遊技球循環経路32の下流側へと案内されず、ローラ41cの下方をそのまま通過して直進する。
図10に示すように、ローラ41cは、その直径最大部分が経路底面から所定高さD1の位置でR方向に回転するように保持されている。この高さD1は、例えばD1=10.99mmに設定される。この場合、遊技球循環経路32の上流側から転動してくる遊技球の直径φがφ≧10.99mmである遊技球B3であれば、図10(a)に示すように、その遊技球B3はローラ41cの外周面に接触するため、ローラ41cの回転動作によって鉤状に折れ曲がった遊技球循環経路32の下流側に移動する。これに対し、遊技球循環経路32の上流側から転動してくる遊技球の直径φがφ<10.99mmである不正球B2であれば、図10(b)に示すように、その不正球B2はローラ41cの外周面に接触しないため、ローラ41cの回転による影響は受けず、ローラ41cの下方をそのまま通過して遊技球循環経路32から排出路43aへ排出される。
排出路43aに排出された不正球B2は、図8に示すように、そのまま排出路43aを進行し、排出路43aの後端部に設けられた検知センサ44によって検知された後、不正球貯留箱45に貯められる。尚、検知センサ44は、不正球貯留箱45に不正球が排出されたことを検知するセンサであり、例えば透過型又は反射型の光電センサなどで構成される。
一方、鉤状に折れ曲がった遊技球循環経路32の下流側に進入した遊技球B3は、さらに第2の不正球排出装置42が設けられた第2の所定位置P2に向かって下降傾斜している経路をほぼ直線状に移動する。その遊技球が第2の所定位置P2を通過する際、所定の上限値以上の直径を有する不正球である場合、或いは、磁性体球で構成された不正球である場合、不正球排出装置41によって不正球の進行方向がほぼ直角に変えられる。これに対し、遊技球が第2の所定位置P2を通過する際、その遊技球が正規球であれば、不正球排出装置41によって遊技球の進行方向は変えられず、正規球はそのまま直進する。つまり、この遊技球循環経路32では、第2の所定位置P2において遊技球が直進する経路が正規球を循環させるための遊技球循環経路32となっており、不正球が進行する排出路43bは第2の所定位置P2において鉤状に折れ曲がった経路となる。
第2の不正球排出装置42の不正球排出部42aには、図8に示すように排出駆動モーター42bによって回転駆動されるローラ42cが設けられている。このローラ42cは、上述したローラ41cと同様、ゴムなどの弾性部材を主要部材としており、その先端部が遊技球循環経路32の上流側に向かって先細の円錐台状に形成されている。そのため、比較的大きなサイズの遊技球であっても、ローラ42cのほぼ中央位置までその遊技球を進入させることができる。ただし、このローラ42cは、ローラ42cの表面に弾性のある磁石42dが巻き付けられている点で上述したローラ41cと異なる構成を有している。そしてローラ42cは、遊技機2に電源が投入されることに伴い、排出駆動モーター42bによって定常的、且つ、一方向に回転駆動される。そしてこのローラ42cは、上述したローラ41cと同様、不正球を遊技球循環経路32から別の排出路43aへ案内して排出するための不正球案内手段として設けられるものである。
図11および図12は、第2の不正球排出装置42による不正球排出の動作概念を示す図であり、図11はローラ42cの動作を示す斜視図を、図12は図8におけるC−C断面図を示している。まずローラ42cは、図11に示すR方向に回転しており、経路底面と対向する外周面が排出路43bの鉤状に折れ曲がった方向に遊技球を払い出すように作用する。そのため、遊技球循環経路32の上流側から転動してくる遊技球B3がローラ42cの外周面に接触すると、その遊技球は鉤状に折れ曲がった排出路43bの下流側へと案内されるようになる。
また、遊技球B3がローラ42cの外周面に接触する程大きくない場合であっても、その遊技球B3が磁性体球であれば、ローラ42cの表面に巻き付けられた磁石42dに付着し、ローラ42cと共に回転する。排出路43bの入口上部にはローラ42cの表面に付着した磁性体球を剥がすためのスクレーパ42eが配置されており、ローラ42cと共に回転する磁性体球は、そのスクレーパ42eによってローラ42cの表面から離脱し、排出路43bへと案内される。尚、スクレーパ42eは、ローラ42cの表面を削り取らないように、ローラ42cの表面から一定間隔を隔てた状態でローラ42cの表面に接触しないように設けておくことが好ましい。
さらに遊技球循環経路32の上流側から転動してくる遊技球B3が磁性体球でなく、しかもローラ42cの外周面にも接触しない場合には、その遊技球は鉤状に折れ曲がった排出路43bへと案内されず、ローラ42cの下方をそのまま通過して直進する。したがって、遊技球循環経路32のさらに下流側へと案内されることになる。
図12に示すように、ローラ42cは、その直径最大部分が経路底面から所定高さD2の位置でR方向に回転するように保持されている。この高さD2は、例えばD2=11.02mmに設定される。この場合、遊技球循環経路32の上流側から転動してくる遊技球B3の直径φがφ<11.02mmであり、且つ、非磁性体球である正規球B4であれば、図12(a)に示すように、その正規球B4はローラ42cの外周面に接触することがなく、しかも磁石42dにも付着しないため、ローラ42cの回転による影響は受けず、ローラ42cの下方をそのまま通過して直進し、遊技球循環経路32の下流側へと進行する。
これに対し、遊技球循環経路32の上流側から転動してくる遊技球B3の直径φがφ≧11.02mmである不正球B5であれば、図12(b)に示すように、その不正球B5はローラ42cの外周面に接触するため、ローラ42cの回転動作によって鉤状に折れ曲がった排出路43bへと移動する。このとき、不正球B5は、遊技球循環経路32から排出路43bへ排出されたことになる。
また、遊技球循環経路32の上流側から転動してくる遊技球B3の直径φがφ<11.02mmであっても、その遊技球B3が磁性体で形成された不正球B6である場合、図12(c)に示すように、その不正球B6はローラ42cの下方を通過する際にローラ42cの表面に巻き付けられた磁石42dに引き寄せられ、経路底面から浮き上がって磁石42dに付着する。遊技球B6は、磁石42dに付いた状態のままローラ42cと共に回転し、排出路43bの入口上方位置まで回転すると、スクレーパ42eによって磁石42dから剥ぎ取られ、排出路43bへ落下する。このとき、不正球B6は、遊技球循環経路32から排出路43bへ排出されたことになる。
排出路43bに排出された不正球B5,B6は、そのまま排出路43bを進行する。そして、その排出路43bの後端部に設けられる検知センサ44によって検知された後、不正球貯留箱45に貯められる。尚、排出路43bに設けられる検知センサ44は、図示を省略しているが、上述した排出路43aに設けられる検知センサ44と同様である。
したがって、上記例の場合、遊技球循環経路32に設けられる不正球排出装置41,42は、遊技球循環経路32を循環する遊技球の中から不正球を排出するときには、遊技球の規格に含まれる複数種類の項目のうち、数値による適正値が予め定められている遊技球の直径を一の指標として不正球を排出するように構成される。そして不正球排出装置41,42は、遊技球が所定位置P1,P2を通過する際に、その遊技球の直径に関する特性値(すなわち、実際の直径)が所定の上限値を超える遊技球と、所定の下限値に満たない遊技球とを、不正球としてそれぞれ遊技球循環経路32から排出するようになっている。加えて、上記例の場合には、不正球排出装置42において所定位置P2を通過する遊技球が磁性体で形成された不正球である場合にも、それを不正球として遊技球循環経路32から排出することができるようになっている。
また上記のような遊技球循環経路32では、不正球排出装置41,42によって正規球と不正球とに振り分けが行われる少なくとも1カ所において、正規球の進行する経路が鉤状に折れ曲がった経路となっており、不正球の進行する経路が直進する経路となっている。すなわち上記例の場合には、第1の不正球排出装置41によって振り分けが行われる所定位置P1がそのような経路として構築されている。そのため、仮に排出駆動モーター41bが何らかのトラブルで動作しなくなった場合でも、所定の直径に満たない小球が正規球の循環する経路に導かれてしまうことを防止することができる。また、この場合、ローラ41cの回転が停止するため、正規球又は正規球よりも直径の大きな大球が鉤状に折れ曲がる方向に案内されることはないため、正常な遊技球の循環が行われなくなる。それ故、不正球排出機能が正常に動作していないことを店員などが比較的早期に把握できるようになる。
そして不正球排出装置41,42を正常に通過した正規球は、その後、上述したリフト部34、送出部35および経路切替部36を経由して遊技球循環経路32を循環するようになる。このとき、経路切替部36によって第1経路37へ案内する案内する経路が設定されていると、遊技球循環経路32を循環する遊技球は、再び球供給部33へと導かれ、発射装置20によって遊技盤16の遊技領域15へ打ち出される。
次に上記のように構成される遊技機2の制御機構について説明する。図13は、遊技機2の制御機構の一例を示すブロック図である。この遊技機2は、主として、第1の制御機構60と、第2の制御機構70との2つの制御機構を備えている。第1の制御機構60は、例えば遊技盤16の背面側に取り付けられ、遊技領域15に打ち出された遊技球が各種入賞口へ入賞することによって遊技を進行させたり、各種演出の実行を制御する。また第2の制御機構70は、例えば遊技機2の装置本体6に取り付けられ、遊技者による指示操作に基づいて遊技球の発射動作の制御や、上述したような遊技球の循環動作の制御を行う。
第1の制御機構60は、複数の入賞検知センサ61と、主制御基板62と、演出制御基板63と、各種演出画像などを表示する画像表示器64とを備えている。複数の入賞検知センサ61は、遊技盤16の遊技盤16に設けられた各種入賞口に遊技球が入賞したことを検知するものである。
主制御基板62は、それら複数の入賞検知センサ61のそれぞれが遊技球の入賞を検知した場合に、第2の制御機構70に対して賞球コマンドを送出する。また、主制御基板62は、入賞検知センサ61によって特定の始動口への入賞が検知された場合、遊技者にとって有利な遊技状態へと移行させるか否かを決定するための特別図柄抽選を行い、その抽選結果に応じた演出を行わせるべく、演出制御基板63に対して各種のコマンドを出力する。尚、特別図柄抽選に当選した場合には演出制御基板63によってその抽選結果を表示するための演出が所定時間行われた後、主制御基板62は、大入賞口を開放する遊技を開始することによって遊技者にとって有利な遊技状態である特別遊技状態へと移行させる。
演出制御基板63は、主制御基板62から出力されるコマンドに基づいて各種の演出を実行する制御部である。この演出制御基板63は、画像表示器64における表示画像を制御するように構成される。また演出制御基板63は、図示を省略するスピーカーから画像表示器64に表示する画像と連動させた音響演出を出力するようにも構成される。例えば、主制御基板62において特別図柄抽選が行われた場合、演出制御基板63は、主制御基板62から入力するコマンドに基づいて特別図柄抽選の結果を表示するための図柄変動演出を所定時間行う。そして特別図柄抽選に当選している場合には、その図柄変動演出の後、特別遊技状態に対応した特別遊技演出を行う。この演出制御基板63には、操作部9に設けられる演出ボタン11が接続される。そのため、演出制御基板63は、遊技者が所定のタイミングで演出ボタン11を操作すると、それに応じた演出を行うことができるようになっている。
第2の制御機構70は、電源基板71と、払出制御基板72と、発射制御基板73と、循環制御基板74と、報知基板75とを備えている。電源基板71は、島設備からの電力供給を受けて各部に電源を供給するものである。この電源基板71は、遊技機2に対して電源が投入されると、第2の制御機構70に設けられた、払出制御基板72、発射制御基板73、循環制御基板74および報知基板75のそれぞれに対して電源を供給すると共に、遊技盤16に設けられた第1の制御機構60に対しても電源を供給する。
払出制御基板72は、発射制御基板73による遊技球の打ち出し可能な遊技球の数をデータとして管理する制御部である。この払出制御基板72は、貸出決済装置3とデータ通信を行い、遊技球の貸し出しを許可する信号を受信すると、その信号に基づいて打ち出し可能な遊技球の数を特定し、その特定した数の範囲内で、発射制御基板73による遊技球の打ち出し動作を許可する。そして発射制御基板73によって遊技球の打ち出し動作が1回行われる度に、払出制御基板72は、打ち出し可能な遊技球の数を1つずつ減算するように構成される。また、払出制御基板72は、主制御基板62から出力される賞球コマンドに基づき、打ち出し可能な遊技球の数を賞球数に応じて増加させるように構成される。
発射制御基板73は、ハンドルレバー10の操作角度に基づいて発射装置20を駆動することにより、遊技球の打ち出し動作を制御する。すなわち、ハンドルレバー10が遊技者によって操作されたことを検知すると、その操作角度に基づき、発射槌21を作動させる発射ソレノイド22を駆動することにより、遊技球の打ち出し動作を行うように制御する。この発射制御基板73は、払出制御基板72から遊技球の打ち出し許可があるときに、遊技球の打ち出し動作を行うように構成される。言い換えると、払出制御基板72から遊技球の打ち出し許可がないときには、遊技者によってハンドルレバー10が操作された場合であっても、遊技球の打ち出し動作は行わない。そして発射制御基板73は、遊技球を1球打ち出す度に、払出制御基板72に対して発射信号を出力する。
尚、球供給部33によって遊技球が供給されていない状態のときには、遊技球の打ち出し動作を行っても、空打ち状態となり、遊技球は発射されない。そのため、発射制御基板73は、空打ち状態のときには、発射信号を払出制御基板72に対して出力しないようになっている。
また、発射制御基板73は、遊技球の打ち出し動作を行うときには、循環制御基板74に対し、遊技者による遊技が行われている遊技状態であることを示す信号を出力する。これにより、循環制御基板74は、遊技者による遊技状態であるか否かを把握することができるようになる。
循環制御基板74は、上述した遊技球循環装置30を動作させるものである。この循環制御基板74は、リフト駆動モーター51、循環供給モーター54、排出駆動モーター41b,42b、および、経路切替ソレノイド56を駆動する。例えば、遊技機2に電源が投入されたときには、循環制御基板74は、リフト駆動モーター51、循環供給モーター54、および、排出駆動モーター41b,42bのそれぞれの駆動を開始することにより、遊技球の循環移動を開始する。このとき、循環制御基板74は、経路切替ソレノイド56を駆動することにより、遊技球循環経路32の下流側において循環する遊技球を第2経路38へ導くようにセットする。
例えば、遊技機2に電源が投入されると、遊技機2は、上述した各基板において各種パラメータを初期化したり、正常動作が可能であるであるか否かを確認したりするための初期動作を行う。その初期動作が正常に完了することにより、遊技機2は遊技者による遊技が可能な状態となる。循環制御基板74は、そのような初期動作が行われている間、第2経路38に遊技球を案内して内部循環を行うことにより、遊技球循環経路32に封入されている遊技球の中に不正球が混入していれば、遊技者による遊技が開始される前にその不正球を排出することができる。したがって、例えば遊技機2の電源がオフにされている状態のときに、前扉7が開放されて不正球が混入された場合であっても、その不正球が発射装置20によって遊技領域15へ打ち出される前に、遊技球循環経路32から排出することができる。
また循環制御基板74は、遊技機2の初期動作が終了した後、発射制御基板73から入力する信号に基づき、遊技者による遊技状態であることを検知すると、経路切替ソレノイド56を駆動することにより、遊技球循環経路32の下流側において循環する遊技球を第1経路37へ導くようにセットする。これにより、遊技システム1又は遊技機2の内部を循環する遊技球は、球供給部33へと導かれるようになり、発射装置20に対して遊技球が循環供給されるようになる。そして発射装置20は、遊技者によるハンドルレバー10の操作に基づいて遊技領域15へ遊技球を1球ずつ連続的に打ち出すことができるようになる。
また図13に示すように、循環制御基板74には、前扉7が開閉されたことを検知する扉開閉センサ59が接続されている。そのため、遊技機2に電源が投入されている状態で前扉7が開閉操作されると、循環制御基板74は、それに伴い前扉7の開放および閉鎖をリアルタイムで検知することができる。上述したように、前扉7が開放されると、不正球が混入される可能性がある。そのため、循環制御基板74は、前扉7の開閉操作が行われたときには、経路切替ソレノイド56を駆動して遊技球循環経路32の下流側において遊技球が循環する経路を第2経路38に切り替える。これにより、回収部31で回収された遊技球は、直ぐには発射装置20へ循環供給されなくなり、不正球排出装置41,42が設けられた遊技球循環経路32内を繰り返し循環移動するようになる。したがって、前扉7が開放されたときに不正球が混入された場合でも、その不正球が発射される前に確実に遊技球循環経路32から排出することができる。
ただし、前扉7が閉鎖され、遊技者による遊技が再開されたときには、発射装置20に対する遊技球の循環供給を速やかに再開させる必要がある。そのため、循環制御基板74は、前扉7が閉鎖され、遊技者による遊技状態であることを検知すると、経路切替ソレノイド56を駆動することにより、遊技球循環経路32の下流側において循環する遊技球を第1経路37へ導くように切り替える。これにより、遊技システム1又は遊技機2の内部を循環する遊技球は、球供給部33へと導かれるようになり、発射装置20に対して遊技球が循環供給されるようになる。そして発射装置20は、遊技者によるハンドルレバー10の操作に基づいて遊技領域15へ遊技球を連続的に打ち出すことができるようになる。
報知基板75は、不正球貯留箱45に排出される不正球を検知する検知センサ44と接続されている。この報知基板75は、検知センサ44によって不正球の排出が検知されることに伴って不正球の排出個数をカウントするカウンタ75aと、カウンタ75aによるカウント値が所定個数以上となった場合に店舗側の管理システム又は店員に対してそれを報知するための報知部75bとを備えている。例えば遊技球循環経路32に予め封入された正規球が不正球と交換された場合には、それら不正球が所定個数以上排出されると、遊技球循環経路32を内部循環する正規球の数が減少してしまい、発射装置20が適切な打ち出し間隔で遊技球を打ち出すことができなくなり、遊技者が円滑に遊技を行うことができなくなる。また不正球の排出個数が所定個数以上になると、不正球貯留箱45が満杯になってしまい、それ以上の不正球を貯留しておくことができなる可能性もある。そのため、報知基板75は、検知センサ44によって検知された不正球のカウント値が所定個数以上となった場合には、店舗や店員に報知することにより、不正球貯留箱45に貯留された不正球を回収し、必要に応じて正規球を補充することを促す。尚、不正球のカウント値は、遊技機2への電源が遮断された場合でも報知基板75においてその値を保持しておくことができるようにすることが好ましい。
尚、本実施形態では、図1に示すように貸出決済装置3の下部に、不正球貯留箱45を取り出すための扉5が配置されており、店員がこの扉5を開放して不正球貯留箱45を取り出すことにより、遊技球循環経路32から排出された不正球を回収することができようになっている。また扉5は、遊技者が開放できないように施錠されたものであることが好ましい。
次に循環制御基板74および報知基板75による具体的な動作について説明する。まず図14は、循環制御基板74によって行われる処理手順の一例を示すフローチャートである。循環制御基板74は、遊技機2に対して電源が投入されると、遊技球循環経路32の下流側における経路を第2経路38に設定し(ステップS10)、各種モーター51,54,41b,42bを駆動することにより、遊技球の循環移動を開始する(ステップS11)。これにより、内部循環する遊技球は、不正球排出装置41,42を繰り返し通過するようになり、遊技者による遊技が開始される前に確実に不正球を排出することができるようになる。
そして循環制御基板74は、遊技機2の初期動作が終了したか否かを判断し(ステップS12)、初期動作が終了すると(ステップS12でYes)、遊技者による遊技状態となったか否かを判断する(ステップS13)。遊技者による遊技状態になると(ステップS13でYes)、循環制御基板74は、遊技球循環経路32の下流側における経路を第1経路37に切り替え(ステップS14)、発射装置20に対して遊技球が供給されるように設定する。
その後、循環制御基板74は、前扉7が開放されたことを検知すると(ステップS15)、経路切替ソレノイド56を駆動し、遊技球循環経路32の下流側における経路を第2経路38に切り替える(ステップS16)。これにより、前扉7が開放された状態では内部循環する遊技球が不正球排出装置41,42を繰り返し通過するようになり、遊技者による遊技が再開される前に確実に不正球を排出することができるようになる。そして前扉7が閉鎖され(ステップS17でYes)、再び遊技者による遊技状態になると(ステップS18でYes)、循環制御基板74は、遊技球循環経路32の下流側における経路を再び第1経路37に切り替え(ステップS19)、発射装置20に対して遊技球が供給されるように設定する。その後の処理は、ステップS15へと戻り、前扉7が開放される度に、循環経路の切り替えが行われる。
循環制御基板74によって上記のような処理が行われることにより、遊技球循環経路32を循環する遊技球の中に不正球が混入している可能性があるときには、不正球排出装置41,42が設けられている位置を遊技球が繰り返し循環するようになる。そのため、遊技球循環経路32を循環する遊技球の中に不正球が混入していれば、その不正球を確実に遊技球循環経路32から排出することができるようになる。遊技者による遊技状態となれば、速やかに第1経路37に切り替えて発射装置20へ遊技球を導くため、遊技者による遊技を優先させつつ、不正球を排出することができるようになっている。
次に図15は、報知基板75によって行われる処理手順の一例を示すフローチャートである。報知基板75は、遊技機2に対して電源が投入されると、図示を省略する不揮発性メモリから、それ以前のカウント値Nを読み出す(ステップS20)。このカウント値Nは、検知センサ44によって不正球の排出が検知された回数の累計値であり、前回の電源遮断時に不揮発性メモリに格納された値である。尚、このカウント値Nは、例えば不正球貯留箱45が取り出された場合など、店員による所定の操作によってリセットされるようになっている。
報知基板75は、カウント値Nを読み出すと、そのカウント値Nが所定値M以上であるか否かを判断する(ステップS21)。この所定値Mは、1以上の任意の整数として予め定められている。そしてN≧Mである場合(ステップS21でYes)、報知基板75は、報知処理を実行する(ステップS22)。この報知処理では、店舗側の管理システムに対して不正球を所定個数以上排出したことを示す信号を出力する処理や、遊技機2においてアラームを発生させる処理などが行われる。尚、カウント値Nが所定値Mに満たない場合(ステップS21でNo)、報知処理は行われることなく、スキップする。
また報知基板75は、検知センサ44によって不正球が検知されたか否かを判断し(ステップS23)、不正球が検知されると(ステップS23でYes)、カウント値Nを1インクリメントする。これに対し、不正球が検知されていなければ(ステップS23でNo)、ステップS24の処理は行われず、カウント値Nは加算されない。
また電源が遮断されるとき(ステップS25でYes)、報知基板75は、実際に電源が遮断されてしまうまでの僅かな時間を利用して現在のカウント値Nを不揮発性メモリへ格納する(ステップS26)。尚、電源が遮断されないときには、ステップS21へ戻って上述した処理を繰り返す。
報知基板75によって上記のような処理が行われることにより、遊技球循環経路32から排出された不正球が所定個数以上となると、店舗や店員に対してそれが報知されるようになる。その結果、店員は、報知基板75による報知が行われると、直ぐに、不正球貯留箱45から不正球を回収したり、正規球を補充したりするなど、適切な処置を行うことができるようになる。
以上のように、本実施形態の遊技システム1は、所定個数の遊技球を循環させて繰り返し遊技領域に打ち出すことにより遊技を行うように構成される。この遊技システム1は、遊技機2単体で構成されるものであっても良いし、上述したように遊技機2と貸出決済装置3との組み合わせで構成されるものであっても良い。そしてこの遊技システム1は、回収部31で回収した遊技球を発射装置20に循環供給する遊技球循環経路32を備えると共に、遊技球が遊技球循環経路32の所定位置を通過する際に、不正球を遊技球循環経路32から排出する不正球排出装置41,42を備えている。特に、本実施形態における不正球排出装置41,42は、規格で定められた遊技球の直径を一の指標として不正球を排出するように構成されている。つまり、不正球排出装置41,42は、所定位置を通過する遊技球の直径(特性値)が、所定の上限値を超える遊技球と、所定の下限値に満たない遊技球とを不正球として遊技球循環経路32から排出するように構成されている。したがって、上述した遊技システム1においては、規格によって定められた直径よりも小さい小球による不正行為と、直径が大きい大球による不正行為との双方を有効に防止することができるようになる。
また本実施形態の遊技システム1は、遊技球の直径を指標として不正球を排出することに加え、さらに所定位置を通過する遊技球が磁性体球と非磁性体球とのいずれであるかを更なる指標として不正球を排出する。つまり、不正球排出装置42は、所定位置を通過する遊技球が磁性体球である場合、その磁性体球を不正球として遊技球循環経路32から排出するように構成されている。したがって、上述した遊技システム1においては、小球や大球による不正行為を未然に防止することができるだけでなく、いわゆる「磁石ゴト」と呼ばれるような、磁石を用いて不正入賞を発生させる不正行為をも未然に防止することができるという利点もある。
このように本実施形態の遊技システム1は、所定個数の遊技球を内部循環させて同じ遊技領域15に対して繰り返し打ち出す構成であるため、上記のような不正球が1球でも混入されてしまうことによって発生する店舗側の被害を最小限に抑えることができるものとなっている。特に、遊技球循環経路32には、小球や大球、磁性体球など様々な不正球が混入される可能性があることから、それら種類の異なる不正球をすべて遊技球循環経路32から排出することができるという優れた効果を発揮するものである。
また本実施形態の遊技システム1では、遊技球が遊技球循環経路32の所定位置を通過する際、不正球排出装置41,42がその遊技球を一旦停止させることなく、不正球だけを遊技球循環経路32から排出することができると共に、正規球を遊技球循環経路32の下流側へ導くことができるようになっている。つまり、本実施形態の不正球排出装置41,42は、上流側から流れてくる遊技球を瞬時に不正球と正規球とに振り分けるため、遊技球循環経路32を循環移動する遊技球の循環効率を低下させることがない。したがって、不正球排出装置41,42の上流側に検査待ちの遊技球が行列を作って滞留してしまうようなことが生じない構成となっている。
加えて、本実施形態の遊技システム1では、遊技球循環経路32を循環する遊技球は不正球排出装置41,42によって検査される所定位置を必ず通過する。それ故、不正球排出装置41,42による検査を受けていない遊技球が遊技球循環経路32の下流側に導かれてしまうことがなく、発射装置20によって不正球が打ち出されてしまうことを良好に防止し得るものである。
さらに本実施形態の遊技システム1では、不正球排出装置41,42によって不正球が遊技球循環経路32から排出されてしまうため、遊技者による遊技を継続させることも可能である。それ故、遊技者にとっても遊技を続行することができるという点で好ましいものとなっている。
また本実施形態の遊技システム1は、不正球を検知するためのセンサなどを必要としないため、センサの誤動作などによる不具合は生じないという点でも好ましい。
(第2の実施の形態)
次に第2の実施の形態について説明する。上述した第1の実施の形態では、遊技球循環経路32の2箇所に不正球排出装置41,42が設けることにより、センサを用いることなく、不正球を排出する構成例について説明した。これに対し、本実施形態では、不正球を検知するセンサを用いることにより、遊技球循環経路32の1箇所に不正球排出装置48を設けた構成例について説明する。尚、本実施形態においても、遊技システム1の全体構成などは第1の実施の形態で説明したものと同様である。
図16は、第2の実施の形態における遊技球循環装置30の要部を拡大して示す平面図である。遊技球循環経路32の上流部に流入した遊技球は、不正球排出装置48が設けられた所定位置P3に向かって下降傾斜している経路をほぼ直線状に移動する。この遊技球循環経路32において、不正球排出装置48の上流側近傍位置には、遊技球が通過する際に遊技球の直径を測定する直径検出センサ46と、遊技球が通過する際に磁性体球を検知する磁気検知センサ47とが設けられている。尚、直径検出センサ46は、例えば遊技球循環経路32を横断する方向に複数のLEDが直線状に配置されたアレイ光源と、そのアレイ光源と並行に配置されたアレイ受光部と有するラインセンサなどによって構成され、遊技球通過時の反射光又は透過光を検知することによって遊技球の直径を測定する。
したがって、不正球排出装置48が設けられた所定位置P3に向かって転動する遊技球は、直径検出センサ46を通過する際にその直径が測定されると共に、磁気検知センサ47を通過する際に磁性体球であればそれが検知される。そして不正球排出装置48は、それらセンサ46,47によって不正球であることが検知されると動作し、遊技球循環経路32から不正球を排出路43へ排出するように構成される。尚、本実施形態においても、不正球排出装置48は、不正球を排出路43に排出するための動作機構を備えた不正球排出部48aと、不正球排出部48aに設けられる動作機構を駆動するための排出駆動モーター48bとを備えている。
図17および図18は、不正球排出装置48による不正球排出の動作概念を示す図であり、図17はその斜視図を、図18はその断面図を示している。まず、不正球排出装置48の不正球排出部48aには、図17および図18に示すように排出駆動モーター48bによって例えば180度ずつ間欠的に回転駆動される扁平ローラ48cが設けられている。扁平ローラ48cは、ゴムなどの弾性部材によって構成され、その断面が例えば図18(a)に示すように扁平した楕円状となっている。この扁平ローラ48cは、直径検出センサ46および磁気検知センサ47によって検出される不正球を遊技球循環経路32から別の排出路43へ案内して排出するための不正球案内手段として設けられるものである。
また本実施形態では、遊技球循環経路32を循環する遊技球が正規球であれば、不正球排出装置48が配置された所定位置P3を直進して遊技球循環経路32の下流側へと案内される。また遊技球循環経路32を循環する遊技球が不正球であれば、不正球排出装置48が配置された所定位置P3において遊技球循環経路32から鉤状に折れ曲がった方向に形成された排出路43へと案内される。
扁平ローラ48cは、通常、図17および図18(a)に示すように所定角度傾いた姿勢で排出駆動モーター48bによって保持されている。そして遊技球が直径検出センサ46を通過する際に測定された直径が上限値と下限値との間の適正値であり、且つ、磁気検知センサ47を通過する際に磁性体球として検知されなかった場合には、排出駆動モーター48bは駆動されず、扁平ローラ48cは所定角度傾いた姿勢のままで保持される。したがって、直径が適正値であり、且つ非磁性体球である正規球B7は、図17および図18(a)に示す如く、扁平ローラ48cの下方をそのまま直進して通過し、遊技球循環経路32の下流側へと導かれる。
これに対し、遊技球が直径検出センサ46を通過する際に測定された直径が所定の上限値を越えている場合、又は、所定の下限値に満たない場合には不正球B8となる。また遊技球が磁気検知センサ47を通過する際に磁性体球として検知された場合にも不正球B8となる。その場合、不正球排出装置48は、その不正球B8が扁平ローラ48cの下方を通過する際に排出駆動モーター48bを駆動し、扁平ローラ48cを図17および図18(b)に示すR方向へ180度回転させる。このとき、扁平ローラ48cの長径部分が、そのタイミングで扁平ローラ48cの下方を通過している不正球B8を遊技球循環経路32の鉤状に折れ曲がった方向に払い出すように作用する。そのため、遊技球循環経路32の上流側から転動してくる遊技球が不正球B8であれば、不正球排出装置48が設けられた位置を通過する際に、排出路43へと排出され、遊技球循環経路32の下流側へは導かれないようになっている。このような排出動作では、第1の実施の形態と同様、不正球B8を一旦停止させることがないため、スムーズに不正球を遊技球循環経路32から排出することができる。
尚、図16乃至図18では、遊技球が不正球排出装置48を通過する際、正規球であればその正規球を直進方向へ案内し、不正球であれば遊技球循環経路32から鉤状に折れ曲がった方向にある排出路43へその不正球を案内する場合を例示した。しかし、この場合、例えば遊技機2の電源が遮断されている状態で前扉7が開放され、不正球が投入されてしまうと、その不正球は不正球排出装置48によって排出されず、遊技球循環経路32の下流側へ案内されてしまう可能性がある。そこで、これを防止するためには、上述したように、正規球を案内する遊技球循環経路32を鉤状に折れ曲がって分岐する経路とし、不正球を案内する排出路43を遊技球循環経路32から直進する方向に形成することがより好ましい。これにより、電源遮断時に遊技盤16から混入される遊技球をすべて不正球貯留箱45に排出することができるようになる。
以上のように本実施形態の遊技システム1は、遊技球循環経路32の所定位置を通過する遊技球の直径を検出する直径検出センサ46を備えており、不正球排出装置48がその直径検出センサ46の検出結果に基づき、不正球を遊技球循環経路32から別の経路に案内して排出するように構成されている。したがって、本実施形態では、直径が所定の上限値を越える不正球と、所定の下限値に満たない不正球との双方を1箇所で排出することができるため、遊技球循環経路32の構成を簡単にすることができるという利点がある。
また本実施形態の遊技システム1は、遊技球循環経路32を通過する遊技球が磁性体であるか否かを検知する磁気検知センサ47をさらに備えており、不正球排出装置48が、磁気検知センサ47によって検知される磁性体球を不正球として遊技球循環経路32から排出するように構成されている。したがって、本実施形態では、直径が所定の上限値を越える不正球と、所定の下限値に満たない不正球との双方を1箇所で排出することができるだけでなく、さらに磁性体球を不正球として同一箇所で排出できる。それ故、遊技球循環経路32の構成をより一層簡単にすることができるというものである。
尚、上記の点以外については、第1の実施の形態と同様である。そのため、第1の実施の形態で説明した作用効果は本実施形態においても共通するものである。
(第3の実施の形態)
次に第3の実施の形態について説明する。上述した第1および第2の実施の形態では、遊技球循環経路32において、不正球排出装置41,42,48が、リフト部34、送出部35および経路切替部36の上流側に位置する場合を例示した。ところが、不正球排出装置41,42,48が不正球を排出して発射装置20による不正球の打ち出しを防止するという観点からすれば、不正球排出装置41,42,48はなるべく発射装置20に対して遊技球を供給する直前の位置で不正球を排出することが好ましい。そこで本実施形態では、遊技球循環経路32において、経路切替部36を球供給部33に隣接する直前位置に設置し、不正球排出装置48をその経路切替部36の上流側近傍位置に設けた構成例について説明する。尚、本実施形態においても、遊技システム1の全体構成などは第1の実施の形態で説明したものと同様である。
図19は、本実施形態における遊技球循環装置30を拡大して示す斜視図である。また図20は、本実施形態における遊技球循環装置30の要部を拡大して示す平面図である。本実施形態の遊技球循環装置30は、第1および第2の実施の形態と同様に、回収部31で回収された遊技球を遊技球循環経路32に流入させ、遊技球循環経路32がその遊技球を内部循環させることによって最下流部に位置する球供給部33に再び遊技球を導くことができる構成である。
特に本実施形態の遊技球循環装置30では、図19および図20に示すように、遊技球循環経路32において第1経路37と第2経路38とに遊技球を振り分ける経路切替部36が、発射装置20と連動して発射装置20に1球ずつ遊技球を送り出す球供給部33に隣接した位置に設けられる。また本実施形態では、第2の実施の形態と同様の不正球排出装置48が経路切替部36の上流側近傍位置に設けられる。すなわち、不正球排出装置48は、遊技球循環経路32においてリフト部34および送出部35の下流側であって、経路切替部36の上流側の位置に設けられる。
尚、図19および図20では、第2の実施の形態と同様の不正球排出装置48が、遊技球循環経路32に設けられる場合を例示しているが、これに限られるものではなく、第1の実施の形態と同様の不正球排出装置41,42を上述した位置に設けても良い。
したがって、本実施形態では、回収部31で回収され、遊技球循環経路32の最上流部に流入した遊技球は、リフト部34に向かって下降傾斜している経路をほぼ直線状に移動する。その後、遊技球は、リフト部34に流入して揚送された後、送出部35によって下流側の経路(経路切替部36へと向かう経路)へと1球ずつ送り出される。送出部35によって送り出された遊技球は、経路切替部36へ流入する前に、不正球排出装置48が設けられた所定位置P3を通過する。そのため、不正球排出装置48が設けられた所定位置P3に向かって転動する遊技球は、直径検出センサ46を通過する際にその直径が測定されると共に、磁気検知センサ47を通過する際に磁性体球であればそれが検知される。
不正球排出装置48は、それらセンサ46,47によって不正球であることが検知されると動作し、遊技球循環経路32から不正球を排出路43へ排出する。そして排出路43へ排出された不正球は、不正球貯留箱45に貯められる。これに対し、各センサ46,47によって不正球であることが検知されなかった場合は、正規球であるため、不正球排出装置48が作動しない。この場合、正規球は遊技球循環経路32を直進し、下流側の経路切替部36へと導かれる。
経路切替部36は、第1の実施の形態と同様に、遊技球の循環経路を第1経路37と第2経路38とのいずれか一方に切り替える。そのため、遊技者による遊技状態であることが検知され、経路切替部36が分岐部Paにおいて第1経路37に循環経路を切り替えた場合、遊技球は第1経路37に流入して球供給部33へと導かれる。そして本実施形態では、分岐部Paから球供給部33へ流入するまでの第1経路37の経路長が極めて短くなるように構成されているため、この第1経路37に対して不正球が混入されることを良好に防止することができるようになっている。尚、第1経路37の経路長は、遊技球1個分程度(約11mm)以下の長さに設定することが好ましい。
一方、第2経路38は、経路切替部36の分岐部Paからリフト部34の流入口近傍位置Pbへ遊技球を環流させる経路となっている。そのため、遊技者がハンドルレバー10を操作していない非遊技状態のときには、球供給部33の直前位置で遊技球の循環経路が第2経路37に切り替えられ、遊技球は発射装置20へと導かれることなく、第2経路38を経由して不正球排出装置48が設けられた所定位置P3を繰り返し循環するようになる。
以上のように本実施形態の遊技システム1では、第1経路37と第2経路38に分岐する分岐部Paが球供給部33の直前位置に設けられており、その分岐部Paの上流側近傍位置に不正球排出装置48が設けられている。そのため、遊技機2への電源投入直後、或いは、前扉7の開閉操作が行われた直後において、遊技球を第2経路38に導いて内部循環させることにより、ほぼ全ての遊技球を再び不正球排出装置48に循環させることができるようになる。それ故、本実施形態では、第1および第2の実施の形態よりも確実に不正球を排出することができるようになる。
さらに本実施形態では、遊技機2に電源が投入された状態において遊技者による遊技状態になった場合、経路切替部36が第2経路38から第1経路37へと経路切り替えを行うことにより、遊技球が直ちに球供給部33へと導かれて発射装置20による打ち出しが可能な状態となる。そのため、遊技者がハンドルレバー10を操作してから遊技球が実際に遊技領域15へ打ち出されるまでの時間が短くなるという利点もある。
尚、上記の点以外については、第1又は第2の実施の形態で説明したものと同様である。そのため、第1又は第2の実施の形態で説明した作用効果は本実施形態においても共通するものである。
(変形例)
以上、本発明に関する一実施形態について説明したが、本発明は上述した内容に限られるものではなく、種々の変形例が適用可能である。
例えば上記実施形態では、遊技球の直径を一の指標とし、遊技球循環経路32を循環する遊技球の直径が所定の上限値を超えるもの、および、所定の下限値に満たないものを不正球として排出する場合を例示した。しかし、本発明において、上限値および下限値によって定められる数値範囲に基づいて不正球を排出するための一の指標とするものは、必ずしも遊技球の直径に限られない。例えば、遊技球の重量を一の指標として不正球を排出するものであっても構わない。ただし、遊技球の重量を指標として、遊技球の特性値(重量)が所定の上限値を超えるもの、および所定の下限値に満たないものを不正球として排出するためには、遊技球循環経路32を循環する遊技球の重量を正確に測定することが必要となる。それ故、遊技球の重量を一の指標として不正球を排出するように構成する場合には、遊技球循環経路32に対して別の重量測定センサなどを配置した重量測定部を設けることが好ましい。
また上記実施形態においては、一例として、正規球がオーステナイト系のステンレス鋼によって磁性を持たない非磁性球として構成される場合を例示した。しかし、これに限られるものではなく、遊技盤16に設けられる入賞検知センサ61が例えば磁性体を検知する近接センサなどである場合には、正規球として磁性体球が用いられるものであっても構わない。この場合には、店舗側の不正行為によって各種入賞口に入賞しても検知されない非磁性体球が混入される可能性がある。そのため、磁性体球が正規球として用いられる場合には、非磁性体球を不正球として遊技球循環経路32から排出することが好ましい。したがって、上記実施形態では、磁性体球を不正球として排出する場合を例示したが、それに限られるものではなく、非磁性体球を不正球として排出するものであっても構わない。尚、非磁性体球を不正球として排出する場合には、例えば上記第2の実施の形態で説明したように磁気検知センサ47を設け、磁気検知センサ47を通過した遊技球が非磁性体球であれば、遊技球循環経路32から排出路43へ排出するように構成すれば良い。
また上記実施形態では、ローラ41c,42cや扁平ローラ48cが回転することによって不正球を遊技球循環経路32から排出する構成例について説明した。しかし、不正球を遊技球循環経路32から排出するための構成は、これに限られるものではなく、様々な変形例が適用可能である。例えば、上記実施形態において経路切替部36に設けられているような切替板57を不正球排出装置41,42,48に配置し、不正球が通過するときには排出路43に不正球を導き、正規球が通過するときには遊技球循環経路32の下流側へ正規球を導くようにしても良い。また、その他の構成を採用しても良い。ただし、不正球排出装置41,42,48の上流側において検査を待つ遊技球が多数行列状に貯留されてしまうことを防止するためには、上述したように不正球排出装置41,42,48は、所定位置を通過する遊技球を一旦停止させることなく、遊技球循環経路32の下流側又は排出路43のいずれかに振り分けることができる構成とすることが好ましい。
また上記実施形態では、遊技機2に対する電源投入後、又は前扉7が開閉された後、遊技者による遊技状態となるまでの間、第2経路38に遊技球を導くことにより、発射装置20へ遊技球を導かない循環経路で遊技球を繰り返し循環させる場合を例示した。しかし、そのような遊技球の循環は、例えば前扉7が開閉されていないときでも、遊技者による遊技が行われていない非遊技状態のときに行うようにしても良い。尚、遊技機2の電源投入時、或いは、前扉7の開閉時のタイミングは、遊技者が遊技を行うことができないタイミングであるため、そのようなタイミングも非遊技状態となる。
また第1および第2の実施の形態では、発射装置20へ遊技球を導くための第1経路37には不正球排出装置が設けられていない構成例を説明した。しかし、これに限らず、発射装置20へ遊技球を導くための第1経路37にも、上述したような不正球排出装置41,42,48を設けておくことが、より好ましい。尚、第3の実施の形態の場合には、第1経路37の経路長が極端に短いため、そのような第1経路37に対して不正球排出装置を設ける必要は特にない。
また上記各実施形態においては、遊技機2の電源が遮断されるときの電源断を検知したときには、実際に電源が遮断されてしまうまでの僅かな動作可能時間を利用して経路切替部36を動作させ、遊技球を案内する経路を第1経路37から第2経路38に切り替えておくことが好ましい。これにより、遊技機2の電源が遮断された後に不正球が混入された場合であっても、その不正球が球供給部33の直前位置へ導かれてしまうことを防止することができるようになる。
さらに上記実施形態では、遊技球循環経路32の下流側の経路が第1経路37と第2経路38とに分岐している場合を例示した。しかし、第2経路38は特に必須のものではなく、遊技球循環経路32の下流側での経路が分岐していないものであっても構わない。この場合、回収部31で回収された遊技球は不正球排出装置41,42,48が設けられた位置を1回だけ通過して発射装置20へと導かれるようになる。そのような構成においては、発射装置20の直前の位置で不正球が混入されてしまった場合でもそれを適切に排出することができるように、発射装置20へ遊技球が供給される直前の位置(例えば、球供給部33の上流側で球供給部33に隣接する位置)に、上述した不正球排出装置41,42,48を配置することが好ましい。