(パチンコ機の構成)
図1に示される如く、遊技機としてのパチンコ機10の前面下部には、化粧パネルとなる下飾り12が取り付けられている。
また、パチンコ機10の前面上部には、ガラス板14を装着したガラス枠16が配置されており、ガラス枠16は左側端部が回転可能に支持されて開閉可能に取り付けられている。このガラス枠16の奥側には、着脱交換可能な遊技盤18がセットされており、遊技盤18の前面は、ガラス枠16が閉止された状態でガラス板14の裏面と、所定の空間をもって対峙するようになっている。
ガラス枠16の上部角部には、スピーカ60L、60Rが内蔵され、また、ガラス枠16の図1の左下部角部には、低音用のスピーカ60Bが内蔵されている。以下、総称する場合、スピーカ60という場合がある。スピーカ60は、例えば、照明による演出と同期して音(音楽、音声、効果音等)を出力する。
また、ガラス枠16における図1の左右の側部、並びに上部には、電飾装置51、52が取り付けられている。電飾装置51、52は、図示しないベース部に対して、立体的に突出したレンズカバーが取り付けられた構造となっている。
電飾装置51、52のベース部には、電気配線基板が設けられ、当該電気配線基板には、光源(図3に示す光源137の一部)が取り付けられている。光源137としては、独立して光量調整可能な3原色光源チップがセットになったLED光源が適用可能である。
レンズカバーに閉塞された空間内で光源137が点灯すると、レンズカバーによる光の屈折等により、遊技者に対して光の演出が実行されるようになっている。
ガラス枠16の下部には、皿ユニット24が配置されている。皿ユニット24の図1の右端部には、鍵穴27が設けられている。
皿ユニット24には、上皿部28が設けられている。上皿部28には、球抜きボタン36Aが設けられ、この球抜きボタン36Aを操作することで、上皿部28に貯留された遊技球を下皿部29へ案内することができるようになっている。また、上皿部28の図1の右端部には、球貸ボタン42と、返却ボタン44が設けられている。
下皿部29には、球抜きボタン36Bが設けられ、この球抜きボタン36Bを操作することで、下皿部29に貯留された遊技球を外部(例えば、所謂「ドル箱」)へ排出することができるようになっている。
皿ユニット24の図1の右側下部には打球の発射力(飛距離)を調整するためのグリップユニット(「発射ハンドル」という場合がある)26が取り付けられている。
また、皿ユニット24における上皿部28には、遊技者が押圧操作又は回転操作可能な操作部50が設けられている。この操作部50は、遊技中において、操作有効期間中に操作することで、演出画像に対して介入することができるようになっており、それぞれの遊技仕様によって設定される。
(遊技盤の構成)
図2に、本実施の形態に適用可能な遊技盤18の構成を示す。なお、本発明は、所謂一種遊技仕様と二種遊技仕様とが混在した遊技仕様を持つ遊技盤であれば、図2に示す遊技盤18の構成に限定されるものではない。
図2に示される遊技盤18は、基板となる透明アクリル板の表面が盤面となっており、盤面の外周端部付近に、円弧状の外レール102及び内レール104が取り付けられている。透明アクリル板には、適宜樹脂製シート状のセルが貼り付けられており、また、セルの貼り付けが無い領域は、透明アクリル板の裏面側に配置された表示部106(後述)の画像が透過されることになる。
なお、透明アクリル板に代えて、セルが貼り付けられたベニヤ板等が用いられる場合もある。
外レール102及び内レール104によって囲まれた略円形状の領域は、遊技領域である。遊技領域では、グリップユニット26の操作量に応じて動作する発射装置165(図3参照)から発射されて打ち込まれた遊技球PBが、その勢い(移動エネルギー)と自重(重力)とにより移動可能とされる。
遊技盤18の遊技領域には、釘(図示省略)が点在して打ち込まれ、かつ風車(図示省略)が取り付けられている。また、遊技領域におけるほぼ中央には、センター役物105が配置されている。センター役物105は、遊技仕様によって様々な可動部材や装飾部材が取り付けられている。例えば、本実施の形態のセンター役物105では、機械的に動作する可動役物装置105A、105B、105Cと、各種演出等の映像を表示する表示部106を備えている。
可動役物装置105A、105B、105Cは、詳細な説明を省略するが、後述する特別図柄抽選の結果に基づいて、遊技者に当選の期待感を持たせるための動作として、表示部106の前面にせり出したり、表示部106の表示面を広狭したり等の動作演出が実行されるようになっている。
また、センター役物105は、図示は省略したが、流入する遊技球PBを2以上の岐路に振り分ける振分構造を備えると共に、後述する「小当り」による大役処理の権利を取得するために、通過する必要がある特定領域を備えている。
ここで、後述する上部アタッカー112Bが開放中に流入した遊技球PBは、当該遊技球PBの動向と振分構造による振り分けとによって、予め定めた確率で、特定領域を通過するように設計されている。なお、便宜上「特定領域を通過」としているが、特定領域としてV入賞口を設け、通過を入賞に置き換えてもよい。
また、表示部106は、電気的表示としては、LCD表示、LED表示が適用可能であり、機械的表示としては、回胴リール等が適用可能であるが、特に表示形態に限定されるものではない。
表示部106では、例えば、特別図柄抽選の結果を報知するための図柄変動表示演出が実行される。一例としては、3列の図柄列を個別に変動させ、その内の2列の図柄列が変動を停止したときの図柄が同一図柄となった場合を「リーチ」として遊技者に期待感を持たせる演出を実行し、最終列が図柄の変動を停止させ、その停止図柄が既に停止している2列の図柄と相関のある図柄(例えば、同一図柄や規則性のある配列図柄等)となった場合は当選(「直当り」及び「小当り」)、相関のない図柄(例えば、異なる図柄や規則性のない配列図柄等)となった場合は落選(「外れ」)を報知する。
また、表示部106において、図柄変動表示演出と共に、人や擬人化された動物等のキャラクタ画像を表示し、所謂ガセを含み、特別図柄抽選に当選した旨を暗示させることにより、遊技者に期待感を持たせるといった、視覚的な演出をすることもあり、その場合は、スピーカ60による効果音によって聴覚からも遊技者の興趣を増大させる。
センター役物105の下辺部には、ステージ105Sが形成されている。ステージ105Sには、釘等で跳ね返ることで受け入れた遊技球PB、或いはワープ路105Wに案内されて受け入れた遊技球PBが送り込まれるようになっている。
ステージ105Sは、傾斜面や突起部等が形成され、前記遊技球PBの移動が当該傾斜面や突起部等により不規則に変化し、最終的に下辺手前から遊技盤18へ戻されるようになっている。
図2に示される如く、センター役物105の左側は、通常遊技における流路が形成され、通過ゲート118が設けられている。
また、センター役物105の下部には、特別図柄始動入賞口130Aが配置されている。特別図柄始動入賞口130Aは常時入賞可能に上部が開口している。
なお、特別図柄始動入賞口130Aは、前記通常遊技における流路(センター役物105の左側流路)から到達する遊技球PBであっても、特に特別遊技における流路(センター役物105の右側流路)から到達する遊技球PBであっても、入賞が可能となる位置に設けられている。
また、通過ゲート118の下方には、舌型電チュー136を備えた特別図柄始動入賞口130Bが取り付けられている。舌型電チュー136は、遊技盤18の裏面側に配設された電チューソレノイド138(図3参照)の通電・非通電によって開閉する構成となっている。
舌型電チュー136は、前記普通図柄抽選に当選したときに開放するようになっている。舌型電チュー136が開放状態になると、特別図柄始動入賞口130Bの入賞確率が高まり、多くの遊技球PBの入賞が可能となる。
特別図柄始動入賞口130A、130Bに遊技球PBが入賞すると特別図柄抽選の権利を得ることになるが、本実施の形態では、1個の特別図柄始動入賞口(130A又は130B)に対して最大4個の保留(抽選を伴う有効始動入賞数の記憶)が可能となっている。なお、この保留数は限定されるものではない。
保留数は、主として特別図柄表示部を備えた遊技進行を報知するガイドランプユニット109(図2に示すセンター役物105を正面視したときの右下に配置)の一部である特別図柄表示部によって報知される。なお、保留数に関する情報は、ガイドランプユニット109への表示に加え、表示部106又は遊技盤18に設けた保留演出ランプ等に表示される場合もある。この表示部106又は保留演出ランプでの保留に関する情報では、例えば、特別図柄抽選の結果の先読み予告等を行って、点灯の状態(色、形状、点滅等)を変更する場合がある。
また、遊技盤18の遊技領域の最下位置には、外れ球を遊技盤18の裏側へ排出するアウト口124が設けられている。
本実施の形態では、特別図柄始動入賞口130Aの下部には、特別図柄抽選の大役処理時に開放するセンターアタッカー112Aが配置されている。
大役処理とは、明らかに遊技者に有利な遊技の状態であり、「特別遊技」という場合もあり、通常遊技の状態と区別される。
また、センター役物105の左上部には、上部アタッカー112Bが配置されている。
ここで、センターアタッカー112Aは、「直当り」が確定したとき、並びに上部アタッカー112Bは、「小当り」が確定したとき、それぞれ大入賞口として機能する。
センターアタッカー112Aは、アタッカーソレノイド148A(図3参照)の通電・非通電によって開閉扉が開閉する。開閉扉の開放時に、遊技球PBがセンターアタッカー112Aへ入賞することが可能となる。
上部アタッカー112Bは、アタッカーソレノイド148B(図3参照)の通電・非通電によって開閉扉が開閉する。開閉扉の開放時に、遊技球PBが上部アタッカー112Bへ入賞することが可能となる。
遊技盤18には、センター役物105よりも下、かつ始動入賞口役物130Aの左側(遊技盤18の左下)に、複数の一般入賞口120(本実施の形態では、2個の一般入賞口120A、120Bとする。)が設けられている。一般入賞口120は、2個に限られるものではなく、例えば、基本的なベースや入賞率等の設計上の演算によってその数を決めればよい。
なお、ベース値とは、発射球数に対する賞球払出数の割合であり、例えば、100球の遊技球PBが発射されて20球の賞球払出があるときをベース「20」といい、100球の賞球払出があるときをベース「100」という。
また、各ベース値を「約」としたのは、当該数値が理論上の数値であり、実際の遊技において、理論上の数値に対して誤差が生じるためである。長い遊技期間の平均値においては、それぞれで設定したベース値に収束する。
(制御系の構成)
本実施の形態に係るパチンコ機10の制御系は、図3に示されるように、主制御部150を中心として構成されており、この主制御部150には、演出制御部152と払出制御部154とが接続されている。主制御部150には、遊技に関する基本的なプログラムが記憶されており、この主制御部150からの命令信号に基づいて、各部の動作が制御されるようになっている。
主制御部150は、盤用外部端子190を備えており、中継基板193を介してホールに設置されたホールコンピュータ195へ遊技の進行状態を示す遊技情報(図柄確定回数信号、始動入賞信号、大役処理信号、時短信号等)が送信される。
主制御部150には、入力系として、通過ゲート118を通過する遊技球PBを検出する通過ゲートセンサ118S、特別図柄始動入賞口130Aへの入賞球を検出する特図A始動入賞口センサ130AS、特別図柄始動入賞口130Bへの入賞球を検出する特図B始動入賞口センサ130BSが接続されている。
また、主制御部150には、入力系として、本実施の形態において、「直当り」又は「小当り」後の当り確定で実行される大役処理の際に開放するセンターアタッカー112Aへの入賞球を検出するアタッカーAセンサ112AS、本実施の形態において、「小当り」の際に開放する上部アタッカー112Bへの入賞球を検出するアタッカーBセンサ112BS、並びに一般入賞口120A、120Bへの入賞球を検出する一般入賞センサ120AS、120BSが接続されている。
さらに、主制御部150の入力系として、センター役物105の内部に設けられた特定領域を通過する遊技球PBを検出する通過センサ122S及び通過せずに排出する遊技球PBを検出する排出センサ124Sが接続されている。
一方、主制御部150には、出力系として、遊技情報や遊技状態をランプの点灯状態で報知するガイドランプユニット109、舌型電チュー136を開閉する電チューソレノイド138、センターアタッカー112Aの開閉扉を開閉するためのアタッカーソレノイド148A、上部アタッカー112Bの開閉扉を開閉するためのアタッカーソレノイド148Bが接続されている。
演出制御部152には、入力系として、前記操作部50が接続されている。また、演出制御部152には、出力系として、パチンコ機10の各種遊技部品に設けられた照明演出用の光源137、スピーカ60L、60R、60B、センター役物105内での可動役物装置105A〜105Cを動作させるセンター役物駆動系111が接続されている。
さらに、演出制御部152には、図柄制御部156を介して表示部106が接続されている。
払出制御部154には、払出装置160及び発射制御部164が接続され、発射制御部164には発射装置165が接続されている。この払出制御部154は、パチンコ機10内に設けられた払出装置160を作動させて、賞球又は貸し球の払い出し及び停止動作と払出数を制御する。また、発射制御部164は、遊技者によるグリップユニット26(図1参照)の操作により発射装置165を作動させて、遊技球PBの発射開始、及び、グリップユニット26の操作量に応じた発射強度を制御する。
さらに、払出制御部154は、枠用外部端子191を備えており、中継基板193を介して払出情報をホールコンピュータ195へ送信するようになっている。
なお、前述した盤用外部端子190と枠用外部端子191とは共通の基板を用いてもよい。また、中継基板193と一体化してもよい。
(遊技仕様の一例)
ここで、本実施の形態にパチンコ機10における遊技仕様の一例を示す。
本実施の形態では、遊技状態に関わらず、常に、所謂「左打ち」であり、遊技者は、グリップユニット26を回転操作して、センター役物105に対して左側を狙って打つ発射強度に調整する。
特別図柄始動入賞口130Aに遊技球PBが入賞すると、特別図柄抽選が実行される。
特別図柄抽選の結果には、「直当り」、「小当り」及び「外れ」が設定されている。一例として、特別図柄抽選による「直当り」の当選確率は1/319に設定され、「小当り」の当選確率は1/42に設定されている。
特別図柄抽選において、「直当り」に当選すると、即時に大役処理の権利を得て、前記センターアタッカー112Aが所定のパターンで開閉動作し、これを所定回数(所定ラウンド)繰り返す。
また、特別図柄抽選において、「小当り」に当選すると、上部アタッカー112Bが、予め定められた期間中に開閉動作され、外レール102及び内レール104の間から打ち出された直後の遊技球PBの受け入れ態勢となり、遊技球PBの入賞を待つ。
上部アタッカー112Bの開放は、開放時間が長ければ高確率で入賞することになるが、賞球数が設計仕様以上に増加する。一方、開放時間が短ければ入賞する確率が低いが、賞球数が安定する。
このため、一例としては、1〜2個の遊技球PBの入賞を設計値として、上部アタッカー112Bは、0.5秒開放→1.0秒の閉止を3回繰り返す(この場合、開放時間が1.5秒)。なお、本実施の形態では、1回分の開放開始から次の開放開始までの単位時間である0.5秒+1.0秒の開閉時間(1.5秒)は、少なくとも遊技球PBの発射間隔時間(0.6秒)の整数倍にならない設定としている。
上部アタッカー112Bに、少なくとも1個の遊技球PBが入賞すると、当該遊技球PBは、センター役物105内に設けられた流路を案内される。その後、遊技球PBは、振分構造を介して、特定領域を通過すると、前記「直当り」と同様に大役処理(「小当り」による大役処理)の権利を得て、前記センターアタッカー112Aが所定のパターンで開閉動作し、これを所定回数(所定ラウンド)繰り返す。
なお、一例として、特定領域の通過確率は、遊技球の動向に依存するが、設計上の標準通過確率は1/3.3に設定されている。すなわち、「小当り」→「特定領域通過」の流れで大役処理の権利を得る確率は、(1/42)×(1/3.3)×遊技球動向の係数で演算される。
大役処理が終了すると、一定期間(例えば、予め定められた有効始動入賞数)は、通過ゲート118による普通図柄抽選による舌型電チュー136の開放期間が増加する制御を実行する(時短制御)。このため、特別図柄始動入賞口130Bへの入賞率が増加し、特別図柄抽選の機会を増やすことができる。この場合、特別図柄抽選の当選確率を高める制御(確率変動制御)があってもよい。
ここで、特別図柄抽選において、「直当り」となって大役処理の権利を得た場合と、「小当り」後に特定領域を通過して大役処理の権利を得た場合とは、同一の大役処理の権利行使(センターアタッカー112Aの作動)であるため、同一の信号で監視処理を行っていた。
なお、監視処理とは、個々のパチンコ機10において、遊技の進行制御のための情報として利用すること、及び、ホールコンピュータ195へ送信して、遊技店全体の出玉率管理全般の統計データを集計することをいう。また、監視処理は、センター役物105内の遊技球振分構造物の不具合(破損や故障)の監視、及び所謂「ゴト」と称される不正行為の監視を含む。
しかしながら、「直当り」の当選確率と、「小当り」の当選確率とは、特別図柄抽選という遊技仕様(例えば、一種遊技という場合がある。)の下で抽選されるが、「小当り」に当選した後に、遊技球の動向に依存する特定領域の通過確率は、前記一種遊技とは全く異なる遊技仕様(例えば、二種遊技という場合がある。)で遊技が進行する。異なる遊技仕様は、別々に監視処理を行うことが好ましい。
そこで、本実施の形態では、遊技情報として、「小当り」の当選(「小当り開始」という場合がある)時の状態を示す遊技情報Aと、特定領域を通過したときの大役処理の実行中(権利行使中)を示す遊技情報Bとを設定した。このように設定した遊技情報A及び遊技情報Bは、パチンコ機10の内部の監視処理に適用すると共に、盤用外部端子190及び中継基板193を介して、ホールコンピュータ195へ送信され、遊技機全体の監視処理の少なくとも一方の監視処理に適用する。
本実施の形態では、盤用外部端子190から中継基板193を介してホールコンピュータ195へ、様々な遊技情報が送信される(図4参照、詳細後述)。
表1は、通常、遊技機10の制御系において、主制御部150から演出制御部152へ送信するコマンドであり、遊技情報A及び遊技情報Bを送信する形態は、コマンド名称が「オープニング指定」に属する(表1及び図5参照、詳細後述)。演出制御部152では、このコマンドに基づいて、例えば、後述する図9に示す確率報知等の演出制御処理が実行される。
遊技情報Aのコマンドデータは、「B000H」であり、小当り開始時に送信される。
遊技情報Bのコマンドデータは、「B001H」であり、特定領域通過時に送信される。
本実施の形態では、遊技情報Aのコマンドデータ「B000H」と、遊技情報Bのコマンドデータ「B001H」とが、演出制御部152への送信に先だって、盤用外部端子190及び中継基板193を介して、ホールコンピュータ195へ関連する出力信号を送出するようにした。
以下に本実施の形態の作用を説明する。
発射された遊技球PBが、遊技盤18の遊技領域を転動し、特別図柄始動入賞口130Aに遊技球PBが入賞すると、特別図柄抽選が実行される。
特別図柄抽選において、「直当り」に当選すると、即時に大役処理の権利を得て、センターアタッカー112Aが所定のパターンで開閉動作し、これを所定回数(所定ラウンド)繰り返す。
また、特別図柄抽選において、「小当り」に当選すると、上部アタッカー112Bが、予め定められた期間中に開閉動作され、少なくとも1個の遊技球PBが入賞すると、センター役物105内に設けられた振分構造に案内される。
遊技球PBが、振分構造を経て、最終的に特定領域を通過すると(通過センサ122Sによる検出)、「直当り」と同様に大役処理(小当りによる大役処理)の権利を得て、センターアタッカー112Aが所定のパターンで開閉動作し、これを所定回数(所定ラウンド)繰り返す。
図4及び図5は、上記遊技の流れにおけるパチンコ機10の内部信号として生成される遊技情報を、出力信号として盤用外部端子190から中継基板193を介してホールコンピュータ195へ送信するタイミングチャートである。図4及び図5では、主として、OUT1からOUT6までの出力信号を出力するタイミングチャートを示しているが、出力信号の数(種類)は6種類に限定されるものではない。
図4(A)は、内部信号が特別図柄の変動に関する情報であり、変動時と停止時において、信号が反転する(一例として、変動時はH信号、停止時はL信号)を出力する。
図4(A)では、特別図柄の変動が停止したとき(H信号→L信号)、OUT1信号として、1回の図柄変動が終了したことを報知するための、パルス幅128msecの図柄確定回数信号が出力される。
図4(B)は、内部信号が特図A始動入賞口センサ130AS又は特図B始動入賞口センサ130BSの入賞に関する情報であり、入賞(オン)時と非入賞(オフ)時において、信号が反転する(一例として、オン時はH信号、オフ時はL信号)を出力する。
図4(B)では、始動入賞があったとき、(L信号→H信号)、OUT2信号として、始動入賞があったことを報知するための、パルス幅128msecの始動入賞信号が出力される。なお、128msec以下の期間で続けて始動入賞があった場合、OUT2信号は、128msecのL信号期間をあけて、パルス幅128msecの始動入賞信号が出力される。
図4(C)は、内部信号が大役処理の作動に関する情報であり、作動時と停止時において、信号が反転する(一例として、作動時はH信号、停止時はL信号)を出力する。
図4(C)では、大役処理が作動しているとき(H信号)、OUT3信号として、大役処理の作動期間中であることを報知するための、大役処理中信号が出力される。
図4(D)は、内部信号が大役処理の作動と変動時間短縮に関する情報である。
大役処理では、作動時と停止時において、信号が反転する(一例として、作動時はH信号、停止時はL信号)を出力する。
また、変動時間短縮では、時短中(オン)中と非時短(オフ)中において、信号が反転する(一例として、オン時はH信号、オフ時はL信号)。
図4(D)では、大役処理が作動しているとき(H信号)、又は時短中のとき(H信号)、OUT4信号として、大役処理が作動しているとき、又は時短中であることを報知するための、時短中信号が出力される。
ここで、図5に示される如く、本実施の形態では、盤用外部端子190から中継基板193を介してホールコンピュータ195へ出力する信号として、特定領域を通過した大役処理情報(遊技情報B)と、小当り開始情報(遊技情報A)とを設定した。
図5(A)は、内部信号が大役処理の作動と、小当りフラグの状態に関する情報である。
大役処理では、作動中と停止中において、信号が反転する(一例として、作動時はH信号、停止時はL信号)を出力する。
また、小当りフラグの状態に関する情報では、小当り(オン)時と非小当り(オフ)時において、信号が判定する(一例として、小当り中はH信号、非小当り中はL信号)を出力する。
図5(A)では、大役処理が作動中(H信号)、かつ小当りであることを示すフラグがセット(H信号)のとき、OUT5信号として、特定領域を通過した大役処理であることを報知するための、遊技情報B信号が出力される。すなわち、ホールコンピュータに、特定領域を通過した大役処理情報に関する情報(遊技情報B)が出力される。これは、表1のコマンドデータ「B001H」と関連する出力信号に相当する。
図5(B)は、内部信号が、上部アタッカー112Bの作動と、大役処理の作動と、特定領域通過に関する情報である。
上部アタッカー112Bの作動では、小当りに当選しアタッカーソレノイド148Bの作動による一連の開放動作の開始から終了までの開放動作期間中において、信号が反転する(一例として、開放動作期間中はH信号、それ以外はL信号)。なお、1回の小当りで複数回の開閉を繰り返す仕様の場合は、1回の小当りの期間の開閉を1つの開放動作期間とする。
大役処理では、作動中と停止中において、信号が反転する(一例として、作動中はH信号、停止中はL信号)を出力する。
また、特定領域通過に関する情報では、特定領域通過(オン)時と非通過(オフ)時において、信号が判定する(一例として、オン時はH信号、オフ時はL信号)を出力する。
図5(B)では、上部アタッカー112Bが開放動作期間中(H信号)、大役処理が停止中(L信号)、かつ特定領域非通過時(L信号)のとき、OUT6信号として、小当りがあったことを報知するための、遊技情報A信号が出力される。すなわち、ホールコンピュータに、小当り開始情報に関する情報(遊技情報A)が出力される。これは、表1のコマンドデータ「B000H」と関連する出力信号に相当する。
ここで、OUT6信号は、特定領域通過・大役処理開始に伴って、出力を停止する。
なお、図5において、内部信号は従前から存在した信号であり、パチンコ機10の内部処理において、遊技情報A及び遊技情報Bを生成することも可能である。
(監視処理制御)
図6及び図8は、監視処理制御の流れを示すフローチャートである。監視処理制御は、ホールコンピュータ195又は個々のパチンコ機10の主制御部150又は演出制御部12において実行可能である。
「ホールコンピュータ195による監視処理制御」
図6のフローチャートは、ホールコンピュータ195における監視処理制御である。
ステップ200では、遊技情報を受信したか否かが判断され、否定判定された場合は、このルーチンは終了する。また、ステップ200で肯定判定されると、ステップ202へ移行して、送信元のパチンコ機10を識別し、ステップ204へ移行する。なお、以下において、識別されたパチンコ機10を「識別機」という。
ステップ204では、取得した情報が遊技情報A(「OUT6」)か否かが判断され、否定判定された場合は、ステップ206へ移行して、取得した情報が遊技情報B(「OUT5」)か否かが判断される。
上記ステップ204及びステップ206で共に否定判定された場合は、他の遊技情報であると判断し、このルーチンは終了する。なお、他の遊技情報は他の制御ルーチンで管理される。
一方、ステップ204で肯定判定された場合は取得した情報が遊技情報Aであると判断し、ステップ208へ移行して、ホールコンピュータ195に記憶された識別機の遊技情報Aの履歴情報(小当り開始回数CA)を読み出し、ステップ210へ移行する。
ステップ210では、小当り開始回数を更新し(CA←CA+1)、ステップ212へ移行する。ステップ212では、更新した識別機の履歴情報を格納し、ステップ220へ移行する。
また、ステップ206で肯定判定された場合は取得した情報が遊技情報Bであると判断し、ステップ214へ移行して、ホールコンピュータ195に記憶された識別機の遊技情報Bの履歴情報(特定領域通過回数CB)を読み出し、ステップ216へ移行する。
ステップ216では、特定領域通過回数を更新し(CB←CB+1)、ステップ218へ移行する。ステップ218では、更新した識別機の履歴情報を格納し、ステップ220へ移行する。
ステップ220では、識別機の遊技情報Aの履歴情報(小当り開始回数CA)及び遊技情報Bの履歴情報(特定領域通過回数CB)を読み出し、ステップ222へ移行して、特定領域通過確率Rrを演算する(Rr=CB/CA)。
次のステップ224では、特定領域通過確率の標準値Rd(例えば、1/3.3)を読み出し、ステップ226へ移行する。
ステップ226では、前記ステップ222で演算した特定領域通過確率Rrと、前記ステップ224で読み出した標準値Rdとの差分ΔRを演算し、ステップ228へ移行する。
ステップ228では、差分ΔRが予め定めた上限及び下限の限界値を超えたか否かが判断される。すなわち、設計上の特定領域通過確率である標準値Rdは、遊技球PBの動向によってばらつきがある。例えば、予め定めた上限値を超えて特定領域通過確率が高い場合は、何らかの不正行為(ゴト行為)又は遊技球PBを案内する部材の破損等が考えられる。
また、予め定めた下限値を超えて特定領域通過確率が低い場合は、遊技球PBを案内する部材の破損等が考えられる。
ステップ228において、否定判定された場合は、差分ΔRが許容範囲内であると判断し、このルーチンは終了する。一方、ステップ228において、肯定判定された場合は、差分ΔRが許容範囲外(限界値を超えている)と判断し、ステップ230へ移行して、識別機を対象に異常報知処理を実行し、このルーチンは終了する。
異常報知処理では、例えば、ホールコンピュータ195の表示画面において異常を知らせるメッセージを表示したり、異常が発生したパチンコ機10を特定できるように表示させたりして、店員に知らせるようにする。
また、異常報知処理では、識別機であるパチンコ機10の表示部106に異常を知らせるメッセージを表示したり、スピーカ60から警報を発したり、或いは、光源137の点灯状態を変化させるといった処理を含み、店員に知らせるようにする。なお、明らかに不正行為と認識された場合は、識別機の遊技の機能を停止させてもよい。
ホールコンピュータ195による異常の報知形態としては、店内に設置された複数のパチンコ機10からの情報(遊技情報A及び遊技情報B)を一括管理することになる。
そこで、図7に示される如く、ホールコンピュータ195に設けられたモニタ195Mに、パチンコ機10の台番号と、遊技情報A及び遊技情報Bに基づく小当りからの大役処理の確率、及び、その確率が標準値(設計値)に対して有利か不利かを表現する指標を一覧表195Aとして表示する。これにより、ホールコンピュータ195を監視している店側の関係者は、迅速に異常を認識することができる。
「パチンコ機10による監視処理制御」
前述した図6の監視処理制御は、ホールコンピュータで実行するようにしたが、各パチンコ機10の制御系(主制御部150又は演出制御部152等)で実行するようにしてもよい。
図8は、パチンコ機10の制御系における監視処理制御の流れを示すフローチャートである。
なお、図8のフローチャートにおいて、図6と同一の処理ステップについては、ステップ番号の末尾に符号「A」を付して、その処理の説明を省略する。
ステップ250では、電源投入直後か否かが判断され、肯定判定された場合は、前日(最も近い営業日)までの遊技情報A及び遊技情報Bはリセットされ、差分ΔRが0となっている状態であり、ステップ228Aへ移行する。
また、ステップ250で否定判定された場合は、パチンコ機10は稼働中であると判断し、ステップ204Aへ移行する。
ステップ204Aでは、取得した情報が遊技情報A(表1のコマンドデータ「B000H」)か否かが判断され、否定判定された場合は、ステップ206へ移行して、取得した情報が遊技情報B(表1のコマンドデータ「B001H」)か否かが判断される。
なお、ステップ250において、否定判定された場合に、パチンコ機10がデモ中(遊技者不在)であるときに限定して、ステップ204Aへ移行させるようにしてもよい。
ここで、図8のフローチャート(パチンコ機10による監視処理制御)では、ステップ228Aにおいて、否定判定された場合、すなわち、差分ΔRが許容範囲内であると判断した場合に、ステップ252へ移行して、ΔRに基づく演出制御処理を実行する。
(演出制御処理)
以下に、図8のステップ252で実行される演出制御処理について説明する。
演出制御処理は、遊技情報A及び遊技情報Bを用いて、主としてセンター役物105内の遊技球振分構造物の不具合(破損や故障)の監視、及び所謂「ゴト」と称される不正行為の監視を行うことに加え、遊技の趣向性を高める手段として用いることができる。
すなわち、予め設定した特定領域通過確率(1/3.3)は、遊技部品の組み付け状態、遊技球PBの流動タイミング等により、適正範囲内で変動し得るものである。このため、特定領域通過確率は、実機において、1/3.3を標準として、所定の許容範囲が存在する。
遊技情報B/遊技情報Aは、リアルタイムの特定領域通過確率となるため、演出の一環として、当該リアルタイムの特定領域通過確率に関する情報を報知することで、遊技者にとって有利な情報を提供することができる。演出としては、以下の形態が考えられる。
図9(A)は、直接的に、リアルタイムの特定領域通過確率を報知する形態である。図9(A)に示される如く、標準よりも若干良い確率の場合、表示部106に、「現在の役物確率は1/3」と表示する。
図9(B)は、標準値(1/3.3)を中心として、キャラクタ画像の数を表示する形態である。例えば、星(☆)画像が3個が標準値とした場合、1個から5個までの間で、リアルタイムの特定領域通過確率が高いほど星の数を多く表示する。
星の数の内訳は、例えば、特定領域通過確率をPとした場合、以下のように設定すればよい。なお、この設定は一例であり、数値の範囲は限定されるものではない。
(設定1)P<1/4.0の場合は星1つ
(設定2)1/4.0≦P<1/3.5の場合は星2つ
(設定3)1/3.5≦P<1/3.1の場合は星3つ
(設定4)1/3.1≦P<1/2.5の場合は星4つ
(設定5)1/2.5≦Pの場合は星5つ
図9(B)は、設定4の場合を示しており、標準よりも若干良い確率の場合であり、表示部106に、キャラクタ画像(☆画像)を4つ表示する。
キャラクタ画像(☆画像)の数で特定領域通過確率を報知することで、例えば、店内の通路を歩行している遊技者は、それぞれのパチンコ機10を凝視することなく、当該パチンコ機10の前を通過する時間内で、星の数を認識することができる。このため、台選びをしている遊技者は、立ち止まらなくても、通常の歩行速度で移動しながら、感覚的、かつ迅速に、台選びのための情報を得ることができる。
なお、キャラクタ画像ではなく、文字メッセージでもよい。一例として、図9(C)に示される如く、標準よりも若干良い確率の場合、「今日の役物確率は星4つです。」等と表示してもよい。また、キャラクタ画像は、星に限定されるものではない。
上記演出制御処理における表示は、パチンコ機10が待機中(所謂デモ中)が好ましいが、遊技進行中に常に表示するようにしてもよい。また、遊技者の操作部50(図1参照)の操作に基づいて表示させるようにしてもよい。
なお、図6及び図8の何れの監視処理制御においても、遊技情報A又は遊技情報Bの何れかの取得毎に、特定領域通過確率Rr(CB/CA)及び差分ΔRを演算するようにしたが、遊技情報A又は遊技情報Bの何れか一方の取得時であってもよいし、不定期又は遊技回数を定めて定期的に実行するようにしてもよい。さらに、演出時期は、デモ中に限定してもよい。
また、図9では、表示部106に特定領域通過確率を表示する時期をパチンコ機10のデモ中としているが、遊技者が遊技を進行しているときに表示してもよい。また、デモ中、遊技進行中に限らず、継続的に表示してもよい。