JP2014016179A - 放射性ストロンチウム含有排水の処理方法 - Google Patents

放射性ストロンチウム含有排水の処理方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 放射性ストロンチウムを含む排水から、放射性ストロンチウムを低コストで、かつ効果的に除去する方法を提供する。
【解決手段】 放射性ストロンチウムを含む排水を原水Wとして、第1の反応槽1に供給したら安定同位体ストロンチウム塩添加手段6から安定同位体ストロンチウム塩の水溶液を添加する。この原水W1を管路4Aから第2の反応槽2に供給し、炭酸ナトリウム添加手段7から全ストロンチウム濃度に対して1倍当量以上のアルカリ金属炭酸塩としての炭酸ナトリウム溶液を添加する。このとき、第2の反応槽2から管路4Bに排出される原水W2のpHをpH計8で監視して、pHを9以上に調整する。続いて原水W2を膜分離装置としてのMF膜装置3でクロスフロー濾過することで、放射性ストロンチウムの炭酸塩を除去した処理水W3を得る。
【選択図】 図1

Description

本発明は、放射性ストロンチウムイオンを含む複数の金属イオン種が共存する排水からストロンチウムを効率よく分離除去する方法に関する。
放射性ストロンチウムは、半減期が29年と長く、また、水への拡散性が高い核分裂生成物であり、 放射性ストロンチウム含有排水の、効率的な処理システムが望まれている。このような水中の放射性ストロンチウムの処理としては、オルトチタン酸などのチタン酸又はその塩により吸着除去する方法が提案されている(例えば、非特許文献1、非特許文献2を参照。)。
また、ストロンチウム(Sr)はカルシウムと類似した特性を有することから、ストロンチウム含有水に炭酸ナトリウムなどの炭酸塩を加え、pHを9〜13に調整することで、炭酸ストロンチウムとして沈殿して固定化する方法が提案されている(例えば、特許文献1を参照。)。
久保田益光ほか「群分離法の開発:無機イオン交換体カラム法による90Sr及び134Csを含む廃液の処理法の開発」、JAERI−M82−144(1982) 「無機材料研究所研究報告書」第112号(科学技術庁)
特許第4524444号公報
しかしながら、チタン酸やチタン酸塩等の吸着材を用いてストロンチウムを吸着除去する従来法では、下記(1)〜(3)のような問題があった。
(1)放射性ストロンチウムで汚染された排水は、通常、放射性ストロンチウム以外のアルカリ土類金属イオンを多く含有することが多いため、これらのイオンが放射性ストロンチウムの吸着を阻害し、放射性ストロンチウムのみを選択的に吸着材で吸着除去することができない。このため、他のアルカリ土類金属イオンを含む放射性ストロンチウム含有水の吸着処理に当っては、予め他のアルカリ土類金属イオンを除去するための前処理が必要となる。
(2) 高濃度ストロンチウム含有水の処理では、吸着材の交換頻度が高く、ランニングコストが嵩む。
(3)大量のストロンチウム含有水を処理するには、処理効率が悪く、適当でない。
一方、特許文献1に開示されているように、ストロンチウム含有排水に安価な炭酸ナトリウムなどの炭酸塩を加え、アルカリ条件下で炭酸ストロンチウムとして凝集させる方法は、ストロンチウムの除去方法としては有効であるが、炭酸ストロンチウムの飽和溶解度までしかストロンチウム濃度を低下させることができない。このため、放射性ストロンチウム(90Sr)を含有する排水は、例えば、1×10Bq/Lと高放射線量の排水であっても、放射性ストロンチウムの濃度としては20μg−Sr/Lと非常に低濃度であるため、この方法では、放射性ストロンチウムを沈殿させ、固液分離することはできない、という問題点があった。
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、放射性ストロンチウムを含む排水から、放射性ストロンチウムを低コストで、かつ効果的に除去する方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、第一に本発明は、放射性ストロンチウムを含む排水に、安定同位体ストロンチウムの塩を添加し、さらに、ストロンチウムと溶解度積の低い塩を形成するイオン種を添加し、ストロンチウムを不溶性塩として、この排水を固液分離して、該排水から安定同位体ストロンチウムとともに放射性ストロンチウムを除去することを特徴とする放射性ストロンチウム含有排水の処理方法を提供する(発明1)。
かかる発明(発明1)によれば、放射性ストロンチウムを含む排水に、溶解性の安定同位体ストロンチウム塩を加え、更にストロンチウムと溶解度積の低い塩を形成するイオン種を添加する。このとき、放射性ストロンチウムと安定同位体ストロンチウムとは、化学的性質に相違がないため、安定同位体ストロンチウムとともに放射性ストロンチウムを炭酸ストロンチウムとして沈殿させ、これを固液分離することで、放射性ストロンチウムを効果的に除去することができる。
また、第二に本発明は、放射性ストロンチウムを含む排水に、安定同位体ストロンチウムの塩を添加し、炭酸ストロンチウムの飽和溶解度に相当するストロンチウム濃度以上とした後、全ストロンチウムの1倍当量以上(ストロンチウムに対するモル当量の比率が1倍以上)の炭酸イオンを添加し、さらにアルカリを加えてpHを9以上に調整することでストロンチウムを不溶性の炭酸塩とし、この排水を固液分離して該排水から安定同位体ストロンチウムとともに放射性ストロンチウムを除去することを特徴とする放射性ストロンチウム含有排水の処理方法を提供する(発明2)。
かかる発明(発明2)によれば、放射性ストロンチウムを含む排水に、炭酸ストロンチウムの飽和溶解度以上のストロンチウム濃度になるように溶解性の安定同位体ストロンチウム塩を加え、更に添加後のストロンチウム濃度に対して1倍当量以上のアルカリ金属炭酸塩を添加し、さらに、アルカリ水溶液でpHを9以上に調整する。このとき、放射性ストロンチウムと安定同位体ストロンチウムとは、化学的性質に相違がないため、安定同位体ストロンチウムとともに放射性ストロンチウムを炭酸ストロンチウムとして沈殿させ、これを固液分離することで、放射性ストロンチウムを効果的に除去することができる。
また、第三に本発明は、放射性ストロンチウム及び他のアルカリ土類金属を含む排水に、安定同位体ストロンチウムの塩を添加し、炭酸ストロンチウムの溶解度積(Ksp=[Sr][CO]=7.0×10−10[mol/L])以上のストロンチウム濃度とした後、pH9以上で炭酸塩を沈殿生成しうる他のアルカリ土類金属と全ストロンチウムとの合計の1倍当量以上の炭酸イオンを添加し、さらにアルカリを加えてpHを9以上に調整することでストロンチウム及び他のアルカリ土類金属を不溶性の炭酸塩または水酸化物とし、この排水を固液分離して該排水から安定同位体ストロンチウム及び他のアルカリ土類金属とともに放射性ストロンチウムを除去することを特徴とする放射性ストロンチウム含有排水の処理方法を提供する(発明3)。
かかる発明(発明3)によれば、放射性ストロンチウムだけでなくカルシウム、マグネシウム、バリウム等の他のアルカリ土類金属を含む排水に、炭酸ストロンチウムの溶解度積以上のストロンチウム濃度になるように溶解性の安定同位体ストロンチウム塩を加え、溶存するカルシウム、バリウム等のアルカリ土類金属と添加後の全ストロンチウムとの合計に対して1倍当量以上のアルカリ金属炭酸塩を添加し、さらにアルカリ水溶液でpHを9以上に調整する。このとき、放射性ストロンチウムと安定同位体ストロンチウムとは、化学的性質に相違がないため、カルシウム、バリウム及び安定同位体ストロンチウムとともに放射性ストロンチウムを炭酸塩として沈殿させ、これを固液分離することで、放射性ストロンチウムを効果的に除去することができる。上述した溶解度積の考え方に基づけば、理論的には、炭酸イオン濃度を高くすることにより溶解ストロンチウム濃度を限りなく低下させることができることになるが、一般には、共存イオンの影響を考慮すると、溶解ストロンチウム濃度の下限を例えば、1〜0.1mg/L程度とすることができる。
上記発明(発明1〜3)においては、前記安定同位体ストロンチウムの塩を添加手段により添加するのが好ましい(発明4)。
かかる発明(発明4)によれば、安定同位体ストロンチウムの塩を効率良く添加することができる。
上記発明(発明1〜4)においては、前記固液分離の手段が、沈殿槽もしくはMF膜分離装置であるのが好ましい(発明5)。
かかる発明(発明5)によれば、生成する炭酸ストロンチウムなどの炭酸塩の沈殿物を効率良く固液分離することができる。
本発明によれば、放射性ストロンチウム、及び他のアルカリ土類金属を含む排水に、炭酸ストロンチウムの飽和溶解度以上のストロンチウム濃度になるように溶解性の安定同位体ストロンチウム塩を加え、更に添加後のストロンチウム濃度に対して1倍当量以上のアルカリ金属炭酸塩を添加し、さらに、アルカリ水溶液でpHを9以上に調整することにより、安定同位体ストロンチウムとともに放射性ストロンチウムを炭酸ストロンチウムとして沈殿させることができる。そして、これを固液分離することで、放射性ストロンチウムを効果的に除去することが可能となる。
このような効果が得られる理由は以下のとおりである。すなわち、ストロンチウム、カルシウム、マグネシウムイオンを含む排水をアルカリ条件下で凝集させると、溶解しているカルシウム、ストロンチウム、マグネシウムは以下の反応により沈殿として固定化される。
Ca2++CO 2− → CaCO ↓ ・・・(1)
Sr2++CO 2− → SrCO ↓ ・・・(2)
Mg2++2OH → Mg(OH) ↓ ・・・(3)
しかしながら、ストロンチウム濃度が、炭酸ストロンチウムの溶解度積Ksp以下であると、ストロンチウム炭酸塩の沈殿を得ることはできない。一方、どんなに高濃度でストロンチウムイオンが存在しても、当量以上の炭酸を供給し、pHを9以上に調整すれば、対イオン効果により溶解度積を満足する濃度までストロンチウム濃度を低減することができる。ここで、放射性ストロンチウムと安定同位体ストロンチウムの間の化学的な挙動に差異はない。したがって、放射性ストロンチウム濃度が溶解度積以下であっても、安定同位体ストロンチウムを加えた全ストロンチウム濃度を溶解度積以上とすれば、アルカリ条件下とすることで凝集沈殿させることができる。そして、これを固液分離することにより、全ストロンチウム濃度を1mg/L以下まで低下させることができるのである。
本発明の第一の実施形態に係る放射性ストロンチウム含有排水の処理方法実施可能なシステムを示すフロー図である。 本発明の第二の実施形態に係る放射性ストロンチウム含有排水の処理方法実施可能なシステムを示すフロー図である。 本発明の第三の実施形態に係る放射性ストロンチウム含有排水の処理方法実施可能なシステムを示すフロー図である。 本発明の第四の実施形態に係る放射性ストロンチウム含有排水の処理方法実施可能なシステムを示すフロー図である。
以下、本発明の各実施形態について図面を参照して詳細に説明する。ただし、本実施形態はいずれも例示であり、本発明はこれに限定されるものではない。
図1は、本発明の第一の実施形態による放射性ストロンチウム含有排水の処理方法実施可能なシステムを示している。図1に示すシステムでは、第1の反応槽1と、第2の反応槽2と、循環槽11を備えた固液分離手段としてのMF膜装置3とが、管路4A、4Bにより順次連続していて、MF膜分離装置3の濃縮側は返送管路5Aにより一部を第1の反応槽1及び第2の反応槽2に返送可能となっている。また「循環管路5B」により、残りの部分は、循環槽11側に返送可能となっている。このようなシステムにおいて、第1の反応槽1には安定同位体ストロンチウム塩添加手段6から安定同位体ストロンチウム塩の水溶液が添加可能となっている。また、第2の反応槽2には、炭酸ナトリウム添加手段7から炭酸イオン源としての炭酸ナトリウム溶液を添加可能となっている。そして、管路4BにはpH計8が付設されていて、このpH計8は、図示しない制御手段を介して、HCl添加手段9及びNaOH添加手段10にそれぞれ接続していて、第2の反応槽2からの排出水(原水)W2が所定のpHとなるように第2の反応槽2に酸(HCl)又はアルカリ(NaOH溶液)を添加することでpH調整可能となっている。
ここで、添加する安定同位体ストロンチウムとしては、塩化物を好適に用いることができるが、これに限定されるものではなく、溶解性の高い塩類であれば構わない。また、pH調整剤としては、塩酸、水酸化ナトリウムが好適に用いられるが、これに限定されるものではない。
次に上述したようなシステムを用いた本実施形態の放射性ストロンチウム含有排水の処理方法について説明する。
まず、放射性ストロンチウム及び他のアルカリ土類金属を含む排水を原水Wとして、第1の反応槽1に供給したら、安定同位体ストロンチウム塩添加手段6から安定同位体ストロンチウム塩の水溶液を添加する。このときの添加する安定同位体ストロンチウム塩の水溶液の濃度は、対象とする塩の溶解度以下であれば良く、特に限定されるものではない。例えば、塩化ストロンチウムであれば、100mLに53.8g(20℃)を溶解させることができる。ハンドリング性や濃度制御を考えれば、50g/L程度以下とすることが好ましい。また、その添加量は、ストロンチウムが炭酸塩となった場合に飽和溶解度に相当するストロンチウム濃度以上とすればよく、具体的には、第1の反応槽1におけるストロンチウム濃度が溶解度積によって決まる処理水のストロンチウム濃度に対して達成したいDF(Decontamination Factor=原水の放射線核種濃度/処理水の放射線核種濃度)の倍数に応じた濃度となるように添加すればよい。現実的には、共存イオンの影響でストロンチウムの最低溶解度は1mg/L程度であるので、これに目標とするDFを乗じた濃度となるように添加すればよい。例えば、DFとして1000〜2000を得たい場合、反応槽1を1000〜2000ppmのストロンチウム濃度となるようにストロンチウム塩を添加し、処理水としてストロンチウムが1ppmとなるように凝集条件を調整する。
この安定同位体ストロンチウム塩を添加した原水W1を管路4Aから第2の反応槽2に供給し、炭酸ナトリウム添加手段7から全ストロンチウム濃度に対して1倍当量以上、特に1〜3倍当量のアルカリ金属炭酸塩としての炭酸ナトリウム溶液を添加する。
このとき、第2の反応槽2から管路4Bに排出される原水W2のpHをpH計8で監視して、pHが9未満であればNaOH添加手段10からアルカリ水溶液としてのNaOH溶液を第2の反応槽2に添加してpHを9以上、特にpH9〜13に調整する。これにより、安定同位体ストロンチウムとともに放射性ストロンチウムを炭酸ストロンチウムとして沈殿させることができる。また、原水W中に含まれるカルシウム、バリウム等も炭酸塩として、マグネシウム、ベリリウム等は水酸化物として沈殿させることができる。原水W2のpHが9未満では、ストロンチウムを炭酸ストロンチウムとして十分に沈殿させることができない。なお、pHの上限については、13を超えても効果は同じであるが、経済的でないためその上限は13が好ましい。また、処理水の後処理などの都合上、pHをあまり高くしたくない場合には、HCl添加手段9から塩酸を添加して原水W2がpH9以上で所望のpHとなるように調整することもできる。
このようにして炭酸ストロンチウムを沈殿させたら、原水W2を膜分離装置としてのMF膜装置3でクロスフロー濾過することで、安定同位体ストロンチウムの炭酸塩、炭酸カルシウム、水酸化マグネシウムとともに放射性ストロンチウムの炭酸塩を除去した処理水W3を得ることができる。
そして、この処理水W3は、その後、チタン酸塩などの吸着剤を充填した吸着塔で、仕上げ処理を行うことにより、放射性ストロンチウム等をより低減することができる。
また、MF膜装置3でクロスフロー濾過した濃縮水は返送濃縮水W4として、一部を凝集汚泥として廃棄物処理する一方、残余を第1の反応槽1に返送すればよい。
なお、上述した第一の実施形態では、炭酸塩(炭酸ナトリウム)を使用したが炭酸塩にこだわる必要はなく、その他アルカリ土類金属に対して溶解度積が低い塩であれば例えば、フッ化物やシュウ酸塩などでもよい。
次に本発明の第二の実施形態について図2を参照して詳細に説明する。図2に示すシステムは、第1の反応槽1と第2の反応槽2とを一体とした反応槽11とし、pH調整手段としてNaOH添加手段10単独とした以外は、前述した第一の実施形態と同じ構成を有するので、同一の構成には同一の符号を付し、その説明を省略する。
このように第1の反応槽1と第2の反応槽2とを一体として、この反応槽11において、安定同位体ストロンチウム塩添加手段6からの安定同位体ストロンチウム塩の水溶液の添加と、炭酸ナトリウム添加手段7からの炭酸ナトリウム溶液の添加とを並行して行うとともに、NaOH添加手段10からのNaOH溶液の添加によるpH調整を一槽で行うこともできる。この場合における諸条件は前述した第一の実施形態と同じでよい。
本発明の第三の実施形態について図3を参照して詳細に説明する。図3に示すシステムは、固液分離手段としてのMF膜装置3を沈殿槽13とした以外は、前述した第一の実施形態と同じ構成を有するので、同一の構成には同一の符号を付し、その説明を省略する。
本実施形態のように、固液分離手段としては、MF膜装置3に限らず沈殿槽13としても良い。MF膜装置3の代わりに沈殿槽13を用いることにより、定同位体ストロンチウムの炭酸塩、炭酸カルシウム、水酸化マグネシウムとともに放射性ストロンチウムの炭酸塩を凝集沈殿させて汚泥として回収することができるので、回収された汚泥を返送管路5から第1の反応槽1に返送して、一部を凝集汚泥として廃棄物処理すればよい。第1の反応槽1に汚泥を返送することにより、汚泥のサイズアップに効果があり、凝集沈殿効率を向上させることができる。なお、汚泥返送は行わず、沈殿槽13で回収した汚泥を全量廃棄物処理してもよい。本実施形態における諸条件は前述した第一の実施形態と同じでよい。また、沈殿槽13には高分子凝集剤、特にアニオン性高分子凝集剤を添加することができる。
さらに、本発明の第四の実施形態について図4を参照して詳細に説明する。図4に示すシステムは、固液分離手段としてのMF膜装置3を沈殿槽13とした以外は、前述した第二の実施形態と同じ構成を有するので、同一の構成には同一の符号を付し、その説明を省略する。
このように一段反応槽11の場合にも固液分離手段としては、MF膜装置3に限らず沈殿槽13を用いてもよい。この場合における諸条件は前述した第一の実施形態と同じでよい。
以上、本発明について添付図面を参照に説明してきたが、本発明は前記第一〜第四の実施形態に限定されず、種々の変更実施が可能である。例えば、前記実施形態においては、pH調整剤として、塩酸及び水酸化ナトリウムを用いたが、硫酸などの他の酸や他のアルカリを用いてもよい。また、処理効率の点で連続処理の方が望ましいが、回分処理としてもよい。
以下の実施例及び比較例に基づき本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
下記表1に示す性状の模擬海水を原水W1として用意した。この原水のストロンチウムに起因する放射線量は、1×10Bq/Lであり、放射性ストロンチウムを20μg/L含有していた。
Figure 2014016179
図1に示すシステムにより、この模擬海水に安定同位体の塩化ストロンチウム(SrCl)を50mg/L、200mg/Lとなるようにそれぞれ添加し、次に表2に示す量の炭酸ナトリウムを添加し、さらに水酸化ナトリウム溶液を添加して、第2の反応槽2でのpHを12.5に調整し、アルカリ凝集を行った。凝集処理後、MF膜装置3でクロスフロー処理により、固液分離を行い、処理水W3を得た。この処理水W3のストロンチウム濃度、カルシウム濃度、マグネシウム濃度及び処理水中の放射性ストロンチウム(90Sr)の線量を分析するとともに、DFを算出した。結果を表2に示す。
(比較例1)
模擬海水に安定同位体の塩化ストロンチウム(SrCl)を添加せず、炭酸ナトリウムを硬度成分合計量の当量を上回る量にて添加し、さらに水酸化ナトリウム溶液を添加して、第2の反応槽2でのpHを12.5に調整し、実施例1と同様に処理を行った。得られた処理水のストロンチウム濃度、カルシウム濃度、マグネシウム濃度の測定結果、処理水中の放射性ストロンチウム(90Sr)の線量、および、DFの算出結果を表2にあわせて示す。
Figure 2014016179
表2から明らかなように、実施例1〜2の放射性ストロンチウム含有排水の処理方法によれば、比較例1と比べて処理水中の全ストロンチウムの量の差異はほとんどないものの、放射性ストロンチウムに起因する放射線量を大幅に低減できることがわかる。なお、処理水中のストロンチウム、カルシウム濃度は共に、それぞれの飽和溶解度以下まで低下しているが、これは炭酸イオンを過剰にしたことで溶解度積による対イオン効果を奏するためである。
1…第1の反応槽
2…第2の反応槽
3…MF膜装置
4A、4B…管路
5A…返送管路
5B…循環管路
6…安定同位体ストロンチウム塩添加手段
7…炭酸ナトリウム添加手段
8…pH計
9…HCl添加手段
10…NaOH添加手段
11…反応槽
13…沈殿槽
W、W1、W2…原水
W3…処理水
W4…返送濃縮水(返送汚泥)

Claims (5)

  1. 放射性ストロンチウムを含む排水に、安定同位体ストロンチウムの塩を添加し、さらに、ストロンチウムと溶解度積の低い塩を形成するイオン種を添加し、ストロンチウムを不溶性塩として、この排水を固液分離して、該排水から安定同位体ストロンチウムとともに放射性ストロンチウムを除去することを特徴とする放射性ストロンチウム含有排水の処理方法。
  2. 放射性ストロンチウムを含む排水に、安定同位体ストロンチウムの塩を添加し、炭酸ストロンチウムの飽和溶解度に相当するストロンチウム濃度以上とした後、全ストロンチウムの1倍当量以上の炭酸イオンを添加し、さらにアルカリを加えてpHを9以上に調整することでストロンチウムを不溶性の炭酸塩とし、この排水を固液分離して該排水から安定同位体ストロンチウムとともに放射性ストロンチウムを除去することを特徴とする放射性ストロンチウム含有排水の処理方法。
  3. 放射性ストロンチウム及び他のアルカリ土類金属を含む排水に、安定同位体ストロンチウムの塩を添加し、炭酸ストロンチウムの溶解度積以上のストロンチウム濃度とした後、pH9以上で炭酸塩を形成しうる他のアルカリ土類金属と全ストロンチウムとの合計の1倍当量以上の炭酸イオンを添加し、さらにアルカリを加えてpHを9以上に調整することでストロンチウム及び他のアルカリ土類金属を不溶性の炭酸塩または水酸化物とし、この排水を固液分離して該排水から安定同位体ストロンチウム及び他のアルカリ土類金属とともに放射性ストロンチウムを除去することを特徴とする放射性ストロンチウム含有排水の処理方法。
  4. 前記安定同位体ストロンチウムの塩を添加手段により添加することを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の放射性ストロンチウム含有排水の処理方法。
  5. 前記固液分離の手段が、沈殿槽もしくはMF膜分離装置であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の放射性ストロンチウム含有排水の処理方法。
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