JP2014016078A - ヒートポンプ - Google Patents

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泰大 河野
Masakazu Okamoto
昌和 岡本
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Abstract

【課題】蒸発器における圧力損失を低減してCOPを向上させること。
【解決手段】ヒートポンプ(1)は、低段側圧縮機(11)および高段側圧縮機(12)と、熱媒体回路(100)の熱媒体を100℃以上に加熱する放熱器(13)と、膨張弁(14)と、蒸発器(15)とが順に接続され、臨界温度が100℃を超える冷媒が循環して冷凍サイクルを行う冷媒回路(10)を備える。さらに、ヒートポンプ(1)は、冷媒回路(10)において蒸発器(15)の出口冷媒が乾き度1未満となるように冷凍サイクルを行わせる乾き度調整部(52)を備える。
【選択図】図1

Description

本発明は、対象流体を100℃以上に加熱するヒートポンプに関し、特にCOPの向上対策に係るものである。
従来より、例えば特許文献1に開示されているように、冷媒が循環して冷凍サイクルを行って対象流体を加熱するヒートポンプが知られている。特許文献1のヒートポンプは、圧縮機と放熱器と膨張機構と蒸発器とが接続されて冷凍サイクルを行う冷媒回路を備えている。このヒートポンプでは、放熱器において水を加熱して給湯機の温水をつくっている。
特開2011−145067号公報
ところで、上述した給湯機の温水温度よりも遙かに高い100℃以上に対象流体を加熱するためにヒートポンプが利用されることがある。この場合、冷凍サイクルにおいて冷媒の凝縮域をとるという観点から、臨界温度が対象流体の加熱温度を大きく超える冷媒を用いることが好ましい。ところが、このような冷媒は、常温(25℃)では低圧で密度が非常に小さいことから、蒸発器において必要流量を稼ぐためには冷媒の流速を高くする必要がある。冷媒の流速が高くなると、蒸発器において圧力損失が増大して、ヒートポンプのCOP(成績係数)が低下してしまうという問題があった。
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的は、対象流体を100℃以上に加熱し、冷媒として臨界温度が対象流体の加熱温度を超える冷媒が用いられたヒートポンプにおいて、圧力損失を低減してCOPを向上させることにある。
第1の発明は、圧縮機構(11,12)と、対象流体を100℃以上に加熱する放熱器(13)と、膨張機構(14)と、蒸発器(15)とが順に接続されて冷凍サイクルを行う冷媒回路(10)を備えたヒートポンプを対象としている。そして、本発明は、前記冷媒回路(10)では、冷媒として臨界温度が前記放熱器(13)による前記対象流体の加熱温度を超える冷媒が用いられ、前記冷媒回路(10)において前記蒸発器(15)の出口冷媒が乾き度1未満となるように冷凍サイクルを行わせる乾き度調整部(52)を備えているものである。
前記第1の発明では、放熱器(13)において対象流体を100℃以上に加熱するが、冷媒として臨界温度が対象流体の加熱温度を超える冷媒が用いられるので、冷凍サイクルにおいて超臨界域ではなく凝縮域をとることができる。一方、このような冷媒は、常温(25℃)では低圧で密度が非常に小さいことから、蒸発器(15)において必要流量を稼ぐためには冷媒の流速を高くする必要がある。冷媒の流速が高くなると、蒸発器(15)において圧力損失が増大して、ヒートポンプ(1)のCOP(成績係数)が低下する。そこで、本発明では、蒸発器(15)の出口冷媒が乾き度1未満(湿り冷媒)となるようにしているため、蒸発器(15)を流れる冷媒の密度は高くなる。そのため、蒸発器(15)において冷媒の流速を高くしなくても必要流量が確保される。
第2の発明は、前記第1の発明において、前記冷媒回路(10)が、前記放熱器(13)の出口冷媒と該出口冷媒の分岐冷媒とが熱交換する前記出口冷媒の過冷却熱交換器(21)と、該過冷却熱交換器(21)で熱交換した前記分岐冷媒を前記圧縮機構(11,12)における圧縮途中の冷媒と合流させるインジェクション通路(22,27)と、該インジェクション通路(22,27)を流れる前記分岐冷媒の流量調整機構(25,26,28)とを備えているものである。
蒸発器(15)の出口冷媒が乾き度1未満(湿り冷媒)となることで、圧縮機構(11,12)の吐出冷媒の温度(吐出温度)が低下し、必要な吐出温度を確保し難くなるおそれがある。そこで、本発明では、過冷却熱交換器(21)において放熱器(13)の出口冷媒が過冷却される一方、分岐冷媒が加熱され、その加熱された分岐冷媒が圧縮機構(11,12)における圧縮途中の冷媒と合流する。そうすると、圧縮機構(11,12)において、圧縮途中の冷媒の状態(乾き度、過熱度)が変化し、これに伴って、吐出温度が変化する。そして、圧縮途中の冷媒と合流する分岐冷媒の流量が流量調整機構(25,26,28)によって調整されることで、圧縮機構(11,12)の吐出温度が必要温度に調整される。
第3の発明は、前記第2の発明において、前記インジェクション通路(22)が、前記過冷却熱交換器(21)で熱交換して過熱ガス冷媒となった前記分岐冷媒である第1分岐冷媒と、前記放熱器(13)の出口冷媒の第2分岐冷媒とを、前記圧縮機構(11,12)における圧縮途中の冷媒と合流させるものである。そして、前記流量調整機構(25,26)は、前記インジェクション通路(22)を流れる前記第1分岐冷媒と前記第2分岐冷媒の合計流量を調整し且つ前記第1分岐冷媒と前記第2分岐冷媒の流量比を調整するように構成されているものである。
前記第3の発明では、過熱ガス冷媒である第1分岐冷媒と、液冷媒である第2分岐冷媒とが、圧縮機構(11,12)における圧縮途中の冷媒と合流する。そして、圧縮途中の冷媒と合流する第1分岐冷媒と第2分岐冷媒の流量比が流量調整機構(25,26)によって調整されることで、圧縮機構(11,12)における圧縮途中の冷媒の状態(乾き度、過熱度)が調整され、これによって、圧縮機構(11,12)の吐出温度が調整される。また、圧縮機構(11,12)における圧縮途中の冷媒と合流する第1分岐冷媒と第2分岐冷媒の合計流量が流量調整機構によって調整されることで、圧縮機構(11,12)における圧縮途中の冷媒の圧力(中間圧)が調整される。
第4の発明は、前記第2または第3の発明において、前記圧縮機構が、互いに直列接続されて両者の間で冷媒を二段圧縮する低段側圧縮機(11)および高段側圧縮機(12)である。そして、前記インジェクション通路(22,27)は、流出端が前記低段側圧縮機(11)と前記高段側圧縮機(12)の間に接続されている。
前記第4の発明では、過冷却熱交換器(21)で加熱された分岐冷媒が、または、過冷却熱交換器(21)で過熱ガス冷媒となった第1分岐冷媒と液冷媒である第2分岐冷媒とが、低段側圧縮機(11)の吐出冷媒と合流する。これにより、高段側圧縮機(12)の吸入冷媒の状態(乾き度、過熱度)が変化し、これに伴って、高段側圧縮機(12)の吐出温度が変化する。
第5の発明は、前記第4の発明において、前記低段側圧縮機(11)が、低圧ドーム型の圧縮機である。
前記第5の発明では、低段側圧縮機(11)が、圧縮部とその圧縮部を回転駆動するモータとを収容したケーシング内が吸入圧力の雰囲気となる低圧ドーム型に構成されている。低段側圧縮機(11)では、蒸発器(15)から出た乾き度1未満の冷媒(湿り冷媒)がケーシング内に流入し、圧縮部で圧縮された後、ケーシング内に流出することなくケーシング外へ直接吐出される。その際、ケーシング内に流入した湿り冷媒は、圧縮部に流入する前にモータ等によって加熱されて乾き度が幾分か高くなる。
第6の発明は、前記第1の発明において、前記冷媒回路(10)では、冷媒として、R245faの単一冷媒または該冷媒を含む混合冷媒が用いられているものである。
前記第6の発明では、冷媒回路(10)において、R245faの単一冷媒または該冷媒を含む混合冷媒が循環して冷凍サイクルが行われる。
本発明によれば、臨界温度が放熱器(13)による対象流体の加熱温度を超える冷媒を用いているが、蒸発器(15)の出口冷媒が乾き度1未満(湿り冷媒)となるようにしたため、蒸発器(15)や圧縮機構(11,12)の吸入配管において冷媒の流速を高くしなくても必要流量(必要能力)を確保することができる。これにより、冷凍サイクルにおいて超臨界域ではなく凝縮域を確実にとり、且つ、蒸発器(15)や圧縮機構(11,12)の吸入配管における圧力損失を低減することができる。その結果、ヒートポンプ(1)のCOPを向上させることが可能である。
また、過熱ガス冷媒は湿り冷媒と比べて比体積が大きく流速が高くなることから、複数のパスを有する蒸発器では、一部のパスにのみ過熱ガス冷媒が発生すると、そのパスは他のパスよりも圧力損失が増大する。そのため、過熱ガス冷媒が発生したパスには冷媒が流入しにくくなり、他のパスに偏って冷媒が流入するという偏流が生じてしまう。ところが、本発明では、蒸発器(15)の出口冷媒が乾き度1未満(湿り冷媒)となるようにしているため、蒸発器(15)では冷媒の過熱領域がなくなり過熱ガス冷媒は発生しない。したがって、蒸発器(15)における冷媒の偏流を抑制することができる。このように、蒸発器(15)において過熱領域をなくすことにより、また偏流を抑制することにより、蒸発器(15)全体を有効活用できるので、蒸発器(15)の熱交換の能力を向上させることができる。その結果、ヒートポンプ(1)のCOP(成績係数)を一層向上させることが可能である。
第2の発明によれば、過冷却熱交換器(21)で加熱された分岐冷媒を圧縮機構(11,12)における圧縮途中の冷媒に合流させるインジェクション通路(22,27)と、該インジェクション通路(22,27)を流れる分岐冷媒の流量調整機構(25,26,28)とを備えるようにした。そのため、圧縮機構(11,12)における圧縮途中の冷媒の状態(乾き度、過熱度)を調整して、圧縮機構(11,12)の吐出温度を調整することが可能である。これにより、確実に圧縮機構(11,12)の吐出温度を必要温度にすることができ、その結果、放熱器(13)において高圧冷媒の必要温度を確保できるので十分な加熱能力を発揮させることができる。
第3の発明によれば、過熱ガス冷媒の第1分岐冷媒と液冷媒の第2分岐冷媒とを圧縮機構(11,12)における圧縮途中の冷媒に合流させるインジェクション通路(22)を備え、両分岐冷媒の流量比を調整可能にしたため、圧縮途中の冷媒の状態(乾き度、過熱度)をより細かく調整することが可能である。よって、より確実に圧縮機構(11,12)の吐出温度を必要温度に調整することができる。
また、インジェクション通路(22)における両分岐冷媒の合計流量を調整可能にしたため、圧縮途中の冷媒の圧力(中間圧)を調整することが可能である。これにより、圧縮途中の冷媒の圧力(中間圧)を、ヒートポンプ(1)のCOPが最適となる目標圧力にすることができる。
第4の発明によれば、圧縮機構として冷媒を二段圧縮する低段側圧縮機構(11)および高段側圧縮機構(12)を備えるようにしたので、冷凍サイクルにおける高圧圧力と低圧圧力の圧力差(高低圧差)が大きくても、各圧縮機構(11,12)の圧縮比を小さくでき、各圧縮機構(11,12)の吐出冷媒の過熱度を小さくすることができる。つまり、冷凍サイクルの高低圧差が大きい場合、一つの圧縮機構による一段圧縮では圧縮機構の圧縮比が非常に大きくなり吐出冷媒の過熱度が大きくなりすぎるが、本発明によればそれを解消することが可能である。
第5の発明によれば、低段側圧縮機(11)に低圧ドーム型の圧縮機を用いたため、低段側圧縮機(11)に流入した湿り冷媒をモータ等によって加熱し、その湿り冷媒の乾き度を高くする、または、その湿り冷媒を過熱ガス冷媒にすることが可能である。これによって、低段側圧縮機(11)の冷凍機油が冷媒によって希釈されたり、圧縮部がいわゆる液圧縮によって損傷するおそれを十分に防止できる。
第6の発明によれば、冷媒として、臨界温度が154℃のR245faの単一冷媒または該冷媒を含む混合冷媒が用いるようにしたため、冷凍サイクルにおいて確実に凝縮域をとりつつ、放熱器(13)において対象流体を必要温度に加熱することができる。
図1は、実施形態に係るヒートポンプの構成を示す配管系統図である。 図2は、実施形態の変形例に係るヒートポンプの構成を示す配管系統図である。
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。なお、以下の実施形態は、本質的に好ましい例示であって、本発明、その適用物、あるいはその用途の範囲を制限することを意図するものではない。
本実施形態のヒートポンプ(1)は、産業用として用いられるものであり、被加熱流体(対象流体)を100℃以上に加熱するものである。図1に示すように、ヒートポンプ(1)は、冷媒回路(10)とコントローラ(50)を備えている。
冷媒回路(10)は、冷媒が循環して二段圧縮式の冷凍サイクルを行うものである。冷媒回路(10)は、低段側圧縮機(11)および高段側圧縮機(12)と、放熱器(13)と、膨張弁(膨張機構)(14)と、蒸発器(15)とが順に冷媒配管によって接続されている。本実施形態では、冷媒として、R245fa(臨界温度は154℃)の単一冷媒が用いられている。
低段側圧縮機(11)および高段側圧縮機(12)は、図示しないが、全密閉型で構成され、圧縮部とその圧縮部を回転駆動するモータとを収容したケーシング内が吸入圧力の雰囲気になる、いわゆる低圧ドーム型に構成されている。つまり、各圧縮機(11,12)では吸入冷媒がケーシング内に流入し、圧縮部で圧縮された冷媒がケーシング内に流出することなくケーシング外へ直接吐出される。各圧縮機(11,12)は、運転回転数が可変に構成されている。両圧縮機(11,12)は、互いに直列に接続されて両圧縮機(11,12)の間で冷媒を二段圧縮するものであり、冷媒の圧縮機構を構成している。
放熱器(13)は、低温流路(13a)および高温流路(13b)を有している。高温流路(13b)は、流入端が高段側圧縮機(12)の吐出側と接続され、流出端が後述する過冷却熱交換器(21)と接続されている。一方、放熱器(13)の低温流路(13a)は熱媒体回路(100)に接続されている。放熱器(13)では、高温流路(13b)を流れる高圧冷媒と低温流路(13a)を流れる熱媒体回路(100)の熱媒体(本実施形態では、油)とが熱交換し、熱媒体が加熱される。つまり、本実施形態では熱媒体回路(100)の熱媒体が放熱器(13)の被加熱流体(対象流体)となる。熱媒体回路(100)は、温水の恒温槽(103)内に設けられる加熱熱交換器(102)を有し、ポンプ(101)によって熱媒体が循環する閉回路である。ポンプ(101)は、恒温槽(103)の出口側と放熱器(13)の低温流路(13a)との間に設けられている。熱媒体回路(100)では、放熱器(13)で加熱された熱媒体が加熱熱交換器(102)で恒温槽(103)内の水と熱交換し、恒温槽(103)内の水が一定温度に加熱される。熱媒体回路(100)には、恒温槽(103)内の水温を測定する水温度センサ(104)が設けられている。
膨張弁(14)は、開度が調節可能な電子膨張弁で構成されている。
蒸発器(15)は、低温流路(15a)および高温流路(15b)を有している。低温流路(15a)は、流入端が膨張弁(14)と接続され、流出端が低段側圧縮機(11)の吸入側と接続されている。一方、蒸発器(15)の高温流路(15b)は熱源回路(110)に接続されている。蒸発器(15)では、低温流路(15a)を流れる低圧冷媒と高温流路(15b)を流れる熱源回路(110)の熱源媒体とが熱交換し、低圧冷媒が熱源媒体によって加熱される。熱源回路(110)の熱源媒体としては、工場の排熱(例えば、排水)、別途設けられた空調機の熱源冷媒等が挙げられる。
また、冷媒回路(10)には、過冷却熱交換器(21)とインジェクション通路(22)が設けられている。過冷却熱交換器(21)は、放熱器(13)と膨張弁(14)との間に接続されており、高温流路(21a)および低温流路(21b)を有している。インジェクション通路(22)は、主通路(23)を有している。主通路(23)は、放熱器(13)の出口側通路から分岐し過冷却熱交換器(21)を介して低段側圧縮機(11)と高段側圧縮機(12)の間に接続されている。つまり、インジェクション通路(22)の流出端は両圧縮機(11,12)の間に接続されている。主通路(23)には、過冷却熱交換器(21)をバイパスするバイパス通路(24)が設けられている。また、主通路(23)には、過冷却熱交換器(21)の入口側とバイパス通路(24)との間に第1流量調整弁(25)が設けられ、バイパス通路(24)には、第2流量調整弁(26)が設けられている。
過冷却熱交換器(21)の高温流路(21a)は、流入端が放熱器(13)と接続され、流出端が膨張弁(14)と接続されている。過冷却熱交換器(21)の低温流路(21b)は、インジェクション通路(22)の主通路(23)に接続されている。インジェクション通路(22)では、放熱器(13)の出口冷媒の一部が主通路(23)に流入し、その主通路(23)に流入した冷媒の一部がバイパス通路(24)に流入する。つまり、インジェクション通路(22)では、放熱器(13)の出口冷媒の第1分岐冷媒が過冷却熱交換器(21)の低温流路(21b)に流れ、放熱器(13)の出口冷媒の第2分岐冷媒がバイパス通路(24)に流れる。過冷却熱交換器(21)では、高温流路(21a)を流れる放熱器(13)の出口冷媒と低温流路(21b)を流れる前記出口冷媒の第1分岐冷媒とが熱交換し、高温流路(21a)の出口冷媒が過冷却される一方、低温流路(21b)の第1分岐冷媒が蒸発して過熱ガス冷媒(過熱状態のガス冷媒)となる。そして、インジェクション通路(22)は、過冷却熱交換器(21)で過熱ガス冷媒となった主通路(23)の第1分岐冷媒とバイパス通路(24)の第2分岐冷媒(液冷媒)とを混合して低段側圧縮機(11)と高段側圧縮機(12)の間に供給するものである。
第1流量調整弁(25)は過熱ガス冷媒である第1分岐冷媒の流量を調整し、第2流量調整弁(26)は液冷媒である第2分岐冷媒の流量を調整するものである。そして、この2つの流量調整弁(25,26)は、インジェクション通路(22)における第1分岐冷媒と第2分岐冷媒の混合冷媒の流量(即ち、第1分岐冷媒と第2分岐冷媒の合計流量)を調整し、且つ、混合冷媒における第1分岐冷媒と第2分岐冷媒の流量比(混合冷媒における各分岐冷媒の流量割合)を調整する流量調整機構である。
また、本実施形態の過冷却熱交換器(21)は、空調機等に設けられる一般的な過冷却熱交換器よりも、非常に高い熱交換能力を有するものである。一般の過冷却熱交換器では、設計点で低温流路の冷媒が所定流量で3℃程度の低い過熱度がつくように熱交換能力が設計されており、低温流路の冷媒流量が設計流量よりも増えるとすぐに低温流路の冷媒は過熱度がつかず湿り状態で流出してしまう。これに対し、本実施形態の過冷却熱交換器(21)では、低温流路(21b)を流れる第1分岐冷媒の流量がある程度変化しても(多くなっても)、第1分岐冷媒は過熱度がついた状態で(過熱ガス冷媒となって)流出するように設計されている。つまり、本実施形態の過冷却熱交換器(21)は、第1分岐冷媒を過熱ガス冷媒とするのに許容される第1分岐冷媒の最大流量が高く設定されている。
また、冷媒回路(10)には、各種センサが設けられている。具体的に、冷媒回路(10)には、低段側圧縮機(11)の吸入冷媒の圧力を測定する吸入圧力センサ(P1)と、高段側圧縮機(12)の吐出冷媒の圧力を測定する吐出圧力センサ(P2)と、両圧縮機(11,12)の間に設けられて低段側圧縮機(11)の吐出冷媒(高段側圧縮機(12)の吸入冷媒)の圧力を測定する中間圧力センサ(P3)とが設けられている。中間圧力センサ(P3)の測定値は、インジェクション通路(22)において過冷却熱交換器(21)の低温流路(21b)から流出した第1分岐冷媒の圧力に相当する。また、冷媒回路(10)には、高段側圧縮機(12)の吐出冷媒の温度を測定する高段側吐出温度センサ(T1)と、低段側圧縮機(11)の吐出冷媒の温度を測定する低段側吐出温度センサ(T2)と、主通路(23)における過冷却熱交換器(21)の低温流路(21b)の出口側に設けられて該低温流路(21b)から流出した第1分岐冷媒の温度を測定する出口温度センサ(T3)とが設けられている。
コントローラ(50)には、マップ(51)と乾き度調整部(52)とインジェクション調整部(53)が設けられている。
マップ(51)は、低段側圧縮機(11)の吸入冷媒の圧力、低段側圧縮機(11)の吐出冷媒の圧力および温度の3つのパラメータと、蒸発器(15)の出口冷媒の乾き度との対応関係を表したデータベースである。低段側圧縮機(11)の吸入冷媒の圧力は冷凍サイクルの低圧圧力に相当し、低段側圧縮機(11)の吐出冷媒の圧力は冷凍サイクルの低圧圧力と高圧圧力の間の中間圧力に相当する。
乾き度調整部(52)は、冷媒回路(10)において蒸発器(15)の出口冷媒が乾き度1未満となるように冷凍サイクルを行わせるものである。インジェクション調整部(53)は、高段側圧縮機(12)の吐出冷媒の温度(吐出温度)が目標値となるように、且つ、冷凍サイクルの中間圧力が目標値となるように、第1流量調整弁(25)および第2流量調整弁(26)の開度を調整するものである。乾き度調整部(52)およびインジェクション調整部(53)の動作の詳細については後述する。
〈ヒートポンプの運転動作〉
両圧縮機(11,12)が駆動されると、低段側圧縮機(11)で圧縮された冷媒は高段側圧縮機(12)で更に圧縮されて高圧冷媒となる。高段側圧縮機(12)から吐出された高圧冷媒(130℃)は、放熱器(13)で熱媒体回路(100)の熱媒体(油)と熱交換して凝縮し液冷媒(113℃)となる。これにより、熱媒体回路(100)の熱媒体は例えば110℃から120℃まで加熱される。放熱器(13)で凝縮した高圧の液冷媒は、一部がインジェクション通路(22)の主通路(23)に流れ、残りが過冷却熱交換器(21)の高温流路(21a)に流れる。
主通路(23)に流れた液冷媒の一部(第1分岐冷媒)は、第1流量調整弁(25)で減圧された後、過冷却熱交換器(21)の低温流路(21b)に流れて高温流路(21a)の高圧冷媒と熱交換する。これによって、高温流路(21a)の高圧冷媒は過冷却される一方、低温流路(21b)の第1分岐冷媒(80℃)は蒸発して中間圧の過熱ガス冷媒(90℃)となる。高温流路(21a)の高圧冷媒は、過冷却されたことによって冷媒のエンタルピーが減少する。
一方、主通路(23)に流れた液冷媒の残り(第2分岐冷媒)は、バイパス通路(24)に流れて第2流量調整弁(26)を通過した後、再び主通路(23)に流れて過熱ガス冷媒の第1分岐冷媒と混合する。そして、第1分岐冷媒と第2分岐冷媒の混合冷媒(中間圧の冷媒、87℃)は、低段側圧縮機(11)と高段側圧縮機(12)の間に流れる。
過冷却熱交換器(21)で過冷却された高圧冷媒(90℃)は、膨張弁(14)で減圧されて低圧冷媒となる。低圧冷媒は、蒸発器(15)に流れて、熱源回路(110)の熱源媒体と熱交換して蒸発し、熱源媒体が冷却される。蒸発器(15)に流れる低圧冷媒は上述したように過冷却された分だけエンタルピーが減少しているので、蒸発器(15)の蒸発能力(冷却能力)が増大する。蒸発器(15)から流出した冷媒(40℃)は、低段側圧縮機(11)に吸入されて再び圧縮される。低段側圧縮機(11)から吐出された冷媒(82℃)は、インジェクション通路(22)からの中間圧の冷媒(第1分岐冷媒および第2分岐冷媒)と合流し、その合流冷媒(85℃)が高段側圧縮機(12)に吸入される。
熱媒体回路(100)では、放熱器(13)で加熱された熱媒体(120℃)が加熱熱交換器(102)に流れて恒温槽(103)の水と熱交換し、水が加熱されて温水(80℃)となる。なお、上述した温度の数値は一例に過ぎない。
〈乾き度調整部の動作〉
乾き度調整部(52)は、上述した運転時に、蒸発器(15)の出口冷媒が乾き度1未満(いわゆる湿り冷媒)となるように冷媒回路(10)を制御する。本実施形態では、蒸発器(15)の出口冷媒の乾き度が目標値(例えば、0.8)となるように調整される。なお、本実施形態において、前記乾き度の目標値は、1未満の値に設定すればよいが、ヒートポンプ(1)のCOPが最適となる0.7から0.9の範囲内で設定するのが好ましい。
具体的に、乾き度調整部(52)は、低段側圧縮機(11)の吸入冷媒の圧力(吸入圧力)、低段側圧縮機(11)の吐出冷媒の圧力(吐出圧力)および温度(吐出温度)の3つの測定値から、予め用意されたマップ(51)を用いて、蒸発器(15)の出口冷媒の乾き度を導出する。導出した乾き度が目標値でないとき、乾き度調整部(52)は、前記導出した乾き度と前記3つの測定値から、蒸発器(15)の出口冷媒の乾き度を目標値とするための制御量あるいは設定値を決定する。
具体的には、膨張弁(14)の開度などが制御される。例えば、膨張弁(14)の開度が増大すると、低段側圧縮機(11)の吸入圧力は上昇し、蒸発器(15)の出口冷媒の乾き度は低下する。膨張弁(14)の開度が減少すると、低段側圧縮機(11)の吸入圧力は低下し、蒸発器(15)の出口冷媒の乾き度は上昇する。
このように蒸発器(15)の出口冷媒が乾き度1未満(湿り冷媒)となると、蒸発器(15)における冷媒の偏流が抑制される。過熱ガス冷媒は湿り冷媒と比べて比体積が大きく流速が高くなることから、複数のパスを有する蒸発器では、一部のパスにのみ過熱ガス冷媒が発生すると、そのパスは他のパスよりも圧力損失が増大する。そのため、過熱ガス冷媒が発生したパスには冷媒が流入しにくくなり、他のパスに偏って冷媒が流入するという偏流が生じてしまう。ところが、本実施形態では、蒸発器(15)の出口冷媒が乾き度1未満(湿り冷媒)となるようにしているため、蒸発器(15)では冷媒の過熱領域がなくなり過熱ガス冷媒は発生しない。したがって、蒸発器(15)における冷媒の偏流が抑制される。
〈インジェクション調整部の動作〉
インジェクション調整部(53)は、上述した運転時に、高段側圧縮機(12)の吐出冷媒の温度(吐出温度)が目標値(130℃)となるように、且つ、低段側圧縮機(11)の吐出圧力(高段側圧縮機(12)の吸入圧力)が目標値となるように、第1流量調整弁(25)および第2流量調整弁(26)の開度を調整する。高段側圧縮機(12)の吐出温度の目標値は、放熱器(13)で熱媒体回路(100)の熱媒体を所定温度(120℃)に加熱するために必要な高段側圧縮機(12)の吐出冷媒の温度に設定される。低段側圧縮機(11)の吐出圧力の目標値は、低段側圧縮機(11)の吸入圧力と高段側圧縮機(12)の吐出圧力とから各圧縮機(11,12)の圧縮比が最適となる値に設定される。ここで、最適な圧縮比とは、各圧縮比に対する各圧縮機(11,12)の圧縮機効率(運転効率)の組み合わせとして、冷凍サイクル全体の効率が最も良くなる値である。
例えば、低段側圧縮機(11)の吐出圧力が目標値となっており、高段側圧縮機(12)の吐出温度が目標値よりも低い場合、インジェクション通路(22)における第1分岐冷媒(過熱ガス冷媒)と第2分岐冷媒(液冷媒)の混合冷媒(以下、単に混合冷媒という。)の流量は維持しつつ、混合冷媒における第1分岐冷媒の流量割合(流量)が増加するように、第1流量調整弁(25)の開度が増加され、第2流量調整弁(26)の開度が減少される。そうすると、インジェクション通路(22)の混合冷媒の状態(乾き度、過熱度)が変化する。具体的に、混合冷媒の乾き度若しくは過熱度が高くなり、または、混合冷媒が湿り状態から過熱状態になる。つまり、混合冷媒のエンタルピーが増加する。インジェクション通路(22)の混合冷媒のエンタルピーが増加すると、高段側圧縮機(12)の吸入冷媒のエンタルピーも増加し、その結果、低段側圧縮機(11)の吐出圧力は維持したまま、高段側圧縮機(12)の吐出温度が上昇して目標値となる。
また、低段側圧縮機(11)の吐出圧力が目標値となっており、高段側圧縮機(12)の吐出温度が目標値よりも高い場合、インジェクション通路(22)における混合冷媒の流量は維持しつつ、混合冷媒における第2分岐冷媒の流量割合(流量)が増加するように、第1流量調整弁(25)の開度が減少され、第2流量調整弁(26)の開度が増加される。そうすると、インジェクション通路(22)の混合冷媒の状態(乾き度、過熱度)が変化する。具体的に、混合冷媒の乾き度若しくは過熱度が低くなり、または、混合冷媒が過熱状態から湿り状態になる。つまり、混合冷媒のエンタルピーが減少する。インジェクション通路(22)の混合冷媒のエンタルピーが減少すると、高段側圧縮機(12)の吸入冷媒のエンタルピーも減少し、その結果、低段側圧縮機(11)の吐出圧力は維持したまま、高段側圧縮機(12)の吐出温度が低下して目標値となる。
また、高段側圧縮機(12)の吐出温度が目標値となっており、低段側圧縮機(11)の吐出圧力が目標値よりも高い場合、インジェクション通路(22)の混合冷媒における第1分岐冷媒と第2分岐冷媒の流量比は維持しつつ、混合冷媒の流量が減少するように、第1流量調整弁(25)および第2流量調整弁(26)の両方の開度が減少される。そうすると、混合冷媒のエンタルピーは維持されたまま、混合冷媒の流量のみが減少する。その結果、高段側圧縮機(12)の吐出温度は維持されたまま、低段側圧縮機(11)の吐出圧力が低下して目標値となる。なお、低段側圧縮機(11)の吐出圧力が目標値よりも高い場合、低段側圧縮機(11)の圧縮比が最適値よりも高くなり、高段側圧縮機(12)の圧縮比は最適値よりも低くなる。
また、高段側圧縮機(12)の吐出温度が目標値となっており、低段側圧縮機(11)の吐出圧力が目標値よりも低い場合、インジェクション通路(22)の混合冷媒における第1分岐冷媒と第2分岐冷媒の流量比は維持しつつ、混合冷媒の流量が増加するように、第1流量調整弁(25)および第2流量調整弁(26)の両方の開度が増加される。そうすると、混合冷媒のエンタルピーは維持されたまま、混合冷媒の流量のみが増加する。その結果、高段側圧縮機(12)の吐出温度は維持されたまま、低段側圧縮機(11)の吐出圧力が上昇して目標値となる。なお、低段側圧縮機(11)の吐出圧力が目標値よりも低い場合、低段側圧縮機(11)の圧縮比が最適値よりも低くなり、高段側圧縮機(12)の圧縮比は最適値よりも高くなる。
また、高段側圧縮機(12)の吐出温度および低段側圧縮機(11)の吐出圧力の両方が目標値からずれている場合、混合冷媒の流量および混合冷媒における第1分岐冷媒と第2分岐冷媒の流量比の両方を調整するために、第1流量調整弁(25)および第2流量調整弁(26)の両方の開度が調整される。
以上のように、インジェクション調整部(53)は、高段側圧縮機(12)の吐出温度が目標値よりも低い場合はインジェクション通路(22)における混合冷媒の第1分岐冷媒の流量割合を増加させ、目標値よりも高い場合は混合冷媒の第2分岐冷媒の流量割合を増加させる。また、インジェクション調整部(53)は、低段側圧縮機(11)の吐出圧力(高段側圧縮機(12)の吸入圧力)が目標値よりも低い場合はインジェクション通路(22)における混合冷媒の流量(第1分岐冷媒と第2分岐冷媒の合計流量)を増加させ、目標値よりも高い場合は混合冷媒の流量を減少させる。これによって、高段側圧縮機(12)の吐出温度と両圧縮機(11,12)の間の冷媒圧力(即ち、冷凍サイクルの中間圧)の両方を目標値に調整することができる。
また、インジェクション調整部(53)は、過冷却熱交換器(21)から流出した第1分岐冷媒(過熱ガス冷媒)の過熱度が低下(例えば、3℃)してきた場合、低段側圧縮機(11)の吐出圧力の調整よりも高段側圧縮機(12)の吐出温度の調整を優先して行う。具体的に、インジェクション調整部(53)は、第1分岐冷媒の過熱度が低下してくると、第1流量調整弁(25)の開度を減少させて、第1分岐冷媒の流量を減少させることで、過冷却熱交換器(21)から流出した第1分岐冷媒の過熱度を確保すると共に、高段側圧縮機(12)の吐出温度を目標値に保持するように第2流量調整弁(26)の開度を調整する。なお、第1分岐冷媒の過熱度は出口温度センサ(T3)の測定値と中間圧力センサ(P3)の測定値)から導出される。
そして、上述した乾き度調整部(52)の動作とインジェクション調整部(53)の動作は、所定時間(例えば、1分)おきに交互に行われる。
−実施形態の効果−
本実施形態によれば、放熱器(13)において対象流体を100℃以上に加熱するが、冷媒として臨界温度が対象流体の加熱温度(熱媒体回路(100)の熱媒体の加熱温度120℃)を大きく超えるR245faの冷媒を用いているので、冷凍サイクルにおいて超臨界域ではなく凝縮域をとることができる。また、臨界温度が100℃を超える冷媒は、低圧で密度が非常に小さいことから、蒸発器(15)において必要流量を稼ぐためには冷媒の流速を高くする必要があり、これによって蒸発器(15)で圧力損失の増大を招いてしまうが、本実施形態では、蒸発器(15)の出口冷媒が乾き度1未満(湿り冷媒)となるようにしたため、蒸発器(15)において冷媒の流速を高くしなくても必要流量(必要能力)を確保することができる。これにより、冷凍サイクルにおいて超臨界域ではなく凝縮域を確実にとりつつも、蒸発器(15)における圧力損失を低減することができる。その結果、ヒートポンプ(1)のCOP(成績係数)を向上させることが可能である。
また、蒸発器(15)の出口冷媒が乾き度1未満(湿り冷媒)となるようにしたことから、蒸発器(15)では冷媒の過熱領域がなくなり過熱ガス冷媒は発生しないので、蒸発器(15)における冷媒の偏流を抑制することができる。このように、蒸発器(15)において過熱領域をなくすことにより、また偏流を抑制することにより、蒸発器(15)全体を有効活用できるので、蒸発器(15)の熱交換の能力を向上させることができる。その結果、ヒートポンプ(1)のCOPを一層向上させることが可能である。
特に、本実施形態では、蒸発器(15)の出口冷媒の乾き度を0.7から0.9に設定したので、乾き度に対する熱伝達率がピークとなり、ヒートポンプ(1)のCOPを最適な値にすることができる。
また、蒸発器(15)の出口冷媒が乾き度1未満(湿り冷媒)となることで、高段側圧縮機(12)の吐出温度が低下し、必要な吐出温度を確保し難くなるおそれがある。ところが、本実施形態では、インジェクション通路(22)の混合冷媒の状態(乾き度、過熱度)を調節することによって、高段側圧縮機(12)の吐出温度を必要温度(目標値)にすることができる。これにより、放熱器(13)において十分な加熱能力を発揮させることができる。その結果、恒温槽(103)の温水温度を確実に維持することができる。
また、本実施形態によれば、インジェクション通路(22)の混合冷媒の流量を調整することによって、低段側圧縮機(11)の吐出圧力(即ち、冷凍サイクルにおける中間圧力)を目標値に調整することができる。
また、本実施形態では、低段側圧縮機(11)に湿り冷媒が吸入されるが、低段側圧縮機(11)の冷凍機油が冷媒によって希釈されたり、圧縮部がいわゆる液圧縮によって損傷するおそれはない。特に、本実施形態では、低段側圧縮機(11)が低圧ドーム型の圧縮機であるため、低段側圧縮機(11)のケーシングに流入した湿り冷媒は圧縮部に流入する前にモータ等によって加熱されて乾き度が幾分か高くなる。そのため、冷凍機油の希釈化や液圧縮による損傷を十分に防止できる。また、低段側圧縮機(11)の冷凍機油として、R245faの冷媒との相溶性が低いPAG系のものを用いることで、冷凍機油の希釈化をより一層防止することができる。これによって、ヒートポンプ(1)の信頼性を向上させることが可能である。
また、本実施形態では、高段側圧縮機(12)が低圧ドーム型の圧縮機であるため、高段側圧縮機(12)の構成部材に要求される耐熱性を抑えることができる。高圧ドーム型の圧縮機では、圧縮部で圧縮された冷媒がケーシング内に吐出された後モータによってさらに加熱されるため、ケーシング内の温度が非常に高くなる。そのため、高圧ドーム型の圧縮機の場合、その構成部材に高い耐熱性が要求される。低圧ドーム型の圧縮機では、ケーシング内には比較的低温の冷媒が流入する一方、圧縮部で圧縮された冷媒はケーシング内に流出することなく直接ケーシング外に流出する。したがって、低圧ドーム型の圧縮機の場合、ケーシング内の温度を低く抑えることができ、これによって、構成部材に要求される耐熱性を抑えることが可能となる。
また、本実施形態では、圧縮機構として冷媒を二段圧縮する低段側圧縮機(11)および高段側圧縮機(12)を備えるようにしたので、冷凍サイクルにおける高圧圧力と低圧圧力の圧力差(高低圧差)が大きくても、各圧縮機(11,12)の圧縮比を小さくでき、各圧縮機(11,12)の吐出冷媒の過熱度を小さくすることができる。つまり、冷凍サイクルの高低圧差が大きい場合、一つの圧縮機による一段圧縮では圧縮機の圧縮比が非常に大きくなり吐出冷媒の過熱度が大きくなりすぎるが、本実施形態によればそれを解消することが可能である。
−実施形態の変形例−
本変形例は、図2に示すように、前記実施形態において、インジェクション通路(22)の構成を変更したものである。
具体的に、本変形例のインジェクション通路(27)は、放熱器(13)の出口側通路から分岐し過冷却熱交換器(21)の低温流路(21b)を介して低段側圧縮機(11)と高段側圧縮機(12)の間に接続されている。インジェクション通路(27)には、放熱器(13)の出口冷媒の分岐冷媒が流入する。また、インジェクション通路(27)には、過冷却熱交換器(21)の低温流路(21b)の上流側に流量調整弁(28)が設けられている。流量調整弁(28)は、インジェクション通路(27)を流れる分岐冷媒の流量調整機構である。
本変形例のインジェクション調整部(53)は、高段側圧縮機(12)の吐出温度が目標値(130℃)になるように、流量調整弁(28)の開度を制御して過冷却熱交換器(21)から流出する分岐冷媒の過熱度を調整する。具体的に、高段側圧縮機(12)の吐出温度が目標値よりも低い場合、分岐冷媒の過熱度が増加するように、流量調整弁(28)の開度が減少される。インジェクション通路(27)の分岐冷媒の過熱度が増加すると、高段側圧縮機(12)の吸入冷媒のエンタルピーが増加し、その結果、高段側圧縮機(12)の吐出温度が上昇して目標値となる。逆に、高段側圧縮機(12)の吐出温度が目標値よりも高い場合、分岐冷媒の過熱度が減少するように、流量調整弁(28)の開度が増加される。インジェクション通路(27)の分岐冷媒の過熱度が減少すると、高段側圧縮機(12)の吸入冷媒のエンタルピーが減少し、その結果、高段側圧縮機(12)の吐出温度が低下して目標値となる。このように、インジェクション調整部(53)は、インジェクション通路(27)の分岐冷媒の状態(過熱度)を調整することにより、高段側圧縮機(12)の吐出温度を調整して目標値にしている。その他の構成、作用および効果は前記実施形態と同様である。
《その他の実施形態》
例えば、前記実施形態の乾き度調整部(52)では、マップ(51)を用いて蒸発器(15)の出口冷媒の乾き度を調整するようにしたが、本発明はこれに限らない。例えば、低段側圧縮機(11)の吸入冷媒に関する物理量(温度や圧力)を状態量とする状態方程式および出力方程式からなる推定モデルを用いて低段側圧縮機(11)の吸入冷媒のエンタルピーを検出し(特開2007−278618号公報に開示されている技術)、その検出した吸入冷媒のエンタルピーに基づいて、蒸発器(15)の出口冷媒の乾き度を調整するようにしてもよい。
また、前記実施形態では、冷媒としてR245faの単一冷媒を用いるようにしたが、R245faを主成分として含む混合冷媒を用いてもよい。例えば、R245faとR134aの混合冷媒を用いることができる。R134aを混合させることで、冷媒の伝熱性能が向上すると共に冷媒の密度が上がる。
また、前記実施形態では、R245faの単一冷媒に代えて、ペンタン(C5H12)等の臨界温度が120℃以上の冷媒を用いてもよい。
また、前記実施形態において、熱媒体回路(100)の熱媒体は油に限らず水や冷媒であってもよい。その場合、熱媒体回路(100)では、気液二相状態の水や冷媒がポンプ(101)に吸入されてポンプ(101)が損傷するおそれがあるため、恒温槽(103)の出口側とポンプ(101)との間に気液分離器を設けて確実に液単相の水や冷媒をポンプ(101)に吸入させるようにしてもよい。
また、前記実施形態のインジェクション通路(22)では、第1分岐冷媒(過熱ガス冷媒)と第2分岐冷媒(液冷媒)とを混合して両圧縮機(11,12)の間に供給するようにしたが、第1分岐冷媒および第2分岐冷媒を混合せずに個別に両圧縮機(11,12)の間に供給するように構成してもよい。つまり、第1分岐冷媒用のインジェクション通路と、第2分岐冷媒用のインジェクション通路とを設けるようにしてもよい。
また、前記実施形態では、必ずしもインジェクション調整部(53)を設ける必要はない。つまり、前記実施形態では、インジェクション通路(22)の混合冷媒の状態を変化させて、高段側圧縮機(12)の吐出温度や低段側圧縮機(11)の吐出圧力を調整しなくてもよい。
また、前記実施形態では、インジェクション通路(22)を設けなくてもよい。
また、前記実施形態において、各圧縮機(11,12)はいわゆる高圧ドーム型の圧縮機を用いるようにしてもよい。
本発明は、被加熱流体(対象流体)を100℃以上に加熱するヒートポンプについて有用である。
1 ヒートポンプ
10 冷媒回路
11 低段側圧縮機(圧縮機構)
12 高段側圧縮機(圧縮機構)
13 放熱器
14 膨張弁(膨張機構)
15 蒸発器
21 過冷却熱交換器
22,27 インジェクション通路
25 第1流量調整弁(流量調整機構)
26 第2流量調整弁(流量調整機構)
28 流量調整弁(流量調整機構)
52 乾き度調整部

Claims (6)

  1. 圧縮機構(11,12)と、対象流体を100℃以上に加熱する放熱器(13)と、膨張機構(14)と、蒸発器(15)とが順に接続されて冷凍サイクルを行う冷媒回路(10)を備えたヒートポンプであって、
    前記冷媒回路(10)は、冷媒として臨界温度が前記放熱器(13)による前記対象流体の加熱温度を超える冷媒が用いられ、
    前記冷媒回路(10)において前記蒸発器(15)の出口冷媒が乾き度1未満となるように冷凍サイクルを行わせる乾き度調整部(52)を備えている
    ことを特徴とするヒートポンプ。
  2. 請求項1において、
    前記冷媒回路(10)は、前記放熱器(13)の出口冷媒と該出口冷媒の分岐冷媒とが熱交換する前記出口冷媒の過冷却熱交換器(21)と、該過冷却熱交換器(21)で熱交換した前記分岐冷媒を前記圧縮機構(11,12)における圧縮途中の冷媒と合流させるインジェクション通路(22,27)と、該インジェクション通路(22,27)を流れる前記分岐冷媒の流量調整機構(25,26,28)とを備えている
    ことを特徴とするヒートポンプ。
  3. 請求項2において、
    前記インジェクション通路(22)は、前記過冷却熱交換器(21)で熱交換して過熱ガス冷媒となった前記分岐冷媒である第1分岐冷媒と、前記放熱器(13)の出口冷媒の第2分岐冷媒とを、前記圧縮機構(11,12)における圧縮途中の冷媒と合流させ、
    前記流量調整機構(25,26)は、前記インジェクション通路(22)を流れる前記第1分岐冷媒と前記第2分岐冷媒の合計流量を調整し且つ前記第1分岐冷媒と前記第2分岐冷媒の流量比を調整するように構成されている
    ことを特徴とするヒートポンプ。
  4. 請求項2または3において、
    前記圧縮機構は、互いに直列接続されて両者の間で冷媒を二段圧縮する低段側圧縮機(11)および高段側圧縮機(12)であり、
    前記インジェクション通路(22,27)は、流出端が前記低段側圧縮機(11)と前記高段側圧縮機(12)の間に接続されている
    ことを特徴とするヒートポンプ。
  5. 請求項4において、
    前記低段側圧縮機(11)は、低圧ドーム型の圧縮機である
    ことを特徴とするヒートポンプ。
  6. 請求項1において、
    前記冷媒回路(10)は、冷媒として、R245faの単一冷媒または該冷媒を含む混合冷媒が用いられている
    ことを特徴とするヒートポンプ。
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