JP2014015038A - 印刷装置、及び、印刷方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】ヘッドのノズル開口面へのインク付着量を低減すること。
【解決手段】熱可塑性樹脂粒子を含み、50℃における粘度が2.1mPa・s以上であるインクを吐出する複数のノズルと複数の圧力室と複数の駆動素子とを有するヘッドと、インク非吸収性である媒体と、媒体を加熱する加熱部と、駆動信号を駆動素子に印加する制御部と、を備え、駆動信号にて発生する吐出波形は、圧力室を膨張させる第1膨張要素と第1膨張要素により膨張した圧力室を収縮させる収縮要素と収縮要素により収縮した圧力室を膨張させる第2膨張要素と第2膨張要素により膨張した前記圧力室を更に膨張させる第3膨張要素と第2膨張要素の終端と前記第3膨張要素の始端とを同電位で接続する接続要素とを有する印刷装置。
【選択図】図3

Description

本発明は、印刷装置、及び、印刷方法に関する。
印刷装置として、ノズルからインクを吐出するヘッドを有するインクジェットプリンター(以下、プリンター)が知られている。近年、プリンターには、用紙や布、プラスチックフィルム等の種々の媒体に画像を印刷することが要求されている。例えば、プラスチックフィルム等のインクを吸収しない非吸収性の媒体に画像を印刷するために、熱可塑性樹脂粒子を含むインクを使用するプリンターが提案されている(例えば、特許文献1を参照)。熱可塑性樹脂粒子を含むインクを使用することで、インクの乾燥後に媒体上にて強固な樹脂膜を形成することができ、印刷物の耐擦性を確保することができる。
特開2010−221670号公報
インク非吸収性の媒体に着弾したインク滴は流動し易い。そのため、インク非吸収性の媒体を使用するプリンターでは、媒体に着弾したインク滴の乾燥を早めてインク滴の流動を抑えるために、媒体を加熱しながら印刷を実施する必要がある。一方、ノズルからインク滴が吐出される際に、メインのインク滴と共に微小なインク滴が発生する場合がある。この微小なインク滴が途中で速度を失い、ミストとして舞い上がると、ヘッドのノズル開口面に付着してしまう場合がある。上記のように、インク非吸収性の媒体を使用するプリンターでは、媒体を加熱する熱の影響によりヘッドのノズル開口面の温度が高くなっており、ヘッドのノズル開口面にインクミストが付着すると、インクが乾燥し、ノズル開口面に固着してしまう。その結果、ヘッドのノズル開口面にてインクが堆積し、堆積したインクによりノズルからのインク滴の吐出が阻害されてしまう。
そこで、本発明では、ヘッドのノズル開口面へのインク付着量を低減する印刷装置、及び、印刷方法を提供することを目的とする。
前記課題を解決する為の主たる発明は、熱可塑性樹脂粒子を含み、50℃における粘度が2.1mPa・s以上であるインクを吐出する複数のノズルと、前記ノズル毎に設けられる圧力室と、前記圧力室毎に設けられる駆動素子と、を有するヘッドと、インク非吸収性である媒体と、前記媒体を加熱する加熱部と、駆動信号の印加により前記駆動素子を駆動させて、当該駆動素子に対応する前記圧力室を膨張及び収縮させることにより、当該圧力室に連通する前記ノズルからインク滴を吐出させる制御部と、を備え、前記駆動信号にて発生する吐出波形は、前記圧力室を膨張させる第1膨張要素と、前記第1膨張要素により膨張した前記圧力室を収縮させる収縮要素と、前記収縮要素により収縮した圧力室を膨張させる第2膨張要素と、前記第2膨張要素により膨張した前記圧力室を更に膨張させる第3膨張要素と、前記第2膨張要素の終端と前記第3膨張要素の始端とを同電位で接続する接続要素と、を有すること、を特徴とする印刷装置である。
本発明の他の特徴は、本明細書、及び添付図面の記載により、明らかにする。
図1Aは印刷システムの全体構成を示すブロック図であり、図1Bはヘッドの構造を説明する概略断面図である。 図2Aはプリンターの概略断面図であり、図2Bはプリンターの概略上面図である。 図3Aは本実施形態の吐出波形を説明する図であり、図3Bは本実施形態のメニスカスの動きを説明する図である。 図4Aは比較例の吐出波形を説明する図であり、図4Bは比較例のメニスカスの動きを説明する図である。 図5A及び図5Bは本実施形態の吐出波形の変形例を説明する図である。 図6Aは本実施形態のプリンターによる印刷方法を示すフローであり、図6Bはワイピング処理を説明する図である。
===開示の概要===
本発明の実施の形態を、本明細書の記載、及び添付図面を用いて説明する。
熱可塑性樹脂粒子を含み、50℃における粘度が2.1mPa・s以上であるインクを吐出する複数のノズルと、前記ノズル毎に設けられる圧力室と、前記圧力室毎に設けられる駆動素子と、を有するヘッドと、インク非吸収性である媒体と、前記媒体を加熱する加熱部と、駆動信号の印加により前記駆動素子を駆動させて、当該駆動素子に対応する前記圧力室を膨張及び収縮させることにより、当該圧力室に連通する前記ノズルからインク滴を吐出させる制御部と、を備え、前記駆動信号にて発生する吐出波形は、前記圧力室を膨張させる第1膨張要素と、前記第1膨張要素により膨張した前記圧力室を収縮させる収縮要素と、前記収縮要素により収縮した圧力室を膨張させる第2膨張要素と、前記第2膨張要素により膨張した前記圧力室を更に膨張させる第3膨張要素と、前記第2膨張要素の終端と前記第3膨張要素の始端とを同電位で接続する接続要素と、を有すること、を特徴とする印刷装置である。
このような印刷装置によれば、個別に設定された第2膨張要素と第3膨張要素により微小なインク滴の発生を抑制することができるため、ヘッドのノズル開口面へのインク付着量を低減することができる。
かかる印刷装置であって、前記ノズルの開口部が設けられた前記ヘッドのノズル開口面に当接するワイパー部材を有し、前記制御部は、前記ノズル開口面に前記ワイパー部材を当接させた状態で、前記ノズル開口面と前記ワイパー部材とを相対移動させることにより、前記ノズル開口面に付着した異物を払拭する、ことを特徴とする印刷装置である。
このような印刷装置によれば、ノズル開口面にて堆積したインクを拭き取ることが出来、堆積したインクによりノズルからのインク滴の吐出が阻害されてしまうことを抑制できる。
かかる印刷装置であって、前記吐出波形は、前記収縮要素の印加終了時から前記第3膨張要素の印加終了時までの時間が前記圧力室内のインクの固有振動周期と等しくなるように、設定されている、ことを特徴とする印刷装置である。
このような印刷装置によれば、ノズルのメニスカスに生じた残留振動を効率よく制振させることができ、微小なインク滴の発生を抑制することができる。
かかる印刷装置であって、前記吐出波形は、前記収縮要素の印加終了時から前記第2膨張要素の印加終了時までの時間をT1とし、前記圧力室内のインクの固有振動周期をTcとしたときに、T1<Tc×1/2となる関係が成立するように、設定されている、ことを特徴とする印刷装置である。
このような印刷装置によれば、ノズルのメニスカスに生じた残留振動を制振させることができ、微小なインク滴の発生を抑制することができる。
また、熱可塑性樹脂粒子を含み、50℃における粘度が2.1mPa・s以上であるインクを吐出する複数のノズルと、前記ノズル毎に設けられる圧力室と、前記圧力室毎に設けられる駆動素子と、を有するヘッドによって、インク非吸収性の媒体へ画像を印刷する印刷方法であって、前記圧力室を膨張させる第1膨張要素と、前記第1膨張要素により膨張した前記圧力室を収縮させる収縮要素と、前記収縮要素により収縮した圧力室を膨張させる第2膨張要素と、前記第2膨張要素により膨張した前記圧力室を更に膨張させる第3膨張要素と、前記第2膨張要素の終端と前記第3膨張要素の始端とを同電位で接続する接続要素と、を有する吐出波形が発生する駆動信号を、前記駆動素子に印加することにより、当該駆動素子に対応する前記圧力室を膨張及び収縮させて、当該圧力室に連通する前記ノズルから、加熱されている前記媒体に向けて、インク滴を吐出させること、を特徴とする印刷方法である。
このような印刷方法によれば、個別に設定された第2膨張要素と第3膨張要素により微小なインク滴の発生を抑制することができるため、ヘッドのノズル開口面へのインク付着量を低減することができる。
===印刷システム===
「印刷装置」をインクジェットプリンター(以下、プリンターと呼ぶ)とし、プリンターとコンピューターが接続された印刷システムを例に挙げて、実施形態を説明する。
本実施形態のプリンター1は、インク非吸収性の媒体に画像を印刷する。インク非吸収性の媒体とは、インク吸収層を備えていない媒体である。インク非吸収性の媒体として、例えば、インクジェット印刷用に表面処理されていないプラスチックフィルムや、紙等の基材上にプラスチックコーディングがなされたり、プラスチックフィルムが接着されたりしているもの等が挙げられる。ここでいうプラスチックとは、ポリ塩化ビニル、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリウレタン、ポリエチレン、ポリプロピレン等が挙げられる。
また、本実施形態のプリンター1は、熱可塑性樹脂粒子を含むインク(以下、樹脂インクとも呼ぶ)であり50℃における粘度が2.1mPa・s以上であることを特徴とする。そのようなインクとして、例えば、特開2010−221670号公報に記載されているものが挙げられる。樹脂インクは、乾燥すると、媒体上にて着色剤を覆うように強固な樹脂膜を形成する。従って、インク非吸収性の媒体に画像を印刷する場合、樹脂インクを使用することで、画像に耐擦性を付与することができる。そのようなインクの例を、以下に記載する。
本実施形態で用いられるインクは、1気圧下での沸点が290℃のグリセリンを実質的に含まない。インクがグリセリンを実質的に含むと、インクの乾燥性が大幅に低下してしまう。その結果、種々の被記録媒体、特にインク非吸収性又は低吸収性の被記録媒体において、画像の濃淡ムラが目立つだけではなく、インクの定着性も得られない。さらに、1気圧下相当での沸点が280℃以上のアルキルポリオール類(上記のグリセリンを除く。)を実質的に含まないことが好ましい。
ここで、本明細書における「実質的に含まない」とは、添加する意義を十分に発揮する量以上含有させないことを意味する。これを定量的に言えば、グリセリンが、インクの総質量(100質量%)に対して、1.0質量%以上含まないことが好ましく、0.5質量%以上含まないことがより好ましく、0.1質量%以上含まないことがさらに好ましく、0.05質量%以上含まないことがさらにより好ましく、0.01質量%以上含まないことが特に好ましく、0.001質量%以上含まないことが最も好ましい。
以下、本実施形態のインクに含まれるか、又は含まれ得る添加剤(成分)を説明する。
本実施形態のインクは、色材を含んでもよい。上記色材は、顔料及び染料から選択される。
本実施形態において、色材として顔料を用いることにより、インクの耐光性を向上させることができる。顔料は、無機顔料及び有機顔料のいずれも使用することができる。
無機顔料としては、特に限定されないが、例えば、カーボンブラック、酸化鉄、及び酸化チタン、酸化シリカが挙げられる。
有機顔料としては、特に限定されないが、例えば、キナクリドン系顔料、キナクリドンキノン系顔料、ジオキサジン系顔料、フタロシアニン系顔料、アントラピリミジン系顔料、アンサンスロン系顔料、インダンスロン系顔料、フラバンスロン系顔料、ペリレン系顔料、ジケトピロロピロール系顔料、ペリノン系顔料、キノフタロン系顔料、アントラキノン系顔料、チオインジゴ系顔料、ベンツイミダゾロン系顔料、イソインドリノン系顔料、アゾメチン系顔料、及びアゾ系顔料が挙げられる。有機顔料の具体例としては、下記のものが挙げられる。
シアンインクに使用される顔料としては、C.I.ピグメントブルー1、2、3、15、15:1、15:2、15:3、15:4、15:6、15:34、16、18、22、60、65、66、C.I.バットブルー4、60が挙げられる。中でも、C.I.ピグメントブルー15:3及び15:4のうち少なくともいずれかが好ましい。
マゼンタインクに使用される顔料としては、C.I.ピグメントレッド1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、14、15、16、17、18、19、21、22、23、30、31、32、37、38、40、41、42、48(Ca)、48(Mn)、57(Ca)、57:1、88、112、114、122、123、144、146、149、150、166、168、170、171、175、176、177、178、179、184、185、187、202、209、219、224、245、254、264、C.I.ピグメントバイオレット19、23、32、33、36、38、43、50が挙げられる。中でも、C.I.ピグメントレッド122、C.I.ピグメントレッド202、及びC.I.ピグメントバイオレット19からなる群から選択される一種以上が好ましい。
イエローインクに使用される顔料としては、C.I.ピグメントイエロー1、2、3、4、5、6、7、10、11、12、13、14、16、17、24、34、35、37、53、55、65、73、74、75、81、83、93、94、95、97、98、99、108、109、110、113、114、117、120、124、128、129、133、138、139、147、151、153、154、155、167、172、180、185、213が挙げられる。中でもC.I.ピグメントイエロー74、155、及び213からなる群から選択される一種以上が好ましい。
なお、グリーンインクやオレンジインク等、上記以外の色のインクに用いられる顔料としては、従来公知のものが挙げられる。
顔料の平均粒子径は、ノズルにおける目詰まりを抑制することができ、かつ、吐出安定性が一層良好となるため、250nm以下であることが好ましい。なお、本明細書における平均粒子径は、体積基準のものである。測定方法としては、例えば、レーザー回折散乱法を測定原理とする粒度分布測定装置により測定することができる。粒度分布測定装置としては、例えば、動的光散乱法を測定原理とする粒度分布計(例えば、日機装社(Nikkiso Co., Ltd.)製のマイクロトラックUPA)が挙げられる。
本実施形態において、色材として染料を用いることができる。染料としては、特に限定されることなく、酸性染料、直接染料、反応性染料、及び塩基性染料が使用可能である。
色材の含有量は、インクの総質量(100質量%)に対して、0.4重量%以上12質量%以下であると好ましく、より好ましくは2質量%以上5質量%以下であるとさらに良い。
本実施形態におけるインクは、樹脂を含有する。インクが樹脂を含有することにより、被記録媒体上に樹脂被膜が形成され、結果としてインクを被記録媒体上に十分定着させて、主に画像の耐擦性を良好にする効果を発揮する。そのため、樹脂エマルジョンは熱可塑性樹脂であることが好ましい。
樹脂の熱変形温度は、ヘッドの目詰まりを起こしにくく、記録物の耐擦性を持たせられるという有利な効果が得られるため、40℃以上あることが好ましい。より好ましくは60℃以上である。
ここで、本明細書における「熱変形温度」は、ガラス転移温度(Tg)又は最低造膜温度(Minimum Film forming Temperature;MFT)で表された温度値とする。つまり、「熱変形温度が40℃以上」とは、Tg又はMFTのいずれかが40℃以上であればよいことを意味する。なお、MFTの方がTgよりも樹脂の再分散性の優劣を把握しやすいため、当該熱変形温度はMFTで表された温度値であることが好ましい。樹脂の再分散性に優れたインクであると、インクが固着しないためヘッド31が目詰まりしにくくなる。
本明細書におけるTgは示差走査熱量測定法により測定された値で記載している。また、本明細書におけるMFTは、ISO 2115:1996(標題:プラスチック−ポリマー分散−白色点温度及びフィルム形成最低温度の測定)により測定された値で記載している。
上記熱可塑性樹脂の具体例として、特に限定されないが、ポリ(メタ)アクリル酸エステル又はその共重合体、ポリアクリロニトリル又はその共重合体、ポリシアノアクリレート、ポリアクリルアミド、及びポリ(メタ)アクリル酸などの(メタ)アクリル系重合体、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、ポリイソブチレン、及びポリスチレン、並びにそれらの共重合体、並びに石油樹脂、クマロン・インデン樹脂、及びテルペン樹脂などのポリオレフィン系重合体、ポリ酢酸ビニル又はその共重合体、ポリビニルアルコール、ポリビニルアセタール、及びポリビニルエーテルなどの酢酸ビニル系又はビニルアルコール系重合体、ポリ塩化ビニル又はその共重合体、ポリ塩化ビニリデン、フッ素樹脂、及びフッ素ゴムなどの含ハロゲン系重合体、ポリビニルカルバゾール、ポリビニルピロリドン又はその共重合体、ポリビニルピリジン、及びポリビニルイミダゾールなどの含窒素ビニル系重合体、ポリブタジエン又はその共重合体、ポリクロロプレン、及びポリイソプレン(ブチルゴム)などのジエン系重合体、並びにその他の開環重合型樹脂、縮合重合型樹脂、及び天然高分子樹脂が挙げられる。
樹脂の含有量は、インクの総質量(100質量%)に対し、1重量%から30質量%であることが好ましく、1重量%から5質量%であることがより好ましい。含有量が上記範囲内である場合、形成される画像の光沢性及び耐擦性を一層優れたものとすることができる。
また、上記インクに含有させてもよい樹脂としては、例えば、樹脂分散剤、樹脂エマルジョン、及びワックス等が挙げられる。
本実施形態のインクは、樹脂エマルジョンを含んでもよい。樹脂エマルジョンは、被記録媒体が加熱される際、好ましくはワックス(エマルジョン)と共に樹脂被膜を形成することで、インクを被記録媒体上に十分定着させて画像の耐擦性を良好にする効果を発揮する。上記の効果により樹脂エマルジョンを含有するインクを用いて記録された記録物は、特にインク非吸収性又は低吸収性の被記録媒体上で耐擦性に優れたものとなる。
また、バインダーとして機能する樹脂エマルジョンはインク中にエマルジョン状態で含有される。バインダーとして機能する樹脂をエマルジョン状態でインク中に含有させることにより、インクの粘度をインクジェット記録方式において適正な範囲に調整しやすく、かつ、インクの保存安定性及び吐出安定性に優れたものとなる。
樹脂エマルジョンとしては、以下に限定されないが、例えば、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸エステル、アクリロニトリル、シアノアクリレート、アクリルアミド、オレフィン、スチレン、酢酸ビニル、塩化ビニル、ビニルアルコール、ビニルエーテル、ビニルピロリドン、ビニルピリジン、ビニルカルバゾール、ビニルイミダゾール、及び塩化ビニリデンの単独重合体又は共重合体、フッ素樹脂、及び天然樹脂が挙げられる。中でも、(メタ)アクリル系樹脂及びスチレン−(メタ)アクリル酸共重合体系樹脂のうち少なくともいずれかが好ましく、アクリル系樹脂及びスチレン−アクリル酸共重合体系樹脂のうち少なくともいずれかがより好ましく、スチレン−アクリル酸共重合体系樹脂がさらに好ましい。なお、上記の共重合体は、ランダム共重合体、ブロック共重合体、交互共重合体、及びグラフト共重合体のうちいずれの形態であってもよい。
樹脂エマルジョンの平均粒子径は、インクの保存安定性及び吐出安定性を一層良好にするため、好ましくは5nm〜400nmの範囲であり、より好ましくは20nm〜300nmの範囲である。
樹脂の中でも樹脂エマルジョンの含有量は、インクの総質量(100質量%)に対して、0.5〜7質量%の範囲であることが好ましい。含有量が上記範囲内であると、固形分濃度を低くすることができるため、吐出安定性を一層良好にすることができる。
本実施形態のインクは、ワックスを含んでもよい。インクがワックスを含むことにより、インクがインク非吸収性及び低吸収性の被記録媒体上で定着性により優れたものとなる。ワックスの中でもエマルジョンタイプのものがより好ましい。上記ワックスとしては、以下に限定されないが、例えばポリエチレンワックス、パラフィンワックス、及びポリオレフィンワックスが挙げられ、中でも後述するポリエチレンワックスが好ましい。
なお、本明細書において、「ワックス」とは、主に、後述の界面活性剤を使用して、固体ワックス粒子を水中に分散させたものを意味する。
上記インクがポリエチレンワックスを含むことにより、インクの耐擦性を優れたものとすることができる。
ポリエチレンワックスの平均粒子径は、インクの保存安定性及び吐出安定性を一層良好にするため、好ましくは5nm〜400nmの範囲であり、より好ましくは50nm〜200nmの範囲である。
ポリエチレンワックスの含有量(固形分換算)は、互いに独立して、インクの総質量(100質量%)に対して、0.1〜3質量%の範囲が好ましく、0.3〜3質量%の範囲がより好ましく、0.3〜1.5質量%の範囲がさらに好ましい。含有量が上記範囲内であると、インク非吸収性又は低吸収性の被記録媒体上においても、インクを良好に固化・定着させることができ、かつ、インクの保存安定性及び吐出安定性が一層優れたものとなる。
本実施形態のインクは、界面活性剤を含んでもよい。界面活性剤として、以下に限定されないが、例えばノニオン系界面活性剤が挙げられる。ノニオン系界面活性剤は、被記録媒体上でインクを均一に拡げる作用がある。そのため、ノニオン系界面活性剤を含むインクを用いてインクジェット記録を行った場合、滲みの殆ど無い高精細な画像が得られる。このようなノニオン系界面活性剤としては、以下に限定されないが、例えば、シリコン系、ポリオキシエチレンアルキルエーテル系、ポリオキシプロピレンアルキルエーテル系、多環フェニルエーテル系、ソルビタン誘導体、及びフッ素系の界面活性剤が挙げられ、中でもシリコン系界面活性剤が好ましい。
界面活性剤の含有量は、インクの保存安定性及び吐出安定性が一層良好なものとなるため、インクの総質量(100質量%)に対して、0.1質量%以上3質量%以下の範囲であることが好ましい。
本実施形態のインクは、水を含有してもよい。特に、当該インクが水性インクである場合、水は、インクの主となる媒体であり、インクジェット記録において被記録媒体が加熱される際、蒸発飛散する成分となる。
本実施形態のインクは、公知の揮発性の水溶性有機溶剤を含んでもよい。ただし、上述のとおり、本実施形態のインクは、有機溶剤の一種であるグリセリン(1気圧下での沸点が290℃)を実質的に含まず、また1気圧下相当での沸点が280℃以上のアルキルポリオール類(上記のグリセリンを除く。)を実質的に含まないことが好ましい。
本実施形態のインクは、上記の成分に加えて、防腐剤・防かび剤、防錆剤、及びキレート化剤などをさらに含んでもよい。
本実施形態のインク組成物は、非プロトン性極性溶媒を含有すると好ましい。上記の非プロトン性極性溶媒を含有することにより、これらのインクに含まれる上述の樹脂粒子を溶解するため、インクジェット記録の際にノズルの目詰まりを効果的に防止することができる。また、塩化ビニル等の記録媒体を溶解させる性質があり画像に密着性が向上する。
非プロトン性極性溶媒については、特に限定されないが、ピロリドン類、ラクトン類、スルホキシド類、イミダゾリジノン類、スルホラン類、尿素誘導体、ジアルキルアミド類、環状エーテル類、アミドエーテル類から選択される一種以上の非プロトン性極性溶媒を含むのが好ましい。ピロリドン類の代表例としては、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、N−エチル−2−ピロリドンがあり、ラクトン類の代表例としては、γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン、ε−カプロラクトンがあり、スルホキシド類の代表例としてはジメチルスルホキシド、テトラメチレンスルホキシドがあり、イミダゾリジノン類の代表例としては、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノンがあり、スルホラン類の代表例としては、スルホラン、ジメチルスルホランがあり、尿素誘導体の代表例としては、ジメチル尿素、1,1,3,3−テトラメチル尿素があり、ジアルキルアミド類の代表例としては、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミドがあり、環状エーテル類の代表例としては1,4−ジオキサン、テトラヒドロフランがある。上記の中でも、上述の効果の観点からピロリドン類、ラクトン類、スルホキシド類、アミドエーテル類が特に好ましい。2−ピロリドンが最も好ましい。
上記の非プロトン性極性溶媒の含有量は、インクの総質量(100質量%)に対して、3〜30質量%の範囲が好ましく、8〜20質量%の範囲がより好ましい。
図1Aは、印刷システムの全体構成を示すブロック図であり、図1Bは、ヘッド41(一部)の構造を説明する概略断面図である。図2Aは、ヘッド41の移動方向から見たプリンター1の概略断面図であり、図2Bは、プリンター1の概略上面図である。プリンター1は、コントローラー10と、搬送ユニット20と、キャリッジユニット30と、ヘッドユニット40と、乾燥ユニット50と、ワイパーユニット80と、検出器群60と、を有する。プリンター1はコンピューター70と通信可能に接続されており、コンピューター70内にインストールされているプリンタードライバーによって、プリンター1に画像を印刷させるための印刷データが作成され、その印刷データがプリンター1に送信される。
プリンター1内のコントローラー10は、プリンター1における全体的な制御を行うためのものである。インターフェース部11は、外部装置であるコンピューター70との間でデータの送受信を行う。CPU12は、プリンター1の全体的な制御を行うための演算処理装置であり、ユニット制御回路14を介して各ユニットを制御する。メモリー13は、CPU12のプログラムを格納する領域や作業領域等を確保するためのものである。検出器群60は、プリンター1内の状況を監視し、その検出結果をコントローラー10に出力するためのものである。
搬送ユニット20は、搬送ローラー21によって画像の印刷対象である媒体S(インク非吸収性の媒体)を印刷可能な位置にセットし、媒体Sを搬送方向の下流側に搬送するためのものである。なお、図2Aでは、ロール状に巻かれた連続媒体を示すがこれに限らず、所定のサイズにカットされた媒体を使用してもよい。
キャリッジユニット30は、キャリッジ31に搭載されたヘッド41を、ガイドレール32に沿わせて、媒体Sの搬送方向と交差する方向(一般的には直交する方向)である移動方向に移動するためのものである。
ヘッドユニット40は、媒体Sに向けてインクを吐出するヘッド41と、媒体Sを裏面から支持するプラテン42と、インク受け部43a,43bと、キャップ44とを有する。図1Bに示すように、ヘッド41は、インクを吐出する複数のノズルNzと、ノズルNz毎に設けられる圧力室411と、インクの色毎に設けられる共通インク室412と、圧力室411と共通インク室412を繋ぐインク供給路413と、ノズルNz毎(圧力室411毎)に設けられるピエゾ素子PZT(駆動素子に相当)と、を有する。共通インク室412は、インク供給路413を介して複数の圧力室411と連通し、各圧力室411は、対応するノズルNzと連通しており、インクカートリッジに貯留されたインクは、まず、共通インク室412に供給され、その後に圧力室411に移動して、ノズルNzから吐出される。
また、ヘッド41にはノズルNzの開口部が形成されると共に、吐出するインクの色毎にノズル開口が並んだノズル列が形成されたノズル開口面が形成されている。例えば、ブラックインクを吐出するブラックノズル列や、シアンインクを吐出するシアンノズル列、マゼンタインクを吐出するマゼンタノズル列、イエローインクを吐出するイエローノズル列等が構成されている。
また、ピエゾ素子PZTは、そのピエゾ素子PZTに対応する圧力室411を構成する弾性板414に接合されている。コントローラー10(制御部に相当)から出力される駆動信号COMにて発生する吐出波形Wa(後述の図3)がピエゾ素子PZTに印加されると、その吐出波形Waの電位に応じて、圧力室411側へのピエゾ素子PZTの撓み量が変わる。その結果、圧力室411の容積が変動し(圧力室411が膨張・収縮し)、圧力室411内のインクに圧力変動が生じ、その圧力室411に連通するノズルNzからインク滴が吐出される。
インク受け部43a,43b及びキャップ44は、ヘッド41の移動方向における非印刷領域に(即ち、媒体Sが通過しない領域に)配置され、移動方向に移動するヘッド41のノズル開口面と対向可能な位置に配置されている。インク受け部43a,43bは、フラッシング処理時にノズルNzから吐出されるインクを受ける。キャップ44は、クリーニング時にヘッド41のノズル開口面に密着してポンプによりノズルNzからインクを吸引したり、印刷停止時にヘッド41のノズル開口面に密着してノズル開口を封止することによりノズルNzからのインク溶媒の蒸発を抑制したりする。
乾燥ユニット50は、媒体Sに着弾したインクを乾燥させるためのものであり、ヒーター51(例:赤外線ヒーター)と、ファン52と、を有する。ヒーター51(加熱部に相当)は、図2Aに示すように、キャリッジ31及びヘッド41よりも上方の位置であり、プラテン42と対向する位置に配置され、プラテン42に支持される媒体Sの全域を加熱する。ファン52は、ヘッド41のノズル開口面と媒体Sとの間に風を流す。
前述のように、本実施形態のプリンター1は、インク非吸収性の媒体Sに樹脂インクを吐出することによって画像を印刷する。インク非吸収性の媒体Sに着弾した樹脂インクは、媒体S上にて流動し易い。そのため、着弾した位置にて樹脂インクが定着するように樹脂インクを乾燥させないと、所望の画像を印刷することができなくなってしまう。そこで、ヒーター51で媒体Sを加熱し、ファン52により媒体S上の樹脂インクに風を吹き付けることで、媒体Sに着弾した樹脂インクの速乾性を高めることができ、媒体S上での樹脂インクの流動を抑えることができる。
なお、ファン52の風によりヒーター51の加熱むらを抑制することができる。また、媒体Sの表面温度が45℃以上60℃以下であることが好ましい。また、ヒーター51の熱によるヘッド41の過度な加熱を防止するために、キャリッジ31のノズル開口面以外に断熱材や放熱材を設けるとよい。また、本実施形態では、ヘッド41の上方から媒体Sを加熱しているが、これに限らず、プラテン42内にヒーターを設けて下方から媒体Sを加熱してもよい。また、プラテン42よりも搬送方向の上流側にて印刷前の媒体Sを加熱してもよいし、プラテン42よりも搬送方向の下流側にて印刷後の媒体Sを加熱してもよい。また、ファン52は設けなくてもよい。
このような構成のプリンター1において、コントローラー10は、キャリッジ31によりヘッド41を移動方向に移動させつつノズルNzからインク滴を吐出させる吐出動作と、搬送ユニット20により媒体Sを搬送方向の下流側に搬送する搬送動作と、を交互に繰り返す。その結果、先の吐出動作で形成されたドットの位置とは異なる位置に、後の吐出動作でドットが形成されるため、媒体S上に2次元の画像が印刷される。なお、以下の説明では、ヘッド41が移動方向に1回移動する動作を「パス」ともいう。
===インクミストの課題と解決手段===
ヘッド41内のピエゾ素子PZTに吐出波形が印加されると、後述の図3B等に示すように、ノズルNzからインクのメニスカス(ノズル開口から露出しているインクの自由表面)が柱状に伸び、そのインク柱がノズルNz近傍で分断され、インク滴が媒体Sに向かって飛翔する。この時、メニスカスの挙動が不安定であったり、インク柱をタイミングの合わない時点で分断したりすると、分断されたインク柱(メインのインク滴)の後に、微小なインク滴が発生する場合がある。
メインのインク滴に比べると、微小なインク滴は、インク重量が小さく吐出速度が遅いため、空気抵抗の影響を受けて飛翔中に媒体Sに向かう速度を失い易い。そうすると、微小なインク滴は、媒体Sに着弾せずにミストとして舞い上がり、ヘッド41のノズル開口面41aに付着してしまう場合がある。
また、前述のように、本実施形態のプリンター1では、インク非吸収性の媒体Sに樹脂インクを吐出するので、媒体S上での樹脂インクの流動を抑えるために、媒体Sに着弾した樹脂インクを乾燥させる必要があり、プリンター1内には媒体Sを加熱するために高温のヒーター51が設けられている。そのため、ヒーター51の熱により、プリンター1内の環境温度は高まり(例えば40℃となり)、ヘッド41内のインク温度も高まってしまう(例えば50℃となる)。インクは、温度が高くなるにしたがって粘度が低下する。また、インクの粘度が低下し過ぎると(例えば50℃におけるインク粘度が1.7mPa・s以下であると)、ノズルNzから柱状に伸びるメニスカスが長くなり(長く尾を引くようになり)、微小なインク滴が発生し易くなってしまう。
また、本実施形態のプリンター1では、高温のヒーター51からの熱や媒体Sからの輻射熱の影響で、ヘッド41のノズル開口面41aが加熱されている。例えば、媒体Sの表面温度を45℃〜60℃にすると、ノズル開口面41aの温度は40℃〜55℃まで上がってしまう。
そのため、ノズル開口面41aにインクミストが付着すると、付着したインクが高温のノズル開口面41aで乾燥し、ノズル開口面41aに固着してしまう。また、本実施形態のプリンター1では、インク非吸収性の媒体Sに印刷される画像の耐擦性を高めるために樹脂インクを使用する。そのため、ノズル開口面41aに付着して乾燥したインクは樹脂膜を形成し、ノズル開口面41aからインクが剥がれ難くなってしまう。その他、インクの速乾性を高めるために、例えば保湿剤の量を減らしたインクを使用する場合には、更に、ノズル開口面41aにてインクが乾燥し易くなり、ノズル開口面41aに固着してしまう。
その結果、ヘッド41のノズル開口面41aにてインクが固着し、固着したインクによりノズルNzの開口部が塞がれてしまう虞がある。そうすると、ノズルNzからのインク滴の吐出が阻害されてしまう。例えば、ノズルNzから規定量のインクが吐出されなかったり、ノズルNzから吐出されたインク滴の飛翔方向がずれたり、最もひどい場合には、ノズルNzが固着したインクによって完全に塞がれインクを吐出できなくなったりと、吐出不良が発生し、印刷画像の画質が劣化してしまう。また、このようにノズル開口面41aで固着してしまったインクは、通常のフラッシング処理やインク吸引では排除することができない。従って、本実施形態のプリンター1では、ヘッド41のノズル開口面41aへのインク付着量を低減することが課題となる。
そこで、本実施形態のプリンター1では、前述のように、50℃における粘度が2.1mPa・s以上である樹脂インクを使用することを特徴とする。このように、一般的な樹脂インクに比べて高温(50℃)での粘度が高い樹脂インクを使用することで、ヒーター51の熱によりプリンター1内の環境温度が高まりヘッド41内のインク温度が高まっても、ノズルNzから柱状に伸びるメニスカスの長さ(インクの尾引き)を抑えることができる。よって、微小なインク滴の発生が抑制され、ヘッド41のノズル開口面41aへのインク付着量を低減することができる。
更に、本実施形態のプリンター1では、微小なインク滴の発生を抑制するために、後述の図3Aに示すように、ヘッド41内の圧力室411を膨張・収縮させた後に、二段階に分けて圧力室411を膨張させる吐出波形Waを使用して、ヘッド41を駆動する。以下、本実施形態のプリンター1で使用する吐出波形Waについて詳しく説明する。
===吐出波形Wa===
吐出波形Waは、ノズルNzからインク滴を吐出させるためにピエゾ素子PZTに印加する波形である。吐出波形Waがピエゾ素子PZTに印加されることにより、ピエゾ素子PZTの撓み量が変化し、それに伴い圧力室411が膨張・収縮し、その圧力室411に連通するノズルNzからインク滴が吐出される。
図3Aは、本実施形態の吐出波形Waを説明する図であり、図3Bは、本実施形態の吐出波形Waがピエゾ素子PZTに印加されたときのメニスカスの動きを説明する図である。図4Aは、比較例の吐出波形Wa’を説明する図であり、図4Bは、比較例の吐出波形Wa’がピエゾ素子PZTに印加されたときのメニスカスの動きを説明する図である。
まず、本実施形態の吐出波形Wa(図3A)について説明する。
本実施形態の「吐出波形Wa」は、最高電位Vhaと最低電位Vlaの間の待機電位Vsから緩やかな勾配で電位を下降させる「第1波形部S1(第1膨張要素)」と、第1波形部S1の終端電位から最低電位Vlaまで第1波形部S1よりも急な勾配で電位を下降させる「第2波形部S2(第1膨張要素)」と、最低電位Vlaを保持する「第3波形部S3」と、最低電位Vlaから最高電位Vhaまで急な勾配で電位を上昇させる「第4波形部S4(収縮要素)」と、最高電位Vhaを保持する「第5波形部S5」と、最高電位Vhaから最高電位Vhaより相対的に低い第1中間電位Vc1まで電位を下降させる「第6波形部S6(第2膨張要素)」と、第1中間電位Vc1を保持する「第7波形部S7(第6波形部の終端と第8波形部の始端とを同電位で接続する接続要素)」と、第1中間電位Vc1から第1中間電位Vc1より相対的に低い第2中間電位Vc2まで電位を下降させる「第8波形部S8(第3膨張要素)」と、第2中間電位Vc2を保持する「第9波形部S9」と、第2中間電位Vc2から待機電位Vsまで電位を上昇させる「第10波形部S10」と、を有する。
なお、待機電位Vsが印加されているときの圧力室411の容積を基準容積とし、待機電位Vsよりも電位を下降させると圧力室411が膨張し、待機電位Vsよりも電位を上昇させると圧力室411が収縮する。また、待機電位Vsが印加されているとき、ノズルNzのメニスカスはノズルNzの開口縁に位置する。また、第4波形部S4の印加終了時から第6波形部S6の印加終了時までの時間を「第1の時間T1」と呼び、第4波形部S4の印加終了時から第8波形部S8の印加終了時までの時間を「第2の時間T2」と呼ぶ。そして、本実施形態の吐出波形Waは、第1の時間T1が圧力室内のインクの固有振動周期Tcの半分の時間よりも短くなるように設定され(T1<Tc×1/2)、第2の時間T2が圧力室内のインクの固有振動周期Tcと等しくなるように設定されている(T2=Tc)。
圧力室内のインクの固有振動周期Tcは、ノズルNzや圧力室411の形状等によって決まる値であって、次式(1)で表すことができる。
Tc=2π√[〔(Mn×Ms)/(Mn+Ms)〕×Cc]・・・(1)
式(1)において、MnはノズルNzのイナータンス、Msはインク供給路413のイナータンス、Ccは圧力室411のコンプライアンス(単位圧力あたりの容積変化、柔らかさの度合いを示す)である。上記式(1)において、イナータンスMとは、インク流路におけるインクの移動し易さを示し、単位断面積あたりのインクの質量である。そして、インクの密度をρ、流路のインク流れ方向と直交する面の断面積をS、流路の長さをLとしたとき、イナータンスMは次式(2)で近似して表すことができる。
イナータンスM=(密度ρ×長さL)/断面積S・・・(2)
また、Tcは上記式(1)に限らず、圧力室411が有している固有振動周期であればよい。
まず、第1波形部S1及び第2波形部S2がピエゾ素子PZTに印加されると、圧力室411が基準容積よりも膨張し、圧力室411内のインクの圧力が低下する。そうすると、図3Bのaに示すように、ノズルNzのメニスカスがノズルNzの開口縁よりも圧力室側に引き込まれる。そして、第3波形部S3により圧力室411の膨張状態が保持される。また、第3波形部S3が印加されている期間にメニスカスは自由振動するため、第3波形部S3の印加時間を調整することで、次の第4波形部S4が印加される時のメニスカスの状態を調整することができる。そうして、ノズルNzから吐出されるインク滴の重量やインク滴の吐出速度を調整することができる。
次に、第4波形部S4がピエゾ素子PZTに印加されると、圧力室411が急激に収縮し、圧力室411内のインクの圧力が高まる。そうすると、図3Bのbに示すように、メニスカスがノズルNzの開口縁よりも吐出側(媒体S側)にインク柱となって押し出される。そして、第5波形部S5により圧力室411の収縮状態が保持され、その間にもインク柱は吐出側に伸びる。
次に、第6波形部S6がピエゾ素子PZTに印加されると、圧力室411は少し膨張し、基準容積よりも少し収縮している状態となる(即ち、第5波形部S5が印加された後よりも少し膨張している状態となる)。そうすると、図3Bのcに示すように、メニスカスの中心部は吐出しようとする力の方が強いためにインク柱として吐出側に伸びようとするが、メニスカスの周縁部は、吐出側に移動しようとする力が抑えられ、圧力室側に引き込まれる。このようにメニスカスの周縁部を圧力室側に引き込むことで、インク柱全体として吐出側に移動しようとする力を制御することができ、ノズルNzから吐出されるインク滴の重量を調整することができる。
また、本実施形態の吐出波形Waでは、第4波形部S4の印加終了時から第6波形部S6の印加終了時までの第1の時間T1が、圧力室内のインクの固有振動周期Tc(第2の時間T2)の半分の時間よりも短い時間となるように設定されている(T1<Tc×1/2)。つまり、メニスカスが吐出側に移動している時に圧力室411が少し膨張するように、吐出波形Waは設定されている。そのため、メニスカスの周縁部が吐出側に移動しようとする力を抑えることができ、第4波形部S4によりメニスカスに生じた残留振動を第8波形部S8の効果と比較して少し制振させることができる。従って、後述の図4BのBに示すように、メニスカスの周縁部が大きく盛り上がってしまうことを防止できる。逆に、第1の時間T1を仮に圧力室内のインクの固有振動周期Tcの半分の時間とほぼ等しくしてしまうと(T1≒Tc×1/2)、メニスカスの残留振動が加振されてしまう。
そして、第7波形部S7により圧力室411が基準容積よりも少し収縮している状態が保持される。この期間にも、メニスカスの中心部(インク柱)は慣性力により吐出側に更に伸びようとするのに対して、メニスカスの周縁部は更に圧力室側に引き込まれる。そして、第4波形部S4の印加終了時から圧力室内のインクの固有振動周期Tcの3/4が経過した時点で、図3Bのdに示すように、メニスカスの周縁部は圧力室側に最も引き込まれる。その後、残留振動の方向が変化し、メニスカスの周縁部が吐出側に移動しようとする。
本実施形態の吐出波形Waは、第4波形部S4の印加終了時から第8波形部S8の印加終了時までの第2の時間T2が圧力室内のインクの固有振動周期Tcと等しくなるように設定されている。そのため、メニスカスの周縁部が吐出側に移動している時に、第8波形部S8により圧力室411を膨張させることができる。そのため、図3Bのeに示すように、メニスカスの周縁部が吐出側に移動しようとする力を抑えることができ、メニスカスに生じている残留振動を制振させることができる。従って、後述の図4BのBに示すように、メニスカスの周縁部が大きく盛り上がってしまうことを防止できる。
最終的に、インク柱は、図3Bのfに示すように、メニスカスから分断されて、インク滴として媒体Sに向かって飛翔する。なお、インク滴(インク柱)は飛翔中に先端部のメイン滴(1滴目)と後端部のサテライト滴(2滴目)に分離する場合がある。また、本実施形態の吐出波形Waでは、第6波形部S6や第8波形部S8によりメニスカスの残留振動が制振され、後述の図4BのBに示すようにメニスカスの周縁部が大きく盛り上がってしまうことを防止できる。従って、後述の図4BのCやDに示すように、大きく盛り上がったメニスカスの周縁部がインク柱の後端にくっついて、分断されたインク柱の後に微小なインク滴(3滴目以降)が発生してしまうことを抑制できる。
一方、第8波形部S8により基準容積よりも少し膨張した圧力室411は、第9波形部S9によりその状態が保持される。その後、第10波形部S10により圧力室411は収縮し、圧力室411は基準容積に戻る。なお、インク柱がメニスカスから分断された後(図3Bのf)、その反動でメニスカスは圧力室411側に移動する。このタイミングで圧力室411が収縮するように(即ち、第10波形部S10が発生するように)、第9波形部S9の長さを調整することで、メニスカスの圧力室側への移動を抑えることができる。つまり、インク柱の分断によるメニスカスの反動を制振させることができる。よって、メニスカスの挙動が安定している状態で、次の吐出波形Waをピエゾ素子PZTに印加することができ、ノズルNzから安定してインク滴を吐出させることができる。
次に、比較例の吐出波形Wa’(図4A)について説明する。
比較例の吐出波形Wa’は、第1波形部S1及び第2波形部S2により圧力室411を膨張させて、第4波形部S4により圧力室411を収縮させた後に、第6波形部S6’により圧力室411を1回膨張させることで圧力室411を基準容積に戻す。つまり、圧力室411を膨張・収縮させた後に、本実施形態の吐出波形Waでは二段階に分けて圧力室411を膨張させるのに対して、比較例の吐出波形Wa’では圧力室411を1回だけ膨張させる。
具体的に説明すると、比較例の吐出波形Wa’では、第4波形部S4によりメニスカスをノズルNzの開口縁から吐出側にインク柱として押し出した後に(図3Bのb)、インク滴の重量を調整するために、本実施形態の吐出波形Waと同じタイミングで第6波形部S6’が発生する。そのため、図3Bのcと同様に、メニスカスの中心部はインク柱として吐出側に伸びようとするのに対して、メニスカスの周縁部は吐出側に移動しようとする力が抑えられて圧力室側に引き込まれる。
ただし、比較例の吐出波形Wa’では、最高電位Vhaから待機電位Vsまで電位を下降させるため、本実施形態の吐出波形Waに比べて、長い時間に亘って、また、強い力によって、メニスカスの周縁部が圧力室側に引き込まれてしまう。そのため、メニスカスの周縁部を圧力室側に引き込む力が大きくなり、また、第4波形部S4によりメニスカスに生じた残留振動が加振されてしまう。よって、第4波形部S4の印加終了時から圧力室内のインクの固有振動周期Tcの3/4が経過した時点で、図4BのAに示すように、メニスカスの周縁部は圧力室側に大きく引き込まれてしまう。また、その後に残留振動の方向が変化してメニスカスの周縁部は吐出側に移動しようとするが、比較例の吐出波形Wa’はこのタイミングで圧力室411を膨張させないので、メニスカスの周縁部が吐出側に移動しようとする力を抑制することができない。従って、図4BのBに示すようにメニスカスの周縁部が大きく盛り上がってしまう。
大きく盛り上がった周縁部は、図4BのCに示すように、インク柱の後端にくっつき、最終的には、図4BのDに示すように、インク柱(1滴目及び2滴目)と微小なインク滴(3滴目以降)とメニスカスに分離する。インク柱(1滴目及び2滴目)の吐出速度は比較的に速く、媒体Sに着弾することができるが、3滴目はインク重量が小さく吐出速度が遅い。そのため、3滴目は途中で速度を失ってミストとして舞い上がり、ヘッド41のノズル開口面41aに3滴目が付着してしまう虞がある。
以上のように、比較例の吐出波形Wa’では、第4波形部S4により収縮した圧力室411を第6波形部S6のみで基準容積まで戻す。そのため、第6波形部S6が、図4BのAに示すように、メニスカスの周縁部を引き込み過ぎてしまう。また、メニスカスの周縁部が吐出側に移動している時に圧力室411を膨張させることができず、図4BのBに示すようにメニスカスの周縁部が大きく盛り上がってしまう。その結果、メニスカスの盛り上がった部分がインク柱の後端にくっつき、この部分が3滴目(微小なインク滴)として吐出されてしまう。
これに対して、本実施形態の吐出波形Waでは、第6波形部S6と第8波形部S8により圧力室411を二段階に分けて膨張させるため、第6波形部S6と第8波形部S8を個別に設計することができ、即ち、電位やタイミング、勾配を自由に設計することができ、微小なインク滴(インクミスト)の発生を抑制することができる。従って、ヘッド41のノズル開口面41aに付着するインク量を低減することができる。
そのため、本実施形態のプリンター1のように、ヒーター51によりノズル開口面41aの温度が高まり、ノズル開口面41aにインクが固着し易く、また、樹脂インクを使用するため、ノズル開口面41aに付着したインクが剥がれ難くなる場合にも、ノズル開口面41aにインクが堆積してしまうことを最小限に抑えられる。そのため、堆積したインクによりノズルNzからのインク滴の吐出が阻害されてしまうことを防止できる。よって、ノズルNzから規定量のインクを吐出させ、媒体S上の目標の位置にインクを着弾させることができ、印刷画像の画質劣化を抑制することができる。
特に、第4波形部S4(収縮要素)の印加終了時から第8波形部S8(第3膨張要素)の印加終了時までの第2の時間T2が圧力室内のインクの固有振動周期Tcと等しくなるように(T2=Tc)、吐出波形Waを設定するとよい。そうすることで、メニスカス(周縁部)が吐出側に移動している時に(図3Bのe)、第8波形部S8により圧力室411を膨張させることができ、メニスカスが吐出側に移動しようとする力を抑えることができる。そのため、メニスカスの残留振動を制振させることができ(メニスカスの周縁部の盛り上がりを抑えることができ)、微小なインク滴の発生を抑制することができる。
また、第4波形部S4(収縮要素)の印加終了時から第6波形部S6(第2膨張要素)の印加終了時までの第1の時間T1と、圧力室内のインクの固有振動周期をTcとの間に、T1<Tc×1/2となる関係が成立するように、吐出波形Waを設定するとよい。換言すると、第1の時間T1と第2の時間T2との間に、T1<T2×1/2となる関係が成立するように、吐出波形Waを設定するとよい。そうすることで、メニスカス(周縁部)が吐出側に移動している時に(図3Bのc)、第6波形部S6により圧力室411を膨張させることができ、メニスカスが吐出側に移動しようとする力を抑えることができる。そのため、メニスカスの残留振動を制振させることができ(メニスカスの周縁部の盛り上がりを抑えることができ)、微小なインク滴の発生を抑制することができる。
図5A及び図5Bは、本実施形態の吐出波形Waの変形例を説明する図である。図3Aに示す吐出波形Waでは、第1波形部S1と第2波形部S2が異なる勾配で待機電位Vsから最低電位Vlaまで下降している。即ち、基準容積である圧力室411を二段階に分けて膨張させているが、これに限らない。例えば、図5Aに示す吐出波形Waのように、待機電位Vsから最低電位Vlaまで一定の勾配で下降する第1波形部S1’により、基準容積である圧力室411を膨張させてもよい。
また、図3Aに示す吐出波形Waでは、第8波形部S8が第1中間電位Vc1から待機電位Vsより相対的に低い第2中間電位Vc2まで下降している。そのため、第9波形部S9と第10波形部S10により第2中間電位Vc2を待機電位Vsまで戻しているが、これに限らない。例えば、図5Bに示す吐出波形Waのように、第8波形部S8’が第1中間電位Vc1から待機電位Vsまで電位を戻すようにしてもよい。この場合、第9波形部S9と第10波形部S10を無くすことができる。
===印刷方法===
図6Aは、本実施形態のプリンター1による印刷方法を示すフローであり、図6Bは、ワイピング処理を説明する図である。図1Aに示すように、本実施形態のプリンター1は、ワイパーユニット80を有する。ワイパーユニット80は、図2Bに示すように移動方向右側の非印刷領域に配置されたワイパー部材81と、ワイパー部材81を移動させる移動機構(不図示)と、を有する。ワイパー部材81は、図6Bに示すように、ヘッド41のノズル開口面41aと当接可能な略板状の部材であり、布で形成されている。また、ワイパー部材81は、ヘッド41のノズル開口面41aと当接した状態で、ノズル開口面41aに対して移動方向に移動可能であり、ノズル開口面41aに付着したインクミストや埃等の異物を払拭する。また、ワイパー部材81は布で形成されたものに限らず、例えば、ゴムなどの弾性部材等で形成されたものでもよい。ただし、ワイパー部材81を布にすることで、ノズル開口面41aに疵が付いてしまうことを防止できる。また、布を容易に交換することができるため、ワイパー部材81で払拭した異物の再付着を防止することができる。
以下、本実施形態のプリンター1による具体的な印刷方法の流れについて説明する。
まず、コントローラー10は、コンピューター70から印刷データを受信すると(S01)、搬送ユニット20により印刷開始位置に媒体Sをセットし、ホームポジション(ここでは移動方向右側の非印刷領域)に配置されたキャップ44で封止されていたヘッド41をキャリッジ31により移動方向の左側に移動させつつ、ヘッド41に設けられたノズルNzからインク滴を吐出させて、媒体Sに画像(一部)を印刷する。即ち、1パスの印刷を実施する(S02)。
1パスの印刷後、コントローラー10は、移動方向左側の非印刷領域に配置されたインク受け部43bと、ヘッド41のノズル開口面41aとを対向させる。そして、搬送ユニット20により媒体Sを搬送方向の下流側に搬送させている間に、コントローラー10は、ヘッド41のクリーニング処理である「フラッシング処理」を実施する(S03)。フラッシング処理とは、ヘッド41に設けられたノズルNzからインク受け部43a,43bに向けて強制的にインク滴を吐出させる処理である。例えば、図3Aに示す吐出波形Waを複数回に亘ってピエゾ素子PZTに印加することで、ノズルNzから強制的にインク滴を吐出させる。その結果、1パスの印刷中に増粘したインクやノズルNz内に混入した異物をノズルNzから吐出させることができ、ノズルNzの目詰まりを解消することができる。従って、ノズルNzが目詰まりしていない状態で次のパスの印刷を実施することができる。
次に、コントローラー10は、前回のワイピング処理から所定時間経過したか否かを確認する(S04)。前回のワイピング処理から所定時間経過していない場合(S04→NO)、次のパスがあれば(S06→NO)、コントローラー10は、再び、ヘッド41を移動方向の右側に移動させつつノズルNzからインク滴を吐出させて、媒体Sに画像(一部)を印刷し(S02)、フラッシング処理と搬送動作を実施する(S03)。前述のように、本実施形態のプリンター1では、媒体S上での樹脂インクの流動を抑えるために高温のヒーター51が設けられているため、プリンター1内の環境温度が高い。よって、ノズルNzからインクの溶媒が蒸発し易く、ノズルNzが目詰まりし易い。ただし、この印刷方法のように、パスごとにフラッシング処理を実施することで、ノズルNzの目詰まりを抑制することができ、印刷画像の画質劣化を抑制することができる。
一方、前回のワイピング処理から所定時間経過している場合(S04→YES)、コントローラー10(制御部に相当)は、ヘッド41を移動方向右側の非印刷領域に移動して、ワイピング処理を実施する(S05)。具体的には、図6Bに示すように、ヘッド41のノズル開口面41aにワイパー部材81を当接させた状態で、ノズル開口面41aに対してワイパー部材81を移動方向の左側に移動させることにより、ノズル開口面41aに付着した異物(インクミストや埃等)を払拭する。なお、図2Bに示すように、ワイパー部材81の搬送方向の長さはヘッド41の搬送方向の長さと同等である。よって、ワイパー部材81を移動方向に1回移動させるだけで、ワイパー部材81はノズル開口面41aの全域を拭き取ることができる。そして、コントローラー10は、全てのパスの印刷が終了するまで(S06→Yes)、この一連の処理を繰り返す。
前述のように、本実施形態のプリンター1では、ヘッド41内の圧力室411を膨張・収縮させた後に、二段階に分けて圧力室411を膨張させる吐出波形Waを使用することで、微小なインク滴の発生を抑制する。ただし、ノズル開口面41aへのインク付着を完全に防止することは難しい。そのため、この印刷方法のように定期的にワイピング処理を実施するとよい。そうすることで、ノズル開口面41aにインクが堆積し、堆積したインクによりノズルNzからのインク滴の吐出が阻害されてしまうことを防止できる。
なお、所定時間毎にワイピング処理を実施するに限らず、例えば、パス毎にワイピング処理を実施してもよい。また、本実施形態ではヘッド41に対してワイパー部材81を移動方向に移動させているが、これに限らず、例えば、ワイパー部材81に対してヘッド41を移動させてもよいし、ワイパー部材81を搬送方向に移動させてもよい。また、ワイパー部材81を移動方向における両側の非印刷領域に配置してもよい。
===その他の実施の形態===
上記の実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に、本発明にはその等価物が含まれることはいうまでもない。
上記の実施形態(図6)では、所定時間毎にワイピング処理を実施しているが、これに限らず、ワイパー部材81を備えず、ワイピング処理を実施しないプリンター1でもよい。
上記の実施形態では、ヘッド41が移動方向に移動しながらインクを吐出する動作と、媒体Sが搬送方向に搬送される動作とが繰り返されるプリンター1を例に挙げているが、これに限らない。例えば、媒体Sの幅長さに亘って延びた固定されたヘッドの下を媒体が通過する際に、ヘッドが媒体に向けてインクを吐出することにより、媒体に2次元の画像を印刷するプリンターでもよい。また、例えば、印刷領域に搬送された媒体Sに対して、ヘッドをX方向に移動しながら画像を印刷する動作と、ヘッドをY方向に移動する動作と、を繰り返して画像を印刷し、その後、未だ画像が印刷されていない用紙Sの部位を印刷領域に搬送するプリンターでもよい。
上記の実施形態では、ピエゾ素子PZTに吐出波形を印加して圧力室411を膨張・収縮させることによりノズルNzからインク滴を吐出させる方式を例に挙げているが、これに限らない。例えば、発熱素子を用いてノズル内に気泡を発生させ、その気泡によってノズルからインク滴を吐出させるサーマル方式でもよい。
1 プリンター、10 コントローラー、11 インターフェース部、
12 CPU、13 メモリー、14 ユニット制御回路、
20 搬送ユニット、21 搬送ローラー、
30 キャリッジユニット、31 キャリッジ、32 ガイドレール、
40 ヘッドユニット、41 ヘッド、411 圧力室、
PZT ピエゾ素子、Nz ノズル、
412 共通インク室、413 インク供給路、414 弾性板、
42 プラテン、43a インク受け部、43b インク受け部、
44 キャップ、50 乾燥ユニット、51 ヒーター、52 ファン、
60 検出器群、70 コンピューター、
80 ワイパーユニット、81 ワイパー部材

Claims (5)

  1. 熱可塑性樹脂粒子を含み、50℃における粘度が2.1mPa・s以上であるインクを吐出する複数のノズルと、前記ノズル毎に設けられる圧力室と、前記圧力室毎に設けられる駆動素子と、を有するヘッドと、
    インク非吸収性である媒体と、
    前記媒体を加熱する加熱部と、
    駆動信号の印加により前記駆動素子を駆動させて、当該駆動素子に対応する前記圧力室を膨張及び収縮させることにより、当該圧力室に連通する前記ノズルからインク滴を吐出させる制御部と、
    を備え、
    前記駆動信号にて発生する吐出波形は、前記圧力室を膨張させる第1膨張要素と、前記第1膨張要素により膨張した前記圧力室を収縮させる収縮要素と、前記収縮要素により収縮した圧力室を膨張させる第2膨張要素と、前記第2膨張要素により膨張した前記圧力室を更に膨張させる第3膨張要素と、前記第2膨張要素の終端と前記第3膨張要素の始端とを同電位で接続する接続要素と、を有すること、
    を特徴とする印刷装置。
  2. 請求項1に記載の印刷装置であって、
    前記ノズルの開口部が設けられた前記ヘッドのノズル開口面に当接するワイパー部材を有し、
    前記制御部は、前記ノズル開口面に前記ワイパー部材を当接させた状態で、前記ノズル開口面と前記ワイパー部材とを相対移動させることにより、前記ノズル開口面に付着した異物を払拭する、
    ことを特徴とする印刷装置。
  3. 請求項1または請求項2に記載の印刷装置であって、
    前記吐出波形は、前記収縮要素の印加終了時から前記第3膨張要素の印加終了時までの時間が前記圧力室内のインクの固有振動周期と等しくなるように、設定されている、
    ことを特徴とする印刷装置。
  4. 請求項1から請求項3の何れか1項に記載の印刷装置であって、
    前記吐出波形は、前記収縮要素の印加終了時から前記第2膨張要素の印加終了時までの時間をT1とし、前記圧力室内のインクの固有振動周期をTcとしたときに、T1<Tc×1/2となる関係が成立するように、設定されている、
    ことを特徴とする印刷装置。
  5. 熱可塑性樹脂粒子を含み、50℃における粘度が2.1mPa・s以上であるインクを吐出する複数のノズルと、前記ノズル毎に設けられる圧力室と、前記圧力室毎に設けられる駆動素子と、を有するヘッドによって、インク非吸収性の媒体へ画像を印刷する印刷方法であって、
    前記圧力室を膨張させる第1膨張要素と、前記第1膨張要素により膨張した前記圧力室を収縮させる収縮要素と、前記収縮要素により収縮した圧力室を膨張させる第2膨張要素と、前記第2膨張要素により膨張した前記圧力室を更に膨張させる第3膨張要素と、前記第2膨張要素の終端と前記第3膨張要素の始端とを同電位で接続する接続要素と、を有する吐出波形が発生する駆動信号を、前記駆動素子に印加することにより、当該駆動素子に対応する前記圧力室を膨張及び収縮させて、当該圧力室に連通する前記ノズルから、加熱されている前記媒体に向けて、インク滴を吐出させること、
    を特徴とする印刷方法。
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