JP2014009370A - 銅或いは銅基合金を酸洗した後の酸洗液から銅或いは銅基合金金属を回収する方法 - Google Patents

銅或いは銅基合金を酸洗した後の酸洗液から銅或いは銅基合金金属を回収する方法 Download PDF

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直樹 加藤
Kenji Kubota
賢治 久保田
Shunsuke Kawai
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Abstract

【課題】銅或いは銅基合金を酸洗洗浄した後の酸洗液を電解して銅あるいは銅基合金金属を回収する際に、電解槽で変化する銅イオン濃度ないし銅基合金金属イオン濃度に応じて、電流密度、流速を適切に変化させて、連続的に電気分解することにより、ハンドリング性の良好な再生原料として利用可能な高純度の銅或いは銅基合金金属を多量に効率良く回収する方法を提供する。
【解決手段】銅或いは銅基合金を酸洗浄した後の酸洗液を電気分解し、銅或いは銅基合金金属を回収する方法において、電解槽の電流密度Iが0.1〜30A/dm2であり、酸洗液の銅イオン濃度ないし銅基合金金属イオン濃度Cが1〜60g/Lであり、前記陰極と陽極の間を水平方向に流れる前記酸洗後の酸洗液の流速をU(m/s)とした場合に、I < C×U2/3となるように、前記電流密度Iと前記流速Uを調整する。
【選択図】図1

Description

本発明は、銅或いは銅基合金を酸洗浄した後の酸洗液から電気分解により銅或いは銅基合金金属を連続的に効率良く回収する方法に関する。
例えば、熱間圧延や熱間押出しなどの熱処理加工が施された後の銅或いは銅基合金について、その表面に生成された酸化被膜や微細な欠陥を除去することを目的として、酸洗浄やエッチング処理が通常に行われている。この酸洗液やエッチング液としては、硫酸や硫酸に過酸化水素を混合した硫酸系の酸や、塩酸、硝酸が用いられており、またフッ酸やその他界面活性剤などの添加剤も用いられている。近年では、資源回収の観点や排水処理の問題から、酸洗浄後の酸洗液やエッチング処理後のエッチング処理液に溶解された酸化銅や金属銅を電解法で回収すると共に、使用された酸洗液或いはエッチング液を再生利用することが広く試みられている。
特許文献1には、銅の酸洗仕上工程にて生じる銅及び硝酸を含有する廃液から、電解により硝酸及び金属銅粉末を再生し回収する方法として、銅又は銅合金製品の酸洗工程で生じる銅及び硝酸を含有する廃液を、両極のうち少なくとも陽極をフェライト電極とし、かつ、陽極と陰極との間にアニオン隔膜とカチオン隔膜との組合せ、或いは、複数の両性膜の組合せにより、陽極域、中間域及び陰極域を形成させた装置内で、陰極域のpHを0.2〜2.0の範囲内に維持しながら電解処理し、陽極域に硝酸を、陰極域に粉末状態の銅を再生させる方法が開示されている。
特許文献2には、銅合金酸洗廃液を再利用する場合に問題となる、細かい固形物となる錫酸化物、水酸化物を発生させることなく、効率的に錫を除去し、更に処理液中の銅を効率よく回収し、処理後の硫酸を再利用する方法として、廃液を40℃以上に加熱し、錫を選択的に沈降分離処理する前処理を施した後に、再生処理することを特徴とする銅合金酸洗廃液の再生方法が開示されている。
特公昭61−60148号公報 特開2003−342763号公報
銅イオン或いは銅基合金の金属イオンを含む酸洗後の酸洗液を電解槽にて電気分解し、銅或いは銅基合金金属を陰極上に析出させて回収する従来の方法では、ハンドリング性の良好な再生原料として利用可能な高純度の銅或いは銅基合金金属を効率良く多量に回収することが難しかった。
本発明では、上述の問題点を解決し、銅イオン或いは銅基合金の金属イオンを含む酸洗後の酸洗液を、電解槽にて、変化する銅イオン或いは銅基合金の金属イオンの濃度に応じて、電流密度、流速を適切に変化させて、連続的に電気分解することにより、ハンドリング性の良好な再生原料として利用可能な高純度の銅或いは銅基合金を多量に効率良く回収することを目的とする。なお、本発明において銅基合金金属とは銅基合金を形成する銅とその銅基合金を形成する金属を云う。また、特に言及しない限り酸洗液とは酸洗浄後の洗浄液である。
電解槽にて酸洗液を循環し、電気分解により連続的にハンドリング性の良好な再生原料として利用可能な高純度の銅或いは銅基合金金属を陰極上に回収する場合、酸洗液の銅イオン濃度は刻々と変化し、電気分解条件が一定であると、電気分解が不安定となり、回収される銅或いは銅基合金金属の性状が大幅に不均質になる。
これを防ぐ為に、従来では、電解槽において変化する酸洗液の銅イオン濃度ないし銅基合金の金属イオン濃度に応じて、電解槽に負荷される電流密度を適宜変更していたが、銅イオン濃度等の変動幅が大きい場合は、電流密度の調整だけでは安定した電気分解を連続的に行うことは難しかった。
本発明者らは、これらの事情に鑑みて鋭意検討の結果、電解槽の電流密度I、および酸洗液の銅イオン濃度ないし銅基合金の金属イオン濃度Cが一定範囲において、電解槽において変化する酸洗液の銅イオン濃度C(g/L)に対し、電解槽の電流密度I(A/dm2)の制御に加え、電解槽の陰極と陽極の間を水平に流れる酸洗液の流速U(m/s)も制御し、I < C×U2/3となるように、電解槽の電流密度Iと流速Uを調整することにより、酸洗液の銅イオン濃度ないし銅基合金の金属イオンの濃度が大幅に変化しても、安定した電気分解が連続的になされることを見出した。
即ち、本発明の銅或いは銅基合金を酸洗浄した後の酸洗液から銅或いは銅基合金金属を回収する方法は、銅或いは銅基合金の酸洗後の酸洗液を電解槽にて電気分解し、銅或いは銅基合金金属を陰極上に析出させて回収する方法において、前記電解槽の電流密度Iが0.1〜30A/dm2であり、前記酸洗後の酸洗液の銅或いは銅基合金イオン濃度Cが1〜60g/Lであり、前記陰極と陽極の間を水平方向に流れる前記酸洗後の酸洗液の流速をU(m/s)とした場合に、I<C×U2/3となるように、前記電流密度Iと前記流速Uを調整することを特徴とする。なお、実操業での酸洗液の流速UはI<C×U2/3〜I<0.3×C×U2/3の範囲が好ましい。
本発明において用いる電解槽は、酸洗後の酸洗液が陰極と陽極の間を水平に流れて循環される、所謂、横型チャンネルフロー式であることが好ましく、変化する酸洗後の酸洗液の銅イオン濃度C(g/L)に対し、電解槽の電流密度I(A/dm2)の変更に加え、電解槽の陰極と陽極の間を水平に流れる酸洗後の酸洗液の流速U(m/s)も変更し、I<C×U2/3となるように、電解槽の電流密度Iと流速Uを調整することにより、酸洗後の酸洗液の銅イオン濃度が変化しても、安定した電気分解が連続的になされる。
この場合、電解槽において変化する酸洗液の銅イオン濃度や銅基合金の金属イオン濃度Cを検出して、先ず電流密度Iを調整し、次に流速Uを調整して、I<C×U2/3になるように、好ましくはI<C×U2/3〜I<0.3×C×U2/3の範囲になるように、何らかの手段にて自動的に制御することが好ましい。
電解を行う酸洗液の銅イオン濃度や銅基合金の金属イオン濃度が60g/Lを超えると、酸洗液の流速をI<C×U2/3になるように調整しても、電解槽での電気分解が不安定となる。一方、銅イオン濃度や銅基合金の金属イオン濃度が1g/L未満では、そのイオン濃度が低すぎて、電気分解の効率が低下するので、運転を中止して銅或いは銅基合金金属の回収を停止することが好ましい。
電解槽の電流密度が0.1A/dm2未満、或いは、30A/dm2を超えると、I < C×U2/3に調整しても、電解槽での電気分解が不安定になる。
上述の電流密度Iの範囲内、および酸洗液の銅イオン濃度や銅基合金の金属イオン濃度Cの範囲内で、電流密度Iと流速Uを、I<C×U2/3に制御することによって安定した電気分解を行うことができる。電流密度IがC×U2/3以上であると、変化する酸洗液の銅イオン濃度や銅基合金の金属イオン濃度Cに応じて安定した電気分解がなされなくなる。なお、実操業での酸洗液の流速UはI<C×U2/3〜I<0.3×C×U2/3の範囲が好ましい。
本発明の酸洗液は、銅或いは銅基合金を酸洗浄した酸洗液であってこれらの金属イオンを含む酸洗液であれば種類は問わない。なお、硫酸:10〜400g/L、芳香族スルホン酸、芳香族スルホン酸塩、アルキルアミン、芳香族カルボン酸、芳香族カルボン酸塩からなるグループから選択された少なくとも一つの添加剤:0.01〜10g/L、アルキルベンゼンスルホン酸、アルキルベンゼンスルホン酸塩からなるグループから選択された少なくとも一つの界面活性剤:0.005〜10g/L、銅イオン:1〜60g/Lを含有する酸洗液が特に好ましい。
本発明の酸洗液において、硫酸が10g/L未満では、銅或いは銅基合金の酸化皮膜の除去効果が低下し、400g/Lを超えると、効果が飽和してコスト的に無駄となる。
本発明の酸洗液において、芳香族スルホン酸、芳香族スルホン酸塩、アルキルアミン、芳香族カルボン酸、芳香族カルボン酸塩からなるグループから選択された少なくとも一つの添加剤は、銅或いは銅基合金表面に付着している前工程から持ち込まれる加工油が酸洗液を汚染していても、電気分解時に、ハンドリング性の良好な再生原料として利用可能な高純度の銅或いは銅基合金を陰極上に析出させ、陰極上で過酸化水素が還元分解されることを防ぐ。なお、その添加量が0.01g/L未満、或いは、10g/Lを超えるとその効果を得るのは難い。
本発明の酸洗液において、アルキルベンゼンスルホン酸、アルキルベンゼンスルホン酸塩からなるグループから選択された少なくとも一つの界面活性剤は、酸洗液中でも化学的に安定で、長期間にわたり酸洗液の表面張力を下げてミストの飛散を防止し、酸洗液の浸透力を上げて酸洗能力を高める。特に、電気分解時に陰極から発生する酸素ガスに起因する大量の硫酸ミストの飛散を防止することができる。なお、その添加量が、0.005g/L未満、或いは、10g/Lを超えると上述の効果を得るのは難い。
本発明において用いる電解槽は、酸洗後の酸洗液が循環する入口部と出口部を有する横型凹形状体であり、長手方向の両側の側壁周辺に各々の陽極板が設置され、各々の陽極板の間に複数の陰極板が直列に前記各々の陽極板と平行に設置されていることを特徴とする。
電解槽を縦型ではなく、横型チャンネルフロー式の横型凹形状体とすることにより、酸洗後の酸洗液を水平方向に連続的に流して循環することが容易になり、上側の空隙部より、運転の状況が把握でき、表面に回収された銅或いは銅基合金を有する陰極板を容易に取り出しすることができる。
陰極板は、一枚板であると、酸洗液の流れ場の影響を受け易く、銅或いは銅基合金金属の析出が不均質になるので、分割して複数個を陽極板間に陽極板と平行に設置することが好ましい。
更に、上記電解槽は、複数の陽極板と陰極板との間を流れる酸洗液の流れを乱すための分散棒ないし分散板が、前記複数の陰極板の近傍に複数個設置されたことを特徴とする。
陽極板と陰極板との間を流れる酸洗液の流れ場が均一であると、陰極板近傍において銅イオン濃度や銅基合金金属イオン濃度が下流にいくに従って低下し、連続的な電気分解が不安定になり易くなるので、陰極板近傍の酸洗液の流れを乱すための分散棒ないし分散板を、陰極板の近傍に複数個設置することが好ましい。例えば、陽極と陰極との間の距離がLであるとき、陰極からの距離が1/3L未満の空間に分散棒ないし分散板を設置すると良い。また、流路幅を90%以下に制限するように分散棒ないし分散板を設置すると良い。具体的には例えば流路幅100mmに対してφ10mm以上の分散棒ないし分散板を設置すると良い。
本発明の回収方法により、銅或いは銅基合金の酸洗後の酸洗液から電気分解により銅或いは銅基合金金属を連続的に効率良く回収することができる。
本発明の方法に係る一実施例を示すフローシート図。 本発明の方法を実施するための横型電解槽の一例を示す概略外観図。 図2の横型電解槽の平面図。 本発明の方法において好ましい電流密度と流速の関係を示すグラフ。
図1は、本発明の一実施例を示すフローシート図である。酸洗液2で満たされた酸洗浴1に銅或いは銅基合金3が浸漬され、その表面の酸化皮膜が銅イオン或いは銅基合金の金属イオンとして酸洗液2内に除去される。酸化皮膜は、前工程での熱処理などの程度にもよるが、厚さは0.05〜10μmであり、酸洗液2の温度は、30〜60℃が適切であり、浸漬時間は、30〜120分であることが好ましい。酸化皮膜が除去された銅或いは銅基合金3は、酸洗浴1から引き揚げられ、次の工程に供される。
酸洗液2は、銅或いは銅基合金3の酸化皮膜を酸洗する機能を有する酸洗液であれば種類は問わないが、硫酸:10〜400g/L、芳香族スルホン酸、芳香族スルホン酸塩、アルキルアミン、芳香族カルボン酸、芳香族カルボン酸塩からなるグループから選択された少なくとも一つの添加剤:0.01〜10g/L、アルキルベンゼンスルホン酸、アルキルベンゼンスルホン酸塩からなるグループから選択された少なくとも一つの界面活性剤:0.005〜10g/Lを含有していることが好ましい。
硫酸が10g/L未満では、銅或いは銅基合金3の酸化皮膜の除去効果が低下し、400g/Lを超えると、効果が飽和してコスト的に無駄となる。
芳香族スルホン酸、芳香族スルホン酸塩、アルキルアミン、芳香族カルボン酸、芳香族カルボン酸塩からなるグループから選択された少なくとも一つの添加剤は、銅或いは銅基合金3表面に付着している前工程から持ち込まれる加工油が酸洗液を汚染していても、電気分解時に、ハンドリング性の良好な再生原料として利用可能な高純度の銅或いは銅基合金10を陰極上に析出させ、陰極上で過酸化水素が還元分解されることを防ぐ。なお、その添加量が、0.01g/L未満、或いは、10g/Lを超えるとその効果を得るのは難しい。
酸洗液2において、アルキルベンゼンスルホン酸、アルキルベンゼンスルホン酸塩からなるグループから選択された少なくとも一つの界面活性剤は、酸洗液2中でも化学的に安定で、長期間にわたり酸洗液2の表面張力を下げてミストの飛散を防止し、酸洗液2の浸透力を上げて酸洗能力を高める。特に、電気分解時に陰極から発生する酸素ガスに起因する大量の硫酸ミストの飛散を防止することができる。なお、その添加量が、0.005g/L未満、或いは、10g/Lを超えると上述の効果を得るのは難しい。
次に、酸洗浴1の除去された酸化皮膜を含む酸洗後の酸洗液Xは、ポンプP1によって横型電解槽4に全量搬送される。横型電解槽4には、陽極8、陰極9がセットされ、その間に整流器13を介して通電することにより、横型電解槽4内を流れる酸洗後の酸洗液Xは、電気分解されて銅或いは銅基合金金属10を陰極9の表面に析出する。電解後の酸洗液YはポンプP2により、横型電解槽4に循環されて電気分解を繰返し、効率良く再生原料として利用可能な銅或いは銅基合金金属10を陰極9上に連続的に析出する。この場合、酸洗液Yの一部は、酸洗浴1に戻して再利用し、その後、ポンプP1によって横型電解槽4内に供給して循環使用しても良い。電気分解終了後に、銅或いは銅基合金金属10が析出された陰極9は、横型電解槽4から引き出され、銅或いは銅基合金金属が回収され、洗浄後に再生原料として利用される。
酸洗液Xは、銅或いは銅基合金を酸洗した後のそれらのイオンを含む酸洗液であれば種類は問わないが、前述の酸洗液(硫酸:10〜400g/L、芳香族スルホン酸、芳香族スルホン酸塩、アルキルアミン、芳香族カルボン酸、芳香族カルボン酸塩からなるグループから選択された少なくとも一つの添加剤:0.01〜10g/L、アルキルベンゼンスルホン酸、アルキルベンゼンスルホン酸塩からなるグループから選択された少なくとも一つの界面活性剤:0.005〜10g/L)に、酸化皮膜からの銅イオン或いは銅基合金金属イオン:1〜60g/Lを含有することが好ましい。また、その後の横型電解槽4での電気分解の電解液として適量の硫酸銅を含有していても良い。
図2、図3に示すように、横型電解槽4は、酸洗後の酸洗液Xが陰極9と陽極8の間を水平方向に流れて循環される、所謂、横型チャンネルフロー式であることが好ましく、変化する酸洗液Xの銅イオン濃度ないし銅基合金金属イオン濃度C(g/L)に対し、横型電解槽4の電流密度I(A/dm2)の変更に加え、横型電解槽4の陰極9と陽極8の間を水平方向に流れる酸洗後の酸洗液Xの流速U(m/s)も変更し、I<C×U2/3となるように、横型電解槽4の電流密度Iと流速Uを調整することにより、酸洗後の酸洗液Xの銅イオン濃度が変化しても、安定した電気分解が連続的になされ、表面が平滑な金属銅を回収することができる。
この場合、変化する酸洗液Xの銅イオン濃度ないし銅基合金の金属イオン濃度Cを検出して、先ず電流密度Iを調整し、その後、流速Uを調整して、I<C×U2/3なるように何らかの手段にて自動的に制御することが好ましい。
一般に、流速が遅すぎると電解の効率が低下し、流速が早すぎると電解が不十分になるので、実操業での酸洗液の流速UはI<C×U2/3〜I<0.3×C×U2/3の範囲が好ましい。具体的には、例えば、電解初期において、電流密度Iが30A/dm2、銅イオン濃度Cが55g/Lであるとき、I<C×U2/3になる流速Uは約0.5m/s以上であり、I<0.3×C×U2/3になる流速Uは約2.4m/s以上であるので、実操業での流速Uは約0.5〜約2.4m/sの範囲が好ましい。また、電解終了期において、電流密度Iが0.1A/dm2、銅イオン濃度Cが1g/Lであるとき、I<C×U2/3になる流速Uは約0.06m/s以上であり、I<0.3×C×U2/3になる流速Uは約0.19m/s以上であるので、実操業での流速Uは約0.06〜約0.19m/sの範囲が好ましい。好ましい流速Uの範囲の一例を図4に示す。
なお、溶存酸素や過酸化水素などの酸化剤が存在する液では、電流密度Iを高くすることによって酸化剤の分解などの副反応が抑制されるので、銅回収の電流効率を高めることができる。従って、電流密度Iが0.1〜30A/dm2の範囲で、電流密度Iを高めた場合には、流速Uが図4に示す範囲になるように制御すると良い。
酸洗液Xの銅イオン濃度ないし銅基合金の金属イオン濃度が60g/Lを超えると、I<C×U2/3に調整しても、横型電解槽4での電気分解が不安定となる。一方、銅イオン濃度ないし銅基合金の金属イオン濃度が1g/L未満では、そのイオン濃度が低すぎて、電気分解の効率が低下するので、運転を中止して銅或いは銅基合金10の回収を停止することが好ましい。
横型電解槽4の電流密度が0.1A/dm2未満、或いは、30A/dm2を超えると、I<C×U2/3に調整しても、横型電解槽4での電気分解が不安定になる。
上述の電流密度I、酸洗液Xの銅イオン濃度ないし銅基合金の金属イオン濃度Cの範囲内で、電流密度IをC×U2/3未満とすることにより、安定した電気分解がなされるが、電流密度IがC×U2/3以上であると、変化する酸洗後の酸洗液Xの銅イオン濃度ないし銅
基合金の金属イオン濃度Cに応じた安定した電気分解がなされなくなる。
図3に示すように、横型電解槽4は、酸洗後の酸洗液Xが循環する入口部5と出口部6を有する横型凹形状体であり、上開きの細長い箱型の本体14の両端におのおの入口部5と出口部6が設けられている。細長い箱型本体14の両側の側壁7に沿って陽極板8が設置され、側壁7に沿って設けられた陽極板8に挟まれるように本体14の中心に沿って長手方向に複数の陰極板9が直列に陽極板8と平行に設置されている。
電解槽を縦型ではなく、横型チャンネルフロー式の横型凹形状体とすることにより、酸洗後の酸洗液Xを水平方向に連続的に流して循環することが容易になり、上側の空隙部11より、運転の状況が把握でき、表面に回収された銅或いは銅基合金10を有する陰極板9を容易に取り出すことができる。
陰極板9は、一枚板であると、酸洗液Xの流れ場の影響を受け易く、銅或いは銅基合金金属10の析出が不均質になるので、分割して複数個を陽極板8の間に陽極板8と平行に設置することが好ましい。
更に、陽極板8と陰極板9との間を流れる酸洗液Xの流れ場が均一であると、陰極板9近傍の銅イオン濃度ないし銅基合金の金属イオン濃度が下流にいくに従って低下し、連続的な電気分解が不安定になり易くなるので、陰極板9近傍の酸洗液Xの流れを乱すための分散棒ないし分散板12を陰極板9の近傍Zに複数個設置することが好ましい。例えば、陽極と陰極との間の距離がLであるとき、陰極からの距離が1/3L未満の空間に分散棒ないし分散板を設置すると良い。また、流路幅を90%以下に制限するように分散棒ないし分散板を設置すると良い。具体的には例えば流路幅100mmに対してφ10mm以上の分散棒ないし分散板を設置すると良い。分散棒ないし分散板12の材質は酸洗液Xで腐食されないようにPVC等の絶縁樹脂であり、酸洗液Xの流れの状況に応じて、適切な個数を陰極板9の周辺に固定する。
長さ500mm、幅100mm、厚さ30mmの三菱マテリアル株式会社製のタフピッチ銅(Cu:99.92%、O:300ppm、P:0ppm)板に、熱間圧延加工(600℃、圧下率50%)を施し、急冷条件を変えて、厚さ15mmのタフピッチ銅板を3枚作製した。これらのタフピッチ銅板の表面には、約0.4〜0.7μmの厚さの酸化皮膜が形成されていた。
これらのタフピッチ銅板3枚を、40℃の硫酸を主成分とする酸洗液に浸漬時間を変えて浸漬し、その酸化皮膜を剥離した後、直鎖アルキルベンゼンスルホ酸ナトリウム(A)とサリチル酸ナトリウム(B)を添加し、40℃の酸洗後の酸洗液を作製した。浸漬時間および酸洗液の組成、銅イオン濃度Cを表1に示す。
表面の酸化皮膜が剥離されたタフピッチ銅板3枚は、酸洗浴より引き揚げて次の工程に供した。
これらの酸洗後の酸洗液を図3に示す通電した横型電解槽に連続的に送って循環させ、表1に示す電解条件にて、陰極板上に酸化皮膜からの銅を板状に連続的に析出させた。
図3に示すように、陰極板はタフピッチ銅板(6分割)を、両陽極板に酸化イリジウムコートチタン板を用い、極間距離は100mmとし、太さ15mmの複数の丸棒を20mm間隔で陰極板の近傍に配置した。
また、変化する銅イオン濃度を連続的に測定して、I < C×U2/3になるように、自動的に、電解槽の整流器に付加する電流を変化させ電流密度を調整し、電解槽に供給される酸洗後の酸洗液の流量をポンプにて調整し流速を調整した。
酸洗後の酸洗液の銅イオン濃度が1.0g/Lになった時に電解を中止し、銅が表面に形成された陰極板(板状銅)を電解槽から取りだした。
次に、これらの板状銅を硫酸水溶液で洗浄した後、溶解鋳造して押出加工により棒材を成形し、銅板表面の表面粗さRa、銅板表面の硬度、銅の純度、イオウ含有量(S含有量)を測定し、割れの有無を目視にて観察した。その結果を表2に示す。
(イ)銅板表面の表面粗さRaはオリンパス製のレーザー顕微鏡を用いて測定した。
(ロ)銅板表面の硬度の測定は、MVK−G1(AKASHI社)を用いて、ビッカース硬さ試験法(JIS Z 2244)に準じてN=3で行った。
(ハ)銅板の純度の測定は、銅の中に含まれる不純物を測定して、その不純物比率を100%から差し引いて求めた。
(ニ)不純物測定には、Cを除いてグロー放電質量分析装置(GD-MS:Glow Discharge Mass Spectrometry)を用いて行い、Cは脱脂した銅試料を酸素雰囲気中高周波加熱燃焼により発生するCO2ガスの赤外吸収を測定してC量に換算した。
(ホ)S含有量は、鋳塊中のS含有量を赤外吸収法にて測定した。
表1に示すように、本発明の実施例1〜8は、電解時の初期銅イオン濃度Cが60g/L以下、初期電流密度Iが30A/dm2以下であり、酸洗液の流速UはI<C×U2/3の範囲であり、何れも適正範囲内である。この結果、表2に示すように、電解によって回収された板状銅は高純度で、適度の硬度を有しており、ハンドリング性が良く、次の洗浄工程において洗浄液中のSの影響を受け難く、溶解鋳造し押出加工された棒材は、S含有量が小さく、割れが無いことがわかる。
一方、表1に示すように、比較例1、2は初期銅イオン濃度Cがおのおの75g/L、65g/Lであって適正範囲(60g/L以下)よりも高く、比較例5は初期銅イオン濃度および硫酸濃度が適正範囲よりも高いので、酸洗液の流速UをI<C×U2/3の範囲に調整しても、回収した銅板の表面硬さは実施例よりも大幅に低く、また表面粗さも実施例より格段に高い。さらに加工した棒材にイオウ含有量も実施例より多く、割れが生じている。
比較例3、4は電解時の初期電流密度Iが40A/dm2であり適正範囲(30A/dm2以下)を超えるので、初期銅イオン濃度C、および酸洗液の流速UをI<C×U2/3の範囲に調整しても、回収した銅板の表面硬さは実施例よりも大幅に低く、また表面粗さも実施例より格段に高い。さらに加工した棒材にイオウ含有量も実施例より多く、割れが生じている。
比較例6、7は、酸洗液の銅イオン濃度Cおよび電流密度Iが適正範囲内であるが、酸洗液の流速Uに基く(C×U2/3)が電流密度Iよりも小さいので、、回収した銅板の表面硬さは実施例よりも大幅に低く、また表面粗さも実施例より格段に高い。さらに加工した棒材にイオウ含有量も実施例より多く、割れが生じている。
以上のように、本発明の回収方法では、銅或いは銅基合金の酸洗後の酸洗液から銅あるいは銅基合金金属を電解によって回収する場合に、電解槽にて変化する銅イオン濃度ないし銅基合金の金属イオン濃度に応じて、電流密度、流速を適切に変化させ、連続的に電気分解するので、ハンドリング性の良好な再生原料として利用可能な高純度の銅或いは銅基合金金属を多量に効率良く回収できることができる。
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
Figure 2014009370
Figure 2014009370
1 酸洗浴
2 酸洗液
3 銅或いは銅基合金
4 横型電解槽
5 入口部
6 出口部
7 側壁
8 陽極
9 陰極
10 析出金属
11 空間部
12 分散棒或いは分散板
13 整流器
14 本体
X 酸洗後の酸洗液
Y 電解後の酸洗液
Z 陰極の近傍
P1、P2 ポンプ

Claims (3)

  1. 銅或いは銅基合金を酸洗浄した後の酸洗液を電解槽にて電気分解し、銅或いは銅基合金金属を陰極上に析出させて回収する方法において、前記電解槽の電流密度Iが0.1〜30A/dm2であり、前記酸洗液の銅イオン濃度ないし銅基合金の金属イオン濃度Cが1〜60g/Lであり、前記陰極と陽極の間を水平方向に流れる前記酸洗後の酸洗液の流速をU(m/s)とした場合に、I < C×U2/3となるように、前記電流密度Iと前記流速Uを調整することを特徴とする銅或いは銅基合金を酸洗浄した後の酸洗液から銅或いは銅基合金金属を回収する方法。
  2. 前記電解槽は、前記酸洗液が循環する入口部と出口部を有する横型凹形状体であり、長手方向の両側の側壁周辺に各々の陽極板が設置され、前記各々の陽極板の間に複数の陰極板が直列に前記各々の陽極板と平行に設置されている請求項1に記載する酸洗液から銅或いは銅基合金金属を回収する方法。
  3. 前記各々の陽極板と前記複数の陰極板との間を流れる前記酸洗液の流れを乱すための分散棒ないし分散板が、前記複数の陰極板の近傍に複数個設置されている請求項2に記載する酸洗液から銅或いは銅基合金金属を回収する方法。
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