JP2014006209A - 埋設工法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】凹部(20)の底部(3)に、バリウム化合物或いは鉄化合物から成る層(4B)及び/又は遮水性を有する材料から成る層(5B)を形成する工程と、当該層の上方に粒体(6)を充填する工程を有し、前記粒体(6)は、放射性物質を含有する材料を造粒して形成されており、且つ、放射線を遮断するバリウム化合物或いは鉄化合物により被覆されており、地表面近傍の領域に、バリウム化合物或いは鉄化合物から成る層(4T)を形成する工程と、地表面近傍に形成されたバリウム化合物或いは鉄化合物から成る層(4T)の上方に、遮水性を有する材料から成る層(5T)を形成する工程を有する。
【選択図】図4
Description
ここで、土壌や瓦礫等の処理で通常行なわれる埋設処理を、放射性物質を含有する材料の処理に適用した場合には、埋設処理現場周辺環境に対して、放射線被爆等の悪影響を及ぼしてしまう。
そして、従来の埋設工法により放射性物質を含有する材料の処理した場合に、埋設後の放射線量が当該基準を下回るレベルにすることが、非常に困難であった。
しかし、放射線物質専用の貯蔵用容器は製造コストが高く、しかも、容量が限られているため、その様な容器を使用して放射性物質を含有する材料を処理する場合には、その処理コストが莫大なものとなってしまう。
凹部(20)の底部(3)に、バリウム化合物(例えば、バライト)或いは鉄化合物から成る層(4B)及び/又は遮水性を有する材料から成る層(5B)を形成する工程と、
当該層の上方に粒体(6)を充填する工程を有し、
前記粒体(6)は、放射性物質を含有する材料を造粒して形成されており、且つ、放射線を遮断するバリウム化合物或いは鉄化合物により被覆されており、
地表面近傍の領域に、バリウム化合物或いは鉄化合物から成る層(4T)を形成する工程と、
地表面近傍に形成されたバリウム化合物或いは鉄化合物から成る層(4T)の上方に、遮水性を有する材料から成る層(5T)を形成する工程、
を有することを特徴としている。
そして本明細書において、「凹部」なる文言は、掘削穴(例えば、いわゆる「壷堀」された孔)や、護岸壁近傍や擁壁近傍、その他の構造物近傍の空間をも包含する意味で使用されている。
また本明細書において、「凹部の底部」という文言は、底部に遮水性を有する材料から成る層を形成した場合は、当該層(遮水性を有する材料から成る層)の直上に積層された領域をも含む文言として定義する。
或いは、凹部(20)の底部(3)に形成されたバリウム化合物から成る層(4B)と地表面近傍に形成されたバリウム化合物から成る層(4T)の間の領域を、バリウム化合物で被覆された粒体(6)のみから構成することも好ましい。
仮に、当該粒体(6)を被覆しているバリウム化合物或いは鉄化合物を放射線が透過したとしても、透過した放射線は凹部(20)の上方、凹部(20)の底部(3)に形成されたバリウム化合物或いは鉄化合物から成る層(4T、4B)により、完全に遮断される。
そのため、前記凹部(20)周辺環境に放射線被爆等の悪影響を与えること無く、放射性物質を含有する材料を処理することが出来る。
そして、容積が大きい凹部を形成すれば、放射性物質を含有する材料が大量に存在したとしても、十分に埋設することが可能である。
さらに、放射線の遮断に用いられるバリウム化合物或いは鉄化合物は、専用の容器を製造するコストに比較すると遥かに安価に調達することが出来る。
そのため、本発明の埋設工法によれば、処理コストを高騰させること無く、好適に放射性物質を含有する材料を埋設処理することが出来る。
そして、掘削機械で本格的な掘削作業を行わない限りは、埋設された放射性物質を含有する材料が、大気中に露出してしまうことはない。
先ず、図1を参照して、バリウム化合物で被覆されたペレットを作成する手順について、説明する。
図1において、第1の工程S1では、埋設するべき対象物(例えば、瓦礫)を専用の焼却炉で焼却する。図示の実施形態では、埋設するべき対象物である瓦礫は、例えば、放射性物質で汚染されている瓦礫である。
第2の工程S2では、焼却後に発生する焼却灰を、焼却炉から回収する。上述した様に、図示の実施形態では、埋設するべき対象物である瓦礫は放射性物質で汚染されているため、焼却後に発生する焼却灰は、放射性物質を含有している。
そして工程S4では、放射性物質を含有する粒体を、バリウム化合物或いは鉄化合物により被覆してペレットを作成する。
ここで、「バリウム化合物」なる文言は、バリウム単体(Ba)をも包含する意味で用いられている。また、「鉄化合物」なる文言は、鉄単体(Fe)をも包含する意味で用いられている。
ここで、Ba或いはFeは原子番号が大きく、電子の数が多い。そのため、放射性物質から放射された放射線は、電子に衝突する可能性が高く、透過することが困難である。原子番号が大きい物質はその他にも多種存在するが、購入コスト、環境に与える影響等を考慮すると、バリウム化合物或いは鉄化合物が最適である。
最初に、図2〜図4を参照して、埋設工法の第1実施形態を説明する。
図2に示す工程では、先ず、地盤1に凹部20を造成する。ここで凹部20は、対向する傾斜面2、2と水平な底部3を有している。そして、凹部20の底部3に、被覆層4Bを形成する。この被覆層4Bは、バリウム化合物(例えば、「バライト」)或いは鉄化合物から構成されている。
遮水層5Cは、例えば、コンクリート、ベントナイト、遮水シート等の遮水材料で構成されている。そして、コンクリート、ベントナイトを傾斜面2に塗付することにより、或いは、遮水シートを傾斜面2に敷設することにより、遮水層5Cが形成される。
ここで、本明細書においては、遮水シートを傾斜面2に敷設することも、「遮水材料の塗布」と表現されている。
そして、ペレット6を凹部20の上縁近傍まで充填したら、その上面をバリウム化合物(例えば、バライト)或いは鉄化合物の層4Tで被覆して、さらにその上方を遮水層5Tで覆う。
遮水層5Tは遮水層5Cと同様に、遮水材料(コンクリート、ベントナイト、遮水シート)で構成されている。
仮に、当該放射線がペレット6を被覆しているバリウム化合物或いは鉄化合物を透過したとしても、遮水層4B、4Tにより、完全に遮断される。
そのため、前記凹部20周辺環境に放射線被爆等の悪影響を与えること無く、放射性物質を含有する材料を処理することが出来る。
そして、掘削された凹部20は容積が大きいので、放射性物質を含有する材料が大量に存在したとしても、十分に埋設することが可能である。
さらに、放射線の遮断に用いられるバリウム化合物或いは鉄化合物は、専用の容器を製造するコストに比較すると遥かに安価に調達することが出来る。
そのため、第1実施形態によれば、処理コストを高騰させること無く、好適に放射性物質を含有する材料を埋設処理することが出来る。
図2〜図4で示す第1実施形態では、凹部20の底部3に形成されたバリウム化合物或いは鉄化合物の層4Bから、凹部20の最上方近傍に形成されたバリウム化合物或いは鉄化合物の層4Tまでに領域には、放射性物質を含有する材料を造粒してバリウム化合物或いは鉄化合物によって被覆したペレット6のみである。換言すれば、バリウム化合物或いは鉄化合物から成る層4B〜層4Tの間は、ペレット6の層のみから(単層にて)構成されている。
図5で示す変形例における上記以外の構成及び作用効果に関しては、図2〜図4の第1実施形態と同様である。
図2〜図5では、凹部20の底部3にバリウム化合物或いは鉄化合物の層4Bが形成されているのに対して、図6の第2変形例では、凹部20の底部3には遮水性を有する材料から成る層5Bが形成されている。そのため、凹部20の底面及び側面が遮水性を有する材料から成る層5B、5Cにより包囲され、仮に地下水が凹部20の周辺に存在しても、凹部底面の遮水層5Bと傾斜面2、2の遮水層5Cにより、地下水はペレット6と接触しない。そのため、地下水の流れにより放射性物質が拡散することが防止される。
遮水層5Bも、遮水層5C、5Tと同様に、遮水材料(コンクリート、ベントナイト、遮水シート)で構成されている。
図6の第2変形例における上記以外の構成及び作用効果に関しては、図2〜図5と同様である。
図7では、凹部20の底部3には遮水性を有する材料から成る層5Bが形成されており、その直上にバリウム化合物或いは鉄化合物の層4Bが形成されている。そのため、地下水とペレット6が接触しない様になっているのに加えて、放射線がペレット6を被覆しているバリウム化合物或いは鉄化合物を透過して下方に放射されたとしても、バリウム化合物或いは鉄化合物の層4Bにより、完全に遮断される。
図7の第3変形例における上記以外の構成及び作用効果に関しては、図2〜図6と同様である。
すなわち、傾斜面2の一部に遮水層5Cを形成し、その後、遮水層5B、バリウム化合物或いは鉄化合物の層4B、ペレット6の何れかが遮水層5Bのレベルまで積層されたならば、より上方まで遮水層5Cを形成する、という工程を繰り返して、遮水層5Cを傾斜面2に形成することが可能である。
図8〜図10で示す第2実施形態は、例えば、護岸近傍の領域に放射性物質を包含する材料を埋設している。
図8において、海洋8に面した地盤1に、護岸壁7を築造し、護岸壁7から離隔する側(図8〜図10では左側)において、埋め立て用溝20Lを掘削する。ここで、埋め立て用溝20Lは、護岸壁7の海洋8側とは反対側の面(図6〜図10では左側の面)における斜面72と、護岸壁7から離隔する側の斜面2及び底部3で包囲されている。
図8〜図10における符号9は、沿岸に設置された護岸ブロック(例えば、テトラポット)を示す。
そして、底部3に形成した遮水層5Cの直上に、バリウム化合物(例えば、バライト)或いは鉄化合物の層4を形成する。
図9で示すように、ペレット6を充填した層の上に、さらに、バリウム化合物或いは鉄化合物の層4が積層される。そして、ペレット6の層と、バリウム化合物或いは鉄化合物の層4を、交互に積層する。
図8〜図10では、護岸壁7の上面71と地盤表面(地表)1fとは面一(同一のレベル)であるが、護岸壁7の上面71のレベルを地盤表面(地表)1fに対して、高く設定することが可能である。また図6〜図10では、遮水層5Tと地盤表面(地表)1fとは面一(同一のレベル)であるが、遮水層5T(あるいは、第2実施形態において埋設された領域)が周囲の地盤表面(地表)1fに対して高くなる様に(突出する様に)形成することも可能である。
図8〜図10の第2実施形態では、放射性物質を包含する材料製のペレット6はバリウム化合物或いは鉄化合物で被覆されているのみならず、ペレット6を充填した各層はバリウム化合物或いは鉄化合物の層4で被覆されており、さらに、遮水層5Tで被覆されている。そのため、外部に放射線が漏れ出てしまうことが防止される。そのため、明確には図示されていないが、遮水層5Tの上方に、建造物を建築して、人を常駐させることも可能である。
図8〜図10の第2実施形態におけるその他の構成及び作用効果は、図1〜図5で示した第1実施形態及びその変形例と同様である。
図8〜図10では、底部3の遮水層5Cから、最上部の遮水層5Tの間の空間を、複数のバリウム化合物或いは鉄化合物の4Cと、複数のペレット6の層を交互に積層している。
それに対して、図11の変形例では、底部3に形成されたバリウム化合物或いは鉄化合物の層4から、最上部近傍のバリウム化合物或いは鉄化合物の層4の間の領域は、ペレット6が充填された単一の層で構成されている。
図11の第2実施形態の変形例におけるその他の構成及び作用効果は、図8〜図10の第2実施形態と同様である。
図示はされていないが、傾斜地の法面に擁壁或いは土留め壁(図示せず)を築造して、当該土留め壁と法面との間の凹部に対して、放射性物質を包含する材料を充填することも可能である。ここで、土留め壁は護岸壁に比較して厚さ寸法が小さく、遮水性が劣る場合があるので、土留め壁の壁面にも遮水材料(コンクリート、ベントナイト、遮水シート)で構成された遮水層を形成することが好ましい。
2・・・傾斜面
3・・・底部
4、4B、4C、4T・・・バリウム化合物或いは鉄化合物から成る層
5C、5T・・・遮水層
6・・・粒体/ペレット
7・・・護岸壁
8・・・海洋
10・・・建造物
Claims (3)
- 凹部の底部に、バリウム化合物或いは鉄化合物から成る層及び/又は遮水性を有する材料から成る層を形成する工程と、
当該層の上方に粒体を充填する工程を有し、
前記粒体は、放射性物質を含有する材料を造粒して形成されており、且つ、放射線を遮断するバリウム化合物或いは鉄化合物により被覆されており、
地表面近傍の領域に、バリウム化合物或いは鉄化合物から成る層を形成する工程と、
地表面近傍に形成されたバリウム化合物或いは鉄化合物から成る層の上方に、遮水性を有する材料から成る層を形成する工程、
を有することを特徴とする埋設工法。 - 凹部の底部に形成されたバリウム化合物或いは鉄化合物から成る層と地表面近傍に形成されたバリウム化合物或いは鉄化合物から成る層の間の領域で、バリウム化合物或いは鉄化合物で被覆された粒体から成る層と、バリウム化合物或いは鉄化合物から成る層を、交互に積層する請求項1の埋設工法。
- 凹部表面に遮水材料を被覆させる請求項1、2の何れかの埋設工法。
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