JP6703438B2 - 処分孔の支保構造、地層処分施設および地層処分方法 - Google Patents

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本発明は、地層処分する放射性廃棄物の回収可能性の維持を考慮した処分孔の支保構造、この支保構造を備える地層処分施設および地層処分方法に関するものである。
従来、放射性廃棄物の地層処分では、図4に示すように、地下深部に坑道1を掘削し、その坑道1内の処分孔2に放射性廃棄物からなる廃棄体3を定置した後、坑道1を閉鎖して処分することが考えられている。
このような地下施設の建設時および廃棄体を定置するなどの操業時において、図5に示すように、坑道周辺岩盤は換気等による空気の循環等により乾燥状態に置かれる可能性が高い。特に、日本に広く分布する堆積岩では、乾燥によるクラックの発生や体積収縮等が顕著で、それらに伴って岩盤の強度や透水性の変化領域が拡大すると考えられる。坑道近傍の岩盤領域は、地層処分の建設から閉鎖後を通じて地下水の移行経路となり得るため、その物理特性の評価は、地層処分の施設設計と安全評価双方に反映可能な重要な要素である。
2012年の日本学術会議の暫定保管の提言を受けて、高レベル放射性廃棄物処分施設に対しては、数百年間、処分場を閉鎖せずに、廃棄体の回収可能性を確保することが求められている。高レベル放射性廃棄物処分は、坑道の建設が完了した後、廃棄体および緩衝材などの人工バリアの埋設作業を行い、その後、坑道を埋め戻し、プラグを設置して坑道を閉鎖する流れで行われる。ここで、廃棄体の定置方式については、図6に示すように(a)の縦置き方式と(b)の横置き方式がある。廃棄体の定置方式として縦置き定置方式を採用した場合、回収可能性を確保する方法として、図7に示すように、処分孔2に廃棄体3および緩衝材などの人工バリア4の埋設作業を行った後、処分坑道1の埋め戻しを行わずに、いつでも廃棄体3を回収できるように、処分坑道1を100年〜300年程度開放した状態を維持することが検討されている。
このような回収可能性の維持を考えた場合、坑道周辺岩盤が乾燥状態に置かれる期間は従来よりも長くなり、乾燥によるクラックの発生や体積収縮等に起因する周辺岩盤の強度や透水性の変化領域が拡大する可能性が高くなる。特に、廃棄体3を定置する処分孔2については、クラックの発生による孔壁の剥離や崩壊が生じ、廃棄体3の回収作業に悪影響を及ぼすことが懸念される。このため、処分孔2の支保工5に対しては、クラックの発生による孔壁の剥離や崩壊を防ぎ、かつ回収作業中および作業後の長期にわたり、処分孔2の力学的安定性を確保する機能が求められる。
一方、放射性廃棄物の埋設処分では、廃棄物の周囲をベントナイト系粘土で覆うことにより地下水への漏出を抑制することが考えられている。しかし、坑道の支保やグラウトに用いられるセメント系材料をベントナイトの近傍に構築する場合、セメント系材料は、地下水と反応して坑道の周辺環境を高アルカリの環境にする。この高アルカリ環境は、緩衝材や埋め戻しに用いるベントナイトや周辺岩盤に化学的な影響(ベントナイトや岩盤の変質)を与え、それに伴う周辺岩盤の力学的な性能の低下や劣化(強度の低下や剛性の低下(変形性の増加)など)が生じ、それによって水理・物質移動特性の変化が生じる可能性が指摘されている(例えば、非特許文献1参照)。このような懸念を排除するためには、セメント系材料を極力使用しない支保部材が必要である。
セメント系材料を極力使用しない従来の支保構造としては、例えば特許文献1に示されるような岩石を利用したセグメントが知られている。図8に示すように、このセグメント6は、鋼製枠7と花崗岩等の岩石ブロック8を組み合わせた複合セグメントであり、鋼製枠7にレンガ状の岩石ブロック8を充填し、岩石ブロック8の間に形成される隙間にモルタルを充填することでセグメントとして一体化を図る構造となっている。このセグメント6において、モルタルは岩石ブロック8間の隙間を埋めるだけに使用されるので、その使用量は吹付けコンクリートやコンクリートセグメントに比べて少なくなり、セメントの使用を大幅に低減できる可能性がある。また、低アルカリ性セメントを用いたモルタルを使用することにより、セメント影響のさらなる低減化を図ることも可能である。
特開2002−250795号公報
核燃料サイクル開発機構、「わが国における高レベル放射性廃棄物地層処分の技術的信頼性−地層処分研究開発第2次取りまとめ−分冊2 地層処分の工学技術」、JNC TN1400 99−022、1999
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、孔壁の剥離や崩壊を防ぐ機能を有し、セメント系材料を極力使用しない処分孔の支保構造、地層処分施設および地層処分方法を提供することを目的とする。
上記した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る処分孔の支保構造は、処分孔の掘削壁面に設置された岩石利用セグメントと、この岩石利用セグメントと処分孔の掘削壁面との間に裏込め充填された石材からなる石材層と、石材間の間隙に満たされた水とを備えることを特徴とする。
また、本発明に係る他の処分孔の支保構造は、上述した発明において、石材層への地下水の供給を行うための地下水注入手段または石材層からの地下水の排水を行うための地下水排水手段の少なくとも一方を備えることを特徴とする。
また、本発明に係る他の処分孔の支保構造は、上述した発明において、相対する一対または複数対の岩石利用セグメントは、外面から外側に向けて突出した拡幅部を有する拡幅岩石利用セグメントであり、この拡幅部の内部に地下水注入または排水手段としての孔が設けられていることを特徴とする。
また、本発明に係る地層処分施設は、縦置き方式の廃棄体の地層処分施設であって、上述した処分孔の支保構造と、この支保構造に囲まれる部分に定置される廃棄体の周囲に設けられる封入材とを備えることを特徴とする。
また、本発明に係る地層処分方法は、縦置き方式の廃棄体の地層処分方法であって、上述した処分孔の支保構造を構築した後、この支保構造に囲まれる部分に封入材を介して廃棄体を定置し、定置した廃棄体の回収可能性を維持するようにしたことを特徴とする。
本発明に係る処分孔の支保構造によれば、処分孔の掘削壁面に設置された岩石利用セグメントと、この岩石利用セグメントと処分孔の掘削壁面との間に裏込め充填された石材からなる石材層と、石材間の間隙に満たされた水とを備えるので、掘削直後の地山の変形を抑制するとともに、ゆるみ領域の拡大を防ぐことができる。また、処分孔に定置した廃棄体の回収作業中は岩石利用セグメントにより処分孔壁面の損傷等を防ぐことができ、回収作業後も長期にわたり処分孔の力学的安定性を確保できる。したがって、孔壁の剥離や崩壊の防止を図ることができるという効果を奏する。また、セメント系材料を極力使わない構造であることから、廃棄体の周囲を覆うベントナイト系粘土のような材料のセメント成分による性能劣化を生じさせないという効果を奏する。
また、本発明に係る他の処分孔の支保構造によれば、石材層への地下水の供給を行うための地下水注入手段または石材層からの地下水の排水を行うための地下水排水手段の少なくとも一方を備えるので、処分孔周辺岩盤の飽和度が低く、乾燥によるクラックの発生や体積収縮等の発生が懸念される場合には、地下水注入手段を通じて石材層内の隙間を地下水で満たし、その地下水によって処分孔周辺岩盤を飽和度の高い状態に保ち、乾燥を防ぎ、乾燥によるクラックの発生や体積収縮の発生を抑制することができるという効果を奏する。一方、坑道建設時、操業時および回収可能性維持期間中、一時的に処分孔周辺岩盤から処分孔へ地下水の流入による水圧上昇が懸念される場合には、地下水排水手段を通じて石材層から地下水を排水することにより、処分孔支保工である岩石利用セグメントが水圧の作用で破壊することを防ぐことができるという効果を奏する。
また、本発明に係る他の処分孔の支保構造によれば、相対する一対または複数対の岩石利用セグメントは、外面から外側に向けて突出した拡幅部を有する拡幅岩石利用セグメントであり、この拡幅部の内部に地下水注入または排水手段としての孔が設けられているので、相対する一対または複数対に設けられた拡幅部の内部の孔を通じて石材層内の隙間を地下水で満たし、その地下水によって処分孔周辺岩盤を飽和度の高い状態に保ち、乾燥を防ぎ、乾燥によるクラックの発生や体積収縮の発生を抑制することができるという効果を奏する。また、この孔を通じて石材層から地下水を排水することにより、処分孔支保工である岩石利用セグメントが水圧の作用で破壊することを防ぐことができるという効果を奏する。
また、本発明に係る地層処分施設によれば、縦置き方式の廃棄体の地層処分施設であって、上述した処分孔の支保構造と、この支保構造に囲まれる部分に定置される廃棄体の周囲に設けられる封入材とを備えるので、廃棄体の回収可能性を確保した地層処分施設を提供することができるという効果を奏する。
また、本発明に係る地層処分方法によれば、縦置き方式の廃棄体の地層処分方法であって、上述した処分孔の支保構造を構築した後、この支保構造に囲まれる部分に封入材を介して廃棄体を定置し、定置した廃棄体の回収可能性を維持するようにしたので、廃棄体の回収可能性を確保した地層処分方法を提供することができるという効果を奏する。
図1は、本発明に係る処分孔の支保構造、地層処分施設および地層処分方法の実施の形態を示す側断面図であり、(a)は掘削時、(b)は支保構造構築時、(c)は回収可能性維持期間の場合である。 図2は、拡幅岩石利用セグメントを備える場合の概略平断面図である。 図3は、地下水注水・排水孔の作用を説明する概略斜視図である。 図4は、地層処分の概要図である。 図5は、坑道近傍の乾燥影響のイメージ図である。 図6は、廃棄体の定置方式を示す図であり、(a)は縦置き方式、(b)は横置き方式である。 図7は、縦置き方式における回収可能性維持期間の処分坑道を開放した状態を示す図である。 図8は、従来の岩石利用セグメントの概略図であり、(a)は全体斜視図、(b)は部分斜視図である。
以下に、本発明に係る処分孔の支保構造、地層処分施設および地層処分方法の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。
(実施の形態1)
まず、本発明の実施の形態1について説明する。
図1(a)に示すように、内面が吹付けコンクリート12で被覆された処分坑道14の底部14Aに縦型円筒形状の処分孔16が掘削形成されている。図1(b)に示すように、本実施の形態1に係る処分孔の支保構造10は、この処分孔16の掘削壁面に設置された岩石利用セグメント18と、この岩石利用セグメント18と処分孔16の掘削壁面との間に裏込め充填された豆砂利状の砕石20(石材)からなる砕石層22(石材層)と、砕石20間の間隙に満たされた地下水W(水)とを備えるものである。
岩石利用セグメント18は、岩石を利用したセグメントであり、例えば上記の特許文献1に示されるセグメント(図8を参照)と同様に構成することができる。本実施の形態では、鋼製枠にレンガ状の花崗岩等の岩石ブロックを充填し、岩石ブロックの間に形成される隙間にモルタルを充填することで一体化を図った岩石利用セグメント18を使用している。この場合、モルタルは岩石ブロック間の隙間を埋めるだけに使用されるので、その使用量は吹付けコンクリートやコンクリートセグメントに比べて少なくなり、セメント系材料の使用を大幅に低減できる。また、低アルカリ性セメントを用いたモルタルを使用することにより、セメント影響のさらなる低減化を図ることも可能である。
この処分孔の支保構造10を備える本発明の地層処分施設の施工方法および廃棄体の地層処分方法について説明する。まず、図1(a)に示すように、掘削機を用いて処分孔16を掘削した後、図1(b)に示すように、岩石利用セグメント18を処分孔16内で建て込み、岩石利用セグメント18と処分孔の掘削壁面との間に豆砂利状の砕石20を裏込め充填する。次に、図1(c)に示すように、廃棄体24の周囲をベントナイト系粘土26(封入材)で覆いながら処分孔16内に定置した後、その上方を埋め戻し材28で埋め戻す。ここで、図1(b)の地層処分施設30の建設時や、図1(c)の廃棄体24を定置するなどの操業時、および回収可能性を維持する期間中は、砕石20の隙間を地下水Wで満たして飽和状態を維持する。こうすることで、上記の時期においてセメント系材料を極力使わない処分孔の支保構造10を実現することができる。
このように、本実施の形態によれば、処分孔16内で高剛性の岩石利用セグメント18を建て込み、速効性のある砕石20を裏込め充填することから、掘削直後の地山の変形を抑制し、かつ、ゆるみ領域の拡大を防ぐことができる。
また、回収作業中に廃棄体24の取り出しに伴う荷重等が支保構造10に作用しても高剛性の岩石利用セグメント18であることから、処分孔16壁面に損傷等の影響を与えることを防ぐことができる。また、回収作業後も長期にわたり処分孔16の力学的安定性を確保できる。したがって、孔壁の剥離や崩壊の防止を図ることができる。
また、ベントナイトは天然の地下環境において数10万年以上安定して存在していた材料であり、セメントのような化学的なインパクトを生じる材料が近傍にないのであれば、長期間の健全性を期待できる。通常、セグメントの裏込め材にはセメント系材料が使用されることが多い。これに対して、本発明は裏込め材に砕石20を使用することからセメント系材料を極力使わない支保構造を処分孔16に構築できるため、廃棄体24を覆うベントナイト系粘土26のセメント成分による性能劣化を生じさせないという効果がある。
(実施の形態2)
次に、本発明の実施の形態2について説明する。
図2および図3に示すように、本実施の形態2に係る処分孔の支保構造100は、上記の実施の形態1において、処分孔16の軸心を挟んで相対する一対(または複数対)の岩石利用セグメント18を、拡幅岩石利用セグメント18Aに置換したものである。この拡幅岩石利用セグメント18Aは、外面の周方向中間部から半径方向外側に向けて突出した略角柱状の拡幅部32を有しており、この拡幅部32のみ裏込めの砕石層22を介さずに処分孔16の掘削壁面に直接接している。
拡幅部32の内部には、砕石層22への地下水の供給と、砕石層22からの地下水の排水を行うための地下水注入・排水孔34(地下水注入手段および地下水排水手段)が設けられている。この地下水注入・排水孔34は、図3に示すように、拡幅部32の内部で上下に延在する縦孔34Aと、これより分岐した複数の横孔34Bとからなる。横孔34Bは、上下方向に所定間隔をおいて複数配置され、縦孔34Aより左右に分岐して拡幅部32の側部32Aに開口して砕石層22に連通している。
処分孔16の周辺岩盤の飽和度が低く、乾燥によるクラックの発生や体積収縮等の発生が懸念される場合には、砕石層22内の隙間を地下水Wで満たし、その地下水Wによって処分孔16の周辺岩盤を飽和度の高い状態に保ち、乾燥を防ぐようにする。砕石層22への地下水Wの供給は、拡幅岩石利用セグメント18Aの拡幅部32の内部に設けた地下水注入・排水孔34を通じて行う。地下水Wを砕石層22内に注入し、砕石層22が完全に飽和されたら、注水を停止する。その後、地下水注入・排水孔34の縦孔34Aの水位を観測し、砕石層22の飽和状態が維持されるように、地下水Wの供給を適宜行う。これによって、乾燥によるクラックの発生や体積収縮の発生を抑制できる。
一方、処分坑道14の周辺岩盤の地質条件によっては、坑道建設時、操業時および回収可能性維持期間中、一時的に処分孔16周辺岩盤から処分孔16への地下水の流入が発生する場合も想定される。その場合、乾燥によるクラックの発生や体積収縮の発生の可能性は低くなるが、砕石層22内の隙間が地下水Wで完全に飽和されていると、流入した地下水Wによる水圧が岩石利用セグメント18、拡幅岩石利用セグメント18Aに作用し、これらセグメントを破壊する可能性がある。そこで、図3に示した拡幅部32内部の地下水注入・排水孔34を通じて、砕石層22を満たした地下水Wの流れ場を確保する。地下水注入・排水孔34から図外の処分坑道14内に流出する地下水Wは坑道底盤14Aに設置されている図示しない排水溝に流れ込むように排水経路を設け、処分坑道14の坑口まで連続した排水経路を形成するものとする。坑道建設時、操業時および回収可能性維持期間中はこの排水経路を通じて、地下水は坑外へ排出され、処分孔支保工である岩石利用セグメント18、18Aに水圧が作用しない排水構造が構築される。
このように、一時的に処分孔16周辺岩盤から処分孔16への地下水が流入する場合には地下水注入・排水孔34を通じて、砕石層22を満たした地下水Wの流れ場を確保することにより、処分孔支保工である岩石利用セグメント18、18Aが水圧の作用により破壊することを防ぐことができる。
地下水注入手段および地下水排水手段として通常の注水・排水システムを採用する場合、排水パイプ等を設置する必要がある。排水パイプなどの有機物を残置すると、地層処分施設30の閉鎖後に、核種移行遅延性能に有意な影響を与えないことなどの確認が必要となる。これに対して、地下水注入・排水孔34は拡幅岩石利用セグメント18Aの拡幅部32内部に設けることにより、排水パイプの設置の必要はなく、残置物の影響は低減できる。
また、本実施の形態では、岩石利用セグメント18、18Aの岩石ブロック間の隙間を充填するモルタルにはセメントを使用するが、低アルカリ性セメントを使用するので、ベントナイトなどへのセメント影響は抑えることできる。また、使用するセメント量も通常の吹付けコンクリートなどの支保工に比べて大幅に低減できるので、セメント影響に対する不確実性の低減が期待できる。
上記の実施の形態において、拡幅部32のみ裏込めの砕石層22を介さずに処分孔16の掘削壁面に直接接する場合について説明したが、本発明はこれに限るものではなく、拡幅部32が処分孔16の掘削壁面に直接接しないようにしてもよい。また、相対する一対または複数対について拡幅部32を有する拡幅岩石利用セグメント18Aを採用する場合について説明したが、拡幅岩石利用セグメント18Aを採用するのは相対する一対または複数対でなくともよく、周方向で任意の岩石利用セグメント18が拡幅部32を有する構成としてもよい。このようにしても上記と同一の作用効果を奏することができる。
また、上記の実施の形態において、地下水注入・排水孔34が拡幅部32の内部に設けられる場合について説明したが、本発明はこれに限るものではなく、例えば岩石利用セグメント18の内部に地下水注入・排水孔34を設けてもよい。そして、岩石利用セグメント18の外面に設けた開口を通じて砕石層22と連通させてもよい。このようにしても上記と同一の作用効果を奏することができる。
以上説明したように、本発明に係る処分孔の支保構造によれば、処分孔の掘削壁面に設置された岩石利用セグメントと、この岩石利用セグメントと処分孔の掘削壁面との間に裏込め充填された石材からなる石材層と、石材間の間隙に満たされた水とを備えるので、掘削直後の地山の変形を抑制するとともに、ゆるみ領域の拡大を防ぐことができる。また、処分孔に定置した廃棄体の回収作業中は岩石利用セグメントにより処分孔壁面の損傷等を防ぐことができ、回収作業後も長期にわたり処分孔の力学的安定性を確保できる。したがって、孔壁の剥離や崩壊の防止を図ることができる。また、セメント系材料を極力使わない構造であることから、廃棄体の周囲を覆うベントナイト系粘土のような材料のセメント成分による性能劣化を生じさせない。
また、本発明に係る他の処分孔の支保構造によれば、石材層への地下水の供給を行うための地下水注入手段または石材層からの地下水の排水を行うための地下水排水手段の少なくとも一方を備えるので、処分孔周辺岩盤の飽和度が低く、乾燥によるクラックの発生や体積収縮等の発生が懸念される場合には、地下水注入手段を通じて石材層内の隙間を地下水で満たし、その地下水によって処分孔周辺岩盤を飽和度の高い状態に保ち、乾燥を防ぎ、乾燥によるクラックの発生や体積収縮の発生を抑制することができる。一方、坑道建設時、操業時および回収可能性維持期間中、一時的に処分孔周辺岩盤から処分孔へ地下水の流入による水圧上昇が懸念される場合には、地下水排水手段を通じて石材層から地下水を排水することにより、処分孔支保工である岩石利用セグメントが水圧の作用で破壊することを防ぐことができる。
また、本発明に係る他の処分孔の支保構造によれば、相対する一対または複数対の岩石利用セグメントは、外面から外側に向けて突出した拡幅部を有する拡幅岩石利用セグメントであり、この拡幅部の内部に地下水注入または排水手段としての孔が設けられているので、相対する一対または複数対に設けられた拡幅部の内部の孔を通じて石材層内の隙間を地下水で満たし、その地下水によって処分孔周辺岩盤を飽和度の高い状態に保ち、乾燥を防ぎ、乾燥によるクラックの発生や体積収縮の発生を抑制することができる。また、この孔を通じて石材層から地下水を排水することにより、処分孔支保工である岩石利用セグメントが水圧の作用で破壊することを防ぐことができる。
また、本発明に係る地層処分施設によれば、縦置き方式の廃棄体の地層処分施設であって、上述した処分孔の支保構造と、この支保構造に囲まれる部分に定置される廃棄体の周囲に設けられる封入材とを備えるので、廃棄体の回収可能性を確保した地層処分施設を提供することができる。
また、本発明に係る地層処分方法によれば、縦置き方式の廃棄体の地層処分方法であって、上述した処分孔の支保構造を構築した後、この支保構造に囲まれる部分に封入材を介して廃棄体を定置し、定置した廃棄体の回収可能性を維持するようにしたので、廃棄体の回収可能性を確保した地層処分方法を提供することができる。
以上のように、本発明に係る処分孔の支保構造、地層処分施設および地層処分方法は、放射性廃棄物からなる廃棄体を縦置き方式で処分する処分孔の孔壁の剥離や崩壊を防止するのに有用であり、特に、地層処分する放射性廃棄物の回収可能性を維持するのに適している。
10 処分孔の支保構造
12 吹付けコンクリート
14 処分坑道
16 処分孔
18 岩石利用セグメント
18A 拡幅岩石利用セグメント
20 砕石(石材)
22 砕石層(石材層)
24 廃棄体
26 ベントナイト系粘土(封入材)
28 埋め戻し材
30 地層処分施設
32 拡幅部
34 地下水注入・排水孔(地下水注入手段・地下水排水手段)
34A 縦孔
34B 横孔
W 地下水(水)

Claims (3)

  1. 処分孔の掘削壁面に設置された岩石利用セグメントと、この岩石利用セグメントと処分孔の掘削壁面との間に裏込め充填された石材からなる石材層と、石材間の間隙に満たされた水と、石材層への地下水の供給を行うための地下水注入手段または石材層からの地下水の排水を行うための地下水排水手段の少なくとも一方とを備え、
    相対する一対または複数対の岩石利用セグメントは、外面から外側に向けて突出した拡幅部を有する拡幅岩石利用セグメントであり、この拡幅部の内部に地下水注入または排水手段としての孔が設けられていることを特徴とする処分孔の支保構造。
  2. 縦置き方式の廃棄体の地層処分施設であって、
    請求項1に記載の処分孔の支保構造と、この支保構造に囲まれる部分に定置される廃棄体の周囲に設けられる封入材とを備えることを特徴とする地層処分施設。
  3. 縦置き方式の廃棄体の地層処分方法であって、
    請求項1に記載の処分孔の支保構造を構築した後、この支保構造に囲まれる部分に封入材を介して廃棄体を定置し、定置した廃棄体の回収可能性を維持するようにしたことを特徴とする地層処分方法。
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