JP2014005942A - ドラムブレーキ装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】バックプレートとダストシールドとの固着点にクラックが発生することを防止できるドラムブレーキ装置を提供する。
【解決手段】ダストシールド5は、バックプレート4の半径方向外方に延出するリング状であって、内周側から外周がへ順に、バックプレート5の外周部への固着部6と、固着部6よりもバックプレート4の半径方向外側に設けられた第1隆起部5gと、第1隆起部5gよりもさらにバックプレート4の半径方向外側に設けられた第2隆起部5hとを備え、第1隆起部5gは、ダストシールド5と同心で固着部6よりもブレーキドラム側に突出し、第2隆起部5hは、ダストシールド5と同心で第1隆起部5gよりも反ブレーキドラム側に突出し、第2隆起部5hの反ブレーキドラム側面と固着部6とは、同一平面上に配置される。
【選択図】図3

Description

本発明は、バックプレートの内部に、ブレーキドラムに摺接するブレーキシューを拡縮自在に収容したドラムブレーキ装置に係り、詳しくは、バックプレートの半径方向外側に固着される防水・防塵用のダストシールドの構造に関する。
従来、ドラムブレーキ装置では、バックプレートの半径方向外側に、防水・防塵用の円板状のダストシールドをスポット熔接にて固着したものがあった(例えば、特許文献1参照)。また、ドラムブレーキ装置の外側にディスクブレーキ装置を備えたドラムインディスクブレーキ装置でも、ドラムブレーキのバックプレート外周側に、ディスクロータの一側部を覆う防水・防塵用のダストシールドが熔接されたものがあり、このダストシールドは、キャリパが装着される領域に切欠き部が形成されていた(例えば、特許文献2参照。)。
特開平11−351292号公報 特開平10−246256号公報
しかし、ダストシールドは、上述の各特許文献のように、バックプレートの半径方向外側に設けられる固着部(熔接点)から、バックプレート外周側に延設されることから、車両の走行振動により、バックプレートとダストシールドとの固着部にダストシールドの自重によるモーメント力が掛かり、クラックが発生する虞があった。さらに、従来は、上述の各特許文献のように、補強用のリブが部分的に設けられていることから、振動した際に、応力が所定の箇所に集中し、強度不足となる虞があった。
そこで本発明は、バックプレートとダストシールドとの固着点にクラックが発生することを防止できるドラムブレーキ装置を提供することを目的としている。
上記目的を達成するため、本発明のドラムブレーキ装置は、ブレーキドラムに摺接するブレーキシューを拡縮自在に収容するバックプレートと、該バックプレートの外周部に固着され、前記バックプレートの半径方向外方に延出するリング状のダストシールドとを備えたドラムブレーキ装置において、前記ダストシールドは、前記バックプレートとへの固着部と、該固着部よりも前記バックプレートの半径方向外側に設けられた第1隆起部と、該第1隆起部よりも前記バックプレートの半径方向外側に設けられた第2隆起部とを備え、前記第1隆起部は、前記ダストシールドと同心で前記固着部よりもブレーキドラム側に突出し、前記第2隆起部は、前記ダストシールドと同心で前記第1隆起部よりも反ブレーキドラム側に突出し、前記固着部と前記第2隆起部の反ブレーキドラム側面とは、同一平面上に配置されるとともに、前記ダストシールドの、前記ブレーキドラムの中心軸を通る半径方向の断面における断面重心が、前記ブレーキドラムの中心軸と直交するとともに前記バックプレートとの固着部を通る固着面に対して、ブレーキドラム軸方向の予め設定された範囲内に配置されることを特徴としている。
さらに、前記ダストシールドは、前記固着部を備えた平面部を備え、前記第1隆起部及び前記第2隆起部はそれぞれ環状であって、前記第1隆起部は、前記平面部よりも前記バックプレートの半径方向外側に設けられ、前記平面部と前記第2隆起部の反ブレーキドラム側面とは、同一平面上に配置されていることが好ましく、また、前記ブレーキドラムの開口部外周に円板状のディスクロータを設け、該ディスクロータを制動するキャリパを備えるとともに、前記ダストシールドは、前記バックプレートの半径方向外側に延出して前記ディスクロータの一側部を覆うとともに、前記キャリパが装着される領域に切欠き部が形成するようにしても良い。
本発明のドラムブレーキ装置によれば、前記ダストシールドは、前記バックプレートとの固着部からバックプレートの半径方向外側に延出し、かつ、前記固着部よりもブレーキドラム側へ突出する第1隆起部と、該第1隆起部から前記バックプレートの半径方向外側に延出し、かつ、反ブレーキドラム側へ突出する第2隆起部とを設けたから、ブレーキドラムの中心軸を通る半径方向の、どの断面においても断面重心の位置が一致し、発生応力を均一に近づけることができ、全体的な強度バランスを向上させ、ダストシールドの剛性を高めることができる。また、前記ダストシールドの、ブレーキドラムの中心軸を通る半径方向の断面における断面重心が、ブレーキドラムの中心軸と直交すると共にバックプレートとの固着部を通る固着面に対して、ブレーキドラム軸方向の予め設定された範囲内に配置されることにより、第1隆起部と第2隆起部とで補強しながら、断面重心を、ブレーキドラム軸方向の予め設定された範囲内で固着面に近づけることができ、固着部にモーメント力が極力掛からないようにすることができる。さらに、隆起部を固着部よりも反ブレーキドラム側に突出させることなく固着部に掛かるモーメント力を低減させることができるので、車体側の制約に対して自由度が高い構成とすることができる。
また、ブレーキドラムの開口部外周に円板状のディスクロータを設け、該ディスクロータを制動するディスクブレーキを備えた、所謂ドラムインディスクブレーキ装置のように、ダストシールドが外周側に長く延設された構成に用いることにより、より効果的に、固着部にモーメント力が掛からないようにすることができ、クラックが発生することを抑制できる。
図2のI-I断面図である。 参考例を示すドラムブレーキ装置バックプレートとダストシールドの正面図である。 図4のIII-III断面図である。 本発明の一形態例を示すドラムブレーキ装置バックプレートとダストシールドの正面図である。
図1及び図2は、ドラムブレーキ装置とディスクブレーキ装置とを一体に備えたドラムインディスクブレーキ装置にダストシールドを適用した参考例を示す図である。このドラムインディスクブレーキ装置1は、図示しない車輪と一体に回転するドラムインディスクロータ1aの内周側にドラムブレーキ装置2を、外周側にディスクブレーキ装置3をそれぞれ配設しており、ディスクブレーキ装置3を主ブレーキとし、ドラムブレーキ装置2をパーキングブレーキとして用いている。尚、ドラムインディスクロータ1a及びドラムブレーキ装置2,ディスクブレーキ装置3は、周知の構造であることから、その詳しい説明を省略する。
ドラムブレーキ装置2を構成するバックプレート4は、ドラムインディスクロータ1aのブレーキドラムの開口部に対応する円板状に形成され、弓形に形成された一対のブレーキシューを拡縮自在に収容している。バックプレート4の外周部には、該バックプレート4の半径方向外側に延出し、ドラムインディスクロータ1aの一側部を覆うダストシールド5が、8箇所の固着部(熔接部)6により固着されている。
ダストシールド5は、キャリパが装着される領域に切欠き部5aを備えた、全体として略リング状に形成され、内周に前記固着部6を備えた平面部5bが形成され、該平面部5bの内周側には、反ドラムインディスクロータ側に突出し、防水・防塵を図るための環状壁5cが設けられている。また、平面部5bの外周側には、ダストシールド5と同心の円弧状で、反ドラムインディスクロータ側に突出する環状の隆起部5dが形成され、該隆起部5dの外周側には、ドラムインディスクロータ側に折曲され、該ドラムインディスクロータ1aの外周側を覆うカバー部5eが形成されている。さらに、カバー部5eの先端部は、反ドラムインディスクロータ側に折り返され、補強用のビード部5fが形成されている。
このダストシールド5は、ブレーキドラムの中心軸CL1を通る半径方向の断面における断面重心G1が、ブレーキドラムの中心軸CL1に直交すると共にバックプレート4との固着部6を通る固着面F1に対して、ブレーキドラム軸方向の予め設定された範囲内に配置される。ブレーキドラム軸方向の予め設定された範囲は、例えば、図1に示すように、固着面F1を中心として、固着面F1から隆起部5dまでの距離をドラムブレーキ側にも取った範囲E1と設定され、本形態例では、断面重心G1は、固着面F1と略同一位置となっている。
この参考例のダストシールド5は上述のように形成されることにより、環状壁5cによりドラムインディスクロータ側に水や塵が浸入することを良好に防止することができ、また、隆起部5dやビード部5fによって補強されている。さらに、断面重心G1と固着面F1とが略同一位置となっていることから、車両走行時にドラムインディスクブレーキ装置1が振動しても、ダストシールド5とバックプレート4との固着部6にモーメント力が実質的に掛からなくなり、クラックの発生を防止することができる。
図3及び図4は本発明の一形態例を示すもので、上述の参考例と同様の構成要素を示すものには、同一の符号を付して、その詳細な説明は省略する。本形態例のドラムインディスクブレーキ装置1では、車体側の制約により、反ドラムインディスクロータ側にスペースがないことから、ダストシールド5は、固着部6を備えた平面部5bから、ドラムインディスクロータ側に突出する第1隆起部5gと、該第1隆起部5gから反ドラムインディスクロータ側に突出する第2隆起部5hとを備え、該第2隆起部5hの反ブレーキドラム側面と固着部6とは、同一平面上に配置されている。本形態例のダストシールド5では、ブレーキドラムの中心軸CL1を通る半径方向の断面における断面重心G2が、ブレーキドラムの中心軸CL1と直交すると共にバックプレート4との固着部6を通る固着面F1に対して、ブレーキドラム軸方向の予め設定された範囲内に配置されている。本形態例のブレーキドラム軸方向の予め設定された範囲は、図3に示すように、固着面F1を中心として、固着面F1から第1隆起部5gまでの距離を反ドラムブレーキ側にも取った範囲E2となっている。
これにより、第1隆起部5gと第2隆起部5hとにより、ダストシールド5を内外に隆起させて補強することができ、さらに、断面重心G2を極力固着面F1に近づけて、ダストシールド5とバックプレート4との固着部6に掛かるモーメント力を低減させることができる。さらに両隆起部5g,5hを固着部6よりも反ブレーキドラム側に突出させることなく固着部6に掛かるモーメント力を低減させることができるので、車体側の制約に対して自由度が高い構成とすることができる。
尚、本発明は、上述の形態例のように、ドラムブレーキ装置とディスクブレーキ装置とを一体に備えたドラムインディスクブレーキ装置に適用されるものに限らず、油圧で作動するドラムブレーキ単体にも適用することができ、ダストシールドは、切欠き部のないリング状に形成されたものでも良い。
1…ドラムインディスクブレーキ装置、1a…ドラムインディスクロータ、2…ドラムブレーキ装置、3…ディスクブレーキ装置、4…バックプレート、5…ダストシールド、5a…切欠き部、5b…平面部、5c…環状壁、5d…隆起部、5e…カバー部、5f…ビード部、5g…第1隆起部、5h…第2隆起部、6…固着部

Claims (3)

  1. ブレーキドラムに摺接するブレーキシューを拡縮自在に収容するバックプレートと、該バックプレートの外周部に固着され、前記バックプレートの半径方向外方に延出するリング状のダストシールドとを備えたドラムブレーキ装置において、前記ダストシールドは、前記バックプレートとへの固着部と、該固着部よりも前記バックプレートの半径方向外側に設けられた第1隆起部と、該第1隆起部よりも前記バックプレートの半径方向外側に設けられた第2隆起部とを備え、前記第1隆起部は、前記ダストシールドと同心で前記固着部よりもブレーキドラム側に突出し、前記第2隆起部は、前記ダストシールドと同心で前記第1隆起部よりも反ブレーキドラム側に突出し、前記固着部と前記第2隆起部の反ブレーキドラム側面とは、同一平面上に配置されるとともに、前記ダストシールドの、前記ブレーキドラムの中心軸を通る半径方向の断面における断面重心が、前記ブレーキドラムの中心軸と直交するとともに前記バックプレートとの固着部を通る固着面に対して、ブレーキドラム軸方向の予め設定された範囲内に配置されることを特徴とするドラムブレーキ装置。
  2. 前記ダストシールドは、前記固着部を備えた平面部を備え、前記第1隆起部及び前記第2隆起部はそれぞれ環状であって、前記第1隆起部は、前記平面部よりも前記バックプレートの半径方向外側に設けられ、前記平面部と前記第2隆起部の反ブレーキドラム側面とは、同一平面上に配置されていることを特徴とする請求項1記載のドラムブレーキ装置。
  3. 前記ブレーキドラムの開口部外周に円板状のディスクロータを設け、該ディスクロータを制動するキャリパを備えるとともに、前記ダストシールドは、前記バックプレートの半径方向外側に延出して前記ディスクロータの一側部を覆うとともに、前記キャリパが装着される領域に切欠き部が形成されていることを特徴とする請求項1又は2記載のドラムブレーキ装置。
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