JP2014005872A - 真空断熱体 - Google Patents

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長典 川上
Ryosuke Matsuda
遼佑 松田
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時正 山田
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Abstract

【課題】輻射による熱伝導量や熱伝達の影響を低減して、優れた断熱性能を得ることが可能な真空断熱体を提供する。
【解決手段】本発明の真空断熱材1は、グラスウールシート3と輻射遮蔽部材4とを積層してなる芯材2を、ガスおよび水蒸気の透過を阻止する外被材5で包み、外被材5の内部を減圧した後に封止して構成される。この場合、グラスウールシート3と輻射遮蔽部材4とを積層することによって、グラスウールシート3を減圧封止した本来の断熱性能は維持しつつも、外被材5の内部における熱の輻射を輻射遮蔽部材4で遮蔽して、輻射による熱伝導量の影響を低減することが可能になる。
【選択図】図1

Description

本発明は、芯材を外被材で包んで減圧封止した真空断熱体に関する。
従来の真空断熱体は、引用文献1〜引用文献3にそれぞれ開示されるように、芯材を外被材で包んで構成される。
より具体的には、グラスウールシートを複数枚積層した芯材を、ガスおよび水蒸気の透過を阻害する外被材で包囲し、外被材の内部を強制的に減圧して、大気圧よりも負圧の状態を維持したまま外被材の開口部を封止することで、全周囲が密閉された状態を保持した真空断熱パネルを製造することが一般的であった。
特許第3897850号公報 特開2005−163989号公報 特開昭59−22748号公報
熱伝導率は、伝熱の三形態、すなわち熱伝導,輻射,対流の和であらわされる。外被材の内部は対流が起こらないので、真空断熱体の断熱性能は、熱伝導と輻射により影響を受ける。しかし、従来の構成では、輻射による熱伝達を考慮しておらず、真空断熱体として十分な輻射遮蔽効果が得られなかった。
本発明は上記問題点に鑑み、輻射による熱伝導量や熱伝達の影響を低減して、優れた断熱性能を得ることが可能な真空断熱体を提供することを目的とする。
請求項1の発明では、無機質繊維体と輻射遮蔽部材とを備えることによって、無機質繊維体を減圧封止した本来の断熱性能は維持しつつも、外被材の内部における熱の輻射を輻射遮蔽部材で遮蔽して、輻射による熱伝導量の影響を低減することが可能になり、真空断熱体として優れた断熱性能を得ることが可能になる。
請求項2の発明では、輻射遮蔽部材として特に金属箔を用いることで、輻射による熱伝導量の影響を効果的に低減することが可能になる。
請求項3の発明では、輻射遮蔽部材と外被材が接触することによるヒートブリッジの発生を抑制できる。
請求項4の発明では、輻射遮蔽部材の大きさを無機質繊維体の大きさの40%以上とすることで、輻射による熱伝導量の影響を低減できるとした効果を発揮できる。
請求項5の発明では、0.1mm以上6mm以下の厚さの無機質繊維体を使用することにより、真空断熱体で所定の厚さを得るために必要な無機質繊維体の枚数が増え、その無機質繊維体の間に輻射遮蔽部材を入れる層が増加する。したがって、真空断熱体としての輻射遮蔽効果を高めることができる。
請求項6の発明では、無機質繊維体と遮熱材とを積層することによって、無機質繊維体を減圧封止した本来の断熱性能は維持しつつも、外被材の内部における熱を遮熱材で遮蔽して、輻射による熱伝達の影響を低減することが可能になり、真空断熱体として優れた断熱性能を得ることが可能になる。
請求項7の発明では、所定の反射率を持った金属箔を遮熱材として用いることで、輻射による熱伝達の影響を低減できるとした効果を発揮できる。
請求項8の発明では、遮熱材が厚すぎると、熱伝達が高くなりすぎると共に材料費(コスト)が上昇し、逆に遮熱材が薄すぎると、製造時の取扱い(作業性)が悪化する。したがって、遮熱材の厚さを11μm以下の適正な範囲にすることで、コストの上昇や作業性の悪化を招かずに、輻射による熱伝達の影響を低減できるとした効果を発揮できる。
請求項9の発明では、遮熱材と外被材が接触することによるヒートブリッジの発生を抑制できる。
請求項10の発明では、無機質繊維体を4枚以上とし、これらの無機質繊維体の間に最低で3枚以上の遮熱材を挿入することで、無機質繊維体としての断熱性能を十分に確保しつつ、遮熱材を設けたことによる効果を発揮できる。
請求項11の発明では、無機質繊維体として、現状で知られている最高の断熱効果を発揮することができる。
請求項1の発明によれば、輻射による熱伝導量の影響を低減して、優れた断熱性能を得ることが可能な真空断熱体を提供できる。
請求項2の発明によれば、輻射による熱伝導量の影響を効果的に低減することが可能になる。
請求項3の発明によれば、ヒートブリッジの発生を抑制できる。
請求項4の発明によれば、輻射による熱伝導量の影響を低減できるとした効果を発揮できる。
請求項5の発明によれば、真空断熱体としての輻射遮蔽効果を高めることができる。
請求項6の発明によれば、輻射による熱伝達の影響を低減して、優れた断熱性能を得ることが可能な真空断熱体を提供できる。
請求項7の発明によれば、輻射による熱伝達の影響を低減できるとした効果を発揮できる。
請求項8の発明によれば、コストの上昇や作業性の悪化を招かずに、輻射による熱伝達の影響を低減できるとした本来の効果を発揮できる。
請求項9の発明によれば、ヒートブリッジの発生を抑制できる。
請求項10の発明によれば、無機質繊維体としての断熱性能を十分に確保しつつ、遮熱材を設けたことによる効果を発揮できる。
請求項11の発明によれば、無機質繊維体として最高の断熱効果を発揮することができる。
本発明の第1実施例を示す真空断熱体の完成状態における全体断面図である。 本発明の第2実施例を示す真空断熱体の完成状態における全体断面図である。
以下、添付図面を参照しつつ、本発明における真空断熱体の好ましい実施例を説明する。なお、以下に示す各実施例で、共通する箇所には共通する符号を付し、共通する部分の説明は重複を避けるため極力省略する。
図1は、本実施例における完成した真空断熱体としての真空断熱パネル1の全体断面図を示している。真空断熱パネル1は平板状で、薄肉のグラスウールシート3と熱輻射遮蔽効果に優れた輻射遮蔽部材4とを積層した断熱材からなる芯材2と、この芯材2を密閉包装するために、ガス又は水分に対するバリア性を有した外被材5とにより構成される。芯材2は袋状の外被材5に収容され、外被材5の内部を減圧した後に、外被材5の開口部を封止することで、芯材2の全周囲を密閉した真空断熱パネル1が得られる。
図1では、5枚のグラスウールシート3の間に4枚の輻射遮蔽部材4を挟み込んだ芯材2を示しているが、グラスウールシート3と輻射遮蔽部材4を厚さ方向に積層していれば、その枚数について特に限定はされない。またグラスウールシート3は、シート状に製造された無機繊維体を所定の寸法にカットした平面視四角形状のもので、湿式グラスウールシートまたは乾式グラスウールシートの何れか、若しくはこれらを組み合わせて構成される。本実施例において、各グラスウールシート3は同一の形状を有する。
輻射遮蔽部材4は、アルミ箔などの輻射遮蔽性能に優れた金属箔を所定の寸法にカットした平面視四角形状のもので、アルミニウム以外の金属としては、金,銀,銅,ニッケルなどが選択される。本実施例において、各輻射遮蔽部材4は同一の形状を有する。
また、完成状態の真空断熱パネル1を平面視したときに、輻射遮蔽部材4の面積は、グラスウールシート3の面積よりも小さく、および/またはグラスウールシート3の面積の40%以上に形成される。輻射遮蔽部材4の面積がグラスウールシート3の面積以上であると、輻射遮蔽部材4の端面が外被材5に接触して、輻射遮蔽部材4と外被材5との間で熱が伝達するいわゆるヒートブリッジが発生する。逆に、輻射遮蔽部材4の面積がグラスウールシート3の面積の40%未満であると、外被材5の内部において、グラスウールシート3どうしが直接接触する面積が増加し、輻射による熱伝導量の影響を低減できるとした本実施例での効果を発揮できない。このような懸念を回避するために、グラスウールシート3に対する輻射遮蔽部材4の面積が、上述のような範囲に選定される。
各グラスウールシート3の厚さは、0.1mm以上でかつ6mm以下の範囲に形成される。この範囲内の厚さで、薄肉のグラスウールシート3を使用すれば、真空断熱パネル1で所定の厚さを得るために必要なグラスウールシート3の積層枚数が増えることになる。したがって、各グラスウールシート3の間により多くの数の輻射遮蔽部材4を入れることができ、真空断熱パネル1としての輻射遮蔽効果を高めることができる。
外被材5は、平面視同形をなすシート部材6a,6bの周縁をヒートシールして形成されるもので、外被材5の四方周縁には、シート部材6a,6bを当該ヒートシールで接合した余剰部分としての耳部7が形成される。これらのシート部材6a,6bは、例えばPET(ポリエチレンテレフタレート),ON(ナイロン:登録商標),AL(アルミニウム)およびHDPE(高密度ポリエチレン)を順に積層したものからなる。
図1に示す真空断熱体1を製造するには、先ずグラスウールシート3と輻射遮蔽部材4のそれぞれを、所望の例えば矩形形状に形成または裁断し、輻射遮蔽部材4の厚さ方向の両側からグラスウールシート3を挟み込んだ複数枚重ねの芯材2を、予め三方をヒートシールした平面視四角形状の外被材5の中に、残りの一方の開口から挿入収納する。この状態で、例えば真空槽(図示せず)による真空引きを行ない、外被材5の内部を所定の真空度にまで減圧した後に、外被材5の開口されている残りの一方をヒートシールして封止することで密封し、平面視四角形状の真空断熱体1を得る。
このようにして製造された真空断熱体1は、各グラスウールシート3が輻射遮蔽部材4を挟んだ状態で、外被材5の中に芯材2が密封収納されることになる。輻射遮蔽部材4の厚さは、グラスウールシート3に比べて極めて薄いため、真空断熱体1の外形は、積層したグラスウールシート3の外形にほぼ依存したものとなるが、各グラスウールシート3間に介在する輻射遮蔽部材4によって、減圧状態の雰囲気中にある外被材5内の熱輻射が遮蔽され、輻射による熱伝導量の影響を低減できる。したがって、グラスウールシート3だけで芯材2を構成したものよりも、断熱性能に優れた真空断熱体1を提供できる。
また、輻射遮蔽部材4の面積はグラスウールシート3の面積よりも小さく、輻射遮蔽部材4の端面が外被材5に触れないように外被材5の内部で配置される。したがって、外被材5の内部で輻射遮蔽部材4と外被材5との間の熱交換が遮られ、ヒートブリッジによる断熱性能の低下を回避できる。しかも、輻射遮蔽部材4の面積を無制限に小さくするのではなく、少なくともグラスウールシート3の面積の40%以上にすることで、ヒートブリッジの発生を抑制しつつ、輻射遮蔽部材4本来の性能を確保できる。
次に、本実施例における実験結果を表1に示す。
Figure 2014005872
実験を行なうに際し、厚さ1mmである薄肉のグラスウールシート3を、所定の形状にするために長さ450mm×幅450mmで切断し、輻射遮蔽部材4であるアルミ箔を、同じく所定の形状にするために長さ450mm×幅450mmで切断し、切断した14枚のグラスウールシート3と、切断した13枚の輻射遮蔽部材4を交互に積層して芯材2とした。この芯材2を外被材5に入れて、外被材5の内部を数Paに減圧して開口部を封止し、本実施例に対応した真空断熱パネル1を製造した。表1に示す「芯材の構成」で、下段の「グラスウール+アルミ箔」と記載したものが、本実施例の真空断熱パネル1に対応する。このとき、グラスウールシート3の面積は202.500mmとなり、アルミ箔の面積は90.000mmとなる、したがって、ここでのアルミ箔の面積は、グラスウールシート3の面積の44.44%となる。
一方、輻射遮蔽部材4であるアルミ箔を使用せずに、前述の切断した14枚のグラスウールシート3だけを積層して芯材とし、この芯材を外被材5に入れて、外被材5の内部を数Paに減圧して開口部を封止し、比較対象となる別の真空断熱パネルを製造した。表1に示す「芯材の構成」で、上段の「グラスウール」と記載したものが、比較対象となる真空断熱パネルに対応する。
実験で得られた結果は、表1に示す通りである。グラスウールシート3のみを芯材として製造した真空断熱パネルが、熱伝導率2.0mW/m・Kであったのに対し、グラスウールシート3と輻射遮蔽部材4とを交互に積層したものを芯材2として製造した本実施例の真空断熱パネル1が、熱伝導率1.8mW/m・Kであった。つまり、本実施例における真空断熱パネル1は、比較対象となる既存の真空断熱パネルに対して、熱伝導率が10%も改善した。
以上のように、本実施例の真空断熱体1は、薄肉の無機質繊維体であるグラスウールシート3と輻射遮蔽部材4とを備えた芯材2を、ガスおよび水蒸気の透過を阻止する外被材5で包み、内部を減圧した後に封止して構成される。
この場合、グラスウールシート3と輻射遮蔽部材4とを積層して備えることによって、グラスウールシート3を減圧封止した本来の断熱性能は維持しつつも、外被材5の内部における熱の輻射を輻射遮蔽部材4で遮蔽して、輻射による熱伝導量の影響を低減することが可能になり、真空断熱体1として優れた断熱性能を得ることが可能になる。
また、本実施例の真空断熱体1は、輻射遮蔽部材4を金属箔で構成している。このように、輻射遮蔽部材4として特に金属箔を用いることで、輻射による熱伝導量の影響を効果的に低減することが可能になる。
また、本実施例の真空断熱体1は、輻射遮蔽部材4の大きさである面積を、グラスウールシート3の大きさである面積よりも小さくして形成される。このようにすると、輻射遮蔽部材4と外被材5が接触することによるヒートブリッジの発生を抑制できる。
また、本実施例の真空断熱体1は、輻射遮蔽部材4の大きさである面積をグラスウールシート3の大きさである面積の40%以上となるように形成している。つまり、輻射遮蔽部材4の面積をグラスウールシート3の面積の40%以上とすることで、輻射による熱伝導量の影響を低減できるとした上述の効果を発揮できる。
また、芯材2として用いられるグラスウールシート3は、0.1mm以上6mm以下の厚さを有する。このように、0.1mm以上6mm以下の厚さのグラスウールシート3を使用することにより、真空断熱体1で所定の厚さを得るために必要なグラスウールシート3の積層枚数が増え、そのグラスウールシート3の間に輻射遮蔽部材4を入れる層が自ずと増加する。したがって、真空断熱体1としての輻射遮蔽効果を高めることができる。
図2は、本実施例における完成した真空断熱体としての真空断熱パネル11の全体断面図を示している。真空断熱パネル11は平板状で、薄肉のグラスウールシート3と反射率の高い金属箔である遮熱材14とを積層した断熱材からなる芯材12と、この芯材2を密閉包装するために、ガス又は水分に対するバリア性を有した外被材5とにより構成される。芯材12は袋状の外被材5に収容され、外被材5の内部を減圧した後に、外被材5の開口部を封止することで、芯材12の全周囲を密閉した真空断熱パネル11が得られる。
図2では、5枚のグラスウールシート3の間に4枚の遮熱材14を挟み込んだ芯材12を示しているが、グラスウールシート3と遮熱材14を厚さ方向に積層していれば、その枚数について特に限定はされない。但し本実施例では、輻射による熱伝達の影響を低減する効果を発揮させるために、芯材12が4枚以上のグラスウールシート3と積層からなる場合は、遮熱材14を3枚以上挿入するのが好ましい。またグラスウールシート3は、シート状に製造された無機質繊維体を所定の寸法にカットした平面視四角形状のもので、湿式グラスウールシートまたは乾式グラスウールシートの何れか、若しくはこれらを組み合わせて構成される。芯材12に用いられる無機質繊維体として好ましいのはガラス繊維であり、シート若しくはボードとして形成される。本実施例において、無機質繊維体としての各グラスウールシート3は同一の形状を有する。
遮熱材14は、前述した輻射遮蔽部材4と同等の部材からなり、熱反射率が80%以上の金属箔を所定の寸法にカットした平面視四角形状のもので、ここでの各遮熱材14は同一の形状を有する。また、遮熱材14が厚すぎると、熱伝達が高くなりすぎると共に材料費(コスト)が上昇し、逆に遮熱材14が薄すぎると、製造時の取扱い(作業性)が悪化するので、遮熱材14の厚さTは、0μm<T≦11μmとするのが好ましい。
また遮熱材14は、芯材12の各端部に接触しない位置に遮熱材14の端部が位置するように配置される。こうすることで、熱材14の端面が外被材5に接触して、遮熱材14と外被材5との間で熱が伝達するヒートブリッジの発生を抑制できる。その他の各部の構成は、第1実施例で示したものと共通している。
図2に示す真空断熱体11を製造するには、先ずグラスウールシート3と遮熱材14のそれぞれを、所望の例えば矩形形状に形成または裁断し、遮熱材14の厚さ方向の両側からグラスウールシート3を挟み込んだ複数枚重ねの芯材12を、予め三方をヒートシールした平面視四角形状の外被材5の中に、残りの一方の開口から挿入収納する。この状態で、例えば真空槽(図示せず)による真空引きを行ない、外被材5の内部を所定の真空度にまで減圧した後に、外被材5の開口されている残りの一方をヒートシールして封止することで密封し、平面視四角形状の真空断熱体11を得る。
このようにして製造された真空断熱体11は、各グラスウールシート3が遮熱材14を挟んだ状態で、外被材5の中に芯材12が密封収納されることになる。遮熱材14の厚さは、グラスウールシート3に比べて極めて薄いため、真空断熱体1の外形は、積層したグラスウールシート3の外形にほぼ依存したものとなるが、各グラスウールシート3間に介在する遮熱材14によって、減圧状態の雰囲気中にある外被材5内の熱が遮蔽反射され、輻射による熱伝達の影響を低減できる。したがって、グラスウールシート3だけで芯材12を構成したものよりも、断熱性能に優れた真空断熱体11を提供できる。
また、遮熱材14の端面が外被材5に接触するのを避けるために、遮熱材14は外被材5の内部において、芯材12の各端部に接触しない位置に遮熱材14の端部が位置するように配置される。したがって、外被材5の内部で遮熱材14と外被材5との間の熱交換が遮られ、ヒートブリッジによる断熱性能の低下を回避できる。
次に、本実施例における実験結果を表2に示す。
Figure 2014005872
実験を行なうに際し、厚さ1mm、長さ1060mm×幅550mmである所定形状のグラスウールシート3に対して、遮熱材14である厚さ6.5μmの金属箔を、所定の形状である長さ700mm×幅400mmに切断し、12枚のグラスウールシート3と切断した3枚の金属箔を積層して芯材12とした。この芯材12を外被材5に入れて、外被材5の内部を数Paに減圧して開口部を封止し、本実施例に対応した真空断熱パネル11を製造した。表2に示す「芯材の構成」で、下段の「グラスウール+金属箔」と記載したものが、本実施例の真空断熱パネル11に対応する。なお、金属箔はヒートブリッジの影響を考慮して、グラスウールシート3の平面中央に設置し、どの端面も外被材5と触れないようにした。
一方、遮熱材14である金属箔を使用せずに、前述した12枚のグラスウールシート3だけを積層して芯材とし、この芯材を外被材5に入れて、外被材5の内部を数Paに減圧して開口部を封止し、比較対象となる別の真空断熱パネルを製造した。表2に示す「芯材の構成」で、上段の「グラスウールのみ」と記載したものが、比較対象となる真空断熱パネルに対応する。
実験で得られた結果は、表2に示す通りである。グラスウールシート3のみを芯材として製造した真空断熱パネルが、熱伝導率2.8mW/m・Kであったのに対し、グラスウールシート3と遮熱材14とを交互に積層したものを芯材12として製造した本実施例の真空断熱パネル11が、熱伝導率2.5mW/m・Kであった。つまり、本実施例における真空断熱パネル11は、比較対象となる既存の真空断熱パネルに対して、熱伝導率が約10%も改善した。
以上のように、本実施例における真空断熱パネル11は、複数の積層したシートまたはボードによる無機質繊維体としてのグラスウールシート3の間に、遮熱材14を挿入した芯材12を、ガスおよび水蒸気の透過を阻止する外被材5で包み、その外被材5の内部を減圧した後に封止して構成される。
この場合、グラスウールシート3と遮熱材14とを積層することによって、グラスウールシート3を減圧封止した本来の断熱性能は維持しつつも、外被材5の内部における熱を遮熱材14で効果的に遮蔽して、輻射による熱伝達の影響を低減することが可能になり、真空断熱体11として優れた断熱性能を得ることが可能になる。
また、本実施例の遮熱材14は、所定の反射率を持った熱反射率が80%以上の金属箔を用いて構成される。所定の反射率を持った例えば熱反射率が80%以上の金属箔を遮熱材14として用いることで、輻射による熱伝達の影響を低減できるとした上述の効果を発揮できる。
また、本実施例の遮熱材14は、0μmよりも大きく11μm以下の厚さの金属箔からなる。遮熱材14が厚すぎると、熱伝達が高くなりすぎると共に材料費が上昇し、逆に遮熱材14が薄すぎると、製造時の取扱いが悪化する。したがって、遮熱材14の厚さを0μmよりも大きく11μm以下の適正な範囲にすることで、コストの上昇や作業性の悪化を招かずに、輻射による熱伝達の影響を低減できるとした本実施例本来の効果を発揮できる。
また、本実施例の遮熱材14は、芯材12の各端部に接触しない位置に遮熱材14の端部が位置するように配置される。このようにすると、遮熱材14と外被材5が接触することによるヒートブリッジの発生を抑制できる。
また、本実施例の芯材12は、4枚以上の無機質繊維体としての例えばグラスウールシート3と、これらのグラスウールシート3の間に挿入される3枚以上の遮熱材14とにより構成される。無機質繊維体としてのグラスウールシート3を4枚以上とし、これらのグラスウールシート3の間に最低で3枚以上の遮熱材14を挿入することで、グラスウールシート3としての断熱性能を十分に確保しつつ、遮熱材14を設けたことによる最低限の効果を発揮できる。
また、前述の無機質繊維体は特にガラス繊維から成るのが好ましく、この場合は無機質繊維体として、現状で知られている最高の断熱効果を発揮することができる。
なお、本発明は上記各実施例に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更可能である。例えば、第1実施例に示す真空断熱体1や第2実施例に示す真空断熱体11は、平面視で四角形以外の形状であっても構わない。また、第1実施例における芯材2の構成を、第2実施例の芯材12に適用させたり、第2実施例12における芯材12の構成を、第1実施例の芯材2に適用させたりすることも可能である。
1,11 真空断熱材
2,12 芯材
3 グラスウールシート(無機質繊維体)
4 輻射遮蔽部材
5 外被材
14 遮熱材

Claims (11)

  1. 無機質繊維体と輻射遮蔽部材とを備えた芯材を、外被材で包み、内部を減圧した後に封止してなることを特徴とする真空断熱体。
  2. 前記輻射遮蔽部材を金属箔で構成したことを特徴とする請求項1記載の真空断熱体。
  3. 前記輻射遮蔽部材の大きさは、前記無機質繊維体の大きさよりも小さいことを特徴とする請求項1または2記載の真空断熱体。
  4. 前記輻射遮蔽部材の大きさは、前記無機質繊維体の大きさの40%以上であることを特徴とする請求項1〜3の何れか一つに記載の真空断熱体。
  5. 前記無機質繊維体は、0.1mm以上6mm以下の厚さであることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一つに記載の真空断熱体。
  6. 複数の積層した無機質繊維体の間に遮熱材を挿入した芯材を、外被材で包み、内部を減圧した後に封止してなることを特徴とする真空断熱体。
  7. 前記遮熱材は、所定の反射率を持った金属箔であることを特徴とする請求項6記載の真空断熱体。
  8. 前記遮熱材は、11μm以下の厚さの金属箔であることを特徴とする請求項6または7記載の真空断熱体。
  9. 前記遮熱材は、前記芯材の端部に接触しない位置に前記遮熱材の端部が位置するように配置されることを特徴とする請求項6〜8のいずれか一つに記載の真空断熱体。
  10. 前記芯材は、4枚以上の前記無機質繊維体と、この無機質繊維体の間に挿入される3枚以上の前記遮熱材とからなることを特徴とする請求項6〜9のいずれか一つに記載の真空断熱体。
  11. 前記無機質繊維体は、ガラス繊維から成ることを特徴とする請求項6〜10のいずれか一つに記載の真空断熱体。
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