JP2014005226A - テレフタル酸の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】テレフタル酸を製造する際に生ずる大量の排水を工業用水(冷却水)及び/又はプロセス水として再生利用でき、水源からの新規取水量及び公共水域への排水量を低減することが可能な、経済性及び環境適合性を高めたテレフタル酸の製造方法を提供する。
【解決手段】テレフタル酸製造プロセスから発生する排水を活性汚泥処理を行いながら及び/又は活性汚泥処理を行った後に膜分離処理により膜透過水とする工程と、該膜透過水を回収する工程と、を有するテレフタル酸の製造方法とする。
【選択図】図1

Description

本発明は、テレフタル酸の製造方法、更に詳しくはテレフタル酸製造プロセス排水から水を回収して再利用するテレフタル酸の製造方法に関する。
テレフタル酸の工業的製造方法としては、酢酸などの脂肪族カルボン酸を含む溶媒中で、コバルトやマンガン等を主体とする重金属の化合物の触媒、及び/又は臭素化合物の存在下、原料であるp−キシレンを、分子状酸素を含有するガスによって加圧下に液相酸化してテレフタル酸を生成させる方法が広く用いられている。
テレフタル酸はその商業的用途から、微量不純物をも極力削減して純度を高めることがしばしば要求される。かかる要求に応えるため、精製方法として、(A)テレフタル酸を得るために、上記酸化反応後のテレフタル酸スラリーを分離、乾燥した後に高温、高圧で水などの溶媒に溶解させて触媒存在下に水素化し、次いで分離する方法や、(B)テレフタル酸を得るために、上記酸化反応後のテレフタル酸スラリーを追酸化して不純物の酸化反応を進行させ、その後分離・洗浄する方法などが採用されている。
上記のような精製工程において、水に難溶なテレフタル酸を水に完全溶解させるには多量の水が必要になる。また、溶媒として使用される酢酸などの低級脂肪酸が製品中に残留する量を極力低減する必要があるため、洗浄にも多量の水が必要になる。このような特有の事情の結果として、テレフタル酸製造プロセスからは大量の工業排水が排出される。昨今特に生産規模の拡大に伴い、単一の製造プラントでテレフタル酸が年間500,000〜1,000,000トン製造されるので、地下から又は近隣水域からくみ上げられて最終的に公共水域へ放出される排水量は、単一の製造プラント当たり300〜500トン/時間にも達している。加えて、全世界でのテレフタル酸生産量は極めて大量であり、今後も拡大傾向と予想されるため、テレフタル酸製造プロセスからの排水は、環境に対して地球的規模で無視できない影響を及ぼすと考えられる。よって、地球環境保全及び資源リサイクルなどの観点から、テレフタル酸製造プロセスから発生する排水を処理する適切な手段への要求が高まっている。
このようなテレフタル酸製造プロセスで発生する排水の処理、特に排水中に含まれる有害物の公共水域への放出防止に関する技術として、例えば特許文献1には、排水と抽出剤とを特殊な構造を有する配管に流して混合した後、重力を利用して減速しながら容器に供給し、静置して液々分離することにより、50トン/時間を超える大流量の排水から目的成分を液々抽出することが記載されている。特許文献2には、有機物を含有する排水中に、陽極と陰極よりなる電極を対峙させ、この両電極間に電圧を印加して通電することにより電解処理して、排水中の有機物を電気化学的に分解することが記載されている。特許文献3には、テレフタル酸製造時に発生する洗浄水を濾過した後に陽イオン交換樹脂、陰イオン交換樹脂と順に通液させることにより、不要テレフタル酸固形分、金属触媒、溶解テレフタル酸及び溶解有機酸副産物を除去することが記載されている。また、特許文献4には、脂肪族カルボン酸やそのエステル或いは芳香族カルボン酸やそのエステルなどの製造プロセスから排出される有機物含有排水を、固体触媒を用いて湿式酸化処理した後に高脱塩率のポリアミド系複合膜(逆浸透膜)を用いて非透過液と透過液とに分離することが記載されている。
特開2006−218474号公報 特開2006−272051号公報 特公平5−56329号公報 特許第3372921号公報 特開平9−174088号公報
しかしながら、これら従来技術による処理では、テレフタル酸製造プロセスからの排水を公共水域に放出できる水質まで浄化することは困難であった。そこで、テレフタル酸製造プロセスからの排水を処理するにあたっては、最終工程として好気性活性汚泥処理による生物処理を行い、該処理を経た処理液をそのまま公共水域へと排出する方法が一般的に採られている。好気性活性汚泥処理に関しては、生物処理の効率化のために、テレフタル酸分解能を有する微生物を集積培養及び馴化により得て、高テレフタル酸濃度条件下での分解処理効率を向上させる方法(特許文献5)も検討されている。
上記文献などに見られるように、テレフタル酸製造プロセスで発生する排水中の有効成分の回収、及び、有害物の分離除去などによる公共水域への放出防止に関する検討はされているが、その技術水準は依然として不十分である。さらには、地球全体での水資源の重要性を踏まえれば、資源リサイクルの観点から排水の再利用等により、プラントから環境への排水量を削減することが極めて重要であるところ、そのような排水放出量を削減する技術に関してはまだ十分な検討がなされていないのが現状である。
上記のような事情から、テレフタル酸の生産量規模増大に伴う排水量規模の増大は、テレフタル酸製造コストの増大に対する大きな因子となるばかりでなく、テレフタル酸の生産量が今後世界的に拡大見込みにあることを背景として、地球環境保全の観点から排水のリサイクル使用による工業用水使用量の削減を喫緊の課題の一つとしている。
そこで本発明は、上記事情に鑑み、テレフタル酸を製造する際に生ずる大量の排水を工業用水(冷却水)及び/又はプロセス水として再生利用でき、水源からの新規取水量及び公共水域への排水量を低減することが可能な、経済性及び環境適合性を高めたテレフタル酸の製造方法を提供することを課題とする。
本発明者らは鋭意検討した結果、テレフタル酸の製造方法におけるテレフタル酸製造プロセス排水の処理方法として、活性汚泥処理工程の工程中、及び/又は、活性汚泥処理工程後に膜分離処理を導入することにより、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
本発明のテレフタル酸の製造方法は、テレフタル酸製造プロセスから発生する排水を活性汚泥処理を行いながら、及び/又は、活性汚泥処理を行った後に、膜分離処理により膜透過水とする工程と、該膜透過水を回収する工程とを有することを特徴とする。
ここで、本発明において、「テレフタル酸製造プロセス」とは、テレフタル酸を製造するための一連の工程を意味しており、p−キシレンを酸化し、粗テレフタル酸とする工程、及び、該テレフタル酸を精製する工程を含むことが好ましい。粗テレフタル酸を精製する工程は、水素添加処理を行う工程を含む形態とすることができ、また、粗テレフタル酸を精製する工程は、追加的な酸化反応を行う工程を含む形態とすることもできる。「膜分離処理」とは、選択性を有する膜を用いて物質の分離を行う処理を意味する。膜としては、精密濾過(MF)膜、限外濾過(UF)膜等を例示できる。膜を物質が透過する駆動力としては、圧力差等を例示できる。また、「膜透過水」とは、膜分離処理において膜を透過した水を意味する。
本発明において、活性汚泥処理が、好気性活性汚泥処理、又は、好気性活性汚泥処理と嫌気性活性汚泥処理との組み合わせのいずれかであることが好ましく、好気性活性汚泥処理であることがより好ましい。
本発明において、「好気性活性汚泥処理」とは、活性汚泥に含まれる微生物の好気的代謝により有機物を分解する活性汚泥処理を意味する。また、「嫌気性活性汚泥処理」とは、活性汚泥に含まれる微生物の嫌気的代謝により有機物を分解する活性汚泥処理を意味する。
本発明において、活性汚泥処理を施す前の、テレフタル酸製造プロセスから発生する排水のCODCr値が10,000mg/L以下であり、且つBOD値が2,000mg/L以下であることが好ましい。又、CODCr値は8,000mg/L以下がより好ましく、6,000mg/L以下が更に好ましい。BOD値は1,800mg/L以下がより好ましく、1,600mg/L以下が更に好ましい。
本発明において、「CODCr値」とは、JIS K0102に規定される、二クロム酸カリウムを酸化剤として測定した化学的酸素消費量の値を意味し、mg/L単位で表すものとする。また、「BOD値」とは、JIS K0102に規定される、5日間の生物化学的酸素消費量の値を意味し、mg/L単位で表すものとする。
本発明において、膜分離処理を、メンブレンバイオリアクター、限外濾過膜装置、及び逆浸透膜装置からなる群より選ばれる少なくとも1種の膜分離装置により行うことが好ましく、中でもメンブレンバイオリアクターがより好ましい。
本発明において、「メンブレンバイオリアクター」とは、膜分離活性汚泥法による処理装置を意味し、処理された水と活性汚泥との分離を沈殿処理に代えて精密濾過膜(以下において、「MF膜」ということがある。)又は限外濾過膜(以下において、「UF膜」ということがある。)を使って行う活性汚泥処理装置である。
本発明において、膜透過水の少なくとも一部に吸着剤処理を行い、吸着精製水とする工程と、吸着精製水を回収する工程とをさらに有することが好ましい。
本発明において、「吸着剤処理」とは、水と吸着剤とを接触させることにより水を浄化する処理を意味する。また、「吸着精製水」とは、吸着剤処理によって浄化された水を意味する。
膜透過水の少なくとも一部に吸着剤処理を行い、吸着精製水とする工程と、吸着精製水を回収する工程とをさらに有する形態の本発明のテレフタル酸の製造方法において、吸着剤処理を、活性炭、イオン交換樹脂、合成ゼオライト、シリカアルミナ、ベントナイト、及びアルミン酸アルカリ土類金属塩からなる群より選ばれる少なくとも1種の吸着剤により行うことが好ましい。
本発明において、単に「イオン交換樹脂」とは、陽イオン交換樹脂及び陰イオン交換樹脂を包含する概念である。「アルカリ土類金属」とは広く第2族元素を意味し、カルシウム(Ca)、ストロンチウム(Sr)、バリウム(Ba)、及びラジウム(Ra)だけでなく、ベリリウム(Be)及びマグネシウム(Mg)をも包含する概念である。「アルミン酸アルカリ土類金属塩」とは、アルミニウムとアルカリ土類金属との複酸化物を意味し、例えば酸化アルミニウムカルシウム(Ca(AlO)等を挙げることができる。
本発明のテレフタル酸の製造方法においては、上記回収した膜透過水及び/又は吸着精製水の少なくとも一部を、前記テレフタル酸製造プロセスにおける冷却水及び/又はプロセス水として好ましく使用することができる。
本発明において、「テレフタル酸製造プロセスにおける冷却水」とは、テレフタル酸製造プロセスにおいて各種機器類を冷却するために使用する水(工業用水)を意味する。また、「テレフタル酸製造プロセスにおけるプロセス水」とは、テレフタル酸製造プロセスにおいて反応や精製等の変化を加えられる物質(例えば粗テレフタル酸)に接触する水を意味し、該物質を溶解するための溶媒として用いられる態様、及び、該物質を洗浄するための溶媒として用いられる態様をも包含する概念である。
本発明のテレフタル酸の製造方法によれば、活性汚泥処理と膜分離処理とを組み合わせているので、テレフタル酸を製造する際に生ずる大量の排水を工業用水(冷却水)及び/又はプロセス水として再生利用でき、水源からの新規取水量及び公共水域への排水量を低減することが可能な、経済性及び環境適合性を高めたテレフタル酸の製造方法とすることができる。
本発明において、活性汚泥処理を、好気性活性汚泥処理、又は、好気性活性汚泥処理と嫌気性活性汚泥処理との組み合わせとすることにより、テレフタル酸製造プロセス排水に含まれる有機物を分解することが容易になるので、テレフタル酸を製造する際に生ずる大量の排水を上記再生することが容易になる。
本発明において、活性汚泥処理を施す前の、テレフタル酸製造プロセスから発生する排水のCODCr値が好ましくは10,000mg/L以下であり、且つBOD値が好ましくは2,000mg/L以下であることにより、テレフタル酸製造プロセス排水に含まれる有機物を活性汚泥処理によって代謝分解することが容易になる。よって、テレフタル酸を製造する際に生ずる大量の排水を上記再生することが容易になる。
本発明において、膜分離処理を、好ましくはメンブレンバイオリアクター、限外濾過膜装置、及び逆浸透膜装置からなる群より選ばれる少なくとも1種の膜分離装置により行うことにより、テレフタル酸を製造する際に生ずる大量の排水を上記再生することが一層容易になる。
本発明において、好ましくは膜透過水の少なくとも一部に吸着剤処理を行い、吸着精製水とする工程と、吸着精製水を回収する工程とをさらに有することにより、テレフタル酸を製造する際に生ずる大量の排水を、工業用水(冷却水)として利用可能な水質を有する水に再生するだけでなく、プロセス水として利用可能な水質を有する水にまで再生することが可能となる。
膜透過水の少なくとも一部に吸着剤処理を行い、吸着精製水とする工程と、吸着精製水を回収する工程とをさらに有する形態の本発明のテレフタル酸の製造方法において、吸着剤処理を、好ましくは活性炭、イオン交換樹脂、合成ゼオライト、シリカアルミナ、ベントナイト、及びアルミン酸アルカリ土類金属塩からなる群より選ばれる少なくとも1種の吸着剤により行うことにより、テレフタル酸を製造する際に生ずる大量の排水を、プロセス水として利用可能な水質を有する水にまで再生することが容易になる。
第一の代表的なテレフタル酸の製造方法において、活性汚泥処理中に精密濾過膜分離処理を行う実施形態を説明する図である。 第一の代表的なテレフタル酸の製造方法において、活性汚泥処理後に限外濾過膜分離処理を行う実施形態を説明する図である。 第一の代表的なテレフタル酸の製造方法における工程フロー及び物質フローを説明する図である。 第二の代表的なテレフタル酸の製造方法における工程フロー及び物質フローを説明する図である。 第二の代表的なテレフタル酸の製造方法における本発明の一実施形態を説明する図である。 活性汚泥処理を1段処理にて行う形態の排水処理システムの一例を説明する図である。
本発明の上記した作用及び利得は、以下に説明する発明を実施するための形態から明らかにされる。以下、図面を参照しつつ、本発明の実施の形態について説明する。なお、以下に示す形態は本発明の例示であり、本発明がこれらの形態に限定されるものではない。特に膜分離装置等の組み合わせはこれらの形態に限定されるものではない。また、特に断らない限り、数値範囲について「A〜B」という表記は「A以上B以下」を意味するものとする。
テレフタル酸の工業的製造方法は、テレフタル酸に求める品質(純度)の違いにより、主として下記(A)及び(B)の2通りに大別することができる。
(A)酸化反応後に水素化精製によりテレフタル酸を製造する方法;
(B)酸化反応後に高温高圧で追加的に酸化反応を実施し、水素化精製をしないでテレフタル酸を製造する方法。
<A.テレフタル酸の製造方法>
図3は、第一の代表的なテレフタル酸の製造方法における工程フロー及び物質フローを説明する図である。第一の代表的なテレフタル酸の製造方法は下記の7つの工程を有する。
(1)含水酢酸中、p−キシレンを酸化して、粗テレフタル酸スラリーを得る工程(以下、「酸化反応工程(1)」と言うことがある。);
(2)上記粗テレフタル酸スラリーを固液分離して粗テレフタル酸ケーキを回収する工程(以下、「第1固液分離工程(2)」と言うことがある。);
(3)上記粗テレフタル酸ケーキを水に溶解して、水素添加処理をする工程(以下、「水素添加処理工程(3)」と言うことがある。);
(4)上記水素添加処理液を晶析してテレフタル酸スラリーを得る工程(以下、「晶析工程(4)」と言うことがある。);
(5)上記テレフタル酸スラリーを固液分離してテレフタル酸ケーキ及び分離母液を得る工程(以下、「第2固液分離工程(5)」と言うことがある。);
(6)上記テレフタル酸ケーキを乾燥してテレフタル酸を得る工程(以下、「乾燥工程(6)」と言うことがある。);
(7)上記(1)〜(6)の工程から排出される排水の全量又は一部を好気性活性汚泥処理後、回収する排水処理工程(以下、「排水処理工程(7)」と言うことがある。)。
(酸化反応工程(1))
酸化反応工程(1)は含水酢酸中、p−キシレンを酸化して、粗テレフタル酸スラリー11’を得る酸化反応工程である。まずp−キシレンと酢酸等を含む溶媒とを混合し、酸化反応装置11に送り、溶媒中で触媒の存在下に分子状酸素を用いて、p−キシレンを酸化する。該触媒としては、コバルト、マンガン等の遷移金属の化合物及び/又は臭化水素酸等のハロゲン化水素等が挙げられる。これにより粗テレフタル酸スラリー11’が生成され、第1固液分離工程(2)に送られる。
(第1固液分離工程(2))
第1固液分離工程(2)は、第1固液分離装置12において上記粗テレフタル酸スラリー11’を固液分離して粗テレフタル酸ケーキを回収した後、洗浄及び乾燥を行って粗テレフタル酸12’を得る工程である。固液分離する方法としては、そのまま固液分離機にかける方法等を例示することができる。なお、上記粗テレフタル酸スラリー11’は加圧状態にあるので、圧力を下げると、溶解している粗テレフタル酸が析出する。このため、上記スラリー11’を晶析槽(不図示)に送って、放圧冷却を行い、溶解している粗テレフタル酸を析出させてから、固液分離機にかけてもよい。なお、上記「放圧冷却」とは、対象液の圧力よりも低い圧力条件に設定した晶析槽にこの対象液を導入し、該晶析槽で放圧させることにより、膨張及び溶媒成分の気化により、冷却させることを意味する。
このようにして得られた粗テレフタル酸ケーキを酢酸、水、又は酢酸と水の混合物等により洗浄後乾燥することにより、粗テレフタル酸12’が得られる。得られた粗テレフタル酸12’には、酸化中間体である4−カルボキシベンズアルデヒド(4CBA)等が不純物として含まれる。このような不純物を取り除くため、粗テレフタル酸12’は次の水素添加処理工程(3)に送られる。
(水素添加処理工程(3))
水素添加処理工程(3)は、水素添加処理装置13において、上記粗テレフタル酸12’を水に溶解して、水素添加により還元処理する工程である。水素添加処理工程(3)を経ることにより、上記不純物である4CBAは還元され、p−トルイル酸になる。p−トルイル酸はテレフタル酸より水溶性が高いので、後述する第2固液分離工程(5)で分離することができる。なお、分離されたp−トルイル酸は上記酸化反応工程(1)に戻され、テレフタル酸原料として使用される。水素添加処理工程(3)により生成した水素添加処理液13’は、次の晶析工程(4)に送られる。
(晶析工程(4))
晶析工程(4)は、晶析装置14において上記水素添加処理液13’を晶析してテレフタル酸スラリー14’を得る工程である。晶析方法としては、溶媒である水の蒸発除去及び冷却による方法や、放圧冷却する方法等を例示できる。この工程において、上記したようにp−トルイル酸は水溶性が高いため、その多くは析出せずに溶媒に溶解したままである。よって、次の第2固液分離工程(5)でp−トルイル酸とテレフタル酸とを分離することができる。
(第2固液分離工程(5))
第2固液分離工程(5)は、第2固液分離装置15において、上記テレフタル酸スラリー14’を固液分離して、テレフタル酸ケーキ15’とテレフタル酸分離母液24’とに分離する工程である。分離機としては濾過、遠心分離等公知の方法を採用できる。分離されたテレフタル酸ケーキには母液24’が付着しており、母液に溶解している不純物等が品質を低下させるので水で洗浄する。洗浄により得たテレフタル酸ケーキ15’は次の乾燥工程(6)に送られる。
ここで、テレフタル酸分離母液24’にはp−トルイル酸等の不純物、触媒、テレフタル酸等が含有されているので、p−トルイル酸等回収装置20において冷却することによりp−トルイル酸及びテレフタル酸等を析出させて回収する。回収された該p−トルイル酸及びテレフタル酸等は酸化反応工程(1)に戻される。一方、p−トルイル酸等分離母液25’はコバルトやマンガン等の重金属触媒等を回収装置(不図示)で回収後、排水処理工程(7)に送られる。
(乾燥工程(6))
乾燥工程(6)は、乾燥装置16において、上記テレフタル酸ケーキ15’を乾燥させて、テレフタル酸16’を得る工程である。乾燥にあたっては、放圧蒸発による加圧乾燥機、通常の流動乾燥機等を用いることができる。
(排水処理工程(7))
排水処理工程(7)は、好気性活性汚泥処理装置21において、上記工程(1)〜(6)から排出される排水中に含まれる有機物等の不純物を、好気性微生物群によって溶存酸素存在下に分解処理(好気性活性汚泥処理)する工程である。好気性活性汚泥処理装置21は、一般的な沈降槽及び曝気槽の組み合わせを有する。活性汚泥処理の完了した放流水27’は外部へ放流される。なお、工程(1)〜(6)から排出される排水は、必ずしも何ら処理を施さずに直接この好気性活性汚泥処理装置21に送られ処理されるとは限らない。工程毎に特有な排水組成に対応した処理を施し、好気性活性汚泥処理装置21に送られる場合もある。
次に、上記工程(1)〜(6)から排水処理工程(7)へと排出される排水種とその処理経路について述べ、各工程毎に排水処理工程(7)の活性汚泥処理の処理対象となる排水について説明する。
(酸化反応工程(1)からの排水)
酸化反応工程(1)からは、酸化反応のために酸化反応装置11に導入される分子状酸素含有ガスに伴って、溶媒の酢酸、副生する水、酢酸メチル、臭化メチル、反応中間体、一酸化炭素等、及び、未反応のp−キシレン等を含有する高温高圧ガスが排出される。該高温高圧ガスから、副生エネルギーを電気及び熱エネルギーとして回収し、さらに酢酸、酢酸メチルなどを回収した後、臭化メチルなどを燃焼処理する。燃焼処理後の排ガスをアルカリ水などと接触洗浄した後、ガスは大気放出され、酸化排ガス洗浄水17’は好気性活性汚泥処理装置21に送られる。
(第1固液分離工程(2)からの排水)
第1固液分離工程(2)からは、固液分離された母液が発生する。該母液の50%以上を上記酸化反応工程(1)に戻して再利用する。母液を再利用する比率は好ましくは70%以上であるが、系内での不純物蓄積による品質低下を防止するために母液を一部パージする必要がある。そのため、母液を再利用する比率は95%以下であり、好ましくは90%以下である。再利用に供されない酸化反応母液(パージ分)18’は溶媒回収装置17で蒸発濃縮され、蒸発溶媒19’と、有効成分を含む母液濃縮スラリー20’とに分けられる。母液濃縮スラリー20’は触媒回収・再生装置19に送られ、触媒が回収・再生される。回収・再生された触媒を固液分離した後、再生触媒回収分離母液22’が脱臭塔から生じる洗浄排水とともに好気性活性汚泥処理装置21に送られる。一方、蒸発溶媒19’は酢酸等回収装置18に送られ、脱水塔(不図示)で酢酸を濃縮回収され、次いで蒸留塔(酢酸メチル回収塔)(不図示)で酢酸メチルを回収される。残った酢酸メチル回収塔底液21’の一部が、好気性活性汚泥処理装置21に送られる。
なお、上記酸化反応工程(1)及び第1固液分離工程(2)以外の工程で発生するベントガスは一括して洗浄塔(不図示)で洗浄されて上記酸化排ガス洗浄水17’とともに好気性活性汚泥処理装置21に送られる。
(水素添加処理工程(3)からの排水)
通常、水素添加処理工程(3)からは排水処理対象物は発生しない。
(晶析工程(4)からの排水)
晶析工程(4)からは、放圧冷却又は減圧冷却により晶析する際に、生じる蒸気を冷却して得られる晶析時発生凝縮水23’が発生する。晶析時発生凝縮水23’は、p−トルイル酸などの有機物を含んでおり、好気性活性汚泥処理装置21に送られる。
(第2固液分離工程(5)及び乾燥工程(6)からの排水)
第2固液分離工程(5)においては、テレフタル酸ケーキ15’が固液分離されると共に、テレフタル酸分離母液24’が発生する。該母液24’はp−トルイル酸等回収装置20に送られ、母液24’に溶解しているp−トルイル酸及びテレフタル酸などが放圧冷却により析出及び濾過分離される。テレフタル酸分離母液24’から析出分離したケーキはスラリー化した後、上記酸化反応工程(1)に戻される。析出分離の残留母液に含有されるコバルト、マンガン等の遷移金属を金属回収装置(不図示)で回収した後、残るp−トルイル酸等分離母液25’は冷却され、好気性活性汚泥処理装置21に送られる。
上記第2固液分離工程(5)及び乾燥工程(6)からはこの他に、ベントガスを一括してスクラバーで処理する際に発生するベントガス洗浄水26’が好気性活性汚泥処理装置21に送られる。
上記工程(1)〜(6)から好気性活性汚泥処理装置21に流入する排水には浮遊物質(SS)、酸化反応で触媒として使用されるコバルト、マンガン等の遷移金属、アルカリ金属、CODCr値の増加をもたらす化合物、全窒素の増加をもたらす化合物などが含有されている。これら排水中の不溶物質の濃度はSS値で100mg/L以下、及び/又は濁度(Turbidity)で100NTU以下、水可溶性有機物質の濃度がCODCr値で10,000mg/L以下である。しかし、好気性活性汚泥処理装置21から流出する放流水27’は、水質の観点からそのままテレフタル酸製造プロセスで再利用することはできず、公共水域に大量に放流せざるを得ない。
本発明者らは、上記工程(1)〜(6)から排出される排水の処理方法に関して検討した結果、上記排水処理工程(7)において従来の好気性活性汚泥処理のみに替えて、活性汚泥処理中及び/又は活性汚泥処理後に膜分離装置を導入して不純物を分離処理することにより、処理され、回収された水の一部分又は大部分がテレフタル酸製造用工業用水(冷却水)又はプロセス水としてリサイクル使用できることを見出し、本発明を完成するに至った。プロセス水として使用する場合は、さらに必要に応じて、各種吸着剤を使用して水の精製度を向上させることにより、冷却水及び/又はプロセス水としての利用価値をより高められることも見出した。
活性汚泥処理としては、好気性微生物群によって酸素存在下に排水中の不純物を分解処理する好気性活性汚泥処理、及び/又は、嫌気性微生物群によって低酸素濃度環境下若しくは酸素非存在下に排水中の不純物を分解処理する嫌気性活性汚泥処理を採用することができる。具体的には、好気性活性汚泥処理のみ行う形態と、好気性活性汚泥処理及び嫌気性活性汚泥処理を組み合わせて行う形態とが可能であるが、上記工程(1)〜(6)から排出される排水は、窒素成分が少ないため脱窒する必要がない場合が多く、施設がコンパクトになることより好気性活性汚泥処理のみを行う形態が好ましい。
<A−1.テレフタル酸の製造における第1実施形態>
図1は、上記第一の代表的なテレフタル酸の製造方法において、活性汚泥処理中に精密濾過膜分離処理を行う実施形態を説明する図である。以下、本発明の実施態様の代表例を図1に基づきさらに具体的に説明する。
本実施形態においては、活性汚泥処理装置100中に精密濾過膜分離装置(以下において、精密濾過膜を「MF膜」といい、精密濾過膜分離装置を「MF膜分離装置」ということがある。)を配設する。本発明において採用し得る活性汚泥処理方法の形態としては、好気性活性汚泥処理のみを行う形態、及び、好気性活性汚泥処理と嫌気性活性汚泥処理とを組み合わせて行う形態を挙げることができる。好気性活性汚泥処理のみを行う形態によれば設備を単純化でき経費節減が容易である一方で、好気性活性汚泥処理と嫌気性活性汚泥処理とを組み合わせて行う形態によれば、脱リン効率を向上させることが可能である。なお、簡単のため、ここでは好気性活性汚泥処理のみを行う形態について説明する。
(活性汚泥処理装置100)
活性汚泥処理装置100においては、好気性活性汚泥処理が二段階で行われる。本発明における好気性活性汚泥処理は1段処理でも十分であるが、大量の排水を少なくとも工業用水(冷却水)及び/又はプロセス水として利用可能な水質を有する水に再生することをより容易にする観点からは、このように2段処理にすることが好ましい。活性汚泥処理装置100は、一般的な曝気槽及び沈殿槽から構成される。すなわち、図1に示すように活性汚泥処理装置100は、第1曝気槽101と、第1曝気槽101に接続された第1沈殿槽102と、第1沈殿槽102に接続された第2曝気槽103と、を有する。なお、破線で表示した第2沈殿槽104は使用しないので不要である。活性汚泥処理装置100においては、排水は第1曝気槽101、第1沈殿槽102、及び第2曝気槽103をこの順に移送されつつ、活性汚泥処理される。
第1曝気槽101及び第2曝気槽103における曝気方式としては、完全混合方式、プラグフロー方式、ステップフィード方式など、公知の曝気方式を特に制限なく採用できる。第1曝気槽101及び第2曝気槽103の運転条件としては、曝気槽中の活性汚泥浮遊物質(MLSS:Mixed Liquor Suspended Solid)濃度(単位:mg/L)は通常1,000〜15,000、好ましくは3,000〜7,000である。また、COD容積負荷(単位:kgCODCr/m・日)は通常0.5〜10、好ましくは1〜5である。また、COD除去率は通常95%〜99%、好ましくは96%〜99.5%である。
活性汚泥処理装置100においては、第2曝気槽103内に、MF膜分離装置105が配設されている。このように活性汚泥処理装置の中にMF膜を浸漬する方式をメンブレンバイオリアクター(MBR)という。膜分離式活性汚泥処理装置とも呼ばれる。膜分離装置を有しない一般の活性汚泥処理装置においては、沈殿槽で沈降性が悪化すると固液分離が不十分となり、処理水に多量の懸濁物質が混入する、バルキング現象が発生するおそれがある。MBRによれば、このバルキング現象を回避できるので、沈殿槽(活性汚泥処理装置100においては第2沈殿槽104)が不要になり、MLSS濃度の高濃度化運転が可能になり、また、処理設備の小型化が可能になる等の利点がある。
活性汚泥処理装置100において、第1曝気槽101で活性汚泥処理を受けた後、第1沈殿槽102で活性汚泥と分離された処理水は、第2曝気槽103に移される。第2曝気槽103にはMF膜分離装置105が配設されているので、活性汚泥(微生物)と処理水とを沈殿に依らず膜により分離することができる。よって、活性汚泥と処理水との最終的な分離を行うために第2沈殿槽104を設置する必要がないので、設備の設置面積を低減できる。
また、活性汚泥処理装置100においては、第1曝気槽101ではMLSS濃度(mg/L)にして1,000〜6,000、第2曝気槽103ではMLSS濃度(mg/L)にして6,000〜12,000と、膜分離装置を有しない一般的な活性汚泥処理装置に比較して大幅に高い濃度での運転が可能になる。
(MF膜分離装置105)
活性汚泥処理装置100においては膜分離にMF膜を使用する。MF膜は、概ね0.1μm〜10μmの不溶性固体を濾過する膜である。MF膜の素材としては、高分子材料、例えばポリプロピレン、ポリエチレン、酢酸セルロース、芳香族ポリアミド、ポリビニルアルコール、ポリフッ化ビニリデン、ポリスルホン、ポリカーボネートなどが挙げられる。MF膜の孔径は通常0.03μm〜10μmであるが、用途に応じてさらに微細な膜を使用することも可能である。MBR用には、孔径0.03μm〜0.4μmのMF膜が好ましい。膜素材は、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリフッ化ビニリデン等が特に好ましい。膜モジュールの形態は、中空糸型、平膜型、チューブラー型、スパイラル型等を特に制限なく採用できるが、これらの中でも中空糸型及び平膜型を特に好ましく採用できる。これらの具体例としては、MBR用として市販されている、「ステラポアーSADF(登録商標)」(三菱レイヨン株式会社)、「メンブレイ(登録商標)」(東レ株式会社)、「マイクローザ(登録商標)」(旭化成ケミカルズ株式会社)などが挙げられる。
MF膜分離装置105において使用可能な濾過方法としては、濾過面に懸濁物質を堆積しつつ行う通常のデッドエンド濾過(全量濾過ともいう)と、膜面に平行な流れを作り出し、流れの方向を膜透過方向と略直交させて、常に懸濁物質を再分散させるクロスフロー濾過とがあり、設置方法や使用方法に応じて適宜選択することができる。ただし、クロスフロー濾過によれば膜汚れ及び濃度分極現象を低減できるので、濾過効率を向上でき好ましい。以下においてはクロスフロー濾過を行うものとして説明する。
MF膜分離装置105における膜設置方法は、懸垂方式及び平置き方式などから適宜選択できる。懸垂方式においては、膜モジュールを曝気槽内に垂直に設置し、曝気槽内に発生する空気上昇流により、膜モジュール表面でクロスフロー濾過を行う。懸垂方式における散気条件は、線速度にして50m/時〜100m/時が好ましい。平置き方式においては、設置された平膜の下部から線速度50m/時〜100m/時で散気を行い、膜表面にクロスフロー流を生じさせ、クロスフロー濾過を行う。
MF膜分離装置105における膜濾過時には、減圧吸引方式を採用することが好ましい。すなわち、処理水の出側を減圧にして、水にMF膜中を移動させる駆動力である圧力差を高めることが好ましい。減圧吸引方式を採用する場合には、処理水出側の圧力は初期差圧から15kPa上昇の範囲内で運転するのが好ましい。また濾過温度は好ましくは10℃〜50℃、より好ましくは15℃〜40℃である。処理能力(運転速度)としては、日平均フラックス(単位:m/日)にして好ましくは0.05〜2.0、より好ましくは0.1〜1.0、さらに好ましくは0.4〜0.6で運転することが望ましい。
MF膜分離装置105において、膜表面への堆積による閉塞(ファウリング)防止は重要である。クロスフローや曝気する空気により、膜表面への堆積速度を低減することは可能であるが、長期的には目詰まりは避けられない。膜表面への堆積が進行すると、膜間差圧が上昇する。膜間差圧が一定値を超えると、薬品による膜洗浄が必要となる。膜洗浄に使用可能な薬品としては、次亜塩素酸塩、クエン酸、シュウ酸、過酸化水素などを例示できる。膜洗浄を行うべきと判断する膜間差圧は一般的には初期差圧から15kPa上昇程度を目安とすることが好ましい。膜洗浄の頻度は一般的には初期差圧から15kPa上昇或いは3ヵ月経過後が目安となる。
(RO膜分離装置106)
MF膜分離装置105で膜分離されたMBR処理水aは、中間タンク(不図示)を経て、逆浸透膜分離装置106(以下、逆浸透膜を「RO膜」といい、逆浸透膜分離装置を「RO膜分離装置」ということがある。)に移送され、RO膜による分離処理により、金属イオン類及び残存有機物等の除去を受ける。RO膜分離処理に使用されるRO膜の素材としては、ポリエチレン系、芳香族ポリアミド系や架橋芳香族ポリアミド系を含むポリアミド系、脂肪族アミン縮合系、複素環ポリマー系、ポリビニルアルコール系、及び酢酸セルロース系の高分子素材を挙げることができ、これらから適宜選択することができる。また、2種以上の素材の混合物を採用することも可能である。本発明では、この中でも特に、芳香族ポリアミド系や架橋芳香族ポリアミド系を含む、ポリアミド系高分子などが分離性能が高く、好ましいものとして推奨される。RO膜の膜形態としては、非対称膜、及び複合膜等が挙げられ、これらの中から適宜選択することができる。2種以上のRO膜を組み合わせて使用することも可能である。また、膜表面への付着抑止性能を向上させた低ファウリング膜も好ましく採用することができる。また、RO膜分離処理に用いる膜モジュールの形態としては、中空糸膜型、スパイラル膜型、チューブラー膜型、平膜型、プリーツ型などを例示でき、これらの中から選ばれる1種又は2種以上の膜モジュールを採用できる。この中でも、モジュールの膜面積が大きく、装置のコンパクト化に有利である観点から、スパイラル膜型モジュールが好ましい。これらの具体例としては、「低圧スパイラル型RO膜エレメント」シリーズ(日東電工株式会社)、「フィルムテック(登録商標)」シリーズ(ザ・ダウ・ケミカル・カンパニー)、「ロメンブラ(登録商標)」(東レ株式会社)等が挙げられる。なお、RO膜モジュールの入口にプレフィルターを設置し、膜の保護をすることが望ましい。
RO膜分離装置106でのRO膜分離処理における透過率(透過水重量/仕込み水重量×100%)は、50%〜90%が望ましい。より好ましくは60%〜80%である。透過率が過大であると透過水中の不純物が増加し、回収水の水質に悪影響を与えるおそれがある。また、RO膜分離処理は加圧下で行われる。RO膜分離処理における必要圧力は、RO膜に通過させる処理水中のイオン濃度や透過率によって決まるが、通常はゲージ圧にして0.5MPaG〜5.5MPaG、好ましくは1.1MPaG〜3.1MPaGの範囲内で操作される。また処理温度は好ましくは10℃〜50℃であり、より好ましくは15℃〜40℃である。なお、処理温度の決定にあたっては、膜素材の耐熱性に留意する必要がある。またクロスフローにおける処理水(MBR処理水a)の線速度は60m/分〜240m/分が好ましい。
RO膜の再生処理において薬剤を使用する場合は、薬剤による膜洗浄は2ヶ月に1回程度で実施し、性能の維持に努めることが好ましい。RO膜の再生処理剤として使用可能な薬剤としては重亜硫酸塩、次亜塩素酸塩、クエン酸、シュウ酸、過酢酸等が挙げられ、本発明では、この中でも重亜硫酸塩、次亜塩素酸塩、クエン酸などが好ましい。また、RO膜分離装置106に流入するMBR処理水aのpHが高いので、塩類の析出防止のために、RO膜に接触させる前に酸性化処理を行うことが好ましい。好ましいpHは通常5.0〜8.0、より好ましくは6.0〜7.5である。
上述したように、本発明で対象となる排水には、浮遊物質(SS)、酸化反応で使用されるコバルト、マンガン等の重金属、アルカリ金属、COD、含窒素化合物などが含有されている。
本発明で処理される排水は、MF膜分離装置105に流入する時点で、水中不溶物質の濃度がSS値にして100mg/L以下又は濁度(Turbidity)にして100NTU以下、水可溶性有機物質の濃度がCODCr値にして100mg/L以下且つBOD値にして10mg/L以下、水可溶性無機物質の濃度の指標として電気伝導度が500〜10,000μS/cm、pHが5.0〜9.5の性状を有することが好ましい。pHは通常8以上でありアルカリ性を示しているが、本発明ではpHが5.0〜9.5の範囲であれば膜分離による処理が可能である。
上記した性状を有する排水を、MF膜分離装置105以下、図1に示すフローにて処理すると、RO膜分離装置106から水質の良好なRO膜透過水bを回収することができる。RO膜透過水bの水質は、透過率にも依存するが、コバルト、マンガン等の金属イオン及び残留有機物のほとんどが除去されて、高い水質となっている。RO膜透過水bは再利用水槽107に蓄えられ、再利用水槽107から工業用水(冷却水)dとしてテレフタル酸製造プロセスに供給されるか、又は後述する吸着剤処理装置108に移送されさらに吸着剤処理を経て吸着精製水eとしてテレフタル酸製造プロセスに供給される。RO膜透過水bを工業用水(冷却水)dの供給及び吸着精製水eの製造に振り分ける比率は適宜選択することができる。
従来技術においては、テレフタル酸製造プロセスからの排水を排水処理した後の水を工業用水として使用することは困難であった。本発明によれば、排水処理後の水をテレフタル酸製造プロセスにおいて再利用することが可能となる。例えば、テレフタル酸製造プロセスにおいて、再冷塔への補給水をはじめとした工業用水として再利用することが可能である。特に、複数の膜分離装置(例えば本実施形態においては、MBRにおけるMF膜分離装置105及びRO膜分離装置106。)を組み合わせて膜分離処理を行うことにより、当該効果を奏することが一層容易になる。
一方、RO膜分離装置106から排出されるRO膜濃縮水cには各種不純物が濃縮されて含まれているが、処理される排水の性状が上記した範囲内であれば、これ以上の処理を施さずに公共水域へ放流することができる程度まで水質が向上されている。濃縮水は、必要に応じさらにオゾン処理を行ってから公共水域に放流してもよい。なお、放流水質を管理する方法としては、光透過率を監視する方法を挙げることができる。
(吸着剤処理装置108)
RO膜透過水bをプロセス水として使用するにあたっては、吸着剤処理装置108において各種吸着剤から選ばれる吸着剤を使用して吸着剤処理を施すことにより、さらに精製度(純度)を向上させることが可能となる。このように水の純度(水質)を向上させることにより、回収再生した水の用途範囲を拡大することが可能となる。吸着剤処理装置108から回収された吸着精製水eは、テレフタル酸製造工程に供給され、プロセス水としてより好ましく利用される。吸着精製水eのプロセス水としての用途としては、例えば、上記水素添加処理工程(3)の水素添加反応時に用いる溶媒の一部として用いる用途や、上記第2固液分離工程(5)のテレフタル酸の固液分離処理における洗浄用水の一部として用いる用途などを挙げることができる。なお、吸着剤処理装置108から排出される吸着剤処理排水fは、第1曝気槽101に移送され、再度活性汚泥処理される。
吸着剤処理装置108において使用可能な吸着剤としては、活性炭、イオン交換樹脂、合成ゼオライト、シリカアルミナ、ベントナイト、アルミン酸アルカリ土類金属塩等を例示できる。これらの中から少なくとも1種の吸着剤を選択して使用することができる。また、シリカ、アルミナ、シリカアルミナ、合成ゼオライト、アルミン酸アルカリ土類金属塩等から選ばれる2種以上の化合物を組み合わせて用いる場合には、これらを混合した混合物を吸着剤として使用してもよく、該混合物を反応させて得られた化合物を吸着剤として使用してもよい。
吸着剤処理装置108において使用可能な吸着剤としては、木質系活性炭と石炭系活性炭などを挙げることができ、これらの中から少なくとも1種を選択して使用することができる。なお、2種以上の活性炭を組み合わせる場合には、該2種以上の活性炭を混合しても用いても、混合せずに夫々単独のものを複数個の充填塔に分けて用いてもよい。
吸着剤処理装置108において使用可能なイオン交換樹脂としては、陽イオン交換樹脂、陰イオン交換樹脂、中間塩基性イオン交換樹脂などを挙げることができ、これらの中から少なくとも1種を選択して用いることができる。なお、2種以上のイオン交換樹脂を組み合わせて用いる場合には、該2種以上のイオン交換樹脂を混合して用いても、混合せずに夫々単独のものを複数個の充填塔に分けて用いてもよい。
吸着剤処理装置108において使用可能な陽イオン交換樹脂としては、官能基としてカルボキシル基等の弱酸基を有する弱酸性陽イオン交換樹脂と、スルホン酸基等の強酸基を有する強酸性陽イオン交換樹脂とがあり、本発明においてはいずれも使用可能である。ただし、本発明においては強酸性陽イオン交換樹脂を用いることが好ましい。これらの具体例としては、ダイヤイオンHP20(登録商標)、セパビーズSP825(登録商標)、セパビーズSP207(登録商標)(以上いずれも三菱化学株式会社製)、AMBERLITE XAD4(登録商標)、AMBERLITE XAD7(登録商標)(以上いずれもローム&ハース社製)等が挙げられる。吸着剤処理装置108において使用可能な陰イオン交換樹脂としては、弱塩基性陰イオン交換樹脂、強塩基性陰イオン交換樹脂のいずれも使用可能である。強塩基性陰イオン交換樹脂の具体例としてはダイヤイオンSA10A、SA12A、UBA120(登録商標)(以上いずれも三菱化学株式会社製)等が挙げられる。また、弱塩基性陰イオン交換樹脂の具体例としてはダイヤイオンWA10、WA20、WA30等(登録商標)(以上いずれも三菱化学株式会社製)が挙げられる。また、吸着剤処理装置108において使用可能な中間塩基性イオン交換樹脂としては、具体例としてIONAC−365(登録商標)(Sybron Corp.)等が挙げられる。
吸着剤処理装置108において使用可能な合成ゼオライトとしては、ソーダライト、A型、X型、Y型等の各種合成ゼオライトを挙げることができ、これらの中から1種又は2種以上を選んで用いることができる。これらの中でもA型ゼオライトが好ましい。また、合成ゼオライトの好ましい細孔径は、0.2nm〜1.0nmである。
吸着剤処理装置108において使用可能なアルミン酸アルカリ土類金属塩としては、具体的にはアルミン酸マグネシウム(Mg(AlO)、アルミン酸カルシウム(Ca(AlO)、アルミン酸バリウム(Ba(AlO)などを挙げることができる。
吸着剤処理装置108において用いる吸着剤は、大きな比表面積を有することが好ましい。具体的にはBET比表面積にして50m/g以上が好ましく、100m/g以上がより好ましい。吸着剤処理装置108において用いる吸着剤の形状は、細かく粉砕した粉砕品(粉末状品)や、篩い分けを施した顆粒状のもの等が入手可能であり、いずれも使用可能である。工業的には固定床や流動床等に充填されて使用される場合が多いため、圧損を考慮すると顆粒状のものが好ましい。なお、粉砕状(粉末状)の吸着剤と顆粒状の吸着剤との混合物を使用してもよい。
吸着剤処理装置108において、吸着剤とRO膜透過水bとを接触させる方式としては、充填塔を用いる方式(充填塔方式)、流動層方式、移動槽方式、及び攪拌槽方式等の各種方式を特に制限なく用いることができる。ただし、吸着処理と同時に並行して後述する吸着剤の賦活処理を行うことが容易である観点からは、充填塔方式が好ましい。
なお、吸着量の飽和に伴う吸着剤処理装置108の停止時間を短縮できる観点からは、吸着と同時に並行して吸着剤の賦活を行うことが好ましい。例えば、吸着剤処理装置108に充填塔方式を採用している場合には、複数の充填塔を設置して、一部の充填塔が吸着に使用されている間に他の充填塔の賦活を行う、いわゆるメリーゴーラウンド方式で運転する方法を好ましく採用することができる。
吸着剤の賦活に用いる賦活剤、及び賦活処理条件は、用いる吸着剤によって異なる。イオン交換樹脂の場合、用いるイオン交換樹脂種によって異なるが、一般的に陽イオン交換樹脂の場合は、硫酸、塩酸、臭化水素酸、酢酸等が使用可能である。賦活処理の温度としては、陽イオン交換樹脂の耐熱性の観点から、最大100℃であり、好ましくは80℃付近である。一方、陰イオン交換樹脂や中間塩基性イオン交換樹脂の場合には、賦活剤としては苛性ソーダ、アンモニア、炭酸ソーダ等が使用可能である。賦活処理の温度としては、最大80℃であり、好ましくは60℃である。
一方、シリカ、アルミナ、シリカアルミナ、合成ゼオライト、アルミン酸アルカリ土類金属塩から選ばれる1種又は2種以上を使用する場合(2種以上を混合及び反応させて得た生成物を用いる場合を含む)には、賦活剤としては酢酸、臭化水素酸、スチーム等が好ましく、賦活処理温度は20℃〜60℃を好ましく採用できる。
公共水域への排水量の観点から見ると、従来、活性汚泥処理後の排水を大量に公共水域へ排出してきたが、本発明によれば、回収及び再生により、テレフタル酸製造プロセスにおいて再利用される水量が大幅に増加するので、排水量を通常、従来に比べて2分の1から3分の1程度にまで低減できる。その結果として、資源としてくみ上げる地下水量も大幅に低減することができる。具体的には前記工程(1)〜(6)から排出され、活性汚泥処理に供された排水のうち好ましくは60%以上、より好ましくは70%以上、さらに好ましくは80%以上を膜透過水として回収し、テレフタル酸製造プロセスにおける冷却水及び/又はプロセス水として使用することができる。
本発明に関する上記説明では、好気性活性汚泥処理を2段処理で行う形態の水を回収する工程を含むテレフタル酸の製造方法を例示したが、本発明は当該形態に限定されない。活性汚泥処理装置を第1曝気槽のみ有する構成とし、第1沈殿槽及び第2曝気槽を使用しない形態(1段処理)とすることも可能である。このように1段処理を採用する場合には、MF膜分離装置は、第1曝気槽内に設置することができる。ただし、活性汚泥の固液分離状況が良好になり、沈殿槽への懸濁物質の流入を低減できる観点からは、上記した活性汚泥処理装置100のように2段処理を採用することが好ましい。なお、好気性活性汚泥処理を1段処理で行う場合には、MF膜に接触する原水の汚染度が高いので、膜処理での処理能力が低下し易いために膜洗浄頻度が増加する傾向にある。活性汚泥装置の新規建設に際しては、1段処理を採用することによる膜洗浄費用の増大と、設備費、運転経費の低減等とのコスト比較の上、1段処理及び2段処理のいずれを採用するか選定すればよい。
本発明に関する上記説明では、MF膜分離装置105が第2曝気槽103内に配設された活性汚泥処理装置100を用いる形態の水を回収する工程を含むテレフタル酸の製造方法を例示したが、本発明は当該形態に限定されない。MF膜分離装置の設置場所は曝気槽内に限定されるものではなく、外部に小容量の一つ以上の容器を設け、該容器内に該膜分離装置を配設して、活性汚泥を外部循環させながら処理する形態とすることも可能である。このような形態によれば、保守管理の手間を低減することが容易になる。
また、MF膜分離装置を、1段処理方式を採用する場合にあっては第1沈殿槽の出口に、2段処理方式を採用する場合にあっては第2沈殿槽の出口に配設する形態とすることも可能である。このような形態において使用可能なMF膜の具体例としては、「ステラポアーLFB」(登録商標)、「ステラポアーG」(登録商標)(いずれも三菱レイヨン株式会社製)、「トレフィルF」(登録商標)(東レ株式会社製)、「マイクローザ」(登録商標)(旭化成ケミカル株式会社製)等を挙げることができる。ただし、沈殿槽が不要になること、及び、曝気層内のMLSS濃度の高負荷処理が可能で設備を小型化できること等の観点からは、曝気槽(1段処理方式にあっては第1曝気槽、2段処理方式にあっては第2曝気槽)中にMF膜分離装置を設置する上記MBR方式を採用することが好ましい。
本発明に関する上記説明では、MF膜により膜分離を行うMF膜分離装置105を有する活性汚泥処理装置100を用いる形態の水回収方法及びテレフタル酸の製造方法を例示したが、本発明は当該形態に限定されない。MF膜の代わりに、後述する限外濾過膜(UF膜)を用いて膜分離を行う形態とすることも可能である。
本発明に関する上記説明では、RO膜分離装置106においてRO膜を用いて膜分離を行う形態の水回収方法及びテレフタル酸の製造方法を例示したが、本発明は当該形態に限定されない。上記RO膜に代えて、ルーズRO膜ともナノ濾過膜(NF膜)とも称される、UF膜とRO膜との中間に位置づけられる膜を用いることも可能である。このようなNF膜では、操作圧力が0.2MPa〜1.5MPa程度となり、RO膜を採用した場合よりも低圧運転が可能であるので、より小型のポンプを採用でき、また運転に要するエネルギーを低減することが可能である。なお、RO膜に代えてNF膜を採用した場合であっても、膜の構造、素材、製造法などは上記RO膜と同様とすることができる。
<A−2.テレフタル酸の製造における第2実施形態>
図2は、上記第一の代表的なテレフタル酸の製造方法において、活性汚泥処理後に限外濾過膜(UF膜)分離処理を行う実施形態を説明する図である。図2に示すように、本実施形態に係る水回収方法においては、第1曝気槽101、第1沈殿槽102、第2曝気槽103a、及び第2沈殿槽104aを有する活性汚泥処理装置200と、第2沈殿槽104aに接続されたUF膜分離装置110と、UF膜分離装置110に接続されたRO膜分離装置106と、RO膜分離装置106に接続された再利用水槽107と、再利用水槽107に接続された吸着剤処理装置108とを用いる。これらのうち第2曝気槽103a、第2沈殿槽104a、活性汚泥処理装置200及びUF膜分離装置110以外については上記第1実施形態と同様であるため、図1におけるものと同一の符号を付し適宜説明を省略する。
(活性汚泥処理装置200)
活性汚泥処理装置200は、第1曝気槽101と、第1曝気槽101に接続された第1沈殿槽102と、第1沈殿槽102に接続された第2曝気槽103aと、第2曝気槽103aに接続された第2沈殿槽104aとを有する。活性汚泥処理装置200が上記活性汚泥処理装置100と異なる点は、第2曝気槽103aにMF膜分離装置105が配設されていない点、及び、第2沈殿槽104aを使用する点である。活性汚泥処理装置200においては、排水は第1曝気槽101〜第2沈殿槽104aの各槽を上記順に移送され、好気性活性汚泥処理を2段処理で施される。両曝気槽の運転条件等は上記活性汚泥処理装置100と同様である。第1曝気槽101〜第2沈殿槽104aの各槽を順に移送されて好気性活性汚泥処理を2段処理で施された活性汚泥処理水hは、第2沈殿槽104aに接続されたUF膜分離装置110に移送される。
(UF膜分離装置110)
UF膜分離装置110において、活性汚泥処理水hは限外濾過膜(UF膜)による膜分離処理を施される。UF膜を透過したUF膜透過水iは、中間タンク(不図示)を介してUF膜分離装置110に接続されたRO膜分離装置106に移送される。
UF膜分離装置110が具備するUF膜は、孔径が概ね2nm〜200nmであり、RO膜よりは大きく、精密濾過膜(MF膜)よりは小さい。濾過材(UF膜)の材質としては、ポリサルフォン、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリ塩化ビニリデン、ポリフッ化ビニリデン、芳香族ポリアミド膜、ポリビニルアルコール、酢酸セルロース、ポリアクリロニトリルから選ばれる1種又は2種以上の組み合わせを用いることができる。この中でも、排水中の不純物の影響を受けにくい等の観点からは、ポリプロピレン、ポリフッ化ビニリデン、芳香族ポリアミド膜などが好ましい。
UF膜分離装置110が具備するUF膜モジュールとしては、中空糸膜型、スパイラル膜型、チューブラー膜型、平膜型から選ばれる1種又は2種以上の組み合わせを用いることができる。中でも中空糸膜、及び/又はスパイラル膜型のUF膜モジュールが好ましい。UF膜分離装置110において好ましく採用できるUF膜モジュールの具体例としては、「トレフィル(登録商標)」シリーズ(東レ株式会社製)、「キャピラリー型UF膜モジュール」シリーズ(日東電工株式会社製)、「マイクローザ(登録商標)」シリーズ(旭化成ケミカル株式会社製)、UF膜モジュール「モルセップ(登録商標)」(ダイセン・メンブレン・システムズ株式会社製)などが挙げられる。
UF膜分離処理は、基本的には水と、水に不溶な固体物質(固形物)及び一部の水可溶物質とを分離する処理である。UF膜分離装置110における濾過(膜分離)操作は常圧下、加圧下、減圧下いずれでも行うことができるが、工業的には加圧下又は減圧下で行うことが好ましい。UF膜を挟む両空間の圧力差が大きいほど、処理能力が向上する。また、UF膜分離処理を行う温度としては10℃〜50℃が好ましく、より好ましくは15℃〜40℃である。処理能力(運転速度)としてはUF膜透過水iの日平均フラックス(単位:L/m・d)にして10〜200で運転するのが好ましい。
濾過方法は、デッドエンド濾過(全量通過)とすることも不可能ではないが、UF膜の孔径は小さいため、デッドエンド濾過を採用した場合には、膜表面への堆積による膜の閉塞(ファウリング)が短時間で発生し易い。このため、通常はUF膜の表面に沿って、一定方向に活性汚泥処理水hを供給し、微粒子や不純物が濃縮された水(濃縮水)を連続的に排出しながら、又は送液側に戻しながら膜分離(濾過)を行う、クロスフロー方式を採用することが好ましい。クロスフロー濾過を行う場合の処理水(活性汚泥処理水h)の線速度は、60m/分〜240m/分が好ましい。
固形物の圧縮性が強い場合、濾過速度が低下し、濾過の所要時間が長期化するので、プレコート材(濾過助剤)を添加して濾過速度の低下を抑制することが好ましい。濾過助剤としては一般には珪藻土、パーライト、活性炭などが使用可能であるが、コストを低減することが容易である等の観点からは安価な珪藻土、パーライトなどを用いることが好ましい。
UF膜分離装置110においても、上記MF膜分離装置105等と同様に、膜表面への堆積が進行すると膜間差圧が上昇する。膜間差圧が一定値を超えると、薬剤による膜洗浄等が必要となる。膜洗浄に使用可能な薬剤としては、次亜塩素酸塩、クエン酸、シュウ酸、低濃度塩素などが挙げられる。ここで、UF膜の種類に応じて、耐塩素性、耐アルカリ性、耐酸性などを考慮することが必要である。例えばUF膜の材質がポリアミド系である場合には、塩素は使用できない。膜洗浄を行うべきと判断する膜間差圧は一般的にはゲージ圧にして0.1MPaG〜0.4MPaG程度を目安とするのが好ましい。洗浄は必要に応じて実施すれば良いが一般的には数時間〜数日間毎の実施が目安となる。
UF膜分離装置110でのUF膜分離処理により得られたUF膜透過水iは、中間タンク(不図示)を経て、RO膜分離装置106に移送され、金属イオン類及び残存有機物等の除去を施される。UF膜の膜洗浄により発生したUF膜洗浄排水oは、第2曝気槽103aに移送され処理される。
本実施形態において処理される排水の、好気性活性汚泥処理後の水質としては、UF膜分離装置110に流入する時点で、水中不溶物質の濃度がSS値で50mg/L以下、又は濁度(Turbidity)で50NTU以下、水可溶性有機物質の濃度がCODCr値で100mg/L以下、BOD値で10mg/L以下、水可溶性無機物質の濃度の指標として電気伝導度が500〜10,000μS/cm、pHが5.0〜9.5の性状を有することが好ましい。pHは通常8以上でありアルカリ性を示しているが、pHが5.0〜9.5の範囲内であれば本発明のテレフタル酸の製造方法における水を回収する方法により処理可能である。
上記した性状を有する排水を、UF膜分離装置110以下、図2に示したフローにて処理すると、RO膜分離装置106から水質の良好なRO膜透過水kを回収することができる。RO膜透過水kの水質は、透過率にも依存するが、金属イオン及び残留有機物のほとんどが除去されて、高い水質となっている。RO膜透過水kは再利用水槽107に蓄えられ、再利用水槽107から工業用水l(冷却水)としてテレフタル酸製造プロセスに供給されるか、又は後述する吸着剤処理装置108に移送されさらに吸着剤処理を経て吸着精製水mとしてテレフタル酸製造プロセスに供給される。なお、RO膜透過水kを工業用水(冷却水)lの供給及び吸着精製水mの製造に振り分ける比率は適宜選択することができる。
特に、複数の膜分離装置(例えば本実施形態においては、UF膜分離装置110及びRO膜分離装置106。)を組み合わせて膜分離処理を行うことにより、上記効果を奏することが一層容易になる。
一方、RO膜分離装置106から排出されるRO膜濃縮水jには、各種不純物が濃縮されて含まれているが、処理される排水の性状が上記した範囲内であれば、これ以上の処理を施さずに公共水域へ放流することができる程度まで水質が向上されている。RO膜濃縮水jの放流に関しては上記したRO膜濃縮水cと同様である。
(吸着剤処理装置108)
また、RO膜透過水kをプロセス水として使用するにあたっては、吸着剤処理装置108において各種吸着剤から選ばれる吸着剤を使用して吸着剤処理を施すことにより、さらに精製度(純度)を向上させることが可能となり、その結果回収再生した水の用途範囲を拡大することが可能となること等は、上記したRO膜透過水bにおける場合と同様である。吸着剤処理装置108から回収された吸着精製水mは、上記吸着精製水eと同様に、プロセス水としてより好ましく利用することができる。吸着剤処理装置108における吸着剤及び処理の詳細については既に述べたのと同様である。吸着剤処理装置108から排出される吸着剤処理排水nは、第1曝気槽101に移送され、再度活性汚泥処理される。
公共水域への排水量の観点から見ると、従来、活性汚泥処理後の排水を大量に公共水域へ排出してきたが、本実施形態(図2)においても、上記第1実施形態(図1)と同様に、回収及び再生により、テレフタル酸製造プロセスにおいて再利用される水量が大幅に増加するので、排水量を通常、従来に比べて2分の1から3分の1程度にまで低減できる。その結果として、資源としてくみ上げる地下水量も大幅に低減することができる。具体的には前記工程(1)〜(6)から排出され、活性汚泥処理に供された排水のうち好ましくは80%以上、より好ましくは70%以上、更に好ましくは60%以上を膜透過水として回収し、テレフタル酸製造プロセスにおける冷却水及び/又はプロセス水として使用することができる。
<B.テレフタル酸の製造方法>
図4は、第二の代表的なテレフタル酸の製造方法における工程フロー及び物質フローを説明する図である。第二の代表的なテレフタル酸の製造方法は下記の6つの工程を有する。
(8)含水酢酸中、p−キシレンを酸化して、粗テレフタル酸スラリーを得る工程(以下、「酸化反応工程(8)」ということがある。);
(9)上記粗テレフタル酸スラリーを、p−キシレンを供給せずに、さらに高温条件下で追加的な酸化反応に供してテレフタル酸スラリーを得る工程(以下、「追酸化工程(9)」ということがある。);
(10)上記テレフタル酸スラリーを固液分離してテレフタル酸ケーキを得る工程(以下、「固液分離工程(10)」ということがある。);
(11)上記テレフタル酸ケーキを乾燥してテレフタル酸を得る工程(以下、「乾燥工程(11)」ということがある。);
(12)固液分離後の母液から触媒、溶媒などの有価物を回収再生する工程(以下、「母液回収再生工程(12)」ということがある。);
(13)上記工程(8)〜(12)から排出される排水の全量又は一部を好気性活性汚泥処理後、公共水域へ放流する排水処理工程(以下、「排水処理工程(13)」ということがある。)。
(酸化反応工程(8))
酸化反応工程(8)では、酸化反応装置511で含水酢酸を溶媒とし、触媒の存在下、分子状酸素含有ガスを用いてp−キシレンを酸化する工程である。該触媒としては、コバルト、マンガン等の遷移金属の化合物及び/又は臭化水素酸等のハロゲン化水素等が挙げられる。酸化反応工程(8)により、粗テレフタル酸スラリー51’が得られる。反応温度は通常180℃〜230℃であり、好ましくは190℃〜210℃である。反応圧力は、少なくとも反応温度において、混合物が液相を保持できる圧力以上である必要があり、具体的には0.3MPa〜10MPa(絶対圧)が好ましく、1〜3MPa(絶対圧)がより好ましい。
酸化反応工程(8)からは、酸化反応のために酸化反応装置511に導入される分子状酸素含有ガスに同伴して、溶媒の酢酸、反応で副生する水、その他の不純物、未反応原料などを含有する高温高圧ガスが排出される。該高温高圧ガスは、吸収塔(不図示)などを通され、その過程で該高温高圧ガスから有価物、エネルギーなどを回収して再利用に供した後、残ったガスを燃焼処理する。燃焼処理後の排ガスをアルカリ水などと接触洗浄した後、ガスは大気放出され、残った酸化排ガス洗浄水55’は好気性活性汚泥処理装置518に移送される。
(追酸化工程(9))
追酸化工程(9)は、酸化反応で得られた粗テレフタル酸スラリー51’が追酸化反応装置512に移送されて、分子状酸素含有ガスを供給して高温度でさらに酸化される工程である。追酸化工程(9)により、テレフタル酸スラリー52’が得られる。反応温度は通常235℃〜290℃、好ましくは240℃〜280℃であり、圧力は通常3MPa〜10MPa(絶対圧)が好ましい。粗テレフタル酸スラリー51’中のテレフタル酸粒子の一部が溶解し、粒子中の酸化中間体、未反応原料などが酸化されて、不純物濃度が低減され精製効果が生じる。高温高圧の排ガスは上記酸化反応工程(8)から生じる高温高圧ガスと同様に処理されて、残りの追酸化排ガス洗浄水56’は酸化反応工程(8)の酸化排ガス洗浄水55’とともに、好気性活性汚泥処理装置518に移送される。
(固液分離工程(10)、及び母液回収再生工程(12))
固液分離工程(10)は、固液分離装置513においてテレフタル酸スラリー52’を固液分離してテレフタル酸ケーキ53’を得る工程である。固液分離する方法としては、テレフタル酸スラリー52’をそのまま固液分離機にかける方法等を例示できる。また上記テレフタル酸スラリー52’は加圧状態にあるので、圧力を下げると、溶解しているテレフタル酸が析出する。このため、テレフタル酸スラリー52’を晶析槽(不図示)に送って、放圧冷却を行い、溶解しているテレフタル酸を析出させてから、固液分離機にかけてもよい。なお、上記「放圧冷却」とは、対象液の圧力よりも低い圧力条件に設定した晶析槽に、この対象液を導入し、該晶析槽で放圧させることにより、膨張及び溶媒成分の気化により、冷却させることを意味する。
固液分離工程(10)からは、固液分離された母液及び洗浄液(以下、「母液等」ということがある。)が発生する。母液等の50%以上を上記酸化反応工程(8)に戻して再利用する。母液等を再利用する比率は好ましくは70%以上であるが、系内での不純物蓄積による品質低下を防止するために母液を一部パージする必要がある。そのため、母液を再利用する比率は95%以下であり、好ましくは90%以下である。再利用に供されない酸化反応母液(パージ分)57’は溶媒回収装置515に送られ、母液回収再生工程(12)に供される。
母液回収再生工程(12)において、酸化反応母液(パージ分)57’は溶媒回収装置515で蒸発濃縮され、蒸発溶媒58’と、有価成分を含む母液濃縮スラリー59’とに分けられる。母液濃縮スラリー59’は触媒回収・再生装置517に送られ、触媒が回収・再生される。回収・再生された触媒を固液分離した後、再生触媒回収分離母液61’が脱臭塔(不図示)から生じる洗浄排水とともに好気性活性汚泥処理装置518に送られる。一方、蒸発溶媒58’は酢酸等回収装置516に送られ、脱水塔(不図示)に通されて酢酸を濃縮回収され、次いで蒸留塔(酢酸メチル回収塔)(不図示)で酢酸メチルを回収される。残った酢酸メチル回収塔底液60’の一部が、好気性活性汚泥処理装置518に送られる。
なお、上記酸化反応工程(8)及び追酸化工程(9)以外の工程で発生するベントガスは一括して洗浄塔(不図示)で洗浄されて上記酸化排ガス洗浄水55’及び追酸化排ガス洗浄水56’等とともに好気性活性汚泥処理装置518に送られる。
(乾燥工程(11))
乾燥工程(11)は、乾燥装置514でテレフタル酸ケーキ53’を乾燥し、テレフタル酸54’を得る工程である。乾燥装置514から発生する排ガスは、洗浄塔(不図示)で洗浄され、洗浄により生じたベントガス洗浄水62’は好気性活性汚泥処理装置518に送られる。
(排水処理工程(13))
上記工程(8)〜(12)から好気性活性汚泥処理装置518に流入する排水には浮遊物質(SS)、重金属、アルカリ金属、CODCr値の増加をもたらす化合物、全窒素の増加をもたらす含窒素化合物などが含有されている。この流入排水中の不溶物質の濃度はSS値で100mg/L以下、及び/又は濁度(Turbidity)で100NTU以下、水可溶性有機物質の濃度がCODCr値で10,000mg/L以下である。しかし、好気性活性汚泥処理工程518から流出する放流水63’は、水質の観点からそのままテレフタル酸製造プロセスで再利用することはできす、公共水域に大量に放流せざるを得ない。
<B−1.テレフタル酸の製造における第3実施形態>
図5は、上記第2の代表的なテレフタル酸の製造方法における本発明の一実施形態を説明する図である。以下、図5を参照しつつ、好気性活性汚泥処理装置518に流入する排水の公共水域への排水量を低減するための本発明の一実施形態について説明する。
図5に記載の実施形態は、従来の好気性活性汚泥処理方法に替えて、曝気槽内にMF膜平膜を浸漬するMBRを採用し、MF膜分離処理で得たMBR処理水をナノ濾過膜(NF膜)分離装置に導入して、工業用水に使用可能な水質の用水を得る。さらにプロセス水として使用する水を供給するため、後述する吸着剤処理により、精製度(純度)を向上させるものである。
図5に記載の実施形態においては、テレフタル酸の製造プロセスからの排水を回収再生するにあたり、第1曝気槽1010、第1沈殿槽1020、及び第2曝気槽1030を有する好気性活性汚泥処理装置1000と、第2曝気槽1030内に配設されたMF膜分離装置1050と、MF膜分離装置1050の出側に接続されたナノ濾過膜(NF膜)分離装置1060と、NF膜分離装置1060の出側に接続された再利用水槽1070と、再利用水槽1070に接続された吸着処理装置1080とを用いる。
(好気性活性汚泥処理装置1000)
好気性活性汚泥処理装置1000は、第1曝気槽1010と、第1曝気槽1010に接続された第1沈殿槽1020と、第1沈殿槽1020に接続された第2曝気槽1030とを有する。図5において破線で表示している第2沈殿槽1040は使用しないので不要である。好気性活性汚泥処理装置1000に流入した排水は、第1曝気槽1010から第2曝気槽1030までを上記順に移送されながら2段処理にて好気性活性汚泥処理を受ける。
好気性活性汚泥処理装置1000は、MBR(メンブレンバイオリアクター)の構成を有する。すなわち、第2曝気槽1030内にMF膜分離装置1050が浸漬される形で配設されており、第2曝気槽1030で2段階目の好気性活性汚泥処理を受けた排水はMF膜分離装置1050において膜分離を施される。MF膜分離装置1050が具備するMF膜を透過した水はMBR処理水rとして好気性活性汚泥処理装置1000の外部へ取り出される。MBR処理水rは、MF膜分離装置1050の出側に接続されているNF膜分離装置1060に移送される。
(NF膜分離装置1060)
NF膜分離装置1060はナノ濾過膜(NF膜)を具備する膜分離装置である。NF膜分離装置1060に流入したMBR処理水rは、NF膜による膜分離処理を受け、NF膜透過水sとNF膜濃縮水tとを生じる。NF膜は2nmより小さい粒子や高分子を阻止する液体分離膜であり、細孔径はMF膜やUF膜よりも小さく、一般的なRO膜よりは大きい。NF膜はルーズRO膜とも称され、一般的RO膜よりも低圧での運転が可能であるという特徴を有している。
NF膜分離装置1060において使用可能なNF膜の素材としては、ポリエチレン系、芳香族ポリアミド系や架橋ポリアミド系を含むポリアミド系、脂肪族アミン縮合系ポリマー、複素環ポリマー系、ポリビニルアルコール系、酢酸セルロース系ポリマーを例示でき、これらから選ばれる1種又は2種以上の組み合わせ若しくは混合物を採用できる。本発明においては、これら中でも特に芳香族ポリアミド系や架橋ポリアミド系を含むポリアミド系の素材によって構成されたNF膜の分離性能が高く、好ましく採用することができる。
多くのポリアミド系複合NF膜は、表面の荷電がマイナスであるものが多いので、表面荷電を制御して、カチオン荷電型、アニオン荷電型の2種類のNF膜が販売されている。細孔と荷電の違いを組み合わせて、排水の分離対象を拡大することができる特徴を有している。NF膜分離装置1060においては、カチオン荷電型NF膜及びアニオン荷電型NF膜のいずれも採用することが可能である。
また、NF膜分離装置1060に使用可能なNF膜モジュールとしては、中空糸膜型、スパイラル膜型、チューブラー膜型、平膜型、プリーツ型などを挙げることができ、この中から1種又は2種以上の組み合わせを選んで用いることができる。これらの中でも単位体積当たりのモジュールの膜面積が大きく、装置のコンパクト化に有利である等の観点から、スパイラル膜型モジュールが好ましい。これらの具体例としては「NTR−7250(登録商標)」、「NTR−7410(登録商標)」(いずれも日東電工株式会社製)、「フィルムテック(登録商標)」NFシリーズ(ザ・ダウ・ケミカル・カンパニー製)などが挙げられる。なお、NF膜モジュールの入側にプレフィルターを設置し、膜の保護をすることが望ましい。
NF膜を用いるNF膜分離装置1060における操作圧力は0.2MPa〜1.5MPaで一般的なRO膜よりも低圧で操作できる。また、水透過流速(フラックス)が大きく、高い処理効率を実現することが可能である。
本実施形態において処理されるテレフタル酸製造プロセスからの排水には、浮遊物質(SS)、重金属、アルカリ金属、CODCr値の増加をもたらす化合物、全窒素の増加をもたらす含窒素化合物などが含有されている。本実施形態において処理される排水の、好気性活性汚泥処理後の水質としては、NF膜分離装置1060に流入する時点で、水中不溶物質の濃度がSS値で100mg/L以下、及び/又は濁度(Turbidity)で100NTU以下、水可溶性有機物質の濃度がCODCr値で100mg/L以下、BOD値で10mg/L以下、水可溶性無機物質の濃度の指標として電気伝導度が500〜10,000μS/cm、pHが5.0〜9.5の性状を有することが好ましい。pHは通常8以上でありアルカリ性を示しているが、pHが5.0〜9.5の範囲内であれば本発明の水回収方法により処理可能である。
NF膜分離装置1060から回収されるNF膜透過水sの水質は、透過率にも依存するが、金属イオン及び残留有機物のほとんどが除去されて、高い水質となっている。NF膜透過水sは再利用水槽1070に蓄えられ、再利用水槽1070から工業用水(冷却水)uとしてテレフタル酸製造プロセスに供給されるか、又は吸着剤処理装置1080に移送されさらに吸着剤処理を経て吸着精製水vとしてテレフタル酸製造プロセスに供給される。このようにテレフタル酸製造プロセスからの排水を再生してテレフタル酸製造プロセスに再び供給することは、従来では不可能だったことである。なお、NF膜透過水sを工業用水(冷却水)uの供給及び吸着精製水vの製造に振り分ける比率は適宜選択することができる。
特に、複数の膜分離装置(例えば本実施形態においては、MBRにおけるMF膜分離装置1050及びNF膜分離装置1060。)を組み合わせて膜分離処理を行うことにより、上記効果を奏することが一層容易になる。
一方、NF膜分離装置1060から排出されるNF膜濃縮水tには、各種不純物が濃縮されて含まれているが、処理される排水の性状が上記した範囲内であれば、これ以上の処理を施さずに公共水域へ放流することができる程度まで水質が向上されている。NF膜濃縮水tの公共水域への放流に関しては上記したRO膜濃縮水cと同様である。
(吸着剤処理装置1080)
また、NF膜透過水sをプロセス水として使用するにあたっては、吸着剤処理装置1080において各種吸着剤から選ばれる吸着剤を使用して吸着剤処理を施すことにより、さらに精製度(純度)を向上させることが可能となり、その結果回収再生した水の用途範囲を拡大することが可能となること等は、上記したRO膜透過水bにおける場合と同様である。吸着剤処理装置1080において使用可能な吸着剤としては、上記吸着剤処理装置108に関して挙げたものと同様のものを挙げることができ、吸着剤処理装置1080の運用も、上記吸着剤処理装置108と同様に行うことができる。吸着剤処理装置1080から生じる吸着処理排水wは、第1曝気槽1010に戻され、再度活性汚泥処理を受ける。
公共水域への排水量の観点から見ると、従来、活性汚泥処理後の排水を大量に公共水域へ排出してきたが、本実施形態(図5)においても、上記図1に記載の実施形態及び図2に記載の実施形態と同様に、回収及び再生により、テレフタル酸製造プロセスにおいて再利用される水量が大幅に増加するので、排水量を通常、従来に比べて2分の1から3分の1程度にまで低減できる。その結果として、資源としてくみ上げる地下水量も大幅に低減することができる。具体的には前記工程(8)〜(12)から排出され、活性汚泥処理に供された排水のうち好ましくは80%以上、より好ましくは70%以上、更に好ましくは60%以上を膜透過水として回収し、テレフタル酸製造プロセスにおける冷却水及び/又はプロセス水として使用することができる。
本発明のテレフタル酸の製造方法に関する上記説明では、テレフタル酸製造プロセスからの排水を回収再生するにあたって第1曝気槽1010、第1沈殿槽1020、及び第2曝気槽1030を用い、好気性活性汚泥処理を2段処理にて行う形態を例示したが、本発明は当該形態に限定されない。好気性活性汚泥処理を1段処理にて行う形態とすることも可能であり、かかる場合には、第1曝気槽1010内にMF膜分離装置1050を配設すればよく、第1沈殿槽1020及び第2曝気槽1030は使用しないので不要となる。かかる場合においても、MF膜分離装置1050の態様は上記同様とすることができる。
また、本発明に関する上記説明では、RO膜分離装置106の下流側に吸着剤処理装置108を配置してRO膜分離処理の後に吸着剤処理を行う形態、及び、NF膜分離装置1060の下流側に吸着剤処理装置1080を配置してNF膜分離処理の後に吸着剤処理を行う形態のテレフタル酸の製造方法を例示したが、本発明はこれらの形態に限定されるものではない。RO膜分離装置やNF膜分離装置等の膜分離装置の上流側に吸着剤処理装置を配置し、膜分離処理に先立って吸着剤処理を行う形態とすることも可能である。
また、本発明に関する上記説明では、MBRとRO膜分離装置とを組み合わせて用いる形態、UF膜分離装置とRO膜分離装置とを組み合わせて用いる形態、及び、MBRとNF膜分離装置とを組み合わせて用いる形態のテレフタル酸の製造方法を例示したが、本発明はこれらの形態に限定されるものではない。膜分離装置の組み合わせとして、例えばMBRとUF膜分離装置とを組み合わせて用い、RO膜分離装置及びNF膜分離装置は用いない形態とすることも可能である。かかる場合においても、膜分離処理と組み合わせてさらに吸着剤処理を行い得ることは言うまでもない。膜分離処理装置、及び吸着剤処理装置の取捨選択及び組み合わせは、回収再生した水に望まれる水質と再利用用途との関係を考慮して、適宜決めることができる。
以下、実施例及び比較例に基づき、本発明についてさらに詳述する。ただし本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
<実施例1〜6及び比較例1〜3>
(実施例1)
上記説明した図1に記載のテレフタル酸製造プロセスにより、p−キシレンを原料としてテレフタル酸を製造した。酸化反応工程においては水及び酢酸を溶媒として用い、酢酸コバルトを触媒として用いて、粗テレフタル酸スラリーを得た。該粗テレフタル酸を水素添加処理工程において水素添加により還元した。
各工程から発生した排水の排水処理システムとしては、図1に記載の排水処理システムを用いた。膜分離装置としては、MF膜分離装置105及びRO膜分離装置106を用いた。
発生した排水は第1曝気槽101で活性汚泥処理を行い、第1沈殿槽102で活性汚泥と処理水を分離し、分離された処理水は第2曝気槽103にて活性汚泥処理を行った。
続いて第2曝気槽103内に配置されたMF膜分離装置105により第2曝気槽内の水を膜濾過した。次いで、該膜濾過した水をRO膜分離装置106により膜透過水として再利用水槽107に回収した。再利用水槽107に回収された膜透過水は、テレフタル酸製造プロセスにおける冷却水及び/又はプロセス水として使用することができた。なお濃縮水はCODCr値を測定した後に公共水域へ放流した。
各槽の容量及び装置出口における水質等の数値を表1に示す。なお表中「HRT」とは滞留時間を表す。
Figure 2014005226
(実施例2)
RO濾過膜装置106の膜透過水量を5040m/日とした以外は実施例1と同様にしてテレフタル酸を製造した。再利用水槽107に回収された膜透過水は、テレフタル酸製造プロセスにおける冷却水及び/又はプロセス水として使用することができた。
(実施例3)
排水処理システムに供した排水量を4400m/日とし、RO濾過膜装置106の膜透過水量を2640m/日とした以外は実施例1と同様にしてテレフタル酸を製造した。再利用水槽107に回収された膜透過水は、テレフタル酸製造プロセスにおける冷却水及び/又はプロセス水として使用することができた。
(実施例4)
RO濾過膜装置106の膜透過水量を3360m/日とした以外は実施例3と同様にしてテレフタル酸を製造した。再利用水槽107に回収された膜透過水は、テレフタル酸製造プロセスにおける冷却水及び/又はプロセス水として使用することができた。
(実施例5)
排水処理システムに供した排水量を8300m/日とし、RO濾過膜装置106の膜透過水量を4980m/日とした以外は実施例1と同様にしてテレフタル酸を製造した。再利用水槽107に回収された膜透過水は、テレフタル酸製造プロセスにおける冷却水及び/又はプロセス水として使用することができた。
(実施例6)
RO濾過膜装置106の膜透過水量を5810m/日とした以外は実施例5と同様にしてテレフタル酸を製造した。再利用水槽107に回収された膜透過水は、テレフタル酸製造プロセスにおける冷却水及び/又はプロセス水として使用することができた。
(比較例1)
実施例1において、MF膜分離装置105及びRO膜分離装置106を使用せず、代わりに第2沈殿槽104を使用して排水処理システムを構成した比較例である。第2沈殿槽104からの水回収を試みるべく第2沈殿槽104の上澄み液の水質を測定したが、テレフタル酸製造プロセスにおけるプロセス水としての使用はおろか冷却水としての使用についても好適な水質ではなかった。
(比較例2)
第1曝気槽101の運転条件(HRT及びCOD容積負荷)を変更した以外は比較例1と同様にしてテレフタル酸を製造した。第2沈殿槽104の上澄み液の水質を測定したが、テレフタル酸製造プロセスにおけるプロセス水としての使用はおろか冷却水としての使用についても好適な水質ではなかった。
(比較例3)
排水処理システムに供した排水量を1500m/日に減少させた以外は比較例1と同様にしてテレフタル酸を製造した。第2沈殿槽104の上澄み液の水質を測定したが、依然として、テレフタル酸製造プロセスにおけるプロセス水としての使用はおろか冷却水としての使用についても好適な水質ではなかった。
(結果評価)
実施例1〜6は、回収した膜透過水の水質が良好であった。また、水の滞留時間が短いため、処理する排水の量に対して設置面積を小さくできた。一方、膜分離を用いない比較例1〜3は、処理水の水質は実施例1〜6のRO膜分離装置106濃縮水と同程度であるが、第2沈殿槽を用いたために、処理する排水の量に対してより大きな設置面積が必要であった。
また、比較例1〜3では処理水を公共水域へ廃棄していたのに対し、実施例1〜6では膜透過水をテレフタル酸製造プロセスへ供給することにより、テレフタル酸製造プロセスで使用する水を大幅に削減することが可能であった。
<実施例7〜12及び比較例4>
(実施例7)
実施例1〜6とは異なり、好気性活性汚泥処理を2段処理ではなく1段処理にて行った実施例である。上記説明した図3に記載のテレフタル酸製造プロセスにより、p−キシレンを原料としてテレフタル酸を製造した。酸化反応工程においては水及び酢酸を溶媒として用い、酢酸コバルトを触媒として用いて、粗テレフタル酸スラリーを得た。該粗テレフタル酸を水素添加処理工程において水素添加により還元した。ただし一般的な曝気槽及び沈殿槽を備えてなる好気性活性汚泥処理システム21(図3)に代えて、図6に示す、沈殿槽を有しない排水処理システム210を用いた。排水処理システム210は、曝気槽1011内にMF膜分離装置105を備えている。テレフタル酸製造プロセスの各工程から発生した排水は曝気槽1011において、槽底部に備えられた散気装置(ディフューザー)132から空気が吹き込まれることによって活性汚泥処理される。なお散気装置132にはブロアー133から給気管134を介して空気が供給されており、また生じた余剰汚泥は槽底部から引き抜くことが可能にされている(経路156)。曝気槽1011においてはMF膜分離装置105により膜分離処理が行われ、該膜分離処理された水a’は送水ポンプ136を介してRO膜分離装置106に供給される。なおMF膜分離装置105の下流側系統159の水圧は圧調整ポンプ137によって調整されている。RO膜分離装置106における膜透過水b’は再利用水槽107に回収される。RO膜分離装置106における濃縮水c’(図3における27’に相当)は、公共水域へ放流されることになる。
本実施例においても上記実施例1〜6同様、濃縮水c’はCODCr値を測定した後に公共水域へ放流した。各槽の容量及び装置出口における水質等の値を表2に示す。なお表2中、実施例7〜12について「第1沈殿槽」の項目に「返送汚泥量」の数値を記載しているが、これは曝気槽から引き抜いた余剰汚泥の量を便宜的に記載したものであって、実施例7〜12においては沈殿槽は使用していない。
再利用水槽107に回収された膜透過水b’は、テレフタル酸製造プロセスにおける冷却水及び/又はプロセス水として使用することができた。
Figure 2014005226
(実施例8)
RO膜分離装置の膜透過水量を5040m/日とした以外は実施例7と同様にしてテレフタル酸を製造した。再利用水槽107に回収された膜透過水は、テレフタル酸製造プロセスにおける冷却水及び/又はプロセス水として使用することができた。
(実施例9)
排水処理システムに供した排水の量を6200m/日とし、RO膜分離装置の膜透過水量を3720m/日とした以外は実施例7と同様にしてテレフタル酸を製造した。再利用水槽107に回収された膜透過水は、テレフタル酸製造プロセスにおける冷却水及び/又はプロセス水として使用することができた。
(実施例10)
RO膜分離装置の膜透過水量を4340m/日とした以外は実施例9と同様にしてテレフタル酸を製造した。再利用水槽107に回収された膜透過水は、テレフタル酸製造プロセスにおける冷却水及び/又はプロセス水として使用することができた。
(実施例11)
排水処理システムに供した排水の量を5430m/日とし、RO膜分離装置の膜透過水量を3258m/日とした以外は実施例7と同様にしてテレフタル酸を製造した。再利用水槽107に回収された膜透過水は、テレフタル酸製造プロセスにおける冷却水及び/又はプロセス水として使用することができた。
(実施例12)
RO膜分離装置の膜透過水量を3801m/日とした以外は実施例11と同様にしてテレフタル酸を製造した。再利用水槽107に回収された膜透過水は、テレフタル酸製造プロセスにおける冷却水及び/又はプロセス水として使用することができた。
(比較例4)
実施例7において、MF膜分離装置105及びRO膜分離装置106を使用せず、上記比較例1同様に第1曝気槽、第1沈降槽、第2曝気槽及び第2沈殿槽を使用して排水処理システムを構成した比較例である。該第2沈殿槽の上澄み液の水質を測定したが、テレフタル酸製造プロセスにおけるプロセス水としての使用はおろか冷却水としての使用についても好適な水質ではなかった。
(結果評価)
実施例7〜12は、回収した膜透過水の水質が良好であった。また、水の滞留時間が短いため、処理する排水の量に対して設置面積を小さくできた。一方、膜分離を用いない比較例4は、処理水の水質は実施例7〜12のRO膜分離装置濃縮水と同程度であるが、システムが大きいために広い設置面積が必要であった。
また、比較例4では処理水を公共水域へ廃棄していたのに対し、実施例7〜12では膜透過水をテレフタル酸製造プロセスへ供給することにより、テレフタル酸製造プロセスで使用する水を大幅に削減することが可能であった。
本発明のテレフタル酸の製造方法は、地球環境の保護及び水資源の節約による経費節減が求められる昨今においてテレフタル酸を工業的に製造する際に好適に用いることができる。
11 酸化反応装置
12 第1固液分離装置
13 水素添加処理装置
14 晶析装置
15 第2固液分離装置
16 乾燥装置
17 溶媒回収装置
18 酢酸等回収装置
19 触媒回収・再生装置
20 p−トルイル酸等回収装置
21 好気性活性汚泥処理装置
11’ 粗テレフタル酸スラリー
12’ 粗テレフタル酸
13’ 水素添加処理液
14’ テレフタル酸スラリー
15’ テレフタル酸ケーキ
16’ テレフタル酸
17’ 酸化排ガス洗浄水
18’ 酸化反応母液(パージ分)
19’ 蒸発溶媒
20’ 母液濃縮スラリー
21’ 酢酸メチル回収塔底液
22’ 再生触媒回収分離母液
23’ 晶析時発生凝縮水
24’ テレフタル酸分離母液
25’ p−トルイル酸等分離母液
26’ ベントガス洗浄水
27’ 放流水
210 排水処理システム
511 酸化反応装置
512 追酸化反応装置
513 固液分離装置
514 乾燥装置
515 溶媒回収装置
516 酢酸等回収装置
517 触媒回収・再生装置
518 好気性活性汚泥処理装置
51’ 粗テレフタル酸スラリー
52’ テレフタル酸スラリー
53’ テレフタル酸ケーキ
54’ テレフタル酸
55’ 酸化排ガス洗浄水
56’ 追酸化排ガス洗浄水
57’ 酸化反応母液(パージ分)
58’ 蒸発溶媒
59’ 母液濃縮スラリー
60’ 酢酸メチル回収塔底液
61’ 再生触媒回収分離母液
62’ ベントガス洗浄水
63’ 放流水
100、200、1000 活性汚泥処理装置
101、1010 第1曝気槽
1011 曝気槽
102、1020 第1沈殿槽
103、103a、1030 第2曝気槽
104、104a、1040 第2沈殿槽
105、1050 MF膜分離装置
106 RO膜分離装置
107、1070 再利用水槽
108、1080 吸着剤処理装置
110 UF膜分離装置
1060 NF膜分離装置
132 散気装置(ディフューザー)
133 ブロアー
136 送水ポンプ
137 圧調整ポンプ
a、r、a’ MBR処理水
b、k、b’ RO膜透過水
c、j、c’ RO膜濃縮水
d、l、u 工業用水(冷却水)
e、m、v 吸着精製水
f、n、w 吸着剤処理排水
h 活性汚泥処理水
i UF膜透過水
o UF膜洗浄排水
s NF膜透過水
t NF膜濃縮水

Claims (10)

  1. テレフタル酸製造プロセスから発生する排水を活性汚泥処理を行いながら、及び/又は、前記活性汚泥処理を行った後に、膜分離処理により膜透過水とする工程と、
    前記膜透過水を回収する工程と、
    を有することを特徴とするテレフタル酸の製造方法。
  2. 前記テレフタル酸製造プロセスが、
    p−キシレンを酸化し粗テレフタル酸とする工程、及び、
    該粗テレフタル酸を精製しテレフタル酸とする工程
    を少なくとも含むことを特徴とする請求項1に記載のテレフタル酸の製造方法。
  3. 前記粗テレフタル酸を精製する工程が、水素添加処理を行う工程を含むことを特徴とする請求項2に記載のテレフタル酸の製造方法。
  4. 前記粗テレフタル酸を精製する工程が、追加的な酸化反応を行う工程を含むことを特徴とする請求項2に記載のテレフタル酸の製造方法。
  5. 前記活性汚泥処理が、好気性活性汚泥処理、又は、好気性活性汚泥処理と嫌気性活性汚泥処理との組み合わせのいずれかであることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載のテレフタル酸の製造方法。
  6. 前記排水のCODCr値が10,000mg/L以下であり、且つBOD値が2,000mg/L以下であることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載のテレフタル酸の製造方法。
  7. 前記膜分離処理を、メンブレンバイオリアクター、限外濾過膜装置、及び逆浸透膜装置からなる群より選ばれる少なくとも1種の膜分離装置により行うことを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載のテレフタル酸の製造方法。
  8. 前記膜透過水の少なくとも一部に、さらに吸着剤処理を行い、吸着精製水とする工程と、
    前記吸着精製水を回収する工程とをさらに有することを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載のテレフタル酸の製造方法。
  9. 前記吸着剤処理を、活性炭、イオン交換樹脂、合成ゼオライト、シリカアルミナ、ベントナイト、及びアルミン酸アルカリ土類金属塩からなる群より選ばれる少なくとも1種の吸着剤により行うことを特徴とする請求項8に記載のテレフタル酸の製造方法。
  10. 回収した前記膜透過水及び/又は吸着精製水の少なくとも一部を、前記テレフタル酸製造プロセスにおける冷却水及び/又はプロセス水として使用することを特徴とする請求項1乃至9のいずれか一項に記載のテレフタル酸の製造方法。
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