WO2012093724A1 - アルカリ金属分離回収方法およびアルカリ金属分離回収装置 - Google Patents

アルカリ金属分離回収方法およびアルカリ金属分離回収装置 Download PDF

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Abstract

 本発明は、ナノ濾過膜を用いてアルカリ金属を含有する原水からアルカリ金属を含む透過水を分離すること、及び前記透過水に含まれるアルカリ金属を後処理で回収すること、を含むアルカリ金属分離回収方法であって、前記原水に希釈水を添加してから前記ナノ濾過膜を含むナノ濾過膜ユニットに供給することを特徴とするアルカリ金属分離回収方法に関する。

Description

アルカリ金属分離回収方法およびアルカリ金属分離回収装置
 本発明は、湖水、地下水、産業廃水などからリチウムやカリウムなどのアルカリ金属を回収する方法および装置に関するものである。さらに詳しくは、シリカやアルカリ土類金属を不純物として含有する原水から、ナノ濾過膜を用いて効率的にアルカリ金属を回収するための方法および装置に関するものである。
 近年、世界の経済発展に伴い、鉱物資源の需要拡大が著しい。しかし、半導体産業をはじめとして広く工業的に不可欠な鉱物資源のうち、地殻中の埋蔵量が多いものであっても、採掘や精錬のコストが高く経済的に採算が取れない資源や、特定地域に資源が局在化しており、これまで採掘が見合わせられてきたものも少なくなかった。一方で、環境問題も大きくクローズアップされてきており、循環型社会構築が望まれている。特に、二酸化炭素排出削減で注目を浴びている点から、電気自動車、それに使用されるモーターやバッテリー開発が加速されている。特に、バッテリーに関しては、リチウムイオン二次電池が、そのエネルギー密度、軽量さから電気自動車の主力バッテリーとして期待されている。リチウム化合物の用途として、例えば炭酸リチウムはリチウムイオン電池の電極材や耐熱ガラス添加剤のほか、弾性表面波フィルター向けにも用いられる。特に高純度のものは、携帯電話、カーナビ等フィルター及び発信器として使用されている。臭化リチウムの用途はビル、工場などの大型空調用吸収式冷凍機の冷媒吸収材として、水酸化リチウムの用途は自動車等のグリース及びリチウム電池(一次、二次)向けの原料である。金属リチウムの用途は一次電池の負極材としての箔及び合成ゴム触媒用のブチルリチウム向け原料などである。
 リチウムは、塩湖かん水、および鉱石中に含まれており、生産コスト面で塩湖かん水からの資源回収が有利である。これらは、主にチリ,ボリビア、アルゼンチンに存在し、埋蔵量も多い。組成としては、大きく、塩化物かん水,硫酸塩かん水,炭酸塩かん水,カルシウムかん水に分類されるが、このなかで、もっとも資源量が多い硫酸塩かん水は、精製の過程で硫酸塩が難溶性の塩を形成したり、アルカリ土類金属塩や硫酸塩を多く含有したりするものが多く、効率的にリチウム回収することが困難であった。
 これを解決する方策として、吸着剤による方法(特許文献1-2)などが提案されているが、コストが高いことが難点であり、低コストで安定的にリチウムを回収する技術として確立されていない。従来の低コスト方法としては、かん水を天日乾燥して、濃縮しつつ不純物を取り除く方法が挙げられるが、リチウム濃度が低い場合やアルカリ土類金属塩や硫酸塩の濃度が高い場合などには適用困難という問題があった。さらに、電気透析法や膜濾過法も検討されつつある(非特許文献1)が、実用化に至っていない。
 一方、同じアルカリ金属であるカリウムは,肥料をはじめ,食品,飼料,工業薬品,医薬品などに多用されている。現在、リチウムのような深刻な資源問題にはなっていないものの、発展途上国の爆発的な人口増加・経済成長に伴う資源の枯渇が懸念されている。
日本国特開2009-161794号公報 日本国特開平4-293541号公報
「平成20年度現場ニーズ等に対する技術支援事業:かん水からのリチウム回収システム開発に関する共同スタディ報告書(公開版)」、独立行政法人石油天然ガス・金属鉱物資源機構、三菱商事株式会社、平成22年3月
 本発明の目的は、湖水、地下水、産業廃水などのリチウムやカリウムなどのアルカリ金属を含有する水からアルカリ金属を効率的に回収する方法および装置を提供することにある。
 前記課題を解決するために、本発明は以下の(1)~(18)の実施態様に関する。
 (1)ナノ濾過膜を用いてアルカリ金属を含有する原水からアルカリ金属を含む透過水を分離すること、及び前記透過水に含まれるアルカリ金属を後処理で回収すること、を含むアルカリ金属分離回収方法であって、前記原水に希釈水を添加してから前記ナノ濾過膜を含むナノ濾過膜ユニットに供給することを特徴とするアルカリ金属分離回収方法。
 (2)次の関係を満たすように前記希釈水を添加することを特徴とする(1)に記載のアルカリ金属分離回収方法:
   Qd/Qf>(R-Rp)/(100-R)
ただし、Qd:希釈水量(m/d)、Qf:原水量(m/d)、Rp:希釈水添加なしでスケール析出しない最大回収率(%)、R:運転時の回収率(%)である。
 (3)前記希釈水の水量が、前記ナノ濾過膜ユニットで透過分離した水量以上の希釈水であることを特徴とする(1)または(2)に記載のアルカリ金属分離回収方法。
 (4)ナノ濾過膜を用いてアルカリ金属を含有する原水からアルカリ金属を含む透過水を分離すること、及び前記透過水に含まれるアルカリ金属を後処理で回収すること、を含むアルカリ金属分離回収方法であって、前記原水に酸性水を添加してから前記ナノ濾過膜を含むナノ濾過膜ユニットに供給することを特徴とするアルカリ金属分離回収方法。
 (5)前記原水が少なくともシリカを含有し、前記原水のpHを9以下に調整した後ナノ濾過膜ユニットで処理して透過水を得るとともに、その透過水の少なくとも一部のpHをさらに9.5以上に調整した後さらに第2のナノ濾過膜ユニットで処理して透過水を得、その透過水に含まれるアルカリ金属を後処理で回収することを特徴とする(1)-(4)のいずれか一項に記載のアルカリ金属分離回収方法。
 (6)前記原水のpHを前記ナノ濾過膜ユニットに供給する供給水のpHよりも低く調整した後、懸濁成分を前処理で除去し、その後、再度pHを調整してから前記ナノ濾過膜ユニットに供給することを特徴とする(1)-(5)のいずれか一項に記載のアルカリ金属分離回収方法。
 (7)前記原水の一部のpHを前記ナノ濾過膜ユニットに供給する供給水のpHよりも低く調整した後、懸濁成分を前処理で除去し、その後、残りの原水と混合することで再度pHを調整してから前記ナノ濾過膜ユニットに供給することを特徴とする(1)-(5)のいずれか一項に記載のアルカリ金属分離回収方法。
 (8)前記前処理が、砂濾過、膜濾過、遠心分離のいずれかを含むことを特徴とする(6)または(7)に記載のアルカリ金属分離回収方法。
 (9)前記ナノ濾過膜ユニットの供給水と前記第2のナノ濾過膜ユニットの供給水の少なくともいずれかに前記希釈水を添加することを特徴とする(6)-(8)のいずれか一項に記載のアルカリ金属分離回収方法。
 (10)前記希釈水が河川水、地下水、雨水、下水、廃水もしくはそれらの処理水であることを特徴とする(1)-(9)のいずれか一項に記載のアルカリ金属分離回収方法。
 (11)アルカリ金属を後処理で回収した残液の少なくとも一部を前記原水に還流することを特徴とする(1)-(10)のいずれか一項に記載のアルカリ金属分離回収方法。
 (12)前記第2のナノ濾過膜ユニットの濃縮水の少なくとも一部を前記原水もしくは前処理水に還流することを特徴とする(6)-(9)のいずれか一項に記載のアルカリ金属分離回収方法。
 (13)前記ナノ濾過膜ユニットもしくは前記第2のナノ濾過膜ユニットの透過水の少なくとも一部を濃縮ユニットで濃縮してからアルカリ金属を後処理で回収するとともに、前記濃縮ユニットで生成した低濃度水の少なくとも一部を前記ナノ濾過膜ユニットに供給する前記原水、前記前処理水、前記ナノ濾過膜ユニットの透過水の少なくともいずれかの希釈水とすることを特徴とする(1)-(12)のいずれか一項に記載のアルカリ金属分離回収方法。
 (14)前記濃縮ユニットが逆浸透膜法、蒸留、膜蒸留のいずれかで構成されることを特徴とする(13)に記載のアルカリ金属分離回収方法。
 (15)前記濃縮ユニットが熱エネルギーを分離の駆動力とするものであるとともに、前記濃縮ユニットに供給される供給水の温度よりも低温の原水を用いて低濃度水を冷却回収することを特徴とする(13)または(14)に記載のアルカリ金属分離回収方法。
 (16)前記ナノ濾過膜ユニットのシリカ除去率およびアルカリ金属除去率が30%以下であることを特徴とする(5)-(15)のいずれか一項に記載のアルカリ金属分離回収方法。
 (17)前記第2のナノ濾過膜ユニットのシリカ除去率が80%以上であるとともにアルカリ金属除去率が30%以下であることを特徴とする(5)-(16)のいずれか一項に記載のアルカリ金属分離回収方法。
 (18)ナノ濾過膜を用いてアルカリ金属を含有する原水からアルカリ金属を含む透過水を分離し、前記透過水に含まれるアルカリ金属を後処理で回収するためのアルカリ金属分離回収装置であって、原水に希釈水を混合する混合ユニットと、前記原水のpHを9以下に調整するための第1のpH調整ユニットと、第1のナノ濾過膜ユニットと、その透過水の少なくとも一部のpHを9.5以上に上げる第2のpH調整ユニットと、第2のナノ濾過膜ユニットと、さらに第2のナノ濾過膜ユニットの透過水に含まれるアルカリ金属を回収する回収ユニットを備えることを特徴とするアルカリ金属分離回収装置。
 本発明によって、様々な溶質が共存する水からリチウムやカリウムなどのアルカリ金属を効率的に回収することが可能となる。
本発明に係る、アルカリ金属分離回収方法の一実施態様を示す概略フロー図である(上記実施態様(1)~(4))。 本発明に係る、アルカリ金属回収ユニットの残液を供給水に還流する一実施態様を示す概略フロー図である(上記実施態様(11))。 本発明に係る、ナノ濾過膜の透過水を濃縮処理してからアルカリ金属を分離回収する方法の一実施態様を示す概略フロー図である(上記実施態様(13)及び(14))。 本発明に係る、熱エネルギーを分離の駆動力とする濃縮ユニットでナノ濾過膜の透過水を濃縮し、原水で冷却する一実施態様を示す概略フロー図である(上記実施態様(15))。 本発明に係る、濃縮ユニットで生成される低濃度水とアルカリ金属回収ユニットで生成する残液をともに供給水に還流する一実施態様を示す概略フロー図である(上記実施態様(11),(13)及び(14))。 本発明に係る、熱エネルギーを分離の駆動力とする濃縮ユニットでナノ濾過膜の透過水を濃縮し、原水で冷却するとともに、アルカリ金属回収ユニットで生成する残液をともに供給水に還流する一実施態様を示す概略フロー図である(上記実施態様(11)及び(15))。 本発明に係る、アルカリ金属分離回収方法の一実施態様を示す概略フロー図である(上記実施態様(5))。 本発明に係る、アルカリ金属分離回収方法の他の実施態様を示す概略フロー図である(上記実施態様(5))。 本発明に係る、前処理を備えたアルカリ金属分離回収方法の一実施態様を示す概略フロー図である(上記実施態様(6)及び(7))。 本発明に係る、一旦原水のpHを目標以下に下げて前処理した後に目標pHに調整する一実施態様を示す概略フローである(上記実施態様(6))。 本発明に係る、原水の一部のpHを目標以下に下げて前処理した後に目標pHに調整する一実施態様を示す概略フローである上記実施態様(7))。 本発明に係る、原水と第1のナノ濾過膜ユニットの透過水に希釈水を添加する一実施態様を示す概略フロー図である(上記実施態様(9)及び(10))。 本発明に係る、第2のナノ濾過膜ユニットの濃縮水を原水に還流する一実施態様を示す概略フロー図である(上記実施態様(12))。 本発明に係る、第2のナノ濾過膜ユニットの透過水を濃縮ユニットで濃縮し、濃縮ユニットで生成した低濃度水を希釈水として用いる一実施態様を示す概略フロー図である(上記実施態様(13)及び(14))。 本発明に係る、熱エネルギーを分離の駆動力とする濃縮ユニットで第2のナノ濾過膜ユニットの透過水を濃縮し、原水で冷却するとともに、原水を第1のナノ濾過膜ユニットに還流する一実施態様を示す概略フロー図である(上記実施態様(15))。
 以下、本発明の望ましい実施の形態の一例を、図面を用いて説明する。ただし、本発明の範囲はこれらの実施態様に限られるものではない。
 本発明のアルカリ金属回収の実施フローの一例を図1に示す。図1に示すアルカリ金属回収装置では、アルカリ金属を含有する原水1と希釈水2が供給水タンク12で一旦貯留された後、供給ポンプ3によって前処理ユニット4で処理され、前処理された供給水は昇圧ポンプ5でナノ濾過膜ユニット6に送られ、アルカリ金属が透過分離される。ナノ濾過膜ユニット6の透過水は、アルカリ金属回収ユニット8に送られ、アルカリ金属9が回収される(上記実施態様(1))。ここで、アルカリ金属回収ユニット8としては、晶析、風乾、天日乾燥、釜で煮詰める、真空蒸発が挙げられる。なお、ここで、希釈水2の添加位置に特に制約はなく、図1に示すように、供給水タンク12から送水する配管に添加することもできれば、図2に示すように、供給水タンク12に直接添加することも差し支えない。ただし、後者の場合は、濃度分布が生じないように撹拌するなどの手段を講じることが好ましい。具体的には、攪拌機を備えた貯留槽を設けることもできれば、配管内にインラインミキサーやスタティックミキサーを備えることも好ましい。また、ポンプの直前で添加すると、ポンプによる撹拌効果が得られるため、好ましい態様である。本発明のようにナノ濾過膜で処理する場合、供給水側のアルカリ金属が他のアルカリ土類金属などに比べてサイズが大きいため、ナノ濾過膜で阻止されずに透過側に移動するが、それでも濃縮水には、供給水よりも高濃度にアルカリ金属を含有する。そこで、本発明のように、予め原水に希釈水を添加して供給水中のアルカリ金属濃度を低減させることによって濃縮水中のアルカリ金属濃度を低減させ、アルカリ金属のロスを減じることができる。さらに、アルカリ土類金属濃度は阻止率が高いため、濃度が次第に上がり、運転条件によってはスケールとなってナノ濾過膜の表面に析出し、ナノ濾過膜の性能を低下させたり、ナノ濾過膜を損傷させたりすることになるため、原水1に希釈水2を添加することによって、スケールを析出しにくくすることができるという利点も併せ持っている。とくに、原水1の濃度変化が大きいときや含有成分の濃度が明確に判っていない場合など、原水が飽和に近い状態になる場合が懸念される場合などを鑑みるに、希釈水2の量をナノ濾過膜ユニット6の透過水の量よりも多くして、析出が生じないような運転を実施すると好ましい(上記実施態様(3))。また、原水1の濃度の最大値が判明している場合は、ナノ濾過膜ユニットの濃縮水がスケール析出濃度以下になるように、希釈水量とナノ濾過膜の回収率を設定すると本発明の目的を達成するために特に好ましい。すなわち、希釈水添加なしでスケール析出しない最大回収率をRp(%)、運転時の回収率をR(%)、原水量をQf、希釈水量をQdとしたときに、
   Qd/Qf>(R-Rp)/(100-R)
となるように希釈水量を決めることが好ましい(上記実施態様(2))。
 ここで、希釈水添加なしでスケール析出しない最大回収率Rpは、実験的にも求めることができるし、計算によっても求めることが可能である。実験的に求める場合は、例えば、ナノ濾過膜への供給水流量一定で、低い回収率条件から運転を開始し、ナノ濾過膜ユニットの供給水圧力と濃縮水圧力の差、すなわち圧力損失を測定し、回収率を上げていってスケール析出によって圧力損失が大きくなるときの回収率を希釈水添加なしでスケール析出しない最大回収率Rpと定義することができる。
 さらに、薬品のコストはかかるが、酸を添加してpHを下げ、スケール析出を防止することもできるし、スケール防止剤を添加することも可能であり、この場合は、回収率をさらに上げることが可能となるが、環境影響やスケール防止剤の万一の漏出などのリスクが発生するため、添加にあたっては注意が必要である。
 とくに、原水がシリカを含有する場合は、希釈水として酸性の希釈水を添加し、pHを下げてからナノ濾過膜ユニットで処理することによって、シリカの析出を抑制し、安定運転することが効果的である(上記実施態様(4))。さらに、この場合は、ナノろ過膜ユニットの透過水にアルカリ金属と共にシリカが透過分離されるため、アルカリ金属の回収にあたってシリカとアルカリ金属を分離すると好ましい。具体的には、ナノ濾過膜ユニットの透過水のpHを上げてから再度第2のナノ濾過膜ユニットでアルカリ金属とシリカを分離処理すると、効果的である。
 シリカを含有する原水に適用可能な本発明のアルカリ金属回収の実施フローの一例を図7に示す。図7に示すアルカリ金属回収装置では、少なくともシリカとアルカリ金属を含有する原水1が、供給水タンク12で一旦貯留された後、供給ポンプ3によって取水・供給される。供給水は、シリカの析出を防止するために第1のpH調整ユニット20で酸を添加し、pHを9以下にした後、第1の昇圧ポンプ5aで第1のナノ濾過膜ユニット6aに供給され、アルカリ金属とシリカが透過分離され、アルカリ土類金属などが第1のナノ濾過膜ユニット濃縮水7aとして濾別される。ナノ濾過膜ユニット6aの透過水は、第2のpH調整ユニット21でpHを9.5以上に調整した後に、中間タンク22を経て第2の昇圧ポンプ5bによって第2のナノ濾過膜ユニット6bに供給されてアルカリ金属を透過分離する。このとき、シリカは第2のナノ濾過膜ユニット濃縮水7bとして濾別され、第2のナノ濾過膜ユニットの透過水は、アルカリ金属回収ユニット8に送られ、アルカリ金属9が回収される(上記実施態様(5))。すなわち、第1のナノ濾過膜の供給水のpHを9以下に制御すると、シリカの多くは水酸化物となり、ナノ濾過膜の表面の表面荷電による電気的斥力が失われ、シリカの排除性能が低下する。その結果、第1のナノ濾過膜ユニットではアルカリ土類金属などが除去されるが、シリカを含むアルカリ金属は、ナノ濾過膜を透過する。つづいて、透過水のpHを9.5以上に上げると、シリカの多くは、イオン化し、ナノ濾過膜で阻止しやすい状態になる。そこで、第2のナノ濾過膜ユニットで処理することによってシリカを阻止、アルカリ金属を豊富に含んだ透過水を得ることができる。ここで、第1のナノ濾過膜ユニットの供給水として好ましいpHは8.5以下、より好ましくは8以下、また、第2のナノ濾過膜ユニットの供給水として好ましいpHは10以上、より好ましくは、11以上であるが、pHを大きく変動させると、pH調整、中和処理などの薬品コストがかかることに加え、ナノ濾過膜ユニットの耐久性に影響を及ぼす危険性が生じるため、注意が必要である。ところで、図7における原水1、酸性の希釈水2によって原水を希釈することになるが、原水のpHがもともと9以下である場合には、第1のナノ濾過膜供給水のpH調整のための酸添加は不要である。また、第1、第2いずれも、pH調整のための酸やアルカリを添加するに際してその濃度に制約はなく、希釈水の添加量を鑑みて予め低濃度の薬液を添加しても良いし、原水濃度が希釈の必要がないような濃度の場合は、高濃度の酸やアルカリを添加しても全く問題ない。なお、ここでいうpH調整ユニットとしては、とくに制限はなく、一般的に用いられる薬液注入ポンプと薬液タンク、また、混合を促進する観点から攪拌機やインラインミキサーなどを追加することも可能である。必要であれば、混合した供給水が均質になるようにタンクを設けることも可能である。
 上記実施態様(5)における第1のpH調整ユニット20によるpH調整は、第1のナノ濾過膜ユニット6aの前に行えばよく、供給水タンク12の中で実施しても、配管内に直接注入しても差し支えないが、本発明が適用される原水1は、pH,濃度などによって析出しやすい物質を含有しているため、pH調整のために酸やアルカリを添加するに際して、注意が必要である。具体的には、薬品添加ポイントでの析出を防止するように攪拌機やスタティックミキサーなどを備えると好ましく、また、析出を考慮する場合は、図9に例示するように、pH調整のポイントかその直後に析出物を分離するフィルターや沈降分離装置などの前処理ユニット4を備えると良い(上記実施態様(6)及び(7))。
 さらに、図10にフローを示すように、第1の補助pH調整ユニット28によって原水1のpHを、例えば一旦8以下に下げて析出を促進し、析出物を前処理ユニット4で除去した後に第1のpH調整ユニット20によってpHを8.5以上9以下に戻してから第1のナノ濾過膜ユニット6aに供給して新たな析出を防止するといった方法をとると後段で分極現象などが生じて、局所的な析出が発生する危険性を低減できるために好ましい(上記実施態様(6))。
 また、図11にフローを示すように、第1のpH調整ユニット20によって原水1の一部のpHを一旦8.5以下に下げてから析出物を前処理ユニット4で除去し、その後残りの原水と混合することでpHを8.5以上9以下に戻してから第1のナノ濾過膜ユニット6aに供給する方法によっても同様の効果を発現することができる(上記実施態様(7))。
 ここで、前処理ユニット4としては、砂濾過、膜濾過、遠心分離のいずれかを含むことが好ましい(上記実施態様(8))。pHを9.5以上とする第2のpH調整ユニット21に関しても、図1などでは第1のナノ濾過膜ユニット6aの透過水ラインにおいて実施しているが、中間タンク22や第2のナノ濾過膜ユニット6bへの供給ラインの中で実施しても差し支えない。また、ナノ濾過膜ユニットに供給される水のpH調整にあたっては、特に制約はないが、第1のナノ濾過膜ユニット6aへの供給水のpHの制御は、第1のナノ濾過膜ユニット6aの入口近傍、すなわち、原水が混合されたり前処理されたりした後の水のpHを測定し、その値をフィードバックして第1のpH調整ユニット20における注入量を制御することが好ましい。とくに、前処理前後で凝集剤やスケール防止剤や殺菌剤の添加をする場合は、pHが変動しやすいため、制御の元になるpH測定はナノ濾過膜ユニットの近傍で実施した方が好ましい。ただし、水がナノ濾過膜ユニットに供給される際には、十分に混合が完了し、pHが安定するように、滞留時間を十分にとったり、必要に応じてミキサーを入れることが好ましい。pH制御については、第2のナノ濾過膜ユニット6bにおいても第1のナノ濾過膜ユニット6aと同様である。
 また、本発明の適用にあたっては、図12に例示するように第1のナノ濾過膜ユニット6a,第2のナノ濾過膜ユニット6bへの供給に先立って予め希釈水2を添加して供給水中のアルカリ金属濃度を低減させることによって濃縮水中のアルカリ金属濃度を低減させ、アルカリ金属のロスを減じることができる(上記実施態様(9))。さらに、第1のナノ濾過膜ユニット6aや第2のナノ濾過膜ユニット6bはアルカリ土類金属の阻止率が高いため、ナノ濾過膜処理によって濃度が次第に上がり、運転条件によってはスケールとなってナノ濾過膜の表面に析出し、ナノ濾過膜の性能を低下させたり、ナノ濾過膜を損傷させたりする懸念があるため、希釈水2を添加することによって、スケールの析出しにくくすることができるという利点も併せ持っている。とくに、原水1の濃度変化が大きいときや含有成分の濃度が明確に判っていない場合、原水が飽和に近い状態になることが懸念される場合などを鑑みるに、希釈水2の量をナノ濾過膜ユニットの透過水の量よりも多くして、析出が生じないような運転を実施すると好ましい。また、薬品のコストはかかるが、酸を添加してpHを下げ、スケール析出を防止することもできるし、スケール防止剤を添加することも可能であるが、環境影響やスケール防止剤の万一の漏出などのリスクが発生するため、添加にあたっては注意が必要である。
 本発明の対象となるアルカリ金属は、少なくともリチウムを含むものであれば好ましく、本発明の方法を実施する塩湖かん水などにおいては、リチウム以外にナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウムなどのアルカリ金属のうち少なくとも一つの金属と、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウムなどのアルカリ土類金属の他、典型元素(アルミニウム、スズ、鉛など)、遷移元素(鉄、銅、コバルト、マンガンなど)、および1種以上の共役塩基(例えば塩化物イオン、硝酸イオン、硫酸イオン、炭酸イオン、酢酸イオンなど)との塩からなる化合物が溶存している。これらの各成分の濃度は特に限定されないが、分離回収の効率の点から希釈後の供給水のリチウムイオン濃度が0.5mg/L以上10000mg/L以下の範囲であることが好ましく、より好ましくは5mg/L以上5000mg/L以下の範囲であり、さらに好ましくは50mg/L以上2000mg/L以下の範囲である水溶液を原水とすることが好ましい。
 ここで、例えば炭酸リチウムや塩化カリウムなど、所望の精製アルカリ金属塩を分離回収するにあたり、その精製阻害物質としては難溶性塩を生成しやすいアルカリ土類金属塩や硫酸塩、地殻中の有機物などが挙げられ、マグネシウム塩および/または硫酸塩などが例示される。本発明では、アルカリ金属塩水溶液から精製アルカリ金属塩を分離回収する効率の観点から、供給水となるアルカリ金属塩水溶液中のマグネシウムイオン濃度がリチウムイオン濃度に比して1000倍以下であることが好ましく、より好ましくは500倍以下、さらに好ましくは100倍以下であると効率的である。
 また、上記実施態様(4)及び(5)に示すシリカ除去の場合は、シリカ濃度に関しては、1mg/L以上であると、本発明の効果を得やすく、さらには、2mg/L以上120mg/L以下、さらに好ましくは、5mg/L以上20mg/L以下であると、本発明で懸念されるナノ濾過膜ユニットの濃縮部分でのシリカ析出を防止しながら効率よくアルカリ金属を回収できるため好ましい。
 本発明では、ナノろ過膜ユニットで精製阻害物質を除去する処理工程を行うにあたり、アルカリ金属塩を含む水溶液中のマグネシウムイオン濃度が、該水溶液中のリチウムイオン濃度に比して7倍以下となるまで、ナノ濾過膜ユニットによる除去処理を行うことが好ましい。この比が7倍を超えると、精製アルカリ金属塩の回収効率が著しく低下する。なお、この時の精製阻害物質重量は、マグネシウムイオンや硫酸イオンなどのイオン換算重量で計算される。また、リチウムイオン換算重量および精製阻害物質重量は、例えばイオンクロマトグラフ測定によりアルカリ金属塩を含む水溶液の各種イオン濃度を定量することで求められる。
 原水中の精製阻害物質の含有量は、精製阻害物質の組成や原水の性状によって異なるが、例えば塩湖かん水ではマグネシウムイオン、硫酸イオンがそれぞれ100mg/L以上30000mg/L以下の範囲で含まれている。
 本発明における希釈水は、精製阻害物質の濃度が十分に低ければ特に制約されるものではないが、精製阻害物質の濃度が低いほど好ましい。例としては、河川水、地下水、雨水、下水、廃水やそれらを前処理して清澄にした水や精製阻害物質濃度を低減処理した水などを用いることが可能である(上記実施態様(10))。また、これらの希釈水よりも希釈効果は少ないものの海水を使用することも原理的には可能である。
 さらに、図13に例示する様な場合は、第2のナノ濾過膜ユニット濃縮水7bは、比較的シリカを豊富に含むものの、第1のナノ濾過膜ユニット6aの透過水を処理した水であるため、その他の精製阻害物質は少ないため、シリカ濃度が経済的に許容範囲であれば、少なくとも一部を供給水タンク12に還流したり(、前処理ユニット4の処理水に還流したりすることも可能である(上記実施態様(12))。また、図2に例示するように、アルカリ金属を後処理で回収した残液の少なくとも一部を原水に還流することも可能である(上記実施態様(11))。
 本発明においては、ナノ濾過膜によってアルカリ金属が選択的に透過するものの、通常、その透過水におけるアルカリ金属濃度が原水以上の濃度になることはないため、後処理でアルカリ金属を効率的に回収するために、図3及び14に例示するように第2のナノ濾過膜ユニット6bの透過水を濃縮する工程を追加することも好ましい実施態様である。この場合、濃縮ユニット14で生成する低濃度水(排水)15の少なくとも一部を低濃度水(還流水)16として第1のナノ濾過膜ユニット6aに供給する原水1、前処理ユニット4の処理水、第1のナノ濾過膜ユニット6aの透過水の少なくともいずれかの希釈水に用いれば、水の循環利用ができて排水を減らすことができるため、さらに好ましい(上記実施態様(13))。ここで、濃縮ユニット14は、例えば、蒸留、膜分離、吸脱着、イオン交換、など、様々な方法を挙げることができるが、アルカリ金属は不揮発性でサイズが非常に小さいため、阻止性能が高い逆浸透膜法、蒸留法、膜蒸留法(膜を利用した純水分離・濃縮方法)、を用いて濃縮すると効率的で好ましい(上記実施態様(14))。ここで、阻止性能が高い逆浸透膜とは、アルカリ金属除去率95%以上の逆浸透膜のことを指す。
 また、蒸留法や膜蒸留法といった熱エネルギーを分離の駆動力とする濃縮ユニットを用いる場合は、図4及び15に例示するように、原水から濃縮ユニット17に入る前のいずれかのポイントで濃縮ユニット17の供給水を、例えば、加熱ユニット19で予め加温しておき、濃縮によって発生する低濃度水を冷却水で吸収するという方法をとることも好ましい実施態様である(上記実施態様(15))。とくに、膜蒸留法の一つである直接接触式は、膜を介して高温水から冷却水に水分のみが透過し、高温水が濃縮される方法であるため、本発明の適用に非常に好ましい。加熱ユニット19の設置位置については、原水から第2のナノ濾過膜ユニット6bを出たあとまでであれば、とくに位置に制約はないが、濃縮ユニット14への供給までの間に前処理等が存在する場合に、それらの前で昇温させると、前処理が濾過や化学反応を伴うものであれば、その性能に影響が出る可能性がある。また、ナノ濾過膜ユニットへの供給前で温度が高い場合は、ナノ濾過膜の透水性能や分離性能が大きく変化する可能性があることや、また、ナノ濾過膜の濃縮水が高温排水になり、エネルギーロスにつながるため、設計上の注意が必要である。さらに、ポンプの発熱が大きな場合は、ポンプでの昇温も可能である。
 なお、以上の説明において、原水の前処理について触れてこなかったが、原水水質に応じては、各種の前処理を施すことが可能である。具体的には、原水性状によって、濁質成分の除去や殺菌など適宜選択することができる。
 ところで、ここでいうナノ濾過膜とは、IUPACで「2nmより小さい程度の粒子や高分子が阻止される圧力駆動の膜」と定義される膜であるが、本発明への適用に効果的なナノ濾過膜は、膜表面に荷電を有し、細孔による分離(サイズ分離)と膜表面の荷電による静電気的な分離の組み合わせによって特にイオンの分離効率を向上させたものが好ましく、回収目的とするアルカリ金属イオンとそのほかの荷電特性が異なるイオンを荷電によって分離しつつ、サイズ分離による高分子類の除去が可能なナノ濾過膜を適用することが好ましい。
 本発明に適したナノろ過膜としては、特に0.5MPaの操作圧力で25℃、pH6.5の1000mg/Lイソプロピルアルコール水溶液および25℃、pH6.5の1000mg/Lグルコース水溶液をそれぞれ透過させた時のグルコース除去率が90%以上であり、かつ、グルコース除去率とイソプロピルアルコール除去率の差が30%以上であるナノ濾過膜を用いることで、総塩濃度によらずアルカリ金属塩、中でもリチウム塩と精製阻害物質の分離が極めて高効率で達成されるため特に好ましい。
 さらに、一般に、前記精製アルカリ金属塩は水溶液の濃縮や加熱、冷却、または核化剤の添加などで誘起される、晶析操作によって分離回収が可能であることから、これらを阻害するマグネシウム塩および/または硫酸塩が除去されることが好ましい。そこで、0.5MPaの操作圧力で25℃、pH6.5の2000mg/L硫酸マグネシウム水溶液および25℃、pH6.5の2000mg/L塩化リチウム水溶液をそれぞれ透過させた時の硫酸マグネシウム除去率が90%以上、好ましくは95%以上、さらに好ましくは97%以上であり、かつ、塩化リチウム除去率が70%以下、好ましくは50%以下、さらに好ましくは30%以下であるナノ濾過膜を用いることで、総塩濃度によらずリチウム塩と精製阻害物質の分離が極めて高効率で達成される。また、本発明の分離膜による工程の後にアルカリ金属塩の濃縮によって精製アルカリ金属塩の回収を行うことが好ましい。
 とくに、原水がシリカを含有する場合は、本発明における(第1の)ナノ濾過膜ユニットにおいては、pHが9以下の状態で、アルカリ金属とシリカを透過しやすく、アルカリ土類金属などの精製阻害物質を阻止できる性能を有するナノ濾過膜を適用することが好ましい。本発明における第1のナノ濾過膜ユニットに適した分離膜としては、特に操作圧力0.5MPaで25℃、pH6.5の1000mg/Lイソプロピルアルコール水溶液および25℃、pH6.5の1000mg/Lグルコース水溶液をそれぞれ透過させた時のグルコース除去率が90%以上であり、かつ、グルコース除去率とイソプロピルアルコール除去率の差が30%以上であることに加え、さらにpH6.5におけるホウ素の除去率が60%未満であるナノ濾過膜を用いることで、総塩濃度によらずアルカリ金属塩、中でもリチウム塩と精製阻害物質の分離が極めて高効率で達成されるため特に好ましい。
 また、第2のナノ濾過膜ユニットに適した分離膜としては、操作圧力0.5MPaで25℃、pH6.5の1000mg/Lイソプロピルアルコール水溶液および25℃、pH6.5の1000mg/Lグルコース水溶液をそれぞれ透過させた時のグルコース除去率が90%以上であり、かつ、グルコース除去率とイソプロピルアルコール除去率の差が30%以上であるとともに、さらにpH6.5におけるホウ素の除去率が60%以上の除去性能を有するナノ濾過膜を用いることで、本発明において、第2のナノ濾過膜ユニットへの供給水のpHを9.5以上にすることによってシリカが解離して荷電をもつようになるため、アルカリ金属とシリカの効率的な分離が可能となる。以上の特性を有する、本発明において(第1の)ナノ濾過膜ユニットと第2のナノ濾過膜ユニットで用いられるナノ濾過膜としては、透水性能と分離性能を両立し、総合的な膜性能のポテンシャルが高いという観点から、多官能アミンと多官能酸ハロゲン化物との重縮合反応により得られる架橋ポリアミドの超薄膜層を微多孔性支持膜上に有してなる複合半透膜であることが好ましい。
 さらに、高分離効率が求められる(第1の)ナノ濾過膜ユニットにおいては、脂肪族系ポリアミドを主成分(すなわち、脂肪族ポリアミドのアミド結合数が芳香族ポリアミドのアミド結合よりも多い。)とし、高透過性能が求められる第2のナノ濾過膜ユニットに適用するナノ濾過膜としては、芳香族系ポリアミドを主成分とすることが好ましい。
 このようなナノ濾過膜をモジュール化し、例えば、スパイラル型のナノ濾過膜エレメントを単数もしくは複数連結して容器に収納したものやそれを直列や並列に接続することによってナノ濾過膜ユニットを形成する。
 このナノ濾過膜ユニットの分離性能は、水温や濃度などの外的要因やナノ濾過膜の性能と構成、操作圧力などの運転条件によって発現性能が異なる。本発明を効果的に実施するにあたっては、ナノ濾過膜ユニットにおいては、アルカリ土類金属の除去率を70%以上とするように運転することが好ましく、pHを制御してシリカを分離したい場合は、第1のナノ濾過膜ユニットにおけるシリカ除去率およびアルカリ金属除去率を30%以下とするように運転することが好ましく(上記実施態様(16))、第2のナノ濾過膜ユニットにおいては、シリカ除去率が80%以上であるとともにアルカリ金属除去率が30%以下となるように運転条件を設定することが好ましい(上記実施態様(17))。なお、ここでいうアルカリ金属濃度とは、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム、フランシウムの総量重量を溶液体積で割って求められるものであり、mg/lやkg/mで表される。また、除去率[%]とは、それぞれのナノ濾過膜ユニットの供給水と透過水中のアルカリ金属濃度に対して、「100-(透過水中のアルカリ金属濃度)/(供給水中のアルカリ金属濃度)」で示される値であり、基本的にはナノ濾過膜の除去性能が基になるが、ナノ濾過膜ユニットの除去率を上げるためには、例えば、回収率を下げる、供給水量を増やすなどの運転操作によってある程度調節することが可能である。
 精製アルカリ金属9の回収は、精製アルカリ金属塩の回収として行うことができ、例えばカリウム塩の場合、溶解度の温度依存性を利用、またはエタノールなどの貧溶媒を添加して塩化カリウムを回収する公知の方法で回収を行う。リチウム塩の場合は、他のアルカリ金属塩に比べて溶解度が小さいことを利用して、例えば炭酸塩を水溶液に添加することで炭酸リチウムとして回収する。これは炭酸ナトリウムや炭酸カリウムは水への溶解度が十分高い(水100mLに対し20g以上)ことに対し、炭酸リチウムの溶解度が25℃で水100mL対して1.33gしか溶けず、さらに高温では溶解度が低下することを利用したものである。
 アルカリ金属回収ユニット8でアルカリ金属を回収した後の残液は、排水することもできれば、そのアルカリ金属含有量によっては、図2に示すように供給水に還流させることも可能である(上記実施態様(10))。また、ナノ濾過膜ユニット濃縮水7は、圧力エネルギーを有しているため、エネルギー回収ユニットを適用すれば、省エネルギーになるため好ましい。また、ナノ濾過膜ユニット濃縮水7はアルカリ金属の生成阻害物質を多く含有するため排水するのが一般的であるが、比率は少ないとはいえ回収したいアルカリ金属イオンが他の成分よりも原水濃度以上に含有されているため、そのまま、もしくは、図8に例を示すようにアルカリ24を添加して、除去物質(アルカリ土類金属)26を析出させたり、分離ユニット25として、イオン交換や吸着によって生成阻害物質濃度を低減した後に、供給水として再利用することも可能である。さらに、これらで発生した懸濁物質や第1のナノ濾過膜ユニット濃縮水7aに含まれる有機物なども併せて除去する目的でUF膜や加圧浮上などを分離ユニット25に組み込むことも可能である。
 前処理ユニット4は、特に制約されるものではなく、原水性状によって、濁質成分の除去や殺菌など適宜選択することができる。
 供給水の濁質を除去する必要がある場合は、前処理ユニット4として砂濾過や精密濾過膜、限外濾過膜を適用することが効果的である。このときバクテリアや藻類などの微生物が多い場合は、殺菌剤を添加することも好ましい。殺菌剤としては塩素を用いることが好ましく、たとえば塩素ガスや次亜塩素酸ナトリウムを遊離塩素として1~5mg/lの範囲内となるように供給水に添加するとよい。なお、半透膜によっては特定の殺菌剤に化学的な耐久性がない場合があるので、その場合は、なるべく供給水の上流側で添加し、さらに、半透膜ユニットの供給水入口側近傍にて殺菌剤を無効にすることが好ましい。例えば、遊離塩素の場合は、その濃度を測定し、この測定値に基づいて塩素ガスや次亜塩素酸ナトリウムの添加量を制御したり、亜硫酸水素ナトリウムなどの還元剤を添加したりするとよい。
 また、濁質以外にバクテリアやタンパク質、天然有機成分などを含有する場合は、ポリ塩化アルミニウム、硫酸バンド、塩化鉄(III)などの凝集剤を加えることも効果的である。
 凝集させた供給水は、その後に斜向板などで沈降させた上で砂濾過を行ったり、複数本の中空糸膜を束ねた精密濾過膜や限外濾過膜による濾過を行ったりすることによって後段の半透膜ユニットを通過させるのに適した供給水とすることができる。特に、凝集剤の添加にあたっては、凝集しやすいようにpHを調整することが好ましい。
 ここで、前処理に砂濾過を用いる場合は、自然に流下する方式の重力式濾過を適用することもできれば、加圧タンクの中に砂を充填した加圧式濾過を適用することも可能である。充填する砂も、単一成分の砂を適用することが可能であるが、例えば、アンスラサイト、珪砂、ガーネット、軽石など、を組み合わせて、濾過効率を高めることが可能である。精密濾過膜や限外濾過膜についても、特に制約はなく、平膜、中空糸膜、管状型膜、プリーツ型、その他いかなる形状のものも適宜用いることができる。膜の素材についても、特に限定されるものではなく、ポリアクリロニトリル、ポリフェニレンスルフォン、ポリフェニレンスルフィドスルフォン、ポリフッ化ビニリデン、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリスルホン、ポリビニルアルコール、酢酸セルロースや、セラミック等の無機素材を用いることができる。また、濾過方式にしても供給水を加圧して濾過する加圧濾過方式や透過側を吸引して濾過する吸引濾過方式のいずれも適用可能である。特に、吸引濾過方式の場合は、凝集沈殿槽や生物処理槽に精密濾過膜や限外濾過膜を浸漬して濾過する、いわゆる凝集膜濾過や膜利用活性汚泥法(MBR)を適用することも好ましい。
 一方、供給水に溶解性の有機物が多く含まれている場合は、塩素ガスや次亜塩素酸ナトリウムの添加によってそれら有機物を分解することができるが、加圧浮上や活性炭濾過を行うことによっても除去が可能である。また、溶解性の無機物が多く含まれている場合は、有機系高分子電解質やヘキサメタ燐酸ソーダなどのキレート剤を添加したり、イオン交換樹脂などを用いて溶解性イオンと交換したりするとよい。また、鉄やマンガンが可溶な状態で存在しているときは、ばっ気酸化濾過法や接触酸化濾過法などを用いることが好ましい。
 ナノ濾過膜ユニット6に関しては、1ステージ処理も可能であるし、回収率を高める場合は、濃縮水をさらに次のナノ濾過膜ユニット6で処理する、いわゆるマルチステージにすることも問題なく、ナノ濾過膜の性能を高く発現できるように適宜設定することが可能である。
 マルチステージにする場合、それぞれのステージで異なる性能のナノ濾過膜ユニット6にすると好適である。ナノ濾過膜ユニット6が異なるようにするためには、ナノ濾過膜を異なるようにすることが簡便である。本発明においてアルカリ金属を効率的に透過させて他の溶質を阻止するために、ナノ濾過膜ユニット6の各ステージにおいて徐々に変化する供給水質に応じて、ナノ濾過膜の分画分子量や荷電特性を最適化することによって分離効率を高めることが可能となる。特に、前ステージから後ステージになるに従って、流動抵抗による圧力損失や供給水濃度の上昇による有効濾過圧力減少によって、透過量が減少するため、後ステージのナノ濾過膜の純水透水性能が前ステージよりも大きい方が好ましい。
 ここでいう純水送水性能とは、ナノ濾過膜に圧力(通常0.3~0.5MPa)をかけた純水を透過させることによって測定することができ、標準温度(通常25℃)において単位膜面積、単位時間あたりに透過した水の量を測定して得られる値である。
 さらに、供給水の濃度は後ステージほど上昇するが、アルカリ金属イオンは少なくない量がナノ濾過膜を透過するため、後ステージの供給水ほどアルカリ金属濃度に対するその他の溶質(アルカリ土類金属や硫酸イオンのような多価イオン)濃度の比率が高くなり、透過水のアルカリ金属含有率も前段より低下する。そのため、後ステージほど分離性能の高いナノ濾過膜を用いることが好ましい。具体的には、アルカリ金属透過率に対する硫酸イオン透過率の比について、第1ステージのナノ濾過膜ユニットにおける比が最終ステージのナノ濾過膜ユニットにおける比よりも小さくすることによって、本発明をより効率的に実現することが可能となる。このようなナノ濾過膜は、前ステージよりも後ステージのナノ濾過膜の表面荷電を強くしつつ、細孔径(分画分子量)を大きめにすることによって、実現することができる。表面荷電を強くする方法としては、例えば、文献(Photoinduced grafting of ultrafiltration membranes: comparison of poly(ether sulfone) and poly(sulfone), B. Kaeselevら,ジャーナルオブメンブレンサイエンス)に示されるように膜表面にUV、また、電子線、プラズマなどでラジカル(活性点)をつくってグラフト重合させるといった方法や、酸化剤などで高分子鎖を断裂するなどの方法が例として挙げられる。また、本発明に適用するナノ濾過膜としては、透水性能と分離性能を両立し、総合的な膜性能のポテンシャルが高いという観点から、多官能アミンと多官能酸ハロゲン化物との重縮合反応により得られる架橋ポリアミドの超薄膜層を微多孔性支持膜上に有してなる複合半透膜であることが好ましい。
 さらに、高分離効率が求められる前ステージにおいては、脂肪族系ポリアミドを主成分(すなわち、脂肪族ポリアミドのアミド結合数が芳香族ポリアミドのアミド結合よりも多い。)とし、高透過性能が求められる後ステージのナノ濾過膜としては、芳香族系ポリアミドを主成分とすることが好ましい。
 脂肪族アミンとしては、[I]式に示すようなピペラジン系アミン及びその誘導体が好ましく、ピペラジン、2,5-ジメチルピペラジン、2-メチルピペラジン、2,6-ジメチルピペラジン、2,3,5-トリメチルピペラジン、2,5-ジエチルピペラジン、2,3,5-トリエチルピペラジン、2-n-プロピルピペラジン、2,5-ジ-n-ブチルピペラジンなどが例示される。中でもより高い溶質除去性能、水透過性能を有するナノ濾過膜を幅広い組成比で得ることができるピペラジンや2,5-ジメチルピペラジンを用いることが特に好ましい。
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000001
[I]式中、R1~R8はH,OH,COOH,SOH,NHまたはC1~C4の直鎖状あるいは環状の飽和、不飽和脂肪族基のいずれかから選ばれる。
 芳香族系ポリアミドの場合、多官能アミンとしては、一分子中に2個以上のアミノ基を有するアミンであり、オルト位(o-)に2個のアミノ基を有するo-芳香族ジアミンを含むものが好ましい。さらに多官能アミンとしては、メタ位(m-)に2個のアミノ基を有するm-芳香族ジアミン、パラ位(p-)に2個のアミノ基を有するp-芳香族ジアミンならびに脂肪族系アミンおよびその誘導体からなる群から選ばれる少なくとも1種、中でも、緻密で剛直な構造を有するために阻止性能と透水性能のポテンシャルに優れ、さらに耐久性、特に耐熱性に優れた膜を得ることが容易なm-芳香族ジアミンやp-芳香族ジアミンを含んでいることも好ましい。
 ここで、o-芳香族ジアミンとして好ましく用いられるのはo-フェニレンジアミンである。m-芳香族ジアミンとしては、m-フェニレンジアミンが好ましいが、3,5-ジアミノ安息香酸や2,6-ジアミノピリジン等を用いることもできる。p-芳香族ジアミンとしてはp-フェニレンジアミンが好ましいが、2,5-ジアミノベンゼンスルホン酸やp-キシリレンジアミン等を用いることもできる。
 これら多官能アミンの製膜原液中におけるモル比は、用いるアミンおよび酸ハロゲン化物によって適宜最適な組成比を選ぶことができるが、o-芳香族ジアミンの添加比率が高いほど透水性は向上し、反面、溶質全体の阻止性能は低下する。また、脂肪族多官能アミンを多くすることで、多価イオンと一価イオンの分離性能が向上する。これによって目的とする透水性能とイオン分離性能、溶質全体の阻止性能を満足する本発明の液体分離膜を得ることが可能となる。
 また、アミン成分として脂肪族アミンが多いと耐熱安定性が低下するため、耐熱性を重視したい場合は、脂肪族アミンを少なくすることによって耐熱性の向上を達成することもできる。
 一方、多官能酸ハロゲン化物としては、一分子中に2個以上のハロゲン化カルボニル基を有する酸ハロゲン化物や多官能酸無水物ハロゲン化物で、上記多官能アミンとの反応により架橋ポリアミドの分離機能層を形成するものであれば特に限定されるものではない。例えば1,3,5-シクロヘキサントリカルボン酸、1,3-シクロヘキサンジカルボン酸、1,4-シクロヘキサンジカルボン酸、1,3,5-ベンゼントリカルボン酸、1,2,4-ベンゼントリカルボン酸、1,3-ベンゼンジカルボン酸、1,4-ベンゼンジカルボン酸の酸ハロゲン化物の混合物などである。中でも、製膜性が良好で、全溶質阻止性能が均質で欠陥やばらつきの少ない膜を得やすい、[II]式、[III]式で表されるジカルボン酸やトリカルボン酸が好ましく、とくに、経済性、取り扱い易さ、反応の容易さ等の点から、1,3,5-ベンゼントリカルボン酸の酸ハロゲン化物であるトリメシン酸クロライドが好ましい。
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000002
[II]式中、RはHまたはC1~C3の炭化水素から選ばれる。
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000003
[III]式中、RはHまたはC1~C3の炭化水素から選ばれる。
 また、多官能酸無水物ハロゲン化物としては、一分子中に1個以上の酸無水物部分と1個以上のハロゲン化カルボニル基を有し、無水安息香酸、無水フタル酸のカルボニルハロゲン化物である、下記一般式[IV]で表されるトリメリット酸無水物ハロゲン化物及びその誘導体が好ましく用いられる。
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000004
[IV]式中、X1およびX2は、C1~C3の直鎖状あるいは環状の飽和、不飽和脂肪族基、H,OH,COOH,SOH,COF,COCl,COBr,COIのいずれかから選ばれる。または、X1とX2との間で酸無水物を形成していても良い。X3はC1~C3の直鎖状あるいは環状の飽和、不飽和脂肪族基、H,OH,COOH,SOH,COF,COCl,COBr,COIのいずれかから選ばれる。YはH,F,Cl,Br,IまたはC1~C3の炭化水素から選ばれる。
 ところで、前ステージと後ステージのナノ濾過膜を異なるようにする以外に、それぞれのステージの供給水を昇圧することも好ましい。すなわち、前ステージの濃縮水を後ステージの供給水とするにあたって、ブースターポンプなどで昇圧し、後ステージの処理性能を上げるという方法である。これによって、後ステージの透水性を実質的に上げることが可能となる。
 本発明においては、ナノ濾過膜によってアルカリ金属が選択的に透過するものの、通常、その透過水濃度が原水以上の濃度になることはないため、後処理でアルカリ金属を効率的に回収するためには、ナノ濾過膜の透過水を濃縮する工程を追加することも好ましい実施態様である。この場合、図3に例示するように濃縮工程で生成する低濃度水の少なくとも一部を供給水として還流すれば、希釈水2の量を削減、もしくは省略することが可能となり、さらに好ましい(上記実施態様(13))。ここで、濃縮工程は、例えば、蒸留、膜分離、吸脱着、イオン交換、など、様々な方法を挙げることができるが、アルカリ金属は不揮発性でサイズが非常に小さいため、阻止性能が高い逆浸透膜法、蒸留法、膜蒸留法(膜を利用した純水分離・濃縮方法)、を用いて濃縮すると効率的で好ましい(上記実施態様(14))。ここで、阻止性能が高い逆浸透膜とは、アルカリ金属除去率95%以上の逆浸透膜のことを指す。
 また、蒸留法や膜蒸留法といった熱エネルギーを分離の駆動力とする濃縮ユニットを用いる場合は、図4に例示するように、濃縮ユニット17の供給水を、例えば加熱ユニット19で予め加温しておき、濃縮ユニット17の供給水と原水1の温度差に基づく蒸気移動で濃縮し、発生する低濃度水を冷却回収するという方法をとることも好ましい実施態様である(上記実施態様(15))。とくに、膜蒸留法の一つである直接接触式は、膜を介して高温水から冷却水に水分のみが透過し、高温水が濃縮される方法であるため、本発明の適用に非常に好ましい。加熱ユニットの設置位置については、原水1が濃縮ユニット17(冷却水側)を出たあとであれば、とくに位置に制約はないが、前処理の前で昇温させた場合、前処理が濾過や化学反応を伴うものであれば、その性能に影響が出る可能性があり、また、ナノ濾過膜ユニット6の前で温度が高い場合は、ナノ濾過膜の透水性能や分離性能が大きく変化する可能性があること、また、ナノろ過膜ユニット濃縮水7が高温排水になり、エネルギーロスにつながるため、設計上の注意が必要である。さらに、ポンプの発熱が大きな場合は、ポンプでの昇温も可能である。
 本発明を詳細にまた特定の実施態様を参照して説明したが、本発明の精神と範囲を逸脱することなく様々な変更や修正を加えることができることは、当業者にとって明らかである。
本出願は、2011年1月7日出願の日本特許出願2011-001707及び2011年1月25日出願の日本特許出願2011-012685に基づくものであり、その内容はここに参照として取り込まれる。
 本発明は、湖水、地下水、産業廃水などからリチウムやカリウムなどのアルカリ金属を回収する装置およびその運転方法に関するものであり、アルカリ金属を含有する原水に希釈水を添加し、さらにpHを調整しながら複数段のナノ濾過膜を用いることによって濃縮,分離,回収が困難な多種の溶質が含まれる水からアルカリ金属を効率的な分離回収を実現することができる。
1:原水
2:希釈水
3:供給ポンプ
4:前処理ユニット
5:昇圧ポンプ
5a:(第1の)昇圧ポンプ
5b:(第2の)昇圧ポンプ
6:ナノ濾過膜ユニット
6a:(第1の)ナノ濾過膜ユニット
6b:(第2の)ナノ濾過膜ユニット
7:ナノ濾過膜ユニット濃縮水
7a:(第1の)ナノ濾過膜ユニット濃縮水
7b:(第2の)ナノ濾過膜ユニット濃縮水
8:アルカリ金属回収ユニット
9:回収アルカリ金属
10:回収ユニット残液(排水)
11:回収ユニット残液(還流水)
12:供給水(希釈原水)タンク
13:昇圧ポンプ
14:濃縮ユニット
15:低濃度水(排水)
16:低濃度水(還流水)
17:濃縮ユニット(熱法)
18:供給水(希釈原水)
19:加熱ユニット
20:第1のpH調整ユニット
21:第2のpH調整ユニット
22:中間タンク
23:析出物
24:アルカリ
25:分離ユニット
26:除去物質(アルカリ土類金属)
27:供給ポンプ
28:第1の補助pH調整ユニット

Claims (18)

  1.  ナノ濾過膜を用いてアルカリ金属を含有する原水からアルカリ金属を含む透過水を分離すること、及び前記透過水に含まれるアルカリ金属を後処理で回収すること、を含むアルカリ金属分離回収方法であって、前記原水に希釈水を添加してから前記ナノ濾過膜を含むナノ濾過膜ユニットに供給することを特徴とするアルカリ金属分離回収方法。
  2. 次の関係を満たすように前記希釈水を添加することを特徴とする請求項1に記載のアルカリ金属分離回収方法:
       Qd/Qf>(R-Rp)/(100-R)
    ただし、Qd:希釈水量(m/d)、Qf:原水量(m/d)、Rp:希釈水添加なしでスケール析出しない最大回収率(%)、R:運転時の回収率(%)である。
  3.  前記希釈水の水量が、前記ナノ濾過膜ユニットで透過分離した水量以上であることを特徴とする請求項1または2に記載のアルカリ金属分離回収方法。
  4.  ナノ濾過膜を用いてアルカリ金属を含有する原水からアルカリ金属を含む透過水を分離すること、及び前記透過水に含まれるアルカリ金属を後処理で回収すること、を含むアルカリ金属分離回収方法であって、前記原水に酸性水を添加してから前記ナノ濾過膜を含むナノ濾過膜ユニットに供給することを特徴とするアルカリ金属分離回収方法。
  5.  前記原水が少なくともシリカを含有し、前記原水のpHを9以下に調整した後ナノ濾過膜ユニットで処理して透過水を得るとともに、その透過水の少なくとも一部のpHをさらに9.5以上に調整した後さらに第2のナノ濾過膜ユニットで処理して透過水を得、その透過水に含まれるアルカリ金属を後処理で回収することを特徴とする請求項1-4のいずれか一項に記載のアルカリ金属分離回収方法。
  6.  前記原水のpHを前記ナノ濾過膜ユニットに供給する供給水のpHよりも低く調整した後、懸濁成分を前処理で除去し、その後、再度pHを調整してから前記ナノ濾過膜ユニットに供給することを特徴とする請求項1-5のいずれか一項に記載のアルカリ金属分離回収方法。
  7.  前記原水の一部のpHを前記ナノ濾過膜ユニットに供給する供給水のpHよりも低く調整した後、懸濁成分を前処理で除去し、その後、残りの原水と混合することで再度pHを調整してから前記ナノ濾過膜ユニットに供給することを特徴とする請求項1-5のいずれか一項に記載のアルカリ金属分離回収方法。
  8.  前記前処理が、砂濾過、膜濾過、遠心分離のいずれかを含むことを特徴とする請求項6または7に記載のアルカリ金属分離回収方法。
  9.  前記ナノ濾過膜ユニットの供給水と前記第2のナノ濾過膜ユニットの供給水の少なくともいずれかに前記希釈水を添加することを特徴とする請求項5-7のいずれか一項に記載のアルカリ金属分離回収方法。
  10.  前記希釈水が河川水、地下水、雨水、下水、廃水もしくはそれらの処理水であることを特徴とする請求項1-9のいずれか一項に記載のアルカリ金属分離回収方法。
  11.  アルカリ金属を後処理で回収した残液の少なくとも一部を前記原水に還流することを特徴とする請求項1-10のいずれか一項に記載のアルカリ金属分離回収方法。
  12. 前記第2のナノ濾過膜ユニットの濃縮水の少なくとも一部を前記原水もしくは前処理水に還流することを特徴とする請求項6-9のいずれか一項に記載のアルカリ金属分離回収方法。
  13. 前記ナノ濾過膜ユニットもしくは前記第2のナノ濾過膜ユニットの透過水の少なくとも一部を濃縮ユニットで濃縮してからアルカリ金属を後処理で回収するとともに、前記濃縮ユニットで生成した低濃度水の少なくとも一部を前記ナノ濾過膜ユニットに供給する前記原水、前記前処理水、前記ナノ濾過膜ユニットの透過水の少なくともいずれかの希釈に用いることを特徴とする請求項1-12のいずれか一項に記載のアルカリ金属分離回収方法。
  14. 前記濃縮ユニットが逆浸透膜法、蒸留法、膜蒸留法のいずれかで構成されることを特徴とする請求項13に記載のアルカリ金属分離回収方法。
  15. 前記濃縮ユニットが熱エネルギーを分離の駆動力とするものであるとともに、前記濃縮ユニットに供給される供給水の温度よりも低温の原水を用いて低濃度水を冷却回収することを特徴とする請求項13または14に記載のアルカリ金属分離回収方法。
  16. 前記ナノ濾過膜ユニットのシリカ除去率およびアルカリ金属除去率が30%以下であることを特徴とする請求項5-15のいずれか一項に記載のアルカリ金属分離回収方法。
  17. 第2のナノ濾過膜ユニットのシリカ除去率が80%以上であるとともにアルカリ金属除去率が30%以下であることを特徴とする請求項5-16のいずれか一項に記載のアルカリ金属分離回収方法。
  18. ナノ濾過膜を用いてアルカリ金属を含有する原水からアルカリ金属を含む透過水を分離し、前記透過水に含まれる前記アルカリ金属を後処理で回収するためのアルカリ金属分離回収装置であって、原水に希釈水を混合する混合ユニットと、前記原水のpHを9以下に調整するための第1のpH調整ユニットと、第1のナノ濾過膜ユニットと、その透過水の少なくとも一部のpHを9.5以上に上げる第2のpH調整ユニットと、第2のナノ濾過膜ユニットと、さらに第2のナノ濾過膜ユニットの透過水に含まれるアルカリ金属を回収する回収ユニットを備えることを特徴とするアルカリ金属分離回収装置。
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