JP2006320798A - 高濃度塩水の製造方法および海水の濃縮システム - Google Patents
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Abstract
【課題】
本発明は、海水を原料として、濃度10%以上の高濃度塩水を効率よく製造するための方法と、当該方法を実施するためのシステムを提供することを目的とする。
【解決手段】
本発明に係る高濃度塩水の製造方法は、逆浸透法により原料海水を濃縮する工程、および逆浸透法により濃縮した海水を、さらに膜蒸留法により濃縮する工程を含み、濃度10%以上の高濃度塩水を得ることを特徴とする。
【選択図】 図1
本発明は、海水を原料として、濃度10%以上の高濃度塩水を効率よく製造するための方法と、当該方法を実施するためのシステムを提供することを目的とする。
【解決手段】
本発明に係る高濃度塩水の製造方法は、逆浸透法により原料海水を濃縮する工程、および逆浸透法により濃縮した海水を、さらに膜蒸留法により濃縮する工程を含み、濃度10%以上の高濃度塩水を得ることを特徴とする。
【選択図】 図1
Description
本発明は、海水を原料として高濃度の塩水を製造する方法、および海水の濃縮システムに関するものである。
近年、タラソテラピー等に用いることを目的として、海水を濃縮した高濃度の塩水が求められることがある。ここで、タラソテラピーとは、アトピー性皮膚炎などのアレルギー性疾患の治療やストレス解消などのために、海水や海藻、海泥などの海洋資源を利用して、心と身体の不調を改善し、健康促進を高める海洋療法である。このタラソテラピーにおいて高濃度塩水を用いれば、海水の豊富なミネラルを有効に活用できる。
また、最近では、β−カロテンを大量に蓄積し、抗酸化作用を有する食品として利用されているデュナリエラという好塩性の藻類が話題になっている。このデュナリエラは、イスラエルなどの塩湖に生息するものであるため、培養するには高濃度の塩水が必要である。
さらに、海水を濃縮して得た塩にはミネラルが豊富に含まれていることから、近年の健康志向から注目が集まっている。しかし、単なる塩化ナトリウムであれば化学的に容易に得られる一方で、海水の濃縮により塩を製造するには多大なエネルギーが必要である。そこで、海水から高濃度塩水を簡便に製造することができれば、塩の製造は比較的容易になることから、海水を原料とする高濃度塩水は利用価値が高い。
ところで、従来、海水から淡水を得る技術が種々検討されている。例えば、海水の淡水化技術の代表的なものには、水分子のみを透過する逆浸透膜を介して海水に圧力をかけ、淡水を得る逆浸透法がある(特許文献1を参照)。この逆浸透法は、1960年代から米国のプロジェクトとして発達してきており、実用化もされている。
この逆浸透法に用いられる逆浸透膜としては、特許文献2に記載されているものがある。当該技術に係る逆浸透膜は、処理圧力よりも高圧で圧密処理されていることから、約6.9MPa(70kgf/cm2)以上の高圧処理においても安定した運転が可能になると謳われている。実際、特許文献2の実施例によれば、圧力約8.8MPa(90kgf/cm2)で100時間にわたり5.8%の食塩水を処理したところ、性能に大きな変化は見られなかったとされている。
しかし、デュナリエラは塩水濃度が10%を超えないとβ−カロテンを製造しないことから、培養には濃度10%以上の高濃度塩水が必要である。また、塩の製造においては、得られる海水濃度は高いほど好ましい。ところが、例えば濃度10%の海水の浸透圧は8MPaにも及ぶため、逆浸透法で斯かる高濃度海水を得るには10MPa以上の圧力が必要である。特許文献2の実施例では、圧力約8.8MPaの操業で性能に大きな変化は見られないとされているが、5日間に満たない期間でも透過水量の低下は確実に生じており、さらに高圧での長期間にわたる操業では膜への負担が大きくなり、問題が生じると考えられる。例えば、高圧の逆浸透法では膜に異物が析出し、膜寿命が低下する。また、高圧操業では実施装置の規模を大きくせざるを得ず設備費が高額になる。
その他、水蒸気は通すが水滴は通さないという性質を有する多孔質の疎水性膜を用いた膜蒸留法という海水の淡水化方法や海水の濃縮方法も開発されている(特許文献3〜5、電子的技術情報1を参照)。この方法によれば、疎水性多孔質膜を介して一方に温海水(50〜60℃程度)を流し、他方には冷却源を設けることによって、蒸気圧の差により水蒸気のみを冷却源側へ透過させ淡水を得ると共に濃縮塩水を得ることができる。
しかし膜蒸留法による海水の濃縮効率は、温海水と冷却源との蒸気圧差と疎水性多孔質膜の面積に依存する。従って、高濃度塩水を得るには温海水温度を高めるか膜面積を大きくしなければならないため、設備費用が高くなる。また、特許文献5の技術では、膜蒸留法により海水を濃縮した後さらに加熱により濃縮しているが、この方法では微量有効成分が熱分解するおそれがあり好ましくない。
特開2004−81913号公報(請求項1、図1と2)
特開2002−95941号公報(特許請求の範囲、実施例)
特開昭57−113801号公報(特許請求の範囲、図面)
特開平11−244669号公報(特許請求の範囲、図1)
特開平11−244670号公報(特許請求の範囲、図1)
竹中工務店、“膜蒸留海水淡水化システム”、[online]、平成13年、[平成17年4月20日検索]、インターネット<URL:http://www.takenaka.co.jp/techno/n02_kaisui/n02_kaisui.htm>
上述した様に、従来、海水を淡水化する技術や濃縮する技術が開発されてはいたが、濃度10%以上という高濃度塩水を効率よく製造できるものではなかった。そこで、本発明が解決すべき課題は、海水を原料として濃度10%以上の高濃度塩水を効率よく製造するための方法と、当該方法を実施するためのシステムを提供することにある。
本発明者は、上記課題を解決すべく種々検討を重ねた結果、先ず、海水を逆浸透法により濃縮した後さらに膜蒸留法により濃縮すれば、高濃度の海水を極めて効率的に製造できることを見出して本発明を完成した。
即ち、本発明に係る高濃度塩水の製造方法は、逆浸透法により原料海水を濃縮する工程、および逆浸透法により濃縮した海水を更に膜蒸留法により濃縮する工程を含み、濃度10%以上の高濃度塩水を得ることを特徴とする。
当該製造方法においては、原料海水として海洋深層水を用い、且つ膜蒸留法による海水の濃縮工程において、当該海洋深層水を冷却源として用いることが好ましい。海洋深層水の温度は一般的な海水温度よりも低いため、海洋深層水をそのまま冷却源として用いれば、特に冷却設備や冷却のためのエネルギーは必要ないことから、省エネルギーの観点から優れるからである。しかも、冷却源として用いた海洋深層水はそのまま原料海水として用いることができることから、システムの効率面からも望ましい。
また、膜蒸留法による海水の濃縮工程においては、やはり省エネルギーの面から、温源として太陽熱を利用することが好ましい。
本発明に係る海水の濃縮システムは、逆浸透法により原料海水を濃縮するための逆浸透膜モジュール、および逆浸透膜モジュールにより濃縮した海水を更に膜蒸留法により濃縮するための膜蒸留モジュールを含み、濃度10%以上の高濃度塩水を得るためのものであることを特徴とする。
当該システムにおいても、原料海水として海洋深層水を用い、且つ膜蒸留モジュールにおいて冷却源として当該海洋深層水を用いることが好ましく、また、膜蒸留モジュールで温源として太陽熱を利用することが好ましい。上記と同様の理由による。
本発明に係る高濃度塩水の製造方法と海水の濃縮システムを用いれば、濃度10%以上という高濃度の海水を効率よく容易に製造することができる。従って、本発明方法と本発明システムは、高濃度海水を効率よく得られるものとして、好塩性微生物の培養や塩の製造などにおいて産業上極めて有用である。
本発明に係る高濃度塩水の製造方法は、逆浸透法により原料海水を濃縮する工程、および逆浸透法により濃縮した海水を、さらに膜蒸留法により濃縮する工程を含み、濃度10%以上の高濃度塩水を得ることを特徴とする。以下、図1を参照しつつ各工程について説明するが、図1はあくまで本発明の一態様の概略図であり、本発明は図1に限定されるものではない。
本発明では、先ず、逆浸透膜モジュール7によって、原料海水を濃縮する。
本発明で原料として用いる海水は特に制限されないが、深度数百メートルから汲み上げられるいわゆる海洋深層水が好適である。海洋深層水の水温は、表層の海水に比べて低温であり且つ安定している。従って、後述する様に、汲み上げた直後の海洋深層水は膜蒸留モジュール2において冷却源として用いるのに便利である。例えば、高知県室戸沖の海洋深層水の水温は10℃前後で安定しており、汲み上げられ陸上に到達する時点では10〜12℃程度となる。また、静岡県焼津市沖では、深層水をさらに深い場所(687m)から汲み上げているため、深層水の陸上に到達する時点での水温は4℃程度である。
また、海洋深層水は表層海水に比べて栄養分が豊富に含まれており、その一方で、有機物や細菌などが非常に少ない。よって、膜蒸留モジュール2や逆浸透膜モジュール7へ導入する前に、簡便なフィルターでろ過するのみでよく、また、当該フィルターの目詰まりも少ない。
なお、膜蒸留モジュール2において冷却源として用いた海水を原料海水とし、逆浸透モジュール7へ導入する直前で水温が十分に上がっていない場合には、加熱手段5により20〜40℃程度に加温することが好ましい。原料海水の温度が低過ぎる場合には逆浸透膜処理の効率が低下することがあるからである。一方、過剰に加温するとエネルギーが無駄になるばかりでなく、逆浸透膜にダメージを与える可能性がある。
当該加熱手段5における熱源は特に制限されないが、例えば、太陽熱、工場の廃熱、ゴミ処理場由来の熱、地熱、温泉などを利用することができる。特に、太陽熱が好適である。ポンプがあれば、管を通過する海水を太陽光にさらすことによって、特別な設備の必要なく、海水を適度に加熱することができるからである。
原料海水は、高圧ポンプ6により昇圧した上で、逆浸透膜モジュール7へ導入する。逆浸透膜モジュール7は、少なくとも原料海水の流路と逆浸透膜8を備える。逆浸透膜の種類は特に制限されず、従来、海水の淡水化で用いられているものを適用することができる。例えば、膜厚80〜150μm程度のセルロース・トリアセテートからなる逆浸透膜や、ポリアミド系複合膜などである。好適には、膜面積を大きくするために、中空糸型またはスパイラル型の逆浸透膜を用いる。また、圧力も特に制限されず、圧力を高めるほど効率はよいが、逆浸透膜の耐圧性を考慮して、4〜6MPa程度とする。
本発明の製造方法とシステムの第1段階である逆浸透法による海水濃縮では、できるだけ高濃度の海水が得られるように逆浸透膜モジュール7の操業条件を調整することが好ましい。本発明の製造方法とシステムの全体を考慮すれば、膜蒸留法よりも逆浸透法で海水をより高濃度に濃縮する方が効率的だからである。例えば、5%程度以上に濃縮する。一方、逆浸透膜の耐性や高圧力に要する設備を考慮すれば、続く膜蒸留法によりさらに濃縮できることから、この段階で過剰に濃縮することは好ましくない。この段階で得られる海水濃度を、例えば8%程度以下となるように調整することが好ましい。
逆浸透膜モジュール7で濃縮された海水は、次の膜蒸留モジュール2における濃縮のため、加熱手段5により加熱する。当該加熱手段の熱源としては、上述した太陽熱等と同様のものを用いることができる。
膜蒸留モジュール2へ海水を導入する前には、加熱手段5で加熱することにより海水温度を30〜60℃程度にする。続く膜蒸留モジュール2における濃縮をより効率的にするため30℃以上とすべきであるが、省エネルギーの観点からは、海水温度は低くした方がよいからである。なお、海水が逆浸透膜モジュール7による処理を経た後に十分な温度を有している場合には、特に加熱する必要はない。
逆浸透膜モジュール7で濃縮され、加熱手段5により加熱された海水は、次に、膜蒸留モジュール2によりさらに濃縮する。
膜蒸留モジュール2は、少なくとも、海水(温海水)の流路、疎水性多孔質膜および冷却源を有する。疎水性多孔質膜4の種類は特に制限されず、従来、海水の淡水化等で用いられているものを適用することができる。例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)またはポリフッ化ビニリデン(PVDF)等の疎水性高分子を材料とした膜厚20〜200μm程度(さらに好ましくは100μm以下)の多孔質膜などである。また、孔径は0.1〜1μmとすることが好ましい。さらに好適には、膜面積を大きくするために、中空糸型またはスパイラル型の疎水性多孔質膜を用いる。
膜蒸留モジュール2における海水の濃縮効率は、疎水性多孔質膜の面積が大きいほど高くなる。その一方で、過剰に膜面積を大きくすると設備的に無駄になる。従って、疎水性多孔質膜の面積、ひいては膜蒸留モジュール2の規模は、逆浸透膜モジュール7で濃縮された海水濃度と、目的とする海水濃度を考慮した上で決定すればよい。
膜蒸留モジュール2では、加熱手段5で加熱した海水温度と、冷却源温度との差に基づく蒸気圧差によって、海水中の水分子が疎水性多孔質膜を透過して冷却源側に移動する。その際、電荷を帯びているイオンや比較的大きな有機分子は疎水性多孔質膜を透過することができないため、ほぼ純粋な水を得ることができ、その一方で、海水は濃縮される。
膜蒸留モジュール2の冷却源は、特に制限されない。例えば、冷却水を冷却源として用いる、つまり疎水性多孔質膜4を介して温海水と冷却水を隔てれば、疎水性多孔質膜4を透過した水分子は冷却水に吸収され、淡水として回収できる。或いは、疎水性多孔質膜4の温海水と反対側に、冷却源による冷却効果を有効にする伝熱面3を介して空間を設け、当該空間において疎水性多孔質膜4を透過した水分子を回収してもよい。この場合には、当該空間には冷却水を満たして流動させ、透過した水分子を淡水として回収してもよく、また、単なる空間として透過した水分子を凝縮して回収してもよい。
膜蒸留モジュール2の冷却源としては、省エネルギーの観点から汲み上げた直後の海洋深層水を用いることが好ましい。上述した通り、陸上へ汲み上げた直後の海洋深層水の温度は10〜12℃程度と安定しており、これ以上冷却することなくそのまま冷却源として使用することができる。また、冷却源として用いた海洋深層水はそのまま原料海水として用いることができることから、効率的なシステム構成が可能になる。
膜蒸留モジュール2の海水濃縮効率は、疎水性多孔質膜4の面積の他、温海水と冷却源との温度差(蒸気圧差)による。従って、冷却源または透過水分子を回収するための空間温度は、15℃以下にすることが好ましい。
逆浸透膜モジュールにより濃縮した海水をさらに膜蒸留モジュールにより濃縮すれば、逆浸透膜モジュール単独または膜蒸留モジュール単独で濃縮した場合に比べて、高濃度塩水を極めて効率的且つ簡便に製造することができる。特に、本発明では、濃度10%という高濃度塩水の製造において、その効果を発揮することができる。
以下、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はもとより下記実施例により制限を受けるものではなく、前・後記の趣旨に適合し得る範囲で適当に変更を加えて実施することも可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に含まれる。
実施例1 膜蒸留法による海水の濃縮条件の最適化
海水のモデル溶液として、0%、3.5%、5%および10%の塩化ナトリウム水溶液を調製し、孔径0.5μmと0.8μmの疎水性多孔質膜(ミリポア社製、PTFE膜)を用い、冷却源温度とモデル海水温度を変化させて膜蒸留を行なった。具体的には、スターラーと温度計を備えた円筒形ガラス容器を直径4cmの疎水性多孔質膜により隔て、それぞれのコンパートメントに温海水と冷水を導入した。当該ガラス容器は二重構造となっており、外側には循環型の恒温装置に連結したチューブから恒温水を導入し、さらにスターラーを800rpmで回転させることによって、温海水と冷水の温度を一定に保った。温海水と冷水の蒸気圧の差によって、水分子は温海水側から冷水側へ移動する。この移動した分の水は容器からオーバーフローするようにしておき、オーバーフローした水の重量変化を測定し、当該値を疎水性多孔質膜を透過した水の重量とした。孔径0.5μmの疎水性多孔質膜を用いた結果を表1に、孔径0.8μmの膜を用いた結果を表2に、3分間に得られた純水の量(単位:mL)として示す。
海水のモデル溶液として、0%、3.5%、5%および10%の塩化ナトリウム水溶液を調製し、孔径0.5μmと0.8μmの疎水性多孔質膜(ミリポア社製、PTFE膜)を用い、冷却源温度とモデル海水温度を変化させて膜蒸留を行なった。具体的には、スターラーと温度計を備えた円筒形ガラス容器を直径4cmの疎水性多孔質膜により隔て、それぞれのコンパートメントに温海水と冷水を導入した。当該ガラス容器は二重構造となっており、外側には循環型の恒温装置に連結したチューブから恒温水を導入し、さらにスターラーを800rpmで回転させることによって、温海水と冷水の温度を一定に保った。温海水と冷水の蒸気圧の差によって、水分子は温海水側から冷水側へ移動する。この移動した分の水は容器からオーバーフローするようにしておき、オーバーフローした水の重量変化を測定し、当該値を疎水性多孔質膜を透過した水の重量とした。孔径0.5μmの疎水性多孔質膜を用いた結果を表1に、孔径0.8μmの膜を用いた結果を表2に、3分間に得られた純水の量(単位:mL)として示す。
当該結果の通り、塩水の濃縮効率は、疎水性多孔質膜の孔径、冷却源の温度および塩水の濃度には、それ程影響を受けない。その一方で、塩水温度が高いほど、膜蒸留の効率は高くなった。
従って、本発明における膜蒸留モジュールで用いる冷却源としては、汲み上げ直後の海洋深層水(温度:10〜12℃程度)で十分であることが実証された。また、膜蒸留法による海水の濃縮では、海水温度を高める方がよいことも分かった。
実施例2 本発明方法の実施例
高知県の室戸岬東部沖の深海の深度374mから得た海洋深層水を、逆浸透膜(東洋紡社製、ホロセップ)を用い、圧力5.5〜6.5MPaと2〜2.4MPaの2段階で逆浸透法による濃縮を常法に従い行なった。得られた濃縮海水の濃度を塩分計(アタゴ社製、ES−421)で測定したところ、6.0%であった。
高知県の室戸岬東部沖の深海の深度374mから得た海洋深層水を、逆浸透膜(東洋紡社製、ホロセップ)を用い、圧力5.5〜6.5MPaと2〜2.4MPaの2段階で逆浸透法による濃縮を常法に従い行なった。得られた濃縮海水の濃度を塩分計(アタゴ社製、ES−421)で測定したところ、6.0%であった。
この濃縮海水2Lを36℃まで温めた後、冷却源温度を15℃とし、孔径0.8μmの疎水性多孔質膜を用い、上記実施例1と同様の条件で膜蒸留を行なった。その結果、濃度12.3%という高濃度塩水を得ることができた。また、この膜蒸留においては、疎水性多孔質膜の単位面積(cm2)における1日当たりの純水の産量(t)は、0.4t/日・cm2とほぼ一定であった。
以上より、本発明によれば、濃度10%以上という高濃度塩水を効率的且つ安定的に得られることが実証された。
1:供給ポンプ、 2:膜蒸留モジュール、 3:伝熱面、 4:疎水性多孔質膜、 5:加熱手段、 6:高圧ポンプ、 7:逆浸透膜モジュール、 8:逆浸透膜
Claims (6)
- 高濃度塩水を製造する方法であって、
逆浸透法により原料海水を濃縮する工程、および
逆浸透法により濃縮した海水を、さらに膜蒸留法により濃縮する工程を含み、
濃度10%以上の高濃度塩水を得ることを特徴とする高濃度塩水の製造方法。 - 原料海水として海洋深層水を用い、且つ
膜蒸留法による海水の濃縮工程において、当該海洋深層水を冷却源として用いる請求項1に記載の高濃度塩水の製造方法。 - 膜蒸留法による海水の濃縮工程において、温源として太陽熱を利用する請求項1または2に記載の高濃度塩水の製造方法。
- 海水を濃縮するためのシステムであって、
逆浸透法により原料海水を濃縮するための逆浸透膜モジュール、および
逆浸透膜モジュールにより濃縮した海水を、さらに膜蒸留法により濃縮するための膜蒸留モジュールを含み、
濃度10%以上の高濃度塩水を得るためのものであることを特徴とする海水の濃縮システム。 - 原料海水として海洋深層水を用いるものであり、且つ
当該海洋深層水を、膜蒸留モジュールで冷却源として用いるものである請求項4に記載の海水の濃縮システム。 - 膜蒸留モジュールで温源として太陽熱を利用するものである請求項4または5に記載の海水の濃縮システム。
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