JP2015073914A - 排水処理方法及びテレフタル酸の製造方法 - Google Patents

排水処理方法及びテレフタル酸の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】排水に対して生物処理を行いながら又は生物処理を行った後に膜分離処理を行う排水処理プロセスにおいて、CODCrが高く且つ重金属を含む排水を処理する場合においても膜モジュールの膜間差圧を低く抑えることが可能な排水処理方法を提供する。
【解決手段】CODCrが3000mg/L〜10000mg/Lであり、且つ重金属濃度が0.1重量ppm〜200重量ppmである排水を処理する方法であって、(1)重金属濃度低減ステップと、(2)生物処理を行いながら又は行った後に、膜モジュールによる固液分離を行う膜分離ステップと、(3)膜モジュールを洗浄する洗浄ステップとを有し、洗浄ステップは、次亜塩素酸塩洗浄ステップと、酸洗浄ステップとを上記順に有する。
【選択図】図2

Description

本発明は、例えばテレフタル酸製造プロセスにおいて排出される排水等の、CODCrが高く且つ重金属を含む排水を処理する排水処理方法、及びテレフタル酸の製造方法に関する。さらには排水処理水の少なくとも一部をテレフタル酸製造プロセス等に安定的にリサイクル使用し、かつ公共水域への排水量及び工業用水としての取水量を大幅に削減する方法に関する。
テレフタル酸の生産規模拡大に伴う排水量の増大は、テレフタル酸製造コストを増大させる大きな因子となる。今後の世界的な製造拡大見込みからして、地球環境保全の観点から資源リサイクルによる工業用水使用量削減が喫緊の課題の一つとなっている。
テレフタル酸製造プロセスにおいて排出される排水を処理する方法として、例えば特許文献1には、図15に示すように、第1の曝気槽1010にて、活性汚泥中の好気性微生物によって排水の生物処理を行うステップと、第1の沈殿槽1020にて、汚泥と上澄み液とに固液分離するステップと、第2の曝気槽1030にて、活性汚泥中の好気性微生物によって上澄み液の生物処理を行うステップと、第2の沈殿槽1040にて、汚泥と上澄み液とに固液分離するステップとを有する方法が開示されている。
しかし、この方法では、テレフタル酸製造プロセスにおいて排出される排水のようにCODCrが高い排水を処理する場合、第2の沈殿槽によって分離された上澄み液のCODCrの低減が不十分である、第1及び第2の沈殿槽における固液分離に時間がかかる、第1及び第2の沈殿槽の設置に広い面積が必要となる、等の問題がある。
これらの問題を解決するための一般的な方法としては、第2の曝気槽に膜モジュールを設けて膜分離活性汚泥処理装置とし、第2の沈殿槽を省略する方法がよく知られている。
しかし、この方法を、テレフタル酸製造プロセスにおいて排出される排水のようにCODCrが高く、且つ触媒等として用いた重金属を含む排水の処理にそのまま適用した場合、下記の問題が生ずる。
膜モジュールによって汚泥と透過水とに固液分離する場合、有機物や無機物が濾過膜の細孔に吸着ないし濾過膜の表面に堆積することにより、膜モジュールの膜間差圧が上昇するため、膜分離処理の途中で膜モジュールを洗浄する必要がある。しかし、通常の頻度で膜モジュールを洗浄した場合、洗浄しても膜モジュールの膜間差圧が十分に低下せず、そのため膜モジュールの膜間差圧を低く抑えた状態で膜分離処理を行うことができず、したがって安定的に長期間運転を継続することができない。また、この方法によって処理された排水は水中の残留金属濃度及び残留有機物濃度が高いため、テレフタル酸製造プロセスにおいて再利用することは難しい。
芳香族カルボン酸の製造に由来する排水中の金属類及び有機物を除去するための方法として、不溶性の鉄、ニッケル、クロムなどの金属成分を強酸性カチオン交換樹脂で吸着し、ついでキレート樹脂で触媒金属のコバルト及びマンガンを吸着した後、さらに逆浸透膜濾過システムによって溶存有機物を除去する方法が提案されている(特許文献2参照)。当該方法によれば、処理された排水を芳香族カルボン酸の製造プロセスにおいて再利用できるとされている。しかしながら、該方法においては、用いるキレート樹脂の吸着能力が早期に低下し、またキレート樹脂が極めて短期間で寿命に達する等、技術的観点および経済的観点から、工業的に実用化するレベルには達していない。
特開2005−095754号公報 特表2003−507156号公報
本発明は、排水に対して生物処理を行いながら又は生物処理を行った後に膜分離処理を行う排水処理プロセスにおいて、CODCrが高く且つ重金属を含む排水を処理する場合においても膜モジュールの膜間差圧を低く抑えることが可能な排水処理方法、及び、テレフタル酸の製造方法を提供する。
第1の本発明は、CODCrが3000mg/L〜10000mg/Lであり、且つ重金属濃度が0.1重量ppm〜200重量ppmである排水を処理する排水処理方法であって、
(1)排水中の重金属を回収して、処理排水とする、重金属濃度低減ステップと、
(2)処理排水の生物処理を行いながら又は処理排水の生物処理を行った後に、膜モジュールによる固液分離を行って汚泥と透過水とを得る、膜分離ステップと、
(3)膜モジュールを洗浄する、洗浄ステップと
を有し、
洗浄ステップは、
次亜塩素酸塩水溶液によって膜モジュールを洗浄する、次亜塩素酸塩洗浄ステップと、
酸水溶液によって膜モジュールを洗浄する、酸洗浄ステップと
を上記順に有する。
本発明の排水処理方法においては、(イ)前記次亜塩素酸塩洗浄ステップの終了から前記酸洗浄ステップの開始までの間隔が100時間以内である、及び/又は、(ロ)前記膜モジュールの膜間差圧が、運転開始後の膜間差圧よりも3kPa〜50kPa高くなったときに前記酸洗浄ステップを開始する。
第2の本発明は、テレフタル酸製造プロセスにおいて排出される排水を処理する排水処理プロセスを有するテレフタル酸の製造方法であって、
排水処理プロセスが、
(1)排水中の重金属を回収して、処理排水とする、重金属濃度低減ステップと、
(2)処理排水の生物処理を行いながら又は処理排水の生物処理を行った後に、膜モジュールによる固液分離を行って汚泥と透過水とを得る、膜分離ステップと、
(3)膜モジュールを洗浄する、洗浄ステップと
を有し、
洗浄ステップは、
次亜塩素酸塩水溶液によって膜モジュールを洗浄する、次亜塩素酸塩洗浄ステップと、
酸水溶液によって膜モジュールを洗浄する、酸洗浄ステップと
を上記順に有する。
本発明のテレフタル酸の製造方法においては、(イ)次亜塩素酸塩洗浄ステップの終了から酸洗浄ステップの開始までの間隔が100時間以内である、及び/又は、(ロ)膜モジュールの膜間差圧が、運転開始後の膜間差圧よりも3kPa〜50kPa高くなったときに酸洗浄ステップを開始する。
本発明の排水処理方法及びテレフタル酸の製造方法によれば、CODCrが高く且つ重金属を含む排水を処理する場合においても膜モジュールの膜間差圧を低く抑えることが可能である。よって安定的に膜分離処理を行うことができるので、従来の生物処理システムに比べて設備がコンパクトとなり、その結果建設費の低減ができ維持管理も容易になる。また、長期にわたって安定的に、排水中に含まれる水及び有価物の大部分をプロセス内で回収再利用することができる。これにより工業用水使用量の大幅な削減が可能になるほか、有価物の回収率も向上するので、費用面において有利である。
本発明の重金属濃度低減化の実施態様に関する概略構成図である。 本発明の排水処理方法の一の実施形態における排水処理システムの一態様を示す概略構成図である。 膜ユニットの一例を一部破断して示す斜視図である。 膜ユニットの散気発生装置の斜視図である。 本発明の排水処理方法の一の実施形態における排水処理システムの他の態様を示す概略構成図である。 逆浸透膜モジュールの一例を示す斜視及び一部断面図である。 本発明の排水処理方法の一の実施形態における排水処理システムの他の態様を示す概略構成図である。 本発明の排水処理方法の他の実施形態における排水処理システムの一態様を示す概略構成図である。 本発明の排水処理方法の他の実施形態における排水処理システムの他の態様を示す概略構成図である。 第1の代表的なテレフタル酸の製造方法における工程フロー及び物質フローを説明する図である。 第1の代表的なテレフタル酸の製造方法における一実施形態を説明する図である。 第1の代表的なテレフタル酸の製造方法における他の実施形態を説明する図である。 第2の代表的なテレフタル酸の製造方法における工程フロー及び物質フローを説明する図である。 第2の代表的なテレフタル酸の製造方法における一実施形態を説明する図である。 従来の排水処理システムの一例を示す概略構成図である。
以下の用語の定義は、本明細書及び特許請求の範囲にわたって適用される。
「CODCr」とは、JIS K0102に規定される、二クロム酸カリウムを酸化剤として測定した化学的酸素消費量の値を意味し、mg/L単位で表すものとする。
「BOD」とは、JIS K0102に規定される、5日間の生物化学的酸素消費量の値を意味し、mg/L単位で表すものとする。
「重金属」とは、金属単体のときの密度が4.0g/cm以上である金属元素を意味する。
「生物処理」とは、活性汚泥中の微生物の代謝により有機物を分解することを意味する。
「排水の生物処理を行いながら膜モジュールによる固液分離を行って汚泥と透過水とを得る」とは、生物処理を行う曝気槽の内部に配設した膜モジュールを用いて、曝気槽内にて汚泥含有水の膜分離を行うことを意味する。
「排水の生物処理を行った後、膜モジュールによる固液分離を行って汚泥と透過水とを得る」とは、生物処理を行う曝気槽の外部に配設した膜モジュールを用いて、曝気槽外にて曝気槽から供給される汚泥含有水の膜分離を行うことを意味する。
「好気性生物処理」とは、活性汚泥中の好気性微生物の好気的代謝により有機物を分解することを意味する。
「嫌気性生物処理」とは、活性汚泥中の嫌気性微生物の嫌気的代謝により有機物を分解することを意味する。
「固液分離(処理)」とは、排水や上澄み液の生物処理によって発生する汚泥含有水を汚泥と汚泥を含有しない透過水とに分離することを意味する。
「膜分離(処理)」とは、選択性を有する濾過膜を用いて物質の分離を行うことを意味する。
「透過水」とは、膜分離処理において濾過膜を透過した水を意味する。
「膜モジュール」とは、濾過膜を備えた装置を意味する。
「膜モジュールを洗浄する」とは、濾過膜の細孔に吸着された又は濾過膜の表面に堆積した有機物や無機物を、薬液によって濾過膜から除去することを意味する。
「膜間差圧」とは、透過水を得るために必要な圧力を意味し、膜モジュールの濾過膜によって隔てられた膜モジュールの内側と外側との間の圧力差(絶対値)である。
「運転開始後の膜間差圧」とは、膜モジュールによる固液分離処理を開始してから1時間後の膜モジュールの膜間差圧を意味する。
「テレフタル酸製造プロセス」とは、テレフタル酸を製造するための一連の工程を意味する。
「排水処理プロセス」とは、排水を処理するための一連のステップを意味する。
「吸着剤処理」とは、水と吸着剤とを接触させることにより水を浄化する処理を意味する。
「吸着精製水」とは、吸着剤処理によって浄化された水を意味する。
「イオン交換樹脂」とは、陽イオン交換樹脂及び陰イオン交換樹脂を包含する概念である。
「アルカリ土類金属」とは、広く第2族元素を意味し、カルシウム(Ca)、ストロンチウム(Sr)、バリウム(Ba)、及びラジウム(Ra)だけでなく、ベリリウム(Be)及びマグネシウム(Mg)をも包含する概念である。
「アルミン酸アルカリ土類金属塩」とは、アルミニウムとアルカリ土類金属との複合酸化物を意味し、例えば酸化アルミニウムカルシウム(アルミン酸カルシウム、Ca(AlO)等を挙げることができる。
「テレフタル酸製造プロセスにおける冷却水」とは、テレフタル酸製造プロセスにおいて各種機器類を冷却するために使用する水(工業用水)を意味する。
「テレフタル酸製造プロセスにおけるプロセス水」とは、テレフタル酸製造プロセスにおいて反応、精製等の変化を加えられる物質(例えば粗テレフタル酸)に接触する水を意味し、該物質を溶解するための溶媒として用いられる態様、及び、該物質を洗浄するための溶媒として用いられる態様をも包含する概念である。
「膜分離活性汚泥処理装置」とは、膜分離活性汚泥法による処理装置であり、排水の生物処理を行い、且つ排水の生物処理を行いながら又は排水の生物処理を行った後に、膜モジュールによって汚泥と透過水とに固液分離する装置を意味する。
また、特に断らない限り、数値範囲について「A〜B」という表記は「A以上B以下」を意味するものとする。かかる表記において数値Bにのみ単位を付した場合には、同一の単位が数値Aにも適用されるものとする。
<1.排水処理方法>
本発明の排水処理方法は、CODCrが3000mg/L〜10000mg/Lであり、且つ重金属濃度が0.1重量ppm〜200重量ppmである排水を処理する排水処理方法である。排水処理フローはまず重金属濃度の低減化処理を行い、ついで膜分離活性汚泥法による膜分離と生物処理を組み合わせた処理(以下、膜分離活性汚泥処理と称す)を行うフローであり、引き続いて逆浸透膜処理や吸着剤処理をさらに行ってもよい。
以下フロー順に沿って説明する。
(重金属濃度低減ステップ)
本発明の排水処理方法における重金属濃度低減ステップでは排水中の重金属を回収し、排水中の重金属濃度を一定濃度以下に抑制することが重要である。排水中の重金属濃度は0.1重量ppm以上200重量ppm以下、好ましくは100重量ppm以下、さらに好ましくは10重量ppm以下であり、該重金属濃度低減ステップにより得られる処理排水の重金属濃度は好ましくは10重量ppm以下、より好ましくは5重量ppm以下、さらに好ましくは1重量ppm以下である。また、処理排水の重金属濃度は排水の重金属濃度に対して10分の1以下であることが好ましく、100分の1以下であることがより好ましい。該重金属はコバルトおよび/またはマンガンであることが好ましく、コバルトであることがより好ましい。このような水準まで重金属濃度を低減しない場合、膜分離ステップにおいて膜モジュールの濾過膜の細孔又は濾過膜の表面に、無機物や有機物が吸着あるいは堆積することにより、煩雑な洗浄操作や再生操作を頻繁に行う必要が生じる。
本発明の排水処理方法における重金属濃度低減ステップでは、排水中の重金属が回収され、重金属濃度が低減化される限りにおいて、いかなる方法を採用してもよい。排水中の重金属を回収し、排水中の重金属濃度を抑制する方法としては、例えば(1)該排水中の重金属を炭酸金属塩として不溶化し、不溶化した炭酸金属塩を排水から回収する方法、(2)活性炭、強酸性カチオン交換樹脂、キレート樹脂、シリカ、アルミナ、合成ゼオライト、ベントナイト、アルミン酸アルカリ土類金属塩などの吸着剤を用いて重金属を吸着する方法、などが挙げられる。
上記(2)のうち、吸着性能が良好であることから、キレート樹脂を用いて重金属を吸着する方法を好ましい例として挙げることができる。
例えば、テレフタル酸の製造工程から排出される排水中には、酸化反応用触媒として使用されるコバルトやマンガンなどの重金属が含まれる場合がある。このような重金属をキレート樹脂を用いて一定濃度に低減する方法としては、例えば、国際公開第2010/008055号パンフレットに開示された特定の性状を有するキレート樹脂を用いる方法を好ましく用いることができる。
キレート樹脂は、イオン交換樹脂におけるイオン交換基の代わりに金属とキレート結合を形成しやすいキレート生成基(以下において「キレート基」ということがある。)が導入されたことにより、特定の金属を選択的に吸着することができる樹脂である。キレート基は一般のキレート剤と同様に、電子授与元素としてN、S、O、Pなどの元素を同種または異種2個以上組み合わせて含む基であり、例えばN−O系、S−N系、N−N系、O−O系などの種類が挙げられる。これらのキレート基を三次元高分子基体に結合させると、キレート基に応じた特定の金属に対して選択性を有するキレート樹脂が得られる。重金属の除去は陽イオン交換樹脂でも可能であるが、排水中にはアルカリ金属やアルカリ土類金属など、除去する必要のない金属が多量に存在するので、重金属の回収に通常の陽イオン交換樹脂を用いた場合にはこれら除去する必要のない金属元素が同時に吸着されて再生剤の浪費につながる。よって重金属の除去にはキレート樹脂を用いることが好ましい。キレート基としては、重金属を選択的に吸着する金属選択性があるキレート基であれば特に限定されるものではない。好ましい例としては、イミノジ酢酸基、ポリアミン基、チオウレア基、アミノホスホン酸基、ポリアクリル酸基、N−メチルグルカミン基等が挙げられ、中でもイミノジ酢酸基がより好ましい。
上記のようなキレート樹脂を例えばナトリウムイオンを対カチオンとしてイオン化させる処理は、官能基末端が水素形のキレート樹脂を充填した充填塔に水酸化ナトリウム水溶液を流通させる固定床流通方式にて行うことが好ましい。この時に使用される水酸化ナトリウム水溶液の濃度は、好ましくは0.5重量%以上20重量%以下、より好ましくは1重量%以上10重量%以下である。また固定床流通方式でイオン化させる際の水酸化ナトリウム水溶液の線速度は、好ましくは1m/hr以上20m/hr以下、より好ましくは2m/hr以上15m/hr以下である。固定床でのイオン化方式はダウンフローでもアップフローでもよいが、好ましくはアップフローであり、キレート樹脂が水酸化ナトリウム水溶液に2時間以上浸漬するような条件で処理することが好ましい。イオン化させる際の温度としては、好ましくは10℃以上80℃以下、より好ましくは常温付近(15℃以上40℃以下)の温度が採用される。本発明において、キレート樹脂のキレート基が上記のようなナトリウム等のアルカリ金属で既に全量または部分的にイオン化されている場合は、上記のようなイオン化操作は必ずしも必要ではない。
キレート基を結合させる樹脂基体としては、架橋ポリスチレン、スチレン−ジビニルベンゼン共重合体、架橋ポリアクリル酸などを例示できる。これらの中でも架橋ポリスチレン又はスチレン−ジビニルベンゼン共重合体が特に好ましい。
キレート樹脂を構成する基体の高次構造は一般的に、ゲルタイプ、ポーラスタイプ、及びハイポーラスタイプに分類される。本発明においては何れを使用しても良いが、この中でもポーラスタイプ又はハイポーラスタイプが好ましく、ポーラスタイプが最も好ましい。
本発明で用いられる好適なキレート樹脂は、キレート樹脂の粒子径の均一性を示す均一係数が1.4以下であり、より好ましくは1.2以下、さらに好ましくは1.1以下、特に好ましくは1.05以下である。均一係数が上記上限値を超える場合には、そのキレート樹脂を固定相とする固定床流動方式で処理排水を吸着処理する際及びキレート樹脂を再生処理する際に、キレート樹脂層内での圧力損失が起こりやすくなる。好適なキレート樹脂の具体例としては、例えばSybron Chemicals Inc. A LANXESS COMPANY社から市販されているLewatit(R) MonoPlus TP 207が挙げられる。
以下、図1を参照しつつ、排水中のコバルトやマンガン等の重金属をキレート樹脂に吸着する処理及びその処理条件について説明する。
図1の実線は処理される排水の流れを示す。化学プロセス(例えばテレフタル酸製造工程など。)から発生した各種排水(217’、221’〜223’、225’〜226’、255’〜256’、260’〜262’)はpH調整槽101に集められて混合され、pHを調整される。pHを調整された排水は、キレート樹脂が充填された処理塔102または103の何れかに通液される。処理塔102および103は通常、固定床式であり、通液は流通方式が採用される。処理塔102または103の何れかを通過した透過液(処理排水)は処理排水タンク(貯槽)104を経由して活性汚泥処理工程に送られる。一方の処理塔102が破過領域に達すると、排水の通液は他方の処理塔103に切り替えられ、透過液は上記と同様に処理排水タンク104に送られる。逆も同様である。
pH調整槽101において、排水のpHが調整される。処理塔102または103に通液される排水のpHは、好ましくは5.1以上、より好ましくは5.2以上、さらに好ましくは5.3以上であり、好ましくは5.9以下、より好ましくは5.8以下、さらに好ましくは5.7以下である。排水のpHが上記上限値を超える場合、排水中に重金属化合物が析出し、処理塔102/103内のキレート樹脂表面に沈着して回収が難しくなるおそれがある。他方、排水のpHが上記下限値未満であると、排水中に含まれるテレフタル酸やp−トルイル酸等の有機物が沈積したり、また重金属回収率が低下したりするおそれがある。処理塔102または103に通液される排水の温度は、好ましくは51℃以上、より好ましくは53℃以上、さらに好ましくは55℃以上であり、他方好ましくは59℃以下、より好ましくは57℃以下である。排水の温度が上記下限値未満であると、排水中にテレフタル酸が含まれる場合はこれが析出しやすくなる傾向があり、また重金属回収率が低下するおそれがある。他方排水の温度が上記上限値を超えると、キレート樹脂が劣化し易い傾向にある。
処理塔102または103に通液される排水の通液速度は、線流速で、好ましくは5m/hr以上、より好ましくは7m/hr以上であり、好ましくは14m/hr以下、より好ましくは10m/hr以下である。流速が上記上限値を超えると、処理塔102または103内部で偏流(チャネリング)が起こり、効率的な吸着が難しくなる傾向にある。他方流速が上記下限値未満であると、処理塔102/103を大きくする必要があるため、経済的に不利な傾向にある。
重金属化合物を吸着するための方式としては、処理塔102及び103について上記説明した連続方式のほかに回分方式があるが、連続方式がより一般的である。本発明における重金属の回収は、連続方式の固定床流通方式で行うことが好ましい。具体的には、2基以上の処理塔を並列に設置し、同時通液方式または切り替え方式にて通液を行う。処理塔の材質としては、FRP(ガラス繊維強化プラスチック)ライニングした炭素鋼などが通常用いられる
上記吸着条件でのコバルト、マンガンそれぞれの吸着率は、処理塔102/103流入側におけるコバルト、マンガンそれぞれの含有量に対して80%以上であることが好ましく、90%以上であることがより好ましい。特に処理塔流出側におけるコバルト濃度が処理塔流入側におけるコバルト濃度に対して10分の1以下であることが好ましく、100分の1以下であることがより好ましく、10重量ppm以下になることが好ましく、5重量ppm以下になることがより好ましく、1重量ppm以下になることがさらに好ましい。
処理塔102/103のうち一方の処理塔から他方の処理塔に切り替えた後、吸着を終了した処理塔は、水を流通させることにより洗浄し、吸着あるいは沈着した金属類や有機化合物を洗い出す。このときの温度及び圧力は上記吸着時の条件と同様の温度および圧力であることが好ましい。
処理塔102/103の脱着・再生及びその条件について説明する。キレート樹脂が吸着した重金属を脱着させるための再生剤としては、臭化水素水溶液を使用することが好ましい。キレート樹脂の再生のための再生剤としては硫酸、塩酸などが一般的であるが、テレフタル酸の製造プロセスにおいては酸化反応触媒としてコバルト、マンガンおよび臭素化合物が使用されるため、テレフタル酸の製造プロセスから生じる排水を処理する場合には再生剤として臭化水素水溶液を用いることが好ましい。本発明においてキレート樹脂の再生剤として用いられる臭化水素水の濃度は、好ましくは7.1重量%以上、より好ましくは7.5重量%以上、さらに好ましくは8重量%以上であり、他方好ましくは19重量%以下、より好ましくは15重量%以下、さらに好ましくは12重量%以下である。重金属の回収量は臭化水素水濃度に依存し、また最適濃度がある。臭化水素水の濃度が上記下限値未満である場合や上記上限値を超える場合には、重金属の効率的な回収が難しくなる場合がある。臭化水素水の処理塔102/103への通液速度は、線流速で1m/hr以上10m/hr以下の範囲が好ましい。通液速度がこの範囲内であれば、回収量への影響は見られない。通液の際の臭化水素水の温度は、常温付近(15℃以上40℃以下)が好ましい。臭化水素水処理による重金属の脱着率は90%以上が好ましく、95%以上がより好ましく、100%に近接するほど好ましい。
図1を参照しつつ、脱着・再生処理についてさらに説明する。再生剤である臭化水素水は再生剤タンク106に貯蔵されている。再生剤タンク106内の臭化水素水は、吸着操作の終了した処理塔102(または103)に通液され(図1中の破線)、重金属を脱着させる。次いで処理塔102(または103)は水の通液により洗浄され、これにより処理塔中のキレート樹脂に残る金属等が除去される。その後、苛性ソーダタンク108または苛性ソーダ予備タンク109に貯蔵されている水酸化ナトリウム水溶液が再生操作の終了した処理塔102(または103)に通液され、これによりナトリウムでイオン化されたキレート樹脂あるいは部分的にナトリウムでイオン化されたキレート樹脂が再生される。イオン化処理に用いられる水酸化ナトリウム水溶液の濃度は好ましくは1重量%以上10重量%以下、より好ましくは3重量%以上7重量%以下である。水酸化ナトリウム水溶液を処理塔102/103に通液する際の線流速は、好ましくは1m/hr以上20m/hr以下、より好ましくは2m/hr以上15m/hr以下である。処理塔102/103が固定床の場合のイオン化方式はダウンフローよりもアップフローが好ましく、キレート樹脂が水酸化ナトリウム水溶液に2時間以上浸漬する条件でアップフローにてイオン化処理を行うことが好ましい。イオン化処理の際の温度は好ましくは10℃以上80℃以下、より好ましくは常温付近(15℃以上40℃以下)である。脱着・再生処理における処理塔102/103からの流出液は、回収液タンク105に貯蔵される。脱着操作の終点が近づくと、流出液の流路が切り替えられ、流出液は脱着操作終末液タンク107に貯蔵される。脱着操作終末液タンク107に貯蔵された液は、次回脱着時にキレート樹脂塔102または103に通液して使用される。臭化水素水による脱着処理の後の洗浄処理において処理塔102/103から流出した液は、処理排水として処理排水タンク104に貯蔵され、次工程の膜分離活性汚泥処理に供される。
尚、本発明におけるキレート樹脂の吸着容量は、Cuの吸着容量を指標として、使用開始時のCu吸着容量が、0.5mmol/mL以上であることが好ましく、0.7mmol/mL以上であることがより好ましい。Cu吸着容量の上限は制限されないが、通常、2mmol/mL以下である。
上記したキレート樹脂の好ましい均一係数やCuの吸着容量などの測定方法は、国際公開第2010/008055号パンフレットに記載されている通りとする。
(生物処理(膜分離活性汚泥処理))
上記重金属濃度低減ステップにより排水中の重金属を回収し、重金属濃度を低減された処理排水は、引き続いて生物処理(膜分離活性汚泥処理)に供される。
本発明における生物処理(膜分離活性汚泥処理)は、
(i)処理排水の生物処理を行いながら又は処理排水の生物処理を行った後に、膜モジュールによって汚泥と透過水とに固液分離する膜分離ステップと、
(ii)膜モジュールを洗浄する洗浄ステップとを有する。
(膜分離活性汚泥処理システム)
図2は、本発明の排水処理方法における膜分離活性汚泥処理システムの一態様を示す概略構成図である。図2の膜分離活性汚泥処理システムは、上記重金属濃度低減ステップを経た処理排水を、活性汚泥中の好気性微生物によって生物処理すると同時に、膜モジュール35によって汚泥と透過水とに固液分離する膜分離活性汚泥処理装置30と;膜モジュール35を洗浄する次亜塩素酸塩水溶液を貯蔵する第1の薬液タンク90と;膜モジュール35を洗浄する酸水溶液を貯蔵する第2の薬液タンク92と;第1の薬液タンク90及び第2の薬液タンク92からの膜モジュール35への薬液の供給を制御する制御部(不図示)と;処理排水を膜分離活性汚泥処理装置30に供給する排水流路50と;膜分離活性汚泥処理装置30からの透過水を排出する透過水流路55と;膜分離活性汚泥処理装置30からの余剰汚泥を排出する余剰汚泥流路56と;第1の薬液タンク90及び第2の薬液タンク92からの薬液を膜モジュール35に供給する薬液流路59とを具備する。
(膜分離活性汚泥処理装置)
膜分離活性汚泥処理装置30は、槽本体31(第1の曝気槽)と;槽本体31(第1の曝気槽)内の底部近傍に配置された散気管32と;散気管32にエアを供給するブロア33と;散気管32とブロア33とを接続するエア導入管34と;槽本体31(第1の曝気槽)内且つ散気管32の上方に配置された膜モジュール35と;透過水流路55の途中に設けられ、膜モジュール35内を減圧にすることによって汚泥と透過水との固液分離を行い、且つ透過水を下流工程へと送り出す吸引ポンプ36と;薬液流路59の途中に設けられ、逆洗用の薬液等を膜モジュール35に送り出す逆洗ポンプ37とを具備する。
膜モジュール35としては、公知の濾過膜を備えた公知の膜モジュールを採用できる。濾過膜の種類としては、精密濾過膜(MF膜)又は限外濾過膜(UF膜)が好ましい。濾過膜の形状としては、中空糸膜、平膜、管状膜、袋状膜等が挙げられる。これらのうち、容積ベースで比較した場合に膜面積の高度集積が可能であることから、中空糸膜が好ましい。濾過膜の材質としては、有機材料(セルロース、ポリオレフィン、ポリスルフォン、ポリビニルアルコール、ポリメチルメタクリレート、ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン等)、金属(ステンレス等)、無機材料(セラミック等)が挙げられる。濾過膜の材質は、排水の性状に応じて適宜選択する。濾過膜の孔径は、処理の目的に応じて適宜選択すればよい。膜分離活性汚泥法において、濾過膜の孔径は、0.001〜3μmが好ましい。孔径が0.001μm未満では、膜の抵抗が大きくなる場合がある。孔径が3μmを超えると、活性汚泥を完全に分離することが難しくなるため、透過水の水質が悪化するおそれがある。濾過膜の孔径は、精密濾過膜の範囲とされる0.04〜1.0μmがより好ましい。
膜分離活性汚泥処理装置30においては、散気管32と膜モジュール35とが一体化された膜ユニットを用いてもよい。そのような膜ユニットの一例を図3及び図4に示す。図3及び図4の膜ユニットは、散気発生装置60と;散気発生装置60の上部に設けられた膜モジュール35と;膜モジュール35の上部に設けられた集水ヘッダ80とを具備する。以下図3及び図4を参照しつつ膜ユニットについて説明する。
散気発生装置60は、上下が開口した平面視矩形のケーシング61と;ケーシング61の4隅から下方に向かって延びる支柱62と;ケーシング61の外壁に設けられ、ブロア33からエア導入管34を通って供給されるエアをケーシング61内に供給する接続管63と;ケーシング61の内壁に沿って設けられ、接続管63に連通するエア供給ヘッダ64と;エア供給ヘッダ64に直交してその内壁64aに接続された複数の散気管32とを具備する。
散気管32は、ブロア33から供給されるエアを上方へ吐出するものであり、穴あきの単管やメンブレンタイプのものから構成され、一端はエア供給ヘッダ64に接続され、他端は閉塞されている。
膜モジュール35は、散気発生装置60の4隅から上方に向かって延びるフレーム65と;フレーム65に支持され、且つ平行に配列された複数の中空糸膜エレメント70と;4方の側面を覆うケーシング66とを具備する。
中空糸膜エレメント70は、長手方向に沿って形成された通路(図示略)を内部に有し、この通路の一端に形成されて縦杆72の通路と連通する透過水取出口71aを有する下枠71と;下枠71の両端から上方に向かって延び、長手方向に沿って形成された通路(図示略)を内部に有する一対の縦杆72、73と;縦杆72、73の上端に設けられ、長手方向に沿って形成された通路(図示略)を内部に有し、この通路の一端に形成された透過水取出口74aを有する上枠74と;透過水取出口74aに連結された、上方へ向けて屈曲するL字継手75と;縦杆72、73に沿い、水面に対して鉛直方向に配列された多数の中空糸膜76aからなる中空糸膜シート76と;上枠74及び下枠71の内部の通路に中空糸膜76aの端部が開口された状態にて、中空糸膜76aの上端及び下端を、それぞれ上枠74、下枠71に液密に固定、支持するポッティング材77とを具備する。
中空糸膜シート76を構成する中空糸膜76aの本数は、中空糸膜シート76の1枚あたり500〜3000本が好ましい。中空糸膜76aの本数が500本未満では、中空糸膜の膜面積が低下し、単位容積あたりの透水量が低下する場合がある。中空糸膜76aの本数が3000本を超えると、膜ユニットの設置面積が大きくなりすぎる。
中空糸膜76aは、弛みを有して水面に対して略鉛直方向に配列されることが好ましい。中空糸膜76aが水面に対して略鉛直方向に配列されることによって、中空糸膜76aの表面に固形分が堆積しにくくなり、また、散気管32からのエアによって中空糸膜76aの表面が効率よく洗浄される。また、中空糸膜76aが弛みを有することによって、散気管32からのエアによって中空糸膜76aが遥動し、中空糸膜76aの表面が効率よく洗浄される。
集水ヘッダ80は、中空糸膜エレメント70の配列方向に沿って設けられる。集水ヘッダ80は、長手方向に沿って形成された複数の集水口80aと;一端が集水口80aに連結され、他端が中空糸膜エレメント70のL字継手75に連結される、下方に屈曲するL字継手81と;集水ヘッダ80の上面に設けられ、透過水流路55に接続される吸水口80bとを有する。
(逆浸透膜濾過装置)
膜分離活性汚泥処理システムは、膜分離活性汚泥処理装置の透過水に対して逆浸透膜濾過処理を行うことにより、逆浸透膜を透過した精製水と透過しなかった濃縮水とに分離する逆浸透膜濾過装置をさらに有していてもよい。図5は、図2の膜分離活性汚泥処理システムに逆浸透膜濾過装置が付加された形態の膜分離活性汚泥処理システムを説明する図である。図5の膜分離活性汚泥処理システムは、膜分離活性汚泥処理装置30の膜モジュール35を透過した透過水を逆浸透膜によって濾過する逆浸透膜濾過装置40と;逆浸透膜濾過装置40を透過した精製水を排出する精製水流路57と;逆浸透膜濾過装置40を透過しなかった濃縮水を排出する濃縮水流路58とを更に具備している。
逆浸透膜濾過装置40は、1つ以上の逆浸透膜モジュールを具備するものである。逆浸透膜モジュールは、逆浸透膜を透過した精製水と逆浸透膜を透過しない濃縮水とを分離できる構成を有している限りにおいて、特に制限はされない。
逆浸透膜モジュールとしては、例えば、集水管のまわりに逆浸透膜を巻き回した円柱状の逆浸透膜エレメントを円筒状のケーシングに収納した、いわゆるスパイラル型逆浸透膜モジュール等が挙げられる。逆浸透膜の材質としては、ポリアミド、ポリスルフォン、セルロースアセテート等が挙げられ、これらの中でも芳香族ポリアミド又は架橋芳香族ポリアミドを含むポリアミドが好ましい。
図6は、スパイラル型逆浸透膜モジュールの一例を示す斜視及び一部断面図である。スパイラル型逆浸透膜モジュール41は、逆浸透膜42の中央に、複数の集水孔43aが形成された集水管43を置いた状態で逆浸透膜42を二つ折りにし、逆浸透膜42の間に通液性支持繊維44を挟んだ状態で重なった逆浸透膜42の3辺を接着し、二重の逆浸透膜42に網目スペーサ45を重ねた状態で集水管43を中心に二重の逆浸透膜42を円柱状に巻いて逆浸透膜エレメント46とし、この逆浸透膜エレメント46を円筒状のケーシング47に収納したものである。
(制御部)
制御部は、次亜塩素酸塩水溶液の膜モジュール35への供給の終了から次の酸水溶液の膜モジュール35への供給の開始までの間隔を100時間以内に制御する、かつ/又は、膜モジュール35の膜間差圧が運転開始前の膜間差圧よりも3kPa〜50kPa高くなったときに酸水溶液の膜モジュール35への供給を開始するものである。
制御部は、処理部と、インターフェイス部とを有して概略構成され、逆洗ポンプ37の運転開始および停止、ならびに薬液流路59の弁(不図示)の開閉等を制御する。インターフェイス部は、逆洗ポンプ37、弁、圧力計(不図示)等と、処理部との間を電気的に接続する。処理部は、処理部に入力された運転スケジュール、及び/又は圧力計からの圧力信号に基づいて、逆洗ポンプ37の運転の開始および停止、ならびに弁の開閉等を制御する。
なお、処理部の機能は専用のハードウエアにより実現されてもよく、また、処理部が記憶装置(メモリ)及び中央演算装置(CPU)を有して構成され、処理部の機能を実現するためのプログラムがメモリに読み込まれてCPUにより実行されることによって処理部の機能が実現されてもよい。また、制御部には、周辺機器として、入力装置、表示装置等が接続されていてもよい。入力装置とは、例えばディスプレイタッチパネル、スイッチパネル、キーボード等の入力デバイスのことをいい、表示装置とは、CRTや液晶表示装置のことをいう。
(処理フロー)
本発明の排水処理方法における処理フローは、下記のステップ(γ)に加えて、図2の構成を有する膜分離活性汚泥処理システムを用いる場合には下記のステップ(c)、(e)、及び(f)を、また図5の構成を有する膜分離活性汚泥処理システムを用いる場合には下記のステップ(c)〜(f)を、それぞれ有する。
(γ)上記説明した、排水中の重金属を回収することにより重金属濃度が低減された処理排水を得る、重金属濃度低減ステップ。
(c)重金属濃度低減ステップを経た処理排水を、膜分離活性汚泥処理装置30にて、活性汚泥中の好気性微生物によって生物処理を行いながら膜モジュール35によって汚泥と透過水とに固液分離する、膜分離ステップ。
(d)逆浸透膜濾過装置40にて、膜モジュール35を透過した透過水を逆浸透膜によって濾過し、逆浸透膜を透過した精製水と透過しなかった濃縮水とに分離する、逆浸透膜濾過ステップ。
(e)次亜塩素酸塩水溶液によって膜モジュール35を洗浄する、次亜塩素酸塩洗浄ステップ。
(f)酸水溶液によって膜モジュール35を洗浄する、酸洗浄ステップ。
(排水)
本発明の排水処理方法において処理される排水は、CODCrが3000〜10000mg/Lであり、且つ重金属濃度が0.1〜200重量ppmである排水である。排水はステップ(γ)を経て、排水中の重金属が回収され、重金属濃度低減された処理排水となる。この処理排水が膜分離活性汚泥処理システムに供給される。
排水のCODCrが10000mg/Lを超える場合、膜分離活性汚泥処理装置30における生物処理の負担が大きくなりすぎる可能性がある。CODCrが低い場合、本発明の排水処理方法によって排水を処理する必要性が薄いため、本発明においては排水のCODCrが3000mg/L以上であることを前提にする。排水のCODCrは4000〜8000mg/Lであることが好ましい。
排水中の重金属化合物濃度が200重量ppm以下であることにより、重金属濃度低減ステップ(γ)における処理への負荷や、酸洗浄ステップ(f)における膜モジュールへの負荷が大幅に削減される。重金属濃度が200重量ppmを超えると、ステップ(γ)における処理への負荷が増大し、吸着や再生などの処理が増加する上、ステップ(f)における膜モジュールへの負荷が大幅に増加する可能性がある。排水中の重金属濃度は好ましくは1〜100重量ppmである。重金属としては、コバルトおよび/またはマンガンを含むことが好ましく、コバルトを含むことがより好ましい。テレフタル酸製造プロセスから排出される排水には、通常、触媒として用いたマンガン及び/又はコバルトが含まれる。排水がテレフタル酸製造プロセスから排出される排水である場合には、ステップ(γ)において特に処理排水中の重金属濃度を排水中の重金属濃度の10分の1以下とすることが好ましく、100分の1以下とすることがより好ましい。
また、本発明の排水処理方法において処理される排水は、CODCrとBODとの比(CODCr/BOD)が3〜10であることが好ましい。CODCr/BODが上記範囲内であれば、生物処理による分解が容易であり、容積負荷を通常通りの負荷としても目標の処理水質が得られる。CODCr/BODが10を超える場合、生物処理による分解が難しいため、本発明の排水処理方法によって処理することは容易でない。
CODCr及び重金属濃度が上述した範囲を満たす排水としては、テレフタル酸製造プロセスから排出される排水を例示でき、本発明の排水処理方法は、テレフタル酸製造プロセスから排出される排水の処理に好適である。テレフタル酸製造プロセスの詳細については、後述するテレフタル酸の製造方法に関連して説明する。
上記ステップ(γ)及び(c)〜(f)のうち、重金属濃度低減ステップ(γ)については既に詳述したので説明を省略し、以下においては(c)〜(f)の各ステップについて、図2〜5を参照しつつ説明する。なお以下においてはテレフタル酸等の芳香族カルボン酸の製造プロセスから排出される排水を処理する形態を主な例として説明するが、本発明は当該形態に限定されるものではない。
(膜分離ステップ(c))
テレフタル酸等の芳香族カルボン酸を製造する際に排出され、ステップ(γ〉を経た処理排水は、排水流路50を経て膜分離活性汚泥処理装置30に供給される(図2及び図5参照)。なお処理排水を膜分離活性汚泥処理装置30に供給する前に、あらかじめ処理排水から粗大な浮遊物質や土砂等を除去したり、処理排水のpHを調整したり、処理排水を希釈したりしてもよい。
膜分離活性汚泥処理装置30においては、ブロア33を作動させて散気管32からエアを導入し、活性汚泥中の好気性微生物に酸素を与えることによって、供給された処理排水の生物処理を行う。この生物処理によって、処理排水中の芳香族化合物(芳香族カルボン酸等)等を脂肪族カルボン酸(酢酸等)等に分解し、更に脂肪族カルボン酸(酢酸等)等を二酸化炭素等に分解する。
芳香族化合物としては、テレフタル酸、p−トルイル酸、安息香酸、4−カルボキシベンズアルデヒド、これらの塩(アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、アンモニウム塩)等が挙げられる。
好気性微生物は、酸素を用いて芳香族化合物等を分解できる細菌等である。このような細菌としては、アルカリゲネス属、ロドコッカス属等が挙げられる。
膜分離活性汚泥処理装置30内のMLSS(混合水中浮遊物質)は、3000〜15000mg/Lが好ましく、5000〜10000mg/Lがより好ましい。MLSSが3000mg/L未満では、好気性微生物が不足し、排水の生物処理を十分に行えないおそれがある。MLSSが15000mg/Lを超えると、汚泥の粘度上昇に伴い流動性が悪化し、膜面の洗浄効率が低下し、閉塞するおそれがある。
膜分離活性汚泥処理装置30においては、CODCr容積負荷を1〜3〔CODCr−kg/m/日〕に保つように運転を行うことが好ましい。CODCr容積負荷が1〔CODCr−kg/m/日〕未満では、処理時間が長くなるおそれがある。CODCr容積負荷が3〔CODCr−kg/m/日〕を超えると、排水の生物処理を十分に行えないおそれがある。CODCr容積負荷は、時間あたりに処理される排水のCODCrに応じて、水理学的滞留時間(HRT)を調整することによって、上述の範囲に調整できる。
また、膜分離活性汚泥処理装置30においては、吸引ポンプ36を作動させて膜モジュール35内を減圧にすることによって、混合水を汚泥と透過水とに固液分離する。この際、散気管32からエアを膜モジュール35に導入することによって、中空糸膜76a(図3参照)の表面を洗浄しながら、効率よく固液分離を行うことができる。
分離された余剰汚泥は、余剰汚泥流路56を経て排出される。また、余剰汚泥には、好気性微生物が含まれているため、余剰汚泥の一部を、膜分離活性汚泥処理装置30に返送し、再び生物処理に用いてもよい。
透過水のCODCrは、少ないほど好ましく、具体的には80mg/L以下が好ましい。透過水のCODCrが80mg/L以下であれば、環境に与える影響が十分に小さくなる。
(逆浸透膜濾過ステップ(d))
膜分離活性汚泥処理装置30からの透過水は、そのまま外部に放流してもよい。ただし、排水がテレフタル酸の製造プロセスからの排水である場合には、透過水は触媒等に由来するコバルトやマンガンなどの重金属イオン等を微量に含むため、環境保護の観点からは透過水をそのまま外部に放流はしないことが好ましい。このような場合には、膜分離活性汚泥処理装置30からの透過水を、透過水流路55を経て逆浸透膜濾過装置40(図5参照)に移送し、透過水中のイオンを逆浸透膜42(図6参照)によって取り除くことが好ましい。
逆浸透膜濾過装置40のスパイラル型逆浸透膜モジュール41(図6参照)において、透過水は、円柱状の逆浸透膜エレメント46の一方の端面に形成されている透過水入口41aに導入され、網目スペーサ45で形成されている流路を流れる。この間に透過水の一部は、逆浸透膜42を透過して精製水となり、通液性支持繊維44で形成された流路を通って集水管43に導かれ、集水管43の端部の精製水出口41bから排出される。一方、逆浸透膜42を透過しなかった透過水は、濃縮水となって逆浸透膜エレメント46の他方の端面に形成されている濃縮水出口41cから排出される。
逆浸透膜濾過装置40において逆浸透膜42を透過した精製水は、精製水流路57(図5参照)を経てテレフタル酸の製造設備等に移送され、冷却水や一部プロセス水等として再利用される。逆浸透膜濾過装置40において逆浸透膜42を透過しなかった濃縮水は、濃縮水流路58を経て外部に放流される。濃縮水は、塩素等で滅菌した後、放流してもよい。
(次亜塩素酸塩洗浄ステップ(e)、及び酸洗浄ステップ(f))
排水に存在する有機物、無機物等が濾過膜の細孔に吸着されたり、濾過膜の表面に堆積したりすると、膜モジュール35(図2及び図5参照)の膜間差圧が大きくなる。膜モジュール35の膜間差圧がある程度大きくなると、膜モジュール35による固液分離の効率が低下する。そこで、膜分離ステップ(c)の途中で次亜塩素酸塩洗浄ステップ(e)又は酸洗浄ステップ(f)を行う。次亜塩素酸塩洗浄ステップ(e)においては、第1の薬液タンク90から薬液(次亜塩素酸塩水溶液)を膜モジュール35に供給して膜モジュール35を洗浄する。酸洗浄ステップ(f)においては、第2の薬液タンク92から薬液(酸水溶液)を膜モジュール35に供給して膜モジュール35を洗浄する。
次亜塩素酸塩洗浄ステップ(e)を行うことによって、濾過膜の細孔に吸着されたり、濾過膜の表面に堆積したりした有機物を、次亜塩素酸塩水溶液によって分解し、濾過膜から除去することができる。次亜塩素酸塩としては、次亜塩素酸ナトリウム、次亜塩素酸カルシウム等が挙げられる。
ステップ(e)において用いる次亜塩素酸塩水溶液(薬液)中の次亜塩素酸塩の濃度は、洗浄効果の点から、300〜10000mg/Lが好ましく、1000〜5000mg/Lがより好ましい。ステップ(e)における薬液の通液量は、洗浄効果及び濾過膜の保護の点から、0.5〜10L/濾過膜1mが好ましく、1.0〜4.0L/濾過膜1mがより好ましい。ステップ(e)における薬液の通液時間は、洗浄効果及び時間効率の点から、10〜180分が好ましく、15〜120分がより好ましい。ステップ(e)においては洗浄効果の点から、薬液の通液後しばらく膜モジュール35を静置することが好ましい。その静置時間は、120分以下が好ましく、30〜120分がより好ましい。尚、次亜塩素酸塩水溶液の通液後に膜モジュール35を静置する場合には、該静置時間の終了時を以て次亜塩素酸塩洗浄ステップが終了するものとする。
酸洗浄ステップ(f)を行うことによって、濾過膜の細孔に吸着されたり、濾過膜の表面に堆積したりした無機物を、酸水溶液によって可溶化し、濾過膜から除去することができる。ステップ(f)において使用可能な酸水溶液としては、有機酸水溶液および無機酸が挙げられ、活性汚泥への影響が少ない点で、有機酸水溶液が好ましい。ステップ(f)において使用可能な有機酸水溶液の例としては、クエン酸水溶液、シュウ酸水溶液等が挙げられ、クエン酸水溶液が好ましい。ステップ(f)において使用可能な無機酸の例としては、塩酸、硫酸等が挙げられる。
ステップ(f)において用いる酸水溶液(薬液)中の酸の濃度は、洗浄効果の点から、0.5〜5重量%が好ましく、1〜3重量%がより好ましい。ステップ(f)における薬液の通液量は、洗浄効果及び濾過膜の保護の点から、0.5〜10L/濾過膜1mが好ましく、1〜4L/濾過膜1mがより好ましい。ステップ(f)における薬液の通液時間は、洗浄効果及び時間効率の点から、10〜180分が好ましく、15〜120分がより好ましい。ステップ(f)においては洗浄効果の点から、薬液の通液後しばらく膜モジュール35を静置することが好ましい。その静置時間は、180分以下が好ましく、30〜120分がより好ましい。尚、酸水溶液の通液後に膜モジュール35を静置する場合には、該静置時間の終了時を以て酸洗浄ステップが終了するものとする。
本発明の排水処理方法においては、洗浄ステップとして、まず、次亜塩素酸塩洗浄ステップ(e)を行い、次いで所定の条件を満足するように酸洗浄ステップ(f)を行うことが好ましい。この順にて各ステップを行うことによって、次亜塩素酸塩洗浄ステップにより発生した無機性の閉塞物質を酸洗浄ステップにより除去することが可能となる。
本発明の排水処理方法においては、下記の条件(イ)及び/又は条件(ロ)を満足するように、ステップ(e)の後のステップ(f)を行う。
条件(イ):ステップ(e)の終了からステップ(f)の開始までの間隔が、100時間以内である。
条件(ロ):膜モジュール35の膜間差圧が、運転開始後の膜間差圧よりも3kPa〜50kPa高くなったときにステップ(f)を開始する。
ここで「運転開始後の膜間差圧」とは、膜モジュール35による固液分離処理を開始してから1時間後の膜モジュール35の膜間差圧を意味する。
条件(イ)及び(ロ)のいずれを採用する場合においても、膜モジュール35による固液分離処理が運転中の場合には、膜分離ステップ(c)における膜モジュール35による固液分離処理を一旦中断して次亜塩素酸塩洗浄ステップ(e)を行うことになる。
条件(イ)が採用される場合においては、次亜塩素酸塩洗浄ステップ(e)が終了した後、100時間以内に酸洗浄ステップ(f)を開始する。その態様としては、次の(P)乃至(R)の態様を例示できる。
(P)次亜塩素酸塩洗浄ステップ(e)が終了した後、膜モジュール35による固液分離処理を再開せずに、そのまま酸洗浄ステップ(f)を行う態様。
(Q)次亜塩素酸塩洗浄ステップ(e)が終了してから酸洗浄ステップ(f)を開始するまでの間、膜モジュール35による固液分離処理を100時間以内行う態様。
(R)次亜塩素酸塩洗浄ステップ(e)が終了してから酸洗浄ステップ(f)を開始するまでの間、膜モジュール35による固液分離処理を100時間以内休止する態様。
条件(ロ)が採用される場合においては、次亜塩素酸塩洗浄ステップ(e)が終了した後、膜モジュール35の膜間差圧が運転開始後の膜間差圧よりも3kPa〜50kPa高くなったときに酸洗浄ステップ(f)を開始する。その態様としては、次の(S)乃至(U)の態様を例示できる。
(S)次亜塩素酸塩洗浄ステップ(e)が終了した後、膜モジュール35の膜間差圧が運転開始後の膜間差圧+3kPa〜50kPaの範囲内にある場合において、膜モジュール35による固液分離処理を再開せずに、そのまま酸洗浄ステップ(f)を行う態様。
(T)次亜塩素酸塩洗浄ステップ(e)が終了した後、膜モジュール35の膜間差圧が運転開始後の膜間差圧+3kPa〜50kPaの範囲内にある場合において、膜モジュール35による固液分離処理を再開し、膜モジュール35の膜間差圧が運転開始後の膜間差圧+3kPa〜50kPaの範囲内にある間に膜モジュール35による固液分離処理を再度中断して、酸洗浄ステップ(f)を行う態様。
(U)次亜塩素酸塩洗浄ステップ(e)が終了した後、膜モジュール35の膜間差圧が運転開始後の膜間差圧+3kPaを下回る場合において、膜モジュール35による固液分離処理を再開し、膜モジュール35の膜間差圧が運転開始後の膜間差圧よりも3kPa〜50kPa高い範囲にあるときに膜モジュール35による固液分離処理を再度中断して、酸洗浄ステップ(f)を行う態様。
そして条件(イ)及び(ロ)のいずれを採用する場合においても、酸洗浄ステップ(f)の終了後は、膜モジュール35による固液分離処理を再開することができる。
条件(イ):
ステップ(e)の終了から次のステップ(f)の開始までの間隔が、100時間以内であることにより、次亜塩素酸塩によって発生した無機性の閉塞物質による閉塞が進行する前に洗浄を行うことができる。条件(イ)を満足させる場合、ステップ(e)の終了から次のステップ(f)の開始までの間隔は、48時間以内が好ましく、24時間以内がより好ましい。
条件(ロ):
膜モジュール35の膜間差圧が運転開始後の膜間差圧+3kPa以上のときにステップ(f)を開始することにより、膜分離ステップの中断の頻度を少なくすることができ、排水処理効率が向上する。膜モジュール35の膜間差圧が運転開始後の膜間差圧+50kPa以下のときにステップ(f)を開始することにより、膜モジュールの閉塞を発生させることなく洗浄を開始することができる。条件(ロ)を満足させる場合、ステップ(f)を開始するタイミングは、膜モジュール35の膜間差圧が運転開始後の膜間差圧+5kPa〜40kPaの範囲内にあるときが好ましく、膜モジュール35の膜間差圧が運転開始後の膜間差圧+7kPa〜35kPaの範囲内にあるときがより好ましく、膜モジュール35の膜間差圧が運転開始後の膜間差圧+10kPa〜30kPaの範囲内にあるときがさらに好ましい。
本発明においては、次亜塩素酸塩洗浄ステップ(e)と次の次亜塩素酸塩洗浄ステップ(e)の間に酸洗浄ステップ(f)を複数回行うことが、洗浄効果を高める観点から好ましく、3回以上5回以下行うことがより好ましい。
条件(イ)及び(ロ)のいずれを満足させる場合においても、膜モジュールの膜間差圧が運転開始後の膜間差圧よりも好ましくは5〜30kPa高い範囲、より好ましくは10〜25kPa高い範囲、さらに好ましくは15〜25kPa高い範囲にあるときに、最初の次亜塩素酸塩洗浄ステップ(e)を開始することが望ましい。
次亜塩素酸塩洗浄ステップ(e)を行う頻度は、例えば好ましくは1回〜6回/3か月、より好ましくは1回〜5回/3か月、さらに好ましくは1回〜4回/3か月、特に好ましくは1回〜3回/3か月などとすることができる。
なお、本発明に関する上記説明では、膜分離ステップ(c)における膜時モジュール35による固液分離処理の運転開始後、まず次亜塩素酸塩洗浄ステップ(e)を行い、その後に酸洗浄ステップ(f)を行う形態を主に例示して説明したが、本発明は当該形態に限定されるものではない。膜分離ステップ(c)における膜時モジュール35による固液分離処理の運転開始後、まず酸洗浄ステップ(f)を行い、その後に次亜塩素酸塩洗浄ステップ(e)を行う形態を採用することも可能である。かかる形態においても、次亜塩素酸塩洗浄ステップ(e)の終了後は、上記条件(イ)又は(ロ)を満足するように次の酸洗浄ステップ(f)を開始する。かかる形態を採用する場合においては、膜モジュールの膜間差圧が運転開始後の膜間差圧よりも好ましくは5〜30kPa高い範囲、より好ましくは10〜25kPa高い範囲、さらに好ましくは15〜25kPa高い範囲にあるときに、最初の酸洗浄ステップ(f)を開始することが望ましい。
本発明の排水処理方法によれば、排水中の重金属を回収し、重金属濃度の低減処理を行うことにより、(i)膜モジュール35の洗浄負荷、特に酸洗浄による負荷が極めて小さくなる。さらに、生物処理において曝気槽内で膜モジュール35による固液分離処理を行うため、(ii)従来の沈殿槽が不要であり維持管理が容易になるほか、(iii)生物処理が1段のみであるにも関わらず、生物処理が2段である従来法と同等若しくはそれ以上の処理水質が得られ、(iv)従来では最終段階に必要とされた凝集沈殿槽がなくてもSS(浮遊物質)を十分に除去でき、また(v)従来法において透過水を逆浸透膜に通すためには別途砂濾過等が必要であったところ、透過水を逆浸透膜に直接通すことができる。その結果、CODCrが高い排水を処理する場合であっても、設備(システム)を従来に比べ小型化できるので、建設初期費用の節減が可能になる。
また、本発明の排水処理方法は、膜モジュールを洗浄する洗浄ステップを有し、該洗浄ステップが、次亜塩素酸塩水溶液によって膜モジュールを洗浄する次亜塩素酸塩洗浄ステップと、酸水溶液によって膜モジュールを洗浄する酸洗浄ステップとをこの順に有し、且つ、(イ)次亜塩素酸塩洗浄ステップの終了から次の酸洗浄ステップの開始までの間隔が100時間以内である、及び/又は、(ロ)膜モジュールの膜間差圧が、運転開始後の膜間差圧よりも3kPa〜50kPa高くなったときに酸洗浄ステップを開始する。そのため、CODCrが高く且つ重金属を含む排水を生物処理し、膜分離処理する間、膜モジュール35の膜間差圧を低く抑えることができる。
尚、上記の通り、次亜塩素酸塩洗浄ステップと酸洗浄ステップとの間に膜分離ステップを行ってもよい。
(他の実施形態(1))
本発明の排水処理方法に関する上記説明では、図2又は図5の膜分離活性汚泥処理システムを用いる形態を例示したが、本発明は当該形態に限定はされない。例えば、図2及び図5中の膜分離活性汚泥処理装置30は、活性汚泥中の好気性微生物による生物処理と膜モジュールによる固液分離処理との両方を1つの槽で行う一体型であるが、活性汚泥中の好気性微生物による生物処理と膜モジュールによる固液分離処理とを別々の槽で行う槽別置型の膜分離活性汚泥処理装置を具備する膜分離活性汚泥処理システムを用いる形態の排水処理方法とすることも可能である。
図7は、本発明の排水処理方法において使用可能な膜分離活性汚泥処理システムの他の態様を示す概略構成図である。図7の膜分離活性汚泥処理システムは、一体型の膜分離活性汚泥処理装置30に代えて槽別置型の膜分離活性汚泥処理装置30’を具備している点において、図2(及び図5)の膜分離活性汚泥処理システムと異なっている。図7中に示した槽別置型の膜分離活性汚泥処理装置30’は、活性汚泥槽(第1の曝気槽)38と;膜分離槽39と;活性汚泥槽(第1の曝気槽)38及び膜分離槽39内の底部近傍にそれぞれ配置された2つの散気管32と;各散気管32にエアを供給するブロア33と;各散気管32とブロア33とを接続するエア導入管34と;膜分離槽39内且つ散気管32の上方に配置された膜モジュール35と;透過水流路55の途中に設けられ、膜モジュール35内を減圧にすることによって汚泥と透過水との固液分離を行い、且つ透過水を下流工程へと送り出す吸引ポンプ36と;薬液流路59の途中に設けられ、逆洗用の薬液等を膜モジュール35に送り出す逆洗ポンプ37と;活性汚泥槽(第1の曝気槽)38で生物処理された混合水を膜分離槽39に移送する混合水流路と;膜分離槽39からの余剰汚泥の一部を活性汚泥槽(第1の曝気槽)38に返送する返送汚泥流路とを具備する。
(他の実施態様(2))
本発明に関する上記説明では、生物処理(膜分離活性汚泥処理)が(i)処理排水の生物処理を行いながら又は処理排水の生物処理を行った後に、膜モジュールによって汚泥と透過水とに固液分離する膜分離ステップと、(ii)膜モジュールを洗浄する洗浄ステップとを有する形態の排水処理方法を例示したが、本発明は当該形態に限定されるものではない。例えば、重金属濃度低減ステップによって得られた処理排水を一旦生物処理に供した後に、上記膜分離ステップに供してもよい。すなわち、生物処理(膜分離活性汚泥処理)が、
(i)処理排水の1段階目の生物処理を行った後に2段階目の生物処理を行いながら又は処理排水の生物処理を2段階で行った後に、膜モジュールによって汚泥と透過水とに固液分離する膜分離ステップと、
(ii)膜モジュールを洗浄する洗浄ステップと
を有する形態の排水処理方法とすることも可能である。かかる他の実施形態について以下に説明する。
図8は、他の実施形態に係る本発明の排水処理方法における膜分離活性汚泥処理システムの一態様を示す概略構成図である。図8の膜分離活性汚泥処理システムは、重金属濃度低減ステップを経た処理排水を、活性汚泥中の好気性微生物によって生物処理する曝気槽10と;曝気槽10にて生物処理された曝気槽混合水を汚泥と上澄み液とに固液分離する沈殿槽20と;沈殿槽20からの上澄み液を活性汚泥中の好気性微生物によって生物処理すると同時に、膜モジュール35によって汚泥と透過水とに固液分離する膜分離活性汚泥処理装置30と;膜モジュール35を洗浄する次亜塩素酸塩水溶液を貯蔵する第1の薬液タンク90と;膜モジュール35を洗浄する酸水溶液を貯蔵する第2の薬液タンク92と;第1の薬液タンク90及び第2の薬液タンク92からの膜モジュール35への薬液の供給を制御する制御部(不図示)と;重金属濃度低減ステップを経た処理排水を曝気槽10に供給する排水流路50と;曝気槽10にて生物処理された曝気槽混合水を沈殿槽20に移送する曝気槽混合水流路51と;沈殿槽20からの上澄み液を膜分離活性汚泥処理装置30に移送する上澄み液流路52と;沈殿槽20からの余剰汚泥を排出する余剰汚泥流路53と;沈殿槽20からの余剰汚泥の一部を曝気槽10に返送する返送汚泥流路54と;膜分離活性汚泥処理装置30からの透過水を排出する透過水流路55と;膜分離活性汚泥処理装置30からの余剰汚泥を排出する余剰汚泥流路56と;第1の薬液タンク90及び第2の薬液タンク92からの薬液を膜モジュール35に供給する薬液流路59とを具備する。
曝気槽10は、槽本体11と;槽本体11内の底部近傍に配置された散気管12と;散気管12にエアを供給するブロア13と;散気管12とブロア13とを接続するエア導入管14とを具備する。
沈殿槽20は、曝気槽10から移送された曝気槽混合水を、重力沈降によって汚泥と上澄み液とに固液分離できるものであればよく、特に限定はされない。沈殿槽20は、一般的な沈殿池であってもよい。
膜分離活性汚泥処理装置30は、上記説明した図2及び図5中の膜分離活性汚泥処理装置30と同じ構成を有する。
膜分離活性汚泥処理システムは、図9に示すように、膜モジュール35を透過し、透過水流路55から排出された透過水を逆浸透膜によって濾過する逆浸透膜濾過装置40と;逆浸透膜濾過装置40を透過した精製水を排出する精製水流路57と;逆浸透膜濾過装置40を透過しなかった濃縮水を排出する濃縮水流路58とを更に具備していてもよい。図9中、逆浸透膜濾過装置40は、上記説明した図5中の逆浸透膜濾過装置40と同じ構成を有する。
制御部は、上記説明した制御部と同じ構成を有する。
本実施形態における処理フローは、下記のステップ(γ)に加えて、図8の構成を有する膜分離活性汚泥処理システムを用いる場合には下記のステップ(a)〜(c)、(e)、及び(f)を、図9の構成を有する膜分離活性汚泥処理システムを用いる場合には下記のステップ(a)〜(f)を、それぞれ有する。
(γ)上記説明した、排水中の重金属を回収することにより重金属濃度が低減された処理排水を得る、重金属濃度低減ステップ。
(a)曝気槽10にて、重金属濃度低減ステップを経た処理排水を活性汚泥中の好気性微生物によって生物処理するステップ(1段階目の生物処理)。
(b)沈殿槽20にて、曝気槽10における生物処理を経た曝気槽混合水を固液分離する、沈殿ステップ。
(c)膜分離活性汚泥処理装置30にて、沈殿槽20からの上澄み液を活性汚泥中の好気性微生物によって生物処理する(2段階目の生物処理)と同時に、膜モジュール35によって汚泥と透過水とに固液分離する、膜分離ステップ。
(d)逆浸透膜濾過装置40にて、膜モジュール35を透過した透過水を逆浸透膜によって濾過し、逆浸透膜を透過した精製水と透過しなかった濃縮水とに分離する、逆浸透膜濾過ステップ。
(e)次亜塩素酸塩水溶液によって膜モジュール35を洗浄する、次亜塩素酸塩洗浄ステップ。
(f)酸水溶液によって膜モジュール35を洗浄する、酸洗浄ステップ。
処理される排水の性状、及び、重金属濃度低減ステップ(γ)については、上記説明した通りである。以下(e)〜(f)の各ステップについて、図8及び図9を主に参照しつつ説明する。なお以下においてはテレフタル酸等の芳香族カルボン酸の製造プロセスから排出される排水を処理する形態を主な例として説明するが、本発明は当該形態に限定されるものではない。
(1段階目の生物処理(a))
テレフタル酸等の芳香族カルボン酸を製造する際に排出され、ステップ(γ)を経た処理排水は、排水流路50を経て曝気槽10に供給される。なお処理排水を曝気槽10に供給する前に、あらかじめ処理排水から粗大な浮遊物質や土砂等を除去したり、処理排水のpHを調整したり、処理排水を希釈したりしてもよい。
曝気槽10においては、ブロア13を作動させて散気管12からエアを導入し、活性汚泥中の好気性微生物に酸素を与えることによって処理排水の生物処理を行う。この生物処理によって、処理排水中の芳香族化合物(芳香族カルボン酸等)等を脂肪族カルボン酸(酢酸等)等に分解する。
芳香族化合物としては、テレフタル酸、p−トルイル酸、安息香酸、4−カルボキシベンズアルデヒド、これらの塩(アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、アンモニウム塩)等が挙げられる。
好気性微生物は、酸素を用いて芳香族化合物等を分解できる細菌等である。このような細菌としては、アルカリゲネス属、ロドコッカス属等が挙げられる。
曝気槽10内のMLSS(混合水中浮遊物質)は、1000〜10000mg/Lが好ましく、2000〜8000mg/Lがより好ましい。MLSSが1000mg/L未満では、好気性微生物が不足し、処理排水の生物処理を十分に行えないおそれがある。MLSSが10000mg/Lを超えると、汚泥が水面に浮上し、汚泥が流出するおそれがある。
曝気槽10においては、CODCr容積負荷を1〜3〔CODCr−kg/m/日〕に保つように運転を行うことが好ましい。CODCr容積負荷が1〔CODCr−kg/m/日〕未満では、処理時間が長くなるおそれがある。CODCr容積負荷が3〔CODCr−kg/m/日〕を超えると、排水の生物処理を十分に行えないおそれがある。CODCr容積負荷は、時間あたりに処理される排水中のCODCrに応じて、水理学的滞留時間(HRT)を調整することによって、上述の範囲に調整できる。
(沈殿ステップ(b))
曝気槽10にて生物処理された曝気槽混合水は、曝気槽混合水流路51を経て沈殿槽20に移送される。沈殿槽20においては、曝気槽混合水を、重力沈降によって汚泥と上澄み液とに固液分離する。
分離された余剰汚泥は、余剰汚泥流路53を経て排出される。また、余剰汚泥には、好気性微生物が含まれているため、余剰汚泥の一部を、返送汚泥流路54を経て曝気槽10に返送し、再び排水の生物処理に用いる。なお、曝気槽10の好気性微生物の種類は、膜分離活性汚泥処理装置30の好気性微生物の種類と異なるため、曝気槽10からの余剰汚泥は、膜分離活性汚泥処理装置30に移送しないことが好ましい。
上澄み液のCODCrは、200mg/L以上が好ましい。上澄み液のCODCrを200mg/L未満にしようとすると、曝気槽10における生物処理の負担が大きくなりすぎるおそれがある。また、膜分離活性汚泥処理装置30において好気性微生物がエネルギー源とする有機物が不足し、生物処理が不十分となるおそれがある。
沈殿槽20において好気性微生物を含む汚泥を分離した後、上澄み液のみを膜分離活性汚泥処理装置30に移送することによって、曝気槽10における好気性微生物の種類と、膜分離活性汚泥処理装置30における好気性微生物の種類とが異なるものとなる。すなわち、曝気槽10における有機物の種類(芳香族化合物等)と、膜分離活性汚泥処理装置30における有機物の種類(脂肪族カルボン酸等)とが異なるため、自然に、曝気槽10と膜分離活性汚泥処理装置30のそれぞれにおいて、異なる有機物を優先的に代謝する異なる好気性微生物が増殖することとなる。なお、沈殿槽20を省略し、曝気槽10へ膜モジュールを設置し、濾過膜による固液分離を行ってもよい。
もし、沈殿槽20を介さずに、曝気槽10の曝気槽混合水を膜分離活性汚泥処理装置30に直接移送した場合、膜分離活性汚泥処理装置30において、曝気槽10と異なる好気性微生物が増殖しにくくなるため、曝気槽10及び膜分離活性汚泥処理装置30における好気性微生物の種類がほぼ同じになる。そのため、膜分離活性汚泥処理装置30において、脂肪族カルボン酸等を優先的に代謝する異なる好気性微生物が増殖しにくくなり、膜分離活性汚泥処理装置30における脂肪族カルボン酸等の生物処理が不十分となる可能性がある。
(膜分離ステップ(c))
沈殿槽20の上澄み液は、上澄み液流路52を経て膜分離活性汚泥処理装置30に移送される。
膜分離活性汚泥処理装置30においては、ブロア33を作動させて散気管32からエアを導入し、活性汚泥中の好気性微生物に酸素を与えることによって上澄み液の生物処理を行う。この生物処理によって、排水中の脂肪族カルボン酸等(例えば酢酸等。)を二酸化炭素等に分解する。
好気性微生物は、酸素を用いて脂肪族カルボン酸等を分解できる細菌等である。
膜分離活性汚泥処理装置30内のMLSS(混合水中浮遊物質)は、3000〜15000mg/Lが好ましく、5000〜10000mg/Lがより好ましい。MLSSが3000mg/L未満では、好気性微生物が不足し、上澄み液の生物処理を十分に行えないおそれがある。MLSSが15000mg/Lを超えると、汚泥の粘度上昇に伴い流動性が悪化し、膜面の洗浄効率が低下し、閉塞するおそれがある。
膜分離活性汚泥処理装置30においては、CODCr容積負荷を0.1〜0.5〔CODCr−kg/m/日〕に保つように運転を行うことが好ましい。CODCr容積負荷が0.1〔CODCr−kg/m/日〕未満では、処理時間が長くなるおそれがある。CODCr容積負荷が0.5〔CODCr−kg/m/日〕を超えると、上澄み液の生物処理を十分に行えないおそれがある。CODCr容積負荷は、時間あたりに処理される上澄み液のCODCrに応じて、水理学的滞留時間(HRT)を調整することによって、上述の範囲に調整できる。
また、膜分離活性汚泥処理装置30においては、吸引ポンプ36を作動させて膜モジュール35内を減圧にすることによって、混合水を汚泥と透過水とに固液分離する。この際、散気管32からエアを膜モジュール35に導入することによって、中空糸膜76a(図3参照)の表面を洗浄しながら、効率よく固液分離を行うことができる。
分離された余剰汚泥は、余剰汚泥流路56を経て排出される。また、余剰汚泥には、好気性微生物が含まれているため、余剰汚泥の一部を、膜分離活性汚泥処理装置30に返送し、再び上澄み液の生物処理に用いてもよい。なお、膜分離活性汚泥処理装置30の好気性微生物の種類は、曝気槽10の好気性微生物の種類と異なるため、膜分離活性汚泥処理装置30からの余剰汚泥は、曝気槽10に返送しないことが好ましい。
透過水のCODCrは、少ないほど好ましく、具体的には80mg/L以下が好ましい。透過水のCODCrが80mg/L以下であれば、環境に与える影響が十分に小さくなる。
逆浸透膜濾過ステップ(d)は、上記説明したステップ(d)と同様である。
次亜塩素酸塩洗浄ステップ(e)及び酸洗浄ステップ(f)は、上記説明したステップ(e)及びステップ(f)と同様に行われる。
本実施形態に係る本発明の排水処理方法によれば、重金属濃度の低減化処理を行うことにより、(i)膜モジュール35の洗浄負荷、特に酸洗浄への負荷が極めて小さくなり、さらに、生物処理工程にける曝気槽10にて、活性汚泥中の好気性微生物によって処理排水の生物処理を行い、且つ膜分離活性汚泥処理装置30にて、活性汚泥中の好気性微生物によって沈殿槽20からの上澄み液の生物処理を行うため、透過水のCODCrを、従来の排水処理方法に比べ効率的に低減できる。
また、沈殿槽20において好気性微生物を含む汚泥を分離した後、上澄み液のみを膜分離活性汚泥処理装置30に移送することによって、曝気槽10における好気性微生物の種類と、膜分離活性汚泥処理装置30における好気性微生物の種類とが異なるものとなるため、曝気槽10及び膜分離活性汚泥処理装置30における生物処理を異なる好気性微生物によって効率よく行うことができ、したがって透過水のCODCrを効率的に低減できる。
また、一組の曝気槽及び沈殿槽の代わりに膜分離活性汚泥処理装置30を用いて膜分離処理を行うため、(i)曝気槽及び沈殿槽のみを用いる従来の排水処理方法に比べ処理時間を短縮でき、また(ii)曝気槽及び沈殿槽の組み合わせを2組用いる従来の排水処理方法に比べ沈殿槽の数を減らすことができ、システムの設置面積を小さくできる。
また、本実施形態に係る本発明の排水処理方法は、膜モジュールを洗浄する洗浄ステップを有し、該洗浄ステップが、次亜塩素酸塩水溶液によって膜モジュールを洗浄する次亜塩素酸塩洗浄ステップと、酸水溶液によって膜モジュールを洗浄する酸洗浄ステップとをこの順に有し、且つ、(イ)次亜塩素酸塩洗浄ステップの終了から次の酸洗浄ステップの開始までの間隔が100時間以内である、及び/又は、(ロ)膜モジュールの膜間差圧が、運転開始前の膜間差圧よりも3kPa〜50kPa高くなったときに酸洗浄ステップを開始する。そのため、CODCrが高く且つ重金属を含む排水を生物処理し、膜分離処理する間、膜モジュール35の膜間差圧を低く抑えることができる。
尚、上記したように、次亜塩素酸塩洗浄ステップと酸洗浄ステップとの間に膜分離ステップを行ってもよい。
(他の実施形態(3))
本発明の排水処理方法に関する上記説明において、図8又は図9の膜分離活性汚泥処理システムを用いる形態を例示したが、本発明は当該形態に限定はされない。例えば、図8及び図9中の膜分離活性汚泥処理装置30は、活性汚泥中の好気性微生物による生物処理と膜モジュールによる固液分離処理とを1つの槽で行う一体型であるが、活性汚泥中の好気性微生物による生物処理と膜モジュールによる固液分離処理とを別々の槽で行う槽別置型の膜分離活性汚泥処理装置(例えば図7中の膜分離活性汚泥処理装置30’)を具備する膜分離活性汚泥処理システムを用いる形態の排水処理方法とすることも可能である。
<2.テレフタル酸の製造方法>
本発明のテレフタル酸の製造方法は、テレフタル酸製造プロセスと、テレフタル酸製造プロセスにおいて排出される排水を処理する排水処理プロセスとを有する。以下、図面を参照しつつ、本発明のテレフタル酸の製造方法の実施形態について説明する。なお、以下に示す実施形態は本発明のテレフタル酸の製造方法の例示であり、本発明のテレフタル酸の製造方法がこれら実施形態に限定されるものではない。特に重金属の低減化処理装置や濾過膜装置等の組み合わせはこれらの形態に限定されるものではない。
テレフタル酸の工業的製造方法は、テレフタル酸に求める品質(純度)の違いにより、主として下記(A)及び(B)の2通りに大別することができる。
(A)酸化反応後に水素化精製によりテレフタル酸を製造する方法。
(B)酸化反応後に高温高圧で追加的に酸化反応を実施し、水素化精製をしないでテレフタル酸を製造する方法。
(A.第1の代表的なテレフタル酸の製造方法)
図10は、第1の代表的なテレフタル酸の製造方法における工程フロー及び物質フローを説明する図である。第1の代表的なテレフタル酸の製造方法は、下記工程(i)〜(vi)を有するテレフタル酸製造プロセスと、排水処理プロセス(vii)とを有する。
(i)含水酢酸中、p−キシレンを酸化して、粗テレフタル酸スラリーを得る工程(以下、「酸化反応工程(i)」とも記す。)。
(ii)粗テレフタル酸スラリーを固液分離して粗テレフタル酸ケーキを回収する工程(以下、「第1の固液分離工程(ii)」とも記す。)。
(iii)粗テレフタル酸ケーキを水に溶解して、水素添加処理をする工程(以下、「水素添加処理工程(iii)」とも記す。)。
(iv)水素添加処理液を晶析してテレフタル酸スラリーを得る工程(以下、「晶析工程(iv)」とも記す。)。
(v)テレフタル酸スラリーを固液分離してテレフタル酸ケーキ及び分離母液を得る工程(以下、「第2の固液分離工程(v)」とも記す。)。
(vi)テレフタル酸ケーキを乾燥してテレフタル酸を得る工程(以下、「乾燥工程(vi)」とも記す。)。
(vii)前記工程(i)〜(vi)から排出される排水の全量又は一部を排水中の重金属濃度低減処理、ついで好気性生物処理後、逆浸透膜処理、さらに吸着処理などで回収する排水処理プロセス(以下、「排水処理プロセス(vii)」とも記す。)
(酸化反応工程(i))
酸化反応工程(i)は含水酢酸中、p−キシレンを酸化して、粗テレフタル酸スラリー211’を得る酸化反応工程である。まず、p−キシレンと酢酸等を含む溶媒とを混合し、酸化反応装置211に送り、溶媒中で触媒の存在下に分子状酸素を用いて、p−キシレンを酸化する。該触媒としては、コバルト、マンガン等の遷移金属の化合物及び/又は臭化水素酸等のハロゲン化水素等が挙げられる。これにより粗テレフタル酸スラリー211’が生成され、第1の固液分離工程(ii)に送られる。
(第1の固液分離工程(ii))
第1の固液分離工程(ii)は、第1の固液分離装置212において粗テレフタル酸スラリー211’を固液分離して粗テレフタル酸ケーキを回収した後、洗浄及び乾燥を行って粗テレフタル酸212’を得る工程である。固液分離する方法としては、そのまま固液分離機にかける方法等を例示することができる。なお、粗テレフタル酸スラリー211’は加圧状態にあるので、圧力を下げると、溶解している粗テレフタル酸が析出する。このため、スラリー211’を晶析槽(図示略)に送って、放圧冷却を行い、溶解している粗テレフタル酸を析出させてから、固液分離機にかけてもよい。なお、「放圧冷却」とは、対象液の圧力よりも低い圧力条件に設定した晶析槽にこの対象液を導入し、該晶析槽で放圧させることにより、膨張及び溶媒成分の気化により、冷却させることを意味する。
このようにして得られた粗テレフタル酸ケーキを酢酸、水、又は酢酸と水の混合物等により洗浄後乾燥することにより、粗テレフタル酸212’が得られる。得られた粗テレフタル酸212’には、酸化中間体である4−カルボキシベンズアルデヒド(4CBA)等が不純物として含まれる。このような不純物を取り除くため、粗テレフタル酸212’は次の水素添加処理工程(iii)に送られる。
(水素添加処理工程(iii))
水素添加処理工程(iii)は、水素添加処理装置213において、粗テレフタル酸212’を水に溶解して、水素添加により還元処理する工程である。水素添加処理工程(iii)を経ることにより、不純物である4CBAは還元され、p−トルイル酸になる。p−トルイル酸はテレフタル酸より水溶性が高いので、後述する第2の固液分離工程(v)で分離することができる。なお、分離されたp−トルイル酸は酸化反応工程(i)に戻され、テレフタル酸原料として使用される。水素添加処理工程(iii)により生成した水素添加処理液213’は、次の晶析工程(iv)に送られる。
(晶析工程(iv))
晶析工程(iv)は、晶析装置214において水素添加処理液213’を晶析してテレフタル酸スラリー214’を得る工程である。晶析方法としては、溶媒である水の蒸発除去及び冷却による方法や、放圧冷却する方法等を例示できる。この工程において、上述したようにp−トルイル酸は水溶性が高いため、その多くは析出せずに溶媒に溶解したままである。よって、次の第2の固液分離工程(v)でp−トルイル酸とテレフタル酸とを分離することができる。
(第2の固液分離工程(v))
第2の固液分離工程(v)は、第2の固液分離装置215において、テレフタル酸スラリー214’を固液分離して、テレフタル酸ケーキ215’とテレフタル酸分離母液224’とに分離する工程である。分離機としては濾過、遠心分離等公知の方法を採用できる。分離されたテレフタル酸ケーキには母液224’が付着しており、母液に溶解している不純物等が品質を低下させるので水で洗浄する。洗浄により得たテレフタル酸ケーキ215’は次の乾燥工程(vi)に送られる。
ここで、テレフタル酸分離母液224’にはp−トルイル酸等の不純物、触媒、テレフタル酸等が含有されているので、p−トルイル酸等回収装置220において冷却することによりp−トルイル酸及びテレフタル酸等を析出させて回収する。回収された該p−トルイル酸及びテレフタル酸等は酸化反応工程(i)に戻される。一方、p−トルイル酸等分離母液225’はコバルトやマンガン等の重金属触媒等を回収装置(図示略)で回収後、排水処理プロセス(vii)に送られる。
(乾燥工程(vi))
乾燥工程(vi)は、乾燥装置216において、テレフタル酸ケーキ215’を乾燥させて、テレフタル酸216’を得る工程である。乾燥にあたっては、放圧蒸発による加圧乾燥機、通常の流動乾燥機等を用いることができる。
(排水処理プロセス(vii))
排水処理プロセス(vii)は、排水処理システム221において、工程(i)〜(vi)から排出される排水に対してまず重金属濃度低減処理を行って排水中に含まれる重金属を回収し、ついで有機物等を好気性微生物によって溶存酸素存在下に分解処理(好気性生物処理)し、さらに必要に応じて他の処理を行う工程である。なお、工程(i)〜(vi)から排出される排水は、必ずしも何ら処理を施さずに直接この排水処理システム221に送られ処理されるとは限らない。工程毎に特有な排水組成に対応した処理を施し、排水処理システム221に送られる場合もある。
排水処理プロセス(vii)は、例えば、下記のステップ(γ)及び(a)〜(f)を有する。
(γ)工程(i)〜(vi)からの排水中の重金属化合物を回収することにより、排水中の重金属濃度を低減して処理排水とする、重金属濃度低減ステップ。
(a)曝気槽にて、重金属濃度低減ステップを経た処理排水を活性汚泥中の好気性微生物によって生物処理するステップ(1段階目の生物処理)。
(b)沈殿槽にて、曝気槽における生物処理を経た曝気槽混合水を固液分離する、沈殿ステップ。
(c)膜分離活性汚泥処理装置にて、沈殿槽からの上澄み液を活性汚泥中の好気性微生物によって生物処理しながら、及び/又は、生物処理した後に、膜モジュールによって汚泥と透過水とに固液分離する、膜分離ステップ。
(d)必要に応じて、逆浸透膜濾過装置にて、膜モジュールを透過した透過水を逆浸透膜によって濾過し、逆浸透膜を透過した精製水と透過しなかった濃縮水とに分離する、逆浸透膜濾過ステップ。
(e)次亜塩素酸塩水溶液によって膜モジュールを洗浄する、次亜塩素酸塩洗浄ステップ。
(f)酸水溶液によって膜モジュールを洗浄する、酸洗浄ステップ。
ステップ(γ)及び(a)〜(f)は、本発明の排水処理方法に関連して上記説明したステップ(γ)及び(a)〜(f)と同様に行われる。
(排水)
次に、工程(i)〜(vi)から排水処理プロセス(vii)へと排出される排水種とその処理経路について述べ、工程毎に排水処理プロセス(vii)の生物処理の処理対象となる排水について説明する。
(酸化反応工程(i)からの排水)
酸化反応工程(i)からは、酸化反応のために酸化反応装置211に導入される分子状酸素含有ガスに伴って、溶媒の酢酸、副生する水、酢酸メチル、臭化メチル、反応中間体、一酸化炭素等、及び、未反応のp−キシレン等を含有する高温高圧ガスが排出される。該高温高圧ガスから、副生エネルギーを電気及び熱エネルギーとして回収し、さらに酢酸、酢酸メチル等を回収した後、臭化メチル等を燃焼処理する。燃焼処理後の排ガスをアルカリ水等により接触洗浄した後、ガスは大気放出され、酸化排ガス洗浄水217’は排水処理システム221に送られる。
(第1の固液分離工程(ii)からの排水)
第1の固液分離工程(ii)からは、固液分離された母液が発生する。該母液の50%以上を酸化反応工程(i)に戻して再利用する。母液を再利用する比率は好ましくは70%以上であるが、系内での不純物蓄積による品質低下を防止するために母液を一部パージする必要がある。そのため、母液を再利用する比率は95%以下であり、好ましくは90%以下である。再利用に供されない酸化反応母液(パージ分)218’は溶媒回収装置217で蒸発濃縮され、蒸発溶媒219’と、有効成分を含む母液濃縮スラリー220’とに分けられる。母液濃縮スラリー220’は触媒回収・再生装置219に送られ、触媒が回収・再生される。回収・再生された触媒を固液分離した後、再生触媒回収分離母液222’が脱臭塔から生じる洗浄排水とともに排水処理システム221に送られる。一方、蒸発溶媒219’は酢酸等回収装置218に送られ、脱水塔(図示略)で酢酸を濃縮回収され、次いで蒸留塔(酢酸メチル回収塔)(図示略)で酢酸メチルを回収される。残った酢酸メチル回収塔底液221’の一部が、排水処理システム221に送られる。
なお、酸化反応工程(i)及び第1の固液分離工程(ii)以外の工程で発生するベントガスは一括して洗浄塔(図示略)で洗浄されて酸化排ガス洗浄水217’とともに排水処理システム221に送られる。
(水素添加処理工程(iii)からの排水)
通常、水素添加処理工程(iii)からは排水処理対象物は発生しない。
(晶析工程(iv)からの排水)
晶析工程(iv)からは、放圧冷却又は減圧冷却により晶析する際に、生じる蒸気を冷却して得られる晶析時発生凝縮水223’が発生する。晶析時発生凝縮水223’は、p−トルイル酸等の有機物を含んでおり、排水処理システム221に送られる。
(第2の固液分離工程(v)及び乾燥工程(vi)からの排水)
第2の固液分離工程(v)においては、テレフタル酸ケーキ215’が固液分離されると共に、テレフタル酸分離母液224’が発生する。テレフタル酸分離母液224’はp−トルイル酸等回収装置220に送られ、テレフタル酸分離母液224’に溶解しているp−トルイル酸及びテレフタル酸等が放圧冷却により析出及び濾過分離される。テレフタル酸分離母液224’から析出分離したケーキはスラリー化した後、酸化反応工程(i)に戻される。析出分離の残留母液に含有されるコバルト、マンガン等の重金属を金属回収装置(図示略)で回収した後、残るp−トルイル酸等分離母液225’は冷却され、排水処理システム221に送られる。
第2の固液分離工程(v)及び乾燥工程(vi)からはこの他に、ベントガスを一括してスクラバーで処理する際に発生するベントガス洗浄水226’が排水処理システム221に送られる。
工程(i)〜(vi)から排水処理システム221に流入する排水には浮遊物質(SS)、酸化反応で触媒として使用されるコバルト、マンガン等の重金属、アルカリ金属、CODCrの増加をもたらす化合物、全窒素の増加をもたらす化合物等が含有されている。これら排水中の不溶物質の濃度はSS値で100mg/L以下、及び/又は濁度(Turbidity)で100NTU以下、水可溶性有機物の濃度がCODCrで10000mg/L以下である。しかし、従来の排水処理システム221から流出する放流水227’は、水質の観点からそのままテレフタル酸製造プロセスで再利用することはできず、公共水域に大量に放流せざるを得なかった。
本発明者らは、工程(i)〜(vi)から排出される排水の処理方法に関して検討した結果、排水処理プロセス(vii)において、好気性生物処理のみを行う従来の排水処理に代えて、重金属濃度を低減化処理した後に、生物処理を行いながら及び/又は生物処理を行った後に膜モジュールを用いて膜分離処理(及び必要に応じて逆浸透膜処理)を行うことにより、透過水の一部分又は大部分がテレフタル酸製造用工業用水(冷却水)又はプロセス水として安定的に再利用できることを見出し、本発明のテレフタル酸の製造方法を完成するに至った。プロセス水として使用する場合は、さらに必要に応じて、各種吸着剤を使用して水の精製度を向上させることにより、冷却水及び/又はプロセス水としての利用価値をより高められることも見出した。特に、生物処理の前にCoをはじめとする重金属の濃度を低減する処理を行うことにより、濾過膜や逆浸透膜フイルターへの重金属化合物の付着が大幅に減り、この付着物を除去するための酸洗浄操作の省力化が可能になった。
生物処理としては、好気性微生物によって酸素存在下に排水中の有機物を分解する好気性生物処理、及び/又は、嫌気性微生物によって低酸素濃度環境下若しくは酸素非存在下に排水中の有機物を分解する嫌気性生物処理を採用することができる。具体的には、好気性生物処理のみを行う形態と、好気性生物処理及び嫌気性生物処理を組み合わせて行う形態とが可能であるが、工程(i)〜(vi)から排出される排水は、窒素成分が少ないため脱窒する必要がない場合が多いため、好気性生物処理のみを行う形態が、施設がコンパクトになり好ましい。
(A−1.テレフタル酸の製造における第1の実施形態)
図11は、第1の代表的なテレフタル酸の製造方法において、テレフタル酸製造プロセスから排出される排水を処理する排水処理システム2100の最上流に上記説明した図1の重金属化合物回収装置が導入されており、排水中の重金属濃度を低減した後、生物処理中に精密濾過膜による膜分離処理を行う実施形態を説明する図である。以下、本発明のテレフタル酸の製造方法の代表的な実施形態を図11に基づきさらに具体的に説明する。
本発明のテレフタル酸の製造方法において採用し得る生物処理の形態としては、好気性生物処理のみを行う形態、及び、好気性生物処理と嫌気性生物処理とを組み合わせて行う形態を挙げることができる。好気性生物処理のみを行う形態によれば設備を単純化でき経費節減が容易である一方で、好気性生物処理と嫌気性生物処理とを組み合わせて行う形態によれば、脱リン効率を向上させることが可能である。なお、簡単のため、ここでは好気性生物処理のみを行う形態について説明する。
(排水処理システム2100)
排水処理システム2100中には、Co,Mnを主とする重金属の濃度を低減する重金属化合物回収装置、精密濾過膜モジュール(以下において、精密濾過膜を「MF膜」、精密濾過膜モジュールを「MF膜モジュール」とも記す。)が配設されている。排水処理システム2100においては、図1に示した構成を有する重金属化合物回収装置で重金属濃度を低減した後、好気性生物処理が2段階で行われる。本発明のテレフタル酸の製造方法における好気性生物処理は1段階でも十分であるが、大量の排水を少なくとも工業用水(冷却水)及び/又はプロセス水として利用可能な水質を有する水に再生することをより容易にする観点からは、このように2段階で生物処理を行うことが好ましい。排水処理システム2100は、重金属化合物回収装置、ならびに、一般的な曝気槽及び沈殿槽を少なくとも具備する。すなわち、図11中の排水処理システム2100は、重金属化合物回収装置2109と、第1の曝気槽2101と、第1の曝気槽2101に接続された第1の沈殿槽2102と、第1の沈殿槽2102に接続された第2の曝気槽2103と、逆浸透膜濾過装置2106と、再利用水槽2107と、吸着剤処理装置2108とを具備する。なお、破線で表示した第2の沈殿槽2104は使用しないので不要である。排水処理システム2100においては、排水は、重金属化合物回収装置2109を経た後、第1の曝気槽2101、第1の沈殿槽2102、及び第2の曝気槽2103をこの順に移送されつつ、生物処理される。
第1の曝気槽2101及び第2の曝気槽2103における曝気方式としては、完全混合方式、プラグフロー方式、ステップフィード方式等、公知の曝気方式を特に制限なく採用できる。第1の曝気槽2101及び第2の曝気槽2103の運転条件としては、曝気槽中のMLSS(単位:mg/L)は通常1000〜15000、好ましくは3,000〜7,000である。また、CODCr容積負荷(単位:CODCr−kg/m/日)は通常0.5〜10、好ましくは1〜5である。また、CODCr除去率は通常95%〜99%、好ましくは96%〜99.5%である。
排水処理システム2100においては、第2の曝気槽2103内に、MF膜モジュール2105が配設されている。すなわち第2の曝気槽2103は膜分離活性汚泥処理装置(メンブレンバイオリアクター、MBR)を構成している。膜モジュールを有しない一般の排水処理システムにおいては、沈殿槽で沈降性が悪化すると固液分離が不十分となり、上澄み液に多量の懸濁物質が混入する、バルキング現象が発生するおそれがある。膜分離活性汚泥処理装置によれば、このバルキング現象を回避できるので、沈殿槽(排水処理システム2100においては第2の沈殿槽2104)が不要になり、MLSSの高濃度化運転が可能になり、また、処理設備の小型化が可能になる等の利点がある。
排水処理システム2100において、重金属化合物回収装置2109を経て第1の曝気槽2101で生物処理を受けた後、第1の沈殿槽2102で活性汚泥と分離された上澄み液は、第2の曝気槽2103に移される。第2の曝気槽2103にはMF膜モジュール2105が配設されているので、活性汚泥(微生物)と透過水とを沈殿に依らず膜により固液分離することができる。よって、活性汚泥と透過水との最終的な固液分離を行うために第2の沈殿槽2104を設置する必要がないので、設備の設置面積を低減できる。
また、排水処理システム2100においては、第1の曝気槽2101ではMLSS(mg/L)にして1000〜6000、第2の曝気槽2103ではMLSS(mg/L)にして6000〜12000と、膜モジュールを有しない一般的な排水処理システムに比較して大幅に高い濃度での運転が可能になる。
(MF膜モジュール2105)
排水処理システム2100においては膜分離にMF膜を使用する。MF膜は、概ね0.1μm〜10μmの不溶性固体を濾過する膜である。MF膜の材質としては、高分子材料、例えばポリプロピレン、ポリエチレン、酢酸セルロース、芳香族ポリアミド、ポリビニルアルコール、ポリフッ化ビニリデン、ポリスルホン、ポリカーボネート等が挙げられる。MF膜の孔径は通常0.03μm〜10μmであるが、用途に応じてさらに微細な膜を使用することも可能である。膜分離活性汚泥処理装置用には、孔径0.03μm〜0.4μmのMF膜が好ましい。膜素材は、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリフッ化ビニリデン等が特に好ましい。膜モジュールの形態は、中空糸型、平膜型、チューブラー型、スパイラル型等を特に制限なく採用できるが、これらの中でも中空糸型及び平膜型を特に好ましく採用できる。これらの具体例としては、膜分離活性汚泥処理装置用として市販されている、「ステラポアーSADF(登録商標)」(三菱レイヨン株式会社)、「メンブレイ(登録商標)」(東レ株式会社)、「マイクローザ(登録商標)」(旭化成ケミカルズ株式会社)等が挙げられる。
MF膜モジュール2105において使用可能な濾過方法としては、濾過面に懸濁物質を堆積しつつ行う通常のデッドエンド濾過(全量濾過ともいう)と、膜面に平行な流れを作り出し、流れの方向を膜透過方向と略直交させて、常に懸濁物質を再分散させるクロスフロー濾過とがあり、設置方法や使用方法に応じて適宜選択することができる。ただし、クロスフロー濾過によれば膜汚れ及び濃度分極現象を低減できるので、濾過効率を向上でき好ましい。以下においてはクロスフロー濾過を行うものとして説明する。
MF膜モジュール2105における膜設置方法は、懸垂方式及び平置き方式等から適宜選択できる。懸垂方式においては、膜モジュールを曝気槽内に垂直に設置し、曝気槽内に発生する空気上昇流により、膜モジュール表面でクロスフロー濾過を行う。懸垂方式における散気条件は、線速度にして50m/時〜100m/時が好ましい。平置き方式においては、設置された平膜の下部から線速度50m/時〜100m/時で散気を行い、膜表面にクロスフロー流を生じさせ、クロスフロー濾過を行う。
MF膜モジュール2105における膜濾過時には、減圧吸引方式を採用することが好ましい。すなわち、透過水の出側を減圧にして、水にMF膜中を移動させる駆動力である圧力差を高めることが好ましい。減圧吸引方式を採用する場合には、透過水出側の圧力は初期差圧から15kPa上昇の範囲内で運転するのが好ましい。また濾過温度は好ましくは10℃〜50℃、より好ましくは15℃〜40℃である。処理能力(運転速度)としては、日平均フラックス(単位:m/日)にして好ましくは0.05〜2.0、より好ましくは0.1〜1.0、さらに好ましくは0.4〜0.6で運転することが好ましい。
(薬液タンク)
排水処理システム2100は、MF膜モジュール2105を洗浄する次亜塩素酸塩水溶液を貯蔵する第1の薬液タンク(図示略)と;MF膜モジュール2105を洗浄する酸水溶液を貯蔵する第2の薬液タンク(図示略)と;第1の薬液タンク及び第2の薬液タンクからのMF膜モジュール2105への薬液の供給を制御する制御部(図示略)とをさらに有する。これら第1の薬液タンク、第2の薬液タンク、及び制御部は、本発明の第1の態様に係る排水処理方法に関連して図2及び図5を参照しつつ上記説明したものと同様の構成を有する。
MF膜モジュール2105において、膜表面への堆積による閉塞(ファウリング)防止は重要である。クロスフローや曝気する空気により、膜表面への堆積速度を低減することは可能であるが、長期的には目詰まりは避けられない。膜表面への堆積が進行すると、膜間差圧が上昇する。膜間差圧が一定値を超えると、薬液による膜洗浄が必要となる。膜洗浄に使用可能な薬液としては、本発明の排水処理方法に関する上記説明において例示したものが挙げられる。膜洗浄は、本発明の排水処理方法に関して上記説明したステップ(e)、(f)と同様に行う。
(RO膜濾過装置2106)
MF膜モジュール2105で膜分離された透過水aは、中間タンク(図示略)を経て、逆浸透膜濾過装置2106(以下、逆浸透膜を「RO膜」、逆浸透膜濾過装置を「RO膜濾過装置」とも記す。)に移送され、RO膜による膜分離処理により、金属イオン類及び残存有機物等の除去を受ける。RO膜分離処理に使用されるRO膜の材質としては、ポリエチレン、芳香族ポリアミドや架橋芳香族ポリアミドを含むポリアミド、脂肪族アミン縮合系ポリマー、複素環ポリマー、ポリビニルアルコール、及び酢酸セルロースの高分子材料を挙げることができ、これらから適宜選択することができる。また、2種以上の材質の混合物を採用することも可能である。本発明では、この中でも特に、芳香族ポリアミドや架橋芳香族ポリアミドを含むポリアミド等が分離性能が高く、好ましいものとして推奨される。RO膜の膜形態としては、非対称膜、及び複合膜等が挙げられ、これらの中から適宜選択することができる。2種以上のRO膜を組み合わせて使用することも可能である。また、膜表面への付着抑止性能を向上させた低ファウリング膜も好ましく採用することができる。また、RO膜分離処理に用いる膜モジュールの形態としては、中空糸膜型、スパイラル膜型、チューブラー膜型、平膜型、プリーツ型等を例示でき、これらの中から選ばれる1種又は2種以上の膜モジュールを採用できる。この中でも、モジュールの膜面積が大きく、装置のコンパクト化に有利である観点から、スパイラル膜型モジュールが好ましい。これらの具体例としては、「低圧スパイラル型RO膜エレメント」シリーズ(日東電工株式会社)、「フィルムテック(登録商標)」シリーズ(ザ・ダウ・ケミカル・カンパニー)、「ロメンブラ(登録商標)」(東レ株式会社)等が挙げられる。なお、RO膜モジュールの入口にプレフィルターを設置し、膜の保護をすることが望ましい。
RO膜濾過装置2106での膜分離処理における透過率(透過水重量/仕込み水重量×100%)は、50%〜90%が望ましい。より好ましくは60%〜80%である。透過率が過大であると透過水中の不純物が増加し、回収水の水質に悪影響を与えるおそれがある。また、RO膜分離処理は加圧下で行われる。RO膜分離処理における必要圧力は、RO膜に通過させる透過水中のイオン濃度や透過率によって決まるが、通常はゲージ圧にして0.5MPaG〜5.5MPaG、好ましくは1.1MPaG〜3.1MPaGの範囲内で操作される。また処理温度は好ましくは10℃〜50℃であり、より好ましくは15℃〜40℃である。なお、処理温度の決定にあたっては、膜素材の耐熱性に留意する必要がある。またクロスフローにおける透過水aの線速度は60m/分〜240m/分が好ましい。
RO膜の再生処理において薬剤を使用する場合は、薬剤による膜洗浄は2ヶ月に1回程度で実施し、性能の維持に努めることが好ましい。RO膜の再生処理剤として使用可能な薬剤としては重亜硫酸塩、次亜塩素酸塩、クエン酸、シュウ酸、過酢酸等が挙げられ、本発明では、この中でも重亜硫酸塩、次亜塩素酸塩、クエン酸等が好ましい。また、RO膜濾過装置2106に流入する透過水aのpHが高いので、塩類の析出防止のために、RO膜に接触させる前に酸性化処理を行うことが好ましい。好ましいpHは通常5.0〜8.0、より好ましくは6.0〜7.5である。
上述したように、テレフタル酸製造プロセスから排出される排水には、浮遊物質(SS)、酸化反応で使用されるコバルト、マンガン等の重金属、アルカリ金属、COD、含窒素化合物等が含有されている。本発明のテレフタル酸の製造方法の排水処理プロセスで処理される排水は、MF膜モジュール2105に流入する時点で、水中不溶物質の濃度がSS値にして100mg/L以下又は濁度(Turbidity)にして100NTU以下、水可溶性有機物質の濃度がCODCrにして100mg/L以下且つBODにして10mg/L以下、水可溶性無機物質の濃度の指標として電気伝導度が500〜10,000μS/cm、pHが5.0〜9.5の性状を有することが好ましい。pHは通常8以上でありアルカリ性を示しているが、本発明ではpHが5.0〜9.5の範囲であれば膜分離による処理が可能である。
上述した性状を有する排水をMF膜モジュール2105以下、図11に示すフローにて処理すると、RO膜濾過装置2106から水質の良好なRO膜透過水bを回収することができる。RO膜透過水bの水質は、透過率にも依存するが、コバルト、マンガン等の金属イオン及び残留有機物のほとんどが除去されて、高い水質となっている。RO膜透過水bは再利用水槽2107に蓄えられ、再利用水槽2107から工業用水(冷却水)dとしてテレフタル酸製造プロセスに供給されるか、又は後述する吸着剤処理装置2108に移送されさらに吸着剤処理を経て吸着精製水eとしてテレフタル酸製造プロセスに供給される。RO膜透過水bを工業用水(冷却水)dの供給及び吸着精製水eの製造に振り分ける比率は適宜選択することができる。
従来技術においては、テレフタル酸製造プロセスからの排水を排水処理した後の水を工業用水として使用することは困難であった。本発明によれば、排水処理後の水をテレフタル酸製造プロセスにおいて再利用することが可能となる。例えば、テレフタル酸製造プロセスにおいて、再冷塔への補給水をはじめとした工業用水として再利用することが可能である。特に、複数の濾過膜装置(例えば本実施形態においては、MF膜モジュール2105及びRO膜濾過装置2106。)を組み合わせて膜分離処理を行うことにより、当該効果を奏することが一層容易になる。
一方、RO膜濾過装置2106から排出されるRO膜濃縮水cには各種不純物が濃縮されて含まれているが、処理される排水の性状が上記範囲内であれば、これ以上の処理を施さずに公共水域へ放流することができる程度まで水質が向上されている。濃縮水は、必要に応じさらにオゾン処理を行ってから公共水域に放流してもよい。なお、放流水質を管理する方法としては、光透過率を監視する方法を挙げることができる。
(吸着剤処理装置2108)
RO膜透過水bをプロセス水として使用するにあたっては、吸着剤処理装置2108において各種吸着剤から選ばれる吸着剤を使用して吸着剤処理を施すことにより、さらに精製度(純度)を向上させることが可能となる。このように水の純度(水質)を向上させることにより、回収再生した水の用途範囲を拡大することが可能となる。吸着剤処理装置2108から回収された吸着精製水eは、テレフタル酸製造プロセスに供給され、プロセス水としてより好ましく利用される。吸着精製水eのプロセス水としての用途としては、例えば、水素添加処理工程(iii)の水素添加反応時に用いる溶媒の一部として用いる用途や、第2の固液分離工程(v)のテレフタル酸の固液分離処理における洗浄用水の一部として用いる用途等を挙げることができる。なお、吸着剤処理装置2108から排出される吸着剤処理排水fは、第1の曝気槽2101に移送され、再度生物処理される。
吸着剤処理装置2108において使用可能な吸着剤としては、活性炭、イオン交換樹脂、合成ゼオライト、シリカアルミナ、ベントナイト、アルミン酸アルカリ土類金属塩等を例示できる。これらの中から少なくとも1種の吸着剤を選択して使用することができる。また、シリカ、アルミナ、シリカアルミナ、合成ゼオライト、アルミン酸アルカリ土類金属塩等から選ばれる2種以上の化合物を組み合わせて用いる場合には、これらを混合した混合物を吸着剤として使用してもよく、該混合物を反応させて得られた化合物を吸着剤として使用してもよい。
吸着剤処理装置2108において使用可能な吸着剤としては、木質系活性炭と石炭系活性炭等を挙げることができ、これらの中から少なくとも1種を選択して使用することができる。なお、2種以上の活性炭を組み合わせる場合には、該2種以上の活性炭を混合しても用いても、混合せずに夫々単独のものを複数個の充填塔に分けて用いてもよい。
吸着剤処理装置2108において使用可能なイオン交換樹脂としては、陽イオン交換樹脂、陰イオン交換樹脂、中間塩基性イオン交換樹脂等を挙げることができ、これらの中から少なくとも1種を選択して用いることができる。なお、2種以上のイオン交換樹脂を組み合わせて用いる場合には、該2種以上のイオン交換樹脂を混合して用いても、混合せずに夫々単独のものを複数個の充填塔に分けて用いてもよい。
吸着剤処理装置2108において使用可能な陽イオン交換樹脂としては、官能基としてカルボキシル基等の弱酸基を有する弱酸性陽イオン交換樹脂と、スルホン酸基等の強酸基を有する強酸性陽イオン交換樹脂とがあり、本発明においてはいずれも使用可能である。ただし、本発明においては強酸性陽イオン交換樹脂を用いることが好ましい。これらの具体例としては、ダイヤイオンHP20(登録商標)、セパビーズSP825(登録商標)、セパビーズSP207(登録商標)(以上いずれも三菱化学株式会社製)、AMBERLITE XAD4(登録商標)、AMBERLITE XAD7(登録商標)(以上いずれもローム&ハース社製)等が挙げられる。吸着剤処理装置2108において使用可能な陰イオン交換樹脂としては、弱塩基性陰イオン交換樹脂、強塩基性陰イオン交換樹脂のいずれも使用可能である。強塩基性陰イオン交換樹脂の具体例としてはダイヤイオンSA10A、SA12A、UBA120(登録商標)(以上いずれも三菱化学株式会社製)等が挙げられる。また、弱塩基性陰イオン交換樹脂の具体例としてはダイヤイオンWA10、WA20、WA30等(登録商標)(以上いずれも三菱化学株式会社製)が挙げられる。また、吸着剤処理装置2108において使用可能な中間塩基性イオン交換樹脂としては、具体例としてIONAC−365(登録商標)(Sybron Corp.)等が挙げられる。
吸着剤処理装置2108において使用可能な合成ゼオライトとしては、ソーダライト、A型、X型、Y型等の各種合成ゼオライトを挙げることができ、これらの中から1種又は2種以上を選んで用いることができる。これらの中でもA型ゼオライトが好ましい。また、合成ゼオライトの好ましい細孔径は、0.2nm〜1.0nmである。
吸着剤処理装置2108において使用可能なアルミン酸アルカリ土類金属塩としては、具体的にはアルミン酸マグネシウム(Mg(AlO)、アルミン酸カルシウム(Ca(AlO)、アルミン酸バリウム(Ba(AlO)等を挙げることができる。
吸着剤処理装置2108において用いる吸着剤は、大きな比表面積を有することが好ましい。具体的にはBET比表面積にして50m/g以上が好ましく、100m/g以上がより好ましい。吸着剤処理装置2108において用いる吸着剤の形状は、細かく粉砕した粉砕品(粉末状品)や、篩い分けを施した顆粒状のもの等が入手可能であり、いずれも使用可能である。工業的には固定床や流動床等に充填されて使用される場合が多いため、圧損を考慮すると顆粒状のものが好ましい。なお、粉砕状(粉末状)の吸着剤と顆粒状の吸着剤との混合物を使用してもよい。
吸着剤処理装置2108において、吸着剤とRO膜透過水bとを接触させる方式としては、充填塔を用いる方式(充填塔方式)、流動層方式、移動槽方式、及び攪拌槽方式等の各種方式を特に制限なく用いることができる。ただし、吸着処理と同時に並行して後述する吸着剤の賦活処理を行うことが容易である観点からは、充填塔方式が好ましい。
なお、吸着量の飽和に伴う吸着剤処理装置2108の停止時間を短縮できる観点からは、吸着と同時に並行して吸着剤の賦活を行うことが好ましい。例えば、吸着剤処理装置2108に充填塔方式を採用している場合には、複数の充填塔を設置して、一部の充填塔が吸着に使用されている間に他の充填塔の賦活を行う、いわゆるメリーゴーラウンド方式で運転する方法を好ましく採用することができる。
吸着剤の賦活に用いる賦活剤、及び賦活処理条件は、用いる吸着剤によって異なる。イオン交換樹脂の場合、用いるイオン交換樹脂種によって異なるが、一般的に陽イオン交換樹脂の場合は、硫酸、塩酸、臭化水素酸、酢酸等が使用可能である。賦活処理の温度としては、陽イオン交換樹脂の耐熱性の観点から、最大100℃であり、好ましくは80℃付近である。一方、陰イオン交換樹脂や中間塩基性イオン交換樹脂の場合には、賦活剤としては苛性ソーダ、アンモニア、炭酸ソーダ等が使用可能である。賦活処理の温度としては、最大80℃であり、好ましくは60℃である。
一方、シリカ、アルミナ、シリカアルミナ、合成ゼオライト、アルミン酸アルカリ土類金属塩から選ばれる1種又は2種以上を使用する場合(2種以上を混合及び反応させて得た生成物を用いる場合を含む)には、賦活剤としては酢酸、臭化水素酸、スチーム等が好ましく、賦活処理温度は20℃〜60℃を好ましく採用できる。
公共水域への排水量の観点から見ると、従来、生物処理後の排水を大量に公共水域へ排出してきたが、本発明によれば、回収及び再生により、テレフタル酸製造プロセスにおいて再利用される水量が大幅に増加するので、排水量を通常、従来に比べて2分の1から3分の1程度にまで低減できる。その結果として、資源としてくみ上げる地下水量も大幅に低減することができる。具体的には従来、前記工程(i)〜(vi)から排出され、生物処理に供された排水のうち好ましくは60%以上、より好ましくは70%以上、さらに好ましくは80%以上を透過水として回収し、テレフタル酸製造プロセスにおける冷却水及び/又はプロセス水として使用することができる。
(他の実施形態)
本発明のテレフタル酸の製造方法に関する上記説明では、重金属濃度低減ステップの後、好気性生物処理を2段階で行う形態のテレフタル酸の製造方法を例示したが、本発明のテレフタル酸の製造方法は当該形態に限定されない。膜処理濾過システムを第1の曝気槽のみ有する構成とし、第1の沈殿槽及び第2の曝気槽を使用しない形態(1段階のみ)とすることも可能である。このように1段階のみで行う場合には、MF膜モジュールは、例えば図5に示したように、第1の曝気槽内に設置することができる。かかる形態においては、上記説明した排水処理プロセス(vii)に代えて、例えば下記のステップ(γ)及び(c)〜(f)を有する排水処理プロセス(vii’)を採用することができる。
(γ)工程(i)〜(vi)からの排水中の重金属化合物を回収することにより、排水中の重金属濃度を低減して処理排水とする、重金属濃度低減ステップ。
(c)重金属濃度低減ステップを経た処理排水を、膜分離活性汚泥処理装置にて、活性汚泥中の好気性微生物によって生物処理を行いながら、膜モジュールによって汚泥と透過水とに固液分離する、膜分離ステップ。
(d)逆浸透膜濾過装置にて、膜モジュールを透過した透過水を逆浸透膜によって濾過し、逆浸透膜を透過した精製水と透過しなかった濃縮水とに分離する、逆浸透膜濾過ステップ。
(e)次亜塩素酸塩水溶液によって膜モジュールを洗浄する、次亜塩素酸塩洗浄ステップ。
(f)酸水溶液によって膜モジュールを洗浄する、酸洗浄ステップ。
なおステップ(γ)及び(c)〜(f)は、本発明の排水処理方法に関連して上記説明したステップ(γ)及び(c)〜(f)と同様に行われる。
ただし、活性汚泥の固液分離状況が良好になり、沈殿槽への懸濁物質の流入を低減できる観点からは、上述した排水処理システム2100のように生物処理を2段階で行うことが好ましい。なお、好気性生物処理を1段階で行う場合には、MF膜に接触する排水の汚染度が高いため、膜分離処理での処理能力が低下し易いために膜洗浄頻度が増加する傾向にある。排水処理システムの新規建設に際しては、生物処理を1段階のみで行うことによる膜洗浄費用の増大と、設備費、運転経費の低減等とのコスト比較の上、生物処理を1段階のみで行う態様及び生物処理を2段階で行う態様のいずれを採用するか選定すればよい。
上述した本発明のテレフタル酸の製造方法に関する説明では、MF膜モジュール2105が第2の曝気槽2103内に配設された排水処理システム2100を用いる形態のテレフタル酸の製造方法を例示したが、本発明のテレフタル酸の製造方法は当該形態に限定されない。MF膜モジュールの設置場所は曝気槽内に限定されるものではなく、外部に小容量の一つ以上の槽(容器)を設け、該槽内に該膜モジュールを配設して、活性汚泥を外部循環させながら膜分離する形態とすることも可能である。このような形態によれば、保守管理の手間を低減することが容易になる。
また、生物処理を1段階のみで行う場合にあってはMF膜モジュールを第1の沈殿槽の出口に、生物処理を2段階で行う場合にあってはMF膜モジュールを第2の沈殿槽の出口に配設する形態とすることも可能である。このような形態において使用可能なMF膜の具体例としては、「ステラポアーLFB」(登録商標)、「ステラポアーG」(登録商標)(いずれも三菱レイヨン株式会社製)、「トレフィルF」(登録商標)(東レ株式会社製)、「マイクローザ」(登録商標)(旭化成ケミカル株式会社製)等を挙げることができる。ただし、沈殿槽が不要になること、及び、曝気層内のMLSS濃度の高負荷処理が可能で設備を小型化できること等の観点からは、曝気槽(生物処理を1段階のみで行う場合にあっては第1の曝気槽、生物処理を2段階で行う場合にあっては第2の曝気槽)中にMF膜モジュールを設置する膜分離活性汚泥処理装置を採用することが好ましい。
上述した本発明のテレフタル酸の製造方法に関する説明では、MF膜により膜分離を行うMF膜モジュール2105を有する排水処理システム2100を用いる形態のテレフタル酸の製造方法を例示したが、本発明のテレフタル酸の製造方法は当該形態に限定されない。MF膜の代わりに、後述する限外濾過膜(UF膜)を用いて膜分離を行う形態とすることも可能である。
上述した本発明のテレフタル酸の製造方法に関する説明では、RO膜濾過装置2106においてRO膜を用いて膜分離を行う形態のテレフタル酸の製造方法を例示したが、本発明のテレフタル酸の製造方法は当該形態に限定されない。RO膜に代えて、ルーズRO膜ともナノ濾過膜(NF膜)とも称される、UF膜とRO膜との中間に位置づけられる膜を用いることも可能である。このようなNF膜では、操作圧力が0.2MPa〜1.5MPa程度となり、RO膜を採用した場合よりも低圧運転が可能であるので、より小型のポンプを採用でき、また運転に要するエネルギーを低減することが可能である。なお、RO膜に代えてNF膜を採用した場合であっても、膜の構造、素材、製造法等はRO膜と同様とすることができる。
(A−2.テレフタル酸の製造における第2の実施形態)
図12は、第1の代表的なテレフタル酸の製造方法において、テレフタル酸製造プロセスから排出される排水を処理する排水処理システム2200の最上流に上記説明した図1の重金属化合物回収装置が導入されており、排水中の重金属濃度を低減した処理排水を生物処理した後に、限外濾過膜(UF膜)による膜分離処理を行う実施形態を説明する図である。図12に示すように、本実施形態における排水処理プロセスにおいては、重金属化合物回収装置2109と、第1の曝気槽2101と、第1の沈殿槽2102と、第2の曝気槽2103aと、第2の沈殿槽2104aと、第2の沈殿槽2104aに接続されたUF膜ユニット2110と、UF膜ユニット2110に接続されたRO膜濾過装置2106と、RO膜濾過装置2106に接続された再利用水槽2107と、再利用水槽2107に接続された吸着剤処理装置2108とを具備する排水処理システム2200を用いる。これらのうち第2の曝気槽2103a、第2の沈殿槽2104a、排水処理システム2200及びUF膜ユニット2110以外については図11を参照しつつ上記説明した第1の実施形態と同様であるため、図11における符号と同一の符号を付し適宜説明を省略する。
(排水処理システム2200)
排水処理システム2200は、図1に示した構成を有する重金属化合物回収装置2109と、第1の曝気槽2101と、第1の曝気槽2101に接続された第1の沈殿槽2102と、第1の沈殿槽2102に接続された第2の曝気槽2103aと、第2の曝気槽2103aに接続された第2の沈殿槽2104aと、第2の沈殿槽2104aに接続されたUF膜ユニット2110と、UF膜ユニット2110に接続されたRO膜濾過装置2106と、RO膜濾過装置2106に接続された再利用水槽2107と、再利用水槽2107に接続された吸着剤処理装置2108とを具備する。排水処理システム2200が図11中の排水処理システム2100と異なる点は、第2の曝気槽2103aにMF膜モジュール2105が配設されていない点、第2の沈殿槽2104aを使用する点、及び、第2の沈殿槽2104aの出側にUF膜ユニット2110を配設する点である。排水処理システム2200においては、排水は第1の曝気槽2101、第1の沈殿槽2102、第2の曝気槽2103a、及び第2の沈殿槽2104aをこの順に移送され、好気性生物処理を2段階で施される。第1及び第2の曝気槽2101、2103aの運転条件等は排水処理システム2100における曝気槽の運転条件と同様である。第1の曝気槽2101〜第2の沈殿槽2104aの各槽を順に移送されて好気性生物処理を2段階で施された透過水hは、第2の沈殿槽2104aに接続されたUF膜ユニット2110に移送される。
(UF膜ユニット2110)
UF膜ユニット2110において、透過水hは限外濾過膜(UF膜)モジュールによって膜分離処理される。UF膜を透過したUF膜透過水iは、中間タンク(図示略)を介してUF膜ユニット2110に接続されたRO膜濾過装置2106に移送される。
UF膜モジュールが具備するUF膜は、孔径が概ね2nm〜200nmであり、RO膜よりは大きく、精密濾過膜(MF膜)よりは小さい。UF膜の材質としては、ポリサルフォン、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリ塩化ビニリデン、ポリフッ化ビニリデン、芳香族ポリアミド膜、ポリビニルアルコール、酢酸セルロース、ポリアクリロニトリルから選ばれる1種又は2種以上の組み合わせを用いることができる。この中でも、排水中の不純物の影響を受けにくい等の観点からは、ポリプロピレン、ポリフッ化ビニリデン、芳香族ポリアミド等が好ましい。
UF膜ユニット2110が具備するUF膜モジュールとしては、中空糸膜型、スパイラル膜型、チューブラー膜型、平膜型から選ばれる1種又は2種以上の組み合わせを用いることができる。中でも中空糸膜、及び/又はスパイラル膜型のUF膜モジュールが好ましい。UF膜ユニット2110において好ましく採用できるUF膜モジュールの具体例としては、「トレフィル(登録商標)」シリーズ(東レ株式会社製)、「キャピラリー型UF膜モジュール」シリーズ(日東電工株式会社製)、「マイクローザ(登録商標)」シリーズ(旭化成ケミカル株式会社製)、UF膜モジュール「モルセップ(登録商標)」(ダイセン・メンブレン・システムズ株式会社製)等が挙げられる。
UF膜分離処理は、基本的には水と、水に不溶な固体物質(固形物)及び一部の水可溶物質とを固液分離する処理である。UF膜ユニット2110における濾過(膜分離)操作は常圧下、加圧下、減圧下いずれでも行うことができるが、工業的には加圧下又は減圧下で行うことが好ましい。UF膜を挟む両空間の圧力差が大きいほど、処理能力が向上する。また、UF膜分離処理を行う温度としては10℃〜50℃が好ましく、より好ましくは15℃〜40℃である。処理能力(運転速度)としてはUF膜透過水iの日平均フラックス(単位:L/m・d)にして10〜200で運転するのが好ましい。
濾過方法は、デッドエンド濾過(全量通過)とすることも不可能ではないが、UF膜の孔径は小さいため、デッドエンド濾過を採用した場合には、膜表面への堆積による膜の閉塞(ファウリング)が短時間で発生し易い。このため、通常はUF膜の表面に沿って、一定方向に透過水hを供給し、微粒子や不純物が濃縮された水(濃縮水)を連続的に排出しながら、又は送液側に戻しながら膜分離(濾過)を行う、クロスフロー方式を採用することが好ましい。クロスフロー濾過を行う場合の透過水hの線速度は、60m/分〜240m/分が好ましい。
固形物の圧縮性が強い場合、濾過速度が低下し、濾過の所要時間が長期化するので、プレコート材(濾過助剤)を添加して濾過速度の低下を抑制することが好ましい。濾過助剤としては一般には珪藻土、パーライト、活性炭等が使用可能であるが、コストを低減することが容易である等の観点からは安価な珪藻土、パーライト等を用いることが好ましい。
(薬液タンク)
排水処理システム2200は、UF膜ユニット2110のUF膜モジュールを洗浄する次亜塩素酸塩水溶液を貯蔵する第1の薬液タンク(図示略)と;UF膜ユニット2110のUF膜モジュールを洗浄する酸水溶液を貯蔵する第2の薬液タンク(図示略)と;第1の薬液タンク及び第2の薬液タンクからのUF膜ユニット2110のUF膜モジュールへの薬液の供給を制御する制御部(図示略)とをさらに有する。これら第1の薬液タンク、第2の薬液タンク、及び制御部は、本発明の第1の態様に係る排水処理方法に関連して図2及び図5を参照しつつ上記説明したものと同様の構成を有する。
UF膜ユニット2110のUF膜モジュールにおいても、上記説明した図11の実施形態におけるMF膜モジュール2105等と同様に、膜表面への堆積が進行すると膜間差圧が上昇する。膜間差圧が一定値を超えると、薬液による膜洗浄等が必要となる。膜洗浄に使用可能な薬液としては、本発明の排水処理方法に関する上記説明において例示したものが挙げられる。膜洗浄は、本発明の排水処理方法に関して上記説明したステップ(e)、(f)と同様に行う。
(RO膜濾過装置2106)
UF膜ユニット2110での膜分離処理により得られたUF膜透過水iは、中間タンク(図示略)を経て、RO膜濾過装置2106に移送され、微量の金属イオン類及び残存有機物等の除去を施される。UF膜の膜洗浄により発生したUF膜洗浄排水oは、第2の曝気槽2103aに移送され処理される。
本実施形態において処理される排水の、好気性生物処理後の水質としては、UF膜ユニット2110に流入する時点で、水中不溶物質の濃度がSS値で50mg/L以下、又は濁度(Turbidity)で50NTU以下、水可溶性有機物質の濃度がCODCrで100mg/L以下、BODで10mg/L以下、水可溶性無機物質の濃度の指標として電気伝導度が500〜10,000μS/cm、pHが5.0〜9.5の性状を有することが好ましい。pHは通常8以上でありアルカリ性を示しているが、本発明ではpHが5.0〜9.5の範囲内であれば膜分離による処理が可能である。
上述した性状を有する排水を、UF膜ユニット2110以下、図12に示したフローにて処理すると、RO膜濾過装置2106から水質の良好なRO膜透過水kを回収することができる。RO膜透過水kの水質は、透過率にも依存するが、金属イオン及び残留有機物のほとんどが除去されて、高い水質となっている。RO膜透過水kは再利用水槽2107に蓄えられ、再利用水槽2107から工業用水l(冷却水)としてテレフタル酸製造プロセスに供給されるか、又は後述する吸着剤処理装置2108に移送されさらに吸着剤処理を経て吸着精製水mとしてテレフタル酸製造プロセスに供給される。なお、RO膜透過水kを工業用水(冷却水)lの供給及び吸着精製水mの製造に振り分ける比率は適宜選択することができる。
特に、複数の濾過膜装置(例えば本実施形態においては、UF膜ユニット2110及びRO膜濾過装置2106。)を組み合わせて膜分離処理を行うことにより、上述した効果を奏することが一層容易になる。
一方、RO膜濾過装置2106から排出されるRO膜濃縮水jには、各種不純物が濃縮されて含まれているが、処理される排水の性状が上述した範囲内であれば、これ以上の処理を施さずに公共水域へ放流することができる程度まで水質が向上されている。RO膜濃縮水jの放流に関しては、図11に示した実施形態について上記説明したRO膜濃縮水cと同様である。
(吸着剤処理装置2108)
RO膜透過水kをプロセス水として使用するにあたっては、吸着剤処理装置2108において各種吸着剤から選ばれる吸着剤を使用して吸着剤処理を施すことにより、さらに精製度(純度)を向上させることが可能となり、その結果回収再生した水の用途範囲を拡大することが可能となること等は、第1の実施形態(図11)に関連して上記説明したRO膜透過水bと同様である。吸着剤処理装置2108から回収された吸着精製水mは、第1の実施形態(図11)に関連して上記説明した吸着精製水eと同様に、プロセス水としてより好ましく利用することができる。吸着剤処理装置2108における吸着剤及び処理の詳細については既に述べた。吸着剤処理装置2108から排出される吸着剤処理排水nは、第1の曝気槽2101に移送され、再度生物処理される。
公共水域への排水量の観点から見ると、従来、生物処理後の排水を大量に公共水域へ排出してきた。本実施形態(図12)においても、第1の実施形態(図11)と同様に、水の回収及び再生により、テレフタル酸製造プロセスにおいて再利用される水量が大幅に増加するので、排水量を通常、従来に比べて2分の1から3分の1程度にまで低減できる。その結果として、資源としてくみ上げる地下水量も大幅に低減することができる。具体的には、テレフタル酸製造プロセスの上記工程(i)〜(vi)から排出され、従来行われていた生物処理に供された排水のうち好ましくは80%以上、より好ましくは70%以上、更に好ましくは60%以上を膜透過水として回収し、テレフタル酸製造プロセスにおける冷却水及び/又はプロセス水として使用することができる。
(B.第2の代表的なテレフタル酸の製造方法)
図13は、第2の代表的なテレフタル酸の製造方法における工程フロー及び物質フローを説明する図である。第2の代表的なテレフタル酸の製造方法は、下記工程(viii)〜(xii)を有するテレフタル酸製造プロセスと、排水処理プロセス(xiii)とを有する。
(viii)含水酢酸中、p−キシレンを酸化して、粗テレフタル酸スラリーを得る工程(以下、「酸化反応工程(viii)」とも記す。)。
(ix)粗テレフタル酸スラリーを、p−キシレンを供給せずに、さらに高温条件下で追加的な酸化反応に供してテレフタル酸スラリーを得る工程(以下、「追酸化工程(ix)」とも記す。)。
(x)テレフタル酸スラリーを固液分離してテレフタル酸ケーキを得る工程(以下、「固液分離工程(x)」とも記す。)。
(xi)テレフタル酸ケーキを乾燥してテレフタル酸を得る工程(以下、「乾燥工程(xi)」とも記す。)。
(xii)固液分離後の母液から触媒、溶媒等の有価物を回収再生する工程(以下、「母液回収再生工程(xii)」とも記す。)。
(xiii)前記工程(viii)〜(xii)から排出される排水の全量又は一部に対して重金属濃度の低減処理を施し、好気性生物処理後、逆浸透膜処理、さらに吸着剤処理をして透過水を製造プロセス内にリサイクルし、残りを公共水域へ放流する排水処理プロセス(以下、「排水処理プロセス(xiii)」とも記す。)。
(酸化反応工程(viii))
酸化反応工程(viii)では、酸化反応装置2511で含水酢酸を溶媒とし、触媒の存在下、分子状酸素含有ガスを用いてp−キシレンを酸化する工程である。該触媒としては、コバルト、マンガン等の遷移金属の化合物及び/又は臭化水素酸等のハロゲン化水素等が挙げられる。酸化反応工程(viii)により、粗テレフタル酸スラリー251’が得られる。反応温度は通常180℃〜230℃であり、好ましくは190℃〜210℃である。反応圧力は、少なくとも反応温度において、混合物が液相を保持できる圧力以上である必要があり、具体的には0.3MPa〜10MPa(絶対圧)が好ましく、1〜3MPa(絶対圧)がより好ましい。
酸化反応工程(viii)からは、酸化反応のために酸化反応装置2511に導入される分子状酸素含有ガスに同伴して、溶媒の酢酸、反応で副生する水、その他の不純物、未反応原料等を含有する高温高圧ガスが排出される。該高温高圧ガスは、吸収塔(図示略)等を通され、その過程で該高温高圧ガスから有価物、エネルギー等を回収して再利用に供した後、残ったガスを燃焼処理する。燃焼処理後の排ガスをアルカリ水等と接触洗浄した後、ガスは大気放出され、残った酸化排ガス洗浄水255’は排水処理システム2518に移送される。
(追酸化工程(ix))
追酸化工程(ix)は、酸化反応で得られた粗テレフタル酸スラリー251’が追酸化反応装置2512に移送されて、分子状酸素含有ガスを供給して高温度でさらに酸化される工程である。追酸化工程(ix)により、テレフタル酸スラリー252’が得られる。反応温度は通常235℃〜290℃、好ましくは240℃〜280℃であり、圧力は通常3MPa〜10MPa(絶対圧)が好ましい。粗テレフタル酸スラリー251’中のテレフタル酸粒子の一部が溶解し、粒子中の酸化中間体、未反応原料等が酸化されて、不純物濃度が低減され精製効果が生じる。高温高圧の排ガスは酸化反応工程(viii)から生じる高温高圧ガスと同様に処理されて、残りの追酸化排ガス洗浄水256’は酸化反応工程(viii)の酸化排ガス洗浄水255’とともに、排水処理システム2518に移送される。
(固液分離工程(x)、及び母液回収再生工程(xii))
固液分離工程(x)は、固液分離装置2513においてテレフタル酸スラリー252’を固液分離してテレフタル酸ケーキ253’を得る工程である。固液分離する方法としては、テレフタル酸スラリー252’をそのまま固液分離機にかける方法等を例示できる。またテレフタル酸スラリー252’は加圧状態にあるので、圧力を下げると、溶解しているテレフタル酸が析出する。このため、テレフタル酸スラリー252’を晶析槽(図示略)に送って、放圧冷却を行い、溶解しているテレフタル酸を析出させてから、固液分離機にかけてもよい。なお、「放圧冷却」とは、対象液の圧力よりも低い圧力条件に設定した晶析槽に、この対象液を導入し、該晶析槽で放圧させることにより、膨張及び溶媒成分の気化により、冷却させることを意味する。
固液分離工程(x)からは、固液分離された母液及び洗浄液(以下、「母液等」とも記す。)が発生する。母液等の50%以上を酸化反応工程(viii)に戻して再利用する。母液等を再利用する比率は好ましくは70%以上であるが、系内での不純物蓄積による品質低下を防止するために母液を一部パージする必要がある。そのため、母液を再利用する比率は95%以下であり、好ましくは90%以下である。再利用に供されない酸化反応母液(パージ分)257’は溶媒回収装置2515に送られ、母液回収再生工程(xii)に供される。
母液回収再生工程(xii)において、酸化反応母液(パージ分)257’は溶媒回収装置2515で蒸発濃縮され、蒸発溶媒258’と、有価成分を含む母液濃縮スラリー259’とに分けられる。母液濃縮スラリー259’は触媒回収・再生装置2517に送られ、触媒が回収・再生される。回収・再生された触媒を固液分離した後、再生触媒回収分離母液261’が脱臭塔(図示略)から生じる洗浄排水とともに排水処理システム2518に送られる。一方、蒸発溶媒258’は酢酸等回収装置2516に送られ、脱水塔(図示略)に通されて酢酸を濃縮回収され、次いで蒸留塔(酢酸メチル回収塔)(図示略)で酢酸メチルを回収される。残った酢酸メチル回収塔底液260’の一部が、排水処理システム2518に送られる。
なお、酸化反応工程(viii)及び追酸化工程(ix)以外の工程で発生するベントガスは一括して洗浄塔(図示略)で洗浄されて酸化排ガス洗浄水255’及び追酸化排ガス洗浄水256’等とともに排水処理システム2518に送られる。
(乾燥工程(xi))
乾燥工程(xi)は、乾燥装置2514でテレフタル酸ケーキ253’を乾燥し、テレフタル酸254’を得る工程である。乾燥装置2514から発生する排ガスは、洗浄塔(図示略)で洗浄され、洗浄により生じたベントガス洗浄水262’は排水処理システム2518に送られる。
(排水処理プロセス(xiii))
工程(viii)〜(xii)から排水処理システム2518に流入する排水には浮遊物質(SS)、重金属、アルカリ金属、CODCrの増加をもたらす化合物、全窒素の増加をもたらす含窒素化合物等が含有されている。この流入排水中の不溶物質の濃度はSS値で100mg/L以下、及び/又は濁度(Turbidity)で100NTU以下、水可溶性有機物質の濃度がCODCrで10000mg/L以下である。しかし、従来の排水処理システム2518から流出する放流水263’は、水質の観点からそのままテレフタル酸製造プロセスで再利用することはできす、公共水域に大量に放流せざるを得なかった。
排水処理プロセス(xiii)は、例えば、下記のステップ(γ)および(a)〜(g)を有する。
(γ)工程(i)〜(vi)からの排水中の重金属化合物を回収することにより、排水中の重金属濃度を低減して処理排水とする、重金属濃度低減ステップ。
(a)曝気槽にて、重金属濃度低減ステップを経た処理排水を活性汚泥中の好気性微生物によって生物処理するステップ(1段階目の生物処理)。
(b)沈殿槽にて、曝気槽における生物処理を経た曝気槽混合水を固液分離する、沈殿ステップ。
(c)膜分離活性汚泥処理装置にて、沈殿槽からの上澄み液を活性汚泥中の好気性微生物によって生物処理すると同時に、及び/又は、生物処理した後に、膜モジュールによって汚泥と透過水とに固液分離する、膜分離ステップ。
(d’)必要に応じて、ナノ濾過膜濾過装置にて、膜モジュールを透過した透過水をナノ濾過膜によって濾過するステップ(ナノ濾過膜処理ステップ)。
(e)次亜塩素酸塩水溶液によって膜モジュールを洗浄する、次亜塩素酸塩洗浄ステップ。
(f)酸水溶液によって膜モジュールを洗浄する、酸洗浄ステップ。
(g)必要に応じて、ナノ濾過逆浸透膜濾過ろ過装置にて膜モジュールを透過した透過水を、吸着剤にてさらに精製するステップ。
ステップ(γ)、(a)〜(c)、及び(e)〜(f)は、本発明のテレフタル酸の製造方法の第1及び第2の実施形態に関連して上記説明したステップ(γ)、(a)〜(c)、及び(e)〜(f)と同様に行われる。ステップ(d’)は、膜モジュールとして逆浸透膜に代えてナノ濾過膜を用いる点以外は、本発明のテレフタル酸の製造方法の第1及び第2の実施形態に関連して上記説明したステップ(d)と同様に行われる。
(B−1.テレフタル酸の製造における第3の実施形態)
図14は、本発明のテレフタル酸の製造方法においてテレフタル酸製造プロセスとして第2の代表的なテレフタル酸の製造方法を採用する場合の一実施形態を説明する図である。以下、図14を参照しつつ、本実施形態について説明する。
図14に記載の実施形態は、好気性生物処理のみを行う従来の排水処理方法に代えて、排水中の重金属濃度を低減化した後に、曝気槽内にMF膜平膜を浸漬した膜分離活性汚泥処理装置を用いて生物処理及びMF膜分離処理を行い、MF膜分離処理で得た透過水をナノ濾過膜(NF膜)分離装置に導入して、工業用水に使用可能な水質の用水を得る実施形態である。さらにプロセス水として使用する水を供給するため、必要に応じて、後述する吸着剤処理により、精製度(純度)を向上させることもできる。
図14に記載の実施形態においては、テレフタル酸製造プロセスからの排水を回収再生するにあたり、重金属化合物回収装置2109と、第1の曝気槽21010と、第1の沈殿槽21020と、第2の曝気槽21030と、第2の曝気槽21030内に配設されたMF膜モジュール21050と、MF膜モジュール21050の出側に接続されたナノ濾過膜濾過装置21060(以下、ナノ濾過膜を「NF膜」、ナノ濾過膜濾過装置を「NF膜濾過装置」とも記す。)と、NF膜濾過装置21060の出側に接続された再利用水槽21070と、再利用水槽21070に接続された吸着剤処理装置21080とを具備する排水処理システム21000を用いる。
(排水処理システム21000)
排水処理システム21000は、図1に示した構成と同様の構成を有する重金属化合物回収装置2109と、第1の曝気槽21010と、第1の曝気槽21010に接続された第1の沈殿槽21020と、第1の沈殿槽21020に接続された第2の曝気槽21030と、第2の曝気槽21030内に配設されたMF膜モジュール21050と、MF膜モジュール21050の出側に接続されたNF膜濾過装置21060と、NF膜濾過装置21060の出側に接続された再利用水槽21070と、再利用水槽21070に接続された吸着剤処理装置21080とを具備する。図14において破線で表示している第2の沈殿槽21040は使用しないので不要である。排水処理システム21000に流入した排水は、第1の曝気槽21010、第1の沈殿槽21020、及び第2の曝気槽21030をこの順に移送されながら2段階にて好気性生物処理を施される。
排水処理システム21000は、膜分離活性汚泥処理装置を具備する。すなわち、第2の曝気槽21030内にMF膜モジュール21050が浸漬される形で配設されており、第2の曝気槽21030で2段階目の好気性生物処理を受けた排水はMF膜モジュール21050において膜分離処理される。MF膜モジュール21050が具備するMF膜を透過した水は透過水rとして取り出される。透過水rは、MF膜モジュール21050の出側に接続されているNF膜濾過装置21060に移送される。
(薬液タンク)
排水処理システム21000は、MF膜モジュール21050を洗浄する次亜塩素酸塩水溶液を貯蔵する第1の薬液タンク(図示略)と;MF膜モジュール21050を洗浄する酸水溶液を貯蔵する第2の薬液タンク(図示略)と;第1の薬液タンク及び第2の薬液タンクからのMF膜モジュール21050への薬液の供給を制御する制御部(図示略)とをさらに有する。これら第1の薬液タンク、第2の薬液タンク、及び制御部は、本発明の第1の態様に係る排水処理方法に関連して図2及び図5を参照しつつ上記説明したものと同様の構成を有する。
MF膜モジュール21050において、膜表面への堆積による閉塞(ファウリング)防止は重要である。クロスフローや曝気する空気により、膜表面への堆積速度を低減することは可能であるが、長期的には目詰まりは避けられない。膜表面への堆積が進行すると、膜間差圧が上昇する。膜間差圧が一定値を超えると、薬液による膜洗浄が必要となる。膜洗浄に使用可能な薬液としては、本発明の排水処理方法に関する上記説明において例示したものが挙げられる。膜洗浄は、本発明の排水処理方法に関して上記説明したステップ(e)、(f)と同様に行う。
(NF膜濾過装置21060)
NF膜濾過装置21060はナノ濾過膜(NF膜)を具備する膜濾過装置である。NF膜濾過装置21060に流入した透過水rは、NF膜による膜分離処理を受け、NF膜透過水sとNF膜濃縮水tとを生じる。NF膜は2nmより小さい粒子や高分子を阻止する液体濾過膜であり、細孔径はMF膜やUF膜よりも小さく、一般的なRO膜よりは大きい。NF膜はルーズRO膜とも称され、一般的RO膜よりも低圧での運転が可能であるという特徴を有している。
NF膜濾過装置21060において使用可能なNF膜の素材としては、ポリエチレン系、芳香族ポリアミド系や架橋ポリアミド系を含むポリアミド系、脂肪族アミン縮合系ポリマー、複素環ポリマー系、ポリビニルアルコール系、酢酸セルロース系ポリマーを例示でき、これらから選ばれる1種又は2種以上の組み合わせ若しくは混合物を採用できる。本実施形態においては、これら中でも特に芳香族ポリアミド系や架橋ポリアミド系を含むポリアミド系の素材によって構成されたNF膜の分離性能が高く、好ましく採用することができる。
多くのポリアミド系複合NF膜は、表面の荷電がマイナスであるものが多いため、表面荷電を制御して、カチオン荷電型、アニオン荷電型の2種類のNF膜が販売されている。細孔と荷電の違いを組み合わせて、排水の分離対象を拡大することができる特徴を有している。NF膜濾過装置21060においては、カチオン荷電型NF膜及びアニオン荷電型NF膜のいずれも採用することが可能である。
また、NF膜濾過装置21060に使用可能なNF膜モジュールとしては、中空糸膜型、スパイラル膜型、チューブラー膜型、平膜型、プリーツ型等を挙げることができ、この中から1種又は2種以上の組み合わせを選んで用いることができる。これらの中でも単位体積当たりのモジュールの膜面積が大きく、装置のコンパクト化に有利である等の観点から、スパイラル膜型モジュールが好ましい。これらの具体例としては「NTR−7250(登録商標)」、「NTR−7410(登録商標)」(いずれも日東電工株式会社製)、「フィルムテック(登録商標)」NFシリーズ(ザ・ダウ・ケミカル・カンパニー製)等が挙げられる。なお、NF膜モジュールの入側にプレフィルターを設置し、膜の保護をすることが望ましい。
NF膜を用いるNF膜濾過装置21060における操作圧力は0.2MPa〜1.5MPaで一般的なRO膜よりも低圧で操作できる。また、水透過流速(フラックス)が大きく、高い処理効率を実現することが可能である。
本実施形態において処理されるテレフタル酸製造プロセスからの排水には、浮遊物質(SS)、Co,Mn等の重金属、アルカリ金属、CODCrの増加をもたらす化合物、全窒素の増加をもたらす含窒素化合物等が含有されている。本実施形態において処理される排水の、好気性生物処理後の水質としては、NF膜濾過装置21060に流入する時点で、水中不溶物質の濃度がSS値で100mg/L以下、及び/又は濁度(Turbidity)で100NTU以下、水可溶性有機物質の濃度がCODCrで100mg/L以下、BODで10mg/L以下、水可溶性無機物質の濃度の指標として電気伝導度が500〜10,000μS/cm、pHが5.0〜9.5の性状を有することが好ましい。pHは通常8以上でありアルカリ性を示しているが、本発明ではpHが5.0〜9.5の範囲内であれば膜分離による処理が可能である。
NF膜濾過装置21060から回収されるNF膜透過水sの水質は、透過率にも依存するが、金属イオン及び残留有機物のほとんどが除去されて、高い水質となっている。NF膜透過水sは再利用水槽21070に蓄えられ、再利用水槽21070から工業用水(冷却水)uとしてテレフタル酸製造プロセスに供給されるか、又は吸着剤処理装置21080に移送されさらに吸着剤処理を経て吸着精製水vとしてテレフタル酸製造プロセスに供給される。このようにテレフタル酸製造プロセスからの排水を再生してテレフタル酸製造プロセスに再び供給することは、従来では不可能だったことである。なお、NF膜透過水sを工業用水(冷却水)uの供給及び吸着精製水vの製造に振り分ける比率は適宜選択することができる。
特に、複数の濾過膜装置(例えば本実施形態においては、MF膜モジュール21050及びNF膜濾過装置21060。)を組み合わせて膜分離処理を行うことにより、効果を奏することが一層容易になる。
一方、NF膜濾過装置21060から排出されるNF膜濃縮水tには、各種不純物が濃縮されて含まれているが、処理される排水の性状が上述した範囲内であれば、これ以上の処理を施さずに公共水域へ放流することができる程度まで水質が向上されている。NF膜濃縮水tの公共水域への放流に関しては、第1の実施形態(図11)に関連して上記説明したRO膜濃縮水cと同様である。
(吸着剤処理装置21080)
NF膜透過水sをプロセス水として使用するにあたっては、吸着剤処理装置21080において各種吸着剤から選ばれる吸着剤を使用して吸着剤処理を施すことにより、さらに精製度(純度)を向上させることが可能となり、その結果回収再生した水の用途範囲を拡大することが可能となること等は、第1の実施形態(図11)に関連して上記説明したRO膜透過水bにおける場合と同様である。吸着剤処理装置21080において使用可能な吸着剤としては、吸着剤処理装置2108に関して挙げたものと同様のものを挙げることができ、吸着剤処理装置21080の運用も、吸着剤処理装置2108と同様に行うことができる。吸着剤処理装置21080から生じる吸着剤処理排水wは、第1の曝気槽21010に戻され、再度生物処理される。
公共水域への排水量の観点から見ると、従来、生物処理後の排水を大量に公共水域へ排出してきたが、本実施形態(図14)においても、第1の実施形態(図11)及び第2の実施形態(図12)と同様に、回収及び再生により、テレフタル酸製造プロセスにおいて再利用される水量が大幅に増加するので、排水量を通常、従来に比べて2分の1から3分の1程度にまで低減できる。その結果として、資源としてくみ上げる地下水量も大幅に低減することができる。具体的には従来前記工程(viii)〜(xii)から排出され、生物処理に供された排水のうち好ましくは80%以上、より好ましくは70%以上、更に好ましくは60%以上を膜透過水として回収し、テレフタル酸製造プロセスにおける冷却水及び/又はプロセス水として使用することができる。
(他の実施形態)
本発明のテレフタル酸の製造方法の第3の実施形態に関する上記説明では、テレフタル酸製造プロセスからの排水を回収再生するにあたって、図1に示した構成を有する重金属化合物回収装置、第1の曝気槽21010、第1の沈殿槽21020、及び第2の曝気槽21030を用い、好気性生物処理を2段階で行う形態を例示したが、本発明のテレフタル酸の製造方法は当該形態に限定されない。好気性生物処理を1段階のみで行う形態とすることも可能であり、かかる場合には、第1の曝気槽21010内にMF膜モジュール21050を配設すればよく、第1の沈殿槽21020及び第2の曝気槽21030は使用しないので不要となる。かかる場合においても、MF膜モジュール21050の態様は同様とすることができる。
かかる形態においては、上記説明した排水処理プロセス(xiii)に代えて、例えば下記のステップ(γ)および(c)〜(g)を有する排水処理プロセス(xiii’)を採用することができる。
(γ)工程(i)〜(vi)からの排水中の重金属化合物を回収することにより、排水中の重金属濃度を低減して処理排水とする、重金属濃度低減ステップ。
(c)重金属濃度低減ステップを経た処理排水を、膜分離活性汚泥処理装置にて、活性汚泥中の好気性微生物によって生物処理を行いながら、膜モジュールによって汚泥と透過水とに固液分離する、膜分離ステップ。
(d’)必要に応じて、ナノ濾過膜濾過装置にて、膜モジュールを透過した透過水をナノ濾過膜によって濾過するステップ(ナノ濾過膜処理ステップ)。
(e)次亜塩素酸塩水溶液によって膜モジュールを洗浄する、次亜塩素酸塩洗浄ステップ。
(f)酸水溶液によって膜モジュールを洗浄する、酸洗浄ステップ。
(g)必要に応じて、ナノ濾過逆浸透膜濾過ろ過装置にて膜モジュールを透過した透過水を、吸着剤にてさらに精製するステップ。
なおステップ(γ)及び(c)は、本発明の排水処理方法に関連して上記説明したステップ(γ)及び(c)と同様に行われ、引き続いての一連のステップ(d’)〜(g)は、上記説明したステップ(d’)〜(g)と同様に行われる。
本発明のテレフタル酸の製造方法に関する上記説明では、RO膜濾過装置2106の下流側に吸着剤処理装置2108を配置してRO膜分離処理の後に吸着剤処理を行う形態、及び、NF膜濾過装置21060の下流側に吸着剤処理装置21080を配置してNF膜分離処理の後に吸着剤処理を行う形態のテレフタル酸の製造方法を例示したが、本発明のテレフタル酸の製造方法はこれらの形態に限定されるものではない。
また、本発明のテレフタル酸の製造方法に関する上記説明では、重金属化合物回収装置の設置を必須として、膜分離活性汚泥処理装置とRO膜濾過装置とを組み合わせて用いる形態、UF膜ユニットとRO膜濾過装置とを組み合わせて用いる形態、及び、膜分離活性汚泥処理装置とNF膜濾過装置とを組み合わせて用いる形態のテレフタル酸の製造方法を例示したが、本発明のテレフタル酸の製造方法はこれらの形態に限定されるものではない。濾過膜装置の組み合わせとして、例えば、重金属化合物回収装置に加えて、膜分離活性汚泥処理装置とUF膜ユニットとを組み合わせて用い、RO膜濾過装置及びNF膜濾過装置は用いない形態とすることも可能であるる。ただし、一般的にはRO膜濾過装置を用いることが好ましい。かかる場合においても、膜分離処理と組み合わせてさらに吸着剤処理を行うことができる。濾過膜装置、及び吸着剤処理装置の取捨選択及び組み合わせは、回収再生した水に望まれる水質と再利用用途との関係を考慮して、適宜決めることができる。
本発明のテレフタル酸の製造方法によれば、排水中の重金属濃度を低減した後に生物処理と膜分離処理とを組み合わせているため、煩雑な膜モジュール再生処理の頻度が大幅に低減され、安定した運用が可能となる。さらに、テレフタル酸を製造する際に生ずる大量の排水を工業用水(冷却水)及び/又はプロセス水として再生利用でき、水源からの新規取水量及び公共水域への排水量を低減することが可能な、経済性及び環境適合性を高めたテレフタル酸の製造方法とすることができる。
本発明のテレフタル酸の製造方法において、重金属濃度を低減した後に、好気性生物処理、又は、好気性生物処理と嫌気性生物処理とを組み合わせた処理を行うことにより、テレフタル酸製造プロセス排水に含まれる有機物を分解することが容易になるので、テレフタル酸を製造する際に生ずる大量の排水を再生することが容易になる。
本発明のテレフタル酸の製造方法において、膜分離処理を、好ましくはMF膜モジュール及びUF膜モジュールからなる群より選ばれる少なくとも1種の膜モジュールにより行うことにより、テレフタル酸を製造する際に生ずる大量の排水を再生することが一層容易になる。
本発明のテレフタル酸の製造方法において、透過水の少なくとも一部に吸着剤処理を行い、吸着精製水とするステップと、吸着精製水を回収するステップとをさらに有することにより、テレフタル酸を製造する際に生ずる大量の排水を、工業用水(冷却水)として利用可能な水質を有する水に再生するだけでなく、プロセス水として利用可能な水質を有する水にまで再生することが可能となり好ましい。
透過水の少なくとも一部に吸着剤処理を行い、吸着精製水とするステップと、吸着精製水を回収するステップとをさらに有する形態の本発明のテレフタル酸の製造方法において、吸着剤処理を、好ましくは活性炭、イオン交換樹脂、合成ゼオライト、シリカアルミナ、ベントナイト、及びアルミン酸アルカリ土類金属塩からなる群より選ばれる少なくとも1種の吸着剤により行うことにより、テレフタル酸を製造する際に生ずる大量の排水を、プロセス水として利用可能な水質を有する水にまで再生することが容易になる。
上記説明した本発明のテレフタル酸の製造方法にあっては、膜モジュールを洗浄する洗浄ステップを有し、該洗浄ステップが、次亜塩素酸塩水溶液によって膜モジュールを洗浄する次亜塩素酸塩洗浄ステップと、酸水溶液によって膜モジュールを洗浄する酸洗浄ステップとをこの順に有し、且つ、(イ)次亜塩素酸塩洗浄ステップの終了から次の酸洗浄ステップの開始までの間隔が、100時間以内である、かつ/又は、(ロ)膜モジュールの膜間差圧が、運転開始前の膜間差圧よりも3kPa〜50kPa高くなったときに酸洗浄ステップを開始する。そのため、CODCrが高く且つ重金属を含む排水を生物処理し、膜分離処理する間、膜モジュール35の膜間差圧を低く抑えることができる。そして上記したように生物処理に先立って重金属濃度を低減することにより、これらの膜再生処理の頻度を大幅に減少させることができる。
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
<実験例1〜2>
(排水)
触媒として酢酸コバルト及び酢酸マンガンを用い、助触媒として臭化水素の存在下、水及び酢酸を含む溶媒中にて、p−キシレンを液相酸化して粗テレフタル酸スラリーとした。次いで粗テレフタル酸スラリーを固液分離して母液と粗テレフタル酸ケーキとを得た。粗テレフタル酸ケーキは水洗、乾燥し、粗テレフタル酸として回収した。回収した粗テレフタル酸と水とを水添反応器に入れ、水素添加処理してテレフタル酸を含むスラリーとし、その後、テレフタル酸を回収した。上記固液分離において分離された母液から触媒を回収した後に、洗浄排水と共に排出された排水を用意した。この排水の性状を表1に示す。
(実験例1)
排水処理システムは、図1に示した構成を有するキレート樹脂による重金属濃度低減処理システムを設置し、該システムによる処理を経た処理排水を図2に記載の構成を有する排水処理システムに導入する構成とした。
重金属濃度低減ステップでは、まず排水のpHをpH調整槽101にて5.5とし、表2に示すキレート樹脂(Sybron Chemicals Inc. A LANXESS COMPANY社製、Lewatit(登録商標) Monoplus TP 207)が充填されたキレート樹脂塔102及び103に通液した。尚、キレート樹脂のイオンは、理論量でそのほぼ全量がナトリウム型に変換されている。排水中には重金属としてCoが5重量ppm含まれる他、微量のMnや有機化合物としてテレフタル酸およびパラトルイル酸が含まれている。キレート樹脂塔102および103は何れも略円筒形状の固定床流通反応器であり、キレート樹脂を充填する部分の内径と高さとの比は1.0:0.7であり、静置状態での高さの50%部分までキレート樹脂の粒子を充填した。キレート樹脂塔102,103への通液は流通方式であり、2基(102,103)が並列に配置され、切り替えられるようになっている。破過領域に達したキレート樹脂塔102または103に対しては、後述する再生、洗浄、イオン交換等の操作が行われるようになっている。
pH5.5に調整された排水の温度を55℃とし、線速度8.9m/hrにてキレート樹脂塔102へ通液した。通液処理後の排水は、貯槽104に送られ貯蔵された後、排水処理システム(図2)に送られた。キレート樹脂塔102出口における流出液中のCo濃度が1重量ppm以上となったときを破過領域とみなし、通液をキレート樹脂塔103へ切り替えることで、連続的に通液が行われた。
尚、通液後の処理排水中のCo濃度は、運転初期は0.01〜0.04重量ppm程度であった。その後、通液後の処理排水中のCo濃度は徐々に上昇したが、上記のように1重量ppm未満を維持することができた。この結果より、図8に示した排水処理システムへ送入される排水中のCo濃度は、通常では5重量ppmであるところ、重金属低減処理を行うことにより1重量ppm未満に抑制することができた。(尚、本実験例では、Co濃度が1重量ppm以上となった時を破過領域としたが、破過領域は運転初期のCo濃度を超える値であれば適宜設定することが可能であり、例えば排水の規制等に応じて適宜設定することができる。)
次に、破過領域に達したキレート樹脂塔102に、吸着されたCoや他の重金属類を再生(脱着)するために、再生剤として10重量%の臭化水素水溶液を用い、再生剤タンク106から通液を行った。このときの再生剤の温度は常温であり、通液速度は5m/hrとした。通液を1時間以上行うことにより、吸着されたCoの90%以上を脱離させた。再生されたCo等の重金属化合物は、再生剤の臭化水素水と共に触媒二次回収液タンク105に貯蔵され、触媒二次回収液としてp−キシレンの酸化反応工程において再利用された。
臭化水素水による再生操作が終了した後、キレート樹脂塔102に水を通液することにより洗浄を行い、樹脂中に残る微量金属類を除去した。その後、次の吸着に備えるために、再生液(臭化水素水溶液)により水素形になったキレート樹脂塔102に苛性ソーダタンク108及び予備タンク109から濃度5重量%の苛性ソーダ水溶液を通液した。この通液はアップフローとし、線速度は5m/hr、液の温度は35℃とした。
以上のようなキレート樹脂による吸着、洗浄、再生(脱着)、洗浄、イオン化の一連の繰り返し操作を、キレート樹脂塔102及び103で切り替えて行うことで、重金属低減処理を連続的に行った。
膜ユニットとしては、散気管32と膜モジュール35とが一体化された図3に示す膜ユニットを用いた。
曝気槽10及び膜分離活性汚泥処理装置30の水槽容量を表1に示す。
重金属低減ステップを経た処理排水に対して、図2に示す構成を有する排水処理システムを用いて排水処理を行った。(実施例1及び2)
排水及び処理排水の性状及び処理水量は、表1に示した。
曝気槽10のMLSS濃度、HRT(水理学的滞留時間)、CODCr容積負荷は、表1に示す値とした。
膜分離活性汚泥処理装置30のMLSS濃度、HRT(水理学的滞留時間)、CODCr容積負荷は、表1に示す値とした。
沈殿槽20からの返送汚泥量は、表1に示す量とした。
沈殿槽20からの上澄み液及び膜モジュール35からの透過水の性状を表1に示す。
(実験例2)
排水及び処理排水の性状及び処理水量を表1に示す値に変更し、曝気槽10のHRT(水理学的滞留時間)、CODCr容積負荷を表1に示す値に変更し、膜分離活性汚泥処理装置30のHRT(水理学的滞留時間)、CODCr容積負荷を表1に示す値に変更した以外は、実験例1と同様にして排水処理を行った。
沈殿槽20からの上澄み液及び膜モジュール35からの透過水の性状を表1に示す。
Figure 2015073914
Figure 2015073914
(結果)
実験例1、2は、透過水の水質が極めて良好で、連続的に処理を行うことができ、滞留時間も短かった。滞留時間が短いことは、設置面積を小さくできることを意味する。
<実施例1〜2>
(実施例1)
実験例1と同じ排水処理システムにて排水処理を行った。
運転開始後の膜モジュール35の膜間差圧は、10kPaであった。
運転開始から175日後、膜モジュール35の膜間差圧が37kPaとなったところで膜分離ステップを中断し、膜モジュール35に3000mg/Lの次亜塩素酸ナトリウム水溶液を2L/濾過膜1mの通液量で30分かけて通液することにより膜モジュールを洗浄し、90分間静置した。膜モジュール35の膜間差圧は14kPaとなった。
膜分離ステップを同じ条件で再開した。
1回目の洗浄終了から10時間後、膜モジュール35の膜間差圧が14kPaとなった時点で膜分離ステップを中断し、膜モジュール35に2重量%のクエン酸水溶液を2L/濾過膜1mの通液量で30分かけて通液することにより膜モジュールを洗浄し、90分間静置した。膜モジュール35の膜間差圧は14kPaとなった。
膜分離ステップを同じ条件で再開した。
2回目の洗浄終了から480時間後、膜モジュール35の膜間差圧が26kPaとなった時点で膜分離ステップを中断し、膜モジュール35に2重量%のクエン酸水溶液を2L/濾過膜1mの通液量で30分かけて通液することにより膜モジュールを洗浄し、90分間静置した。膜モジュール35の膜間差圧は21kPaとなった。
膜分離ステップを同じ条件で再開した。
3回目の洗浄終了から720時間後、膜モジュール35の膜間差圧が22kPaとなった時点で膜分離ステップを中断し、膜モジュール35に2重量%のクエン酸水溶液を2L/濾過膜1mの通液量で30分かけて通液することにより膜モジュールを洗浄し、90分間静置した。膜モジュール35の膜間差圧は21kPaとなった。
膜分離ステップを同じ条件で再開した。
4回目の洗浄終了から720時間後、膜モジュール35の膜間差圧が21kPaとなった時点で膜分離ステップを中断し、膜モジュール35に3000mg/Lの次亜塩素酸ナトリウム水溶液を2L/濾過膜1mの通液量で30分かけて通液することにより膜モジュールを洗浄し、その後90分間静置した。膜モジュール35の膜間差圧は20kPaであった。
膜分離ステップを同じ条件で再開した。
5回目の洗浄終了から10時間後、膜モジュール35の膜間差圧が20kPaとなった時点で膜分離ステップを中断し、膜モジュール35に2重量%のクエン酸水溶液を2L/濾過膜1mの通液量で30分かけて通液することにより膜モジュールを洗浄し、90分間静置した。膜モジュール35の膜間差圧は21kPaとなった。
膜分離ステップを同じ条件で再開した。
(実施例2)
実験例1と同じ排水処理システムにて排水処理を行った。
運転開始後の膜モジュール35の膜間差圧は、10kPaであった。
運転開始から4200時間後、膜モジュール35の膜間差圧が23kPaとなったところで膜分離ステップを中断し、膜モジュール35に3000mg/Lの次亜塩素酸ナトリウム水溶液を2L/濾過膜1mの通液量で30分かけて通液することにより膜モジュールを洗浄し、その後90分間静置した。膜モジュール35の膜間差圧は23kPaとなった。
膜分離ステップを同じ条件で再開した。
1回目の洗浄終了から10時間後、膜モジュール35の膜間差圧が23kPaとなった時点で膜分離ステップを中断し、膜モジュール35に2重量%のクエン酸水溶液を2L/濾過膜1mの通液量で30分かけて通液することにより膜モジュールを洗浄し、90分間静置した。膜モジュール35の膜間差圧は24kPaとなった。
膜分離ステップを同じ条件で再開した。
2回目の洗浄終了から456時間後、膜モジュール35の膜間差圧が17kPaとなった時点で膜分離ステップを中断し、膜モジュール35に2重量%のクエン酸水溶液を2L/濾過膜1mの通液量で30分かけて膜モジュールを洗浄し、90分間静置した。膜モジュール35の膜間差圧は16kPaとなった。
膜分離ステップを同じ条件で再開した。
3回目の洗浄終了から864時間後、膜モジュール35の膜間差圧が18kPaとなった時点で膜分離ステップを中断し、膜モジュール35に2重量%のクエン酸水溶液を2L/濾過膜1mの通液量で30分かけて通液することにより膜モジュールを洗浄し、その後90分間静置した。膜モジュール35の膜間差圧は17kPaとなった。
膜分離ステップを同じ条件で再開した。
4回目の洗浄終了から480時間後、膜モジュール35の膜間差圧が24kPaとなった時点で膜分離ステップを中断し、膜モジュール35に3000mg/Lの次亜塩素酸ナトリウム水溶液を2L/濾過膜1mの通液量で30分かけて通液することにより膜モジュールを洗浄し、その後90分間静置した。膜モジュール35の膜間差圧は20kPaとなった。
膜分離ステップを同じ条件で再開した。
本発明の排水処理方法は、CODCrが高く且つ重金属を含む排水(例えばテレフタル酸製造プロセスにおいて排出される排水等。)の処理に有用である。
本発明のテレフタル酸の製造方法は、地球環境の保護及び水資源の節約による経費節減が求められる昨今においてテレフタル酸を工業的に製造する際に好適に用いることができる。
10 曝気槽
20 沈殿槽
30 膜分離活性汚泥処理装置
35 膜モジュール
40 逆浸透膜濾過装置
42 逆浸透膜
90 第1の薬液タンク
92 第2の薬液タンク
101 pH調整槽(調整槽)
102 処理塔(キレート樹脂塔)
103 処理塔(キレート樹脂塔)
104 処理排水タンク(貯槽)
105 触媒二次回収液タンク(回収液タンク)
106 再生剤タンク
107 脱着操作終末液タンク
108 苛性ソーダタンク
109 苛性ソーダ予備タンク
211 酸化反応装置
212 第1の固液分離装置
213 水素添加処理装置
214 晶析装置
215 第2の固液分離装置
216 乾燥装置
217 溶媒回収装置
218 酢酸等回収装置
219 触媒回収・再生装置
220 p−トルイル酸等回収装置
221 排水処理システム
211’ 粗テレフタル酸スラリー
212’ 粗テレフタル酸
213’ 水素添加処理液
214’ テレフタル酸スラリー
215’ テレフタル酸ケーキ
216’ テレフタル酸
217’ 酸化排ガス洗浄水
218’ 酸化反応母液(パージ分)
219’ 蒸発溶媒
220’ 母液濃縮スラリー
221’ 酢酸メチル回収塔底液
222’ 再生触媒回収分離母液
223’ 晶析時発生凝縮水
224’ テレフタル酸分離母液
225’ p−トルイル酸等分離母液
226’ ベントガス洗浄水
227’ 放流水
2511 酸化反応装置
2512 追酸化反応装置
2513 固液分離装置
2514 乾燥装置
2515 溶媒回収装置
2516 酢酸等回収装置
2517 触媒回収・再生装置
2518 排水処理システム
251’ 粗テレフタル酸スラリー
252’ テレフタル酸スラリー
253’ テレフタル酸ケーキ
254’ テレフタル酸
255’ 酸化排ガス洗浄水
256’ 追酸化排ガス洗浄水
257’ 酸化反応母液(パージ分)
258’ 蒸発溶媒
259’ 母液濃縮スラリー
260’ 酢酸メチル回収塔底液
261’ 再生触媒回収分離母液
262’ ベントガス洗浄水
263’ 放流水
2100、2200、21000 排水処理システム
2101、21010 第1の曝気槽
2102、21020 第1の沈殿槽
2103、2103a、21030 第2の曝気槽
2104、2104a、21040 第2の沈殿槽
2105、21050 MF膜モジュール
2106 RO膜濾過装置
2107、21070 再利用水槽
2108、21080 吸着剤処理装置
2110 UF膜ユニット
21060 NF膜濾過装置
a、h、r 処理水
b、k RO膜透過水
c、j RO膜濃縮水
d、l、u 工業用水(冷却水)
e、m、v 吸着精製水
f、n、w 吸着剤処理排水
i UF膜透過水
o UF膜洗浄水
s NF膜透過水
t NF膜濃縮水
1010 第1の曝気槽
1020 第1の沈殿槽
1030 第2の曝気槽
1040 第2の沈殿槽

Claims (27)

  1. CODCrが3000mg/L〜10000mg/Lであり、且つ重金属濃度が0.1重量ppm〜200重量ppmである排水を処理する排水処理方法であって、
    (1)前記排水中の重金属を回収して、処理排水とする、重金属濃度低減ステップと、
    (2)前記処理排水の生物処理を行いながら又は前記処理排水の生物処理を行った後に、膜モジュールによる固液分離を行って汚泥と透過水とを得る、膜分離ステップと、
    (3)前記膜モジュールを洗浄する、洗浄ステップと
    を有し、
    前記洗浄ステップは、
    次亜塩素酸塩水溶液によって前記膜モジュールを洗浄する、次亜塩素酸塩洗浄ステップと、
    酸水溶液によって前記膜モジュールを洗浄する、酸洗浄ステップと
    を上記順に有し、
    前記次亜塩素酸塩洗浄ステップの終了から前記酸洗浄ステップの開始までの間隔が、100時間以内であることを特徴とする、排水処理方法。
  2. CODCrが3000mg/L〜10000mg/Lであり、且つ重金属濃度が0.1重量ppm〜200重量ppmである排水を処理する排水処理方法であって、
    (1)前記排水中の重金属を回収して、処理排水とする、重金属濃度低減ステップと、
    (2)前記処理排水の生物処理を行いながら又は前記処理排水の生物処理を行った後に、膜モジュールによる固液分離を行って汚泥と透過水とを得る、膜分離ステップと、
    (3)前記膜モジュールを洗浄する、洗浄ステップと
    を有し、
    前記洗浄ステップは、
    次亜塩素酸塩水溶液によって前記膜モジュールを洗浄する、次亜塩素酸塩洗浄ステップと、
    酸水溶液によって前記膜モジュールを洗浄する、酸洗浄ステップと
    を上記順に有し、
    前記膜モジュールの膜間差圧が、運転開始後の膜間差圧よりも3kPa〜50kPa高くなったときに前記酸洗浄ステップを開始することを特徴とする、排水処理方法。
  3. 前記重金属が、コバルト及び/又はマンガンであることを特徴とする請求項1又は2に記載の排水処理方法。
  4. 前記排水が、テレフタル酸製造プロセスにおいて排出される排水であることを特徴とする、請求項1乃至3のいずれか1項に記載の排水処理方法。
  5. 前記酸がクエン酸であることを特徴とする、請求項1乃至4のいずれか1項に記載の排水処理方法。
  6. 次亜塩素酸塩洗浄ステップと次の次亜塩素酸塩洗浄ステップとの間に、酸洗浄ステップを複数回行うことを特徴とする、請求項1乃至5のいずれか1項に記載の排水処理方法。
  7. テレフタル酸製造プロセスにおいて排出される排水を処理する排水処理プロセスを有するテレフタル酸の製造方法であって、
    前記排水処理プロセスが、
    (1)前記排水中の重金属を回収して、処理排水とする、重金属濃度低減ステップと、
    (2)前記処理排水の生物処理を行いながら又は前記処理排水の生物処理を行った後に、膜モジュールによる固液分離を行って汚泥と透過水とを得る、膜分離ステップと、
    (3)前記膜モジュールを洗浄する、洗浄ステップと
    を有し、
    前記洗浄ステップは、
    次亜塩素酸塩水溶液によって前記膜モジュールを洗浄する、次亜塩素酸塩洗浄ステップと、
    酸水溶液によって前記膜モジュールを洗浄する、酸洗浄ステップと
    を上記順に有し、
    前記次亜塩素酸塩洗浄ステップの終了から前記酸洗浄ステップの開始までの間隔が、100時間以内であることを特徴とする、テレフタル酸の製造方法。
  8. テレフタル酸製造プロセスにおいて排出される排水を処理する排水処理プロセスを有するテレフタル酸の製造方法であって、
    前記排水処理プロセスが、
    (1)前記排水中の重金属を回収して、処理排水とする、重金属濃度低減ステップと、
    (2)前記処理排水の生物処理を行いながら又は前記処理排水の生物処理を行った後に、膜モジュールによる固液分離を行って汚泥と透過水とを得る、膜分離ステップと、
    (3)前記膜モジュールを洗浄する洗浄ステップと
    を有し、
    前記洗浄ステップは、
    次亜塩素酸塩水溶液によって前記膜モジュールを洗浄する、次亜塩素酸塩洗浄ステップと、
    酸水溶液によって前記膜モジュールを洗浄する、酸洗浄ステップと
    を上記順に有し、
    前記膜モジュールの膜間差圧が、運転開始後の膜間差圧よりも3kPa〜50kPa高くなったときに前記酸洗浄ステップを開始することを特徴とする、テレフタル酸の製造方法。
  9. 前記酸水溶液がクエン酸水溶液であることを特徴とする、請求項7又は8に記載のテレフタル酸の製造方法。
  10. 前記排水中のCODCrが3000mg/L〜10000mg/Lであり、且つ前記排水中の重金属濃度が0.1重量ppm〜200重量ppmであることを特徴とする、請求項7乃至9のいずれか1項に記載のテレフタル酸の製造方法。
  11. 次亜塩素酸塩洗浄ステップと次の次亜塩素酸塩洗浄ステップとの間に、酸洗浄ステップを複数回行うことを特徴とする、請求項7乃至10のいずれか1項に記載のテレフタル酸の製造方法。
  12. 前記重金属が、コバルト及び/又はマンガンであることを特徴とする、請求項7乃至11のいずれか1項に記載のテレフタル酸の製造方法。
  13. 前記処理排水中のコバルト濃度が、前記排水中のコバルト濃度の10分の1以下であることを特徴とする、請求項7乃至12のいずれか1項に記載のテレフタル酸の製造方法。
  14. 前記重金属濃度低減ステップにおいて、前記排水をキレート樹脂に接触させて前記排水中の重金属をキレート樹脂に回収することによって前記排水中の重金属を回収することを特徴とする、請求項7乃至13のいずれか1項に記載のテレフタル酸の製造方法。
  15. 前記排水のpHが5.1以上5.9以下であることを特徴とする、請求項14に記載のテレフタル酸の製造方法。
  16. 前記排水を前記キレート樹脂に接触させるときの、前記排水の前記キレート樹脂に対する流速が5m/hr以上14m/hr以下であることを特徴とする、請求項14又は15に記載のテレフタル酸の製造方法。
  17. 前記キレート樹脂の均一係数が1.4以下であることを特徴とする、請求項14乃至16のいずれか1項に記載のテレフタル酸の製造方法。
  18. 前記キレート樹脂のCu吸着量低下率が11%/月以下であることを特徴とする、請求項14乃至17のいずれか1項に記載のテレフタル酸の製造方法。
  19. 前記重金属を回収したキレート樹脂に再生剤を作用させることにより該キレート樹脂を再生して、重金属を含有する再生液を得るステップを有することを特徴とする、請求項14乃至18のいずれか1項に記載のテレフタル酸の製造方法。
  20. 前記再生剤が、濃度7.1重量%以上19重量%以下の臭化水素水であることを特徴とする、請求項19に記載のテレフタル酸の製造方法。
  21. 前記透過水を逆浸透膜処理することにより膜濃縮水と膜透過水とに分離するステップを有することを特徴とする、請求項7乃至20のいずれか1項に記載のテレフタル酸の製造方法。
  22. 前記膜透過水の少なくとも一部に、さらに吸着剤処理を行い、吸着精製水を得るステップを有することを特徴とする、請求項21に記載のテレフタル酸の製造方法。
  23. 前記吸着剤処理を、活性炭、イオン交換樹脂、合成ゼオライト、シリカアルミナ、ベントナイト、及びアルミン酸アルカリ土類金属塩からなる群より選ばれる少なくとも1種の吸着剤により行うことを特徴とする、請求項22に記載のテレフタル酸の製造方法。
  24. 前記テレフタル酸製造プロセスが、
    p−キシレンを酸化し粗テレフタル酸とするステップと、
    該粗テレフタル酸を精製しテレフタル酸とするステップと
    を有することを特徴とする、請求項7乃至23のいずれか1項に記載のテレフタル酸の製造方法。
  25. 前記粗テレフタル酸を精製しテレフタル酸とするステップが、粗テレフタル酸に対して水素添加処理を行うステップを含むことを特徴とする、請求項24に記載のテレフタル酸の製造方法。
  26. 前記粗テレフタル酸を精製しテレフタル酸とするステップが、粗テレフタル酸に対して追加的な酸化反応を行うステップを含むことを特徴とする、請求項24に記載のテレフタル酸の製造方法。
  27. 前記膜透過水の少なくとも一部及び/又は前記吸着精製水の少なくとも一部を、前記テレフタル酸製造プロセスにおける冷却水及び/又はプロセス水として使用することを特徴とする請求項24乃至26のいずれか1項に記載のテレフタル酸の製造方法。
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