JP2015071155A - 排水処理方法及びテレフタル酸の製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
図14に示すように、第1の曝気槽101にて、活性汚泥中の好気性微生物によって排水の生物処理を行うステップと、第1の沈殿槽102にて、汚泥と上澄み液とに固液分離するステップと、第2の曝気槽103にて、活性汚泥中の好気性微生物によって上澄み液の生物処理を行うステップと、第2の沈殿槽104にて、汚泥と上澄み液とに固液分離するステップとを有する方法(特許文献1参照)。
しかし、この方法を、テレフタル酸製造プロセスにおいて排出される排水のようにCODCrが高く、且つ触媒等として用いた重金属を含む排水の処理にそのまま適用した場合、下記の問題が生ずる。
膜モジュールによって汚泥と透過水とに固液分離する場合、有機物や無機物が濾過膜の細孔に吸着したり、濾過膜の表面に堆積したりして、膜モジュールの膜間差圧が上昇するため、膜分離処理の途中で膜モジュールを洗浄する必要がある。しかし、通常の頻度で膜モジュールを洗浄した場合、洗浄によって膜モジュールの膜間差圧が十分に低下せず、膜モジュールの膜間差圧を低く抑えた状態で膜分離処理を行えない。
(1)CODCrが3000mg/L〜10000mg/Lであり、且つ重金属濃度が0.1質量ppm〜200質量ppmである排水を処理する排水処理方法であって、
前記排水の生物処理を行いながら及び/又は前記排水の生物処理を行った後、膜モジュールによって汚泥と透過水とに固液分離する膜分離ステップと、
前記膜モジュールを洗浄する洗浄ステップとを有し、
前記洗浄ステップとして、まず、次亜塩素酸塩水溶液によって前記膜モジュールを洗浄する次亜塩素酸塩洗浄ステップを行い、次に、酸水溶液によって前記膜モジュールを洗浄する酸洗浄ステップを行い、
前記次亜塩素酸塩洗浄ステップの終了から前記酸洗浄ステップの開始までの間隔が、48時間以内である、排水処理方法。
前記排水の生物処理を行いながら及び/又は前記排水の生物処理を行った後、膜モジュールによって汚泥と透過水とに固液分離する膜分離ステップと、
前記膜モジュールを洗浄する洗浄ステップとを有し、
前記洗浄ステップとして、まず、次亜塩素酸塩水溶液によって前記膜モジュールを洗浄する次亜塩素酸塩洗浄ステップを行い、次に、酸水溶液によって前記膜モジュールを洗浄する酸洗浄ステップを行い、
前記膜モジュールの膜間差圧が、運転開始後の膜間差圧よりも3kPa〜30kPa高くなったときに前記酸洗浄ステップを開始する、排水処理方法。
(4)前記排水が、テレフタル酸製造プロセスにおいて排出される排水である、(1)〜(3)のいずれかの排水処理方法。
(5)前記酸が、クエン酸である、(1)〜(4)のいずれかの排水処理方法。
(6)次亜塩素酸塩洗浄ステップと次の次亜塩素酸塩洗浄ステップとの間に酸洗浄ステップを複数回行う、(1)〜(5)のいずれかの排水処理方法。
(7)テレフタル酸製造プロセスにおいて排出される排水を処理する排水処理プロセスを有するテレフタル酸の製造方法であって、
前記排水処理プロセスが、
前記排水の生物処理を行いながら及び/又は前記排水の生物処理を行った後、膜モジュールによって汚泥と透過水とに固液分離する膜分離ステップと、
前記膜モジュールを洗浄する洗浄ステップとを有し、
前記洗浄ステップとして、まず、次亜塩素酸塩水溶液によって前記膜モジュールを洗浄する次亜塩素酸塩洗浄ステップを行い、次に、酸水溶液によって前記膜モジュールを洗浄する酸洗浄ステップを行い、
前記次亜塩素酸塩洗浄ステップの終了から前記酸洗浄ステップの開始までの間隔が、48時間以内である、テレフタル酸の製造方法。
前記排水処理プロセスが、
前記排水の生物処理を行いながら及び/又は前記排水の生物処理を行った後、膜モジュールによって汚泥と透過水とに固液分離する膜分離ステップと、
前記膜モジュールを洗浄する洗浄ステップとを有し、
前記洗浄ステップとして、まず、次亜塩素酸塩水溶液によって前記膜モジュールを洗浄する次亜塩素酸塩洗浄ステップを行い、次に、酸水溶液によって前記膜モジュールを洗浄する酸洗浄ステップを行い、
前記膜モジュールの膜間差圧が、運転開始後の膜間差圧よりも3kPa〜30kPa高くなったときに前記酸洗浄ステップを開始する、テレフタル酸の製造方法。
(10)前記排水のCODCrが3000mg/L〜10000mg/Lであり、且つ重金属濃度が0.1質量ppm〜200質量ppmである、(7)〜(9)のいずれかのテレフタル酸の製造方法。
(11)前記テレフタル酸製造プロセスが、
p−キシレンを酸化し粗テレフタル酸とする工程と、
該粗テレフタル酸を精製しテレフタル酸とする工程と
を有する、(7)〜(10)のいずれかのテレフタル酸の製造方法。
(12)前記粗テレフタル酸を精製する工程が、水素添加処理を行う工程を含む、(11)のテレフタル酸の製造方法。
(13)前記粗テレフタル酸を精製する工程が、追加的な酸化反応を行う工程を含む、(11)のテレフタル酸の製造方法。
(15)前記排水処理プロセスが、
逆浸透膜濾過装置にて、膜モジュールを透過した透過水を逆浸透膜によって濾過するステップ
をさらに有する、(7)〜(14)のいずれかのテレフタル酸の製造方法。
(16)前記排水処理プロセスが、
前記透過水の少なくとも一部に、さらに吸着剤処理を行い、吸着精製水とするステップと、
前記吸着精製水を回収するステップと
をさらに有する、(7)〜(15)のいずれかのテレフタル酸の製造方法。
(17)前記吸着剤処理を、活性炭、イオン交換樹脂、合成ゼオライト、シリカアルミナ、ベントナイト、及びアルミン酸アルカリ土類金属塩からなる群より選ばれる少なくとも1種の吸着剤により行う、(16)のテレフタル酸の製造方法。
(18)回収した前記透過水の少なくとも一部を、前記テレフタル酸製造プロセスにおける冷却水及び/又はプロセス水として使用する、(7)〜(17)のいずれかのテレフタル酸の製造方法。
(19)回収した前記吸着精製水の少なくとも一部を、前記テレフタル酸製造プロセスにおける冷却水及び/又はプロセス水として使用する、(16)又は(17)のテレフタル酸の製造方法。
「CODCr」とは、JIS K 0102に規定される、二クロム酸カリウムを酸化剤として測定した化学的酸素消費量の値を意味し、mg/L単位で表すものとする。
「BOD5」とは、JIS K 0102に規定される、5日間の生物化学的酸素消費量の値を意味し、mg/L単位で表すものとする。
「重金属」とは、金属単体のときの密度が4.0g/cm3以上である金属元素を意味する。
「生物処理」とは、活性汚泥中の微生物の代謝により有機物を分解することを意味する。
「排水の生物処理を行いながら膜モジュールによって汚泥と透過水とに固液分離する」とは、生物処理を行う曝気槽内に膜モジュールを配設し、曝気槽内にて汚泥含有水の膜分離を行うことを意味する。
「排水の生物処理を行った後、膜モジュールによって汚泥と透過水とに固液分離する」とは、生物処理を行う曝気槽外に膜モジュールを配設し、曝気槽外にて曝気槽からの汚泥含有水の膜分離を行うことを意味する。
「好気性生物処理」とは、活性汚泥中の好気性微生物の好気的代謝により有機物を分解することを意味する。
「嫌気性生物処理」とは、活性汚泥中の嫌気性微生物の嫌気的代謝により有機物を分解することを意味する。
「固液分離(処理)」とは、排水や上澄み液の生物処理によって発生する汚泥含有水を汚泥と透過水とに分離することを意味する。
「膜分離(処理)」とは、選択性を有する濾過膜を用いて物質の分離を行うことを意味する。
「透過水」とは、膜分離処理において濾過膜を透過した水を意味する。
「膜モジュール」とは、濾過膜を備えた装置を意味する。
「膜モジュールを洗浄する」とは、濾過膜の細孔に吸着されたり、濾過膜の表面に堆積されたりした有機物や無機物を、薬液によって濾過膜から除去することを意味する。
「膜間差圧」とは、透過水を得るために必要な圧力を意味し、膜モジュールの濾過膜によって隔てられた膜モジュールの内側と外側との間の圧力差(絶対値)である。
「テレフタル酸製造プロセス」とは、テレフタル酸を製造するための一連の工程を意味する。
「排水処理プロセス」とは、排水を処理するための一連のステップを意味する。
「吸着剤処理」とは、水と吸着剤とを接触させることにより水を浄化する処理を意味する。
「吸着精製水」とは、吸着剤処理によって浄化された水を意味する。
「イオン交換樹脂」とは、陽イオン交換樹脂及び陰イオン交換樹脂を包含する概念である。
「アルカリ土類金属」とは、広く第2族元素を意味し、カルシウム(Ca)、ストロンチウム(Sr)、バリウム(Ba)、及びラジウム(Ra)だけでなく、ベリリウム(Be)及びマグネシウム(Mg)をも包含する概念である。
「アルミン酸アルカリ土類金属塩」とは、アルミニウムとアルカリ土類金属との複酸化物を意味し、例えば酸化アルミニウムカルシウム(Ca(AlO2)2)等を挙げることができる。
「テレフタル酸製造プロセスにおける冷却水」とは、テレフタル酸製造プロセスにおいて各種機器類を冷却するために使用する水(工業用水)を意味する。
「テレフタル酸製造プロセスにおけるプロセス水」とは、テレフタル酸製造プロセスにおいて反応、精製等の変化を加えられる物質(例えば粗テレフタル酸)に接触する水を意味し、該物質を溶解するための溶媒として用いられる態様、及び、該物質を洗浄するための溶媒として用いられる態様をも包含する概念である。
「膜分離活性汚泥処理装置」とは、膜分離活性汚泥法による処理装置であり、排水の生物処理を行い、且つ排水の生物処理を行いながら及び/又は排水の生物処理を行った後、膜モジュールによって汚泥と透過水とに固液分離する装置を意味する。
「運転開始後の膜間差圧」とは、膜モジュールによる排水の汚泥と透過水とへの分離を開始してから1時間後の膜モジュールの膜間差圧のことである。
また、特に断らない限り、数値範囲について「A〜B」という表記は「A以上B以下」を意味するものとする。
本発明の排水処理方法は、CODCrが3000mg/L〜10000mg/Lであり、且つ重金属濃度が0.1質量ppm〜200質量ppmである排水を処理する排水処理方法である。本発明の排水処理方法としては、例えば、下記の第1の態様、第2の態様が挙げられる。
(α)本発明の排水処理方法の第1の態様:
排水の生物処理を行いながら及び/又は排水の生物処理を行った後、膜モジュールによって汚泥と透過水とに固液分離する膜分離ステップと、膜モジュールを洗浄する洗浄ステップとを有する排水処理方法。
(β)本発明の排水処理方法の第2の態様:
排水の1段階目の生物処理を行った後に2段階目の生物処理を行いながら及び/又は排水の生物処理を2段階で行った後、膜モジュールによって汚泥と透過水とに固液分離する膜分離ステップと、膜モジュールを洗浄する洗浄ステップとを有する排水処理方法。
以下、本発明の排水処理方法の第1の態様及び第2の態様について、具体的な実施形態を示しながら説明する。
図1は、本発明の排水処理方法の第1の態様における排水処理システムの一実施形態を示す概略構成図である。排水処理システムは、原水槽(図示略)からの排水を活性汚泥中の好気性微生物によって生物処理すると同時に、膜モジュール35によって汚泥と透過水とに固液分離する膜分離活性汚泥処理装置30と;膜モジュール35を洗浄する次亜塩素酸塩水溶液を貯蔵する第1の薬液タンク90と;膜モジュール35を洗浄する酸水溶液を貯蔵する第2の薬液タンク92と;第1の薬液タンク90及び第2の薬液タンク92からの膜モジュール35への薬液の供給を制御する制御部(図示略)と;原水槽からの排水を膜分離活性汚泥処理装置30に供給する排水流路50と;膜分離活性汚泥処理装置30からの透過水を排出する透過水流路55と;膜分離活性汚泥処理装置30からの余剰汚泥を排出する余剰汚泥流路56と;第1の薬液タンク90及び第2の薬液タンク92からの薬液を膜モジュール35に供給する薬液流路59とを具備する。
膜分離活性汚泥処理装置30は、槽本体31(第1の曝気槽)と;槽本体31(第1の曝気槽)内の底部近傍に配置された散気管32と;散気管32にエアを供給するブロア33と;散気管32とブロア33とを接続するエア導入管34と;槽本体31(第1の曝気槽)内且つ散気管32の上方に配置された膜モジュール35と;透過水流路55の途中に設けられ、膜モジュール35内を減圧にすることによって汚泥と透過水との固液分離を行い、且つ透過水を逆浸透膜濾過装置40へと送り出す吸引ポンプ36と;薬液流路59の途中に設けられ、逆洗用の薬液等を膜モジュール35に送り出す逆洗ポンプ37とを具備する。
濾過膜の種類としては、精密濾過膜(MF膜)又は限外濾過膜(UF膜)が好ましい。濾過膜の形状としては、中空糸膜、平膜、管状膜、袋状膜等が挙げられる。これらのうち、容積ベースで比較した場合に膜面積の高度集積が可能であることから、中空糸膜が好ましい。
膜ユニットは、散気発生装置60と;散気発生装置60の上部に設けられた膜モジュール35と;膜モジュール35の上部に設けられた集水ヘッダ80とを具備する。
排水処理システムは、図4に示すように、膜モジュール35を透過し、透過水流路55から排出された透過水を逆浸透膜によって濾過する逆浸透膜濾過装置40と;逆浸透膜濾過装置40を透過した精製水を排出する精製水流路57と;逆浸透膜濾過装置40を透過しなかった濃縮水を排出する濃縮水流路58とを更に具備していてもよい。
逆浸透膜モジュールは、逆浸透膜を透過した精製水と逆浸透膜を透過しない濃縮水とを分離できる形態であればよく、特に限定はされない。
逆浸透膜の材質としては、ポリアミド、ポリスルフォン、セルロースアセテート等が挙げられ、芳香族ポリアミド又は架橋芳香族ポリアミドを含むポリアミドが好ましい。
制御部は、次亜塩素酸塩水溶液の膜モジュール35への供給の終了から次の酸水溶液の膜モジュール35への供給の開始までの間隔を48時間以内に制御する、及び/又は、膜モジュール35の膜間差圧が運転開始後の膜間差圧よりも3kPa〜30kPa高くなったときに酸水溶液の膜モジュール35への供給を開始するものである。
インターフェイス部は、逆洗ポンプ37、弁、圧力計(図示略)等と、処理部との間を電気的に接続するものである。
処理部は、処理部に入力された運転スケジュール、圧力計からの圧力信号に基づいて、逆洗ポンプ37の運転の開始・停止、弁の開閉等を制御するものである。
また、制御部には、周辺機器として、入力装置、表示装置等が接続されていてもよい。入力装置とは、ディスプレイタッチパネル、スイッチパネル、キーボード等の入力デバイスのことをいい、表示装置とは、CRTや液晶表示装置のことをいう。
図1の排水処理システムを用いた排水処理方法は、下記のステップ(c)、(e)、(f)を有し、図4の排水処理システムを用いた排水処理方法は、下記のステップ(c)〜(f)を有する。
(c)膜分離活性汚泥処理装置30にて、原水槽(図示略)からの排水を活性汚泥中の好気性微生物によって生物処理を行いながら、膜モジュール35によって汚泥と透過水とに固液分離する膜分離ステップ。
(d)必要に応じて、逆浸透膜濾過装置40にて、膜モジュール35を透過した透過水を逆浸透膜によって濾過するステップ。
(e)次亜塩素酸塩水溶液によって膜モジュールを洗浄する次亜塩素酸塩洗浄ステップ。
(f)酸水溶液によって膜モジュールを洗浄する酸洗浄ステップ。
本発明の排水処理方法の第1の態様において処理される排水は、CODCrが3000〜10000mg/Lであり、且つ重金属濃度が0.1質量ppm〜200質量ppmである。
CODCrが10000mg/Lを超えると、膜分離活性汚泥処理装置30における生物処理の負担が大きくなりすぎる。CODCrが低い場合、本発明の排水処理方法の第1の態様によって排水を処理する必要がなくなるため、CODCrは3000mg/L以上である。CODCrは4000〜8000mg/Lが好ましい。
重金属としては、マンガン、コバルトが挙げられる。テレフタル酸製造プロセスにおいて排出される排水には、通常、触媒として用いたマンガン及び/又はコバルトが含まれる。
CODCr/BOD5が上記範囲内であれば生物処理による分解が容易であり、容積負荷を通常通りの負荷としても目標の処理水質が得られる。CODCr/BOD5が10を超えると、生物処理による分解が難しいため、本発明の排水処理方法の第1の態様の対応により処理することは容易ではない。
原水槽(図示略)に貯留された排水を、排水流路50を経て膜分離活性汚泥処理装置30に供給する。
膜分離活性汚泥処理装置30に供給する排水については、あらかじめ粗大な浮遊物質、土砂等を除去したり、pHを調整したり、希釈したりしてもよい。
好気性微生物は、酸素を用いて芳香族化合物等を分解できる細菌等である。このような細菌としては、アルカリゲネス属、ロドコッカス属等が挙げられる。
膜分離活性汚泥処理装置30からの透過水は、そのまま外部に放流してもよい。ただし、透過水は、テレフタル酸を製造する際に用いた触媒等に由来する金属イオン等を含むため、電気伝導率が高い。よって、膜分離活性汚泥処理装置30からの透過水を、透過水流路55を経て逆浸透膜濾過装置40に移送し、透過水中のイオンを逆浸透膜42によって取り除くことが好ましい。
逆浸透膜濾過装置40を透過しなかった濃縮水は、濃縮水流路58を経て外部に放流される。濃縮水は、塩素等で滅菌した後、放流してもよい。
排水に存在する有機物、無機物等が濾過膜の細孔に吸着されたり、濾過膜の表面に堆積されると、膜モジュール35の膜間差圧が大きくなる。膜モジュール35の膜間差圧がある程度大きくなると、固液分離の効率が低下する。そこで、ステップ(c)の途中でステップ(e)又はステップ(f)を行い、第1の薬液タンク90又は第2の薬液タンク92から薬液を膜モジュール35に供給して膜モジュール35を洗浄する。
次亜塩素酸塩としては、次亜塩素酸ナトリウム、次亜塩素酸カルシウム等が挙げられる。
通液量は、洗浄効果及び濾過膜の保護の点から、0.5〜10L/濾過膜1m2が好ましく、1.0〜4.0L/濾過膜1m2がより好ましい。
通液時間は、洗浄効果及び時間効率の点から、10〜180分が好ましく、15〜120分がより好ましい。
洗浄効果の点から、通液後しばらく膜モジュール35を静置することがこのましい。静置時間は、120分以下が好ましく、30〜120分がより好ましい。尚、ステップ(e)(次亜塩素酸塩洗浄ステップ)の終了とは、該静置時間の終了時のことである。
使用可能な酸水溶液としては、有機酸水溶液、無機酸が挙げられ、活性汚泥への影響が少ない点から、有機酸水溶液が好ましい。
有機酸水溶液としては、クエン酸水溶液、シュウ酸水溶液等が挙げられ、クエン酸水溶液が好ましい。
無機酸としては、塩酸、硫酸等が挙げられる。
通液量は、洗浄効果及び濾過膜の保護の点から、0.5〜10L/濾過膜1m2が好ましく、1〜4L/濾過膜1m2がより好ましい。
通液時間は、洗浄効果及び時間効率の点から、10〜180分が好ましく、15〜120分がより好ましい。
洗浄効果の点から、通液後しばらく膜モジュール35を静置することがこのましい。静置時間は、180分以下が好ましく、30〜120分がより好ましい。尚、ステップ(f)(酸洗浄ステップ)の終了とは、該静置時間の終了時のことである。
(1)ステップ(e)の終了からステップ(f)の開始までの間隔が、48時間以内である。
(2)膜モジュール35の膜間差圧が、運転開始後の膜間差圧よりも3kPa〜30kPa高くなったときにステップ(f)を開始する。
ステップ(e)の終了から次のステップ(f)の開始までの間隔が、48時間以内であれば、ステップ(e)によって発生した無機物による膜モジュール35の閉塞が進行する前に洗浄を行うことができる。ステップ(e)の終了から次のステップ(f)の開始までの間隔は好ましくは48時間以内、より好ましくは24時間以内である。
膜モジュール35の膜間差圧が運転開始後の膜間差圧+3kPa以上のときにステップ(f)を開始すれば、膜分離ステップの中断の頻度を少なくすることができ、排水処理効率が向上する。膜モジュール35の膜間差圧が運転開始後の膜間差圧+30kPa以下のときにステップ(f)を開始すれば、ステップ(c)(膜分離ステップ)を安定的に長期間行うことができる。
ステップ(f)を開始するタイミングは、膜モジュール35の膜間差圧+10kPa〜20kPaの範囲内にあるときが好ましい。
以上説明した本発明の排水処理方法の第1の態様にあっては、膜モジュール35による固液分離処理を行うため、従来の沈殿槽が不要となる。その結果、CODCrが高い排水を処理する場合であっても、設備(システム)を従来に比べ小型化できる。
また、膜分離活性汚泥処理装置30を導入することによって、生物処理が1段のみであるにも関わらず、生物処理が2段である従来と同等若しくはそれ以上の処理水質が得られる。
また、設備(システム)がコンパクトになり、イニシャルの建設コストが安くなる。
また、沈殿槽が不要となり、維持管理が容易である。
また、従来では最終段階に必要とされた凝集沈殿槽がなくても、SSを十分に除去できる。
また、膜分離活性汚泥処理装置30からの透過水を逆浸透膜に直接通すことができる。従来の場合、透過水を逆浸透膜に通すためには、別途砂濾過等が必要となる。
尚、次亜塩素酸塩洗浄ステップと酸洗浄ステップとの間に膜分離ステップを行ってもよい。
なお、本発明の排水処理方法の第1の態様は、図示例の排水処理システム及びこれを用いる排水処理方法に限定はされない。
例えば、膜分離活性汚泥処理装置30からの透過水を冷却水等として再利用しない場合は、逆浸透膜濾過装置40を省略しても構わない。
槽別置型の膜分離活性汚泥処理装置30は、活性汚泥槽(第1の曝気槽)38と;膜分離槽39と;活性汚泥槽(第1の曝気槽)38及び膜分離槽39内の底部近傍にそれぞれ配置された2つの散気管32と;各散気管32にエアを供給するブロア33と;各散気管32とブロア33とを接続するエア導入管34と;膜分離槽39内且つ散気管32の上方に配置された膜モジュール35と;透過水流路55の途中に設けられ、膜モジュール35内を減圧にすることによって汚泥と透過水との固液分離を行い、且つ透過水を逆浸透膜濾過装置40へと送り出す吸引ポンプ36と;薬液流路59の途中に設けられ、逆洗用の薬液等を膜モジュール35に送り出す逆洗ポンプ37と;活性汚泥槽(第1の曝気槽)38で生物処理された混合水を膜分離槽39に移送する混合水流路と;膜分離槽39からの余剰汚泥の一部を活性汚泥槽(第1の曝気槽)38に返送する返送汚泥流路とを具備する。
図7は、本発明の排水処理方法の第2の態様に係る排水処理システムの一実施形態を示す概略構成図である。排水処理システムは、原水槽(図示略)からの排水を活性汚泥中の好気性微生物によって生物処理する曝気槽10と;曝気槽10にて生物処理された曝気槽混合水を汚泥と上澄み液とに固液分離する沈殿槽20と;沈殿槽20からの上澄み液を活性汚泥中の好気性微生物によって生物処理すると同時に、膜モジュール35によって汚泥と透過水とに固液分離する膜分離活性汚泥処理装置30と;膜モジュール35を洗浄する次亜塩素酸塩水溶液を貯蔵する第1の薬液タンク90と;膜モジュール35を洗浄する酸水溶液を貯蔵する第2の薬液タンク92と;第1の薬液タンク90及び第2の薬液タンク92からの膜モジュール35への薬液の供給を制御する制御部(図示略)と;原水槽からの排水を曝気槽10に供給する排水流路50と;曝気槽10にて生物処理された曝気槽混合水を沈殿槽20に移送する曝気槽混合水流路51と;沈殿槽20からの上澄み液を膜分離活性汚泥処理装置30に移送する上澄み液流路52と;沈殿槽20からの余剰汚泥を排出する余剰汚泥流路53と;沈殿槽20からの余剰汚泥の一部を曝気槽10に返送する返送汚泥流路54と;膜分離活性汚泥処理装置30からの透過水を排出する透過水流路55と;膜分離活性汚泥処理装置30からの余剰汚泥を排出する余剰汚泥流路56と;第1の薬液タンク90及び第2の薬液タンク92からの薬液を膜モジュール35に供給する薬液流路59とを具備する。
曝気槽10は、槽本体11と;槽本体11内の底部近傍に配置された散気管12と;散気管12にエアを供給するブロア13と;散気管12とブロア13とを接続するエア導入管14とを具備する。
沈殿槽20は、曝気槽10から移送された曝気槽混合水を、重力沈降によって汚泥と上澄み液とに固液分離できるものであればよく、特に限定はされない。沈殿槽20は、一般的な沈殿池であってもよい。
膜分離活性汚泥処理装置30は、第1の態様における膜分離活性汚泥処理装置30と同じ構成のものであり、説明を省略する。
排水処理システムは、図8に示すように、膜モジュール35を透過し、透過水流路55から排出された透過水を逆浸透膜によって濾過する逆浸透膜濾過装置40と;逆浸透膜濾過装置40を透過した精製水を排出する精製水流路57と;逆浸透膜濾過装置40を透過しなかった濃縮水を排出する濃縮水流路58とを更に具備していてもよい。
制御部は、第1の態様における制御部と同じ構成のものであり、説明を省略する。
図7の排水処理システムを用いた排水処理方法は、下記のステップ(a)〜(c)、(e)、(f)を有し、図8の排水処理システムを用いた排水処理方法は、下記のステップ(a)〜(f)を有する。
(a)曝気槽10にて、原水槽(図示略)からの排水を活性汚泥中の好気性微生物によって生物処理するステップ(1段階目の生物処理)。
(b)沈殿槽20にて、曝気槽10にて生物処理された曝気槽混合水を固液分離するステップ。
(c)膜分離活性汚泥処理装置30にて、沈殿槽20からの上澄み液を活性汚泥中の好気性微生物によって生物処理(2段階目の生物処理)を行いながら、膜モジュール35によって汚泥と透過水とに固液分離する膜分離ステップ。
(d)必要に応じて逆浸透膜濾過装置40にて、膜モジュール35を透過した透過水を逆浸透膜によって濾過するステップ。
(e)次亜塩素酸塩水溶液によって膜モジュールを洗浄する次亜塩素酸塩洗浄ステップ。
(f)酸水溶液によって膜モジュールを洗浄する酸洗浄ステップ。
本発明の排水処理方法の第2の態様において処理される排水は、CODCrが3000〜10000mg/Lであり、且つ重金属濃度が0.1質量ppm〜200質量ppmである。
CODCrが10000mg/Lを超えると、曝気槽10や膜分離活性汚泥処理装置30における生物処理の負担が大きくなりすぎる。CODCrが低い場合、本発明の排水処理方法の第2の態様によって排水を処理する必要がなくなるため、CODCrは3000mg/L以上である。CODCrは4000〜8000mg/Lが好ましい。
重金属としては、マンガン、コバルトが挙げられる。テレフタル酸製造プロセスにおいて排出される排水には、通常、触媒として用いたマンガン及び/又はコバルトが含まれる。
CODCr/BOD5が上記範囲内であれば生物処理による分解が容易であり、1段階のみでも分解可能であり、2段階で処理する場合、2段階目の容積負荷を通常通りの負荷としても目標の処理水質が得られる。CODCr/BOD5が10を超えると、生物処理による分解が難しいため、本発明の排水処理方法の第2の態様により処理することは容易ではない。
テレフタル酸等の芳香族カルボン酸を製造する際に排出され、原水槽(図示略)に貯留された排水を、排水流路50を経て曝気槽10に供給する。
曝気槽10に供給する排水については、あらかじめ粗大な浮遊物質、土砂等を除去したり、pHを調整したり、希釈したりしてもよい。
好気性微生物は、酸素を用いて芳香族化合物等を分解できる細菌等である。このような細菌としては、アルカリゲネス属、ロドコッカス属等が挙げられる。
曝気槽10にて生物処理された曝気槽混合水を、曝気槽混合水流路51を経て沈殿槽20に移送する。
沈殿槽20においては、曝気槽混合水を、重力沈降によって汚泥と上澄み液とに固液分離する。
なお、沈殿槽20を省略し、曝気槽10へ膜モジュールを設置し、濾過膜による固液分離を行ってもよい。
沈殿槽20の上澄み液を、上澄み液流路52を経て膜分離活性汚泥処理装置30に移送する。
沈殿槽20からの上澄み液には、混合後のCODCr、BOD5が上述する排水の範囲を超えない程度であれば、他の液(CODCrの高い他の排水等)を混合してもよい。
好気性微生物は、酸素を用いて脂肪族カルボン酸等を分解できる細菌等である。
ステップ(d)は、第1の態様におけるステップ(d)と同じステップであり、説明を省略する。
ステップ(e)、(f)は、第1の態様におけるステップ(d)と同じステップであり、説明を省略する。
以上説明した本発明の排水処理方法の第2の態様にあっては、曝気槽10にて、活性汚泥中の好気性微生物によって排水の生物処理を行い、且つ膜分離活性汚泥処理装置30にて、活性汚泥中の好気性微生物によって沈殿槽20からの上澄み液の生物処理を行うため、透過水(処理液)のCODCrを、従来の排水処理システム及び排水処理方法に比べ十分に低減できる。
また、沈殿槽20において好気性微生物を含む汚泥を分離した後、上澄み液のみを膜分離活性汚泥処理装置30に移送することによって、曝気槽10における好気性微生物の種類と、膜分離活性汚泥処理装置30における好気性微生物の種類とが異なるものとなるため、曝気槽10及び膜分離活性汚泥処理装置30における生物処理を異なる好気性微生物によって効率よく行うことができ、透過水(処理液)のCODCrを十分に低減できる。
また、膜分離活性汚泥処理装置30にて処理を行うため、曝気槽及び沈殿槽のみの従来の排水処理システム及び排水処理方法に比べ処理時間を短縮できる。
また、曝気槽及び沈殿槽の代わりに膜分離活性汚泥処理装置30を用いるため、曝気槽及び沈殿槽の組み合わせを2段有する従来の排水処理システム及び排水処理方法に比べ沈殿槽の数が減り、システムの設置面積を小さくできる。
尚、次亜塩素酸塩洗浄ステップと酸洗浄ステップとの間に膜分離ステップを行ってもよい。
なお、本発明の排水処理方法の第2の態様は、図示例の排水処理システム及びこれを用いる排水処理方法に限定はされない。
例えば、膜分離活性汚泥処理装置30からの透過水を冷却水等として再利用しない場合は、逆浸透膜濾過装置40を省略しても構わない。
本発明のテレフタル酸の製造方法は、テレフタル酸製造プロセスと、テレフタル酸製造プロセスにおいて排出される排水を処理する排水処理プロセスとを有する。
以下、図面を参照しつつ、本発明のテレフタル酸の製造方法の実施形態について説明する。なお、以下に示す実施形態は本発明のテレフタル酸の製造方法の例示であり、本発明のテレフタル酸の製造方法がこれら実施形態に限定されるものではない。特に濾過膜装置等の組み合わせはこれらの形態に限定されるものではない。
(A)酸化反応後に水素化精製によりテレフタル酸を製造する方法。
(B)酸化反応後に高温高圧で追加的に酸化反応を実施し、水素化精製をしないでテレフタル酸を製造する方法。
図9は、第1の代表的なテレフタル酸の製造方法における工程フロー及び物質フローを説明する図である。第1の代表的なテレフタル酸の製造方法は、下記工程(i)〜(vi)を有するテレフタル酸製造プロセスと、排水処理プロセス(vii)とを有する。
(i)含水酢酸中、p−キシレンを酸化して、粗テレフタル酸スラリーを得る工程(以下、「酸化反応工程(i)」とも記す。)。
(ii)粗テレフタル酸スラリーを固液分離して粗テレフタル酸ケーキを回収する工程(以下、「第1の固液分離工程(ii)」とも記す。)。
(iii)粗テレフタル酸ケーキを水に溶解して、水素添加処理をする工程(以下、「水素添加処理工程(iii)」とも記す。)。
(iv)水素添加処理液を晶析してテレフタル酸スラリーを得る工程(以下、「晶析工程(iv)」とも記す。)。
(v)テレフタル酸スラリーを固液分離してテレフタル酸ケーキ及び分離母液を得る工程(以下、「第2の固液分離工程(v)」とも記す。)。
(vi)テレフタル酸ケーキを乾燥してテレフタル酸を得る工程(以下、「乾燥工程(vi)」とも記す。)。
(vii)前記工程(i)〜(vi)から排出される排水の全量又は一部を好気性生物処理後、回収する排水処理プロセス(以下、「排水処理プロセス(vii)」とも記す。)。
酸化反応工程(i)は含水酢酸中、p−キシレンを酸化して、粗テレフタル酸スラリー211’を得る酸化反応工程である。まず、p−キシレンと酢酸等を含む溶媒とを混合し、酸化反応装置211に送り、溶媒中で触媒の存在下に分子状酸素を用いて、p−キシレンを酸化する。該触媒としては、コバルト、マンガン等の遷移金属の化合物及び/又は臭化水素酸等のハロゲン化水素等が挙げられる。これにより粗テレフタル酸スラリー211’が生成され、第1の固液分離工程(ii)に送られる。
第1の固液分離工程(ii)は、第1の固液分離装置212において粗テレフタル酸スラリー211’を固液分離して粗テレフタル酸ケーキを回収した後、洗浄及び乾燥を行って粗テレフタル酸212’を得る工程である。固液分離する方法としては、そのまま固液分離機にかける方法等を例示することができる。なお、粗テレフタル酸スラリー211’は加圧状態にあるので、圧力を下げると、溶解している粗テレフタル酸が析出する。このため、粗テレフタル酸スラリー211’を晶析槽(図示略)に送って、放圧冷却を行い、溶解している粗テレフタル酸を析出させてから、固液分離機にかけてもよい。なお、「放圧冷却」とは、対象液の圧力よりも低い圧力条件に設定した晶析槽にこの対象液を導入し、該晶析槽で放圧させることにより、膨張及び溶媒成分の気化により、冷却させることを意味する。
水素添加処理工程(iii)は、水素添加処理装置213において、粗テレフタル酸212’を水に溶解して、水素添加により還元処理する工程である。水素添加処理工程(iii)を経ることにより、不純物である4CBAは還元され、p−トルイル酸になる。p−トルイル酸はテレフタル酸より水溶性が高いので、後述する第2の固液分離工程(v)で分離することができる。なお、分離されたp−トルイル酸は酸化反応工程(i)に戻され、テレフタル酸原料として使用される。水素添加処理工程(iii)により生成した水素添加処理液213’は、次の晶析工程(iv)に送られる。
晶析工程(iv)は、晶析装置214において水素添加処理液213’を晶析してテレフタル酸スラリー214’を得る工程である。晶析方法としては、溶媒である水の蒸発除去及び冷却による方法や、放圧冷却する方法等を例示できる。この工程において、上述したようにp−トルイル酸は水溶性が高いため、その多くは析出せずに溶媒に溶解したままである。よって、次の第2の固液分離工程(v)でp−トルイル酸とテレフタル酸とを分離することができる。
第2の固液分離工程(v)は、第2の固液分離装置215において、テレフタル酸スラリー214’を固液分離して、テレフタル酸ケーキ215’とテレフタル酸分離母液224’とに分離する工程である。分離機としては濾過、遠心分離等公知の方法を採用できる。分離されたテレフタル酸ケーキにはテレフタル酸分離母液224’が付着しており、母液に溶解している不純物等が品質を低下させるので水で洗浄する。洗浄により得たテレフタル酸ケーキ215’は次の乾燥工程(vi)に送られる。
乾燥工程(vi)は、乾燥装置216において、テレフタル酸ケーキ215’を乾燥させて、テレフタル酸216’を得る工程である。乾燥にあたっては、放圧蒸発による加圧乾燥機、通常の流動乾燥機等を用いることができる。
排水処理プロセス(vii)は、排水処理システム221において、工程(i)〜(vi)から排出される排水中に含まれる有機物等を好気性微生物によって溶存酸素存在下に分解処理(好気性生物処理)し、さらに必要に応じて他の処理を行う工程である。排水処理システム221は、一般的な沈降槽及び曝気槽の組み合わせを有する。生物処理の完了した放流水227’は外部へ放流される。なお、工程(i)〜(vi)から排出される排水は、必ずしも何ら処理を施さずに直接この排水処理システム221に送られ処理されるとは限らない。工程毎に特有な排水組成に対応した処理を施し、排水処理システム221に送られる場合もある。
(a)曝気槽にて、工程(i)〜(vi)からの排水を活性汚泥中の好気性微生物によって生物処理するステップ。
(b)沈殿槽にて、曝気槽にて生物処理された曝気槽混合水を固液分離するステップ。
(c)膜分離活性汚泥処理装置にて、沈殿槽からの上澄み液又は工程(i)〜(vi)からの排水を活性汚泥中の好気性微生物によって生物処理を行いながら、及び/又は、生物処理した後に、膜モジュールによって汚泥と透過水とに固液分離する膜分離ステップ。
(d)必要に応じて逆浸透膜濾過装置にて、膜モジュールを透過した透過水を逆浸透膜によって濾過するステップ。
(e)次亜塩素酸塩水溶液によって膜モジュールを洗浄する次亜塩素酸塩洗浄ステップ。
(f)酸水溶液によって膜モジュールを洗浄する酸洗浄ステップ。
次に、工程(i)〜(vi)から排水処理プロセス(vii)へと排出される排水種とその処理経路について述べ、各工程毎に排水処理プロセス(vii)の生物処理の処理対象となる排水について説明する。
酸化反応工程(i)からは、酸化反応のために酸化反応装置211に導入される分子状酸素含有ガスに伴って、溶媒の酢酸、副生する水、酢酸メチル、臭化メチル、反応中間体、一酸化炭素等、及び、未反応のp−キシレン等を含有する高温高圧ガスが排出される。該高温高圧ガスから、副生エネルギーを電気及び熱エネルギーとして回収し、さらに酢酸、酢酸メチル等を回収した後、臭化メチル等を燃焼処理する。燃焼処理後の排ガスをアルカリ水等と接触洗浄した後、ガスは大気放出され、酸化排ガス洗浄水217’は排水処理システム221に送られる。
第1の固液分離工程(ii)からは、固液分離された母液が発生する。該母液の50%以上を酸化反応工程(i)に戻して再利用する。母液を再利用する比率は好ましくは70%以上であるが、系内での不純物蓄積による品質低下を防止するために母液を一部パージする必要がある。そのため、母液を再利用する比率は95%以下であり、好ましくは90%以下である。再利用に供されない酸化反応母液(パージ分)218’は溶媒回収装置217で蒸発濃縮され、蒸発溶媒219’と、有効成分を含む母液濃縮スラリー220’とに分けられる。母液濃縮スラリー220’は触媒回収・再生装置219に送られ、触媒が回収・再生される。回収・再生された触媒を固液分離した後、再生触媒回収分離母液222’が脱臭塔から生じる洗浄排水とともに排水処理システム221に送られる。一方、蒸発溶媒219’は酢酸等回収装置218に送られ、脱水塔(図示略)で酢酸を濃縮回収され、次いで蒸留塔(酢酸メチル回収塔)(図示略)で酢酸メチルを回収される。残った酢酸メチル回収塔底液221’の一部が、排水処理システム221に送られる。
通常、水素添加処理工程(iii)からは排水処理対象物は発生しない。
晶析工程(iv)からは、放圧冷却又は減圧冷却により晶析する際に、生じる蒸気を冷却して得られる晶析時発生凝縮水223’が発生する。晶析時発生凝縮水223’は、p−トルイル酸等の有機物を含んでおり、排水処理システム221に送られる。
第2の固液分離工程(v)においては、テレフタル酸ケーキ215’が固液分離されると共に、テレフタル酸分離母液224’が発生する。テレフタル酸分離母液224’はp−トルイル酸等回収装置220に送られ、テレフタル酸分離母液224’に溶解しているp−トルイル酸及びテレフタル酸等が放圧冷却により析出及び濾過分離される。テレフタル酸分離母液224’から析出分離したケーキはスラリー化した後、酸化反応工程(i)に戻される。析出分離の残留母液に含有されるコバルト、マンガン等の重金属を金属回収装置(図示略)で回収した後、残るp−トルイル酸等分離母液225’は冷却され、排水処理システム221に送られる。
第2の固液分離工程(v)及び乾燥工程(vi)からはこの他に、ベントガスを一括してスクラバーで処理する際に発生するベントガス洗浄水226’が排水処理システム221に送られる。
図10は、第1の代表的なテレフタル酸の製造方法において、生物処理中に精密濾過膜による膜分離処理を行う実施形態を説明する図である。以下、本発明のテレフタル酸の製造方法の実施形態の代表例を図10に基づきさらに具体的に説明する。
排水処理システム2100においては、好気性生物処理が2段階で行われる。本発明のテレフタル酸の製造方法における好気性生物処理は1段階でも十分であるが、大量の排水を少なくとも工業用水(冷却水)及び/又はプロセス水として利用可能な水質を有する水に再生することをより容易にする観点からは、このように2段階で行うことが好ましい。排水処理システム2100は、一般的な曝気槽及び沈殿槽を少なくとも具備する。すなわち、図10に示すように排水処理システム2100は、第1の曝気槽2101と、第1の曝気槽2101に接続された第1の沈殿槽2102と、第1の沈殿槽2102に接続された第2の曝気槽2103と、逆浸透膜濾過装置2106と、再利用水槽2107と、吸着剤処理装置2108とを具備する。なお、破線で表示した第2の沈殿槽2104は使用しないので不要である。排水処理システム2100においては、排水は第1の曝気槽2101、第1の沈殿槽2102、及び第2の曝気槽2103をこの順に移送されつつ、生物処理される。
排水処理システム2100においては膜分離にMF膜を使用する。MF膜は、概ね0.1μm〜10μmの不溶性固体を濾過する膜である。MF膜の材質としては、高分子材料、例えばポリプロピレン、ポリエチレン、酢酸セルロース、芳香族ポリアミド、ポリビニルアルコール、ポリフッ化ビニリデン、ポリスルホン、ポリカーボネート等が挙げられる。MF膜の孔径は通常0.03μm〜10μmであるが、用途に応じてさらに微細な膜を使用することも可能である。膜分離活性汚泥処理装置用には、孔径0.03μm〜0.4μmのMF膜が好ましい。膜素材は、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリフッ化ビニリデン等が特に好ましい。膜モジュールの形態は、中空糸型、平膜型、チューブラー型、スパイラル型等を特に制限なく採用できるが、これらの中でも中空糸型及び平膜型を特に好ましく採用できる。これらの具体例としては、膜分離活性汚泥処理装置用として市販されている、「ステラポアーSADF(登録商標)」(三菱レイヨン株式会社)、「メンブレイ(登録商標)」(東レ株式会社)、「マイクローザ(登録商標)」(旭化成ケミカルズ株式会社)等が挙げられる。
排水処理システム2100は、MF膜モジュール2105を洗浄する次亜塩素酸塩水溶液を貯蔵する第1の薬液タンク(図示略)と;MF膜モジュール2105を洗浄する酸水溶液を貯蔵する第2の薬液タンク(図示略)と;第1の薬液タンク及び第2の薬液タンクからのMF膜モジュール2105への薬液の供給を制御する制御部(図示略)とをさらに有する。制御部は、本発明の排水処理方法の第1〜2の態様における制御部と同じ構成のものであり、説明を省略する。
MF膜モジュール2105において、膜表面への堆積による閉塞(ファウリング)防止は重要である。クロスフローや曝気する空気により、膜表面への堆積速度を低減することは可能であるが、長期的には目詰まりは避けられない。膜表面への堆積が進行すると、膜間差圧が上昇する。膜間差圧が一定値を超えると、薬液による膜洗浄が必要となる。膜洗浄に使用可能な薬液としては、本発明の排水処理方法の第1〜2態様にて例示したものが挙げられる。膜洗浄は、本発明の排水処理方法の第1〜2態様におけるステップ(e)、(f)と同様に行う。
MF膜モジュール2105で膜分離された透過水aは、中間タンク(図示略)を経て、逆浸透膜濾過装置2106(以下、逆浸透膜を「RO膜」、逆浸透膜濾過装置を「RO膜濾過装置」とも記す。)に移送され、RO膜による膜分離処理により、金属イオン類及び残存有機物等の除去を受ける。RO膜分離処理に使用されるRO膜の材質としては、ポリエチレン、芳香族ポリアミドや架橋芳香族ポリアミドを含むポリアミド、脂肪族アミン縮合系ポリマー、複素環ポリマー、ポリビニルアルコール、及び酢酸セルロースの高分子材料を挙げることができ、これらから適宜選択することができる。また、2種以上の材質の混合物を採用することも可能である。本発明では、この中でも特に、芳香族ポリアミドや架橋芳香族ポリアミドを含むポリアミド等が分離性能が高く、好ましいものとして推奨される。RO膜の膜形態としては、非対称膜、及び複合膜等が挙げられ、これらの中から適宜選択することができる。2種以上のRO膜を組み合わせて使用することも可能である。また、膜表面への付着抑止性能を向上させた低ファウリング膜も好ましく採用することができる。また、RO膜分離処理に用いる膜モジュールの形態としては、中空糸膜型、スパイラル膜型、チューブラー膜型、平膜型、プリーツ型等を例示でき、これらの中から選ばれる1種又は2種以上の膜モジュールを採用できる。この中でも、モジュールの膜面積が大きく、装置のコンパクト化に有利である観点から、スパイラル膜型モジュールが好ましい。これらの具体例としては、「低圧スパイラル型RO膜エレメント」シリーズ(日東電工株式会社)、「フィルムテック(登録商標)」シリーズ(ザ・ダウ・ケミカル・カンパニー)、「ロメンブラ(登録商標)」(東レ株式会社)等が挙げられる。なお、RO膜モジュールの入口にプレフィルターを設置し、膜の保護をすることが好ましい。
RO膜透過水bをプロセス水として使用するにあたっては、吸着剤処理装置2108において各種吸着剤から選ばれる吸着剤を使用して吸着剤処理を施すことにより、さらに精製度(純度)を向上させることが可能となる。このように水の純度(水質)を向上させることにより、回収再生した水の用途範囲を拡大することが可能となる。吸着剤処理装置2108から回収された吸着精製水eは、テレフタル酸製造プロセスに供給され、プロセス水としてより好ましく利用される。吸着精製水eのプロセス水としての用途としては、例えば、水素添加処理工程(iii)の水素添加反応時に用いる溶媒の一部として用いる用途や、第2の固液分離工程(v)のテレフタル酸の固液分離処理における洗浄用水の一部として用いる用途等を挙げることができる。なお、吸着剤処理装置2108から排出される吸着剤処理排水fは、第1の曝気槽2101に移送され、再度生物処理される。
上述した本発明のテレフタル酸の製造方法に関する説明では、好気性生物処理を2段階で行う形態のテレフタル酸の製造方法を例示したが、本発明のテレフタル酸の製造方法は当該形態に限定されない。排水処理システムを第1の曝気槽のみ有する構成とし、第1の沈殿槽及び第2の曝気槽を使用しない形態(1段階のみ)とすることも可能である。このように1段階のみで行う場合には、MF膜モジュールは、第1の曝気槽内に設置することができる。ただし、活性汚泥の固液分離状況が良好になり、沈殿槽への懸濁物質の流入を低減できる観点からは、上述した排水処理システム2100のように2段階で行うことが好ましい。なお、好気性生物処理を1段階で行う場合には、MF膜に接触する排水の汚染度が高いため、膜分離処理での処理能力が低下し易いために膜洗浄頻度が増加する傾向にある。排水処理システムの新規建設に際しては、1段階のみで行うことによる膜洗浄費用の増大と、設備費、運転経費の低減等とのコスト比較の上、1段階のみ及び2段階のいずれを採用するか選定すればよい。
また、生物処理を1段階のみで行う場合にあってはMF膜モジュールを第1の沈殿槽の出口に、生物処理を2段階で行う場合にあってはMF膜モジュールを第2の沈殿槽の出口に配設する形態とすることも可能である。このような形態において使用可能なMF膜の具体例としては、「ステラポアーLFB」(登録商標)、「ステラポアーG」(登録商標)(いずれも三菱レイヨン株式会社製)、「トレフィルF」(登録商標)(東レ株式会社製)、「マイクローザ」(登録商標)(旭化成ケミカル株式会社製)等を挙げることができる。ただし、沈殿槽が不要になること、及び、曝気層内のMLSS濃度の高負荷処理が可能で設備を小型化できること等の観点からは、曝気槽(生物処理を1段階のみで行う場合にあっては第1の曝気槽、生物処理を2段階で行う場合にあっては第2の曝気槽)中にMF膜モジュールを設置する膜分離活性汚泥処理装置を採用することが好ましい。
図11は、第1の代表的なテレフタル酸の製造方法において、生物処理後に限外濾過膜(UF膜)による膜分離処理を行う実施形態を説明する図である。図11に示すように、本実施形態に係る排水処理プロセスにおいては、第1の曝気槽2101と、第1の沈殿槽2102と、第2の曝気槽2103aと、第2の沈殿槽2104aと、第2の沈殿槽2104aに接続されたUF膜ユニット2110と、UF膜ユニット2110に接続されたRO膜濾過装置2106と、RO膜濾過装置2106に接続された再利用水槽2107と、再利用水槽2107に接続された吸着剤処理装置2108とを具備する排水処理システム2200を用いる。これらのうち第2の曝気槽2103a、第2の沈殿槽2104a、排水処理システム2200及びUF膜ユニット2110以外については第1の実施形態と同様であるため、図10におけるものと同一の符号を付し適宜説明を省略する。
排水処理システム2200は、第1の曝気槽2101と、第1の曝気槽2101に接続された第1の沈殿槽2102と、第1の沈殿槽2102に接続された第2の曝気槽2103aと、第2の曝気槽2103aに接続された第2の沈殿槽2104aと、第2の沈殿槽2104aに接続されたUF膜ユニット2110と、UF膜ユニット2110に接続されたRO膜濾過装置2106と、RO膜濾過装置2106に接続された再利用水槽2107と、再利用水槽2107に接続された吸着剤処理装置2108とを具備する。排水処理システム2200が排水処理システム2100と異なる点は、第2の曝気槽2103aにMF膜モジュール2105が配設されていない点、第2の沈殿槽2104aを使用する点、及び、第2の沈殿槽2104aの出口にUF膜ユニット2110を配設する点である。排水処理システム2200においては、排水は第1の曝気槽2101〜第2の沈殿槽2104aの各槽を順に移送され、好気性生物処理を2段階で行う。両曝気槽の運転条件等は排水処理システム2100と同様である。第1の曝気槽2101〜第2の沈殿槽2104aの各槽を順に移送されて好気性生物処理を2段階で行った透過水hは、第2の沈殿槽2104aに接続されたUF膜ユニット2110に移送される。
UF膜ユニット2110において、透過水hは限外濾過膜(UF膜)モジュールによって膜分離処理される。UF膜を透過したUF膜透過水iは、中間タンク(図示略)を介してUF膜ユニット2110に接続されたRO膜濾過装置2106に移送される。
排水処理システム2200は、UF膜ユニット2110のUF膜モジュールを洗浄する次亜塩素酸塩水溶液を貯蔵する第1の薬液タンク(図示略)と;UF膜ユニット2110のUF膜モジュールを洗浄する酸水溶液を貯蔵する第2の薬液タンク(図示略)と;第1の薬液タンク及び第2の薬液タンクからのUF膜ユニット2110のUF膜モジュールへの薬液の供給を制御する制御部(図示略)とをさらに有する。制御部は、本発明の排水処理方法の第1〜2の態様における制御部と同じ構成のものであり、説明を省略する。
UF膜ユニット2110のUF膜モジュールにおいても、MF膜モジュール2105等と同様に、膜表面への堆積が進行すると膜間差圧が上昇する。膜間差圧が一定値を超えると、薬液による膜洗浄等が必要となる。膜洗浄に使用可能な薬液としては、本発明の排水処理方法の第1〜2態様にて例示したものが挙げられる。膜洗浄は、本発明の排水処理方法の第1〜2態様におけるステップ(e)、(f)と同様に行う。
UF膜ユニット2110での膜分離処理により得られたUF膜透過水iは、中間タンク(図示略)を経て、RO膜濾過装置2106に移送され、金属イオン類及び残存有機物等の除去を施される。UF膜の膜洗浄により発生したUF膜洗浄排水oは、第2の曝気槽2103aに移送され処理される。
特に、複数の濾過膜装置(例えば本実施形態においては、UF膜ユニット2110及びRO膜濾過装置2106。)を組み合わせて膜分離処理を行うことにより、上述した効果を奏することが一層容易になる。
RO膜透過水kをプロセス水として使用するにあたっては、吸着剤処理装置2108において各種吸着剤から選ばれる吸着剤を使用して吸着剤処理を施すことにより、さらに精製度(純度)を向上させることが可能となり、その結果回収再生した水の用途範囲を拡大することが可能となること等は、RO膜透過水bにおける場合と同様である。吸着剤処理装置2108から回収された吸着精製水mは、吸着精製水eと同様に、プロセス水としてより好ましく利用することができる。吸着剤処理装置2108における吸着剤及び処理の詳細については既に述べたのと同様である。吸着剤処理装置2108から排出される吸着剤処理排水nは、第1の曝気槽2101に移送され、再度生物処理される。
図12は、第2の代表的なテレフタル酸の製造方法における工程フロー及び物質フローを説明する図である。第2の代表的なテレフタル酸の製造方法は、下記工程(viii)〜(xii)を有するテレフタル酸製造プロセスと、排水処理プロセス(xiii)とを有する。
(viii)含水酢酸中、p−キシレンを酸化して、粗テレフタル酸スラリーを得る工程(以下、「酸化反応工程(viii)」とも記す。)。
(ix)粗テレフタル酸スラリーを、p−キシレンを供給せずに、さらに高温条件下で追加的な酸化反応に供してテレフタル酸スラリーを得る工程(以下、「追酸化工程(ix)」とも記す。)。
(x)テレフタル酸スラリーを固液分離してテレフタル酸ケーキを得る工程(以下、「固液分離工程(x)」とも記す。)。
(xi)テレフタル酸ケーキを乾燥してテレフタル酸を得る工程(以下、「乾燥工程(xi)」とも記す。)。
(xii)固液分離後の母液から触媒、溶媒等の有価物を回収再生する工程(以下、「母液回収再生工程(xii)」とも記す。)。
(xiii)前記工程(viii)〜(xii)から排出される排水の全量又は一部を好気性生物処理後、公共水域へ放流する排水処理プロセス(以下、「排水処理プロセス(xiii)」とも記す。)。
酸化反応工程(viii)では、酸化反応装置2511で含水酢酸を溶媒とし、触媒の存在下、分子状酸素含有ガスを用いてp−キシレンを酸化する工程である。該触媒としては、コバルト、マンガン等の遷移金属の化合物及び/又は臭化水素酸等のハロゲン化水素等が挙げられる。酸化反応工程(viii)により、粗テレフタル酸スラリー251’が得られる。反応温度は通常180℃〜230℃であり、好ましくは190℃〜210℃である。反応圧力は、少なくとも反応温度において、混合物が液相を保持できる圧力以上である必要があり、具体的には0.3MPa〜10MPa(絶対圧)が好ましく、1〜3MPa(絶対圧)がより好ましい。
追酸化工程(ix)は、酸化反応で得られた粗テレフタル酸スラリー251’が追酸化反応装置2512に移送されて、分子状酸素含有ガスを供給して高温度でさらに酸化される工程である。追酸化工程(ix)により、テレフタル酸スラリー252’が得られる。反応温度は通常235℃〜290℃、好ましくは240℃〜280℃であり、圧力は通常3MPa〜10MPa(絶対圧)が好ましい。粗テレフタル酸スラリー251’中のテレフタル酸粒子の一部が溶解し、粒子中の酸化中間体、未反応原料等が酸化されて、不純物濃度が低減され精製効果が生じる。高温高圧の排ガスは酸化反応工程(viii)から生じる高温高圧ガスと同様に処理されて、残りの追酸化排ガス洗浄水256’は酸化反応工程(viii)の酸化排ガス洗浄水255’とともに、排水処理システム2518に移送される。
固液分離工程(x)は、固液分離装置2513においてテレフタル酸スラリー252’を固液分離してテレフタル酸ケーキ253’を得る工程である。固液分離する方法としては、テレフタル酸スラリー252’をそのまま固液分離機にかける方法等を例示できる。またテレフタル酸スラリー252’は加圧状態にあるので、圧力を下げると、溶解しているテレフタル酸が析出する。このため、テレフタル酸スラリー252’を晶析槽(図示略)に送って、放圧冷却を行い、溶解しているテレフタル酸を析出させてから、固液分離機にかけてもよい。なお、「放圧冷却」とは、対象液の圧力よりも低い圧力条件に設定した晶析槽に、この対象液を導入し、該晶析槽で放圧させることにより、膨張及び溶媒成分の気化により、冷却させることを意味する。
乾燥工程(xi)は、乾燥装置2514でテレフタル酸ケーキ253’を乾燥し、テレフタル酸254’を得る工程である。乾燥装置2514から発生する排ガスは、洗浄塔(図示略)で洗浄され、洗浄により生じたベントガス洗浄水262’は排水処理システム2518に送られる。
工程(viii)〜(xii)から排水処理システム2518に流入する排水には浮遊物質(SS)、重金属、アルカリ金属、CODCrの増加をもたらす化合物、全窒素の増加をもたらす含窒素化合物等が含有されている。この流入排水中の不溶物質の濃度はSS値で100mg/L以下、及び/又は濁度(Turbidity)で100NTU以下、水可溶性有機物質の濃度がCODCrで10000mg/L以下である。しかし、排水処理システム2518から流出する放流水263’は、水質の観点からそのままテレフタル酸製造プロセスで再利用することはできす、公共水域に大量に放流せざるを得ない。
(a)曝気槽にて、工程(i)〜(vi)からの排水を活性汚泥中の好気性微生物によって生物処理するステップ。
(b)沈殿槽にて、曝気槽にて生物処理された曝気槽混合水を固液分離するステップ。
(c)膜分離活性汚泥処理装置にて、沈殿槽からの上澄み液又は工程(i)〜(vi)からの排水を活性汚泥中の好気性微生物によって生物処理を行いながら、及び/又は、生物処理した後に、膜モジュールによって汚泥と透過水とに固液分離する膜分離ステップ。
(d’)必要に応じてナノ濾過膜濾過装置にて、膜モジュールを透過した透過水をナノ濾過膜によって濾過するステップ。
(e)次亜塩素酸塩水溶液によって膜モジュールを洗浄する次亜塩素酸塩洗浄ステップ。
(f)酸水溶液によって膜モジュールを洗浄する酸洗浄ステップ。
図13は、第2の代表的なテレフタル酸の製造方法における一実施形態を説明する図である。以下、図13を参照しつつ、排水処理システム2518に流入する排水の公共水域への排水量を低減するための本発明のテレフタル酸の製造方法の一実施形態について説明する。
排水処理システム21000は、第1の曝気槽21010と、第1の曝気槽21010に接続された第1の沈殿槽21020と、第1の沈殿槽21020に接続された第2の曝気槽21030と、第2の曝気槽21030内に配設されたMF膜モジュール21050と、MF膜モジュール21050の出側に接続されたNF膜濾過装置21060と、NF膜濾過装置21060の出側に接続された再利用水槽21070と、再利用水槽21070に接続された吸着剤処理装置21080とを具備する。図13において破線で表示している第2の沈殿槽21040は使用しないので不要である。排水処理システム21000に流入した排水は、第1の曝気槽21010から第2の曝気槽21030までを順に移送されながら2段階にて好気性生物処理を受ける。
排水処理システム21000は、膜分離活性汚泥処理装置を具備する。すなわち、第2の曝気槽21030内にMF膜モジュール21050が浸漬される形で配設されており、第2の曝気槽21030で2段階目の好気性生物処理を受けた排水はMF膜モジュール21050において膜分離処理される。MF膜モジュール21050が具備するMF膜を透過した水は透過水rとして取り出される。透過水rは、MF膜モジュール21050の出側に接続されているNF膜濾過装置21060に移送される。
排水処理システム21000は、MF膜モジュール21050を洗浄する次亜塩素酸塩水溶液を貯蔵する第1の薬液タンク(図示略)と;MF膜モジュール21050を洗浄する酸水溶液を貯蔵する第2の薬液タンク(図示略)と;第1の薬液タンク及び第2の薬液タンクからのMF膜モジュール21050への薬液の供給を制御する制御部(図示略)とをさらに有する。制御部は、本発明の排水処理方法の第1〜2の態様における制御部と同じ構成のものであり、説明を省略する。
MF膜モジュール21050において、膜表面への堆積による閉塞(ファウリング)防止は重要である。クロスフローや曝気する空気により、膜表面への堆積速度を低減することは可能であるが、長期的には目詰まりは避けられない。膜表面への堆積が進行すると、膜間差圧が上昇する。膜間差圧が一定値を超えると、薬液による膜洗浄が必要となる。膜洗浄に使用可能な薬液としては、本発明の排水処理方法の第1〜2態様にて例示したものが挙げられる。膜洗浄は、本発明の排水処理方法の第1〜2態様におけるステップ(e)、(f)と同様に行う。
NF膜濾過装置21060はナノ濾過膜(NF膜)を具備する膜濾過装置である。NF膜濾過装置21060に流入した透過水rは、NF膜による膜分離処理を受け、NF膜透過水sとNF膜濃縮水tとを生じる。NF膜は2nmより小さい粒子や高分子を阻止する液体濾過膜であり、細孔径はMF膜やUF膜よりも小さく、一般的なRO膜よりは大きい。NF膜はルーズRO膜とも称され、一般的RO膜よりも低圧での運転が可能であるという特徴を有している。
特に、複数の濾過膜装置(例えば本実施形態においては、MF膜モジュール21050及びNF膜濾過装置21060。)を組み合わせて膜分離処理を行うことにより、効果を奏することが一層容易になる。
NF膜透過水sをプロセス水として使用するにあたっては、吸着剤処理装置21080において各種吸着剤から選ばれる吸着剤を使用して吸着剤処理を施すことにより、さらに精製度(純度)を向上させることが可能となり、その結果回収再生した水の用途範囲を拡大することが可能となること等は、RO膜透過水bにおける場合と同様である。吸着剤処理装置21080において使用可能な吸着剤としては、吸着剤処理装置2108に関して挙げたものと同様のものを挙げることができ、吸着剤処理装置21080の運用も、吸着剤処理装置2108と同様に行うことができる。吸着剤処理装置21080から生じる吸着剤処理排水wは、第1の曝気槽21010に戻され、再度生物処理される。
上述した本発明のテレフタル酸の製造方法に関する説明では、テレフタル酸製造プロセスからの排水を回収再生するにあたって第1の曝気槽21010、第1の沈殿槽21020、及び第2の曝気槽21030を用い、好気性生物処理を2段階で行う形態を例示したが、本発明のテレフタル酸の製造方法は当該形態に限定されない。好気性生物処理を1段階のみで行う形態とすることも可能であり、かかる場合には、第1の曝気槽21010内にMF膜モジュール21050を配設すればよく、第1の沈殿槽21020及び第2の曝気槽21030は使用しないので不要となる。かかる場合においても、MF膜モジュール21050の態様は同様とすることができる。
本発明のテレフタル酸の製造方法によれば、生物処理と膜分離処理とを組み合わせているため、テレフタル酸を製造する際に生ずる大量の排水を工業用水(冷却水)及び/又はプロセス水として再生利用でき、水源からの新規取水量及び公共水域への排水量を低減することが可能な、経済性及び環境適合性を高めたテレフタル酸の製造方法とすることができる。
尚、次亜塩素酸塩洗浄ステップと酸洗浄ステップとの間に膜分離ステップを行ってもよい。
(排水)
触媒として酢酸コバルト及び酢酸マンガンとし、助触媒として臭化水素の存在下、水及び酢酸を含む溶媒中にて、p−キシレンを液相酸化して粗テレフタル酸スラリーとした。次いで粗テレフタル酸スラリーを固液分離により母液と粗テレフタル酸ケーキとした。粗テレフタル酸ケーキは水洗、乾燥し、粗テレフタル酸として回収した。回収した粗テレフタル酸と水を水添反応器に入れ、水素を用いて水素添加処理し、テレフタル酸を含むスラリーとし、その後、テレフタル酸を回収した。前記固液分離において分離された母液から触媒を回収した後に、洗浄排水と共に排出された排水を用意した。この排水の性状を表1に示す。
排水処理システムとしては、図7の排水処理システムを用いた。
膜ユニットとしては、散気管32と膜モジュール35とが一体化された図2に示す膜ユニットを用いた。
曝気槽10及び膜分離活性汚泥処理装置30の水槽容量を表1に示す。
処理水量は、表1に示す水量とした。
曝気槽10のMLSS濃度、HRT(水理学的滞留時間)、CODCr容積負荷は、表1に示す値とした。
膜分離活性汚泥処理装置30のMLSS濃度、HRT(水理学的滞留時間)、CODCr容積負荷は、表1に示す値とした。
沈殿槽20からの返送汚泥量は、表1に示す量とした。
沈殿槽20からの上澄み液及び膜モジュール35からの透過水の性状を表1に示す。
処理水量を表1に示す水量に変更し、曝気槽10のHRT(水理学的滞留時間)、CODCr容積負荷を表1に示す値に変更し、膜分離活性汚泥処理装置30のHRT(水理学的滞留時間)、CODCr容積負荷を表1に示す値に変更した以外は、実験例1と同様にして排水処理を行った。
沈殿槽20からの上澄み液及び膜モジュール35からの透過水の性状を表1に示す。
排水処理システムとしては、図14に示す従来の排水処理システムを用いた。
第1の曝気槽101及び第2の曝気槽103の水槽容量を表1に示す。
処理水量は、表1に示す水量とした。
第1の曝気槽101のMLSS濃度、HRT(水理学的滞留時間)、CODCr容積負荷は、表1に示す値とした。
第2の曝気槽103のMLSS濃度、HRT(水理学的滞留時間)、CODCr容積負荷は、表1に示す値とした。
第1の沈殿槽102からの返送汚泥量及び第2の沈殿槽104からの返送汚泥量は、表1に示す量とした。
第1の沈殿槽102からの上澄み液及び第2の沈殿槽104からの上澄み液の性状を表1に示す。
実験例1〜3は、処理水水質が良好で、滞留時間も小さいため設置面積が小さくなる。一方、膜分離を用いない比較実験例1は、処理水質は実験例1より多少悪い程度であるが、第2の沈殿槽を用いるため、設置面積が大きくなる。
(実施例1)
実験例1と同じ排水処理システムにて排水処理を行った。
運転開始後の膜モジュール35の膜間差圧は、10kPaであった。
運転開始から3744時間後、膜モジュール35の膜間差圧が20kPaとなったところで、膜分離ステップを中断し、膜モジュール35に、3000mg/Lの次亜塩素酸ナトリウム水溶液を2L/濾過膜1m2の通液量で30分かけて通液して膜モジュール35を洗浄し、その後90分間静置した。膜モジュール35の膜間差圧は14kPaとなった。
膜分離ステップを同じ条件にて再開した。
1回目の洗浄から10時間後、膜モジュール35の膜間差圧が14kPaとなったところで、膜分離ステップを中断し、膜モジュール35に、2質量%のクエン酸水溶液を2L/濾過膜1m2の通液量で30分かけて通液して膜モジュール35を洗浄し、その後90分間静置した。膜モジュール35の膜間差圧は13kPaとなった。
膜分離ステップを同じ条件にて再開した。
2回目の洗浄から888時間後、膜モジュール35の膜間差圧が19kPaとなったところで、膜分離ステップを中断し、膜モジュール35に、2質量%クエン酸水溶液を2L/濾過膜1m2の通液量で30分かけて通液して膜モジュール35を洗浄し、その後90分間静置した。膜モジュール35の膜間差圧は18kPaとなった。
膜分離ステップを同じ条件にて再開した。
3回目の洗浄から480時間後、膜モジュール35の膜間差圧が26kPaとなったところで、膜分離ステップを中断し、膜モジュール35に、3000mg/Lの次亜塩素酸ナトリウム水溶液を2L/濾過膜1m2の通液量で30分かけて通液して膜モジュール35を洗浄し、その後90分間静置した。膜モジュール35の膜間差圧は15kPaとなった。
膜分離ステップを同じ条件にて再開した。
4回目の洗浄から1時間後、膜モジュール35の膜間差圧が15kPaとなったところで、膜分離ステップを中断し、膜モジュール35に、2質量%のクエン酸水溶液を2L/濾過膜1m2の通液量で30分かけて通液して膜モジュール35を洗浄し、その後90分間静置した。膜モジュール35の膜間差圧は14kPaとなった。
膜分離ステップを同じ条件にて再開した。
5回目の洗浄から1440時間後、膜モジュール35の膜間差圧が19kPaとなったところで、膜分離ステップを中断し、膜モジュール35に、3000mg/Lの次亜塩素酸ナトリウム水溶液を2L/濾過膜1m2の通液量で30分かけて通液して膜モジュール35を洗浄し、その後90分間静置した。膜モジュール35の膜間差圧は18kPaとなった。
次いで、膜分離ステップを同じ条件で再開した。
実験例1と同じ排水処理システムにて排水処理を行った。
運転開始後の膜モジュール35の膜間差圧は、10kPaであった。
運転開始から3696時間後、膜モジュール35の膜間差圧が20kPaとなったところで、膜分離ステップを中断し、膜モジュール35に、2質量%のクエン酸水溶液を2L/濾過膜1m2の通液量で30分かけて通液して膜モジュール35を洗浄し、その後90分間静置した。膜モジュール35の膜間差圧は18kPaとなった。
膜分離ステップを同じ条件にて再開した。
1回目の洗浄から216時間後、膜モジュール35の膜間差圧が53kPaとなったところで、膜分離ステップを中断し、膜モジュール35に、3000mg/Lの次亜塩素酸ナトリウム水溶液を2L/濾過膜1m2の通液量で30分かけて通液して膜モジュール35を洗浄し、その後90分間静置した。膜モジュール35の膜間差圧は16kPaとなった。
膜分離ステップを同じ条件にて再開した。
2回目の洗浄から5時間後、膜モジュール35の膜間差圧が16kPaとなったところで、膜分離ステップを中断し、膜モジュール35に、2質量%のクエン酸水溶液を2L/濾過膜1m2の通液量で30分かけて通液して膜モジュール35を洗浄し、その後90分間静置した。膜モジュール35の膜間差圧は14kPaとなった。
膜分離ステップを同じ条件にて再開した。
3回目の洗浄から480時間後、膜モジュール35の膜間差圧が26kPaとなったところで、膜分離ステップを中断し、膜モジュール35に、2質量%クエン酸水溶液を2L/濾過膜1m2の通液量で30分かけて通液して膜モジュール35を洗浄し、その後90分間静置した。膜モジュール35の膜間差圧は21kPaとなった。
膜分離ステップを同じ条件にて再開した。
4回目の洗浄から744時間後、膜モジュール35の膜間差圧が22kPaとなったところで、膜分離ステップを中断し、膜モジュール35に、2質量%クエン酸水溶液を2L/濾過膜1m2の通液量で30分かけて通液して膜モジュール35を洗浄し、その後90分間静置した。膜モジュール35の膜間差圧は20kPaとなった。
膜分離ステップを同じ条件にて再開した。
5回目の洗浄から816時間後、膜モジュール35の膜間差圧が21kPaとなったところで、膜分離ステップを中断し、膜モジュール35に、2%クエン酸水溶液を2L/濾過膜1m2の通液量で30分かけて通液して膜モジュール35を洗浄し、その後90分間静置した。膜モジュール35の膜間差圧は20kPaとなった。
膜分離ステップを同じ条件にて再開した。
6回目の洗浄から5時間後、膜モジュール35の膜間差圧が20kPaとなったところで、膜分離ステップを中断し、膜モジュール35に、3000mg/Lの次亜塩素酸ナトリウム水溶液を2L/濾過膜1m2の通液量で30分かけて通液して膜モジュール35を洗浄し、その後90分間静置した。膜モジュール35の膜間差圧は21kPaとなった。
膜分離ステップを同じ条件にて再開した。
本発明のテレフタル酸の製造方法は、地球環境の保護及び水資源の節約による経費節減が求められる昨今においてテレフタル酸を工業的に製造する際に好適に用いることができる。
20 沈殿槽
30 膜分離活性汚泥処理装置
35 膜モジュール
40 逆浸透膜濾過装置
42 逆浸透膜
90 第1の薬液タンク
92 第2の薬液タンク
211 酸化反応装置
212 第1の固液分離装置
213 水素添加処理装置
214 晶析装置
215 第2の固液分離装置
216 乾燥装置
217 溶媒回収装置
218 酢酸等回収装置
219 触媒回収・再生装置
220 p−トルイル酸等回収装置
221 排水処理システム
211’ 粗テレフタル酸スラリー
212’ 粗テレフタル酸
213’ 水素添加処理液
214’ テレフタル酸スラリー
215’ テレフタル酸ケーキ
216’ テレフタル酸
217’ 酸化排ガス洗浄水
218’ 酸化反応母液(パージ分)
219’ 蒸発溶媒
220’ 母液濃縮スラリー
221’ 酢酸メチル回収塔底液
222’ 再生触媒回収分離母液
223’ 晶析時発生凝縮水
224’ テレフタル酸分離母液
225’ p−トルイル酸等分離母液
226’ ベントガス洗浄水
227’ 放流水
2511 酸化反応装置
2512 追酸化反応装置
2513 固液分離装置
2514 乾燥装置
2515 溶媒回収装置
2516 酢酸等回収装置
2517 触媒回収・再生装置
2518 排水処理システム
251’ 粗テレフタル酸スラリー
252’ テレフタル酸スラリー
253’ テレフタル酸ケーキ
254’ テレフタル酸
255’ 酸化排ガス洗浄水
256’ 追酸化排ガス洗浄水
257’ 酸化反応母液(パージ分)
258’ 蒸発溶媒
259’ 母液濃縮スラリー
260’ 酢酸メチル回収塔底液
261’ 再生触媒回収分離母液
262’ ベントガス洗浄水
263’ 放流水
2100、2200、21000 排水処理システム
2101、21010 第1の曝気槽
2102、21020 第1の沈殿槽
2103、2103a、21030 第2の曝気槽
2104、2104a、21040 第2の沈殿槽
2105、21050 MF膜モジュール
2106 RO膜濾過装置
2107、21070 再利用水槽
2108、21080 吸着剤処理装置
2110 UF膜ユニット
21060 NF膜濾過装置
a、r 透過水
b、k RO膜透過水
c、j RO膜濃縮水
d、l、u 工業用水(冷却水)
e、m、v 吸着精製水
f、n、w 吸着剤処理排水
h 透過水
i UF膜透過水
o UF膜洗浄排水
s NF膜透過水
t NF膜濃縮水
Claims (19)
- CODCrが3000mg/L〜10000mg/Lであり、且つ重金属濃度が0.1質量ppm〜200質量ppmである排水を処理する排水処理方法であって、
前記排水の生物処理を行いながら及び/又は前記排水の生物処理を行った後、膜モジュールによって汚泥と透過水とに固液分離する膜分離ステップと、
前記膜モジュールを洗浄する洗浄ステップとを有し、
前記洗浄ステップとして、まず、次亜塩素酸塩水溶液によって前記膜モジュールを洗浄する次亜塩素酸塩洗浄ステップを行い、次に、酸水溶液によって前記膜モジュールを洗浄する酸洗浄ステップを行い、
前記次亜塩素酸塩洗浄ステップの終了から前記酸洗浄ステップの開始までの間隔が、48時間以内である、排水処理方法。 - CODCrが3000mg/L〜10000mg/Lであり、且つ重金属濃度が0.1質量ppm〜200質量ppmである排水を処理する排水処理方法であって、
前記排水の生物処理を行いながら及び/又は前記排水の生物処理を行った後、膜モジュールによって汚泥と透過水とに固液分離する膜分離ステップと、
前記膜モジュールを洗浄する洗浄ステップとを有し、
前記洗浄ステップとして、まず、次亜塩素酸塩水溶液によって前記膜モジュールを洗浄する次亜塩素酸塩洗浄ステップを行い、次に、酸水溶液によって前記膜モジュールを洗浄する酸洗浄ステップを行い、
前記膜モジュールの膜間差圧が、運転開始後の膜間差圧よりも3kPa〜30kPa高くなったときに前記酸洗浄ステップを開始する、排水処理方法。 - 前記重金属が、マンガン及びコバルトからなる群より選ばれる少なくとも1種である、請求項1又は2に記載の排水処理方法。
- 前記排水が、テレフタル酸製造プロセスにおいて排出される排水である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の排水処理方法。
- 前記酸が、クエン酸である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の排水処理方法。
- 次亜塩素酸塩洗浄ステップと次の次亜塩素酸塩洗浄ステップとの間に酸洗浄ステップを複数回行う、請求項1〜5のいずれか一項に記載の排水処理方法。
- テレフタル酸製造プロセスにおいて排出される排水を処理する排水処理プロセスを有するテレフタル酸の製造方法であって、
前記排水処理プロセスが、
前記排水の生物処理を行いながら及び/又は前記排水の生物処理を行った後、膜モジュールによって汚泥と透過水とに固液分離する膜分離ステップと、
前記膜モジュールを洗浄する洗浄ステップとを有し、
前記洗浄ステップとして、まず、次亜塩素酸塩水溶液によって前記膜モジュールを洗浄する次亜塩素酸塩洗浄ステップを行い、次に、酸水溶液によって前記膜モジュールを洗浄する酸洗浄ステップを行い、
前記次亜塩素酸塩洗浄ステップの終了から前記酸洗浄ステップの開始までの間隔が、48時間以内である、テレフタル酸の製造方法。 - テレフタル酸製造プロセスにおいて排出される排水を処理する排水処理プロセスを有するテレフタル酸の製造方法であって、
前記排水処理プロセスが、
前記排水の生物処理を行いながら及び/又は前記排水の生物処理を行った後、膜モジュールによって汚泥と透過水とに固液分離する膜分離ステップと、
前記膜モジュールを洗浄する洗浄ステップとを有し、
前記洗浄ステップとして、まず、次亜塩素酸塩水溶液によって前記膜モジュールを洗浄する次亜塩素酸塩洗浄ステップを行い、次に、酸水溶液によって前記膜モジュールを洗浄する酸洗浄ステップを行い、
前記膜モジュールの膜間差圧が、運転開始後の膜間差圧よりも3kPa〜30kPa高くなったときに前記酸洗浄ステップを開始する、テレフタル酸の製造方法。 - 前記酸が、クエン酸である、請求項7又は8に記載のテレフタル酸の製造方法。
- 前記排水のCODCrが3000mg/L〜10000mg/Lであり、且つ重金属濃度が0.1質量ppm〜200質量ppmである、請求項7〜9のいずれか一項に記載のテレフタル酸の製造方法。
- 前記テレフタル酸製造プロセスが、
p−キシレンを酸化し粗テレフタル酸とする工程と、
該粗テレフタル酸を精製しテレフタル酸とする工程と
を有する、請求項7〜10のいずれか一項に記載のテレフタル酸の製造方法。 - 前記粗テレフタル酸を精製する工程が、水素添加処理を行う工程を含む、請求項11に記載のテレフタル酸の製造方法。
- 前記粗テレフタル酸を精製する工程が、追加的な酸化反応を行う工程を含む、請求項11に記載のテレフタル酸の製造方法。
- 次亜塩素酸塩洗浄ステップと次の次亜塩素酸塩洗浄ステップとの間に酸洗浄ステップを複数回行う、請求項7〜13のいずれか一項に記載のテレフタル酸の製造方法。
- 前記排水処理プロセスが、
逆浸透膜濾過装置にて、膜モジュールを透過した透過水を逆浸透膜によって濾過するステップ
をさらに有する、請求項7〜14のいずれか一項に記載のテレフタル酸の製造方法。 - 前記排水処理プロセスが、
前記透過水の少なくとも一部に、さらに吸着剤処理を行い、吸着精製水とするステップと、
前記吸着精製水を回収するステップと
をさらに有する、請求項7〜15のいずれか一項に記載のテレフタル酸の製造方法。 - 前記吸着剤処理を、活性炭、イオン交換樹脂、合成ゼオライト、シリカアルミナ、ベントナイト、及びアルミン酸アルカリ土類金属塩からなる群より選ばれる少なくとも1種の吸着剤により行う、請求項16に記載のテレフタル酸の製造方法。
- 回収した前記透過水の少なくとも一部を、前記テレフタル酸製造プロセスにおける冷却水及び/又はプロセス水として使用する、請求項7〜17のいずれか一項に記載のテレフタル酸の製造方法。
- 回収した前記吸着精製水の少なくとも一部を、前記テレフタル酸製造プロセスにおける冷却水及び/又はプロセス水として使用する、請求項16又は17に記載のテレフタル酸の製造方法。
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JP2013209283A JP2015071155A (ja) | 2013-10-04 | 2013-10-04 | 排水処理方法及びテレフタル酸の製造方法 |
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