JP2010126455A - 芳香族カルボン酸の製造方法 - Google Patents

芳香族カルボン酸の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】製造工程において系外にパージする酸化反応分離母液中の有機物、触媒等を回収する際に生成する可燃性の固形分、高COD水に関する改善された処理工程を備える、芳香族カルボン酸の製造方法を提供する。
【解決手段】溶媒中でアルキル芳香族化合物を酸化して芳香族カルボン酸スラリーを得る酸化工程、該芳香族カルボン酸スラリーから芳香族カルボン酸と母液とを得る芳香族カルボン酸分離工程、該母液をリサイクル母液とパージ母液とに分離し、該リサイクル母液を該芳香族カルボン酸分離工程より前の工程に戻す母液リサイクル工程、該パージ母液から可燃性の固形分と液体とを得る固液分離工程、及び、該固形分をCODが5,000質量ppm以上である高COD水とともに燃焼処理する燃焼工程を含む、芳香族カルボン酸の製造方法とする。
【選択図】図1

Description

本発明は芳香族カルボン酸の製造方法に関する。より詳しくは、製造工程において発生する副生成物や排水の処理方法を改善した、芳香族カルボン酸の製造方法に関する。
アルキル芳香族化合物の酸化工程で生成する芳香族カルボン酸は通常、酸化反応の溶媒には完全には溶解せずスラリーとなる。スラリーを固液分離して目的とする芳香族カルボン酸と母液とに分離した後、母液をすべてリサイクルできれば、単純で簡潔なプロセスが完成する。しかしながら、アルキル芳香族化合物の酸化工程では、目的とする芳香族カルボン酸以外の不純物が副生するので、母液をすべてリサイクルすると不純物が蓄積濃縮されるため好ましくない。実際には母液の一部をパージして、残りをリサイクルする方法がとられている。しかし、パージする母液中にはリサイクル可能な有機物および触媒成分などが含まれるので、そのまま廃棄することは経済的にも環境的にも好ましくない。このため、通常、リサイクルできる物質を回収した後、残留物のみを廃棄する方法で製造されている。
パージ母液からリサイクルされるものは主に溶媒及び触媒であり、溶媒及び触媒を回収した後の残留物は常温で高粘性の液体または固形分である。これらは通常、排スラッジとして焼却されたり埋め立てに使われたりしており、液体は排水処理工程を経由して生物処理後に放流される例が多い。これらの固形分の焼却、埋め立ては、通常、開放系で行われており、これが原因で臭気が作業環境や周辺環境へ悪影響を及ぼしている例が見られる。また、生物処理する液体には高濃度の有機物が含有されているので活性汚泥への負荷が大きく、排水処理の安定運転を妨げる事例が見られる。
かかる背景下、特許文献1〜3に種々の排水処理法が開示されており、特許文献4には固形残渣を燃料とする新規加熱炉の独自な提案がされている。
特許文献1では、有機物を含有する排水中に電極を対峙させ、電解処理して排水中の有機物を電気化学的に分解することを特徴とする排水処理技術が提案されている。該方法では有機物を電気分解し、発生する水素をテレフタル酸プラントの水添精製工程に使用するものである。しかしながら該方法は有機物処理効率が満足できるレベルに到達していないため、活性汚泥処理に負荷がかかりすぎるという問題があった。
特許文献2では有機含有排水を、第一段階として酸素含有ガス存在下に無触媒で湿式酸化処理し、第二段階として酸素含有ガス不存在下または酸素ガス存在下に触媒を用いて湿式加熱処理する処理法が提案されている。また特許文献3においては、特定の細孔構造を有するチタニアを担体とし、該担体に活性成分としてルテニウムを担持した触媒下、有機物含有排水を湿式酸化処理する方法が提案されている。しかしながらこれらいずれの先行技術も難分解性有機物の処理には十分ではない。
特許文献4では、テレフタル酸製造プラント等から産業廃棄物として発生する可燃性の廃化成品(固形残渣)を処理する際に、その残渣自身を燃料とする加熱炉が提案されている。しかしながら、引用文献4においては固形残渣を燃焼するのみであって、排水の処理については何ら解決されていなかった。
特開2006−272051号公報 特開平9−253696号公報 特開平10−99876号公報 特開平3−1007号公報
芳香族カルボン酸の製造工程において発生する副生成物や排水の従来の処理方法によれば、液中燃焼などの燃焼法によって燃料を大量に消費し、ランニングコストが高いこと、さらに活性汚泥法についても特に高濃度の有機物を含有する排水の場合、直接処理は不可能で希釈すると設備が大型化するなど、いずれの方法も経済的に問題がある。しかし、上記特許文献1〜4において開示されている技術を芳香族カルボン酸の製造法に適用する場合には、前記したような種々問題点が残されているので、今後の改善が待たれる状況である。
そこで本発明は、製造工程において系外にパージする酸化反応分離母液中の有機物、触媒等を回収する際に生成する可燃性の固形分、高COD(Chemical Oxygen Demand)水に関する改善された処理工程を備える、芳香族カルボン酸の製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記実情に鑑み、固形分の焼却や埋め立てのみに特化していた処理法を改め、該固形分を高COD水との混合物にて焼却する処理法を鋭意検討した結果、上記課題を解決でき、本発明を完成するに至った。すなわち本発明の要旨は下記に存する。
本発明は、溶媒中でアルキル芳香族化合物を酸化して芳香族カルボン酸スラリーを得る酸化工程、該芳香族カルボン酸スラリーから芳香族カルボン酸と母液とを得る芳香族カルボン酸分離工程、該母液をリサイクル母液とパージ母液とに分離し、該リサイクル母液を該芳香族カルボン酸分離工程より前の工程に戻す母液リサイクル工程、該パージ母液から固形分を析出したのち固液分離して該固形分と液体とを得る固液分離工程、及び、CODが5,000質量ppm以上である高COD水と該固形分とを燃焼処理する燃焼工程、を含む、芳香族カルボン酸の製造方法である。
また、上記本発明の芳香族カルボン酸の製造方法において、固液分離工程が、パージ母液から溶媒の一部を回収する工程を備えることが好ましい。かかる形態とすることによって、有価成分である溶媒を回収して有効利用することができる。
また、上記本発明の芳香族カルボン酸の製造方法において、固液分離工程が、パージ母液から溶媒の一部を回収した後に得られる残留物に水を混合する工程を備えることが好ましい。かかる形態とすることによって、該残留物から効率良く有価成分を回収することができる。
また、上記本発明の芳香族カルボン酸の製造方法において、酸化工程が触媒存在下にて行われ、固液分離工程が液体から該触媒を回収する工程を備え、燃焼工程が該触媒回収後の液体を、固形分及び高COD水とともに燃焼処理する工程であることが好ましい。かかる形態とすることによって、有価成分である触媒を回収して有効利用することができる。
また、上記本発明の芳香族カルボン酸の製造方法において、燃焼工程の燃焼処理が噴霧燃焼または流動床燃焼によって行われることが好ましい。有価成分を回収した後の残留物から排出される固形分の処理法として従来から行われてきた埋め立てや開放系の燃焼方式に対し、閉鎖系の燃焼方式を採用することにより、燃焼炉の近辺で起こる臭気問題を大幅に解消し、臭気対策のために設置する設備が不要になるためである。
また、上記本発明の芳香族カルボン酸の製造方法において、燃焼処理により発生する熱の少なくとも一部を回収し、回収された該熱を芳香族カルボン酸製造の何れかの工程の熱源に利用することが好ましい。排熱を有効利用することで、コストの削減を図れるためである。
本発明の芳香族カルボン酸の製造方法によれば、高COD水の処理方法を、生物処理から燃焼処理に変更することにより、生物処理工程での負荷がCOD基準で大幅に削減され、系外へ放流される排水中のCODも抑制される。また、難分解性有機物を生物処理から燃焼処理へ変更することにより、活性汚泥処理工程の運転が安定化し、製造工程全体の安定運転に寄与できるようになる。また、排水中の有機化合物の濃度調整のために生物処理工程に投入してきた排水を有効利用し得る。更には、固形分の燃焼及び排水中の有機化合物の燃焼による燃焼熱が有意義に使用され、これらからのエネルギー回収も可能となり、経済面で貢献は大きなものとなる。
以上のように本発明は、固形分を高COD水と混合してスラリー化して仕込むことにより、廃液燃焼装置を閉鎖系で使用することができる。さらに、固形分を高COD水と混合させることにより、従来の燃焼では燃料として重油、灯油、都市ガス、LNG等の化石燃料やバイオエタノールやバイオディーゼル等のバイオマス燃料を使用していたが、これら燃焼可能な固形分や高COD水による燃焼、あるいはこれら化石燃料やバイオマス燃料との併用により、大きな消費エネルギーの削減にもつながり、生物処理工程の負荷を大幅に減少することもできる等、本発明の効果は極めて顕著なものである。
以下、図面を参照しつつ、本発明をより詳細に説明する。なお、本発明は以下の実施の形態に限定されるものではく、その要旨の範囲内で種々変形して実施することができる。
図1は、本発明の芳香族カルボン酸の製造方法に含まれる工程の一例を概略的に示すフローチャートである。図1に示すように、本発明の芳香族カルボン酸の製造方法は、下記S1〜S5の工程を備える。
(S1)溶媒中でアルキル芳香族化合物を酸化して芳香族カルボン酸スラリー11'を得る酸化工程
(S2)芳香族カルボン酸スラリー11'から芳香族カルボン酸13'と母液15'とを得る芳香族カルボン酸分離工程
(S3)母液15'をリサイクル母液15aとパージ母液15bとに分離し、リサイクル母液15aを芳香族カルボン酸分離工程(S2)より前の工程に戻す母液リサイクル工程
(S4)パージ母液15bから固形分22'を析出させ、該固形分22'と液体23'とを得る固液分離工程
(S5)CODが5,000質量ppm以上である高COD水と固形分22'とを燃焼処理する燃焼工程
上記工程S1〜S5の各工程について、図2を参照しつつ、より詳細に説明する。図2は、本発明の芳香族カルボン酸の製造工程フロー例を概略的に示す図である。
1.酸化工程(S1)
工程S1は、溶媒2'中で原料のアルキル芳香族化合物1'を酸化して芳香族カルボン酸スラリー11'を得る工程である。工程S1での酸化反応は、酸化反応装置11において、溶媒2'中、触媒33'の存在下、分子状酸素3'を含む気体を用いて行う。このとき、アルキル芳香族化合物1'の90質量%以上を芳香族カルボン酸に酸化することが望ましく、特に95質量%以上を酸化できればより望ましい。この工程で生じる酸化排ガス洗浄水14'は、後述する生物処理設備17において処理される。
(アルキル芳香族化合物1')
本発明において使用される原料のアルキル芳香族化合物1'としては、アルキル置換基または一部酸化したアルキル置換基を有する芳香族化合物を使用することができる。その化合物は単環であっても、多環であってもよい。
上記アルキル置換基の具体的なものとしては、メチル基、エチル基、n−プロピル基およびイソプロピル基等を挙げることができる。また、一部酸化したアルキル置換基の具体的なものとしては、アルデヒド基、アシル基、カルボキシル基およびヒドロキシル基等を挙げることができる。
アルキル置換基を有する芳香族化合物の具体的なものとしては、m−ジイソプロピルベンゼン、p−ジイソプロピルベンゼン、m−シメン、p−シメン、m−キシレン、p−キシレン、トリメチルベンゼン類などの炭素数1〜4のアルキル基を2〜4個有するジもしくはポリアルキルベンゼン類、ジまたはポリアルキルナフタレン類、ポリアルキルビフェニル類などを挙げることができる。また、一部酸化したアルキル置換基を有する芳香族化合物の具体的なものとしては、3−メチルベンズアルデヒド、4−メチルベンズアルデヒド、m−トルイル酸、p−トルイル酸、3−ホルミル安息香酸、4−ホルミル安息香酸、および2−メチル6−ホルミルナフタレン類等を挙げることができる。これらは単独で、または2種以上の混合物として用いられる。
これらの原料からは、低級脂肪族カルボン酸を含む反応溶媒中で重金属化合物および臭素化合物または重金属化合物のみを酸化触媒として、分子状酸素を吹き込んで高温高圧下で液相酸化するなど、各原料に応じた公知の方法を用いることによって、芳香族カルボン酸類を得ることができる。
(溶媒2')
本発明において使用される溶媒2'としては、酢酸等脂肪族カルボン酸を使用することができる。具体的には酢酸、プロピオン酸、蟻酸、酪酸などであるが、酢酸を主成分とする溶媒が好ましい。
溶媒2'の使用量は、アルキル芳香族化合物1'に対して2〜6質量倍であることが望ましく、より好ましくは2〜4質量倍である。溶媒2'の量が少なすぎると反応スラリー温度が高すぎて閉塞等のトラブルを招くことがあり、多すぎると製品生産量に対する系内溶媒量が多量となり、設備の大型化の必要性があり、経済的に好ましくない。また、後に詳述する芳香族カルボン酸分離工程(S2)で得られた溶媒蒸気から回収された溶媒を、工程S1において溶媒2'として再利用することができる。
なお、本発明における酢酸を主成分とする溶媒2'は、酢酸と水との混合物が好ましく、通常、酢酸100質量部に対して水1〜20質量部、好ましくは5〜15質量部を混合した混合物である。
(分子状酸素3')
本発明において使用される分子状酸素3'を含む気体としては、例えば空気、不活性ガスで希釈された酸素、酸素富化空気等が挙げられる。分子状酸素3'を含む気体の供給量は、原料1'に対し分子状酸素として通常3〜100倍モルで、実用的には空気が好ましく用いられる。酸化反応装置11の入り口での空気の酸素含有率は21体積%である。そして、酸化反応装置11から排出される排ガス中の酸素濃度は1〜8体積%、好ましくは1.5〜3体積%になるように供給する。
(触媒33')
工程S1において用いられる触媒33'は、後述するように、リサイクルされる触媒21'に製造工程で損失した分の触媒を新規に補充して使用することが好ましい。
工程S1で用いる触媒33'としては、アルキル芳香族化合物1'を酸化し、芳香族カルボン酸に変換する能力を有するものであれば特に制限はないが、通常、重金属化合物が使用され、必要に応じて触媒助剤として臭素化合物を用いてもよい。
重金属化合物における重金属としては、例えば、コバルト、マンガン、ニッケル、クロム、ジルコニウム、銅、鉛、ハフニウム、セリウム等を挙げることができる。これらは単独で、または組み合わせて用いることができる。特にコバルトとマンガンを組み合わせて用いるのが好ましい。このような重金属の化合物としては、例えば、酢酸塩、硝酸塩、アセチルアセテート塩、ナフテン酸塩、ステアリン酸塩、臭化物等を挙げることができるが、特に酢酸塩、臭化物が好ましい。
また臭素化合物としては、例えば、分子状臭素、臭化水素、臭化ナトリウム、臭化カリウム、臭化コバルト、臭化マンガン等の無機臭素化合物や、臭化メチル、臭化メチレン、ブロモホルム、臭化ベンジル、ブロモメチルトルエン、ジブロモエタン、トリブロモエタン、テトラブロモエタン等の有機臭素化合物等を挙げることができる。これらの臭素化合物も単独で、または2種以上の混合物として用いられる。
テレフタル酸を製造する場合には、原料のp−キシレンを酸化する際に用いる触媒として、具体的にはコバルト、マンガン及び臭素の組み合わせが挙げられ、特に酢酸コバルト、酢酸マンガン及び臭化水素の組み合わせが好ましい。
本発明において、上記重金属化合物と臭素化合物との組み合わせからなる触媒33'は、重金属1モルに対して臭素原子0.05モル〜10モル、好ましくは0.1モル〜5モルの範囲からなるものが望ましい。このような触媒33'は、反応溶媒2'中の重金属触媒として通常10質量ppm〜10000質量ppm、好ましくは100質量ppm〜3000質量ppmの範囲で用いられる。
(酸化反応)
酸化反応時の温度は、通常140℃〜230℃であり、好ましくは150℃〜210℃であり、より好ましくは170℃〜200℃である。温度が低すぎると、反応速度が低下する傾向にあり、逆に温度が高すぎると、溶媒2'の燃焼による損出量が増大する傾向にある。
酸化反応時の圧力は、少なくとも反応温度において混合物が液相を保持できる圧力以上である必要があり、常圧を上回る圧力である必要がある。具体的には0.2MPa〜6MPa(絶対圧)が好ましく、0.4MPa〜3MPa(絶対圧)がより好ましい。生成した液状組成物を移送しやすくするには圧力が高い方がよく、副反応の抑制にもつながる。反応容器の耐圧強度、設備経費などの点からは圧力が低い方が好ましい。
酸化反応は通常連続的に実施され、その反応時間(平均滞留時間)は通常30分〜300分であり、好ましくは40分〜150分である。反応時間が短すぎると、反応進行が不十分で目標製品品質が得られないことがあり、逆に反応時間が長すぎると、溶媒2'の燃焼による損失量が増大し、また反応器の容量が増大するので経済的ではない。
反応溶媒2'中の水分は反応により水が副生するので排ガスを凝縮して得られる凝縮液の一部を系外にパージすることで調節する。
酸化反応装置11に備えられる反応器の構造は攪拌槽の例が多いが、気泡塔タイプのものでもよい。気泡塔の場合、気泡塔下部から供給された分子状酸素3'は、酸化反応に利用された後、多量の溶媒蒸気を同伴した反応ガスとして気泡塔から抜き出される。塔上部に凝縮器を設けて溶媒を主とする凝縮液を凝縮分離した後、排出される排ガスは排ガス処理工程にて処理する。攪拌槽での反応の場合も排ガス処理方法は同様である。
排ガス処理工程では溶媒の分離回収、エネルギーの回収再利用を行う。凝縮器に代えて蒸留塔を設置して脂肪族カルボン酸と水を分離し、蒸留塔からの排ガスからはエネルギー回収・再利用する方法も実施できる。
(追加処理)
なお本発明において、工程S1では、必要に応じて追加処理を行ってもよい。追加処理とは、上記の酸化反応で得られた反応混合物を、引き続き、原料アルキル芳香族化合物1’を供給せずに酸化すること(以下、「追酸化処理」という。)をいう。その場合は酸化反応器を1基以上追加する。
追酸化処理の好ましい実施形態として、前記酸化処理より低温での追酸化処理(以下、「低温追酸化」という。)がある。この低温追酸化での反応温度は、前記酸化処理での反応温度より1℃以上20℃以下低温とすることが好ましい。より好ましくは5℃以上低温とする。低温追酸化の反応温度を前記の範囲とすることにより、副反応や化合物の分解を抑えることができる。
テレフタル酸を製造する場合は、この低温追酸化時の圧力は少なくとも反応温度において内部の混合物が液相を保持できる圧力以上であることが必要であり、具体的には0.2MPa〜20MPa(絶対圧)であると望ましい。これは次の工程S2に移送しやすくするためであり、好ましくは0.5MPa以上とする。一方、上限は副反応の抑制および容器耐圧と設備費用との関係などから20MPa以下、より好ましくは10MPa以下、さらに好ましくは5MPa以下、特に好ましくは2MPa以下とする。酸化反応器からの移送を考慮して酸化反応器よりは低い圧力とする。
低温追酸化は連続的に、反応時間は5分以上であると望ましく10分以上であるとより好ましく、20分以上がさらに好ましい。反応時間の上限は150分以下、好ましくは120分以下、さらに好ましくは90分以下である。反応時間が短いと追酸化が不十分になる場合がある。一方、反応時間が長すぎると溶媒の燃焼による損失が増加する傾向にある。また、装置規模も増大する。追酸化処理は必要に応じ二度以上行ってもよい。
低温追酸化時に供給する分子状酸素の量は限定されないが、酸化反応時の1/10000〜1/5程度であるとよく、より好ましくは1/100〜1/10である。分子状酸素の供給量が少ないと追酸化が不十分になる場合があり、多すぎると溶媒の燃焼による損失が起こる傾向にある。通常、反応器上部に設置された凝縮機の出口排ガス中の酸素濃度が1体積%〜8体積%、好ましくは1.5体積%〜7体積%になるのが望ましい。ここで用いる分子状酸素としては、通常、空気不活性ガスで希釈した空気、または酸素を富化した空気が用いられる。
追酸化処理の他の好ましい実施形態として、前記酸化処理より高温での追酸化反応(以下、「高温追酸化」という。)がある。原料がp−キシレンであれば、この高温追酸化での反応温度は、前記酸化処理での反応温度より1℃以上高く保持することが好ましく、より好ましくは30℃以上、さらに好ましくは50℃以上高くすることである。また、前記酸化処理での反応温度との差が好ましくは150℃以下、より好ましくは100℃以下、さらに好ましくは80℃以下である。すなわち、高温追酸化を行う場合の具体的な温度は、通常235℃以上、好ましくは240℃以上である。また、通常290℃以下、より好ましくは280℃以下である。反応温度を上記下限値以上とすることによりテレフタル酸粒子が溶解しやすくなり、純度が高まる。また反応温度を上記上限値以下とすることで、着色性不純物の生成が抑えられる傾向がある。
高温追酸化時の圧力は、加圧状態、すなわち反応温度において内部の混合物が液相を保持できる圧力以上とすることが好ましい。続く工程S2に移送しやすくするためにも高い方が好ましく、具体的には絶対圧で0.2MPa以上とし、より好ましくは0.5MPa以上とする。また通常20MPa以下であり、好ましくは10MPa以下とし、より好ましくは7MPa以下、さらに好ましくは5MPa、特に好ましくは2MPa以下とする。酸化反応器の圧力よりは低い圧力とすることが望ましい。
高温追酸化は連続的に実施する方が、効率が高くなる。その際の反応時間は5分以上であると好ましく、10分以上であるとより好ましく、20分以上であるとさらに好ましい。また150分以下であると好ましく、120分以下であるとより好ましく、90分以下であるとさらに好ましい。反応時間は短すぎると品質上問題が残る場合があり、長すぎると溶媒の燃焼による損失が起こる傾向にあり、設備も大型化する傾向にある。高温追酸化は1回でも良いし、2回以上実施しても良い。
高温追酸化時に供給する分子状酸素の量は、酸化反応時の1/10000〜1/5程度であるとよく、より好ましくは1/100〜1/10である。分子状酸素の供給量が少ないと追酸化が不十分になる場合があり、多すぎると溶媒の燃焼による損失が起こる傾向にある。通常、反応器上部に設置された凝縮機の出口排ガス中の酸素濃度が1体積%〜8体積%、好ましくは1.5体積%〜7体積%になるのが望ましい。上記下限値より低いと反応効率が減少し、上記上限値より高いと安全上の問題が生ずる。ここで用いる分子状酸素としては、通常、空気不活性ガスで希釈した空気、または酸素を富化した空気が用いられる。
追酸化処理において用いる反応器の種類は、酸化反応の場合と同様で攪拌槽などを用いることができ、排ガスの処理法なども同様の方法で実施できる。
2.芳香族カルボン酸分離工程(S2)
工程S2は、芳香族カルボン酸スラリー11'から芳香族カルボン酸13'と母液15'とを得る工程である。
(固液分離)
工程S2では、上記の芳香族カルボン酸スラリー11'を、芳香族カルボン酸ケーキ12'と母液15'とに分離し、母液15'は後述する母液リサイクル工程(S3)に送る。該工程は、常圧を上回る圧力を維持したまま行うことが好ましい。ここで、常圧を上回る圧力とは、上記芳香族カルボン酸スラリー11'の母液15'の蒸気圧より大きな圧力である。このように圧力を維持することにより、母液15'が蒸発して冷却されずに実質的に上記芳香族カルボン酸スラリー11'の温度レベルを維持することができる。具体的には、0.2MPa〜1.5MPa(絶対圧)が好ましく、より好ましくは0.3MPa〜1.2MPa(絶対圧)である。
(洗浄)
分離された芳香族カルボン酸ケーキ12'には母液15'が付着しており、母液15'に溶解した溶媒、未反応原料、副生成物、触媒等による汚染防止、損失防止のために洗浄・回収することが望ましい。分離された芳香族カルボン酸ケーキ12'の洗浄に用いる洗浄液4'としては、酢酸、水などがあるが、洗浄を行う装置内の圧力及び温度条件において液体で存在すれば特に制限はされない。また、酸化反応装置11で使用する溶媒2'と相溶性があるものが好ましい。
具体的な洗浄液4'の量は限定されないが、分離された芳香族カルボン酸ケーキ12'中の固形分に対する質量比で0.03以上5以下であり、さらに好ましくは0.05以上4以下、特に好ましくは0.1以上3以下である。
なお洗浄液4'の突沸を避けるために、洗浄液4'を導入する装置内の圧力は洗浄液4'の蒸気圧以上とすることが良い。好ましくは該装置への供給される芳香族カルボン酸スラリー11'の蒸気圧より該装置内の圧力が0.01MPa〜2.0MPa高く、さらに好ましくは0.01MPa〜1.0MPa高く、特に好ましくは0.02MPa〜0.5MPa高い範囲である。
洗浄液4'の温度は限定されないが、その上限温度は洗浄液4'を導入する装置へ供給される芳香族カルボン酸スラリー11'の温度を基準として、通常+100℃以下、好ましくは+80℃以下、より好ましくは+50℃以下である。下限値は該装置への供給される芳香族カルボン酸スラリー11'の温度を基準として、通常−100℃以上、好ましくは−70℃以上、さらに好ましくは−30℃以上である。下限値未満であると、母液15'と混合する場合に溶解成分が析出し、配管を閉塞させる場合があり、上限値を超えると母液15'中の溶媒の分解、触媒の劣化を引き起こす場合がある。
なお、分離され必要に応じて洗浄された芳香族カルボン酸ケーキ12'の含液率は、通常50%以下であり、好ましくは30%以下、さらに好ましくは20%以下、特に好ましくは15%以下である。
(固液分離・洗浄装置12)
これまでの工程S2の説明では、固液分離する工程と洗浄する工程とを分けて説明したが、これらを一つの装置(固液分離・洗浄装置12)によって一工程として行うと、工程が簡素化されるため好ましい。このように二つの工程をまとめて行うことのできる固液分離・洗浄装置12としては、たとえばスクリーンボウルデカンター、ソリッドボウルデカンター、ロータリーバキュームフィルター、水平ベルトフィルター、ロータリー加圧型フィルターなどが挙げられる。
(乾燥及び精製)
洗浄された芳香族カルボン酸ケーキ12'は乾燥機(不図示)を経由して精製装置13に送られる。精製装置13では、送られてきた芳香族カルボン酸ケーキ12'に水素5'による精製処理を実施し、芳香族カルボン酸13'を得る。精製装置13'から排出される精製工程排水16'は、後述する生物処理設備17において処理される。
(晶析槽)
芳香族カルボン酸13'を回収するに先立ち、晶析槽を設けて、析出量が増加した芳香族カルボン酸スラリー11'から固液分離することもできる。特に、酸化反応混合物である芳香族カルボン酸スラリー11'を上記工程S1の際よりも低圧にして放圧蒸発することにより冷却して晶析することもできる。晶析槽は複数段設置する方が好ましい。回分または連続いずれでも良いが、通常は連続にて、2段以上で段階的に降圧させ、6段以下、好ましくは5段以下である。放圧圧力は最終的には常圧にて実施してもかまわない。放圧により、温度が低下するが、低すぎると芳香族カルボン酸以外の副生物なども析出し、さらに母液15'の再利用時に再加熱するエネルギーも増加するので、通常50℃以上、好ましくは70℃以上である。また通常180℃以下、好ましくは160℃以下で運転する。分離された芳香族カルボン酸ケーキ12'は前記のように洗浄し、乾燥する。
3.母液リサイクル工程(S3)
工程S3は、母液15'をリサイクル母液15aとパージ母液15bとに分岐し、リサイクル母液15aを工程S2より前の工程に戻す工程である。このとき、リサイクル母液15a及びパージ母液15bは常圧を上回る圧力を維持していることが望ましく、特に上記工程S2の操作圧力を実質的に維持した圧力であることが好ましい。リサイクル母液15aについて、上記工程S2の操作圧力を維持することにより、実質的にリサイクル母液15aが放圧蒸発により冷却されることなく、上記工程S2の操作温度を維持したまま上記工程S1の酸化反応器に戻すことができる。そのため、エネルギーロスが極めて少なくなる。
リサイクル母液15aとパージ母液15bとの分岐割合は、製造工程全体の状況に応じて任意に調節できるが、通常、リサイクル率{リサイクル母液15aの質量×100/(リサイクル母液15aの質量+パージ母液15bの質量)}の下限値は、好ましくは50%、より好ましくは70%である。リサイクル率を上記下限値以上とすることで、パージ母液15bの量が減り、結果的に母液15'のロスを削減できるという利点がある。さらに上記下限値よりも高くすると酸化反応器排ガス中の臭化メチル濃度を低くできる利点がある。またリサイクル率の上限値は好ましくは95%、より好ましくは90%である。リサイクル率を上記上限値以下とすることで、系内への不純物の蓄積を抑えることができ、製品の品質を向上できる利点がある。
また、上記した洗浄液4'の使用後の排液をリサイクルすることもできる。該排液のリサイクルは必ずしも必要ではないが、リサイクルする方が好ましい。リサイクル率は限定されないが、通常、該排液全体の60%以上、より好ましくは75%以上で、100%以下の範囲である。かかる範囲内とすることで、該排液中の有価成分が再利用でき、また排液処理工程の負荷が減り、廃棄物量を低減できる。
洗浄液4'の使用後の排液のリサイクル方法としては、単独でリサイクルする方法と、上記したように固液分離した後の母液15'と混合してリサイクルする方法があり、母液15'と混合する方法の方が好ましい。母液15'と混合する場合、混合比率は、好ましくは、母液15'100質量部に対し、該排液40質量部以上、より好ましくは75質量部以上である。また、好ましくは、母液15'100質量部に対し該排液150質量部以下、より好ましくは130質量部以下、さらに好ましくは110質量部以下である。
4.固液分離工程(S4)
工程S4は、パージ母液15bから固形分22'を析出させ、該固形分22'及び液体23'を得る工程である。
パージ母液15b中には多くの有価成分が含有されている。具体的には、工程S1で用いられた溶媒33'や触媒2'の他、芳香族カルボン酸、未反応原料、副生物、水などである。したがって、工程S4では、これら有価成分を回収した後に次工程に進むことが好ましい。
上記有価成分を回収する方法としては、回収対象の物性、性状に応じて複数の方法を適宜組み合わせて用いることができる。具体的な回収方法としては、揮発性を利用して不揮発性物質とまず蒸発釜で分離した後に、揮発分および不揮発分からさらに分離する方法や、有機溶媒抽出により有機溶媒可溶成分および不溶成分を有機溶媒側、水側に分離し、それぞれさらに分離処理をする方法等がある。どちらも適用可能であるが、回収対象物の主な成分は揮発性溶媒および不揮発性の金属触媒であるため、揮発性を利用する分離方法が、一般的に用いられている。
酢酸などの揮発性を有する溶媒の回収には、パージ母液15bを蒸発釜14(蒸発器)に仕込み、溶媒類を揮発させ、不揮発分を残渣(釜残)として分離する。蒸発操作は溶媒の回収率が極力大きいほうが望ましい。しかし、溶媒の回収率を上げようとすると、釜残の粘度があがるため攪拌しにくくなり、抜き出ししにくくなるなど、取り扱いが難しくなるという問題がある。
本発明に用いることができる蒸発釜としては公知の機器が使用可能である。外部循環式、内部コイル加熱方式、外部ジャケット加熱方式、攪拌膜型方式などがあげられるが、必要熱量、必要伝熱面積などからリボイラー付外部循環式が好ましい。
蒸発釜14は1基のみ用いて実施することもできるが、2基以上用いることもできる。蒸発釜を1基使用する場合は回収率をあげようとすると、釜底部からの不揮発分の抜出が難しくなるので、揮発分を一部残留した状態で蒸発を終了する必要がある。蒸発釜を2基以上直列にすれば、1基目の釜底部の不揮発分の流動性がある状態で2基目に移送して、徹底した蒸発、いわゆる炊き上げを実施することができるので好ましい。
一基目の蒸発釜14の運転条件は、揮発させる溶媒の蒸気圧に応じて決められる。例えば酢酸主体の場合の温度は、通常70℃〜160℃、圧力は0〜0.5MPaである。蒸発量は、仕込み量に対し、通常70%以上、好ましくは80%以上、また、通常100%以下、好ましくは95%以下である。蒸発しすぎると釜残部の流動性が悪化して熱伝導が低下し、抜き出しができなくなる場合がある。蒸発不十分では溶媒の損失が増える傾向にある。一基目の蒸発は多重効用缶として複数段に分けて設置する方法もある。
揮発した溶媒等17'は水分、アルキル芳香族化合物1'および酢酸メチル等副生物を含有しているので、複数の蒸留塔15にて精留して溶媒、原料、副生物など19'を回収し、上記した酸化反応装置11にて再利用する。一方、蒸留塔底液20'は、生物処理装置17において処理される。精留条件は共沸蒸留など公知の方法で実施可能である。
一基目の釜残分は底部から抜き出して二基目の蒸発釜14に移送され、さらに濃縮される。蒸発釜の形状としては高粘性物質の攪拌流動に適する攪拌翼を備えたジャケットつき外部加熱攪拌槽で、攪拌して熱伝導を確保し、伝熱面での焼きつきに留意しながら蒸発させるのが望ましい。操作条件は通常、温度100℃〜300℃、圧力0〜0.5MPaである。蒸発釜内の蒸発速度は1m/分〜5m/分程度で、蒸発速度を上げすぎると伝熱面での焼き付きなどが生じる場合がある。
攪拌翼の形状は大型パドル翼、アンカー翼、平板翼、ヘリカルリボン翼、ダブルモーション翼、横形一軸または二軸方式など挙げられるが、アンカー翼が好ましく用いられる。本方式では蒸発速度に制限があるので連続的な運転よりは回分操作に適している。
溶媒蒸発時に、アルカリ水溶液を添加すると溶媒の蒸発が促進され効率的となる。アルカリ水溶液は0.5〜50質量%の水酸化ナトリウム水溶液が好ましく用いられるが、この濃度内に規定される特段の理由はない。
なお1基で蒸発量を増大させる方法もある。この場合、薄膜式蒸発器、薄膜式攪拌翼付蒸発装置などを使用すると、高粘性物体が伝熱面に薄膜を形成して熱効率が向上し、短時間で蒸発し、高粘性釜残を連続的に抜き出すことが可能で作業の効率化が図れる。操作条件は通常、温度800℃〜1200℃、圧力0.1MPa〜3.0MPaである。処理時間は0.1秒〜10秒で上記2基による回収方法に比べ大幅短縮となる。なお蒸発成分は上記と同様の処理で回収再利用される。
抜き出された釜残には酸化反応触媒、高沸点有機物、溶媒、無機塩などが含有されており、高粘性の流動物質である。高沸点有機物とは芳香族カルボン酸類、酸化反応副生物、粘性油状物質などである。
また前述説明で二基目の蒸発釜による炊き上げに代えて、有機溶媒による抽出で残存溶媒を有機溶媒側に抽出し、不溶分を水側に分離する方法も実施できる。
次に、蒸発釜14の残留物18'は、触媒回収・再生装置16において水7'を混合してリスラリー化し、固液分離して固形分22'と液体23'とに分離し、液体23'から回収触媒21'を回収する。
残留物18'に添加する水7'は工業用水でもよいし、製造工程内で使用後に回収して再使用するものでもよい。水7'の添加量は限定されないが、下限値が残留物18'の1質量倍以上、好ましくは3質量倍以上、上限値が100質量倍以下、好ましくは10質量倍以下である。水7'の添加量が少ないと触媒の回収率が低下する傾向にあり、逆に多すぎると固液分離する装置が大型化する傾向にある。
固液分離する装置は公知の分離機から選定できるが、たとえばスクリーンボウルデカンター、ソリッドボウルデカンター、ロータリーバキュームフィルター、水平ベルトフィルター、ロータリー加圧型フィルター、ヤングフィルターなどが挙げられる。
固形分22'は廃棄処分するため、固形分22'に残留した付着液に溶存する有価物は極力少ないほうが望ましく、洗浄効率の良い水平ベルトフィルターを用いて洗浄することが好ましい。この洗浄に用いる洗浄水の量は固形分22'に対して1質量倍以上、好ましくは2質量倍以上で、また10質量倍以下、好ましくは5質量倍以下である。洗浄水の量が少ないと触媒の損失が増加する傾向にあり、多すぎると次工程の設備大型化につながり好ましくない場合がある。分離・洗浄された固形分22'は燃焼装置100に送られる。
液体23'から触媒を回収する方法は限定されないが、通常、液体23'を中和後、炭酸ソーダ水溶液を添加して酢酸塩を炭酸塩に置換し、炭酸塩スラリーから炭酸塩を固形分として分離する。分離機としては公知の分離機から選定できるが、例えば、スクリーンボウルデカンター、ソリッドボウルデカンター、ロータリーバキュームフィルター、水平ベルトフィルター、ロータリー加圧型フィルター、ヤングフィルター、キャンドルフィルター等が挙げられる。特にキャンドルフィルター等が好ましく用いられる。分離された炭酸塩を水でリスラリー化した後に、酢酸を添加して加熱して再度炭酸塩から酢酸塩に置換する。ここで回収された回収触媒21'は触媒液混合槽18に送られ、製造工程で損失した分の触媒を新規に補充して、酸化反応装置11にて使用する。
液体23'には有機化合物がCOD(化学的酸素要求量)換算で、通常20,000ppm〜40,000ppmと高濃度に溶存している。溶存成分は芳香族カルボン酸、酸化反応副生物、溶媒、残存触媒成分、金属塩などである。そのまま放流するのは環境保全上好ましくなく、またそのまま生物処理することは負荷が高いため困難であり、他の排水と濃度調整(希釈)のうえ処理する例が多い。しかし通常の生物処理では濃度調整をした上で実施しているが、それとても分解除去率には限度があり、0.5%〜5%は残存し、排水の濃度規制値を考慮しつつ排出せざるを得ない。また生物処理の安定運転を阻害する要因も抱えているので、生物処理法以外の対応策が求められる。そこで、本発明においては、後述するように、液体23'を固形分22'及び高COD水とともに焼却処理することが好ましい。
5.燃焼工程(工程S5)
工程S5は、固形分22'を高COD水とともに燃焼装置100にて燃焼処理する工程である。
固形分22'の燃焼方式としてはロータリーキルン式、ストーカー式、回転炉床方式などが用いられていた。しかしながら、このような開放系の燃焼方式で固形分22'のみを燃焼すると臭気発生が回避できないという問題があり、事業場内のみならず、近隣周辺への影響も無視できなかった。そこで、本発明者らは、閉鎖系で仕込める方式を検討した結果、廃液燃焼炉が採用可能なことを見出した。具体的には、固形分22'を高COD水と混合し、スラリー化して仕込むことにより、廃液燃焼装置100を閉鎖系で使用することができる。この結果、高COD水との混合により、消費エネルギーの削減にもつながる。すなわち、高COD水に含有する有機物等が、燃焼に際しての燃料の役割を担うことができる。また、生物処理工程の負荷を大幅に減少することもできる。
高COD水としては発熱量から判断して、CODが5,000質量ppm以上の排水を用いるが、より好ましくは7,000質量ppm以上、さらに好ましくは10,000質量ppm以上である。CODが低すぎると水の蒸発潜熱でエネルギー消費が大きくなり経済的ではなくなる。CODの上限は限定されないが、通常100,000質量ppm以下、好ましくは70,000質量ppm以下、さらに好ましくは50,000質量ppm以下である。エネルギー消費の観点からは上限値の制約は特に必要はないが、有価物のロスにつながる可能性がある。
なお、CODの測定は市販の自動測定装置等を用いることができるが、装置によって数値が大幅に変わる場合はJIS K0102の方法を用いればよい。
芳香族カルボン酸製造工程で生成する高COD水としては上記工程S4で生成する触媒回収後の液体23'、精製工程など他工程から生成する排水等が挙げられる。さらに、該芳香族カルボン酸製造工程から生成する排水に限定されるものではなく、近隣からの高COD水を受け入れて仕込むことも可能である。これらの排水は混合して用いてもよく、廃液燃焼装置100に供給する廃液のCOD平均値が前記範囲であればよい。
廃液燃焼装置100には、上記工程S4で得られる固形分22'のみではなく、後述する生物処理装置17で生成する余剰汚泥25'なども供給することができる。
固形分22'や余剰汚泥25'などと液体23'などの高COD水との混合法は周知の方法のいずれの方法でも実施できる。混合順序は特に制限はなく、固形分22'を高COD水と混合した後に余剰汚泥25'と混合してもよいし、固形分22'と余剰汚泥25'とをまず混合した後に、高COD水を混合する順序でもよい。また同一場所、または設備で同時に混合してもよい。必要に応じて界面活性剤を添加してエマルジョン化してから供給する方法もある。
これらの混合は攪拌槽またはライン混合器などで実施できる。攪拌槽の場合、攪拌翼は高粘度スラリーの混合に適用できる翼から選ばれる。形状は大型パドル翼、アンカー翼、平板翼、ヘリカルリボン翼などが挙げられるが、アンカー翼が好ましい。
混合終了後のスラリー濃度(固形分濃度)は通常1%以上、好ましくは5%以上、また50%以下、好ましくは30%以下である。スラリー濃度が低すぎるとエネルギーの浪費につながり、大きすぎると流動性が悪化し、移送の問題が発生する可能性がある。
混合時の温度は限定されないが、通常0℃以上、好ましくは20℃以上、また通常100℃以下、好ましくは70℃以下である。予熱した状態で燃焼炉に供給することで、燃焼炉で使用する燃料のムダを抑制できる。温度が低いとスラリーの流動性が悪化し、温度が高すぎると、有機物の分解副反応などが生じる場合がある。
本発明で使用可能な廃液燃焼装置100としては特に限定されないが、噴霧燃焼炉および流動床燃焼炉が挙げられる。
(噴霧燃焼炉)
噴霧燃焼炉として本発明では液中燃焼(水中燃焼)方式が好ましく用いられる。液中燃焼方式について、図3に基づき説明する。図3は、液中燃焼装置の概念図である。
焼却炉100a内に炉上部に位置するバーナーから燃料6'を空気とともに供給して、燃焼させて高温ガス領域を形成し、該バーナーの周辺に設置されている噴霧ノズルから被燃焼スラリー30'を空気と共に該高温ガス領域へ供給して焼却処理する。空気は酸素富化空気でもよい。酸素の供給量は有機物を完全燃焼させるために必要な量よりも1%以上過剰な量、好ましくは3%以上であり、また100%以下、好ましくは70%以下の過剰量である。不完全燃焼すると一酸化炭素が排出されるので望ましくない。燃焼ガスは導入管を通じて液中に噴出させ、液温まで急冷する。液温は10℃〜50℃が好ましい。
液中燃焼装置は燃焼装置と気液接触装置が一体化したもので、高温燃焼ガスと液が気泡として直接接触するので熱効率が高くて伝熱面がなく、高性能でコンパクトな装置である。COD値が高い廃液の場合、活性汚泥法に比較して確実に有機物を除去することが可能で設置面積が少なく、設備費が安価で有利である。有機物は完全燃焼されて、排水中のCODは最小限度まで抑制される。仕込む廃液は自燃しないので、流体噴霧ノズルにより炉内に噴射するのが好ましく、油圧噴霧式ノズル、ロータリーノズル、低圧気流噴霧式ノズル、ガンタイプノズル、蒸気噴霧式ノズル、空気噴霧式ノズル、スプレーノズルなどが挙げられるが、スプレーノズルが好ましい。燃料用のバーナーは油圧噴霧式バーナー、ロータリーバーナー、低圧気流噴霧式バーナー、ガンタイプバーナー、蒸気噴霧式バーナー、空気噴霧式バーナーなどが挙げられるが、空気噴霧式バーナーが好ましい。
本発明においては、回収された固形分や高COD水中の可燃性有機化合物が有用な燃料になるが、補助燃料として重油、灯油、都市ガス、LNG等の化石燃料、バイオエタノールやバイオディーゼル等のバイオマス由来の燃料、石炭、コークスなど石炭由来原料、バガス、ビートなど植物の絞りかす等などが使用できる。
燃焼温度はダイオキシン類副生防止のために通常800℃以上、より好ましくは900℃以上で、また通常1,200℃以下、好ましくは1,100℃以下、より好ましくは1,000℃以下である。高すぎると燃料の浪費となる傾向にある。冷却時の副生物の発生は水中で急冷されるので極めて少ない。
燃焼炉の形式は図3に縦型を図示しているが、横型でもよい。炉の材質はケイ酸とアルミナを主成分としたもの、アルミナ、けい藻土を原料としたもの、セメントと水を混練したもの等が挙げられるが、好ましくはケイ酸とアルミナを主成分としたものである。
冷却水温度は10℃〜50℃が好ましい。温度が高いと水量が過剰に必要になる。液中燃焼装置で、冷却缶103内で生成する排水24'中ではCODは検出下限界以下まで抑制されていて、追加処理を実施することなく、または生物処理装置17において必要最小限の生物処理などを実施して、放流水26'として公共水域へ放流される。放流水26'の放流量も大幅に低減できる。また、該排水24'は下記の冷却水29'として使用することもでき、また製造工程にリサイクルして再利用することも可能である。その場合、さらに放流水26'の放流量が減少するので環境保全上望ましい。
冷却缶103に使用する冷却水29'は燃焼排ガスの洗浄用に排ガス処理設備101上部に供給し、下部から冷却缶103に送られる。
燃焼排ガス27'は排ガス処理設備101で同伴飛沫などを回収し、最終的に電気集塵機102で微小塵埃を捕集した後に、排ガス28'として大気放出される。排ガス処理設備101はスクラバーが一般的である。捕集された塵埃は無機塩などであるが、これらは埋め立てなどに使用される。
(流動床燃焼炉)
次に流動床燃焼方式について、図4に基づき説明する。図4は、流動床燃焼装置の概念図である。
流動床燃焼方式は気泡流動層型および循環流動層型の2種類に大別され、燃焼効率の点からは循環流動層型が好ましい。被燃焼スラリー30'を高温に保持された珪砂等の不活性粒子を有する流動床燃焼炉100bに投入し、燃焼炉100bの下部から供給された空気10'および燃料6'により短時間に燃焼を完結させる。無機物と珪砂31'は燃焼炉100bの下部から排出され、燃焼炉100b上部に飛散した珪砂はサイクロンで捕集され、燃焼炉100bに循環される。排ガス27'は急冷され、見かけ比重の軽い焼却残渣は飛灰となって集塵設備で捕集されて大気放出される。
循環流動層方式では珪砂等の層に垂直方向に高圧空気を送り込み、砂粒子の終端速度を越えると、ガスと粒子は激しく混合しながら、粒子はガスに同伴されて飛散し、粒子はサイクロンで捕集されて炉内へ戻される。流動層を発火点以上に熱しておいて燃料および被燃焼スラリーを落下させてやれば、燃料および被燃焼スラリーは流動層内に浮き沈みし、砂の激しい動きにより上下均等に分散されながら完全燃焼する。燃焼炉下部から抜き出された砂と無機物は選別器で砂のみを炉内部に戻す。炉上部から飛散する砂及びガスは炉上方に設置されるサイクロンで分離捕集されガスは排ガス処理設備へ、砂は炉内部に戻される。空気は酸素富化空気でもよく、供給量は有機物を完全燃焼させるための酸素量よりも1%以上過剰な量、好ましくは3%以上であり、また100%以下、好ましくは70%以下の過剰量である。不完全燃焼すると一酸化炭素が排出されるので望ましくない。
本発明においては、回収された固形分や高COD水中の可燃性有機化合物が有用な燃料としてなるが、補助燃料として重油、バイオ由来燃料、灯油、都市ガス、LNG、石炭、コークスなど石炭由来原料、バガス、ビートなど植物の絞りかすなどが使用できる。
燃焼温度は通常800℃以上、好ましくは900℃以上で、また通常1,200℃以下、好ましくは1,100℃以下、より好ましくは1,000℃以下である。下限値以上の温度とすることでダイオキシン類副生を防止し、上限値以下とすることでエネルギー浪費を防止する。排ガスは急冷されるが、250℃から500℃の領域の滞留時間を1秒以内に抑えることが必要である。
燃焼排ガス27'を廃熱回収装置111にて冷却しつつ廃熱回収を行う。熱回収は通常の熱交換装置で行い、蒸気として回収する。さらに排ガス急冷設備112にて急冷し、ついで排ガス処理設備113にて洗浄水29'を用いて集じんし、さらに電気集塵機(不図示)などで微粒子の集じんを実施し、排ガス28'として大気放出される。
燃焼炉形式は図4に示すとおりで、炉の材質はケイ酸とアルミナを主成分としたもの、アルミナ、けい藻土を原料としたもの、セメントと水を混練したもの等が挙げられるが、好ましくはケイ酸とアルミナを主成分としたものである。排ガス処理設備113から排出される排水24'中のCODは炉内での完全燃焼により、最小限度に抑制されているので追加処理を実施することなく、または生物処理設備17において必要最小限の生物処理などを実施して、放流水26'として公共水域へ放流される。放流水26'の放流量も大幅に低減できる。また、該排水24'は、洗浄水29'や製造工程にリサイクルして再利用することも可能である。その場合、さらに放流水26'の放流量が減少するので環境保全上望ましい。
少量の無機物や灰が廃棄物32'として回収され、埋め立てなどに使用される。
6.生物処理
芳香族カルボン酸製造工程排水の最終処理としては、生物処理設備17において生物処理が行われる。好気性活性汚泥による生物処理で、複数の曝気槽と凝集沈降槽から構成される。高COD水の場合、直接的に生物処理することは困難であり、COD値の低い排水と混合して濃度を調整後、生物処理する方法などが実施されてきた。本発明により、高COD水に対して燃焼処理により直接的な処理が可能になるので、濃度調整用に使用してきた排水は簡単な処理を施せば、上記したように洗浄水29'や製造工程内へリサイクルすることが可能になる。リサイクルが可能になれば、生物処理の負荷を大幅に減少させ、公共水域への放流する放流水26'の量を削減する事も可能になる。
上記説明に基づく実施形態により、本発明の課題である、製造工程において系外にパージする酸化反応分離母液中の有機物、触媒等を回収する際に生成する固形分、高COD水に関する改善された処理工程を備えた芳香族カルボン酸の製造方法を提供することが可能になった。
以下、実施例により本発明をより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例になんら限定されるものではない。
<比較例1>
高純度テレフタル酸の生産量が75ton/hrの設備において、液相酸化反応器に連続的にパラキシレン、パラキシレンの約3質量倍の酢酸、触媒として酢酸コバルト、酢酸マンガン、臭化水素を供給し、温度185℃〜195℃、圧力1.0MPa〜1.7MPa、反応時間(平均滞留時間)90分で酸化反応を行った。触媒使用量はコバルト成分およびマンガン成分が溶媒に対し、金属換算で300質量ppm、臭素成分は700ppmとした。分子状酸素による酸化反応を行うためのガスとしては空気を用いた。このとき空気の酸素含有率は21体積%であった。そして反応器から排出されるガス中の酸素濃度が3〜7体積%になるように反応器中に圧縮空気を供給した。ついで低温酸化反応器に連続的に酸化スラリーを移送し、温度180℃〜195℃、圧力0.9MPa〜1.7MPa、反応時間40分〜60分で酸化反応を行うためのガスとして圧縮空気(酸素含有率21体積%)を、排ガス中の酸素濃度が3体積%〜7体積%になるように供給し、低温追酸化反応を行った。反応終了した粗テレフタル酸ケーキスラリーの温度および圧力を維持したまま、スクリーンボウルデカンターにより固液分離し、酢酸水溶液にて洗浄した。固液分離したケーキは付着母液を加圧乾燥機により放圧蒸発させて乾燥させ、次の精製工程に移送した。
固液分離した母液のうち80%および、洗浄液の100%を酸化反応器にリサイクルした。残り20%の母液(パージ母液)からは以下の操作で有効成分を回収し、残りは排水処理工程を通して外部へ放出した。パージ母液からはまず蒸発釜により、酢酸等低沸点成分を2段階で蒸発させ、脱水した酢酸は反応工程に再利用した。蒸発釜の濃縮物に水を添加してリスラリー化して水平ベルトフィルターで固液分離した。ここで分離した固形分は廃棄物としてロータリーキルンで焼却処理し、分離母液からは触媒成分を回収して反応工程で再利用した。触媒成分を回収した残留液(高COD水)には有機物が高濃度で溶存するので生物処理工程に送り、処理した。
乾燥テレフタル酸ケーキは混合槽で水と混合されスラリー濃度30%に調整され、ついで蒸気と熱媒油で280℃〜300℃、7MPa〜10MPaに加熱、加圧されパラジウム活性炭を固定床とする水素化反応塔に水素と共に導入し、水添反応を行った。反応後のテレフタル酸水溶液は、連続的に晶析槽に送り、4段の晶析工程で順次に放圧冷却、晶析させた後、100℃で母液と固液分離し、水洗、乾燥した。乾燥機は放圧蒸発による加圧乾燥機および流動層乾燥機を用い、高純度テレフタル酸ケーキを75ton/hrの収量で得た。上記母液にはパラトルイル酸などの酸化中間体が含有されているので、さらに冷却して結晶を析出させ、固形分として回収し酸化反応工程にて再利用した。
この事例において工程からの排水は個別に回収、再利用などを行ったが、最終的にはすべての排水は生物処理工程に送られ、2段曝気法による活性汚泥処理が施されて最終沈降層から水質を確認のうえ、公共水域へ放流した。
<実施例1>
比較例1と同様にして、固液分離した母液のうち20%の分離母液から酢酸等低沸点成分を2段階で蒸発させ、脱水した酢酸は反応工程に再利用した。蒸発釜の濃縮物に水を添加してリスラリー化して水平ベルトフィルターで固液分離した。ここで分離した固形分は後述する液中燃焼装置で燃焼処理した。分離母液からは触媒成分を回収し、反応工程で再利用した。触媒成分を回収した残留液(高COD水)は後述する液中燃焼装置で燃焼処理した。
上記固形分と上記高COD水、余剰汚泥をスラリー化槽で混合し、得られたスラリーを40℃で供給し、液中燃焼装置で燃焼処理した。それぞれの供給量は、高COD水(COD値30000ppm)が6ton/hr、固形分(含水率45%)が1.5ton/hr、余剰汚泥(含水率85%)が1ton/hrであった。液中燃焼装置は図3に記載した装置を使用し、燃焼温度は950℃、燃料は重油を使用した。冷却水は700ton/hrで、燃焼処理後の冷却水中のCOD値は懸濁物質を除去した後で検出下限界以下であった。本方式の採用により、生物処理工程の負荷が約40%削減できた(生物処理を行う必要のある水の量を基準とする)。公共水域へ放流される放流水中のCOD値も約40%抑制できた。
特に本実施例の高COD水には、生物処理の微生物にとって難分解性の有機物(パラトルイル酸等の芳香族カルボン酸など)等を多く含有していたので、本方式採用後は活性汚泥処理工程の運転が安定化し、製造工程全体の安定運転への寄与が大きかった。排ガス中のダイオキシン類は検出限界(0.007ng−TEQ/m)以下であった。また、従来ロータリーキルンによる焼却では開放系でピットに貯蔵し、キルンに仕込む方式をとっていたので臭気の発生で作業環境に問題があり、周辺への臭気拡散の問題も抱えていたが、解消された。またCOD値が高いために生物処理工程では全体的に濃度調整が必要とされたが、その必要も解消したので濃度調整用に使用してきた排水の有効利用の見通しも得られた。
本発明はポリエステル原料として有用なテレフタル酸等芳香族カルボン酸の製造方法に好適に使用することが可能で、特にプロセス廃棄物の効果的な処理法として有効に使用できる。
本発明の芳香族カルボン酸の製造方法の工程の一例を概略的に示すフローチャートである。 本発明に係わる芳香族カルボン酸製造工程フロー例である。 本発明に係わる液中燃焼装置の概念図である。 本発明に係わる流動床燃焼装置の概念図である。
符号の説明
11 酸化反応装置
12 固液分離・洗浄装置
13 精製装置
14 蒸発釜
15 蒸留塔
16 触媒回収・再生装置
17 生物処理設備
18 触媒液混合槽
100 燃焼装置
100a 噴霧燃焼炉
100b 流動床燃焼炉
101 排ガス処理設備
102 電気集塵機
103 冷却缶
111 廃熱回収装置
112 排ガス急冷設備
113 排ガス処理設備
1' アルキル芳香族化合物
2' 溶媒
3' 分子状酸素
4' 洗浄液
5' 水素
6' 燃料
7' 水
10' 空気
11' 芳香族カルボン酸スラリー
12' 芳香族カルボン酸ケーキ
13' 芳香族カルボン酸
14' 酸化排ガス洗浄水
15' 母液
15a リサイクル母液
15b パージ母液
16' 精製工程排水
17' 揮発した溶媒等
18' 残留物
19' 溶媒等
20' 蒸留塔底液
21' 回収触媒
22' 固形分
23' 液体
24' 燃焼工程排水
25' 余剰汚泥
26' 放流水
27' 燃焼排ガス
28' 排ガス(大気放出)
29' 洗浄水
30' 被燃焼スラリー
31' 砂
32' 灰(廃棄物)
33' 触媒

Claims (7)

  1. 溶媒中でアルキル芳香族化合物を酸化して芳香族カルボン酸スラリーを得る酸化工程、
    該芳香族カルボン酸スラリーから芳香族カルボン酸と母液とを得る芳香族カルボン酸分離工程、
    該母液をリサイクル母液とパージ母液とに分離し、該リサイクル母液を該芳香族カルボン酸分離工程より前の工程に戻す母液リサイクル工程、
    該パージ母液から固形分を析出したのち固液分離して該固形分と液体とを得る固液分離工程、及び、
    CODが5,000質量ppm以上である高COD水と該固形分とを燃焼処理する燃焼工程、
    を含む、芳香族カルボン酸の製造方法。
  2. 前記固液分離工程が、前記パージ母液から前記溶媒の一部を回収する工程を備える、請求項1に記載の芳香族カルボン酸の製造方法。
  3. 前記固液分離工程が、前記パージ母液から前記溶媒の一部を回収した後に得られる残留物に水を混合する工程を備える、請求項2に記載の芳香族カルボン酸の製造方法。
  4. 前記酸化工程が触媒存在下にて行われ、前記固液分離工程が前記液体から該触媒を回収する工程を備える、請求項1乃至3の何れか1項に記載の芳香族カルボン酸製造方法。
  5. 前記燃焼工程が、前記固液分離工程で得られる、前記触媒回収後の前記液体を、前記固形分及び前記高COD水とともに燃焼処理する工程である、請求項4に記載の芳香族カルボン酸製造方法。
  6. 前記燃焼工程が、噴霧燃焼または流動床燃焼によって前記焼却処理を行う工程である、請求項1乃至5の何れか1項に記載の芳香族カルボン酸の製造方法。
  7. 前記燃焼処理により発生する熱の少なくとも一部を回収し、回収された該熱を芳香族カルボン酸製造の何れかの工程の熱源に利用することを特徴とする、請求項1乃至6の何れか1項に記載の芳香族カルボン酸の製造方法。
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