JP2004131560A - 有機物の超臨界水処理によるエネルギー回収方法及び装置 - Google Patents
有機物の超臨界水処理によるエネルギー回収方法及び装置 Download PDFInfo
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Abstract
【課題】下水汚泥やバイオマス等、有機物を環境負荷特に炭酸ガス生成の極く少ない方法により処理すると共に、有機物が保有するエネルギーを水素やメタン等を主要成分としガスエンジン、ガスタービン、燃料電池等のコージェネレーション向けにも使用できる燃料ガスとして回収する方法及び処理装置を提供する。
【解決手段】超臨界水中で有機物と気体状又は液体状酸化剤を反応させる際、反応器内において、有機物を水に懸濁させたスラリー及び酸化剤からなる混合物中に無機塩類及び/又はチャーを捕捉する機能を有する固体粒子を存在させ、水の超臨界状態を保持しつつ固体粒子を流動状態に維持し反応器内に滞留させる。
【選択図】 図2
【解決手段】超臨界水中で有機物と気体状又は液体状酸化剤を反応させる際、反応器内において、有機物を水に懸濁させたスラリー及び酸化剤からなる混合物中に無機塩類及び/又はチャーを捕捉する機能を有する固体粒子を存在させ、水の超臨界状態を保持しつつ固体粒子を流動状態に維持し反応器内に滞留させる。
【選択図】 図2
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、超臨界状態の流体中において下水汚泥、有機性廃棄物、バイオマス等の有機物を処理することで水素、メタン等を含むガスを製造する技術に関するものである。このガスはエネルギー源として燃料等に用いられるため、本発明者等は本技術を有機物の保有するエネルギーを回収する技術と認識している。
【0002】
【従来の技術】
通常、下水汚泥は脱水したのち焼却により処理され、生ゴミ等の都市廃棄物その他の有機性廃棄物も焼却処理されている。しかし、一般に焼却処理においてはSOX 、NOX 或はダイオキシン等の大気汚染物質の発生を伴い、また有機
物の保有するエネルギーも焼却熱として一部分が温水や電力の形で回収されるのみであり、環境的、エネルギー的に必ずしもベストな方法ではない。
【0003】
近年、下水汚泥等を超臨界水の中で酸素或は空気により酸化して炭酸ガス、水及び灰分に分解する処理技術が開示されている(例えば、特開平11−90494号、特表平6−511190号)。しかし、これらの処理技術は有機性廃棄物の処理という観点から優れているものの、処理により得られるガスは地球温暖化で問題とされる炭酸ガスであり、有機物が保有するエネルギーを水素やメタンガス等の形で回収し有効利用するという課題からは適当でない。
【0004】
一方、特表平11−502891号には、バイオマスや有機性廃棄物を超臨界水中において、実質的に酸素の非存在下で固体炭素系触媒を使用して接触熱分解し、水素及びメタンを含有するガスを得る技術が開示されている。この技術によれば、都市廃棄物、緑藻やバナナの木等のウエット・バイオマス等から実質的にタールや耐熱性炭化物(以下、チャーと呼ぶ)を形成することなくメタン及び多量の水素を含むガスを生成することができる。
【0005】
しかし、被処理物の処理量に比べかなり多量のココナッツ殻活性炭などの固体炭素系触媒を使用する必要があるため、実用上、使用後の炭素系触媒の最終処理が問題である。また、活性炭などの固体炭素系触媒は吸着機能が強いため、被処理物中に含有される無機塩類を捕集し、短期間に活性を失い易い。このため固体炭素系触媒の寿命は充分ではない。更には触媒粒子間に無機塩類やチャーが析出し、反応器を閉塞するに至るおそれが強い。
【0006】
本発明者等は、超臨界水中において有機物スラリーを酸素の存在下Ni系触媒或はRu系触媒により接触分解する研究を行い、メタンや水素を主要成分とするガスを得た。しかし、特に下水汚泥等の処理においては、硫化水素等の硫黄化合物による触媒被毒があり、またCa塩、Mg塩など無機塩類の触媒への析出物が発生し、長時間の処理継続が困難であった。更に、反応温度を高温にすると、水素富化ガスを高収率で得られる反面、無機塩類の析出やチャーの発生も増加するため、反応器の閉塞を起こし易く、長時間の処理継続が困難であった。触媒を使用せずに長時間、酸化分解を安定的に継続できる技術の開発が望まれる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、下水汚泥や生ゴミ等の都市廃棄物、農業廃棄物や街路樹剪定枝等の動植物性廃棄物、バイオマスなど(以下、本発明において、有機物と云う)を環境負荷、とりわけ炭酸ガス生成の極く少ない方法により処理すると共に、有機物が保有するエネルギーを水素やメタン等を主要成分とするガスとして回収する方法及びこれを実施する基本的な処理装置の提供を課題とする。
【0008】
更に本発明は、触媒被毒による処理速度低下が起らず、無機塩類の析出ならびにタールやチャーの生成による処理中断が起らずに、長時間安定して有機物の超臨界水処理が継続できる処理技術の提供を課題とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明によれば、超臨界水中において有機物と気体状または液体状酸化剤を反応させる際に、反応器内において有機物を水に懸濁させたスラリー(以下、有機物スラリーと略称する)及び酸化剤からなる混合物中に無機塩類及び/又はチャーを捕捉する機能を有する固体粒子を存在させ、且つ水の超臨界状態を保持しつつ該固体粒子を流動状態で前記混合物と良好に混合するように反応器内に滞留させることにより、上記課題が達成される。
【0010】
すなわち、第1の本発明は、水中において有機物を処理することにより水素及び低級炭化水素を含有するガスを製造する方法であって、有機物を水に懸濁させたスラリーと無機塩類及び/又はチャーを捕捉する機能を有する固体粒子とを、気体状もしくは液体状酸化剤の存在下に、反応器内において前記有機物を分解するに充分な時間、水の超臨界、臨界もしくは亜臨界状態に保持しつつ前記固体粒子を流動状態に保持することを特徴とする、超臨界流体を用いた有機物のエネルギー回収方法の発明である。
【0011】
ここで固体粒子に係る流動状態とは、固体粒子にかかる重力と反応器において超臨界流体の流れにより生じた浮力とがつり合う位置で、大部分の固体粒子が或る上下幅の帯域内を浮遊しながら滞留し流動する状態を意味する。このような流動状態は、超臨界流体が気体と液体の中間的な粘度等の物理的性質を有していることから、容易に保持される。但し、粒径が微細で重力が充分に作用しない固体粒子の一部が反応器から流出するのは致し方ない。なお、反応器入口から出口に向かう全体的な超臨界流体の流れに対して、部分的に反応物が方向的に逆行するように流れることにより時間的に反応器に先に導入された物質が後から導入された物質と混合する逆混合流動は、好ましいが必須ではない。この固体粒子流動状態は一般的にいわゆる塔型或は槽型反応器により実現するが、従来開示されている超臨界水処理技術では横置の管型反応器(多くは例えば長い蛇管のような横型管)が使用され、物質はいわゆるピストン流動により先に反応器に導入されたものが先に反応器から流出するため、固体粒子を導入しても反応器内に滞留する流動状態を実現することは困難である。
【0012】
前記固体粒子はいわゆる触媒とは異なり、無機塩類及び/又はチャーを積極的に捕捉する機能を有する微粒子であり、超臨界水中において固体である。この固体粒子は、無機塩類やチャーが反応器壁に付着して処理継続が困難になることを防止乃至激減するように作用する。また、有機物と酸化剤とによる反応は発熱反応であり、この熱を流動する固体粒子が反応器内に分散させることにより、有機物の局部過熱に起因するチャー生成を抑制するように作用する。超臨界水中で固体であってこのように作用する微粒子であれば、種類は特に限定されないが、これらのなかでチタニア、ジルコニア、又はアルミナから選ばれた1種もしくは2種以上を主成分とする金属酸化物、活性炭、またはコークスからなる群から選ばれた固体粒子は、効果が顕著であり特に好ましい。
【0013】
有機物の反応を開始させるためには、所定の温度にまでスラリーを昇温させる必要がある。反応熱により高温となった固体粒子や反応物を逆混合流動により或る程度反応器入口部へ移動させ、反応器へ導入した新鮮なスラリーに熱を与えることはできるが、これだけでは充分でなく、反応器に導入する前にスラリーを予熱することが好ましい。
【0014】
特にスラリーを300−550℃に予熱して反応器に導入すると、反応器壁におけるチャー生成の抑制に加えて処理温度の制御、ひいては生成ガスの成分調整のために好ましい。更に、前記超臨界、臨界もしくは亜臨界状態の温度は、前記予熱温度及び/または前記酸化剤の導入量を調節することにより、反応器出口において450−700℃となるように制御すると、処理速度の調整、生成ガスの成分調整のために特に好ましい。
【0015】
次いで第2の本発明は、水中において有機物を処理することにより水素及び低級炭化水素を含有するガスを製造する方法であって、有機物を水に懸濁させたスラリーと無機塩類及び/又はチャーを捕捉する機能を有する固体粒子とを、気体状もしくは液体状酸化剤の存在下に、反応器内において前記有機物を分解するに充分な時間、水の超臨界、臨界もしくは亜臨界状態に保持しつつ前記固体粒子を流動状態に保持し、同時に前記有機物の分解により生成するガスの一部を前記反応器中の有機物スラリーもしくは前記反応器へ流入する前の有機物スラリーに導入することを特徴とする、超臨界流体を用いた有機物のエネルギー回収方法の発明である。
【0016】
反応器を流出する生成ガスと超臨界状態の水の一部を高温のまま、或は熱交換して冷却され水を分離した後の生成ガスを、反応器導入前の有機物スラリーに導入することにより、反応器出口の反応物を所定の温度に制御することが容易になるとともに、スラリーの過剰な予熱によるチャー生成を更に良く抑制することができる。反応器を流出する生成ガスの顕熱を利用することが可能となり、また酸化剤による水素等の酸化の反応熱をスラリーの昇温に利用できるからである。
【0017】
次いで第3の本発明は、超臨界、臨界もしくは亜臨界状態の水中において有機物を処理することにより水素及び低級炭化水素を含有するガスを製造する装置であって、有機物を水に懸濁させたスラリーを予熱する予熱器と、固体粒子を流動状態に保持し得る形状を有し且つ気体状もしくは液体状酸化剤の導入口を設けた反応器と、を備えたことを特徴とする超臨界流体を用いた有機物のエネルギー回収装置の発明である。ここで固体粒子を流動状態に保持し得る形状とは、反応器へ流入する被処理物の流れ方向に係る断面積が被処理物の流速との関係において充分大であるため、固体粒子にかかる重力と反応器において超臨界流体の流れにより生じた浮力とがつり合う位置で、大部分の固体粒子を或る上下幅の帯域内を浮遊しながら滞留し流動する状態に保持できる形状を意味する。高温高圧の下で使用するため、一般的には円筒形の塔型(竪型円筒)もしくは槽型(横型円筒)がこれに該当する。なお、反応器入口から出口に向かう全体的な超臨界流体の流れに対して部分的に反応物が方向的に逆行するように流れることにより時間的に反応器に先に導入された物質が後から導入された物質と混合する逆混合流動を生じる形状は、好ましいが必須ではない。
【0018】
さらに第4の本発明は、超臨界、臨界もしくは亜臨界状態の水中において有機物を処理することにより水素及び低級炭化水素を含有するガスを製造する装置であって、有機物を水に懸濁させたスラリーを予熱する予熱器と、固体粒子を流動状態に保持し得る形状を有し且つ気体状もしくは液体状酸化剤の導入口と反応器から流出した生成ガスを前記スラリーに再び導入する生成ガス導入口とを設けた反応器と、を備えたことを特徴とする超臨界流体を用いた有機物のエネルギー回収装置の発明である。反応器内にあるスラリーに対して適切な位置から導入された生成ガスは、これ自体が高温であって顕熱を供給するとともに酸化剤により酸化されて反応熱を発生し、これにより反応器内の昇温に寄与し、有機物スラリーの予熱段階での熱量補給を軽減することができる。結果的にチャー生成などを抑制するように作用する。
【0019】
【発明の実施の形態】
本発明の一実施態様を例示した図1に沿って第1発明に係る方法及び第3発明に係る装置の実施形態を説明する。図示した処理装置では、竪型中空円筒形反応器(いわゆる反応塔と呼ぶ形状)を使用している。なお、図1において、超臨界状態を起動、停止或は状態維持するための機器等は当業者に既知のものを使用することができるので、図示を省略する。被処理物である有機物を破砕して水に懸濁した有機物スラリーは、有機物スラリー槽5からスラリーポンプ等の送液手段4により、予熱器3を経由して反応器1の下部に導入される。気体酸化剤もしくは液体酸化剤は、反応器の下部にあって個数的に複数の導入口2から反応器1に導入され、反応器内において有機物スラリーと混合される。
【0020】
反応器内においては、有機物スラリーと酸化剤と固体粒子が混合され、被処理物は逆混合流動により反応器内を循環する。しかし、固体粒子は粒径が一様ではなく粒径分布を持ち、固体粒子の時間的移動を図1に矢印流線により模式的に図示したように、小粒径の粒子は重力に比べて浮力が大きいため反応器の比較的上部を循環し、大粒径の粒子は浮力より重力が勝るため主として反応器の比較的下部を循環する。こうして大部分の固体粒子は、浮遊し循環しながら滞留する。
【0021】
しかし、小粒径の粒子も時間の進行と共に無機塩類の付着等により次第に肥大化し、終には大粒径の粒子が反応器底部に沈降するので、装置の長期運転の場合は望ましくはこれを底部から抜き出す。抜き出しにより減少する固体粒子或は処理液に同伴されて反応器1から流出することにより減少する固体粒子を運転中に補給するため、反応器の比較的上部に固体粒子補給口15を設けても良い。
【0022】
反応器1内は水を超臨界状態に保持する条件下に維持され、生成したガス及び水は反応器1の頂部から流出し、好ましくは熱交換器7において熱交換して原料である有機物スラリーへ顕熱を伝達したのち分離器6へ移り、水と若干の無機塩類を主成分とする処理済みの液(以下、処理液と略記)とガスとに分離される。ガスは用途に応じた圧力に調整される。なお、反応器頂部からは小粒径の固体粒子も一部流出することから、反応器上部の器壁、ガス流出口、熱交換器及び配管の内面への無機塩類やチャーの付着が固体粒子の作用により防止できる。
【0023】
処理液には水と無機塩類を主とする分解残渣及び同伴されて流出した固体粒子が含有される。処理液に関しては、当業者に既知の手段により、水と固体の分離や常温常圧への復帰が行われる。ガスに同伴されて反応器から飛び出す固体粒子は、必要に応じて例えばサイクロン型分離器(図示を省略)を用いて捕集し、再び重力で反応器に戻しても良い。また、固体粒子補給口15から固体粒子を補給する具体的方法としては、水との懸濁液とした固体粒子を小型ポンプ等で補給しても良く、或は乾燥状態の固体粒子を、例えばロックホッパー等を使用して固体粒子補給口15から補給しても良い。
【0024】
反応器1への酸化剤の導入口は1箇所でも良い。しかし、図1に例示したように導入口2を反応器の円筒形の横断面に関して半径方向もしくは円周方向に複数箇所、さらにはこれらを円筒形の上下方向に関して複層に設けることは、酸化剤が反応物中に均一分散し易くなるため好ましい。
【0025】
予熱器3の型式については当業者に既知のものを使用することができる。熱源についても同様に、電熱などプロセス流体と独立の熱源でも良く、また反応器1を流出する高温流体を熱源とする熱交換器7において加熱した熱媒体を使用しても良い。或は直接に高温流体を予熱器の熱交換媒体として使用しても良い。または有機物スラリーが流通するパイプを、前記生成ガスの一部を燃料として用いる加熱炉により直接加熱する形式の予熱器も実用的である。
【0026】
本発明に係るエネルギー回収方法において、有機物スラリーは、スラリーポンプ等の搬送手段に支障のない程度に有機物を水の存在下で破砕して調整する。スラリー中の有機物の濃度は5−15重量%が好ましい。濃度過小であると、酸化剤を導入しても所定の反応温度まで上昇せず、或は実質的に有機物の保有するエネルギーを上回るエネルギーの投入を要することになり、非実用的である。濃度過大であるとスラリーが高粘度となり、搬送手段4による予熱器や反応器への圧送が困難である。通常、可能な限り高い濃度を使用する。
【0027】
本発明に係るエネルギー回収方法において、有機物スラリーを反応器へ導入する前に、予熱器3において予熱することは好ましい。予熱温度は300−550℃が好ましく、予熱温度が過大であると予熱器内壁に無機塩類の析出や有機物の熱分解によるチャーの付着が起り、予熱温度が過小であると反応の開始に支障が生じるため好ましくない。予熱器3において亜臨界状態のもとでスラリーの可溶化が始まるが、この可溶化を促進するため、予熱器へ導入する前のスラリーに酸化剤の一部を添加することも可能である。
【0028】
本発明に係るエネルギー回収方法において、反応器中に有機物スラリーと共に存在させる固体粒子は、活性炭、コークス、または金属酸化物の微粒子たとえばチタニア、ジルコニアもしくはアルミナから選ばれた1種もしくは2種以上を主成分とする金属酸化物が好ましい。主成分とするものとは、例えばアルミナに少量のケイ砂(SiO2)を含有する鉱物などが挙げられる。ここで固体粒子の物理的性状に関しては、超臨界、臨界、亜臨界状態の水に溶解せずに固体として存在する必要がある。使用する固体粒子の種類は被処理物に応じて選択するが、活性炭などの炭素系粒子と金属酸化物粒子とを混合して使用する必要はない。
【0029】
上記固体粒子の粒径は0.1−1mm程度のものが好ましいが、厳密にこの範囲に限定するものではない。被処理物中に含有される無機塩類や反応器において生成するチャーが反応中に固体粒子に付着し、時間の経過とともに粒径が増大する傾向があり、反応器内における粒子の流動状態が悪化する。これを防止するため、粒径の増大した固体粒子を連続的または間欠的に一部または全部抜き出し、同時に新鮮な固体粒子を補給することが有効である。
【0030】
本発明に係るエネルギー回収方法において、被処理物と共に反応器中に存在させる固体粒子の比率は、処理する有機物の種類や濃度などに応じて適正な比率を実験的に求める必要があるが、例えば下水汚泥等の場合、通常、有機物1時間当たりの導入量に対し概ね0.5−5程度である。
【0031】
本発明に係るエネルギー回収方法において、反応器中における超臨界、臨界もしくは亜臨界状態の温度は、前記予熱温度及び/または前記酸化剤の導入量を調節することにより、反応器出口において450−700℃に制御することが好ましい。温度が過小であると反応の進行速度が不十分で有機物の処理が円滑に行われず、反応器内の流動状態も悪化し、超臨界状態の維持が困難となる。温度が過大であると、チャーの発生が著しく増加し、円滑な処理継続が困難となる。
【0032】
図2に沿って第2発明に係る方法及び第4発明に係る装置の実施形態を説明する。予熱器3、反応器1への有機物スラリーの導入、生成ガスや処理液の流出に関しては、図1と同様である。ここに例示した実施態様においては、新たな要素として、生成ガスの一部を生成ガス導入口51から反応器内の有機物スラリー中に、もしくは予熱後のスラリーが反応器に導入される前に、又は予熱前のスラリーに導入する。反応器導入前のスラリーへの生成ガス導入口31または予熱器導入前のスラリーへの生成ガス導入口41は各1個あれば充分である。
【0033】
しかし、反応器への生成ガス導入口51は、図示したように前記固体粒子の流動状態を促進するように設けることが必要であり、流動を均等に促進するため酸化剤導入口2について示したと同様に円筒形の円周方向及び/又は半径方向に複数であることが好ましい。
【0034】
なお、生成ガス導入口51と酸化剤導入口2との相対的位置関係については、反応器を流出する反応物の取り出し方法や流動状態の維持方法、或は有機物スラリーの種類により適切に選ぶ必要がある。また、各生成ガス導入口からの生成ガス導入量の適正値は、被処理物の種類や有機物スラリーの濃度に応じて実験的に求める必要がある。
【0035】
本発明を更に具体的に説明するため実施例を記載するが、本発明はこの実施例により何ら制約されるものではない。
[実施例1]
嫌気性バクテリアを用いて消化処理したのち脱水した下水汚泥を破砕機にて破砕し、汚泥の濃度として10重量%となるように水分を調整したものを処理原料とした。試験装置として、図1に示したように反応器1の前に予熱器3を、また反応器の出口側に冷却器7を経由して分離器6を備えたものを使用した。試験用反応器として、内径50mm、長さ1000mmのステンレス鋼製竪型円筒形耐圧容器を使用した。
【0036】
固体粒子として平均粒子径150ミクロンのα−アルミナを用い、反応器の360mm高さまで満たした。予め原料をポンプで35MPaまで加圧し、500℃に加熱した後、ポンプで8.4L/hの送液速度で反応器へ供給し、供給配管の反応器入口部で酸素220L/hを加えて反応器下部へ導入した。スラリーの加熱を調整して反応温度を570℃に維持し、反応器から流出する超臨界流体を冷却器で冷却し、分離器で水及び無機塩類を主成分とする処理液と微細固体粒子等の灰分と生成ガスとに分離した後、計量、分析を行った。生成ガス組成、生成ガス量、処理液の性状などを表1に示す。
【0037】
この試験において、汚泥は全て分解してガスとなり、灰分とガスを分離した後の処理液はTOC(全有機炭素量)が100ppmであり、満足な水準まで処理された。処理を24時間継続したのちに観察した固体粒子径は増大していたものの、凝集は殆ど見られず、反応器内面も清浄に保たれていた。生成ガスは熱量として9.2MJ/Nm3を有しており、ガスエンジンやガスタービン、燃料電池などのコージェネレーション向け燃料として有効利用できるものである。以上の結果から、本発明に係る固体粒子使用により、有機物の超臨界水処理を満足なレベルまで然も円滑に実行できることが判る。
【0038】
[実施例2] 実施例1と同一の反応器を使用して図2に示した試験装置を組立て、固体粒子として実施例1と同サイズのα−アルミナを用い、実施例1と同じロットの原料を用いて試験を行った。生成ガスの半量をブースター8を用いて昇圧し、反応器へリサイクルして導入し、且つ反応温度を585℃に調整した以外の条件は実施例1と同一とした。計量、分析の結果を表1の第2欄に示した。実施例1の結果と同様に汚泥は全て分解し、処理液のTOCは50ppmと良好な結果であり、処理継続24時間後に観察した固体粒子径は増大していたものの、凝集は殆ど無く、反応器内面も清浄に保たれていた。この結果から、本発明に係る固体粒子使用と生成ガスの反応器へのリサイクルにより、超臨界水処理後の水に関し更なるTOC削減と生成ガスの高発熱量化を達成できることが判る。
【0039】
【表1】
【0040】
[実施例3] 実施例1と同一の反応器と試験装置、同一ロットの原料を用い、固体粒子として平均粒子径200ミクロンのヤシ殻活性炭を反応器の360mm高さまで満たし、予め原料をポンプで35MPaまで加圧し、520℃に加熱した後、実施例1と同一の送液速度で反応器へ供給し、供給配管の反応器入口部で酸素を加えて反応器下部へ導入した。スラリーの加熱を調整して反応温度を595℃に維持した。計量、分析の結果を表1の第3欄に示した。実施例1の結果と同様に汚泥は全て分解し、処理液TOCは60ppmと良好な結果であり、処理継続24時間後の固体粒子径は増大していたものの、凝集は殆ど無く、反応器内面も清浄に保たれていた。この結果から、本発明に係る固体粒子としてヤシ殻活性炭が有効であることが判る。
【0041】
[実施例4] 実施例1と同一の反応器と試験装置、同一ロットの原料を用い、固体粒子として平均粒子径200ミクロンのコークス粒子を反応器の360mm高さまで満たし、予め原料をポンプで35MPaまで加圧し、520℃に加熱した後、実施例1と同一の送液速度で反応器へ供給し、供給配管の反応器入口部で酸素を加えて反応器下部へ導入した。スラリーの加熱を調整して反応温度を595℃に維持した。計量、分析の結果を表1の第4欄に示した。実施例1の結果と同様に汚泥は全て分解し、処理液TOCは80ppmと良好な結果であり、処理継続24時間後の固体粒子径は増大していたものの、凝集は殆ど無く、反応器内面も清浄に保たれていた。この結果から、本発明に係る固体粒子としてコークス粒子が有効であることが判る。
【0042】
【発明の効果】
本発明に係るエネルギー回収方法においては、従来の超臨界水中での有機物処理に用いられた触媒使用に代えて、無機塩類及び/又はチャーを捕捉する機能を有する固体粒子を使用する。これにより、被処理物に含有される硫化水素等の硫黄化合物による触媒の被毒に起因する処理中断を回避でき、また、無機塩類の析出及び/またはチャーの付着による触媒の失活に起因する処理能力低下を防止でき、更に無機塩類の析出及び/またはチャーの付着による反応器の閉塞などの不調を防止することができ、長時間安定した処理を継続することができる。
【0043】
本発明に係る別のエネルギー回収方法においては、生成ガスの一部を高温のまま反応器へリサイクルして導入することにより、反応温度の制御が容易になり、スラリーの過剰な予熱によるチャー生成が更に良く抑制され、超臨界水処理後の処理液である水に関し更なるTOC削減を図ることができると共に生成ガスの高発熱量化を達成できる。
【0044】
本発明に係るエネルギー回収装置においては、竪型中空円筒形状の反応器を用いることにより、固体粒子を流動状態に保持しつつ或る上下幅の帯域に滞留させることができる。これにより無機塩類捕捉が円滑に行われると共に反応熱の円滑な伝達により局部過熱が防止され、チャーの生成が抑制される。この結果、長時間順調に安定して有機物の超臨界水処理を継続することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るエネルギー回収装置の一実施態様を例示するプロセスフローシート要部。
【図2】本発明に係るエネルギー回収装置の別の実施態様を例示するプロセスフローシート要部。
【図3】従来技術に係るエネルギー回収装置を模式的に例示するプロセスフローシート。
【符号の説明】
1 反応器
2 酸化剤導入口
3 予熱器
4 有機物スラリー搬送手段
5 有機物スラリー槽
6 分離器
7 冷却器/熱交換器
8 生成ガスブースター
15 固体粒子補給口 31、41、51 生成ガス導入口
【発明の属する技術分野】
本発明は、超臨界状態の流体中において下水汚泥、有機性廃棄物、バイオマス等の有機物を処理することで水素、メタン等を含むガスを製造する技術に関するものである。このガスはエネルギー源として燃料等に用いられるため、本発明者等は本技術を有機物の保有するエネルギーを回収する技術と認識している。
【0002】
【従来の技術】
通常、下水汚泥は脱水したのち焼却により処理され、生ゴミ等の都市廃棄物その他の有機性廃棄物も焼却処理されている。しかし、一般に焼却処理においてはSOX 、NOX 或はダイオキシン等の大気汚染物質の発生を伴い、また有機
物の保有するエネルギーも焼却熱として一部分が温水や電力の形で回収されるのみであり、環境的、エネルギー的に必ずしもベストな方法ではない。
【0003】
近年、下水汚泥等を超臨界水の中で酸素或は空気により酸化して炭酸ガス、水及び灰分に分解する処理技術が開示されている(例えば、特開平11−90494号、特表平6−511190号)。しかし、これらの処理技術は有機性廃棄物の処理という観点から優れているものの、処理により得られるガスは地球温暖化で問題とされる炭酸ガスであり、有機物が保有するエネルギーを水素やメタンガス等の形で回収し有効利用するという課題からは適当でない。
【0004】
一方、特表平11−502891号には、バイオマスや有機性廃棄物を超臨界水中において、実質的に酸素の非存在下で固体炭素系触媒を使用して接触熱分解し、水素及びメタンを含有するガスを得る技術が開示されている。この技術によれば、都市廃棄物、緑藻やバナナの木等のウエット・バイオマス等から実質的にタールや耐熱性炭化物(以下、チャーと呼ぶ)を形成することなくメタン及び多量の水素を含むガスを生成することができる。
【0005】
しかし、被処理物の処理量に比べかなり多量のココナッツ殻活性炭などの固体炭素系触媒を使用する必要があるため、実用上、使用後の炭素系触媒の最終処理が問題である。また、活性炭などの固体炭素系触媒は吸着機能が強いため、被処理物中に含有される無機塩類を捕集し、短期間に活性を失い易い。このため固体炭素系触媒の寿命は充分ではない。更には触媒粒子間に無機塩類やチャーが析出し、反応器を閉塞するに至るおそれが強い。
【0006】
本発明者等は、超臨界水中において有機物スラリーを酸素の存在下Ni系触媒或はRu系触媒により接触分解する研究を行い、メタンや水素を主要成分とするガスを得た。しかし、特に下水汚泥等の処理においては、硫化水素等の硫黄化合物による触媒被毒があり、またCa塩、Mg塩など無機塩類の触媒への析出物が発生し、長時間の処理継続が困難であった。更に、反応温度を高温にすると、水素富化ガスを高収率で得られる反面、無機塩類の析出やチャーの発生も増加するため、反応器の閉塞を起こし易く、長時間の処理継続が困難であった。触媒を使用せずに長時間、酸化分解を安定的に継続できる技術の開発が望まれる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、下水汚泥や生ゴミ等の都市廃棄物、農業廃棄物や街路樹剪定枝等の動植物性廃棄物、バイオマスなど(以下、本発明において、有機物と云う)を環境負荷、とりわけ炭酸ガス生成の極く少ない方法により処理すると共に、有機物が保有するエネルギーを水素やメタン等を主要成分とするガスとして回収する方法及びこれを実施する基本的な処理装置の提供を課題とする。
【0008】
更に本発明は、触媒被毒による処理速度低下が起らず、無機塩類の析出ならびにタールやチャーの生成による処理中断が起らずに、長時間安定して有機物の超臨界水処理が継続できる処理技術の提供を課題とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明によれば、超臨界水中において有機物と気体状または液体状酸化剤を反応させる際に、反応器内において有機物を水に懸濁させたスラリー(以下、有機物スラリーと略称する)及び酸化剤からなる混合物中に無機塩類及び/又はチャーを捕捉する機能を有する固体粒子を存在させ、且つ水の超臨界状態を保持しつつ該固体粒子を流動状態で前記混合物と良好に混合するように反応器内に滞留させることにより、上記課題が達成される。
【0010】
すなわち、第1の本発明は、水中において有機物を処理することにより水素及び低級炭化水素を含有するガスを製造する方法であって、有機物を水に懸濁させたスラリーと無機塩類及び/又はチャーを捕捉する機能を有する固体粒子とを、気体状もしくは液体状酸化剤の存在下に、反応器内において前記有機物を分解するに充分な時間、水の超臨界、臨界もしくは亜臨界状態に保持しつつ前記固体粒子を流動状態に保持することを特徴とする、超臨界流体を用いた有機物のエネルギー回収方法の発明である。
【0011】
ここで固体粒子に係る流動状態とは、固体粒子にかかる重力と反応器において超臨界流体の流れにより生じた浮力とがつり合う位置で、大部分の固体粒子が或る上下幅の帯域内を浮遊しながら滞留し流動する状態を意味する。このような流動状態は、超臨界流体が気体と液体の中間的な粘度等の物理的性質を有していることから、容易に保持される。但し、粒径が微細で重力が充分に作用しない固体粒子の一部が反応器から流出するのは致し方ない。なお、反応器入口から出口に向かう全体的な超臨界流体の流れに対して、部分的に反応物が方向的に逆行するように流れることにより時間的に反応器に先に導入された物質が後から導入された物質と混合する逆混合流動は、好ましいが必須ではない。この固体粒子流動状態は一般的にいわゆる塔型或は槽型反応器により実現するが、従来開示されている超臨界水処理技術では横置の管型反応器(多くは例えば長い蛇管のような横型管)が使用され、物質はいわゆるピストン流動により先に反応器に導入されたものが先に反応器から流出するため、固体粒子を導入しても反応器内に滞留する流動状態を実現することは困難である。
【0012】
前記固体粒子はいわゆる触媒とは異なり、無機塩類及び/又はチャーを積極的に捕捉する機能を有する微粒子であり、超臨界水中において固体である。この固体粒子は、無機塩類やチャーが反応器壁に付着して処理継続が困難になることを防止乃至激減するように作用する。また、有機物と酸化剤とによる反応は発熱反応であり、この熱を流動する固体粒子が反応器内に分散させることにより、有機物の局部過熱に起因するチャー生成を抑制するように作用する。超臨界水中で固体であってこのように作用する微粒子であれば、種類は特に限定されないが、これらのなかでチタニア、ジルコニア、又はアルミナから選ばれた1種もしくは2種以上を主成分とする金属酸化物、活性炭、またはコークスからなる群から選ばれた固体粒子は、効果が顕著であり特に好ましい。
【0013】
有機物の反応を開始させるためには、所定の温度にまでスラリーを昇温させる必要がある。反応熱により高温となった固体粒子や反応物を逆混合流動により或る程度反応器入口部へ移動させ、反応器へ導入した新鮮なスラリーに熱を与えることはできるが、これだけでは充分でなく、反応器に導入する前にスラリーを予熱することが好ましい。
【0014】
特にスラリーを300−550℃に予熱して反応器に導入すると、反応器壁におけるチャー生成の抑制に加えて処理温度の制御、ひいては生成ガスの成分調整のために好ましい。更に、前記超臨界、臨界もしくは亜臨界状態の温度は、前記予熱温度及び/または前記酸化剤の導入量を調節することにより、反応器出口において450−700℃となるように制御すると、処理速度の調整、生成ガスの成分調整のために特に好ましい。
【0015】
次いで第2の本発明は、水中において有機物を処理することにより水素及び低級炭化水素を含有するガスを製造する方法であって、有機物を水に懸濁させたスラリーと無機塩類及び/又はチャーを捕捉する機能を有する固体粒子とを、気体状もしくは液体状酸化剤の存在下に、反応器内において前記有機物を分解するに充分な時間、水の超臨界、臨界もしくは亜臨界状態に保持しつつ前記固体粒子を流動状態に保持し、同時に前記有機物の分解により生成するガスの一部を前記反応器中の有機物スラリーもしくは前記反応器へ流入する前の有機物スラリーに導入することを特徴とする、超臨界流体を用いた有機物のエネルギー回収方法の発明である。
【0016】
反応器を流出する生成ガスと超臨界状態の水の一部を高温のまま、或は熱交換して冷却され水を分離した後の生成ガスを、反応器導入前の有機物スラリーに導入することにより、反応器出口の反応物を所定の温度に制御することが容易になるとともに、スラリーの過剰な予熱によるチャー生成を更に良く抑制することができる。反応器を流出する生成ガスの顕熱を利用することが可能となり、また酸化剤による水素等の酸化の反応熱をスラリーの昇温に利用できるからである。
【0017】
次いで第3の本発明は、超臨界、臨界もしくは亜臨界状態の水中において有機物を処理することにより水素及び低級炭化水素を含有するガスを製造する装置であって、有機物を水に懸濁させたスラリーを予熱する予熱器と、固体粒子を流動状態に保持し得る形状を有し且つ気体状もしくは液体状酸化剤の導入口を設けた反応器と、を備えたことを特徴とする超臨界流体を用いた有機物のエネルギー回収装置の発明である。ここで固体粒子を流動状態に保持し得る形状とは、反応器へ流入する被処理物の流れ方向に係る断面積が被処理物の流速との関係において充分大であるため、固体粒子にかかる重力と反応器において超臨界流体の流れにより生じた浮力とがつり合う位置で、大部分の固体粒子を或る上下幅の帯域内を浮遊しながら滞留し流動する状態に保持できる形状を意味する。高温高圧の下で使用するため、一般的には円筒形の塔型(竪型円筒)もしくは槽型(横型円筒)がこれに該当する。なお、反応器入口から出口に向かう全体的な超臨界流体の流れに対して部分的に反応物が方向的に逆行するように流れることにより時間的に反応器に先に導入された物質が後から導入された物質と混合する逆混合流動を生じる形状は、好ましいが必須ではない。
【0018】
さらに第4の本発明は、超臨界、臨界もしくは亜臨界状態の水中において有機物を処理することにより水素及び低級炭化水素を含有するガスを製造する装置であって、有機物を水に懸濁させたスラリーを予熱する予熱器と、固体粒子を流動状態に保持し得る形状を有し且つ気体状もしくは液体状酸化剤の導入口と反応器から流出した生成ガスを前記スラリーに再び導入する生成ガス導入口とを設けた反応器と、を備えたことを特徴とする超臨界流体を用いた有機物のエネルギー回収装置の発明である。反応器内にあるスラリーに対して適切な位置から導入された生成ガスは、これ自体が高温であって顕熱を供給するとともに酸化剤により酸化されて反応熱を発生し、これにより反応器内の昇温に寄与し、有機物スラリーの予熱段階での熱量補給を軽減することができる。結果的にチャー生成などを抑制するように作用する。
【0019】
【発明の実施の形態】
本発明の一実施態様を例示した図1に沿って第1発明に係る方法及び第3発明に係る装置の実施形態を説明する。図示した処理装置では、竪型中空円筒形反応器(いわゆる反応塔と呼ぶ形状)を使用している。なお、図1において、超臨界状態を起動、停止或は状態維持するための機器等は当業者に既知のものを使用することができるので、図示を省略する。被処理物である有機物を破砕して水に懸濁した有機物スラリーは、有機物スラリー槽5からスラリーポンプ等の送液手段4により、予熱器3を経由して反応器1の下部に導入される。気体酸化剤もしくは液体酸化剤は、反応器の下部にあって個数的に複数の導入口2から反応器1に導入され、反応器内において有機物スラリーと混合される。
【0020】
反応器内においては、有機物スラリーと酸化剤と固体粒子が混合され、被処理物は逆混合流動により反応器内を循環する。しかし、固体粒子は粒径が一様ではなく粒径分布を持ち、固体粒子の時間的移動を図1に矢印流線により模式的に図示したように、小粒径の粒子は重力に比べて浮力が大きいため反応器の比較的上部を循環し、大粒径の粒子は浮力より重力が勝るため主として反応器の比較的下部を循環する。こうして大部分の固体粒子は、浮遊し循環しながら滞留する。
【0021】
しかし、小粒径の粒子も時間の進行と共に無機塩類の付着等により次第に肥大化し、終には大粒径の粒子が反応器底部に沈降するので、装置の長期運転の場合は望ましくはこれを底部から抜き出す。抜き出しにより減少する固体粒子或は処理液に同伴されて反応器1から流出することにより減少する固体粒子を運転中に補給するため、反応器の比較的上部に固体粒子補給口15を設けても良い。
【0022】
反応器1内は水を超臨界状態に保持する条件下に維持され、生成したガス及び水は反応器1の頂部から流出し、好ましくは熱交換器7において熱交換して原料である有機物スラリーへ顕熱を伝達したのち分離器6へ移り、水と若干の無機塩類を主成分とする処理済みの液(以下、処理液と略記)とガスとに分離される。ガスは用途に応じた圧力に調整される。なお、反応器頂部からは小粒径の固体粒子も一部流出することから、反応器上部の器壁、ガス流出口、熱交換器及び配管の内面への無機塩類やチャーの付着が固体粒子の作用により防止できる。
【0023】
処理液には水と無機塩類を主とする分解残渣及び同伴されて流出した固体粒子が含有される。処理液に関しては、当業者に既知の手段により、水と固体の分離や常温常圧への復帰が行われる。ガスに同伴されて反応器から飛び出す固体粒子は、必要に応じて例えばサイクロン型分離器(図示を省略)を用いて捕集し、再び重力で反応器に戻しても良い。また、固体粒子補給口15から固体粒子を補給する具体的方法としては、水との懸濁液とした固体粒子を小型ポンプ等で補給しても良く、或は乾燥状態の固体粒子を、例えばロックホッパー等を使用して固体粒子補給口15から補給しても良い。
【0024】
反応器1への酸化剤の導入口は1箇所でも良い。しかし、図1に例示したように導入口2を反応器の円筒形の横断面に関して半径方向もしくは円周方向に複数箇所、さらにはこれらを円筒形の上下方向に関して複層に設けることは、酸化剤が反応物中に均一分散し易くなるため好ましい。
【0025】
予熱器3の型式については当業者に既知のものを使用することができる。熱源についても同様に、電熱などプロセス流体と独立の熱源でも良く、また反応器1を流出する高温流体を熱源とする熱交換器7において加熱した熱媒体を使用しても良い。或は直接に高温流体を予熱器の熱交換媒体として使用しても良い。または有機物スラリーが流通するパイプを、前記生成ガスの一部を燃料として用いる加熱炉により直接加熱する形式の予熱器も実用的である。
【0026】
本発明に係るエネルギー回収方法において、有機物スラリーは、スラリーポンプ等の搬送手段に支障のない程度に有機物を水の存在下で破砕して調整する。スラリー中の有機物の濃度は5−15重量%が好ましい。濃度過小であると、酸化剤を導入しても所定の反応温度まで上昇せず、或は実質的に有機物の保有するエネルギーを上回るエネルギーの投入を要することになり、非実用的である。濃度過大であるとスラリーが高粘度となり、搬送手段4による予熱器や反応器への圧送が困難である。通常、可能な限り高い濃度を使用する。
【0027】
本発明に係るエネルギー回収方法において、有機物スラリーを反応器へ導入する前に、予熱器3において予熱することは好ましい。予熱温度は300−550℃が好ましく、予熱温度が過大であると予熱器内壁に無機塩類の析出や有機物の熱分解によるチャーの付着が起り、予熱温度が過小であると反応の開始に支障が生じるため好ましくない。予熱器3において亜臨界状態のもとでスラリーの可溶化が始まるが、この可溶化を促進するため、予熱器へ導入する前のスラリーに酸化剤の一部を添加することも可能である。
【0028】
本発明に係るエネルギー回収方法において、反応器中に有機物スラリーと共に存在させる固体粒子は、活性炭、コークス、または金属酸化物の微粒子たとえばチタニア、ジルコニアもしくはアルミナから選ばれた1種もしくは2種以上を主成分とする金属酸化物が好ましい。主成分とするものとは、例えばアルミナに少量のケイ砂(SiO2)を含有する鉱物などが挙げられる。ここで固体粒子の物理的性状に関しては、超臨界、臨界、亜臨界状態の水に溶解せずに固体として存在する必要がある。使用する固体粒子の種類は被処理物に応じて選択するが、活性炭などの炭素系粒子と金属酸化物粒子とを混合して使用する必要はない。
【0029】
上記固体粒子の粒径は0.1−1mm程度のものが好ましいが、厳密にこの範囲に限定するものではない。被処理物中に含有される無機塩類や反応器において生成するチャーが反応中に固体粒子に付着し、時間の経過とともに粒径が増大する傾向があり、反応器内における粒子の流動状態が悪化する。これを防止するため、粒径の増大した固体粒子を連続的または間欠的に一部または全部抜き出し、同時に新鮮な固体粒子を補給することが有効である。
【0030】
本発明に係るエネルギー回収方法において、被処理物と共に反応器中に存在させる固体粒子の比率は、処理する有機物の種類や濃度などに応じて適正な比率を実験的に求める必要があるが、例えば下水汚泥等の場合、通常、有機物1時間当たりの導入量に対し概ね0.5−5程度である。
【0031】
本発明に係るエネルギー回収方法において、反応器中における超臨界、臨界もしくは亜臨界状態の温度は、前記予熱温度及び/または前記酸化剤の導入量を調節することにより、反応器出口において450−700℃に制御することが好ましい。温度が過小であると反応の進行速度が不十分で有機物の処理が円滑に行われず、反応器内の流動状態も悪化し、超臨界状態の維持が困難となる。温度が過大であると、チャーの発生が著しく増加し、円滑な処理継続が困難となる。
【0032】
図2に沿って第2発明に係る方法及び第4発明に係る装置の実施形態を説明する。予熱器3、反応器1への有機物スラリーの導入、生成ガスや処理液の流出に関しては、図1と同様である。ここに例示した実施態様においては、新たな要素として、生成ガスの一部を生成ガス導入口51から反応器内の有機物スラリー中に、もしくは予熱後のスラリーが反応器に導入される前に、又は予熱前のスラリーに導入する。反応器導入前のスラリーへの生成ガス導入口31または予熱器導入前のスラリーへの生成ガス導入口41は各1個あれば充分である。
【0033】
しかし、反応器への生成ガス導入口51は、図示したように前記固体粒子の流動状態を促進するように設けることが必要であり、流動を均等に促進するため酸化剤導入口2について示したと同様に円筒形の円周方向及び/又は半径方向に複数であることが好ましい。
【0034】
なお、生成ガス導入口51と酸化剤導入口2との相対的位置関係については、反応器を流出する反応物の取り出し方法や流動状態の維持方法、或は有機物スラリーの種類により適切に選ぶ必要がある。また、各生成ガス導入口からの生成ガス導入量の適正値は、被処理物の種類や有機物スラリーの濃度に応じて実験的に求める必要がある。
【0035】
本発明を更に具体的に説明するため実施例を記載するが、本発明はこの実施例により何ら制約されるものではない。
[実施例1]
嫌気性バクテリアを用いて消化処理したのち脱水した下水汚泥を破砕機にて破砕し、汚泥の濃度として10重量%となるように水分を調整したものを処理原料とした。試験装置として、図1に示したように反応器1の前に予熱器3を、また反応器の出口側に冷却器7を経由して分離器6を備えたものを使用した。試験用反応器として、内径50mm、長さ1000mmのステンレス鋼製竪型円筒形耐圧容器を使用した。
【0036】
固体粒子として平均粒子径150ミクロンのα−アルミナを用い、反応器の360mm高さまで満たした。予め原料をポンプで35MPaまで加圧し、500℃に加熱した後、ポンプで8.4L/hの送液速度で反応器へ供給し、供給配管の反応器入口部で酸素220L/hを加えて反応器下部へ導入した。スラリーの加熱を調整して反応温度を570℃に維持し、反応器から流出する超臨界流体を冷却器で冷却し、分離器で水及び無機塩類を主成分とする処理液と微細固体粒子等の灰分と生成ガスとに分離した後、計量、分析を行った。生成ガス組成、生成ガス量、処理液の性状などを表1に示す。
【0037】
この試験において、汚泥は全て分解してガスとなり、灰分とガスを分離した後の処理液はTOC(全有機炭素量)が100ppmであり、満足な水準まで処理された。処理を24時間継続したのちに観察した固体粒子径は増大していたものの、凝集は殆ど見られず、反応器内面も清浄に保たれていた。生成ガスは熱量として9.2MJ/Nm3を有しており、ガスエンジンやガスタービン、燃料電池などのコージェネレーション向け燃料として有効利用できるものである。以上の結果から、本発明に係る固体粒子使用により、有機物の超臨界水処理を満足なレベルまで然も円滑に実行できることが判る。
【0038】
[実施例2] 実施例1と同一の反応器を使用して図2に示した試験装置を組立て、固体粒子として実施例1と同サイズのα−アルミナを用い、実施例1と同じロットの原料を用いて試験を行った。生成ガスの半量をブースター8を用いて昇圧し、反応器へリサイクルして導入し、且つ反応温度を585℃に調整した以外の条件は実施例1と同一とした。計量、分析の結果を表1の第2欄に示した。実施例1の結果と同様に汚泥は全て分解し、処理液のTOCは50ppmと良好な結果であり、処理継続24時間後に観察した固体粒子径は増大していたものの、凝集は殆ど無く、反応器内面も清浄に保たれていた。この結果から、本発明に係る固体粒子使用と生成ガスの反応器へのリサイクルにより、超臨界水処理後の水に関し更なるTOC削減と生成ガスの高発熱量化を達成できることが判る。
【0039】
【表1】
【0040】
[実施例3] 実施例1と同一の反応器と試験装置、同一ロットの原料を用い、固体粒子として平均粒子径200ミクロンのヤシ殻活性炭を反応器の360mm高さまで満たし、予め原料をポンプで35MPaまで加圧し、520℃に加熱した後、実施例1と同一の送液速度で反応器へ供給し、供給配管の反応器入口部で酸素を加えて反応器下部へ導入した。スラリーの加熱を調整して反応温度を595℃に維持した。計量、分析の結果を表1の第3欄に示した。実施例1の結果と同様に汚泥は全て分解し、処理液TOCは60ppmと良好な結果であり、処理継続24時間後の固体粒子径は増大していたものの、凝集は殆ど無く、反応器内面も清浄に保たれていた。この結果から、本発明に係る固体粒子としてヤシ殻活性炭が有効であることが判る。
【0041】
[実施例4] 実施例1と同一の反応器と試験装置、同一ロットの原料を用い、固体粒子として平均粒子径200ミクロンのコークス粒子を反応器の360mm高さまで満たし、予め原料をポンプで35MPaまで加圧し、520℃に加熱した後、実施例1と同一の送液速度で反応器へ供給し、供給配管の反応器入口部で酸素を加えて反応器下部へ導入した。スラリーの加熱を調整して反応温度を595℃に維持した。計量、分析の結果を表1の第4欄に示した。実施例1の結果と同様に汚泥は全て分解し、処理液TOCは80ppmと良好な結果であり、処理継続24時間後の固体粒子径は増大していたものの、凝集は殆ど無く、反応器内面も清浄に保たれていた。この結果から、本発明に係る固体粒子としてコークス粒子が有効であることが判る。
【0042】
【発明の効果】
本発明に係るエネルギー回収方法においては、従来の超臨界水中での有機物処理に用いられた触媒使用に代えて、無機塩類及び/又はチャーを捕捉する機能を有する固体粒子を使用する。これにより、被処理物に含有される硫化水素等の硫黄化合物による触媒の被毒に起因する処理中断を回避でき、また、無機塩類の析出及び/またはチャーの付着による触媒の失活に起因する処理能力低下を防止でき、更に無機塩類の析出及び/またはチャーの付着による反応器の閉塞などの不調を防止することができ、長時間安定した処理を継続することができる。
【0043】
本発明に係る別のエネルギー回収方法においては、生成ガスの一部を高温のまま反応器へリサイクルして導入することにより、反応温度の制御が容易になり、スラリーの過剰な予熱によるチャー生成が更に良く抑制され、超臨界水処理後の処理液である水に関し更なるTOC削減を図ることができると共に生成ガスの高発熱量化を達成できる。
【0044】
本発明に係るエネルギー回収装置においては、竪型中空円筒形状の反応器を用いることにより、固体粒子を流動状態に保持しつつ或る上下幅の帯域に滞留させることができる。これにより無機塩類捕捉が円滑に行われると共に反応熱の円滑な伝達により局部過熱が防止され、チャーの生成が抑制される。この結果、長時間順調に安定して有機物の超臨界水処理を継続することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るエネルギー回収装置の一実施態様を例示するプロセスフローシート要部。
【図2】本発明に係るエネルギー回収装置の別の実施態様を例示するプロセスフローシート要部。
【図3】従来技術に係るエネルギー回収装置を模式的に例示するプロセスフローシート。
【符号の説明】
1 反応器
2 酸化剤導入口
3 予熱器
4 有機物スラリー搬送手段
5 有機物スラリー槽
6 分離器
7 冷却器/熱交換器
8 生成ガスブースター
15 固体粒子補給口 31、41、51 生成ガス導入口
Claims (14)
- 水中において有機物を処理することにより水素及び低級炭化水素を含有するガスを製造する方法であって、
有機物を水に懸濁させたスラリーと、無機塩類及び/又はチャーを捕捉する機能を有する固体粒子とを、気体状もしくは液体状酸化剤の存在下に、
反応器内において前記有機物を分解するに充分な時間、水の超臨界、臨界もしくは亜臨界状態に保持しつつ前記固体粒子を流動状態に保持すること、
を特徴とする超臨界流体を用いた有機物のエネルギー回収方法。 - 水中において有機物を処理することにより水素及び低級炭化水素を含有するガスを製造する方法であって、
有機物を水に懸濁させたスラリーと、無機塩類及び/又はチャーを捕捉する機能を有する固体粒子とを、気体状もしくは液体状酸化剤の存在下に、
反応器内において前記有機物を分解するに充分な時間、水の超臨界、臨界もしくは亜臨界状態に保持しつつ前記固体粒子を流動状態に保持し、
同時に前記有機物の分解により生成するガスの一部を前記反応器中の有機物スラリーもしくは前記反応器へ流入する前の有機物スラリーに導入すること、
を特徴とする超臨界流体を用いた有機物のエネルギー回収方法。 - 前記スラリーは、下水汚泥、または破砕した食品廃棄物、生ゴミ、農業廃棄物、畜産廃棄物、漁業廃棄物、林業廃棄物、もしくはバイオマスからなる群から選ばれた1種または2種以上の混合物を水に5−15重量%懸濁させたものである請求項1又は2記載のエネルギー回収方法。
- 前記無機塩類及び/又はチャーを捕捉する機能を有する固体粒子は、
チタニア(TiO2)、ジルコニア(ZrO2)、又はアルミナ(Al2O3)から選ばれた1種もしくは2種以上を主成分とする金属酸化物、活性炭、またはコークスからなる群から選ばれた1種である請求項1、2又は3記載のエネルギー回収方法。 - 前記気体状もしくは液体状酸化剤は、酸素、空気もしくは酸素富化空気、オゾン、又は過酸化水素水からなる群から選ばれた1種である請求項1、2、3または4記載のエネルギー回収方法。
- 前記スラリーは、300−550℃に予熱して反応器に導入することを特徴とする請求項1、3、4又は5項に記載のエネルギー回収方法。
- 前記スラリーは、前記生成ガスを導入する前にもしくは導入後に300−550℃に予熱して反応器に導入することを特徴とする請求項2−5の何れか1項に記載のエネルギー回収方法。
- 前記スラリーの予熱は、反応器を流出する流体と反応器に流入するスラリーとの熱交換によることを特徴とする請求項6又は7記載のエネルギー回収方法。
- 前記スラリーの予熱は、反応器を流出した前記生成ガスを燃料に用いる加熱炉により該スラリーを直接加熱することを特徴とする請求項6又は7記載のエネルギー回収方法。
- 前記スラリーの予熱は、反応器を流出した前記生成ガスを燃料に用いる加熱炉により加熱した熱媒体を介して加熱することを特徴とする請求項6又は7記載のエネルギー回収方法。
- 前記超臨界、臨界もしくは亜臨界状態の温度は、前記予熱温度及び/または前記酸化剤の導入量を調節することにより、反応器出口において450−700℃に調整することを特徴とする請求項1−10の何れか1項に記載のエネルギー回収方法。
- 前記超臨界、臨界もしくは亜臨界状態の温度は、前記予熱温度及び/または前記酸化剤の導入量及び/又は前記生成ガスの導入量を調節することにより、反応器出口において450−700℃に調整することを特徴とする請求項2−10の何れか1項に記載のエネルギー回収方法。
- 超臨界、臨界もしくは亜臨界状態の水中において有機物を処理することにより水素及び低級炭化水素を含有するガスを製造する装置であって、有機物を水に懸濁させたスラリーを予熱する予熱器と、
固体粒子を流動状態に保持し得る形状を有し且つ気体状もしくは液体状酸化剤の導入口を設けた反応器と、
を備えたことを特徴とする超臨界流体を用いた有機物のエネルギー回収装置。 - 超臨界、臨界もしくは亜臨界状態の水中において有機物を処理することにより水素及び低級炭化水素を含有するガスを製造する装置であって、有機物を水に懸濁させたスラリーを予熱する予熱器と、
固体粒子を流動状態に保持し得る形状を有し且つ気体状もしくは液体状酸化剤の導入口と反応器から流出した生成ガスを前記スラリーに再び導入する生成ガス導入口とを設けた反応器と、
を備えたことを特徴とする超臨界流体を用いた有機物のエネルギー回収装置。
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