JP2013542159A - ガラス板 - Google Patents

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Abstract

本発明は、最大厚みが2mmで、圧縮下の表面ゾーンと張力下の中央ゾーンを有し、圧縮と張力の間の遷移が発生する深さが少なくとも100μmであり、前記深さと前記厚みの間の比が少なくとも0.1であるガラス板であって、さらに、60Nの荷重の下でのビッカース押込み後、三脚上リング(ring−on−tripod)曲げ試験における曲げ強度が少なくとも70MPaである、ガラス板に関する。

Description

本発明は、ガラス薄板の分野に関する。本発明はより詳細には、激しい衝撃に耐えることのできるガラス薄板に関する。
ガラス薄板は、さまざまな電子デバイス、詳細には小型又は携帯デバイス、例えばスマートホン、携帯情報システム(「PDA」と呼ばれる場合もある)、デジタルカメラ、マルチメディアプレーヤー、コンピュータなどのための保護ガラス、表示ウィンドウ又はスクリーンとして使用されることが多い。重量上の理由から、太陽センサー、熱センサー又は光起電センサー用のカバーグラスとしてガラス薄板を使用することも有利である。
このようなデバイス又は利用分野において使用されるガラス板は、硬質の鋭い物体との反復的接触、発射体の衝撃、落下など、機械的観点から見た高い応力を受ける能力を有する。
その耐衝撃性を増大させるため、熱焼き戻しプロセス又はイオン交換(これは「化学的焼き戻し」と呼ばれる場合もある)プロセスを介して、圧縮下の表面ゾーンと張力下の中央ゾーンを作り出すことが公知である。後者のプロセスでは、ガラス板のイオン(一般的にはアルカリ金属イオン、例えばナトリウム又はリチウム)をより大きいイオン半径のイオン(一般的にはカリウム又はナトリウムなどのアルカリ金属イオン)により表面置換することにより、ガラス板の表面で一定の深さまで残留圧縮応力を作り出すことが可能になる。本明細書本文全体において、横方向断面での深さというのは、考慮対象の点とガラス板の表面の間の前記表面に対する垂線に沿って測定した距離に対応する。同様にして、本明細書本文の残りの部分全体において、応力はガラス板の表面に対して平行であり、縁部領域は除いてガラス板の厚み全体にわたる応力の平均がゼロであるという意味合いにおいて、厚み応力である。表面圧縮応力は、実際、張力下の中央ゾーンの存在によって平衡化される。したがって、圧縮と張力の間の遷移が発生する一定の深さが存在し、この深さを、本明細書本文の残りの部分において「P」と呼ぶ。応力プロファイルは、ガラス板の一方の面に対する垂線に沿って測定されたこの面までの距離の関数としての横方向断面に沿った応力(それが圧縮応力であるか引張応力であるかには関わらず)のプロットに対応する。
本発明の目的は、重大な損傷を受けた後、例えば繰り返し落下させた後でさえ高い機械的強度を維持できるガラス板を提供することにある。
この目的のため、本発明の1つの主題は、厚みが多くとも2mmで、圧縮下の表面ゾーンと張力下の中央ゾーンを有し、圧縮と張力の間の遷移が発生する深さが少なくとも100μmとなるようになっており、前記深さと前記厚みの間の比が少なくとも0.1であるガラス板において、さらに60Nの荷重の下でのビッカース押込み後、三脚上リング(ring−on−tripod)曲げ試験における破壊時曲げ応力が少なくとも70MPaである、ガラス板にある。
本発明の別の主題は、三脚上リング破壊時曲げ応力がビッカース押込み後に測定され、その破壊時応力が60Nさらには70Nの押込み荷重について少なくとも70MPaさらには90又は100MPaであるような形でガラス板が選択される、ガラス板の選択方法にある。
破壊時応力を測定するためのプロトコルについては、本発明に係る例について記載する本明細書本文の項においてさらに詳細に説明されている。
圧縮下の表面ゾーンは、好ましくはイオン交換によって得られる。このプロセスに関するさらなる詳細は、本明細書の残りの部分において示されている。
ガラス板の厚みeは好ましくは多くとも1.5mm、さらには1.1mmである。ガラス板の厚みは好ましくは少なくとも0.25mmである。ガラス板の側方寸法は目標とする用途により左右される。少なくとも1つの寸法は、一般に40cm以下、特には30cm、さらには20cm以下である。ガラス板の表面積は一般に多くとも0.2m2、さらには0.1m2である。一方、太陽センサー用のカバーグラスとしての利用分野においては、ガラス板の表面積は一般に少なくとも1m2である。
圧縮と張力の間の遷移が発生する深さPは、有利には少なくとも150μm、特には200μm、さらには300μm及び/又は多くとも500μmである。発明人らは、深さPを大きくして、ガラス板の耐衝撃性を著しく増大させることができることを実証できたが、これは、機械的強化が表面圧縮応力の強さと密接な関係をもつとする一般に認められた考え方に反するものである。こうして、本発明は、深さPを犠牲にして表面圧縮を可能なかぎり最大限にすることから成る一般に取られている道筋とは異なる道筋をたどるものである。
ガラス板の深さPと厚みeの間のP/e比は有利には、少なくとも0.15さらには0.18である。
ガラス板の厚み内の応力プロファイルは、最大圧縮応力が少なくとも70MPa(特には80MPa)となるようなものであり、この最大圧縮応力を受けるゾーンは、ガラス板の表面からゼロでない距離のところにある。この距離とガラス板の厚みeの間の比は、好ましくは少なくとも0.01、多くとも0.1である。このような応力プロファイルは、極めて新規であり、非常に大きな深さ及び極めて高いP/e比の達成を可能にする。実際、通常の場合であれば、応力プロファイルは、ガラス板の表面で最大応力が得られるようなものである。長い交換時間について放物線形状に向かう傾向をもつ通常のプロファイルの場合、深さPとガラス板の厚みの間の比が、0.22の値を上回る可能性はない。
代替的又は付加的には、ガラス板の厚み内の応力プロファイルは、好ましくは、ガラスの厚みの3分の1を占める中央ゾーン内で、引張応力の強さの相対的変動が少なくとも10%さらには15%となるようなものである。中央ゾーンにおける引張応力の平坦域を特徴とする慣習的プロファイルと異なるイオン交換により強化されたガラスについての中央ゾーン内のこの新規プロファイルは、破損の際に断片化する傾向を増大させることなくより高い最大引張応力を達成できるようにする。
このような好ましいプロファイルは、他方では、好ましくは少なくとも0.2、さらには0.25又は0.3という深さPとガラス板の厚みの間の比を得ることを可能にする。P/e比は一般に多くとも0.4である。
これらの好ましいプロファイルは同様に、一般により低い初期機械的強度と結びつけられるより低い表面圧縮を有する。しかしながら発明人らは、これら全ての予想に反して、これらの応力プロファイルを有する製品の強度が事実、例えば衝撃の場合などの損傷後に実質的に改善されることを実証することができた。こうして最大圧縮応力は好ましくは300MPa以下さらには200MPa以下である。
ガラスの厚み内の応力プロファイルは、バビネ補償器の備わった偏光顕微鏡を用いて公知の要領で決定されてよい。このような方法は、H.Aben及びC.Guillemet、「Photoelasticity of glass」、Springer Verlag、1993中、pp.65、123、124、146によって記述されている。
応力の2乗の張力下の中央ゾーンにおける積分の平方根として定義されるパラメータKは、好ましくは多くとも1.4MPa・m1/2、さらには1.3MPa・m1/2である。このようにして、ガラス板は、破損時に断片化しないという利点を有する。「断片化」という用語は、ガラスが壊れて、駆出され得る多数の小さいガラス断片さらにはガラス粒子を形成する力を意味するものとして理解される。断片が所定の場所に残っている場合でも、そのサイズが小さいことから、ガラス板を通した可視性は極めて低いもの、さらにはゼロにさえなる。係数Kの値を制限することにより、ガラス板の破損は反対に、少数の亀裂の存在によって特徴づけされ、これらの亀裂は見かけは良くないものの可視性及び断片を駆出する傾向に対する影響は低くなる。
60N(さらには70N)の荷重下でのビッカース押込み後の「三脚上リング」曲げ応力は、好ましくは少なくとも80MPa又は90MPa、さらには100MPaである。
20Nの荷重下でのビッカース押込み後の「三脚上リング」曲げ応力は、好ましくは多くとも300MPa、さらには200MPa、そして少なくとも50MPaである。あらゆる予想に反して、より軽い押込み後により低い破壊時応力値を選択しても、最終製品の衝撃に際しての損傷後強度に対して影響が及ぼされることは全く無く、真の識別基準はより強い押込みについての破壊時応力にある、ということがわかった。
ガラスは好ましくは、アルミノケイ酸リチウム又はナトリウムタイプのものである。これは、このタイプのガラスがイオン交換に適しているからである。
これらのガラスのうち、好ましいガラスは、その化学組成が下記酸化物を下記の重量含有率の範囲:
SiO2 55−72%、特には60−71%
Al23 2−15%、特には3−12%
Na2O 9−17%、特には10−15%
2O 0−12%、特には1−10%
MgO 2−13%、特には4−12%
CaO 0−2%、特には0−1%
23 0−1%、特には0%
で含むものである。
これらの酸化物は好ましくは、組成全体の少なくとも95重量%さらには98重量%を占める。このガラスは、カリウムイオンによるナトリウムイオンの交換により強化され得るアルミノケイ酸タイプのものである。
別の好ましいガラスは、その化学組成が下記酸化物を下記の重量含有率の範囲:
SiO2 52−75%、特には65−70%
Al23 15−27%、特には18−19.8%
Li2O 2−10%、特には2.5−3.8%
2O 0−5%、特には0−1%
Na2O 0−5%、特には0−1%
ZnO 0−5%、特には1.2−2.8%
MgO 0−5%、特には0.55−1.5%
BaO 0−5%、特には0−1.4%
SrO 0−3%、特には0−1.4%
TiO2 0−6%、特には1.8−3.2%
ZrO2 0−3%、特には1.0−2.5%
25 0−8%
で含むものである。
このガラスは、ナトリウム及び/又はカリウムイオンによるリチウムイオンの交換によって強化され得るアルミノケイ酸リチウムタイプのものである。このタイプのガラスの交換率は、その耐スクラッチ性と同様、極めて高い。
ガラスは、ソーダ−石灰−シリカタイプのものであってもよく、特に下記酸化物を下記の重量含有率の範囲:
SiO2 60−75%
Al23 0−4%
Na2O 9−18%
2O 0−5%
MgO 0−10%
CaO 4−15%
で含むものであってもよい。
このタイプのガラスは、イオン交換を受けてもよいが、交換時間は一般に非常に長い。
本発明の他の主題は以下のものである:
− 保護ガラス、表示ウィンドウ、スクリーン又は透明又は不透明装飾要素として、本発明に係る少なくとも1枚のガラス板を含む、電子デバイス、詳細には小型又は携帯デバイス、例えば詳細にはスマートホン、携帯情報端末、デジタルカメラ、マルチメディアプレーヤー、コンピュータ、タブレット、テレビ。
− 本発明に係る少なくとも1枚のガラス板を含む、太陽センサー、熱センサー又は光起電センサー。
本発明の別の主題は、ガラス溶融、成形、切断及びイオン交換ステップを含む、本発明に係るガラス板を得るための方法にある。
成形ステップは、さまざまなさらに公知のプロセス、例えば、溶融ガラスが溶融スズ浴上に注ぎ込まれるフロート法、2本のロール間での圧延、溶融ガラスが流路から溢れ出て重力を介して板を形成する「フュージョンドロー」法と呼ばれるプロセス、あるいは溶融ガラススリットを通って下向きに流れた後、所望の厚みまで圧伸され同様に冷却される「ダウンドロー」法と呼ばれる方法によって実施されてよい。切断ステップには有利には、縁部を整形又は研磨するステップが後続し、その後イオン交換ステップが行なわれる。
イオン交換は、ガラス板のアルカリ金属イオンの一部をより大きなイオン半径のアルカリ金属イオンによって交換することからなる。アルカリ金属イオンは一般に、それぞれカリウム又はナトリウムによって部分的に置換されたナトリウム又はリチウムである。ルビジウム又はセシウムイオンさらにはタリウム、銀又は銅イオンなどの、他のイオンも使用されてよい。
イオン交換の後には有利には、一般に交換のために使用されるものと同じ温度範囲での熱処理ステップ(溶融塩の浴外)が続く。この熱処理により、P/e比を増大させるか又は応力の強さを減少させることが可能になる。こうして、とりわけアルミノケイ酸リチウムガラスについて、非常に短時間のイオン交換処理(例えば長くても2時間さらには1時間)をガラス薄板に施すことによって高いP/e比を得ることが可能である。
イオン交換は一般に、所望のアルカリ金属イオンの溶融塩が満たされた浴中にガラス板を入れることによって実施される。高温ではあるものの処理すべきガラスのガラス転移温度よりは低い温度が、相互拡散現象の開始を可能にし、最初にガラスの表面層に衝撃を与える。
ガラスの表面にペーストを被着させることにより、イオン交換を実施することも可能である。イオン交換は同様に、電場又は超音波を加えることによっても促進され得る。
好ましくは少なくとも1つのイオン交換ステップが、硝酸塩、硫酸塩、塩化物又はそれらの任意の混合物から選択される溶融カリウム及び/又はナトリウム塩を用いて実施される。ナトリウム塩とカリウム塩の混合物は、応力の強さの制限を可能にする。硝酸カリウムが特に好ましい。
交換の温度と時間は、ガラスの組成、その厚み及び所望の応力プロファイルに応じて調整されなければならない。発明人らは、交換温度及び交換時間の増大により、深さPの増大が可能となり、かつ最大圧縮応力に付されるゾーンがガラス板の表面からゼロでない距離のところにある前述の新規プロファイルの獲得が可能となることを実証することができた。このプロファイルが、少なくとも0.2さらには0.25というきわめて高いP/e比の達成を可能にするということを忘れてはならない。ガラスの厚みの3分の1を占める中央ゾーンにおいて引張応力の強さの相対的変動が少なくとも10%である新規プロファイルも、それ自体交換温度及び交換時間の増大によってか、よりガラス薄板の使用によってかあるいは以上で定義した後続する熱処理を使用することで得ることができる。
詳細には、前述のアルミノケイ酸ナトリウムについては、交換温度は好ましくは少なくとも450℃、さらには480℃である。これらの高い温度により可能となる表面の構造緩和により、とりわけ少なくとも48時間、さらには72時間の交換時間について前述の新規プロファイルを達成することが可能になる。
(原文に記載なし)
以下の限定的でない例は、本発明を例示するものである。
(比較例C4以外の)さまざまな例のために使用されるガラスは、以下の重量組成を有するアルミノケイ酸ナトリウムである:
SiO2 62%
Al23 8%
Na2O 12.5%
2O 9%
MgO 7.5%
CaO 0.5%。
この組成のガラス板は、フロート法によって3mmの厚みで生産され、その後1mm前後の厚みeを達成するように研磨される。これらのガラス板は、それを溶融硝酸カリウム浴中に浸漬させることで実施されるさまざまなイオン交換処理に付された。比較例C4のガラス板は、ソーダ−石灰−シリカタイプの組成と、2mmの厚みを有する。
下表1は、さまざまな例について、交換温度(℃単位)と交換時間(時間単位)、圧縮と張力の間の遷移が発生する深さP及びP/e比(eはガラス板の厚み)と同様、ガラス板の厚みの3分の1を占める中央ゾーン内に見られる相対的圧力変動に対応するパラメータVをまとめたものである。Vは、中央ゾーン内の最大応力変動を応力の最大値で除したものとして計算される。
P、Vの値及び応力値が取り出される応力プロファイルは、バビネ補償器の備わった偏光顕微鏡を用いて決定される。
Figure 2013542159
例C1〜C4は、比較例である。
表1の結果から、高温の適用により深さPを著しく増大させることが可能となることを演繹できる。処理時間を延長することにより、P/e比は、0.2という理論値を非常に大幅に上回ることができる。
下表2は、各試料について、最大引張応力の値、最大圧縮応力の値、パラメータKの値及びガラスが破損した場合に得られた断片の数を表している。大きな数値は、ガラスの断片化の特徴である。
断片化は、破損後の断片の密度によって特徴づけされる。このために、試供体には両面に接着フィルムをコーティングする。その後、超硬チップとハンマーを用いて、ガラスの一つのコーナーから1cmのところに衝撃を加える。断片数の計数を、衝撃点から少なくとも2cmの場所で3×3cm2の正方形内で実施する。
Figure 2013542159
図1a及び1bは、バビネ補償器の備わった偏光顕微鏡を用いて例3及び比較例C3のガラス板の縁部を観察する間に得られた画像である。当該技術分野において一般に使用されているこのようなデバイスは、ガラスの厚み内の応力プロファイルすなわち深さの関数としての応力の値を決定できる。デバイスを用いて観察された干渉縞の形状は、ガラス板のコアにおける応力分布を再現し、一方縞のオフセット量は応力の強さに正比例する。基準レベルは、最も暗い縞上に任意に設定され、この縞の変動(図中では白色矢印で示されている)によって、応力プロファイルの決定が可能となる。引張応力は、基準レベルより上にある縞に対応し、圧縮応力はその下側にある。応力勾配が過度に大きい場合、縞は表面近傍で識別が困難になる。
黒色縞が基準レベルを横断する深さは、深さPである。例3のガラス板のプロファイルは、いかなる平坦部も無く中央ゾーンで引張応力の高い相対的変動と0.22超のP/e比を有することから、きわめて非定型である。これとは反対に、比較例C3は、わずか0.05のP/eを有し、コア引張応力はほぼ一定である。
図2において、応力プロファイルは、例3(黒色正方形点)及び比較例C3(白色菱形点)についてプロットされている。通例として、圧縮応力は負であり、一方引張応力は正の値で表わされている。外部表面における圧縮応力の正確な値は、表面内の応力勾配が過度に大きい場合は表面近傍での測定が困難になることから、示されていない。
試験結果は、図3に表わされ、この図は、先に受けたビッカース押込み荷重の関数として(MPa単位で表現された)「三脚上リング」曲げ試験における破壊時応力をプロットしている。
押込み後の三脚上リング破壊時曲り応力は、以下の要領で測定され、結果は5回の試験の平均として考慮される。製造後にいかなる処理も受けていないガラス板内で70×70mm2の供試体を切断する。イオン交換の後、供試体を水で清浄し、乾燥させる。
その後、各供試体のいずれか一方の面、すなわちその後圧縮下に置かれる面上に、接着フィルムをコーティングする。このフィルムの役目は、破損の起点の位置特定を可能にすることにある。
押込みは、ビッカースチップの上面上に設置した錘を用いて、接着フィルムの反対側の面で実施される。供試体を、チップの下に置き、供試体の中央で1mm以内まで押込みを実施するようにする。
5kNのロードセルを備えたInstron4505機により、チップを供試体上まで下げる。初期位置において、チップを、供試体より2mm上から5mm上の間に設置する。その後、10mm/分の速度でガラスに向かってチップを移動させる。チップとガラスが接触した後、機械が加える力はゼロとなり、チップ上に置かれた錘のみがガラスの押込みを発生させる。押込みを20秒間継続させ、その後チップを機械により上昇させる。
次に、ガラスを少なくとも12時間保管して、亀裂の伝播を安定させる。押込み後であるものの曲げ試験の前に破損が発生した場合、破壊時曲げ応力は、ゼロとして申告される。
中心がリングの中心と一致する半径20mmの円上で120°のところに位置づけされた半径5mmの3つのボールが接着されているスタンドを用いて、10kNのロードセルの備わった、2mm/分のクロスヘッド速度で調整されたInstron4400R機を使用して、三脚上リング曲げ試験を実施し、ここでリングは、半径1mmの円環面を伴い10mmの直径を有し、Instron機の端部に取付けられる。
供試体をこれら3つのボールとリングの間に設置し、押込みマークとリングの中心を1mm以内に入るように整列させる。その後、供試体が破損するまで、リングに対し漸増的力を加える。破損起点がリングより下にある供試体のみを計数する。供試体の破壊時力と厚みの関数としての破壊時応力は、以下の式から求められる:
Figure 2013542159
白色菱形は、比較例C3の場合に測定された点であり、一方黒色正方形は本発明に係る例3に対応する。
より高い表面圧縮のため、比較例C3は、小さい押込みの場合にはるかに高い破壊時応力を有することがわかる。その一方で、この破壊時応力は、押込み荷重が増大した場合に、60N超の荷重に対してゼロとなるまで急激に降下する。本発明に係るガラス板(例3)は、非常に異なる挙動を示し、60N超の高い押込み荷重の場合を含めておよそ100MPaの恒常な破壊時応力を有する。
あらゆる予想に反して、より軽い押込みについてのはるかに低い破壊時応力が最終的耐衝撃性にとって有害であることは判明しなかった。反対に、差異を生み得るのは、より重い押込みに対する破壊時応力の特定の選択である。

Claims (16)

  1. 厚みが多くとも2mmで、圧縮下の表面ゾーンと張力下の中央ゾーンを有し、圧縮と張力の間の遷移が発生する深さが少なくとも100μmであり、前記深さと前記厚みの間の比が少なくとも0.1であるガラス板であって、さらに、60Nの荷重の下でのビッカース押込み後、三脚上リング(ring−on−tripod)曲げ試験における破壊時曲げ応力が少なくとも70MPaである、ガラス板。
  2. 圧縮下の表面ゾーンがイオン交換によって得られた、請求項1に記載のガラス板。
  3. 厚みが多くとも1.1mmでかつ少なくとも0.25mmである、請求項1又は2に記載のガラス板。
  4. 圧縮と張力の間の遷移が発生する深さが少なくとも200μmでかつ多くとも500μmである、請求項1〜3のいずれか1項に記載のガラス板。
  5. ガラス板の厚み内の応力プロファイルは、最大圧縮応力が少なくとも70MPaとなるものであり、この最大圧縮応力を受けるゾーンが、ガラス板の表面からゼロでない距離のところにある、請求項1〜4のいずれか1項に記載のガラス板。
  6. ガラス板の厚み内の応力プロファイルは、ガラスの厚みの3分の1を占める中央ゾーン内で、引張応力の強さの相対的変動が少なくとも10%となるものである、請求項1〜5のいずれか1項に記載のガラス板。
  7. 圧縮と張力の間の遷移が発生する深さと厚みの間の比が、少なくとも0.2でかつ多くとも0.4である、請求項5又は6に記載のガラス板。
  8. パラメータKが多くとも1.4MPa・m1/2又は1.3MPa・m1/2であり、Kが応力の2乗の張力下の中央ゾーンにおける積分の平方根である、請求項1〜7のいずれか1項に記載のガラス板。
  9. ガラスがアルミノケイ酸リチウム又はアルミノケイ酸ナトリウムタイプのものである、請求項1〜8のいずれか1項に記載のガラス板。
  10. その化学組成が、下記酸化物を下記の重量含有率の範囲:
    SiO2 55−72%、特には60−71%
    Al23 2−15%、特には3−12%
    Na2O 9−17%、特には10−15%
    2O 0−12%、特には1−10%
    MgO 2−13%、特には4−12%
    CaO 0−2%、特には0−1%
    23 0−1%、特には0%
    で含むものである、請求項9に記載のガラス板。
  11. その化学組成が、下記酸化物を下記の重量含有率の範囲:
    SiO2 52−75%、特には65−70%
    Al23 15−27%、特には18−19.8%
    Li2O 2−10%、特には2.5−3.8%
    2O 0−5%、特には0−1%
    Na2O 0−5%、特には0−1%
    ZnO 0−5%、特には1.2−2.8%
    MgO 0−5%、特には0.55−1.5%
    BaO 0−5%、特には0−1.4%
    SrO 0−3%、特には0−1.4%
    TiO2 0−6%、特には1.8−3.2%
    ZrO2 0−3%、特には1.0−2.5%
    25 0−8%
    で含むものである、請求項9に記載のガラス板。
  12. 保護ガラス、表示ウィンドウ、スクリーン又は装飾要素として、請求項1〜11のいずれか1項に記載の少なくとも1枚のガラス板を含む、電子デバイス、特には小型又は携帯デバイス、例えば特にはスマートホン、携帯情報端末、デジタルカメラ、マルチメディアプレーヤー、コンピュータ、タブレット、テレビ。
  13. 請求項1〜11のいずれか1項に記載の少なくとも1枚のガラス板を含む、太陽センサー、熱センサー又は光起電センサー。
  14. ガラス溶融、成形、切断及びイオン交換ステップを含む、請求項1〜11のいずれか1項に記載のガラス板を得るための方法。
  15. 少なくとも1つのイオン交換ステップが、硝酸塩、硫酸塩、塩化物又はそれらの任意の混合物から選択される溶融カリウム及び/又はナトリウム塩を用いて行われる、請求項14に記載の方法。
  16. 交換温度が少なくとも450℃、特には480℃である、請求項15に記載の方法。
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