JP2013539362A - フィブロネクチンクレードル分子及びそのライブラリ - Google Patents

フィブロネクチンクレードル分子及びそのライブラリ Download PDF

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Abstract

【課題】FnIIIベース結合分子とターゲット分子との結合能力を改善する。
【解決手段】βシート内のアミノ酸残基を使用して、結合表面の一部分を形成し、ターゲット分子に結合させることによって、ターゲット分子に対する結合に利用可能な表面領域が増加して結合が改善する。
【選択図】図3A

Description

関連出願の相互引用
本出願は、2010年7月30日に出願された米国仮特許出願61/369,160号、2010年7月30日に出願された米国仮特許出願61/369,203号、2010年7月30日に出願された米国仮特許出願61/369,222号、2011年4月12日に出願された米国仮特許出願61/474,632号、及び、2011年4月12日に出願された米国仮特許出願61/474,648号に関連する。前記出願の各々は、それらの全体が引用によって本願に組み込まれる。
[連邦政府により支援された研究開発の下でなされた発明の権利であることの宣言]
本発明の一部分は、国立保健研究機構からシカゴ大学が受託した研究契約R01−GM72688及びU54 GM74946の下での政府の支援によってなされた。(米国)政府は、本発明の一部分の権利を有する。
[EFS−WEBを介して提出した配列リストの引用]
MPEPセクション1730 II.B.2(a)(C)に規定された、USPTOのEFS−WEBサーバを介した配列リストに関する、以下の電子的提出物の全体の内容は、全ての目的に関してその全体が引用によって本願に組み込まれる。配列リストは、電子的に提出された以下のテキストファイルにおいて確認される。

Figure 2013539362
本出願は、新規のフィブロネクチンタイプIIIドメイン(FnIII)ポリペプチド、そのようなFnIIIポリペプチドの作製方法及び使用方法に関連する。より具体的には、本発明は、表面に露出したβシートの残基と、いくつかのFnIIIドメイン(例えば、FnIII07、FnIII10及びFnIII14)のCDループ及びFGループとを一緒に使用するFnIIIポリペプチドのライブラリに関連する。
スキャフォールドベ−ス結合タンパク質は、特定のリガンドターゲットに結合するという点で抗体の合理的な代替物になる。これらのスキャフォールド結合タンパク質は、リガンド結合領域において複数の置換が許容され得る安定なフレームワークコアを有する、という特性を共有する。いくつかのスキャフォールドフレームワークは、βサンドイッチコアから延在するループを備えたタンパク質ドメイン構造(免疫グロブリンに類似する)を有する。スキャフォールドフレームワークコアは、合成の際に遺伝子操作することができ、異なる配列変異を含むライブラリを作製することに使用することができる。そのようなライブラリの配列多様性は、ループ構造などのタンパク質の外部表面やリガンド結合領域としての役割を果たすことが可能な他の外部表面などに集中する。
フィブロネクチンタイプIIIドメイン(FnIII)は、新規の結合タンパク質の生成において、有用な非抗体(代替)スキャフォールドとして確立されている。免疫グロブリンスーパーファミリーのメンバーであるFnIIIは、分子の一端において表面に露出する3つのループ(抗体の相補性決定領域(CDRs)に類似する)を有する。このスキャフォールドを使用する遺伝子操作手法は、これらの表面ループの長さ及びアミノ酸配列の両方を多種多様に変化させることによって作製される組み合わせ的ライブラリ(コンビナトリアルライブラリ)に基づく。種々の選択方法を使用して、そのようなライブラリから目的のターゲットに結合することが可能なFnIII変異体を単離することができる。FnIIIスキャフォールドは、ジスルフィド結合が無く、細菌システムにおいて容易かつ高度に発現させることができ、比較的に小さいので、従来の抗体又はそのフラグメントに比べて多くの利点をもたらす。しかしながら、改善されたFnIIIベースポリペプチド及びそのようなポリペプチドのライブラリの作製方法に関するニーズが存在する。
本発明は、FnIIIベースポリペプチドの少なくとも1つのループ領域の改変に加えて、FnIIIポリペプチドのβシートの改変が、FnIIIベース結合分子とターゲット分子との結合能力を改善するという予想外の発見に基づく。βシート内のアミノ酸残基を使用して、結合表面の一部分を形成し、ターゲット分子に結合させることによって、ターゲット分子に対する結合に利用可能な表面領域が増加して結合が改善する。βシートの改変は、ターゲットを区別することにも使用することができる。本発明は、全てのFnIII分子(例えば、FnIII07、FnIII10及びFnIII14)のβ鎖内の改変、及び、ループ内の改変に関連する。特に、本発明は、FnIII分子(例えば、FnIII07、FnIII10及びFnIII14)のβ鎖F及び/又はβ鎖C内の改変、そして、FGループ及びCDループ内の改変に関連する。
従って、1つの視点において、本発明は、少なくとも1つのループ領域、及び、少なくとも1つの非ループ領域に、1つ以上のアミノ酸置換を含むFnIIIドメインベースクレードル(cradle)ポリペプチドに関連する。
いくつかの実施形態において、クレードルポリペプチドは、両方のβ鎖におけるアミノ酸置換と、FnIIIのABループ、BCループ、CDループ、DEループ、及び/又は、FGループにおける置換とを組み合わせて含むことができる。いくつかの実施形態において、クレードルポリペプチドは、β鎖C、β鎖D、β鎖F、及び/又は、β鎖Gにおけるアミノ酸置換を含むことができる。いくつかの実施形態において、クレードルポリペプチドは、2つのループ領域、及び/又は、2つの非ループ領域に1つ以上のアミノ酸置換を含むことができる。非ループ領域は、β鎖C及びβ鎖Fであり得るし、ループ領域はCDループ及びFGループであり得る。いくつかの実施形態において、β鎖のクレードル残基に、1つ以上のアミノ酸置換を導入することができる。いくつかの実施形態において、クレードルポリペプチドは、少なくとも1つのループ、及び/又は、非ループ領域に、少なくとも1つのアミノ酸の挿入、及び/又は、欠損を更に含むことができる。いくつかの実施形態において、クレードルポリペプチドは、2つのループ領域、及び/又は、2つの非ループ領域に、少なくとも1つのアミノ酸の挿入、及び/又は、欠損を含むことができる。ここで、非ループ領域はβ鎖C及びβ鎖Fであり得るし、ループ領域はCDループ及びFGループであり得る。いくつかの実施形態において、FnIIIドメインは、ヒトフィブロネクチンの1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16番目のFnIIIドメインであり得る。いくつかの実施形態において、非ループ領域における1つ以上のアミノ酸置換は、FnIIIドメインスキャフォールドの構造、及び/又は、ループ領域の形状を改変させないものであり得る。いくつかの実施形態において、非ループ領域における1つ以上のアミノ酸置換は非クレードル残基を除外し得る。
いくつかの実施形態において、CDループは、約3〜11残基長(残基の長さ)、約4〜9残基長又は5残基長であり得る。FGループは、約1〜10残基長、5残基長又は6残基長であり得る。FGループの位置1はGly残基であり得るし、位置2はLeu、Val又はIle残基であり得るし、位置3は荷電性残基又は極性残基であり得るし、位置4はPro残基であり得るし、位置5はGly残基であり得るし、そして、位置6は極性残基であり得る。いくつかの実施形態において、ループの位置3、及び/又は、位置5は、Gly残基であり得る。
いくつかの実施形態において、β鎖の長さは、β鎖Cに関しては約6〜14残基長、約8〜11残基長又は9残基長であり得るし、β鎖Fに関しては約8〜13残基長、約9〜11残基長又は10残基長であり得る。いくつかの実施形態において、β鎖Cの位置2、位置4及び位置6の残基は疎水性残基であり得るし、β鎖Cの位置1、位置3、位置5及び位置7〜9は野生型配列に対し改変させることができる。ここで、β鎖Cの位置1の残基をAla、Gly、Pro、Ser、Thr、Asp、Glu、Asn、Gln、His、Lys、及び、Argから成る群から選択することができる。β鎖Cの位置3の残基は、疎水性残基であり得るし、又は、Ile、Val、Arg、Leu、Thr、Glu、Lys、Ser、Gln及びHisから成る群から選択することができる。β鎖Cの位置5、7、8及び9は、Ala、Gly、Pro、Ser、Thr、Asp、Glu、Asn、Gln、His、Lys及びArgから成る群から選択することができる。
いくつかの実施形態において、β鎖Fの位置1、3、5及び10の残基は、野生型配列に対し改変させることができる。ここで、β鎖Fの位置1、3、5及び10の残基は、個々に、Ala、Gly、Pro、Ser、Thr、Asp、Glu、Asn、Gln、His、Lys及びArgから成る群から選択することができ、そして、β鎖Fの位置2、4及び6の残基は疎水性残基であり得る。β鎖Fの位置7の残基は疎水性残基であり得るし、又は、Arg、Tyr、Ala、Thr及びValから成る群から選択することができる。β鎖Fの位置8の残基は、Ala、Gly、Ser、Val及びProから成る群から選択することができる。β鎖Fの位置9の残基は、Val、Leu、Glu、Arg及びIleから成る群から選択することができる。
いくつかの実施形態において、クレードルポリペプチドは、配列番号1の位置30、31、33、35、37〜39、40〜45、47、49、67、69、71、73、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、及び/又は、86のアミノ酸の1つ以上の置換に対応する置換を含むことができる。いくつかの実施形態において、クレードルポリペプチドは、配列番号97の位置33、35、37、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、70、72、74、76、79、80、81、82、83、84、及び/又は、85のアミノ酸の1つ以上にアミノ酸置換を含むことができる。いくつかの実施形態において、クレードルポリペプチドは、配列番号129の位置31、33、35、37、39、40、41、42、43、44、66、68、70、72、75、76、77、78、79、80、及び/又は、81のアミノ酸の1つ以上にアミノ酸置換を含むことができる。いくつかの実施形態において、クレードルポリペプチドは、配列番号468、469及び470に記載されたアミノ酸配列を含むことができる。いくつかの実施形態において、クレードルポリペプチドは、FnIIIループ内の、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、20個又はそれを上回る、又は、そこにおいて導出可能な任意の範囲のアミノ酸挿入又は欠損によって改変することができる。いくつかの実施形態において、ABループ、CDループ及びEFループにおける置換は、個々に又は種々の組み合わせにおいて、特別に除外することができる。いくつかの実施形態において、ボトムループ(単数又は複数)における改変は、1、2、3、4、5個又は少数(fewer)の置換、挿入、及び/又は欠損に限定され得る。いくつかの実施形態において、アミノ酸置換は、クレードルポリペプチドの結合特異性に寄与し得る。
本願によれば、少なくとも1つのループ領域及び少なくとも1つの非ループ領域に1つ以上のアミノ酸置換を含むキメラクレードルポリペプチドも提供される。ここで、クレードルポリペプチドの部分は、クレードルポリペプチドのターゲット分子に対する結合親和性を増強する非FnIIIドメインポリペプチドによって置き換えることができる。いくつかの実施形態において、キメラクレードルポリペプチドは、抗体又はT細胞受容体の相補性決定領域(CDR)の全部又は一部を含むことができる。ここで、CDRは、単一ドメイン抗体のCDR1、CDR2又はCDR3であり得る。いくつかの実施形態において、単一ドメイン抗体はナノボディ(nanobody)であり得る。いくつかの実施形態において、AB、BC、CD、DE、EF又はFGループの一部又は全部を、CDRで置き換えることができる。
更に、本願によれば、本願に開示された1つ以上のモノマークレードルポリペプチドの複数コピーを含む多重特異性クレードルポリペプチドが提供される。ここで、モノマークレードルポリペプチドは、リンカー配列によって連結され得る。いくつかの実施形態において、リンカー配列は、GGGGSGGGGS(配列番号471)、GSGSGSGSGS(配列番号472)、PSTSTST(配列番号473)及びEIDKPSQ(配列番号474)から成る群から選択され得る。
他の視点において、本発明によれば、両方のβ鎖におけるアミノ酸置換と、FnIIIのABループ、BCループ、CDループ、DEループ、及び/又は、FGループにおけるアミノ酸置換とを組み合わせて有する複数(ないし多数)のクレードルポリペプチドを含むクレードルライブラリ(cradle library)が提供される。いくつかの実施形態において、クレードルポリペプチドは、配列番号1のアミノ酸位置30、41、42、43、44、45、76、77、78、79、80、81、82、83、84、及び/又は、85に1つ以上のアミノ酸置換を含むことができる。いくつかの実施形態において、クレードルポリペプチドは、配列番号1の位置15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、32、34、35、36、37、38、39、40、46、48、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、72、74、75、86、87、88、89、90、91、92、93、及び/又は、94に1つ以上のアミノ酸置換を更に含むことができる。いくつかの実施形態において、クレードルポリペプチドは、配列番号1と少なくとも、50%、60%、70%、80%又は90%同一であり得る。いくつかの実施形態において、クレードルポリペプチドは、少なくとも1つのループ領域に、少なくとも1個、2個、又は約2〜25個のアミノ酸挿入を更に含むことができる。いくつかの実施形態において、クレードルポリペプチドは、少なくとも1つのループ領域に、少なくとも1個、2個又は約2〜10個のアミノ酸の欠損を含むことができる。いくつかの実施形態において、クレードルポリペプチドは、2つのループ領域に少なくとも2個のアミノ酸の欠損を含むことができる。いくつかの実施形態において、クレードルポリペプチドは、少なくとも1つのループ領域に少なくとも1個のアミノ酸挿入と1個のアミノ酸欠損とを含むことができる。いくつかの実施形態において、クレードルポリペプチドは、同一のループ領域に少なくとも1個のアミノ酸の挿入及び欠損を含むことができる。いくつかの実施形態において、クレードルライブラリは、ターゲット分子と結合するように予め選択することができる。いくつかの実施形態において、クレードルポリペプチドは、配列番号3、配列番号79、配列番号86及び配列番号468〜470から成る群から選択されるアミノ酸配列を含むことができる。いくつかの実施形態において、クレードルライブラリは、10、100、1000、10、10、10、10、10、10、1010、1011、1012、1013、1014、1015、又はそれを上回る数の異なるポリペプチド変異体を含むことができる(なお、各数値の間の全ての数値や範囲も含まれる)。いくつかの実施形態において、FnIIIドメインのアミノ酸配列(該アミノ酸配列からライブラリが作製される)は、ヒトフィブロネクチンの1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16番目のFnIIIドメインの野生型アミノ酸配列に由来する。いくつかの実施形態において、クレードルポリペプチド配列は、5又は6残基を含むFGループ、3〜11残基を含むCDループ、6〜14残基を含むβ鎖C、8〜13残基を含むβ鎖F、又は、これらのループ及び鎖の組み合わせであり得る。
本願によれば、更に、本願に記載の1つ以上のクレードルポリペプチドをコードするポリヌクレオチドが提供される。いくつかの実施形態において、ポリヌクレオチドは、発現カセット又は発現構築物であり得る。いくつかの実施形態において、発現構築物は、宿主細胞(原核生物又は真核生物の細胞系統又はストレインなど)において、コードされるポリペプチドを発現することが可能である。いくつかの実施形態において、発現構築物は、本発明の分野において知られた1つ以上のポリペプチド発現システムにおいて機能し得る。いくつかの実施形態において、発現構築物は、細菌、酵母、昆虫細胞、哺乳類細胞及び同様のものにおいて機能し得る。
本願によれば、a)宿主細胞において本願に開示されたクレードルポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを発現させるステップと、b)発現したクレードルポリペプチドを単離する、及び/又は、精製するステップとを含むクレードルポリペプチドの生成方法が提供される。いくつかの実施形態において、本発明の方法は、本願に記載の種々のアミノ酸置換、欠損、及び/又は、挿入の導入(engineering)を含むことができる。
更なる視点において、本願によれば、下記のステップを含む、選択結合活性又は選択酵素活性を有する1つ以上のポリペプチドの存在に関するスクリーニングにおいて有用なFnIIIポリペプチドのクレードルライブラリを作製する方法が提供される。
(i)天然FnIIIドメインポリペプチドのコレクションの中で、FGループ及びCDループを、そして、好ましくは、β鎖C及びβ鎖Fのアミノ酸配列を、アライメントするステップ、(ii)アライメントしたループ配列及びβ鎖配列を長さに応じて区分(ないし分別(segregate))するステップ、(iii)ステップ(ii)の区分ないし分別に従って選択したループ、β鎖及び長さに関して、部位特異的アミノ酸頻度解析を実行して各(ループ又はβ鎖)位置におけるアミノ酸の頻度を決定するステップ、(iv)ステップ(iii)において解析されたループ、β鎖及び長さの各々に関して、各位置における保存的コンセンサスアミノ酸、又は、選択半保存的コンセンサスアミノ酸、及び、他の天然−変異アミノ酸の各々の位置を同定するステップ、(v)少なくとも1つの選択したループ、β鎖及び長さに関して、(1)各ループ位置において、コンセンサスアミノ酸、及び、(コンセンサスアミノ酸が少なくとも50%の選択閾値頻度と同等又はそれ未満の出現頻度を有するとき)単一の共通ターゲットアミノ酸及びいずれかの共生成アミノ酸をコードするコード配列のライブラリによって発現される突然変異誘導配列のライブラリを作製するか、又は、(2)各(β鎖又はループ)位置において、コンセンサスアミノ酸、及び、(コンセンサスアミノ酸が少なくとも50%の選択閾値頻度と同等又はそれ未満の出現頻度を有するとき)他の天然−変異アミノ酸又はそれらの化学的均等物をコードするコード配列のライブラリによって発現される天然−変異組み合わせ配列のライブラリを作製するステップ(ただし、他の天然−変異アミノ酸は半保存アミノ酸及び可変アミノ酸を含み、可変アミノ酸は、その位置における出現率が選択最小閾値出現率を上回る)、(vi)FnIIIフレームワークのコード配列に、前記コード配列のライブラリを組み込んで、FnIII発現ライブラリを作製するステップ、及び、(vii)発現ライブラリのFnIIIポリペプチドを発現させるステップ。
いくつかの実施形態において、クレードルライブラリは、(a)選択される天然FnIIIポリペプチドの野生型アミノ酸配列を有する領域A、AB、B、C、CD、D、E、EF、F及びGと、(b)(それぞれ)選択される長さ(length)を有する、ループ領域FG、ループ領域CD、及び/又は、β鎖C及びβ鎖Fを含み得るクレードルポリペプチドとを含むことができる。ここで、選択された長さの少なくとも1つの選択されるループ、及び/又は、β鎖領域は、各ループ位置において、保存的コンセンサスアミノ酸、もしくは、選択半保存的コンセンサスアミノ酸、及び、(コンセンサスアミノ酸は少なくとも50%の選択閾値頻度と同等又はそれ未満の出現頻度を有するとき)単一の共通ターゲットアミノ酸及びいずれかの共生成アミノ酸、をコードするコード配列のライブラリによって発現される突然変異誘導配列のライブラリを含む。
いくつかの実施形態において、クレードルポリペプチドは、(a)選択される天然FnIIIポリペプチドの野生型アミノ酸配列を有する領域A、AB、B、C、CD、D、E、EF、F及びGと、(b)(それぞれ)選択される長さ(length)を有するループ領域FG、CD及び非ループ領域C及びFとを含むことができる。ここで、選択された長さの少なくとも1つの選択されたループ領域、及び/又は、β鎖領域は、各位置において、保存的コンセンサスアミノ酸もしくは選択半保存的コンセンサスアミノ酸、及び、(コンセンサスアミノ酸が少なくとも50%の選択閾値頻度と同等又はそれ未満の出現頻度を有するとき)他の天然−変異アミノ酸、又は、それらの化学的均等物をコードするコード配列のライブラリによって発現される天然−変異組み合わせ配列のライブラリを含む(ただし、他の天然−変異アミノ酸は半保存アミノ酸及び可変アミノ酸を含み、可変アミノ酸は、その位置における出現率が選択最小閾値出現率を上回る)。
いくつかの実施形態において、クレードルライブラリは、アミノ酸位置が唯一のドミナントアミノ酸と、1つの変異アミノ酸とを含むのでない限り100%の閾値(選択最小閾値出現率)を有することができるし、ドミナントアミノ酸及び変異アミノ酸は化学的に類似のアミノ酸である(この場合には、閾値は90%である)。いくつかの実施形態において、クレードルライブラリは、選択したループ、β鎖、及び位置において少なくとも幾らか合理的な出現頻度(例えば、10%)を有する全ての天然−変異又はそれらの化学的均等物を含むことができる。
いくつかの実施形態において、クレードルライブラリは、ループ、β鎖又はそれらの組み合わせにおいてアミノ酸変異を含む天然−変異組み合わせ的ライブラリをスクリーニングすることによって同定される有益な突然変異を含む少なくとも1つ以上のFGループ及びCDループ、及び/又は、β鎖C及びβ鎖Fを有することができる。いくつかの実施形態において、ライブラリの1つ以上のメンバーを、ライブラリの他のメンバーから単離し、解析することができる。いくつかの実施形態において、クレードルライブラリをターゲット分子と結合するように予め選択し、そのような予め選択されたメンバーを選択アミノ酸位置において更に多様化させてターゲットクレードルライブラリを生成し、その後に特定の特徴又は特性についてスクリーニングすることができる。
更に、本発明によれば、a)本願に記載のFnIIIドメインポリペプチドのクレードルライブラリと、ターゲット分子とを反応させるステップと、b)FnIIIドメインポリペプチドのクレードルライブラリをスクリーニングして、ターゲット分子に対する所望の結合親和性を有するものを選択するステップと、を含むターゲット分子に対する所望の結合親和性を有するクレードルポリペプチドを同定する方法が提供される。いくつかの実施形態において、結合アッセイ(単数又は複数)を実行した後に、ターゲットに対する結合特異性、及び/又は、結合親和性などの特定の特徴を有する1つ以上のクレードルポリペプチドを選択することができる。いくつかの実施形態において、選択した1つ以上のライブラリメンバーのアミノ酸配列又は核酸配列を従来の方法を使用して決定することができる。次に、選択したFnIIIポリペプチド(単数又は複数)の配列を、選択した配列に更なる置換を導入する第2次クレードルライブラリの作製に使用することができる。次に、第2次クレードルライブラリを、特定の特徴を有するFnIIIポリペプチドに関してスクリーニングすることができる。このプロセスを、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10回以上繰り返すことができる。プロセスの繰り返しを追加することによって、クレードルライブラリが豊富になり、他の変異体を含む可能性を高めることができる。
いくつかの実施形態において、本発明の方法は、更に、FnIIIループ(複数)のみ又はFnIIIβ鎖(複数)のみにアミノ酸置換を有するクレードルライブラリの第1次スクリーニングを実行するステップと、FnIIIループ(複数)又はFnIIIβ鎖(複数)のみに存在する置換を使用して第2次スクリーニングを実行するステップとを含むことができる。いくつかの実施形態において、 第1次スクリーニングでFnIIIループ(複数)に存在する置換のみを使用することができるし、そして、第2次スクリーニングでFnIIIβ鎖(複数)に存在する置換のみを使用することができる。いくつかの実施形態において、第2次スクリーニングはFnIIIループ(複数)及びβ鎖(複数)の両方における置換(複数)を使用することができる。いくつかの実施形態において、第1次スクリーニングで改変したFnIIIアミノ酸残基を、第2次スクリーニングで改変することもできるし、改変しなくても良い。
本発明によれば、ターゲットを含むサンプルと、ターゲットに対して特異的に結合するFnIII結合ドメインとを接触させるステップを含む、ターゲット分子検出方法も提供される。本発明によれば、(a)アミノ酸配列を含むポリペプチドを発現させるステップと、(b)変異FnIIIを発現する宿主細胞から発現変異FnIIIドメインを単離する、及び/又は、精製するステップとを含むFnIII変異体の生成方法が提供される。
本発明によれば、本願に開示されたターゲット分子に対する所望の結合親和性を有するクレードルポリペプチドの同定方法を使用して選択されたクレードルポリペプチドが更に提供される。いくつかの実施形態において、クレードルポリペプチドは、配列番号4〜78、配列番号80〜85、配列番号87〜96、配列番号98、配列番号99、配列番号101〜128、配列番号130〜141、配列番号143、配列番号145〜147、配列番号149〜159、配列番号161〜199、配列番号201〜238及び配列番号240〜277から成る群から選択されるアミノ酸配列を含む。
更なる視点において、本発明は、本願に記載の複数(ないし多数)のクレードルポリペプチドを含むキットを提供する。本発明によれば、本願で開示のFnIIIクレードルポリペプチドをコードする複数(ないし多数)のポリヌクレオチドキットも提供される。本発明によれば、更に、本願で開示のクレードルライブラリをコードするクレードルライブラリ、及び/又は、ポリヌクレオチドを含むキットが提供される。
図1は、βスキャフォールド及びループ構造のコンピュータ支援型遺伝データベースバイオ検索及び描写を使用して、FnIIIクレードルライブラリを構築するための方法を例示する概略図である。
図2Aは、野生型FnIII10(配列番号1)の構造及び配列を示す。β鎖C及びβ鎖Fの特定の残基を伴うループCD及びループFGは構造では黒色で示され、配列では黒色の太字で示される。
図2Bは、クレードルによって形成される結合表面を示す。ループCD及びループFGは黒色、シートCは淡灰色、シートFは濃灰色である。
図3Aは、FnIIIドメインのリボン状図形におけるクレードル残基の位置を示す。FnIII07ドメインのための構造はRCSBコード1FNFからであり、FnIII10ドメインのための構造は1FNAからであり、FnIII14ドメインのための構造は1FNHからである。
図3Bは、FnIII10分子でのクレードルの位置のボールスティック表示であり、ここで、クレードル残基は黒色であり、他の残基は白色である。
図4Aは、PFAM系統PF00041で見られる哺乳類FnIIIドメインから計算された長さ分布(シートC)を示す。 図4Bは、PFAM系統PF00041で見られる哺乳類FnIIIドメインから計算された長さ分布(ループCD)を示す。 図4Cは、PFAM系統PF00041で見られる哺乳類FnIIIドメインから計算された長さ分布(シートF)を示す。 図4Dは、PFAM系統PF00041で見られる哺乳類FnIIIドメインから計算された長さ分布(ループFG)を示す。
図5Aは、クレードルの構造要素で見られる部位特異的アミノ酸分布(シートC、長さ9)を示す。上位5のアミノ酸の保存が示される。 図5Bは、クレードルの構造要素で見られる部位特異的アミノ酸分布(シートC、長さ10)を示す。上位5のアミノ酸の保存が示される。 図5Cは、クレードルの構造要素で見られる部位特異的アミノ酸分布(ループCD、長さ4)を示す。上位5のアミノ酸の保存が示される。 図5Dは、クレードルの構造要素で見られる部位特異的アミノ酸分布(ループCD、長さ5)を示す。上位5のアミノ酸の保存が示される。 図5Eは、クレードルの構造要素で見られる部位特異的アミノ酸分布(ループCD、長さ6)を示す。上位5のアミノ酸の保存が示される。 図5Fは、クレードルの構造要素で見られる部位特異的アミノ酸分布(シートF、長さ10)を示す。上位5のアミノ酸の保存が示される。 図5Gは、クレードルの構造要素で見られる部位特異的アミノ酸分布(ループFG、長さ5)を示す。上位5のアミノ酸の保存が示される。 図5Hは、クレードルの構造要素で見られる部位特異的アミノ酸分布(ループFG、長さ6)を示す。上位5のアミノ酸の保存が示される。
図6Aは、FnIII10クレードル、FnIII10トップ側及びFnIII10ボトム側結合部位の結合表面の比較を示すところのFnIII10クレードを示し、FnIII10のリボン状図形において白色で示す。 図6Bは、FnIII10クレードル、FnIII10トップ側及びFnIII10ボトム側結合部位の結合表面の比較を示すところのFnIII10クレードルの表面を示す。 図6Cは、FnIII10クレードル、FnIII10トップ側及びFnIII10ボトム側結合部位の結合表面の比較を示すところのFnIII10トップ側を示し、FnIII10のリボン状図形において白色で示す。 図6Dは、FnIII10クレードル、FnIII10トップ側及びFnIII10ボトム側結合部位の結合表面の比較を示すところのFnIII10トップ側の表面を示す。 図6Eは、FnIII10クレードル、FnIII10トップ側及びFnIII10ボトム側結合部位の結合表面の比較を示すところのFnIII10ボトム側を示し、FnIII10のリボン状図形において白色で示す。 図6Fは、FnIII10クレードル、FnIII10トップ側及びFnIII10ボトム側結合部位の結合表面の比較を示すところのFnIII10ボトム側の表面を示す。
図7Aは、FnIII10のシートC及びFにおけるアミノ酸型の保存を示し、どの残基がクレードル分子で変異したか、また、どの残基が野生型のままであったかを示す、1〜19番アミノ酸のシートC及びFを有するFnIII10のリボン状図形である。各アミノ酸におけるCαは球体で示され、Cβはアミノ酸R基の方向を示すスティックとして示される。変異したアミノ酸は灰色、変異しない(アミノ酸)は白色で示す。 図7Bは、FnIII10のシートC及びFにおけるアミノ酸型の保存を示し、どの残基がクレードル分子で変異したか、また、どの残基が野生型のままであったかを示し、シートC及びFの各位置におけるアミノ酸型の保存を示す表である。
図8は、抗体を結合することが知られているクレードル及びCDR−H3ドメインの変異した残基でのアミノ酸分布である。
図9A−Fは、FnIII07、FnIII10及びFnIII14でのクレードルライブラリの設計(design)を描写する。図9Aは、ループCDの長さ分布を示す。 図9Bは、ループFGの長さ分布を示す。 図9Cは、シート及びループでのアミノ酸分布を示す。 図9Dは、FnIII07、FnIII10及びFnIII14(配列番号468〜470)でのクレードル残基のアライメントを示す。βシートは黒色の背景に白色の残基として示され、ループは黒字で示される。クレードル残基は、βシートのアミノ酸分布を表す太字Xと、添字として与えられるループ長の範囲を伴いループのアミノ酸分布を表わす太字Yとで示される。 図9Eは、βシートC及びF並びにループCD及びFGのクレードル残基を例示するFnIII07、FnIII10及びFnIII14(配列番号97、100、129)のアライメントを示す。βシートは黒色背景上の白字の残基として示され、ループは太字で示された黒字のクレードル残基として示される。 図9Fは、FnIII構造要素残基範囲及びFnIIIクレードル残基範囲が示される。
図10A−Gは、モノボディ及びSIMペプチドで共有されるエピトープ及びSUMOタンパク質におけるSIM結合部位の保存性を表す。図10Aには、ySUMOに結合するySMB−1モノボディの構造(左側)及びhSUMO−115(PDB ID 1Z5S)に結合するSIMペプチド(右側)が表されている。ySUMOと複合体を形成する天然のSIMペプチドの構造がないので、hSUMO−1に結合するSIMペプチドの構造が比較のために表されている。 図10Bには、ySUMOにおけるSIM結合部位/ySMB−1エピトープ残基のアライメント及び、2つのヒトホモログであるhSUMO−1及びhSUMO−2が表わされている(トップ、左側)(配列番号:297-299)。残基はその保存性スコアに従ってランク付けされている:3つのSUMOタンパク質全てに同一である残基(i)、9の保存性スコアを有し類似する[残基](ii)、及び8の保存性スコアを有し類似する[残基](iii)。保存性スコアは、Jalview program(Clamp, et al., Bioinformatics (2004) 20:426-427)を使用して、リビングストン及びバートン、Comput. Appl. Biosci. (1993) 9:745-756により概説される方法を使用して計算された。これらのスコアは、側鎖の化学的及び構造的な特性の保存性を反映する。ySUMOの構造が表されている(トップ、右側)。 図10Cには、ySUMO、hSUMO−1及びhSUMO−2の全配列のアライメントが表されている(配列番号:300-302)。
図11A−Cは、SUMOターゲットクレードルライブラリのデザインを例示する。図11Aに表されているものは、ySMB−1/ySUMOインターフェイスの構造である。ySUMO構造は、複数の枝(sticks)として表されたエピトープ残基を有する表面として表されている。 図11Bに表されているものは、ySUMOにおけるySMB−1エピトープ残基及びhSUMO−1及びhSUMO−2において相当する残基の配列アライメント(トップ)である(配列番号:297-299)。下には、SUMOターゲットライブラリで改変ないし多様化(varied)されたySMB−1の残基がリストされている。ySMB−1/ySUMO構造におけるySMB−1残基とySUMO残基との間の相互作用が線(lines)で示されている。各ySMB−1残基の下に、SUMOターゲットライブラリにおける[各]位置で許容されるアミノ酸が、括弧で示された、これらのアミノ酸を導入するために使用される縮重コドンと並んでリストされている。 図11Cに表されているものは、示されたSUMOターゲットライブラリで改変ないし多様化される位置が記載されたySMB−1構造のカートーン(cartoon)である。
図12A−Cは、SUMOターゲットライブラリ由来のモノボディの選択及び特徴付け(characterization)を例示する。図12Aには、ySUMO(左側)及びhSUMO−1(右側)が、各ターゲットに結合するかのようにモデル化されたySMB−1パラトープ構造と共に表されている。モノボディの残基の位置が、示された残基番号のCα原子に対応する球(複数)で表されている。FGループ残基(75、76、78、79、80、81、82、83、84及び85)及びスキャフォールド残基(31、33及び73)が示されている。中央には、SUMOターゲットライブラリにおけるモノボディの位置に導入されたアミノ酸の多様性をリストした表が表されている。各位置の野生型残基が、角括弧で示されている。 図12Bに表されているものは、代表的なSPR結合トレース(traces)並びに、ySUMO及びhSUMO−1に対してリカバーされたモノボディのアミノ酸配列である(配列番号:303-318)。SPRから推定される解離係数が、全てのクローンについて与えられている。 図12Cに表されているものは、40のySUMOモノボディ及び44のhSUMO−1モノボディの配列ロゴの代表例である。ySMB−1の野生型配列がトップに表されている(SEQ ID NO:303)。この描写において、個々の文字の相対的な高さは、アミノ酸がその位置においてどの程度頻繁にリカバーされているかを反映し、特定の位置における文字の積み重ねは、生じる頻度がより高いものから生じる頻度が低いものまでを順位付けしたものであり、個々の積み重ねの全体の高さは、それら位置における全体の配列保存性のレベルを反映する。これらの図は、WebLogo(Crooks, et al., Genome Res. (2004) 14:1188-1190; Schneider and Stephens, Nucleic Acids Res. (1990) 18:6097-6100)を使用して作成した。
図13は、ySUMO及びhSUMO−1モノボディにおけるスキャフォールド残基の優先性についての論理的根拠(ないし原理:rationale)を表す。ySMB−1/ySUMO複合体(上側)及びモデル化されたySMB−1/hSUMO−1複合体(下側)におけるスキャフォールド残基によって作られたコンタクト(contact)が表されている。モノボディスキャフォールドR33と、hSUMO−1のK25との間の潜在的な立体的及び静電気的な衝突(clash)が円で囲まれている。
図14A−Dは、ySUMO及びhSUMO−1結合モノボディにおける特異性を表す。図14Aには、2つのほぼ同一のySUMO及びhSUMO−1モノボディのアミノ酸配列が表されている(配列番号:303, 319-320)。モノボディAは、hSUMO1バインダとしてリカバーされ、モノボディBは、ySUMOバインダとして[リカバーされた]。 図14Bには、モノボディA及びBのySUMO及びhSUMO−1への結合に関するファージELISAデータが表されている。ySUMO及びhSUMO−1の両方は、GST融合タンパク質として製造された。GSTへの結合は、陰性対照として表されている。 図14Cには、32のhSUMO−1モノボディのySUMO、hSUMO−1及びhSUMO−2への結合に関するファージELISAデータが表されている。全てのSUMOタンパク質が、GST融合体として製造された。GSTへの結合は、陰性対照として表されている。 図14Dには、hSUMO−1に特異的なモノボディの配列アライメント及びySUMOとの交差反応が、配列ロゴ形式で表されている(図13の配列ロゴの説明文を参照する)。野生型ySMB−1配列が、トップに表されている。図25C[図14C?]におけるクローン番号1、3、4、5、6、8、9、12、13、17、18、20、21、23、31及び32は、交差反応性(cross-reactive)として分類された。残余の16クローンは、特異的(specific)と分類された。
図15A−Cは、クレードルライブラリから生じたモノボディについての代表的な結合データを表す。選択されたクローンのファージELISAシグナルが表されている。図15A、B及びCは、それぞれ、hSUMO1、ヒトユビキチン及びAblSH2をターゲットとしたBL1ライブラリから選択されたクローンを表す。ELISAウェルは、同属の(cognate)ターゲットで被覆された。左側のバー(bar)は、可溶性ターゲット(これは、競合剤として働く)の非存在下のデータを表し、中間のバーは、可溶性競合剤の存在下のデータを表す(hSUMO1に関しては100nM、及び、その他に関しては200nMである)。右側のバーは、ターゲットを含んでいないウェルへの結合を表す(陰性対照)。
図16A−Eは、ySUMO結合モノボディの特性を表す。図16Aは、ySUMO及びhSUMOアイソフォームの間の保存性スコアによって影付けされた酵母SUMO(ySUMO)構造を表す(Livingstone and Barton, supra, 1993)。 図16Bは、ラベルされたベータ鎖A−G及び、モノボディライブラリにおいて多様化された表面ループ(BCループ、DEループ、及びFGループ)を有するFnIIIスキャフォールドの概略図である。 図16Cは、SPRから[得られた]K値とySUMO結合モノボディの可変ループのアミノ酸配列を表す(配列番号:321-329)。 図16Dは、1:1結合モデルの生のデータ(raw data)(点線)のベットフィット(bet fit)(実線)から計算したキネティックパラメータと、ySUMOに結合する、ySMB−1及びySMB−2についてのSPRトレースを表す。 図16Eは、ySUMO構造上に表される、NMR化学シフト摂動からマップされたySMB−1及びySMB−2のエピトープを表す。
図17は、ySUMO結合モノボディの配列及び親和性を表す(配列番号:321-415)。全てのySUMO結合モノボディの可変ループのアミノ酸配列は、我々の研究室でリカバーした。入手可能な場合、SPRからのK値が与えられている。モノボディは、3つのライブラリのうち1つからの由来であった:ループの長さ及び配列が50%のY及び50%のSの組み合わせを使用して多様化された、二元(binary)Tyr/Serライブラリ(Koide, A., et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA (2007) 104:6632-6637);40%のY、20%のS、10%のG及び5%の各R、L、H、D、N、A、の組み合わせを使用した「YSX」ライブラリ(Olsen, et al., Nature (2010) 463:906-912);又は、下記の「YSGW」ライブラリ、すなわち、BC及びFGループにおける、30%のY、15%のS、10%のG、5%の各W、F、R、及び、2.5%の他の全ての各アミノ酸(システインを除く)、及び、位置52の50%のGly、25%のTyr及び25%のSerの組み合わせ、及びDEループにおける位置53−55のTyr及びSerの50/50混合物を使用した「YSGW」ライブラリ(Wojcik, et al., supra, 2010)。
図18は、ySUMO結合モノボディのエピトープマッピングELISAを表す。34のファージディスプレイySUMO結合モノボディの結合は、1μM ySMB−1競合剤の存在下及び非存在下でのELISAによって測定した。クローン番号は、図28における、それらの[番号の]ySMB−Xという形式に対応する。
図19A−Bは、ySUMO結合モノボディの特異性を表す。図19Aは、ファージELISAを使用して解析された、ySUMO、hSUMO1及びhSUMO2への8のySUMO結合モノボディの結合を表す。クローン番号は、図27C及び28におけるySMB−Xという形式である。 図19Bは、ySUMO、hSUMO1及びhSUMO2に結合するySMB−1(左欄)及びySMB−9(右欄)の平衡SPR測定を表す。複数の濃度における平衡応答(左側パネル)を、単純な1:1結合モデルに適合させた(右側パネル)。
図20A−Cは、モノボディySMB−1/ySUMO複合体の結晶構造を表す。図20A、上側には、ySUMO及びySMB−1が、枝(sticks)として表されたモノボディパラトープ残基と共に表されている;FGループ残基及びスキャフォールド残基が示されている。ySUMOは、図16Eと同じ配向(the same orientation)で表されている。下側に、表面として描かれたモノボディパラトープを記載した他の視点[の図]を表す。 図20Bは、ySMB−1/ySUMOインターフェイスの拡大図である。ySUMO(表面/枝[で表されている])は、エピトープの疎水性中心及び荷電/極性リム(rim)を含む残基で表されている。モノボディパラトープ残基は、図Aと同様に表されている。 図20C、左側及び中央は、ySUMOへのySMB−1と、hSUMO1へのRanBP2のSIMの結合モデルの比較を表す。これら両方は、SUMOターゲットと分子間ベータシートを形成する(拡大された囲み)。右側:表示されたySUMO表面と共に表される、RanBP2 SIM及びSIM模倣モノボディ残基の重ね合わせ(overlay)である。
図21A−Bは、ySMB−1/ySUMOインターフェイス解析を表す。図21Aは、ySMB−1パラトープにおける各残基による、埋められた表面領域を表す。 図21Bは、各アミノ酸型にり寄与された、ySMB−1及びySUMOの埋められた全表面積(buried surface area)のパーセントを表す。
図22A−Fは、SUMOターゲットライブラリ由来のhSUMO1結合モノボディを表す。図22Aは、SUMOターゲットクレードルライブラリのデザインを表す。左側には、ySMB−1パラトープ残基(主鎖ないし骨格 枝/球)が、示されたFGループ及びスキャフォールド残基と共に表されている。ySUMO(表面)は、枝として[表されている]ySMB−1エピトープ残基と共に表されている。ySUMOとhSUMO(複数)との間の保存性に関しては、ySUMO残基、F37、K38、K40、T43、L48及びR55は、完全に保存されており、H23、I35、I39、R47及びA51は、保存的な置換(conservative substitution)であり、N25、E34、F36、E50及びK54は、非保存的な置換である。hSUMO1及びhSUMO2/3における各位置の残基型は、括弧内に表されている。右側は、SUMOターゲットライブラリに使用されたアミノ酸多様性を表す。野生型ySMB−1残基は、角括弧内に表されている。 図22Bは、SUMOターゲットライブラリ由来のhSUMO1結合モノボディのアミノ酸配列を表す。SPRからのK値も表されている。代表的なSPRトレースが表されている。ボトムに、追加のhSUMO1結合モノボディ(hS1MB-22)及び、SUMOターゲットライブラリからリカバーされた非常によく似たySUMO結合モノボディ(ySMB-ST6)が、表されている(配列番号:303, 416-427)。 図22Cは、hSUMO1構造上に表された化学シフト摂動によりマップされたhS1MB−4のエピトープを表す。データは、図16Eにおける同一のスキームを使用して現されている。 図22Dは、(SEQ ID NO:303)配列ロゴとして表されたySUMO−及びhSUMO1結合モノボディの配列保存性を表す(Schneider and Stephens, supra, 1990; Crooks, et al., supra, 2004)。個々の文字の高さは、どの程度頻繁に、アミノ酸がその位置においてリカバーされたかを反映し、[各]位置における文字の積み重ねは、生じる頻度がもっとも多いものからもっとも低いものまで順序付けしたものであり、積み重ねの全体の高さは、その位置における全体の保存性のレベルを反映する。 図22Eは、ファージELISAにより測定されたySUMO及びhSUMO1へのhS1MB−22及びySMB−ST6の結合を表す。 図22Fは、ySMB−1/ySUMO複合体におけるスキャフォールド残基により作られたコンタクト(左側)及び、モデル化されたySMB−1/hSUMO−1複合体におけるスキャフォールド残基により作られたコンタクト(右側)を表す。モノボディ(枝:sticks)及びSUMO残基(表面/枝)が示される。ySMB−1/hSUMO1複合体は、ySMB−1複合体のySUMO部分の、hSUMO1構造との重ね合わせによりモデル化された。
図23は、SUMOターゲットライブラリから単離されたySUMO結合モノボディを表す。SPRからのK値と共に、SUMOターゲットライブラリから、ySUMOに対してリカバーされたモノボディのアミノ酸配列(配列番号:303, 428-432)及び、代表的なSPRトレースが表されている。
図24は、hSUMO1結合モノボディのエピトープマッピングELISAを表す。16のファージディスプレイしたhSUMO1結合モノボディの、hSUMO1への結合を、1μM hS1MB−4競合剤の存在下又は非存在下でのELISAにより測定した。クローン番号は、図22B及び26における、それらの[番号の]hS1MB−Xという形式に対応する。
図25A−Bは、hSUMO−1結合モノボディの特異性を表す。図25Aは、ySUMO、hSUMO1及びhSUMO2に結合する6つのhSUMO1結合モノボディのファージELISA由来の結合曲線を表す。追加のモノボディに関するデータは、図26Aに表されている。ファージ含有培地上清(タイター 〜10)の段階希釈液が使用された。吸光度値は、1cmのパス長(path-length)にスケール化された。 図25Bは、ySUMO、hSUMO1及びhSUMO2に結合するhS1MB−4の平衡SPR測定を表す。複数の濃度での平衡反応(左側パネル)が、単純な1:1結合モデル(右側パネル)に適合された。
図26A−Bは、hSUMO1結合モノボディの選択性を表す。図26Aは、ySUMO、hSUMO1及びhSUMO2に結合する10つのhSUMO結合モノボディのファージELISA由来の結合曲線を表す。6つの追加のモノボディのデータが表されている。 図26Bには、16のhSUMO1結合モノボディのアミノ酸配列が表されており(配列番号:433-448)、ySUMO[についての特異性因子]を上回る、hSUMO1についてのこれらの特異性因子に従ってグループ分けされている。特異性因子とは、図25A及び図26Aに表されているタイトレーションファージELISA試験における、ySUMOについて測定された見掛けの親和性に対するhSUMO1について測定された見掛けの親和性の割合である。
図27A−Cは、SUMO/SIM相互作用及びSUMO化におけるhSUMO1特異的モノボディの効果を表す。 図27A、左側は、SIM含有RanBP2の、SUMO化RanGAP(これは、hSUMO1で修飾されている)との相互作用の概略図を表す。右側は、ELISAにおける、モノボディhS1MB−4の存在下でのSUMO1−RanGAPへのRanBP2の結合を表す。 図27Bは、SUMO化カスケードにおけるE1及びE2依存性ステップの概略図を表す。共有結合中間体は、SUMOと、E1(SAE1/2)及びE2(Ubc9)との間で引き続いて形成される。 図27Cは、SUMO/SIM相互作用及びSUMO化におけるhSUMO1特異的モノボディの効果を表す。図27Cは、hS1MB−4(レーン3−5)及びhS1MB−5(レーン6−8)の存在下に行なわれたSUMO化反応のSDS−PAGEを表す。レーン1及び2は、それぞれ、ySMB−1が存在する陰性対照及びモノボディが存在しない陰性対照である。全ての反応は、SAE1/2、Ubc9、及びhSUMO1及びhSUMO3の両方を基質として含んでいた。各アイソフォームについてのSAE2−SUMO及びUbc9−SUMO共有結合中間体に対応するバンドが示されている。Hisタグ化SUMO3(H6-SUMO3)が、ゲル上で、hSUMO3からhSUMO1を区別するために使用された。
図28は、hSUMO1コンジュゲーションのモノボディ阻害に関する提案された機構を表す。ySMB−1様モノボディのモデル化された構造は、E1−hSUMO1複合体(PDB ID 3KYD)に結合した(Olsen, et al., supra, 2010)。結晶構造において、不規則なSAE1の長いループの軌道が、点線によって図示される。
図29A−Bは、脱SUMO化におけるモノボディの効果を表す。図29Aは、YFP−hSUMO1−ECFP融合タンパク質がhSUMO1C末端ジグリシン配列で、SENP1により開裂される、脱SUMO化解析(アッセイ)の概略図を表す。 図29Bは、hSMB−4(レーン6−8)又はhS1MB−5(レーン9−11)の存在下に行なわれた脱SUMO化反応のSDS−PAGE解析を表す。SENP1又はモノボディが存在しない対照(レーン1)、又は、ySUMO特異的ySMB−1の存在下で行なわれるSENP1開裂を示す対照もまた表された(レーン2−5)。YFP−hSUMO1−ECFP融合体及びYFP−hSUMO1及びECFP開裂産物に相当するバンドが、モノボディに相当するバンドと並んで示されている。
図30A−Eは、モノボディライブラリデザインを表す。図30Aは、VHスキャフォールド(左側)とFnIII(FN3)スキャフォールド(右側)との比較を表す。2つのベータシート領域が、それぞれ、シアン及びブルーで色づけされている。VHHのCDR領域及び、FnIIIにおいて対応するループは、色づけされ、ラベルされている。FnIIIのベータ鎖が、A−Gでラベルされている。 図30Bは、ターゲットである、マルトース結合タンパク質に結合したモノボディの構造を表す(Gilbreth, R. N., et al., J Mol Biol (2008) 381:407-418)。モノボディは、Aと同じ方法で描写される。マルトース結合タンパク質の部分のみが、表面モデルとして表されている。 図30Cは、Bのように描写されたAbl SH2ドメイン(Wojcik, et al., supra, 2010)に結合したモノボディの構造を表す。 図30Dは、FnIII構造において球として表された、クレードルライブラリにおいて多様化された残基の位置を表す。 図30Eは、クレードルライブラリにおいて多様化された残基の位置を表す。
図31A−Dは、モノボディライブラリデザイン及び生じたクローンを表す。図31Aは新しいクレードルライブラリから生じたモノボディのアミノ酸配列(図31A)(配列番号:449-457)及び「ループのみ」のライブラリ(図31B)(配列番号:458-467)である。「X」は、30%のTyr、15%のSer、10%のGly、5%のPhe、5%のTrp及び2.5%の(Cysを除いた)他の全ての各アミノ酸の混合物を示す;「B」は、Gly、Ser及びTyrの混合物であり;「J」は、Ser及びTyrの混合物であり;「O」は、Asn、Asp、His、Ile、Leu、Phe、Tyr及びValの混合物であり;「U」は、His、Leu、Phe及びTyrの混合物であり;「Z」は、Ala、Glu、Lys及びThrの混合物である。 図31Bは、「ループのみ」ライブラリから生じたモノボディのアミノ酸配列(配列番号:458-467)である。 図31Cは、代表的なモノボディの酵母表面ディスプレイによる結合測定を表す。モノボディをディスプレイする酵母細胞の平均蛍光強度が、パネルAで示されるようなターゲットの濃度の関数(function)としてプロットされている。 図31Dは、代表的なモノボディのターゲット結合に関するSPRセンサグラムを表す。薄(細)い線(thin line)は、1:1結合モデルの最も良好で広範囲な適合(fit)を表す。差し込み図は、センサグラムの濃度依存性解析及び1:1結合モデルの最も良い適合を表す。
図32A−Dは、2つのライブラリ由来のモノボディの結晶構造を表す。構造は、同一の方向のモノボディで表されている。図32Aは、Abl SH2ドメインに結合するSH13モノボディの構造であって、図30Cのように描写されたものを表す。 図32Bは、SH13/Abl SH2複合体のNMRに基づくエピトープマッピングを表す。モノボディ結合によって、球はそれぞれ、アミド共鳴が強く影響されたAbl SH2の残基(>1.5ピーク幅のシフト)、弱く影響された[Abl SH2の残基](0.5−1.5ピーク幅のシフト)、及び、最小に影響された[Abl SH2の残基](<0.5ピーク幅のシフト)を表す。 図32Cは、ySMB−1/ySUMO複合体(左側)及びySMB−9/hSUMO1複合体(右側)の結晶構造を表す。 図32Dは、異なったモードを使用して、ターゲット上の同等のエピトープに結合した2つのモノボディを表す。左側のパネルは、Cにおいて表された2つの結晶構造と、重ねあわされたySUMO及びhSUMO1の比較を表す。右側のパネルは、示されたモノボディについてのエピトープ(複数)と、同じ配向(orientations)においてySUMO及びhSUMO1を表す。
図33は、ターゲット結合が破壊されたC鎖における残基の変異を表す。モノボディGS5の残基30、31及び33(図31AのGS5の配列を参照)は、変異を受け、それぞれの野生型のアミノ酸に戻された。GS5モノボディをディスプレイする酵母細胞の平均蛍光強度(黒丸)及び、変異体(白丸)は、ターゲットであるGFPの濃度の関数(function)としてプロットされている。
I.定義
以下の用語は、本明細書に特段の記載がない限り、以下の意味を有する。
用語「フィブロネクチンタイプIIIドメイン」又は「FnIIIドメイン」とは、任意の生命体(organism)に由来する野生型フィブロネクチンのドメイン(領域)を意味する。1つの特定の実施形態において、FnIIIドメインは、FnIII01、FnIII02、FnIII03、FnIII04、FnIII05、FnIII06、FnIII07、FnIII08、FnIII09、FnIII10、FnIII11、FnIII12、FnIII13、FnIII14、FnIII15、FnIII16及び同様のものから成る群から選択される。他の実施形態において、FnIIIドメインは、FnIII07、FnIII10及びFnIII14から成る群から選択される。他の実施形態において、FnIIIドメインはFnIII07である。他の実施形態において、FnIIIドメインはFnIII10である。他の実施形態において、FnIIIドメインはFnIII14である。
用語「FnIIIドメイン変異体」又は「変異FnIIIドメイン」とは、野生型FnIIIドメインに対し改変が施されたポリペプチド領域を意味する。改変(modifications)は、野生型FnIIIドメインのアミノ酸配列と比較した場合の、1個以上のアミノ酸置換、欠損、及び/又は、挿入を含む。1つの実施形態において、FnIII変異又はFnIII変異ドメインは、ヒトの10番目ドメインのFnIIIドメイン配列(配列番号1)に関して特異的な改変(alteration)を有する。1つの実施形態において、FnIII変異又はFnIII変異ドメインは、ヒトの7番目のドメインのFnIIIドメイン配列(配列番号97)に関して特異的な改変を有する。1つの実施形態において、FnIII変異又はFnIII変異ドメインは、ヒトの14番目のドメインのFnIIIドメイン配列(配列番号129)に関して特異的な改変を有する。用語「置換変異」とは、ペプチド配列における1つ以上のアミノ酸の、保存又は非保存アミノ酸(単数又は複数)での置き換えを含む。いくつかの実施形態において、FnIIIドメイン変異は、野生型FnIIIドメインに比べて、特定のターゲットに対する増加した結合特性を有する。いくつかの実施形態において、FnIIIドメイン変異は、野生型FnIIIドメインに比べて、ターゲット分子に対する結合に利用可能な増加した表面領域(ないし表面積)を有する。
用語「FnIIIドメインポリペプチド」とは、少なくとも1つのFnIIIドメインを含むポリペプチドを意味する。「変異FnIIIドメインポリペプチド」又は「FnIIIドメインベースポリペプチド」とは、少なくとも1つのFnIIIドメイン変異を含むポリペプチドを意味する。そのようなポリペプチドは、ターゲットポリペプチド又はターゲットタンパク質に対して特異的に結合可能であるものと考慮される。「FnIIIドメインベース分子」とは、FnIIIドメイン又はFnIII変異ドメインのアミノ酸配列を有する分子を意味する。
「βシート(β sheet又はbeta sheet)」は、タンパク質における通常の(regular)二次構造の形状である。βシートは、少なくとも2つ又は3つのバックボーン水素結合によってラテラルに(laterally)結合したβ鎖から成り、一般的にはツイストしたひだ状のシートを形成する。「β鎖(beta strand又はβ strand)」は、典型的には3〜10個のアミノ酸の長さ[アミノ酸長]のバックボーンがほとんど完全に延在した立体構造(extended conformation)を有するポリペプチド鎖のストレッチである。用語「β鎖A(シートAとも称される)」とは、ABループの前方に存在するアミノ酸を意味する。用語「β鎖B(シートB)とも称される」は、ABループとBCループとを連結するアミノ酸を意味する。用語「β鎖C(シートC又はβ1とも称される)」とは、BCループとCDループとを連結するアミノ酸、例えば、配列番号1のアミノ酸位置31〜39を意味する。用語「β鎖D(シートD又はβ2とも称される)」とは、CDループとDEループとを連結するアミノ酸、例えば、配列番号1のアミノ酸位置44〜51を意味する。用語「β鎖E(シートEとも称される)」とは、DEループとEFループとを連結するアミノ酸を意味する。用語「β鎖F(シートF又はβ3とも称される)」とは、EFループとFGループとを連結するアミノ酸、例えば、配列番号1のアミノ酸位置67〜75を意味する。用語「β鎖G(シートG又はβ4とも称される)」は、FGループの後方(下位)に存在するアミノ酸、例えば、配列番号1のアミノ酸位置85〜94を意味する。
ループは、(αへリックスやβシートと比較した場合に)順序が不規則(less ordered)でフレキシブルなアミノ酸のストレッチであり、典型的には、あるタンパク質内の異なる構成要素(other structural elements)を連結する。FnIIIという意味合いにおいて、ループは、ループが連結するβ鎖(の名前)によって命名される。例えば、β鎖Aとβ鎖Bとを連結するループは、ABループと命名される。用語「BCループ」とは、配列番号1のアミノ酸22〜30に対応するアミノ酸を意味する。用語「CDループ」とは、配列番号1のアミノ酸39〜45に対応するアミノ酸を意味する。用語「DEループ」とは、配列番号1のアミノ酸51〜55に対応するアミノ酸を意味する。用語「FGループ」とは、配列番号1のアミノ酸76〜87に対応するアミノ酸を意味する。用語「非ループ領域」とは、ループを形成しないポリペプチド配列の部分を意味し、βシート及びβ鎖を含むがそれらに限定されない。FnIIIという意味合いにおいて、非ループ領域はβ鎖A、B、C、D、E、F及びGを含む。
用語「ライブラリ」は、異なるアミノ酸配列及び異なるタンパク質結合特性を有するポリペプチドのコレクション(例えば、複数ないし多数のポリペプチド)を意味する。いくつかの実施形態において、異なるバリエーション(複数)のFnIIIドメインを有するポリペプチドを含む変異FnIIIドメインライブラリが提供される。特段の記載がない限り、ライブラリは、実際の物理的なポリペプチドのライブラリ、又は、ポリペプチドをコードする核酸のライブラリである。更なる実施形態において、生成されたライブラリについての情報、又は、生成され得る理論上のライブラリについての情報を含むデータベースが提供される。この情報は、潜在的可能性(ポテンシャル)を有する複数ないし多数の変異FnIIIドメインに関する記載又は構造を含む化合物データベースであり得る。
用語「特異的に結合する」又は「特異的結合」とは、測定(ないし検出)可能で再現可能なFnIIIドメイン変異の他の分子(ターゲットなど)に対する結合能力を意味し、生物学的分子を含む異種性の分子群の中にターゲット分子が存在することを決定付けるものである。例えば、ターゲットに対して特異的又は優先的に結合するFnIIIドメイン変異体は、このターゲットに対して、より大きな親和性(affinity、avidity)でより容易に結合する、及び/又は、ほとんど又は全ての他の分子に対して結合する期間よりも長期間に渡って結合する。「特異的結合」は、必ずしも排他的結合である必要は無い(排他的結合であっても良いが)。
ターゲットに対して特異的に結合するポリペプチドは、室温で、生理的塩濃度かつ生理的pH条件の下で、少なくとも1x10−6Mの親和性(表面プラズモン共鳴によって測定される)を有する。そのような測定の例は、実施例に記載される。
用語「ターゲット」とは、FnIIIベース結合分子又は本願に記載のモノボディに対して特異的に結合するペプチド、抗原又はエピトープを意味する。ターゲットは、タンパク質、ペプチド、炭水化物、及び/又は、脂質に存在するエピトープ(抗原決定基)を含むが、これらに限定されない。
用語「非天然アミノ酸残基」は、哺乳類(ヒトなど)において天然に生じるFnIIIドメインには存在しないアミノ酸残基を意味する。
用語「タグ」、「エピトープタグ」又は「親和性タグ」は、本願において互換可能なように使用され、通常は抗体又は他の結合パートナーによって特異的に認識される分子又は分子のドメインを意味する。これらの用語は同様に結合パートナー複合体も意味する。従って、例えば、ビオチン及びビオチン/アビジン複合体の両方が親和性タグとみなされる。親和性タグは、エピトープ/抗体の相互作用において認識されるエピトープに加えて、他の結合分子によって認識される「エピトープ」(例えば、受容体に結合するリガンド)、他のリガンドに結合してヘテロ二量体又はホモ二量体を形成するリガンド、Ni−NTAに結合するHis6、アビジン、ストレプトアビジン、又は、抗ビオチン抗体に対して結合するビオチン、及び同様のもの)も含む。
FnIIIドメイン変異体という意味合いにおいて用語「コンジュゲート」は、FnIIIドメイン変異と非FnIIIドメイン変異との間の化学的連結(linkage)を意味する。コンジュゲートからは、いくつかの本発明の実施形態において生理学的な条件下でのアミノ酸残基同士の間に見られる通常のペプチド結合を除くことが特に考慮される。
用語「阻害ないし阻止する」、「減少させる」又は「妨げるないし防止する」、あるいはこれらの用語の任意のバリエーションは、特許請求の範囲、及び/又は、明細書において使用される場合に、所望の結果を達成するいずれかの測定可能な減少又は完全な阻害ないし阻止を含む。
本願において使用される用語「クレードル分子」又は「FnIIIベースクレードル分子」は、少なくとも1つのβ鎖及び少なくとも1つのループ領域に1つ以上の改変を含むように改変されるFnIIIドメインを意味し、ループ領域は、BC、DE、及びFGから成る群から選択されるトップループ領域である。1つの実施形態において、クレードル分子は、少なくとも1つのβ鎖及び少なくとも1つのループ領域に1つ以上の修飾を含むように改変されるFnIIIドメインを意味し、該ループ領域は、AB、CD、及びEFから成る群から選択されるボトムループ領域である。1つの実施形態において、クレードル分子は、少なくとも1つのβ鎖、BC、DE、及び、FGから成る群から選択される少なくとも1つのトップループ領域、そして、AB、CD、及び、EFから成る群から選択される少なくとも1つのボトムループ領域に、1つ以上の修飾を含むように改変されるFnIIIドメインを意味する。トップ又はボトム領域の3つ全てのループがターゲット分子に対する結合に使用される必要はないと理解される。1つの実施形態において、クレードル分子は、少なくとも1つのβ鎖、トップFGループ領域、及び、ボトムCDループ領域に1つ以上の修飾を含むように改変されたFnIIIドメインを意味する。
1つの実施形態において、クレードル分子は、シートA、シートB、シートC、シートD、シートE、シートF及びシートGからから成る群から選択される少なくとも1つのβ鎖、そして、少なくとも1つのループ領域(ループ領域は、BC、DE、FGから成る群から選択されるトップループ領域である)に、1つ以上の改変を含むように改変されたFnIIIドメインを意味する。1つの実施形態において、クレードル分子は、シートA、シートB、シートC、シートD、シートE、シートF及びシートGからから成る群から選択される少なくとも1つのβ鎖、そして、少なくとも1つのループ領域(ループ領域は、AB、CD、及び、EFから成る群から選択されるボトムループ領域である)に1つ以上の改変を含むように改変されたFnIIIドメインを意味する。1つの実施形態において、クレードル分子は、シートA、シートB、シートC、シートD、シートE、シートF及びシートGから成る群から選択される少なくとも1つのβ鎖と、BC、DE、及びFGから成る群から選択される少なくとも1つのトップループ領域と、そして、AB、CD、及びEFから成る群から選択される少なくとも1つのボトムループ領域とにおいて、1つ以上の改変を含むように改変されるFnIIIドメインを意味する。1つの実施形態において、クレードル分子は、β鎖Cと、トップFGループ領域と、ボトムCDループ領域とに1つ以上の修飾を含むように改変したFnIIIドメインを意味する。1つの実施形態において、クレードル分子は、β鎖Cと、トップFGループ領域と、CDループ領域とに1つ以上の改変を含むように改変されるFnIIIドメインを意味する。1つの実施形態において、クレードル分子は、β鎖Fと、トップFGループ領域及びボトムCDループ領域とに1つ以上の改変を含むように改変されるFnIIIドメインを意味する。
更なる実施形態において、2つ以上のクレードル分子は、互いに連結される。そのような分子は、本願において、「多重特異性クレードル分子」と称される。
クレードル分子を互いに(例えば、数珠繋ぎ(a pearl-like fashion)に)連結して、例えば、互いに連結される少なくとも2つのクレードル分子を含む多重特異性クレードル分子を形成することができる。いくつかの実施形態において、この多重特異性クレードル分子は、同一ターゲット分子(例えば、ターゲットA)の異なるターゲット領域に結合する。例えば、多重特異性クレードル分子において、一方のクレードル分子はターゲットAの第1のターゲット領域に結合することができ、かつ、他方のクレードル分子はターゲットAの第2のターゲット領域に結合することができる。このことは、ターゲット分子に対する多重特異性クレードル分子の親和性(ないし結合度:avidity)を増加させることに使用することができる。他の実施形態において、多重特異性クレードル分子は、複数のターゲット分子と結合する。例えば、多重特異性クレードル分子の一方のクレードル分子はターゲットAに結合することができ、かつ、多重特異性クレードル分子の他方のクレードル分子はターゲットB(例えば、半減期延長剤)に結合することができる。更に、他の実施形態において、多重特異性クレードル分子は、ターゲットAの異なるターゲット領域に結合する少なくとも2つのクレードル分子と、ターゲットBの異なるターゲット領域に結合する少なくとも2つのクレードル分子とを含む。本発明の分野における通常の技術を有する者であれば、任意の数のクレードル分子をこの様式で連結して、同一のターゲット分子の異なるターゲット領域、又は、異なるターゲット分子と結合することが可能な多重特異性クレードル分子を作製できることが分かるだろう。1つの実施形態において、1つのクレードル分子のC末端領域が、他のクレードル分子のN末端領域に連結される。
用語「相補性決定領域(CDR)」は、抗体の可変ドメイン又はT細胞受容体に由来する高度可変ループ(hypervariable loop)を意味する。抗体可変領域におけるCDRの位置は、公知文献等に定義されている(例えば、 Kabat, E.A., et al. Sequences of Proteins of Immunological Interest, Fifth Edition, U.S. Department of Health and Human Services, NIH Publication No. 91-3242, 1991; MacCallum et al., J. Mol. Biol. 262, 732-745, 1996; Al-Lazikani et al., J. Mol. Biol. 273,927-948, 1997, Lefranc et al., Dev. Comp. Immunol. 27(1):55-77, 2003; Honegger and Plueckthun, J. Mol. Biol. 309(3):657-70, 2001; and Chothia, C. et al., J. Mol. Biol. 196:901-917, 1987を参照、これらの文献は引用によって本願に組み込まれる。)。
用語「非FnIII部分(モイエティ)」とは、付与される分子に追加の機能を付加する生物学的物質又は化学物質を意味する。特定の実施形態において、非FnIII部分は、ポリペプチド(例えば、ヒト血清アルブミン(HSA))、インビボにおいてFnIIIベース結合分子の半減期を増加(延長)する化学物質(例えば、ポリエチレングリコール(PEG))である。
用語「クレードルライブラリ」とは、FnIIIポリペプチドライブラリを意味する。このFnIIIポリペプチドライブラリにおいて、少なくとも1つのβ鎖、BC、DE、及びFGループ領域から成る群から選択される少なくとも1つのトップループ、及び/又は、AB、CD、及びEFループ領域から成る群から選択される少なくとも1つのボトムループにおけるアミノ酸多様性(diversity)は、既知のFnIII配列のコレクションの中に存在するアミノ酸変異によって決定されるか、又は、該アミノ酸変異を反映する。
用語「普遍的なN+−結合ライブラリ」又は「N+/−ライブラリ」とは、より洗練されたライブラリ、又は、より細かく調整(tuned)されたライブラリ(固定アミノ酸(fixed amino acid)の周辺に最も頻出するアミノ酸がライブラリデザインにおいて決定される)を意味する。これらのN+/−ライブラリは、β鎖(例えば、シートA、シートB、シートC、シートD、シートE、シートF及びシートG、特にシートC及びF)、ボトムループ(AB、CD、及びEF)、トップループ(BC、DE、及びFG)や、あるいは、β鎖(例えば、シートA、シートB、シートC、シートD、シートE、シートF及びシートG、特にシートC及びF)、トップループ及びボトムループの任意の組み合わせ、におけるバリエーションで構築される(contructed)。「N+/−ライブラリ」に関して、Nは、特定の位置における最も優性ないし支配的(predominant)なアミノ酸であり、上流又は下流のアミノ酸は、各々、+N又は−Nと命名される。例えば、FnIIIの3D構造において、N+3はNの3位置上流のアミノ酸であり、その一方で、N−3はNの3位置下流のアミノ酸である。同様に、N+2及びN+1は、それぞれ、Nの2位置上流、1位置上流のアミノ酸であり、その一方で、N−2及びN−1は、それぞれ、Nの2位置下流、1位置下流のアミノ酸である。Nを、最も優性的に豊富な(abundant)アミノ酸から、豊富さが劣るアミノ酸へ改変することの影響は、Nから1、2又は3位置離れたアミノ酸の豊富さで評価することができる。そのようなライブラリの設計において、固定された位置Nの周囲のアミノ酸の頻度及び豊富さが決定される。これらの差は、普遍的なフィブロネクチンボトムサイド結合ドメインライブラリ、トップサイド結合ドメインライブラリ、又は、ボトムサイド及びトップサイド結合ドメインライブラリの両者の組み合わせを生成することに使用することができる。
用語「保存アミノ酸残基」又は「固定アミノ酸」とは、所定の残基位置に関して、高い頻度、典型的には、少なくとも50%以上(例えば、約60%、70%、80%、90%、95%又は100%)の頻度で生じると決定されたアミノ酸残基を意味する。所定の残基がそのような高い頻度で生じる、すなわち、約50%の閾値を上回って生じると決定される場合には、その残基は保存されるものと決定することができ、本発明のライブラリにおいて、少なくとも解析されるループ領域のアミノ酸残基位置に関して、「固定された」又は「コンスタントな」残基と表わされる。
用語「半保存アミノ酸残基(semi-conserved)」とは、所定の残基位置に関して、2〜3個の残基が、高い頻度で生じると決定されたアミノ酸残基を意味する。2〜3個の残基、好ましくは2個の残基が約40%の頻度であると同時に表わされる(すなわち、各々が約40%の出現頻度を有する)場合、又は、2〜3個の残基が出現する場合であっていずれかの残基がより高い(例えば、50%、60%、70%、80%、90%又はより高い)頻度で出現する場合には、その残基は、半保存であると決定される。つまり、解析されるループ領域における少なくともそのアミノ酸残基位置に関して、本発明のライブラリにおいては、「半固定」であると表わされる。典型的には、半保存されたアミノ酸(コドン)位置においては、2〜3個の残基が適切に現われる限り、適切なレベルの突然変異/変異性が誘導される。つまり、2〜3個の残基の各々は、この位置においては、「半固定」であると言う事ができる。「選択的半保存アミノ酸残基」は、2個以上の半保存アミノ酸残基の中から選択されたいずれかのアミノ酸残基である。典型的には、その位置で最も高い出現頻度を有する残基であるが、それに限定されない。
用語「可変なアミノ酸残基」は、所定の残基位置に関してより低い頻度(20%未満)で生じると決定されたアミノ酸残基を意味する。所定の1位置において多くの残基が出現する場合には、その残基位置は可変であると決定される。つまり、解析されたループ領域における少なくともそのアミノ酸残基位置に関しては、本発明のライブラリにおいて、可変であると表示される。典型的には、可変アミノ酸(コドン)位置においては、残基の正確なスペクトルが適切に現われる限り、適切なレベルの核酸突然変異/変異性が誘導される。もちろん、所望であれば、任意のアミノ酸残基位置に関する決定内容や変異性(すなわち、保存、半保存、又は、可変)は、本願に開示されたいずれかの突然変異誘導方法を使用して、適切に、表現、探索又は改変できると理解される。可変アミノ酸の出現頻度の上限閾値は、5〜10%又はそれ未満であり得る。所定の位置においてこの閾値未満である場合には、その可変アミノ酸は天然−変異アミノ酸から除かれ得る。
用語「天然−変異アミノ酸」とは、選択した長さの選択したループにおける所定の位置において、各々の出現頻度に従って観察される保存、半保存及び可変アミノ酸残基を含む。天然−変異アミノ酸は、化学的に均等なアミノ酸によって置換することができるし、選択した出現頻度(例えば、5-10%)未満の可変なアミノ酸残基や、他の天然−変異アミノ酸と化学的に均等なアミノ酸残基を除くことができる。
用語「突然変異誘導配列(mutagenesis sequences)のライブラリ」とは、各ループ位置において、保存コンセンサスアミノ酸又は選択的半保存コンセンサスアミノ酸、そして、(コンセンサスアミノ酸が選択した頻度の閾値(少なくも50%)と同等又はそれ未満の出現頻度を有する場合には)単一の共通ターゲットアミノ酸、及び、任意の共生成アミノ酸をコードするコード配列のライブラリによって表示される、選択したFnIIIループ及びループ長内の配列のライブラリを意味する。つまり、ターゲットアミノ酸の各々に関して、所定のループ内の配列のライブラリは、ループ(コンセンサスアミノ酸が所定の頻度の閾値と同等であるか又はそれ未満の出現頻度を有するループ)内の1位置から全ての位置の全ての組み合わせにおいて、ターゲットアミノ酸を含む。この閾値頻度が100%に設定される場合には、ループ内の各位置が少なくとも1つのライブラリメンバーにおけるターゲットアミノ酸を含むだろう。「ライブラリ突然変異誘導配列」とは、Geneart又はDNA2.0などの商業的ベンダーを使用して、本願に開示された表及び図から生成することができる。
用語「天然−変異組み合わせ配列のライブラリ」とは、各ループ位置において、保存コンセンサスアミノ酸又は選択的半保存コンセンサスアミノ酸、そして、(コンセンサスアミノ酸が選択した頻度の閾値(少なくも50%)と同等又はそれ未満の出現頻度を有する場合には)他の天然−変異アミノ酸(半保存アミノ酸及び可変アミノ酸(ただし、可変アミノ酸の存在割合は、その位置において選択した最小の閾値存在を上回る)を含む)又は化学的均等物をコードするコード配列のライブラリによって表される選択したFnIIIβ鎖及びFnIIIループ内の配列のライブラリを意味する。つまり、選択したβ鎖又はループにおける各アミノ酸位置に関して、天然−変異組み合わせ配列のライブラリは、その位置のコンセンサスアミノ酸に加えて、その位置において少なくとも何らかの最小の頻度(例えば、少なくとも5〜10%の頻度)を有すると同定された他のアミノ酸変異、又は、化学的に均等なアミノ酸を含むだろう。更に、天然−変異は、コドン縮退を介してそのアミノ酸のコード配列が顕著な数の共生成アミノ酸を生成する場合には、置換されるか、又は、ドロップ(dropped)し得る。
用語「変異性プロファイル」、又は、「VP」(variability profile)は、各アミノ酸と、特定のβ鎖又はループ位置おける各アミノ酸の出現頻度のカタログ化を意味する。β鎖及びループ位置は、アライメントした(アラインした)フィブロネクチンのデータセットに由来する。
本発明の他の目的、特徴及び利点は、以下の詳細な記載から明らかになるだろう。しかしながら、以下の詳細な記載及び特定の実施例は、本発明の特定の実施形態を示すものだとしても、本発明の概念及び範囲内での種々の変化や改変は、この詳細な記載から本発明の分野において通常の技術を有する者には明白であるから、図表(illustration)のみで表され得ることが理解される。
II. FnIIIポリペプチド
フィブロネクチンタイプIII(FnIII)ポリペプチドとは、7つのβ鎖と、6つの連結ループ(3つはトップ部に位置し、3つはボトム部に位置する)とから成るFnIII構造又はモチーフを有するモノマーのサブユニットを含むタンパク質の群を意味する。β鎖A、B及びEは、βサンドイッチ構造の片方側半分を形成し、β鎖C、D、F及びGは、他方側半分を形成し、約94アミノ酸の分子量及び約10KDaの分子量を有する。FnIIIドメインの全体的な折り畳み構造は、免疫グロブリンドメインの折り畳み構造と密接に関連する。そして、FnIIIのN端の近くに位置する3つのループ(BC、DE及びFGループと命名される)は、抗体重鎖可変(VH)ドメインの相補性決定領域CDR1、CDR2及びCDR3と、それぞれ、立体構造的に類似すると考えられる。FnIIIのトップ及びボトムループは、典型的には、ターゲットに対する結合に使用されるというよりも、構造上の安定性をもたらすと思われている。しかしながら、本発明の方法は、トップ、ボトムループ、そしてβシートが、実際にターゲットに対する結合に使用されることができることを実証する。FnIII結合分子のライブラリは、トップループ、ボトムループ、又はトップ・ボトムループの任意の組み合わせと、表面に暴露したβシートの残基とを結合に使用することももたらすことができる。
1つの実施形態において、FnIIIポリペプチドは、以下のアミノ酸配列を有するFnIII10である。
Val Ser Asp Val Pro Arg Asp Leu Glu Val Val Ala Ala Thr Pro Thr Ser Leu Leu Ile Ser Trp Asp Ala Pro Ala Val Thr Val Arg Tyr Tyr Arg Ile Thr Tyr Gly Glu Thr Gly Gly Asn Ser Pro Val Gln Glu Phe Thr Val Pro Gly Ser Lys Ser Thr Ala Thr Ile Ser Gly Leu Lys Pro Gly Val Asp Tyr Thr Ile Thr Val Tyr Ala Val Thr Gly Arg Gly Asp Ser Pro Ala Ser Ser Lys Pro Ile Ser Ile Asn Tyr Arg Thr(配列番号1)
他の実施形態において、FnIIIポリペプチドは、以下のアミノ酸配列を有するFnIIIである。
Pro Leu Ser Pro Pro Thr Asn Leu His Leu Glu Ala Asn Pro Asp Thr Gly Val Leu Thr Val Ser Trp Glu Arg Ser Thr Thr Pro Asp Ile Thr Gly Tyr Arg Ile Thr Thr Thr Pro Thr Asn Gly Gln Gln Gly Asn Ser Leu Glu Glu Val Val His Ala Asp Gln Ser Ser Cys Thr Phe Asp Asn Leu Ser Pro Gly Leu Glu Tyr Asn Val Ser Val Tyr Thr Val Lys Asp Asp Lys Glu Ser Val Pro Ile Ser Asp Thr Ile Ile Pro(配列番号97)
他の実施形態において、FnIIIポリペプチドは、以下のアミノ酸配列を有するFnIII14である。
Asn Val Ser Pro Pro Arg Arg Ala Arg Val Thr Asp Ala Thr Glu Thr Thr Ile Thr Ile Ser Trp Arg Thr Lys Thr Glu Thr Ile Thr Gly Phe Gln Val Asp Ala Val Pro Ala Asn Gly Gln Thr Pro Ile Gln Arg Thr Ile Lys Pro Asp Val Arg Ser Tyr Thr Ile Thr Gly Leu Gln Pro Gly Thr Asp Tyr Lys Ile Tyr Leu Tyr Thr Leu Asn Asp Asn Ala Arg Ser Ser Pro Val Val Ile Asp Ala Ser Thr(配列番号129)
III. FnIIIクレードル分子
本発明は、FnIIIクレードル分子及びそれを含むライブラリを生成する方法及び組成物に関連する。
本願に記載された方法に含まれる(用いられる)クレードル分子は、1以上のアミノ酸の置換、挿入及び/又は欠損により改変された野生型FnIII領域を含む点における変異体である。
いくつかの実施形態において、クレードル分子は、N端又はC端において第2のペプチド又はポリペプチドに連結した変異FnIIIドメインを含む融合ポリペプチドである。他の実施形態において、クレードル分子は、変異FnIIIドメインと、第2のペプチド又はポリペプチド配列との間に挿入されるリンカーを含む。リンカーは、以下の記載においてより詳細に説明される。
更に、本願に記載されたクレードル分子は、変異FnIIIドメインを含むアミノ酸配列のN端又はC端の何れかにおいて、任意の数の追加のアミノ酸残基を含むことができる。例えば、変異FnIIIドメインを含むアミノ酸配列のN端、C端の何れか、又は、N端及びC端の両方において、約3個〜約1000個又はそれを上回るアミノ酸残基のアミノ酸配列が存在し得る。
クレードル分子は、抗体エピトープ又は他のタグの追加を含むことができ、ポリペプチドの同定、ターゲッティング、及び/又は、精製を促進させることができる。タグとしての6xHis及びGST(グルタチオンSトランスフェラーゼ)の使用がよく知られている。融合ジャンクションにおいて、又はその近傍において切断部位を有することは、精製の後に外来性のクレードル分子を除去することを容易にするだろう。クレードル分子に含まれ得る他のアミノ酸配列は、ヒドロラーゼなど酵素の活性部位、グリコシル化ドメイン、細胞のターゲッティングシグナル又は膜貫通領域などの機能的ドメインを含む。クレードル分子は、更に1つ以上の追加の組織ターゲッティング部分(モイエティ)を含むことができる。
クレードル分子は、天然の配列に対するアミノ酸欠損、及び/又は、置換を有することができる。アミノ酸置換を有する配列は、欠損を有する配列、及び、欠損と置換とを有する配列として考慮される。いくつかの実施形態において、これらのクレードル分子は、更に挿入又は追加アミノ酸を含むことができる。
置換又は置き換え変異体は、典型的には、タンパク質内の1つ以上のサイトにおける1つのアミノ酸から他のアミノ酸への交換を含み、クレードル分子の1つ以上の特徴を調節するように、特にその効果又は特異性を増強するように設計することができる。この種の置換は、保存的な置換であっても無くても良い。保存的な置換は、1つのアミノ酸を類似の形状及び電荷のアミノ酸で置き換える場合に相当する。変異FnIIIドメインのライブラリがアミノ酸配列の多様性を提供する役割を果たすので、結合選択性が保存される置換は必要とされない。しかしながら、使用される場合には、保存的な置換は本発明の分野において良く知られており、例えば、アラニンからセリンへの改変;アルギニンからリシンへの改変;アスパラギンからグルタミン又はヒスチジンへの改変;アスパラギン酸からグルタミン酸の改変;システインからセリンへの改変;グルタミンからアスパラギンへの改変;グルタミン酸からアスパラギン酸への改変;グリシンからプロリンへの改変;ヒスチジンからアスパラギン又はグルタミンへの改変;イソロイシンからロイシン又はバリンへの改変;ロイシンからバリン又はイソロイシンへの改変;リシンからアルギニンへの改変;メチオニンからロイシン又はイソロイシンへの改変;フェニルアラニンからチロシン、ロイシン又はメチオニンへの改変;セリンからスレオニンへの改変;スレオニンからセリンへの改変;トリプトファンからチロシンへの改変;チロシンからトリプトファン又はフェニルアラニンへの改変;そして、バリンからイソロイシン又はロイシンへの改変を含む。上記のもの以外の改変は、一般的には、保存的な置換であるとは考えられていない。特に、上記の保存的な置換の1つ以上を実施形態として含むことができると考えられる。他の実施形態において、そのような置換は、特に除外される。更に、更なる実施形態において、保存的でない置換は変異体に採用される。
欠損又は置換に加えて、クレードル分子は、1つ以上の残基の挿入を有することができる。
変異FnIIIドメインは、天然の対応物(ないしカウンタパーツ)と立体構造的に均等であり得る。例えば、変異FnIIIドメインは、結合ターゲット、タンパク質又はペプチドセグメントのための適切な構造(structure)及び立体構成(conformation)を形成する。
以下の記載は、クレードル分子のアミノ酸を改変してクレードル分子のライブラリ、又は第2世代クレードル分子を作製することについての考察である。例えば、ターゲットペプチド配列との間で相互作用する能力などの機能を視認可能なレベルで喪失すること無しに、あるアミノ酸をクレードル分子の他のアミノ酸に置換することができる。クレードル分子の機能的活性を定義するのは相互作用的なキャパシティ及びクレードル分子の性質であるので、あるアミノ酸置換はクレードル分子配列内に生じるが、それにもかかわらず類似の特徴を有するクレードル分子が生成される。
そのような改変を生じさせる上で、アミノ酸の疎水性親水性(hydropathic)指標インデックスを考慮することができる。タンパク質の相互作用的な機能をもたらす疎水性親水性指標アミノ酸インデックスの重要性は、本発明の分野において一般的に理解される(Kyte and Doolittle, J Mol Biol. (1982) 157(1):105-32)。関連するアミノ酸の疎水性親水性指標の特徴が、結果として生じるタンパク質の二次構造に関与し、次に、そのタンパク質と他の分子(例えば、酵素、基質、受容体、DNA、抗体、抗原及び同様のもの)の相互作用を定義することが理解される。
類似のアミノ酸の置換が親水性に基づいて効果的に生じることも、本発明の分野において理解される。米国特許4,554,101号(本願に引用によって組み込まれる)は、タンパク質の最大の局部的平均親水性は、隣接するアミノ酸の親水性によって左右されるので、タンパク質の生物学的な特徴と相関することを記載する。米国特許4,554,101号に詳細に記載されているように、以下の親水性値がアミノ酸残基に割り当てられている。アルギニン(+3.0);リシン(+3.0);アスパラギン酸(+3.0±1);グルタミン酸(+3.0 ± 1);セリン(+0.3);アスパラギン(+0.2);グルタミン(+0.2);グリシン(0);スレオニン(−0.4);プロリン(−0.5±1);アラニン( 0.5);ヒスチジン(−0.5);システイン(−1.0);メチオニン(−1.3);バリン(−1.5);ロイシン(−1.8);イソロイシン(−1.8);チロシン(−2.3);フェニルアラニン(−2.5);トリプトファン(−3.4)。
アミノ酸を類似の親水性値を有する他のアミノ酸に置換すれば、生物学的に均等でかつ免疫学的に均等のタンパク質を生成することができると理解される。そのような改変において、アミノ酸の置換は、親水性値が±2以内であること、±1以内であること、±0.5以内であることが好ましく、より特別には同値であることが望ましい。
上記概説に記載されたように、アミノ酸置換は、一般的には、アミノ酸側鎖置換基の関連類似性(例えば、疎水性、親水性、電荷、サイズ及び同様のもの)に基づく。しかしながら、いくつかの視点において非保存的な置換が考えられる。いくつかの実施形態において、ランダムな置換も考えられる。種々の上述の特徴を考慮した置換の例は本発明の分野における通常の技術を有する者には良く知られており、以下のものを含む。アルギニン及びリシン;グルタミン酸及びアスパラギン酸;セリン及びスレオニン;グルタミン及びアスパラギン;バリン、ロイシン及びイソロイシン。
FnIIIポリペプチドは、FnIIIループ又はβ鎖において、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、20個又はそれを上回る、あるいは、各数値の間の任意の数(範囲)のアミノ酸を挿入すること又は欠損させることによって改変することができる。ループ領域の変異は、米国特許6,673,901号及び米国特許公開20110038866号(本願に引用によって組み込まれる)において議論されている。
いくつかの実施形態において、β鎖C内の1つ以上のアミノ酸置換は、配列番号1の位置30、31、32、33、34、35、36、37、38、及び/又は、39に対応する1つ以上のアミノ酸置換であり得る。いくつかの実施形態において、β鎖C内の1つ以上のアミノ酸置換は、配列番号1の位置31、33、35、37、38、及び/又は、39に対応し得る。いくつかの実施形態において、β鎖C内のアミノ酸置換は、配列番号1の位置31、及び/又は、33に対応し得る。
いくつかの実施形態において、CDループ内の1つ以上のアミノ酸置換は、配列番号1の位置40、41、42、43、44、及び/又は、45に対応する1つ以上のアミノ酸置換であり得る。
いくつかの実施形態において、β鎖D内の1つ以上のアミノ酸置換は、配列番号1の位置44、45、46、47、48、49、50又は51に対応する1つ以上のアミノ酸置換であり得る。いくつかの実施形態において、β鎖D内のアミノ酸置換は、配列番号1の位置44、45、47又は49に対応し得る。
更なる視点において、β鎖F内の1つ以上のアミノ酸置換は、配列番号1の位置67、68、69、70、71、72、73、74、75、及び/又は、76に対応する1つ以上のアミノ酸置換であり得る。いくつかの実施形態において、β鎖F内のアミノ酸置換は、配列番号1の位置67、69、71、73、及び/又は、76に対応し得る。いくつかの実施形態において、β鎖F内のアミノ酸置換は、配列番号1の位置71、73、75、及び/又は、76に対応し得る。
いくつかの実施形態において、FGループ内の1つ以上のアミノ酸置換は、配列番号1の位置76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、及び/又は、86に対応する1つ以上のアミノ酸置換であり得る。
いくつかの実施形態において、β鎖G内の1つ以上のアミノ酸置換は、配列番号1の位置85、86、87、88、89、90、91、92、93又は94に対応する1つ以上のアミノ酸置換であり得る。いくつかの実施形態において、β鎖G内のアミノ酸置換は、配列番号1の位置84又は85に対応し得る。
クレードル分子は、配列番号1の位置31、33、47、49、73、及び/又は、75における1つ以上のアミノ酸置換に対応するアミノ酸置換を含むことができる。いくつかの実施形態において、クレードル分子は、更に、配列番号1のアミノ酸位置30に対応するアミノ酸置換を含むことができる。いくつかの実施形態において、クレードル分子は、配列番号1のアミノ酸位置41、42、43、44又は45に対応する1つ以上のアミノ酸置換を含み得る。クレードル分子は、更に、配列番号1のアミノ酸位置 76、77、78、79、80、81、82、83、84又は85に対応する1つ以上のアミノ酸置換を含むことができる。1つの実施形態において、置換は、少なくとも1つのβ鎖内に生じ得る。
いくつかの実施形態において、クレードル分子は、配列番号1のアミノ酸に対応する1、2、3、4個又はそれを上回るアミノ酸の挿入、及び/又は、欠損を含み得る。挿入は、ポリセリン、ポリアラニン、ポリバリン、ポリスレオニン、又は、20種のアミノ酸の中の任意の他のアミノ酸のポリマーのストレッチを含み得るが、それに限定されない。すなわち、組み合わせクレードル分子ライブラリを生成するように、ポリマーのストレッチの挿入後に突然変異が誘導されても、多様化されても良い。これらの挿入残基の多様化は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18又は19種類の他の天然アミノ酸への改変を含む。いくつかの実施形態において、FnIIIドメインクレードル分子のβ鎖(例えば、C、及び/又は、F)又はAB、BC、CD、DE、EF、FGループの1つ以上に、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25又はそれを上回る隣接(contiguous)アミノ酸が挿入される。いくつかの実施形態において、クレードル分子は、挿入又は欠損(欠失)のいずれか一方、あるいは、挿入及び欠損の両方を含むことができる。挿入及び欠損は、同一の位置に位置する必要はなく、互いに、遠位端又は近位端のサイトに位置することができる。挿入、及び/又は、欠損は、FnIIIドメインポリペプチドのループ又はβ鎖内に生じ得る。いくつかの実施形態において、FnIIIの少なくとも1つのループ領域は、少なくとも2個のアミノ酸挿入を含むことができる。いくつかの実施形態において、FnIIIの少なくとも1つの領域は、少なくとも1つのループ領域内に2〜25個のアミノ酸挿入を含むことができる。いくつかの実施形態において、少なくとも2、3個、又はそれを上回るループ領域が挿入を含む。いくつかの実施形態において、FnIIIの少なくとも1つのループ領域を有するクレードル分子は、少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、又は10個(各数値の間の全ての値及び範囲を含む)のアミノ酸欠損を含むことができる。いくつかの実施形態において、少なくとも2、3又は4個のループ、β鎖、部分又は領域は、少なくとも1個のアミノ酸欠損を含む。いくつかの実施形態において、クレードル分子は、少なくとも1つのループ内に、及び少なくとも1つのβ鎖内に、少なくとも1つの挿入及び少なくとも1つの欠損を含むことができる。いくつかの実施形態において、クレードル分子は、同一のループ又はβ鎖領域内に挿入及び欠損を含むことができる。いくつかの実施形態において、クレードル分子は、少なくとも1つのβ鎖内に少なくとも1つの挿入又は欠損を含むことができる。いくつかの実施形態において、クレードル分子は、少なくとも1つのβ鎖及び少なくとも1つのループ領域内に少なくとも1つの挿入又は欠損を含むことができる。
いくつかの実施形態において、アミノ酸位置15、16、17、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、38、39、40、41、42、43、44、45、51、52、53、54、55、56、60、61、62、63、64、65、66、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、93、95、及び/又は、96(各数値の間の全ての値及び範囲を含む)に対応する任意の1つ以上の位置における変異が、特に、請求の範囲に記載の実施形態に含まれ得る。他の実施形態において、アミノ酸位置15、16、17、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、38、39、40、41、42、43、44、45、51、52、53、54、55、56、60、61、62、63、64、65、66、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、93、95、及び/又は、96、(各数値の間の全ての値及び範囲を含む)に対応する任意の1つ以上の位置における変異は、特に除外することができる。他の実施形態において、アミノ酸位置32、34、36、68、70、72、74、及び/又は、75(各数値の間の全ての値及び範囲を含む)に対応する任意の1つ以上の位置における変異は、特に除外することができる。これらの上述の位置は、ヒトFnIIIの10番目のドメインの配列(配列番号1)に基づくことが理解されるだろう。いくつかの実施形態において、FnIIIドメインは、ヒトフィブロネクチンの1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16番目のFnIIIドメインであり得る。いくつかの実施形態において、FnIIIドメインは、ヒトフィブロネクチンの7番目の、10番目の又は14番目のFnIIIドメインであり得る。いくつかの実施形態において、他の生命体(organisms)におけるFnIII変異は、ヒトFnIIIとのそれらのアライメント(適合)に基づいて考察することもできる。
いくつかの実施形態において、β鎖C内の1つ以上のアミノ酸置換は、配列番号97の位置33、35、37、39、40、及び/又は、41に対応する1つ以上のアミノ酸置換であり得る。いくつかの実施形態において、CDループ内の1つ以上のアミノ酸置換は、配列番号97の位置42、43、44、45、46、47、及び/又は、48に対応し得る。いくつかの実施形態において、β鎖F内のアミノ酸置換は、配列番号97の位置70、72、74、76、及び/又は、79に対応し得る。いくつかの実施形態において、FGループ内の1つ以上のアミノ酸置換は、配列番号97の位置80、81、82、83、84、及び/又は、85に対応する1つ以上のアミノ酸置換であり得る。
いくつかの実施形態において、β鎖C内の1つ以上のアミノ酸置換は、配列番号129の位置31、33、35、37、及び/又は、39に対応する1つ以上のアミノ酸置換であり得る。いくつかの実施形態において、CDループ内の1つ以上のアミノ酸置換は、配列番号129の位置40、41、42、43、及び/又は、44に対応する1つ以上のアミノ酸置換であり得る。いくつかの実施形態において、β鎖F内のアミノ酸置換は、配列番号129の位置66、68、70、72、及び/又は、75に対応し得る。いくつかの実施形態において、FGループ内の1つ以上のアミノ酸置換は、配列番号129の位置76、77、78、79、80、及び/又は、81に対応する1つ以上のアミノ酸置換であり得る。
他の実施形態において、配列番号97のアミノ酸位置34、36、38、71、73、75、77、及び/又は、78(各数値の間の全ての値及び範囲を含む)に対応する任意の1つ以上の位置における変異は特に除外することができる。他の実施形態において、配列番号129のアミノ酸位置332、34、36、38、67、69、71、73、及び/又は、74(各数値の間の全ての値及び範囲を含む)に対応する任意の1つ以上の位置における変異は、特に除外することができる。
いくつかの実施形態において、1つ以上の改変又は変異アミノ酸は、配列番号1の位置30、31、33、49、47、75、76、84、及び/又は、85に対応することができる。いくつかの実施形態において、変異FnIIIドメインは、FnIIIの少なくとも1つのβ鎖及び少なくとも1つのループ領域に、少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25個のアミノ酸挿入又は欠損を含むことができる。いくつかの実施形態において、変異FnIIIドメインは、置換、欠損又は付加を有するCD、FGループ、及び/又は、CDループ及びFGループの組み合わせ、そして、少なくとも1つのβ鎖に、アミノ酸挿入を含むことができる。いくつかの実施形態において、変異FnIIIドメインは、置換、欠損又は付加を有するループBC、FG、及び/又は、BC及びFGループの組み合わせ、そして、少なくとも1つのβ鎖に、アミノ酸挿入を含むことができる。いくつかの実施形態において、ポリペプチドは、配列番号1、97及び129と、少なくとも50%、60%、70%、80%又は90%、(各数値の間の全ての値及び範囲を含む)の同一性であり得る。
いくつかの実施形態において、FnIIIクレードル分子は、以下のFnIII残基置換(配列番号1に対応する)を含む(ただし、これらに限定されない)を含む、少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30個又はそれを上回るアミノ酸置換を有することができる:すなわち、R30A、R30N、R30D、R30C、R30Q、R30E、R30G、R30H、R30I、R30L、R30K、R30M、R30F、R30P、R30S、R30T、R30W、R30Y、R30V、Y31A、Y31R、Y31N、Y31D、Y31C、Y31Q、Y31E、Y31G、Y31H、Y31I、Y31L、Y31K、Y31M、Y31F、Y31P、Y31S、Y31T、Y31W、Y31V、R33A、R33N、R33D、R33C、R33Q、R33E、R33G、R33H、R33I、R33L、R33K、R33M、R33F、R33P、R33S、R33T、R33W、R33Y、R33V、T35A、T35R、T35N、T35D、T35C、T35Q、T35E、T35G、T35H、T35I、T35L、T35K、T35M、T35F、T35P、T35S、T35W、T35Y、T35V、G37A、G37N、G37R、G37D、G37C、G37Q、G37E、G37H、G37I、G37L、G37K、G37M、G37F、G37P、G37S、G37T、G37W、G37Y、G37V、E38A、E38N、E38R、E38D、E38C、E38Q、E38G、E38H、E38I、E38L、E38K、E38M、E38F、E38P、E38S、E38T、E38W、E38Y、E38V、T39A、T39N、T39R、T39D、T39C、T39Q、T39E、T39G、T39H、T39I、T39L、T39K、T39M、T39F、T39P、T39S、T39W、T39Y、T39V、G40A、G40N、G40R、G40D、G40C、G40Q、G40E、G40H、G40I、G40L、G40K、G40M、G40F、G40P、G40S、G40T、G40W、G40Y、G40V、G41A、G41R、G41N、G41D、G41C、G41Q、G41E、G41H、G41I、G41L、G41K、G41M、G41F、G41P、G41S、G41T、G41W、G41Y、G41V、N42A、N42R、N42D、N42C、N42Q、N42E、N42G、N42H、N42I、N42L、N42K、N42M、N42F、N42P、N42S、N42T、N42W、N42Y、N42V、S43A、S43R、S43N、S43D、S43C、S43Q、S43E、S43G、S43H、S43I、S43L、S43K、S43M、S43F、S43P、S43T、S43W、S43Y、S43V、P44A、P44R、P44N、P44D、P44C、P44Q、P44E、P44G、P44H、P44I、P44L、P44K、P44M、P44F、P44S、P44T、P44W、P44Y、P44V、V45A、V45R、V45N、V45D、V45C、V45Q、V45E、V45G、V45H、V45I、V45L、V45K、V45M、V45F、V45P、V45S、V45T、V45W、V45Y、E47A、E47R、E47N、E47D、E47C、E47Q、E47G、E47H、E47I、E47L、E47K、E47M、E47F、E47P、E47S、E47T、E47W、E47Y、E47V、T49A、T49R、T49N、T49D、T49C、T49Q、T49E、T49G、T49H、T49I、T49L、T49K、T49M、T49F、T49P、T49S、T49W、T49Y、T49V、V50A、V50R、V50N、V50D、V50C、V50Q、V50E、V50G、V50H、V50I、V50L、V50K、V50M、V50F、V50P、V50S、V50T、V50W、V50Y、D67A、D67R、D67N、D67C、D67Q、D67E、D67G、D67H、D67I、D67L、D67K、D67M、D67F、D67P、D67S、D67T、D67W、D67Y、D67V、T69A、T69R、T69N、T69D、T69C、T69Q、T69E、T69G、T69H、T69I、T69L、T69K、T69M、T69F、T69P、T69S、T69W、T69Y、T69V、T71A、T71R、T71N、T71D、T71C、T71Q、T71E、T71G、T71H、T71I、T71L、T71K、T71M、T71F、T71P、T71S、T71W、T71Y、T71V、Y73A、Y73R、Y73N、Y73D、Y73C、Y73Q、Y73E、Y73G、Y73H、Y73I、Y73L、Y73K、Y73M、Y73F、Y73P、Y73S、Y73T、Y73W、Y73V、V75A、V75R、V75N、V75D、V75C、V75Q、V75E、V75G、V75H、V75I、V75L、V75K、V75M、V75F、V75P、V75S、V75T、V75W、V75Y、T76A、T76R、T76N、T76D、T76C、T76Q、T76E、T76G、T76H、T76I、T76L、T76K、T76M、T76F、T76P、T76S、T76W、T76Y、T76V、G77A、G77R、G77N、G77D、G77C、G77Q、G77E、G77H、G77I、G77L、G77K、G77M、G77F、G77P、G77S、G77T、G77W、G77Y、G77V、R78A、R78N、R78D、R78C、R78Q、R78E、R78G、R78H、R78I、R78L、R78K、R78M、R78F、R78P、R78S、R78T、R78W、R78Y、R78V、G79A、G79R、G79N、G79D、G79C、G79Q、G79E、G79H、G79I、G79L、G79K、G79M、G79F、G79P、G79S、G79T、G79W、G79Y、G79V、D80A、D80R、D80N、D80C、D80Q、D80E、D80G、D80H、D80I、D80L、D80K、D80M、D80F、D80P、D80S、D80T、D80W、D80Y、D80V、S81A、S81R、S81N、S81D、S81C、S81Q、S81E、S81G、S81H、S81I、S81L、S81K、S81M、S81F、S81P、S81T、S81W、S81Y、S81V、P82A、P82R、P82N、P82D、P82C、P82Q、P82E、P82G、P82H、P82I、P82L、P82K、P82M、P82F、P82S、P82T、P82W、P82Y、P82V、A83R、A83N、A83D、A83C、A83Q、A83E、A83G、A83H、A83I、A83L、A83K、A83M、A83F、A83P、A83S、A83T、A83W、A83Y、A83V、S84A、S84R、S84N、S84D、S84C、S84Q、S84E、S84G、S84H、S84I、S84L、S84K、S84M、S84F、S84P、S84T、S84W、S84Y、S84V、S85A、S85R、S85N、S85D、S85C、S85Q、S85E、S85G、S85H、S85I、S85L、S85K、S85M、S85F、S85P、S85T、S85W、S85Y、S85V、K86A、K86R、K86N、K86D、K86C、K86Q、K86E、K86G、K86H、K86I、K86L、K86M、K86F、K86P、K86S、K86T、K86W、K86Y及びK86V。
更なる実施形態において、他のアミノ酸置換は、上記のアミノ酸置換の導入(位置)の前に、間に、後に導入することができる。他の置換(配列番号1に対応する)は、以下の置換の1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11又は12個を含むが、それらに限定されない:すなわち、W22A、W22R、W22N、W22D、W22C、W22Q、W22E、W22G、W22H、W22I、W22L、W22K、W22M、W22F、W22P、W22S、W22T、W22Y、W22V、D23A、D23R、D23N、D23C、D23Q、D23E、D23G、D23H、D23I、D23L、D23K、D23M、D23F、D23P、D23S、D23T、D23W、D23Y、D23V、A24R、A24N、A24D、A24C、A24Q、A24E、A24G、A24H、A24I、A24L、A24K、A24M、A24F、A24P、A24S、A24T、A24W、A24Y、A24V、P25A、P25R、P25N、P25D、P25C、P25Q、P25E、P25G、P25H、P25I、P25L、P25K、P25M、P25F、P25S、P25T、P25W、P25Y、P25V、A26R、A26N、A26D、A26C、A26Q、A26E、A26G、A26H、A26I、A26L、A26K、A26M、A26F、A26P、A26S、A26T、A26W、A26Y、A26V、V27A、V27R、V27N、V27D、V27C、V27Q、V27E、V27G、V27H、V27I、V27L、V27K、V27M、V27F、V27P、V27S、V27T、V27W、V27Y、T28A、T28R、T28N、T28D、T28C、T28Q、T28E、T28G、T28H、T28I、T28L、T28K、T28M、T28F、T28P、T28S、T28W、T28Y、T28V、V29A、V29R、V29N、V29D、V29C、V29Q、V29E、V29G、V29H、V29I、V29L、V29K、V29M、V29F、V29P、V29S、V29T、V29W、V29Y、G52A、G52R、G52N、G52D、G52C、G52Q、G52E、G52H、G52I、G52L、G52K、G52M、G52F、G52P、G52S、G52T、G52W、G52Y、G52V、S53A、S53R、S53N、S53D、S53C、S53Q、S53E、S53G、S53H、S53I、S53L、S53K、S53M、S53F、S53P、S53T、S53W、S53Y、S53V、K54A、K54R、K54N、K54D、K54C、K54Q、K54E、K54G、K54H、K54I、K54L、K54M、K54F、K54P、K54S、K54T、K54W、K54Y、K54V、S55A、S55R、S55N、S55D、S55C、S55Q、S55E、S55G、S55H、S55I、S55L、S55K、S55M、S55F、S55P、S55T、S55W、S55Y又はS55V。
いくつかの実施形態において、FnIIIクレードル分子は、少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30個又はそれを上回るアミノ酸置換を有することができる。アミノ酸置換は、以下のFnIII残基の置換(配列番号97に対応する)を含むことができるがそれらに限定されない:すなわち、G33A、G33N、G33R、G33D、G33C、G33Q、G33E、G33H、G33I、G33L、G33K、G33M、G33F、G33P、G33S、G33T、G33W、G33Y、G33V、R35A、R35N、R35D、R35C、R35Q、R35E、R35G、R35H、R35I、R35L、R35K、R35M、R35F、R35P、R35S、R35T、R35W、R35Y、R35V、T37A、T37R、T37N、T37D、T37C、T37Q、T37E、T37G、T37H、T37I、T37L、T37K、T37M、T37F、T37P、T37S、T37W、T37Y、T37V、T39A、T39N、T39R、T39D、T39C、T39Q、T39E、T39G、T39H、T39I、T39L、T39K、T39M、T39F、T39P、T39S、T39W、T39Y、T39V、P40A、P40R、P40N、P40D、P40C、P40Q、P40E、P40G、P40H、P40I、P40L、P40K、P40M、P40F、P40S、P40T、P40W、P40Y、P40V、T41A、T41R、T41N、T41D、T41C、T41Q、T41E、T41G、T41H、T41I、T41L、T41K、T41M、T41F、T41P、T41S、T41W、T41Y、T41V、N42A、N42R、N42D、N42C、N42Q、N42E、N42G、N42H、N42I、N42L、N42K、N42M、N42F、N42P、N42S、N42T、N42W、N42Y、N42V、G43A、G43N、G43R、G43D、G43C、G43Q、G43E、G43H、G43I、G43L、G43K、G43M、G43F、G43P、G43S、G43T、G43W、G43Y、G43V、Q44A、Q44R、Q44N、Q44D、Q44C、Q44E、Q44G、Q44H、Q44I、Q44L、Q44K、Q44M、Q44F、Q44P、Q44S、Q44T、Q44W、Q44Y、Q44V、Q45A、Q45R、Q45N、Q45D、Q45C、Q45E、Q45G、Q45H、Q45I、Q45L、Q45K、Q45M、Q45F、Q45P、Q45S、Q45T、Q45W、Q45Y、Q45V、G46A、G46R、G46N、G46D、G46C、G46Q、G46E、G46H、G46I、G46L、G46K、G46M、G46F、G46P、G46S、G46T、G46W、G46Y、G46V、N47A、N47R、N47D、N47C、N47Q、N47E、N47G、N47H、N47I、N47L、N47K、N47M、N47F、N47P、N47S、N47T、N47W、N47Y、N47V、S48A、S48R、S48N、S48D、S48C、S48Q、S48E、S48G、S48H、S48I、S48L、S48K、S48M、S48F、S48P、S48T、S48W、S48Y、S48V、E70A、E70R、E70N、E70D、E70C、E70Q、E70G、E70H、E70I、E70L、E70K、E70M、E70F、E70P、E70S、E70T、E70W、E70Y、E70V、N72A、N72R、N72D、N72C、N72Q、N72E、N72G、N72H、N72I、N72L、N72K、N72M、N72F、N72P、N72S、N72T、N72W、N72Y、N72V、S74A、S74R、S74N、S74D、S74C、S74Q、S74E、S74G、S74H、S74I、S74L、S74K、S74M、S74F、S74P、S74T、S74W、S74Y、S74V、Y76A、Y76R、Y76N、Y76D、Y76C、Y76Q、Y76E、Y76G、Y76H、Y76I、Y76L、Y76K、Y76M、Y76F、Y76P、Y76S、Y76T、Y76W、Y76V、K79A、K79R、K79N、K79D、K79C、K79Q、K79E、K79G、K79H、K79I、K79L、K79M、K79F、K79P、K79S、K79T、K79W、K79Y、K79V、D80A、D80R、D80N、D80C、D80Q、D80E、D80G、D80H、D80I、D80L、D80K、D80M、D80F、D80P、D80S、D80T、D80W、D80Y、D80V、D81A、D81R、D81N、D81C、D81Q、D81E、D81G、D81H、D81I、D81L、D81K、D81M、D81F、D81P、D81S、D81T、D81W、D81Y、D81V、K82A、K82R、K82N、K82D、K82C、K82Q、K82E、K82G、K82H、K82I、K82L、K82M、K82F、K82P、K82S、K82T、K82W、K82Y、K82V、E83A、E83R、E83N、E83D、E83C、E83Q、E83G、E83H、E83I、E83L、E83K、E83M、E83F、E83P、E83S、E83T、E83W、E83Y、E83V、S84A、S84R、S84N、S84D、S84C、S84Q、S84E、S84G、S84H、S84I、S84L、S84K、S84M、S84F、S84P、S84T、S84W、S84Y、S84V、V85A、V85R、V85N、V85D、V85C、V85Q、V85E、V85G、V85H、V85I、V85L、V85K、V85M、V85F、V85P、V85S、V85T、V85W及びV85Y。
いくつかの実施形態において、FnIIIクレードル分子は、少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30個又はそれを上回るアミノ酸置換を有する。アミノ酸置換は、以下のFnIII残基置換(配列番号129に対応する)を含むことができるが、それらに限定されない:すなわち、G31A、G31N、G31R、G31D、G31C、G31Q、G31E、G31H、G31I、G31L、G31K、G31M、G31F、G31P、G31S、G31T、G31W、G31Y、G31V、Q33A、Q33R、Q33N、Q33D、Q33C、Q33E、Q33G、Q33H、Q33I、Q33L、Q33K、Q33M、Q33F、Q33P、Q33S、Q33T、Q33W、Q33Y、Q33V、D35A、D35R、D35N、D35C、D35Q、D35E、D35G、D35H、D35I、D35L、D35K、D35M、D35F、D35P、D35S、D35T、D35W、D35Y、D35V、V37A、V37R、V37N、V37D、V37C、V37Q、V37E、V37G、V37H、V37I、V37L、V37K、V37M、V37F、V37P、V37S、V37T、V37W、V37Y、A39N、A39R、A39D、A39C、A39Q、A39E、A39G、A39H、A39I、A39L、A39K、A39M、A39F、A39P、A39S、A39T、A39W、A39Y、A39V、N40A、N40R、N40D、N40C、N40Q、N40E、N40G、N40H、N40I、N40L、N40K、N40M、N40F、N40P、N40S、N40T、N40W、N40Y、N40V、G41A、G41R、G41N、G41D、G41C、G41Q、G41E、G41H、G41I、G41L、G41K、G41M、G41F、G41P、G41S、G41T、G41W、G41Y、G41V、Q42A、Q42R、Q42N、Q42D、Q42C、Q42E、Q42G、Q42H、Q42I、Q42L、Q42K、Q42M、Q42F、Q42P、Q42S、Q42T、Q42W、Q42Y、Q42V、T43A、T43R、T43N、T43D、T43C、T43Q、T43E、T43G、T43H、T43I、T43L、T43K、T43M、T43F、T43P、T43S、T43W、T43Y、T43V、P44A、P44R、P44N、P44D、P44C、P44Q、P44E、P44G、P44H、P44I、P44L、P44K、P44M、P44F、P44S、P44T、P44W、P44Y、P44V、D66A、D66R、D66N、D66C、D66Q、D66E、D66G、D66H、D66I、D66L、D66K、D66M、D66F、D66P、D66S、D66T、D66W、D66Y、D66V、K68A、K68R、K68N、K68D、K68C、K68Q、K68E、K68G、K68H、K68I、K68L、K68M、K68F、K68P、K68S、K68T、K68W、K68Y、K68V、Y70A、Y70R、Y70N、Y70D、Y70C、Y70Q、Y70E、Y70G、Y70H、Y70I、Y70L、Y70K、Y70M、Y70F、Y70P、Y70S、Y70T、Y70W、Y70V、Y72A、Y72R、Y72N、Y72D、Y72C、Y72Q、Y72E、Y72G、Y72H、Y72I、Y72L、Y72K、Y72M、Y72F、Y72P、Y72S、Y72T、Y72W、Y72V、N75A、N75R、N75D、N75C、N75Q、N75E、N75G、N75H、N75I、N75L、N75K、N75M、N75F、N75P、N75S、N75T、N75W、N75Y、N75V、D76A、D76R、D76N、D76C、D76Q、D76E、D76G、D76H、D76I、D76L、D76K、D76M、D76F、D76P、D76S、D76T、D76W、D76Y、D76V、N77A、N77R、N77D、N77C、N77Q、N77E、N77G、N77H、N77I、N77L、N77K、N77M、N77F、N77P、N77S、N77T、N77W、N77Y、N77V、A78R、A78N、A78D、A78C、A78Q、A78E、A78G、A78H、A78I、A78L、A78K、A78M、A78F、A78P、A78S、A78T、A78W、A78Y、A78V、R79A、R79N、R79D、R79C、R79Q、R79E、R79G、R79H、R79I、R79L、R79K、R79M、R79F、R79P、R79S、R79T、R79W、R79Y、R79V、S80A、S80R、S80N、S80D、S80C、S80Q、S80E、S80G、S80H、S80I、S80L、S80K、S80M、S80F、S80P、S80T、S80W、S80Y、S80V、S81A、S81R、S81N、S81D、S81C、S81Q、S81E、S81G、S81H、S81I、S81L、S81K、S81M、S81F、S81P、S81T、S81W、S81Y及びS81V。
クレードル分子は、更に、特定のターゲットに対する親和性を有するか否かを選択することができる第2のFnIIIドメインを含むことができる。第2のFnIIIドメインは、更なるアミノ酸のバリエーションないしは多様化を含むことができるし、含まなくても良い。他の視点において、クレードル分子は、更に、FnIIIポリペプチドのターゲット分子に対する結合親和性を増強する非FnIIIポリペプチドを含むことができる。非FnIIIポリペプチドは、クレードル分子の他のターゲット分子(例えば、半減期延長剤(HSA)など)に対する結合親和性を増強するないしは増加させる更なるバリエーションないしは多様化を含むことができる。非FnIIIポリペプチドは、ホスホ−チロシン結合(例えば、SH2、PTB)、ホスホ−セリン結合(例えば、UIM、GAT、CUE、BTB/POZ、VHS、UBA、RING、HECT、WW、14−3−3、ポロ−ボックス)、ホスホ−スレオニン結合(例えば、FHA、WW、ポロ−ボックス)、プロリン−リッチ領域結合(例えば、EVH1、SH3、GYF)、アセチル化リシン結合(例えば、ブロモ)、メチル化リシン結合(例えば、クロモ、PHD)、アポトーシス(例えば、BIR、TRAF、DED、Death、CARD、BH)、細胞骨格調節(例えば、ADF、GEL、DH、CH、FH2)又は他の細胞の機能(例えば、EH、CC、VHL、TUDOR、PUF Repeat、PAS、MH1、LRR1 IQ、HEAT、GRIP、TUBBY、SNARE、TPR、TIR、START、SOCSボックス、SAM、RGS、PDZ、PB1、LIM、F−BOX、ENTH、EF−Hand、SHADOW、ARM、ANK)に関与するドメインを含むことができるが、それらに限定されない。
多重特異性FnIIIドメインクレードル分子
他の視点において、本発明は、一分子に連結される(例えば、遺伝学的に又は化学的に)2つ以上の個々のクレードル分子を含む多重特異性クレードル分子を提供する。多重特異性クレードル分子は、ターゲットに結合する少なくとも1つのβ鎖を使用する少なくとも1つのクレードル分子を含む。
1つの実施形態において、多重特異性クレードル分子は数珠繋ぎに連結される2つ以上の個々のクレードル分子を含み、個々のクレードル分子はそれぞれ特定のターゲットに結合する。そのようなターゲット(複数)は、同一の分子又は異なる分子に(多重特異性クレードル分子に対する結合によって異なる分子が隣り合う(ないし、並置する:juxtaposed)ように存在することができる。ターゲット(複数)は、多重特異性クレードル分子が、抗体に類似する様式で、ターゲット分子をクラスタ化するように同一のものであることもできる。ターゲット分子の異なる領域に対して独立して結合することが可能な多重特異性クレードル分子の2つの結合サイトをもって同一の(1つの)ターゲット分子に結合することによっても、親和性は増加する。
多重特異性クレードル分子には、いくつかの個々のクレードル分子を、例えば、少なくとも2、3、4、5、6、7、8、9、10個又はそれを上回る個々のクレードル分子を組み込むことができる。
多重特異性クレードル分子は、本発明の分野において認識されている方法を使用して生成することができる。例えば、多重特異性クレードル分子が単一のポリペプチドとして発現されるように、クレードル分子を遺伝子学的に連結することができる。この連結は直接的なものであっても良いし、又は、追加のアミノ酸「リンカー」配列によってもたらすこともできる。適切な方法及びリンカーは、例えば、米国特許公開20060286603号及び国際公開WO04041862A2号に記載されているが、これらに限定されない。ポリペプチドリンカーの例は、GSリンカー、GGGGSGGGGS(配列番号471)、GSGSGSGSGS(配列番号472)など、PSTSTST(配列番号473)、EIDKPSQ(配列番号474)、及びそれらの多量体を含むが、それらに限定されない。
リンカー配列を使用して生成される多重特異性クレードル分子は、ターゲット分子(複数)に対する結合の改善された立体的障害を有するので、2つ以上の個々のクレードル分子を一分子に連結することに用いる短いリンカー配列を実現することができる。より短いリンカー配列は、免疫原性の応答が生じ難く、そして、切断され難い。
あるいは、多重特異性クレードル分子は、本発明の分野において知られた方法を使用して個々のクレードル分子を化学的にコンジュゲートすることによって調製することができる。種々のカップリング剤又はクロスリンキング剤は、共有結合性のコンジュゲーションのために使用することができる。クロスリンキング剤の例は、例えば、タンパク質A、カルボジイミド、N−サクシニミジル−S−アセチル−チオアセタート(SATA)、5、5´−ジチオビス(2−ニトロ安息香酸)(DTNB)、o−フェニレンジマレイミド(oPDM)、N−サクシニミジル−3−(2−ピリジルジチオ)プロピオナート(SPDP)、及びスルホサクシニミジル4−(N−マレイミドメチル)シクロヘキサン−1−カルボキシラート(sulfo−SMCC)(例えば、Karpovsky et al. (1984) J. Exp. Med. 160:1686; Liu, MA et al. (1985) Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A 82:8648を参照)を含む。他の方法は、Paulus (1985) Behring Ins. Mitt. No. 78:118-132; Brennan et al. (1985) Science 229:81-83,及びGlennie et al. (1987) J. Immunol. 139: 2367-2375に記載されたものを含む。好ましいコンジュゲート剤はSATA及びsulfo−SMCCであり、両方ともPierce Chemical Co. (Rockford, IL)から入手可能である。FnIIIドメイン変異の特定位置にシステイン残基を導入して、DPDPB又はDTME(Pierceから入手可能である)などのスルフヒドリルに対する試薬でクロスリンクさせることができ、2つの個々のクレードル分子を一分子になるよう連結して多重特異性クレードル分子を形成させることができる。
FnIIIクレードル分子にCDRを取り付ける方法
1つの視点において、本発明は、野生型FnIIIドメインとの比較において改変されたFnIIIクレードル分子が、抗体又はT細胞受容体の相補性決定領域(CDR)の全部又は一部分を含むことを特徴とする。
抗体、T細胞受容体の可変領域又はそれらの抗原結合フラグメントのCDR領域は、グラフティングに適する。CDRは、任意の動物(げっ歯類、霊長類、ラクダ類又はサメ類を含むがそれらに限定されない)の抗体又はT細胞受容体のレパートリーから取得することができる。1つの実施形態において、CDRは、単一ドメイン抗体(例えば、ナノボディ)のCDR1、CDR2及びCDR3から取得される。更に特別の実施形態において、単一ドメイン抗体(ナノボディなど)のCDR1、2又は3は、FnIIIドメインのAB、BC、CD、DE、EF又はFGループのいずれかにグラフトされ、それによってクレードル分子に本来の(オリジナル)ナノボディのターゲット結合特異性が提供される。1つの実施形態において、CDRは重鎖CDR3である。1つの実施形態において、CDRは、FGループにグラフトされる。ラクダ抗体及び抗体フラグメントの(遺伝子)操作したライブラリは商業的に(例えば、Ablynx、Ghent、Belgiumから)入手可能である。抗体レパートリーは、1つ以上の抗原で免疫誘導(チャレンジ)した動物から、又は抗原で免疫誘導されていない無処置の動物から由来することができる。追加的に又は代わりに、インビトロ又はインビボのライブラリスクリーニング方法(インビトロポリソーム又はリボソームディスプレイ、ファージ ディスプレイあるいは酵母ディスプレイ技術を含むがそれらに限定されない)において生成される抗体、又はその抗原結合フラグメントからCDRを取得することができる。これは、インビトロ又はインビボのライブラリスクリーニング方法によっては本来的には生成されないが、その後の突然変異誘導又はインビトロ又はインビボのスクリーニング方法を使用する1回以上の親和性成熟ステップによって生成される抗体を含む。そのようなインビトロ又はインビボのライブラリスクリーニング方法又は親和性熟成方法の例は、例えば、米国特許7,195,880号;6,951,725号;7,078,197号;7,022,479号;5,922,545号;5,830,721号;5,605,793号;5,830,650号;6,194,550号;6,699,658号;7,063,943号;5,866,344号及び国際公開公報WO06023144号に記載されている。
抗体CDRの同定方法は、本発明の分野において良く知られている(see Kabat et al., U.S. Dept. of Health and Human Services, 「Sequences of Proteins of Immunological Interest」 (1983); Chothia et al., (1987) J. Mol. Biol. 196:901-917; MacCallum et al., (1996) J. Mol. Biol. 262:732-745を参照)。特定の抗体をコードする核酸は、単離してシーケンス処理することができる。そしてコードされるタンパク質を確立された抗体配列名に関して点検することによってCDR配列を推論することもできる。高度可変領域又はCDRsをFnIIIにグラフトする方法は、例えば、遺伝子操作、新規(de novo)の核酸合成又はPCRベース遺伝子アッセンブリを含む(例えば、米国特許5,225,539号参照)。
上記の技術によって、高度可変領域又はCDRの選択及びプレゼンテーションに関して適切なループ(例えば、FGループ)を同定することができる。しかしながら、更なる手法(ないし手段:metrics)を、FnIIIドメイン及びドナー抗体の構造モデリングに基づいて高度可変領域のフィット及びプレゼンテーションを更に改善するために採用することができる。
1つの視点において、FnIIIドメインの何れかのβ鎖における特定のアミノ酸残基に突然変異を導入して、CDRループが抗原に対する結合を保持するか、又は改善する立体構造を有するようにすることができる。この手法は、構造上モデリングとアライメントの組み合わせを使用して、異種性の抗体フレームワークにCDRを取り付ける方法に類似の仕方で実行することができる。1つの実施形態において、Queen et al.(米国特許6,180,370号;5,693,762号;5,693,761号;5,585,089号;7,022,500号)によって実行された方法に類似の仕方で、CDRに隣接するFnIIIドメイン残基に突然変異が導入される。他の実施形態において、CDR残基の1ファンデルワールス半径内のFnIIIドメイン残基に、Winter et al.(米国特許6,548,640号;6,982,321号参照)に類似の仕方で突然変異が導入される。他の実施形態において、Carter et al.又はAdair et al.(米国特許6,407,213号;6,639,055号;5,859,205号;6,632,927号)によって実行された方法と類似の仕方で、CDR残基に隣接していないが、FnIIIドメイン及びドナー抗体の構造上モデリングに基づいてCDR残基の立体構造を改変することが予測され、FnIIIドメイン残基に突然変異が導入される。
IV.FnIIIクレードルライブラリ
高親和性で、かつ、特異的に他のタンパク質と相互作用することができる新規の結合タンパク質を生成する能力はバイオテクノロジー、医学及び分子生物学において重要である。そのようにデザインされた結合タンパク質は、多くの応用で使用することができる。それらはターゲットタンパク質を結合し、検出と可視化のために関心のあるタンパク質をラベルするために、複雑な混合物からターゲットタンパク質を精製するために、又は、機能部位をブロッキングすることによってターゲットを機能的に撹乱する(perturb)ために使用することができる。
組み合わせ方法は新規の結合タンパク質の生産のための有効なプラットフォームである。これらの方法では、タンパク質変異体の大きなライブラリは、タンパク質スキャフォールドでの接触面(contiguous surface)へ大量の配列多様性、及び、時として構造多様性を導入することによって作製される。組み合わせアプローチにおける中心的なアイデアは、形状と化学的特性において異なる候補結合表面の十分に多様なレパートリーを作成することである。その後、関心のあるターゲットを結合することができる変異体は、様々な選択方法を使用して単離することができる。
強力であるが、組み合わせシステムの重要な制限は、それらの限定されたサンプリング・キャパシティー(sampling capacity)である。例えば、ファージディスプレイライブラリは、一般に、およそ1010メンバーに制限されている。タンパク質スキャフォールドの15ケの位置からなる小さな結合表面を考えれば、15のすべての位置が20のすべてのアミノ酸に変えられる場合、これは2015又は3×1019の理論的な配列の組み合わせないしシーケンス・コンビネーションを与える。したがって、可能な結合部位配置の非常に低い割合だけが、ライブラリで実際にサンプリングされ得る。与えられたターゲットに適している結合表面の発見が既にまれな事象(イベント)となるので、組み合わせ方法のサンプリング制限は、機能的な結合タンパク質の隔離(ないし単離)を困難で、かつ、ありそうもないタスクにさせる。
いくつかの戦略は組み合わせ的ライブラリにおけるサンプリング問題と格闘するために調査されている。最も広く使用されたアプローチは、いわゆる親和性成熟戦略と単純なライブラリ選択を結び付けることである。通常、これらの戦略は、サンプリング・キャパシティーを有効に増加させるために、選別過程の間に様々な段階でタンパク質集団ないしポピュレーションへの追加的な配列の多様性の導入を含む。そのようなアプローチにおける目的は、前段階でサンプリングされた(under-sampled)ライブラリから該当のもの(hit)を最初にリカバー(ないし回収)し、次に、増加した親和性のためのこれらのクローンを徐々に最適化する点突発変異を導入することである。これらのアプローチは、様々なシステムにおいて成功裡に使用されている。しかしながら、ほとんどの場合、導入された突然変異は、それらの位置とアミノ酸のタイプの点から無作為ないしランダムである。したがって、この戦略は有効であると証明されているが、生産的な突然変異を蓄積する可能性は非常に低い。その結果、最初に該当したものがリカバーされた後、そのような方法は、しばしば親和性成熟のための数回の追加的な選択を必要とし、効果的なバインダー(binders)が必ずしも生産されるとは限らない。
組み合わせ方法におけるサンプリング問題と格闘するための別のタイプの戦略は、関心のあるターゲットタイプに結合するのに役立つであろうものに対して、結合部位ライブラリの配列及び構造特性に焦点をあてる(集中させる)ことを含んでいる。これらの戦略は結合分子が存在する構造情報(第一級と第三級の両方)に基づく。このアプローチは、ペプチドターゲットとされ、かつ小分子ハプテン(付着体)ターゲットとされたライブラリの合成を備えた合成抗体で調査されている(Cobaugh, et al., J. Mol. Biol. (2008) 378:622-633; Persson, et al., J. Mol. Biol. (2006) 357:607-620)。これらの実施例の各々では、ペプチド又は小分子結合抗体で頻繁に観察される抗体相補性決定領域(CDR)の長さが選ばれた。これらの構造上の特徴は、抗体結合部位であらかじめコード化され、次で、配列多様性は、関心のあるターゲットタイプを認識する抗体で頻繁に観察されたアミノ酸タイプを使用して、この文脈(前後関係:context)に導入される。このように、証明された有用な構造は、同様の特性を備えた別の分子を認識するために、単に、「再プログラムされ」る。
ここで議論されるいくつかの実施形態において、FnIIIドメインは、タンパク質結合領域の組み合わせ的ライブラリを生成するための基礎ないし土台として使用される。
ひとつには抗体を生産するのが困難で、高価になり得るので、特定のリガンドを結合する人工抗体スキャフォールドは、従来の技術を使用して生成された抗体の正当な代替になりつつある。抗体の制限は、免疫グロブリン様の折り畳み(folds)又は他のタンパク質トポロジーに基づいた代替の結合タンパク質の開発に拍車をかけている。これらの非抗体スキャフォールドは、タンパク質の他の部分の多数の置換に対して耐性である、構造上安定したフレームワークコアを有する一般的な性質を共有する。
本発明は、β鎖(複数)の表面が露出された残基を伴うFnIIIドメインのCD及びFGループを使用する、FnIIIクレードル分子のライブラリを提供する。ここに「クレードルライブラリ」と呼ばれる、提案されたライブラリは、従来の既に示されたトップ及びボトム側ライブラリの結合に利用可能な表面積(表面領域)を増加させるであろう。更に、ループFG及びCDは、自然に生じるフィブロネクチンにおいて可変性が高く、構成とループの長さの両方に制限なしで無作為化ないしランダム化することができる。これは、以前に示された従来のライブラリにおける制限のうちのいくつかを克服するべき、不安定な分子を生成せずに、非常に多様なライブラリを可能にするであろう。さらに、表面の露出したβシート残基(複数)もターゲットタンパク質に対する結合が利用可能な、大きなクレードル(受け台ないし枠台)様表面を生成するために無作為化されるであろう。
人工的な多様性を作成することによって、例えば、新しい治療を得る高生産性(ハイスループット)な方法を使用して、それらを容易にスクリーニングできるようにライブラリサイズは制御できる。トップ及びボトム側ループ領域を伴うFnIIIクレードルライブラリと、βシートの表面の露出した残基は、FACS、ファージパンニング(phage panning)、又は、選択的リガンド保持による肯定的な物理的クローン選択を使用し、スクリーニングできる。これらの生体外スクリーンは、抗体ハイブリドーマライブラリ及び上澄みスクリーニングの生成に特有の標準的で退屈な方法論を回避する。
更に、ボトムとトップのループ領域(複数)(それぞれ、CDとFG)と、βシート(複数)の表面の露出した残基を備えたFnIIIクレードルライブラリは、生体外多様性技術によって作成されるターゲット結合ループにおける構成アミノ酸として任意のターゲットを認識する可能性がある。これは、多様性サイズを制御するライブラリ及び自己抗原を認識する潜在的な可能性の著しい利点をもたらす。さらにまた、ボトムとトップのループ領域(CDとFG)とβシートの表面の露出した残基を伴うFnIIIクレードルライブラリは、他の所望のターゲットに対する追加的なフィブロネクチン結合領域を発見するために増殖(propagated)でき、また再スクリーニングできる。
組み合わせ的ライブラリは、化学合成、又は、多くの化学の「ビルディングブロック(building blocks)」を組み合わせることによる生物学的合成のいずれかによって生成された種々の合成物のコレクションである。例えば、ポリペプチド(例えば、突然変異タンパク質又は変異体)ライブラリのような線形の組み合わせの化学的ライブラリは、所定の化合物の長さにおいてあらゆる可能な方法で、アミノ酸と呼ばれる1セットの化学的ビルディングブロック(複数)を組み合わせることにより形成される。何百万もの合成物は、化学的ビルディングブロックのそのような組み合わせの混合によって合成することができる。例えば、100の交換可能な化学的ビルディングブロックの系統的な組み合わせの混合が、1億の四量体の化合物又は100億の五量体の化合物の理論的な合成に帰着することをある評論者が観察した(Gallop, et al., J.Med. Chem. (1994) 37:1233-1250)。
発明の実施形態(複数)は、FnIIIドメインの組み合わせ的ライブラリに向けられる。いくつかの実施形態では、ライブラリのポリペプチドは、FnIIIドメインのβ鎖の1つ以上にアミノ酸配列の変異を含んでいる。いくつかの実施形態で、ライブラリは、FnIIIドメインの1つ以上のループにアミノ酸配列の変異を含んでいる。いくつかの実施形態では、ライブラリは、FnIIIドメインのループ及びβ鎖の両方における変異を含んでいる。ライブラリは、(i)指定されたアプローチと(ii)任意のアプローチを使用して生成することができ、それらの両者は実施例において説明される。
ユニバーサル突然変異誘導クレードルライブラリ
本発明は、選択結合活性又は選択酵素活性を有する1つ以上のポリペプチドの存在に関するスクリーニングにおいて有用なFnIIIドメインポリペプチドの突然変異誘導クレードルライブラリに関連する。ライブラリポリペプチドは、(a)選択された天然のFnIII領域ポリペプチドあるいはポリペプチド(複数)の野生型アミノ酸配列を有する領域A、AB、B、BC、C、CD、D、E、EF、F、FG、及びG、(b)1つ以上の選択された長さを有するβ鎖C及びβ鎖F、並びにループ領域CD及びFGを含んでいる。選択された長さの少なくとも1つの選択されたβ鎖又はループ領域は、各β鎖又はループ位置で、保存的コンセンサスアミノ酸又は選択半保存的コンセンサスアミノ酸を、また、(コンセンサスアミノ酸が少なくとも50%の選択閾値頻度以下の発生頻度を有する場合)、単一の共通ターゲットアミノ酸及び任意の共生成アミノ酸(co-produced amino acids)(コドンの縮退の結果として所定の位置でコード配列によって生成されたアミノ酸)をコードする、コード配列のライブラリによってコード化された配列のライブラリを含む。
与えられたループ/鎖の長さの与えられたループ/鎖内のライブラリを構築する際に、可変性プロファイル(variability profile)は固定及び「可変」位置(「variable」 positions、つまりターゲットアミノ酸が導入することができる位置)の配列を規定するために使用される。固定位置の数は、各位置(position)でのコンセンサスアミノ酸の選択閾値頻度に依存するであろう。
一旦β鎖及びループ配列が選択されると、識別された配列をすべてコードするコード配列オリゴヌクレオチドのライブラリは、示されるような既存のコンセンサスアミノ酸を保存するのに有効なだけでなく選択されたターゲットアミノ酸及び縮退コドンによってコード化された任意の他の共同生成アミノ酸をコードする、コドン置換を作成して、構築される。
β鎖とループのためのコード配列のライブラリは、ポリペプチドライブラリのためのコード配列のライブラリを構築するためにフレームワーク配列に加えられる。ポリペプチドのライブラリは、リボソーム・ディスプレイ・ライブラリ、ポリソーム・ディスプレイ・ライブラリ、ファージ・ディスプレイ・ライブラリ、細菌発現ライブラリ又はイースト・ディスプレイ・ライブラリを含む、発現ライブラリ・フォーマットによってコード化できる。
ライブラリは、所望の結合親和力を有するポリペプチドを識別する方法において使用されることができ、この方法で、天然−変異の組み合わせ的ライブラリは、所望の結合親和力を有するFnIIIドメインを選択するためにスクリーニングされる。同じ方法論は、βシート及びトップとボトムのループ領域の任意の組み合わせを使用して、FnIIIライブラリを生成するために用いることができる。
天然−変異の組み合わせクレードルライブラリ
選択結合活性又は選択酵素活性を有する1つ以上のポリペプチドの存在のためのスクリーニングに有用なFnIIIポリペプチドの天然−変異の組み合わせクレードルライブラリがさらに提供される。クレードルライブラリ・ポリペプチドは、(a)選択された天然のFnIIIポリペプチド又はポリペプチド(複数)の野生型アミノ酸配列を有する、領域A、AB、B、BC、C、CD、D、DE、E、EF、F、FG及びG、ならびに、(b)選択された長さを有するβ鎖C及びβ鎖F及びループ領域CDとFGを含む。少なくとも1つの選択されたβ鎖又は選択された長さのループ領域は、各ループ位置で、保存又は選択半保存的コンセンサスアミノ酸を、また、(コンセンサスアミノ酸が少なくとも50%の選択閾値頻度以下の発生頻度を有する場合)、他の天然−変異アミノ酸(半保存アミノ酸及び可変アミノ酸(その出現率がその位置での選択最小閾値出現率より上である)を含む)を、又はそれらの化学的に同等なものをコードする、コード配列のライブラリによって発現される天然−変異の組み合わせ配列のライブラリを含む。
与えられたループ/シート及びループ/シートの長さのための天然−変異の組み合わせクレードルライブラリを構築する際に、可変性プロファイルは固定及び「可変」位置(つまりターゲットアミノ酸が導入することができる位置)の配列を規定するために使用される。クレードルライブラリにおいて、固定位置の数は、各位置でのコンセンサスアミノ酸の選択閾値頻度に依存するであろう。例えば、選択頻度閾値が約60%で設定される場合、保存又は半保存された残基及び天然−変異置換は、これらの位置でなされないであろう。反対に、閾値頻度が100%で設定される場合、100%の頻度により単一のアミノ酸がループ位置で置換されないであろうことを認識して、全ての位置が可変(変異)対象になることが考慮され得る。そして、1つの非常に優性なアミノ酸があった位置(例えば、90%の頻度で)は、低頻度の変異体(variant(s))が、優性なアミノ酸と化学的に相違した場合のみ置換されうるであろう。
与えられたループ/シート及びループ/シートの長さのためのアミノ酸プロファイルから、どの位置が固定して保持されるか、また、どれ(どの位置)が変異を許容するかを知ることで、個々の可変位置でのアミノ酸置換は選択することができる。一般に、選択された変異の数(共生成アミノ酸を含む)は、ループ/シートでの可変置換位置の数及び置換されたループ/シート位置当たりの変異の平均数に依存するであろう。当然のことながら、天然−変異の置換が単一のループのみへ導入される場合、1つの位置当たりさらに多くの変異を許容できる。
各位置に選択される特定の天然−変異アミノ酸は、最も高い頻度を有するアミノ酸を一般に含んでいるであろう、一方、共生成アミノ酸の数は制限され、そして、二次的に、各部位で、化学的多様性を保存する。一旦、天然−変異ループ/シート配列が選択されると、識別された天然−変異配列をすべてコードするコード配列オリゴヌクレオチドのライブラリが、既存のコンセンサスアミノ酸を保存し、かつ、縮退コドンによってコード化された変異を含む、選択された変異アミノ酸をコードするのに有効なコドン置換を行って、構築される。
天然−変異ループ/シートのためのコード配列のライブラリは、天然−変異ポリペプチドライブラリのためのコード配列のライブラリを構築するためにフレームワーク配列に加えられる。いくつかの実施形態では、コーディングライブラリは、1ペアのAB/CD、AB/EF、CD/EF又はCD/FGループのためのコード配列を含み、ここで、ペアの各ループは1つの選択された長さを有する。別の実施形態で、コーディングライブラリは、すべての5つのループ、AB、BC、CD、EF及びFGの任意の組み合わせのためのコード配列を含む。また別の実施形態では、コーディングライブラリは、C及びFシートのためのコード配列を含む。さらに別の実施形態では、コーディングライブラリは、すべてのβシートの任意の組み合わせのためのコード配列を含む。
N+/−ライブラリ
さらに、本発明の方法は、「N+/-ライブラリ」と呼ばれる、他のライブラリも提供する。これらのN+/-ライブラリは、ボトムループ、AB、CD及びEF、トップループ、BC、DE、FG、又はトップ及びボトムループの任意の組み合わせ、並びに、β鎖(例えば、C及び/(又はF)の任意の組み合わせに変異を伴って構築される。「N+/-ライブラリ」について、Nは、特定の位置での最も優性なアミノ酸であり、アミノ酸の上流又は下流は、それぞれ、+N又は−Nで表される。例えば、FnIIIの3D構造において、N+3はNの上流の3つ目の位置のアミノ酸であり、一方、N-3はNの下流の3つ目の位置のアミノ酸である。同様に、N+2及びN+1は、Nの上流のそれぞれ2つ目及び1つ目の位置のアミノ酸であり、その一方で、N-2及びN-1はNの下流のそれぞれ2つ目及び1つ目のアミノ酸である。最も主要に存在するアミノ酸からそれほど存在しないアミノ酸までNを改変することによって、その改変の影響は、Nから離れた1つ目、2つ目又は3つ目の位置のアミノ酸の存在で評価することができる。そのようなライブラリを設計する際に、固定N位置を取り巻くアミノ酸の頻度及び存在量が決定される。これらの違いはFnIIIクレードルライブラリを生成するために使用することができる。
説明の目的だけのために、CD/5ループのコンセンサス配列は、主要なアミノ酸であるGと共に、ループ位置1、2、3、4及び5がSGGEW(配列番号278)である。N+/-理論を用いると、Gは優勢アミノ酸(N)であるので、ループ位置3においてGを固定する場合、ループ位置1(N-2)、ループ位置2(N-1)、ループ位置4(N+1)及びループ位置5(N+2)のGの構造及び微細な環境効果が決定される。位置Nの固定Gの状態における各位置N-2、N-1、N+1、N+2のアミノ酸頻度が計算される。その後、ループ位置3でのGがSに改変される場合、位置N-2、N-1、N+1、N+2(つまり、ループ位置1、2及び4、5)に対するSの影響が決定されるなどなど。結局、可能な組み合わせが計算され、得られた情報は、この位置Nの特定のアミノ酸の状態の前もって定義したループ領域内の与えられた位置Nのアミノ酸分布(N-2、N-1、N、N+1、N+2)である。その後、この情報はライブラリを生成するために使用することができる。
別の例では、シートCのコンセンサス配列は、シートCのシート位置1、2、3、4、5、6、7、8及び9でそれぞれGYIVEYREK(配列番号279)である。N+/-理論を用いると、Yは優勢アミノ酸(N)であるので、位置2のYが固定されて保持される場合、その後、位置1(N-1)でのG、位置3(N+1)でのI、位置4(N+2)でのV、位置5(N+3)でのE、位置6(N+4)でのY、位置7(N+5)でのR、位置8(N+6)でのE及び位置9(N+7)でのKの構造及び局所的な微細環境効果が決定される。さらに、位置2でのYがVに改変される場合、次いで、位置N-1、N+1、N+2、N+3、N+4、N+5、N+6及びN+7(つまり、シート位置1、3、4、5、6、7、8及び9)に対するこの改変の影響が決定される。
クレードルライブラリのFnIIIクレードル分子は、配列番号468−470に規定される配列で表わすことができる。クレードル残基は太字で示され、Xはβ鎖のためのアミノ酸置換を表わし、Yはループの長さの範囲を添字としたループのためのアミノ酸置換を表わす。天然のアミノ酸若しくは改変されたアミノ酸又は他の分子を含む任意の置換も考慮される。いくつかの実施形態では、自然の残基以外の19のアミノ酸のいずれも、クレードル残基に対し置換できる。置換は、制限されないが、タンパク質の全体としての電荷、極性又は疎水性の効果がほとんどないか、あるいはまったくない保存的置換を含んでよい。置換はさらに、1つ以上のアミノ酸の挿入及び削除を含んでよい。FnIIIクレードル分子は、アミノ酸位置の1つ以上でアラニン置換を含むことができる。
いくつかの実施形態では、FGループは約1-10の長さの残基であってよい。いくつかの実施形態では、FGループは約5つあるいは6つの長さの残基であってよい。いくつかの実施形態では、FGループは5つの長さの残基であってよい。いくつかの実施形態では、FGループの位置3及び/又は5はGly残基である。いくつかの実施形態では、FGループの位置1は、Ala、Gly、Ser、Asn又はAsp残基であり、FGループの位置2は、Ala、Lys、Gly、Val又はGln残基であり、FGループの位置3は、Gly、Leu、Val、Arg又はTyr残基であり、FGループの位置4は、Glu、Leu、Asp、Tyr又はPro残基であり、また、FGループの位置5は、Gly、Ser、Thr、Asn又はHis残基である。いくつかの実施形態では、FGループは6アミノ酸長であってよい。いくつかの実施形態では、FGループの位置1はGly残基であり、FGループの位置2はLeu、Val又はIle残基であり、FGループの位置3は荷電又は極性残基であり、FGループの位置4はPro残基であり、FGループの位置5はGly残基であり、また、FGループの位置6は極性残基である。いくつかの実施形態では、FGループの位置1は、Gly、Glu、Asp、Ser又はAla残基であり、FGループの位置2は、Ala、Gly、Tyr、Val又はAsn残基であり、FGループの位置3は、Gly、Gln、Lys、Arg又はGlu残基であり、FGループの位置4は、Arg、Glu、Val、Ile又はLeu残基であり、FGループの位置5はSer、Gly、Val、Thr又はLeu残基であり、またFGループの位置6は、Glu、Gly、Lys、Ser又はPro残基である。
いくつかの実施形態では、CDループは約3-11残基長(残基の長さ)であってよい。いくつかの実施形態では、CDループは約4-9残基長であってよい。いくつかの実施形態では、CDループは4残基長であってよい。いくつかの実施形態では、CDループの位置1は、Asp、Gly、Glu、Ser又はAsn残基であり、CDループの位置2は、Gly、Ala、Asp、Asn又はGlu残基であり、CDループの位置3は、Gln、Glu、Arg、Gly又はThr残基であり、CDループの位置4は、Pro、Thr、Glu、Ser又はGln残基である。いくつかの実施形態では、CDループは5アミノ酸長(アミノ酸の長さ)であってよい。いくつかの実施形態では、CDループの位置1は、Ser、Asp、Gly、Glu又はThr残基であり、CDループの位置2は、Gly、Ser、Arg、Glu又はThr残基であり、CDループの位置3は、Gly、Glu、Arg、Lys又はThr残基であり、CDループの位置4は、Glu、Trp、Ala、Ser又はThr残基であり、CDループの位置5は、Trp、Pro、Leu、Val又はThr残基である。いくつかの実施形態では、CDループは6アミノ酸長であってよい。いくつかの実施形態では、CDループの位置1は、Gly、Asn、Asp、Glu又はLys/Ser残基であり、CDループの位置2は、Gly、Ser、Lys、Thr又はAla残基であり、CDループの位置3は、Glu、Pro、Asp、Thr又はAsn残基であり、CDループの位置4は、Gly、Glu、Leu、Arg又はSer残基であり、CDループの位置5は、Trp、Glu、Asp、Pro又はArg残基であり、また、CDループの位置6は、Glu、Val、Thr、Pro又はAla残基である。
いくつかの実施形態では、β鎖Cは約6-14残基長であってよい。いくつかの実施形態では、β鎖Cは約8-11残基長であってよい。いくつかの実施形態では、β鎖Cは9残基長であってよい。いくつかの実施形態では、β鎖Cの位置2、4及び6は、疎水性残基である。いくつかの実施形態では、β鎖Cの位置1、3、5及び7-9は、野生型配列に対して改変される。いくつかの実施形態では、β鎖Cの位置1は、Ala、Gly、Pro、Ser、Thr、Asp、Glu、Asn、Gln、His、Lys及びArgから構成される群から選択される。いくつかの実施形態では、β鎖Cの位置3は疎水性残基である。いくつかの実施形態では、β鎖Cの位置3は、Ile、Val、Arg、Leu、Thr、Glu、Lys、Ser、Gln及びHisから構成される群から選択される。いくつかの実施形態では、β鎖Cの位置5及び7-9は、Ala、Gly、Pro、Ser、Thr、Asp、Glu、Asn、Gln、His、Lys及びArgから構成される群から選択される。
いくつかの実施形態では、β鎖Fは約8-13残基長であってよい。いくつかの実施形態では、β鎖Fは約9-11残基長であってよい。いくつかの実施形態では、β鎖Fは10残基長であってよい。いくつかの実施形態では、β鎖Fの位置1、3、5及び10は、野生型配列に対して改変される。いくつかの実施形態では、β鎖Fの位置1、3、5及び10は、Ala、Gly、Pro、Ser、Thr、Asp、Glu、Asn、Gln、His、Lys、Argから構成される群から選択される。いくつかの実施形態では、β鎖Fの位置2、4及び6は、疎水性残基である。いくつかの実施形態では、β鎖Fの位置7は疎水性残基である。いくつかの実施形態では、β鎖Fの位置7は、Arg、Tyr、Ala、Thr及びValから構成される群から選択される。いくつかの実施形態では、β鎖Fの位置8は、Ala、Gly、Ser、Val及びProから構成される群から選択される。いくつかの実施形態では、β鎖Fの位置9は、Val、Leu、Glu、Arg及びIleから構成される群から選択される。
いくつかの実施形態では、クレードルライブラリは、アミノ酸31、33、35、37、38、39、40、41、42、43、44、45、47、49、50、67、69、71、73、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85及び/又は86に対応する一つ以上の残基を伴って、配列番号1のアミノ酸30に対応するアミノ酸に変異を含む。
いくつかの実施形態では、クレードルライブラリは、アミノ酸30、33、35、37、38、39、40、41、42、43、44、45、47、49、50、67、69、71、73、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85及び/又は86に対応する一つ以上の残基を伴って(との組み合わせとして)、配列番号1のアミノ酸31に対応するアミノ酸に変異を含む。
いくつかの実施形態では、クレードルライブラリは、アミノ酸30、31、35、37、38、39、40、41、42、43、44、45、47、49、50、67、69、71、73、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85及び/又は86に対応する一つ以上の残基を伴って、配列番号1のアミノ酸33に対応するアミノ酸に変異を含む。
いくつかの実施形態では、クレードルライブラリは、アミノ酸30、31、33、37、38、39、40、41、42、43、44、45、47、49、50、67、69、71、73、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85及び/又は86に対応する一つ以上の残基を伴って、配列番号1のアミノ酸35に対応するアミノ酸に変異を含む。
いくつかの実施形態では、クレードルライブラリは、アミノ酸30、31、33、35、38、39、40、41、42、43、44、45、47、49、50、67、69、71、73、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85及び/又は86に対応する一つ以上の残基を伴って、配列番号1のアミノ酸37に対応するアミノ酸に変異を含む。
いくつかの実施形態では、クレードルライブラリは、アミノ酸30、31、33、35、37、39、40、41、42、43、44、45、47、49、50、67、69、71、73、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85及び/又は86に対応する一つ以上の残基を伴って、配列番号1のアミノ酸38に対応するアミノ酸に変異を含む。
いくつかの実施形態では、クレードルライブラリは、アミノ酸30、31、33、35、37、38、40、41、42、43、44、45、47、49、50、67、69、71、73、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85及び/又は86に対応する一つ以上の残基を伴って、配列番号1のアミノ酸39に対応するアミノ酸に変異を含む。
いくつかの実施形態では、クレードルライブラリは、アミノ酸30、31、33、35、37、38、39、41、42、43、44、45、47、49、50、67、69、71、73、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85及び/又は86に対応する一つ以上の残基を伴って、配列番号1のアミノ酸40に対応するアミノ酸に変異を含む。
いくつかの実施形態では、クレードルライブラリは、アミノ酸30、31、33、35、37、38、39、40、42、43、44、45、47、49、50、67、69、71、73、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85及び/又は86に対応する一つ以上の残基を伴って、配列番号1のアミノ酸41に対応するアミノ酸に変異を含む。
いくつかの実施形態では、クレードルライブラリは、アミノ酸30、31、33、35、37、38、39、40、41、43、44、45、47、49、50、67、69、71、73、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85及び/又は86に対応する一つ以上の残基を伴って、配列番号1のアミノ酸42に対応するアミノ酸に変異を含む。
いくつかの実施形態では、クレードルライブラリは、アミノ酸30、31、33、35、37、38、39、40、41、42、44、45、47、49、50、67、69、71、73、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85及び/又は86に対応する一つ以上の残基を伴って、配列番号1のアミノ酸43に対応するアミノ酸に変異を含む。
いくつかの実施形態では、クレードルライブラリは、アミノ酸30、31、33、35、37、38、39、40、41、42、43、45、47、49、50、67、69、71、73、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85及び/又は86に対応する一つ以上の残基を伴って、配列番号1のアミノ酸44に対応するアミノ酸に変異を含む。
いくつかの実施形態では、クレードルライブラリは、アミノ酸30、31、33、35、37、38、39、40、41、42、43、44、47、49、50、67、69、71、73、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85及び/又は86に対応する一つ以上の残基を伴って、配列番号1のアミノ酸45に対応するアミノ酸に変異を含む。
いくつかの実施形態では、クレードルライブラリは、アミノ酸30、31、33、35、37、38、39、40、41、42、43、44、45、49、50、67、69、71、73、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85及び/又は86に対応する一つ以上の残基を伴って、配列番号1のアミノ酸47に対応するアミノ酸に変異を含む。
いくつかの実施形態では、クレードルライブラリは、アミノ酸30、31、33、35、37、38、39、40、41、42、43、44、45、47、50、67、69、71、73、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85及び/又は86に対応する一つ以上の残基を伴って、配列番号1のアミノ酸49に対応するアミノ酸に変異を含む。
いくつかの実施形態では、クレードルライブラリは、アミノ酸30、31、33、35、37、38、39、40、41、42、43、44、45、47、49、67、69、71、73、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85及び/又は86に対応する一つ以上の残基を伴って、配列番号1のアミノ酸50に対応するアミノ酸に変異を含む。
いくつかの実施形態では、クレードルライブラリは、アミノ酸30、31、33、35、37、38、39、40、41、42、43、44、45、47、49、50、69、71、73、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85及び/又は86に対応する一つ以上の残基を伴って、配列番号1のアミノ酸67に対応するアミノ酸に変異を含む。
いくつかの実施形態では、クレードルライブラリは、アミノ酸30、31、33、35、37、38、39、40、41、42、43、44、45、47、49、50、67、71、73、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85及び/又は86に対応する一つ以上の残基を伴って、配列番号1のアミノ酸69に対応するアミノ酸に変異を含む。
いくつかの実施形態では、クレードルライブラリは、アミノ酸30、31、33、35、37、38、39、40、41、42、43、44、45、47、49、50、67、69、73、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85及び/又は86に対応する一つ以上の残基を伴って、配列番号1のアミノ酸71に対応するアミノ酸に変異を含む。
いくつかの実施形態では、クレードルライブラリは、アミノ酸30、31、33、35、37、38、39、40、41、42、43、44、45、47、49、50、67、69、71、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85及び/又は86に対応する一つ以上の残基を伴って、配列番号1のアミノ酸73に対応するアミノ酸に変異を含む。
いくつかの実施形態では、クレードルライブラリは、アミノ酸30、31、33、35、37、38、39、40、41、42、43、44、45、47、49、50、67、69、71、73、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85及び/又は86に対応する一つ以上の残基を伴って、配列番号1のアミノ酸75に対応するアミノ酸に変異を含む。
いくつかの実施形態では、クレードルライブラリは、アミノ酸30、31、33、35、37、38、39、40、41、42、43、44、45、47、49、50、67、69、71、73、75、77、78、79、80、81、82、83、84、85及び/又は86に対応する一つ以上の残基を伴って、配列番号1のアミノ酸76に対応するアミノ酸に変異を含む。
いくつかの実施形態では、クレードルライブラリは、アミノ酸30、31、33、35、37、38、39、40、41、42、43、44、45、47、49、50、67、69、71、73、75、76、78、79、80、81、82、83、84、85及び/又は86に対応する一つ以上の残基を伴って、配列番号1のアミノ酸77に対応するアミノ酸に変異を含む。
いくつかの実施形態では、クレードルライブラリは、アミノ酸30、31、33、35、37、38、39、40、41、42、43、44、45、47、49、50、67、69、71、73、75、76、77、79、80、81、82、83、84、85及び/又は86に対応する一つ以上の残基を伴って、配列番号1のアミノ酸78に対応するアミノ酸に変異を含む。
いくつかの実施形態では、クレードルライブラリは、アミノ酸30、31、33、35、37、38、39、40、41、42、43、44、45、47、49、50、67、69、71、73、75、76、77、78、80、81、82、83、84、85及び/又は86に対応する一つ以上の残基を伴って、配列番号1のアミノ酸79に対応するアミノ酸に変異を含む。
いくつかの実施形態では、クレードルライブラリは、アミノ酸30、31、33、35、37、38、39、40、41、42、43、44、45、47、49、50、67、69、71、73、75、76、77、78、79、81、82、83、84、85及び/又は86に対応する一つ以上の残基を伴って、配列番号1のアミノ酸80に対応するアミノ酸に変異を含む。
いくつかの実施形態では、クレードルライブラリは、アミノ酸30、31、33、35、37、38、39、40、41、42、43、44、45、47、49、50、67、69、71、73、75、76、77、78、79、80、82、83、84、85及び/又は86に対応する一つ以上の残基を伴って、配列番号1のアミノ酸81に対応するアミノ酸に変異を含む。
いくつかの実施形態では、クレードルライブラリは、アミノ酸30、31、33、35、37、38、39、40、41、42、43、44、45、47、49、50、67、69、71、73、75、76、77、78、79、81、[82、]83、84、85及び/又は86に対応する一つ以上の残基を伴って、配列番号1のアミノ酸82に対応するアミノ酸に変異を含む。
いくつかの実施形態では、クレードルライブラリは、アミノ酸30、31、33、35、37、38、39、40、41、42、43、44、45、47、49、50、67、69、71、73、75、76、77、78、79、80、81、82、84、85及び/又は86に対応する一つ以上の残基を伴って、配列番号1のアミノ酸83に対応するアミノ酸に変異を含む。
いくつかの実施形態では、クレードルライブラリは、アミノ酸30、31、33、35、37、38、39、40、41、42、43、44、45、47、49、50、67、69、71、73、75、76、77、78、79、80、81、82、83、85及び/又は86に対応する一つ以上の残基を伴って、配列番号1のアミノ酸84に対応するアミノ酸に変異を含む。
いくつかの実施形態では、クレードルライブラリは、アミノ酸30、31、33、35、37、38、39、40、41、42、43、44、45、47、49、50、67、69、71、73、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84及び/又は86に対応する一つ以上の残基を伴って、配列番号1のアミノ酸85に対応するアミノ酸に変異を含む。
いくつかの実施形態では、クレードルライブラリは、アミノ酸30、31、33、35、37、38、39、40、41、42、43、44、45、47、49、50、67、69、71、73、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84及び/又は85に対応する一つ以上の残基を伴って、配列番号1のアミノ酸86に対応するアミノ酸に変異を含む。
いくつかの実施形態では、クレードルライブラリは、アミノ酸35、37、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、70、72、74、76、79、80、81、82、83、84及び/又は85に対応する一つ以上の残基を伴って、配列番号97のアミノ酸33に対応するアミノ酸に変異を含む。
いくつかの実施形態では、クレードルライブラリは、アミノ酸33、37、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、70、72、74、76、79、80、81、82、83、84及び/又は85に対応する一つ以上の残基を伴って、配列番号97のアミノ酸35に対応するアミノ酸に変異を含む。
いくつかの実施形態では、クレードルライブラリは、アミノ酸33、35、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、70、72、74、76、79、80、81、82、83、84及び/又は85に対応する一つ以上の残基を伴って、配列番号97のアミノ酸37に対応するアミノ酸に変異を含む。
いくつかの実施形態では、クレードルライブラリは、アミノ酸33、35、37、40、41、42、43、44、45、46、47、48、70、72、74、76、79、80、81、82、83、84及び/又は85に対応する一つ以上の残基を伴って、配列番号97のアミノ酸39に対応するアミノ酸に変異を含む。
いくつかの実施形態では、クレードルライブラリは、アミノ酸33、35、37、39、41、42、43、44、45、46、47、48、70、72、74、76、79、80、81、82、83、84及び/又は85に対応する一つ以上の残基を伴って、配列番号97のアミノ酸40に対応するアミノ酸に変異を含む。
いくつかの実施形態では、クレードルライブラリは、アミノ酸33、35、37、39、40、42、43、44、45、46、47、48、70、72、74、76、79、80、81、82、83、84及び/又は85に対応する一つ以上の残基を伴って、配列番号97のアミノ酸41に対応するアミノ酸に変異を含む。
いくつかの実施形態では、クレードルライブラリは、アミノ酸33、35、37、39、40、41、43、44、45、46、47、48、70、72、74、76、79、80、81、82、83、84及び/又は85に対応する一つ以上の残基を伴って、配列番号97のアミノ酸42に対応するアミノ酸に変異を含む。
いくつかの実施形態では、クレードルライブラリは、アミノ酸33、35、37、39、40、41、42、44、45、46、47、48、70、72、74、76、79、80、81、82、83、84及び/又は85に対応する一つ以上の残基を伴って、配列番号97のアミノ酸43に対応するアミノ酸に変異を含む。
いくつかの実施形態では、クレードルライブラリは、アミノ酸33、35、37、39、40、41、42、43、45、46、47、48、70、72、74、76、79、80、81、82、83、84及び/又は85に対応する一つ以上の残基を伴って、配列番号97のアミノ酸44に対応するアミノ酸に変異を含む。
いくつかの実施形態では、クレードルライブラリは、アミノ酸33、35、37、39、40、41、42、43、44、46、47、48、70、72、74、76、79、80、81、82、83、84及び/又は85に対応する一つ以上の残基を伴って、配列番号97のアミノ酸45に対応するアミノ酸に変異を含む。
いくつかの実施形態では、クレードルライブラリは、アミノ酸33、35、37、39、40、41、42、43、44、45、47、48、70、72、74、76、79、80、81、82、83、84及び/又は85に対応する一つ以上の残基を伴って、配列番号97のアミノ酸46に対応するアミノ酸に変異を含む。
いくつかの実施形態では、クレードルライブラリは、アミノ酸33、35、37、39、40、41、42、43、44、45、46、48、70、72、74、76、79、80、81、82、83、84及び/又は85に対応する一つ以上の残基を伴って、配列番号97のアミノ酸47に対応するアミノ酸に変異を含む。
いくつかの実施形態では、クレードルライブラリは、アミノ酸33、35、37、39、40、41、42、43、44、45、46、47、70、72、74、76、79、80、81、82、83、84及び/又は85に対応する一つ以上の残基を伴って、配列番号97のアミノ酸48に対応するアミノ酸に変異を含む。
いくつかの実施形態では、クレードルライブラリは、アミノ酸33、35、37、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、72、74、76、79、80、81、82、83、84及び/又は85に対応する一つ以上の残基を伴って、配列番号97のアミノ酸70に対応するアミノ酸に変異を含む。
いくつかの実施形態では、クレードルライブラリは、アミノ酸33、35、37、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、70、74、76、79、80、81、82、83、84及び/又は85に対応する一つ以上の残基を伴って、配列番号97のアミノ酸72に対応するアミノ酸に変異を含む。
いくつかの実施形態では、クレードルライブラリは、アミノ酸33、35、37、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、70、72、76、79、80、81、82、83、84及び/又は85に対応する一つ以上の残基を伴って、配列番号97のアミノ酸74に対応するアミノ酸に変異を含む。
いくつかの実施形態では、クレードルライブラリは、アミノ酸33、35、37、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、70、72、74、79、80、81、82、83、84及び/又は85に対応する一つ以上の残基を伴って、配列番号97のアミノ酸76に対応するアミノ酸に変異を含む。
いくつかの実施形態では、クレードルライブラリは、アミノ酸33、35、37、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、70、72、74、76、80、81、82、83、84及び/又は85に対応する一つ以上の残基を伴って、配列番号97のアミノ酸79に対応するアミノ酸に変異を含む。
いくつかの実施形態では、クレードルライブラリは、アミノ酸33、35、37、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、70、72、74、76、79、81、82、83、84及び/又は85に対応する一つ以上の残基を伴って、配列番号97のアミノ酸80に対応するアミノ酸に変異を含む。
いくつかの実施形態では、クレードルライブラリは、アミノ酸33、35、37、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、70、72、74、76、79、80、82、83、84及び/又は85に対応する一つ以上の残基を伴って、配列番号97のアミノ酸81に対応するアミノ酸に変異を含む。
いくつかの実施形態では、クレードルライブラリは、アミノ酸33、35、37、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、70、72、74、76、79、80、81、83、84及び/又は85に対応する一つ以上の残基を伴って、配列番号97のアミノ酸82に対応するアミノ酸に変異を含む。
いくつかの実施形態では、クレードルライブラリは、アミノ酸33、35、37、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、70、72、74、76、79、80、81、82、84及び/又は85に対応する一つ以上の残基を伴って、配列番号97のアミノ酸83に対応するアミノ酸に変異を含む。
いくつかの実施形態では、クレードルライブラリは、アミノ酸33、35、37、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、70、72、74、76、79、80、81、82、83及び/又は85に対応する一つ以上の残基を伴って、配列番号97のアミノ酸84に対応するアミノ酸に変異を含む。
いくつかの実施形態では、クレードルライブラリは、アミノ酸33、35、37、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、70、72、74、76、79、80、81、82、83及び/又は84に対応する一つ以上の残基を伴って、配列番号97のアミノ酸85に対応するアミノ酸に変異を含む。
いくつかの実施形態では、クレードルライブラリは、アミノ酸33、35、37、39、40、41、42、43、44、66、68、70、72、75、76、77、78、79、80及び/又は81に対応する一つ以上の残基を伴って、配列番号129のアミノ酸31に対応するアミノ酸に変異を含む。
いくつかの実施形態では、クレードルライブラリは、アミノ酸33、35、37、39、40、41、42、43、44、66、68、70、72、75、76、77、78、79、80及び/又は81に対応する一つ以上の残基を伴って、配列番号129のアミノ酸31に対応するアミノ酸に変異を含む。
いくつかの実施形態では、クレードルライブラリは、アミノ酸31、35、37、39、40、41、42、43、44、66、68、70、72、75、76、77、78、79、80及び/又は81に対応する一つ以上の残基を伴って、配列番号129のアミノ酸33に対応するアミノ酸に変異を含む。
いくつかの実施形態では、クレードルライブラリは、アミノ酸31、33、37、39、40、41、42、43、44、66、68、70、72、75、76、77、78、79、80及び/又は81に対応する一つ以上の残基を伴って、配列番号129のアミノ酸35に対応するアミノ酸に変異を含む。
いくつかの実施形態では、クレードルライブラリは、アミノ酸31、33、35、39、40、41、42、43、44、66、68、70、72、75、76、77、78、79、80及び/又は81に対応する一つ以上の残基を伴って、配列番号129のアミノ酸37に対応するアミノ酸に変異を含む。
いくつかの実施形態では、クレードルライブラリは、アミノ酸31、33、35、37、40、41、42、43、44、66、68、70、72、75、76、77、78、79、80及び/又は81に対応する一つ以上の残基を伴って、配列番号129のアミノ酸39に対応するアミノ酸に変異を含む。
いくつかの実施形態では、クレードルライブラリは、アミノ酸31、33、35、37、39、41、42、43、44、66、68、70、72、75、76、77、78、79、80及び/又は81に対応する一つ以上の残基を伴って、配列番号129のアミノ酸40に対応するアミノ酸に変異を含む。
いくつかの実施形態では、クレードルライブラリは、アミノ酸31、33、35、37、39、40、42、43、44、66、68、70、72、75、76、77、78、79、80及び/又は81に対応する一つ以上の残基を伴って、配列番号129のアミノ酸41に対応するアミノ酸に変異を含む。
いくつかの実施形態では、クレードルライブラリは、アミノ酸31、33、35、37、39、40、41、43、44、66、68、70、72、75、76、77、78、79、80及び/又は81に対応する一つ以上の残基を伴って、配列番号129のアミノ酸42に対応するアミノ酸に変異を含む。
いくつかの実施形態では、クレードルライブラリは、アミノ酸31、33、35、37、39、40、41、42、44、66、68、70、72、75、76、77、78、79、80及び/又は81に対応する一つ以上の残基を伴って、配列番号129のアミノ酸43に対応するアミノ酸に変異を含む。
いくつかの実施形態では、クレードルライブラリは、アミノ酸31、33、35、37、39、40、41、42、43、66、68、70、72、75、76、77、78、79、80及び/又は81に対応する一つ以上の残基を伴って、配列番号129のアミノ酸44に対応するアミノ酸に変異を含む。
いくつかの実施形態では、クレードルライブラリは、アミノ酸31、33、35、37、39、40、41、42、43、44、68、70、72、75、76、77、78、79、80及び/又は81に対応する一つ以上の残基を伴って、配列番号129のアミノ酸66に対応するアミノ酸に変異を含む。
いくつかの実施形態では、クレードルライブラリは、アミノ酸31、33、35、37、39、40、41、42、43、44、66、70、72、75、76、77、78、79、80及び/又は81に対応する一つ以上の残基を伴って、配列番号129のアミノ酸68に対応するアミノ酸に変異を含む。
いくつかの実施形態では、クレードルライブラリは、アミノ酸31、33、35、37、39、40、41、42、43、44、66、68、72、75、76、77、78、79、80及び/又は81に対応する一つ以上の残基を伴って、配列番号129のアミノ酸70に対応するアミノ酸に変異を含む。
いくつかの実施形態では、クレードルライブラリは、アミノ酸31、33、35、37、39、40、41、42、43、44、66、68、70、75、76、77、78、79、80及び/又は81に対応する一つ以上の残基を伴って、配列番号129のアミノ酸72に対応するアミノ酸に変異を含む。
いくつかの実施形態では、クレードルライブラリは、アミノ酸31、33、35、37、39、40、41、42、43、44、66、68、70、72、76、77、78、79、80及び/又は81に対応する一つ以上の残基を伴って、配列番号129のアミノ酸75に対応するアミノ酸に変異を含む。
いくつかの実施形態では、クレードルライブラリは、アミノ酸31、33、35、37、39、40、41、42、43、44、66、68、70、72、75、77、78、79、80及び/又は81に対応する一つ以上の残基を伴って、配列番号129のアミノ酸76に対応するアミノ酸に変異を含む。
いくつかの実施形態では、クレードルライブラリは、アミノ酸31、33、35、37、39、40、41、42、43、44、66、68、70、72、75、76、78、79、80及び/又は81に対応する一つ以上の残基を伴って、配列番号129のアミノ酸77に対応するアミノ酸に変異を含む。
いくつかの実施形態では、クレードルライブラリは、アミノ酸31、33、35、37、39、40、41、42、43、44、66、68、70、72、75、76、77、79、80及び/又は81に対応する一つ以上の残基を伴って、配列番号129のアミノ酸78に対応するアミノ酸に変異を含む。
いくつかの実施形態では、クレードルライブラリは、アミノ酸31、33、35、37、39、40、41、42、43、44、66、68、70、72、75、76、77、78、80及び/又は81に対応する一つ以上の残基を伴って、配列番号129のアミノ酸79に対応するアミノ酸に変異を含む。
いくつかの実施形態では、クレードルライブラリは、アミノ酸31、33、35、37、39、40、41、42、43、44、66、68、70、72、75、76、77、78、79及び/又は81に対応する一つ以上の残基を伴って、配列番号129のアミノ酸80に対応するアミノ酸に変異を含む。
いくつかの実施形態では、クレードルライブラリは、アミノ酸31、33、35、37、39、40、41、42、43、44、66、68、70、72、75、76、77、78、79及び/又は80に対応する一つ以上の残基を伴って、配列番号129のアミノ酸81に対応するアミノ酸に変異を含む。
V.コンピュータ支援型FnIIIクレードルライブラリの構築
本発明によれば、例えば、バイオインフォマティクス及び/又は構造解析を介して取得される配列情報に基づいて、FnIIIドメイン変異体のクレードルライブラリを作成する方法がさらに提供される。本発明のフィブロネクチンライブラリを構築する第1ステップは、ある所定の基準を満たす配列を選択することである。PFAM、ProSite及び同様のデータベースから、FnIIIドメインを含む配列を探索した(図1)。これらの電子データベースは、発現するフィブロネクチン及びフィブロネクチン様タンパク質配列のカタログを含み、それらのFnIIIドメイン及び同様の配列について、(例えば、BLAST探索アルゴリズムを使用して)照会(探索)することができる。その後、FnIIIドメイン配列は、ドメインサブクラス、配列の相同性又は起源生物種(originating organism(s))のような所定の基準に従ってグループ分けすることができる。
本発明の基準に基づいたFnIIIドメインの選択は、ループサイズ及び導入される最初のアミノ酸配列の多様性の両方を指示する。バイオインフォマティクスに導かれた設計によって、ループ領域は多数のFnIIIドメインへの挿入に対して柔軟である。特定のターゲットとされたループ置換によって、全体的なスキャフォールドの安定性が最大限にされると同時に、非免疫原性の置換が最小化される。加えて、異系統で容易に全体的な多様性をスクリーニングできるように、ライブラリはサイズが適合できる。さらに、設計されたループの代表的な多様性は、多くの所定のターゲットをまだ結合できる。さらには、ループの系統的設計は、なお、リカバーされた結合クローンの以降の親和性成熟させる。
その後、FnIIIドメイン配列が明らかにされ、次いで、介在するβ鎖及びループ領域及び構成アミノ酸が識別ないし特定される。その後、これは、既存のループ及びβ鎖の長さ、各ループの長さ及びβ鎖の長さについてアミノ酸プロファイルを決定し、したがって、これらのフレームワーク内に提供(ないし適合)することができる物理的なサイズ及びアミノ酸多様性を決定する。一旦ループとβ鎖が同定されると、各ループ及びβ鎖内の配列はアライメント(整列)され、また、次に、アライメントした配列は、ループの長さ及びβ鎖の長さに従って、グループ分けされる。シートA−Gにおけるβ鎖の長さの分布、並びに、AB、BC、CD、EF及びFGループにおけるループの長さが同定(識別)された(例えば、図4を参照)。この情報を使用して、最も一般的(common)なβ鎖の長さ及びループサイズが選択される。いくつかの実施形態では、選択されたループの長さは、CD/4、CD/5、CD/6、FG/5及びFG/6であり、また、選択されたβ鎖の長さは、β鎖Cについて9つの残基及びβ鎖Fについて10個の残基である。
各β鎖について、一つは、比較的な構造及び配列解析の両方に基づいて、好ましいループ受容体サイトを決定できる。例えば、一つは、FnIII07、FnIII10、FnIII14又は他の既知のFnIIIドメインのいずれかの間の全体のループ及びβ鎖のスキャフォールドの構造的なオーバーレイ比較(overlay comparison)を使用することができる。正確なループ位置を同定する際に、上記のステップは、機能的リガンド結合特異性に帰結し得ない、必要な多様性ループの突然変異を極めて最小にする。
一旦ループの長さが選択されると、部位特異的アミノ酸頻度解析は、1セットの天然FnIIIドメインにおいて、出現頻度を決定するために各ループ位置で実行される。この方法は、頻度解析、及び既存のループ配列の対応する可変性プロファイル(VP)の生成を含んでもよい(実施例6を参照)。加えて、シートC及びFの外側に面するアミノ酸が解析され、1セットの天然FnIIIドメインにおいて、出現頻度を決定する(図7B)。β鎖Cのアミノ酸1、3、5、7-9及びβ鎖Fのアミノ酸1、3、5、7及び10は、クレードルライブラリでの使用を意図する。高い頻度(例えば>50%)の位置(positions)は、保存又は固定されたと考えられる。適度に高い頻度、あるいは「半保存された(semi-conserved)」アミノ酸、あるいは(2又は3が組み合わされて、>40%の構成を占める場合)は、他の位置で「野生型」として選択される。その後、これらの野生型アミノ酸は、突然変異生成、例えば、ウォークスルー突然変異生成を使用して、系統的に改変され、クレードルライブラリを生成する。「可変」位置とは、典型的には、いずれのアミノ酸も表されたセットの20%超を占めないところである。
FnIIIドメインデータベースの可変プロファイル解析は、3つのカテゴリーに入るループ/β鎖・アミノ酸残基位置の識別を可能にし、それらは、例えば、1)保存されるべき、又は「固定されるべき」位置、2)半保存されるべき位置、及び/又は、3)多様性生成に適している可変位置の識別を可能にする。可変プロファイル解析が実行され、また、限界頻度は全体的なループ/シートの多様性を指定するのに使用される、最も望ましい配列を識別するために使用される。
保存的(保存された)配列、又は、選択(選択された)半保存的配列(典型的に、半保存残基で最も頻繁なアミノ酸)は、ループ配列の「野生型」あるいは「コンセンサス」残基と考えられる。この「コンセンサス」あるいは「頻度」アプローチ(手法)は、特定の位置で最も頻繁に生じる、選択性が高い圧力下で、それら特定のアミノ酸を識別する。
従って、多様性を残存するアミノ酸位置(これらの位置で存在するべき、あるアミノ酸に対する識別された優先傾向を考慮して)に導入して、これらの残基位置は典型的に固定される。アミノ酸突然変異が導入される発生頻度のための閾値は、40%にすぎないか、好ましくは、50%から100%までも選択されたレベル間で変化できる。100%の閾値頻度では、アミノ酸の突然変異生成は、ループの全位置で導入することができ、また、自然の変異体アミノ酸におけるただ一つの制限は、変異体の総数と化学的等価物が利用可能であるか否かになるであろう。
前述のループ及びβ鎖のいずれかにおいて多様性を設計する場合、改変ないし修飾アミノ酸残基(例えば、ほとんどのポリペプチドで使用される、従来の20のアミノ酸以外の残基、例えば、ホモシステイン)は、所望のときループに組み入れることができる。これは、改変アミノ酸残基が望まれる場合、典型的には、ポリヌクレオチドへ終止コドンを導入する、当該技術分野で認識された技術を使用して実行される。その後、その技術は、ポリペプチドに組み入れられるべく(例えば、終止コドンアンバー(amber)、オパール(opal)、あるいはオーカー(ochre)のいわゆるサプレッサtRNA)改変アミノ酸に結合された改変tRNAを提供する(例えば、Koehrer, et al., PNAS (2001) 98:14310-14315を参照)。
本発明のFnIIIドメインクレードルライブラリとそれらの構築は、改善されたFnIIIドメインクレードル分子を生成する可能性が増加するように、配列及び構造情報を利用して行われる。構造分子置換モデリング情報も、定義されたβ鎖及びループ領域へ導入される、アミノ酸多様性の選択を導くために使用することができる。またさらに、本発明のFnIIIドメインクレードル分子で得られた実際の結果は、反復する手法で生成されスクリーニングされる、後のFnIIIドメインクレードル分子の選択(又は排除)、例えば、親和性成熟を導くことができる。
ここに、下記のステップを含むターゲットに特異的なタンパク質結合ドメインを選択するための方法がさらに提供される:(a)配列番号1の少なくともアミノ酸位置31、33、47、49、71、73及び/又は75に相当する、アミノ酸置換を有する、複数のFnIIIドメインポリペプチドを含むクレードルライブラリの一以上の要素の、ターゲット特異的な結合を検出すること、及び(b)ターゲットに特異的に結合するタンパク質結合ドメインを選択することと、。いくつかの実施形態では、該方法は、ここに記載した複数のFnIIIドメインポリペプチドの変異体(例えば、配列番号1の少なくともアミノ酸位置31、33、47、49、71、73及び/又は75に相当する、アミノ酸置換を有する、FnIIIドメイン)の第一調製をさらに含んでよい。いくつかの実施形態では、特定の特性を表すようにして識別されるポリペプチドが分離されてよい。いくつかの実施形態では、該方法は、選択されたタンパク質結合ドメインの配列の核酸及び/又はアミノ酸を決定することをさらに含んでよい。いくつかの実施形態では、選択されたタンパク質結合ドメインは合成又は発現されることができる。
いくつかの実施形態では、コンピュータによる(in silico)モデリングは、劣った又は所望でない構造及び/又は機能を有するものと予期される任意のFnIIIクレードル分子の生成を除去するために使用される。このように、合成されるFnIIIクレードル分子の数は急激に縮小でき、それによって後のスクリーニング検査での信号対ノイズ(S/N比)を高めることができる。また別の特定の実施形態で、コンピュータでのモデリングは、任意の適切な出所からの、例えば、遺伝子及びタンパク質配列及び三次元データベースからの、並びに/又は既に試験されたFnIIIクレードル分子に起因する、付加的なモデリング情報で連続的に更新され、その結果、そのコンピュータによる(in silico)データベースは、その予測性能がより正確になる(図1)。
さらに別の実施形態で、コンピュータによるデータベースは、解析結果、例えば、以前に試験されたFnIIIクレードル分子の結合親和力/親和性が供給され、また解析基準(複数)に基づいて、応答するもの又は応答しないもの(例えば、良好に結合する又はそれほど良好に結合しない、FnIIIクレードル分子)として、FnIIIクレードル分子を分類する。このように、本発明の親和性成熟は、特定の配列及び構造情報と一連の機能的反応を関連付け、試験される将来のFnIIIクレードル分子の合成を導くためにそのような情報を使用することができる。方法は、例えば、Biacore(登録商標)アッセイを用いて、ターゲットリガンドに対する特異的な結合親和力についてFnIIIクレードル分子をスクリーニングすることが特に適切である。
従って、例えば、コンピュータによるモデリングによって、所定領域でのある残基が所望の機能に参加しないであろうことが知られている場合、ループ領域又はβ鎖内の隣接していない残基の突然変異生成は望ましくなり得る。定義された領域間の等位構造及び空間的相互関係(例えば、FnIIIクレードル分子の定義された領域での機能的アミノ酸残基と、例えば、導入された多様性)は、考慮できモデル化することができる。そのようなモデル化基準は、例えば、アミノ酸残基の側基の化学、原子距離、結晶学的データなどを含む。従って、合成されるFnIIIクレードル分子の数は、知的に最小化することができる。
いくつかの実施形態では、上記のステップの1つ以上はコンピュータ支援型である。特定の実施形態では、コンピュータ支援型ステップは、例えば、NCBI、Genbank、PFAM及びProSiteデータベースの検索、並びに、任意で、PDB構造データベースに対する結果の相互参照を含み、それによって、所望のループ多様性を設計するために、本発明のある基準が決定され使用される(図1)。本方法も、装置(例えば、コンピュータで駆動される装置)によって、一部分あるいは全体が実行されるように適応可能である。例えば、データベース検索フィブロネクチンドメイン配列選択、多様性設計、オリゴヌクレオチド合成、先に列記したもののPCRを介したアセンブリ、ならびに、与えられたターゲットを結合する候補FnIIIクレードル分子の発現及び選択は、インターレースした装置によって、部分的にあるいは完全に行なうことができる。さらに、一部分あるいは全体の方法を実行するための指示は、指示を行なうための電子機器で使用するために適した媒体に与えることができる。要するに、本発明の方法は、ソフトウェア(例えば、コンピュータ読取可能指示)ならびにハードウェア(例えば、コンピュータ、ロボット、及びチップ)を含む高生産性アプローチに適応可能である。
フィブロネクチン及びFnIII配列の分類、識別及び解析に関するさらなる詳細は入手できる、例えば、PFAM.アライメント(整列)したヌクレオチド及びアミノ酸配列をスクリーニングするためのプログラム、Johnson,G., Methods Mol. Biol. (1995) 51:1-15;及びWu, et al., 「Clustering of highly homologous sequences to reduce the size of large protein databases.」 Bioinformatics (2001) 17:282-283;サンガー研究所(pfam.sanger.ac.uk)でのPFAMデータベースを含むデータベース及び探索及び解析プログラム;the ExPASy PROSITE database (expasv.ch/prosite/);SBASE web (hydra.icgeb.trieste.it/sbase/);BLAST(ncbi.nlm.nih.gov/BLAST/のWorld Wide Webに位置する);CD-HIT (bioinformatics.ljcrf.edu/cd-hi/);EMBOSS (hqmp.mrc.ac.uk/Software/EMBOSS/);PHYLIP (evolution.genetics.washington.edu/phylip.html);及び FASTA (fasta.bioch.virginia.edu)である。
バイオインフォマティック(bioinformatic)な解析は、記述的な目的のためのFnIIIドメイン遺伝子に注目するが、他のFnドメイン及び他のスキャフォールド(スキャフォールド)タンパク質のための遺伝子が同様に評価されることは理解されるであろう。
VI.FnIIIクレードルライブラリの合成
ポリペプチドのクレードルライブラリは、リボソーム・ディスプレイライブラリ、ポリソーム・ディスプレイライブラリ、ファージ・ディスプレイライブラリ、細菌発現ライブラリあるいはイースト・ディスプレイライブラリのフォーマットを有する、発現ライブラリによってコード化することができる。
いくつかの実施形態では、本発明のFnIIIクレードルライブラリは、ポリペプチドの定義された領域をコード化し、所定のアミノ酸のための1つのコドンを有する、個々のオリゴヌクレオチドの合成によりスクリーニングするために生成される。これは、オリゴヌクレオチド内の各コドン位置で、組み合わせることにより遂行され、野生型のポリペプチドの合成に必要なコドン又は所定のアミノ酸のコドンのいずれも、ルックスルー(look-through)突然変異生成(LTM)(例えば、米国特許公開第2005/0136428号を参照)と呼ばれる。
いくつかの実施形態で、多数のアミノ酸位置での多様性が必要な場合、ウォークスルー突然変異生成(WTM)は使用することができる(例えば、米国特許第6,649,340号;5,830,650号;及び5,798,208号;並びに米国特許公開第2005/0136428号参照)。別の実施形態では、多様性は、AB、BC、CD、EF及びFGループのループの長さ、ループの各位置でのアミノ酸の位置分布及びループの各位置で上位7つのアミノ酸の存在度(量)に関する情報を提供することにより、DNA2.0及びGeneartのような販売者ないし販売会社から利用可能な方法を使用して作成することができる。
ライブラリの生成のためのオリゴヌクレオチドの混合物は、DNA合成のための既知の方法によって容易に合成することができる。好ましい方法は、固相ベータ・シアノエチルホスホアミダイト化学(例えば、米国特許第4,725,677号参照)の使用を含む。便宜上、DNA自動合成のための機器は、ヌクレオチドの指定された試薬容器を含んで使用することができる。ポリヌクレオチドも、例えば、定義された領域を表わしているポリヌクレオチドの大きな遺伝子コンテキストないし配列(gene context)への導入又はアセンブリを促進する、制限部位あるいはプライマーハイブリダイゼーション部位を含むように合成されてよい。
合成されたポリヌクレオチドは、標準的な遺伝子工学技術を使用して、より大きな遺伝子コンテキスト(例えば、一つのスキャフォールドドメイン)に挿入することができる。例えば、ポリヌクレオチドは制限酵素用のフランキング認識部位を含むために作成することができる(例えば、米国特許第4,888,286号参照)。認識部位は、自然に存在するか、領域をコードするDNAに近い遺伝子に導入される、認識部位に相当するように設計できる。二本鎖の形状に転換した後、ポリヌクレオチドは標準的な技術によって遺伝子又は遺伝子ベクターへライゲーションされる。適切なベクター(例えば、ファージ・ベクター、プラスミドを含む)によって、遺伝子はフィブロネクチン結合ドメイン分子の発現に適している、無細胞抽出液、ファージ、原核細胞又は真核細胞へ導入することができる。
部分的にオーバーラップするポリヌクレオチドが遺伝子アセンブリにおいて使用される場合、1セットの縮重したヌクレオチドも、ポリヌクレオチドのうちの1つの代わりに直接的に組込むことができる。適切な相補鎖はポリメラーゼによる酵素的な伸長によって別の鎖から部分的に相補的なポリヌクレオチドの伸長反応の間に合成される。多様性を有するように、遺伝子の1つ以上のドメイン又は定義された領域が多様性をもつよう突然変異されるか、又は、工学的に改変される際、合成の段階における縮重したポリヌクレオチドの組み込みもクローニングを簡素化する。
別のアプローチでは、フィブロネクチン結合ドメインは単一鎖プラスミドに存在する。例えば、遺伝子は、ヘルパーファージの使用により単一鎖分子の伝播(propagation)を可能にする、複製の線状ファージ起源を備えた、ファージ・ベクターあるいはベクターへとクローニングできる。単一鎖のテンプレートは所望の変異を表わす1セットの縮重したポリヌクレオチドでアニールでき、また、伸長及びライゲーションでき、これによって、適切なホスト(宿主)へ導入することができる分子の集合に各アナログ鎖を組み込む(例えば、Sayers,J.R., et al., Nucleic Acids Res. (1988) 16:791-802参照)。複数のドメインが突然変異生成に選択される場合、このアプローチは多数のクローニング・ステップを回避することができる。
ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)法も、遺伝子にポリヌクレオチドを組み入れるために用いることができ、例えば、β鎖・フレームワーク領域へループ多様性を組入れるために用いることができる。例えば、ポリヌクレオチドはそれ自体が伸長のためのプライマーとして使用することができる。このアプローチでは、定義された領域(又は、その部分)に対応する変異原性カセットをコードするポリヌクレオチドは、互いに少なくとも一部分相補的であり、ポリメラーゼを使用して(例えば、PCR増幅を使用して)、大きな遺伝子カセット(例えば、フィブロネクチン結合ドメイン)を形成するために伸長することができる。
ライブラリのサイズは、ループ/シートの長さ、及び突然変異生成方法を使用して発現される必要のある配列多様性の量に依存して変化するであろう。例えば、ライブラリは、1015、1014、1013、1012、1011、1010、10、10、10及び10未満のフィブロネクチン結合ドメインを含むように設計される。
上記の記述は、対応するポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを改変することによって、フィブロネクチン結合ドメインの多様性を表わすことに集中された。しかしながら、本発明の範囲が、タンパク質化学を使用して、所望のポリペプチド領域の直接的な合成によってここに示されたフィブロネクチン結合ドメインの多様性を表わす方法も包含するものと理解される。このアプローチを実行する際に、ポリヌクレオチド中間物の使用を除外できるという点を除いて、結果となるポリペプチドは本発明の特徴も組み込む。
上記に記述されたライブラリについて、ポリヌクレオチド及び/又は対応するポリペプチドの形態でも、当該技術分野の技術を使用して、ライブラリはマイクロチップ、好ましくはアレイ型マイクロチップのような固体支持に付けられてもよいことが理解される。
この発明の方法は、親和性成熟により、候補フィブロネクチン結合ドメイン領域分子を改変するのに特に有用である。改変はループへ、及び/又はフィブロネクチン結合ドメインのβ鎖・フレームワーク(コンスタント)領域へ導入することができる。ベータシート及びループ領域の改変は、より良好なリガンド結合特性、また所望であれば、触媒特性を備えた、フィブロネクチン結合ドメインを生産することができる。β鎖・フレームワーク領域の修飾・改変(modification)は、例えば、商業的な生産、生物学的利用性、及びリガンドのための親和性に特に有用である、例えば、可溶性又は安定性のような化学物理的性質の改良に結びつくことができる。典型的には、突然変異生成は、フィブロネクチン結合ドメイン(つまり、3つのループ領域から構成することができる、リガンド結合活性に関与する構造)のループ領域をターゲットとするであろう。好ましい実施形態では、ターゲットリガンドに対する結合分子の親和力/親和性を増加させるために、識別された候補の結合分子は、親和性成熟状態にある。1つの実施形態では、少なくとも1つのループ及び少なくとも1つのベータシートに対する修飾・改変は、ターゲット分子との結合に利用可能な増加した表面積を備えたFnIIIクレードル分子を生産する。1つの実施形態では、少なくとも1つのトップループ、少なくとも1つの底ループ及び少なくとも1つのベータシートに対する修飾・改変は、ターゲット分子との結合に利用可能な増加した表面積を備えたFnIIIクレードル分子を生産する。1つの実施形態では、FG及びCDループ、並びに、C及び/又はFベータシートに対する修飾・改変は、ターゲット分子との結合に利用可能な増加した表面積を備えたFnIIIクレードル分子を生産する。1つの実施形態では、少なくとも1つのループ及び少なくとも1つのベータシートに対する修飾・改変は、異なるターゲット分子と結合することができるFnIIIクレードル分子を生産する。
一般に、本発明の実施は、他に指定がない限り、当該技術の範囲内にあり、また文献で説明される、化学、分子生物学、組換えDNA技術、PCR技術、免疫学(特に、例えば、抗体技術)、発現システム(例えば、無細胞発現、ファージディスプレイ、リボソーム・ディスプレイ及びProfusion(登録商標))、並びに、任意の必要な細胞培養の従来技術を採用する。例えば、Sambrook, Fritsch and Maniatis, Molecular Cloning: Cold Spring Harbor Laboratory Press (1989);DNA Cloning, Vols.1 and 2, (D.N.Glover, Ed. 1985); Oligonucleotide Synthesis (M.J.Gait, Ed. 1984);PCR Handbook Current Protocols in Nucleic Acid Chemistry, Beaucage, Ed. John Wiley & Sons (1999) (Editor);Oxford Handbook of Nucleic Acid Structure, Neidle, Ed., Oxford Univ Press (1999);PCR Protocols: A Guide to Methods and Applications, Innis, et al., Academic Press (1990);PCR Essential Techniques: Essential Techniques, Burke, Ed., John Wiley & Son Ltd (1996);The PCR Technique: RT-PCR, Siebert, Ed., Eaton Pub. Co. (1998);Current Protocols in Molecular Biology, eds. Ausubel, et al., John Wiley & Sons (1992);Large-Scale Mammalian Cell Culture Technology, Lubiniecki,A., Ed., Marcel Dekker, Pub., (1990). Phage Display: A Laboratory Manual, C.Barbas (Ed.), CSHL Press, (2001);Antibody Phage Display, P.O'Brien (Ed.), Humana Press (2001); Border, et al., 「Yeast surface display for screening combinatorial polypeptide libraries,」 Nature Biotechnology (1997) 15:553-557; Border, et al., 「Yeast surface display for directed evolution of protein expression, affinity, and stability,」 Methods Enzymol. (2000) 328:430-444; Pluckthun, et al.によるリボソーム・ディスプレイが記載の米国特許第6,348,315号及びSzostak, et al.によるProfusion(登録商標)が記載の米国特許第6,258,558号;6,261,804号及び6,214,553号、並びに細菌ぺリプラズマ発現(bacterial periplasmic expression)が記載の米国特許公開第2004/0058403A1を参照されたい。
VII.発現及びスクリーニングシステム
上記の技術又は他の適切な技術のうちの任意の技術によって生成されたポリヌクレオチドのライブラリは、所望の構造及び/又は活性を有するFnIIIクレードル分子を識別するために発現しスクリーニングすることができる。FnIIIクレードル分子の発現は、無細胞抽出液(例えば、リボソーム・ディスプレイ)、ファージディスプレイ、原核細胞又は真核細胞(例えば、イースト・ディスプレイ)を使用して行なうことができる。
いくつかの実施形態では、ポリヌクレオチドは無細胞抽出液で発現することができるテンプレートとして役立つように遺伝子工学的に改変される。例えば、米国特許第5,324,637号、5,492,817号及び5,665,563号に記載のベクター及び抽出液を使用することができ、また、多数のものが市販で入手可能である。ポリヌクレオチド(つまり、遺伝子型)をポリペプチド(つまり、表現型)に結合するためのリボソーム・ディスプレイ及び他の無細胞技術、例えば、Profusion(登録商標)(例えば、米国特許第6,348,315号、6,261,804号、6,258,558号及び6,214,553号参照)を使用することができる。
代替として、本発明のポリヌクレオチドは、Pluckthun, Meth. Enzymol. (1989) 178:476-515; and Skerra, et al. Biotechnology (1991) 9:273-278などに記載される従来の大腸菌発現システムで発現できる。Better及びHorwitz Meth. Enzymol. (1989) 178:476によって記載されるように、変異タンパク質は、培地及び/又は細菌の細胞質中の分泌物において発現することができる。いくつかの実施形態では、FnIIIクレードル分子は、ompA、phoAあるいはpelBシグナル配列のようなシグナル配列をコードする配列の3´末端へ付けられる(Lei, et al., J.Bacteriol. (1987) 169:4379)。これらの遺伝子融合はジシストロニック(dicistronic)構造にアセンブリされ、その結果、それらは単一のベクターから発現でき、そして、それらが再び折りたたまれ、活性型でリカバーすることができる、大腸菌のペリプラズム空間へ分泌できる(Skerra, et al., Biotechnology (1991) 9:273-278)。
いくつかの実施形態では、FnIIIクレードル分子配列は、例えば、米国特許公開第2004/0072740A1、2003/0100023A1及び2003/0036092A1に記載のような分泌シグナル及び脂質化部分(lipidation moiety)を使用して、原核生物(例えば、大腸菌)の膜表面上で発現される。
いくつかの実施形態では、ポリヌクレオチドは、例えば、米国特許第6,423,538号、6,331,391号及び6,300,065号に記載のような、例えば、イースト・ディスプレイを使用して、酵母のような真核細胞で発現することができる。このアプローチでは、ライブラリのFnIIIクレードル分子は、酵母の表面に発現されて表示される、ポリペプチドに融合される。
本発明のFnIIIクレードル分子の発現のための高等真核細胞も使用でき、それらは、例えば、哺乳類細胞(例えば、骨髄腫細胞(例えば、NS/0細胞)、ハイブリドーマ細胞、又は、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞である。典型的には、哺乳類細胞で発現される場合のFnIIIクレードル分子は、培地へ発現されるか、又はそのような細胞の表面に発現されるように設計される。FnIIIクレードル分子は、例えば、単一の個々のドメインとして、又は、同一のドメイン若しくは異なるFnIII可変ドメイン型(FnIII03-FnIII10:ホモダイマー;FnIII10-FnIII08:ヘテロダイマー;FnIII10-FnIII10n、[nは1-20からの整数又は野生型若しくは可変FnIIIドメインである];FnIII07-FnIII07n、[nは1-20からの整数又は野生型若しくは可変FnIIIドメインである];FnIII14-FnIII14n、[nは1-20からの整数又は野生型若しくは可変FnIIIドメインである];FnIII07-FnIII10n、[nは1-20からの整数又は野生型若しくは可変FnIIIドメインである];FnIII10-FnIII14n、[nは1-20からの整数又は野生型若しくは可変FnIIIドメインである];FnIII07-FnIII14n、[nは1-20からの整数又は野生型若しくは可変FnIIIドメインである];FnIII07-FnIII10-FnIII14n、[nは1-20からの整数又は野生型若しくは可変FnIIIドメインである];FnIII08-FnIII09-FnIII10n、[nは1-20からの整数又は野生型若しくは可変FnIIIドメインである];など)から構成できる、二量体、三量体を含む多重結合の鎖として生成することができる。
発現されたFnIIIクレードル分子(又は直接的な合成によって生成されたFnIIIクレードル分子)のスクリーニングは、適切な手段によって行うことができる。例えば、結合活性は、標準免疫測定及び/又はアフィニティー・クロマトグラフィーによって評価することができる。触媒機能、例えば、タンパク質分解機能のための本発明のFnIIIクレードル分子のスクリーニングは、例えば、米国特許第5,798,208号に記載のような標準ヘモグロビン・プラークアッセイを使用して達成できる。候補FnIIIクレードル分子が治療ターゲットを結合する活性の決定は、与えられたターゲット若しくはリガンドに対するFnIIIクレードル分子の結合率を測定する、例えば、Biacore(登録商標)機器、又はここに記載の方法を使用してインビトロでアッセイできる。生体内解析は、多くの動物モデルのうちの任意のモデルを使用し、次に、続いてヒトにおいて適切に試験されて実施することができる。
FnIIIクレードルライブラリは、実施例に記載されるような標準的な技法を用いて、受容細菌/酵母宿主にトランスフェクションないし導入される。酵母は、各細胞表面に表示されている各FnIII融合タンパク質の103-105のコピーを備え、107までのライブラリ・サイズを容易に受け入れることができる。酵母菌は、フローサイトメトリー、蛍光活性化細胞分類(FACS)又は磁気ビーズを使用して、容易にスクリーニングされ分離される。酵母の酵母真核生物の分泌システム及びグリコシル化経路もFnIII型分子が細胞表面にN及びOリンクの糖で表示されることを可能にする。イースト・ディスプレイの詳細は、実施例で概説される。
別の実施形態では、イースト・ディスプレイ・システムは、細胞表面上にタンパク質を表示するために凝集素イースト凝着受容体を利用する。関心のあるタンパク質、この場合、FnIIIライブラリは、Aga2タンパク質を伴う融合パートナーとして発現される。
これらの融合タンパク質は細胞から分泌され、酵母菌壁に付される、Aga1タンパク質にリンクされた二硫化物になる(Invitrogen, pYD1 Yeast Display product literature参照)。プラスミド精製(Qiagen)によって大腸菌宿主から調製されたプラスミド(例えば、pYD1)は、制限酵素、BamHI及びNotIで消化され、子牛の腸のアルカリフォスファターゼで末端が脱リン酸される。pYD1及びCR産物ライブラリのライゲーション、大腸菌(DH5α)形質転換及びLBアンピシリン(50mg/ml)プレート上の選択は、酵母菌宿主へのエレクトロポレーション前にライブラリを増幅するために標準的な分子生物学のプロトコルを使用して行なわれた。
参照野生型FnIIIドメインと比較して、ターゲットリガンド(例えば、TNF、VEGF、VEGF-Rなど)に対する実質的に高い親和性を有する発現されたFnIIIライブラリ変異体を選択するための方法は、下記のように達成できる。
候補テストリガンド(例えば、TNF、VEGF、VEGF-Rなど)は、蛍光ラベルされる(上記のように、直接的か、又はビオチン−ストレプトアビジン結合による間接的のいずれか)。ラベルされた抗原を効率的に結合するライブラリ・クローンは、その後、FACSの使用によって富化される。次いで、酵母菌のこの集団ないし群は再成長され、より高い特異性及び親和性でターゲットを認識するクローンの小さな部分集団を分離するために高レベルのストリンジェンシーを使用して、選択の後の段階に付される。例えば、迅速な識別及び確認のためのFITCラベル抗Myc−tagFnIII結合ドメイン分子及びFACS解析を使用して、ライブラリは容易に高生産性フォーマットに補正ないし修正できる。さらに、発現レベルのモニター及び/又は結合親和性測定の標準化に利用することができるカルボキシル末端タグが含まれる。
Aga2-FnIII融合タンパク質の表示を確認するために、培地からの酵母菌(40μl中、8×105細胞)のアリコートは、2300rpmで5分間遠心分離機にかけられる。上澄みは吸引され、また、細胞ペレットは200μlの氷冷PBS/BSAバッファー(PBS/BSA 0.5%w/v)で洗浄される。細胞は再度ペレットにされ、また、上澄みは、ビオチン化TNFα(200 nM)を含む100μlのバッファーで再懸濁する前に取り除かれる。細胞は、TNFαを結合するために20℃で45分間置かれ、その後、氷上の30分間のストレプトアビジン-FITC(2mg/L)での付加及び培養前にPBS/BSAバッファーで2度洗浄された。バッファーでの別の洗浄段階(round)は、PBS/BSAでの400μlの最終再懸濁の前に行なわれた。その後、細胞は、メーカーの指示通り、CellQuestソフトウェアを使用するFACScanTM (ベクトン・ディキンソン)で解析された。
TNFαに対するライブラリを生成するために、酵母表示TNF-αフィブロネクチン結合ドメインライブラリの動態選択は、ビオチン化TNF-αリガンドでの細胞の初期ラベル、その後の非ビオチン化TNF-αリガンドの多過剰が存在する状態での時間依存性の追跡を含む。遅い解離動態のクローンは、追跡期間の後ストレプトアビジン-PEラベルにより識別することができ、高速FACSソーターを使用して分類ないし選別できる。Aga2-FnIII誘導の後、細胞は、飽和濃度(400nM)での25℃、3時間攪拌下にビオチン化TNFαと培養される。細胞の洗浄後、25℃で未ラベルTNFα(1μM)を使用して、40時間冷温追跡される。次いで、細胞はPBS/BSAバッファーで2度洗浄され、ラベルは、氷上で30分間にわたってストレプトアビジンPE(2mg/ml)抗HIS-FITC(25 nM)で行われ、洗浄され、そして、再懸濁され、次に、FACS・ARIAソーターで解析される。
ライブラリ・スクリーニングは特定のリガンド又はターゲットに結合するFnIII変異体を選択するために実施できる。組み合わせスクリーニングは、特定の突然変異生成(「合理的設計」)アプローチで実現可能でない、多くの変異体を容易に生成、かつ、スクリーニングすることができる。FnIIIでの様々なアミノ酸位置における異なるアミノ酸変異体は、縮重したヌクレオチド配列を使用して生成できる。所望の結合能を備えるFnIII変異体は、生体外で、選択、リカバーかつ増幅することができる。選択されたクローンのアミノ酸配列は、選択されたFnIIIをコードする核酸をシークエンシングすることにより容易に識別することができる。
いくつかの実施形態では、特定のFnIIIクレードル分子は、ここに議論された置換の前におけるポリペプチドの親和性より少なくとも2倍大きいターゲットに対する親和性を有する。いくつかの実施形態では、他のFnIIIクレードル分子と比較して、親和性は少なくとも、又は、高くても、約2倍、3倍、4倍、5倍、6倍、7倍、8倍、9倍、10倍、15倍、20倍、25倍、30倍、35倍、40倍、45倍、50倍、60倍、70倍、80倍、90倍及び100倍の増加を示す。
ターゲット分子に対して所望の結合親和性を有するクレードルポリペプチドを識別するここに開示された方法を使用して、選択されるクレードルポリペプチドが、さらにここに提供される。いくつかの実施形態では、クレードルポリペプチドは、配列番号4-78、80-85、87-96、98、99、101-128、130-141、143、145-147、149-159、161-199、240-277から構成される群から選択されるアミノ酸配列を含むことができる。
FnIIIライブラリの機能のための解析及びスクリーニング
FnIIIライブラリは機能的活性を有するFnIIIタンパク質についてスクリーニングするためにも使用できる。タンパク質の研究は、あるアミノ酸がそれらの構造及び機能において重大な(crucial)役割を果たすことを明らかにした。例えば、アミノ酸の個別(discrete)の数だけが酵素の機能的な事象に関与するように思われる。上記の技術又は他の適切な技術のうちのいずれかの技術によって生成されるタンパク質ライブラリは、所望の構造若しくは活性の変異を識別するためにスクリーニングできる。
野生型タンパク質と生成された変異体の特性を比較することによって、個々のアミノ酸、又は、結合及び/若しくは機能的活性を与えるアミノ酸ドメインを識別することは可能である。通常、研究された領域は、結合ドメインのようなタンパク質の機能ドメインになるであろう。例えば、領域は、FnIIIドメインのAB、BC、CD、DE、EF及びFGループ結合領域又はβシートになり得る。スクリーニングは、任意の適切な手段によって行うことができる。例えば、活性は基質変換に適切なアッセイによって確認することができ、また、結合活性は標準免疫測定及び/又はアフィニティー・クロマトグラフィーによって評価できる。
側鎖の化学的性質から、天然アミノ酸の選択された数だけが触媒作用に優勢に関与するように思える。これらのアミノ酸は、Ser、Thr、Asn、Gln、Tyr及びCysのような極性及び中性アミノ酸の群、荷電アミノ酸の群、Asp及びGlu、Lys及びArg、及び特にアミノ酸Hisに属する。典型的な極性及び中性の側鎖は、Cys、Ser、Thr、Asn、Gln及びTyrの側鎖である。Glyもこの群の境界上のメンバーであると考えられる。Ser及びThrは、水素結合の形成に重要な役割を果たす。Thrはβ炭素で追加的な非対称を有し、したがって、立体異性体のうちの1つだけが使用される。酸アミドGln及びAsnは、さらに、水素結合、水素供与体として機能するアミド基及び受容体として機能するカルボニル基を形成することができる。Glnは、Asnより、1つ多くのCH2基を有し、それは、極性基をより柔軟にし、主鎖とのその相互作用を縮小する。Tyrは、高いpH値で解離できる、非常に極性が高い水酸基(フェノール性のOH)を有する。Tyrは、荷電側鎖のような挙動をし、その水素結合はかなり強い。
ヒスチジン(His)には、6.0のpK値を備えた複素環の芳香族側鎖がある。生理学的なpH範囲では、溶液から水素イオンを取り上げた後、そのイミダゾール環は非荷電又は荷電のいずれにもできる。これらの2つの状態が容易に利用可能であるので、Hisは化学反応を触媒するために最適である。Hisは酵素の活性中心の大部分に見られる。
Asp及びGluは、生理的pHで負に荷電される。それらの短い側鎖のために、Aspのカルボキシル基は主鎖に関してかなり強固である。これは、多くの触媒部位中のカルボキシル基がGluによってではなくAspによって提供される理由かもしれない。荷電した酸は、一般的に、タンパク質の表面で見出される。
したがって、FnIIIタンパク質ドメインのいくつかの異なる領域又はループは同時に突然変異を起こすことができる。これは、タンパク質の折り重なることに機能部位又は結合部位を構築するように関連される領域などの構造的に関連する領域のアミノ酸置換の評価を可能にする。この方法は、改変された結合部位又は完全に新しい結合部位を作成する方法を提供する。ターゲットリガンドの結合をもたらすように遺伝子工学的に改変できる、FnIIIの2つのループ領域及び2つのβシートは、この結合部位での結合機能に寄与するために解析するべく、CD及びFGループ若しくはC及びFシート内に、同時に突然変異を起こすことができるか、又は、別々に突然変異を起こすことができる。したがって、タンパク質のリガンド結合領域への追加の「機能的に重要な」アミノ酸の導入は、同じターゲットリガンドに対する新たな改善された結合活性となり得る。
従って、新しいFnIIIクレードル分子は、この発明の方法によって適切な領域だけを変異させることにより、既存のFnIIIポリペプチドの天然の「スキャフォールド」に設けることができる。自然に発生するFnIIIsの分離と比較して、この発明の方法は新たに改善された結合タンパク質の設計に適する。
VII.キット
キットも、本発明のいくつかの実施形態で作成されるか又は使用されるものとして検討される。例えば、本発明のポリペプチド又は核酸は、キットにあるいはキットの中に提供されるライブラリに含むことができる。キットは密封容器に含むことができる。容器ないしコンテナの制限しない例は、マイクロプレート、ボトル、金属チューブ、ラミネート・チューブ、プラスチック・チューブ、ディスペンサー、加圧容器、障壁容器(コンテナ)、パッケージ、コンパートメント、又は、分散液あるいは組成物、あるいは所望のボトル、ディスペンサーあるいはパッケージが保持される、注入若しくは風成型プラスチック容器のような他のタイプの容器(コンテナ)を含む。容器(コンテナ)他の例は、グラス又はプラスチックバイアル若しくはボトルを含む。キット及び/又は容器は、その表面にしるしを含むことができる。しるしは、例えば、言葉(単語)、語句、略語、絵あるいはシンボルになり得る。
容器は、本発明の所定量の組成物を分布するか又は含むことができる。組成物は、液体、流体又は半固体として分布することができる。キットは、キット及び/又は組成物を使用するための指示書も含むことができる。指示書は、組成物を使用し、且つ、維持する方法の説明を含むことができる。
VIII.実施例
下記の実施例は、本発明を説明するために提示されるが、本発明を制限するものではない。
実施例1
ファージディスプレイライブラリ及び選択
FnIII10遺伝子の鋳型が構築された(Koide,A., et al., J Mol Biol (1998) 284:1141-1151)。ライブラリは、多様化される位置にポリセリン配列を含んでいる「シェイブされた(shaved)」鋳型を使用して作成することができる(Koide, et al., supra, 2007 and Wojcik, et al., supra, 2010)。DsbA(Steiner, et al., Nat. Biotechnol. (2006) 24:823-831)のシグナル配列をコードする合成DNAフラグメントは、鋳型用遺伝子に融合され、また、融合遺伝子は、ファージディスプレイ・ベクターpAS38(Koide, A., et al., supra, 1998)へクローニングされた。ファージディスプレイの組み合わせ的ライブラリは、FnIII10遺伝子へアミノ酸変異体用コドンを導入することにより構築された。ライブラリ構築の手順は以前に記載されている(Koide,A., and Koide,S., Methods Mol. Biol. (2007) 352:95-109)。
ファージミド粒子は、0.2mM IPTG及びヘルパーファージ(LoConte, et al., J.Mol. Biol. (1999) 285:2177-2198; Fellouse, et al., J. Mol. Biol. (2005) 348:1153-1162)の存在する状態で、ファージミド・ライブラリでトランスフェクトされたXL1-Blue細胞を成長させることによって調製できる。ファージミド・ライブラリ選択は、以下のように行なうことができる。第一段階ないし期間(round)において、EZリンク・スルホ-NHS-SSビオチン(Sulfosuccinimidyl 2(biotinamido)-エチル-1,3-dithiopropionate; Pierce)で改変されたターゲットタンパク質(0.5μM)は、0.5%のTween20を含有するTBS(50mMトリスHClバッファー、pH 7.5、150mM NaCl) (TBST)で十分な量のストレプトアビジン結合の磁気ビーズ(Streptavidin MagneSphere(登録商標) Pramagnetic Particles; Promega, Z5481/2)と混合された。このターゲット溶液に、0.5%のBSAを加えた1mlのTBST中で懸濁された1012-13のファージミドが加えられ、そして、その溶液は混合され、室温で15分間培養される。ビーズをTBSTで2度洗浄した後に、結合したファージミドを含有するビーズ懸濁液は、新鮮な大腸菌培養に添加される。以前に記載されたように(Fellouse, et al., supra, 2005)、ファージミドは増幅された。第二段階では、ファージミドは0.5%のBSAを加えたTBST中のターゲット(0.1μM)と培養され、次に、ストレプトアビジン結合の磁気ビーズによって捕獲された。ターゲットタンパク質に結合されたファージミドは、100mM DTTのTBST溶液を含むビオチン化試薬内でリンカーを開裂することにより、ビーズから溶出された。上述のように、ファージミドは洗浄されて回収される。増幅後、第三段階の選択が、0.02μMのターゲットを使用して行なわれる。ファージディスプレイは、結合要素を生成するための確立している技術で、Kontermann&Dubel (ed.), In:Antibody Engineering: Miniantibodies, 637-647, Springer-Verlag, (2001)及びWO92/01047のような多くの出版物に詳細に述べられている。それら各々は、その全体が参照によってここに組込まれる。
実施例2
酵母表面ディスプレイ
酵母表面の実験は、Boder,E.T., and Wittrup,K.D., Methods Enzymol. (2000) 328:430-444にわずかな改変を加えることにより実施される。抗FLAG抗体(Sigma)と交差反応するために、酵母ディスプレイベクターの発現タグ、pYD1(Invitrogen)は取り除かれた。3回の選択後のファージミド・ライブラリのクレードル分子のための遺伝子はPCRを使用して増幅され、EcoRIとXhoIで切断された改変pYD1と混合され、酵母EBY100細胞はこの混合物と形質転換される。形質転換された酵母細胞は、30℃のSD−CCA培地で二日間成長され、次いで、30℃のSG−CCA培地で細胞を24時間成長することによってモノボディ(monobody)発現が誘発される。
モノボディを表示する酵母細胞の選別(ソート)は下記のように実施される。酵母細胞はビオチン化されたターゲット(50nm)及びマウス抗V5抗体(Sigma)で培養され、次いで、洗浄後、抗マウス抗体−FITC複合体(Sigma)及びNeutrAvidin(登録商標)−PE複合体(Invitrogen)で培養される。染色された細胞は、FITC及びPE強度に基づいて選別される。典型的には、上位約1%のPE強度及び上位10%のFITC強度を表す細胞が回収される。
FACS選別後、個々のクローンが解析される。概算のKd値は、FACS解析による滴定曲線から決定される(Boder and Wittrup, supra, 2000)。アミノ酸配列はDNA配列から推論される。
モノボディとターゲットの相互作用に対する大腸菌溶解物の影響は、OD600が50の細胞懸濁液から調製された大腸菌溶解物の存否における結合を比較することによって試験される。
実施例3
タンパク質発現及び精製
核酸をコードする任意のターゲットは、適切な発現ベクターにクローニングされる。一つの実施例において、モノボディの遺伝子は、His6tagがHis10tagと置き換わっている、pHFT1(Huang, et al., supra, 2006)の誘導体である、発現ベクターpHFT2にクローニングされる。タンパク質発現及び精製は、前に記載されたように実施することができる(Huang, et al., supra, 2006)。
FnIIIポリペプチド又はターゲット分子をコードするcDNAを含む発現ベクターは発現のための大腸菌、酵母、昆虫細胞、動物細胞などに導入され、ポリペプチドを得る。本発明で使用されるポリペプチドは、例えば、Molecular Cloning, A Laboratory Manual, Second Edition, Cold Spring Harbor Laboratory Press (1989), Current Protocols in Molecular Biology, John Wiley & Sons (1987-1997)に記載の方法又は同様の方法を使用して、宿主細胞にそれをコードするDNAを発現することによって生成できる。組換えベクターは、適切な発現ベクターのプロモーターの下流にcDNAを挿入することによって生成される。次いで、ベクターは発現ベクターに適切な宿主細胞に導入される。関心のある遺伝子を発現することができるかぎり、宿主細胞は細菌(例えば、大腸菌)、動物細胞などを含む、任意の細胞であってよい。発現ベクターは、使用される宿主細胞又はポリペプチドをコードするDNAを転写することができるような位置で、適切なプロモーターを含む染色体へ統合することができるベクターで、自律的に複製することができる。
実施例4
リボソーム・ディスプレイ
リボソーム・ディスプレイは、無細胞生体外結合転写/翻訳系を利用して、タンパク質ライブラリを生成する。FnIIIライブラリ遺伝子は、mRNAの末端に到達する際に、リボソームを開放させず停止させる末端の終止コドンを有しないカッパ光免疫グロブリン遺伝子の上流に挿入される。さらに、カッパドメインスペーサーは、FnIII結合ドメインがその同系統のリガンドを認識するためによりよいアクセシビリティを有するように、リボソーム複合体から物理的にFnIIIタンパク質を引き離す役割を供する。mRNAライブラリは、S30大腸菌リボソーム抽出調製液(Roche)又はウサギ網状溶解物(Promega)のいずれかへ導入される。いずれの場合も、発生期のmRNAの5´末端はリボソームに結合し、翻訳を受ける。翻訳中に、リガンド結合タンパク質は、高分子複合体でそのmRNA前駆体と共にリボソームに非共有結合で付加されて維持される。
次いで、機能FnIIIタンパク質は、磁気ビーズ又はマイクロタイターウェル表面のいずれかに付加される特定のリガンドに結合することができる。富化プロセスにおいて、特定のFnIIIバインダーが溶出される前に、非特異性の変異体が洗浄される。結合したmRNAは、カッパ遺伝子の5´FnIII及び3´部分に特異的なプライマーを用いるRT-PCRによってそれぞれ検出される。その後、増幅された二本鎖cDNAは、配列解析とタンパク質生成のため発現ベクターへクローニングされる。
原核生物の翻訳反応において、反応ミックスないし混合物は、110mlの全容積中、0.2Mグルタミン酸カリウム、6.9mMの酢酸マグネシウム、90mg/mlのタンパク質ジスルフィドイソメラーゼ(Fluka)、50mMのトリス酢酸塩(pH 7.5)、0.35 mMの各アミノ酸、2mM ATP、0.5mM GTP、1mM cAMP、30mMアセチルリン酸、0.5mg/mlの大腸菌tRNA、20mg/mlのフォリニン酸、1.5%のPEG 8000、40mlのS30大腸菌抽出液及び10mgのmRNAを含む。翻訳は、37℃で7分間行なうことができ、その後に氷冷選択バッファー(50mMトリス酢酸塩(pH 7.5)、150mM NaCl、50mM酢酸マグネシウム、0.1%Tween20、2.5mg/mlのヘパリン)の5倍希釈によって、リボソーム複合体は安定させることができる。
ターゲットリガンドのための親和性選択
安定したリボソーム複合体は、ビオチン化ハプテン(50nM蛍光ビオチン(Sigma))又は抗体(100nMのIL-13ビオチン化(Peprotech))と適切に4℃で1〜2時間培養でき、続いて、ストレプトアビジンで皮膜されたM280磁気ビーズ(Dynal)で捕獲できる。次いで、ビーズは洗浄されて、非特異的に結合したリボソーム複合体が取り除かれる。原核生物の選択において、氷冷選択バッファーでの洗浄を5回行うことができる。真核生物の選択において、0.1%BSAと5mM酢酸マグネシウムを含有するPBSでの洗浄が3回行われ、続いて、PBSだけで一度洗浄される。次いで、真核生物の複合体は、37℃で25分間にわたって、40mM Tris-HCl、6mM MgCl2、10mM NaCl、10mM CaCl2での10U DNAse Iで培養でき、続いて、さらなる洗浄がPBS、5mM酢酸マグネシウム、1%Tween20で3回される。
選択されたリボソーム複合体からmRNAの回収
特定の破砕ステップなしのmRNA回収の解析において、磁気ビーズに結合したリボソーム複合体は、逆転写反応へと、直接的に処理できる。リボソーム複合体破砕による原核生物の選択からのmRNAの回収について、選択された複合体は、4℃で10分間にわたって、EB20[50 mM トリス酢酸塩 (pH 7.5)、150mM NaCl、20mM EDTA, 10 mg/ml Saccharomyces cerevisae RNA]で培養できる。真核生物の選択からのmRNAの回収における20mMのEDTAの効率を評価するために、リボソーム複合体は、4℃で10分間にわたって、[PBS20(PBS、20 mM EDTA、10 mg/ml S. cerevisae RNA)]で培養できる。mRNAは市販のキット(High Pure RNA Isolation Kit、Roche)を用いて精製できる。原核生物のサンプルにおいて、キットのDNAse Iによる消化のオプションが行われたが、しなしながら、DNAse Iによる消化は選択後の洗浄中に行われるたので、このステップは真核生物のサンプルには必要ない。逆転写は、4mlの精製されたRNA又は4mlの固定されて選択されたリボソーム複合体(つまり、ビーズ懸濁液)で実行できる。
原核生物のサンプルにおいて、反応物は50mM Tris-HCl (pH 8.3)、75mM KCl、3mMMgCl2、10mMDTT、1.25プライマー、0.5mM PCR核酸ミックス (Amersham Pharmacia)、1U RNAsin (Promega) 及び 5U SuperScript II (Invitrogen)を含み、50℃で30分間の培養が行われた。真核細胞のサンプルにおいて、反応物は50mM Tris-HCl (pH 8.3)、50mM KCl、10mM MgCl2、0.5mMスペルミン、10mM DTT、1.25mM RTプライマー、0.5 mM PCR核酸ミックス、1 U RNasin 及び 5 U AMV逆転写酵素(Promega)を含み、48℃で45分間の培養が行われた。
選択結果のPCR
完全長の構成物の増幅を可視化するために、エンドポイントPCRが実行できる。各逆転写反応の5mlサンプルは、0.25mM PCR核酸ミックス、0.25mM フォワードプライマー(T7B若しくはT7KOZが、それぞれ、原核生物及び/又は真核生物の実験に対して) 及び 0.25mM RTプライマーを含む20mM Tris-HCl (pH 8.4)、50mM KCl、1mM MgCl2、 5% DMSO溶液中の2.5UのTaqポリメラーゼ(ロシュ)で増幅できる。サーマルサイクルは94℃で3分間、次いで、94℃で30秒間、50℃で30秒間及び72℃で1.5分間を30サイクル、そして、最終ステップを72℃で5分間行う。PCR産物は、エチジウムブロマイド染色したアガロースゲルでの電気泳動によって可視化された。次いで、分離したPCR産物は、溶解性のタンパク質生成のための細菌のpBAD発現ベクターへサブクローニングできる。
細菌の発現及び生成
コンピテント大腸菌宿主細胞は、取扱説明書(インビトロジェンPBAD発現システム)の通りに調製される。簡潔に述べれば、40μlのLMG194コンピテント細胞及び0.5μlのpBADFnIII構成物(ほぼ1μgDNA)は、共に氷上で15分間培養でき、この後、1分間の42℃ヒートショックが適用された。次いで、細胞は、LB−Ampプレートにプレーティングし37℃でオーバーナイト成長する前に、SOC培地において37℃で10分間にわたって回収される。FnIII生成のための最適なL-アラビノース誘導濃度を初期段階で決定するために、小規模の液体培養において、翌日、単一コロニーが取られる。OD600=0.5に到達した後の各クローンの複製物は、室温でオーバーナイト成長した後に、L-アラビノースの連続(1:10)滴定(0.2%から終濃度0.00002%へ)で誘起されて試験することができる。試験培養(1ml)は収集されてペレットにされ、また、100μl 1×BBSバッファー(10mM、160mM NaCl、200mMホウ酸、pH=8.0)が、1時間(37℃)にわたるリゾチーム溶液50μlの添加前に細胞を再懸濁するために添加される。リゾチーム消化からの細胞上清は遠心分離の後に収集でき、また、MgSO4は終濃度40mMまで添加することができる。この溶液は、PBSの予め平衡に保たれたNi-NTAカラムに適用することができる。Hisタグ結合のFnIIIサンプルは、PBSバッファーで2度洗浄され、それに対し溶出が250mMイミダゾールの追加で達成できる。可溶性のFnIII発現の純度は、SDS-PAGEによって検査できる。
実施例5
FnIII 07 、FnIII 10 及びFnIII 14 ドメインで例証されたFnIIIドメインに基づいたクレードルライブラリの設計
この実施例では、フィブロネクチン結合ドメインライブラリ配列のために外側に向かって面するループ間の3つのβ鎖と共に、ユニバーサルCD及びFGループ配列は、バイオインフォマティクス及び本発明の基準を使用して、識別され選択される。このプロセスの一般化された概略図は、図1に示される。
配列
7th FnIII domain (FnIII07)−FINC_HUMAN(1173-1265):
PLSPPTNLHLEANpDTGVLTVSWERSTTPDI TGYRITTTPTNGQQGNSLEEVVHADQSSCTFDN LSPGLEYNvsVYTvKDDKESVpISDTllP (配列番号 9 7 )
10th FnIII domain (FnIII10) −FINC_HUMAN(1447-1542):
VSDVPRDLEVVAATpTSLLI SWDAPAVTVRYYRI TYGETGGNSPVQEFTVPGSKSTATI SGLKP GVDYTITVYAVTGRGDsPASSKpISINYRTEI (配列番号 2 8 0 )
14th FnIII domain (FnIII14) −FINC_HUMAN(1813-1901):
NVSPPRRARVTDATETTITISWRTKTETITGFQVDAVPANGQTPIQRTIKPDVRSYTITGLQPG TDYKIYLYTLNDNARSSpWIDAST (配列番号 1 2 9 )
アライメント(整列)
以下は、FnIIIリピート7、10、14(それぞれ、配列番号97、280、129)の配列アライメントである。構造上保存された疎水性コア残基は、太字で示される。
Figure 2013539362
クレードルの定義
クレードルと見なされるフィブロネクチンの部分は、外側へ面するループ間の3つのβ鎖のアミノ酸と共に、ループCDとFGである(図2及び3)。クレードル残基は、以下に示す配列(それぞれ、配列番号97、280、129)において太字で強調される。
Figure 2013539362
クレードルループの分布
フィブロネクチンファミリーのアライメント、PF00041.fullは、ストックホルムのPFAMからダウンロードされた(1.0フォーマット(format)はインターネット(World Wide Web)上、pfam.sanger.ac.uk/family/PF00041#tabview=2に位置する)。FGループはPF00041.fullで切り取られ、米国特許公開2009/017654A1からのデータが代わりに使用された。FGループは配列TGRGDSPASSKPIを含むよう定義され、かつ、末端のT及びIはクレードルのFGループの一部として定義されない。その結果、米国特許公開2009/017654A1からのFGループにおける分布データは、当該分布での各ループ長から2つ分を差し引くことにより修正される。
BCループは、保存されたWの前のアミノ酸、及び、保存されたYまで(Yは含まず)の配列1であるDEループの米国特許公開2009/017654A1での定義に基づいたPF00041.fullにおいて計算された。BCループはPF00041.fullの125−248カラムに対応する。BCループは抽出され、かつ、ギャップが除去された。各ループの長さが決定された。また、ループ長の範囲は1−26であることが分かった。ループの長さの分布が決定された。
その結果はBC_Loop.txtとして取得され、エクセル(登録商標)にフォーマットされて、BC_Loop.xlsxとして保存され、図4Aで示された表及びグラフとなる。下記は、クレードルループ/シートを有するFnIII10(配列番号280)の配列であり、クレードルループ/シートは太字で示される。
Figure 2013539362
CDループの前に位置するシートはβ1(さらにシートCとも称する)と指定され、そして、配列YYRITYGET(配列番号280の残基31-39)を含んだ。CDループは配列GGNSPV(配列番号280の残基40-45)であった。CDループに直接後続のシートはβ2(さらにシートDとも称する)であり、そして、配列QEFTV(配列番号280の残基46-50)を含んだ。FGループの前に位置するシートはβ3(さらにシートFとも称する)であり、そして、配列DYTITVYAVT(配列番号280の残基67-76)を含んだ。FGループは配列GRGDSPASSKP(配列番号280の残基77-87)であった。β1は236−271カラムに対応した。CDループは271−317カラムであった。β2は318−323カラムであった。β3は400−415カラムであった。
各シート又はループの分布は、適切なカラムを使用して、BCループと同じパイソン(Python)・コードで計算された。長さの分布は、シート、β1−β3にはフィブロネクチン分子内のシートの構造の機能ないし役割(duties)と良好に相関する長さの保存が高度にあることを示した(図4A及び4C)。クレードルのCD及びFGループは、ループ長のワイドアレイ(分布)の承認を示す(図4B及び4D)。
クレードルのβシートの配列保存
β1長の9、β2長の44及びβ3長の10のアミノ酸配列は、配列保存のために解析された。
同じコードがβ2及びβ3の分布を計算するために使用された。位置1、3、5、7及び9はクレードルライブラリの設計に関心ある位置であり、図5Aで示されるような適度に低い配列保存を示した。位置2は、ベータ・サンドイッチの反対側のシートからのトリプトファンを介して重要なパック機能(packing roles)がある、高度に保存されたチロシンであると知られている(図5A)。位置4及び6は、構造中のベータ・サンドイッチのパック機能をさらに有し、高い配列保存を示す(図5A)。位置2及び4は、クレードルライブラリにおける関心の位置であり、低い保存を示した(図5C)。全体的にβ2は、β1又はβ3ほど高度に保存されない(図5B)。β1のように、β3の奇数位置はライブラリで使用されることが意図され、低度から適度な保存を示し、また構造上の支持機能を有する位置でさえ高い配列保存を示す。
保存はFnIII7、FnIII10及びFnIII14にマッピングされ、β1−β3の図及びボール/スティック状の図が、図6に示され、保存に依存して着色して示される(白=高度保存、灰色=適度な保存、黒=低度の保存)。
結合表面の領域(面積)
クレードルライブラリがトップ又はボトム側のライブラリに提供する注目すべき利点は、図6に示されるようにフィブロネクチンにおける結合表面の表面積の増加である。フィブロネクチンライブラリを結合するトップ側は、BC、DE及びFGループから構成される。ボトム側ライブラリはAB、CD及びEFループである。クレードルは3つのβ鎖と共にCDとFGのループである。
下記のアライメント(それぞれ配列番号97、280、129)は、トップ側の残基を太字で示す。
Figure 2013539362
下記のアライメント(それぞれ配列番号97、280、129)は、ボトム側の残基を太字で示す。
Figure 2013539362
下記のアライメント(それぞれ配列番号97、280、129)は、クレードル(cradle)残基を太字で示す。
Figure 2013539362
解析の概要
下記の表1(図2Bも)は、クレードルがトップ側ループ又はボトム側ループのおよそ2倍の結合表面を提供し、ライブラリ設計のために意図された残基がトップ側又はボトム側ライブラリよりも少ない保存を有することを示す。
表1 ループの表面面積

Figure 2013539362
さらに、フィブロネクチン分子中のループのうち、CDとFGのループだけには許容されたループ長における大きな変異がある。長さの変異は、これらのループが、位置2のロイシンの>95%の配列保存と共に、FnIII10配列GLKPGV(配列番号280の残基61−66)で定義される、ループ長6の>90%の保存を有するEFループのようなトップ又はボトム側ループより多くの変異を許容するであろうことを示し得る。クレードルは最大のベータシートの3つのβ鎖を含むが、それはトップループ又はボトムループよりも、改変するためのより多くのアミノ酸残基を提示する。下記のアライメントは、FnIII07、FnIII10及びFnIII14(それぞれ配列番号97、280、129)のための配列を示し、ここにトップループはイタリック体であり、ボトム側ループは下線で強調され、また、クレードル残基は太字である。ライブラリ設計を受る可能性のある残基だけが示される。
Figure 2013539362
ループ長の変異が適用されない場合、トップ側、ボトム側及びクレードルは、使用することができる19−23、12−14及び19−24残基をそれぞれ含む。トップ及びボトム側は、その長さが積極的に変異することができる1つだけのループを含んでおり、一方、クレードルはそれらを両方とも含む。
実施例6
多様な哺乳類のFnIIIドメインアライメントの作成
プロファイルは、ヒトのフィブロネクチン・タンパク質、ユニプロット(uniprot)FINC_HUMAN又はP02751で見出されるFnIIIドメインを使用して作成された。
下記のリストはプロファイルメンバーを示す。
Figure 2013539362
各プロファイルメンバーのファスタ(fasta)配列はユニプロトエントリー(Uniprot entry)に由来した。配列はClustal X 2.0.11でアライン(整列)した。FnIII10、RCSB entry 1fnaの結晶構造は、二次構造を強調し、かつ後の解析のためのアライメントの領域を定義するために使用された。フィブロネクチン上のシートはA−Gと表示され、タンパク質のN末端からC末端に向って命名された。
ループはどのシート間に(ループが)あったかに従って(命名)ラベルされた。例:ループCDはシートCとシートDとの間にあった。
アライメントプロファイル
下記のアライメント(FnIII_template.aln)(それぞれ配列番号100、97、129、281−292)は、プロファイル1としてClustal Xにロードされた。
CLUSTAL 2.0.11マルチプル配列アライメント(multiple sequence alignment)
Figure 2013539362
哺乳類フィブロネクチン配列
FnIIIドメインアライメントはPFAMから得られ、PF00041.fullとして保存された。PFAMからのアライメントは、FGループ及びシートG全体のC末端部で断たれた。そのアライメントはストックホルム1.0フォーマットであった。
ファイルfn3.inは1985のユニークな哺乳類配列を含んでおり、プロファイル2としてClustal Xにロードされた。プロファイル2中の配列はすべてプロファイル1にアライメントされた。アウトライアー(外れないし異常なもの)は削除され、プロファイル2中の配列はすべてプロファイル1にアライメントされた。プロファイル2のための最終アライメントは1750の配列を含んだ、fn3_final.alnであった。
各タンパク質が1行のラインを持つように、ファイルfn3_final.alnは再フォーマットされ、FnIII10のC末端を過ぎたアミノ酸はすべてトリム(trim)され、また、ヘッダーがトップに加えられた。ファイルはfibronectins.alnとして保存され、さらなる解析のための基礎アライメントであった。
アミノ酸分布
2010年7月15日現在のSWISS_PROTリリースはfastaフォーマットでダウンロードされた。リリースは総計182,829,264のアミノ酸の非余剰の配列518,415を含んだ。SWISS_PROTリリースでのアミノ酸分布はランダム発生の参照として計算された。
表2 アミノ酸分布の表
Figure 2013539362
哺乳類FnIIIドメインモチーフ
下記に哺乳類FnIIIドメインモチーフを示す。キー:H=親水性、P=極性、B=塩基性、A=酸性、C=荷電、X=選択なし、シートは太字で示され、特定のアミノ酸は下線で強調される。添字は、%表示がないものは長さの変異を示し、%表示のものは出現率を示す。
Figure 2013539362
クレードルライブラリの記述
クレードルライブラリは、元来、ループCD及びFGを伴うシートC、D及びFとして定義されていた。シートDは、フィブロネクチン分子の外部にあり、結合残基に著しく寄与しそうもない。クレードルライブラリの定義は、ループCD及びFGを伴うシートC及びF、並びにその様々な組合せないしコンビネーションであるように正確化される。
ヒトフィブロネクチン配列(それぞれ配列番号292、288、289、283、284、291、97、281、285、100、290、287、282、129及び286)にマッピングされたクレードルライブラリを下記に示す。クレードルライブラリは太字で示す。
Figure 2013539362
トップ側ライブラリはループBC、DE及びFGであり、ボトムライブラリはループAB、CD及びEFである。ABループには67.4%の確率でトレオニン又はセリンである位置1を備えた3アミノ酸長の制約がある。BCループは、28.8%超保存された個々の長さのないループ長の多大な変異を容認する。しかしながら、BCループは、すべてのBC長に>92%で保存され、フィブロネクチンを適切に折り畳むために必要な位置1で重要なトリプトファン残基を含む。さらに、BCループの位置4は>33%の保存のプロリンであり、また、N-1位置は疎水性残基である。
CDループは、5つのアミノ酸を中央とした長さのポアソン分布を有する。CDループで最も豊富なアミノ酸は、位置2及びN-2のグリシンであり、位置5がある場合、30%の確率で、それはトリプトファンである。DEループには4アミノ酸長の制約がある。EFループには高度の配列保存を備えた6アミノ酸長の制約がある。
位置1:44.2%保存のグリシン
位置2:97.8%保存のロイシン、バリン又はイソロイシン
位置3:荷電又は極性アミノ酸
位置4:57.5%保存のプロリン
位置5:44.4%保存のグリシン
位置6:極性アミノ酸である傾向がある
FGループの長さは、>43%の確率でグリシンを有する位置3及び5を伴い、5(32.6%)又は6(62.1%)のいずれかである。残りの位置は、所定のアミノ酸のために<22%の保存を有する。
トップ側ライブラリは、DEループの長さの制約及びBCループ中の保存されたアミノ酸により制限される。ボトム側ライブラリは、ABループに対する3アミノ酸長の制約及びEFループの全体にわたる高度の保存によって制限される。
フィブロネクチンの疎水性パッキング(hydrophobic packing)に最も占めるアミノ酸は、BCループ位置1(W)、シートC位置2(Y/F)、EFループ位置2(L)及びシートF位置2(Y)である。トップ及びボトム側両方のライブラリは、有効な変異を妨害し得る、重要なパッキング残基を有するループを含む。クレードルライブラリ・ループは構造上必要なアミノ酸を含んでいない。さらに、クレードルライブラリは、結合表面を拡張するためにシートC及びFの外側に向かうアミノ酸を利用する。
クレードルライブラリβ鎖C及びFは、フィブロネクチン分子で最長の2つであり、また外部に向かって面するアミノ酸への改変が行なわれる場合にタンパク質を安定させる反平行のβシートを形成するように広範囲に相互作用する。シートCのアミノ酸1、3、5、7−9及びシートFのアミノ酸1、3、5、7、10はクレードルライブラリ(図7A)での使用を意図する。
シートC及びFの残基は、単純化されたアミノ酸タイプ・スキームを使用して解析された。ここで、A/G/P/S/Tは小さく、柔軟であると考慮され、D/E/N/Q/H/K/Rは極性/荷電であると考慮され、F/Y/W/I/L/V/Mは疎水性であると考慮され、またCは二硫化物であると考慮される。
図7Bは、シートC長さ9(SF=アミノ酸A/G/P/S/T; CP=D/E/N/Q/H/K/R; H=F/Y/W/I/L/V/M; C=C)の単純化されたポジショナルディストリビューションないし位置分布(positional distribution)を示す。位置2、4及び6は、疎水性アミノ酸に対する明らかな優位性を示し、フィブロネクチンのコア(中心)に向かって内側に指向している。位置3は、疎水性アミノ酸に対して優位であったが、その優位性は強度でなく、溶媒に向かって外側に指向する。シートC、長さ9、位置3の保存による上位10のアミノ酸は次のとおりであった:
Figure 2013539362
位置1、5、7、8及び9は、わずかな柔軟さ又は荷電/極性アミノ酸に対する明らかな優位性を示し、溶媒に向かって外側に指向していた。
図7Bは、シートF長さ10の単純化されたポジショナルディストリビューションを示す。位置2、4及び6は、疎水性アミノ酸に対する明らかな優位性を示し、フィブロネクチンのコアに向かって内側に指向していた。位置7は、疎水性アミノ酸に対して優位であったが、その優位性は強度でなく、溶媒に向かって外側に指向する。シートF、長さ10、位置7の保存による上位5のアミノ酸は次のとおりであった:
Figure 2013539362
位置1、3、5及び10は、わずかな柔軟さ又は荷電/極性アミノ酸に対する明らかな優位性を示し、溶媒に向かって外側に指向していた。位置9は、疎水性アミノ酸に対して優位であった。シートF、長さ10、位置9の保存による上位5のアミノ酸は次のとおりであった:
Figure 2013539362
位置8は、80%の保存でアラニン又はグリシンを備えた高度に保存されたアラニン残基を含んだ。シートF、長さ10、位置8の保存による上位5のアミノ酸は次のとおりであった:
Figure 2013539362
結合表面の比較
下記にFnIII07FnIII10及びFnIII14(それぞれ配列番号97、100及び129)におけるクレードルライブラリを示す。
Figure 2013539362
下記にFnIII07FnIII10及びFnIII14(それぞれ配列番号97、100及び129)におけるトップ側ライブラリを示す。
Figure 2013539362
下記にFnIII07FnIII10及びFnIII14(それぞれ配列番号97、100及び129)におけるボトム側ライブラリを示す。
Figure 2013539362

表3 各ライブラリの結合表面
Figure 2013539362

表4 トップ側ライブラリに対する各ライブラリの結合表面
Figure 2013539362
クレードルライブラリの要約
FnIIIドメインのβ鎖C、β鎖F、ループCD及びループFGから構成されるクレードルライブラリは、指向性ループに基づいたトップ及びボトム側ライブラリよりも良好な安定性及び利用可能な結合表面を提示する。
抗原を結合すると知られているCDR-H3ドメインにおける分布と比較して、図8は、残基及びアミノ酸変化のアミノ酸分布を示す。図9Cは、XとYで示したクレードル残基に望まれる偏った(biased)アミノ酸分布を示す。
図9D-9Fは、FnIII07FnIII10及びFnIII14の配列におけるクレードルライブラリ定義のマッピングを示す。図9D:FnIII07FnIII10及びFnIII14のクレードル残基のアライメント。βシートは黒色背景上の白字の残基として示され、また、ループは黒字で示される。クレードル残基は、βシートのアミノ酸分布を表すXと、添字として与えられるループ長の範囲の、ループのアミノ酸分布を表わすYを伴って、太字で示される。図9E:FnIII07FnIII10及びFnIII14のβシートC及びF並びにループCD及びFGのクレードル残基を例示するアライメント。βシートは黒色背景上の白字の残基として示され、また、ループは太字で示されたクレードル残基を伴い黒字で示される。図9F:FnIII構造要素残基範囲及びFnIIIクレードル残基範囲が示される。
[実施例7]
リゾチーム、Fc及びヒト血清アルブミン(HSA)に結合するクレードル分子
本実施例は、計算されたデザインライブラリを使用して、ターゲット分子に結合するクレードル分子を生じさせる原理についての証拠を実証する。上記のアプローチを使用して、クレードルバインダは、3つのターゲット(リゾチーム、ヒトFc、及びHSA)に対して、FnIII07、FnIII10、及びFnIII14を使用して、創作された。
FnIII07は、リゾチームを見出す(hit)(各配列番号:97−99):
Figure 2013539362
FnIII10は、リゾチームを見出す(各配列番号:100−128):
Figure 2013539362
FnIII14は、リゾチームを見出す(各配列番号:129−141):
Figure 2013539362
FnIII07は、ヒトFcを見出す(各配列番号:142−143):
Figure 2013539362
FnIII10は、ヒトFcを見出す(各配列番号:144−147):
Figure 2013539362
FnIII14は、ヒトFcを見出す(各配列番号:148−159):
Figure 2013539362
FnIII07は、HSAを見出す(各配列番号:160−199):
Figure 2013539362

Figure 2013539362
FnIII10は、HSAを見出す(各配列番号:200−238):
Figure 2013539362

Figure 2013539362
FnIII14は、HSAを見出す(各配列番号:239−277):
Figure 2013539362

Figure 2013539362

Figure 2013539362
[実施例8]
構造からガイドされる(guided)デザインを使用した、小ユビキチン様修飾因子(SUMO)に関する原理についての証拠
発明者は、本願に記載の方法を実証するための非制限的なモデルとしてSUMOを使用した。以下の記載は、発明の様々な実施形態を例示する目的で与えられ、如何なる態様においても本願発明を制限することを意味しない。当業者は、言及された目的を実施するために、本発明に固有の、これらの目的、目標及び有利な点に、本願発明が良く適合していること理解するだろう。SUMOは、原理を証明する目的のための一般的な実施形態を示すために使用され、発明の範囲を制限することを意図しない。記載された方法及び組成物は、膨大な(plethora)ターゲット分子について使用することができ、単にSUMOにのみに制限されない。特許請求の範囲により規定されるような、本発明の趣旨(spirit)に包含されるその改変及び他の使用は、当業者に想起されるであろう。
SUMO(複数)は、ユビキチンに構造的に類似し、翻訳後に、他のタンパク質にコンジュゲートし、その結果、様々な機能的な調節をもたらす。ヒトにおいては、4つのSUMOアイソフォーム(SUMO1-4)がある(Gareau and Lima, Nature Rev. (2010) 11:861-871)。SUMO1及びSUMO2は、41%の配列同一性(72%の類似性:similarity)を共有するが、機能的に異なっている(図10B、ボトム)(Saitoh and Hinchey, J. Biolog. Chem. (2000) 275:6252-6258; Vertegaal, et al., Mol. Cell Proteomics (2006) 5:2298-2310)。SUMO2及びSUMO3(これらは、まとめてSUMO2/3と称される)は、97%の配列同一性を共有し、機能的に同一であると推測される(Gareau and Lima, supra, 2010; Johnson, Annual Rev. Biochem. (2004) 73:355-382)。SUMO4の翻訳後修飾としての関連は、明確でない(Bohren, et al., Protein Express. Purif. (2007) 54:289-294; Owerbach, et al., Biochemical Biophysical Res. Comm. (2005) 337:517-520)。したがって、SUMO生物学における多くの研究は、SUMO1及びSUMO2/3に焦点を当ててなされている。SUMO化(SUMOylation)は、DNA修復、転写、核輸送及び染色体ダイナミックス(chromosome dynamics)を含む様々な細胞プロセスを制御する重要な役割を担っている(Gareau and Lima, supra, 2010; Johnson, supra, 2004)。SUMO化がタンパク質の機能を変化させる主要な機構は、SUMO相互作用モチーフ(SIM)として知られる短いペプチドモチーフを含む他のタンパク質とのSUMOの媒介による相互作用[以下、SUMO媒介相互作用と呼ぶ]を介したものであると思われる(Johnson, supra, 2004; Kerscher, EMBO Repts. (2007) 8:550-555; Song, et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA (2004) 101:14373-14378)。
SUMO/SIM相互作用の僅かな阻害剤の存在は、SUMO生物学を詳細に解析する能力を限定し、本願に記載された方法と組成物の有効性を実証するための理想的なモデル系を提供する。その様な阻害剤の唯一報告された例において、SIM含有線状ペプチドは、SUMO/SIM相互作用を阻害するために使用され、非相同的末端結合(NHEJ)によるDNA修復に協調することにおける重要性を立証した(Li, et al., Oncogene (2010) 29:3509-3518)。このペプチドは、がん細胞を放射線及び化学治療誘導DNA損傷に対して敏感にさせ、SUMO/SIM阻害剤に関する治療の可能性を示す。これらの知見は、SUMO/SIM阻害剤の有用性を明確に立証するが、ペプチド阻害剤は2つの深刻な欠点に悩まされている。第1には、ペプチドは、SUMO1及びSUMO2/3に等しく良く結合し、各アイソフォームの役割を区別することを不可能にすることである。第2には、ペプチドは、SUMOについて低い親和性(K〜5μM)を有することである(Song, et al., supra, 2004)。その結果、高濃度のペプチドが阻害のために要求される。多くの天然のSIMペプチドは、同様に低い親和性を示し、個々のSUMOアイソフォームを約10倍以下の[差で]区別する(Kerscher, supra, 2007; Chang, et al., J. Biological Chem. (2010) 285:5266-5273; Hecker, et al., J. Biol. Chem. (2006) 281:16117-16127; Sekiyama, et al., J. Biological Chem. (2008) 283:35966-35975; Zhu, et al., J. Biological Chem. (2008) 283:29405-29415)。個々のSUMOアイソフォームのSIM相互作用を選択的に阻害することができる、より親和性の高い薬剤は、各アイソフォームの機能をより良く定義するための強力な道具となり得るであろうし、より有力な治療法となる可能性がある。しかしながら、SIM結合部位がSUMOアイソフォームの間で高度に保存されているので、そのような高選択的な阻害剤の開発は、骨の折れる挑戦である(図16A及び10B、ボトム)(Chupreta, et al., Molec. Cell. Biol. (2005) 25:4272-4282)。SUMOの特定のアイソフォーム間を区別するSUMO/SIM阻害剤又は親和性薬剤(affinity agent)の開発は、本願に記載された方法及び組成物を使用して、その様な親和性薬剤をデザインし、製造する能力を実証するためのモデル系として使用することができる。
FnIIIクレードルライブラリ
ループ位置に加えて、FnIIIスキャフォールドのベータ鎖領域にある位置が多様化されているライブラリが、デザインされ、そして構築されている。BL1ライブラリにおいては、CDループ(41−45残基)の位置が多様化されたが、他方、BL2ライブラリにおいて、その位置が多様化されていないという点で異なる2つの異なったライブラリが本願に記載されている。ライブラリは、以下の、刊行されている手法(Wojcik, et al., supra, 2010)及び本願に記載される手法のファージディスプレイ形式(format)で構築された。BL1及びBL2ライブラリは、それぞれ6×1010及び1×1010の固有(unique)の配列を含むと評価された。
ライブラリからのクレードル分子の選択は、以前に記載されたように行なった(Koide, A., et al., 2009)。ポリヒスチジンタグ化タンパク質の形の以下のターゲットを使用した:ヒトSUMO1、ヒトユビキチン、ヒトAbl SH2ドメイン、ヒトSFMBT2ドメイン、ヒトSCMH1ドメイン、及び緑色蛍光タンパク質。多くのターゲットについて、多数のクローンを単離した。代表例の結合データを、図15(A−C)に表す。モノボディクローンのアミノ酸配列が、表6において与えられる。
表5 クレードルライブラリに使用されたアミノ酸多様性
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野生型の残基は、括弧内に表す

表6 クレードルライブラリから生じたクレードル分子のアミノ酸配列
配列は、その結合ターゲットにしたがってグループ分けされている。「x」は、ライブラリにおいて、多様化された位置を示す。CDループ及びFGループの長さは、BL1及びBL2ライブラリにおいて変化したため、これらのライブラリに表される「x」の数は、ガイダンスのためにのみ表し、これらは、実際の残基の数を正確に反映しない。
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構造からガイドされるライブラリデザイン
多くのタンパク質は、構造的に保存された巨大なファミリーのメンバーである。高度に関連するタンパク質ファミリーの個々のメンバーにおける機能部位を特異的にターゲットとすることができる結合タンパク質は、これらの分子の固有の機能を研究するための道具として有用である。その様なファミリーのタンパク質は、大抵、保存された構造的な特徴に加え、高度なレベルの配列の類似性を示し、個々のファミリーのメンバーを効果的に区別する結合タンパク質を作り出すことを困難にする。ファミリーメンバー間で特に高度に保存された機能部位をターゲットにする場合に、この問題は、さらに顕著になる(pronounce)。すなわち、これらの要因によって、そのような薬剤の製造は、挑戦的なものとなる。
近年の研究において、酵母の小ユビキチン様修飾因子タンパク質(yeast small ubiquitin-like modifier protein: ySUMO)に結合するFnIIIドメイン変異体(ySMB-1)の構造が決定されている。SUMO相互作用モチーフ(SIMs)として知られる短いペプチドモチーフと相互作用するために通常使用される機能部位で、ySMB−1は、ySUMOに結合した(図10A)。SIM結合部位は、SUMOファミリータンパク質間でもっとも保存されている表面を構成する(図10B)(Hecker, et al., J. Biol. Chem. (2006) 281:16117-16127)。この高レベルな保存性にも拘わらず、ySMB−1は、ySUMOを、深く関連する2つのヒトホモログであるhSUMO−1及びhSUMO−2から効果的に区別することが示された。
SUMOファミリータンパク質のSIM結合部位に結合する、特異的かつ高親和性クレードル分子は、SUMO/SIM相互作用の阻害剤として使用することができる可能性がある。異なったSUMOタンパク質におけるこれらの相互作用の役割は良く解明されていないため、そのようなクレードル分子は、SUMO生物学の研究において、有用な道具であり得るであろう。しかしながら、ySUMO及びhSUMO−2に交差反応する単一のhSUMO−1結合クローンを除いては、FnIIIドメインのループが多様化されている組み合わせ的ライブラリ(combinatorial libraries)において、hSUMO−1及びhSUMO−2に対するFnIIIドメイン変異体は、同定されていなかった。これらの困難性は、これらのターゲットに対するFnIIIドメイン変異体を得るために、代替のアプローチが求められていることを示唆する。ySUMO結合FnIIIドメイン変異体であるySMB−1のアーキテクチャ(architecture)を基に、構造からガイドされるライブラリ(structure-guided library)を作成することにより、hSUMO−1のSIM結合部位に結合するクレードル分子が生成された。この戦略の背景にあるアイディアは、ySMB−1の有用な結合モード、及びSIM結合部位の認識を維持するが、クレードル分子結合表面における十分な(sufficient)変換を、他のSUMOタンパク質の予見されるエピトープにおける配列の相違に適応させることである。
ヒトSUMO(hSUMOs)と約45%の配列同一性(約67%の類似性)を有するSUMOの酵母ホモログ(ySUMO)並びに個々のヒトSUMOアイソフォームを特異的にターゲットとするクレードル分子が単離された(図10B、ボトム及び、図16A)。中間のnM K値を有するySUMOに対する多くのクレードル分子が、成功裏に単離された(図16C、D及び図19)。
クレードルライブラリのデザインをさらに改良するために、ySUMOに結合するySUMO結合FnIIIドメイン変異体の結晶構造が決定され、ySUMOをターゲットするための構造的な基礎が明らかにされた。この構造的な情報にガイドされ、hSUMO1に対するアイソフォーム特異的クレードル分子を生じる「SUMOターゲット(SUMO-Targeted)」クレードルライブラリが開発された。〜100nMのKd値でヒトSUMO1のSIM結合部位に結合するが、SUMO2には、400倍(以上)もより弱く結合するクレードル分子が、このライブラリから得られた。機能的な研究により、これらのクレードル分子が、hSUMO1/SIM相互作用及びhSUMO1コンジュゲーションの高度に選択的な阻害剤であることも実証された。
SUMOターゲットファージディスプレイライブラリの、構造によりガイドされるデザイン
ライブラリデザインをガイドするために、ySUMOにおけるySMB−1エピトープの残基を、hSUMO−1及びhSUMO−2において同等の残基と比較した。次に、これらのエピトープ位置のそれぞれの位置と接した、又は近接したySMB−1パラトープ残基を、同定した(図11A、11B)。ySMB−1/ySUMO構造において、改変された(engineered)FGループ及び多様化されていないFnIIIスキャフォールドの部分を使用して、ySMB−1は結合表面を形成する。SUMOターゲットライブラリにおいて、これらの表面のどちらも多様化されている(図11C)。SUMOターゲットライブラリは、3つのSUMOターゲットのうちいずれかの効果的な相補性を許容し得る、野生型ySMB−1残基及び他のアミノ酸型を含む各ySMB−1パラトープ位置にアミノ酸多様性を導入することによってデザインされた(図11B)。例えば、極性アミノ酸及び相補的な電荷を有するアミノ酸が、1以上のSUMOアイソフォームにおいて、荷電した残基と接触すると期待される位置に含まれ、疎水性アミノ酸(複数)が、疎水性の表面と接触すると期待される位置(複数)に含まれ、そして、小さいアミノ酸残基が、SUMOタンパク質などのいくつかにおいて、より大きな側鎖と立体的な衝突をし得る位置に含まれた。
ySMB−1/ySUMO結晶構造において、ySUMOと接触せず、如何なる類似のインターフェイスへ直接関与が可能であるとは思われなかった唯一のS77を除いて、FGループの全ての残基を変化させた。Y76を、D、H、N及びYに変化させた。なぜなら、[この位置は、]ySMB−1インターフェイスにおいて、ySUMOと直接的に接触しなかったが、この位置は、全てのSUMOにおいて、保存されたR55と相互作用する能力があると推測されたからである(図11A)。ySMB−1のロイシン81は、全てのSUMOアイソフォームにわたって保存されているySUMO表面のポケットに埋められており、対応する「アンカー」であるロイシン又はバリンは、その構造を有する全てのSIM/SUMOにおいて保存されている。結果として、アミノ酸の多様性は、この位置において、F、L、I及びVに制限された。FnIIIスキャフォールドのE47及びS86は、ySMB−1インターフェイスにおいて極く最小の接触を作り出し、変化しなかった。スキャフォールドのP87は、ySMB−1インターフェイスにおいて、十分な接触を作り出さなかったが、これは、折り返し構造の摂動を避けるために常に固定(held constant)されており、これは、おそらくFGループの全体的な位置決めの改変を誘導する。SUMOターゲットライブラリにおいて、エンコードされた配列の総数は、1.6×1011であり、製造されたファージライブラリの実寸法(実数)は、2.0×10であった。
再プログラムされたSUMO結合クレードル分子の選択
上で記載した、SUMOターゲットライブラリを使用して、hSUMO−1、hSUMO−2及びySUMOに対して4回(four rounds)の選択を行なった。ターゲットの非存在下でリカバーされた数により除算された、ターゲットの存在下においてリカバーされたファージの数として、富化割合(enrichment ratios)が定義され、そして、(その割合は)概して、ソートされた(sorted)ファージ集団における機能的なバインダの数及び親和性レベルを反映する。4回の選択の後、良好に改良された割合が、ySUMO及びhSUMO−1の両方に関して観察された(それぞれ〜20及び50)。それぞれのターゲットについての32の無作為のクローンを、ファージELISAを使用して、結合活性について解析し、ySUMO及びhSUMO−1のケースでは、100%のクローンが、結合に関して陽性である結果であった。
5の無作為のySUMOクローン及び10の無作為のhSUMO−1クローンは、可溶性タンパク質として発現され、表面プラズモン共鳴(SPR)を介して結合活性が評価された。ファージELISAの結果と一致して、全てのクローンに、結合シグナルが生じた。ySUMOについて、Kは、39nMから3.3μMの範囲と評価された。同様に、hSUMO−1について、Kは、145nMから3.6μMの範囲と評価された(図12B)。したがって、SUMOターゲットライブラリは、ySUMO及びhSUMO−1の両方に対する機能的なクレードル分子の生成に成功し、当該ライブラリは、これら両方のターゲットに対して同様の挙動を示した。
ySUMO及びhSUMO−1結合クレードル分子の配列プロファイル
シーケンシングは、SPRを試験された10のhSUMO−1クレードル分子の全てが、FnIIIスキャフォールド中の位置33に、野生型残基から離れた(野生型残基と異なる)変異を含んでおり、そして、1つを除いた全てのクローンが、位置31に変異を含んでいたことを明らかにした。位置73においては、野生型であるチロシンが、〜50%の確率でリカバーされた。全てのhSUMO−1モノボディのFGループ配列は、ySMB−1への明確な類似性を有しており、目論見どおり、ySMB−1結合モードが、これらのモノボディにおいて維持されたことを示唆する。
興味深いことに、位置73においてYからFへの変異を含んだ1つのクローンを除く、SPRがテストされた全てのySUMOクローンにおいて、野生型スキャフォールド残基がリカバーされた(図12A、12B)。ySUMOクレードル分子のFGループ配列はまた、ySMB−1への類似性を有するが、これらは、hSUMO−1モノボディのFGループ配列と比較して、幾分か、より多様化(divergent)していた。
ySUMO及びhSUMO−1結合クレードル分子の配列特性をさらに調査するために、hSUMO−1についての34の追加のクローン及び、ySUMOについての35の追加のクローンの配列を決定した。これらのクローンの全ては、ファージELISAによってターゲットへの結合が陽性であった。ySUMO及びhSUMO−1クレードル分子の両方に関する全体の配列プロファイルは、ySMB−1配列に及び相互に極めて関連することを表し、デザインに関して、このライブラリ由来のクレードル分子は、これら両ターゲットへのySMB−1様結合モードを維持していることを示唆する(図12A、12C)。しかしながら、ySUMO結合クレードル分子とhSUMO−1結合クレードル分子との間で、はっきりとした違いが、ベータ鎖残基において見られた。40のySUMO結合クローン中、39のクローンが位置31及び33において野生型残基を含んでいた。44のhSUMO−1結合クローン中、ひとつのクローンも位置33において野生型であるアルギニンを含んでおらず、その大部分は、位置31において、野生型であるチロシンを含んでいなかった。両ターゲットに対するクレードル分子は、位置73においてチロシンに向う傾向を表す。hSUMO−1クレードル分子における野生型ベータ鎖残基からの強い逸脱(departure)は、FnIIIベータ鎖における変異が、ySMB−1様結合モードを使用してhSUMO−1に結合するのに必要であることを示唆する。したがって、ベータ鎖残基における修飾によって、ターゲットに対するクレードル分子又はクレードルライブラリの選択性及び/又は親和性を高めることができる。
hSUMO−1クレードル分子における位置33の主要なアミノ酸は、アラニン及びグルタミン酸であり、野生型であるアルギニンと比べて電荷の欠失及び逆転を表す(図12C)。モデル化されたySMB−1/hSUMO−1構造において、FnIIIスキャフォールドの野生型アルギニン残基は、hSUMO−1のK23との潜在的な(potential)立体的及び静電気的な衝突を示す(図13)。この衝突は、hSUMO−1結合クレードル分子における観察された変異によって解決されるかもしれない。FnIIIベータ鎖の位置31における野生型チロシンを上回る、ヒスチジンへの強力な優先性(preference)についての解釈は、モデル化された構造からは明確でない。
ベータ鎖残基と対照的に、ySUMO及びhSUMO−1に対してリカバーされたクレードル分子のFGループ配列は、多くの位置(75、76、78、80、81及び84)において、類似のアミノ酸優先性を示す。この類似性は、ySUMOとhSUMO−1との間で保存されたこれらの位置と主に接触するFGループ残基と一致する(図11A)。興味深いことに、位置80及び81において、hSUMO−1クレードル分子は、ySUMOクレードル分子よりもより明確な優先性(more pronounced preference)を表し、hSUMO−1インターフェイスにおいて、これらの位置で、より強力な選択圧があることを示唆する。また、位置79において、hSUMO−1に対するクレードル分子は、アスパラギン酸塩[sic,アスパラギン酸]への十分な優先性を有する(図12C)。
ySMB−1/hSUMO−1複合体のモデル化された構造を基に、hSUMO−1クレードル分子の位置79及び80(のアミノ酸)は、hSUMO−1の2つのリシン残基に近接するだろうと考えられ、これらのひとつは、ySUMOにおいて(その代わり)アルギニンである(図12A)。ySMB−1において、Y79は、ySUMOのR47と積層(重なり形成)相互作用(stacking interation)を形成する(図11A)。hSUMO−1における位置47のリジン残基は、アスパラギン酸塩[sic,アスパラギン酸]によりよく適合し得る。hSUMO−1のこの領域における塩基性残基は、通常、SIM(複数)における保存された酸性ストレッチ(acidic stretch)と相互作用し、hSUMO−1クレードル分子における「DD」モチーフは、よりSIM様配列の方向へのシフト(ないし移行:shift)をマークする。興味深いことに、これらの2つの酸性残基は、ySUMOクレードル分子においては、強力に保存されておらず、結合に関するこれら接触への依存が、それほど強力ではないのであろうことを示唆する。hSUMO−1クレードル分子は、SIMインターフェイスにおける「アンカー」位置において、ロイシンに比べてイソロイシンへの著しい優先性を示す。hSUMO−1において、SIM結合表面における核(core)残基の同一性に関して、I39(ySUMO)は、バリンに切り詰め(変換)されている(truncated)(図12A)。この変異は、結果として、「アンカー」位置において、より深いポケットをもたらし(Chupreta, et al., supra. (2005))、hSUMO−1クレードル分子におけるより嵩張った側鎖への強力な優先性を説明し得る。
いくつかの相違点にも拘わらず、全体として、FGループ配列の優先性は、ySUMO及びhSUMO−1に対するクレードル分子において類似しており、類似のFGループ配列が両ターゲットへの結合を効果的に媒介することができることを示唆する。この類似性の極端な(extreme)例において、クレードル分子の1つの対(クレードル分子のひとつはySUMOに対してのものであり、もう一つはhSUMO−1に対してのものである)は、位置84における一つのアミノ酸のみによって異なるFGループ配列を有する。ySUMOクレードル分子は、この位置にアラニンを含む一方、hSUMO−1クレードル分子は、セリンを含んでいた(図14A)。多くのhSUMO−1バインダにおいて、この位置にアラニンが生じるので(図12C)、ySUMOクレードル分子におけるアラニン変異は、hSUMO−1への結合活性を十分に変化させる可能性は極めて低い。興味深いことに、これら2つのクレードル分子におけるベータ鎖残基は異なっており、この場合、ベータ鎖残基が単独で、これらのクレードル分子がどちらのターゲットに結合するかを決定し得ることを示唆する。
ySUMO及びhSUMO−1へのこれら2つのクローンの結合は、ファージELISAにより評価された。hSUMO−1クレードル分子は、hSUMO−1及びySUMOの両方に結合した。しかし、予想通りに、野生型FnIIIスキャフォールド残基を含むySUMOクレードル分子は、ySUMOのみにしか結合しなかった(図14B)。これらの結果は、有効に同一なFGループは、ySUMO及びhSUMO−1の両方を認識するのに使用できることを表すが、FnIIIスキャフォールドにおける変異が、hSUMO−1への結合に必要である。これらの結果はまた、クレードル分子における特異性に関するベータ鎖ベース機構を支持する明確な証拠を提供する。
選択されたクレードル分子の特異性
SUMOターゲットライブラリは、ySUMOへのクレードル分子の結合モードを基にしてデザインされたので、ySUMO結合活性は、リカバーされたhSUMO−1クレードル分子において維持され得る可能性は高い。これを調査するために、ファージELISAを使用して、hSUMO−1クレードル分子のySUMOへの結合を評価し、hSUMO−2との交差反応も試験した。どのhSUMO−1クレードル分子もhSUMO−2への結合を表さなかった、しかしながら、およそ50%のhSUMO−1のクレードル分子は、ySUMOへの十分な結合を表した(図14C)。興味深いことに、配列解析では、hSUMO−1特異的なクレードル分子と交差反応するクレードル分子のアミノ酸優位性において明白な違いは明らかにされなかった(図14D)。これらの結果は、異なるクレードル分子における特異性は異なった起源であること及び、hSUMO−1への特異的な結合は、結合インターフェイスにおけるySUMO及びhSUMO−1のアミノ酸優位性における僅かな相違を利用する複数のそして様々な(varying)変異をおそらく要求するであろうことを示唆する。
特異的及び非特異的なクレードル分子の類似の配列に関する代わりの説明は、ターゲットタンパク質のGST融合体を使用するファージELISAにおいて、たとえ弱い相互作用でも強力な結合シグナルを生ずることができるというものである。この解析における親和性の低い解像度(low resolution)は、交差反応について偽陽性を生じ得る。交差反応性として分類されたhSUMO−1結合クレードル分子の多くが、実際に特異的であるならば、これは、これらの2つの群の間の配列プロファイルにおける類似性を説明することができるだろう。弱い結合でさえ顕著なシグナルを生じるので、とりわけファージELISAのデータは、交差反応性に関する偽陰性を生じることはありそうにない。したがって、特異性についてのhSUMO−1クレードル分子の分類は、正確であると思われる。しかしながら、これらのクレードル分子についてのK測定は、十分にそして定量的に交差反応性を評価するのに必要である。
種々のFnIIIドメイン変異体は、ySUMOのSIM結合部位を認識し、hSUMOからySUMOを区別する
FnIIIドメイン変異体が、どのようにySUMOを認識するかを理解するために、2つの最も親和性の高いySUMO結合FnIIIドメイン変異体(ySMB−1及びySMB−2)(図16C、D及び図17)のエピトープが、NMR化学シフト摂動を使用してマップされた。これらの可変ループにおける異なったアミノ酸配列にも拘わらず(図16C)、類似のエピトープに結合する両FnIIIドメイン変異体は、SIM結合部位の中央に位置した(図16E)。33の他のySUMOFnIIIドメイン変異体の結合は、ySMB−1により阻害され、これらもSIM結合部位に結合することを示唆する(図18)。ySMB−1のように、多くのySUMO結合FnIIIドメイン変異体は、ライブラリ構築における鋳型ベクターの不十分な突然変異に由来して、BC及びDEループにポリセリン配列を有しており、これらのループが、結合に貢献しないことを示唆する(図16C及び17)。さらに、これらのFnIIIドメイン変異体の多くは、中央に局在する酸性残基及び近傍の芳香族及び疎水性残基を有する11残基のFGループを有する(図16C及び17)。共に、これらの結果は、基本的に全てのySUMO結合FnIIIドメイン変異体が、類似の相互作用モードを使用して、SIM結合部位を認識することを示唆する。
大部分のySUMO結合FnIIIドメイン変異体は、ファージELISA解析においてhSUMO1又はhSUMO2への、無視できる程度のレベルの結合を示した(図19A)。SIM結合部位はySUMOとhSUMOタンパク質との間で最も高度に保存された表面であるので(図16A)、そのような高い選択性は予想外であった。SPR測定は、ySMB−1(これは、ELISAにおいてySUMOに選択的である)が、82nM KでySUMOに結合し、〜54μM KでhSUMO1に結合することを示し、そして、hSUMO2に検出可能に結合しないことを示し(図21B)、親和性において600倍超でhSUMOsからySUMOを区別する。ySMB−9(これは、ELISAにおいて非選択的である)は、3つのSUMOタンパク質の全てに結合した。ySMB−9は、ySUMO又はhSUMO2のどちらかに対してよりも、高い親和性(68nM K)でhSUMO1に結合したが(図19B)、これは、hSUMO2をたった〜70倍で区別しており、すなわちySMB−1と比較して10倍低い選択性である。とりわけ、ySMB−9は、多くの他のySUMO結合FnIIIドメイン変異体のように、ポリセリンBC及びDEループを有しておらず、そして、ySMB−9はまた、著しく短いFGループを有する(図16B及び17)。競合データは、ySMB−9が、SIM結合部位に結合することを示唆していたが(図17)、その顕著な配列の特徴は、ySMB−9が、多くのySUMO結合FnIIIドメイン変異体と比べて、相互作用の異なったモードを採用することを示唆しており、これはySMB−9のより低い特異性につながる。共に、これらの知見は、多くのySUMO結合FnIIIドメイン変異体の結合モードは、高度に保存されたSIM結合部位へ結合するにも関わらず、ySUMO及びhSUMOsを区別するのに特に有効であることを実証する。したがって、ySUMO結合FnIIIドメイン変異体に類似するモードにおいてhSUMOに結合するFnIIIドメイン変異体を生ずることは、hSUMO(複数)について、より高いアイソフォーム選択性を有するクローンを生ずるだろうことが予測された。
ySMB−1/ySUMO複合体の結晶構造
SIM結合部位のアイソフォーム選択的認識の構造的基礎を理解するために、2.4Åの分解能でySUMOと複合体を形成するySMB−1の結晶構造(表8の構造的な統計)を決定した。NMRエピトープマッピングデータと一致して、ySMB−1は、SIM結合部位に結合した(図20A及び16E)。FnIIIドメイン変異体は、一つの可変ループ(FGループ)及び不変FnIIIベータ鎖由来の残基を使用して、結合表面を形成した(図20A)。これらのポリセリン配列から推測するに、ySMB−1のBC及びDEループは、ySUMOとの直接接触には関与していなかった。
ySMB−1FGループの78−85残基は、残余に貢献する非ループ残基に対して、84%ものFnIIIドメイン変異体結合表面を提供するベータヘアピンを形成する(図20B及び図21A)。このヘアピンの端は、ySUMOと分子間ベータシートを形成するSIM結合部位の疎水性中央部に沿って、結合(dock)し、SIMの相互作用モードをしっかりと模倣する(図20B、C)(Kerscher, supra, 2007; Reverter, D., and Lima, C. D., Nature (2005) 435:687-692; Song, et al., J. Biological Chem. (2005) 280:40122-4012)。SIMsは、概して、酸性残基のストレッチの側面に位置する疎水性残基のストレッチを含む、例えば、RanBP2におけるDVLIVY(SEQ ID NO:296)及び、PIASxにおけるTLDIVD(SEQ ID NO:294)(Song, et al., supra, 2004; Li, et al., supra, 2010; Minty, et al., J. Biological Chem. (2000) 275, 36316-36323)。ySMB−1において、このモチーフは、FGループ配列DLYYSY(SEQ ID NO:295)(残基 80−85)によって模倣される(図16C、及び20B、C)。FnIIIドメイン変異体のD80は、SIMにおいて保存された酸性ストレッチとして、類似の方向におけるSIM結合部位の「頂点」の基礎部分(「top」 basic portion)とアラインし(Kerscher, supra, 2007; Song, et al., supra, 2005)、Tyr残基(複数)は、SIMにおいて脂肪族残基が常に見られる、疎水性のトラクト(索:tract)を形成する(line)。
結晶構造は、ySUMO結合FnIIIドメイン変異体のアイソフォーム選択性に関する構造的基礎及び、ySUMOに対するFnIIIドメイン変異体が生ずることの困難性に関する構造的基礎を示唆する。ySMB−1エピトープにおける16の残基のうちたったの5つのみが、ySUMOとhSUMOとの間で低度に保存されている(位置25、34、36、50及び54)(図10B、ボトム)。これらの残基の内3つ(N25、E34及びF36)は、FnIIIドメイン変異体により埋められている総ySUMO表面の23%(147Å)からなる、高度に埋められているインターフェイスの片側において、クラスタ(cluster)を形成する(図20B及び22A)。hSUMO1はN25K及びF36Hを含む。hSUMO2は、E34V及びF36Qを含む。したがって、ySMB−1に類似するインターフェイスを形成する如何なるFnIII変異体も、hSUMO1又はhSUMO2/3に強固に結合することはありそうにない。とりわけ、このクラスタは、ySMB−1におけるスキャフォールド残基(Y31、R33及びY73)によって、広い部分で接触する(図20C及び22A)。これらのベータ鎖残基は、ライブラリにおいて変化しておらず、立体構造的に(conformationally)剛なベータシートにアンカーされている(anchored)ので、hSUMOsにおいてクラスタの非保存的な置換を受け入れることはできないであろうし、hSUMOについてのySMB−1様FnIIIドメイン変異体の発生を不可能にする。これらの構造的な拘束は、hSUMOに結合することができる、FGループを有する潜在的にとても多くの数のySMB−1様FnIIIドメイン変異体を排除するだろう。したがって、これらの観察は、FnIIIベータ鎖中の残基が、ySUMO結合を好む陽性デザインエレメント、及び、hSUMOへの結合を好まない陰性デザインエレメントの両方として機能することを強力に示唆する。
表7 ySMB−1/ySUMO複合体(PBD ID:3QHT)の構造に関する結晶の情報及び精密化統計
Figure 2013539362

*括弧内に表される最も高い分解能シェルの値
Figure 2013539362
HKL反射のi観測について
Figure 2013539362
§freeは、精密化の前に隔離された反射の5%を有するRである。
表8 FnIIIドメイン変異体ySMB−1及びSIMペプチドのインターフェイス統計
Figure 2013539362

報告された値は、5のSUMO/SIM複合体(PDB IDS 1WYW、1Z5S、2ASQ、2KQS、及び2PRQ)の平均である。5つの複合体全てにわたるこれらの値における標準偏差が与えられる。埋められた表面及び、%組成値(% composition values)は、PROTORP serverを使用して計算した(Reynolds, et al., Bioinformatics (Oxford, England) (2009) 25:413-414)。SC値は、CCP4suiteのsc programを使用して計算した(The CCP4 Suite, Acta Cryst (1994) D50:760-763; Lawrence and Colman, J. Molec. Biol. (1993) 234:946-950)。
SUMOターゲットクレードルライブラリの構造ガイドデザイン
ySMB−1の結合モードが、hSUMO/SIM相互作用のアイソフォーム特異的クレードル阻害剤をデザインするための鋳型として使用することができるだろうという理論を基に、hSUMOタンパク質へ結合するためのySMB−1の「再プログラム」を目的とするライブラリがデザインされた。3つのSUMOタンパク質のいずれかに効果的な相補性を許容し得る野生型アミノ酸及び他のアミノ酸型を含む各ySMB−1パラトープ位置でのアミノ酸多様性を導入した(図22A)(SI法)。とりわけ、このライブラリは、ySUMO結合に関与する、以前は不変であったベータ鎖位置における多様性を含んだ。構築されたファージディスプレイライブラリにおける独立したクローンの数は、デザインの理論的なサイズ(1.6×1011)を妥当にカバーする2.0×10であった。
SUMOターゲットクレードルライブラリ由来のクレードル分子の選択
hSUMO1、hSUMO2及びySUMOに対する、4回のライブラリのソートの後、各ターゲットについて32の無作為に選ばれたクローンが、ファージELISAを使用して、結合活性について解析された。全てのクローンは、ySUMO及びhSUMO1の場合における結合に関して陽性であったが、hSUMO2には1つも結合しなかった。5のySUMO結合クレードル分子及び10のhSUMO1結合クレードル分子が、可溶性タンパク質として発現し、SPRを使用して評価された。これらの全てが結合シグナルを生じ(図22B)、ファージELISAの結果と一致した。ySUMOに関して、クレードル分子は、以前のナイーブな(naieve)ライブラリ由来のFnIIIドメイン変異体のK値と類似するK値を示した(39nMから3.3μM)(図17、23及び16C)。hSUMO1に関して、K値は、118nMから3.6μMの範囲であった(図22B)。したがって、元のライブラリとは違って、SUMOターゲットライブラリは、ySUMO及びhSUMO1の両方に良い親和性を有するクレードル分子を容易く生じさせた。
NMR化学シフト摂動解析により、新しく生じたhSUMO1結合クレードル分子であるhS1MB−4が、SIM結合部位をターゲットとしたことを確認した(図22C)。
ELISAで試験されたように、15の他のhSUMO1結合クレードル分子の結合は、hS1MB−4により阻害されており、これらのhSUMO1結合クレードル分子の全てが、意図した通り、SIM結合部位をターゲットにしたことを強く示唆する(図24)。
44のhSUMO−1結合クローン及び40のySUMO結合クローンのアミノ酸配列は、両ターゲットに対するクレードル分子が、ySMB−1と高度に類似するFGループ配列を含んでいたことを明らかにし(図22D)、ySMB−1様結合モードが、これらのクレードル分子において維持されていたこと及び、ySMB−1様FGループ配列は、ySUMO及びhSUMO1の両方に結合するのに有効であることを示唆する。一方、ベータ鎖残基は、2つのターゲットに対するクレードル分子で明確に異なっていた(図22D)。野生型ySMB−1ベータ鎖残基は、ySUMO結合クレードル分子の間で高度に保存されていたが、hSUMO1結合クレードル分子においては、野生型アミノ酸は、位置33において、全くリカバーされておらず、位置31においてまれにリカバーされたのみであった。これらの結果は、ySUMO結合クレードル分子におけるアイソフォーム選択性が、クレードルスキャフォールドの非ループ領域により作られる接触から生じるという発明者の見解を強烈に支持する。この機構と一致して、ほぼ同一のFGループ配列を有するクレードル分子の対(hS1MB−22及びySMB−ST6)において、野生型スキャフォールド残基を含むySMB−ST6は、ySUMにのみ結合したが、一方、改変されたスキャフォールド残基を含むhS1MB−22は、ySUMO及びhSUMO1の両方に結合したことが観察された(図22A及び22E)。まとめると、これらの結果は、hSUMO1への結合を容易にするために、FnIIIドメインにおいて非ループ残基を改変することの重要性を示す。
hSUMO1とのySMB−1インターフェイスのモデリングは、hSUMO1結合クレードル分子における非ループ残基の観察された変異に関する明確な論理的根拠を提供する。ySUMOに対するhSUMO1におけるN25K及びF36H置換は、結果として、FnIIIドメインのY73とySUMOにおけるF36との間の、近接した端−面(edge-plane)の芳香族相互作用の喪失と共に、FnIIIドメインのR33とhSUMO1のK25との間の、起こり得る静電気的及び立体的な衝突をもたらす(図22F)。とりわけ、hSUMO1結合クレードル分子の位置33の最も好まれるアミノ酸型は、Ala及びGluであり、これらのどちらかは、K25との衝突を回避するはずであり、結合特異性に関するこの分子機構を支持する。
hSUMO1結合クレードル分子は、アイソフォーム特異的である
hSUMO1結合クレードル分子は、ファージELISAにより評価されるように、hSUMO1及びySUMOを区別可能なように変化していた(図25A及び26A)。
ySUMOに検出可能な結合を示さなかったいくつかのクローンがあり(例えば、hS1MB−7、16及び23)、hSUMO1への結合よりも少なくとも100倍弱くySUMOに結合することを示す(図25A及び26A)。SPRによって測定されるように、hS1MB−4のySUMO及びhSUMO1への親和性の違いは、〜20倍であり、〜10倍の差を生じたファージELISA試験を証明する(図25B及び26B)。ySUMOを区別する又は区別しないクローンの配列間で異なった特徴は明確でなく(図26B)、これは、ySUMO/hSUMO1の区別の機構が複雑であることを示唆しており、いくつかの位置が関与しているかも知れず、異なったクローンに渡って変化したかも知れない。hSUMO2に対するクレードル分子を発生させるという目的の我々のライブラリの失敗(failure)から予期されるように、hSUMO1結合クレードル分子は、ファージELISAにおいて、hSUMO2への検出可能な結合が見られなかった(図25A及び26A)、そして、SPRによって決定されるhSUMO2に対するhS1MB−4の親和性はとても弱く(K=43μM;図25B)、hSUMO1とhSUMO2との間の360倍の区別[親和性の差]に対応する。まとめると、これらのデータは、SUMOターゲットクレードルライブラリは、hSUMO1に対する高い親和性と高い特異性を有する様々なクレードル分子を生じさせる能力を有することを実証する。
新しいクレードル分子は、SUMO1/SIM相互作用及びSUMO1コンジュゲーションを阻害する
hSUMO1特異的クレードル分子の、SUMO生物学を研究するための道具(tool)としての潜在的な有用性を調べるために、3つの主要な過程(process):SUMO/SIM相互作用、SUMO化、及び脱SUMO化、におけるこれらの効果を調査した。hS1MB−4は、用量依存的な態様で、SUMO1−RanGAPとRanBP2との間のSIM媒介相互作用を完全に阻害した(図27A)(Johnson, supra, 2004; Mahajan, et al., Cell (1997) 88:97-107; Matunis, et al., J. Cell Biol. (1996) 135:1457-1470)、さらに、予期どおりに、これらのクレードル分子がSIM結合部位に結合することを確認し、それらのSUMO/SIM相互作用の阻害剤としての有効性を実証した。
SUMO化でのクレードル分子の効果を、次に、SUMOsとSUMOコンジュゲーションカスケードのSUMO E1活性化酵素(SAE1/SAE2)とE2コンジュゲーション酵素(Ubc9)との間の共有結合複合体のインビトロでの形成を観察することにより調査した(図27B)。この解析において、hSUMO1及びhSUMO3の両方が基質として存在しており、クレードル分子のアイソフォーム特異性の直接的な評価を可能にする。クレードル分子の非存在下、又はySUMO特異的ySMB−1クレードル分子の存在下において、E1及びE2は、hSUMO1及びhSUMO3の両方とコンジュゲートした(図27C、レーン1及び2)。一方、hS1MB−4又はhS1MB−5のどちらかの存在下において、hSUMO1のコンジュゲーションは、E1依存的なステップで阻害されたが、hSUMO3コンジュゲーションは促進された(図27C、レーン3−8)。hSUMO1及びhSUMO3は、同一のE1活性化酵素に関して競合するので、hSUMO3コンジュゲーションの促進は、競合剤としてのhSUMO1が効果的に排除され、そして、E1酵素がhSUMO3により多く利用できたという理由である可能性が高い。SIMベースペプチド阻害剤は、この過程を阻害しなかったため(Li, et al., supra, 2010)、クレードル分子によるhSUMO1コンジュゲーションの有効な阻害は、注目すべきものであった。
ySMB−1/ySUMO複合体構造の、E1/hSUMO1複合体の結晶構造(Olsen, et al., supra, 2010)との重ね合わせ(superposition)は、ySMB−1と類似した形態において、hSUMO1に結合するクレードル分子が、E1の構造的に良く定義されている領域と立体的に衝突する原因とはならないだろうことを示唆する。むしろ、クレードル分子は、SAE1サブユニット(残基〜175−205)における長い不規則なループの軌道に配置されるだろう(図28)。結果として、クレードル分子とSAE1ループとの間の立体的な衝突は、クレードル分子/hSUMO1複合体の、E1への結合を妨げ、したがって、これはE1依存的ステップでのSUMO化を阻害することが予想される。SIMペプチドに基づく以前に報告された阻害剤は、十分に小さく、そのような立体的な障害の原因になる可能性はないと思われ、この(阻害剤)が、SUMO化をなぜ阻害しなかったかを説明する(Li, et al., supra, 2010)。hS1MB−4は、SUMO化を阻害することについて、hS1MB−5よりも顕著に一層効果的であった(図27B)(これらのhSUMO1についてのK値は、〜2倍異なるのみであり、これらの大きさは、本質的に同一であるが(図22B))。この阻害効果の違いは、hSUMO1に結合したときの2つのクレードル分子の空間的な配置における微妙な変化によって説明が可能であろうし、提案された機構と一致する。
hSUMO1 C末端ジグリシン配列でのSENP1開裂を観察することによるインビトロ解析によると、hS1MB−4及びhS1MB−5のどちらも脱SUMO化に影響しなかった(Tatham and Hay, Methods Mol. Biol. (2009) 497:253-268)(図29)。ySMB−1/ySUMO構造の、SENP1に結合するhSUMO1の構造との重ね合わせ(Shen, et al., Nat. Struct. Mol. Biol. (2006) 13:1069-1077)は、クレードル分子とプロテアーゼとの間に明確な衝突がないことを示唆し、類似の態様でySMB−1に結合するクレードル分子は、SENP1/hSUMO1相互作用を阻害することはないだろうことを示唆する。
材料と方法
「ファージディスプレイライブラリ構築」
SUMOターゲットファージディスプレイライブラリを、近年における最適化(Wojcik, et al., supra, 2010)も組み込んだ以前に記載されている方法(Koide, A., et al., supra, 2007)で調製した。ライブラリを、BC、DE及びFGループにおけるポリセリン配列を含む「シェイブした(shaved)」鋳型を使用して創作した。アミノ酸多様性を、図11B及び高効率Kunkel遺伝子突然変異によって示されるコドンの縮重を使用して、FGループ及びスキャフォールド位置に導入した。
「ファージディスプレイ選択」
選択での使用に関して、ySUMO、hSUMO−1及びhSUMO−2を、N末端の近傍の単一のシステインを除いてシステイン残基を欠く(CからSへの変異)改変されたGST(グルタチオン−S−トランスフェラーゼ)変異体へのC末端融合体として発現した。これは、遺伝子を、以前に報告されたベクター(Wojcik, et al., supra, 2010)にクローニングすることにより達成した。hSUMO−1の場合、C52A変異が使用され、hSUMO−2の場合は、C47S変異が使用された。GST融合ターゲットは、EZリンク(link)ビオチンHPDP(Pierce)を使用して、酸化還元開裂可能ビオチン部分(モイエティ、moiety)を有する様に修飾した。ファージ増殖に関して、LacI含有プラスミドpMCSG21が形質転換されたXL1−Blue E.coli細胞(XL21細胞と称する)を、IPTGが添加されるまで、転写静止を維持するために使用した。クレードル分子ディスプレイファージは、0.2mM IPTG及びヘルパー(helper)ファージ K07の存在下で、ファージミドライブラリをトランスフェクトしたXL21細胞を成長させることにより調製した(Koide, A., and Koide, S., supra, 2007; Sidhu, S. S., et al., Methods Enzymol. (2000) 328:333-363)。第一回目のライブラリ選択において、50nMのビオチン化GSTターゲットを、十分量のストレプトアビジンコンジュゲート磁石ビーズ(Streptavidin MagneSphere(登録商標)Paramagnetic Particles; Promega, Z5481/2)と共に0.05% Tween20含有TBS(50mM Tris HClバッファ pH7.5 150mM NaCl)(TBST)中で混合した。ビーズをTBST中、ビオチンの5μM溶液でブロックした。このターゲット溶液に、0.5ml TBST+0.5% BSAに1011−12のファージを懸濁したものを加え、この溶液を混合し、室温で15分間インキュベートした。ビーズをTBSTで2回洗浄した後、結合されたファージを含むビーズ懸濁液を新しいXL21培地に添加した。ファージを、以前に記載した方法(Sidhu, et al., supra, 2000)で増殖させた。第二回目(の選択)(round)において、ファージを、500nMの非ビオチン化GST競合剤(competitor)を含有するTBST+0.5% BSAで前インキュベートし、集団からGSTバインダを除去した。ターゲット結合ファージは、次に、10nM GSTターゲットを担持した(load)ストレプトアビジンコンジュゲート磁石ビーズにより捕獲した。ターゲットタンパク質に結合したファージは、50mM Tris pH=8.0に100mM DTTを含有するビオチン化薬剤中でリンカーを開裂させることによりビーズから溶出した。ファージミドを、上に記載したように、洗浄し、リカバーした。増殖の後、第3回、第4回目の選択を、それぞれ1nM及び0.1nMのターゲットを使用して行なった。
「タンパク質の発現と精製」
GST融合タンパク質を、遺伝子を以前に記載したベクター(Wojcik, et al., supra, 2010)にクローニングすることにより製造した。他のタンパク質の全ては、遺伝子をpHFT2ベクターにクローニングすることにより発現させた。pHFT2は、6−Hisの代わりに10−Hisタグを含むpHFT1の誘導体である。特に注記しない限り、全てのタンパク質は、Studierらの方法、Protein Express.Purif.(2005) 41: 207−234に従って、ZYP−5052自己誘導培地中で適切なpHFT2ベクターを有するBL21(DE3)細胞を成長させることにより発現させた。タンパク質は、Kingfisher instrument(Thermo)と連結させた、Ni−セファロースカラム(GE Healthcare)、又は、His−Mag磁性粒子(Novagen)を使用して精製した。
「表面プラズモン共鳴」
ターゲット結合から[導かれる]理論的な最大反応(Rmax)が100−200RUとなるように、Biacore(登録商標)2000instrumentを使用して、上に記載したように精製されたクレードル分子を、His−タグを介して、NTA表面に固定した。濃度を種々変化させたターゲットタンパク質を、次に,30μL/分の流速で、表面上に流し、結合シグナルを記録した。キネティックトレース(kinetic traces)の適合(あてはめ:fitting)は、BIAevaluation softwareを使用して行なった。平衡試験に関して、複数のターゲット濃度について平衡結合反応を記録し、単純な1:1飽和結合曲線に適合させた。
「ファージELISA」
ファージ増殖に関して、LacI含有プラスミドpMCSG21が形質転換されたE.Coli XL1Blue細胞を使用した(Stols, et al., Protein Express. Purif. (2007) 53:396-403)(以下、「XL21」と称する)。クレードル分子ディスプレイファージは、個々のクローンのファージミドをトランスフェクトしたXL21細胞を、0.2mM IPTG及びヘルパーファージ K07の存在下で、成長させることにより調製した(Koide, A., and Koide, S., supra, 2007; Sidhu, et al., supra, 2000)。培地を次に、遠心分離し、ファージ含有上清をELISA解析に使用した。全てのインキュベーションは、室温で実施した。hSUMO1結合クレードル分子の特異性の試験に使用した、ファージタイトレーション(titration)試験(図26)を除く全ての場合において、96ウェル Microlon(c)(Greiner)ELISAプレートのウェルに、150mM NaCl、pH7.5含有50mM Tris Clバッファ(TBS)中、適切なターゲットタンパク質のGST融合物の2μg/mL溶液で処理するか、又はGSTのみで処理し、1時間インキュベートし、続いて、TBS中、0.5% BSAで1時間ブロックした。hSUMO1バインダ特異性試験において、TBS中、2μg/mL NeutrAvidin(登録商標)で被覆し、続いて、0.5% BSAでブロックし、そして、BT−Tris NTA化合物と複合体を形成したヒスチジンタグ化ySUMO、hSUMO1又はhSUMO2(ヒスチジンタグにビオチン部分(モイエティ)を非共有結合的に連結したものである)(Koide, A., et al., supra, 2007; Reichel, et al., Analytical Chem. (2007) 79:8590-8600)の50nM 溶液を添加して、30分間インキュベートした。エピトープマッピング競合試験において、GSTターゲットで被覆したウェルは、次に、TBS中、1μM ySMB−1又は1μM hS1MB−4、又はTBSのみのもの、のいずれかと共に1時間インキュベートした。他の試験においては、このステップは行なわなかった。ウェルをTBS+0.1% Tween20(TBST)で洗浄した後、50μLの、TBS+0.5% BSAでのファージ上清の30%溶液をウェルに加え、30分間インキュベートした。ファージタイトレーション試験において、この30%溶液のシリアル5倍段階希釈液もまた試験した。競合試験において、1μM ySMB−1又は1μM hS1MB−4が結合混合液に含まれていた。結合したファージを次に、Ultra TMBELISA比色解析基質(Pierce)に連結した西洋ワサビペルオキシダーゼ(GE Healthcare)にコンジュゲートされた抗M13抗体を使用して検出した。5分後に、反応をHSOの添加により抑え、ファージ結合を450nmで測定される吸光度によって定量した。
「NMRエピトープマッピング」
過剰の非ラベル化クレードル分子の存在下及び非存在下に、ラベルされたySUMO及びhSUMO1のH−15N−HSQCスペクトラにおける化学シフトを比較することより、NMRエピトープマッピングを行なった。均一に15Nラベル化されたySUMO及びhSUMO1を、ySUMO又はhSUMO1遺伝子を含有するpHFT2誘導体を有するBL21(DE3)細胞を、15NHClを唯一の窒素源として有するM9倍地中で、培養することにより製造した。pHFT2は、6−Hisの代わりに10−Hisタグを有するpHFT1(Huang, et al., supra, 2006)誘導体である。C52A変異を含むhSUMO1変異体を使用した。タンパク質発現は、1mM IPTGの添加により誘導した。タンパク質は、Ni−セファロースカラム(GE Healthcare)を使用して精製した。TEVプロテアーゼでのN末端タグ配列の開裂の後、タンパク質を濃縮し、50mM フォスファート、100mM NaCl、pH=6.5に溶解した。H、15N−HSQCスペクトラを、製造者により提供されたパルス配列を使用して、Varian(Palo Alto, CA)INOVA 600 NMRスペクトロメーターで、回収した。全てのySUMOスペクトラを、20℃で記録した。全てのhSUMO1スペクトラを、17℃で記録した。ySUMO共鳴を、Shengらにより以前に報告された割当て(assignment)を使用して割当てた(Sheng and Liao, Protein Sci. (2002) 11:1482-1491)。hSUMO1共鳴を、Macauley, et al. J. Biological Chem. (2004) 279:49131-49137により以前に報告された割当を使用して割当てた。上記のバッファ中、フリーな[15N]−ySUMO(380μM)、フリーな[15N]−hSUMO1(228μM)、ラベルされていないクレードル分子(200μM)と複合体を形成した[15N]−ySUMO(100μM)及び、ラベルされていないクレードル分子(484μM)と複合体を形成した[15N]−hSUMO1(242μM)について、スペクトラを収集した。クレードル分子の結合により影響を受ける残基を、フリーなもの[のスペクトラ]とクレードル分子が結合したものスペクトラを比較することにより特定した。アミドの交差ピークを5のカテゴリーに分類した:強力に影響をうけたもの(2つのピーク幅よりも大きいシフト)、適度に影響を受けたもの(1つのピークの幅と2つのピークの幅の間のシフト)、弱く影響を受けたもの(およそ1つのピーク幅のシフト)、影響を受けなかったもの(1つのピーク未満のシフト)、及び排除されたもの(不明瞭でなく割当てが出来なかった共鳴)(Farmer, et al., Nature Struct. Biol. (1996) 3:995-997; Huang, et al., J. Molec. Biol. (1998) 281:61-67)。
「X線結晶学」
ySMB−1及びySUMOタンパク質を上に記載されたように発現させ、精製した。TEVプロテアーゼで、タグ配列を除去した後、2つのタンパク質を、1:1のモル比で混合し、4.9mg/mLの総タンパク質濃度に濃縮し、そして、10mM Tris、50mM NaCl、pH=8.0に溶解した。複合体の形成及び単分散をゲル濾過により行なった。ySMB−1/ySUMO複合体を14% PEG8000、16% グリセロールで、19℃で、ハンギングドロップ蒸気拡散法(hanging drop vapor diffusion method)を使用して結晶化した。80% 母液及び、凍結保護物質として20% グリセロールの混合液で結晶を凍結した。APSビームライン21−ID−F(Advanced Photon Source, Argonne National Laboratory)で回折データを回収した。結晶及びデータ収集情報は、表4に説明する。X線回析データは、HKL2000で処理し(processed)、スケール化(scaled)した(Otwinowski, Z., and Minor, W., Methods in Enz. (1997) 276:307-326)。CCP4((1994) The CCP4 suite)のプログラム MOLREPで、2つの異なったモデルで、配列検索を使用して、分子置換により、構造を決定した。ySUMO構造(C鎖 PDB ID Code 2EKEの残基1013−1098)を、可変ループ領域が欠損したFnIII構造(PDB ID code 1FNA)と共に、検索モデルとして使用した(Dickinson, C., D., et al., J. Mol. Biol. (1994) 236:1079-1092; Duda, et al., J. Molec. Biol. (2007) 369:619-630)。リジッドボディリファインメント(Rigid body refinement)は、REFMAC5で行なった(Murshudov, G. N., et al., Acta Crystallogr D Biol Crystallogr (1997) 53:240-255)。モデル構築及び水分子の検索は、Coot programを使用して行なった(Emsley, P., and Cowtan, K., Acta Crystallogr D Biol Crystallogr (2004) 60:2126-2132)。模擬アニーリングは、CNS1.1において行なった(Brunger, A. T., et al., Acta Crystallogr D Biol Crystallogr (1998) 54:905-921)。TLS(Translation/Libration/Screw)及びバルク溶媒パラメータ、制限された温度因子及び最終的な位置の精緻化は、REFMAC5で完遂した(Murshudov, et al., supra, 1997)。分子図は、PyMOLを使用して作成した(これは、World Wide Webのpymol.orgにある)。
「SUMOターゲットクレードルライブラリのデザイン」
SUMOターゲットライブラリにおける位置と多様性の選択は以下の論理的根拠で行なった。FGループの全ての残基を、ySMB−1/ySUMO結晶構造においてySUMOと接触せず、如何なる類似のインターフェイスにも直接に関与することができると思われなかった1つの残基S77を除いて改変した。76番目の位置は、ySMB−1インターフェイスにおいてySUMOと直接的に接触しないが、この位置は、全てのSUMOにおいて保存されているR55と相互作用し得ると考えられたので(図22A)、発明者は、Y76をD、H、N及びYに改変した。ySMB−1のロイシン81は、全てのSUMOアイソフォームにわたって保存されているySUMO表面のポケット内に埋められており、対応する「アンカー」であるロイシン[sic,イソロイシン]又はバリンは、全てのSIM/SUMO複合体の構造に保存されている。結果として、この位置のアミノ酸多様性は、F、L、I及びVに制限された。E47及びS86は、ySMB−1インターフェイスにおいて極最小の接触を作り、これらは変化しなかった。FGループのP87は、ySMB−1インターフェイスにおいて、明瞭な接触を作らなかったが、これは、ターン構造(turn structure)の摂動を避けるために、常に定置(constant)されており、これは、おそらくFGループの全体的な位置決めの改変を誘導する。
「SUMO/SIM相互作用におけるクレードル分子の効果」
Microlon(著作権)(Greiner)ELISAプレートのウェルを2μg/mL GST−RanBP2で、1時間室温で被覆した。このRanBP32のIR1−M−IR2コンストラクト(construct)は、以前に記載されている(Tatham, et al., Nat. Struct. Mol. Biol. (2005) 12:67-74)。複合体を、hisタグ化SUMO化RanGAP(これはSUMO1で修飾されている)と、ビオチン部分(モイエティ)をHisタグに非共有結合的に取り付けるBT−Tris−NTA剤との間で前形成した(Koide, A., et al., Protein Eng. Des. Sel. (2009) 22:685-690; Reichel, et al., supra, 2007)。この複合体を、濃度を変えたhS1MB−4と共に、1時間インキュベートし、そして、混合液を、ELISAプレートに添加し、30分間インキュベートした。結合したSUMO−RanGAPは、次に、Ultra TMB ELISA薬剤(Pierce)に連結したストレプトアビジン−西洋ワサビペルオキシダーゼコンジュゲートを使用して、検出した。反応を2M HSOで抑え、450nmの吸光度で測定した。
「SUMO化でのクレードル分子の効果」
hSUMO1及びHis−SUMO3(24 μM ea.)の混合液は、濃度を種々変えたクレードル分子、hS1MB−4又はhS1MB−5のどちらかと混合し、1時間インキュベートした。E1(SAE1/2, 1.7 μM)、E2(Ubc9, 13.7 μM)、及びATP(5.5 mM)の混合液を次に添加し、そしてSUMO化反応を、37℃で10分間、継続させた。反応を次に、SDS−PAGEローディングダイの添加により抑え、反応混合液を、SDS−PAGEにより解析した。
「脱SUMO化でのクレードル分子の効果」
YFP−hSUMO1−ECFP融合タンパク質(63 μg/mL)を、濃度を変えたクレードル分子hS1MB−4、hS1MB−5又は、コントロールとしてySMB−1と混合し、室温で30分間インキュベートした。SENP1を次に、32nMの最終濃度で加え、混合液を15分間、37℃でインキュベートした。反応を、反応容器を氷上に置くことで停止させ、SDS−PAGEサンプルバッファを添加し、次に5分間沸騰させた。反応混合液を次に、SDS−PAGEにより解析した。
[実施例9]
FnIIIベータシートライブラリデザインの代替的表面を使用して構築されたクレードル分子
FnIIIドメインは、2つのベータシートを有しており(図30A)、1つは、ベータ鎖A、B及びEにより構築されており、他方は、ベータ鎖C、D、F及びGにより構築されている。ターゲット(Abl SH2ドメイン)と複合形成したクレードル分子の結晶構造は、FnIIIドメインのCDFGベータシート領域の残基(複数)(これらは、我々のライブラリにおいては多様化していなかった)によって作られる広範囲の相互作用(extensive interaction)を明らかにした(図30C)(Wojcik, et al., supra, 2010)。アラニンスキャニング突然変異試験は、結合におけるこれらの残基のエネルギーの重要性を実証した(Wojcik, et al., supra, 2010)。これらのベータシート表面の似たような使用が、酵母小ユビキチン様修飾因子(ySUMO)に結合するクレードル分子においても観察された(Gilbreth, R. N., et al., Proc Natl Acad Sci USA (2011) 108:7751-7756)。これらの観察は、抗体―模倣工学(antibody-mimic engineering)(たとえば、抗体相補性決定領域(CDRs)に相当するループにより特徴付けられる相互作用)に頼った従来のデザインとは異なるターゲット結合表面を構築することは可能であり得ることを示唆する。CDFGベータシートの表面は、僅かに凹んでおり、多くの球形巨大分子に見られる凸形表面に相補的な認識表面(recognition surface)を形成するのに適していることを示唆する。
そのような代わりのFnIIIライブラリデザインの有効性、及び、従来のループに注目したFnIII工学の戦略と比較したそれらの性能はどの程度のものであるかを調査するために、2つの異なったクレードル分子ライブラリが構築された。クレードルライブラリと称される1つめのライブラリは、FG及びCDループにおける残基、並びにベータ鎖Cにおける残基(残基31及び33)及び[ベータ鎖]Dにおける残基(残基47及び49)を利用し(図30E及び31A)、上に記載のような凹形結合表面を表現した。ループのみライブラリと称される他のライブラリは、ベータシート領域において多様化された残基を有さない、BC、DE及びFGループにおける位置を利用する従来のFnIIIライブラリデザインを構成する(図30D及び31B)。
以前に記載されたように(Wojcik, et al., supra, 2010)、両ライブラリにおいて、高度にバイアスされた(偏った)アミノ酸の多様性及び、FGループの様々なループ長を使用した。ループのみライブラリにおいて、この多様性をまた、長さを変化させたBCループの位置にも使用した。ループのみライブラリにおけるDEループは、長さが固定され、位置52にも含まれるTyr又はSerに対してのみGlyで多様化された(図31B)。クレードルライブラリにおいて、Pro及びGlyを除くコドン、FnIIIドメインの構造的な整合性(integrity)に悪影響がでる可能性があるアミノ酸を、内部ベータ鎖であるベータ鎖Cの位置に使用した。末端の鎖であるベータ鎖Dに関して、アミノ酸の小サブセット(Ala、Glu、Lys及びThr)を使用した。Ala及びThrは、ターゲットの結合を妨げ得る大きな側鎖を避けるように意図され、Glu及びLysは、分子間ベータシートの形成により媒介される凝集を妨げるための陰性デザイン要素として含有させた(Richardson, J. S., and Richardson, D. C., Proc Natl Acad Sci USA (2002) 99:2754-2759)。Tyrは、タンパク質相互作用インターフェイスの作成に高度に適しているので(Koide, S., and Sidhu, S. S., ACS Chem Biol (2009) 4:325-334)、Tyr73は、常にターゲットとの相互作用に貢献しているであろうという期待から多様化しなかった。それぞれ2.0×1010及び1.5×1010の独立した配列の推定数を有するファージディスプレイ形式(format)で、両ライブラリを構築した。
クレードルライブラリ由来の高親和性FNIIIクレードル分子
従来の「ループのみ」ライブラリ(Wojcik, et al., supra, 2010)に対する新しいクレードルライブラリの性能は、3つのターゲット(Abl SH2、ヒト小ユビキチン様修飾因子1(hSUMO1)、及び緑色蛍光タンパク質(GFP))を使用して比較された。多様化された残基の局在を除いて、これらのライブラリについての分子プラットフォーム(molecular platform)は同一であった。これらのライブラリは、類似した数の独立した配列(複数)を含んでいた。ターゲットとライブラリの各組み合わせに関して、クレードル分子を生じさせるための以下のステップを行なった。第一に、ファージディスプレイ由来のクレードル分子を富化させた。N末端セグメント及びC末端セグメントを次に、E鎖において結合を有する、与えられたターゲットについて富化させた集団におけるクレードル分子クローンの間で「シャッフル」し、酵母表面ディスプレイ形式における第2世代(second-generation)ライブラリを創作した(Koide, et al., supra, 2007)。遺伝子シャッフリングステップを、最初のファージディスプレイライブラリにおいてサンプルされたものを越えて配列空間を増加させるために組み込んだ。最終的に、酵母表面ディスプレイライブラリを、フロサイトメトリーを使用してソートした。
クレードルライブラリ及び「ループのみ」ライブラリの両方由来のターゲットの全てに対するFnIIIドメイン変異体を発生させた。多くのFnIIIドメイン変異体が、酵母ディスプレイ形式で測定され、低いnMの範囲にK値を有する高親和性を示した(図31A−31C)。これらのK値は、精製されたFnIIIドメイン変異体及び表面プラズモン共鳴を使用して決定されたこれらの(K値)と良く一致した(図31D)。以前に発生させたFnIIIドメイン変異体と同様に、両ライブラリから選択された全てのFnIIIドメイン変異体において、FGループの残基は変異しており、これは、FnIIIドメイン変異体のターゲット認識におけるFGループ残基の中心的な重要性を示唆する。クレードルライブラリ由来のクレードル分子のいくつかは、野生型のCDループ及びD鎖を含んでおり、これらの残基は、これらのクレードル分子におけるターゲット認識に関与していないか、又は野生型残基の置換は、親和性の改良をもたらさなかったかのいずれかであることを示唆する。反対に、C鎖の多様化された位置(複数)は、選択されたクレードル分子の全てにおいて変異しており、異なったターゲットに対するクレードル分子は、異なったアミノ酸配列を示した(図31A)。GFP結合クレードル分子のC鎖であるGS♯2が、野生型配列に戻るように変換された場合、変異体は完全にGFPに対する結合を喪失した(図33)。共に、これらの結果は、クレードルライブラリに由来するクレードル分子のターゲット結合におけるC鎖の位置の重要性を支持する。
2つのライブラリは、異なったターゲットに対して異なった挙動をするように見える。GFPに関して、クレードルライブラリクローンは、ループのみライブラリ由来の対応物(counterpart)と比較してより高い親和性を有したが、hSUMO1に関しては、その傾向は反対であった。高親和性FnIIIドメイン変異体は、Abl SH2に関する両ライブラリから得られた。これらの結果は、両ライブラリが、これらの様々なターゲットに対するFnIIIドメイン変異体を生じさせることが可能である一方、2つの異なったライブラリの使用が、より広範囲のターゲットに対する、高度に機能的なFnIIIドメイン変異体を発生させる可能性を高めることを示唆する。
この研究は、hSUMO1について良い親和性を有する、いくつかのループのみFnIIIドメイン変異体を生じさせたが、一方、以前の研究において、ySMB−9と呼ばれるFnIIIドメイン変異体が、サブ−μM Kでリカバーされた唯一のhSUMO1バインダであった(Gilbreth, et al., supra, 2011)。2つの研究の間の1つの注目すべき違いは、本研究においては、ループシャッフリングステップを包含することである。下に表すように、ySMB−9/hSUMO1結晶構造は、3つの全てのループ由来の残基がySMB−9における結合に重要であり、同様のことが、本研究で単離された高度に相同なクレードル分子にも真実であろうことを強く示唆する。したがって、以前の研究と一致して(Hackel, et al., supra, 2008)、ループシャッフリングは、調査できる配列スペース(sequence space)を拡張し、したがって、高親和性FnIIIドメイン変異体を生ずる可能性を増加させる。
クレードル分子ターゲット複合体の結晶構造は、ライブラリデザインを裏付けする
ターゲットである、AblキナーゼのSH2ドメインと複合体を形成した、SH13と称される、クレードルライブラリから単離されたクレードル分子の結晶構造を、1.83Åの分解能で決定した(図31A及び32A;表9)。SH13は、ループシャッフリングをしていないファージディスプレイライブラリと酵母ディスプレイスクリーニングから直接に発生させた最初のクレードル分子クローンの範疇であった。その結果、これは、〜4μMのK値の低親和性を有する。SH13クレードル分子は、以前に決定されたクレードル分子構造からの最小偏差によって証拠付けられてるFnIIIスキャフォールド構造を維持していた(CαRMSD<0.7Å、変異した残基を除く)(Wojcik, et al., supra, 2010; Gilbreth, et al., supra, 2008)。Ab1 SH2ドメインの全体の構造は、同様に、以前に公表された、他のクレードル分子と複合体を形成したAb1 SH2ドメインの結晶構造と良く一致している(CαRMSD<0.5Å)(Wojcik, et al., supra, 2010)。SH2ドメインのホスホTyr結合ポケットは、結晶化溶液に存在した、スルファートイオンと一致する電子密度を含んでいた。
表9 データ収集及び精密化統計(分子置換)
Figure 2013539362

APS、アドバンスフォトンソース(Advanced Photon Source)
括弧内に表される最も高い分解能シェルの値
Figure 2013539362
hkl反射のi観測について
Figure 2013539362
§freeは、精密化の前に隔離された反射の5%を有するRである。
クレードルライブラリのデザインに従って、SH13クレードル分子は、主にクレードル表面を使用して、ターゲットに結合する(図32A)。結晶構造において観察される相互作用のモードは、NMR化学シフト摂動を使用してマップされた(mapped)エピトープと一致する(図32B)。クレードル分子により示される凹形表面は、Abl SH2ドメインの凸形表面を効果的に補完する(相補的である)。相互作用インターフェイスに埋められた総表面(面積)は、ほぼ2000Åであり、SH13クレードル分子は、〜1030Åを占め、Ab1 SH2ドメインは960Åを占めている。とりわけ、〜90%のインターフェイスにおいて埋められたクレードル分子表面は、ライブラリの発生において多様化された位置の残基によって得られる。同様に、SH2原子の5Åの中にある、21のクレードル分子残基のうち15の[残基]は、クレードルライブラリにおいて多様化された位置にあった。これらの15残基のうち、1つを除いて、ターゲット認識に直接的に関与する。インターフェイスに対する多様化された位置の広範囲な貢献は、ライブラリデザインが、ターゲットと直接の接触を作ることが可能な位置にアミノ酸多様性を集中させるのに効果的であることを示唆する。これらの特徴はまた、タンパク質相互作用インターフェイスの構築のためのFnIIIベータシートの表面の有効性に関して追加的な支持を与える。
SH13により認識されるAb1 SH2ドメインのエピトープは、以前に報告されたクレードル分子が認識するホスホペプチド結合インターフェイスとは顕著に異なる(Wojcik, et al., supra, 2010)。しかしながら、SH13エピトープはまた、SH2ドメインの既知の機能的に重要な表面である。全長のAblキナーゼのコンテクスト(context)において、αAヘリックスの中央にあるこの表面は、キナーゼを不活性のコンホメーション(conformation)に維持することを助けるキナーゼドメインのCローブとの相互作用を媒介する。SH13へのエピトープのおよそ半分(〜475Å)は、αAヘリックス全体と、このヘリックスにすぐに隣接する残基を含む線状セグメントより得られる(図32B)。SH13クレードル分子の凹形状パラトープは、このヘリックスにより示される凸形状表面を認識するのに適しているように思える。もっぱらループベース結合表面を有するクレードル分子において典型的に観察される、凸形状パラトープ形状を有するクレードル分子は、この表面を認識することができる可能性は低い。
2つの異なった型のライブラリから単離されたFnIIIドメイン変異体におけるターゲット認識に関する構造的な基礎をより良く比較し、対照させる目的で、hSUMO1に結合するFnIIIドメイン変異体であるySMB−9の結晶構造を、2.15Åの分解能で決定した(図32C;表9)。ySMB−9FnIIIドメイン変異体は、僅かに異なった選択スキームを使用して、同一の「ループのみ」ファージディスプレイライブラリよりリカバーされ(Hogrefe, H. H., et al., Gene (1993) 128:119-126)、この研究においてリカバーされた新しいhSUMO1クレードル分子に対して密接なホモロジーを表す(図31B)。したがって、ySMB−9/hSUMO1複合体の構造は、「ループのみ」FnIII変異体がどのように、そのターゲットを認識するかという良い例を提供する。構造は、3つのループ全てを使用する「正面(head-on)」の態様で、hSUMO1へySMB−9がhSUMO1に結合し、典型的なループベースFnIIIライブラリデザインにおいて想定される正確な様態において、隣接する(contiguous)結合表面を形成することを表した(図32C)。それぞれ、BC、DE及びFGループはそれぞれ、FnIIIドメインのベータシート領域により得られる埋められた表面を含まない、FnIII変異体の埋められた総表面の54%、6%及び40%を占める。
ySMB−9 FnIII変異体により示される相互作用のモードは、Abl SH2への結合においてSH13により使用される「クレードル」表面と著しく対照的であり(図32A)、酵母SUMO(顕著にySUMO)結合FnIII変異体であるySMB−1において以前に観察されたものとも顕著に異なる(図32C及び32D)(Gilbreth, et al., supra, 2011)。FnIII変異体であるySMB−1においては、SH13により示される相互作用の側面及びループモード(side-and-loop mode)に似たものを形成するために、FGループ及び野生型FnIIIスキャフォールドを使用した。興味深いことに、ySBM−1及びySMB−9は、hSUMO及びySUMOにおいて構造的に同等で、高度に保存されたエピトープにそれぞれ結合する(図32D)。したがって、FnIII変異体のこの対は、「ループのみ」及び「クレードル」結合モードの両方が、本質的に同一のターゲット表面を成功裏に認識するために使用することができ、さらに、両ライブラリデザイン戦略の有効性を支持することを実証する。さらには、ySMB−9により認識されるエピトープは、形状が平坦であり、一方ループのみ結合表面は、平坦な表面を認識するのに適切でないと思われる凸形状表面を有する傾向があるが、これは、ループのみFnIII変異体ライブラリを使用して平坦なエピトープに対するバインダを効果的に生じさせることが可能であることを実証する。
アミノ酸多様化のための位置が、従来のFnIII変異体ライブラリの[位置]と異なる新しい型のFnIIIクレードル分子ライブラリを開発した。新しいクレードルライブラリは、高親和性クレードル分子を生じさせるのに効果的であり、従来の「ループのみ」ライブラリと比較した性能は、異なったターゲット分子によって明確に異なると思われる。さらに、新しいクレードルライブラリ由来のクレードル分子の結晶構造は、凹形状のパラトープを示し(図32A)、これは、「ループのみ」ライブラリ由来のFnIII変異体においてしばしば観察される、平坦な又は凸形状のパラトープと明確に異なる(図32C)。タンパク質表面の大多数は、形状が、平坦から凸形状に及んでいるので、凹形状パラトープを生じることができる新しいライブラリの能力は、タンパク質―タンパク質相互作用インターフェイスを阻害するためのクレードル分子の使用において重要であろう。SH13構造は、FnIIIドメインのベータシート領域における残基が、ターゲット結合の際に、最小のバックボーン(backbone)移動を受けたことを示した。したがって、結合の際に、これらの残基によって被った、小さなエントロピーのペナルティは、高い親和性を達成するのに有利に貢献し得る。共に、これらの結果は、単一のFnIIIドメインが、明確に異なったトポグラフィ(distinct topography)を有するエピトープ(複数)を認識することが正確にできる結合表面の様々な型を生じるために使用できることを明確に示す。これは、人工の結合インターフェイスを生じさせるためのFnIIIドメインの利用を拡張する。
FnIII及びイムノグロブリン可変ドメインの構造的な比較において、この研究において新しい結合部位を構築するために使用されたFnIIIドメインの「DCFG」ベータシートは、重鎖と軽鎖との可変ドメインの間のヘテロ二量化(heterodimerization)を媒介するイムノグロブリン可変ドメインのベータシートに相当する(Amzel, L. M., and Poljak, R. J., Annu Rev Biochem (1979) 48:961-997)。それゆえ、イムノグロブリンドメインは、外来分子の認識のためにではなく、特異的タンパク質―タンパク質相互作用のために、このベータシート表面を利用する。らくだ様の(camelid)単一ドメイン抗体(VHHs)において、相当するベータシートは、従来の可変ドメインに対していくつかの変異を含み、これは、ヘテロ二量体化を妨げる(Desmyter, A., et al., Nat Struct Biol (1996) 3:803-811; Hamers-Casterman, C., et al., Nature (1993) 363:446-448)。今まで報告されている多くのらくだ様VHのパラトープは、3つのCDRループで作られ、凸形状のトポグラフィを有しているが(De Genst, et al., Proc Natl Acad Sci USA (2006) 103:4586-4591)、「側面及びループ」モードに相当する結合モードを使用するVHのまれな例が確認されている(Kirchhofer, A., et al., Nat Struct Mol Biol (2010) 17:133-138)。これらの例は、VHスキャフォールドもまた、そのような「側面バインダ」を生じさせるために、FnIIIドメインと同一の態様で使用することができることを示唆する。そのようなVH分子の希少性(rarity)は、それらのアミノ酸多様性が天然の免疫系において生じる態様から由来しているもようである。イムノグロブリン配列の多様性の生成の基礎となる遺伝子組み換え機構は、CDRに焦点を合わせる(Wu, T., T., et al., Proteins: Struct Funct Genet (1993) 16:1-7)。それゆえ、ベータシートの「側面」位置は、天然の免疫レパートリー(repertoire)において広くは多様化されておらず、「側面バインダ」VH分子を発生させる機会を制限する。
FnIII変異体は、それらの構造的類似性から、抗体の近縁の模倣物として見られているが、クレードルライブラリのデザインは、この「抗体模倣物」の考え方から離れること(departure)を示す。クレードル分子−ターゲット複合体の構造的な特徴付けは、クレードル分子―ターゲット相互作用の予期外のモード及び、ターゲット認識のためのベータシート表面の潜在的な有用性を特定するための手段となったことが強調された。天然の資料由来のイムノグロブリンライブラリと異なり、クレードル分子ライブラリは、インビトロ突然変異を使用して生成され、ライブラリにおけるアミノ酸多様化のための配位位置(location)の選択について完全な制御を提供する。この自由性(freedom)は、明確であり、人工的なスキャフォールド系の重要な有利な点である。類似のアプローチが、他のスキャフォールドにおいて結合インターフェイスを構築するために役立つ顕著な(distinct)表面を特定するのに有効であるはずである。このデザイン戦略は、分子認識インターフェイスのデザインの一般的な見識を与える。
方法と材料
「タンパク質の製造及び修飾」
ターゲットタンパク質(Abl SH2、hSUMO1、及びGFP)及びクレードル分子を、pHFT2ベクターを使用して、His10タグタンパク質として製造し(Koide, et al., supra, 2007)、以前に記載されたように精製した(Gilbreth, et al., supra, 2011, Koide, A., et al., supra, 2009)。この研究で使用されたhSUMO1サンプルは、ダイマー形成を妨げるC52A変異を含んでいた(Tatham, M. H., et al., J Biol Chem (2001) 276:35368-35374)。アイソトープ富化サンプルを、以前に記載されたように調製した(Pham, T-N, and Koide, S., J Biomol NMR (1998) 11:407-414)。SPR試験に関して、ターゲットのHisタグセグメントを、TEVプロテアーゼを使用して開裂させた。結晶化に関して、Hisタグセグメントを、両ターゲット及びクレードル分子から取り除いた。
酵母ディスプレイに使用したターゲットタンパク質は、EZ−Link NHS−PEG4−Biotin(Thermo Fisher Scientific)を使用してビオチン化した。典型的に、0.3−0.6mg/mlのターゲットタンパク質を、60μMの薬剤で30分間インキュベートし、反応を、0.1Mの終濃度でTris−Cl(pH 8)を加えることにより抑えた。過剰のビオチン化薬剤を、100mM NaCl及び1mM EDTA含有20mM Tris Clバッファ、pH 8に対して透析することにより取り除いた。ビオチン化のレベルは、MALDI−TOF質量解析法を使用して、1分子当り〜1となるように決定した。
「ファージ及び酵母ディスプレイ、ライブラリ構築及び選択」
「ループのみ」のライブラリは既知である(Wojcik, et al., supra, 2010)。クレードルライブラリは、以前に記載されている様に、Kunkel突然変異法を使用して構築した(Koide, A., and Koide, S., supra, 2007, Sidhu, et al., supra, 2000)。ファージディスプレイ選択を、以前に記載された方法に従って行なった(Fellouse, F. A., et al. J Mol Biol (2007) 373:924-940, Koide, A., et al., supra, 2009)。Hisタグ化ターゲットタンパク質を、等モルの濃度のBTtrisNTA、ビオチン部分(モイエティ)を含む高親和性Ni−NTA化合物と共に30分間インキュベートし、BTtrisNTA/hisタグ化タンパク質複合体を形成し、この複合体を、クレードル分子ファージディスプレイライブラリと共にインキュベートした。1、2及び3回目の(選択)(rounds)に使用したターゲット濃度は、それぞれ、Abl SH2に関しては100、100及び50nM、GFPに関しては100、50及び50nMであり、hSUMO1に関しては,(3回を)通して100nMであった。BTtrisNTA/ターゲット複合体に結合したクレードル分子ディスプレイファージをストレプトアビジン(SAV)被覆磁石ビーズを使用して捕獲した。捕獲したファージを、ターゲットとBTtrisNTAとの間の連結を破壊する10mM EDTA溶液で溶出した。リカバーされたファージを、0.2mM IPTGの存在下で増殖させ、クレードル分子―p3融合遺伝子の発現を誘導させた。
3回のファージディスプレイライブラリ選択の後、選択されたクレードル分子の遺伝子を酵母ディスプレイベクターに移動させ、酵母における相同組み換えを使用して酵母ライブラリを作成した(Swers, J. S., et al., Nucleic Acids Res (2004) 32:e36)。酵母ディスプレイライブラリの構築の間の遺伝子シャッフリング(Gene shuffling)を、以下の通りに組み込んだ。線状化した酵母ディスプレイベクターpGalAgaCamR(Koide, A., et al., J Mol Biol (2007) 373:941-953)を、NcoI及びXhoI消化を使用して調製した。残基1−74をそれぞれエンコードするクレードル分子遺伝子セグメント及び、残基54−94を[エンコードするクレードル分子遺伝子セグメント]を別に、ファージ選択の後に富化したプールからPCRを使用して増殖させた。酵母株EBY100を、次に、3つのDNAフラグメントの混合物を使用して形質転換した。正しく組み換えられたクローンは、Aga2−クレードル分子−V5タグの融合遺伝子を含んでいた。形質転換体を、トリプトファン欠損培地で選択し、Aga2−クレードル分子融合タンパク質を、以前に記載されたように発現させた(Koide, et al., supra, 2007, Boder and Wittrup, supra, 2000)。
以前に記載されたように、30nM ビオチン化Abl−SH2、10nM ビオチン化hSUMO1、及び3nM ビオチン化GFPを使用して、酵母ディスプレイライブラリをソートした(Koide, et al., supra, 2007)。表面ディスプレイ(surface-displayed)したクレードル分子を、抗V5抗体(Sigma)で検出した。NeutrAvidin(登録商標)(NAV)−PE(InvitroGen)又はSAV−PE(InvitroGen)及び、Alexa Fluor(登録商標)−647ニワトリ抗ウサギIgG(InvitroGen)を、ビオチン化タンパク質及び抗V5抗体の第2次検出薬剤としてそれぞれ使用した。総計2回(rounds)のライブラリソートを、Abl SH2及びhSUMO1に関して行い、1回[のソート]をGFPに関して行なった。
「酵母ディスプレイを使用した親和性測定」
ソートされたライブラリ由来の個々のクローンを、以前に記載されたように、寒天プレート上で単離し、そして液体培地中で成長させた(Koide, et al., supra, 2007, Boder and Wittrup, supra, 2000)。各クローンについて、5万の酵母細胞を、様々な濃度のビオチン化ターゲットと共に、撹拌しながら、30分間氷上で、ポリプロピレン96ウェルプレート(Greiner 650201)のウェル中、BSSバッファ(50mM TrisCl、150mM NaCl、pH8、1mg/ml BSA)で、20μlの最終容量で、インキュベートした。96ウェルフィルタープレート(MultiScreenHTS HV, 0.45μm 穴サイズ; Millipore)のウェルを、100μl BSSを添加して洗浄し、次に、真空を適用して液体を取り除いた。結合反応液からの細胞懸濁液を96ウェルフィルタープレートの洗浄したウェルに移動させた。結合溶液を、真空ろ過により取り除いた。ウェル中の酵母細胞を、100μlのBSST(0.1% Tween20含有BSSバッファ)で2回、同じように洗浄した。次に、20μlの、BSS中10μg/ml NAV−PE(InvitroGen)を各ウェルに添加した。30分間の、撹拌しながらの氷上でのインキュベーションの後、1回、細胞をBSSTで洗浄した。細胞を300μlのBSSに懸濁し、Guava EasyCyte6/Lフローサイトメーター(Millipore)を使用して解析した。KaleidaGraph Program(Synergy Software)を使用して1:1の結合モデルに適合(fit)させることによって、ターゲット濃度に対する平均PE蛍光強度のプロットから、K値を決定した。
「表面プラズモン共鳴」
すべてのSPR測定を、Biacore(登録商標)2000instrumentで行なった。キネティック試験に関して、製造者より提供されたアミン結合(amine coupling)の以下の方法を使用して、Abl SH2をCM5チップに固定した。濃度を変化させたクレードル分子を、100μl/分の流速で、表面上に流し、結合シグナルを記録した。5つ1組のデータセットを加工し、Scrubber2 program(BioLogic Software, Campbell, Australia)を使用して、物質移行を含む2分子モデルに適合させた。物質移行の存在を、流速を変化させることにより確認した。平衡試験を、以前に記載されたように行った(Gilbreth, et al., supra, 2011)。2部のデータセットを、Scurubber2で加工し、飽和曲線を、Origin software(OriginLab, Northampton, MA)を使用して、1:1結合モデルに適合させた。
「結晶化及び構造決定」
SH13/Abl SH2ドメイン複合体を、Superdex75カラム(GE Lifesciences)で精製した。複合体を、〜10mg/mlに濃縮し、0.2M マクネシウムクロリド、0.1M Bis−TrisCl pH 5.5及び25% PEG 3350で、19℃で、ハンギングドロップ蒸気拡散法により結晶化した。ySMB−9及びhSUMO1タンパク質を1:1のモル比で混合し、総タンパク質濃度を〜10mg/mLに濃縮し、10mM TrisCl、50mM NaCl、pH8.0に溶解させた。複合体を24% PEG−8000、0.1M イミダゾール、pH=8.0で、19℃で、ハンギングドロップ蒸気拡散法を使用して結晶化した。80% 母液及び凍結保護物質として20% グリセロールの混合液で結晶を凍結した。結晶及びデータ収集情報は、表1に示す。
X線回折データを、Advanced Photon Source Beamlines(Argonne National Laboratory)で収集した。結晶及びデータ収集情報は、補助的な表1に示す。X線回折データを、HKL2000(Otwinowski, Z., supra, 1997)で加工し、スケール化した。SH13/Abl SH2構造を、CCP4program suiteでPhaserを使用する分子置換により決定した(The CCP4 Suite, supra ,1994; Potterton, E., et al., Acta Crystallogr D Biol Crystallogr (2003) 59:1131-1137)。検索モデルとして、ループ領域を除き、Abl SH2ドメイン及びFnIIIスキャフォールドを使用して、多コピー検索を行なった(それぞれ、PDB ID 2ABL及びlFNA)。模擬アニーリング、エネルギーの最小化、B−因子の精密化及びマップ構築は、CNSを使用して行なった(Brunger, A. T., et al., supra, 1998; Brunger, A. T., Nature protocols (2007) 2:2728-2733)。ySMB−9/hSUMO1構造を、CCP4のMOLREPプログラム(The CCP4 Suite, supra ,1994)で2つの異なったモデルを使用する配列検索を使用する分子置換によって決定した。hSUMO1構造(B鎖の残基20−92、PBD IDコード 1Z5S)を、可変ループ領域を欠損させたFnIII構造(PBD IDコード1FNA)と共に、検索モデルとして使用した(Dickinson, et al., supra, 1994; Reverter, D., supra, 2005)。モデル構築及び水分子の検索は、Coot programを使用して行なった(Emsley, P., supra, 2004)。TLS(Translation/Libration/Screw)及びバルク溶媒パラメータ、抑制された温度因子及び最終位置の精密化を、REFMAC5で行った(Murshudov, et al., supra, 1997)。分子グラフィックは、PyMOLを使用して作成した(これは、World Wide Webのpymol.orgにある)。表面領域(面積)の計算を、PROTORPタンパク質−タンパク質相互作用サーバーを使用して行なった(Reynolds, et al., supra, 2009)。
「NMR分光法」
以下のスペクトラの一式は、製造者より提供されたパルスシーケンス(1H,15N-HSQC, HNCO, CBCACONH, HNCACB, CCONH, HN(CA)CO)を使用した低温プローブを備えたVarian(Palo Alto, CA)INOVA 600 NMR スペクトロメータを使用して、90%HO及び10%DO中で調製した150mM NaCl、50μM EDTA及び0.005% アジ化ナトリウム含有10mM リン酸ナトリウムバッファ、pH7.4中、均一に13C/15Nを富化したAbl SH2ドメイン(〜200μM)について得た。NMRデータを、NMRPipe及びNMRView ソフトウェアを使用して処理し、解析した(Delaglio, F., et al., J Biomol NMR (1995) 6:277-293; Johnson, B. A., et al., J Biomol NMR (1994) 4:603-614)。共鳴の割当ては、PINEサーバーを使用して得(Bahrami, A., et al., PLoS Computational Biology (2009) 5:e1000307)そして、NMRviewでの目視検査によって検証した。エピトープマッピングに関して、ラベルされていないSH13クレードル分子の1.25倍のモル[濃度]の超過の存在下及び非存在下における、H、15N富化Abl SH2ドメインのH、15N−HSQCのスペクトラ(〜60μM)が記録された。H、15N−HSQC交差ピークを、以前に記載されたように(Koide, et al., supra, 2007)、SH13結合の際の移動の程度について分類した。

Claims (138)

  1. 少なくとも1つのループ領域及び少なくとも1つの非ループ領域に1つ以上のアミノ酸置換を含むフィブロネクチンタイプIII(FnIII)ドメインベースのクレードルポリペプチド。
  2. 非ループ領域がβ鎖C、β鎖D、β鎖F及びβ鎖Gから成る群から選択される請求項1に記載のクレードルポリペプチド。
  3. ループ領域がABループ、BCループ、CDループ、DEループ、EFループ及びFGループから成る群から選択される請求項1又は2に記載のクレードルポリペプチド。
  4. 2つのループ領域、及び/又は、2つの非ループ領域に1つ以上のアミノ酸置換を含む請求項1〜3のいずれか1項に記載のクレードルポリペプチド。
  5. 非ループ領域がβ鎖C及びβ鎖Fであり、ループ領域がCDループ及びFGループである請求項4に記載のクレードルポリペプチド。
  6. β鎖のクレードル残基に1つ以上のアミノ酸置換が導入される請求項1〜5のいずれか1項に記載のクレードルポリペプチド。
  7. 少なくとも1つのループ及び/又は非ループ領域に少なくとも1つのアミノ酸の挿入、及び/又は、欠損を更に含む請求項1〜6のいずれか1項に記載クレードルポリペプチド。
  8. 2つのループ領域、及び/又は、2つの非ループ領域に少なくとも1つのアミノ酸の挿入、及び/又は、欠損を含む請求項7に記載のクレードルポリペプチド。
  9. 非ループ領域がβ鎖C及びβ鎖Fであり、ループ領域がCDループ及びFGループである請求項8に記載のクレードルポリペプチド。
  10. 非ループ領域における1つ以上のアミノ酸置換がFnIIIドメインスキャフォールドの構造、及び/又は、ループ領域の形状を改変させない請求項1〜9のいずれか1項に記載のクレードルポリペプチド。
  11. 非ループ領域における1つ以上のアミノ酸置換は非クレードル残基を除外する請求項1〜10のいずれか1項に記載のクレードルポリペプチド。
  12. FnIIIドメインがヒトフィブロネクチンの1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15又は16番目のFnIIIドメインである請求項1〜11のいずれか1項に記載のクレードルポリペプチド。
  13. FnIIIドメインがヒトフィブロネクチンの7番目、10番目又は14番目のFnIIIドメインである請求項12に記載のクレードルポリペプチド。
  14. FnIIIドメインがヒトフィブロネクチンの7番目のFnIIIドメイン(FnIII07)である請求項13に記載のクレードルポリペプチド。
  15. FnIIIドメインがヒトフィブロネクチンの10番目のFnIIIドメイン(FnIII10)である請求項13に記載のクレードルポリペプチド。
  16. FnIIIドメインがヒトフィブロネクチンの14番目のFnIIIドメイン(FnIII14)である請求項13に記載のクレードルポリペプチド。
  17. CDループが約3〜11残基長である請求項1〜16のいずれか1項に記載のクレードルポリペプチド。
  18. CDループが約4〜9残基長である請求項17に記載のクレードルポリペプチド。
  19. CDループが5残基長である請求項18に記載のクレードルポリペプチド。
  20. FGループが約1〜10残基長である請求項1〜19のいずれか1項に記載のクレードルポリペプチド。
  21. FGループが約5又は6残基長である請求項20に記載のクレードルポリペプチド。
  22. FGループが5残基長である請求項21に記載のクレードルポリペプチド。
  23. FGループが6残基長である請求項21に記載のクレードルポリペプチド。
  24. FGループの位置1がGly残基であり、FGループの位置2がLeu、Val又はIle残基であり、FGループの位置3が荷電性残基又は極性残基であり、FGループの位置4がPro残基であり、FGループの位置5がGly残基であり、そして、FGループの位置6が極性残基である請求項23に記載のクレードルポリペプチド。
  25. FGループの位置3、及び/又は、位置5がGly残基である請求項22に記載のクレードルポリペプチド。
  26. β鎖Cが約6〜14残基長であり、β鎖Fが約8〜13残基長である請求項1〜25のいずれか1項に記載のクレードルポリペプチド。
  27. β鎖Cが約8〜11残基長である請求項26に記載のクレードルポリペプチド。
  28. β鎖Cが9残基長である請求項27に記載のクレードルポリペプチド。
  29. β鎖Cの位置2、位置4及び位置6が疎水性残基である請求項26〜28のいずれか1項に記載のクレードルポリペプチド。
  30. β鎖Cの位置1、位置3、位置5及び位置7〜9が野生型配列から改変される請求項26〜29のいずれか1項に記載のクレードルポリペプチド。
  31. β鎖Cの位置1がAla、Gly、Pro、Ser、Thr、Asp、Glu、Asn、Gln、His、Lys及びArgから成る群から選択される請求項26〜30のいずれか1項に記載のクレードルポリペプチド。
  32. β鎖Cの位置3が疎水性残基である請求項26〜31のいずれか1項に記載のクレードルポリペプチド。
  33. β鎖Cの位置3がIle、Val、Arg、Leu、Thr、Glu、Lys、Ser、Gln及びHisから成る群から選択される請求項26〜32のいずれか1項に記載のクレードルポリペプチド。
  34. β鎖Cの位置5及び位置7〜9がAla、Gly、Pro、Ser、Thr、Asp、Glu、Asn、Gln、His、Lys及びArgから成る群から選択される請求項26〜33のいずれか1項に記載のクレードルポリペプチド。
  35. β鎖Fが約9〜11残基長である請求項26〜34のいずれか1項に記載のクレードルポリペプチド。
  36. β鎖Fが10残基長である請求項35に記載のクレードルポリペプチド。
  37. β鎖Fの位置1、位置3、位置5及び位置10が野生型配列に対して改変されている請求項35又は36に記載のクレードルポリペプチド。
  38. β鎖Fの位置1、位置3、位置5及び位置10がAla、Gly、Pro、Ser、Thr、Asp、Glu、Asn、Gln、His、Lys及びArgから成る群から選択される請求項35〜37のいずれか1項に記載のクレードルポリペプチド。
  39. β鎖Fの位置2、位置4及び位置6が疎水性残基である請求項35〜38のいずれか1項に記載のクレードルポリペプチド。
  40. β鎖Fの位置7が疎水性残基である請求項35〜39のいずれか1項に記載のクレードルポリペプチド。
  41. β鎖Fの位置7がArg、Tyr、Ala、Thr及びValから成る群から選択される請求項35〜40のいずれか1項に記載のクレードルポリペプチド。
  42. β鎖Fの位置8がAla、Gly、Ser、Val及びProから成る群から選択される請求項35〜41のいずれか1項に記載のクレードルポリペプチド。
  43. β鎖Fの位置9がVal、Leu、Glu、Arg及びIleから成る群から選択される請求項35〜42のいずれか1項に記載のクレードルポリペプチド。
  44. 配列番号1の位置30、31、32、33、34、35、36、37、38、及び/又は、39にアミノ酸置換を含む請求項15に記載のクレードルポリペプチド。
  45. 配列番号1の位置31、33、35、37、38、及び/又は、39にアミノ酸置換を含む請求項44に記載のクレードルポリペプチド。
  46. 配列番号1の位置31、及び/又は、位置33にアミノ酸置換を含む請求項45に記載のクレードルポリペプチド。
  47. 配列番号1の位置44、45、46、47、48、49、50、及び/又は、51にアミノ酸置換を含む請求項15に記載のクレードルポリペプチド。
  48. 配列番号1の位置44、45、47、及び/又は、49にアミノ酸置換を含む請求項47に記載のクレードルポリペプチド。
  49. 配列番号1の位置40、41、42、43、44、及び/又は、45にアミノ酸置換を含む請求項15に記載のクレードルポリペプチド。
  50. 配列番号1の位置67、68、69、70、71、72、73、74、75、及び/又は、76にアミノ酸置換を含む請求項15に記載のクレードルポリペプチド。
  51. 配列番号1の位置67、69、71、73、及び/又は、76にアミノ酸置換を含む請求項50に記載のクレードルポリペプチド。
  52. 配列番号1の位置71、73、75、及び/又は、76にアミノ酸置換を含む請求項50に記載のクレードルポリペプチド。
  53. 配列番号1の位置76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、及び/又は、86にアミノ酸置換を含む請求項15に記載のクレードルポリペプチド。
  54. 配列番号1の位置84、及び/又は、位置85にアミノ酸置換を含む請求項53に記載のクレードルポリペプチド。
  55. 配列番号1の位置85、86、87、88、89、90、91、92、93、及び/又は、94にアミノ酸置換を含む請求項15に記載のクレードルポリペプチド。
  56. 配列番号1の位置31、33、47、49、73、及び/又は、75にアミノ酸置換を含む請求項15に記載のクレードルポリペプチド。
    [*請求項56]
    配列番号97の位置33、35、37、39、40、及び/又は、41にアミノ酸置換を含む請求項14に記載のクレードルポリペプチド。
  57. 配列番号97の位置42、43、44、45、46、47、及び/又は、48にアミノ酸置換を含む請求項14に記載のクレードルポリペプチド。
  58. 配列番号97の位置70、72、74、76、及び/又は、79にアミノ酸置換を含む請求項14に記載のクレードルポリペプチド。
  59. 配列番号97の位置80、81、82、83、84、及び/又は、85にアミノ酸置換を含む請求項14に記載のクレードルポリペプチド。
  60. 配列番号129の位置31、33、35、37、及び/又は、39にアミノ酸置換を含む請求項16に記載のクレードルポリペプチド。
  61. 配列番号129の位置40、41、42、43、及び/又は、44にアミノ酸置換を含む請求項16に記載のクレードルポリペプチド。
  62. 配列番号129の位置66、68、70、72、及び/又は、75にアミノ酸置換を含む請求項16に記載のクレードルポリペプチド。
  63. 配列番号129の位置76、77、78、79、80、及び/又は、81にアミノ酸置換を含む請求項16に記載のクレードルポリペプチド。
  64. 配列番号468に記載のアミノ酸配列を含む請求項14に記載のクレードルポリペプチド。
  65. 配列番号469に記載のアミノ酸配列を含む請求項15に記載のクレードルポリペプチド。
  66. 配列番号470に記載のアミノ酸配列を含む請求項16に記載のクレードルポリペプチド。
  67. クレードルポリペプチドの部分が、クレードルポリペプチドのターゲット分子に対する結合親和性を増強する非FnIIIドメインポリペプチドによって置き換えられた請求項1〜66のいずれか1項に記載のクレードルポリペプチドのキメラクレードルポリペプチド。
  68. 非FnIIIドメインポリペプチドが抗体の相補性決定領域(CDR)又はT細胞受容体の全部又は一部である請求項67に記載のキメラクレードルポリペプチド。
  69. CDRが単一ドメイン抗体のCDR1、CDR2又はCDR3である請求項68に記載のキメラクレードルポリペプチド。
  70. 単一ドメイン抗体がナノボディである請求項69に記載のキメラクレードルポリペプチド。
  71. AB、BC、CD、DE、EF又はFGループの一部又は全部がCDRで置き換えられた請求項68に記載のキメラクレードルポリペプチド。
  72. 請求項1〜71のいずれか1項に記載の1つ以上のモノマークレードルポリペプチドの複数コピーを含む多重特異性クレードルポリペプチド。
  73. リンカー配列によってモノマークレードルポリペプチド同士が連結された請求項72に記載の多重特異性クレードルポリペプチド。
  74. リンカー配列がGGGGSGGGGS(配列番号471)、GSGSGSGSGS(配列番号472)、PSTSTST(配列番号473)及びEIDKPSQ(配列番号474)から成る群から選択される請求項73に記載の多重特異性クレードルポリペプチド。
  75. 請求項1〜74のいずれか1項に記載のクレードルポリペプチドを複数含むクレードルライブラリ。
  76. クレードルポリペプチドが、配列番号1のアミノ酸位置30、41、42、43、44、45、76、77、78、79、80、81、82、83、84、及び/又は、85に1つ以上のアミノ酸置換を含む請求項75に記載のクレードルライブラリ。
  77. クレードルポリペプチドが、配列番号1のアミノ酸位置15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、32、34、35、36、37、38、39、40、46、48、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、72、74、75、86、87、88、89、90、91、92、93、及び/又は、94に1つ以上のアミノ酸置換を更に含む請求項76に記載のクレードルライブラリ。
  78. クレードルポリペプチドが、配列番号1と少なくとも50%、60%、70%、80%、又は90%同一である請求項75に記載のクレードルライブラリ。
  79. クレードルポリペプチドが、少なくとも1つのループ領域に少なくとも1個のアミノ酸挿入を更に含む請求項75〜78のいずれか1項に記載のクレードルライブラリ。
  80. クレードルポリペプチドが、少なくとも1つのループ領域に少なくとも2個のアミノ酸挿入を含む請求項79に記載のクレードルライブラリ。
  81. クレードルポリペプチドが、少なくとも1つのループ領域に約2〜25個のアミノ酸挿入を含む請求項80に記載のクレードルライブラリ。
  82. クレードルポリペプチドが、少なくとも1つのループ領域に少なくとも1個のアミノ酸欠損を含む請求項79〜81のいずれか1項に記載のクレードルライブラリ。
  83. クレードルポリペプチドが、少なくとも1つのループ領域に少なくとも2個のアミノ酸欠損を含む請求項82に記載のクレードルライブラリ。
  84. クレードルポリペプチドが、少なくとも1つのループ領域に約2〜10個のアミノ酸欠損を含む請求項83に記載のクレードルライブラリ。
  85. クレードルポリペプチドが、2つのループ領域に少なくとも2個のアミノ酸欠損を含む請求項79、83及び84のいずれか1項に記載のクレードルライブラリ。
  86. クレードルポリペプチドが、少なくとも1つのループ領域に少なくとも1個のアミノ酸挿入と、1個のアミノ酸欠損とを含む請求項79〜85のいずれか1項に記載のクレードルライブラリ。
  87. クレードルポリペプチドが、同一のループ領域に少なくとも1個のアミノ酸の挿入及び欠損を含む請求項86に記載のクレードルライブラリ。
  88. ターゲット分子と結合するように予め選択された請求項79〜87のいずれか1項に記載のクレードルライブラリ。
  89. クレードルポリペプチドが、配列番号3、配列番号79、配列番号86及び配列番号468〜470から成る群から選択されるアミノ酸配列を含む請求項75に記載のクレードルライブラリ。
  90. クレードルライブラリが、少なくとも10、100、1000、10、10、10、10、10、10、1010、1011、1012、1013、1014、1015個又はそれを上回る異なるクレードルポリペプチドを含む請求項75に記載のクレードルライブラリ。
  91. 請求項1〜74のいずれか1項に記載のクレードルポリペプチドをコードするポリヌクレオチド。
  92. ポリヌクレオチドが発現構築物である請求項91に記載のポリヌクレオチド。
  93. 発現構築物が、細菌、酵母又は哺乳類のシステムにおいて、コードされるポリペプチドを発現することが可能である請求項92に記載のポリヌクレオチド。
  94. 請求項75〜90のいずれか1項に記載のクレードルライブラリをコードするポリヌクレオチドライブラリ。
  95. a)宿主細胞において、請求項91〜93のいずれか1項に記載のクレードルポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを発現させるステップと、
    b)発現したクレードルポリペプチドを単離する、及び/又は、精製するステップとを含むクレードルポリペプチドの生成方法。
  96. 下記のステップを含む、選択結合活性又は選択酵素活性を有する1つ以上のポリペプチドの存在に関するスクリーニングにおいて有用なFnIIIドメインポリペプチドのクレードルライブラリを作製する方法:
    (i)天然FnIIIドメインポリペプチドのコレクションの中で、β鎖C及びβ鎖Fのアミノ酸配列並びにCDループ及びFGループのアミノ酸配列をアライメントするステップ、
    (ii)アライメントしたβ鎖配列及びループ配列を長さに応じて区分するステップ、
    (iii)ステップ(ii)の区分に従って選択した特定の長さのβ鎖又はループに関して、部位特異的アミノ酸頻度解析を実行して各β鎖又はループ位置におけるアミノ酸の頻度を決定するステップ、
    (iv)ステップ(iii)において解析された(特定の長さの)ループ、β鎖及び長さの各々に関して、保存的又は選択半保存的なコンセンサスアミノ酸、及び、他の天然−変異アミノ酸の各々の位置を同定するステップ、
    (v)少なくとも1つの選択したループ、β鎖及び長さに関して、
    (1)各β鎖又はループ位置において、コンセンサスアミノ酸、及び(コンセンサスアミノ酸が少なくとも50%の選択閾値頻度と同等又はそれ未満の出現頻度を有するとき)単一の共通ターゲットアミノ酸及びいずれかの共生成アミノ酸をコードするコード配列のライブラリによって発現される突然変異誘導配列のクレードルライブラリを作製するか、又は、
    (2)各β鎖又はループ位置において、コンセンサスアミノ酸、及び(コンセンサスアミノ酸が少なくとも50%の選択閾値頻度と同等又はそれ未満の出現頻度を有するとき)他の天然−変異アミノ酸又はそれらの化学的均等物をコードするコード配列のライブラリによって発現される天然−変異組み合わせ配列のクレードルライブラリを作製するステップ(ただし、他の天然−変異アミノ酸は半保存アミノ酸及び可変アミノ酸を含み、可変アミノ酸は、その位置における出現率が選択最小閾値出現率を上回る)、
    (vi)FnIIIフレームワークのコード配列に、前記コード配列のライブラリを組み込んで、FnIII発現ライブラリを作製するステップ、及び、
    (vii)発現ライブラリのFnIIIポリペプチドを発現させるステップ。
  97. 選択閾値頻度が100%である請求項96に記載の方法。
  98. 選択頻度が約50〜95%である請求項96に記載の方法。
  99. ステップ(ii)において、CDループの長さ約3〜11残基長に応じてループを区分する請求項96〜98のいずれか1項に記載の方法。
  100. CDループが約3〜9残基長である請求項99に記載の方法。
  101. CDループが約4〜9残基長である請求項99に記載の方法。
  102. CDループが5残基長である請求項99に記載の方法。
  103. ステップ(ii)において、FGループの長さ約1〜10残基長に応じてループを区分する請求項96〜102のいずれか1項に記載の方法。
  104. FGループが約5又は6残基長である請求項103に記載の方法。
  105. FGループが5残基長である請求項103に記載の方法。
  106. FGループが6残基長である請求項103に記載の方法。
  107. FGループの位置1がGly残基であり、FGループの位置2がLeu、Val又はIle残基であり、FGループの位置3が荷電性残基又は極性残基であり、FGループの位置4がPro残基であり、FGループの位置5がGly残基であり、そして、FGループの位置6が極性残基である請求項106に記載の方法。
  108. FGループの位置3、及び/又は、位置5がGly残基である請求項105に記載の方法。
  109. ステップ(ii)において、β鎖Cの長さ約6〜14残基長と、β鎖Fの長さ約8〜13残基長とに応じてβ鎖を区分する請求項96〜108のいずれか1項に記載の方法。
  110. β鎖Cが約8〜11残基長である請求項109に記載の方法。
  111. β鎖Cが9残基長である請求項109に記載の方法。
  112. β鎖Cの位置2、位置4及び位置6が疎水性残基である請求項111に記載の方法。
  113. β鎖Cの位置1、位置3、位置5及び位置7〜9が、野生型配列から改変される請求項111に記載の方法。
  114. β鎖Cの位置1がAla、Gly、Pro、Ser、Thr、Asp、Glu、Asn、Gln、His、Lys及びArgから成る群から選択される請求項113に記載の方法。
  115. β鎖Cの位置3が疎水性残基である請求項113に記載の方法。
  116. β鎖Cの位置3がIle、Val、Arg、Leu、Thr、Glu、Lys、Ser、Gln及びHisから成る群から選択される請求項113に記載の方法。
  117. β鎖Cの位置5及び位置7〜9がAla、Gly、Pro、Ser、Thr、Asp、Glu、Asn、Gln、His、Lys及びArgから成る群から選択される請求項113に記載の方法。
  118. β鎖Fが約9〜11残基長である請求項109に記載の方法
  119. β鎖Fが10残基長である請求項109に記載の方法。
  120. β鎖Fの位置1、位置3、位置5及び位置10が、野生型配列から改変される請求項119に記載の方法。
  121. β鎖Fの位置1、位置3、位置5及び位置10がAla、Gly、Pro、Ser、Thr、Asp、Glu、Asn、Gln、His、Lys及びArgから成る群から選択される請求項120に記載の方法。
  122. β鎖Fの位置2、位置4及び位置6が疎水性残基である請求項119に記載の方法。
  123. β鎖Fの位置7が疎水性残基である請求項119に記載の方法。
  124. β鎖Fの位置7がArg、Tyr、Ala、Thr及びValから成る群から選択される請求項119に記載の方法。
  125. β鎖Fの位置8がAla、Gly、Ser、Val及びProから成る群から選択される請求項119に記載の方法。
  126. β鎖Fの位置9がVal、Leu、Glu、Arg及びIleから成る群から選択される請求項119に記載の方法。
  127. 天然FnIIIドメインポリペプチドがヒトフィブロネクチンの1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15及び/又は16番目のFnIIIドメインの野生型アミノ酸配列を含む請求項96〜126のいずれか1項に記載の方法。
  128. 天然FnIIIドメインポリペプチドがヒトフィブロネクチンの7番目、10番目、及び/又は、14番目のFnIIIドメインの野生型アミノ酸配列を含む請求項127に記載の方法。
  129. 請求項96〜128のいずれか1項に記載のFnIIIドメインポリペプチドクレードルライブラリ生成方法を使用する、設計された選択結合活性又は選択酵素活性を有する1つ以上のクレードルポリペプチドの存在に関するスクリーニング、に有用なクレードルライブラリ。
  130. a)請求項75−90及び請求項129のいずれか1項に記載のFnIIIドメインポリペプチドのクレードルライブラリと、ターゲット分子とを反応させるステップと、
    b)FnIIIドメインポリペプチドのクレードルライブラリをスクリーニングして、ターゲット分子に対する所望の結合親和性を有するものを選択するステップと、
    を含むターゲット分子に対する所望の結合親和性を有するクレードルポリペプチドを同定する方法。
  131. 選択したポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを同定するステップを更に含む請求項130に記載の方法。
  132. ターゲット分子が、リゾチーム、ヒトFc、ヒト血清アルブミン(HSA)、ヒトSUMO1(small ubiquitin-like modifier 1)、ヒトユビキチン、ヒトAbl SH2ドメイン、ヒトSFMBT2(Scm-like with four mbt domains 2)、SCMH1(sex comb on midleg homolog 1)ドメイン及び緑色蛍光タンパク質(GFP)から成る群から選択される請求項130又は131に記載の方法。
  133. 請求項130〜132のいずれか1項に記載の方法を使用して選択したクレードルポリペプチド。
  134. 配列番号4〜78、配列番号80〜85、配列番号87〜96、配列番号98、配列番号99、配列番号101〜128、配列番号130〜141、配列番号143、配列番号145〜147、配列番号149〜159、配列番号161〜199、配列番号201〜238及び配列番号240〜277から成る群から選択されるアミノ酸配列を含む請求項133に記載のクレードルポリペプチド。
  135. 容器内に、請求項1〜74、請求項133及び請求項134のいずれか1項に記載のクレードルポリペプチドを含むキット。
  136. 容器内に、請求項75〜90及び請求項129のいずれか1項に記載のクレードルライブラリを含むキット。
  137. 容器内に、請求項91〜93のいずれか1項に記載のクレードルポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含むキット。
  138. 容器内に、請求項75〜90及び請求項129のいずれか1項に記載のクレードルライブラリをコードするポリヌクレオチドライブラリを含むキット。
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